(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191580
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】電源ユニット、画像形成装置、電気機器
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20221221BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20221221BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20221221BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
H02M3/28 C
H02M3/28 Y
G03G15/00 680
G03G21/16 161
G03G21/00 398
G03G21/00 386
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099876
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】亀井 正文
【テーマコード(参考)】
2H171
2H270
5H730
【Fターム(参考)】
2H171FA05
2H171GA31
2H171JA15
2H171JA53
2H171KA13
2H171KA22
2H171KA23
2H171MA01
2H171MA11
2H171MA16
2H171MA20
2H171NA08
2H270KA46
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2H270QA23
2H270QA36
2H270QB05
2H270RA03
2H270RA27
2H270RC16
2H270ZD06
5H730AA17
5H730BB23
5H730BB43
5H730CC01
5H730DD04
5H730EE02
5H730EE07
5H730EE59
5H730FD01
5H730FF01
5H730FF19
5H730VV03
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5H730XX02
5H730XX11
5H730XX22
5H730XX50
5H730ZZ05
5H730ZZ11
(57)【要約】
【課題】電気機器から引き抜く際の感電防止を、消費電力を抑えながら実現する電源ユニットを提供する。
【解決手段】電源ユニット145は、商用電源101から供給される交流電圧から直流電圧Voutを生成するAC/DC電源基板100と、AC/DC電源基板100が取り付けられる支板135と、を備える。AC/DC電源基板100は、ダイオードブリッジ109により整流された交流電圧を平滑する平滑コンデンサ110と、平滑コンデンサ110により平滑された電圧から直流電圧Voutを生成するコンバータ30と、AC/DC電源基板100が支板135に取り付けられている場合に平滑コンデンサ110から遮断され、AC/DC電源基板が支板135から取り外される場合に平滑コンデンサ110に接続されて該平滑コンデンサ110を放電させる放電機構20と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源から供給される交流電圧から直流電圧を生成する電源基板と、前記電源基板が取り付けられる取付部材と、を備える電源ユニットであり、
前記電源基板は、
前記交流電圧を整流する整流器と、
前記整流器により整流された前記交流電圧を平滑する平滑コンデンサと、
前記平滑コンデンサにより平滑された電圧から所定の電圧値の前記直流電圧を生成するコンバータと、
前記電源基板が前記取付部材に取り付けられている場合に前記平滑コンデンサから遮断され、前記電源基板が前記取付部材から取り外される場合に前記平滑コンデンサに接続されて該平滑コンデンサを放電させる放電機構と、を備えることを特徴とする、
電源ユニット。
【請求項2】
前記放電機構は、前記平滑コンデンサに接続される放電抵抗と、導電性のスイッチと、を備え、
前記取付部材には絶縁性のスペーサが設けられており、
前記電源基板が前記取付部材に取り付けられている場合に、前記スペーサが前記スイッチを遮断状態にすることで前記放電機構が前記平滑コンデンサから遮断され、
前記電源基板が前記取付部材から取り外される場合に、前記スペーサが前記スイッチを導通状態にすることで前記放電機構が前記平滑コンデンサに接続されることを特徴とする、
