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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191604
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】誘導加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/12 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
H05B6/12 314
H05B6/12 318
H05B6/12 334
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099919
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】薮野 恭平
(72)【発明者】
【氏名】岡本 直美
【テーマコード(参考)】
3K151
【Fターム(参考)】
3K151AA01
3K151CA22
3K151CA41
(57)【要約】      (修正有)
【課題】鍋特性は近いが熱容量が異なる鍋を使用した際、自動調理時において調理出来栄えが十分でないことがあった。鍋の熱容量に応じて加熱シーケンスを変えることができ、自動メニュー工程における鍋による出来栄えバラツキを低減することができる誘導加熱調理器を提供する。
【解決手段】本開示における誘導加熱調理器は、自動調理工程中に加熱出力情報および温度情報を読み取り、鍋の熱容量を判定することで、鍋の材料それぞれに適したシーケンスにて自動調理を行う。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋が載置されると、
前記トッププレートの下方に配置されて前記鍋を誘導加熱する加熱コイルと、
前記トッププレートを介して前記鍋の温度を検知する検知部と、
前記加熱コイルに高周波電流を供給し、自動調理シーケンスを実行するように構成された加熱制御部と、
前記自動調理シーケンスの実行中において前記加熱制御部から取得した前記出力情報から、
前記鍋の種類を判定する第1の鍋種判定手段と、
前記自動調理シーケンスの実行中において前記検知部から取得した前記温度情報から、
前記鍋の種類を判定する第2の鍋種判定手段を備え、
前記加熱制御部は、前記自動調理シーケンスの実行中において、所定の条件下で、前記第1の鍋種判定手段および前記第2の鍋種判定手段の判定結果に基づいて、前記加熱コイルに供給する前記高周波電流を制御することを特徴とした誘導加熱調理器。
【請求項2】
前記加熱制御部には、加熱途中で前記鍋の種類に応じて複数のパターンに枝分かれする前記自動調理シーケンスが記憶されており、
前記加熱制御部は、前記複数のパターンのうち、所定のパターンを選択し、
前記所定のパターンに基づいて、加熱制御を行うように構成され、
前記所定のパターンは、前記第1の鍋種判定手段および前記第2の鍋種判定手段の前記判定結果に基づいて判定された前記鍋の種類に対応する、請求項1に記載の誘導加熱調理器。
【請求項3】
前記自動調理シーケンスは、複数の工程を含み、
前記加熱制御部は、前記検知部により検知された前記温度情報に応じて、前記自動調理シーケンスの前記複数の工程のうち、少なくとも一部の工程の時間を変更するように構成された、
請求項2に記載の誘導加熱調理器。
【請求項4】
前記第2の鍋種判定手段は、前記自動調理シーケンスの開始後の温度変化量と、第1の閾値を比較することで前記鍋の種類を判定する、
請求項2記載の誘導加熱調理器。
【請求項5】
前記第2の鍋種判定手段は、前記温度変化量が前記第1の閾値未満の場合、前記鍋の種類が熱容量の相対的に小さい第1の種類と判定し、前記温度変化量が前記第1の閾値以上の場合、前記鍋の種類が熱容量の相対的に大きい第2の種類と判定する、請求項4記載の誘導加熱調理器。
【請求項6】
前記第1の鍋種判定手段は、インバータ出力が第2の閾値未満または第3の閾値以上の場合、前記鍋の種類を不適合鍋と判定して、前記加熱制御部は前記自動調理シーケンスを終了し、
前記第1の鍋種判定手段は、
前記インバータ出力が前記第2の閾値以上および第4の閾値未満の場合、前記鍋の種類を前記第2の種類と判定し、
前記インバータ出力が前記第4の閾値以上および第5の閾値未満の場合、前記加熱制御部は前記第2の鍋種判定手段に移行し、
