(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191601
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】保全業務支援装置、保全業務支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20120101AFI20221221BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099912
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】宗 陽一郎
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA63
3C100BB12
3C100BB13
3C100CC03
5L049AA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の機械の全ての保全作業を異なる業者が行うことによる無駄の発生を抑制する保全業務支援装置、保全業務支援方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】複数の機械を含むプラントにおける複数の機械の保全計画における保全業務支援装置100は、複数の機械の各機械の保全内容を含む保全計画を取得する取得部と、複数の機械の各機械の保全作業を行う業者を、保全計画に含まれる各機械の保全内容に基づいて、複数の機械のうちの少なくとも1つの機械の保全作業を同じ業者が行うように決定する決定部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機械を含むプラントにおける当該複数の機械の保全計画であって、当該複数の機械の各機械の保全内容を含む保全計画を取得する取得部と、
前記複数の機械の各機械の保全作業を行う業者を、前記保全計画に含まれる当該各機械の保全内容に基づいて、当該複数の機械のうちの少なくとも1つの機械の保全作業を同じ業者が行うように決定する決定部と
を備えたことを特徴とする保全業務支援装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記複数の機械の各機械の保全作業を行う業者を、当該各機械の保全内容毎の作業時間の当該各機械についての総和に基づいて、決定することを特徴とする請求項1に記載の保全業務支援装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記複数の機械の各機械の保全作業を行う業者を、当該各機械の保全内容毎の作業コストの当該各機械についての総和に基づいて、決定することを特徴とする請求項1に記載の保全業務支援装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記複数の機械の各機械の保全作業を行う業者を、当該各機械の保全内容毎の作業時間の当該各機械についての合計である合計作業時間と、当該各機械の保全内容毎の作業コストの当該各機械についての合計である合計作業コストとに基づいて、決定することを特徴とする請求項1に記載の保全業務支援装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記複数の機械の各機械の保全作業を行う業者を、前記合計作業時間の目標作業時間からの削減度合いと前記合計作業コストの目標作業コストからの削減度合いとの比較結果に基づいて、決定することを特徴とする請求項4に記載の保全業務支援装置。
【請求項6】
前記決定部は、前記複数の機械の各機械の保全作業を行う業者を、当該各機械の保全内容毎の複数の業者が共通に実行可能かどうかを示す情報に基づいて、前記少なくとも1つの機械の保全作業を同じ業者が行うように決定することを特徴とする請求項1に記載の保全業務支援装置。
【請求項7】
前記決定部は、前記複数の機械の各機械の保全作業を行う業者を、当該各機械の保全内容毎の作業スキルレベルと前記複数の業者の各業者の業者スキルレベルとの比較結果に更に基づいて、前記少なくとも1つの機械の保全作業を同じ業者が行うように決定することを特徴とする請求項6に記載の保全業務支援装置。
【請求項8】
前記決定部は、前記複数の機械の各機械の保全作業を行う業者を、当該各機械の保全作業の前記少なくとも1つの機械間での時間的な重なり状況に更に基づいて、当該少なくとも1つの機械の保全作業を同じ業者が行うように決定することを特徴とする請求項6に記載の保全業務支援装置。
【請求項9】
前記取得部は、前記複数の機械の各機械の保全箇所毎の標準保全周期に基づいて生成された前記保全計画を取得することを特徴とする請求項1に記載の保全業務支援装置。
【請求項10】
前記取得部は、前記複数の機械の各機械の保全内容毎の過去の保全作業における状態及び処置に更に基づいて生成された前記保全計画を取得することを特徴とする請求項9に記載の保全業務支援装置。
【請求項11】
前記取得部は、前記複数の機械の各機械の保全作業を行わないことが前記プラント全体に及ぼす影響に更に基づいて生成された前記保全計画を取得することを特徴とする請求項9に記載の保全業務支援装置。
【請求項12】
前記取得部は、前記複数の機械の各機械の保全内容毎の保全作業を行わないことが当該各機械の稼働に及ぼす影響に更に基づいて生成された前記保全計画を取得することを特徴とする請求項9に記載の保全業務支援装置。
【請求項13】
コンピュータの取得部が、複数の機械を含むプラントにおける当該複数の機械の保全計画であって、当該複数の機械の各機械の保全内容を含む保全計画を取得するステップと、
コンピュータの決定部が、前記複数の機械の各機械の保全作業を行う業者を、前記保全計画に含まれる当該各機械の保全内容に基づいて、当該複数の機械のうちの少なくとも1つの機械の保全作業を同じ業者が行うように決定するステップと
を含むことを特徴とする保全業務支援方法。
【請求項14】
コンピュータに、
複数の機械を含むプラントにおける当該複数の機械の保全計画であって、当該複数の機械の各機械の保全内容を含む保全計画を取得する機能と、
前記複数の機械の各機械の保全作業を行う業者を、前記保全計画に含まれる当該各機械の保全内容に基づいて、当該複数の機械のうちの少なくとも1つの機械の保全作業を同じ業者が行うように決定する機能と
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の生産財機械を含むプラントにおける生産財機械の保全業務を支援する保全業務支援装置、保全業務支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、営業対象の顧客情報に基づく支援情報を情報受給者に提供する建設機械の営業支援システムであって、サーバが、営業パソコンを介し入力された顧客に関する検索条件に基づいて、営業パソコンに、データベースに予め記憶された顧客情報から検索条件に合致したものを抽出して表示する抽出表示信号を出力し、営業パソコンを介し入力された、図象化表示に用いる少なくとも2つの評価項目の組み合わせに基づいて、抽出した顧客情報を分析評価し情報受給者側の情報端末に表示する評価表示信号を出力する営業支援システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の機械の全ての保全作業を異なる業者が行うようにした場合、保全時間又は保全費用の面で無駄が発生してしまう可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、複数の機械の全ての保全作業を異なる業者が行うことによる無駄の発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本発明は、複数の機械を含むプラントにおける複数の機械の保全計画であって、複数の機械の各機械の保全内容を含む保全計画を取得する取得部と、複数の機械の各機械の保全作業を行う業者を、保全計画に含まれる各機械の保全内容に基づいて、複数の機械のうちの少なくとも1つの機械の保全作業を同じ業者が行うように決定する決定部とを備えた保全業務支援装置を提供する。
【0007】
決定部は、複数の機械の各機械の保全作業を行う業者を、各機械の保全内容毎の作業時間の各機械についての総和に基づいて、決定する、ものであってよい。
【0008】
決定部は、複数の機械の各機械の保全作業を行う業者を、各機械の保全内容毎の作業コストの各機械についての総和に基づいて、決定する、ものであってよい。
【0009】
決定部は、複数の機械の各機械の保全作業を行う業者を、各機械の保全内容毎の作業時間の各機械についての合計である合計作業時間と、各機械の保全内容毎の作業コストの各機械についての合計である合計作業コストとに基づいて、決定する、ものであってよい。その場合、決定部は、複数の機械の各機械の保全作業を行う業者を、合計作業時間の目標作業時間からの削減度合いと合計作業コストの目標作業コストからの削減度合いとの比較結果に基づいて、決定する、ものであってよい。
【0010】
決定部は、複数の機械の各機械の保全作業を行う業者を、各機械の保全内容毎の複数の業者が共通に実行可能かどうかを示す情報に基づいて、少なくとも1つの機械の保全作業を同じ業者が行うように決定する、ものであってよい。その場合、決定部は、複数の機械の各機械の保全作業を行う業者を、各機械の保全内容毎の作業スキルレベルと複数の業者の各業者の業者スキルレベルとの比較結果に更に基づいて、少なくとも1つの機械の保全作業を同じ業者が行うように決定する、ものであってよい。また、決定部は、複数の機械の各機械の保全作業を行う業者を、各機械の保全作業の少なくとも1つの機械間での時間的な重なり状況に更に基づいて、少なくとも1つの機械の保全作業を同じ業者が行うように決定する、ものであってよい。
【0011】
取得部は、複数の機械の各機械の保全箇所毎の標準保全周期に基づいて生成された保全計画を取得する、ものであってよい。その場合、取得部は、複数の機械の各機械の保全内容毎の過去の保全作業における状態及び処置に更に基づいて生成された保全計画を取得する、ものであってよい。また、取得部は、複数の機械の各機械の保全作業を行わないことがプラント全体に及ぼす影響に更に基づいて生成された保全計画を取得する、ものであってよい。更に、取得部は、複数の機械の各機械の保全内容毎の保全作業を行わないことが各機械の稼働に及ぼす影響に更に基づいて生成された保全計画を取得する、ものであってよい。
【0012】
また、本発明は、コンピュータの取得部が、複数の機械を含むプラントにおける複数の機械の保全計画であって、複数の機械の各機械の保全内容を含む保全計画を取得するステップと、コンピュータの決定部が、複数の機械の各機械の保全作業を行う業者を、保全計画に含まれる各機械の保全内容に基づいて、複数の機械のうちの少なくとも1つの機械の保全作業を同じ業者が行うように決定するステップとを含む保全業務支援方法も提供する。
【0013】
更に、本発明は、コンピュータに、複数の機械を含むプラントにおける複数の機械の保全計画であって、複数の機械の各機械の保全内容を含む保全計画を取得する機能と、複数の機械の各機械の保全作業を行う業者を、保全計画に含まれる各機械の保全内容に基づいて、複数の機械のうちの少なくとも1つの機械の保全作業を同じ業者が行うように決定する機能とを実現させるためのプログラムも提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の機械の全ての保全作業を異なる業者が行うことによる無駄の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態における保全業務支援システムの全体構成例を示した図である。
【
図2】本発明の実施の形態における保全業務支援装置のハードウェア構成例を示した図である。
【
図3】本発明の実施の形態における保全業務支援装置の機能構成例を示したブロック図である。
【
図4】本発明の実施の形態におけるデータベースの構成例を示したブロック図である。
【
図5】生産財機械管理DBの構成例を示した図である。
【
図6】ユニット管理DBの構成例を示した図である。
【
図7】主要部位管理DBの構成例を示した図である。
【
図8】点検箇所管理DBの構成例を示した図である。
【
図9】点検内容管理DBの構成例を示した図である。
【
図10】状態項目管理DBの構成例を示した図である。
【
図11】処置内容管理DBの構成例を示した図である。
【
図12】工事実施管理DBの構成例を示した図である。
【
図13】工事条件管理DBの構成例を示した図である。
【
図14】工事計画管理DBの構成例を示した図である。
【
図15】保全業者管理DBの構成例を示した図である。
【
図16】共通点検内容管理DBの構成例を示した図である。
【
図17】共通点検能力管理DBの構成例を示した図である。
【
図18】作業期間管理DBの構成例を示した図である。
【
図19】作業計画管理DBの構成例を示した図である。
【
図20】確定作業管理DBの構成例を示した図である。
【
図21】本発明の実施の形態で表示される工事一覧画面を示した図である。
【
図22】本発明の実施の形態で表示される工事計画画面を示した図である。
【
図23】本発明の実施の形態における保全業務支援装置の工事計画作成部の動作例を示したフローチャートである。
【
図24】
図23のステップ406の点検時期候補算出処理の流れを示したフローチャートである。
【
図25】
図23のステップ408の点検箇所抽出処理の流れを示したフローチャートである。
【
図26-1】
図23のステップ410の点検箇所確定処理の流れを示したフローチャートである。
