(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191622
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
A63F7/02 320
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099946
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】390031783
【氏名又は名称】サミー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】奥村 和麿
(72)【発明者】
【氏名】高倉 俊介
(72)【発明者】
【氏名】植田 勝大
(72)【発明者】
【氏名】吉田 翔
【テーマコード(参考)】
2C333
【Fターム(参考)】
2C333AA11
2C333CA49
2C333CA76
2C333CA77
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の予告演出が関連して興趣性の高い予告演出を実行することが可能な遊技機を提供する。
【解決手段】特殊付加変動が実行される場合、予告演出に割り込んで特殊付加変動に伴うモードアップ演出や期待度示唆演出が実行され、モードアップ演出や期待度示唆演出が実行された場合に、モードアップ演出等の割り込みが発生した予告演出が割込みの発生する前と発生した後とで演出の実行パターンが変更(昇格)されている場合があるように構成される。
【選択図】
図40
【特許請求の範囲】
【請求項1】
演出の制御を行う演出制御手段と、
演出表示を行う演出表示手段と、
を備え、
前記演出制御手段は、
特別遊技の実行可能性に関する期待度を示唆する予告演出として、第1予告演出および第2予告演出を1回の遊技中に実行可能であり、
前記第1予告演出は特別遊技の実行可能性に関する期待度が異なる複数の予告演出実行パターンを備え、いずれか1の予告演出実行パターンが抽選により決定されて前記演出表示手段に表示されるように構成され、
前記第1予告演出は動画像で構成されており、
前記第2予告演出は、前記第1予告演出の動画像の再生中に割り込んで実行される予告演出であり、
前記第1予告演出は、前記第2予告演出が実行される場合、前記第1予告演出の予告演出実行パターンとして、前記第2予告演出が割り込んだ後の予告演出実行パターンが前記第2予告演出が割り込む前の予告演出実行パターンよりも前記特別遊技の実行可能性に関する期待度が高まる態様に変化する予告演出実行パターンを決定可能であることを特徴とするぱちんこ遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技機では、付加的な変動パターンが選択された場合に、特別な演出を差し込み大当り期待度が高いことを示唆する演出を実行するぱちんこ遊技機が知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような従来の遊技機では、付加的な変動パターンが選択された場合に追加で差し込まれる演出と、予告演出との間に関連性が低く、それぞれ独立した予告演出として成立しているため、変動中の演出全体で実行される予告演出同士の関連性がなく、興趣性に欠けていた。
【0005】
本願発明は上記課題に鑑みたもので、ある予告演出の実行中に他の予告演出が割り込んで実行された場合に、割り込まれた側の予告演出に変化を与えることで1回の変動における演出全体としての特別遊技に対する期待感を高められる遊技機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る遊技機は、演出の制御を行う演出制御手段と、
演出表示を行う演出表示手段と、を備え、演出制御手段は、特別遊技の実行可能性に関する期待度を示唆する予告演出として、第1予告演出および第2予告演出を1回の遊技中に実行可能であり、第1予告演出は特別遊技の実行可能性に関する期待度が異なる複数の予告演出実行パターンを備え、いずれか1の予告演出実行パターンが抽選により決定されて演出表示手段に表示されるように構成され、第1予告演出は動画像で構成されており、第2予告演出は、第1予告演出の動画像の再生中に割り込んで実行される予告演出であり、第1予告演出は、第2予告演出が実行される場合、第1予告演出の予告演出実行パターンとして、第2予告演出が割り込んだ後の予告演出実行パターンが第2予告演出が割り込む前の予告演出実行パターンよりも特別遊技の実行可能性に関する期待度が高まる態様に変化する予告演出実行パターンを決定可能である。
【0007】
なお、以上の発明に係る構成要素の任意の組合せや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体、データ構造などの間で相互に置換したもの、発明を実施するための形態に記載された実施形態や変形例に係る構成もまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の遊技機によれば、複数の予告演出が関連性を有する興趣性の高い予告演出制御を行う遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】上記ぱちんこ遊技機の枠部材を開放した状態の正面方向の斜視図である。
【
図3】上記ぱちんこ遊技機の枠部材を開放した状態の背面方向の斜視図である。
【
図4】前提とするぱちんこ遊技機に取り付けられた遊技盤を示す斜視図である。
【
図5】前提とするぱちんこ遊技機の機能ブロック図である。
【
図6】前提とするぱちんこ遊技機の遊技状態の遷移を示す図である。
【
図7】前提とするぱちんこ遊技機の主制御基板の電源投入処理を示す図である。
【
図8】上記電源投入処理中の遊技停止状態設定処理を示す図である。
【
図9】前提とするぱちんこ遊技機の主制御基板の割込み処理を示す図である。
【
図10】前提とするぱちんこ遊技機の当否抽選テーブルを示す図である。
【
図11】前提とするぱちんこ遊技機の当り図柄抽選テーブルを示す図である。
【
図12】前提とするぱちんこ遊技機の低ベース状態中における変動パターン抽選テーブルを示す図である。
【
図13】前提とするぱちんこ遊技機の高ベース状態中における変動パターン抽選テーブルを示す図である。
【
図14】前提とするぱちんこ遊技機の限定的な期間に参照される特殊変動パターン抽選テーブルを示す図である。
【
図15】前提とするぱちんこ遊技機の演出制御基板の電源投入処理を示す図である。
【
図16】前提とするぱちんこ遊技機の演出制御基板の割込み処理を示す図である。
【
図17】前提とするぱちんこ遊技機の通常遊技中(低確率/低ベース中)の図柄変動表示(装飾図柄の停止表示中)の遊技演出を表した図である。
【
図18】前提とするぱちんこ遊技機の大当りとなる期待度が高いリーチ演出が行われている状況の遊技演出を表した図である。
【
図19】前提とするぱちんこ遊技機において大当り遊技を実行している状態の遊技演出を表した図である。
【
図20】前提とするぱちんこ遊技機の特定遊技状態中(高確率または低確率/高ベース)である電チューサポート機能の作動中の遊技演出を表した図である。
【
図21】本実施例のぱちんこ遊技機に用いられる遊技機枠を示す図である。
【
図22】本実施例のぱちんこ遊技機に用いられる遊技盤が遊技機枠に取り付けられている状態を示す図である。
【
図23】本実施例のぱちんこ遊技機のフレネルレンズ役物が演出位置に進出した状態を示す図である。
【
図24】本実施例のぱちんこ遊技機においてフレネルレンズ役物が演出位置にある状態での画像表示の視認性の例を示す図である。
【
図25】本実施例のぱちんこ遊技機のフレネルレンズ役物の初期位置状態と演出位置状態とを示す図である。
【
図26】本実施例のぱちんこ遊技機のフレネルレンズ役物の動作機構の構造を説明する図である。
【
図27】本実施例のぱちんこ遊技機の星役物が演出位置に進出した状態を示す図である。
【
図28】本実施例のぱちんこ遊技機の星役物の動作機構の構造を示す図である。
【
図29】本実施例のぱちんこ遊技機の変形フレーム役物が演出位置に進出した状態を示す図である。
【
図30】本実施例のぱちんこ遊技機の変形フレーム役物の動作機構の構造を示す図である。
【
図31】本実施例のぱちんこ遊技機の遊技領域(右側領域)の構造を示す図(カバーの前面をカットしたもの)である。
【
図32】本実施例のぱちんこ遊技機の遊技領域(右側領域)の流路を説明する図である。
【
図33】本実施例のぱちんこ遊技機の演出役物の駆動源であるステッピングモータの制御タイミングを示す図である。
【
図34】本実施例のぱちんこ遊技機の演出役物を電源投入時やエラーの発生時に初期位置へ復帰させる初期位置復帰動作のフローを示す図である。
【
図35】本実施例のぱちんこ遊技機の演出役物を電源投入時等において動作確認を行う際に用いる初期化動作のフローを示す図である。
【
図36】本実施例のぱちんこ遊技機の出荷モードにおける演出役物の動作フローを示す図である。
【
図37】本実施例のぱちんこ遊技機の遊技性(ゲームフロー)を示す図である。
【
図38】本実施例のぱちんこ遊技機の特別遊技(大当り、小当り)の種類の例を示す図である。
【
図39】本実施例のぱちんこ遊技機の変動パターンテーブルの選択状態(変動パターンモード)を示す図である。
【
図40】本実施例のぱちんこ遊技機の特殊付加変動の演出例1を示す図である。
【
図41】本実施例のぱちんこ遊技機の特殊付加変動の演出例2を示す図である。
【
図42】本実施例のぱちんこ遊技機の特殊付加変動の種類の一例を示す図である。
【
