(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191606
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】感光性着色組成物、それを用いたカラーフィルタ、画像表示装置、固体撮像素子
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20221221BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20221221BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20221221BHJP
G03F 7/031 20060101ALI20221221BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20221221BHJP
C08F 2/50 20060101ALI20221221BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20221221BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G02B5/20 101
G03F7/027 502
G03F7/031
C08F2/44 Z
C08F2/50
G02F1/1335 505
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099923
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】新戸 翔
(72)【発明者】
【氏名】向井 綾子
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 由宇
(72)【発明者】
【氏名】常川 美沙緒
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
2H291
4J011
4M118
【Fターム(参考)】
2H148BE03
2H148BE09
2H148BE12
2H148BE24
2H148BF15
2H148BF19
2H148BH02
2H148BH11
2H148BH18
2H148BH24
2H225AC33
2H225AC36
2H225AC37
2H225AC43
2H225AC44
2H225AC46
2H225AC47
2H225AC49
2H225AC58
2H225AC63
2H225AD02
2H225AD06
2H225AD14
2H225AD15
2H225AE06P
2H225AE12P
2H225AE18P
2H225AM22P
2H225AM23P
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2H225AM67P
2H225AM92P
2H225AM95P
2H225AN02P
2H225AN21P
2H225AN22P
2H225AN23P
2H225AN34P
2H225AN38P
2H225AN39P
2H225AN42P
2H225AN51P
2H225AN56P
2H225AN58P
2H225AN66P
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2H225AN79P
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2H225AN95P
2H225AN96P
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2H291FA02
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4J011PA43
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4M118AA10
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4M118CA02
4M118GB03
4M118GB07
4M118GC07
4M118GD04
(57)【要約】
【課題】本発明は、パターン形状の欠陥が少なく、現像後の水しみを抑制し、優れたアルカリ現像性、及び高い残膜率を有する感光性着色組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】上記課題は、着色剤(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)、及び光重合開始剤(D)を含む、感光性着色組成物であって、
前記アルカリ可溶性樹脂(B)が、ガラス転移温度20℃以上かつ酸価20~100mgKOH/gの非感光性アルカリ可溶性樹脂(B1)、及びガラス転移温度0℃以下かつ酸価20~100mgKOH/gの感光性アルカリ可溶性樹脂(B2)を含む、感光性着色組成物によって解決できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)、及び光重合開始剤(D)を含む、感光性着色組成物であって、
前記アルカリ可溶性樹脂(B)が、ガラス転移温度20℃以上かつ酸価20~100mgKOH/gの非感光性アルカリ可溶性樹脂(B1)、及びガラス転移温度0℃以下かつ酸価20~100mgKOH/gの感光性アルカリ可溶性樹脂(B2)を含む、感光性着色組成物。
【請求項2】
前記非感光性アルカリ可溶性樹脂(B1)をアルカリ可溶性樹脂(B)100質量%中、5~70質量%含む、請求項1に記載の感光性着色組成物。
【請求項3】
前記光重合開始剤(D)が、オキシム系化合物(D1)を含む、請求項1または2に記載の感光性着色組成物。
【請求項4】
前記オキシム系化合物(D1)が、1分子中にオキシム基を2つ含有するオキシム系化合物(D1-2)を含む、請求項3に記載の感光性着色組成物。
【請求項5】
前記重合性化合物(C)が、酸基含有(メタ)アクリレート(C1)を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の感光性着色組成物。
【請求項6】
基板、および請求項1~5のいずれか1項に記載の感光性着色組成物を用いて形成されてなるフィルタセグメントを有する、カラーフィルタ。
【請求項7】
請求項6に記載のカラーフィルタを有する、画像表示装置。
【請求項8】
請求項6に記載のカラーフィルタを有する、固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性着色組成物、それを用いたカラーフィルタ、画像表示装置、固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置や固体撮像素子に使用するカラーフィルタは、感光性着色組成物を、ガラス等の透明基板に塗布し、乾燥によってこの塗膜から溶剤を除去する工程、この塗膜を、所望するパターン形状を有するフォトマスクを介して放射線を照射・硬化(以下、露光という)工程、次いで、この塗膜の未露光部を洗浄・除去(以下、現像という)する工程、その後、必要に応じて硬化膜を十分に硬化させるために加熱処理(以下、ポストベークという)工程により1色目のフィルタセグメントパターンを得る。そして、これと同様の操作を行うことにより他の色のフィルタセグメントパターンを形成し、カラーフィルタを完成する。
【0003】
上記現像工程は、現像液としてアルカリ性の現像液を用いて、未露光部分を洗浄・除去する。その際に、露光した部分が欠けたり、剥がれたりしてパターン形状に欠陥が発生する問題があった。また、アルカリ性の現像液に塗膜が曝された場合、塗膜が変色する現象(以下、水しみという)が発生する問題もあった。そのため、現像工程においてパターン形状の欠陥と水しみが発生しない感光性着色組成物が求められている。さらに、現像工程やポストベーク工程の際に、未反応物等が溶出や気化することで塗膜の膜厚が変化する(以下、残膜率という)問題もあった。
【0004】
また、近年、画像表示装置の小型化、及び高画素化によって1画素あたりの面積が小さくなる傾向にあり、高膜厚化が検討されている。しかし、高膜厚化した場合、未露光部の現像残り(以下、アルカリ現像性という)が多くなる問題があった。
【0005】
そこで水しみの改善の取り組みとして、特許文献1には、特定構造のフッ素系界面活性剤を含む感光性着色組成物が開示されている。また、アルカリ現像性改善の取り組みとして、特許文献2には、硬化性ポリマーに特徴を有する感光性着色組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-102212号公報
【特許文献2】特開2014-210892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の感光性着色組成物は、パターン形状、水しみ、アルカリ現像性、及び残膜率を全て満足できなかった。
【0008】
本発明は、パターン形状の欠陥が少なく、現像後の水しみを抑制し、優れたアルカリ現像性、及び高い残膜率を有する感光性着色組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、着色剤(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)、及び光重合開始剤(D)を含む、感光性着色組成物であって、前記アルカリ可溶性樹脂(B)が、ガラス転移温度20℃以上かつ酸価20~100mgKOH/gの非感光性アルカリ可溶性樹脂(B1)、およびガラス転移温度0℃以下かつ酸価20~100mgKOH/gの感光性アルカリ可溶性樹脂(B2)を含む、感光性着色組成物である。
【発明の効果】
【0010】
上記の本発明によれば、パターン形状の欠陥が少なく、現像後の水しみを抑制し、優れたアルカリ現像性、及び高い残膜率を有する感光性着色組成物を提供できる。また、本発明は、カラーフィルタ、画像表示装置、固体撮像素子を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の感光性着色組成物を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、課題を解決可能な範囲内で変形して実施できる。
【0012】
本発明において、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」とは、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタアクリロイル」、「アクリル及び/又はメタアクリル」、「アクリル酸及び/又はメタアクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタアクリルアミド」を意味する。また、「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 発行)を意味する。重合性不飽和基は、エチレン性不飽和二重結合である。
また、本発明における化合物の分子量に関しては、分子量が特定できる低分子化合物については、計算により算出した値、若しくはESI-MS(エレクトロスプレーイオン化質量分析法)により測定した分子量であり、分子量の分布を持つ化合物については、テトラヒドロフランを溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0013】
<感光性着色組成物>
本発明は、着色剤(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)、及び光重合開始剤(D)を含む、感光性着色組成物であって、
前記アルカリ可溶性樹脂(B)が、ガラス転移温度20℃以上かつ酸価20~100mgKOH/gの非感光性アルカリ可溶性樹脂(B1)、およびガラス転移温度0℃以下かつ酸価20~100mgKOH/gの感光性アルカリ可溶性樹脂(B2)を含む、感光性着色組成物である。
【0014】
[着色剤(A)]
本発明の感光性着色組成物は、着色剤(A)を含む。
【0015】
着色剤(A)は、顔料、染料が挙げられる。これらの中でもカラーフィルタには耐光性、耐熱性、および耐溶剤性が求められることから顔料が好ましい。
【0016】
(顔料)
顔料としては、特に限定されず、例えば、カラーインデックスにおいてピグメントに分類されている化合物が挙げられる。
【0017】
赤色顔料は、例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,37,38,41,47,48,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53,53:1,53:2,53:3,57,57:1,57:2,58:4,60,63,63:1,63:2,64,64:1,68,69,81,81:1,81:2,81:3,81:4,83,88,90:1,101,101:1,104,108,108:1,109,112,113,114,122,123,144,146,147,149,151,166,168,169,170,172,173,174,175,176,177,178,179,181,184,185,187,188,190,193,194,200,202,206,207,208,209,210,214,216,220,221,224,230,231,232,233,235,236,237,238,239,242,243,245,247,249,250,251,253,254,255,256,257,258,259,260,262,263,264,265,266,267,268,269,270,271,272,273,274,275,276,277,278,279,280,281,282,283,284,285,286,287,291,295,296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、耐光性、及び透過率の観点から、C.I.ピグメントレッド48:1,122,177,224,242,269,254,291,295,296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料が好ましく、C.I.ピグメントレッド177,254,291,295,296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料が特に好ましい。
【0018】
橙色顔料は、例えば、C.I.ピグメントオレンジ36,38,43,64,71,73等が挙げられる。
【0019】
黄色顔料は、例えば、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,12,13,14,15,16,17,18,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,126,127,128,129,138,139,147,150,151,152、153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,192,193,194,196,198,199,213,214,231,233、特開2012-226110号公報に記載された顔料等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントイエロー138,139,150,185,231,233、特開2012-226110号公報に記載された顔料が好ましい。
【0020】
緑色顔料は、例えば、C.I.ピグメントグリーン1,2,4,7,8,10,13,14,15,17,18,19,26,36,37,45,48,50,51,54,55,58,59,62,63等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントグリーン36、58、59、62、63が好ましい。
【0021】
青色顔料は、例えば、C.I.ピグメントブルー1,1:2,9,14,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17,19,25,27,28,29,33,35,36,56,56:1,60,61,61:1,62,63,66,67,68,71,72,73,74,75,76,78,79等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントブルー15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6が好ましい。
【0022】
紫色顔料は、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1,1:1,2,2:2,3,3:1,3:3,5,5:1,14,15,16,19,23,25,27,29,31,32,37,39,42,44,47,49,50等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントバイオレット19,23が好ましい。
【0023】
黒色顔料は、例えば、C.I.ピグメントブラック1,6,7,12,20,31等が挙げられる。
【0024】
本発明の感光性着色組成物は、着色剤(A)として無機顔料も使用できる。例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、合成鉄黒等が挙げられる。
【0025】
(染料)
染料は、酸性染料、直接染料、塩基性染料、造塩染料、油溶性染料、分散染料、反応染料、媒染染料、建染染料、硫化染料等が挙げられる。また、染料は、これらの誘導体、または染料をレーキ化したレーキ顔料も使用できる。
【0026】
酸性染料は、スルホン酸やカルボン酸等の酸性基を有することが好ましい。直接染料は、酸性染料の無機塩、または酸性染料と、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、または一級アミン化合物等の含窒素化合物との造塩化合物を形成することが好ましい。また、これらの官能基を有する樹脂成分と酸性染料との塩である造塩化合物も好ましい。また、造塩化合物は、スルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物に変性することで耐性(耐光性、耐溶剤性)に優れた感光性着色組成物を得やすい。
また、酸性染料とオニウム塩基を有する化合物との造塩化合物も、耐性(耐光性、溶剤耐性)に優れるため好ましい。なお、オニウム塩基を有する化合物は、カチオン性基を有する樹脂が好ましい。
【0027】
塩基性染料は、そのままでも使用できるが、有機酸や過塩素酸またはその金属塩と造塩化する造塩化合物が好ましい。塩基性染料の造塩化合物は、耐性(耐光性、耐溶剤性)や、顔料との親和性が優れているため好ましい。また、塩基性染料の造塩化合物で、カウンタイオンとしてはたらくアニオン成分は、有機スルホン酸、有機硫酸、フッ素基含有リンアニオン化合物、フッ素基含有ホウ素アニオン化合物、シアノ基含有窒素アニオン化合物、ハロゲン化炭化水素基を有する有機酸の共役塩基を有するアニオン化合物、酸性染料とを造塩した造塩化合物が好ましい。なお、造塩化合物は、分子中に重合性不飽和基を含有すると耐性がより向上する。
【0028】
染料の化学構造は、例えば、アゾ系染料、ジスアゾ系染料、アゾメチン系染料(インドアニリン系染料、インドフェノール系染料など)、ジピロメテン系染料、キノン系染料(ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、アントラピリドン系染料など)、カルボニウム系染料(ジフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アクリジン系染料など)、キノンイミン系染料(オキサジン系染料、チアジン系染料など)、アジン系染料、ポリメチン系染料(オキソノール系染料、メロシアニン系染料、アリーリデン系染料、スチリル系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料など)、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料、ペリノン系染料、インジゴ系染料、チオインジゴ系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、ローダミン系染料、及びそれらの金属錯体系染料等から選ばれる染料に由来する色素構造が挙げられる。
