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特開2022-191587複合材粉砕装置、移動体および複合材粉砕方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191587
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】複合材粉砕装置、移動体および複合材粉砕方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 18/00 20060101AFI20221221BHJP
   B02C 19/00 20060101ALI20221221BHJP
   B02C 19/18 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
B02C18/00 106B
B02C19/00 102Z
B02C19/18 E
B02C19/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099889
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】金升 将征
(72)【発明者】
【氏名】西垣 亮
(72)【発明者】
【氏名】吉山 隆士
(72)【発明者】
【氏名】井上 智晃
(72)【発明者】
【氏名】松本 慎治
(72)【発明者】
【氏名】平田 武彦
(72)【発明者】
【氏名】湯下 篤
【テーマコード(参考)】
4D065
4D067
【Fターム(参考)】
4D065CA12
4D065CB01
4D065CC01
4D065CC08
4D065DD05
4D065EA05
4D065EB11
4D065EB14
4D065EB20
4D065ED02
4D065ED18
4D065ED31
4D065EE02
4D065EE15
4D065EE18
4D067CG08
4D067CG09
4D067EE04
4D067EE32
4D067EE39
4D067EE50
4D067GA11
4D067GA16
4D067GA20
4D067GB07
(57)【要約】
【課題】コストを増大させることなく長尺状の複合材を十分に減容することが可能な複合材粉砕装置、移動体および複合材粉砕方法を提供する。
【解決手段】繊維基材を含む樹脂材料により形成される長尺状の複合材200を小片に切断する切断部20と、切断部20により切断された小片201を搬送する搬送部10と、搬送部10により搬送された小片201を粉砕する粉砕部30と、を備える複合材粉砕装置100を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維基材を含む樹脂材料により形成される長尺状の複合材を小片に分割する分割部と、
前記分割部により分割された前記小片を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送された前記小片を粉砕する粉砕部と、を備える複合材粉砕装置。
【請求項2】
前記分割部は、前記複合材を切断部材により切断することにより前記複合材を分割する請求項1に記載の複合材粉砕装置。
【請求項3】
前記分割部は、前記複合材を爆薬により爆破することにより前記複合材を分割する請求項1に記載の複合材粉砕装置。
【請求項4】
前記分割部よりも前記複合材の搬送方向の下流側に配置されるとともに前記分割部により分割された前記小片を部分的に破壊する破壊部を備え、
前記搬送部は、前記分割部に図より分割された前記小片を前記破壊部へ搬送するとともに前記破壊部により破壊された前記小片を前記粉砕部へ搬送する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の複合材粉砕装置。
【請求項5】
前記分割部により分割される前記複合材を加熱して前記樹脂材料を軟化させる加熱部を備える請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の複合材粉砕装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の複合材粉砕装置と、
前記複合材粉砕装置が設置される筐体と、
前記筐体を移動させる推力を発生する推力発生部と、を備える移動体。
【請求項7】
繊維基材を含む樹脂材料により形成される長尺状の複合材を小片に分割する分割工程と、
前記分割工程により分割された前記小片を搬送する搬送工程と、
前記搬送工程により搬送された前記小片を粉砕する粉砕工程と、を備える複合材粉砕方法。
【請求項8】
前記分割工程は、前記複合材を切断部材により切断することにより前記複合材を分割する請求項7に記載の複合材粉砕方法。
【請求項9】
前記分割工程は、前記複合材を爆薬により爆破することにより前記複合材を分割する請求項7に記載の複合材粉砕方法。