請求項1記載の電源ユニット。
【請求項3】
前記電源基板が前記取付部材に取り付けられている場合に、前記スペーサは、前記スイッチを押し込むことで前記スイッチを遮断状態にすることを特徴とする、
請求項2記載の電源ユニット。
【請求項4】
前記取付部材は、前記電源基板の接地を供給する支板であり、
前記電源基板は、開口部が設けられており、
前記スペーサは、前記支板に前記電源基板が取り付けられる場合に前記開口部を介して前記スイッチを押し込む位置に取り付けられることを特徴とする、
請求項2又は3記載の電源ユニット。
【請求項5】
前記スイッチは、前記電源基板の前記平滑コンデンサが実装される面と同じ面に設けられており、
前記スペーサは、前記支板に前記電源基板が取り付けられる場合に、前記平滑コンデンサが実装される前記面の裏面側の面から前記開口部を介して前記スイッチを押し込むことを特徴とする、
請求項4記載の電源ユニット。
【請求項6】
前記取付部材は、前記電源基板を覆うカバーであり、
前記電源基板は、開口部が設けられており、
前記スペーサは、前記カバーが前記電源基板に取り付けられる場合に、前記開口部を介して前記スイッチを押し込む位置に取り付けられることを特徴とする、
請求項2又は3記載の電源ユニット。
【請求項7】
前記スイッチは、前記電源基板の前記平滑コンデンサが実装される面の裏面側の面に設けられており、
前記スペーサは、前記カバーが前記電源基板に取り付けられる場合に、前記平滑コンデンサが実装される面から前記開口部を介して前記スイッチを押し込むことを特徴とする、
請求項6記載の電源ユニット。
【請求項8】
前記放電機構は、前記平滑コンデンサが放電中であることを報知する報知手段を備えることを特徴とする、
請求項1~7のいずれか1項記載の電源ユニット。
【請求項9】
前記報知手段は、前記電源基板が前記取付部材から取り外される場合に前記平滑コンデンサに接続されて発光する発光素子であることを特徴とする、
請求項8記載の電源ユニット。
【請求項10】
前記報知手段は、前記電源基板が前記取付部材から取り外される場合に前記平滑コンデンサに接続されて音を出力する発音素子であることを特徴とする、
請求項8記載の電源ユニット。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項記載の電源ユニットと、
前記電源ユニットから供給される直流電圧により動作してシートに画像を印刷するプリンタと、を備えることを特徴とする、
画像形成装置。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか1項記載の電源ユニットと、
前記電源ユニットから供給される直流電圧により動作する部品と、を備えることを特徴とする、
電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電源から供給された交流電圧を直流電圧に変換する電源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電気機器は、内蔵する制御基板や負荷の駆動に用いられる直流電圧を、商用電源から供給された交流電圧から生成するAC/DC電源装置を搭載する。AC/DC電源装置は、交流フィルタを介して供給された交流電圧をダイオードブリッジで整流し、且つ平滑コンデンサで平滑した後にトランスの二次側に接続されるコンデンサを充電することで、直流電圧を生成する。トランスの二次側には直流電圧の電圧値を検知する回路が設けられている。トランスの二次側の直流電圧の電圧値に基づいて、トランスの一次側に設けられるスイッチング素子の駆動が制御される。これにより、直流電圧の電圧値が所定の電圧値になるように、トランスの一次側の巻線に流れる電流が制御される。
【0003】
AC/DC電源装置では、平滑コンデンサとして180[μF]~330[μF]程度の大容量の電解コンデンサを用いることが多い。このような平滑コンデンサは、放電機構を持たせなければ、交流電圧を遮断した後に、しばらく電荷が残留することになる。
【0004】
画像形成装置などでは、商用電源から供給される交流電圧から装置内部で使用する5[V]、12[V]、24[V]などの直流電圧を生成するAC/DC電源装置を搭載する。AC/DC電源装置の出力は、画像形成装置内に複数配置された制御基板や負荷に供給される。制御基板は、負荷の駆動制御を行う。AC/DC電源装置は、負荷の動作不良や各制御装置間の通信不良等により故障していると判断される場合がある。この場合、サービスマンは、不良原因の調査のためにAC/DC電源装置を含む電源ユニットを画像形成装置から取り外し、目視確認及びテスタ等による導通確認を行う。