【0029】
これらの色素構造の中でも、色相、色分離性、色むらなどの色特性の観点から、アゾ系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、スクアリリウム系染料、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造が好ましく、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、フタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造がより好ましい。
【0030】
着色剤(A)は、単独、または2種類以上を併用して使用することができる。
【0031】
着色剤(A)の含有量は、感光性着色組成物の不揮発分100質量%中、5~70質量%が好ましく、10~60質量%がより好ましい。
【0032】
(顔料の微細化)
顔料は、微細化して用いることが好ましい。微細化方法は、特に限定されるものではなく、例えば、湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法いずれも使用できる。これらの中でも、湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理が好ましい。微細化顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)により求められる平均一次粒子径は、5~90nmが好ましい。なお、分散性、コントラスト比の観点から、平均一次粒子径は10~70nmがより好ましい。
【0033】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0034】
水溶性無機塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられ、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)が好ましい。水溶性無機塩の使用量は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100質量部に対して、50~2,000質量部が好ましく、300~1,000質量部がより好ましい。
【0035】
水溶性有機溶剤は、顔料および水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤の使用量は、顔料100質量部に対して、5~1,000質量部が好ましく、50~500質量部がより好ましい。
【0036】
ソルトミリング処理には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。前記樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等が挙げられる。これらの中でも、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることが好ましい。樹脂の添加量は、顔料100質量部に対して、2~200質量部が好ましい。
【0037】
[アルカリ可溶性樹脂(B)]
本発明でアルカリ可溶性樹脂(B)は、ガラス転移温度20℃以上かつ酸価20~100mgKOH/gの非感光性アルカリ可溶性樹脂(B1)、及びガラス転移温度0℃以下かつ酸価20~100mgKOH/gの感光性アルカリ可溶性樹脂(B2)を含む。
【0038】
非感光性アルカリ可溶性樹脂は、光硬化不足によるパターン形状の欠陥や水しみが悪化しやすく、ポストベーク時の分解等が起こりやすく残膜率が低いが、優れたアルカリ現像性を有している。一方、感光性アルカリ可溶性樹脂は、パターン形状の欠陥、水しみ、及び残膜率に対して優れているが、アルカリ可溶性基が少ないため、アルカリ現像性が悪くなる。そこで本発明では、ガラス転移温度20℃以上の非感光性アルカリ可溶性樹脂、及びガラス転移温度0℃以下の感光性アルカリ可溶性樹脂という異なるガラス転移温度のアルカリ可溶性樹脂を組み合わせることで、光硬化促進によるパターン形状の欠陥と水しみ抑制、更にアルカリ現像性を向上できる。また、非感光性アルカリ可溶性樹脂、及び感光性アルカリ可溶性樹脂の酸価をいずれも20~100mgKOH/gにすることで、パターン形状の欠陥と水しみ抑制、及びアルカリ現像性を維持しながら、ポストベーク時の分解等が抑制され残膜率が向上できると推測する。なお、本明細書でアルカリ可溶性基は、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、フェノール性ヒドロキシル基などが挙げられる。これらの中でも、カルボキシル基が好ましい。
【0039】
(非感光性アルカリ可溶性樹脂(B1))
非感光性アルカリ可溶性樹脂(B1)の樹脂種は、例えば、酸性基を有するアクリル樹脂、α-オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらの中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体が好ましい。
【0040】
非感光性アルカリ可溶性樹脂(B1)は、アルカリ可溶性樹脂(B)100質量%中、5~70質量%含むことが好ましく、10~60質量%含むことがより好ましく、20~50質量%含むことがさらに好ましい。
【0041】
(感光性アルカリ可溶性樹脂(B2))
感光性アルカリ可溶性樹脂(B2)は、重合性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂である。感光性アルカリ可溶性樹脂(B2)は、上記樹脂種のガラス転移温度を0℃以下に調製し、さらに重合性不飽和基を結合させた樹脂が挙げられるところ、例えば、以下に示す(i)または(ii)の方法で合成する樹脂が好ましい。活性エネルギー線による硬化で樹脂(B2)は、3次元架橋して架橋密度が向上し薬品耐性が向上する。
【0042】
[方法(i)]
方法(i)は、例えば、まず、エポキシ基含有単量体、およびその他単量体の重合体を合成する。次いで、前記重合体のエポキシ基に、モノカルボキシル基含有単量体を付加し、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させて感光性アルカリ可溶性樹脂を得る方法が挙げられる。
【0043】
エポキシ基含有単量体は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0044】
その他単量体は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性クレゾールアクリレート、n-ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、フェノールのEO変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのEO又はプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのPO変性(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類;
スチレン、又はα-メチルスチレン等のスチレン類;
エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類;
シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン1,6-ビスマレイミドヘキサン、3-マレイミドプロピオン酸、6,7-メチレンジオキシ-4-メチル-3-マレイミドクマリン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N-(1-ピレニル)マレイミド、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、N-(4-アミノフェニル)マレイミド、N-(4-ニトロフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ブロモメチル-2,3-ジクロロマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエ-ト、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオナ-ト、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチラ-ト、N-スクシンイミジル-6-マレイミドヘキサノア-ト、N-[4-(2-ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9-マレイミドアクリジン等のN-置換マレイミド類;
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、後述する水酸基含有単量体の水酸基に、たとえば5酸化リンやポリリン酸等のリン酸エステル化剤を反応させた化合物等のリン酸エステル基含有単量体が挙げられ、単独または2種以上併用して使用できる。
【0045】
モノカルボキシル基含有単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、単独または2種以上併用して使用できる。
【0046】
多塩基酸無水物は、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、単独または2種以上併用して使用できる。また、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸二無水物、ピロメリット酸無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解することもできる。
【0047】
また、方法(i)に似た方法として、例えば、カルボキシル基含有単量体、およびその他単量体の重合体を合成する。次いで、前記重合体のカルボキシル基の一部にエポキシ基含有単量体を付加し、感光性アルカリ可溶性樹脂を得る方法が挙げられる。
【0048】
[方法(ii)]
方法(ii)は、例えば、水酸基含有単量体、モノカルボキシル基含有単量体、およびその他単量体の重合体を合成する。次いで、前記重合体の水酸基に、イソシアネート基含有単量体のイソシアネート基を反応させる方法が挙げられる。
【0049】
水酸基含有単量体は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルメタクリレート類が挙げられる。また、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、ポリγ-バレロラクトン、ポリε-カプロラクトン、及び/又はポリ12-ヒドロキシステアリン酸等を付加したポリエステルモノ(メタ)アクリレートも挙げられる。これらは、単独または2種以上併用して使用できる。これらの中でも被膜中に異物が生じ難い面で2-ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。また、光感度の面でグリセロールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0050】
イソシアネート基含有単量体は、2-(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1-ビス〔メタアクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられ、単独または2種以上併用して使用できる。
【0051】
モノカルボキシル基含有単量体、およびその他単量体は、上述した単量体を使用できる。
【0052】
アルカリ可溶性樹脂(B1)(B2)は、上述した単量体を単独または2種類以上を使用し合成することができる。
【0053】
感光性アルカリ可溶性樹脂(B2)は、アルカリ可溶性樹脂(B)100質量%中、5~70質量%含むことが好ましい。
【0054】
アルカリ可溶性樹脂(B)は、エポキシ基やオキセタニル基等の熱硬化性基を含有できる。
【0055】
アルカリ可溶性樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、現像性の観点から、2,000~40,000が好ましく、3,000~30,000がより好ましく、4,000~20,000が特に好ましい。また、Mw/Mnの値は10以下が好ましい。適度な重量平均分子量(Mw)により基板に対する密着性、およびアルカリ現像溶解性が向上する。
【0056】
アルカリ可溶性樹脂(B)の酸価は、5~200mgKOH/gが好ましく、10~150mgKOH/gがより好ましく、20~100mgKOH/gがさらに好ましい。適度な酸価により基板に対する密着性、およびアルカリ現像溶解性が向上する。
【0057】
アルカリ可溶性樹脂(B)は、非感光性アルカリ可溶性樹脂(B1)、および感光性アルカリ可溶性樹脂(B2)以外の樹脂を含有できる。
【0058】
アルカリ可溶性樹脂(B)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0059】
アルカリ可溶性樹脂(B)の含有量は、着色剤(A)100質量部に対して、20~400質量部が好ましく、50~250質量部がより好ましい。
【0060】
[重合性化合物(C)]
本発明の感光性着色組成物は、重合性化合物(C)を含む。なお、重合性化合物(C)は、重合により被膜を形成する化合物である。
【0061】
重合性化合物(C)は、重合性不飽和基を含有するモノマー(単量体)、2量体、3量体、およびオリゴマーである。重合性不飽和基は、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等が挙げられる。重合性化合物(C)は、例えば、酸基含有(メタ)アクリレート(C1)、カプロラクトン構造を有する重合性化合物(C2)、ウレタン結合を有する重合性化合物(C3)(ただし、(C1-1)を除く)、その他重合性化合物(C4)が挙げられる。
【0062】
(酸基含有(メタ)アクリレート(C1))
本発明の感光性着色組成物は、アルカリ現像性の観点から、酸基含有(メタ)アクリレート(C1)を含むことが好ましい。酸基含有(メタ)アクリレート(C1)の酸基は、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等を挙げられる。これらの中でも、カルボキシル基が好ましい。
【0063】
酸基含有(メタ)アクリレート(C1)は、下記一般式(1)で表されるウレタン結合を有する酸基含有(メタ)アクリレート(C1-1)を含むことが好ましい。
【0064】
一般式(1)
(H2C=C(R1)COO)m-X-(OCOCH(R1)CH2S(R2)COOH)n
一般式(1)中、R1は、水素原子又はメチル基、R2は、2価の炭素数1~12の炭化水素基、Xは、(m+n)価の炭素数3~60のウレタン結合を有する有機基、mは2~18の整数、nは1~3の整数を示す。
【0065】
一般式(1)で表されるウレタン結合を有する酸基含有(メタ)アクリレート(C1-1)は、例えば、まず、多官能イソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させる。次いで、生成物にカルボキシル基を有するメルカプト化合物を付加させる方法で合成できる。
【0066】
前記多官能イソシアネートは、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0067】
前記水酸基を有する(メタ)アクリレートは、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロ-ルプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロ-ルプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロ-ルアクリレートメタクリレート、グリセロ-ルジメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオ-ルポリアクリレート等が挙げられる。
【0068】
前記カルボキシル基を有するメルカプト化合物は、例えば、メルカプト酢酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、o-メルカプト安息香酸、2-メルカプトニコチン酸、メルカプトコハク酸等が挙げられる。
【0069】
一般式(1)で表されるウレタン結合を有する酸基含有(メタ)アクリレート(C1-1)の含有量は、アルカリ現像時の現像残渣抑制の観点から、重合性化合物(C)100質量%中、10~90質量%が好ましく、25~80質量部%であることがより好ましい。
【0070】
酸基含有(メタ)アクリレート(C1)において、ウレタン結合を有しない酸基含有(メタ)アクリレート(C1-2)は、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等を挙げられる。
多価アルコールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
ジカルボン酸類は、例えば、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、フタル酸イタコン酸等が挙げられる。
多価カルボン酸は、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0071】
ウレタン結合を有しない酸基含有(メタ)アクリレート(C1-2)の市販品は、大阪有機化学工業社製のビスコート#2500P、東亞合成社製アロニックスM-5300,M-5400,M-5700,M-510,M-520,M-521等が挙げられる。
【0072】
ウレタン結合を有しない酸基含有(メタ)アクリレート(C1-2)の含有量は、アルカリ現像性、パターン形成性の観点から、重合性化合物(C)100質量%中、5~80質量%が好ましく、10~70質量%であることがより好ましく、20~60質量%であることが特に好ましい。
【0073】
(カプロラクトン構造を有する重合性化合物(C2))
本発明の感光性着色組成物は、アルカリ現像性、塗膜耐性の観点から、カプロラクトン構造を有する重合性化合物(C2)を含むことが好ましい。
【0074】
カプロラクトン構造を有する重合性化合物(C2)を含有するとアルカリ現像性、塗膜耐性がより向上する。カプロラクトン構造を有する重合性化合物(C2)は、分子内にカプロラクトン構造を有する限り特に限定されるものではないが、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエチスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメトロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸およびε-カプロラクトンをエステル化することにより得られる。なかでも、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
【0075】
一般式(2)
【化1】
(一般式(2)中、6個のRは全て下記一般式(3)で表される基であるか、または6個のRのうち1~5個が下記一般式(3)で表される基であり、残りが下記一般式(4)で表される基である。)
【0076】
一般式(3)
【化2】
(一般式(3)中、R
1は水素原子、またはメチル基を表し、mは1、または2の数であり、*は結合手である。)
【0077】
一般式(4)
【化3】
(一般式(4)中、R
1は水素原子、またはメチル基を表し、*は結合手である。)
【0078】
カプロラクトン構造を有する重合性化合物(C2)は、例えば、日本化薬社製のKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA-20(上記一般式(2)~(4)において、m=1、一般式(3)に表される基の数=2、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA-30(上記一般式(2)~(4)において、m=1、一般式(3)に表される基の数=3、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA-60(上記一般式(2)~(4)において、m=1、一般式(3)に表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA-120(上記一般式(2)~(4)において、m=2、一般式(3)に表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)等が挙げられる。