【請求項10】
前記分割工程により分割された前記小片を部分的に破壊する破壊工程を備え、
前記搬送工程は、前記分割工程により分割された前記小片を搬送する第1搬送工程と、前記破壊工程により破壊された前記小片を搬送する第2搬送工程と、を有する請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の複合材粉砕方法。
【請求項11】
前記分割工程により分割される前記複合材を加熱して前記樹脂材料を軟化させる加熱工程を備える請求項7から請求項10のいずれか一項に記載の複合材粉砕方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合材粉砕装置、移動体および複合材粉砕方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、FRP(繊維強化プラスチック)廃船等の長尺状の複合材を解体する際に、パワーショベル等の建設機械でせん断することや、ワイヤーソー切断装置等により切断することが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、主枠に固定された被切断物を、所定の張力により付勢されたワイヤーソーにより切断することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5720037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように、ワイヤーソーにより長手方向の所定の位置で切断するだけでは、切断された後の複合材のサイズが比較的大きく、長尺状の複合材を十分に減容することができない。また、複合材を切断した後に減容するためには、複合材を更に小さくするための粉砕装置等に運搬する必要があり、複合材を運搬する際のコストが増大してしまう。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、コストを増大させることなく長尺状の複合材を十分に減容することが可能な複合材粉砕装置、移動体および複合材粉砕方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る複合材粉砕装置は、繊維基材を含む樹脂材料により形成される長尺状の複合材を小片に分割する分割部と、前記分割部により分割された前記小片を搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送された前記小片を粉砕する粉砕部と、を備える。
【0007】
本開示に係る複合材切断方法は、繊維基材を含む樹脂材料により形成される長尺状の複合材を小片に分割する分割工程と、前記分割工程により分割された前記小片を搬送する搬送工程と、前記搬送工程により搬送された前記小片を粉砕する粉砕工程と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、長尺状の複合材を十分に減容することが可能な複合材粉砕装置、移動体および複合材粉砕方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1実施形態に係る複合材粉砕装置を備える移動体を示す部分断面図であり、複合材を切断する前の状態を示す。
図2】本開示の第1実施形態に係る複合材粉砕装置を備える移動体を示す部分断面図であり、複合材を粉砕する前の状態を示す。
図3図1に示す複合材粉砕装置を上方からみた平面図である。
図4図2に示す複合材粉砕装置を上方からみた平面図である。
図5】本開示の第1実施形態の複合材切断方法を示すフローチャートである。
図6】本開示の第2実施形態に係る複合材粉砕装置を備える移動体を示す部分断面図である。
図7図6に示す複合材粉砕装置を上方からみた平面図である。
図8】本開示の第2実施形態の変形例を示す平面図である。
図9】本開示の第2実施形態の変形例を示す平面図である。
図10】本開示の第2実施形態の変形例を示す平面図である。
図11】本開示の第3実施形態の第1実施例に係る複合材粉砕装置の破壊部を上方からみた平面図である。
図12】本開示の第3実施形態の第2実施例に係る複合材粉砕装置の破壊部を上方からみた平面図である。
図13図12の破壊部を示すA-A矢視断面図である。
図14】破壊部の変形例を示す断面図である。
図15】本開示の第4実施形態に係る複合材粉砕装置を上方からみた平面図である。
図16】本開示の第5実施形態に係る複合材粉砕装置を備える移動体を示す部分断面図である。
図17】本開示の第6実施形態に係る複合材粉砕装置を備える移動体を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第1実施形態〕