【
図26-2】
図23のステップ410の点検箇所確定処理の流れを示したフローチャートである。
【
図26-3】
図23のステップ410の点検箇所確定処理の流れを示したフローチャートである。
【
図27】
図23のステップ406の点検時期候補算出処理の流れを示したフローチャートである。
【
図28】本発明の実施の形態で表示される工事一覧画面を示した図である。
【
図29】本発明の実施の形態で表示される工事計画画面を示した図である。
【
図30】本発明の実施の形態で表示される工事計画画面を示した図である。
【
図31】本発明の実施の形態で表示される工事一覧画面を示した図である。
【
図32】本発明の実施の形態で表示される工事一覧画面を示した図である。
【
図33】本発明の実施の形態で表示される工事詳細画面を示した図である。
【
図34】本発明の実施の形態で表示される工事一覧画面を示した図である。
【
図35】本発明の実施の形態で表示される工事一覧画面を示した図である。
【
図36】本発明の実施の形態における保全業務支援装置の作業指示作成部の動作例を示したフローチャートである。
【
図37】
図36のステップ501の候補業者選定処理の流れを示したフローチャートである。
【
図38】
図36のステップ502の共通点検内容抽出処理の流れを示したフローチャートである。
【
図39】
図38のフローチャートで示した処理について模式的に説明した図である。
【
図40】
図36のステップ503の最適候補業者抽出処理の流れを示したフローチャートである。
【
図41】
図36のステップ504の再計算処理の流れを示したフローチャートである。
【
図42】
図36のステップ505の作業指示確定処理の流れを示したフローチャートである。
【
図43】本発明の実施の形態で表示される作業指示画面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
[本実施の形態の背景]
例えば、メーカ等の生産活動におけるエネルギー動力源としてのプロセスガス圧縮機や化学プラント等の製造装置又は生産装置といった、一般に、非汎用で一品一様な、それ故、高額な産業用の機械製品がある。本実施の形態で対象とする生産財機械等の保全業務とは、このような機械製品の性能を長期間維持するため、定期的にプラントを停止し、その機械製品を分解又は解体して機能を点検したり、機能を復旧させるために補修工事を行ったりすることである。
【0018】
また、本実施の形態の保全業務は、対象機械が一品一様であるため、その業務自体一品一様で、かつ複雑多岐な業務内容になる傾向又は要素が強く、また1回の保全業務に要する時間(リードタイム)も一定以上となり保全費用も高額化する、といった課題がある。
【0019】
[保全業務支援システムの構成]
図1は、本実施の形態における保全業務支援システム1の全体構成例を示した図である。図示するように、保全業務支援システム1は、保全業務支援装置100と、データベース200と、端末装置300とを備えている。保全業務支援装置100及び端末装置300は、インターネット(ワイドエリアネットワーク)等の通信ネットワークに接続されており、相互にデータ通信が可能である。
【0020】
保全業務支援装置100は、例えばサーバ型コンピュータ等のコンピュータである。端末装置300は、例えばラップトップ型コンピュータ又はデスクトップ型コンピュータ等のコンピュータである。端末装置300は、オーバーホール工事の計画を策定する計画策定者又はオーバーホール工事の作業を指示する作業指示者によって使用される。端末装置300の数は1つに限らず、2つ以上であってもよい。
【0021】
保全業務支援装置100は、データベース200にアクセス可能である。データベース200は、保全業務支援装置100の内部に設けられてもよいし、保全業務支援装置100の外部に設けられ、通信ネットワークを通じてアクセスされてもよい。
【0022】
保全業務支援装置100は、例えばHTTPデーモンを起動しており、端末装置300からブラウザを介して送信された処理要求(HTTPリクエスト)を受け付けると、処理要求に応じた処理結果(HTTPレスポンス)を端末装置300に返答する。
【0023】
例えば、保全業務支援装置100は、ウェブページ記述言語で記述されたページデータを処理結果として端末装置300に送信し、端末装置300は、保全業務支援装置100から受信したページデータを表すページ画像を自機の表示部に出力する。
【0024】
[保全業務支援装置のハードウェア構成]
図2は、本実施の形態における保全業務支援装置100のハードウェア構成例を示した図である。
【0025】
図示するように、保全業務支援装置100は、例えば汎用のPC(Personal Computer)等により実現され、演算手段であるCPU11と、記憶手段であるメインメモリ12及び磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)13とを備える。ここで、CPU11は、OS(Operating System)やアプリケーションソフトウェア等の各種プログラムを実行し、保全業務支援装置10の各機能を実現する。また、メインメモリ12は、各種プログラムやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域である。そして、HDD13は、各種プログラムに対する入力データや各種プログラムからの出力データ等を記憶する記憶領域である。
【0026】
また、保全業務支援装置100は、外部との通信を行うための通信I/F14と、ビデオメモリやディスプレイ等からなる表示機構15と、キーボードやマウス等の入力デバイス16と、記憶媒体に対してデータの読み書きを行うためのドライバ17とを備える。尚、
図2は、保全業務支援装置100をコンピュータシステムにて実現した場合のハードウェア構成を例示するに過ぎず、保全業務支援装置100は図示の構成に限定されない。
【0027】
[保全業務支援装置の構成]
図3は、本実施の形態における保全業務支援装置100の機能構成例を示したブロック図である。図示するように、保全業務支援装置100は、受信部101と、工事計画作成部102と、作業指示作成部103と、画面作成部104と、送信部105とを備える。
【0028】
受信部101は、端末装置300に表示された画面上で入力された情報を受信する。
【0029】
工事計画作成部102は、受信部101が受信した情報と、データベース200に記憶された情報とに基づいて、オーバーホール工事計画を作成し、そのオーバーホール工事計画の情報をデータベース200に記憶する。ここで、オーバーホール工事計画とは、複数の生産財機械を含むプラントにおけるその複数の生産財機械の工事計画である。特に、この工事計画は、複数の生産財機械の生産財機械毎の点検内容を含む。即ち、オーバーホール工事計画は、複数の機械を含むプラントにおける複数の機械の保全計画であって、複数の機械の各機械の保全内容を含む保全計画の一例である。尚、以下では、保全業務支援装置100がオーバーホール工事計画を作成するものとして説明するが、保全業務支援装置100は別の装置で作成されたオーバーホール工事を取得するものであってもよい。その意味で、工事計画作成部102は、保全計画を取得する取得部の一例である。
【0030】
作業指示作成部103は、受信部101が受信した情報と、データベース200に記憶された情報とに基づいて、オーバーホール工事の作業指示を作成し、その作業指示の情報をデータベース200に記憶する。その際、作業指示作成部103は、データベース200に記憶されたオーバーホール工事計画の情報に含まれる生産財機械毎の点検内容の情報に基づいて、生産財機械毎の工事を行う保全業者を決定する。また、特に、作業指示作成部103は、複数の生産財機械のうちの少なくとも1つの生産財機械の間で共通の点検内容については、できるだけ同じ保全業者が行うように調整する。即ち、作業指示作成部103は、複数の機械の各機械の保全作業を行う業者を、保全計画に含まれる各機械の保全内容に基づいて、複数の機械のうちの少なくとも1つの機械の保全作業を同じ業者が行うように決定する決定部の一例である。
【0031】
画面作成部104は、工事計画作成部102により作成されたオーバーホール工事計画又は作業指示作成部103により作成されたオーバーホール工事の作成指示を含む画面を作成する。
【0032】
送信部105は、画面作成部104により作成された画面を端末装置300へ送信する。
【0033】
[データベースの構成]
図4は、本実施の形態におけるデータベース200の構成例を示した図である。図示するように、データベース200は、生産財機械管理DB201と、ユニット管理DB202と、主要部位管理DB203と、点検箇所管理DB204と、点検内容管理DB205とを含む。また、データベース200は、状態項目管理DB206と、処置内容管理DB207と、工事実施管理DB208と、工事条件管理DB209と、工事計画管理DB210とを含む。更に、データベース200は、保全業者管理DB211と、共通点検内容管理DB212と、共通点検能力管理DB213と、作業期間管理DB214と、作業計画管理DB215と、確定作業計画管理DB216とを含む。
【0034】
生産財機械管理DB201は、顧客のプラント(工場)を構成する複数の生産財機械を管理するデータベースである。
図5は、生産財機械管理DB201の構成例を示した図である。図示するように、生産財機械管理DB201は、顧客IDと、顧客名称と、プラントIDと、プラント名称と、機械IDと、機械名称と、プラント生産影響度とを含む。
【0035】
顧客IDは、顧客を特定するIDであり、顧客名称は、顧客の名称である。プラントIDは、顧客のプラントを特定するIDであり、プラント名称は、顧客のプラントの名称である。機械IDは、顧客のプラントを構成する生産財機械を特定するIDであり、機械名称は、その生産財機械の名称である。
【0036】
これに加えて、生産財機械管理DB201では、生産財機械毎に、プラント生産影響度が、リスクアセスメント的考え方に基づいて算出され、設定される。プラント生産影響度は、対応する生産財機械が万が一故障した場合にその故障がプラント全体の生産活動に及ぼす影響度合である。プラント生産影響度としては、例えば、「1」から「5」の整数値が、値が大きい程、影響度が高くなるように設定されるとよい。
【0037】
ユニット管理DB202は、生産財機械を構成する複数の機能ユニット(以下、単に「ユニット」という)を管理するデータベースである。
図6は、ユニット管理DB202の構成例を示した図である。図示するように、ユニット管理DB202は、顧客IDと、プラントIDと、機械IDと、ユニットIDと、ユニット名称と、稼働開始時期とを含む。
【0038】
顧客IDは、顧客を特定するIDであり、プラントIDは、顧客のプラントを特定するIDであり、機械IDは、対応する顧客のプラントを構成する生産財機械を特定するIDである。ユニットIDは、対応する生産財機械を構成するユニットを特定するIDであり、ユニット名称は、そのユニットの名称である。
【0039】
これに加えて、ユニット管理DB202では、ユニット毎に、稼働開始時期が管理される。稼働開始時期は、対応するユニットが稼働を開始した時期である。稼働開始時期は、例えば、稼働開始年月によって設定されるとよい。
【0040】
主要部位管理DB203は、ユニットを構成する複数の主要部位を管理するデータベースである。
図7は、主要部位管理DB203の構成例を示した図である。図示するように、主要部位管理DB203は、機械IDと、ユニットIDと、主要部位IDと、主要部位名称とを含む。
【0041】
機械IDは、生産財機械を特定するIDであり、ユニットIDは、ユニットを特定するIDである。主要部位IDは、ユニットIDで特定されるユニットの主要部位を特定するIDであり、主要部位名称は、ユニットIDで特定されるユニットの主要部位の名称である。
【0042】
点検箇所管理DB204は、主要部位を構成する複数の点検箇所を管理するデータベースである。
図8は、点検箇所管理DB204の構成例を示した図である。図示するように、点検箇所管理DB204は、機械IDと、ユニットIDと、主要部位IDと、点検箇所IDと、点検箇所名称と、標準点検周期とを含む。
【0043】
機械IDは、生産財機械を特定するIDであり、ユニットIDは、ユニットを特定するIDであり、主要部位IDは、主要部位を特定するIDである。点検箇所IDは、主要部位IDで特定される主要部位の点検箇所を特定するIDであり、点検箇所名称は、主要部位IDで特定される主要部位の点検箇所の名称である。
【0044】
これに加えて、点検箇所管理DB204では、点検箇所毎に、標準点検周期が、初期納入時の設計仕様から算出され、設定される。標準点検周期は、点検箇所単位での標準的な点検実施周期である。標準点検周期は、例えば、月数によって設定されるとよい。尚、標準点検周期は、基本的には、上述したように、初期納入時の設計仕様から算出された周期であるが、納入後の機能拡張によって変更されてもよい。
【0045】
点検内容管理DB205は、点検箇所を構成する複数の点検内容を管理するデータベースである。
図9は、点検内容管理DB205の構成例を示した図である。図示するように、点検内容管理DB205は、機械IDと、ユニットIDと、主要部位IDと、点検箇所IDと、点検内容IDと、点検内容名称と、標準作業時間と、標準作業コストと、機械稼働影響度と、共通点検内容IDと、作業スキルレベルとを含む。
【0046】