【0005】
商用電源から交流電圧が供給されていない状態で電源ユニットの平滑コンデンサに蓄積された電荷が未放電状態である場合、サービスマンが平滑コンデンサに接続された銅箔パターンや他の実装部品の端子に触れて感電する可能性がある。そのため、電源回路として最初から平滑コンデンサに並列に放電抵抗を組み込むことで、商用電源からの交流電圧の遮断後の残留電荷を短時間で放電する構成の電源装置が存在する。しかし、この構成の場合、装置内で使用する電力以外に、常に一定の電力が放電抵抗により消費されることになる。
【0006】
特許文献1には、電源ユニットを所定方向にスライド着脱可能に構成した画像形成装置が開示されている。電源ユニットは、外部電源に電気的に接続されたコンデンサと、コンデンサの両端に戦記的に接続される一対の配線と、コンデンサを放電させる放電機構と、を備える。この電源ユニットは、画像形成装置からスライドして取り外される際に放電機構が機能してコンデンサを放電させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のスライド着脱可能な電源ユニットでは、平滑コンデンサを放電するために、抵抗によって電圧を熱に変換して消費する必要がある。即ち、スライドしながら引き抜く際に平滑コンデンサが放電機構と接触する短時間で放電するためには、抵抗値が小さく且つ瞬時に大電流を流すことが可能な数十ワットクラスの放電抵抗が必要になる。このような放電抵抗は、発熱に注意が必要になる。発熱対策のために放電抵抗の抵抗値を大きめに設定した場合、放電機構による放電時間が十分取れないために、放電効果が十分に得られなくなる。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑み、電気機器から引き抜く際の感電防止を、消費電力を抑えながら実現する電源ユニットを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電源ユニットは、商用電源から供給される交流電圧から直流電圧を生成する電源基板と、前記電源基板が取り付けられる取付部材と、を備える電源ユニットであり、前記電源基板は、前記交流電圧を整流する整流器と、前記整流器により整流された前記交流電圧を平滑する平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサにより平滑された電圧から所定の電圧値の前記直流電圧を生成するコンバータと、前記電源基板が前記取付部材に取り付けられている場合に前記平滑コンデンサから遮断され、前記電源基板が前記取付部材から取り外される場合に前記平滑コンデンサに接続されて該平滑コンデンサを放電させる放電機構と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電気機器から引き抜く際の感電防止を、消費電力を抑えながら実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(a)、(b)は、電源ユニットの構成例示図。
【
図3】(a)、(b)は、電源ユニットを画像形成装置から取り出す方法の説明図。
【
図5】(a)、(b)は、支板に取り付けられたAC/DC電源基板の説明図。
【
図6】(a)~(c)は、スペーサの実装状態の説明図。
【
図7】(a)、(b)は、第2実施形態の電源ユニットの構成例示図。
【
図8】支板から取り外されたAC/DC電源基板の例示図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、本発明を適用した電源ユニット及び電源ユニットを備える電気機器の一例である画像形成装置について説明する。なお、電気機器は画像形成装置に限るものではない。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の電源ユニットの構成例示図である。この電源ユニット145は、電源装置として、カバー144に覆われたAC/DC電源基板100を備える。AC/DC電源基板100は、商用電源101から供給される交流電圧を直流電圧Voutに変換して出力する。
図1(a)は、AC/DC電源基板100の回路構成を示している。
【0015】
