(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191600
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B60L 53/14 20190101AFI20221221BHJP
B60L 8/00 20060101ALI20221221BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20221221BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20221221BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221221BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
B60L53/14
B60L8/00
B60L50/60
B60L58/10
H02J7/00 P
H02J1/00 309R
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099911
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上木原 大介
(72)【発明者】
【氏名】青木 智哉
(72)【発明者】
【氏名】村里 健次
【テーマコード(参考)】
5G165
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G165BB05
5G165DA02
5G165DA06
5G165DA07
5G165EA03
5G165EA06
5G165GA09
5G165LA01
5G165MA01
5G165MA02
5G165NA01
5G165NA02
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5G503AA01
5G503AA06
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5G503BB03
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5G503FA06
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5G503GB03
5G503GD03
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC09
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC01
5H125BD19
5H125CC04
5H125CD04
5H125EE31
5H125EE55
5H125EE61
(57)【要約】
【課題】ソーラー充電および外部充電を実行可能な車両において、ソーラー充電の実行中に外部電源が受電部に電気的に接続された場合に、外部充電の開始前のリレー部の切り替えによるリレー部の消耗を抑制可能な技術を提供する。
【解決手段】車両1は、蓄電装置5と、インレット40と、SMR50と、コンデンサ55と、ソーラーパネル90と、ECU70とを備える。ECU70は、ソーラー充電、および、外部充電を実行するように構成される。ソーラー充電の実行中に外部電源110がインレット40に電気的に接続された場合に、ECU70は、ソーラー充電を終了し、ソーラー充電の終了に伴い放電されたコンデンサ55を充電するプリチャージ制御を発電電力を用いて実行し、プリチャージ制御の実行後、SMR50をオンすることによって外部充電を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置と、
車両外部に設けられる外部電源から電力を受けるように構成される受電部と、
前記蓄電装置と前記受電部との間の電力線対に設けられるリレー部と、
前記リレー部と前記受電部との間において前記電力線対の間に設けられるコンデンサと、
前記リレー部と前記受電部との間において前記電力線対に接続され、光エネルギーを受けて発電する太陽電池と、
前記太陽電池による発電電力を用いて前記蓄電装置を充電するソーラー充電、および、前記外部電源から前記受電部を通じて供給される電力を用いて前記蓄電装置を充電する外部充電を実行するように構成された制御装置とを備え、
前記ソーラー充電の実行中に前記外部電源が前記受電部に電気的に接続された場合に、前記制御装置は、
前記ソーラー充電を終了し、
前記ソーラー充電の終了に伴い放電された前記コンデンサを充電するプリチャージ制御を前記発電電力を用いて実行し、
前記プリチャージ制御の実行後、前記リレー部をオンすることによって前記外部充電を実行する、車両。
【請求項2】
前記リレー部は、
前記電力線対の一方に設けられる第1のリレーと、
前記電力線対の他方に設けられる第2のリレーと、
前記第2のリレーに並列に接続されるプリチャージ回路とを含み、
前記プリチャージ回路は、
第3のリレーと、
前記第3のリレーに直列に接続される制限抵抗とを含み、
前記制御装置は、
前記第1のリレー、前記第2のリレーおよび前記第3のリレーを開状態に制御するとともに前記ソーラー充電を終了し、
前記プリチャージ制御の実行後、前記第3のリレーを開状態に制御しつつ前記第1のリレーおよび前記第2のリレーを閉状態に制御することによって前記外部充電を実行する、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記ソーラー充電を終了したときに前記発電電力がしきい値以上である場合に、前記制御装置は、前記発電電力を用いて前記プリチャージ制御を実行する、請求項1または請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記ソーラー充電を終了したときに前記発電電力が前記しきい値未満である場合に、前記制御装置は、前記リレー部を制御することによって、前記蓄電装置から供給される電力を用いて前記プリチャージ制御を実行する、請求項3に記載の車両。
【請求項5】