図43】本実施例のぱちんこ遊技機のモードAにおける演出表示例を示すずである。
【
図44】本実施例のぱちんこ遊技機のモードAおよび大当り遊技中における音声演出制御の例を示す図である。
【
図45】本実施例のぱちんこ遊技機のモードAおよび大当り遊技中における音声演出制御のタイムチャートを示す図である。
【
図46】本実施例のぱちんこ遊技機の遊技待機表示中の待機中メニュー表示画面の例を示す図である。
【
図47】本実施例のぱちんこ遊技機のメニュー画面の表示例(実機カスタムメニュー選択中)を示す図である。
【
図48】本実施例のぱちんこ遊技機のメニュー画面の表示例(遊技カスタムメニュー選択中)を示す図である。
【
図49】本実施例のぱちんこ遊技機の遊技カスタムの一部メニューの設定ウィンドウの表示中の例を示す図である。
【
図50】本実施例のぱちんこ遊技機の遊技カスタムの種類の例を示す図である。
【
図51】本実施例のぱちんこ遊技機の変動中カスタムの例(カスタム操作前)を示す図である。
【
図52】本実施例のぱちんこ遊技機の変動中カスタムの例(カスタム操作中)を示す図である。
【
図53】本実施例のぱちんこ遊技機のモードA中の変動中カスタム(楽曲選択)の例(カスタム操作前)を示す図である。
【
図54】本実施例のぱちんこ遊技機のモードA中の変動中カスタム(楽曲選択)の例(カスタム操作中)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(前提技術)
以下、本発明の前提とするぱちんこ遊技機(以下「前提技術」)について図面を用いて説明する。前提技術に係るぱちんこ遊技機の代表例として、ぱちんこ遊技機を
図1および
図3に示すとともに、このぱちんこ遊技機に設けられる遊技盤を
図4に示しており、まず、これらの図を参照して、ぱちんこ遊技機の機械構成について説明する。なお、以降の説明においては、便宜上、
図2の各矢印で示す方向をそれぞれ、前後方向、左右方向、上下方向と称して説明する。
【0011】
[ぱちんこ遊技機の機械構成]
始めに、ぱちんこ遊技機Pの正面側の基本構造を説明する。ぱちんこ遊技機Pは、
図1および
図2に示すように、外郭方形に構成され、遊技施設において固定される外枠P1の開口前面に、外枠P1の開口に合わせたサイズで方形に構成された前枠P2が互いの正面左側縁部に配設された上下のヒンジ機構(上ヒンジ部10、下ヒンジ部20)により横開き開閉および着脱が可能に取り付けられる。
【0012】
前枠P2には、遊技盤P5とガラス枠P3とが着脱可能にセットされている。ガラス枠P3は方形状であり、前枠P2の前面側に上下のヒンジ機構(上ヒンジ部10、下ヒンジ部20)を利用して横開き開閉および着脱可能に組み付けられて保持される。遊技盤P5は、前枠P2の前面側に着脱可能にセットされ、閉鎖保持されるガラス枠P3のガラスP301を通して遊技盤P5の正面側に設けられた遊技領域P501を遊技者が視認可能に構成されている。また前枠P2およびガラス枠P3は、ぱちんこ遊技機Pの正面右側縁部に設けられた施錠部P30の鍵穴に鍵を挿入し、左右方向のいずれかに回転させることで、回転方向に応じて、外枠P1と前枠P2の施錠が解除または前枠P2とガラス枠P3の施錠が解除される。具体例としては、施錠部P30の鍵穴に鍵を挿入して右方向に回転させると外枠P1と前枠P2の施錠が解除され、施錠部P30の鍵穴に鍵を挿入して左方向に回転させると前枠P2とガラス枠P3の施錠が解除されるようになっている。
【0013】
ガラス枠P3の下部には、遊技球を貯留する上下の球皿P340(上球皿P341及び下球皿P342)が設けられる。またガラス枠P3には、遊技の展開状況に応じて発光する演出ランプP350や、遊技の展開状況に応じて効果音などの音を出力可能なスピーカP370が設けられている。ガラス枠P3の下部中央には、所定の演出操作を行うための演出操作ユニットP380が取り付けられ、前提技術として示す本ぱちんこ遊技機が有する演出操作ユニットP380は、押下入力式のボタンP381と傾倒操作式のレバーP382とを備えており、ボタンP381は常時遊技者操作を可能とする一方、レバーP382はガラス枠に備えられた可動物(枠可動役物P360)の1つであり、操作手段自体が上方に突出した状態(入力許可状態)に変位した場合に操作入力を可能とする(1の演出操作手段にて、複数の操作が可能となっている)。
【0014】
前枠P2の右下部には、遊技球の発射操作および発射強度の調整を行うハンドルP204が設けられている。前枠P2の下部には、さらに発射装置ユニットP240を備え、図示を省略するが、上球皿P341に貯留された遊技球を1球ずつ送り出す球送り機構P241、この球送り機構から送り出された遊技球を遊技領域P501へ向けて打ち出す発射機構(ロータリーソレノイドで駆動される打球槌)を有する発射装置P242、球送り機構P241や発射装置P242の作動を同期的に制御する発射制御基板P243などが設けられている。
【0015】
遊技盤P5(遊技盤ユニット)は、
図4に示すように、透明な合成樹脂や木材を用いて矩形の平板状に形成された基材をベースとして構成されている。なお、
図1は遊技盤P5を含むぱちんこ遊技機Pを前面側から見た正面図であり、
図4は遊技盤ユニットP5の斜視図を示す。
図4は遊技盤ユニットに備えられた演出役物P560(「可動演出装置」「演出可動体」「演出可動役物」等とも呼ぶ)が動作している状態を図示している。遊技盤P5の前面には、左下部から右上部にかけて配設された円弧状の外レールP502と、遊技盤の下部中央付近から外レールP502の内側における左下部から左上部にかけて配設された円弧状の内レールP503と、右上部の外レールP502の端部から該盤面の下部までの間に配設されて左向きに開く湾曲形状に形成されたレール飾りP504とを備えており、外レールP502と内レールP503とレール飾りP504とで囲まれた内側に略円形の遊技領域P501が区画形成されている。この遊技領域P501は、略中央に配設される後述のセンター役物P540を基準として、センター役物P540の左側の領域である左側領域P501L(左打ち領域)と、センター役物の右側の領域である右側領域P501R(右打ち領域)とを有している。また、外レールと内レールとにより、発射装置ユニットP240により打ち出された遊技球を遊技領域P501へ案内するための案内通路が形成される。
【0016】
遊技領域P501には、図示しない多数本の遊技釘P510や風車P511とともに、第1始動入賞口P711(第1始動口)、第2始動入賞口P721(第2始動口)、一般入賞口P731、普図作動口P741(普図作動ゲート装置)、大入賞口P751(アタッカー)、等の各種入球装置(賞球が発生する場合は「入賞装置」と称する)が配設されている。なお、大入賞口は1つとしてもよいし、複数有するよう構成してもよい。また、本明細書において、入球装置の構成上、遊技球が入球装置に入球した後に排出されるもの、入球装置に入球した後にさらに遊技領域P501を流下するもの(ゲートタイプ)に対し、遊技球が内部の検出スイッチで検出されることを「入球」「入賞(特に賞球が発生するもの)」と称し、ゲートタイプの入球口のように下流の遊技領域に流下するものついては、特に「通過」と区別して記載する場合を有する。また、入球装置を入球口、入賞装置を入賞口と称することがある。
【0017】
また、遊技領域P501の右下には、第1特別図柄表示装置P51、第2特別図柄表示装置P52、普通図柄表示装置P53など、後述の主制御基板にて点灯制御される主制御表示装置P50が集約的に配設されている。遊技領域P501の略中央にはセンター役物P540が配設されており、このセンター役物P540の開口を通して演出表示装置P80の画面が視認可能に設けられている。このセンター役物P540の上部等には、遊技の展開状況に応じた演出動作を行う演出役物P560(可動役物装置)が設けられている。遊技領域P501の下端部には、各種入球装置の入賞口に入球せずに流下した遊技球が通過可能なアウト口P790が設けられている。各種入賞装置の入賞口に入球した遊技球又はアウト口P790に流入した遊技球は、遊技盤P5に前後貫通して形成された貫通孔(図示せず)を通じて遊技盤P5の後面側へ流下し、前枠P2下部の回収流路(遊技済み球通路)に収集され、発射した遊技球の総数を検出するための前枠下部に備えられたアウト球センサP792(発射球数センサ)を通過したのち遊技機外へ排出される。
【0018】
第1始動入賞装置P710は、第1特別図柄遊技に対応する始動入賞装置として設けられている。この第1始動入賞装置P710には、遊技球が入球可能な第1始動入賞口P711が設けられている。第1始動入賞口P711への遊技球の入球は、第1特別図柄に係る抽選に使用される乱数の取得契機となっており、第1始動入賞口P711への遊技球の入球に基づいて入球直後のタイミングまたは保留期間を経過した後に第1特別図柄に係る抽選が実行される。
【0019】
第2始動入賞装置P720は、第2特別図柄遊技に対応する始動入賞装置として設けられている。この第2始動入賞装置P720には、遊技球が入球可能な第2始動入賞口P721および後述する普通図柄抽選に当選した場合に第2始動入賞口P721への入球を容易となる状態に切り替える可動体である普通電動役物P770が設けられている。第2始動入賞口P721への遊技球の入球は、第2特別図柄に係る抽選に使用される乱数の契機となっており、第2始動入賞口P721への遊技球の入球に基づいて入球直後のタイミングまたは保留期間を経過した後に第2特別図柄に係る抽選が実行される。第2始動入賞装置P721は、普通電動役物P770の作用により遊技球が第2始動入賞口P721へ入球可能又は入球容易な開状態と、遊技球が第2始動入賞口P721へ入球不能又は入球困難な閉状態とに変化する。つまり、第2始動入賞装置P720は、開状態に変位しなければ遊技球が第2始動入賞口へ入球し難い構造となっており、後述の所定の契機(普通図柄抽選に当選する契機)で開状態となると遊技球の入球容易性が高くなる。なお、普通電動役物P770の構造は様々な態様が知られており、可動体P771が開くことによる入球容易性の変化がなされる構造ではない場合があるため、「開状態」「閉状態」をそれぞれ「入球容易状態(入球容易態様)」「入球困難状態(入球困難態様)」と表記する場合を有する。