以下に、本開示の第1実施形態に係る複合材粉砕装置100について、図面を参照して説明する。図1および図2は、本開示の第1実施形態に係る複合材粉砕装置100を備える船舶(移動体)1を示す部分断面図である。図1は複合材200を切断する前の状態を示し、図2は複合材200を粉砕する前の状態を示す。図3は、図1に示す複合材粉砕装置100を上方からみた平面図である。図4は、図2に示す複合材粉砕装置100を上方からみた平面図である。
【0011】
本実施形態の複合材粉砕装置100は、長尺状の複合材200を切断する装置である。長尺状の複合材200は、航空機の主翼や再生可能エネルギー発電、例えば、風車や潮流発電装置で用いられる翼型の部材である。複合材200は、繊維基材を含む樹脂材料により形成されている。繊維基材は、例えば、炭素繊維,ガラス繊維等の強化繊維材料により形成されるシートを複数層に渡って積層した部材である。また、繊維基材は、樹脂材料が予め含浸されたプリプレグや部分的に含浸したプリプレグでも良く、プリプレグと強化繊維材料の組み合わせでも良い。
【0012】
樹脂材料は、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、フェノール、シアネートエステル、ポリイミド等の熱硬化性樹脂材料、またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ナイロン6(PA6)、ナイロン66(PA66)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)等の熱可塑性樹脂である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の船舶1は、複合材粉砕装置100と、複合材粉砕装置100が設置される筐体2と、筐体2を移動させる推力を発生する内燃機関(推力発生部)3と、を備える。内燃機関3は、スクリュー3aを回転させることにより、筐体2を移動させる推力を得る。
【0014】
図1に示すように、複合材粉砕装置100は、搬送部10と、切断部(分割部)20と、粉砕部30と、搬送ガイド40と、回収部50と、を備える。
【0015】
搬送部10は、複合材200を搬送する装置である。図1に示すように、搬送部10は、複数のローラ11と、複数のローラ11に掛け回されたベルト12とを有する。搬送部10は、複数のローラ11からベルト12に駆動力を伝達し、複合材200を搬送方向TDに沿って切断部20へ向けて搬送する。また、搬送部10は、切断部20により切断された複合材200の小片を粉砕部30へ向けて搬送する。なお、搬送部10は、ベルト12を備えずローラ11のみで複合材200を搬送するものとしてもよい。
【0016】
切断部20は、複合材200を小片(例えば、幅方向WDの長さが100mm以下)に切断(分割)する装置である。図3および図4に示すように、切断部20は、搬送方向に沿って延びる複数の切断部材21を有する。切断部材21は、搬送方向TDに直交する幅方向WDに沿って間隔を空けて配置されている。切断部材21は、例えば、軸回りに回転する円形の丸鋸や、軸回りに回転する帯状の帯鋸や、回転するように掛け回されたワイヤーである。切断部20として、ウォータージェット切断装置やレーザ切断装置を採用してもよい。
【0017】
切断部20は、搬送方向TDの所定位置において筐体2に固定されている。搬送部10により搬送方向TDに沿って搬送される複合材200は、搬送方向TDの所定位置に固定された切断部20を通過する際に、切断部材21により搬送方向TDに沿って幅方向WDの複数箇所で切断される。このように、切断部20は、複合材200を複数の切断部材21により切断することにより複合材200を複数の小片201に分割する。
【0018】
粉砕部30は、搬送部10により搬送された小片201を粉砕する装置である。図1および図2に示すように、粉砕部30は、互いに逆方向に回転する一対の把持ローラ31と、互いに逆方向に回転する一対の粉砕ローラ32と、を有する。一対の把持ローラ31は、搬送部10により搬送ガイド40を介して搬送される複合材200の小片201を把持しながら回転し、小片201を一対の粉砕ローラ32に押し込むローラである。
【0019】
一対の粉砕ローラ32は、一対の把持ローラ31により押し込まれた複合材200の小片201を粉砕する装置である。一対の粉砕ローラ32は、外周面に複数の爪部(図示略)が設けられており、複数の爪部により押し潰すことにより、複合材200の小片201を粉砕する。一対の粉砕ローラ32により粉砕された小片201は、例えば、平均値が50mm角以下のサイズとなるように粉砕される。
【0020】
搬送ガイド40は、切断部20により切断された複合材200の小片201を搬送部10から粉砕部30に導く筐体である。図1および図2に示すように、搬送ガイド40は、搬送方向TDに沿って水平に搬送される複合材200の小片201を、鉛直方向VDに沿って延びる回収部50に導くように断面視が円弧形状に形成されている。搬送ガイド40は、水平に搬送される複合材200を鉛直方向VDに沿って下方に導く。
【0021】