前記インバータ出力が前記第5の閾値以上および前記第3の閾値未満の場合、前記鍋の種類を前記第1の種類と判定するように構成され、
前記第2の閾値は前記第4の閾値よりも小さく、前記第4の閾値は前記第5の閾値よりも
小さく、前記第5の閾値は第3の閾値よりも小さい、請求項5に記載の誘導加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般家庭で使用される誘導加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の誘導加熱調理器は、炊飯コースおよび煮込みコースなどの自動メニューを備える。例えば炊飯コースでは、炊き上げ工程後に所定時間98℃以上に維持する。
高温維持工程を備えることで、米に対する加水量が少なくても加熱が十分で糊化度の高いご飯を炊飯できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-310384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の自動メニューでは、鍋種によって熱容量が異なるため、検知温度と調理物の温度に差が発生してしまい、鍋種ごとに調理の出来栄えが異なることがあった。
例えば炊飯の自動メニューでは炊き上げ工程後に温度検知工程を設けているために、鍋温度の上がりやすい熱容量の高い鍋を使用すると、鍋の温度が所定温度に上がっている一方で、調理物が十分な温度に至らないまま次の工程へ進んでしまい、結果お米の炊きあがりが悪くなってしまっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の誘導加熱調理器は、自動メニュー工程時に、インバータ出力の大きさだけでなく、温度情報にも基づいて鍋種を判定できるように構成され、鍋種に応じて最適な加熱シーケンスを適用する。
【発明の効果】
【0006】
本開示における誘導加熱調理器は、鍋の熱容量に応じて加熱シーケンスを変えることができるため、自動メニュー工程における鍋による出来栄えバラツキを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1における卓上誘導加熱調理器の斜視図
図2】実施の形態1における卓上型誘導加熱調理器の分解図
図3】実施の形態1における加熱コイルユニットの分解図
図4】実施の形態1における加熱制御部のブロック図
図5】実施の形態1における誘導加熱調理器の炊飯コースの動作を説明するためのフローチャート
図6】実施の形態1における誘導加熱調理器の鍋種判定の動作を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、インバータ出力の大きさによる鍋種判定技術があった。これにより、磁性鍋や非磁性ステンレス鍋、アルミ鍋などを判定することができ、判定後の鍋に応じたインバータ動作を行うことができている。
【0009】
また、誘導加熱調理器にて炊飯をする際、高温維持工程を備えることで、米に対する加水量が少なくても加熱が十分で糊化度の高いご飯を炊飯できている。
しかしながら、鋳物ホーロー鍋など熱容量の高い鍋を使用した際、鍋温度は上がるが十分お米に熱が伝わらず、ご飯を美味しく炊飯することができないという課題を発明者らは発見し、そのため、熱容量の大小により検知温度が異なることを使用した本発明の主題を構成するに至った。なお、昨今、デザイン性の高い鋳物ホーロ―鍋が人気であり、特に卓上型の誘導加熱調理器で炊飯に使用されるケースが想定される。したがって、特に卓上型の誘導加熱調理器では、鋳物ホーロ―鍋で炊飯を美味しく炊けることが求められる。
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0011】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0012】
(実施の形態1)
以下、図1図6を用いて、実施の形態1を説明する。
【0013】
[1-1.構成]
図1に示すように、本実施の形態における誘導加熱調理器は、食卓にも配置できる、卓上型誘導加熱調理器である。図2に示すように、この誘導加熱調理器は、トップユニット1とベースユニット2で構成される。トップユニット1は、トップ外郭1aと、上部に配置されたトッププレート1bを有する。またベースユニット2は、ベース外郭2aと、ベース外郭2a内部に配置された加熱コイルユニット2bと、操作表示部2cと、加熱制御部2dと、を備えており、加熱制御部2dの内部に第1の鍋種判定手段と、第2の鍋種判定手段と、を備える。また、図3に示すように、加熱コイルユニット内部に検知部2baを備える。