前記車両の現在位置における日光の照射状態を示す日照情報を通信により取得する通信装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記発電電力を用いて前記プリチャージ制御を実行するか否かを前記日照情報に従って判断する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に関し、特に、蓄電装置を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2018-082576号公報(特許文献1)は、蓄電装置、受電装置および太陽電池が搭載された車両を開示する。この車両は、車両外部に設けられる外部電源から受電装置を通じて供給される電力を用いて蓄電装置を充電する外部充電を実行可能に構成される。さらに、車両は、太陽電池による発電電力を用いて蓄電装置を充電するソーラー充電を実行可能に構成される。ソーラー充電の実行中に外部充電が開始されると、蓄電装置の充電電力を適切に管理することができない可能性がある。そのため、この車両では、イグニッションスイッチがオフされてから、待機時間が経過するまではソーラー充電の実行が禁止され、待機時間が経過したときにソーラー充電の実行が許可される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両において、走行用の電力を蓄える蓄電装置と、外部電源から電力を受ける受電部が接続される電力線対との間に、リレー部(SMR:System Main Relay)が設けられる。リレー部と受電部との間において、上記電力線対の間には、電圧平滑用のコンデンサが設けられる。ここで、コンデンサが放電された状況においては、外部充電の開始時にリレー部がオンされると、蓄電装置からコンデンサに突入電流が流れることがある。そこで、このような突入電流を低減するために、外部充電の開始前に、上記コンデンサが予め充電される(プリチャージされる)ようにリレー部が切り替えられることがある。
【0005】
ソーラー充電および外部充電を実行可能な車両において、ソーラー充電の実行中に外部電源が受電部に電気的に接続される場合がある。この場合も、コンデンサの放電後、外部充電の開始前にコンデンサのプリチャージのためにリレー部が切り替えられることが好ましいようにも思われる。しかしながら、リレー部は、切り替えられる回数が増えるほど消耗する。
【0006】
本開示は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ソーラー充電および外部充電を実行可能な車両において、ソーラー充電の実行中に外部電源が受電部に電気的に接続された場合に、外部充電の開始前のリレー部の切り替えによるリレー部の消耗を抑制可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の車両は、蓄電装置と、受電部と、リレー部と、コンデンサと、太陽電池と、制御装置とを備える。受電部は、車両外部に設けられる外部電源から電力を受けるように構成される。リレー部は、蓄電装置と受電部との間の電力線対に設けられる。コンデンサは、リレー部と受電部との間において電力線対の間に設けられる。太陽電池は、リレー部と受電部との間において電力線対に接続され、光エネルギーを受けて発電する。制御装置は、太陽電池による発電電力を用いて蓄電装置を充電するソーラー充電、および、外部電源から受電部を通じて供給される電力を用いて蓄電装置を充電する外部充電を実行するように構成される。ソーラー充電の実行中に外部電源が受電部に電気的に接続された場合に、制御装置は、ソーラー充電を終了し、ソーラー充電の終了に伴い放電されたコンデンサを充電するプリチャージ制御を、発電電力を用いて実行し、プリチャージ制御の実行後、リレー部をオンすることによって外部充電を実行する。
【0008】
上記の構成とすることにより、制御装置が、蓄電装置から供給される電力を用いてコンデンサのプリチャージ制御を実行するためにリレー部を切り替える必要がない。その結果、外部充電の開始前にリレー部が切り替えられる回数が減少する。したがって、リレー部が消耗することを抑制することができる。
【0009】
リレー部は、第1のリレーと、第2のリレーと、プリチャージ回路とを含んでいてもよい。第1のリレーは、電力線対の一方に設けられる。第2のリレーは、電力線対の他方に設けられる。プリチャージ回路は、第2のリレーに並列に接続される。プリチャージ回路は、第3のリレーと、第3のリレーに直列に接続される制限抵抗とを含む。制御装置は、第1のリレー、第2のリレーおよび第3のリレーを開状態に制御するとともにソーラー充電を終了し、プリチャージ制御の実行後、第3のリレーを開状態に制御しつつ第1のリレーおよび第2のリレーを閉状態に制御することによって外部充電を実行してもよい。
【0010】
上記の構成とすることにより、ソーラー充電が終了してから外部充電が開始される前に、プリチャージ制御のために第3のリレーが開状態から閉状態に切り替えられる必要がない。その結果、第3のリレーが消耗することを抑制することができる。
【0011】
ソーラー充電を終了したときに発電電力がしきい値以上である場合に、制御装置は、発電電力を用いてプリチャージ制御を実行してもよい。
【0012】
上記の構成とすることにより、ソーラー充電が終了されたときの発電電力が、コンデンサを十分に充電できるほど大きい場合、太陽電池による発電電力を用いてプリチャージ制御が実行される。その結果、その発電電力を無駄にすることなく有効活用しつつ、外部充電の開始前のリレー部の切り替え回数が減少する。したがって、リレー部が消耗することを抑制することができる。
【0013】
ソーラー充電を終了したときに発電電力がしきい値未満である場合に、制御装置は、リレー部を制御することによって、蓄電装置から供給される電力を用いてプリチャージ制御を実行してもよい。
【0014】
上記の構成とすることにより、ソーラー充電が終了されたときの発電電力が、コンデンサを十分に充電できるほど大きくない場合であっても、蓄電装置から供給される電力を用いてプリチャージ制御が実行される。その結果、外部充電の開始時の突入電流を低減することができる。
【0015】
車両は、通信装置をさらに備えていてもよい。通信装置は、車両の現在位置における日光の照射状態を示す日照情報を通信により取得する。制御装置は、発電電力を用いてプリチャージ制御を実行するか否かを日照情報に従って判断する。
【0016】
上記の構成とすることにより、太陽電池による発電電力の算出のための電圧センサおよび電流センサが設けられない場合であっても、発電電力を用いてプリチャージ制御が実行されるか否かが判断される。その結果、太陽電池による発電電力を用いてプリチャージ制御が実行される場合に、外部充電の開始前にリレー部が切り替えられる回数が減少する。その結果、リレー部が消耗することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示の車両によれば、ソーラー充電および外部充電を実行可能な車両において、ソーラー充電の実行中に外部電源が受電部に電気的に接続された場合に、外部充電の開始前のリレー部の切り替えによるリレー部の消耗を抑制可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示の実施の形態に従う車両の構成を概略的に示す図である。