回収部50は、筐体2の内部に配置されるとともに鉛直方向に沿って筒状に形成されている。回収部50は、粉砕部30により粉砕された複合材200の小片201を回収する装置である。
【0022】
ここで、本実施形態の複合材粉砕装置100を用いて複合材200を粉砕する複合材粉砕方法について図面を参照して説明する。図5は、本実施形態の複合材粉砕方法を示すフローチャートである。
【0023】
ステップS101(設置工程)で、切断部20よりも搬送方向TDの上流側において、複合材200を搬送部10に設置する。複合材200は、例えば、クレーン(図示略)により吊り下げられた状態で搬送部10に運搬され、搬送部10に設置される。
【0024】
ステップS102(上流側搬送工程)で、切断部20よりも搬送方向TDの上流側において、搬送部10に設置された複合材200を切断部20に向けて搬送する。
【0025】
ステップS103(切断工程)で、切断部20により、複合材200を小片201に切断する。切断部20は、複合材200を切断部材21で切断することにより複合材200を複数の小片201に分割する。
【0026】
ステップS104(下流側搬送工程)で、切断部20よりも搬送方向TDの下流側において、搬送部10に設置された複合材200の小片201を粉砕部30に向けて搬送する。図4に示すように、搬送部10により搬送される小片201は、搬送ガイド40により案内され、粉砕部30の一対の把持ローラ31に導かれる。
【0027】
ステップS105(粉砕工程)で、ステップS104により搬送された複合材200の小片201を粉砕する。粉砕部30は、一対の把持ローラ31により押し込まれた複合材200の小片201を一対の粉砕ローラ32により粉砕する。一対の粉砕ローラ32により粉砕された小片201は、回収部50で回収される。
【0028】
以上説明した本実施形態の複合材粉砕装置100によれば、長尺状の複合材200は、切断部20により小片201に分割される。切断部20により切断された複合材200の小片201は、搬送部10により粉砕部30に搬送され、粉砕部30により粉砕される。小片201に切断された複合材200を粉砕部30に搬送して粉砕することができるため、コストを増大させることなく長尺状の複合材200を十分に減容することができる。
【0029】
また、本実施形態の複合材粉砕装置100は、切断部20により切断される前の複合材200と、切断部20により切断された後の複合材200の小片201の双方が、搬送部10により搬送される。したがって、搬送部10に設置された複合材200を切断部20により小片201に切断する処理と、切断部20により切断された小片201を粉砕部30で粉砕する処理との双方を、作業者が介在することなく自動的かつ連続的に実行することができる。
【0030】
また、本実施形態の複合材粉砕装置100は、筐体2を移動させる推力を発生する内燃機関3を備える船舶1に設置されている。そのため、粉砕すべき長尺状の複合材200を複合材粉砕装置100が設置されている場所まで運搬することなく複合材200が配置されている場所に複合材粉砕装置100を移動させることができる。そのため、複合材200を複合材粉砕装置100が設置される場所まで運搬するコストを低減することができる。
【0031】
〔第2実施形態〕
次に、本開示の第2実施形態に係る複合材粉砕装置100Aについて、図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0032】
第1実施形態の複合材粉砕装置100は、切断部20が幅方向WDの複数箇所に設置された切断部材21により複合材200を搬送方向TDに沿って切断するものであった。それに対して、本実施形態の複合材粉砕装置100Aは、切断部材21Aを幅方向WDに沿って移動させることにより複合材200を幅方向WDに沿って切断するものである。
【0033】
図6は、本開示の第2実施形態に係る複合材粉砕装置100Aを備える船舶1を示す部分断面図である。図7は、図6に示す複合材粉砕装置100Aを上方からみた平面図である。図6および図7に示すように、複合材粉砕装置100Aは、搬送方向TDの所定位置において筐体2に固定された切断部20Aを備える。
【0034】
切断部20Aは、複合材200を小片(例えば、搬送方向TDの長さが5m以下)に切断(分割)する装置である。図7に示すように、切断部20Aは、幅方向WDに沿って延びる複数の切断部材21Aを有する。切断部材21Aは、幅方向WDに沿って移動するように構成されている。切断部材21Aは、例えば、軸回りに回転する円形の丸鋸や、軸回りに回転する帯状の帯鋸である。
【0035】
切断部20Aは、搬送方向TDの所定位置において筐体2に固定されている。搬送部10により搬送方向TDに沿って搬送される複合材200は、搬送方向TDの所定位置に固定された切断部20を通過する際に、切断部材21Aにより幅方向WDに沿って搬送方向TDの複数箇所で切断される。このように、切断部20Aは、複合材200の搬送方向TDの複数箇所を切断部材21Aにより切断することにより複合材200を複数の小片201に分割する。