AC/DC電源基板100は、商用電源101から供給された交流電圧を交流フィルタ108を介してダイオードブリッジ109へ送る。交流フィルタ108は、Xコンデンサ102、コモンモードチョークコイル103、Xコンデンサ104、及びYコンデンサ105、106により構成される。Yコンデンサ105、106は、商用電源101の基準となるFG(Frame Ground)107に接続されている。なお、交流フィルタ108は、必要に応じて構成部品の数量、構成順序が変更され得る。ダイオードブリッジ109は整流器の一例であり、交流フィルタ108を介して供給された交流電圧を整流する。整流された電流により平滑コンデンサ110が充電される。これにより平滑コンデンサ110の両端から直流電圧が得られる。
【0016】
平滑コンデンサ110の両端から得られる直流電圧は、起動抵抗113を介してコンバータ制御部114に供給される。コンバータ制御部114に供給される直流電圧は、起動抵抗113と抵抗125とにより分圧された電圧である。コンバータ制御部114は、トランス115の一次巻線115aに直列に接続されたスイッチング素子116の開閉を制御する。スイッチング素子116の開閉制御によって、トランス115の一次巻線115aに交流電流が流れる。一次巻線115aに流れる交流電流によって、トランス115の巻線比に応じた電圧が二次巻線115bに発生する。
【0017】
トランス115の二次巻線115b側には、二次側整流ダイオード117と二次側平滑コンデンサ118とが配置されている。二次巻線115bに発生した電圧は、二次側整流ダイオード117で整流され、二次側平滑コンデンサ118で平滑化される。二次側平滑コンデンサ118の両端から直流電圧が得られる。二次側平滑コンデンサ118の両端から得られる直流電圧が、AC/DC電源基板100で生成された直流電圧Voutとして出力される。
【0018】
抵抗119、120、シャントレギュレータ121、及びフォトカプラは、直流電圧Voutを一定の値に安定化させるために設けられる。フォトカプラは、発光ダイオード122aとフォトトランジスタ122bが同一パッケージに入って構成される。抵抗119、120、シャントレギュレータ121、及びフォトカプラは、直流電圧Voutの電圧値を検知する電圧検知部10として機能する。電圧検知部10による直流電圧Voutの電圧値の検知結果は、検知信号としてコンバータ制御部114にフィードバックされる。
【0019】
直流電圧Voutは、抵抗119、120によって分圧され、シャントレギュレータ121のリファレンス端子に入力される。シャントレギュレータ121は、直流電圧Voutの抵抗分圧によって生成された電圧が基準電圧よりも高い場合に発光ダイオード122aに流す電流を増加させ、該電圧が基準電圧よりも低い場合に発光ダイオード122aに流す電流を減少させる。発光ダイオード122aは、流れる電流の大きさに応じた光量で発光し、フォトトランジスタ122bを電気的に絶縁した状態で導通させる。フォトトランジスタ122bのコレクタには、受光した光量に応じた電流が流れる。コンバータ制御部114は、フォトトランジスタ122bのコレクタに流れる電流値に応じて、直流電圧Voutの電圧値を検知する。このようにして、直流電圧Voutの電圧値がフォトカプラを介してコンバータ制御部114にフィードバックされる。
【0020】
コンバータ制御部114は、直流電圧Voutが所定の電圧値に調整されるように、フィードバックされた直流電圧Voutの電圧値に応じてスイッチング素子116のデューティー比を制御する。例えば、コンバータ制御部114は、直流電圧Voutの電圧値が低下した場合、スイッチング素子116の導通時間を長くしてトランス115の一次巻線115aに流れる電流を増加させる。これにより、より多くの電力がトランス115の二次側に供給され、直流電圧Voutの電圧値が上昇する。トランス115、コンバータ制御部114、二次側平滑コンデンサ118、及び電圧検知部10は、コンバータ30を構成する。
【0021】
トランス115の一次巻線115a及び二次巻線115bと同一のコアには補助巻線115cが巻かれている。スイッチング素子116のスイッチングが開始されると、同時に補助巻線115cにも電圧が発生する。この電圧によってダイオード123に電流が流れてコンデンサ124が充電されるため、コンデンサ124の両端から直流電圧が得られる。コンデンサ124の電圧は、コンバータ制御部114の電力供給源となる。コンデンサ124の両端から直流電圧が供給されることで、コンバータ制御部114は、平滑コンデンサ110から起動抵抗113を介して供給されていた電力が遮断される。
【0022】