【
図2】ソーラー充電の終了から外部充電の開始までの間に比較例のECUにより実行される制御を説明するためのタイミングチャートである。
【
図3】本実施の形態においてソーラー充電の終了から外部充電の開始までの間にECUにより実行されるSMRの切り替え制御を説明するためのタイミングチャートである。
【
図4】ソーラー充電および外部充電に伴う処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】変形例5に従う車両の構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明を繰り返さない。
【0020】
また、以下では、本開示に従う車両が電気自動車(EV(Electric Vehicle))である場合について代表的に説明するが、車両は、EVに限定されず、ハイブリッド車両(HV(Hybrid Vehicle))およびプラグインHVであってもよい。
【0021】
図1は、本開示の実施の形態に従う車両の構成を概略的に示す図である。
図1を参照して、車両1は、蓄電装置5と、電圧センサ57,60と、電流センサ62と、温度センサ58と、システムメインリレー(SMR)50と、コンデンサ55と、放電抵抗56を備える。さらに、車両1は、パワーコントロールユニット(PCU:Power Control Unit)20と、モータジェネレータ(MG:Motor Generator)25と、駆動輪30とを備える。さらに、車両1は、充電装置200と、リレー59と、インレット40と、ソーラーユニット95と、リレー99と、スタートスイッチ80と、通信装置250と、ECU70とを備える。
【0022】
蓄電装置5は、走行用の電力を蓄える電力貯蔵要素である。蓄電装置5は、たとえば、リチウムイオン電池もしくはニッケル水素電池等の二次電池、または、電気二重層キャパシタなどの蓄電素子を含んで構成される。リチウムイオン二次電池は、リチウムを電荷担体とする二次電池であり、電解質が液体の一般的なリチウムイオン二次電池のほか、固体の電解質を用いた全固体電池をも含み得る。蓄電装置5は、車両1の外部充電時およびソーラー充電時に充電される。
【0023】
電圧センサ57は、蓄電装置5の電圧VBを検出する。電流センサ62は、蓄電装置5に入出力される電流IBを検出する。温度センサ58は、蓄電装置5の温度を検出する。
【0024】
SMR50(リレー部)は、蓄電装置5とインレット40との間の電力線対(正極線PLおよび負極線NL)に設けられる。SMR50は、PCU20(後述)などの電気負荷と蓄電装置5との電気的な接続および遮断の切り替えのために設けられる。正極線PLは、蓄電装置5の正極とPCU20とを接続する。負極線NLは、蓄電装置5の負極とPCU20とを接続する。SMR50は、リレーSMRB,SMRG,SMRPと、制限抵抗52とを含む。リレーSMRBは、正極線PLに設けられる。リレーSMRGは、負極線NLに設けられる。リレーSMRPおよび制限抵抗52は、直列に接続され、リレーSMRGに並列に接続される。
【0025】
本実施の形態では、SMR50の「オフ状態」とは、リレーSMRB,SMRGおよびSMRPが開いている状態である。SMR50の「オン状態」とは、リレーSMRBおよびSMRGが閉じている状態である。SMR50を「オンする」とは、SMR50をオフ状態からオン状態に切り替えることである。SMR50を「オフする」とは、SMR50をオン状態からオフ状態に切り替えることである。
【0026】
SMR50における各リレーは、接点リレー(メカニカルリレー)によって構成される。よって、各リレーが開状態に制御されている間、そのリレーの両端を電気的に完全に絶縁することができる。各リレーは、ECU70(後述)からの制御指令に従って、開状態または閉状態に制御される。
【0027】
リレーSMRPおよび制限抵抗52は、蓄電装置5からコンデンサ55に流れる突入電流を低減するためのプリチャージ回路を形成する。突入電流は、コンデンサ55が放電された状態でSMR50がオンされるときに(例えば、外部充電の開始時、後述のスタートスイッチ80のオン時)に発生する。そのため、外部充電の開始前、リレーSMRBが閉状態に制御された後、リレーSMRGが閉状態に制御される前にリレーSMRPが閉状態に制御される。これにより、制限抵抗52により電流が制限された状況において、コンデンサ55が外部充電の開始前に予め充電される(プリチャージされる)。その結果、突入電流が低減される。
【0028】
コンデンサ55は、正極線PLと負極線NLとの間に設けられる。コンデンサ55は、正極線PLと負極線NLとの間の電圧変動の交流成分を平滑化する。
【0029】
放電抵抗56は、コンデンサ55に並列に接続される。放電抵抗56は、SMR50のオフ後にコンデンサ55を放電するために設けられる。電圧センサ60は、コンデンサ55の両端の電圧である電圧VHを検出する。
【0030】
PCU20は、蓄電装置5とMG25(後述)との間で双方向の電力変換を実行する。PCU20は、例えば、インバータと、コンバータとを含んで構成される。
【0031】
MG25は、代表的には交流回転電機であり、たとえば、ロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機である。MG25は、PCU20により駆動されて回転駆動力を発生する。MG25により発生された駆動力は、駆動輪30に伝達される。これにより、車両1が走行する。
【0032】
充電装置200は、給電設備100(後述)からの電力を、蓄電装置5の電圧レベルの直流電力に変換する。
【0033】
リレー59は、充電装置200と蓄電装置5との間に設けられる。リレー59は、ソーラー充電時に開状態に制御される一方で、外部充電時には閉状態に制御される。
【0034】
インレット40は、充電装置200に電気的に接続される。インレット40は、給電設備100から電力を受けるように構成された受電部として設けられる。充電装置200、リレー59およびインレット40を、「外部充電機構」とも称する。
【0035】
給電設備100は、コネクタ120と、外部電源110とを含む。コネクタ120は、インレット40に接続可能に構成される。
図1の例では、外部電源110は、交流電源である。外部電源110から供給される電力は、充電装置200、リレー59ならびに正極線PLおよび負極線NLを通じて蓄電装置5に供給される。なお、外部電源110は、直流電源でもよく、この場合には、車両1に充電装置200が設けられていなくてもよい。給電設備100は、外部電源110からコネクタ120への給電を制御する制御回路(図示せず)をさらに備える。