【0036】
なお、切断部20Aが搬送方向TDの所定位置において筐体2に固定されているため、切断部材21Aにより複合材200を切断する際には、搬送部10による複合材200の搬送方向TDへの移動を一時的に停止させるのが望ましい。
【0037】
また、切断部20Aを搬送方向TDに沿って移動させる移動機構(図示略)を設けるようにしてもよい。この場合、切断部20Aを複合材200と同一の速度で搬送方向TDに沿って移動させれば、切断部20Aで複合材200を切断する際に搬送部10による複合材200の搬送方向TDへの移動を一時的に停止させる必要はない。すなわち、複合材200を搬送部10により移動させながら、複合材200を切断部20Aで切断するようにしてもよい。
【0038】
また、本実施形態においては、切断部20Aの搬送方向TDの下流側かつ、粉砕部30の搬送方向TDの上流側において、搬送部10により搬送される複合材200の小片201の向きを転向させる転向機構60を設ける変形例としてもよい。図8から図10は、本開示の第2実施形態の変形例を示す平面図である。
【0039】
図8から図10に示すように、本実施形態の変形例の転向機構60は、第1回転バー61と、第1回転バー61よりも搬送方向TDの下流側に配置される第2回転バー62と、を有する。第1回転バー61と第2回転バー62は、搬送方向TDの所定位置において筐体2に固定されている。第1回転バー61および第2回転バー62は、ベルト12の上方に水平方向に延びるように設置される部材である。第1回転バー61および第2回転バー62が延びる方向は、搬送方向TDに対して予め定められた角度に固定されている。
【0040】
図8から図10に示すように、幅方向WDにおいて、第2回転バー62の先端部62aの位置は、第1回転バー61の先端部61aの位置よりもベルト12の幅方向WDの中央部に近接した位置となっている。すなわち、第2回転バー62の先端部62aの位置は、第1回転バー61の先端部61aの位置よりもベルト12の幅方向WDの中央部に向けて突出している。
【0041】
図8から図10は、搬送方向TDの上流側から搬送部10により搬送される複合材200の小片201の向きの時系列の変化を示している。図8に示すように、小片201は、まず初めに第1回転バー61の先端部61aに接触し、ベルト12の上で時計回りに回転し、図9に示す状態となる。
【0042】
図9に示す状態となった後、小片201は、第2回転バー62の先端部62aに接触し、ベルト12の上で時計回りに回転し、図10に示す状態となる。以上のように、小片201を搬送部10により搬送しながら第1回転バー61および第2回転バー62に接触させることにより、小片201の搬送方向TDに対する向きを略90度転向させることができる。
【0043】
転向機構60により小片201の搬送方向TDに対する向きを略90度転向させることにより、小片201の幅方向WDの長さを短くすることができる。これにより、小片201をベルト12の幅方向WDの中央部に確実に配置し、粉砕部30における粉砕効率を向上させることができる。また、例えば、粉砕部30が粉砕可能な幅方向WDの領域が予め定められている場合には、粉砕部30が粉砕可能な幅方向WDの領域に小片201を確実に搬送することができる。
【0044】
以上の説明において、第1回転バー61および第2回転バー62は、搬送方向TDに対して予め定められた角度に固定されているものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、第1回転バー61および第2回転バー62を反時計回りに回転させるようにしてもよい。この場合、1つの回転バーにより小片201を回転させることができる角度を増加させることができる。また、回転バーの本数は、2本に限られず1本以上の任意の本数とすることができる。
【0045】
〔第3実施形態〕
次に、本開示の第3実施形態に係る複合材粉砕装置について、図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態および第2実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態および第2実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0046】
本実施形態の複合材粉砕装置は、切断部20により切断された複合材200を粉砕部30に供給する前に部分的に破壊する破壊部70を備えるものである。図11は、本開示の第3実施形態の第1実施例に係る複合材粉砕装置の破壊部70を上方からみた平面図である。図12は、本開示の第3実施形態の第2実施例に係る複合材粉砕装置の破壊部70を上方からみた平面図である。図13は、図12の破壊部70を示すA-A矢視断面図である。
【0047】
