(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191577
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】食鳥屠体上半部から剥ぎ取られた胸肉をトリミング作業場へ搬送する搬送システム
(51)【国際特許分類】
A22C 21/00 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
A22C21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099873
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】504225356
【氏名又は名称】プライフーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095245
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】市来 清臣
【テーマコード(参考)】
4B011
【Fターム(参考)】
4B011FA01
4B011FA03
4B011FA05
4B011FA06
(57)【要約】
【課題】 食鳥屠体上半部から剥ぎ取られた胸肉をトリミング作業場へ搬送する搬送システムであって、トリミングの作業効率を従来に比べて向上させることができる搬送システムを提供する。
【解決手段】 食鳥屠体上半部から剥ぎ取られた胸肉をトリミング作業場へ搬送する搬送システムであって、胸肉にX線を照射して小骨の有無を検知するX線照射装置と、胸肉を小骨入り胸肉と小骨無し胸肉とに分別する小骨分別装置と、X線照射装置と小骨分別装置とを経由して胸肉をトリミング作業場へ搬送する搬送装置とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食鳥屠体上半部から剥ぎ取られた胸肉をトリミング作業場へ搬送する搬送システムであって、胸肉にX線を照射して小骨の有無を検知するX線照射装置と、胸肉を小骨入り胸肉と小骨無し胸肉とに分別する小骨分別装置と、X線照射装置と小骨分別装置とを経由して胸肉をトリミング作業場へ搬送する搬送装置とを備えることを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
食鳥屠体上半部から剥ぎ取られた胸肉をトリミング作業場へ搬送する搬送システムであって、右胸肉と左胸肉とに分別された胸肉中の右胸肉にX線を照射して小骨の有無を検知する右X線照射装置と、右胸肉を小骨入り右胸肉と小骨無し右胸肉とに分別する右小骨分別装置と、右X線照射装置と右小骨分別装置とを経由して右胸肉を右トリミング作業場へ搬送する右搬送装置と、右胸肉と左胸肉とに分別された胸肉中の左胸肉にX線を照射して小骨の有無を検知する左X線照射装置と、左胸肉を小骨入り左胸肉と小骨無し左胸肉とに分別する左小骨分別装置と、左X線照射装置と左小骨分別装置とを経由して左胸肉を左トリミング作業場へ搬送する左搬送装置と、を備えることを特徴とする搬送システム。
【請求項3】
食鳥屠体上半部から剥ぎ取られた胸肉にX線を照射して小骨の有無を検知し、胸肉を小骨入り胸肉と小骨無し胸肉とに分別し、小骨入り胸肉専門の作業者が小骨入り胸肉から小骨を取り除くと共に当該胸肉をトリミングし、小骨無し胸肉専門の作業者が小骨無し胸肉をトリミングすることを特徴とする食鳥胸肉の処理方法。
【請求項4】
食鳥屠体上半部から剥ぎ取られ且つ右胸肉と左胸肉とに分別された胸肉中の右胸肉にX線を照射して小骨の有無を検知し、右胸肉を小骨入り右胸肉と小骨無し右胸肉とに分別し、小骨入り右胸肉専門の作業者が小骨入り右胸肉から小骨を取り除くと共に当該胸肉をトリミングし、小骨無し右胸肉専門の作業者が小骨無し右胸肉をトリミングし、前記分別された胸肉中の左胸肉にX線を照射して小骨の有無を検知し、左胸肉を小骨入り左胸肉と小骨無し左胸肉とに分別し、小骨入り左胸肉専門の作業者が小骨入り左胸肉から小骨を取り除くと共に当該胸肉をトリミングし、小骨無し左胸肉専門の作業者が小骨無し左胸肉をトリミングすることを特徴とする食鳥胸肉の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食鳥屠体上半部から剥ぎ取られた胸肉をトリミング作業場へ搬送する搬送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
食鳥屠体上半部から胸肉を剥ぎ取る際に烏口骨先端部から延びる薄板状骨片である三角骨が破砕され、小骨となって剥ぎ取られた胸肉に残留する場合がある。従来の搬送システムは、
図1に示すように、胸肉剥取装置Aと胸肉トリミング作業場Bとを結ぶベルトコンベア等の搬送装置Cのみで構成されており、左右の胸肉が混在した状態で且つ小骨入り胸肉100c
1と小骨無し胸肉100c