【0036】
ソーラーユニット95は、ソーラーパネル90と、DC/DCコンバータ97と、電圧センサ91と、電流センサ92と、ダイオード98とを含む。
【0037】
ソーラーパネル90は、SMR50とインレット40との間において、DC/DCコンバータ97(後述)を通じて正極線PLおよび負極線NLに接続される。ソーラーパネル90は、太陽からの光エネルギーを受けて発電する太陽電池である。具体的には、ソーラーパネル90は、光エネルギーを直流電力に変換し、変換後の電力を電力線93に出力するように構成される。
【0038】
DC/DCコンバータ97は、ソーラーパネル90による発電電力を蓄電装置5の電圧レベルの直流電力に変換する。
【0039】
電圧センサ91および電流センサ92は、電力線93に設けられる。電圧センサ91および電流センサ92は、それぞれ、電力線93の電圧および電流を検出する。
【0040】
ダイオード98は、DC/DCコンバータ97と正極線PLとの間に設けられる。ダイオード98は、ソーラーパネル90から正極線PLへ電流が流れる方向を順方向として接続されている。ダイオード98が設けられることによって、正極線PLを流れる電流がソーラーパネル90に流れることが防止される。ダイオード98は、DC/DCコンバータ97と負極線NLとの間にも設けられてもよい。あるいは、DC/DCコンバータ97と、正極線PLおよび負極線NLとの間に、ダイオード98に代えてリレーが設けられてもよい。
【0041】
リレー99は、ソーラーユニット95と電力線対(正極線PLおよび負極線NL)との間に設けられる。リレー99は、ソーラー充電の実行中には閉状態に制御される一方で、車両1の走行中には開状態に制御される。これにより、車両1の衝突時にソーラーユニット95を保護することができる。
【0042】
スタートスイッチ80は、ユーザによる車両1の走行用システムの起動操作作を受ける。具体的には、スタートスイッチ80に対するオン操作が行なわれると、スタートスイッチ80からECU70(後述)にReady-ON信号が出力される。ECU70は、Ready-ON信号を受けると、車両1の走行用システムを停止状態から起動状態へ切り替え、SMR50をオンする。
【0043】
通信装置250は、インターネットなどのネットワーク300に無線通信によりアクセスするように構成される。一例として、通信装置250は、ネットワーク300上の天気予報サイトから、車両1の現在位置における日光の照射状態を示す日照情報を取得する。具体的には、日照情報は、その現在位置における日射量を表す情報であってもよいし、天候を表す情報(例えば、天候が晴れ、曇り、雨、または雪のいずれであるか)であってもよい。
【0044】
ECU70は、CPU(Central Processing Unit)と、メモリとを含む(いずれも図示せず)。メモリは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを含む(いずれも図示せず)。ROMは、CPUにより実行されるプログラムなどを格納する。RAMは、CPUにより参照されるデータなどを一時的に格納する。ECU70の制御は、ソフトウェア処理により実現されるが、ECU70内に作製されたハードウェアにより実現されてもよい。
【0045】
ECU70は、各センサ信号、並びにメモリに記憶されたプログラム、データおよびマップなどに従って、車両1の各機器を制御する。一例として、ECU70は、SMR50、PCU20、リレー59、充電装置200、DC/DCコンバータ97、リレー99および通信装置250などを制御する。
【0046】
ECU70は、電圧センサ57、電流センサ62および温度センサ58の検出値などに従って、蓄電装置5のSOC(State of Charge)を算出する。SOCの算出方法については、OCV(Open Circuit Voltage)とSOCとの関係を示すOCV-SOCカーブ(マップ等)を用いた手法などの公知の手法が用いられる。
【0047】
ECU70は、ソーラーパネル90による発電電力を用いて蓄電装置5を充電するソーラー充電を実行可能に構成される。具体的には、ECU70は、ソーラーパネル90による発電電力を蓄電装置5の電圧レベルの直流電力に変換するようにDC/DCコンバータ97を制御する。DC/DCコンバータ97による出力電力は、正極線PLおよび負極線NLならびにSMR50を通じて蓄電装置5に供給される。
【0048】
ECU70は、外部電源110からインレット40を通じて供給される電力を用いて蓄電装置5を充電する外部充電を実行可能に構成される。ECU70は、外部電源110がインレット40に電気的に接続された場合に、外部充電を実行できる。具体的には、ECU70は、外部電源110からインレット40を通じて供給される電力を、蓄電装置5の電圧レベルの直流電力に変換するように充電装置200を制御することによって外部充電を実行する。
【0049】
ECU70は、外部電源110がインレット40に電気的に接続されているか否かを、給電設備100の制御回路との間で伝達されるコントロールパイロット信号(図示せず)に基づいて判断(検知)できる。一例として、ECU70は、その信号がハイレベルまたはローレベルのいずれであるかに応じて、この判断処理を実行する。外部電源110がインレット40に電気的に接続されている場合の車両1の状態を「プラグイン状態」とも称する。
【0050】
以下、ソーラー充電が実行されていない状況において、外部電源110がインレット40に電気的に接続されて外部充電が開始される場合のECU70によるSMR50の切り替え制御について説明する。ソーラー充電が実行されていない状況においては、リレーSMRB,SMRGおよびSMRPが開状態であるものとする。
【0051】
ECU70は、まず、リレーSMRPを閉状態に制御する(開状態から閉状態に切り替える)。これにより、ECU70は、リレーSMRBが溶着しているか否かを診断する。具体的には、電圧VHが上昇し始めた場合、ECU70は、リレーSMRBが溶着していると診断する。他方、上記のように電圧VHが上昇しない場合、ECU70は、リレーSMRBが溶着していないと診断する。なお、ECU70は、リレーSMRPに代えてリレーSMRGを開状態から閉状態に切り替えてもよい。
【0052】
次いで、ECU70は、閉状態に制御されたリレーSMRPを開状態に切り替えた後、リレーSMRBを閉状態に制御する。これにより、ECU70は、リレーSMRGまたはSMRPのいずれかが溶着しているか否かを、電圧VHに従って同様に診断する。