図11および図12に示す破壊部70は同一の構造である。図11に示す破壊部70は、第1実施形態の切断部20の下流側かつ粉砕部30の上流側に配置される。図11に示す搬送部10は、切断部20により切断された小片201を破壊部70へ搬送する。また、図11に示す搬送部10は、破壊部70により破壊された小片201を粉砕部30へ搬送する。
【0048】
図12に示す破壊部70は、第2実施形態の切断部20Aの下流側かつ粉砕部30の上流側に配置される。図12に示す搬送部10は、切断部20Aにより切断された小片201を破壊部70へ搬送する。また、図12に示す搬送部10は、破壊部70により破壊された小片201を粉砕部30へ搬送する。
【0049】
図13に示すように、破壊部70は、例えば、水流により複合材200の小片201を部分的に破壊するウォータージェット噴射装置である。図13に示す破壊部70は、幅方向WDに沿って移動可能な第1噴射部71と、鉛直方向VDに沿って移動可能な第2噴射部72の双方を備える。第1噴射部71および第2噴射部72は、搬送部10を覆うように配置される門型の筐体73に取り付けられている。
【0050】
第1噴射部71は、幅方向WDの任意の位置で鉛直方向VDの上方から下方に向けて水流W1を噴射することにより小片201を部分的に破壊する。第1噴射部71は、例えば、小片201を鉛直方向VDに沿って貫通する貫通穴を小片201に形成する。
【0051】
第2噴射部72は、幅方向WDの任意の位置で幅方向WDに沿って水流W2を噴射することにより小片201を部分的に破壊する。第2噴射部72は、例えば、小片201を幅方向WDに沿って貫通する貫通穴を小片201に形成する。なお、破壊部70は、第1噴射部71または第2噴射部72のいずれか一方のみを有するものであってもよい。
【0052】
本実施形態の破壊部70は、図14に示す変形例の破壊部70Aとしてもよい。図14に示すように変形例の破壊部70Aは、水流Wを噴射する噴射部71Aと、搬送部10を覆うように配置されるアーチ型の筐体73Aと、を有する。噴射部71Aは、筐体73Aに取り付けられている。
【0053】
変形例の破壊部70Aの噴射部71Aは、筐体73Aの内周面に沿って移動可能となっている。図14に示すように、噴射部71Aは、幅方向WDの任意の位置から水流Wを噴射し、小片201に貫通穴を形成する。
【0054】
本実施形態の複合材粉砕方法では、第1実施形態のステップS103(切断工程)とステップS105(粉砕工程)との間に、破壊部70,70Aにより小片201を部分的に破壊する破壊工程を実行する。本実施形態の複合材粉砕方法では、ステップS103(切断工程)により切断された小片201を切断部20,20Aから破壊部70,70Aまで搬送する第1搬送工程と、破壊工程により部分的に破壊された小片201を破壊部70,70Aから粉砕部30まで搬送する第2搬送工程とを実行する。
【0055】
本実施形態の複合材粉砕装置によれば、切断部20,20Aにより切断された小片201が破壊部70,70Aにより部分的に破壊されるため、粉砕部30による小片201の粉砕効率を高め、複合材200をより確実に減容することができる。
【0056】
以上の説明において、破壊部70,70Aは、ウォータージェット噴射装置であるものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、小片201を圧力により破壊するプレス機を破壊部70,70Aとして用いても良い。また、小片201を掴んで破壊するクラッシャーを備える装置を用いてもよい。
【0057】
〔第4実施形態〕
次に、本開示の第4実施形態に係る複合材粉砕装置100Bについて、図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態および第2実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態および第2実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0058】
第1実施形態の複合材粉砕装置100は、複合材200を切断部20により切断することにより複合材200を小片201に切断するものであった。それに対して、本実施形態の複合材粉砕装置100Bは、爆破部80により複合材200を爆薬で爆破して複合材200を分割するものである。
【0059】
図15は、本開示の第4実施形態に係る複合材粉砕装置100Bを上方からみた平面図である。図15に示すように、本実施形態の複合材粉砕装置100Bは、搬送部10の搬送方向TDの上流側に爆破部(分割部)80が配置されている。爆破部80は、内部に爆薬Bが設置された複合材200を収容する筐体81を有する。
【0060】
筐体81には、爆薬Bを発火させる発火機構(図示略)が設けられている。爆破部80は、爆薬Bを発火させることにより、複合材200を複数の小片201に分割する。筐体81は、爆薬Bが発火したことによる衝撃を外部へ伝えないように保護するものである。
【0061】