図1(b)は、AC/DC電源基板100の実装状態の説明図である。AC/DC電源基板100は、カバー144の支板135にビス固定されている。支板135には、AC/DC電源基板100をビス固定するために、板金を切り起こして形成されるビス止め部136、137、138、139、140、141が設けられる。ビス止め部136、137、138、139、140、141には、AC/DC電源基板100のFG107、直流電圧Voutの接地134、平滑コンデンサ110の接地128、接地130、131、132、133がビス固定される。接地130、131、132、133は、AC/DC電源基板100の不図示の接地パターン上で共通になっている。AC/DC電源基板100と支板135とは、絶縁性のスペーサ142、143により所定間隔が保たれている。
【0023】
感電に関しては、人が接触する状況に応じて許容しうる接触電圧が定められている。許容しうる接触電圧は、人体が著しく濡れている状態や金属製の電気設備等に人体が常時触れている状態では25[V]、通常の状態では50[V]と定められている。本実施形態の電源ユニット145は、屋内で使用されるために、許容しうる接触電圧を50[V]とし、放電抵抗111とスイッチ112とにより構成される放電機構20を備える。
【0024】
図2は、電気機器の一例である画像形成装置の外観図である。
図2(a)は画像形成装置211を斜め前から見た斜視図であり、
図2(b)は画像形成装置211を斜め後ろから見た斜視図である。画像形成装置211は、電源ユニット145を内蔵している。電源ユニット145は、画像形成装置211の各部に直流電圧Voutを供給する。画像形成装置211は、電源ユニット145から共有される直流電圧Voutにより動作する。画像形成装置211は、複数の電源ユニット145を備えていてもよい。この場合、各電源ユニット145は、それぞれ所定の電圧値の直流電圧Voutを生成する。
【0025】
画像形成装置211は、部品としてプリンタ部202、原稿走査部203、原稿搬送部204、操作部201、及び表示部210を備える。複数の電源ユニット145を備える場合、例えばプリンタ部202、原稿走査部203、原稿搬送部204、操作部201、及び表示部210のそれぞれに対して一つずつ電源ユニット145が設けられる。各部は、対応する電源ユニット145から供給される直流電圧Voutにより動作する。
【0026】
原稿搬送部204は、画像が印刷された面を上にして原稿が載置される原稿積載トレー205が設けられる。プリンタ部202には印刷物が排出される排紙部206が設けられる。画像形成装置211は、背面にメインスイッチ207が設けられる。画像形成装置211は、電源ケーブル208によりプラグ209を介してコンセント212に接続される。
【0027】
原稿積載トレー205に載置された原稿は、原稿搬送部204により1枚ずつ分離搬送されて、原稿走査部203により画像が読み取られる。読み取られた画像を表す画像データは、原稿走査部203からプリンタ部202へ送信される。プリンタ部202は、原稿走査部203から取得した画像データに基づいてシートに画像を印刷して印刷物を生成する、印刷物は排紙部206へ排出される。複写処理の場合には、このように画像形成装置211が動作する。
【0028】
操作部201及び表示部210は、ユーザインタフェースである。操作部201は、各種キーボタンやタッチパネルである。ユーザは、操作部201により印刷の指示や各種設定を行う。表示部210はディスプレイを備える。表示部210は、印刷設定の画面や画像形成装置211の状態を表す画面を表示する。
【0029】
例えば表示部210には、画像形成装置211が内蔵する電源ユニット145の故障を表すメッセージ(サービスコール)が表示される。この場合、ユーザは、メインスイッチ207をオフに制御し、画像形成装置211がシャットダウンされたことを確認した後にプラグ209をコンセント212から引き抜く。その後、ユーザは、故障した電源ユニット145を画像形成装置211から取り出して、電源ユニット145の故障を確認する。
図3は、電源ユニット145を画像形成装置211から取り出す方法の説明図である。
【0030】
図3(a)は、画像形成装置211の背面カバー301を取り外した状態を表す。
図3(b)は、画像形成装置211から取り出した電源ユニット145を表す。電源ユニット145は、背面カバー301を取り外した後に画像形成装置211から引き抜かれる。電源ユニット145は、カバー144が取り外されることで、AC/DC電源基板100が露出する。これによりAC/DC電源基板100は、ビス固定されている支板135から取り外される。
【0031】
図4は、支板135の説明図である。
図4(a)に示すように、支板135は、AC/DC電源基板100がビス固定されるビス止め部136、137、138、139、140、141が、支板135の周縁に沿って設けられる。スペーサ142、143が固定される位置には、支板135をバーリング加工した加工部分401、402が設けられる。スペーサ142、143は、加工部分401、402への固定時に、スペーサ142、143の固定部分が支板135の底面から突き出ないように構成されている。