【0053】
ECU70は、リレーSMRGまたはSMRPのいずれもが溶着していないと診断した場合、リレーSMRPを閉状態に制御する。これにより、コンデンサ55に流れる電流が制限抵抗52により制限された状況において、コンデンサ55のプリチャージが実行(開始)される。電圧VHが上昇し始めると、ECU70は、コンデンサ55のプリチャージの開始を判断する。その後、コンデンサ55の電圧VHがしきい電圧まで上昇すると、ECU70は、コンデンサ55のプリチャージの終了を判断する。しきい電圧は、電圧VHがしきい電圧まで上昇した時点において外部充電が開始された場合に、実用上問題が無い程度に突入電流が低減される電圧である。本実施の形態では、しきい電圧は、蓄電装置5の電圧VB以下の所定電圧として実験などにより適宜予め定められる。
【0054】
次いで、ECU70は、リレーSMRGを閉状態に制御するとともに、リレーSMRPを開状態に制御する。これにより、突入電流が低減された状況において外部充電が開始される。
【0055】
上記のように、ECU70は、外部充電の開始前に、SMR50における各リレーの開閉状態を切り替える。そして、ECU70は、これらのリレーの開閉状態が切り替えられる間に、これらのリレーが溶着しているか否か、および、コンデンサ55のプリチャージが実行されているか否かを、電圧VHに従って判断する。
【0056】
車両1が駐車している間、ソーラーパネル90が太陽から光を受けることができる期間中にソーラー充電が絶えず実行されることがある。そのため、外部充電の実行を希望するユーザが、ソーラー充電の実行中にコネクタ120をインレット40に接続(挿入)する状況がしばしば起こり得る。このような状況において、ユーザは、ソーラー充電よりも高出力の外部充電が実行されることを望んでいると考えられる。
【0057】
ここで、ソーラー充電の実行中に外部充電がさらに開始されると、蓄電装置5の充電電力を適切に管理することができない可能性がある。そこで、ECU70は、コネクタ120がインレット40に接続されると(車両1のプラグイン状態が検知されると)、ソーラー充電を終了して外部充電を実行することが好ましい。
【0058】
ECU70は、ソーラー充電の終了に伴って、PCU20などの電気負荷と蓄電装置5とを電気的に遮断するために、SMR50をオン状態からオフ状態に切り替える。これにより、コンデンサ55は、放電抵抗56により放電される。次いで、ECU70は、外部充電の開始時の突入電流を低減するために、外部充電の開始前に、コンデンサ55が予め充電される(プリチャージされる)ようにSMR50のリレーSMRB,SMRPおよびSMRGを切り替えることが好ましいようにも思われる。しかしながら、これらのリレーは、切り替えられる回数が増えるほど消耗する。
【0059】
本実施の形態に従う車両1は、上記問題に対処するために以下のような構成を備える。ECU70は、ソーラー充電の実行中に外部電源110がインレット40に電気的に接続された場合に、ソーラー充電を終了する。ECU70は、ソーラー充電の終了に伴い放電されたコンデンサ55を充電するプリチャージ制御を、ソーラーパネル90による発電電力を用いて実行する。プリチャージ制御は、SMR50がオンされる前(例えば、外部充電の開始前)にコンデンサ55を予め充電するための制御である。そして、ECU70は、プリチャージ制御の実行後、SMR50をオンすることによって外部充電を実行する。
【0060】
これにより、外部充電の開始前に、ソーラーパネル90による発電電力を用いてコンデンサ55がプリチャージされる。そのため、ECU70が、蓄電装置5から供給される電力を用いてコンデンサ55のプリチャージ制御を実行するためにSMR50(より詳細には、リレーSMRP)を切り替える必要がない。その結果、外部充電の開始前にSMR50が切り替えられる回数が減少する。したがって、SMR50が消耗することを抑制することができる。
【0061】
特に、ECU70は、ソーラー充電を終了したときにソーラーパネル90による発電電力がしきい値以上である場合に、その発電電力を用いてプリチャージ制御を実行することが好ましい。そして、ECU70は、このようにプリチャージ制御が実行された後、SMR50をオンすることによって外部充電を実行する。これにより、発電電力が、コンデンサを十分に充電できるほど大きい場合に、その発電電力を無駄にすることなく有効活用しつつ、SMR50が消耗することを抑制することができる。以下の説明において、ECU70は、このようにプリチャージ制御を実行した後に外部充電を実行するものとする。
【0062】
次に、ソーラー充電の終了から外部充電の開始までの間にECU70により実行されるSMR50の切り替え制御について詳しく説明する前に、その切り替え制御が実行されない場合の比較例について説明する。
【0063】
図2は、ソーラー充電の終了から外部充電の開始までの間に比較例のECUにより実行される制御を説明するためのタイミングチャートである。
図2において、横軸は時間を表す。縦軸は、上から順番に、ソーラー充電の実行/停止、DC/DCコンバータ97の作動/停止、プラグイン状態の検知/未検知、リレーSMRBの開閉状態、リレーSMRPの開閉状態、リレーSMRGの開閉状態、コンデンサ55の電圧VH、および、外部充電の実行/停止を表す。
【0064】
時刻t0において、ECUは、DC/DCコンバータ97を駆動することによって車両1のソーラー充電を実行している(線305および307)。ECUは、リレーSMRPを開状態に制御しつつ(線320)リレーSMRBおよびSMRGを閉状態に制御している(線315および325)。ソーラー充電の実行中、コンデンサ55の電圧VHは、蓄電装置5の電圧VBに等しい(線330)。
【0065】
時刻t1において、ECUは、車両1の状態がプラグイン状態に切り替わったことを、前述のコントロールパイロット信号に基づいて検知する(線310)。ECUは、プラグイン状態への切り替わりを検知すると、ソーラー充電よりも高出力の外部充電を優先するために、以下に説明されるようにソーラー充電を終了する。
【0066】
時刻t2において、ECUは、ソーラーユニット95のDC/DCコンバータ97を停止することによって(線307)、ソーラー充電を終了する(線305)。さらに、ECUは、リレーSMRBおよびSMRGを閉状態から開状態に切り替える(線315および325)。これにより、コンデンサ55は、放電抵抗56により放電され始める。その結果、コンデンサ55の電圧VHは低下し始め、時刻t3において0になる(線330)。
【0067】
時刻t4において、ECUは、リレーSMRBが溶着しているか否かを診断するために、リレーSMRPを開状態から閉状態に切り替える(線320)。ECUは、時刻t4から時刻t5までの期間中、リレーSMRPの閉状態を維持する。