【0020】
一般入賞装置P730は、左打ち領域P501Lに配置された左側一般入賞装置P730Lと、右打ち領域P501Rに配置された右側一般入賞装置P730Rとを有している。本前提技術におけるぱちんこ遊技機Pにおいては、左側一般入賞装置P730Lとして、3つの一般入賞口P731La~P731Lcが1のユニットとして構成されている一方、右側一般入賞装置P730Rは後述する大入賞装置P750の一部として構成されている。一般入賞口P731への遊技球の入球は、他の入賞装置と同じく賞球払出の契機となる。なお、前提とするぱちんこ遊技機の一般入賞口P731の個数や位置はあくまで一例であり、右打ち領域P501Rにのみ配置されるよう構成する等としてもよい。
【0021】
普図作動ゲート装置P740(普図作動口)は、普通図柄遊技に対応する始動入球口として設けられている。この普図作動ゲート装置P740には、遊技球が通過可能な作動ゲートP741が設けられており、入球した遊技球は遊技盤の遊技領域の下流をさらに流下可能に構成されている。作動ゲートP741への遊技球の通過は、第2始動入賞装置P720を開状態とするか否か、すなわち普通電動役物P770を作動させるか否かを決定するための普通図柄抽選の契機となる。なお、変形例として普通図柄抽選の契機となる機能を前述した一般入賞口P731に備えるように構成することも可能であり、この場合には、普通図柄抽選を実行する機能に加えて、賞球を発生させる機能を1の入賞装置として設けることも可能である(普図作動入賞口)。
【0022】
大入賞装置P750は、第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選の抽選結果が大当りや小当りとなった場合に開閉動作する大入賞口P751(特別電動役物P755)を有して構成されており、「アタッカー(装置)」などと呼称する場合を有する。大入賞装置P750は、遊技球が大入賞口P751へ入球可能又は入球容易な開状態(例として特別電動役物が作動P755した状態)と、遊技球が大入賞口P751へ入球不能又は入球困難な閉状態(例として特別電動役物P755が非作動の状態)とに変化する。大当り遊技においては、大入賞口P751の開閉動作を伴う複数回のラウンド遊技(単位遊技)が行われる。なお、特別電動役物P755が作動した状態であっても、一連の作動パターン(「開放パターン」とも呼ぶ)により、大入賞口P751を構成する可動体P756が入球困難な閉態様となる場合を有する。
【0023】
また、大入賞装置P750には、遊技機の仕様(スペック)によっては、遊技球が通過可能な特定領域P760(「Vゾーン」、「V領域」と呼ばれ、機能によっては「確率変動機能作動領域」、「継続領域」などと呼ぶ)が設けられる場合を有する。この「特定領域」に関する機能として、(ア)大当り遊技中の特定領域に対する通過を契機として大当り遊技の後に確率変動機能(後述)を作動させること、(イ)小当り遊技中の特定領域の通過を契機として役物連続作動装置(特別電動役物を連続的に作動させるためのフラグ)を作動させ、大当り遊技を実行する権利を付与すること、(ウ)大当り遊技中の特定のラウンドにおいて特定領域を通過したか否かに基づいて、後続のラウンドの実行を確定的としたり、実行しないものとしたりすること、などが例として挙げられる。なお、「特定領域」に対し、通過の容易性を変化させるための構造体である開閉部材P761(弁部材)が設けられてもよく、開閉部材P761の作用により流下経路を振り分けられることで、特定領域P760又はそれ以外の非特定領域を通過するように構成してもよい。また、大当り遊技中や小当り遊技中において、特定領域P761の遊技球の通過が有効となる期間と無効となる期間とを有してもよい。
【0024】
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいて、大入賞装置P750は、遊技領域P501における右側領域P501R(右打ち領域)に設けられている。そのため、大当り遊技又は小当り遊技では、遊技領域P501に向けて遊技球を発射する際に、右側領域P501Rを狙って打つ、いわゆる右打ちを行うことで大入賞口P751への入球が容易となっている。
【0025】
続いて、前提とするぱちんこ遊技機Pの背面側の基本構造を説明する。前枠の背面側には、中央に遊技盤ユニットP5を取り付けるために前後連通する窓口を有した裏セットユニットP4が取り付けられている。裏セットユニットP4には、遊技施設側から供給される多数個の遊技球を貯留する貯留タンクP401、貯留タンクP401からの遊技球を流下させる樋部材P402、樋部材により導かれた遊技球を払い出す賞球払出ユニットP410、賞球払出ユニットP410から払い出された遊技球を上球皿P341又は下球皿P342へ流下させる裏側通路部材P403などが設けられている。また、貯留タンクP401から球皿P340までの遊技球流下経路上には、球抜き機構(球抜き操作レバーP405、操作レバーに連動して遊技球を流路上から排除する流路を形成する弁部材P406)が設けられている。
【0026】
遊技盤P5の背面側には、ぱちんこ遊技機Pの遊技進行を統括的に制御する主制御基板P40や、主制御基板P40の制御に伴う遊技進行に合わせた演出全般の制御を行う演出制御基板P41、遊技展開に応じた画像表示の制御を行う画像制御基板P42などが取り付けられている。なお、本前提技術のぱちんこ遊技機Pでは、演出制御基板P41および画像制御基板P42は、演出表示装置P80(液晶表示装置)と一体化されたアッセンブリ状態で演出表示ユニットを構成している。これに対して、裏セットユニットP4の背面側には、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板P43や、遊技施設側から受電して各種制御基板や電気・電子部品に電力を供給する電源基板P44(図示せず)などが取り付けられている。なお、これらの制御基板は、不正改造防止のため、カシメ構造及び封印シール構造を有する透明樹脂製の基板ケースに収容されたアッセンブリ状態で遊技盤P5の背面又は裏セットユニットP4の背面の所定位置にそれぞれ配設される。これらの制御基板とぱちんこ遊技機各部の電気・電子部品とがハーネス(コネクタケーブル)を介して相互に接続されて、ぱちんこ遊技機Pにおける遊技の進行や、演出の実行が可能に構成されている。
【0027】
[機能ブロック]
図5は、前提とするぱちんこ遊技機の機能ブロックを示す。
【0028】
ぱちんこ遊技機は、遊技機外部から供給される交流電源に基づいて遊技機内で使用する電源を生成する電源基板P44と、遊技の基本動作や遊技の進行を制御する主制御基板P40(主制御CPU)と、賞球の払出しや遊技球の発射を制御する枠制御装置としての払出制御基板P43(払出制御CPU)と、演出的な動作や処理を制御する演出制御基板P41(副制御CPU)とに機能を分担させた形態で構成される。なお、図中に示す矢印は機能別に、情報の送受信の関係を実線矢印で示し、電気的接続の関係を破線矢印にて示している。
【0029】
電源基板P44は、基板上に設けられた電源スイッチP47を操作することによって、後述する主制御基板P40、演出制御基板P41、払出制御基板P43、並びにそれらに電気的に接続する各種遊技用装置に対し、動作に必要となる電力を生成して供給する。詳細は後述するが、電源スイッチP47の電源投入操作は、遊技機の設定に係る情報の処理の開始契機となるスイッチ操作であるため、電源スイッチは不正な操作を防止するため開閉カバーに覆われた状態で保護されている。
【0030】
主制御基板P40は、第1始動入賞口P711(特
図1始動口スイッチP712)、第2始動入賞口P721(特
図2始動口スイッチP722)、大入賞口P751(大入賞口スイッチP752)、普図作動口P741(普図作動口スイッチP742)や、その他の検出スイッチである一般入賞口P731(左側一般入賞口,右側一般入賞口)、アウト口P790などの各種の遊技進行に係る検出スイッチや、設定キースイッチP49、振動検知センサP72、磁石センサP73などの各種遊技の管理や不正監視に用いられるスイッチやセンサと接続される。主制御基板は、これらのスイッチから各種の遊技状態の発生に係る情報の入力を得て、遊技進行に係る制御内容の決定をするとともに、ソレノイド等で構成され、大当りや小当りの際に大入賞口P751を拡開させるために駆動される特別電動役物駆動手段P70や、普通図柄抽選に当選した場合に普通電動役物P770を入球容易状態とするために駆動される普通電動役物駆動手段P71といった遊技用装置に対して、駆動態様に係る情報の出力を行う。
【0031】
主制御基板P40に接続するセンサ等は、主制御基板上の入力ポートと呼ばれる端子に接続して、センサ検出に基づく各種遊技状態の発生の有無を主制御基板P40に情報として通知し、特別電動役物駆動手段P70や、普通電動役物駆動手段P71、その他、発射装置P242に対する発射許可信号などを出力ポートと呼ばれる端子から出力された情報を受け取ってそれぞれの装置、デバイスを制御する。
【0032】