【0079】
カプロラクトン構造を有する重合性化合物(C2)は、水しみ抑制の観点から、上記一般式(2)~(4)において、m=1、一般式(3)に表される基の数=2~6、R1が全て水素原子である化合物が好ましく、上記一般式(2)~(4)において、m=1、一般式(2)に表される基の数=2又は3、R1が全て水素原子である化合物がより好ましい。
【0080】
カプロラクトン構造を有する重合性化合物(C2)の含有量は、水しみ抑制の観点から、前記重合性化合物(C)100質量%中、5~85質量%が好ましく、10~70質量%がより好ましく、20~60質量%が特に好ましい。
【0081】
(ウレタン結合を有する重合性化合物(C3))
本発明の感光性着色組成物は、塗膜耐性の観点から、重合性化合物(C)として、ウレタン結合を有する重合性化合物(C3)(ただし、(C1-1)を除く)を含むことが好ましい。
【0082】
ウレタン結合を有する重合性化合物(C3)には、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート(C3-1)、及び脂環式ウレタン(メタ)アクリレート(C3-2)が含まれる。
【0083】
脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート(C3-1)は、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレートに、脂肪族構造を有する多官能イソシアネートを反応させて得られる化合物や、多価アルコールに脂肪族構造を有する多官能イソシアネートを反応させ、さらに水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られる化合物等が挙げられる。
【0084】
上記水酸基を有する(メタ)アクリレートは、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
【0085】
上記脂肪族構造を有する多官能イソシアネートは、例えば、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。また、これらのビュレット体、イソシアネートヌレート体、トリメチロールプロパンアダクト体等が挙げられる。
【0086】
脂環式ウレタン(メタ)アクリレート(C3-2)は、例えば、上述の脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート(C3-1)の合成に使用する脂肪族構造を有する多官能イソシアネートを、脂環式構造を有する多官能イソシアネートに変えることで得られる。
【0087】
上記脂環式構造を有する多官能イソシアネートは、例えば、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメチルシクロヘキシルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。また、これらのビュレット体、イソシアネートヌレート体、トリメチロールプロパンアダクト体等が挙げられる。
【0088】
脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート(C3-1)、脂環式ウレタン(メタ)アクリレート(C3-2)の重合性不飽和基数は、シワの抑制、パターン形成性の観点から、4~15個が好ましく、6~12個がより好ましい。
【0089】
脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート(C3-1)、脂環式ウレタン(メタ)アクリレート(C3-2)の分子量は、シワの抑制、パターン形成性の観点から、500~5,000であることが好ましく、500~3,000であることがより好ましい。
【0090】
脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート(C3-1)、脂環式ウレタン(メタ)アクリレート(C3-2)は、それぞれ、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0091】
((C1)~(C3)以外の重合性化合物(C4))
本発明の感光性着色組成物は、(C1)~(C3)以外の重合性化合物(C4)(以下、その他重合性化合物(C4)ともいう)を含有できる。
【0092】
その他重合性化合物(C4)は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンジアクリレート、トリメチロ-ルプロパントリ(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロ-ルプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロ-ルプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロ-ルプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオ-ルジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メチロ-ル化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これらの中でも、パターン形成性の観点から、重合性不飽和基数が5以上のものが好ましい。
【0093】
その他重合性化合物(C4)の市販品は、例えば、日本化薬社製のKAYARAD R-128H,R526,PEG400DA,MAND,NPGDA,R-167,HX-220,R-551,R712,R-604,R-684,GPO-303,TMPTA,DPHA,DPEA-12,DPHA-2C,D-310,D-330、東亞合成社製のアロニックスM-303,M-305,M-306,M-309,M-310,M-321,M-325,M-350,M-360,M-313,M-315,M-400,M-402,M-403,M-404,M-405,M-406,M-450,M-452,M-408,M-211B,M-101A,M-5300,M-5400,M-5700,M-510,M-520,M-521、大阪ガスケミカル社製のOGSOL EA-0200,EA-0300,GA-5060P,GA-2800、Miwon Specialty Chemical Co.,Ltd社製のMiramer HR6060,6100,6200、大阪有機化学工業社製のビスコート#2500P、新中村化学工業社製のNKエステルABE-300,A-DOG,A-DCP,A-BPE-4、ダイセル・オルネクス社製のEBECRY40,130,140,145等が挙げられる。
【0094】
重合性化合物(C)の含有量は、感光性着色組成物の不揮発分100質量%中、5~50質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましい。
【0095】
[光重合開始剤(D)]
本発明の感光性着色組成物は、光重合開始剤(D)を含む。光重合開始剤(D)を含むことで、感光性着色組成物を紫外線照射による硬化で硬化膜を形成できる。
【0096】
光重合開始剤(D)は、光により重合性化合物(C)の重合を開始可能な化合物であれば、特に制限はなく、公知の光重合開始剤を使用することができる。例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ブタノン、又は2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアセトフェノン系化合物;
2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、又は2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;
1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、又はエタノーン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシム系化合物;
ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又はジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン系化合物;
9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が挙げられる。
これらの中でも、パターン形成性の観点から、オキシム系化合物(D1)、アセトフェノン系化合物(D2)が好ましく、オキシム系化合物(D1)がより好ましい。
【0097】
(オキシム系化合物(D1))
オキシム系化合物(D1)は、1分子中にオキシム基を1つ含有するオキシム系化合物(D1-1)、1分子中にオキシム基を2つ含有するオキシム系化合物(D1-2)が挙げられる。これらに中でも、パターン形成性、及び残膜率の観点から、1分子中にオキシム基を2つ含有するオキシム系化合物(D1-2)が特に好ましい。
【0098】
〔1分子中にオキシム基を1つ含有するオキシム系化合物(D1-1)〕
1分子中にオキシム基を1つ含有するオキシム系化合物(D1-1)は、例えば、BASF社製のIRGACURE OXE-01,02,03,04、ADEKA社製のアデカアークルズN-1919,NCI-730,831,930、常州強力新材料社製のTRONLY TR-PBG-301,304,305,309,314,358,380,365,610,3054,3057、IGM Resins社製のOMNIRAD1312,1314,1316、サムヤンコーポレーション社製のSPI-02,03,04,05,06,07、ダイトーケミックス社製のDFI-020,036、EOX-01等が挙げられる。
【0099】
〔1分子中にオキシム基を2つ含有するオキシム系化合物(D1-2)〕
1分子中にオキシム基を2つ含有するオキシム系化合物(D1-2)は、例えば、特開2005-215378号公報、特開2011-105713号公報、特表2017-523465号公報等に記載の化合物や下記一般式(5)で表される化合物が挙げられる。なかでも、下記一般式(5)で表される化合物が好ましい。
【0100】
一般式(5)
【化4】
(一般式(5)中、X
1及びX
2は、各々独立にカルボニル結合(-CO-)又は単結合を表す。R
1は、炭素数1~20のアルキル基を表し、R
2及びR
3は、個々独立に水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~30の複素環、炭素数6~30のアリール基、又は炭素原子数7~30のアリールアルキル基を表す。R
4及びR
5は、各々独立に炭素数1~20のアルキル基、炭素原子数2~30の複素環基、炭素数6~30のアリール基、又は炭素数7~30のアリールアルキル基を表す。)
【0101】
一般式(5)中、X1及びX2は、各々独立にカルボニル結合(-CO-)又は単結合を表す。なかでも、有機溶剤への溶解性の観点から、X1及びX2の少なくとも1つはカルボニル結合(-CO-)であることが好ましく、X1及びX2がカルボニル結合(-CO-)であることがより好ましい。
【0102】
一般式(5)中、R1は、炭素数1~20のアルキル基を表す。
炭素数1~20のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよく、また、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換されたアルキル基であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。これらの中でも、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましい。
【0103】
一般式(5)中、R2及びR3は、個々独立に水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~30の複素環、炭素数6~30のアリール基、又は炭素原子数7~30のアリールアルキル基を表す。
炭素数1~20のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよく、また、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換されたアルキル基であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。これらの中でも、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルメチル基が好ましい。
炭素数2~30の複素環基は、例えば、ピリジル基、ピリミジル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、ジオキソラニル基、イミダゾリジル基、オキサゾリジル基、ピペリジル基、モルホリニル基等が挙げられる。
炭素数6~30のアリール基は、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられる。また、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換されたアリール基であってもよい。
炭素数7~30のアリールアルキル基は、例えば、ベンジル基、α―メチルベンジル、α,α―ジメチルベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。また、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換されたアリールアルキル基であってもよい。
【0104】
これらの中でも、R2及びR3は、有機溶剤への溶解性の観点から、少なくとも1つは炭素数1~20の直鎖状のアルキル基であることが好ましく、有機溶剤への溶解性、及び水しみの抑制の観点から、炭素数1~20の直鎖状のアルキル基と炭素数1~20の環状のアルキル基であることがより好ましい。
【0105】
一般式(5)中、R4及びR5は、各々独立に炭素数1~20のアルキル基、炭素原子数2~30の複素環基、炭素数6~30のアリール基、又は炭素数7~30のアリールアルキル基を表す。
炭素数1~20のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよく、また、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換されたアルキル基であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましい。
炭素数2~30の複素環基は、例えば、ピリジル基、ピリミジル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、ジオキソラニル基、イミダゾリジル基、オキサゾリジル基、ピペリジル基、モルホリニル基等が挙げられる。
炭素数6~30のアリール基は、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられ、また、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換されたアリール基であってもよい。これらの中でも、反応性の観点から、フェニル基が好ましい。
炭素数7~30のアリールアルキル基は、例えば、ベンジル基、α―メチルベンジル、α,α―ジメチルベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられ、また、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換されたアリールアルキル基であってもよい。
【0106】
これらの中でも、R4及びR5は、反応性の観点から、メチル基、エチル基、またはフェニル基が好ましく、メチル基、またはエチル基がより好ましい。
【0107】
一般式(5)で表される化合物の製造方法は、例えば、特表2017-523465号公報に記載の方法を用いることができる。
【0108】
以下、1分子中にオキシム基を2つ含有するオキシム系化合物(D1-2)の具体例を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0109】
【0110】
光重合開始剤(D)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0111】
光重合開始剤(D)の含有量は、着色剤(A)100質量部に対して、光硬化性、パターン形成性の観点から、0.5~50質量部が好ましく、1~20質量部がより好ましく、2~10質量部が特に好ましい。
【0112】
[増感剤(E)]
本発明の感光性着色組成物は、パターン形成性の観点から、増感剤(E)を含むことが好ましい。
【0113】
増感剤(E)は、例えば、カルコン系化合物、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン系化合物、ベンゾイン系化合物、フルオレン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、キサンテン系化合物、チオキサンテン系化合物、キサントン系化合物、チオキサントン系化合物、クマリン系化合物、ケトクマリン系化合物、シアニン系化合物、メロシアニン系化合物、オキソノール系化合物等のポリメチン色素、アクリジン系化合物、アジン系化合物、チアジン系化合物、オキサジン系化合物、インドリン系化合物、アズレン系化合物、アズレニウム系化合物、スクアリリウム系化合物、ポルフィリン系化合物、テトラフェニルポルフィリン系化合物、トリアリールメタン系化合物、テトラベンゾポルフィリン系化合物、テトラピラジノポルフィラジン系化合物、フタロシアニン系化合物、テトラアザポルフィラジン系化合物、テトラキノキサリロポルフィラジン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、サブフタロシアニン系化合物、ピリリウム系化合物、チオピリリウム系化合物、テトラフィリン系化合物、アヌレン系化合物、スピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化合物、チオスピロピラン系化合物、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はベンゾフェノン系化合物等が挙げられる。これらの中でも、パターン形成性の観点から、チオキサントン系化合物(E1)、又はベンゾフェノン系化合物(E2)が好ましく、ベンゾフェノン系化合物(E2)がより好ましい。
【0114】
(チオキサントン系化合物(E1))
チオキサントン系化合物(E1)は、例えば、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等が挙げられる。これらの中でも、2,4-ジエチルチオキサントンが好ましい。
【0115】
(ベンゾフェノン系化合物(E2))
ベンゾフェノン系化合物(E2)は、例えば、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2-アミノベンゾフェノン等が挙げられる。これらの中でも、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
【0116】
増感剤(E)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0117】
増感剤(E)の含有量は、水しみの抑制、パターン形成性の観点から、光重合開始剤(D)100質量部に対して、150~400質量部が好ましく、150~300質量部がより好ましい。
【0118】
[色素誘導体(F)]
本発明の感光性着色組成物は、色素誘導体(F)を含有できる。
【0119】
