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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191603
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 1/32 20060101AFI20221221BHJP
   F24F 1/0063 20190101ALI20221221BHJP
【FI】
F28F1/32 R
F28F1/32 S
F24F1/0063
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099916
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】和田 賢宣
(72)【発明者】
【氏名】大城 崇裕
(72)【発明者】
【氏名】永田 剛史
(72)【発明者】
【氏名】米澤 勝
【テーマコード(参考)】
3L051
【Fターム(参考)】
3L051BE04
(57)【要約】
【課題】伝熱管の中心を結ぶ中心線からフィンの端縁の近くになるにしたがって、熱交換空気の流通方向に対する切り起しスリットの端部の角度を対称的に大きくする熱交換器において、上流側切り起しスリットの端部により、伝熱管の上流側へ流れる気流の一部が切り起こしスリットへ誘導されることによって、伝熱管における熱交換量の低下を生じ、さらに切り起こしスリットを流通する熱交換空気の流速と、伝熱管の下流の熱交換空気の流速との流速差が拡大し、クロスフローファンにおいて流入する空気の風速分布悪化による騒音を生じる恐れがある。
【解決手段】上流側切り起こしスリット端部角度A1と、下流側切り起こしスリット端部角度A2とを、A1<A2とする。これにより、熱交換効率を改善しつつ、切り起こしスリットを流通する熱交換空気の流速と伝熱管の下流部の流速との流速差を緩和し、クロスフローファンで生じる騒音を抑制できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィンと、前記フィンを貫通する伝熱管とを備え、前記フィンは、前記伝熱管の段方向間に前記フィン端縁に対して略直交する少なくとも2枚以上の切り起こしスリットを有し、前記切り起こしスリットのうち、気流方向から見て最上流の上流側切り起こしスリットの上流側切り起こしスリット端部と前記フィン端縁に直交する直交直線とが成す上流側切り起こしスリット端部角度A1と、気流方向から見て最下流の下流側切り起こしスリットの下流側切り起こしスリット端部と前記直交直線とが成す下流側切り起こしスリット端部角度A2とを、A1<A2とすることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記下流側切り起こしスリット端部角度A2を、A2>35°とすることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記伝熱管の管径Dと、前記下流側切り起こしスリットのスリット幅Lとを、L/D≧0.2することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の熱交換器。
【請求項4】
前記伝熱管の中心を結ぶ中心線と前記上流側切り起こしスリットの上流側端縁との距離H1と、前記伝熱管の中心を結ぶ中心線と前記下流側切り起こしスリットの下流側端縁との距離H2とを、H1>H2することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記フィンの気流方向から見て下流側にクロスフローファンが配設され、前記フィンの下流側端と前記クロスフローファンのブレード外周側端との距離が12mm以下となる、請求項1~4のいずれか1項に記載の熱交換器を備える、空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、熱交換器1の伝熱フィン2上に、熱交換器1を流通する空気の流通方向と直交する方向に隣設されるカラー部3と伝熱管4相互の中心点を結ぶ中心線上の切起し片部5a、中間列の切起し片部5b、フィン端縁に近い切起し片部5cを設けている。切起し片部5a、5b、5cはそれぞれ端部5d、5e、5fで伝熱フィン2の平坦面と連接している。中心線上の切起し片部5a、中間列の切起し片部5b、フィン端縁に近い切起し片部5cになるにしたがって、端部5e、5fの角度X1、X2を大きく設定する。
【0003】
熱交換器1は、上記構成において、フィン端縁に近い切起し片部5cの端部5fによって熱交換空気を伝熱管4の下流側へ導き易くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-247795