機械IDは、生産財機械を特定するIDであり、ユニットIDは、ユニットを特定するIDであり、主要部位IDは、主要部位を特定するIDであり、点検箇所IDは、点検箇所を特定するIDである。点検内容IDは、点検内容を特定するIDであり、点検内容名称は、点検内容の名称である。標準作業時間は、標準作業人員数で点検内容を実施する際の作業時間である。標準作業時間は、例えば、時間(h)によって設定されるとよい。標準作業コストは、標準作業人員数で点検内容を実施する際の費用である。標準作業コストは、例えば、千円を単位として設定されるとよい。
【0047】
これに加えて、点検内容管理DB205では、点検内容毎に、機械稼働影響度が、初期納入時の設計仕様から算出され、設定される。機械稼働影響度は、対応する点検内容を実施しなかった場合にそのことが生産財機械の安定稼働にマイナス影響を及ぼす度合である。機械稼働影響度としては、例えば、「1」から「5」の整数値が、値が大きい程、重要性が高くなるように設定されるとよい。
【0048】
また、共通点検内容IDは、対応する点検内容が共通点検内容管理DB212内の共通点検内容に該当する場合にその共通点検内容を特定するIDである。作業スキルレベルは、対応する共通点検内容を実施するのに必要な委託業者又は作業者のスキルレベル値である。作業スキルレベルとしては、例えば、「1」から「5」の整数値が、値が大きい程、レベルが高くなるように設定されるとよい。
【0049】
状態項目管理DB206には、点検箇所の点検内容毎に、生産財機械を分解した際の状態を評価する指標として、一般的に想定される複数の状態項目が設定される。
図10は、状態項目管理DB206の構成例を示した図である。図示するように、状態項目管理DB206は、機械IDと、ユニットIDと、主要部位IDと、点検箇所IDと、点検内容IDと、状態項目IDと、状態項目名称と、周期マイナス影響度とを含む。
【0050】
機械IDは、生産財機械を特定するIDであり、ユニットIDは、ユニットを特定するIDであり、主要部位IDは、 主要部位を特定するIDであり、点検箇所IDは、点検箇所を特定するIDであり、点検内容IDは、点検内容を特定するIDである。
【0051】
状態項目IDは、点検内容IDで特定される点検内容を実施した際の想定される状態項目を特定するIDであり、状態項目名称は、その状態項目の名称である。ここで、状態項目IDとしては、例えば、「1」から「5」の整数値が設定されるとよい。そして、状態項目ID「1」~「5」の状態項目は、次のように定義すればよい。即ち、状態項目ID「1」の状態項目は、「良好」とすればよい。状態項目ID「2」の状態項目は、「軽微な異常(補修、交換等は不要)」とすればよい。状態項目ID「3」の状態項目は、「将来的には補修、交換等を行うのが望ましいが、運転調整等の処置を行わずに継続運用可能なレベルの異常」とすればよい。状態項目ID「4」の状態項目は、「次回点検時に補修、交換等を行うのが望ましいが、運転調整等の処置を行って継続運用可能なレベルの異常」とすればよい。状態項目ID「5」の状態項目は、「今回点検時に補修、交換等が必要なレベルの異常」とすればよい。
【0052】
これに加えて、状態項目管理DB206では、状態項目毎に、生産財機械を分解した際の状態に応じた点検箇所における周期マイナス影響度が設定される。周期マイナス影響度は、生産財機械を分解した際の状態が対応する状態項目であった場合の標準点検周期へのマイナスの影響度である。周期マイナス影響度としては、例えば、「0」から「1」までの値が設定されるとよい。
【0053】
処置内容管理DB207は、点検箇所の点検内容毎に、生産財機械を分解後の作業処置の内容として、一般的に想定される複数の処置内容が設定される。
図11は、処置内容管理DB207の構成例を示した図である。図示するように、処置内容管理DB207は、機械IDと、ユニットIDと、主要部位IDと、点検箇所IDと、点検内容IDと、処置内容IDと、処置内容名称と、周期プラス影響度とを含む。
【0054】
機械IDは、生産財機械を特定するIDであり、ユニットIDは、ユニットを特定するIDであり、主要部位IDは、主要部位を特定するIDであり、点検箇所IDは、点検箇所を特定するIDであり、点検内容IDは、点検内容を特定するIDである。
【0055】
処置内容IDは、点検内容IDで特定される点検内容を実施した際に行うことが想定される処置内容を特定するIDであり、処置内容名称は、その処置内容の名称である。ここで、処置内容IDとしては、例えば、「1」から「5」の整数値が設定されるとよい。そして、状態項目ID「1」~「5」の状態項目は、次のように定義すればよい。即ち、処置内容ID「1」の処置内容は、「通常処置による復旧」とすればよい。処置内容ID「2」の処置内容は、「運転調整等を実施しての復旧」とすればよい。処置内容ID「3」の処置内容は、「応急処置的補修による復旧」とすればよい。処置内容ID「4」の処置内容は、「交換相当の補修による復旧」とすればよい。処置内容ID「5」の処置内容は、「交換による復旧」とすればよい。
【0056】
これに加えて、処置内容管理DB207では、処置内容毎に、組立時処置内容に応じた点検箇所における周期プラス影響度が設定される。周期プラス影響度は、対応する処置内容を実施した場合の標準点検周期へのプラスの影響度である。周期プラス影響度としては、例えば、「0」から「1」までの値が設定されるとよい。
【0057】
工事実施管理DB208は、生産財機械のユニット別に前回のオーバーホール工事の実施内容を管理するデータベースである。
図12は、工事実施管理DB208の構成例を示した図である。図示するように、工事実施管理DB208は、工事IDと、工事実施時期と、機械IDと、ユニットIDと、主要部位IDと、点検箇所IDと、点検内容IDと、状態項目IDと、処置内容IDと、備忘録とを含む。
【0058】
工事IDは、オーバーホール工事を特定するIDであり、プラントの定期点検や補修工事の機会毎に割り当てられる。工事実施時期は、オーバーホール工事を実施した時期である。工事実施時期は、例えば、工事実施年月によって設定されるとよい。機械IDは、オーバーホール工事を実施した生産財機械を特定するIDである。ユニットIDは、オーバーホール工事を実施した生産財機械のユニットを特定するIDである。主要部位IDは、オーバーホール工事を実施した生産財機械の主要部位を特定するIDである。点検箇所IDは、オーバーホール工事を実施した生産財機械の点検箇所を特定するIDである。点検内容IDは、オーバーホール工事を実施した生産財機械の点検内容を特定するIDである。状態項目IDは、オーバーホール工事を実施した際の状態項目を特定するIDである。処置内容IDは、オーバーホール工事を実施した際の処置内容を特定するIDである。備忘録は、オーバーホール工事を実施した際に点検作業者が記入したコメント情報である。
【0059】
工事条件管理DB209は、オーバーホール工事を実施する際の条件を管理するデータベースである。
図13は、工事条件管理DB209の構成例を示した図である。図示するように、工事条件管理DB209は、プラントIDと、工事IDと、工事開始日と、プラント停止可能日数と、工事総予算と、計画総時間と、計画総コストとを含む。
【0060】
プラントIDは、顧客のプラントを特定するIDである。工事IDは、オーバーホール工事を特定するIDであり、プラントの定期点検や補修工事の機会毎に割り当てられる。工事開始日は、オーバーホール工事を開始した日である。工事開始日は、例えば、年月日によって設定されるとよい。プラント停止可能日数は、オーバーホール工事を実施するためにプラントを停止することが可能な日数である。プラント停止可能日数は、例えば、日を単位として設定されるとよい。工事総予算は、オーバーホール工事の実施に要する予算である。工事総予算は、例えば、千円を単位として設定されるとよい。計画総時間は、オーバーホール工事を実施するのに要する総作業時間である。計画総時間は、例えば、時間(h)を単位として設定されるとよい。計画総コストは、オーバーホール工事を実施するのに要する総費用である。計画総コストは、例えば、千円を単位として設定されるとよい。
【0061】
工事計画管理DB210は、生産財機械のユニット別に次回のオーバーホール工事の計画内容を管理するデータベースである。
図14は、工事計画管理DB210の構成例を示した図である。図示するように、工事計画管理DB210は、工事IDと、工事実施時期と、機械IDと、ユニットIDと、主要部位IDと、点検箇所IDと、点検内容IDとを含む。
【0062】
工事IDは、オーバーホール工事を特定するIDであり、プラントの定期点検や補修工事の機会毎に割り当てられる。工事実施時期は、オーバーホール工事を実施した時期である。工事実施時期は、例えば、工事実施年月によって設定されるとよい。機械IDは、オーバーホール工事を実施する生産財機械を特定するIDである。ユニットIDは、オーバーホール工事を実施する生産財機械のユニットを特定するIDである。主要部位IDは、オーバーホール工事を実施する生産財機械の主要部位を特定するIDである。点検箇所IDは、オーバーホール工事を実施する生産財機械の点検箇所を特定するIDである。点検内容IDは、オーバーホール工事を実施する生産財機械の点検内容を特定するIDである。
【0063】
保全業者管理DB211は、生産財機械別に保全工事を行う保全業者を管理するデータベースである。
図15は、保全業者管理DB211の構成例を示した図である。図示するように、保全業者管理DB211は、業者IDと、業者名称と、機械IDとを含む。
【0064】
業者IDは、保全業者を特定するIDであり、業者名称は、保全業者の名称である。機械IDは、保全工事を行う対象の生産財機械を特定するIDである。
【0065】
共通点検内容管理DB212は、複数の保全業者が共通に実施可能な点検内容(以下、「共通点検内容」という)を管理するデータベースである。
図16は、共通点検内容管理DB212の構成例を示した図である。図示するように、共通点検内容管理DB212は、共通点検内容IDと、共通点検内容名称とを含む。
【0066】
共通点検内容IDは、共通点検内容を特定するIDであり、共通点検内容名称は、共通点検内容の名称である。
【0067】
共通点検能力管理DB213は、保全業者別に共通点検内容を実施する際の能力を管理するデータベースである。
図17は、共通点検能力管理DB213の構成例を示した図である。図示するように、共通点検能力管理DB213は、業者IDと、共通点検内容IDと、業者スキルレベルと、作業時間と、作業コストとを含む。
【0068】
業者IDは、保全業者を特定するIDである。共通点検内容IDは、実施可能な生産財共通点検内容を特定するIDである。業者スキルレベルは、対応する保全業者が対応する共通点検内容を実施する場合の最低保証スキルレベルである。業者スキルレベルとしては、例えば、「1」から「5」の整数値が、値が大きい程、レベルが高くなるように設定されるとよい。作業時間は、対応する共通点検内容を実施するのに要する時間である。作業時間は、例えば、時間(h)によって設定されるとよい。作業コストは、対応する共通点検内容を実施するのに要する費用である。作業コストは、例えば、千円を単位として設定されるとよい。
【0069】
作業期間管理DB214は、生産財機械及び保全業者別に次回のオーバーホール工事における作業期間を管理するデータベースである。
図18は、作業期間管理DB214の構成例を示した図である。図示するように、作業期間管理DB214は、工事IDと、機械IDと、業者IDと、ユニットIDと、主要部位IDと、分解作業期間と、検査補修作業期間と、組立運転作業期間とを含む。
【0070】
工事IDは、オーバーホール工事を特定するIDであり、プラントの定期点検や補修工事の機会毎に割り当てられる。機械IDは、オーバーホール工事を実施する生産財機械を特定するIDである。業者IDは、保全業者を特定するIDである。ユニットIDは、オーバーホール工事を実施する生産財機械のユニットを特定するIDである。主要部位IDは、オーバーホール工事を実施する生産財機械の主要部位を特定するIDである。分解作業期間は、対応する生産財機械のユニットの主要部位の分解作業を行う期間である。検査補修作業期間は、対応する生産財機械のユニットの主要部位の検査補修作業を行う期間である。組立運転作業期間は、対応する生産財機械のユニットの主要部位の組立運転作業を行う期間である。分解作業期間、検査補修作業期間、及び組立運転作業期間は、例えば、期間開始日及び期間終了日によって設定されるとよい。ここで、期間開始日及び期間終了日は、絶対的な日であってもよいし、オーバーホール工事における相対的な日であってもよい。
【0071】
作業計画管理DB215は、生産財機械及び保全業者別に次回のオーバーホール工事を実施する際の能力を管理するデータベースである。
図19は、作業計画管理DB215の構成例を示した図である。図示するように、作業計画管理DB215は、工事IDと、機械IDと、業者IDと、ユニットIDと、主要部位IDと、点検箇所IDと、点検内容IDと、作業時間と、作業コストとを含む。
【0072】
工事IDは、オーバーホール工事を特定するIDであり、プラントの定期点検や補修工事の機会毎に割り当てられる。機械IDは、オーバーホール工事を実施する生産財機械を特定するIDである。業者IDは、保全業者を特定するIDである。ユニットIDは、オーバーホール工事を実施する生産財機械のユニットを特定するIDである。主要部位IDは、オーバーホール工事を実施する生産財機械の主要部位を特定するIDである。点検箇所IDは、オーバーホール工事を実施する生産財機械の点検箇所を特定するIDである。点検内容IDは、オーバーホール工事を実施する生産財機械の点検内容を特定するIDである。作業時間は、対応する点検内容を実施するのに要する時間である。作業時間は、例えば、時間(h)によって設定されるとよい。作業コストは、対応する点検内容を実施するのに要する費用である。作業コストは、例えば、千円を単位として設定されるとよい。