色素誘導体(F)は、特に制限はなく、有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などを有する色素誘導体が挙げられる。色素誘導体(F)は、例えば、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基などの酸性置換基を有する化合物、およびこれらのアミン塩や、スルホンアミド基や末端に3級アミノ基などの塩基性置換基を有する化合物、フェニル基やフタルイミドアルキル基などの中性置換基を有する化合物が挙げられる。
有機色素は、例えばジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チアジンインジゴ系顔料、トリアジン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ベンゾイソインドール等のインドール系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ナフトール系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料等が挙げられる。
【0120】
具体的には、ジケトピロロピロール系色素誘導体としては、特開2001-220520号公報、国際公開第2009/081930号、国際公開第2011/052617号、国際公開第2012/102399号、特開2017-156397号公報、フタロシアニン系色素誘導体としては、特開2007-226161号公報、国際公開第2016/163351号、特開2017-165820号公報、特許第5753266号公報、アントラキノン系色素誘導体としては、特開昭63-264674号公報、特開平09-272812号公報、特開平10-245501号公報、特開平10-265697号公報、特開2007-079094号公報、国際公開第2009/025325号、キナクリドン系色素誘導体としては、特開昭48-54128号公報、特開平03-9961号公報、特開2000-273383号公報、ジオキサジン系色素誘導体としては、特開2011-162662号公報、チアジンインジゴ系色素誘導体としては、特開2007-314785号公報、トリアジン系色素誘導体としては、特開昭61-246261号公報、特開平11-199796号公報、特開2003-165922号公報、特開2003-168208号公報、特開2004-217842号公報、特開2007-314681号公報、ベンゾイソインドール系色素誘導体としては、特開2009-57478号公報、キノフタロン系色素誘導体としては、特開2003-167112号公報、特開2006-291194号公報、特開2008-31281号公報、特開2012-226110号公報、ナフトール系色素誘導体としては、特開2012-208329号公報、特開2014-5439号公報、アゾ系色素誘導体としては、特開2001-172520号公報、特開2012-172092号公報、酸性置換基としては、特開2004-307854号公報、塩基性置換基としては、特開2002-201377号公報、特開2003-171594号公報、特開2005-181383号公報、特開2005-213404号公報等に記載の公知の色素誘導体が挙げられる。なお、これらの文献には、色素誘導体を誘導体、顔料誘導体、分散剤、顔料分散剤若しくは単に化合物などと記載している場合があるが、前記した有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などの置換基を有する化合物は、色素誘導体と同義である。
【0121】
色素誘導体(F)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0122】
色素誘導体(F)の含有量は、着色剤(A)100質量部に対して、1~20質量部が好ましく、2~10質量部がより好ましい。
【0123】
[分散樹脂(G)]
本発明の感光性組成物は、必要に応じて分散樹脂(G)を含有できる。
分散樹脂(G)は、着色剤(A)に親和性が高い吸着基を有している樹脂が好ましい。吸着基は、塩基性基、および酸性基のうち1種以上有していることが好ましい。なお、アルカリ可溶性樹脂(B)を分散樹脂(G)として使用することもできる。
【0124】
塩基性基は、例えば、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、および含窒素複素環など窒素原子を含有する基等が挙げられる。
【0125】
酸性基は、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等が挙げられる。これらの中でも、顔料への吸着性、現像性の観点からカルボキシル基、リン酸基が好ましい。
【0126】
分散樹脂(G)の樹脂種は、例えば、ウレタン樹脂、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコ-ル、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が挙げられる。
【0127】
分散樹脂(G)の構造は、例えば、ランダム構造、ブロック構造、グラフト構造、くし型構造、および星型構造等が挙げられる。これらの中でも、分散安定性の観点から、ブロック構造、またはくし型構造が好ましい。
【0128】
分散樹脂(G)の市販品は、例えば、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk-101,103,107,108,110,111,116,130,140,154,161,162,163,164,165,166,167,168,170,171,174,180,181,182,183,184,185,190,2000,2001,2009,2010,2020,2025,2050,2070,2095,2150,2155,2163,2164、またはAnti-Terra-U203,204、またはBYK-P104,P104S,220S、またはLactimon、Lactimon-WS、またはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE-3000,9000,13000,13240,13650,13940,16000,17000,18000,20000,21000,24000,26000,27000,28000,31845,32000,32500,32550,33500,32600,34750,35100,36600,38500,41000,41090,53095,55000,56000,76500等、BASFジャパン社製のEFKA-46,47,48,452,4008,4009,4010,4015,4020,4047,4050,4055,4060,4080,4400,4401,4402,4403,4406,4408,4300,4310,4320,4330,4340,450,451,453,4540,4550,4560,4800,5010,5065,5066,5070,7500,7554,1101,120,150,1501,1502,1503等、味の素ファインテクノ社製のアジスーパーPA111,PB711,PB821,PB822,PB824等、特開2008-029901号公報、特開2009-155406号公報、特開2010-185934号公報、特開2011-157416号公報等に記載の樹脂が挙げられる。
【0129】
分散樹脂(G)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0130】
分散樹脂(G)の含有量は、分散安定性の観点から、着色剤(A)100質量部に対して、3~200質量部が好ましく、5~100質量部がより好ましい。
【0131】
[熱硬化性化合物(H)]
本発明の感光性着色組成物は、熱硬化性化合物(H)を含有できる。これにより、加熱工程で熱硬化性化合物(H)が反応し、架橋密度が高まるため耐熱性が向上する。
【0132】
熱硬化性化合物(H)は、低分子化合物や、樹脂のような高分子量化合物でもよい。熱硬化性化合物(H)は、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ベンゾグアナミン化合物、ロジン変性マレイン酸化合物、ロジン変性フマル酸化合物、メラミン化合物、尿素化合物、及びフェノール化合物が挙げられる。これらの中でもエポキシ化合物およびオキセタン化合物が好ましい。
【0133】
(エポキシ化合物(H1))
エポキシ化合物(H1)は、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノールボルナジエン、ビニルノールボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、α,α,α’,α’-ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α’,α’-ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’-ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0134】
市販品は、例えば、油化シェルエポキシ社製のエピコート807,815,825,827,828,190P,191P、三井化学社製のTECHMORE VG3101L、日本化薬社製のEPPN-201,501H,502H、EOCN-102S,103S,104S,1020ジャパンエポキシレジン社製のエピコート1004,1256、JER1032H60,157S65,157S70,152,154、ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021、EHPE-3150、ナガセケムテックス社製のデナコールEX-211,212,252,313,314,321,411,421,512,521,611,612,614,614B,622,711,721、日産化学工業社製のTEPIC-L,H,S等が挙げられる。
【0135】
エポキシ化合物(H1)の含有量は、硬化膜の耐熱性の観点から、着色剤(A)100質量部に対して、0.5~300質量部が好ましく、1.0~50質量部がより好ましい。
【0136】
(オキセタン化合物(H2))
オキセタン化合物(H2)は、オキセタン基を有する公知の化合物である。オキセタン化合物は、1官能オキセタン化合物、2官能オキセタン化合物、3官能以上のオキセタン化合物が挙げられる。
【0137】
1官能オキセタン化合物は、例えば、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルアクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-メタクリロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-{[3-(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン等が挙げられる。
【0138】
市販品は、例えば、大阪有機化学工業社製のOXE-10,30、東亞合成社製のOXT-101,212等が挙げられる。
【0139】
2官能オキセタン化合物は、例えば、4,4’-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル)、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、1,4-ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-フェノキシメチル)オキセタン、3,7-ビス(3-オキセタニル)-5-オキサ-ノナン、1,2-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコ-スビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ポリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド(EO)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、プロピレンオキシド(PO)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
【0140】
市販品は、例えば、宇部興産社製のOXBP、OXTP、東亞合成社製のOXT-121,221等が挙げられる。
【0141】
3官能以上のオキセタン化合物は、例えば、ペンタエリスリトールトリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサ(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロ-ルプロパンテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、オキセタン基を含有する樹脂(例えば、特許第3783462号記載のオキセタン変性フェノールノボラック樹脂等)や前述のOXE-30のような(メタ)アクリルモノマーをラジカル重合させて得られる重合体が挙げられる。
【0142】
オキセタン化合物(H2)の含有量は、感光性着色組成物の不揮発分100質量%中、0.5~50質量%が好ましく、1~40質量%がより好ましい。
【0143】
メラミン化合物は、メラミン環構造を有する化合物である。メラミン化合物は、メチロ-ル型やエーテル型の化合物が好ましく、メラミン環1個当たりのメチロ-ル基および/またはエーテル基数が平均5.0以上のメラミン化合物がより好ましい。適度にメチロ-ル基やエーテル基数を有すると過不足ない耐熱性が得やすい。
【0144】
市販品は、例えば、三和ケミカル社製の二カラックMW-30HM,MW-390,MW-100LM,MX-750LM,MW-30M,MW-30,MW-22,MS-21,MS-11,MW-24X,MS-001,MX-002,MX-730,MX-750,MX-708,MX-706,MX-042,MX-45,MX-500,MX-520,MX-43,MX-417,MX-410、日本サイテックインダストリーズ社製のサイメル232,235,236,238,285,300,301,303,350,370等が挙げられる。
【0145】
これらの中でもメラミン環1個当たりのメチロ-ル基、及び/又は、エーテル基数が平均5.0以上である、三和ケミカル社製の二カラックMW-30HM、MW-390、MW-100LM、MX-750LM、MW-30M、MW-30、MW-22、MS-21、MS-11、MW-24X、MX-45、日本サイテックインダストリーズ社製のサイメル232,235,236,238,300,301,303,350等は、架橋密度を高められる面で好ましい。
【0146】
熱硬化性化合物(H)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0147】
[硬化剤(硬化促進剤)]
本発明の感光性着色組成物は、熱硬化性化合物(H)の硬化を補助するため、硬化剤(硬化促進剤)を併用できる。硬化剤は、例えば、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物等が挙げられる。硬化剤は、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、S-トリアジン誘導体(例えば、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)等が挙げられる。
【0148】
硬化剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0149】
硬化剤の含有量は、熱硬化性化合物(H)100質量部に対して、0.01~15質量部が好ましい。
【0150】
[チオール系連鎖移動剤(I)]
本発明の感光性着色組成物は、チオール系連鎖移動剤(I)を含有できる。チオール系連鎖移動剤(I)は、光重合開始剤(D)と併用すると光照射後のラジカル重合の際、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生し、感光性着色組成物の光感度が向上する。
【0151】
チオール系連鎖移動剤(I)は、チオール基(SH基)を2以上有する多官能チオールが好ましい。なお、チオール系連鎖移動剤は、SH基を4以上有することがより好ましい。官能基数が増えると膜の表面から最深部まで光硬化し易くなる。
【0152】
多官能チオールは、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオ-ルビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオ-ルビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロ-ルプロパントリスチオグリコレート、トリメチロ-ルプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロ-ルプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンなどが挙げられ、好ましくは、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロ-ルプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート等が挙げられる。
【0153】
チオール系連鎖移動剤(I)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0154】
チオール系連鎖移動剤(I)の含有量は、感光性着色組成物の不揮発分100質量%中、1~10質量%が好ましく、2~8質量%がより好ましい。適量含有すると光感度が向上し、パターン表面にシワが発生し難くなる。
【0155】
[重合禁止剤(J)]
本発明の感光性着色組成物は、重合禁止剤(J)を含有できる。
【0156】
重合禁止剤(J)は、例えば、カテコール、レゾールシノール、1,4-ヒドロキノン、2-メチルカテコール、3-メチルカテコール、4-メチルカテコール、2-エチルカテコール、3-エチルカテコール、4-エチルカテコール、2-プロピルカテコール、3-プロピルカテコール、4-プロピルカテコール、2-n-ブチルカテコール、3-n-ブチルカテコール、4-n-ブチルカテコール、2-t-ブチルカテコール、3-t-ブチルカテコール、4-t-ブチルカテコール、3,5-ジ-t-ブチルカテコール等のアルキルカテコール系化合物、2-メチルレゾールシノール、4-メチルレゾールシノール、2-エチルレゾールシノール、4-エチルレゾールシノール、2-プロピルレゾールシノール、4-プロピルレゾールシノール、2-n-ブチルレゾールシノール、4-n-ブチルレゾールシノール、2-t-ブチルレゾールシノール、4-t-ブチルレゾールシノール等のアルキルレゾールシノール系化合物、メチルヒドロキノン、エチルヒドロキノン、プロピルヒドロキノン、t-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノン等のアルキルヒドロキノーン系化合物、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン等のホスフィン化合物、トリオクチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド化合物、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等のホスファイト化合物、ピロガロ-ル、フロログルシン等が挙げられる。
【0157】
重合禁止剤(J)の含有量は、感光性着色組成物の不揮発分100質量%中、0.01~0.4質量%が好ましい。
【0158】
[紫外線吸収剤(K)]
本発明の感光性着色組成物は、紫外線吸収剤(K)を含有できる。
【0159】
紫外線吸収剤(K)は、紫外線吸収機能を有する有機化合物であり、ベンゾトリアゾール系有機化合物、トリアジン系有機化合物、ベンゾフェノン系有機化合物、サリチル酸エステル系有機化合物、シアノアクリレート系有機化合物、及びサリシレート系有機化合物等が挙げられる。
【0160】