爆破部80により複合材200から分割された小片201は、搬送部10により、爆破部80から粉砕部30へ搬送される。粉砕部30は、搬送部10から搬送された小片201を粉砕し、回収部50へ供給する。
本実施形態の複合材粉砕装置100Bによれば、爆薬Bにより長尺状の複合材200を爆破して分割し、粉砕部30により粉砕される小片を得ることができる。
【0062】
〔第5実施形態〕
次に、本開示の第5実施形態に係る複合材粉砕装置100Cについて、図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。本実施形態の複合材粉砕装置100Cは、切断部20により切断される複合材200を加熱する加熱部90を備えるものである。
【0063】
図16に示すように、加熱部90は、搬送部10を覆うように配置される筐体91と、筐体91の内部に設置されるヒータ92と、を有する。ヒータ92は、搬送部10のベルト12に設置される複合材200に含まれる樹脂材料を軟化点以上に加熱する装置である。ヒータ92は、複合材200に含まれる樹脂材料を軟化点以上に加熱することにより、樹脂材料を軟化させる。
【0064】
ヒータ92は、電力により発熱するとすることができるが、他の態様であってもよい。例えば、内燃機関3から排熱を回収してヒータ92の熱源とするようにしてもよい。また、回収部50により回収された複合材200の破片を焼却する焼却炉を設け、焼却炉で発生する熱を回収してヒータ92の熱源とするようにしてもよい。また、ヒータ92の熱源としては、他の任意の熱源を用いても良い。
【0065】
本実施形態の複合材粉砕装置100Cによれば、加熱部90により加熱されて樹脂材料が軟化した状態の複合材200が切断部20により切断されるため、切断部20による複合材200の切断に必要な負荷を低減し、複合材200を確実に小片201に切断することができる。
【0066】
〔第6実施形態〕
次に、本開示の第6実施形態に係る複合材粉砕装置100Dについて、図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0067】
第1実施形態の複合材粉砕装置100は、搬送ガイド40により複合材200の小片201を鉛直方向VDに沿って下方に導き、回収部50の上方に設置される粉砕部30により小片201を粉砕するものであった。それに対して、本実施形態の複合材粉砕装置100Dは、粉砕部30Dを搬送部10の搬送方向TDの延長線上に配置したものである。
【0068】
図17に示すように、本実施形態の複合材粉砕装置100Dは、粉砕部30Dを備える。粉砕部30Dは、搬送部10により搬送された小片201を粉砕する装置である。粉砕部30Dは、互いに逆方向に回転する一対の把持ローラ31Dと、互いに逆方向に回転する一対の粉砕ローラ32Dと、を有する。一対の把持ローラ31Dは、搬送部10により搬送される複合材200の小片201を把持しながら回転し、小片201を一対の粉砕ローラ32Dに押し込むローラである。
【0069】
一対の粉砕ローラ32Dは、一対の把持ローラ31Dにより押し込まれた複合材200の小片201を粉砕する装置である。一対の粉砕ローラ32Dは、外周面に複数の爪部(図示略)が設けられており、複数の爪部により押し潰すことにより、複合材200の小片201を粉砕する。粉砕部30Dにより粉砕された複合材200の小片201は、回収部50Dに回収される。
【0070】
本実施形態の複合材粉砕装置100Dによれば、粉砕部30Dを搬送部10の搬送方向TDの延長線上に配置したので、搬送部10による搬送方向TDを変えずに複合材200の小片201を粉砕部30Dに搬送し、粉砕部30Dにより粉砕することができる。
【0071】
以上説明した本実施形態に記載の複合材粉砕装置は、例えば以下のように把握される。
本開示に係る複合材粉砕装置(100)は、繊維基材を含む樹脂材料により形成される長尺状の複合材(200)を小片に分割する分割部(20)と、前記分割部により分割された前記小片を搬送する搬送部(10)と、前記搬送部により搬送された前記小片を粉砕する粉砕部(30)と、を備える。
【0072】
本開示に係る複合材粉砕装置によれば、長尺状の複合材は、分割部により小片に分割される。分割部により分割された複合材の小片は、搬送部により粉砕部に搬送され、粉砕部により粉砕される。小片に分割された複合材を粉砕部に搬送して粉砕することができるため、コストを増大させることなく長尺状の複合材を十分に減容することができる。
【0073】
本開示に係る複合材粉砕装置において、前記分割部は、前記複合材を切断部材(21)により切断することにより前記複合材を分割する構成としてもよい。
本構成の複合材粉砕装置によれば、切断部材により長尺状の複合材を分割し、粉砕部により粉砕される小片とすることができる。
【0074】
本開示に係る複合材粉砕装置において、前記分割部は、前記複合材を爆薬により爆破することにより前記複合材を分割する構成としてもよい。