また、主制御基板P40は、第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示を行う特別図柄表示装置P51、P52や大当りや小当りの種類(ラウンド数)を報知するラウンド表示灯P54、遊技状態を報知する状態表示灯P55などの各種表示を行う主制御表示装置P50や、遊技機の性能(例えば通常遊技中におけるベース値、すなわち発射総数に対する賞球数の割合)を表示する性能表示装置P59などと接続する。なお、「ベース値」に関して、始動入賞口P711等の入賞を除外して計上するデータなど、他の計上方法も多種存在するが、本件発明にて必要な場合に別途説明を行い、前提とするぱちんこ遊技機の説明では詳細は割愛する。
【0033】
主制御基板P40は、上記の他に外部情報出力端子P77や試験端子P78等により遊技機外部の装置と電気的に接続可能に構成されており、各々との間で各種制御信号を送受信する。また、主制御基板P40は、遊技機内の他の制御基板である演出制御基板P41、払出制御基板P43とも電気的に接続している。
【0034】
払出制御基板P43は、主制御基板P40から送信される賞球払出や主制御基板の制御状態を示す信号等に基づいて、払出装置P410による賞球の払出を制御するほか、遊技者によるハンドルP204の操作を受けて発射装置ユニットP240による遊技球の発射に係る制御を行う。払出装置P410は、一例として払出モータP411と球計数センサP412有するものであり、払出モータP411の回転により、遊技球を1球ずつ払出可能に構成される。発射装置(発射装置ユニット)P240は、球皿P340(上球皿P341)に滞留している遊技球を1球ずつ球送りユニットP241によって発射可能位置へ移動させた後、打球槌を遊技球にぶつけることで遊技球を発射させるよう構成されている。なお、払出制御基板P43には、主として遊技機の初期化や、遊技中に発生したエラーの解除に用いられるラムクリアスイッチP48が配設されており、払出制御基板P43と主制御基板P40の接続に使用されるハーネスやコネクタを介して、ラムクリアスイッチP48の操作情報が主制御基板に入力されるようになっている。
【0035】
演出制御基板P41は、演出表示装置P80、演出可動役物P560の駆動源や位置検出センサ(例えば、駆動モータや、初期位置検出センサ、演出位置検出センサ)、スピーカP83(上スピーカP370、下スピーカ141)、演出操作ユニットP380(例えば演出操作手段P81である演出ボタンP381、演出レバーP382、十字キーP383など)、演出ランプP82(「装飾ランプ」「盤ランプ(P550)」「枠ランプ(P350)」とも称する)と電気的に接続されており、各々との間で各種制御信号を送受信する。また、演出制御基板P42と、演出表示装置P80の接続は、演出表示装置P80(例えば液晶表示装置などの画像を表示する装置)の表示制御を行う画像制御基板P42(VDP)などを介して接続するものであってもよい。また、本前提とするぱちんこ遊技機では、スピーカP83を演出制御基板P41にて制御するように構成するものであるが、音声制御用のIC等を備えた音声制御基板を別途設けてスピーカP83を制御するように構成してもよい。
【0036】
主制御基板P40と演出制御基板P41の間におけるデータの送受信は主制御基板P40から演出制御基板P41への一方向となるよう一方向でのデータ送受信にて行われる。主制御基板P40から演出制御基板P41へのデータ送信の一方向性が保たれるため、演出制御基板P41に含まれる構成から主制御基板P40に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、演出制御基板P41は、主制御基板P40で生成された情報が送信されない限りその情報を参照することはできない。なお、本前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、主制御基板P40と払出制御基板P43の間は、双方向でデータ送受信がなされる。ただし、主制御基板P40と演出制御基板P41の間と同様、主制御基板P40から払出制御基板P43への一方向でのデータ送受信とする構成にしてもよい。
【0037】
[基本遊技進行]
次に、以上のように構成される前提技術としてのぱちんこ遊技機Pにおける、基本的な遊技進行および遊技方法に関して遊技状態別に説明する。「遊技状態」としては大別して「通常遊技状態」と、通常遊技状態と比して遊技球を獲得することが容易な「特別遊技状態」とがある。「通常遊技状態」は、「特別遊技状態」への移行権利の獲得を目指す状態であり、通常遊技状態の中でも、特別遊技状態への移行権利の獲得に関して遊技者にとって有利度合いが異なる遊技状態が複数設けられており、複数の通常遊技状態の中でも、遊技者にとって比較的特別遊技状態への移行権利が獲得容易な状態(通常遊技状態(低確率/低ベース状態)よりも遊技者にとって有利な状態)に関して「特定遊技状態」と表現する。「特別遊技状態」は、いわゆる「大当り遊技」と「小当り遊技」が該当し、主制御基板P40によって特別電動役物駆動手段P70が駆動され大入賞口P751が開口した状態となり遊技球の獲得が容易となる状態のことを意味している。
【0038】
[通常遊技状態(低確率/低ベース状態)]
まず、通常遊技状態における遊技方法および遊技の進行に関する説明を行う。なお、ここで記載する通常遊技状態は特定遊技状態を除く「通常遊技状態(低確率/低ベース状態)」(
図6参照)に関する説明であり、一般的に遊技者が遊技を開始する状況における遊技状態について説明するものであり、特定遊技状態における遊技方法、遊技の進行、および「低(高)確率」、「低(高)ベース」の用語の意味に関しては後述する。
【0039】
通常遊技状態(低確率/低ベース状態)における、遊技の方法として、まず、遊技者はハンドルP204を操作して遊技盤P5に設けられた遊技領域P501に向けて遊技球を発射する。前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)において、遊技者はハンドルP204の操作量を遊技球が遊技領域の左側領域P501L(左打ち領域)に向かって発射されるように操作して遊技を行う。
【0040】
遊技者によって遊技領域の左側領域P501Lに遊技球が発射されると、発射された遊技球は、遊技領域P501を流下し、図示しない遊技釘P510(「障害釘」、「釘」とも呼ぶ)や、風車P511によって流下方向を変位させながら、「ヘソ」などと呼ばれる遊技盤の遊技領域P501における略中央下位置に配置された第1始動入賞口P711、あるいは左側一般入賞装置の一般入賞口P731Lに入球(入賞)するか、いずれの入賞口にも入球せず、遊技済み遊技球としてアウト口P790へ入球する。第1始動入賞口P711あるいは、一般入賞口P731へ入球すると、主制御基板P40は、払出制御基板P43に対し入賞口毎に定められた賞球数の賞球をさせるための情報(制御コマンド)を出力し、遊技者は賞球払出により新たな遊技球を獲得する。
【0041】
ここで第1始動入賞口P711の内部には特
図1始動口スイッチP712が配置されており、遊技者が遊技領域における左側領域P501Lに遊技球を発射して生じ得る遊技状態(遊技結果)として、第1始動入賞口P711への入球がなされた場合において、主制御基板P40に特
図1始動口スイッチP712の遊技球検出情報が入力される。
【0042】
主制御基板P40は、特
図1始動口スイッチP712の遊技球検出情報の入力を受けると、予め定められた賞球数の遊技球の払い出しを行うほか、第1特別図柄の制御に係る抽選を行うための乱数値を取得する。乱数値の取得は、遊技球の検出に基づいて、電気回路上で乱数生成回路の生成する乱数値を取得するもの(ハードラッチ)や、主制御基板P40の制御装置がソフト上の処理にて遊技球の検出情報を確認した際に乱数値を先の乱数生成回路から取得する処理を実行したり、ソフト的に更新されている乱数値を取得したりするもの(ソフトラッチ)などの手法があり、取得する乱数値に応じて使い分けてもよいし、組み合わせて使用することも可能である。なお、一般入賞口に入球した場合には、特別図柄に係る乱数は取得されず、賞球の払い出しのみが行われる。
【0043】
第1特別図柄の制御に係る抽選は、「特別図柄抽選」であり、「特別図柄抽選」には、「当否抽選」、「当り図柄抽選」、「変動パターン抽選」が含まれる。「当否抽選」は、取得した乱数値を用いた抽選結果が「大当り」であるか「はずれ」であるかを決定する処理である(遊技機の仕様によっては抽選結果に「小当り」を含む)。「当り図柄抽選」(単に「図柄抽選」と呼ぶ場合もある)は、主制御表示装置P50における特別図柄表示装置P51(P52)において当否抽選結果を示す停止表示図柄の表示パターンを決定する処理であり、1の抽選結果(大当り、小当り)に対し、複数の停止表示図柄から1の図柄を決定可能であり、ここで決定された停止表示図柄に応じて、「大当り」、「小当り」における特別遊技の実行態様を異ならしめることを可能としている。「変動パターン抽選」は、特別図柄表示装置P51(P52)において当否抽選の結果を示す停止表示図柄をどのタイミングで表示させるかを決定する処理であり、特別図柄表示装置P51(P52)において特別図柄抽選が実行されたことを示す変動表示がなされる時間(「変動表示時間」、「変動パターン」と呼ぶ)を決定するものである。「当否抽選」、「当り図柄抽選」、「変動パターン抽選」に使用される乱数値は異なるものを使用するのが一般的であり、それぞれ「当否抽選乱数」、「図柄乱数」、「変動パターン乱数」と呼ばれる。なお、特
図2始動口スイッチP722の遊技球を検出することに基づいて行われる第2特別図柄の制御に係る抽選もまた、同様の「特別図柄抽選」である。また、「特別図柄抽選」に関する説明は後述する。