ベンゾトリアゾール系化合物は、例えば、2-(5メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-tブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、5%の2-メトキシ-1-メチルエチルアセテートと95%のベンゼンプロパン酸,3-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ,C7-9側鎖及び直鎖アルキルエステルの混合物、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、メチル3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-p-クレゾール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-6-t-ブチル-4-メチルフェノール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、オクチル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)フェニル]プロピオネート、2-エチルヘキシル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)フェニル]プロピオネートが挙げられる。
【0161】
市販品は、例えば、BASFジャパン社製のTINUVIN P,PS,234,326,329,384-2,900,928,99-2,1130、ADEKA社製のアデカスタブLA-29,LA-31RG,LA-32,LA-36、ケミプロ化成社製のKEMISORB71,73,74,79,279、大塚化学社製のRUVA-93等が挙げられる。
【0162】
トリアジン系化合物は、例えば、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-[3-(ドデシルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ]フェノール、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと(2-エチルヘキシル)-グリシド酸エステルの反応生成物、2,4-ビス「2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル」-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(ヘキシルオキシ)フェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
【0163】
市販品は、例えば、ケミプロ化成社製のKEMISORB102、BASFジャパン社製のTINUVIN400,405,460,477,479,1577ED、ADEKA社のアデカスタブLA-46,LA-F70、サンケミカル社製のCYASORB UV-1164等が挙げられる。
【0164】
ベンゾフェノン系化合物は、例えば、2,4-ジ-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン5-スルホン酸-3水温、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2,2’-ジ-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、4-ドデシロキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0165】
市販品は、例えば、ケミプロ化成社製のKEMISORB10,11,11S,12,111、シプロ化成社製のSEESORB101,107、ADEKA社製のアデカスタブ1413、サンケミカル社製のUV-12等が挙げられる。
【0166】
サリチル酸エステル系化合物は、例えば、サリチル酸フェニル、サリチル酸p-オクチルフェニル、サリチル酸p-tertブチルフェニル等が挙げられる。
【0167】
紫外線吸収剤(K)の含有量は、光重合開始剤(D)と紫外線吸収剤(K)との合計100質量%中、5~70質量%が好ましい。
【0168】
[酸化防止剤(L)]
本発明の感光性着色組成物は、酸化防止剤(L)を含有できる。酸化防止剤(L)は、感光性着色組成物に含まれる光重合開始剤(D)や熱硬化性化合物(I)が、熱硬化やITOアニ-ル時の熱工程によって酸化による黄変を防ぐ。特に、感光性着色組成物の着色剤(A)濃度が高い場合、相対的に重合性化合物(C)の含有量が減少するため、光重合開始剤(D)の増量や、熱硬化性化合物(I)の配合で対応すると硬化膜が黄変し易い。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による硬化膜の黄変を防止する。
【0169】
酸化防止剤(L)は、例えば、ヒンダ-ドフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、およびヒドロキシルアミン系の化合物が挙げられる。なお、本発明で酸化防止剤は、ハロゲン原子を含有しない化合物が好ましい。
【0170】
これらの中でも、ヒンダ-ドフェノール系酸化防止剤、ヒンダ-ドアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤が好ましい。
【0171】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、例えば、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,1,3-トリス-(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)-ブタン、4,4’-ブチリデン-ビス-(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)、3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9-ビス[2-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルメチル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-4-t-ブチル-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、2,2’-メチレンビス(6-t-ブチル-4-エチルフェノール)、2,2’-チオジエチルビス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、N,N-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)、i-オクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,6-ビス(ドデシルチオメチル)-o-クレゾール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエチルエステルのカルシウム塩、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、ビス[3-(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)プロピオン酸]エチレンビスオキシビスエチレン、1,6-ヘキサンジオ-ルビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2,2’-チオ-ビス-(6-t-ブチル-4-メチルフェノール)、2,5-ジ-t-アミル-ヒドロキノン、2,6-ジ-t-ブチル-4-ノニルフェノール、2,2’-イソブチリデン-ビス-(4,6-ジメチル-フェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(6-(1-メチル-シクロヘキシル)-p-クレゾール)、2,4-ジメチル-6-(1-メチル-シクロヘキシル)-フェノール等が挙げられる。
【0172】
市販品は、例えば、ADEKA社製のアデカスタブAO-20,AO-30,AO-40,AO-50,AO-60,AO-80,AO-330、ケミプロ社製のKEMINOX101,179,76,9425、BASFジャパン社製のIRGANOX1010,1035,1076,1098,1135,1330,1726,1425WL,1520L,245,259,3114,5057,565、サンケミカル社製のサイアノックスCY-1790,CY-2777等が挙げられる。
【0173】
ヒンダードアミン系酸化防止剤は、例えば、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-ウンデカノキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カルボネート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、コハク酸ジメチルと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[[6-[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ]-s-トリアジン-2,4-ジイル]-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]-ヘキサメチレン-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールと3,5,5-トリメチルヘキサン酸のエステル、N,N’-4,7-テトラキス〔4,6-ビス{N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル〕-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステル,1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピリペリジル)[[3,5-ビス(1,1ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネートメチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピリペリジルセバケート、ポリ[[6-モルホリノ-s-トリアジン-2,4-ジイル]-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]-ヘキサメチレン-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-C12-21およびC18不飽和脂肪酸エステル、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,6-ヘキサメチレンジアミン、2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)プロピオンアミド等が挙げられる。
【0174】
市販品は、例えば、ADEKA社製のアデカスタブLA-52,LA-57,LA-63P,LA-68,LA-72,LA-77Y,LA-77G,LA-81,LA-82,LA-87,LA-402F,LA-502XP、ケミプロ化成社製のKAMISTAB29,62,77,94、BASFジャパン社製のTinuvin111FDL,123,144,249,292,5100、サンケミカル社製のサイアソ-ブUV-3346,UV-3529,UV-3853等が挙げられる。
【0175】
リン系酸化防止剤は、例えば、ジ(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)2-エチルヘキシルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、テトラ(C12~C15アルキル)-4,4’-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ジフェニルモノ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4-ビフェニルジフォスホニト、トリス(トリデシル)ホスファイト、フェニルイソオクチルホスファイト、フェニルイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、4,4’-イソプロピリデンジフェノールアルキルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリスジノニルフェニルホスファイト、トリス(ビフェニル)ホスファイト、ジ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、テトラトリデシル4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサトリデシル1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスファイトジエチルエステル、ソジウムビス(4-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ソジウム-2,2-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスファイト、1,3-ビス(ジフェノキシフォスフォニロキシ)-ベンゼン、亜リン酸エチルビス(2,4-ジt-ブチル-6-メチルフェニル)等が挙げられる。
【0176】
市販品は、例えば、ADEKA社製のアデカスタブPEP-36,PEP-8,HP-10,2112,1178,1500,C,135A,3010,TPP、BASFジャパン社製のIRGAFOS168、クラリアントケミカルズ社製のHostanoxP-EPQ等が挙げられる。
【0177】
イオウ系酸化防止剤は、例えば、2,2-ビス{〔3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ〕メチル}プロパン-1,3-ジイルビス〔3-(ドデシルチオ)プロピオネート〕、3,3’-チオビスプロピオン酸ジトリデシル、2,2-チオ-ジエチレンビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4-ビス〔(オクチルチオ)メチル〕-o-クレゾール、2,4-ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕-o-クレゾール等が挙げられる。
【0178】
市販品は、例えば、ADEKA社製のアデカスタブAO-412S,AO-503、ケミプロ化成社製のKEMINOXPLS等が挙げられる。
【0179】
酸化防止剤(L)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0180】
酸化防止剤(L)の含有量は、感光性着色組成物の不揮発分100質量%中、0.5~5.0質量%が好ましい。適量含有すると透過率、分光特性、及び感度が向上する。
【0181】
[レベリング剤(M)]
本発明の感光性着色組成物は、レベリング剤(M)を含有できる。これにより、塗工時の基板に対する濡れ性、及び乾燥性がより向上する。レベリング剤(M)は、例えば、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
【0182】
シリコン系界面活性剤は、例えば、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーや、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
【0183】
市販品は、例えば、ビックケミー社製のBYK-300,306,310,313,315N,320,322,323,330,331,333,342,345,346,347,348,349,370,377,378,3455,UV3510,3570、東レ・ダウコ-ニング社製のFZ-7002,2110,2122,2123,2191,5609、信越化学工業社製のX-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、KF-354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-4515、KF-6004、KP-341等が挙げられる。
【0184】
フッ素系界面活性剤は、例えば、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤又はレベリング剤が挙げられる。
【0185】
市販品は、例えば、AGCセイミケミカル社製のサーフロンS-242,243,420,611,651,386、DIC社製のメガファックF-253,477,551,552,555,558,560,570,575,576、R-40-LM、R-41、RS-72-K、DS-21、住友スリーエム社製のFC-4430,4432、三菱マテリアル電子化成社製のEF-PP31N09、EF-PP33G1、EF-PP32C1、ネオス社製フタージェントの602A等が挙げられる。
【0186】
ノニオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンミリステルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシフェニレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテ-ト、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ-ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、グリセロ-ルモノステアレート、グリセロ-ルモノオレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルイミダゾリン等が挙げられる。
【0187】
市販品は、例えば、花王社製のエマルゲン103,104P,106,108,109P,120,123P,130K,147,150,210P,220,306P,320P,350,404,408,409PV,420,430,705,707,709,1108,1118S-70,1135S-70,1150S-60,2020G-HA,2025G,LS-106,LS-110,LS-114,MS-110,A-60,A-90,B-66,PP-290、ラテムルPD-420,PD-430,PD-430S,PD-450、レオドールSP-L10,SP-P10,SP-S10V,SP-S20,SP-S30V,SP-O10V,SP-O30V、スーパーSP-L10,AS-10V,AO-10V,AO-15V,TW-L120,TW-L106,TW-P120,TW-S120V,TW-S320V,TW-O120V,TW-O106V,TW-IS399C、スーパーTW-L120,430V,440V,460V,MS-50,MS-60,MO-60,MS-165V、エマノーン1112,3199V,3299V,3299RV,4110,CH-25,CH-40,CH-60(K),アミ-ト102,105,105A,302,320、アミノーンPK-02S、L-02、ホモゲノールL-95、ADEKA社製のアデカプルロニック(登録商標)L-23,31,44,61,62,64,71,72,101,121、TR-701,702,704,913R、共栄社化学社製の(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフロ-No.75,No.90,No.95等が挙げられる。
【0188】
カチオン性界面活性剤は、例えばアルキルアミン塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0189】
市販品は、例えば、花王社製のアセタミン24、コータミン24P、60W、86Pコンク等が挙げられる。
【0190】
アニオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等が挙げられる。
【0191】
市販品は、例えば、ネオス社製のフタージェント100,150、ADEKA社製のアデカホープYES-25、アデカコールTS-230E,PS-440E,EC-8600等が挙げられる。
【0192】
両性界面活性剤は、例えば、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0193】
