IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-移動体 図1
  • 特開-移動体 図2
  • 特開-移動体 図3
  • 特開-移動体 図4
  • 特開-移動体 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191588
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】移動体
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/12 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
C08J11/12 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099890
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】金升 将征
(72)【発明者】
【氏名】西垣 亮
(72)【発明者】
【氏名】吉山 隆士
(72)【発明者】
【氏名】松本 慎治
(72)【発明者】
【氏名】井上 智晃
(72)【発明者】
【氏名】平田 武彦
(72)【発明者】
【氏名】湯下 篤
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA19
4F401AA21
4F401AA22
4F401AA24
4F401AA29
4F401AD08
4F401CA14
4F401CA70
4F401CB09
4F401CB14
4F401CB33
4F401FA01Z
(57)【要約】
【課題】コストを増大させることなく複合材を十分に減容させることが可能な減容処理部を備える移動体を提供する。
【解決手段】繊維基材を含む樹脂材料により形成される複合材200を減容させる減容処理部20と、減容処理部20が設置される筐体2と、筐体2を移動させる推力を発生する内燃機関3と、を備え、減容処理部20は、複合材200を所定温度範囲で加熱して樹脂材料を熱分解させることにより複合材200を減容させる船舶1を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維基材を含む樹脂材料により形成される複合材を減容させる減容処理部と、
前記減容処理部が設置される筐体と、
前記筐体を移動させる推力を発生する推力発生部と、を備え、
前記減容処理部は、前記複合材を所定温度範囲で加熱して前記樹脂材料を熱分解させることにより前記複合材を減容させる移動体。
【請求項2】
前記減容処理部により前記樹脂材料が熱分解された前記複合材を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される前記複合材を回収する回収部と、を備える請求項1に記載の移動体。
【請求項3】
前記搬送部は、搬送方向に沿って間隔を空けて配置される複数の搬送ローラと、
前記搬送ローラの下方に設けられるとともに前記減容処理部により熱分解された前記樹脂材料を捕集する捕集部と、を有する請求項2に記載の移動体。
【請求項4】
前記複合材は、長手方向に沿って延びる筒状に形成されており、
前記減容処理部は、前記複合材の内部空間に向けて前記所定温度範囲の熱媒体を流通させる請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の移動体。
【請求項5】
前記減容処理部は、前記推力発生部で発生する排熱により前記複合材を加熱する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の移動体。
【請求項6】
前記減容処理部により熱分解された前記複合材を加熱して前記複合材を熱分解させる熱分解炉を備え、
前記減容処理部は、前記熱分解炉で発生する熱により前記複合材を加熱する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の移動体。
【請求項7】
前記減容処理部により熱分解された前記複合材を燃焼させる焼却炉を備え、
前記減容処理部は、前記焼却炉で発生する熱により前記複合材を加熱する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の移動体。
【請求項8】