【0073】
確定作業計画管理DB216は、生産財機械及び保全業者別に次回のオーバーホール工事の計画の確定内容を管理するデータベースである。
図20は、確定作業計画管理DB216の構成例を示した図である。図示するように、確定作業計画管理DB216は、工事IDと、機械IDと、業者IDと、ユニットIDと、主要部位IDと、点検箇所IDと、点検内容IDとを含む。
【0074】
工事IDは、オーバーホール工事を特定するIDであり、プラントの定期点検や補修工事の機会毎に割り当てられる。機械IDは、オーバーホール工事を実施する生産財機械を特定するIDである。業者IDは、保全業者を特定するIDである。ユニットIDは、オーバーホール工事を実施する生産財機械のユニットを特定するIDである。主要部位IDは、オーバーホール工事を実施する生産財機械の主要部位を特定するIDである。点検箇所IDは、オーバーホール工事を実施する生産財機械の点検箇所を特定するIDである。点検内容IDは、オーバーホール工事を実施する生産財機械の点検内容を特定するIDである。
【0075】
[保全業務支援装置の動作]
本実施の形態における保全業務支援システム1を使った生産財機械群のオーバーホール工事は、2つのフェーズからなる。1つは、オーバーホール工事を実施するためにプラント停止可能日数や工事総予算に基づいて、最適な工事計画を策定するフェーズである。もう1つは、オーバーホール工事の仕様に基づいて、生産財機械別に、最適な保全業者に最適な工事スケジュールと工事内容で業務委託(作業指示)を行うフェーズである。以下では、前者のフェーズをフェーズ1とし、後者のフェーズをフェーズ2として、詳細に説明する。
【0076】
<フェーズ1>
図21は、工事一覧画面610を示した図である。工事一覧画面610は、最もシンプルな実施例での保全業務支援システム1のトップ画面である。保全業務支援装置100では、画面作成部104が、「お客様/プラント」欄611にデータベース200の生産財機械管理DB201に基づいて顧客プラントの情報の一覧を配置することにより、工事一覧画面610を作成する。そして、送信部105が工事一覧画面610を端末装置300へ送信し、端末装置300が工事一覧画面610を表示する。
【0077】
この状態で、計画策定者が顧客プラントの情報の一覧から工事計画を策定する対象の顧客プラントの情報を選択して「過年度実績表示」ボタン612を押下する操作を行ったとする。すると、端末装置300は、この操作の情報を保全業務支援装置100へ送信し、保全業務支援装置100では、受信部101が、この操作の情報を受信する。これにより、画面作成部104が、データベース200の工事実施管理DB208から、選択中の顧客プラントを構成する全生産財機械の工事実施情報を検索する。そして、画面作成部104は、1つ以上の工事実施情報が存在すれば「●」を配置することにより、生産財機械毎の過年度のオーバーホール工事の実績一覧を作成する。その後、送信部105が、工事一覧画面610に実績一覧を表示するための情報を端末装置300へ送信し、端末装置300が、工事一覧画面610に実績一覧を表示する。
【0078】
また、計画策定者が工事一覧画面610上で「新規計画策定」ボタン613を押下する操作を行うと、端末装置300は、工事計画画面620に画面遷移する。
【0079】
図22は、工事計画画面620を示した図である。計画策定者が、この工事計画画面620上で、実施年月、工事開始日、プラント停止可能日数、工事総予算をそれぞれ入力欄623~626に入力し、計画策定モードを選択欄627で選択し、「新規登録」ボタン621を押下する操作を行ったとする。すると、端末装置300は、この操作の情報を保全業務支援装置100へ送信し、保全業務支援装置100では、受信部101が、この操作の情報を受信する。これにより、工事計画作成部102が、入力欄623に入力された実施年月で指定された次回のオーバーホール工事の実施計画を自動策定し、策定結果をデータベース200の工事計画管理DB210に登録する。
【0080】
ここで、このときの工事計画作成部102の動作について述べる。
【0081】
第一に、工事計画画面620の選択欄627で計画策定モードとして「納入仕様基準」が選択された場合の動作について説明する。
【0082】
図23は、この場合の工事計画作成部102の動作例を示したフローチャートである。
【0083】
図示するように、工事計画作成部102は、まず、選択された顧客プラントに対応する生産財機械情報を取得する(ステップ401)。具体的には、工事計画作成部102は、工事一覧画面610上で選択された顧客の顧客ID及びプラントのプラントIDをキーとして、生産財機械管理DB201を検索する。そして、工事計画作成部102は、生産財機械情報(機械ID及び機械名称)を取得する。
【0084】
次に、工事計画作成部102は、生産財機械毎のユニット情報と、ユニット毎の稼働開始時期X(n)とを取得する(ステップ402)。具体的には、工事計画作成部102は、工事一覧画面610上で選択された顧客の顧客ID及びプラントのプラントIDと、ステップ401で取得した機械IDとをキーとして、ユニット管理DB202を検索する。そして、工事計画作成部102は、オーバーホール工事計画を立案する顧客プラントの全ての生産財機械のユニット情報(ユニットID及びユニット名称)とユニット毎の稼働開始時期X(n)とを抽出する。ここで、X(n)は、n番目のユニットの稼働開始時期を表す。
【0085】
次に、工事計画作成部102は、ユニット毎の主要部位情報を取得する(ステップ403)。具体的には、工事計画作成部102は、ステップ402で取得したユニットIDをキーとして、主要部位管理DB203を検索する。そして、工事計画作成部102は、オーバーホール工事計画を立案する顧客プラントの全ての生産財機械のユニット毎の主要部位情報(主要部位ID及び主要部位名称)を抽出する。
【0086】
次に、工事計画作成部102は、主要部位毎の点検箇所情報と、点検箇所毎の標準点検周期Y(n,m,k)とを取得する(ステップ404)。具体的には、工事計画作成部102は、ステップ403で取得した主要部位IDをキーとして、点検箇所管理DB204を検索する。そして、工事計画作成部102は、オーバーホール工事計画を立案する顧客プラントの全ての生産財機械のユニットの主要部位毎の点検箇所情報(点検箇所ID及び点検箇所名称)と点検箇所毎の標準点検周期Y(n,m,k)を抽出する。ここで、Y(n,m,k)は、n番目のユニットのm番目の主要部位のk番目の点検箇所の標準点検周期を表す。尚、標準点検周期Y(n,m,k)は、各機械の保全箇所毎の標準保全周期の一例である。
【0087】
次に、工事計画作成部102は、点検箇所毎の最新工事実施時期Z(n,m,k)を取得する(ステップ405)。具体的には、工事計画作成部102は、ステップ401で取得した機械IDをキーとして、工事実施管理DB208を検索する。そして、工事計画作成部102は、オーバーホール工事計画を立案する顧客プラントの全ての生産財機械のユニットの主要部位の点検箇所毎の最新の工事実施時期を最新工事実施時期Z(n,m,k)として抽出する。ここで、Z(n,m,k)は、n番目のユニットのm番目の主要部位のk番目の点検箇所の最新工事実施時期を表す。
【0088】
次に、工事計画作成部102は、点検時期候補算出処理を行う(ステップ406)。ここで、点検時期候補算出処理とは、詳細は後述するが、オーバーホール工事計画を立案する顧客プラントの全ての生産財機械のユニットの主要部位の点検箇所毎の次回の点検時期候補T(n,m,k)を算出する処理である。ここで、T(n,m,k)は、n番目のユニットのm番目の主要部位のk番目の点検箇所の次回の点検時期候補を表す。
【0089】
次に、工事計画作成部102は、点検時期候補T(n,m,k)の中から、点検時期候補T1,T2を抽出する(ステップ407)。具体的には、工事計画作成部102は、オーバーホール工事計画を立案する顧客プラントの生産財機械単位で、ステップ406で算出した点検時期候補T(n,m,k)の中から、点検時期候補T1,T2を抽出する。ここで、点検時期候補T1は、点検時期候補から次回オーバーホール工事の実施年月を減算した差分が一定基準値以内で、最初に到来する点検時期候補である。点検時期候補T2は、点検時期候補から次回オーバーホール工事の実施年月を減算した差分が一定基準値以内で、点検時期候補T1の一定日数後の点検時期候補である。尚、上記の「一定基準値以内」とは、点検時期候補から次回オーバーホール工事の実施年月を減算した差分が0以下、つまり、点検時期候補が次回オーバーホール工事の実施年月より未来でない場合の「一定基準値以内」であることが一般的であるが、これには限らない。点検時期候補T1,T2は、次回オーバーホール工事の実施年月よりも「一定基準値以内」の未来であってもよい。
【0090】
次に、工事計画作成部102は、点検箇所抽出処理を行う(ステップ408)。ここで、点検箇所抽出処理とは、詳細は後述するが、オーバーホール工事計画を立案する顧客プラントの生産財機械単位で、T1の時点及びT2の時点で点検を実施する点検箇所を、点検箇所管理DB204から抽出する処理である。
【0091】
次に、工事計画作成部102は、全ての工事対象の点検箇所の点検内容情報を取得する(ステップ409)。具体的には、工事計画作成部102は、オーバーホール工事計画を立案する顧客プラントの生産財機械単位で、ステップ408で抽出した次回のオーバーホール工事の対象の点検箇所IDをキーとして、点検内容管理DB205を検索する。そして、工事計画作成部102は、全てのオーバーホール工事の対象の点検箇所の点検内容情報(点検内容ID及び点検内容名称)を抽出する。
【0092】
次に、工事計画作成部102は、点検箇所確定処理を行う(ステップ410)。ここで、点検箇所確定処理とは、詳細は後述するが、オーバーホール工事計画を立案する顧客プラントの生産財機械単位で、次回のオーバーホール工事の条件(プラント停止可能日数及び工事総予算)に収まるようにオーバーホール工事の対象の点検箇所を確定させる処理である。工事計画作成部102は、ステップ409で抽出した全てのオーバーホール工事の対象の点検箇所の点検内容情報に基づいてこの処理を行う。
【0093】
図24は、
図23のステップ406の点検時期候補算出処理の流れを示したフローチャートである。ここでは、オーバーホール工事計画を立案する顧客プラントの生産財機械において、ユニットのインデックスをn、主要部位のインデックスをm、点検箇所のインデックスをkとする。
【0094】
図示するように、工事計画作成部102は、まず、点検箇所のうちの1つの点検箇所に着目する(ステップ421)。具体的には、工事計画作成部102は、
図23のステップ404で抽出した点検箇所IDのうちの1つの点検箇所IDに着目する。
【0095】
次に、工事計画作成部102は、その点検箇所に対する工事実施情報があるかどうかを判定する(ステップ422)。具体的には、工事計画作成部102は、ステップ421で着目した点検箇所IDをキーとして、工事実施管理DB208を検索することにより、点検箇所IDに対応する工事実施情報があるかどうかを判定する。
【0096】
ステップ422でその点検箇所に対する工事実施情報がないと判定すれば、工事計画作成部102は、式「T(n,m,k)=X(n)+Y(n,m,k)」により、点検時期候補T(n,m,k)を算出する(ステップ423)。ここで、X(n)は、
図23のステップ402で取得されたものであり、Y(n,m,k)は、
図23のステップ404で取得されたものである。
【0097】
一方、ステップ422でその点検箇所に対する工事実施情報があると判定すれば、工事計画作成部102は、式「T(n,m,k)=Z(n,m,k)+Y(n,m,k)」により、点検時期候補T(n,m,k)を算出する(ステップ424)。ここで、Y(n,m,k)は、
図23のステップ404で取得されたものであり、Z(n,m,k)は、
図23のステップ405で取得されたものである。
【0098】
その後、工事計画作成部102は、全ての点検箇所に着目したかどうかを判定する(ステップ425)。そして、全ての点検箇所に着目していないと判定すれば、工事計画作成部102は、処理をステップ421へ戻す。また、全ての点検箇所に着目したと判定すれば、工事計画作成部102は、処理を
図23へ戻す。
【0099】
図25は、
図23のステップ408の点検箇所抽出処理の流れを示したフローチャートである。ここでも、オーバーホール工事計画を立案する顧客プラントの生産財機械において、ユニットのインデックスをn、主要部位のインデックスをm、点検箇所のインデックスをkとする。
【0100】
図示するように、工事計画作成部102は、まず、1つの点検時期候補T(n,m,k)に着目する(ステップ431)。具体的には、工事計画作成部102は、
図23のステップ406で算出した点検時期候補T(n,m,k)の1つに着目する。
【0101】
次に、工事計画作成部102は、その点検時期候補T(n,m,k)が点検時期候補T1に一致するかどうかを判定する(ステップ432)。
【0102】
ステップ432でその点検時期候補T(n,m,k)が点検時期候補T1に一致すると判定すれば、工事計画作成部102は、その点検時期候補T(n,m,k)に対応する点検箇所を次回の点検項目とする(ステップ433)。具体的には、工事計画作成部102は、ステップ431で着目した点検時期候補T(n,m,k)に対応する点検箇所IDをキーとして、点検箇所管理DB204を検索する。そして、工事計画作成部102は、検索で得られた点検箇所を、次回の点検項目とし、処理をステップ434へ進める。