【0032】
スペーサ142、143は、それぞれ異なる目的で用いられている。AC/DC電源基板100上にはコモンモードチョークコイル103やトランス115などの比較的重たい部品が実装されている。そのためにAC/DC電源基板100は、振動などの要因でビス固定部を支点として共振を生じ、破損する可能性がある。共振によるAC/DC電源基板100の破損を抑制するために、AC/DC電源基板100の撓みを防止するスペーサ143が用いられる。スペーサ143により、AC/DC電源基板100がビスを用いることなく固定されている。スペーサ142は、平滑コンデンサ110の両電極を接続するように構成された放電機構20(放電抵抗111とスイッチ112)の、スイッチ112側を構成する。
【0033】
図4(b)、
図4(c)は、AC/DC電源基板100へのスペーサ142の取り付け状態を示す。AC/DC電源基板100には、スペーサ142が通る開口部403が設けられる。支板135にAC/DC電源基板100を取り付ける場合、支板135に取り付けられたスペーサ142は、AC/DC電源基板100の開口部403に挿入される。
【0034】
開口部403に挿入されたスペーサ142は、AC/DC電源基板100の表面(部品の実装面)に突出する。本実施形態のスペーサ142は、撓み防止用のスペーサ143のようにAC/DC電源基板100の振動を抑制するものではない。本実施形態では、感電防止のためにスペーサ142がストレス無く開口部403から抜ける必要がある。そのためにスペーサ142は、開口部403を通過する部分の最も太い部分の直径405が開口部403の直径404よりも小さく設定される。例えばスペーサ142の直径405と開口部403の直径404とは以下の関係式を満たすように設計される。
(開口部403の直径404)-(スペーサ142の直径405)>1[mm]
【0035】
図5は、支板135に取り付けられたときのAC/DC電源基板100の説明図である。
図5(a)は、AC/DC電源基板100が支板135に取り付けられたときの状態を示す。
図5(b)は、AC/DC電源基板100が支板135から取り外されたときの状態を示す。
【0036】
図5(a)は、AC/DC電源基板100が画像形成装置211に組み込まれているときの状態である。AC/DC電源基板100は、商用電源101から供給される交流電圧を変換して生成した直流電圧Voutを出力している。AC/DC電源基板100は、片面基板であり、表面に平滑コンデンサ110、放電抵抗111、スイッチ112の構成部品である導電性のバネ部材501、及びジャンパー線504が実装されている。AC/DC電源基板100の基板裏面には、平滑コンデンサ110の正極側の端子に接続された銅箔パターン502と、平滑コンデンサ110の負極側の端子に接続された銅箔パターン503が配線される。
【0037】
バネ部材501が接続する部材は、銅箔パターン503に実装されるジャンパー線504と放電抵抗111である。ジャンパー線504は、バネ部材501の塑性変形を考慮し、AC/DC電源基板100の表面から1[mm]~2[mm]程度浮かせて実装される。スペーサ142によってバネ部材501が押し込まれた状態で保持されることで、スイッチ112がオフ状態(遮断状態)で保持される(
図5(a))。経年変化によりバネの応力が弱まった状態であっても、スペーサ142をAC/DC電源基板100から抜き取ることで、スイッチ112がオン状態(導通状態)になる(
図5(b))。スイッチ112がオン状態(導通状態)になることで、平滑コンデンサ110の残電荷が放電される。
【0038】
図6は、スペーサ142、143の実装状態の説明図である。
図6(a)は、支板135に実装されたスペーサ143にAC/DC電源基板100が取り付ける場合を説明する断面図である。
図6(a)の左側の図は、AC/DC電源基板100を取り付ける過程を示している。AC/DC電源基板100のスペーサ143が取り付けられる開口部403の直径602は、スペーサ143の基板支持部601の幅よりも小さい。そのため、AC/DC電源基板100を矢印603方向に押し込んだ際に、スペーサ143の基板支持部601が圧縮されることで、スペーサ143が開口部403を通り抜ける。開口部403を通り抜けることで、
図6(a)の右図に示す通り、基板支持部601の形状が元に戻り、スペーサ143がAC/DC電源基板100から抜けなくなる。このような構成により、上下方向の振動604が生じても、AC/DC電源基板100の振動は抑制される。