図2の例では、電圧VHが変化しないため、ECUは、リレーSMRBが溶着していないと診断する。そこで、時刻t5において、ECUは、リレーSMRPを閉状態から開状態に切り替える。
【0068】
時刻t6において、ECUは、リレーSMRGおよびSMRPの少なくとも一方が溶着しているか否かを診断するために、リレーSMRBを開状態から閉状態に切り替える。
図2の例では、電圧VHが変化しないため、ECUは、リレーSMRGおよびSMRPのいずれもが溶着していないと診断する。
【0069】
時刻t7において、ECUは、蓄電装置5から供給される電力を用いてコンデンサ55のプリチャージ制御を開始する。具体的には、ECUは、リレーSMRPを開状態から閉状態に切り替える。これにより、制限抵抗52により電流が制限された状況において蓄電装置5からコンデンサ55に電流が流れ始める。その結果、コンデンサ55の電圧VHが上昇し始める(線330)。
【0070】
時刻t8において、電圧VHがしきい電圧VTHに到達すると、ECUは、コンデンサ55のプリチャージの終了を判断する。そして、ECUは、リレーSMRGを開状態から閉状態に切り替える。これにより、外部充電が開始される(線335)。なお、時刻t8以降、電圧VHが電圧VBまで上昇し、リレーSMRPが閉状態から開状態に切り替えられる(時刻t9)。
【0071】
図2の比較例において、ECUは、リレーSMRPを、その溶着診断のための期間中(時刻t4~時刻t5)に開閉する。さらに、ECUは、リレーSMRPを、コンデンサ55のプリチャージのための期間中(時刻t7~時刻t8)に閉状態に制御し、その後、開状態に切り替える。すなわち、ソーラー充電の終了から外部充電の開始までの間にECUがリレーSMRPを開閉する回数は、2回である(線320)。
【0072】
図3は、本実施の形態においてソーラー充電の終了から外部充電の開始までの間にECU70により実行されるSMR50の切り替え制御を説明するためのタイミングチャートである。
【0073】
図3において、横軸は時間を表す。縦軸は、上から順番に、ソーラー充電の実行/停止、DC/DCコンバータ97の作動/停止、プラグイン状態の検知/未検知、リレーSMRBの開閉状態、リレーSMRPの開閉状態、リレーSMRGの開閉状態、コンデンサ55の電圧VH、および、外部充電の実行/停止を表す。
【0074】
本実施の形態において、時刻t10~時刻t16までの間のECU70による制御は、前述の比較例(
図2)における時刻t0~時刻t6までの間の制御と同様である。具体的には、ECU70は、プラグイン状態への切り替わりの検知(線410)に伴ってソーラー充電を終了し(線405)、コンデンサ55を放電させ、リレーSMRB,SMRPおよびSMRGの溶着の診断を完了する。
【0075】
時刻t17において、ECU70は、電圧センサ91および電流センサ92の検出値に従ってソーラーパネル90の発電電力(DC/DCコンバータ97の入力電力)を算出し、その発電電力がしきい値以上であるか否かを判断する。しきい値は、その値以上の電力がDC/DCコンバータ97に入力されると、変換後の電力によって所定時間内に電圧VHがしきい電圧VTHまで上昇可能な値として適宜予め定められる。所定時間の長さは、ユーザの利便性が保たれるように適宜予め定められる。
図2の例では、発電電力がしきい値以上であるものとする。そこで、ECU70は、ソーラーパネル90による発電電力を用いてコンデンサ55のプリチャージ制御を実行する。具体的には、ECU70は、DC/DCコンバータ97を起動する(線407)。これにより、DC/DCコンバータ97から正極線PLおよび負極線NLに変換後の電力が供給され始めるため、コンデンサ55が充電され始める。その結果、電圧VHが上昇し始める(線430)。このように、本実施の形態では、比較例の場合(
図2の時刻t7~時刻t9)とは異なり、ECU70は、外部充電の開始前にリレーSMRPを開状態から閉状態に切り替えることなく電圧VHを上昇させることができる。
【0076】
時刻t18において、電圧VHがしきい電圧VTHに到達すると、ECU70は、コンデンサ55のプリチャージの終了を判断する。そして、ECU70は、リレーSMRPを開状態に制御しつつ(線420)リレーSMRBおよびSMRGを閉状態に制御する(線415および425)ことによって、外部充電を開始する(線435)。
【0077】
本実施の形態では、比較例(
図2)の場合と同様に、ECU70は、リレーSMRPを、その溶着診断のための期間中(時刻t14~時刻t15)に開閉する。その一方で、比較例の場合とは異なり、ECU70は、外部充電前の時刻t17~時刻t18の期間中に、ソーラーパネル90による発電電力を用いてコンデンサ55をプリチャージさせる。そのため、ECU70は、この期間中にリレーSMRPを開閉する必要がない。よって、ソーラー充電の終了から外部充電の開始までの間に、ECU70は、溶着診断のためにリレーSMRPを開閉するものの、リレーSMRPを開閉する回数は、1回である(線420)。
【0078】
したがって、本実施の形態では、ECU70がリレーSMRPの開閉状態を切り替える回数は、比較例の場合の2回(線320)よりも少ない。その結果、ソーラー充電の実行後の外部充電の開始時に発生する突入電流を低減しつつ、リレーSMRPが消耗することを抑制することができる。
【0079】
なお、上記の説明において、発電電力がしきい値以上であるか否かをECU70が判断するタイミングは、時刻t17であるものとしたが、この時刻に限定されない。ECU70は、ソーラー充電を終了したとき(ソーラー充電の終了時刻である時刻t12から時刻t17までの間の所定期間内)の発電電力がしきい値以上であるか否かを判断してもよい。
【0080】
図4は、ソーラー充電および外部充電に伴う処理の一例を示すフローチャートである。以下の説明において、
図3を適宜参照する。このフローチャートは、ソーラー充電が実行されているときに実行される。なお、ソーラー充電の実行中、リレーSMRBおよびSMRGが閉状態に制御されている一方で、リレーSMRPが開状態に制御されている。
【0081】
ステップS105において、ECU70は、外部電源110がインレット40に電気的に接続されたか否かを判断する。外部電源110がインレット40に接続されていない場合(ステップS105においてNO)、ECU70は、外部電源110がインレット40に接続されるまでこの判断処理を実行する。他方、外部電源110がインレット40に接続された場合(ステップS105においてYES)、ECU70は、その接続を検知し(時刻t11)、ステップS107に処理を進める。