本構成の複合材粉砕装置によれば、爆薬により長尺状の複合材を爆破して分割し、粉砕部により粉砕される小片を得ることができる。
【0075】
本開示に係る複合材粉砕装置においては、前記分割部よりも前記搬送方向の下流側に配置されるとともに前記分割部により分割された前記小片を部分的に破壊する破壊部(70)を備え、前記搬送部は、前記分割部により分割された前記小片を前記破壊部へ搬送するとともに前記破壊部により破壊された前記小片を前記粉砕部へ搬送する構成としてもよい。
本構成の複合材粉砕装置によれば、分割部により分割された小片が破壊部により部分的に破壊されるため、粉砕部による小片の粉砕効率を高め、複合材をより確実に減容することができる。
【0076】
本開示に係る複合材粉砕装置においては、前記分割部により分割される前記複合材を加熱して前記樹脂材料を軟化させる加熱部(90)を備える構成としてもよい。
本構成の複合材粉砕装置によれば、加熱部により加熱されて樹脂材料が軟化した状態の複合材が分割部により分割されるため、分割部による複合材の分割に必要な負荷を低減し、複合材を確実に小片に分割することができる。
【0077】
以上説明した本実施形態に記載の移動体は、例えば以下のように把握される。
本開示に係る移動体(1)は、上記のいずれかに記載の複合材粉砕装置と、前記複合材粉砕装置が設置される筐体(2)と、前記筐体を移動させる推力を発生する推力発生部(3)と、を備える。
本開示の移動体によれば、粉砕すべき長尺状の複合材を複合材粉砕装置が設置されている場所まで運搬することなく複合材が配置されている場所に複合材粉砕装置を移動させることができる。そのため、複合材を複合材粉砕装置が設置される場所まで運搬するコストを低減することができる。
【0078】
以上説明した本実施形態に記載の複合材粉砕方法は、例えば以下のように把握される。
本開示に係る複合材粉砕方法は、繊維基材を含む樹脂材料により形成される長尺状の複合材を小片に分割する分割工程(S103)と、前記分割工程により分割された前記小片を搬送する搬送工程(S104)と、前記搬送工程により搬送された前記小片を粉砕する粉砕工程(S105)と、を備える。
【0079】
本開示に係る複合材粉砕方法によれば、長尺状の複合材は、分割部により小片に分割される。分割工程により分割された複合材の小片は、搬送工程により粉砕部に搬送され、粉砕工程により粉砕される。小片に分割された複合材を粉砕工程で粉砕することがでるため、コストを増大させることなく長尺状の複合材を十分に減容することができる。
【0080】
本開示に係る複合材粉砕方法において、前記分割工程は、前記複合材を切断部材(21)により切断することにより前記複合材を分割する構成としてもよい。
本構成の複合材粉砕方法によれば、切断部材により長尺状の複合材を分割し、粉砕工程により粉砕される小片とすることができる。
【0081】
本開示に係る複合材粉砕方法において、前記分割工程は、前記複合材を爆薬により爆破することにより前記複合材を分割する構成としてもよい。
本構成の複合材粉砕方法によれば、爆薬により長尺状の複合材を爆破して分割し、粉砕工程により粉砕される小片とすることができる。
【0082】
本開示に係る複合材粉砕方法においては、前記分割工程により分割された前記小片を部分的に破壊する破壊工程を備え、前記搬送工程は、前記分割工程により分割された前記小片を搬送する第1搬送工程と、前記破壊工程により破壊された前記小片を搬送する第2搬送工程と、を有する構成としてもよい。
本構成の複合材粉砕方法によれば、分割工程により分割された小片が破壊工程により部分的に破壊されるため、粉砕工程による小片の粉砕効率を高め、複合材をより確実に減容することができる。
【0083】
本開示に係る複合材粉砕方法においては、前記分割工程により分割される前記複合材を加熱して前記樹脂材料を軟化させる加熱工程を備える構成としてもよい。
本構成の複合材粉砕方法によれば、加熱工程により加熱されて樹脂材料が軟化した状態の複合材が分割工程により分割されるため、分割工程による複合材の分割に必要な負荷を低減し、複合材を確実に小片に分割することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 船舶(移動体)
2 筐体
3 内燃機関(推力発生部)
10 搬送部
11 ローラ
12 ベルト
20,20A 切断部(分割部)
21,21A 切断部材
30,30D 粉砕部
31,31D 把持ローラ
32,32D 粉砕ローラ
40 搬送ガイド
50,50D 回収部
60 転向機構
61 第1回転バー
62 第2回転バー
70,70A 破壊部
80 爆破部(分割部)
81 筐体
90 加熱部
100,100A,100B,100C,100D 複合材粉砕装置
200 複合材
201 小片
B 爆薬
TD 搬送方向
VD 鉛直方向
W,W1,W2 水流
WD 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17