【0103】
一方、ステップ432でその点検時期候補T(n,m,k)が点検時期候補T1に一致しないと判定すれば、工事計画作成部102は、その点検時期候補T(n,m,k)に対応する点検箇所を点検項目とすることなく、処理をステップ434へ進める。
【0104】
その後、工事計画作成部102は、全ての点検時期候補T(n,m,k)に着目したかどうかを判定する(ステップ434)。そして、全ての点検時期候補T(n,m,k)に着目していないと判定すれば、工事計画作成部102は、処理をステップ431へ戻す。また、全ての点検時期候補T(n,m,k)に着目したと判定すれば、工事計画作成部102は、処理をステップ435へ進める。
【0105】
次いで、工事計画作成部102は、1つの点検時期候補T(n,m,k)に着目する(ステップ435)。具体的には、工事計画作成部102は、
図23のステップ406で算出した点検時期候補T(n,m,k)の1つに着目する。
【0106】
次に、工事計画作成部102は、その点検時期候補T(n,m,k)が点検時期候補T1に一致するかどうかを判定する(ステップ436)。
【0107】
ステップ436でその点検時期候補T(n,m,k)が点検時期候補T1に一致すると判定すれば、工事計画作成部102は、処理をステップ439へ進める。
【0108】
一方、ステップ436でその点検時期候補T(n,m,k)が点検時期候補T1に一致しないと判定すれば、工事計画作成部102は、その点検時期候補T(n,m,k)が点検時期候補T2以前であるかどうかを判定する(ステップ437)。
【0109】
ステップ437でその点検時期候補T(n,m,k)が点検時期候補T2以前であると判定すれば、工事計画作成部102は、その点検時期候補T(n,m,k)に対応する点検箇所を次々回の点検項目とする(ステップ438)。具体的には、工事計画作成部102は、ステップ435で着目した点検時期候補T(n,m,k)に対応する点検箇所IDをキーとして、点検箇所管理DB204を検索する。そして、工事計画作成部102は、検索で得られた点検箇所を、次々回の点検項目とし、処理をステップ439へ進める。
【0110】
一方、ステップ437でその点検時期候補T(n,m,k)がT2以前でないと判定すれば、工事計画作成部102は、その点検時期候補T(n,m,k)に対応する点検箇所を点検項目とすることなく、処理をステップ439へ進める。
【0111】
その後、工事計画作成部102は、全ての点検時期候補T(n,m,k)に着目したかどうかを判定する(ステップ439)。そして、全ての点検時期候補T(n,m,k)に着目していないと判定すれば、工事計画作成部102は、処理をステップ435へ戻す。また、全ての点検時期候補T(n,m,k)に着目したと判定すれば、工事計画作成部102は、処理を
図23へ戻す。
【0112】
図26-1~
図26-3は、
図23のステップ410の点検箇所確定処理の流れを示したフローチャートである。ここでは、オーバーホール工事計画を立案する顧客プラントにおいて、生産財機械のインデックスをs、ユニットのインデックスをn、主要部位のインデックスをm、点検箇所のインデックスをkとする。
【0113】
図26-1に示すように、工事計画作成部102は、まず、生産財機械毎の全ての工事対象の点検箇所の標準作業時間の合計値T-SUM(s,n,m)及び標準作業コストの合計値C-SUM(s,n,m)を算出する(ステップ441)。具体的には、工事計画作成部102は、工事計画立案対象の顧客プラントの生産財機械単位で、
図23のステップ409で抽出した全ての工事対象の点検箇所の点検内容IDをキーとして、点検内容管理DB205を検索する。そして、工事計画作成部102は、標準作業時間及び標準作業コストを取得し、生産財機械毎の標準作業時間の合計値T-SUM(s,n,m)及び標準作業コストの合計値C-SUM(s,n,m)を算出する。尚、次回の工事対象の点検箇所を有しない生産財機械については、T-SUM(s,n,m)=C-SUM(s,n,m)=0とする。
【0114】
次に、工事計画作成部102は、標準作業時間の合計値T-SUM(s,n,m)を積算した総作業時間TOTAL-T-SUMと、標準作業コストの合計値C-SUM(s,n,m)を積算した総作業コストTOTAL-C-SUMとを算出する(ステップ442)。具体的には、工事計画作成部102は、工事計画立案対象の顧客プラントの全ての生産財機械について、ステップ441で算出した標準作業時間の合計値T-SUM(s,n,m)を積算することにより、総作業時間TOTAL-T-SUMを算出する。また、工事計画作成部102は、工事計画立案対象の顧客プラントの全ての生産財機械について、ステップ441で算出した標準作業コストの合計値C-SUM(s,n,m)を積算することにより、総作業コストTOTAL-C-SUMを算出する。
【0115】
次に、工事計画作成部102は、ステップ442で算出した総作業時間TOTAL-T-SUMがプラント停止可能時間以下であるかどうかを判定する(ステップ443)。ここで、工事計画作成部102は、プラント停止可能時間を、工事条件管理DB209から取得したプラント停止可能日数に1日当たりの標準労働時間を乗算することにより算出すればよい。
【0116】
ステップ443で総作業時間TOTAL-T-SUMがプラント停止可能時間以下であると判定すれば、工事計画作成部102は、ステップ442で算出した総作業コストTOTAL-C-SUMが工事総予算以下であるかどうかを判定する(ステップ444)。ここで、工事計画作成部102は、工事総予算を、工事条件管理DB209から取得すればよい。
【0117】
ステップ443で総作業コストTOTAL-C-SUMが工事総予算以下であると判定すれば、工事計画作成部102は、この時点での点検箇所及び点検内容を確定させ、この確定した点検箇所の点検箇所ID及び点検内容の点検内容IDを工事計画管理DB210に登録する(ステップ445)。
【0118】
ここで、ステップ443で総作業時間TOTAL-T-SUMがプラント停止可能時間以下でないと判定された場合について説明する。
【0119】
この場合、
図26-2に示すように、工事計画作成部102は、T-SUM(s,n,m)>0の生産財機械の中から、プラント生産影響度が第1基準値以下で最小の生産財機械を抽出する(ステップ451)。ここで、工事計画作成部102は、プラント生産影響度を、生産財機械管理DB201から取得すればよい。また、プラント生産影響度を
図5について説明したときの値とした場合、第1基準値は1以上4以下の整数値とすればよい。更に、工事計画作成部102は、複数の生産財機械を抽出してもよい。尚、プラント生産影響度は、各機械の保全作業を行わないことがプラント全体に及ぼす影響の一例である。
【0120】
次に、工事計画作成部102は、ステップ451で抽出された生産財機械の次回工事対象の全ての点検内容の中から、機械稼働影響度が第2基準値以下で最小の点検内容を除いて、標準作業時間の合計値T-SUM(s,n,m)を再算出する(ステップ452)。ここで、工事計画作成部102は、機械稼働影響度を、点検内容管理DB205から取得すればよい。また、機械稼働影響度を
図9について説明したときの値とした場合、第2基準値は1以上4以下の整数値とすればよい。尚、機械稼働影響度は、各機械の保全内容毎の保全作業を行わないことが各機械の稼働に及ぼす影響の一例である。
【0121】
次に、工事計画作成部102は、ステップ452で再算出した標準作業時間の合計値T-SUM(s,n,m)に基づいて、総作業時間TOTAL-T-SUMを再算出する(ステップ453)。
【0122】
次に、工事計画作成部102は、ステップ453で再算出した総作業時間TOTAL-T-SUMがプラント停止可能時間以下であるかどうかを判定する(ステップ454)。
【0123】
ステップ454で総作業時間TOTAL-T-SUMがプラント停止可能時間以下であると判定すれば、工事計画作成部102は、標準作業コストの合計値C-SUM(s,n,m)を再算出し、総作業コストTOTAL-C-SUMを再算出する(ステップ455)。具体的には、工事計画作成部102は、ステップ451で抽出された生産財機械の次回工事対象の全ての点検内容の中から、ステップ452で除いた点検内容を除いて、標準作業コストの合計値C-SUM(s,n,m)を再算出する。そして、工事計画作成部102は、全ての生産財機械について標準作業コストの合計値C-SUM(s,n,m)を積算することにより、総作業コストTOTAL-C-SUMを算出する。
【0124】
一方、ステップ454で総作業時間TOTAL-T-SUMがプラント停止可能時間以下でないと判定すれば、工事計画作成部102は、機械稼働影響度が第2基準値以下の点検内容があるかどうかを判定する(ステップ456)。
【0125】
ステップ456で機械稼働影響度が第2基準値以下の点検内容があると判定すれば、工事計画作成部102は、処理をステップ452へ戻す。即ち、工事計画作成部102は、機械稼働影響度が次に小さい点検内容を除いて、標準作業時間の合計値T-SUMを再算出する。
【0126】
一方、ステップ456で機械稼働影響度が第2基準値以下の点検内容がないと判定すれば、工事計画作成部102は、プラント生産影響度が第1基準値以下でT-SUM(s,n,m)>0の生産財機械があるかどうかを判定する(ステップ457)。
【0127】
ステップ457でプラント生産影響度が第1基準値以下でT-SUM(s,n,m)>0の生産財機械があると判定すれば、工事計画作成部102は、処理をステップ451へ戻す。即ち、工事計画作成部102は、プラント生産影響度が次に小さい生産財機械で同様の処理を行い、標準作業時間の合計値T-SUM(s,n,m)を再算出する。
【0128】
一方、ステップ457でプラント生産影響度が第1基準値以下でT-SUM(s,n,m)>0の生産財機械がないと判定すれば、工事計画作成部102は、第1基準値及び第2基準値を大きくし(ステップ458)、処理をステップ451へ戻す。
【0129】
また、ステップ444で総作業コストTOTAL-C-SUMが工事総予算以下でないと判定された場合について説明する。
【0130】
この場合、
図26-3に示すように、工事計画作成部102は、C-SUM(s,n,m)>0の生産財機械の中から、プラント生産影響度が第1基準値以下で最小の生産財機械を抽出する(ステップ471)。ここで、工事計画作成部102は、プラント生産影響度を、生産財機械管理DB201から取得すればよい。また、プラント生産影響度を
図5について説明したときの値とした場合、第1基準値は1以上4以下の整数値とすればよい。更に、工事計画作成部102は、複数の生産財機械を抽出してもよい。尚、プラント生産影響度は、各機械の保全作業を行わないことがプラント全体に及ぼす影響の一例である。
【0131】
次に、工事計画作成部102は、ステップ471で抽出された生産財機械の次回工事対象の全ての点検内容の中から、機械稼働影響度が第2基準値以下で最小の点検内容を除いて、標準作業コストの合計値C-SUM(s,n,m)を再算出する(ステップ472)。ここで、工事計画作成部102は、機械稼働影響度を、点検内容管理DB205から取得すればよい。また、機械稼働影響度を
図9について説明したときの値とした場合、第2基準値は1以上4以下の整数値とすればよい。尚、機械稼働影響度は、各機械の保全内容毎の保全作業を行わないことが各機械の稼働に及ぼす影響の一例である。
【0132】
次に、工事計画作成部102は、ステップ472で再算出した標準作業コストの合計値C-SUM(s,n,m)に基づいて、総作業コストTOTAL-C-SUMを再算出する(ステップ473)。
【0133】
次に、工事計画作成部102は、ステップ473で再算出した総作業コストTOTAL-C-SUMが工事総予算以下であるかどうかを判定する(ステップ474)。
【0134】
ステップ474で総作業コストTOTAL-C-SUMが工事総予算以下であると判定すれば、工事計画作成部102は、標準作業時間の合計値T-SUM(s,n,m)を再算出し、総作業時間TOTAL-T-SUMを再算出する(ステップ475)。具体的には、工事計画作成部102は、ステップ471で抽出された生産財機械の次回工事対象の全ての点検内容の中から、ステップ472で除いた点検内容を除いて、標準作業時間の合計値T-SUM(s,n,m)を再算出する。そして、工事計画作成部102は、全ての生産財機械について標準作業時間の合計値T-SUM(s,n,m)を積算することにより、総作業時間TOTAL-T-SUMを算出する。
【0135】
一方、ステップ474で総作業コストTOTAL-C-SUMが工事総予算以下でないと判定すれば、工事計画作成部102は、機械稼働影響度が第2基準値以下の点検内容があるかどうかを判定する(ステップ476)。
【0136】
ステップ476で機械稼働影響度が第2基準値以下の点検内容があると判定すれば、工事計画作成部102は、処理をステップ472へ戻す。即ち、工事計画作成部102は、機械稼働影響度が次に小さい点検内容を除いて、標準作業コストの合計値C-SUMを再算出する。
【0137】
一方、ステップ476で機械稼働影響度が第2基準値以下の点検内容がないと判定すれば、工事計画作成部102は、プラント生産影響度が第1基準値以下でC-SUM(s,n,m)>0の生産財機械があるかどうかを判定する(ステップ477)。
【0138】
ステップ477でプラント生産影響度が第1基準値以下でC-SUM(s,n,m)>0の生産財機械があると判定すれば、工事計画作成部102は、処理をステップ471へ戻す。即ち、工事計画作成部102は、プラント生産影響度が次に小さい生産財機械で同様の処理を行い、標準作業コストの合計値C-SUM(s,n,m)を再算出する。