【0082】
次いで、ECU70は、DC/DCコンバータ97を停止するとともに(ステップS107)、リレーSMRBおよびSMRGを閉状態から開状態に切り替える(ステップS110)。これにより、ソーラー充電が終了し(時刻t12)、コンデンサ55は、放電抵抗56により放電される(時刻t12~時刻t13)。
【0083】
その後、ECU70は、リレーSMRBが溶着しているか否かを診断するためにリレーSMRPを開閉する(時刻t14~時刻t15)。ステップS115において、ECU70は、リレーSMRGまたはSMRPの少なくとも一方が溶着しているか否かを診断するために、リレーSMRBを開状態から閉状態に切り替える(時刻t16)。
【0084】
ステップS120において、ECU70は、ソーラーパネル90による発電電力を算出する。そして、ステップS125において、ECU70は、発電電力がしきい値以上であるか否かを判断する。
【0085】
発電電力がしきい値以上である場合(ステップS125においてYES)、ECU70は、ステップS130に処理を進める。ステップS130において、ECU70は、DC/DCコンバータ97を起動する(時刻t17)。これにより、DC/DCコンバータ97からコンデンサ55に電力が供給され始めるため、電圧VHが上昇し始める。その後、ECU70は、ステップS140に処理を進める。
【0086】
他方、発電電力がしきい値未満である場合(ステップS125においてNO)、ECU70は、ステップS135に処理を進める。ステップS135において、ECU70は、通常のプリチャージ制御を実行する。「通常のプリチャージ制御」とは、コンデンサ55が放電された状況において、リレーSMRBを閉状態に制御しつつ、リレーSMRPを閉状態に制御することである。これにより、制限抵抗52により電流が制限された状況において、蓄電装置5からコンデンサ55に電力が供給され始めるため、電圧VHが上昇し始める。このように、ソーラーパネル90による発電電力が、コンデンサ55を十分に充電させることができるほど大きくない場合であっても、蓄電装置5から供給される電力を用いてプリチャージ制御が実行される。ステップS135の後、ECU70は、ステップS140に処理を進める。
【0087】
ステップS140において、ECU70は、電圧VHがしきい電圧VTHに到達したか否かを、電圧センサ60の検出値に従って判断する。電圧VHがしきい電圧VTHに到達していない場合(ステップS140においてNO)、ECU70は、電圧VHがしきい電圧VTHに到達するまで(ステップS140において処理がNOに分岐する間)、この判断処理を実行する。他方、電圧VHがしきい電圧VTHに到達した場合(ステップS140においてYES)、ECU70は、リレーSMRGを開状態から閉状態に切り替える(ステップS145)。これにより、突入電流が低減された状況において外部充電が開始される(時刻t18)。なお、ステップS135の処理が実行された場合には、ECU70は、ステップS145の処理の後、さらに、リレーSMRPを閉状態から開状態に切り替える。
【0088】
以上のように、本実施の形態において、ECU70は、ソーラー充電の実行中に外部電源110がインレット40に電気的に接続された場合に、ソーラー充電を終了する。ECU70は、ソーラー充電の終了に伴い放電されたコンデンサ55を充電するプリチャージ制御を、ソーラーパネル90による発電電力を用いて実行する。そして、ECU70は、プリチャージ制御の実行後、SMR50をオンすることによって外部充電を実行する。
【0089】
これにより、外部充電の開始前に、ソーラーパネル90による発電電力を用いてコンデンサ55がプリチャージされる。そのため、ECU70が、蓄電装置5から供給される電力を用いてコンデンサ55のプリチャージ制御を実行するためにSMR50(より詳細には、リレーSMRP)を切り替える必要がない。その結果、外部充電の開始前にSMR50が切り替えられる回数が減少する。したがって、SMR50が消耗することを抑制することができる。
【0090】
また、本実施の形態によれば、ソーラー充電の実行中に、外部電源110がインレット40に電気的に接続された場合にソーラー充電が終了される。そのため、ソーラー充電と外部充電とが同時に実行されることを防止することができる。よって、蓄電装置5の充電電力を適切に管理することができなくなる事態を回避することができる。
【0091】
[変形例1]
上述の実施の形態では、ECU70は、ソーラー充電の終了に伴い放電されたコンデンサ55を充電するプリチャージ制御を、ソーラーパネル90による発電電力を用いて実行するか否かを、電圧センサ91および電流センサ92の検出値に従って判断するものとした。これに対して、ECU70は、通信装置250により取得された車両1の現在位置の日照情報に従って、上記の判断処理を実行してもよい。前述したように、日照情報は、その現在位置における日射量を表す情報、および、天候を表す情報(例えば、天候が晴れ、曇り、または雨のいずれであるか)などである。
【0092】
ECU70は、例えば、天気予報サイトから、ネットワーク300および通信装置250を通じて、車両1の現在位置における日射量を取得する。ここで、日射量が大きくなるほど、ソーラーパネル90による発電電力が大きくなる。よって、ECU70は、ソーラーパネル90による発電電力を用いてプリチャージ制御を実行するか否かを、日射量が所定のしきい量以上であるか否かに従って判断してもよい。あるいは、ECU70は、日射量と発電電力との関係を予め規定するマップを用いて、現在位置における日射量に従って発電電力を算出する。このマップは、例えば、ECU70のROMに記憶されている。ECU70は、ソーラーパネル90による発電電力を用いてプリチャージ制御を実行するか否かを、マップを用いて算出された発電電力に従って判断してもよい。
【0093】
ECU70は、天気予報サイトから、ネットワーク300および通信装置250を通じて、車両1の現在位置における天候を取得してもよい。例えば、天候が晴れている場合、ECU70は、ソーラー充電を実行可能である。そこで、この場合、ECU70は、ソーラーパネル90による発電電力を用いてプリチャージ制御を実行する。
【0094】
他方、例えば、天候が、曇り、雨または雪である場合、ECU70は、ソーラー充電を実行できない。そこで、この場合、ECU70は、外部充電の開始前に通常のプリチャージ制御を実行する。
【0095】