【0044】
通常遊技状態(低確率/低ベース状態)における遊技方法の説明に戻って説明すると、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)においては、遊技者は遊技領域の左側領域P501Lに遊技球を発射し、第1始動入賞口P711へ遊技球を入球させ、第1特別図柄に係る抽選(特別図柄抽選)を実行させ、特別図柄表示装置において「大当り」(「小当り」)を示す特別図柄の停止表示図柄が表示されることにより、特別遊技の実行権利の獲得を目指す遊技が行われる。
【0045】
なお、遊技者が特別図柄抽選を受ける過程において、変動パターン抽選により決定された時間に応じて特別図柄の変動表示がなされる点について上述しているが、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、この特別図柄の変動表示期間において、新たに始動入賞口(第1始動入賞口P711、第2始動入賞口P721)に入球があった場合には、予め定められた回数の特別図柄抽選の実行権利に対応する乱数値(当否乱数、図柄乱数、変動パターン乱数)を一時的に記憶する保留機能(保留制御手段)を備えている。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、第1始動入賞口P711の入賞に基づく特別図柄抽選に対応する保留機能として、最大4回の特別図柄抽選を保留することを可能としている。なお、保留機能は特別図柄毎に設定可能であり、本前提技術のぱちんこ遊技機Pでは、第1特別図柄の保留とは別に、第2特別図柄に対する特別図柄抽選の保留機能も、最大4回の特別図柄抽選に使用する乱数値を保留しておくことを可能としている。
【0046】
このように、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)においては、遊技者は、遊技領域の左側領域P501Lに遊技球を発射して、第1特別図柄に係る特別図柄抽選を実行させる。そして、特別図柄抽選において、「大当り」や「小当り」などの特別遊技状態となる抽選結果に当選し、特別遊技状態への移行の権利を獲得したことが特別図柄表示装置に表示されると、ぱちんこ遊技機Pの遊技状態は特別遊技状態へ移行する。
【0047】
[特別遊技状態]
続いて、特別遊技状態における遊技方法および遊技の進行に関する説明を行う。特別遊技状態には「大当り(遊技)」と、「小当り(遊技)」とが存在するが、ともに特別電動役物P755が作動して、すなわち主制御基板P40から特別電動役物駆動手段P70に対して駆動信号が出力されて大入賞口P751が入球容易状態となる状態であり、その相違点として、「大当り」が複数回の特別電動役物P755を連続して作動させる役物連続作動装置の作動に基づくものであるのに対し、「小当り」が1回の特別電動役物の作動により終了する点が大きな相違点である。その他の相違点としては、役物連続作動装置の作動に基づく特別電動役物の作動(大当り)では、特別電動役物P755の作動に関し、より遊技者に有利な作動態様とすることを可能とする点にあり、具体的には、役物連続作動装置の作動状態(大当り)における大入賞口P751の総開放時間は、30秒まで許容される一方、小当りにおける大入賞口P751の総開放時間は1.8秒までに制限される点がある。以下の特別遊技状態における遊技方法および遊技の進行に関する説明では、大当りを例に説明を行う。
【0048】
前提技術のぱちんこ遊技機Pにおける特別遊技の遊技進行は、時系列に沿って、「特別遊技開始デモ」(大当りの場合は「大当り開始デモ」、「役連作動開始デモ」などと称し、小当りの場合は「小当り開始デモ」)と呼ばれる遊技者に各種特別遊技を獲得した旨を報知するための演出期間と、「ラウンド(遊技)」(「単位遊技」とも称する)と呼ばれる1回の特別電動役物P755の作動期間と、「特別遊技終了デモ」(大当りの場合は「大当り終了デモ」、「役連作動終了デモ」などと称し、小当りの場合は「小当り終了デモ」)と呼ばれる主に特別遊技中における遊技結果(獲得遊技球数など)および移行先の通常遊技状態(特定遊技状態を含む)の種類に係る報知を行うための期間とによって構成される。
【0049】
次に上述した各特別遊技の期間における遊技の方法について説明を行う。まず、「特別遊技開始デモ」期間において、前提技術のぱちんこ遊技機Pでは、大入賞口P751が遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に配置されており、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)と同様の左側領域P501Lに遊技球を発射しても大入賞口P751の入球がほとんど期待できないため、特別遊技において大入賞口P751が入球容易状態となるラウンド遊技が開始する前に、遊技者に対して遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に遊技球を発射することを促す右打ち報知演出を演出表示装置P80やスピーカ(下スピーカP141、上スピーカP370)、演出ランプP82を用いて実行する。遊技者は、右打ち報知演出に従って、ハンドルP204の操作量を増やし遊技球の発射強度を高めるよう調整し、遊技球を遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に流下するよう発射位置を変更する(右打ちを実行する)。
【0050】
「ラウンド(遊技)」期間になると、前提技術のぱちんこ遊技機Pでは、主制御基板P40から特別電動役物駆動手段P70に対して出力される駆動信号により大入賞口P751が入球容易状態または入球困難状態となり、特別遊技の実行期間に合わせて大当り(小当り)を獲得したことを祝福するような演出や、特別遊技が終了した後に移行する通常遊技状態が遊技者にとってより有利な特定遊技状態となるかを示唆する演出などの演出を実行する。遊技者は、大入賞口P751に遊技球を入球させて多数の遊技球を得るべく、遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に遊技球を発射する。
【0051】
1回の「ラウンド(遊技)」期間は、大当り(小当り)の種類に基づいて定められた大入賞口の開放パターン(特別電動役物の作動態様)が完遂する(開放時間が経過する)か、予め定められた「規定個数」(「カウント」「C」などと表現する場合を有する)の遊技球が入球することによって終了する。そして、実行中の特別遊技状態の種類(大当り、小当りの種類)に応じて、実行すべきラウンド遊技が全て終了したとき「特別遊技終了デモ」の状態へ移行する。
【0052】
続いて「特別遊技終了デモ」期間となると、前提技術のぱちんこ遊技機Pでは、今回の特別遊技状態の期間において獲得した遊技球数や、後述する特定遊技期間と連続して行われた複数回の特別遊技状態において獲得した(通常遊技状態(低確率/低ベース状態)に移行せずに獲得した)累計の獲得遊技球数を報知する演出を行ったり、特別遊技状態の後に移行する通常遊技状態の種類の報知および移行先の遊技状態における遊技方法に係る報知(前述した右打ち報知演出など)の演出が実行される。遊技者は、実行されている演出より、移行先の通常遊技状態の種類に応じた遊技に備えて、ハンドルの操作を行う。
【0053】
前提とする多くのぱちんこ遊技機Pにおいては、一部の例外を除いて、特別遊技状態としての大当り遊技が実行されると、通常遊技状態として「特定遊技状態」と呼ばれる遊技者にとって特別遊技状態への移行権利が獲得しやすい状態へ移行し、特定遊技状態と特別遊技状態とを連続して繰り返す、いわゆる「連荘」を楽しむ遊技性となっている。
【0054】
[特定遊技状態]
続いて、「特定遊技状態」に関する説明を行う。
図6に示すように特定遊技状態には、大きく分けて3つの特定遊技状態が存在する。そして、それらの種類を分ける要素として「確率状態」と「ベース状態」とがあり、それらの組み合わせによって特定遊技状態を構成する。
【0055】
(確率状態)
「確率状態」は、特別図柄抽選における当否抽選において、抽選結果が「大当り」となる確率を変動させる機能である「確率変動機能」(「確変」とも言う)の作動状態に基づき、確率変動機能が作動し、作動していない場合よりも高い確率で特別図柄抽選における当否抽選が「大当り」となる場合について「高確率(状態)」(「確変状態」、「確率変動状態」と表現する場合もある)と表現し、確率変動機能が作動していない状態について「低確率(状態)」と表現する。「高確率(状態)」は、1回の特別図柄抽選に対し大当りとなる確率が高いという点で、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)より有利な遊技状態となっている。
【0056】
(ベース状態)
「ベース状態」は、「ベース」すなわち「所定個数の遊技球を発射した場合に賞球として得られる遊技球の割合(の期待値)」に関する状態であり、一般的には、普通電動役物P770の作動が通常遊技状態(低確率/低ベース状態)よりも容易(有利)となっている状態を「高ベース(状態)」(「電チューサポート(電サポ)状態」とも言う)と呼ぶ。なお、遊技機仕様によっては、「電チューサポート機能」が作動した状態でなくとも、推奨される遊技球の発射位置が切り替わることにより、「所定個数の遊技球を発射した場合に賞球として得られる遊技球の割合」が高まるのであれば「高ベース状態」と表現する場合も有する。「高ベース(状態)」は、特別遊技状態を獲得するまでの期間において、遊技球が賞球として払い出される数が多くなる(払い出されやすくなる)ことにより、遊技球の消費を抑えながら特別遊技状態の獲得を狙うことができる点で遊技者にとって有利となる遊技状態である。