【0139】
一方、ステップ477でプラント生産影響度が第1基準値以下でC-SUM(s,n,m)>0の生産財機械がないと判定すれば、工事計画作成部102は、第1基準値及び第2基準値を大きくし(ステップ478)、処理をステップ471へ戻す。
【0140】
第二に、工事計画画面620の選択欄627で計画策定モードとして「点検結果反映」が選択された場合について説明する。
【0141】
この場合の工事計画作成部102の動作例は、
図23~
図26-3に示した動作例と基本的に同じである。但し、この場合の動作例では、
図23のステップ406の点検時期候補算出処理の内容が異なる。従って、ここでは、点検時期候補算出処理についてのみ説明する。
【0142】
図27は、この場合の点検時期候補算出処理の流れを示したフローチャートである。ここでも、オーバーホール工事計画を立案する顧客プラントの生産財機械において、ユニットのインデックスをn、主要部位のインデックスをm、点検箇所のインデックスをkとする。
【0143】
図示するように、工事計画作成部102は、まず、点検箇所のうちの1つの点検箇所に着目する(ステップ491)。具体的には、工事計画作成部102は、
図23のステップ404で抽出した点検箇所IDのうちの1つの点検箇所IDに着目する。
【0144】
次に、工事計画作成部102は、その点検箇所に対する工事実施情報があるかどうかを判定する(ステップ492)。具体的には、工事計画作成部102は、ステップ491で着目した点検箇所IDをキーとして、工事実施管理DB208を検索することにより、点検箇所IDに対応する工事実施情報があるかどうかを判定する。
【0145】
ステップ492でその点検箇所に対する工事実施情報がないと判定すれば、工事計画作成部102は、式「T(n,m,k)=X(n)+Y(n,m,k)」により、点検時期候補T(n,m,k)を算出する(ステップ493)。ここで、X(n)は、
図23のステップ402で取得されたものであり、Y(n,m,k)は、
図23のステップ404で取得されたものである。
【0146】
一方、ステップ492でその点検箇所に対する工事実施情報があると判定すれば、工事計画作成部102は、周期マイナス影響度αを取得する(ステップ494)。具体的には、工事計画作成部102は、ステップ491で着目した点検箇所IDをキーとして、工事実施管理DB208を検索する。そして、工事計画作成部102は、最新の工事実施情報の中で最大の状態項目IDに対応する周期マイナス影響度αを、状態項目管理DB206から取得する。尚、周期マイナス影響度αは、各機械の保全内容毎の過去の保全作業における状態の一例である。
【0147】
また、工事計画作成部102は、周期プラス影響度βを取得する(ステップ495)。具体的には、工事計画作成部102は、ステップ491で着目した点検箇所IDをキーとして、工事実施管理DB208を検索する。そして、工事計画作成部102は、最新の工事実施情報の中で最大の処置内容IDに対応する周期プラス影響度βを、処置内容管理DB207から取得する。尚、周期プラス影響度βは、各機械の保全内容毎の過去の保全作業における処置の一例である。
【0148】
次に、工事計画作成部102は、標準点検周期Y(n,m,k)と周期マイナス影響度αと周期プラス影響度βとに基づいて、補正点検周期Y3(n,m,k)を算出する(ステップ496)。例えば、工事計画作成部102は、次のように補正点検周期Y3(n,m,k)を算出すればよい。即ち、工事計画作成部102は、まず、
図23のステップ404で取得された標準点検周期Y(n,m,k)が月数で設定されていれば、これを日数に換算した周期Y1(n,m,k)を算出する。具体的には、工事計画作成部102は、式「Y1(n,m,k)=Y(n,m,k)×30」により、周期Y1(n,m,k)を算出する。次に、工事計画作成部102は、この周期Y1(n,m,k)に、ステップ494で取得した周期マイナス影響度αと、ステップ495で取得した周期プラス影響度βとを加味して、周期Y2(n,m,k)を算出する。具体的には、工事計画作成部102は、式「Y2(n,m,k)=Y1(n,m,k)×(1-α+β)」により、周期Y2(n,m,k)を算出する。但し、σを予め定められた正の値として、β-α>σが成り立つ場合、工事計画作成部102は、β-αをσに補正するものとする。これは、β-αの値が大き過ぎる場合に、周期が長くなり過ぎないようにするためである。次に、工事計画作成部102は、周期Y2(n,m,k)を月数に換算した補正点検周期Y3(n,m,k)を算出する。具体的には、工事計画作成部102は、式「Y3(n,m,k)=int((Y2(n,m,k)÷30))」を計算する。ここで、int(Y)はYの整数値を表す。これにより、工事計画作成部102は、補正点検周期Y3(n,m,k)を算出する。
【0149】
次に、工事計画作成部102は、式「T(n,m,k)=Z(n,m,k)+Y3(n,m,k)」により、点検時期候補T(n,m,k)を算出する(ステップ497)。ここで、Y3(n,m,k)は、ステップ496で算出されたものであり、Z(n,m,k)は、
図23のステップ405で取得されたものである。
【0150】
その後、工事計画作成部102は、全ての点検箇所に着目したかどうかを判定する(ステップ498)。そして、全ての点検箇所に着目していないと判定すれば、工事計画作成部102は、処理をステップ491へ戻す。また、全ての点検箇所に着目したと判定すれば、工事計画作成部102は、処理を
図23へ戻す。
【0151】
このように工事計画作成部102が次回のオーバーホール工事の実施計画を作成すると、画面作成部104が、工事一覧画面630を作成する。そして、送信部105が、工事一覧画面630を端末装置300に送信し、端末装置300が、工事一覧画面630を表示する。
【0152】
図28は、工事一覧画面630を示した図である。工事一覧画面630は、工事一覧画面610に次回のオーバーホール工事の実施計画を反映させたものである。即ち、工事一覧画面630では、次回の工事時に1つ以上工事を実施する生産財機械には「〇」が配置されている。また、工事一覧画面630では、オーバーホール実施年月にハイパーリンクが設定される。例えば、「2020年12月」と表示された箇所にハイパーリンク634が設定されている。計画策定者がこのハイパーリンク634をクリックする操作を行うと、端末装置300は、この操作の情報を保全業務支援装置100へ送信し、保全業務支援装置100では、受信部101が、この操作の情報を受信する。これにより、画面作成部104が、工事計画画面640を作成する。そして、送信部105が工事計画画面640を端末装置300へ送信し、端末装置300が工事計画画面640を表示する。
【0153】
図29は、工事計画画面640を示した図である。工事計画画面640では、工事計画画面620で入力された情報が入力欄643~646に、工事計画画面620で選択された情報が選択欄647に表示されている。また、工事計画画面640では、これに加え、自動計画結果としての計画総時間及び計画総コストがそれぞれ表示欄648,649に表示されている。ここで、計画総時間は、
図23~
図27の処理で算出された総作業時間TOTAL-T-SUMであり、計画総コストは、
図23~
図27の処理で算出された総作業コストTOTAL-T-SUMである。これらの情報は工事条件管理DB209に記憶されるので、画面作成部104は、これらの情報を工事条件管理DB209から取得して工事計画画面640に配置すればよい。
【0154】
工事計画画面640では、プラント停止可能日数、工事総予算、及び計画策定モードの条件を変更可能である。計画策定者が、条件を変更後、「策定再実行」ボタン641をクリックする操作を行ったとする。すると、端末装置300は、この操作の情報を保全業務支援装置100へ送信し、保全業務支援装置100では、受信部101が、この操作の情報を受信する。これにより、工事計画作成部102が、変更後の条件にて
図23~
図27の処理を実行し、実施年月で指定された次回のオーバーホール工事の実施計画を再自動策定する。そして、送信部105が、再策定結果を工事一覧画面630に表示するための情報を端末装置300へ送信し、端末装置300が再策定結果を工事一覧画面630に表示する。
【0155】
また、計画策定者が工事計画画面640で「確定実行」ボタン642をクリックする操作を行ったとする。すると、端末装置300は、最新の計画策定結果を確定値として保全業務支援装置100へ送信し、工事一覧画面630における「〇」も「●」に変更する。
【0156】
加えて、工事一覧画面630では、過去の「オーバーホール実施年月」にもハイパーリンク635~638が設定されている。そこで、計画策定者が例えばハイパーリンク636をクリックする操作を行ったとする。すると、端末装置300は、工事計画画面650を表示する。
【0157】
図30は、工事計画画面650を示した図である。工事計画画面650では、工事計画画面620で過去に入力された情報が入力欄653~656に、工事計画画面620で過去に選択された情報が選択欄657に表示されている。また、工事計画画面650では、これに加え、過去の自動計画結果としての総作業時間及び総作業コストがそれぞれ表示欄658,659に表示されている。
【0158】
次に、保全業務支援システム1で自動策定した工事計画を、顧客都合等により、変更する場合の動作について説明する。
【0159】
計画策定者が、次回のオーバーホール工事の計画を自動策定中の工事一覧画面630で、内容変更する必要がある生産財機械を選択する操作を行ったとする。ここで、生産財機械を選択する操作は、次の何れかにより行えばよい。即ち、生産財機械に対して「〇」が表示されている場合は、「○」をクリックすることにより行えばよい。生産財機械に対して「〇」が表示されていない場合、つまり、自動策定された次回の計画では工事対象外である場合は、生産財機械名(例えば「生産財機械#2」)をクリックすることにより行えばよい。計画策定者がこのような操作を行うと、端末装置300が、この操作の情報を保全業務支援装置100へ送信し、保全業務支援装置100では、受信部101が、この操作の情報を受信する。これにより、画面作成部104が、データベース200の工事計画管理DB210に基づいて、工事一覧画面710を作成する。そして、送信部105が、工事一覧画面710を端末装置300に送信し、端末装置300が、工事一覧画面710を表示する。
【0160】
図31は、工事一覧画面710を示した図である。工事一覧画面710では、工事一覧画面630で選択された生産財機械のユニット別のオーバーホール計画及び実績一覧が表示されている。
【0161】
ここで、計画策定者が、工事一覧画面710で、内容変更する必要があるユニットを選択する操作を行ったとする。ここで、ユニットを選択する操作は、次の何れかにより行えばよい。即ち、ユニットに対して「〇」が表示されている場合は、「○」をクリックすることにより行えばよい。ユニットに対して「〇」が表示されていない場合、つまり、自動策定された次回の計画では工事対象外である場合は、ユニット名(例えば「ユニット#1」)をクリックすることにより行えばよい。計画策定者がこのような操作を行うと、端末装置300が、この操作の情報を保全業務支援装置100へ送信し、保全業務支援装置100では、受信部101が、この操作の情報を受信する。これにより、画面作成部104が、データベース200の工事計画管理DB210に基づいて、工事一覧画面720を作成する。そして、送信部105が、工事一覧画面720を端末装置300に送信し、端末装置300が、工事一覧画面720を表示する。
【0162】
図32は、工事一覧画面720を示した図である。工事一覧画面720では、工事一覧画面710で選択された生産財機械のユニットの主要部位別のオーバーホール計画及び実績一覧が表示されている。
【0163】
この状態で、計画策定者が、工事一覧画面720で、内容変更する必要がある主要部位を選択する操作を行ったとする。ここで、主要部位を選択する操作は、次の何れかにより行えばよい。即ち、主要部位に対して「〇」が表示されている場合は、「○」をクリックすることにより行えばよい。主要部位に対して「〇」が表示されていない場合、つまり、自動策定された次回の計画では工事対象外である場合は、主要部位名(例えば「ユニット#1-主要部位#2」)をクリックすることにより行えばよい。計画策定者がこのような操作を行うと、端末装置300が、この操作の情報を保全業務支援装置100へ送信し、保全業務支援装置100では、受信部101が、この操作の情報を受信する。これにより、画面作成部104が、データベース200の工事計画管理DB210等に基づいて、工事詳細画面730を作成する。そして、送信部105が、工事詳細画面730を端末装置300に送信し、端末装置300が、工事詳細画面730を表示する。
【0164】
図33は、工事詳細画面730を示した図である。工事詳細画面730では、工事一覧画面720で選択された生産財機械のユニットの主要部位の点検箇所の一覧が表示されている。点検箇所一覧では、自動計画策定で次回の実施範囲となった点検箇所が、「次回点検対象」表示欄732に表示され、自動計画策定で次回の実施範囲外となった点検箇所が、「次回点検対象外」表示欄734に表示される。
【0165】
また、工事詳細画面730では、点検箇所毎に、前回点検時期、前回点検時状態/処置、前回点検時備忘録が表示される。尚、これらの情報は、画面作成部104が、データベース200の点検内容管理DB205に基づいて、設定したものである。更に、工事詳細画面730では、自動計画処理の結果、実施範囲となった点検箇所の点検内容が反転表示される(図中、斜線ハッチングで示している)。そして、この点検箇所の点検内容に対して「解除」ボタン733を押下する操作を行うと、この点検箇所の点検内容は「次回点検対象外」表示欄734に表示される。一方で、「選択」ボタン735を押すと「次回点検対象」表示欄732の点検内容として保持される。