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、圧力損失を軽減しつつ、流通する熱交換空気を伝熱管の下流側へ導き、伝熱管下流部の死水域を縮小して熱交換効率を改善でき、風速分布を略均一化して騒音を抑制できる熱交換器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における熱交換器は、フィンと、フィンを貫通する伝熱管とを備え、フィンは、伝熱管の段方向間にフィン端縁に対して略直交する少なくとも2枚以上の切り起こしスリットを有し、切り起こしスリットのうち、気流方向から見て最上流の上流側切り起こしスリットの上流側切り起こしスリット端部とフィン端縁に直交する直交直線とが成す上流側切り起こしスリット端部角度A1と、気流方向から見て最下流の下流側切り起こしスリットの下流側切り起こしスリット端部と直交直線とが成す下流側切り起こしスリット端部角度A2とを、A1<A2とすることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示における熱交換器は、流通する熱交換空気の上流側切り起こしスリット端部における衝突を抑制して圧力損失を軽減しつつ、流通する熱交換空気を下流側切り起こしスリット端部によって伝熱管の下流側へ導き、伝熱管下流部の死水域を縮小して熱交換効率を改善でき、同時に、上流側切り起こしスリット端部による切り起こしスリットへの過剰な空気誘導を抑制し、切り起こしスリットを流通する熱交換空気の流速と伝熱管下流部の流速との流速差を緩和して熱交換器下流に配設されるクロスフローファンに流入する空気の風速分布を略均一化して騒音を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る空気調和機の室内機を示す断面図
図2】実施の形態1に係る熱交換器の一部を示す構成図
図3】実施の形態1及び比較例に係る熱交換器を流通する熱交換空気の風速分布図
図4】実施の形態1に係る熱交換器を流通する熱交換空気の風速分布図
図5】特許文献1に係る熱交換器を示す構成図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、空気調和機では、近年、搭載されるフィンチューブ熱交換器において、フィンに設けるスリットの形状により、熱交換性能向上を図っていた。
【0010】
しかしながら、従来技術では、特許文献1のように上流側のフィン端縁に近い切起し片部5cの端部5fの角度と下流側のフィン端縁に近い切起し片部5cの端部5fが対称的に設けられており、その場合上流側のフィン端縁に近い切起し片部5cの端部5fの角度が大きくなるため、端部5fに流通する空気が衝突して通風抵抗の増大を生じる。また、伝熱管4の上流側へ流れる気流の一部が端部5fにより切起し片部5a、5b、5cへ誘導されることによって、伝熱管4における熱交換量の低下を生じ、さらに切起し片部5a、5b、5cを流通する熱交換空気の流速と、伝熱管4の下流の熱交換空気の流速との流速差が拡大し、熱交換器1の下流に配設されるクロスフローファンにおいて流入する空気の風速分布悪化による騒音を生じる恐れがあった。
【0011】
そうした状況下において、発明者らは、熱交換器を流通する熱交換空気の風速分布をヒントにして、本開示の主題を構成するに至った。
【0012】
本開示は、熱交換空気の上流側切り起こしスリット端部における衝突を抑制し、かつ、熱交換空気を下流側切り起こしスリット端部によって伝熱管の下流側へ導くことにより圧力損失を軽減しつつ、流通する熱交換空気を伝熱管の下流側へ導き、伝熱管下流部の死水域を縮小して熱交換効率を改善でき、風速分布を略均一化して騒音を抑制できる熱交換器を提供する。
【0013】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0014】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態に係る空気調和機100の室内機を示す断面図である。また、図2は、本実施の形態に係る熱交換器107の一部を示す構成図である。以下、図1、2を用いて、実施の形態1を説明する。
【0016】
[1-1.構成]
空気調和機100は、図1に示すように、吸込口101と、吹出口102を有する本体ケーシング103と、スタビライザ104と、リアガイダ105と、クロスフローファン106と、熱交換器107を備えている。
【0017】
熱交換器107は、複数のフィン108を気流方向に2列備え、フィン108は、伝熱管109に貫通され、伝熱管109の段方向間にフィン108の端縁に対して略直交する3枚の切り起こしスリット111を有する。なお、切り起こしスリット111は、少なくとも2枚以上有していればよい。
【0018】
切り起こしスリット111のうち、気流方向から見て最上流の上流側切り起こしスリット111aの上流側切り起こしスリット端部111dとフィン108の端縁に直交する直交直線とが成す上流側切り起こしスリット端部角度A1と、気流方向から見て最下流の下流側切り起こしスリット111cの下流側切り起こしスリット端部111fとフィン端縁に直交する直交直線とが成す下流側切り起こしスリット端部角度A2とが、A2は35°以上であり、A1<A2となる。本実施の形態1においては、A1=30°、A2=45°である。
【0019】
伝熱管109の管径Dと、下流側切り起こしスリット幅Lとが、L/D≧0.2となり、本実施の形態1において、L=1mm、D=5mmである。
【0020】
伝熱管109の中心を結ぶ中心線110と上流側切り起こしスリット111aの上流側端縁との距離H1と、伝熱管109の中心を結ぶ中心線110と下流側切り起こしスリット111cの下流側端縁との距離H2とが、H1>H2となる。本実施形態において、H1=4.0mm、H2=2.5mmである。H2は管径Dの1/4以上であるのが好ましい。