前記所定温度範囲は、300度以上かつ400度以下である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、FRP(繊維強化プラスチック)等の複合材を廃棄する際に、熱硬化性樹脂の変質劣化しない所定温度に加熱して硬度や剛性を低下させ、切断機により切断して減容する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4122299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、複合材を切断することにより減容しているため、十分な減容をすることができない。切断された複合材を更に減容するには、切断された複合材を更に細かく切断し、あるいは切断された複合材を更に粉砕する必要があり、これらの設備を設置するコストが増大してしまう。また、複合材が大型である場合には、複合材を設備に搬送するコストが増大してしまう。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、コストを増大させることなく複合材を十分に減容させることが可能な減容処理部を備える移動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る移動体は、繊維基材を含む樹脂材料により形成される複合材を減容させる減容処理部と、前記減容処理部が設置される筐体と、前記筐体を移動させる推力を発生する推力発生部と、を備え、前記減容処理部は、前記複合材を所定温度範囲で加熱して前記樹脂材料を熱分解させることにより前記複合材を減容させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、コストを増大させることなく複合材を十分に減容させることが可能な減容処理部を備える移動体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1実施形態に係る船舶を示す側面図であり、複合材を熱分解処理している状態を示す。
図2】本開示の第1実施形態に係る船舶を示す側面図であり、熱分解処理された複合材を搬送する状態を示す。
図3】本開示の第1実施形態に係る複合材減容方法を示すフローチャートである。
図4】本開示の第2実施形態に係る船舶を示す側面図である。
図5】本開示の第2実施形態に係る船舶を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第1実施形態〕
以下に、本開示の第1実施形態に係る船舶1について、図面を参照して説明する。図1および図2は、本開示の第1実施形態に係る船舶(移動体)1を示す部分断面図である。図1は複合材200を熱分解処理している状態を示し、図2は熱分解処理された複合材200を搬送する状態を示す。
【0010】
図1に示すように、本実施形態の船舶1は、減容処理装置100と、減容処理装置100が設置される筐体2と、筐体2を移動させる推力を発生する内燃機関(推力発生部)3と、を備える。内燃機関3は、スクリュー3aを回転させることにより、筐体2を移動させる推力を得る。
【0011】
本実施形態の減容処理装置100は、長尺状の複合材200を減容させる装置である。長尺状の複合材200は、航空機の主翼や再生可能エネルギー発電、例えば、風車や潮流発電装置で用いられる翼型の部材である。複合材200は、繊維基材を含む樹脂材料により形成されている。繊維基材は、例えば、炭素繊維,ガラス繊維等の強化繊維材料により形成されるシートを複数層に渡って積層した部材である。また、繊維基材は、樹脂材料が予め含浸されたプリプレグや部分的に含浸したプリプレグでも良く、プリプレグと強化繊維材料の組み合わせでも良い。
【0012】
樹脂材料は、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、フェノール、シアネートエステル、ポリイミド等の熱硬化性樹脂材料、またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ナイロン6(PA6)、ナイロン66(PA66)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)等の熱可塑性樹脂である。
【0013】
図1に示すように、減容処理装置100は、搬送部10と、減容処理部20と、回収部30と、を備える。
【0014】
搬送部10は、減容処理部20により減容処理された複合材200を搬送する装置である。図1に示すように、搬送部10は、複数の搬送ローラ11と、複数の搬送ローラ11に掛け回されたベルト12とを有する。搬送部10は、複数の搬送ローラ11からベルト12に駆動力を伝達し、減容処理された複合材200を搬送方向TDに沿って回収部30へ向けて搬送する。なお、搬送部10は、ベルト12を備えず搬送ローラ11のみで減容処理された複合材200を搬送するものとしてもよい。
【0015】
減容処理部20は、複合材200を所定温度範囲で加熱して複合材200に含まれる樹脂材料を熱分解させることにより複合材200を減容させる装置である。ここで、所定温度範囲とは、300度以上かつ400度以下(300℃以上かつ400℃以下)であり、複合材200に含まれる樹脂材料が熱分解を開始する最低温度以上の温度範囲である。
【0016】
減容処理部20は、搬送部10の上流側を覆うように設置されており複合材200を収容する本体部21と、排ガス処理部22と、を有する。本体部21には、内燃機関3からダクト4を介して、燃料を燃焼させることにより発生した排ガス(熱媒体)Egが導入される。図1中に矢印で示される排ガスEgの温度は、300度以上かつ400度以下の所定温度範囲となっている。減容処理部20は、内燃機関3で発生する排熱により複合材200を加熱する。