【0166】
ここで、計画策定者が、「点検計画登録」ボタン731を押下する操作を行ったとする。すると、端末装置300が、この操作の情報を保全業務支援装置100へ送信し、保全業務支援装置100では、受信部101が、この操作の情報を受信する。これにより、画面作成部104が、工事詳細画面730に設定された情報を、データベース200の工事計画管理DB210に上書き保存する。工事計画を変更する際、工事計画作成部102が、変化分を積算処理する形で、表示欄648の計画総時間及び表示欄649の計画総コストも再算出し、画面作成部104が、これらの情報を工事計画画面640に反映する。尚、工事計画を変更した結果、総作業時間や総作業コストが、プラント停止可能日数及び工事総予算を超過することも考えられる。この場合は、画面作成部104が、その旨の情報を作成して、送信部105が、その旨の情報を端末装置300へ送信するとよい。これにより、端末装置300は、工事計画を変更する際にその旨の情報を表示して、計画策定者に工事計画の変更の実行可否を判断させるとよい。
【0167】
<フェーズ2>
作業指示者は、委託業者の選定及び作業指示の策定を開始する前に、オーバーホール工事IDに紐づくオーバーホール工事の機会毎に情報を取得する。具体的には、作業指示者は、予めフェーズ1で立案した今回のオーバーホール工事の仕様内容を、保全業者に引合い情報として連絡し、各保全業者より情報を取得する。ここで取得する情報には、生産財機械のユニットの主要部位別の分解作業期間、検査補修作業期間、及び組立運転作業期間の情報があり、これらの情報は作業期間管理DB214に登録しておく。また、ここで取得する情報には、点検箇所の点検内容毎の作業時間及び作業コスト情報の情報もあり、これらの情報は、作業計画管理DB215に登録しておく。
【0168】
図34は、フェーズ1の今回工事(2020年12月)の仕様策定が完了した直後の工事一覧画面810を示す。作業指示者が工事一覧画面810で「委託業者選定」ボタン814を押下する操作を行うと、端末装置300は画面を工事一覧画面820に切り替える。
【0169】
図35は、工事一覧画面820を示した図である。作業指示者は、工事一覧画面820を用いて、計画を自動策定した工事の委託業者の選定と、委託業者別の工事内容の作業指示の策定を開始する。
【0170】
工事一覧画面820では、委託業者とその委託業者への作業指示とが確定している場合には、全ての工事対象の生産財機械に「●」が表示される。また、委託業者とその委託業者への作業指示が確定していない場合には、全ての工事対象の生産財機械に「〇」が表示され、「作業指示作成」ボタン825が表示される。
【0171】
ここで、作業指示者が、「作業指示作成」ボタン825をクリックする操作を行ったとする。すると、端末装置300が、この操作の情報を保全業務支援装置100へ送信し、保全業務支援装置100では、受信部101が、この操作の情報を受信する。これにより、作業指示作成部103が、今回のオーバーホール工事の対象の生産財機械群について、委託業者の選定及び委託業者別の作業指示の策定を行う。
【0172】
図36は、このときの作業指示作成部103の動作を示したフローチャートである。
【0173】
図示するように、作業指示作成部103は、まず、候補業者選定処理を行う(ステップ501)。ここで、候補業者選定処理とは、詳細は後述するが、今回のオーバーホール工事対象の生産財機械毎に、2つの基準で、オーバーホール工事を委託する候補業者を選定する処理である。2つの基準は、総作業時間が最小であるという基準(以下、「時間基準」という)及び総作業コストが最小であるという基準(以下、「コスト基準」という)である。
【0174】
次に、作業指示作成部103は、共通点検内容抽出処理を行う(ステップ502)。ここで、共通点検内容抽出処理とは、詳細は後述するが、ステップ501で選定された時間基準及びコスト基準の候補業者群において、調整可能な共通点検内容を抽出する処理である。
【0175】
次に、作業指示作成部103は、最適候補業者抽出処理を行う(ステップ503)。ここで、最適候補業者抽出処理とは、詳細は後述するが、ステップ502で抽出された共通点検内容群を委託する最適な候補業者を抽出する処理である。
【0176】
次に、作業指示作成部103は、再計算処理を行う(ステップ504)。ここで、再計算処理とは、詳細は後述するが、ステップ501で選定した2つの基準の候補業者毎に作業内容を確定させて、総作業時間及び総作業コストを再計算する処理である。その際、作業内容の確定は、ステップ502で抽出した共通点検内容と、ステップ503で抽出した最適な候補業者とに基づいて行われる。また、総作業時間及び総作業コストの再計算は、ステップ501と同様に行われる。
【0177】
次に、作業指示作成部103は、作業指示確定処理を行う(ステップ505)。ここで、作業指示確定処理とは、詳細は後述するが、ステップ504で再計算した候補業者毎の総作業時間及び総作業コストと目標値とのギャップを算出し、そのギャップに基づいて最適な委託業者と工事内容の作業指示を確定させる処理である。
【0178】
図37は、
図36のステップ501の候補業者選定処理の流れを示したフローチャートである。
【0179】
作業指示作成部103は、まず、生産財機械毎に保全業者情報を抽出する(ステップ511)。具体的には、作業指示作成部103は、今回のオーバーホール工事の対象の生産財機械群の機械IDをキーとして、保全業者管理DB211を検索する。そして、作業指示作成部103は、生産財機械毎の保全業者に関する保全業者情報を抽出する。
【0180】
次に、作業指示作成部103は、生産財機械毎に、保全業者毎の総作業時間及び総作業コストを算出する(ステップ512)。具体的には、作業指示作成部103は、今回のオーバーホール工事の工事ID、今回のオーバーホール工事の対象の生産財機械群の機械ID、及び生産財機械毎の保全業者群の業者IDをキーとして、作業計画管理DB215を検索する。そして、作業指示作成部103は、生産財機械毎、保全業者毎に、作業計画管理DB215の作業時間を合計することにより総作業時間を算出し、作業計画管理DB215の作業コストを合計することにより総作業コストを算出する。
【0181】
次に、作業指示作成部103は、生産財機械毎に、時間基準の候補業者及びコスト基準の候補業者を抽出する(ステップ513)。具体的には、作業指示作成部103は、今回のオーバーホール工事の対象の生産財機械毎に、ステップ512で算出した総作業時間が最小の保全業者を、時間基準の候補業者として抽出する。また、作業指示作成部103は、今回のオーバーホール工事の対象の生産財機械毎に、ステップ512で算出した総作業コストが最小の保全業者を、コスト基準の候補業者として抽出する。
【0182】
尚、ステップ513で時間基準の候補業者として複数の保全業者が抽出された場合、作業指示作成部103は、複数の保全業者のうちその生産財機械の前回工事業者を時間基準の候補業者とすればよい。また、複数の保全業者の何れにもその生産財機械の工事委託実績がない場合、作業指示作成部103は、総作業コストが最小の保全業者を時間基準の候補業者とすればよい。更に、複数の保全業者が総作業コストも同じである場合、作業指示作成部103は、システム乱数にて時間基準の候補業者を選定すればよい。
【0183】
また、ステップ513でコスト基準の候補業者として複数の保全業者が抽出された場合、作業指示作成部103は、複数の保全業者のうちその生産財機械の前回工事業者をコスト基準の候補業者とすればよい。また、複数の保全業者の何れにもその生産財機械の工事委託実績がない場合、作業指示作成部103は、総作業時間が最小の保全業者をコスト基準の候補業者とすればよい。更に、複数の保全業者が総作業時間も同じである場合、作業指示作成部103は、システム乱数にてコスト基準の候補業者を選定すればよい。
【0184】
図38は、
図36のステップ502の共通点検内容抽出処理の流れを示したフローチャートである。
【0185】
作業指示作成部103は、まず、生産財機械毎に点検内容群を抽出する(ステップ521)。具体的には、作業指示作成部103は、今回のオーバーホール工事の対象の生産財機械群の機械IDをキーとして、工事計画管理DB210を検索する。そして、作業指示作成部103は、生産財機械毎に、今回のオーバーホール工事での点検箇所別の点検内容群を抽出する。
【0186】
次に、作業指示作成部103は、生産財機械毎に、ステップ521で抽出した点検内容群から共通点検内容群を抽出する(ステップ522)。具体的には、作業指示作成部103は、生産財機械毎に、今回のオーバーホール工事の対象の点検箇所別の点検内容群の点検内容IDをキーとして、点検内容管理DB205を検索する。そして、作業指示作成部103は、今回のオーバーホール工事の対象の点検箇所群の中で、共通点検内容ID及び作業スキルレベルが設定されている点検箇所別の点検内容群を抽出する。尚、共通点検内容IDは、各機械の保全内容毎の複数の業者が共通に実行可能かどうかを示す情報の一例である。
【0187】
次に、作業指示作成部103は、生産財機械毎に、ステップ522で抽出した共通点検内容群から、ステップ513で抽出した時間基準の候補業者が実行可能な共通点検内容群を、時間基準の共通点検内容群として抽出する(ステップ523)。具体的には、作業指示作成部103は、生産財機械毎に、時間基準の候補業者の業者IDをキーとして、共通点検能力管理DB213を検索する。そして、作業指示作成部103は、候補業者毎に、今回のオーバーホール工事の対象の点検箇所別の共通点検内容群の共通点検内容IDを有し、業者スキルレベルが作業スキルレベル以上である共通点検内容群を、時間基準の共通点検内容群として抽出する。尚、業者スキルレベルが作業スキルレベル以上であることは、各機械の保全内容毎の作業スキルレベルと複数の業者の各業者の業者スキルレベルとの比較結果の一例である。
【0188】
また、作業指示作成部103は、生産財機械毎に、ステップ522で抽出した共通点検内容群から、ステップ513で抽出したコスト基準の候補業者が実行可能な共通点検内容群を、コスト基準の共通点検内容群として抽出する(ステップ524)。具体的には、作業指示作成部103は、生産財機械毎に、コスト基準の候補業者の業者IDをキーとして、共通点検能力管理DB213を検索する。そして、作業指示作成部103は、候補業者毎に、今回のオーバーホール工事の対象の点検箇所別の共通点検内容群の共通点検内容IDを有し、業者スキルレベルが作業スキルレベル以上である共通点検内容群を、コスト基準の共通点検内容群として抽出する。尚、業者スキルレベルが作業スキルレベル以上であることは、各機械の保全内容毎の作業スキルレベルと複数の業者の各業者の業者スキルレベルとの比較結果の一例である。
【0189】
次に、作業指示作成部103は、ステップ523で抽出した時間基準の共通点検内容群から、各時間基準の候補業者の検査補修期間に重なりが存在する共通点検内容群を、時間基準の調整可能な共通点検内容群として抽出する(ステップ525)。具体的には、作業指示作成部103は、生産財機械毎に、時間基準の候補業者の業者IDをキーとして、作業期間管理DB214を検索する。そして、作業指示作成部103は、ステップ523で抽出した時間基準の共通点検内容群が含まれる主要部位における分解作業期間、検査補修作業期間、組立運転作業期間を抽出する。これにより、作業指示作成部103は、ステップ523で抽出した時間基準の共通点検内容毎に、その共通点検内容の主要部位における各候補業者の検査補修作業期間に同時作業期間(重なり)が存在するかどうかを確認する。そして、作業指示作成部103は、検査補修作業期間に同時作業期間(重なり)が存在する共通点検内容群を、時間基準の調整可能な共通点検内容群として抽出する。尚、検査補修作業期間に同時作業期間(重なり)が存在することは、各機械の保全作業の少なくとも1つの機械間での時間的な重なり状況の一例である。
【0190】
また、作業指示作成部103は、ステップ524で抽出したコスト基準の共通点検内容群から、各時間基準の候補業者の検査補修期間に重なりが存在する共通点検内容群を、コスト基準の調整可能な共通点検内容群として抽出する(ステップ526)。具体的には、作業指示作成部103は、生産財機械毎に、時間基準の候補業者の業者IDをキーとして、作業期間管理DB214を検索する。そして、作業指示作成部103は、ステップ524で抽出したコスト基準の共通点検内容情報群が含まれる主要部位における分解作業期間、検査補修作業期間、組立運転作業期間を抽出する。これにより、作業指示作成部103は、ステップ524で抽出したコスト基準の共通点検内容毎に、その共通点検内容の主要部位における各候補業者の検査補修作業期間に同時作業期間(重なり)が存在するかどうかを確認する。そして、作業指示作成部103は、検査補修作業期間に同時作業期間(重なり)が存在する共通点検内容群を、コスト基準の調整可能な共通点検内容群として抽出する。尚、検査補修作業期間に同時作業期間(重なり)が存在することは、各機械の保全作業の少なくとも1つの機械間での時間的な重なり状況の一例である。
【0191】
図39は、
図38のフローチャートで示した処理について模式的に説明した図である。図は、共通点検内容を含む主要部位における作業期間を示している。尚、ここでは、候補業者及び共通点検内容が時間基準であるかコスト基準であるかは問わないものとする。
【0192】
図では、