【0021】
伝熱管109から上流側切り起こしスリット端部111d、中央側切り起こしスリット端部111e、下流側切り起こしスリット端部111fの各距離は管径Dの1/2以上であるのが好ましい。
【0022】
本実施の形態1において、熱交換器107は、フィン108を気流方向に2列備えているが、2列に限らず、1列あるいは3列以上備えていても構わない。
【0023】
また、熱交換器107とクロスフローファン106のブレード外周側端との距離は、12mm以下であり、本実施の形態1においては、10mmとしている。
【0024】
[1-2.動作]
以上のように構成された熱交換器107について、以下その動作、作用を説明する。
【0025】
図3は、熱交換器107を流通する熱交換空気の風速分布図を示す。図3(a)は本実施の形態1に係るA1=30°、A2=45°である熱交換器107を流通する熱交換空気の風速分布図を示し、図3(b)は比較例としてA11=30°、A21=30°である熱交換器207を流通する熱交換空気の風速分布図を示す。
【0026】
図3(a)、(b)に示すように、下流側切り起こしスリット端部角度A2を45°とすることで、熱交換器207と比較して、熱交換空気を下流側切り起こしスリット端部111fによって伝熱管109の下流側へ導き、伝熱管109の下流部の死水域を縮小している。このことにより、熱交換効率を改善することができ、同時に、上流側切り起こしスリット端部111dによる切り起こしスリット111への過剰な空気誘導を抑制し、切り起こしスリット111を流通する熱交換空気の流速と伝熱管109の下流部の流速との流速差を緩和することができる。
【0027】
図4は、熱交換器107を流通する熱交換空気の風速分布図を示す。図4(a)は本発明の実施の形態1に係るA1=30°、A2=45°である熱交換器107を流通する熱交換空気の風速分布図を示し、図4(b)は比較例としてA12=45°、A22=45°である熱交換器307を流通する熱交換空気の風速分布図を示す。
【0028】
図4(a)、(b)に示すように、本発明の実施の形態1に係る熱交換器107は、上流側切り起こしスリット端部角度A1を30°とすることで、熱交換器307と比較して、流通する熱交換空気の上流側切り起こしスリット端部111dにおける衝突を抑制し、伝熱管109の上流側への気流流入を確保しつつ、下流側切り起こしスリット端部角度A2を45°とすることで、熱交換器307と比較して、熱交換空気を下流側切り起こしスリット端部111fによって伝熱管109の下流側へ導き、伝熱管109の下流部の死水域を縮小している。このことにより、熱交換効率を改善することができ、同時に、上流側切り起こしスリット端部111dによる切り起こしスリット111への過剰な空気誘導を抑制し、切り起こしスリット111を流通する熱交換空気の流速と伝熱管109の下流部の流速との流速差を緩和することができる。本実施の形態1に係る熱交換器107において、切り起こしスリット111を流通する熱交換空気の流速と伝熱管109の下流部の流速との流速差を緩和することで、熱交換器107を通過後の熱交換空気の風速分布を略均一化できる。このことにより、熱交換器107の下流にフィン108の下流側端とクロスフロ―ファンのブレード外周側端との距離が10mmで配設されるクロスフローファン106に対して、熱交換空気がクロスフローファン106の周方向のいずれの方向においても略同等な相対速度差で流入し、クロスフローファン106で生じる騒音を抑制することができる
また、伝熱管109の中心を結ぶ中心線110と上流側切り起こしスリット111aの上流側端縁との距離H1と、伝熱管109の中心を結ぶ中心線110と下流側切り起こしスリット111cの下流側端縁との距離H2とが、H1=4.0mm、H2=2.5mmであり、H1>H2となることから、下流側切り起こしスリット111cの通過時に発生する流通する熱交換空気の渦流がフィン108の下流側端縁に到達するまでに解消され、熱交換器107を通過後の気流の乱れを抑制し、熱交換器107の下流に配設されるクロスフローファン106に流入する気流の乱れが抑制され、クロスフローファン106で生じる騒音を抑制することができる。
【0029】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、熱交換器107は、フィン108と、フィン108を貫通する伝熱管109とを備え、フィン108は、伝熱管109の段方向間にフィン端縁に対して略直交する少なくとも2枚以上の切り起こしスリット111を有し、切り起こしスリット111のうち、気流方向から見て最上流の上流側切り起こしスリット111aの上流側切り起こしスリット端部111dとフィン端縁に直交する直交直線とが成す上流側切り起こしスリット端部角度A1と、気流方向から見て最下流の下流側切り起こしスリット111cの下流側切り起こしスリット端部111fとフィン端縁に直交する直交直線とが成す下流側切り起こしスリット端部角度A2とを、A1<A2としている。
【0030】