【0017】
減容処理部20は、ダクト4から供給される排ガスEgにより複合材200を所定温度範囲で加熱し、複合材200に含まれる樹脂材料を熱分解させる。減容処理部20は、搬送部10による複合材200の搬送を停止させた状態で、複合材200の少なくとも所定重量割合の部分が熱分解するように所定時間に渡って複合材200を加熱する。図2に示すように、減容処理部20で熱分解により減容した複合材200は、搬送部10により搬送方向TDに沿って搬送され、回収部30に供給される。
【0018】
図1に示すように、複合材200は、長手方向(図1における搬送方向TD)に沿って延びる筒状に形成されている。減容処理部20は、ダクト4から導かれる排ガスEgを筒状の複合材200の内部空間に向けて所定温度範囲の熱媒体を流通させる。
【0019】
図1に示すように、複合材200の内部空間を通過した排ガスEgは、排ガス処理部22を介して大気中に放出される。排ガス処理部22は、排ガスEgに含まれる窒素酸化物や硫黄酸化物等の大気汚染物質を除去する装置である。
【0020】
回収部30は、搬送部10により搬送される複合材200を回収する装置である。回収部30は、搬送部10の搬送方向TDの下流側端部に配置されており、下流側端部から下方へ落下する複合材200を回収する。
【0021】
ここで、本実施形態の減容処理装置100を用いて複合材200を減容させる複合材減容方法について図面を参照して説明する。図3は、本実施形態の複合材減容方法を示すフローチャートである。
【0022】
ステップS101(移動工程)で、船舶1は、内燃機関3によりスクリュー3aを回転させて減容処理の対象となる複合材200が設置されている場所まで移動する。
【0023】
ステップS102(設置工程)で、搬送方向TDの上流側において、複合材200を搬送部10に設置する。複合材200は、例えば、クレーン(図示略)により吊り下げられた状態で搬送部10に運搬され、搬送部10に設置される。
【0024】
ステップS103(減容工程)で、減容処理部20は、ダクト4から供給される排ガスEgにより複合材200を所定温度範囲で加熱し、複合材200に含まれる樹脂材料を熱分解させる。減容処理部20は、搬送部10による複合材200の搬送を停止させた状態で、複合材200の少なくとも所定重量割合の部分が熱分解するように所定時間に渡って複合材200を加熱する。
【0025】
ステップS104(搬送工程)で、搬送部10は、減容処理部20により樹脂材料が熱分解された複合材200を回収部30へ向けて搬送する。
ステップS105(回収工程)で、回収部30は、搬送部10の搬送方向TDの下流側端部から下方へ落下する複合材200を回収する。
【0026】
以上説明した本実施形態の船舶1によれば、減容処理部20が複合材200を所定温度範囲で加熱して樹脂材料を熱分解させることにより複合材200を減容させる。熱分解による複合材200の減容率は、切断による複合材200の減容率よりも十分に高いため、切断された複合材200を更に細かく切断する設備や切断された複合材200を粉砕する設備を設置することなく、複合材200を十分に減容させることができる。また、内燃機関3により減容処理部20が設置される筐体2を複合材200が設置される場所に移動させることができるため、複合材200が大型である場合であっても、複合材200を減容処理設備に搬送することによるコストの増大を防止することができる。
【0027】
また、本実施形態の船舶1によれば、熱分解された複合材200が搬送部10により搬送されて回収部30に回収されるため、複合材200の減容処理と減容された複合材200の回収処理とを作業者による作業を必要とせずに自動化することができる。
【0028】
また、本実施形態の船舶1によれば、長手方向に沿って延びる筒状に形成される複合材200の内部空間に所定温度範囲の排ガスEgが流通するため、複合材200の全体を効率よく確実に熱分解させることができる。
【0029】
〔第2実施形態〕
次に、本開示の第2実施形態に係る船舶1Aについて、図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0030】
第1実施形態の船舶1は、減容処理部20が複合材200を熱分解させるための熱源として、内燃機関3から排出される排ガスEgの排熱を利用するものであった。それに対して、本実施形態の船舶1Aは、減容処理部20が複合材200を熱分解させるための熱源として、排ガスEgとともに熱分解炉50で発生する熱を利用するものである。
【0031】
図4に示すように、本実施形態の船舶1Aが備える減容処理装置100Aは、減容処理部20により熱分解された複合材200を粉砕する粉砕部40と、粉砕部40により粉砕された複合材200を熱分解させる熱分解炉50と、を備える。
【0032】