2とが混在して、トリミング作業場Bへ搬送され、作業者200cによりトリミングされていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、小骨入り胸肉と小骨無し胸肉とが混在してトリミング作業場へ搬送され、トリミング作業者は小骨入り胸肉と小骨無し胸肉の両方を処理していたので、トリミングの作業効率が低下していた。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、食鳥屠体上半部から剥ぎ取られた胸肉をトリミング作業場へ搬送する搬送システムであって、トリミングの作業効率を従来に比べて向上させることができる搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明においては、食鳥屠体上半部から剥ぎ取られた胸肉をトリミング作業場へ搬送する搬送システムであって、胸肉にX線を照射して小骨の有無を検知するX線照射装置と、胸肉を小骨入り胸肉と小骨無し胸肉とに分別する小骨分別装置と、X線照射装置と小骨分別装置とを経由して胸肉をトリミング作業場へ搬送する搬送装置とを備えることを特徴とする搬送システムを提供する。
胸肉にX線を照射して小骨の有無を検知し、胸肉を小骨入り胸肉と小骨無し胸肉とに分別して、トリミング作業場へ搬送することにより、トリミング作業者を小骨入り胸肉専門の作業者と、小骨無し胸肉専門の作業者とに分けることができる。この結果、トリミング作業効率が向上する。
また本発明においては、食鳥屠体上半部から剥ぎ取られた胸肉をトリミング作業場へ搬送する搬送システムであって、右胸肉と左胸肉とに分別された胸肉中の右胸肉にX線を照射して小骨の有無を検知する右X線照射装置と、右胸肉を小骨入り右胸肉と小骨無し右胸肉とに分別する右小骨分別装置と、右X線照射装置と右小骨分別装置とを経由して右胸肉を右トリミング作業場へ搬送する右搬送装置と、右胸肉と左胸肉とに分別された胸肉中の左胸肉にX線を照射して小骨の有無を検知する左X線照射装置と、左胸肉を小骨入り左胸肉と小骨無し左胸肉とに分別する左小骨分別装置と、左X線照射装置と左小骨分別装置とを経由して左胸肉を左トリミング作業場へ搬送する左搬送装置と、を備えることを特徴とする搬送システムを提供する。
胸肉を予め右胸肉と左胸肉とに分別しておき、右胸肉を小骨入り右胸肉と小骨無し右胸肉とに分別し、左胸肉を小骨入り左胸肉と小骨無し左胸肉とに分別して、トリミング作業場へ搬送することにより、トリミング作業者を小骨入り右胸肉専門の作業者と、小骨無し右胸肉専門の作業者と、小骨入り左胸肉専門の作業者と、小骨無し左胸肉専門の作業者とに分けることができる。この結果、トリミング作業効率が更に向上する。
【0005】
本発明においては、食鳥屠体上半部から剥ぎ取られた胸肉にX線を照射して小骨の有無を検知し、胸肉を小骨入り胸肉と小骨無し胸肉とに分別し、小骨入り胸肉専門の作業者が小骨入り胸肉から小骨を取り除くと共に当該胸肉をトリミングし、小骨無し胸肉専門の作業者が小骨無し胸肉をトリミングすることを特徴とする食鳥胸肉の処理方法を提供する。
また本発明においては、食鳥屠体上半部から剥ぎ取られ且つ右胸肉と左胸肉とに分別された胸肉中の右胸肉にX線を照射して小骨の有無を検知し、右胸肉を小骨入り右胸肉と小骨無し右胸肉とに分別し、小骨入り右胸肉専門の作業者が小骨入り右胸肉から小骨を取り除くと共に当該胸肉をトリミングし、小骨無し右胸肉専門の作業者が小骨無し右胸肉をトリミングし、前記分別された胸肉中の左胸肉にX線を照射して小骨の有無を検知し、左胸肉を小骨入り左胸肉と小骨無し左胸肉とに分別し、小骨入り左胸肉専門の作業者が小骨入り左胸肉から小骨を取り除くと共に当該胸肉をトリミングし、小骨無し左胸肉専門の作業者が小骨無し左胸肉をトリミングすることを特徴とする食鳥胸肉の処理方法を提供する。
本発明に係る食鳥胸肉の処理方法は、従来に比べてトリミング作業の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】食鳥屠体上半部から剥ぎ取られた胸肉をトリミング作業場へ搬送する従来の搬送システムの構成図である。
【
図2】本発明の実施例に係る、食鳥屠体上半部から剥ぎ取られた胸肉をトリミング作業場へ搬送する搬送システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施例に係る食鳥屠体上半部から剥ぎ取られた胸肉をトリミング作業場へ搬送する搬送システムを説明する。
図2に示すように、本実施例に係る搬送システム1においては、胸肉剥取装置Aと装置Aに付設された胸肉を右胸肉と左胸肉とに分別する左右分別装置A’とを介して、右胸肉100aが互いに所定間隔を隔てて右ベルトコンベア2aに載置され、左胸肉100bが互いに所定間隔を隔てて左ベルトコンベア2bに載置される。尚、左右分別装置A’を備える胸肉剥取装置Aは、例えば特許第6861459号公報に記載されているように、公知技術である。
【0008】
右ベルトコンベア2aは、右胸肉100aにX線を照射して小骨の有無を検知する右X線照射装置3aを経由し、更に右X線照射装置3aからの出力信号を受けて作動し右胸肉100aを小骨入り右胸肉100a1と小骨無し右胸肉100a2とに分別する右小骨分別装置4aを経由する。