【0057】
「電チューサポート機能」は、普通電動役物P770の作動が通常遊技状態(低確率/低ベース状態)よりも容易となっている状態であるが、主として3つの機能の組み合わせ(少なくとも1を備える)によって構成される。「電チューサポート機能」を構成する3つの機能とは、「普通図柄確変」、「普通図柄時短」、「(普通電動役物の)開放延長」の3つである。「普通図柄確変」は、「普通図柄抽選」において普通電動役物を作動させる結果となる確率が高い状態を指す。「普通図柄時短」は、主制御表示装置P50における普通図柄表示手段P53において、普通図柄抽選を実行してから普通図柄抽選の結果を表示するまでの時間が短縮される状態のことを指す。「普通電動役物の開放延長」は、普通図柄抽選で当選した当りの種類に対して、普通電動役物P770に係る入賞口に対し遊技球が入球しやすい態様にて普通電動役物を作動させるように変更することを指しており、一例として、普通電動役物を入球容易状態とする総時間を延長して長くすることが該当する。
【0058】
「普通図柄抽選」は、上述した特別図柄抽選が特別電動役物P755の作動に関する抽選であるのに対し、普通図柄抽選は対象が普通電動役物P770の作動に関する抽選である点、および抽選の実行契機が普図作動ゲート装置P740に対する遊技球の入球である点で相違するが、当否、図柄、変動パターンを抽選により決定する点や保留機能を有する点でほぼ同じである。普通図柄抽選に関する当否、図柄、変動パターンの抽選について特に表現する場合には「普図当否抽選」、「普図図柄抽選」、「普図変動パターン抽選」というように「普図」(または「普通図柄」)を先頭につけて表現する。
【0059】
「特定遊技状態」の種類を区別する要素として、「確率状態」、「ベース状態」とを説明したが、特定遊技状態を構成する要素として、他に「時短状態」(「変動時間短縮状態」、「変動時間短縮機能」が作動した状態、ともいう)がある。一般的に「時短状態」は特別図柄の1回当りの変動表示時間(変動パターン)が短縮されて、単位時間あたりの特別図柄抽選の実行回数が増加する状態のことを指し、遊技者にとってより単位時間あたりに多くの特別図柄抽選を受けられる点で有利な状態である。「時短状態」(変動時間短縮状態)は、上述した「高確率状態」や「電チューサポート状態」と同時に制御されていることが多く、それのみで特定遊技状態を構成することは少ない。
【0060】
[特定遊技状態1:低確率/高ベース状態]
「特定遊技状態」に係る説明に戻り、最初に
図6に示す特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)における遊技の進行及び遊技方法に関する説明を行う。
【0061】
特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)への移行は、
図6の(1)、(8)、(12)に示す遊技状態遷移により移行する。
図6の(1)、(8)、(12)の遊技状態遷移条件としては、(ア)それぞれの状態で大当り遊技を獲得すること、(イ)所定遊技回数が経過すること(※(8)のみ)などがある。図示はしていないが、特定遊技状態1から大当り遊技を経由して再び特定遊技状態1へ移行する場合も有する。一方で特別遊技状態が終了する条件を満たした場合、
図6の(2)、(7)、(11)のように遷移する。これら(2)、(7)、(11)の遊技状態遷移条件としては、(ウ)特定遊技状態1でそれぞれの遊技状態に移行することとなる種類の大当り遊技を獲得すること、(エ)所定遊技回数が経過すること(※(2)のみ)が挙げられる。なお、「遊技回数」とは、一例として「特別図柄抽選の実行回数」のことを指す。
【0062】
特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)へ移行すると、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、前述した「電チューサポート機能」、「変動時間短縮機能」の双方が作動した状態となる。前提とするぱちんこ遊技機Pの遊技盤P5における各入賞装置の配置構成では、遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に普図作動ゲート装置P740、および普通電動役物に係る第2始動入賞口P721が配置されており、遊技者は遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に遊技球を発射する「右打ち」を行うことで容易に普通図柄抽選および特別図柄抽選を受けられる。また、前提とするぱちんこ遊技機Pは、特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)において、前述した「時短状態」にも制御されようになっている。
【0063】
より詳細に遊技の進行に関して説明すると、特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)となった場合、遊技者は遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に遊技球を発射し、普図作動ゲート装置P740への入球(通過)させることを第1の手順として行い、普図作動ゲート装置P740への入球(通過)により、主制御基板P40において普通図柄抽選を受ける。特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)における普通図柄抽選は、普図確変機能の作動により高確率(約1/1)で当りとなるため、普図作動ゲート装置P740へ遊技球が1球入球(通過)すると、1回の普通電動役物P770の作動が発生する。普通電動役物P770が作動すると、前提とするぱちんこ遊技機Pでは第2特別図柄に係る特別図柄抽選の契機となる第2始動入賞口P721が入球容易状態となり、遊技者は続く第2の手順として第2始動入賞口P721へ向けて遊技球を発射する。第2始動入賞口P721へ遊技球が入球した場合、検出情報が主制御基板P40に入力され、第2特別図柄に係る特別図柄抽選が実行され、特別遊技(大当り、小当り)の実行権利の獲得に係る抽選が実行される。
【0064】
特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)は、当該状態に移行することとなった遊技状態遷移条件(例えば、大当りの実行であれば実行された大当りの種類、等)によって予め定められた遊技回数(特別図柄抽選を受けた回数)が経過するか、新たに大当り遊技を獲得することによって終了する(なお、大当り遊技後に再び本状態に移行する場合を有する)。小当り遊技の獲得の場合は、特定遊技状態が終了しないものとすることが多いが、遊技機の仕様によっては、小当り遊技の獲得(又は複数回の小当り遊技の獲得、特定の種類の小当り遊技の獲得)によって終了するように設計される場合もある。特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)が遊技回数によって終了する場合は、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)へ移行する。
【0065】
[特定遊技状態2:高確率/高ベース状態]
次に
図6に示す特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)における遊技の進行及び遊技方法に関する説明を行う。
【0066】
特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)への移行は、
図6の(3)、(7)、(9)に示す遊技状態遷移により移行する。
図6の(3)、(7)、(9)の遊技状態遷移条件としては、(ア)それぞれの状態で大当り遊技を獲得することである。図示はしていないが、特定遊技状態2から大当り遊技を経由して再び特定遊技状態2へ移行する場合も有する。一方で特別遊技状態が終了する条件を満たした場合、
図6の(4)、(8)、(10)のように遷移する。これら(4)、(8)、(10)の遊技状態遷移条件としては、(イ)特定遊技状態2でそれぞれの遊技状態に移行することとなる種類の大当り遊技を獲得すること、(ウ)所定遊技回数が経過することが挙げられる。
【0067】
特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)へ移行すると、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)に対し、さらに「確率変動機能」が作動した「高確率(状態)」である点で相違する。特定遊技状態2における遊技の進行および遊技の方法としては、特定遊技状態1と同様であり、遊技者にとっては特別図柄抽選において大当りの当選確率が高い分より早期に大当りを獲得し得る点で相違する。
【0068】
特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)は、当該状態に移行することとなった遊技状態遷移条件(例えば、大当りの実行であれば実行された大当りの種類、等)によって予め定められた遊技回数(特別図柄抽選を受けた回数)が経過するか、新たに大当り遊技を獲得することによって終了する(なお、大当り遊技後に再び本状態に移行する場合を有する)。特定遊技状態2は小当り遊技の獲得の場合は終了しないものとするのが一般的である。特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)が遊技回数によって終了する場合は、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)や、特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)、特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)へ移行する。