以下、各構成要素について説明する。
【0014】
トッププレート1bは、被加熱物である鍋等が載置される加熱位置を表示するサークルパターンが描かれており、加熱コイル2bbと鍋等の底との距離を確保するために一定の厚みで平坦な形状で構成されている。また、透磁性を有し、熱伝導率が低く、耐熱性のガラスプレートまたはセラミックプレートで構成されている。
加熱コイルユニット2bは、図3に示すように、鍋等を誘導加熱する加熱コイル2bbと、加熱コイル2bbの下面側に設けられた電気絶縁性を有する絶縁板2bcと、絶縁板2bcの下に設けられ磁束吸収効果の高い高透磁率のフェライト2bdと、加熱コイル2bbの周囲に設けられ加熱コイル2bbからの漏れ磁束を吸収するアルミリング2beと、を一体化したものである。このように一体化された加熱コイルユニット2bは、ベースユニット2に組付けられ、トッププレート1bに当接するように構成されている。
検知部2baは、加熱コイルユニット2bの中心に設けられており、トッププレート1bの熱を検知することで、載置された鍋等の底の温度を疑似的に検知することが出来る。検知部2baは温度センサー(例えば、サーミスタ等)で構成される。
操作表示部2cは、誘導加熱調理器における火力設定、時間設定等の各種設定を行うことが出来、ベースユニット2に組付けられ、トップユニット1における前面側の斜面に当接している。表示には液晶または7SEGLEDが使用され、タクトスイッチまたは静電タッチ式の操作ができる。
【0015】
加熱制御部2dは、図4に示すように、加熱コイル2bbに高周波電流を供給するインバータ回路2ca、インバータ回路を駆動する電源回路2cb、インバータ回路動作時のインバータパラメータ(加熱コイルに流れる電流等)を検知する第1の検知回路2cc、検知部2baの温度情報を取得する第2の検知回路2cdなどから構成されている。第2の検知回路2cdから取得された温度情報から、鍋等の温度を推測することが出来、自動メニュー(例えば、炊飯等)での加熱調理を可能にしている。また、鍋等の温度が異常に高温になった場合において、安全面から加熱を停止する制御を行うこともできる。なお、インバータ回路1つにつき、高周波電流を供給する加熱コイル2bbは1つが基本であるが、インバータ1つにつき、複数の加熱コイルを動作する構成としても良い。
【0016】
第1の鍋種判定手段は、加熱制御部2dにおいて検知されたインバータパラメータから、鍋種の判定をする手段である。第1の鍋種判定手段からの判定結果に基づいて、加熱制御部2dは、適切な加熱を行うことができる。加熱を行う鍋等の材質によって、取得できるインバータパラメータは大きく異なることが分かっており、鍋等の材質が磁性体または非磁性体であると判定することが出来、またトッププレート1b上に鍋等が載置されていない、鍋等ではなく小物(ナイフなど)が置かれている等を検知して加熱を停止することが出来る。
第2の鍋種判定手段は、自動メニューでの加熱調理において、一定時間経過した際に検知されたトッププレート1bの温度変化量から、誘導加熱している鍋等の材質を判定することが出来る。加熱を行う鍋等の材質の熱容量により、一定時間経過した際の温度変化量が異なることが分かっており、第1の鍋種判定手段で鍋等の材質を絞った状態で第2の鍋種判定手段を行うことで、熱容量が大きい鍋(例えば、鋳物ホーロー鍋)または熱容量が小さい鍋(例えば、ステンレス鍋)を判定することが出来る。
[1-2.動作]
ユーザが自動調理メニューとして炊飯コースを選択した場合の自動調理シーケンスの実行動作について説明する。まず、図5に示すように、ユーザが炊飯コースを選択し、調理量(つまり炊飯量)を入力する(ステップS01)と、炊飯コースがスタートする(ステップS02)。炊飯コースは、図5に示すように、待機工程(ステップS03)、前炊工程(ステップS04)、沸騰工程(ステップS05)、高温維持工程(ステップS06)、蒸らし工程(ステップS07)と、を含む。本実施の形態では、蒸らし工程(ステップS07)が終了した後、自動調理が完了する(ステップS08)。
待機工程(ステップS03)は、炊飯の出来栄えを一定にするため、ユーザが、鍋が高温の状態でトッププレート1b上に載置された場合のみ動作する工程であり、鍋の温度が一定以下に下がると前炊工程に移行する。