小骨入り右胸肉100a1を搬送する右小骨ベルトコンベア2a’が右ベルトコンベア2aから分岐する。右小骨ベルトコンベア2a’は小骨入り右胸肉100a1を小骨入り右胸肉トリミング作業場B1’へ搬送する。
右小骨分別装置4aを経由した右ベルトコンベア2aは、小骨無し右胸肉100a2を小骨無し右胸肉トリミング作業場B1へ搬送する。
トリミング作業場B1’とB1とは、一本の広幅ベルトコンベアの一方の側部と他方の側部とにより構成されている。前記一方の側部に向き合う小骨入り右胸肉専門の作業者200a1が小骨入り右胸肉100a1から小骨を除去すると共に胸肉100a1をトリミングし、前記他方の側部に向き合う小骨無し右胸肉専門の作業者200a2が小骨無し右胸肉100a2をトリミングする。
【0009】
左ベルトコンベア2bは、左胸肉100bにX線を照射して小骨の有無を検知する左X線照射装置3bを経由し、更に左X線照射装置3bからの出力信号を受けて作動し左胸肉100bを小骨入り左胸肉100b1と小骨無し左胸肉100b2とに分別する左小骨分別装置4bを経由する。
小骨入り左胸肉100b1を搬送する左小骨ベルトコンベア2b’が左ベルトコンベア2bから分岐する。左小骨ベルトコンベア2b’は小骨入り左胸肉100b1を小骨入り左胸肉トリミング作業場B2’へ搬送する。
左小骨分別装置4bを経由した左ベルトコンベア2bは、小骨無し左胸肉100b2を小骨無し左胸肉トリミング作業場B2へ搬送する。
作業場B2’とB2とは、一本の広幅ベルトコンベアの一方の側部と他方の側部とにより形成されている。前記一方の側部に向き合う小骨入り左胸肉専門の作業者200b1が小骨入り左胸肉100b1から小骨を除去すると共に胸肉100b1をトリミングし、前記他方の側部に向き合う小骨無し左胸肉専門の作業者200b2が小骨無し左胸肉100b2をトリミングする。
【0010】
胸肉にX線を照射して小骨の有無を検知し、胸肉を小骨入り胸肉と小骨無し胸肉とに分別して、トリミング作業場へ搬送することにより、トリミング作業者を小骨入り胸肉専門の作業者と、小骨無し胸肉専門の作業者とに分けることができる。この結果、トリミング作業効率が向上する。
胸肉を予め右胸肉と左胸肉とに分別しておき、右胸肉を小骨入り右胸肉と小骨無し右胸肉とに分別し、左胸肉を小骨入り左胸肉と小骨無し左胸肉とに分別して、トリミング作業場へ搬送することにより、トリミング作業者を小骨入り右胸肉専門の作業者と、小骨無し右胸肉専門の作業者と、小骨入り左胸肉専門の作業者と、小骨無し左胸肉専門の作業者とに分けることができる。右胸肉と左胸肉ではトリミングの際のナイフの当て方が異なるので、トリミング作業者を右胸肉専門の作業者と左胸肉専門の作業者に分けることで、トリミング作業効率が更に向上する。
尚、X線照射装置3a、3b、小骨分別装置4a、4bは、専門メーカー(例えば株式会社エー・アンド・デイ、株式会社イシダ、アンリツインフィビス株式会社等)の市販製品を使用すれば良い。小骨分別装置4a、4bは、食鳥解体装置メーカーが内作しても良い。
上記実施例に係る搬送システムから理解される食鳥胸肉の処理方法は、従来に比べでトリミング作業効率を向上させることができる。
【0011】
上記実施例では、予め左右に分別された胸肉を更に小骨入り胸肉と小骨無し胸肉とに分別したが、左右混在した胸肉を小骨入り胸肉と小骨無し胸肉とに分別しても良い。小骨入り胸肉と小骨無し胸肉とが混在した従来の搬送システムに比べて胸肉処理作業の効率が向上する。尚左右分別装置を備えない胸肉剥取装置は例えば特許第3431196号公報に記載されているように公知技術である。
左右分別装置を備える胸肉剥取装置や左右分別装置を備えない胸肉剥取装置は前述の装置に限定されない。同様の機能を奏する装置であれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明は、食鳥屠体上半部から剥ぎ取られた胸肉をトリミング作業場へ搬送する搬送システム及び食鳥胸肉の処理方法に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0013】
1 搬送システム
2a 右ベルトコンベア
2a’ 右小骨ベルトコンベア
2b 左ベルトコンベア
2b’ 左小骨ベルトコンベア
3a 右X線照射装置
3b 左X線照射装置
4a 右小骨分別装置
4b 左小骨分別装置
100a 右胸肉
100a1 小骨入り右胸肉
100a2 胸小骨無し右胸肉
100b 左胸肉
100b1 小骨入り左胸肉
100b2 小骨無し左胸肉
100c1 小骨入り胸肉
100c2 小骨無し胸肉
200a1 小骨入り右胸肉専門の作業者
200a2 小骨無し右胸肉専門の作業者
200b1 小骨入り左胸肉専門の作業者
200b2 小骨無し左胸肉専門の作業者
200c 作業者
A 胸肉剥取装置
A’ 左右分別装置
B1 小骨無し右胸肉トリミング作業場
B1’ 小骨入り右胸肉トリミング作業場
B2 小骨無し左胸肉トリミング作業場
B2’ 小骨入り左胸肉トリミング作業場