【0039】
図6(b)は、支板135に実装されたスペーサ142にAC/DC電源基板100が取り付けられた状態の断面図である。AC/DC電源基板100のスペーサ142が取り付けられる開口部403の直径404は、スペーサ142の先端部605の最大幅よりも大きい。
【0040】
図6(a)、
図6(b)に示すように、支板135は、加工部分401、402がスペーサ142、143側に突出する。スペーサ142、143は、基板支持部601と同様の形状の係止部610、611を備える。係止部610、611は、加工部分401、402側に突出して支板135に係止される。
【0041】
図6(c)は、スイッチ112の説明図である。スペーサ142は、AC/DC電源基板100が画像形成装置211に組み込まれているときに、バネ部材501を押し込む。これにより平滑コンデンサ110に接続されている銅箔パターン503に実装されたジャンパー線504とバネ部材501とが非接触状態となる。非接触状態になることで、放電抵抗111には電流が流れずに電力が消費されない。
【0042】
AC/DC電源基板100が画像形成装置211から引き抜かれてAC/DC電源基板100が支板135から取り外されると、スペーサ142がAC/DC電源基板100から引き抜かれる。そのためにバネ部材501がジャンパー線504と接触状態になる。これにより、平滑コンデンサ110が放電される。バネ部材501は、固定部606により一端がAC/DC電源基板100に固定されており、AC/DC電源基板100を貫通して、銅箔パターン607に電気的に接続されている。
【0043】
図6(c)のAC/DC電源基板100は、片面基板を例示しているが、AC/DC電源基板100が両面基板であっても同様の構成をとることが可能である。ジャンパー線504の代わりにAC/DC電源基板100を接地する基板固定用のビス頭とバネ部材501を接続してもよい。このような構成では、平滑コンデンサ110の残電荷をAC/DC電源基板100の接地に放電して、同様の効果を得ることができる。
【0044】
AC/DC電源基板100には商用電源101から交流電圧が供給される。そのために、トランス115の一次側の各回路構成部品及び銅箔パターンに対して、安全距離を確保する必要がある。上述したスペーサ142、143に樹脂製の物(絶縁性の物)を用いることで、沿面距離を考慮した基板設計を容易にすることが可能である。
【0045】
本実施形態のAC/DC電源基板100は、100[V](141[V]充電)系の場合、10[kΩ]、2[W]の放電抵抗111を用いることで、約3.5秒で50[V]まで放電可能である。放電時間の短時間化は、放電抵抗111の抵抗値を小さくすることで可能である。しかし、短時間の放電は消費電力の増大につながるため、放電抵抗111の抵抗値は必要に応じて最適値が選択される。放電抵抗111は、短時間で放電することを目的としており、瞬間的に消費電力が大きくなってしまう。そのために放電抵抗111には、放電機構20が機能し始めたときの突入電流及び数百[mA]の電流放電に耐え得る抵抗を選択することが好ましい。例えば、放電抵抗111には、対パルス特性に優れる巻線タイプの抵抗器や、角形巻線抵抗器、角形酸化金属被膜抵抗器などが用いられる。
【0046】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態の電源ユニットの構成例示図である。この電源ユニット145aは、第1実施形態の電源ユニット145の放電機構20の構成(
図1参照)に、発光素子として発光ダイオード701を追加した構成である。発光ダイオード701は、放電抵抗111とスイッチ112との間に設けられて放電機構20aを構成する。他の構成については、電源ユニット145aは、第1実施形態の電源ユニット145の構成と同様である。
【0047】
第2実施形態の電源ユニット145aは、サービスマンに対して、平滑コンデンサ110に電荷が残っていること、即ち残電荷の放電中であることを発光ダイオード701を発光させることで報知する。これにより電源ユニット145aは、サービスマンに対して感電防止を促すことができる。
【0048】
サービスマンは、AC/DC電源基板100aを支板135から取り外す作業を、AC/DC電源基板100の部品面を見ながら行う。サービスマンは、スペーサ142を抜いて、放電機構20aが動作することで残電荷の存在に気が付く。サービスマンは、急速に発光ダイオード701の光量(明るさ)が低下していく状態を確認することで、平滑コンデンサ110の残電荷が放電されたことを認識することができる。第2実施形態では、発光ダイオード701によりサービスマンへの残電荷の報知をより確実に行うことができる。