【0069】
[特定遊技状態3:高確率/低ベース状態]
続いて
図6に示す特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)における遊技の進行及び遊技方法に関する説明を行う。
【0070】
特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)への移行は、
図6の(5)、(10)、(11)に示す遊技状態遷移により移行する。
図6の(5)、(10)、(11)の遊技状態遷移条件としては、(ア)それぞれの状態で大当り遊技を獲得すること、(イ)所定遊技回数が経過すること(※(10)のみ)などがある。図示はしていないが、特定遊技状態3から大当り遊技を経由して再び特定遊技状態3へ移行する場合も有する。一方で特別遊技状態が終了する条件を満たした場合、
図6の(6)、(9)、(12)のように遷移する。これら(6)、(9)、(12)の遊技状態遷移条件としては、(ウ)特定遊技状態3でそれぞれの遊技状態に移行することとなる種類の大当り遊技を獲得すること、(エ)所定遊技回数が経過すること(※(6)のみ)が挙げられる。
【0071】
特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)へ移行すると、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、「確率変動機能」が作動した「高確率(状態)」となり、特定遊技状態1および特定遊技状態2とは異なり「電チューサポート機能」、「変動時間短縮機能」は作動していない状態となる。前提とするぱちんこ遊技機Pの遊技盤P5における各入賞装置の配置構成では、遊技領域の右側領域P501(右打ち領域)に普図作動ゲート装置P740、および普通電動役物に係る第2始動入賞口P721が配置されているが、特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)において遊技者が遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に遊技球を発射する「右打ち」を行ったとしても普通図柄抽選にて当りに当選する確率は低く、右打ちを行う優位性が存在しない。
【0072】
そのため、遊技者は遊技領域の左側領域P501L(左打ち領域)に遊技球を発射する「左打ち」にて遊技を進めることとなり、高確率状態であるため特別図柄抽選にて大当りとなる確率が高いため早期に大当り遊技が獲得できること以外は、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)と同様の遊技方法、遊技進行となる。
【0073】
特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)は、当該状態に移行することとなった遊技状態遷移条件(例えば、大当りの実行であれば実行された大当りの種類、等)によって予め定められた遊技回数(特別図柄抽選を受けた回数)が経過するか、新たに大当り遊技を獲得することによって終了する(なお、大当り遊技後に再び本状態に移行する場合を有する)。特定遊技状態3は小当り遊技の獲得の場合は終了しないものとするのが一般的である。特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)が遊技回数によって終了する場合は、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)へ移行する。
【0074】
なお、特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)は、前提とするぱちんこ遊技機Pとして記載した
図6の盤面配置構成とは異なり、右側領域P501R(右打ち領域)に普通電動役物P770を有しないタイプの第3始動入賞口を配置し、「時短状態」を作動させることにより、短時間に多くの特別図柄抽選が受けられるように構成するなど、遊技盤上の入賞装置の配置構成及び時短状態の制御によっては「右打ち」が推奨される遊技状態となる場合も有する。
【0075】
以上で説明したように、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、複数の遊技状態によって遊技進行が行われるものであるが、前述した全ての遊技状態を必ずしも備える必要はない。そこで、複数の遊技状態の組み合わせ等によって構成される遊技機仕様のうち、前提とするぱちんこ遊技機Pで採用可能な遊技機仕様(「スペック」と称することがある)を以下に例示する。
【0076】
代表的な遊技機仕様(「スペック」)に関し、特別図柄抽選の確率変動機能の作動に係る遊技機仕様の種類の一例としては、「(次回まで)確変」、「ST(回数切り確変)」、「V確変(「球確」、「アタックラウンドシステム」ともいう)」、「潜伏確変」を採用可能である。この確率変動機能の差による遊技機仕様の違いを、「本遊技機は『○○機(例:ST機)』である」などと表現することがある。また、確率変動機能を有しない遊技機において、小当り遊技中に大入賞口P751内部の特定領域P760を通過することにより、その後役物連続作動装置が作動する(すなわち大当り遊技に移行する)こととなる「小当りV」と呼ばれる遊技機仕様なども存在する。
【0077】
[(次回まで)確変]
まず始めに「(次回まで)確変」について説明する。「次回まで確変」は、一般的には、ぱちんこ遊技機Pに備わった複数の特定遊技状態の中で、前述した特定遊技状態の内の最も有利とする遊技状態として、「特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)が次回の大当り遊技の権利を獲得するまでの間継続することとなるぱちんこ遊技機」についての遊技機仕様を示す。換言すると、「次回まで確変」の遊技機は、次回の大当り遊技の権利を獲得するまでは特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)が継続し、図柄変動回数などによっては終了しないよう構成されている。
【0078】
なお、大当りの種類によっては、特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)や特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)に制御される場合を有していてもよい。また、「特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)が次回の大当り遊技の権利を獲得するまでの間継続するぱちんこ遊技機」においても、確率変動機能が次回大当りまで継続するという意味で「次回まで確変」と呼称する場合もあるが、ベース状態が「低ベース状態」であり、電チューサポート機能に関して通常遊技状態(低確率/低ベース状態)と同様の遊技が求められる場合があるため、このように電チューサポート機能が作動していない次回まで確変であることから「潜伏確変」と切り分けて表現する。
【0079】
[ST(回数切り確変)]
続いて「ST(回数切り確変)」について説明する。「ST」は、「Special Time」の略語であり、一般的には、「特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)が予め定められた回数の特別図柄抽選を行う(予め定められた回数の図柄変動が実行される)か、大当り遊技の権利を獲得するまでの間継続することとなるぱちんこ遊技機」についての遊技機仕様を示す。
【0080】
なお、大当りの種類によっては、特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)や特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)に制御される場合を有していてもよい。また、前述した「次回まで確変」と同様に、遊技状態が特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)に予め定められた回数の特別図柄抽選を行うか、大当り遊技の権利を獲得するまで制御されることとなる場合について、「潜伏確変(潜伏ST)」と称する状態を有するように構成することも可能である。
【0081】
また、「ST(回数切り確変)」であっても、遊技状態がSTに制御される期間を、特別図柄抽選の抽選が「10000回行われるまで」とする場合など、高確率状態で実質的に次回までの大当りが保証されているといえる遊技機仕様であれば「次回まで確変」と表現する場合もある。
【0082】
ここまで述べたように、「次回まで確変」と「ST(回数切り確変)」は、特別図柄抽選の確率変動機能の終期が異なる点で、遊技機仕様としての「確変状態」を区別するものである。一方で以下に説明する「V確変(「球確」「アタックラウンドシステム」)」のように、特定遊技状態における特別図柄抽選の確率変動機能の作動の有無、すなわち確率変動機能の実行開始に関し、特殊な条件を必要することで遊技機仕様(「スペック」)を表現する場合もある。
【0083】
[V確変]