以上のように、本変形例によれば、ソーラーユニット95において電圧センサ91および電流センサ92が設けられない場合であっても、ECU70は、コンデンサ55の放電後にソーラーパネル90による発電電力を用いてプリチャージ制御を実行するか否かを判断できる。その結果、発電電力を用いてプリチャージ制御が実行される場合、外部充電の開始前にリレーSMRPの開閉状態が切り替えられる回数を、比較例の場合(
図2)よりも減少させることができる。
【0096】
[変形例2]
前述の実施の形態およびその変形例1では、ECU70は、インレット40を通じて外部電源110から供給される電力を用いて蓄電装置5を充電する接触充電を外部充電として実行するものとした。
【0097】
これに対して、車両1が非接触式の受電装置を受電部として備える場合、ECU70は、非接触の充電方式に従って蓄電装置5を充電する非接触充電を実行するように構成されていてもよい。具体的には、給電設備100が非接触式の送電装置を備える場合、車両1の非接触式の受電装置は、上記の送電装置と電磁的に結合することによって、給電設備100から電力を受ける。ECU70は、その受電装置が受けた電力が蓄電装置5に充電されるようにSMR50をオンする。これにより、非接触充電が実行される。
【0098】
ECU70は、ソーラー充電の実行中に、外部電源110が上記の送電装置を通じて上記の受電装置に電気的に接続された場合に、ソーラー充電を終了する。以降の処理は、
図3および
図4を参照して説明された、ECU70による処理と同様である。このように、外部充電の態様は、接触充電に限定されず、非接触充電を含んでいてもよい。
【0099】
[変形例3]
前述の実施の形態ならびにその変形例1および2では、ソーラー充電の終了後、コンデンサ55は、放電抵抗56により放電されるものとした。
【0100】
これに対して、ECU70は、トルクを出力することなく電力を消費するようにMG25を制御することによって、コンデンサ55を放電してもよい。具体的には、ECU70は、MG25のロータに形成される磁束の方向に電流が流れるように、PCU20のスイッチング素子を制御してもよい。このようにコンデンサ55が放電される場合、放電抵抗56は、設けられていなくてもよい。この場合、ソーラー充電の実行中、および外部充電の実行中の、放電抵抗56における電力損失を回避することができる。
【0101】
[変形例4]
ECU70は、ソーラー充電を終了するときの蓄電装置5のSOCの上昇率が所定のしきい率であるか否かに従って、ソーラーパネル90による発電電力がしきい値以上であるか否かを判断してもよい。蓄電装置5のSOCの上昇率は、発電電力に関係している。具体的には、ソーラーパネル90による発電電力が大きくなるほど、DC/DCコンバータ97による変換後の電力が大きくなるため、蓄電装置5のSOCの上昇率が大きくなる。そのため、発電電力が前述のしきい値以上になるような、SOCの上昇率が実験などにより適宜予め定められている場合、ECU70は、蓄電装置5のSOCの上昇率に従って、発電電力がしきい値以上であるか否かを判断してもよい。これにより、電圧センサ91、電流センサ92および通信装置250が設けられない場合であっても、ECU70は、発電電力を用いてプリチャージ制御を実行するか否かを判断できる。
【0102】
[変形例5]
前述の実施の形態ならびにその変形例1~4では、ソーラーユニット95および外部充電機構(充電装置200、リレー59およびインレット40)は、SMR50とPCU20との間の電力線対(正極線PLおよび負極線NL)に接続されるものとした。これに対して、本変形例では、ソーラーユニット95および外部充電機構は、充電リレー50A(後述)を介して蓄電装置5側に接続される。
【0103】
図5は、変形例5に従う車両の構成を概略的に示す図である。
図5を参照して、車両2は、充電リレー50Aを備える。充電リレー50Aは、リレーRYB,RYPおよびRYGと、制限抵抗52Aとを備える。リレーRYBは、正極線PLAに接続される。リレーRYGは、負極線NLAに接続される。リレーRYPおよびそれに直列に接続される制限抵抗52Aは、リレーRYGに並列に接続される。
【0104】
正極線PLAおよび負極線NLAを含んで構成される電力線対の間には、コンデンサ55Aと、それに並列に接続される放電抵抗56Aとが設けられる。ソーラーユニット95および外部充電機構は、この電力線対に対して並列に接続される。
【0105】
本変形例において、前述の実施の形態の場合と同様に、ECU70は、ソーラー充電の実行中に外部電源110がインレット40に電気的に接続された場合に、ソーラー充電を終了する。ECU70は、ソーラー充電の終了に伴い放電されたコンデンサ55Aを充電するプリチャージ制御を、ソーラーパネル90による発電電力を用いて実行する。このプリチャージ制御は、充電リレー50Aがオンされる前(例えば、外部充電の開始前)にコンデンサ55Aを予め充電するための制御である。そして、ECU70は、プリチャージ制御の実行後、充電リレー50Aをオンすることによって外部充電を実行する。
【0106】
なお、充電リレー50Aの「オフ状態」とは、リレーRYB,RYGおよびRYPが開いている状態である。充電リレー50Aの「オン状態」とは、リレーRYBおよびRYGが閉じている状態である。充電リレー50Aを「オンする」とは、充電リレー50Aをオフ状態からオン状態に切り替えることである。充電リレー50Aを「オフする」とは、充電リレー50Aをオン状態からオフ状態に切り替えることである。
【0107】
上記の発電電力を用いてプリチャージ制御が実行されることにより、ECU70は、蓄電装置5から供給される電力を用いたコンデンサ55Aの通常のプリチャージ制御を実行するために充電リレー50A(より詳細には、リレーRYP)を切り替える必要がない。その結果、前述の実施の形態のSMR50と同様に、外部充電の開始前に充電リレー50Aが切り替えられる回数が減少する。したがって、本変形例によれば、充電リレー50Aの通常のプリチャージ制御が実行される場合よりも、充電リレー50Aが消耗することを抑制することができる。なお、充電リレー50Aの「通常のプリチャージ制御」とは、コンデンサ55Aが放電された状況において、リレーRYBを閉状態に制御しつつ、リレーRYPを閉状態に制御することである。
【0108】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内で全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0109】
5 蓄電装置、40 インレット、52 制限抵抗、55 コンデンサ、56 放電抵抗、SMRB,SMRG,SMRP リレー、90 ソーラーパネル、93 電力線、95 ソーラーユニット、97 DC/DCコンバータ、100 給電設備、110 外部電源、200 充電装置、250 通信装置。