図37のステップ513で、生産財機械#1に対して候補業者Xが、生産財機械#2に対して候補業者Yが、生産財機械#3に対して候補業者Zが、それぞれ抽出されているとする。
【0193】
また、生産財機械#1の共通点検内容を含む主要部位について、分解作業期間911、検査補修作業期間912、組立運転作業期間913が図示するように設定されているものとする。生産財機械#2の共通点検内容を含む主要部位について、分解作業期間921、検査補修作業期間922、組立運転作業期間923が図示するように設定されているものとする。生産財機械#3の共通点検内容を含む主要部位について、分解作業期間931、検査補修作業期間932、組立運転作業期間933が図示するように設定されているものとする。
【0194】
この場合に、
図38のフローチャートで示した処理は、太枠で囲んで示すように検査補修作業期間912,922,932に同時作業期間(重なり)が存在することを確認し、この共通点検内容を調整可能な共通点検内容として抽出するものである。
【0195】
図40は、
図36のステップ503の最適候補業者抽出処理の流れを示したフローチャートである。
【0196】
作業指示作成部103は、まず、ステップ513で抽出した時間基準の候補業者から、作業時間が最小の業者を、時間基準の最適候補業者として抽出する(ステップ531)。具体的には、作業指示作成部103は、ステップ513で抽出した時間基準の候補業者の業者IDと、ステップ525で抽出した時間基準の調整可能な共通点検内容群の共通点検内容IDとをキーとして、共通点検内容管理DB212を検索する。そして、作業指示作成部103は、最小の作業時間が設定されている業者を、時間基準の最適候補業者として抽出する。
【0197】
また、作業指示作成部103は、ステップ513で抽出したコスト基準の候補業者から、作業コストが最小の業者を、コスト基準の最適候補業者として抽出する(ステップ532)。具体的には、作業指示作成部103は、ステップ513で抽出したコスト基準の候補業者の業者IDと、ステップ526で抽出したコスト基準の調整可能な共通点検内容群の共通点検内容IDとをキーとして、共通点検内容管理DB212を検索する。そして、作業指示作成部103は、最小の作業コストが設定されている業者を、コスト基準の最適候補業者として抽出する。
【0198】
尚、ステップ531で時間基準の最適候補業者として複数の保全業者が抽出された場合、作業指示作成部103は、複数の保全業者のうち、最も直近のオーバーホール工事時にその作業を担当した保全業者を、時間基準の候補業者とすればよい。また、複数の保全業者の何れにもその作業の工事委託実績がない場合、作業指示作成部103は、総作業コストが最小の保全業者を時間基準の最適候補業者とすればよい。更に、複数の保全業者が総作業コストも同じである場合、作業指示作成部103は、システム乱数にて時間基準の最適候補業者を選定すればよい。
【0199】
また、ステップ532でコスト基準の最適候補業者として複数の保全業者が抽出された場合、作業指示作成部103は、複数の保全業者のうち、最も直近のオーバーホール工事時にその作業を担当した保全業者を、コスト基準の候補業者とすればよい。また、複数の保全業者の何れにもその作業の工事委託実績がない場合、作業指示作成部103は、総作業時間が最小の保全業者をコスト基準の最適候補業者とすればよい。更に、複数の保全業者が総作業時間も同じである場合、作業指示作成部103は、システム乱数にてコスト基準の最適候補業者を選定すればよい。
【0200】
図41は、
図36のステップ504の再計算処理の流れを示したフローチャートである。
【0201】
作業指示作成部103は、まず、生産財機械毎に、共通点検内容を実行する候補業者を調整した後の候補業者毎の総作業時間を再計算する(ステップ541)。具体的には、作業指示作成部103は、ステップ513で抽出した時間基準の候補業者毎に、ステップ531で抽出した時間基準の最適候補業者も加味して、共通点検内容を実行する候補業者を調整した後の総作業時間を再計算する。ここで、時間基準の最適候補業者も加味するとは、調整の結果、実施範囲外となった共通点検内容は除外し、実施範囲となった共通点検内容は含めることを意味する。尚、総作業時間は、各機械の保全内容毎の作業時間の各機械についての総和の一例である。
【0202】
また、作業指示作成部103は、生産財機械毎に、共通点検内容を実行する候補業者を調整した後の候補業者毎の総作業コストを再計算する(ステップ542)。具体的には、作業指示作成部103は、ステップ513で抽出したコスト基準の候補業者毎に、ステップ532で抽出したコスト基準の最適候補業者も加味して、共通点検内容を実行する候補業者を調整した後の総作業時間を再計算する。ここで、コスト基準の最適候補業者も加味するとは、調整の結果、実施範囲外となった共通点検内容は除外し、実施範囲となった共通点検内容は含めることを意味する。尚、総作業コストは、各機械の保全内容毎の作業コストの各機械についての総和の一例である。
【0203】
図42は、
図36のステップ505の作業指示確定処理の流れを示したフローチャートである。
【0204】
作業指示作成部103は、まず、合計作業時間SUM-TIMEと、合計作業コストSUM-COSTとを算出する(ステップ551)。具体的には、作業指示作成部103は、ステップ541で再計算された調整後の候補業者毎の総作業時間を合計作業時間SUM-TIMEとする。また、作業指示作成部103は、ステップ542で再計算された調整後の候補業者毎の総作業コストを合計作業コストSUM-COSTとする。
【0205】
次に、作業指示作成部103は、目標作業時間PLAN-TIMEと、目標作業コストPLAN-COSTとを取得する(ステップ552)。具体的には、作業指示作成部103は、今回のオーバーホール工事の工事IDをキーとして、工事条件管理DB209を検索する。そして、今回のオーバーホール工事の計画総時間及び計画総コストを抽出し、計画総時間を目標作業時間PLAN-TIMEとし、計画総コストを目標作業コストPLAN-COSTとする。
【0206】
次に、作業指示作成部103は、作業時間差分GAP-TIMEと、作業コスト差分GAP-COSTとを算出する(ステップ553)。具体的には、作業指示作成部103は、ステップ552で算出した目標作業時間PLAN-TIMEから、ステップ551で算出した合計作業時間SUM-TIMEを減算することにより、作業時間差分GAP-TIMEを算出する。また、作業指示作成部103は、ステップ552で算出した目標作業コストPLAN-COSTから、ステップ551で算出した合計作業コストSUM-COSTを減算することにより、作業コスト差分GAP-COSTを算出する。尚、作業コスト差分GAP-COSTは、合計作業コストの目標作業コストからの削減度合いの一例である。
【0207】
次に、作業指示作成部103は、作業時間差分GAP-TIMEから、作業時間差分の利益換算値GAP-PROFITを算出する(ステップ554)。具体的には、作業指示作成部103は、ステップ553で算出した作業時間差分GAP-TIMEに利益換算変数を乗算することにより、利益換算値GAP-PROFITを算出する。尚、作業時間差分の利益換算値GAP-PROFITは、合計作業時間の目標作業時間からの削減度合いの一例である。
【0208】
次に、作業指示作成部103は、作業時間差分の利益換算値GAP-PROFITが作業コスト差分GAP-COST以上であるかどうかを判定する(ステップ555)。
【0209】
ステップ555で作業時間差分の利益換算値GAP-PROFITが作業コスト差分GAP-COST以上であると判定されたとする。すると、作業指示作成部103は、時間基準の候補業者を委託業者に決定し、その委託業者に対する作業指示内容を決定する(ステップ556)。具体的には、作業指示作成部103は、今回のオーバーホール工事の委託業者の選定及び作業指示内容の決定におけるルールを時間基準とする。即ち、作業指示作成部103は、時間基準の候補業者を、今回のオーバーホール工事の対象の生産財機械別の委託業者とし、時間基準の最適候補業者も加味して、候補業者の業者IDをキーとして、作業計画管理DB215を検索する。そして、作業指示作成部103は、業者別工事計画情報群を抽出し、その結果を作業指示内容とする。ここで、時間基準の最適候補業者も加味するとは、調整の結果、実施範囲外となった共通点検内容は除外し、実施範囲となった共通点検内容は含めることを意味する。尚、この場合、作業時間差分の利益換算値GAP-PROFITが作業コスト差分GAP-COST以上であることは、合計作業時間の目標作業時間からの削減度合いと合計作業コストの目標作業コストからの削減度合いとの比較結果の一例である。
【0210】
一方、ステップ555で作業時間差分の利益換算値GAP-PROFITが作業コスト差分GAP-COST以上でない、つまり、作業コスト差分GAP-COSTが作業時間差分の利益換算値GAP-PROFITより大きいと判定されたとする。すると、作業指示作成部103は、コスト基準の候補業者を委託業者に決定し、その委託業者に対する作業指示内容を決定する(ステップ557)。具体的には、作業指示作成部103は、今回のオーバーホール工事の委託業者の選定及び作業指示内容の決定におけるルールをコスト基準とする。即ち、作業指示作成部103は、コスト基準の候補業者を、今回のオーバーホール工事の対象の生産財機械別の委託業者とし、コスト基準の最適候補業者も加味して、候補業者の業者IDをキーとして、作業計画管理DB215を検索する。そして、作業指示作成部103は、業者別工事計画情報群を抽出し、その結果を作業指示内容とする。ここで、コスト基準の最適候補業者も加味するとは、調整の結果、実施範囲外となった共通点検内容は除外し、実施範囲となった共通点検内容は含めることを意味する。尚、この場合、作業コスト差分GAP-COSTが作業時間差分の利益換算値GAP-PROFITより大きいことは、合計作業時間の目標作業時間からの削減度合いと合計作業コストの目標作業コストからの削減度合いとの比較結果の一例である。
【0211】
このように作業指示作成部103が次回のオーバーホール工事の作業指示を作成すると、画面作成部104が、作業指示画面830を作成する。そして、送信部105が、作業指示画面830を端末装置300に送信し、端末装置300が、作業指示画面830を表示する。
【0212】
図43は、作業指示画面830を示した図である。作業指示者が作業指示画面830で「確定する」ボタン831をクリックする操作を行ったとする。すると、端末装置300は、この操作の情報を保全業務支援装置100へ送信し、保全業務支援装置100では、受信部101が、この操作の情報を受信する。これにより、作業指示作成部103が、確定した業者別工事計画情報群を確定作業計画管理DB216に登録する。また、端末装置300は、画面を工事一覧画面820に戻し、今回のオーバーホール工事(2020年12月)の「〇」を全て「●」に変更し、「作業指示作成」ボタン825も非表示とする。一方、作業指示者が作業指示画面830で「確定しない」ボタン832をクリックする操作を行ったとする。すると、端末装置300は、処理結果を破棄し、画面を工事一覧画面820に戻す。
【0213】
尚、上記では、
図37のステップ513で抽出される時間基準の候補業者及びコスト基準の候補業者はそれぞれ1業者のみとしたが、これには限らない。総作業時間が最小の保全業者と総作業時間の差がこれと一定値以内である保全業者とを時間基準の候補業者とし、総作業コストが最小の保全業者と総作業コストの差がこれと一定値以内である保全業者とをコスト基準の候補業者としてもよい。その場合、作業指示作成部103は、時間基準の候補業者とコスト基準の候補業者との全ての組み合わせについて、以降の処理を行う。そして、作業指示作成部103は、作業コスト差分GAP-COSTが最大、又は、作業時間差分の利益換算値GAP-PROFITが最大となる組み合わせを、最適解として、委託業者の選定、及び委託業者別の作業指示の自動策定を行うようにしてもよい。
【0214】
また、上記では、時間基準及びコスト基準の2つの基準を用いて、
図36のステップ501~505の全てを実行するものとしたが、この限りではない。次の3つの変形例も考えられる。第1の変形例は、時間基準のみを用いて、
図36のステップ501~504を実行する、というものである。第2の変形例は、コスト基準のみを用いて、
図36のステップ501~504を実行する、というものである。第3の変形例は、時間基準及びコスト基準という2つの基準を用いて、
図36のステップ501,505を実行する、というものである。
【0215】
[変形例]
上記では、保全業務支援装置100が、端末装置300で入力された情報を通信ネットワークを介して受信し、端末装置300で表示する情報を通信ネットワークを介して送信するようにしたが、この限りではない。保全業務支援装置100が、自装置に接続された入力装置で入力された情報を受け付け、自装置に接続された出力装置に情報を出力するようにしてもよい。
【0216】
[本実施の形態の効果]
本実施の形態のシステムを使うことで、複数の生産財機械群から構成されるプラントの保全業務において、中堅や若手の保全作業者でも、過年度の点検及び補修工事の結果又は機能増強内容も加味した、プラント全体最適視点での保全計画を策定可能となった。更には、業務委託費用又は作業期間を最適な案にて委託業者に工事内容の作業指示を行うことも可能となった。
【符号の説明】
【0217】
1…保全業務支援システム、100…保全業務支援装置、101…受信部、102…工事計画作成部、103…作業指示作成部、104…画面作成部、105…送信部、200…データベース、300…端末装置