前炊工程(ステップS04)は、鍋の温度を50℃付近まで上げ、温度維持することで、中温域での米への吸水を行う工程であり、本実施の形態では、第1の鍋種判定手段および第2の鍋種判定手段による鍋種判定を前炊工程で行う。特に本実施の形態では、第1の鍋種判定手段および第2の鍋種判定手段による鍋種判定を、前炊き工程の50℃付近で維持するまでに実行する。その理由は、前炊き工程が終わって沸騰工程(ステップS05)に昇温させる段階では、鍋種判定を完了し、鍋種に応じて異なるパターンの自動調理シーケンスを実行したいためである。50℃付近まで上げたことを確認した後、時間経過により沸騰工程(ステップS05)へ移行する。第1の鍋種判定手段および第2の鍋種判定手段のフローチャートを図6に示す。
図6に示すように、たとえば前炊工程(ステップS04)に移行すると、第1の鍋種判定手段は、加熱制御部2dから各加熱コイル2bbのインバータ出力情報を取得する(ステップS10)。そして、第1の鍋種判定手段は、取得されたインバータパラメータと閾値を比較する(ステップS11~S14)。
まず、第1の鍋種判定手段は、インバータパラメータが第2の閾値未満の場合(ステップS11でYES)、鍋の種類を不適合鍋と判定(ステップS17)して、加熱制御部2d
は自動調理シーケンスを終了(ステップS18)する。ここで不適合鍋と判断されるケースとしては、小径の鍋が挙げられる。
次に、ステップS11でNOの場合、第1の鍋種判定手段は、インバータパラメータが第3の閾値以上か否かを判定する(ステップS12)。インバータパラメータが第3の閾値以上の場合(ステップS12でYES)、第1の鍋種判定手段は、鍋の種類を不適合鍋と判定して、加熱制御部2dは調理シーケンスを終了する。ここで不適合鍋と判断されるケースとしては、アルミ鍋または非磁性鍋などが挙げられる。
ステップS12でNOの場合、第1の鍋種判定手段は、インバータパラメータが第2の閾値以上および第4の閾値未満かを判定する(ステップS13)。インバータパラメータが第2の閾値以上および第4の閾値未満の場合(ステップS13でYES)、第1の鍋種判定手段は、鍋の熱容量が「大」と判定(ステップS19)し、鍋の種類を第2の種類と判定して、加熱制御部2dは、第2の種類に適したパターンの自動調理シーケンスへ移行(ステップS20)する。ここで、第2の種類としては、鋳物ホーロー鍋が挙げられる。
ステップS13でNOの場合、第1の鍋種判定手段は、インバータパラメータが第5の閾値以上および第3の閾値未満か否かを判定する(ステップS14)。インバータパラメータが第5の閾値以上および第3の閾値未満の場合(ステップS14でYES)、第1の鍋種判定手段は、鍋の熱容量が「小」と判定し、鍋の種類を第1の種類と判定して、加熱制御部2dは、第1の種類に適したパターンの自動調理シーケンスへ移行する。ここで、第1の種類としては、ステンレス鍋が挙げられる。
ステップS14でNOの場合、第2の鍋種判定手段は、ステップS14から所定時間経過後の温度変化量を取得する(ステップS15)。第2の鍋種判定手段は、前記自動調理シーケンスの開始後の温度変化量と、第1の閾値を比較し、温度変化量が第1の閾値未満である場合(ステップS16でYES)、第2の鍋種判定手段は、鍋の熱容量が「小」と判定し、鍋の種類を第1の種類と判定(ステップS21)して、加熱制御部2dは、第1の種類の適したパターンの自動調理シーケンスへ移行(ステップS22)する。
ステップS16でNOの場合、第2の鍋種判定手段は、鍋の熱容量が「大」と判定し、鍋の種類を第1の種類と判定して、加熱制御部2dは、第1の種類に適したパターンの自動調理シーケンスへ移行する。
以上のように、本実施の形態では、はじめに第1の鍋種判定手段により、加熱に適さない非適合鍋と、熱容量の大きい鍋と、熱容量の小さい鍋と、未判定と、を判定する。非適合鍋とは、たとえば非磁性ステンレス鍋などである。非適合鍋と判定された場合、判定後の加熱を停止する。このとき、操作表示部2cに加熱を停止したことによるエラー表示、または報知音、あるいはその両方を行っても良い。未判定とされた場合、第2の鍋種判定手段に移行する。なお、本実施の形態では、第1の鍋種判定手段による鍋種判定を前炊工程(ステップS04)で実行したが、第2の鍋種判定手段で鍋種判定をするタイミングであったら、いつでも良い。たとえば、待機工程(ステップS03)で第1の鍋種判定手段による判定を実行しても良い。