市販品は、花王社製のアンヒトール20AB,20BS,24B,55AB,86B,20Y-B,20N等が挙げられる。
【0194】
レベリング剤(M)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0195】
レベリング剤(M)の含有量は、感光性着色組成物の不揮発分100質量%中、0.001~2.0質量%が好ましく、0.005~1.0質量%がより好ましい。この範囲内であることで、感光性着色組成物の塗布性と密着性のバランスがより向上する。
【0196】
[貯蔵安定剤(N)]
本発明の感光性着色組成物は、貯蔵安定剤(N)を含有できる。これにより、感光性着色組成物の経時粘度が安定化する。貯蔵安定剤(N)は、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t-ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。
【0197】
貯蔵安定剤(N)の含有量は、着色剤(A)100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましい。
【0198】
[密着向上剤(O)]
本発明の感光性着色組成物は、密着向上剤(O)を含有できる。これにより、硬化膜と基材の密着性が向上する。また、フォトリソグラフィー法で幅が狭いパターンを形成し易くなる。
【0199】
密着向上剤(O)は、例えば、シランカップリング剤等が挙げられる。シランカップリング剤は、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン類、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等のアミノシラン類、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト類、p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリル類、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド類、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド類、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート類などのシランカップリング剤が挙げられる。
【0200】
密着向上剤(O)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0201】
密着向上剤(O)の含有量は、着色剤(A)100質量部に対して、0.01~10質量部が好ましく、0.05~5質量部がより好ましい。
【0202】
[有機溶剤(P)]
本発明の感光性組成物は、有機溶剤(P)を含有できる。
【0203】
有機溶剤(P)は、例えば、1,2,3-トリクロロプロパン、1-メトキシ-2-プロパノール、乳酸エチル、1,3-ブタンジオ-ル、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノーン、2-メチル-1,3-プロパンジオ-ル、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-1,3-ブタンジオ-ル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノーン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、m-ジクロロベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、N-メチルピロリドン、o-キシレン、o-クロロトールエン、o-ジエチルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-クロロトールエン、p-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ-ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、顔料の分散性、アルカリ可溶樹脂の溶解性の観点から、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール、ダイアセトンアルコール等のアルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類が好ましい。
【0204】
有機溶剤(P)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0205】
[感光性着色組成物の製造方法]
本発明の感光性着色組成物は、例えば、着色剤(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)および/または分散樹脂(G)、色素誘導体(F)、ならびに有機溶剤(P)等を加えて分散処理を行うことで、分散体を製造する。その後、前記分散体に、重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)等を配合し混合することで製造できる。なお、各材料を配合するタイミングは、任意である。また、分散工程を複数回行うこともできる。
【0206】
分散処理を行う分散機は、例えば、2本ロ-ルミル、3本ロールミル、ボ-ルミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビ-ズミル、又はアトライター等が挙げられる。
【0207】
分散体中の顔料の平均分散粒子径(二次粒子径)は、30~200nmが好ましく、40~200nmがより好ましい。適度な粒子径を有すると分散安定性が高い感光性着色組成物が得やすい。
【0208】
平均分散粒子径(二次粒子径)の測定方法は、例えば、動的光散乱法(FFTパワ-スペクトール法)を採用した日機装社のマイクロトラックUPA-EX150を用い、粒子透過性を吸収モ-ド、粒子形状を非球形とし、D50粒子径を平均径とする。測定用の希釈溶剤は分散に使用した有機溶剤をそれぞれ用い、超音波で処理したサンプルについてサンプル調整直後に測定するとバラツキが少ない結果が得られやすく好ましい。
【0209】
感光性着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子、および混入した塵の除去を行うことが好ましい。本発明の感光性着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましく、0.3μm以下の粒子を含まないことがより好ましい。
【0210】
<カラーフィルタ>
本発明のカラーフィルタは、基板、および本発明の感光性着色組成物から形成されるフィルタセグメントを備える。カラーフィルタセグメントは、使用する着色剤(A)の種類を適宜選択することで、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、および青色フィルタセグメントを有することが好ましい。また、カラーフィルタは、前記カラーフィルタセグメントに代えてまたは加え、マゼンタ色フィルタセグメント、シアン色フィルタセグメント、イエロー色フィルタセグメント等を有することができる。
基板は、透明基板、および反射基板が挙げられる。透明基板は、例えば、ガラス基板が挙げられる。反射基材は、例えばアルミ電極や金属薄膜を反射面として使用する基板が挙げられる。
【0211】
[カラーフィルタの製造方法]
カラーフィルタ製造方法は、特に限定されず、例えば、基板上に感光性着色組成物を塗布し被膜を形成する工程(1)、前記被膜に、マスクを介してパターン状に露光する工程(2)、未露光部分をアルカリ現像しパターン状の硬化膜を形成する工程(3)、前記パターンを加熱処理(ポストベーク)する工程(4)を行い作製できる。
【0212】
以下、カラーフィルタの製造方法を詳細に説明する。
(工程(1))
被膜を形成する工程(1)は、感光性着色組成物を基板上に、例えば、回転塗工、ロ-ル塗工、スリット塗工、流延塗工、またはインクジェット塗工等の方法で塗工し、必要に応じてオーブン、ホットプレート等を用いて、50~120℃の温度で10~120秒乾燥(プリベーク)する。
前記基板は、例えば、ガラス基板、シリコン基板等が挙げられる。シリコン基板は、例えば、表面にCCD、CMOS等の撮像素子が形成されていてもよい。また、基板上には、必要に応じて、上部との層との密着改良、物質の拡散防止、基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
層の膜厚は、乾燥後0.05~10.0μmとなるように塗工することが好ましく、0.3~5μmとなるように塗工することがより好ましい。
【0213】
(工程(2))
露光工程は、工程(1)で得られた被膜を、例えば、ステッパ-等の露光装置を用い、マスクを介して特定のパターンを露光する。これにより硬化膜が得られる。
露光に用いる放射線は、例えば、g線、h線、i線等の紫外線が挙げられる。
【0214】
(工程(3))
工程(2)で得られた硬化膜は、アルカリ現像処理を行うことで、未露光部分の組成物の層がアルカリ水溶液に溶出し、硬化部分のみが残りパターン状の硬化膜が得られる。
現像液は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム,硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロ-ル、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ-〔5.4.0〕-7-ウンデセン等のアルカリ性化合物が挙げられる。
現像液の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。
アルカリ現像液のpHは、11~13が好ましく、11.5~12.5がより好ましい。適度なpHで使用するとパターンの荒れや剥離を抑制し、現像後の残膜率が向上する。
【0215】
現像方法は、例えば、ディップ法、スプレー法、パドール法等が挙げられる。現像温度は15~40℃が好ましい。なお、アルカリ現像後は、純水で洗浄することが好ましい。
【0216】
(工程(4))
加熱処理(ポストベーク)は、工程(3)で得られたパターン状の硬化膜を加熱により十分に硬化させる。ポストベークの加熱温度は、100~300℃が好ましく、150~250℃がより好ましい。また、加熱時間は、2分間~1時間程度が好ましく、3分間~30分間程度がより好ましい。
【0217】
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、本発明のカラーフィルタを備える。
画像表示装置に用いる形態は、画像表示装置として機能すればよく、特に制限されない。例えば、「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男著、(株)工業調査会、1994年発行)に記載されている構成等が挙げられる。
画像表示装置の定義や各画像表示装置の詳細については、例えば、「電子ディスプレイデバイス(佐々木昭夫著、(株)工業調査会、1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹順章著、産業図書(株)、平成元年発行)」等に記載されている。
【0218】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、本発明のカラーフィルタを備える。
固体撮像素子に用いる形態は、特に制限されないが、例えば、基材上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、カラーフィルタを有する構成である。さらに、デバイス保護膜上であってカラーフィルタの下(基材に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、カラーフィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各着色画素を形成する硬化膜が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は、各着色画素に対して低屈折率であることが好ましい。
本発明の固体撮像素子を備えた撮像装置は、デジタルカメラや、撮像機能を有する電子機器(携帯電話、スマートフォン等)の他、車載カメラや監視カメラ用としても用いることができる。
【実施例0219】
以下、実施例で本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。なお、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。
また、本発明において、不揮発分もしくは不揮発分濃度は、280℃で30分間オーブン静置後の、質量残分をいう。
【0220】
実施例に先立ち、各測定方法について説明する。
【0221】
樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、酸価(mgKOH/g)、ガラス転移温度は、以下の通りである。
【0222】
(アルカリ可溶性樹脂、及び分散樹脂の平均分子量)
アルカリ可溶性、及び分散樹脂の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC-8220GPC(東ソー社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK-GEL SUPER HZM-N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)溶液を用い、流速0.35ml/minで測定した。サンプルは1質量%の上記溶離液からなる溶剤に溶解し、20マイクロリットール注入した。平均分子量は、ポリスチレン換算値である。
【0223】
(アルカリ可溶性樹脂、及び分散樹脂の酸価)
アルカリ可溶性樹脂、及び分散樹脂溶液0.5~1gに、アセトン80ml及び水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM-555」平沼産業社製)を用いて滴定し、酸価(mgKOH/g)を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の不揮発分濃度から、樹脂の不揮発分あたりの酸価を算出した。
【0224】
(分散樹脂のアミン価)
分散樹脂のアミン価は、ASTM D 2074の方法に準拠し、測定した全アミン価(mgKOH/g)を不揮発分換算した値である。
【0225】
(ガラス転移温度)
アルカリ可溶性樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(メトラー・トレド社製「DSC-1」)によって測定した値である。
【0226】
<着色剤(A)の製造>
(微細化した赤色顔料(A-1))
C.I.ピグメントレッド254を100部、塩化ナトリウム1,200部、及びジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)中に仕込み、60℃で6時間混練した。次に、混練した混合物を温水に投入し、約80℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状として、濾過・水洗をして塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥させ、粉砕することにより微細化した赤色顔料(A-1)を得た。
【0227】
(微細化した赤色顔料(A-2))
C.I.ピグメントレッド177を100部、塩化ナトリウム1,200部、及びジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)中に仕込み、60℃で6時間混練した。次に、混練した混合物を温水に投入し、約80℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状として、濾過・水洗をして塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥させ、粉砕することにより微細化した赤色顔料(A-2)を得た。
【0228】
(微細化した青色顔料(A-3))
C.I.ピグメントブルー15:6を100部、塩化ナトリウム1,000部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、50℃で12時間混練した。この混合物を温水3,000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、微細化した青色顔料(A-3)を得た。
【0229】
(微細化した紫色顔料(A-4))
C.I.ピグメントバイオレット23を100部、塩化ナトリウム1,200部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次に、この混練物を8,000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム、およびジエチレングリコールを除いた後、85℃で24時間乾燥し、微細化した紫色顔料(A-4)を得た。
【0230】
(染料(A-5))
下記の手順でC.I.アシッド レッド52と側鎖にカチオン性基を有する樹脂1とからなる造塩化合物である染料(A-5)を製造した。
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、メチルエチルケトン67.3 部を仕込み窒素気流下で75℃に昇温した。別途、メチルメタクリレート34.0部、n-ブチルメタクリレート28.0部、2-エチルヘキシルメタクリレート28.0部、ジメチルアミノエチルメタクリレート10.0部、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を6.5部、およびメチルエチルケトン25.1部を均一にした後、滴下ロートに仕込み、4つ口セパラブルフラスコに取り付け、2時間かけて滴下した。滴下終了2時間後、不揮発分から重合収率が98%以上であり、重量平均分子量(Mw)が、6,830であることを確認し、50℃へ冷却した。ここへ、塩化メチル3.2部、エタノール22.0部を追加し、50℃で2時間反応させた後、1時間かけて80℃まで加温し、更に、2時間反応させた。このようにして樹脂成分が47質量%のアンモニウム基を有する側鎖にカチオン性基を有する樹脂1を得た。得られた樹脂のアンモニウム塩価は34mgKOH/gであった。
次に、水2,000部に不揮発分換算で30部の側鎖にカチオン性基を有する樹脂1を添加し、十分に攪拌混合を行った後、60℃に加熱した。一方、90部の水に10部のC.I.アシッドレッド52を溶解させた水溶液を調製し、先ほどの樹脂溶液に少しずつ滴下した。滴下後、60℃で120分間攪拌し、十分に反応を行った。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたものと判断した。攪拌しながら室温まで放冷した後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥し、32部のC.I.アシッドレッド52と側鎖にカチオン性基を有する樹脂1との造塩化合物である染料(A-5)を得た。このとき染料(A-5)中のC.I.アシッドレッド52に由来する成分の含有量は25質量%であった。
【0231】
(微細化した緑色顔料(A-6))
C.I.ピグメントグリーン58を100部、塩化ナトリウム1,200部、及びジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、70℃で6時間混練した。この混練物を3000部の温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化した緑色顔料(A-5)を得た。
【0232】
(微細化した黄色顔料(A-7))
C.I.ピグメントイエロー150を100部、塩化ナトリウム700部、及びジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。この混合物を温水2,000部に投入し、80℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化した黄色顔料(A-6)を得た。
【0233】
(微細化した黄色顔料(A-8))