【0049】
図8は、支板135から取り外されたAC/DC電源基板100aの例示図である。AC/DC電源基板100aは、支板135から取り外されることで放電機構20aのスイッチ112(バネ部材501)が閉じた状態になる。この状態では、
図5(b)と同様の動作となるため説明を省略する。なお、発光素子は、発光ダイオード701に限らず、スイッチ112(バネ部材501)が閉じた状態で発光する素子であればよい。また、発光素子に代えて発音素子を用いて報知を行うようにしてもよい。発音素子は、平滑コンデンサ110が残電荷の放電中であることを、音を出力して報知する。
【0050】
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態の説明図である。第3実施形態の電源ユニットの構成は第1実施形態と同様である(
図1参照)。第1実施形態よりもより感電し難い構成とするために、第3実施形態の電源ユニット145は、平滑コンデンサ110の残電荷の放電が、電源ユニット145のカバー144が取り外された際に行われる。なお、第3実施形態の電源ユニットとして第2実施形態の電源ユニット145aを用いても同様の効果が得られる。
【0051】
図9(a)は、支板135にAC/DC電源基板100を取り付けた状態を示している。
図9(a)では、支板135のバーリング加工した加工部分401、402のそれぞれにスペーサ143が取り付けられる。二つのスペーサ143により、AC/DC電源基板100の撓みを第11実施形態の構成(
図4参照)よりも抑制できるようになっている。
【0052】
AC/DC電源基板100は片面基板であり、表面(第一面)に平滑コンデンサ110及び放電抵抗111などが実装されている。スイッチ112の構成部品であるバネ部材901は、AC/DC電源基板100の裏面側(第二面側)に実装されている。AC/DC電源基板100の裏面には、平滑コンデンサ110の正極側の端子に接続された銅箔パターン502と、平滑コンデンサ110の負極側の端子に接続された銅箔パターン503が設けられる。
【0053】
スイッチ112の構成部品であるバネ部材901が接続する部材は、銅箔パターン503から延設される銅箔パターン904と銅箔パターン902である。銅箔パターン902は、バネ部材901の支点側で放電抵抗111を実装する。AC/DC電源基板100には、バネ部材901の中央付近に、スペーサ142が嵌挿される開口部903が設けられる。
【0054】
図9(b)は、電源ユニット145のカバー144を例示する。
図9(c)は、AC/DC電源基板100実装時のカバー144の断面図を例示する。 カバー144は、切欠部905が内側に折り曲げられており、スペーサ142が嵌挿される開口部906が設けられる。開口部906からAC/DC電源基板100に向けて嵌挿されたスペーサ142は、カバー144の取り付けの際にAC/DC電源基板100の開口部903を介してバネ部材901を押し込む。これにより、カバー144を取り付ける際にスイッチ112がオフ状態(遮断状態)となる。電源ユニット145を分解する際にカバー144を取り外す場合、スイッチ112がオン状態(導通状態)になり、平滑コンデンサ110の残電荷の放電が開始される。
【0055】
以上のような第1~第3実施形態の電源ユニット145、145aは、電源遮断後に画像形成装置211のような電気機器から取り外される。その際に電源ユニット145、145aは、支板135やカバー144などの取付部材から取り外される。電源ユニット145、145aが取付部材から取り外される際に、平滑コンデンサ110に蓄積した電荷を放電抵抗111によって消費、放電可能である。そのためにサービスマンは、AC/DC電源基板100の取り外し作業を、感電することなく従来よりも安全に行うことができる。放電抵抗111は、電源ユニット145、145aが電気機器に取り付けられている間は、電流が流されない。そのために電源ユニット145、145aは、動作時に不必要に電力を消費することはない。
【0056】
このような電源ユニット145、145aを備える画像形成装置のような電気機器は、動作中の放電抵抗111による電力消費を無くすことができる。電源遮断後に電源ユニット145、145aを取り外す際には、平滑コンデンサ110に蓄積された電荷が放電抵抗111によって消費、放電される。そのためにサービスマンは、AC/DC電源基板100の取り外し作業を感電することなく安全に行うことができる。