粉砕部40は、搬送部10により搬送された複合材200を所定サイズ未満に粉砕する装置である。図4に示すように、粉砕部40は、互いに逆方向に回転する一対の把持ローラ41と、互いに逆方向に回転する一対の粉砕ローラ42と、を有する。一対の把持ローラ41は、搬送部10により搬送される複合材200を把持しながら回転し、複合材200を一対の粉砕ローラ42に押し込むローラである。
【0033】
一対の粉砕ローラ42は、一対の把持ローラ41により押し込まれた複合材200を粉砕する装置である。一対の粉砕ローラ42は、外周面に複数の爪部(図示略)が設けられており、複数の爪部により押し潰すことにより、複合材200を粉砕する。一対の粉砕ローラ42により粉砕された複合材200は、例えば、平均値が50mm角以下のサイズとなるように粉砕される。
【0034】
熱分解炉50は、減容処理部20では熱分解されなかった樹脂材料を熱分解させる装置である。熱分解炉50は、複合材200を所定温度範囲で加熱して複合材200に含まれる樹脂材料を熱分解させることにより複合材200を更に減容させる。ここで、所定温度範囲とは、300度以上かつ400度以下であり、複合材200に含まれる樹脂材料が熱分解を開始する最低温度以上の温度範囲である。
【0035】
熱分解炉50で複合材200を加熱するために用いられる熱の熱源としては、任意のものを利用することができる。例えば、内燃機関3から排出される排ガスEgを用いることができる。また、複合材を燃焼させる燃焼装置(図示略)により、複合材200を加熱する熱を発生させてもよい。
【0036】
熱分解炉50で複合材200を加熱する際に発生した排ガスEgAは、ダクト51を介して減容処理部20に導かれる。排ガスEgAの温度は、例えば、300度以上かつ400度以下の温度範囲に含まれる温度である。減容処理部20は、熱分解炉50で発生する排ガスEgAの熱により、複合材200を加熱して熱分解させる。
【0037】
以上においては、粉砕部40により粉砕された複合材200を熱分解炉50で熱分解させ、熱分解炉50で発生した排ガスEgAの熱を利用して減容処理部20で複合材200を熱分解させるものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、熱分解炉50に替えて焼却炉60を設けるようにしてもよい。
【0038】
焼却炉60は、減容処理部20では熱分解された複合材200を焼却する装置である。焼却炉60は、複合材200を燃焼装置(図示略)により複合材200を燃焼させる。焼却炉60で複合材200を焼却する際に発生した排ガスEgAは、ダクト61を介して減容処理部20に導かれる。排ガスEgAの温度は、例えば、300度以上かつ400度以下の温度範囲に含まれる温度である。焼却炉60で発生する排ガスEgAの温度が400度を超える場合には、400度以下となるように減温装置(図示略)により減温されてから減容処理部20に導かれる。
【0039】
以上においては、減容処理部20で複合材200を熱分解する熱源として、内燃機関3から供給される排ガスEgと、熱分解炉50または焼却炉60で発生する排ガスEgAの双方を用いることとしたが、他の態様であってもよい。例えば、減容処理部20で複合材200を熱分解する熱源として、熱分解炉50または焼却炉60で発生する排ガスEgAのみを用い、内燃機関3から供給される排ガスEgを用いないようにしてもよい。
【0040】
以上説明した本実施形態の船舶1によれば、減容処理部20により熱分解された複合材200を更に熱分解させる熱分解炉50で発生する熱を利用して複合材200を熱分解させるので、複合材200を熱分解させる熱を他の手段により発生させる場合に比べ、船舶1A全体の熱効率を高めることができる。また、減容処理部20により熱分解された複合材200を焼却する焼却炉60で発生する熱を利用して複合材200を熱分解させるので、複合材200を熱分解させる熱を他の手段により発生させる場合に比べ、船舶1A全体の熱効率を高めることができる。
【0041】
〔第3実施形態〕
次に、本開示の第3実施形態に係る船舶1Bについて、図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0042】
第1実施形態の船舶1は、搬送ローラ11に掛け回されたベルト12により複合材200を搬送するものであった。それに対して、本実施形態の船舶1Bは、搬送ローラ11Bにより複合材200を直接的に搬送するとともに、搬送ローラの下方に捕集部13Bを設けたものである。
【0043】
図5に示すように、本実施形態の船舶1Bが備える減容処理装置100Bは、搬送部10Bを備える。搬送部10Bは、搬送方向TDに沿って間隔を空けて配置される複数の搬送ローラ11Bと、搬送ローラ11Bの下方に設けられる複数の捕集部13Bと、を有する。捕集部13Bは、減容処理部20により熱分解された複合材200の樹脂材料を捕集する部材である。
【0044】