これにより、流通する熱交換空気の上流側切り起こしスリット端部111dにおける衝突抑制により圧力損失を軽減しつつ、流通する熱交換空気を下流側切り起こしスリット端部111fによって伝熱管109の下流側へ導き、伝熱管109下流部の死水域を縮小して熱交換効率を改善することができる。同時に、上流側切り起こしスリット端部111dによる切り起こしスリット111への過剰な空気誘導を抑制し、切り起こしスリット111を流通する熱交換空気の流速と伝熱管109下流部の流速との流速差を緩和することができる。
【0031】
本実施の形態において、熱交換器107は、下流側切り起こしスリット端部角度A2を、A2>35°としてもよい。
【0032】
これにより、A2が35°より大きいことで、下流側切り起こしスリット端部111fに沿って、効果的に気流を伝熱管109の下流側へ導き、伝熱管109下流部の死水域をより縮小して熱交換効率を改善し、切り起こしスリット111を流通する熱交換空気の流速と伝熱管109下流部の流速との流速差をより緩和することができる。
【0033】
また、本実施の形態において、熱交換器107は、伝熱管109の管径Dと、下流側切り起こしスリット111cのスリット幅Lとを、L/D≧0.2としてもよい。
【0034】
これにより、下流側切り起こしスリット111cの幅が1mm程度で、伝熱管109がD=5mm以下のような細径管熱交換器である場合に、特に効果的に気流を伝熱管109の下流側へ導き、伝熱管109下流部の死水域をより縮小して熱交換効率を改善し、熱交換器を通過後の気流分布をさらに良好に均一化することができる。
【0035】
また、本実施の形態において、熱交換器107は、伝熱管の中心を結ぶ中心線と上流側切り起こしスリット上流側端縁との距離H1と、伝熱管の中心を結ぶ中心線と下流側切り起こしスリット下流側端縁との距離H2とを、H1>H2としてもよい。
【0036】
これにより、流通する熱交換空気を下流側切り起こしスリット端部111fによって、伝熱管109のより近傍において効果的に気流を伝熱管109の下流側へと導き、伝熱管109下流部の死水域を縮小して熱交換効率を改善することができる。同時に、下流側切り起こしスリット111cの下流側端縁を伝熱管109の中心を結ぶ中心線に近づけ、下流側切り起こしスリット111cの下流側端縁とフィン108の下流側端縁との距離を広げることで、下流側切り起こしスリット111cの通過時に発生する流通する熱交換空気の渦流がフィン108の下流側端縁に到達するまでに解消され、熱交換器107の通過後の気流の乱れを抑制することができる。
【0037】
また、本実施の形態において、空気調和機100は、フィン108の気流方向から見て下流側にクロスフローファン106が配設され、フィン108の下流側端とクロスフローファン106のブレード外周側端との距離が12mm以下となる熱交換器107を備えていてもよい。
【0038】
これによれば、下流側切り起こしスリット端部111fに沿って伝熱管109の下流側へ気流を導き、伝熱管109下流部の死水域を縮小して、切り起こしスリット111を通過する流速と伝熱管109下流部の流速との流速差を緩和し、熱交換器107の下流に、熱交換器107とクロスフローファン106との距離が狭小に配設される際にクロスフローファン106に流入する気流分布が略均一化されており、クロスフローファン106の周方向のいずれの方向においても略同等な相対速度差でブレード外周側端と流入気流とが衝突し、クロスフローファン106で生じる騒音を抑制することができる。
【0039】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る熱交換器は、高い熱交換効率を維持しつつ、熱交換器を通過後の気流分布を均一化し、また、気流の乱れを抑制することができ、熱交換器の下流に配設されるクロスフローファンで生じる騒音を抑制することができることから、家庭用空調や業務用空調に用いるのに好適である。
【符号の説明】
【0041】
100 空気調和機
101 吸込口
102 吹出口
103 本体ケーシング
104 スタビライザ
105 リアガイダ
106 クロスフローファン
107、207、307 熱交換器
108、208、308 フィン
109、209、309 伝熱管
110 中心線
111、211、311 切り起こしスリット
111a、211a、311a 上流側切り起こしスリット
111b、211b、311b 中央切り起こしスリット
111c、211c、311c 下流側切り起こしスリット
111d、211d、311d 上流側切り起こしスリット端部
111e、211e、311e 中央側切り起こしスリット端部
111f、211f、311f 下流側切り起こしスリット端部
A1、A11、A12 上流側切り起こしスリット端部角度
A2、A21、A22 下流側切り起こしスリット端部角度
D 管径
L 下流側切り起こしスリット幅
H1 伝熱管の中心を結ぶ中心線と上流側切り起こしスリット上流側端縁との距離
H2 伝熱管の中心を結ぶ中心線と下流側切り起こしスリット下流側端縁との距離
1 熱交換器
2 伝熱フィン
3 カラー部
4 伝熱管
5a 中心線上の切起し片部
5b 中間列の切起し片部
5c フィン端縁に近い切起し片部
5d 中心線上の切起しスリット端部
5e 中間列の切起しスリット端部
5f フィン端縁に近い切起し端部
X1 中間列の切起し端部の角度
X2 フィン端縁に近い切起し端部の角度
図1
図2
図3
図4
図5