第2の鍋種判定手段は、前炊工程開始直後の温度情報(ステップS10)と、一定時間経過した後に検知された温度情報の変化量(ステップS15)と閾値を比較する(ステップS16)ことで、熱容量の大小を判定する。なお、第2の鍋種判定手段は温度上昇による温度変化量を用いるため、前炊工程(ステップS04)で実行するのが望ましい。なお、本実施の形態では、第2の鍋種判定手段は、ステップS16で温度変化量が第1の閾値未満か否かの二者択一で自動シーケンスのパターンを選択したが、選択するパターンは二つ以上の多数あってもよい。たとえば、自動調理シーケンスは、複数の工程を含み、第2の鍋種判定手段は、検知部2baにより検知された温度情報に応じて、多数の鍋種を区別するよう判定し、加熱制御部2dは、その判定結果に応じて、自動調理シーケンスの前炊工程以降の複数の工程のうち、少なくとも一部の工程の時間を変更するように構成されていてもよい。これにより、たとえば、同じステンレス鍋であっても、鍋底の厚みによって自動調理シーケンスのパターンを変えることができる。
沸騰工程(ステップS05)以降の自動調理シーケンスは、加熱制御部2dに記憶された
各々の鍋種に相当するパターンの自動調理シーケンスを実行する。
沸騰工程(ステップS05)は、加熱を強めることで鍋を100℃付近まで上げ、水を沸騰させる工程である。沸騰工程は、100℃付近まで上げたことを確認した後、時間経過により沸騰維持工程へ移行する。
沸騰維持工程(ステップS06)は、加熱を弱め、沸騰した水を温度維持する工程であり、米の糊化を進め、炊上を行う工程である。
蒸らし工程(ステップS07)は、さらに加熱を弱め、鍋内の余分な水分を蒸発させることで、米の糊化を促進し、かつ鍋内部の米の位置による炊飯の出来栄えのバラツキを低減する工程である。
[1-3.効果]
本実施の形態では、自動調理シーケンスの実行中において、第1の鍋種判定手段および第2の鍋種判定手段の判定結果に基づいて、加熱コイルに供給する高周波電流を制御することにより、鍋の熱容量に応じて加熱シーケンスを変えることができるため、自動メニュー工程における鍋による出来栄えバラツキを低減することができる。
また、本実施の形態では、加熱制御部2dに鍋の種類に応じたパターンの自動調理シーケンスが複数記憶されており、加熱制御部は2d、第1の鍋種判定手段および第2の鍋種判定手段に基づいて判定された鍋の種類に対応する自動調理シーケンスを選択することにより、たとえば鋳物ホーロー鍋の時の炊飯コースとステンレス鍋の時の炊飯コースとを鍋種に応じて自動で適用することが出来る。
また、本実施の形態では、加熱制御部2dは、検知部2baにより検知された温度情報に応じて自動調理シーケンスの複数の工程のうち少なくとも一部の工程の時間を変更するように構成されることにより、鋳物ホーロー鍋なら鋳物ホーロー鍋の板厚や材質により変わる温度情報を利用することで、使用する鍋に最適なシーケンスを適用することが出来る。また、本実施の形態では、待機工程終了後の前炊工程時点の温度変化量と、閾値を比較することで、たとえばホットスタートなど、自動調理シーケンス開始時の鍋の温度による鍋種判定への影響を小さくすることが出来、鍋の種類をより正確に判定することが出来る。また、本実施の形態では、第1の鍋種判定手段は、自動調理シーケンス開始時におけるインバータ出力が第2の閾値未満または第3の閾値以上の場合、前記鍋の種類を不適合鍋と判定して、加熱制御部2dは自動調理シーケンスを終了し、第1の鍋種判定手段は、インバータ出力が第2の閾値以上および第4の閾値未満の場合、鍋の種類を第2の種類と判定し、インバータ出力が第4の閾値以上および第5の閾値未満の場合、加熱制御部2dは第2の鍋種判定手段に移行し、インバータ出力が第5の閾値以上および第3の閾値未満の場合、鍋の種類を第1の種類と判定することにより、より高精度に鍋の熱容量に応じたシーケンスを適用することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本実施の形態の誘導加熱調理器は、熱容量に応じて最適な自動調理メニューのパターンを選択できるため、特に鋳物ホーロー鍋を用いて調理する場合に有効である。
【符号の説明】
【0018】
1 トップユニット
1a トップ外郭
1b トッププレート
2 ベースユニット
2a ベース外郭
2b 加熱コイルユニット
2ba 検知部
2bb 加熱コイル
2bc 絶縁板
2bd フェライト
2be アルミリング
2c 操作表示部
2ca インバータ回路
2cb 電源回路
2cc 第1の検知回路
2cd 第2の検知回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6