C.I.ピグメントイエロー138を100部、塩化ナトリウム700部、及びジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。この混合物を温水2,000部に投入し、80℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩及び溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、95部の微細化した黄色顔料(A-7)を得た。
【0234】
<アルカリ可溶性樹脂(B)の製造>
(アルカリ可溶性樹脂(B1-1)溶液)
ガス導入管、温度、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メタクリル酸10部、メチルメタクリレート90部、エチルアクリレート50部、i-ブチルメタクリレート50部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を50℃に加熱撹拌し、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12部を添加した。90℃に昇温し、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート90部に加えた溶液を添加しながら7時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。ピロメリット酸無水物19部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.4部を追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し、不揮発分測定で不揮発分30%となるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて希釈し、酸価70mgKOH/g、ガラス転移温度35℃、重量平均分子量8500のアルカリ可溶性樹脂(B1-1)溶液を得た。
【0235】
(アルカリ可溶性樹脂(B1-2)溶液)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3-メルカプト-1,2-プロパンジオールを6部、ピロメリット酸二無水物を9.7部、シクロヘキサノンを23.5部、モノ-n-ブチル錫(IV)オキシドを0.01部、それぞれ仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、7時間反応させた。酸価の測定で97%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後、系内の温度を70℃に冷却し、メチルメタクリレート70部、ヒドロキシエチルメタクリレート20部、メタクリル酸10部を仕込み、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をシクロヘキサノン26.2部に溶解した溶液を添加して、10時間反応した。不揮発分測定により重合が95%進行したことを確認し反応を終了した。反応終了後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートにて不揮発分を30%に調整し、酸価99mgKOH/g、ガラス転移温度60℃、重量平均分子量9500のアルカリ可溶性樹脂(B1-2)溶液を得た。
【0236】
(アルカリ可溶性樹脂(B1-3)溶液)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12部、ピロメリット酸二無水物25部、シクロヘキサノン66部、触媒としてモノブチルスズオキシド0.06部を追加し、100℃で7時間反応させ、酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した。次にn-ブチルアクリレート80部、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート20部、メタクリル酸(3‐エチルオキセタン‐3‐イル)メチル60部、t-ブチルメタクリレート40部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.5部を溶解したシクロヘキサノン溶液200部を添加して、10時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認し、終了した。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで不揮発分30%に調整し、酸価59mgKOH/g、ガラス転移温度50℃、重量平均分子量5000のアルカリ可溶性樹脂(B1-3)溶液を得た。
【0237】
(アルカリ可溶性樹脂(B1-4)溶液)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート196部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、ベンジルメタクリレート20.4部、n-ブチルメタクリレート18.8部、メタクリル酸3.6部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート11.4部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製「アロニックスM110」)45.7部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル1.1部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が30%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで不揮発分30%に調整し、酸価24mgKOH/g、ガラス転移温度55℃、重量平均分子量30000のアルカリ可溶性樹脂(B1-4)溶液を得た。
【0238】
(アルカリ可溶性樹脂(B1-5)溶液)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート196部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、ベンジルメタクリレート15.2部、n-ブチルメタクリレート20.5部、メタクリル酸7.4部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート16.1部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製「アロニックスM110」)40.8部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル1.1部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が30%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで不揮発分30%に調整し、酸価48mgKOH/g、ガラス転移温度23℃、重量平均分子量10000のアルカリ可溶性樹脂(B1-5)溶液を得た。
【0239】
(アルカリ可溶性樹脂(B2-1)溶液)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン370部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、スチレン0.4部、2-エチルヘキシルアクリレート20.7部、グリシジルメタクリレート38.6部、及び2,2’-アゾビスイソブチロニトリル2.0部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、更に100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、更に100℃で1時間反応を続けた。次に、容器内を空気置換に替え、アクリル酸19.6部(グリシジル基の100%)にトリスジメチルアミノフェノール0.5部及びハイドロキノン0.1部を上記容器内に投入し、120℃で6時間反応を続け不揮発分酸価0.5となったところで反応を終了し、アクリル樹脂の溶液を得た。更に、引き続きテトラヒドロ無水フタル酸20.7部(生成した水酸基の50%)、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で3.5時間反応させアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が30%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで不揮発分30%に調整し、酸価76mgKOH/g、ガラス転移温度-30℃、重量平均分子量10000のアルカリ可溶性樹脂(B2-1)溶液を得た。
【0240】
(アルカリ可溶性樹脂(B2-2)溶液)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン370部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、スチレン0.4部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製「アロニックスM110」)9.6部、グリシジルメタクリレート44.1部、及び2,2’-アゾビスイソブチロニトリル2.0部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、更に100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、更に100℃で1時間反応を続けた。次に、容器内を空気置換に替え、アクリル酸22.3部(グリシジル基の100%)にトリスジメチルアミノフェノール0.5部及びハイドロキノン0.1部を上記容器内に投入し、120℃で6時間反応を続け不揮発分酸価0.5となったところで反応を終了し、アクリル樹脂の溶液を得た。更に、引き続きテトラヒドロ無水フタル酸23.6部(生成した水酸基の50%)、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で3.5時間反応させアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が30%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで不揮発分30%に調整し、酸価87mgKOH/g、ガラス転移温度-5℃、重量平均分子量10000のアルカリ可溶性樹脂(B2-1)溶液を得た。
【0241】
(アルカリ可溶性樹脂(B2-3)溶液)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート182部を導入し、フラスコ内雰囲気を空気から窒素にした後、100℃に昇温後、ベンジルメタクリレート40部、メタクリル酸29.3部、トリシクロデカン骨格のモノメタクリレート(日立化成社製FA-513M)6.6部およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート136部からなる混合物にアゾビスイソブチロニトリル3.6部を添加した溶液を滴下ロートから2時間かけてフラスコに滴下し、さらに100℃で5時間撹拌し続けた。次に、フラスコ内雰囲気を窒素から空気にし、グリシジルメタクリレート24.2部[(本反応に用いたメタクリル酸のカルボキシル基に対して50%)、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.9部およびハイドロキノン0.145部をフラスコ内に投入し、110℃で6時間反応を続け、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が30%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで調整し、酸価95mgKOH/g、ガラス転移温度-8℃、重量平均分子量10000のアルカリ可溶性樹脂(B2-3)溶液を得た。
【0242】
(アルカリ可溶性樹脂(B2-4)溶液)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン207部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、メタクリル酸4.2部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製アロニックスM110)33.0部、ベンジルメタクリレート20.3部、グリセリンモノメタクリレート25.2部、及び2,2’-アゾビスイソブチロニトリル1.33部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、共重合体樹脂溶液を得た。次に得られた共重合体溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)17.3部、ラウリン酸ジブチル錫0.08部、シクロヘキサノン26部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が30%になるようにシクロヘキサノンを添加してアルカリ可溶性樹脂(B2-4)を調製した。酸価23mgKOH/g、ガラス転移温度-3℃、重量平均分子量は5000であった。
【0243】
(アルカリ可溶性樹脂(B3-1)溶液)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、1-ドデカノール62.6部、ε-カプロラクトン287.4部、触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。不揮発分測定により98%が反応したことを確認したのち、無水ピロメリット酸73.3部を加え、120℃で2時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで不揮発分調整することにより不揮発分30%のアルカリ可溶性樹脂(B3-1)溶液を得た。酸価は49mgKOH/g、ガラス転移温度-30℃、重量平均分子量は4000であった。
【0244】
(アルカリ可溶性樹脂(B3-2)溶液)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン196部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、ベンジルメタクリレート26.5部、n-ブチルメタクリレート24.4部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート14.9部、メタクリル酸16.1部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製「アロニックスM110」)18.1部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル1.1部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が30%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加してアルカリ可溶性樹脂(B3-2)溶液を調製した。酸価は105mgKOH/g、ガラス転移温度40℃、重量平均分子量は26000であった。
【0245】
(アルカリ可溶性樹脂(B3-3)溶液)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン196部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、ベンジルメタクリレート19.8部、n-ブチルメタクリレート18.3部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート11.1部、メタクリル酸2.4部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製「アロニックスM110」)48.4部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル1.1部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が30%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加してアルカリ可溶性樹脂(B3-2)溶液を調製した。酸価は16mgKOH/g、ガラス転移温度25℃重量平均分子量は26000であった。
【0246】
(アルカリ可溶性樹脂(B4-1)溶液)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン370部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、ベンジルメタクリレート5.9部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製「アロニックスM110」)31.2部、グリシジルメタクリレート29.9部、及び2,2’-アゾビスイソブチロニトリル2.0部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、更に100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、更に100℃で1時間反応を続けた。次に、容器内を空気置換に替え、アクリル酸15.2部(グリシジル基の100%)にトリスジメチルアミノフェノール0.5部及びハイドロキノン0.1部を上記容器内に投入し、120℃で6時間反応を続け不揮発分酸価0.5となったところで反応を終了し、アクリル樹脂の溶液を得た。更に、引き続きテトラヒドロ無水フタル酸16.0部(生成した水酸基の50%)、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で3.5時間反応させアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が30%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで不揮発分30%に調整し、酸価59mgKOH/g、ガラス転移温度8℃、重量平均分子量15000のアルカリ可溶性樹脂(B4-1)溶液を得た。
【0247】
(アルカリ可溶性樹脂(B4-2)溶液)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート182部を導入し、フラスコ内雰囲気を空気から窒素にした後、100℃に昇温後、メタクリル酸34.2部、トリシクロデカン骨格のモノメタクリレート(日立化成社製FA-513M)37.5部およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート136部からなる混合物にアゾビスイソブチロニトリル3.6部を添加した溶液を滴下ロートから2時間かけてフラスコに滴下し、さらに100℃で5時間撹拌し続けた。次に、フラスコ内雰囲気を窒素から空気にし、グリシジルメタクリレート28.3部[(本反応に用いたメタクリル酸のカルボキシル基に対して50%)、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.9部およびハイドロキノン0.145部をフラスコ内に投入し、110℃で6時間反応を続け、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が30%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで調整し、酸価112mgKOH/g、ガラス転移温度40℃、重量平均分子量25000のアルカリ可溶性樹脂(B4-2)溶液を得た。
【0248】