捕集部13Bは、搬送ローラ11Bの設置間隔よりも小さいサイズの複合材200や、減容処理部20における熱分解により灰化した樹脂材料を捕集する。作業者は、捕集部13Bが捕集された複合材200により満たされる場合には、捕集部13Bに捕集された複合材200を回収部30へ運搬する。本実施形態の船舶1Bによれば、熱分解された複合材200を搬送ローラ11Bにより回収部30に向けて搬送するとともに、搬送ローラ11Bから下方に落下する樹脂材料を捕集部13Bにより確実に捕集することができる。
【0045】
以上説明した本実施形態に記載の移動体は、例えば以下のように把握される。
本開示に係る移動体(1)は、繊維基材を含む樹脂材料により形成される複合材(200)を減容させる減容処理部(20)と、前記減容処理部が設置される筐体(2)と、前記筐体を移動させる推力を発生する推力発生部(3)と、を備え、前記減容処理部は、前記複合材を所定温度範囲で加熱して前記樹脂材料を熱分解させることにより前記複合材を減容させる。
【0046】
本開示に係る移動体によれば、減容処理部が複合材を所定温度範囲で加熱して樹脂材料を熱分解させることにより複合材を減容させる。熱分解による複合材の減容率は、切断による複合材の減容率よりも十分に高いため、切断された複合材を更に細かく切断する設備や切断された複合材を粉砕する設備を設置することなく、複合材を十分に減容させることができる。また、推力発生部により減容処理部が設置される筐体を複合材が設置される場所に移動させることができるため、複合材が大型である場合であっても、複合材を減容処理設備に搬送することによるコストの増大を防止することができる。
【0047】
本開示に係る移動体においては、前記減容処理部により前記樹脂材料が熱分解された前記複合材を搬送する搬送部(10)と、前記搬送部により搬送される前記複合材を回収する回収部(30)と、を備える構成としてもよい。
本構成の移動体によれば、熱分解された複合材が搬送部により搬送されて回収部に回収されるため、複合材の減容処理と減容された複合材の回収処理とを作業者による作業を必要とせずに自動化することができる。
【0048】
本開示に係る移動体において、前記搬送部は、搬送方向に沿って間隔を空けて配置される複数の搬送ローラ(11B)と、前記搬送ローラの下方に設けられるとともに前記減容処理部により熱分解された前記樹脂材料を捕集する捕集部(13B)と、を有する構成としてもよい。
本構成の移動体によれば、熱分解された複合材を搬送ローラにより回収部に向けて搬送するとともに、搬送ローラから下方に落下する樹脂材料を捕集部により確実に捕集することができる。
【0049】
本開示に係る移動体において、前記複合材は、長手方向に沿って延びる筒状に形成されており、前記減容処理部は、前記複合材の内部空間に向けて前記所定温度範囲の熱媒体を流通させる構成としてもよい。
本構成の移動体によれば、長手方向に沿って延びる筒状に形成される複合材の内部空間に所定温度範囲の熱媒体が流通するため、複合材の全体を効率よく確実に熱分解させることができる。
【0050】
本開示に係る移動体において、前記減容処理部(20)は、前記推力発生部で発生する排熱により前記複合材を加熱する構成としてもよい。
本構成の移動体によれば、推力発生部で発生する排熱を利用して複合材を熱分解させるので、複合材を熱分解させる熱を他の手段により発生させる場合に比べ、移動体全体の熱効率を高めることができる。
【0051】
本開示に係る移動体において、前記減容処理部に熱分解された前記複合材を加熱して前記複合材を熱分解させる熱分解炉(50)を備え、前記減容処理部は、前記熱分解炉で発生する熱により前記複合材を加熱する構成としてもよい。
本構成の移動体によれば、減容処理部により熱分解された複合材をさらに熱分解させる熱分解炉で発生する熱を利用して複合材を熱分解させるので、複合材を熱分解させる熱を他の手段により発生させる場合に比べ、移動体全体の熱効率を高めることができる。
【0052】
本開示に係る移動体において、前記減容処理部により熱分解された前記複合材を燃焼する焼却炉(60)を備え、前記減容処理部は、前記焼却炉で発生する熱により前記複合材を加熱する構成としてもよい。
本構成の移動体によれば、減容処理部により熱分解された複合材を焼却する焼却炉で発生する熱を利用して複合材を熱分解させるので、複合材を熱分解させる熱を他の手段により発生させる場合に比べ、移動体全体の熱効率を高めることができる。
【0053】
本開示に係る移動体において、前記所定温度範囲は、300度以上かつ400度以下である構成としてもよい。
本構成の移動体によれば、複合材を300度以上かつ400度以下の温度範囲で加熱することで複合材が燃焼せずに熱分解する状態とし、複合材が燃焼して有害なガスが発生する不具合等を引き起こさずに複合材を適切に減容させることができる。
【符号の説明】
【0054】
1,1A,1B 船舶(移動体)
2 筐体
3 内燃機関(推力発生部)
10,10B 搬送部
11,11B 搬送ローラ
13B 捕集部
20 減容処理部
30 回収部
40 粉砕部
50 熱分解炉
51 ダクト
60 焼却炉
61 ダクト
100,100A,100B 減容処理装置
200 複合材
Eg,EgA 排ガス
TD 搬送方向
図1
図2
図3
図4
図5