(アルカリ可溶性樹脂(B4-3)溶液)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン207部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、メタクリル酸1.6部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製アロニックスM110)31.4部、ベンジルメタクリレート18.0部、グリセリンモノメタクリレート28.3部、及び2,2’-アゾビスイソブチロニトリル1.33部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、共重合体樹脂溶液を得た。次に得られた共重合体溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)13.7部、ラウリン酸ジブチル錫0.08部、シクロヘキサノン26部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が30%になるようにシクロヘキサノンを添加してアルカリ可溶性樹脂(B4-3)を調製した。酸価11mgKOH/g、ガラス転移温度50℃、重量平均分子量は30000であった。
【0249】
アルカリ可溶性樹脂(B1-1)~(B4-3)の酸価及びガラス転移温度を表1にまとめる。
【0250】
【0251】
<酸基含有(メタ)アクリレート(C1)の製造>
【0252】
(ウレタン結合を有する酸基含有(メタ)アクリレート(C1-1)溶液)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下管を備えた5口フラスコに、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート400部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部、N,N-ジメチルベンジルアミン0.5部を仕込み、70℃に昇温し、滴下管からトルエンジイソシアネート66部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート66部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、50~70℃の温度で8時間反応させ、IRにより2180cm-1のイソシアネートの吸収の消失を確認した。ついで、メルカプト酢酸35部、4-メトキシフェノール0.6部を仕込み、50~60℃の温度で6時間反応させた。不揮発分が50質量%となるように調整し、平均重合性不飽和基数9のウレタン結合を有する酸基含有アクリレート(C1-1)溶液を得た。
【0253】
<ウレタン結合を有する重合性化合物(C3)の製造>
【0254】
(脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート(C3-1)溶液)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下管を備えた5口フラスコに、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート400部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部、N,N-ジメチルベンジルアミン0.5部を仕込み、70℃に昇温し、滴下管からヘキサメチレンジイソシアネート64部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート64部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、50~70℃の温度で8時間反応させ、IRにより2180cm-1のイソシアネートの吸収の消失を確認した。不揮発分が50質量%となるように調整し、重合性不飽和基数10の脂肪族ウレタンアクリレート(C3-1)溶液を得た。
【0255】
(脂環式ウレタン(メタ)アクリレート(C3-2)溶液)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下管を備えた5口フラスコに、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート400部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部、N,N-ジメチルベンジルアミン0.5部を仕込み、70℃に昇温し、滴下管からイソホロンジイソシアネート部84とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート84部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、50~70℃の温度で8時間反応させ、IRにより2180cm-1のイソシアネートの吸収の消失を確認した。不揮発分が50質量%となるように調整し、重合性不飽和基数10の脂環式ウレタンアクリレート(C3-2)溶液を得た。
【0256】
<分散樹脂(G)の製造>
【0257】
(分散樹脂(G)溶液)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート30部、nーブチルメタクリレート30部、ヒドロキシエチルメタクリレート20部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3部、塩化第一銅5.6部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロック(Bブロック)の重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート61部、第二ブロック(Aブロック)モノマーとして1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレート20部(日立化成工業社製、ファンクリルFA-711MM)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロック(Aブロック)の重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。不揮発分測定で不揮発分30%となるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて希釈し、不揮発分当たりのアミン価が57mgKOH/g、数平均分子量4,500(Mn)の分散樹脂(G)溶液を得た。
【0258】
<分散体の製造>
(分散体1)
下記の原料を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビ-ズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、分散体1を作製した。有機溶剤(P-1)は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。
微細化した赤色顔料(A-1) :14.0部
色素誘導体(F-1) : 2.0部
アルカリ可溶性樹脂(B3-1)溶液 : 3.0部
アルカリ可溶性樹脂(B3-2)溶液 : 3.0部
アルカリ可溶性樹脂(B4-1)溶液 : 3.0部
アルカリ可溶性樹脂(B4-2)溶液 : 3.0部
アルカリ可溶性樹脂(B4-3)溶液 : 3.0部
分散樹脂(G-1)溶液 : 5.0部
有機溶剤(P-1) :64.0部
【0259】
【0260】
表2に記載した原料、量を変えた以外は、分散体1と同様にして分散体2~8を作製した。
【0261】
【0262】
【0263】
<感光性着色組成物の製造>
[実施例1]
(感光性着色組成物1)
以下の原料を混合、攪拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過して感光性着色組成物1を得た。
分散体1 :17.0部
分散体2 :17.0部
分散体6 : 0.5部
アルカリ可溶性樹脂(B1-1)溶液 : 9.0部
アルカリ可溶性樹脂(B2-1)溶液 :10.5部
ウレタン結合を有する酸基含有(メタ)アクリレート(C1-1) : 6.0部
カプロラクトン構造を有する重合性化合物(C2) : 2.0部
その他重合性化合物(C4) : 2.0部
光重合開始剤(D1-2-1) : 1.0部
チオキサントン系化合物(E1) : 0.1部
エポキシ化合物(H1) : 0.1部
チオール系連鎖移動剤(I) : 0.1部
重合禁止剤(J) : 0.1部
酸化防止剤(L) : 0.1部
レベリング剤(M) : 1.0部
有機溶剤(P) :33.5部
【0264】
[実施例2~40、比較例1~4]
(感光性着色組成物2~44)
実施例1の感光性着色組成物1を、表3-1~表3-4に記載した原料、量に変えた以外は、実施例1と同様にして感光性着色組成物2~44を作製した。
【0265】
【0266】
【0267】
【0268】
【0269】
表3-1~表3-4に記載したそれぞれの原料については、以下の通りである。
【0270】
[重合性化合物(C)]
(酸基含有(メタ)アクリレート(C1))
C1-2:アロニックスM-520(東亞合成社製)
(カプロラクトン構造を有する重合性化合物(C2))
C2-1:KAYARAD DPCA-20(日本化薬社製)
(一般式(2)~(4)において、m=1、一般式(3)に表される基の数=2、R1が全て水素原子である化合物)
C2-2:KAYARAD DPCA-30(日本化薬社製)
(一般式(2)~(4)において、m=1、一般式(3)に表される基の数=3、R1が全て水素原子である化合物)
C2-3:KAYARAD DPCA-60(日本化薬社製)
(一般式(2)~(4)において、m=1、一般式(3)に表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)
以上、(C2-1)~(C2-3)をそれぞれ同量混合し、カプロラクトン構造を有する重合性化合物(C2)とした。
(その他重合性化合物(C4))
C4-1:アロニックスM402(東亞合成社製)
C4-2:アロニックスM309(東亞合成社製)
C4-3:ABE-300(新中村化学社製)
C4-4:A-9300(新中村化学社製)
以上、(C4-1)~(C4-4)をそれぞれ同量混合し、その他重合性化合物(C4)とした。
【0271】
[光重合開始剤(D)]
(オキシム系化合物(D1))
〔1分子中にオキシム基を1つ含有するオキシム系化合物(D1-1)〕
D1-1-1:アデカアークルズNCI-730(ADEKA社製)
〔1分子中にオキシム基を2つ含有するオキシム系化合物(D2-1)〕
D2-1-1:上記化学式(6)で表される化合物
D2-1-2:上記化学式(7)で表される化合物
(アセトフェノン系化合物(D2))
D2-1:Omnirad 907(IGM Resins社製)
D2-2:Omnirad 379EG(IGM Resins社製)
【0272】
[増感剤(E)]
(チオキサントン系化合物(E1))
E1-1:2,4-ジエチルチオキサントン
(ベンゾフェノン系化合物(E2))
E2-1:4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
【0273】
[熱硬化性化合物(H)]
(エポキシ化合物(H1))
H1-1:EHPE-3150(ダイセル社製)
H1-2:デナコールEX611(ナガセケムテックス社製)
H1-3:イソシアヌル酸トリグリシジル
以上、(H1-1)~(H1-3)をそれぞれ同量混合し、エポキシ化合物(H1)とした。
【0274】
[チオール系連鎖移動剤(I)]
I-1:トリメチロ-ルエタントリス(3-メルカプトブチレート)
I-2:トリメチロ-ルプロパントリス(3-メルカプトブチレート)
I-3:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)
I-4:トリメチロ-ルプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)
I-5:トリス[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート
以上、(I-1)~(I-5)をそれぞれ同量にて混合し、チオール系連鎖移動剤(I)とした。
【0275】
[重合禁止剤(J)]
J-1:4-メチルカテコール
J-2:メチルヒドロキノン
J-3:t-ブチルヒドロキノン
以上、(J-1)~(J-3)をそれぞれ同量混合し、重合禁止剤(J)とした。
【0276】
[酸化防止剤(L)]
L-1:ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート
L-2:3,3’-チオジプロパン酸ジオクタデシル
L-3:トリス[2,4-ジ-(t)-ブチルフェニル]ホスフィン
L-4:ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート
L-5:サリチル酸p-オクチルフェニル
以上、(L-1)~(L-5)をそれぞれ同量にて混合し、酸化防止剤(L)とした。
【0277】
[レベリング剤(M)]
BYK-330(ビックケミー社製)を1部、
メガファックF-563(DIC社製)を0.5部
エマルゲンA-60(花王社製)を0.5部
をPGMAc98部に溶解させた溶液をレベリング剤(M)とした。
【0278】
[有機溶剤(P)]
P-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 30部
P-2:シクロヘキサノン 30部
P-3:3-エトキシプロピオン酸エチル 10部
P-4:プロピレングリコールモノメチルエーテル 10部
P-5:シクロヘキサノールアセテート 10部
P-6:ジプロプレングリコールメチルエーテルアセテート 10部
以上、(P-1)~(P-6)をそれぞれ上記質量部にて混合し、有機溶剤(P)とした。
【0279】
<感光性着色組成物の評価>
得られた感光性着色組成物1~44(実施例1~40、比較例1~4)について、パターン形状、水しみ、アルカリ現像性、及び残膜率の評価を下記の方法で行った。評価結果を表4に示す。
【0280】
<パターン形状評価>
得られた感光性着色組成物を、スピンコート法により縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、乾燥後の膜厚が3.0μmとなるように塗工し、70℃1分間ホットプレートで乾燥した。次いで、この基板を室温に冷却後、高圧水銀灯ランプを用い、100μm幅(ピッチ200μm)のストライプパターンのフォトマスクを介して照度30mW/cm2、40mJ/cm2で露光した。その後、この基板を23℃の非イオン系界面活性剤0.12質量%と水酸化カリウム0.04質量%とを含む水系現像液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾し、クリーンオーブン中230℃で30分間加熱しパターン形成性評価用基板を得た。スプレー現像は、それぞれの感光性着色組成物での被膜について、現像残りなくパターン形成可能な最短時間で行った。得られたパターンをNikon社製ECLIPSE LV100POL Model光学顕微鏡を用いて、パターンのエッジ部にあるかけなどの欠陥の数を数え、評価した。3以上を実用可能とする。
5:かけなどの欠陥が全く確認できない。
4:かけなどの欠陥が1カ所以上~10カ所未満で確認された。
3:かけなどの欠陥が10カ所以上~20カ所未満で確認された。
2:かけなどの欠陥が20カ所以上で確認された。
1:100μm幅のパターン細線が一部残存していない。
【0281】
<水しみ評価>
得られた感光性着色組成物について、縦100mm×横100mm、0.7mmのガラス基板(コーニング社製イーグル2000)上に、乾燥後の膜厚が3.0μmとなるように塗工し、70℃1分間ホットプレートで乾燥した。次いで100μm幅(ピッチ200μm)のストライプパターンのフォトマスクを通して高圧水銀灯を用いて照度30mW/cm2、40mJ/cm2の条件下にて紫外線露光を行った。その後、非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%とを含む水系現像液に、23℃で40秒間浸漬して現像し、純水で洗浄した。得られたパターンをNikon社製ECLIPSE LV100POL Model光学顕微鏡を用いて、パターンの表面を観察し、変色している部分の度合いを評価した。3以上を実用可能とする。
5:水しみがなかった。
4:水しみが全体の10%未満であった。
3:水しみが全体の10%以上~20%未満であった。
2:水しみが全体の20%以上~30%未満であった。
1:水しみが全体の30%以上であった。
【0282】
<アルカリ現像性評価>
[カーボンブラック分散体の調製]
カーボンブラック(三菱化学社製#47,平均一次粒子径23nm,比表面積132m2/g,吸油量64cm3/100g)100部、下記化学式に示す色素誘導体(F-3)4部、アルカリ可溶性樹脂(B1-1)溶液を14部、アルカリ可溶性樹脂(B2-1)溶液を6部混合し、シクロヘキサノンで希釈して不揮発分が20%になるように調整した。得られた混合物を直径0.8mmのガラスビーズを用いペイントシェーカーにて2時間分散することにより、カーボンブラック分散体Aを調製した。得られたカーボンブラック分散体Aの粘度は、25℃のとき8.70mPa・sであった。
【0283】
【0284】
カーボンブラック分散体Aを縦100mm×横100mm、0.7mmのガラス基板(コーニング社製イーグル2000)上に塗工し、減圧乾燥させて、膜厚1μmの塗膜を形成した。この塗膜を高圧水銀灯で50mJ/cm2で全面露光後、25℃に保持した0.05%の水酸化カリウム水溶液を用いて60秒間スプレー現像した後、イオン交換水にて充分に洗浄し、クリーンエアで乾燥後、得られた基板を230℃30分ポストベークし評価基板(以下、BM基板)を作成した。
その後、感光性着色組成物を縦100mm×横100mm、0.7mmのガラス基板(コーニング社製イーグル2000)もしくはBM基板上に塗工し、減圧乾燥させて、膜厚2ミクロンの塗膜を形成した。この塗膜を線幅100μm幅(ピッチ200μm)のストライプパターンのフォトマスクを用いて高圧水銀灯で50mJ/cm2で露光後、25℃に保持した0.05%の水酸化カリウム水溶液を用いて60秒間スプレー現像した後、イオン交換水にて充分に洗浄し、クリーンエアで乾燥することで評価塗膜を得た。この評価は、各色のフィルタセグメントを連続して形成する際のBM塗膜上の現像残渣を評価している。
現像によって塗膜が除去された縦100mm×横100mm、0.7mmのガラス基板もしくはBM基板上において、残渣の有無をNikon社製ECLIPSE LV100POL Model光学顕微鏡を用いて観察し、現像残渣の度合いを評価した。3以上を実用可能とする。
5:ガラス基板及びBM基板上に残渣が全く確認できない
4:ガラス基板上には残渣は全く確認できないが、BM基板上には 1カ所以上~10カ所未満で確認された
3:ガラス基板上には残渣は全く確認できないが、BM基板上には 10カ所以上~20カ所未満で確認された
2:ガラス基板上では残渣が1カ所以上~10カ所未満であり、BM基板上には 20カ所以上で確認された
1:ガラス基板上では残渣が10カ所以上であり、BM基板上には 20カ所以上で確認された。
【0285】
<残膜率評価>
得られた感光性着色組成物を、スピンコート法により縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、乾燥後の膜厚が3.0μmとなるように塗工し、70℃1分間ホットプレートで乾燥した。次いで、この基板を室温に冷却後、高圧水銀灯ランプを用い、100μm幅(ピッチ200μm)のストライプパターンのフォトマスクを介して照度30mW/cm2、40mJ/cm2で露光した。その後、この基板を23℃の非イオン系界面活性剤0.12質量%と水酸化カリウム0.04質量%とを含む水系現像液を用いてスプレー現像した。スプレー現像は、それぞれの感光性着色組成物での被膜について、現像残りなくパターン形成可能な最短時間で行った。その後、イオン交換水で洗浄、風乾し、塗膜の膜厚を測定した。この膜厚を現像後膜厚とする。その後、クリーンオーブン中230℃で30分間加熱し、現像後膜厚を測定した同じ場所の膜厚を測定した。この膜厚をベーク後膜厚とする。2つの膜厚から下記数式により残膜率を算出した。3以上を実用可能とする。なお、膜厚は、Dektak 3030(日本真空技術社製)を用いて行った。
数式:残膜率(%)=ベーク後膜厚÷現像後膜厚×100
5:残膜率85%以上
4:残膜率80%以上85%未満
3:残膜率75%以上80%未満
2:残膜率70%以上75%未満
1:残膜率70%未満
【0286】