続いて、「V確変」と呼ばれる遊技機仕様に関して説明する。「V確変」は、遊技状態が特定遊技状態へ移行する前の大当り遊技中において、大入賞口P751内に設けられた「特定領域P750」(「Vゾーン」、「V領域」などと称することがある)に対し、予め定められた条件下(特定の大当りラウンドの実行中など)で遊技球の通過(「V入賞」)が検出された場合に、大当り遊技後に確率変動機能の作動を伴う特定遊技状態(特定遊技状態1や特定遊技状態3)へ移行させる制御を行うぱちんこ遊技機の遊技機仕様を示す。「V確変」に使用する「特定領域」に関し、特に「確率変動機能作動領域」と称する場合もある。
【0084】
前述したように「V確変」は、確率変動機能の作動有無が大当り遊技中の遊技結果に依存する(遊技球が特定領域P760を通過するか否かに依存する)ことを示す遊技機仕様であり、作動した確率変動機能が、先に説明した「次回まで確変」と同等制御にて終了するか、「ST」と同等の制御にて終了するかの際によって「V確変(V-ループ)」や「V-ST」と異なる遊技機仕様を示す表現が用いられる。
【0085】
なお、遊技機仕様として「V確変」を採用するぱちんこ遊技機Pにおいては、大当り遊技中においてV入賞しなかった場合においては、大当り遊技後に確率変動機能が作動せず、通常遊技状態や特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)に制御される。また、このようにV入賞した場合としなかった場合とで大当り遊技後に確率変動機能の作動する遊技状態となるか否かを切り替えるとともに、同時に電チューサポート機能の作動態様についても変更可能である。一例として「V確変(V-ループ)」機では、V入賞した場合、確率変動機能および電チューサポート機能が次回大当りを獲得するまで継続し、V入賞しなかった場合、確率変動機能は作動せず、電チューサポート機能も特別図柄抽選が100回行われるまでに制限されるようにすることが挙げられる。
【0086】
[小当りV]
次に、確率変動機能を持たずに大当り獲得に関して遊技者に有利な遊技状態を提供しうる遊技機仕様として「小当りV」と呼ばれる遊技機仕様(スペック)に関して説明する。
【0087】
「小当りV」は、特別図柄抽選の結果が小当りとなった際に実行される小当り遊技中(特別電動役物の作動中)に、大入賞口P751内部に設けられた「特定領域P760」(「Vゾーン」、「V領域」などと称することがある)を通過した場合に、小当り遊技に続いて役物連続作動装置を作動させる、すなわち大当り遊技を開始する遊技機仕様である。言い換えると、小当り中に特定領域P760を通過させることによって、特別図柄抽選の結果として大当りとなる結果を獲得することなく大当り遊技を獲得することができる遊技機仕様である。
【0088】
「小当りV」は特別図柄抽選の結果として役物連続作動装置や特別電動役物を作動させる「1種(ぱちんこ)」の遊技性に、役物連続作動装置非作動中の特別電動役物作動中(大入賞口P751の開放中)において特定領域P760を通過した場合に役物連続作動装置を作動させる仕様であり、「1種小当りV」と表す場合もある一方、従来のぱちんこ遊技機におけるいわゆる「2種ぱちんこ」の遊技機仕様に近い遊技性を有していることから「1種2種混合機」などと表現される場合を有する。
【0089】
一般的に「小当りV」を遊技機仕様として採用するぱちんこ遊技機においては、確変機能(確率変動機能)を有さず、電チューサポート機能の有無によって有利度合いを変更させる。すなわち、電チューサポート機能が作動した場合に入賞しやすくなる普通電動役物P770に係る入賞口を小当りに当選しやすい特別図柄(例えば1/2で小当りに当選する)の変動契機となる始動入賞口で構成することで、電チューサポート機能が作動している状況下では小当りに当選しやすく、小当り遊技中のV入賞で大当りを狙うことを可能とする。このようにすることで、確変機能のように大当りとなる乱数値範囲を増やすのではなく、小当りにより大当りの獲得可能性を増やす遊技性となっている。
【0090】
[その他の遊技機仕様(スペック)]
以上に記載した、遊技機仕様は代表的なものであり、その他にも特徴的な遊技機仕様がいくつか知られているため、それらに関して以下に簡易的に説明を行う。
【0091】
(リミッタ)
「リミッタ」は、確率変動機能や電チューサポート機能が作動する特定遊技状態が、大当り遊技の実行を挟んで繰り返し行われる状態(いわゆる「連荘」状態)が発生した場合であって、予め定められた繰り返し回数(連荘回数)に到達した場合に、本来確率変動機能や電チューサポート機能が作動するはずの大当り遊技が実行された場合であっても、確率変動機能あるいは電チューサポート機能の作動を制限する機能である。リミッタ機能として「確率変動機能」を連続回数に基づいて制限する機能を「確変リミッタ」と呼び、「電チューサポート機能」を連続回数に基づいて制限する機能を「時短リミッタ(電サポリミッタ)」と呼ぶ。そして、リミッタ機能を備える遊技機を「リミッタ機」と呼称する。
【0092】
(転落)
「転落」は、特別図柄抽選の確率変動機能が作動している期間において、特別図柄抽選が行われる度に、確率変動機能を終了させるか否かを決定する「転落抽選」を実行する遊技機仕様を示す。確率変動機能とともに電チューサポート機能が作動している状況において、転落抽選に当選した場合は、確率変動機能の終了に合わせて電チューサポート機能の作動が終了する場合や、確率変動機能のみが終了し電チューサポート機能の作動は継続する場合とがある。
【0093】
なお、上述した遊技機仕様は複数組み合わせることが可能であり、例えば、「ST」と「転落」を組み合わせた場合には、特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)である場合に、(1)転落抽選に当選した、(2)予め定められた回数の特別図柄抽選を行った、(3)大当り遊技の権利を獲得した、のいずれかを充足した場合に、特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)が終了する(他の遊技状態に移行する)こととなる。
【0094】
次に、前提とするぱちんこ遊技機Pにおける遊技の進行を司る主制御基板P40の制御に関する説明を行う。なお、本例にて説明する前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、前述した遊技機仕様(スペック)として、「ST(回数切り確変)」を採用しているぱちんこ遊技機を前提として説明を行う。なお、実施形態の説明において、図中の処理ステップを示す「P-s〇〇」の表記は、本文中において「ステップ〇〇」と表記して説明を行う。
【0095】
[主制御基板の電源投入処理(主制御基板メインループ処理)]
前提とするぱちんこ遊技機Pの主制御基板P40は、ぱちんこ遊技機Pの電源が投入されることにより、最初に電源投入処理(ステップ1000)を実行する。ここで、電源投入処理について
図7に沿ってその詳細を説明する。
【0096】
前提とするぱちんこ遊技機Pの主制御基板P40において電源投入処理が開始されると、主制御基板P40上に設けられた演算装置であるCPUの動作に係る初期設定が行われる(ステップ1002)。初期設定は、この後のCPUの動作に必要な設定を適宜行うものであり、その詳細は割愛する。
【0097】
CPU初期設定が終了すると、続いて入力ポートの確認処理(ステップ1004)と電源断情報確認/チェックサム処理(ステップ1006)を実行し、これらの処理内容を受けて遊技停止状態設定処理(ステップ1008)に関する処理を行う。
【0098】
より詳細に説明すると、入力ポート確認処理(ステップ1004)は、ぱちんこ遊技機Pの特別図柄抽選の有利度合い(特に役物連続作動装置の作動確率、すなわち大当り確率)を変更するための「設定値」を変更可能な「設定変更処理」を行う状態であるか否かのフラグ、「設定値」を確認するための「設定確認処理」を行う状態であるか否かのフラグについて、当該処理の後に行われる遊技停止状態設定処理で成立させるか否か(オンにするか否か)を決定するための情報を生成する処理である。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、枠開放スイッチP131(前枠が外枠に対して開放していることを検出するスイッチ)の検出状況、ラムクリアスイッチP48が遊技者に操作されているかの検出状況、設定キースイッチP49が回転操作されているかの検出状況を示すデータを含むデータを1バイトデータとして生成する。
【0099】
続く電源断情報確認/チェックサム処理(ステップ1006)では、前回電源を切ったとき、ぱちんこ遊技機Pが正常に電源断を行い、電源断が発生したときの遊技状態に係る制御データを正常に主制御基板P40のCPUの記憶領域に正常に退避、記憶しているかを確認する処理であり、正常なデータでない場合には、エラーとして後述する遊技停止状態設定処理(ステップ1008)にて遊技を停止するようにするフラグを立てる(オンにする)処理である。
【0100】
「遊技停止状態設定処理」(ステップ1008)は、電源投入処理における処理が終了し、遊技を開始すべくメインループ処理に移行した後、実際に遊技者が遊技できる状況としないためのフラグを設定する処理であり、入力ポートの確認処理(ステップ1004)と電源断情報確認/チェックサム処理(ステップ1006)の処理結果に基づいて、「設定変更状態」、「設定確認状態」、「復帰不可能エラー状態」のいずれかの遊技進行不許可状態へ移行させるフラグを立てる処理である。「遊技停止状態設定処理」の詳細は
図8に記載しており、
図8の記載に基づいて説明を行う。
【0101】
遊技停止状態設定処理では、まず枠開放中であるかを、入力ポートの確認処理(ステップ1004)で生成した1バイトデータを基に判断する(ステップ1100)。電源投入時にぱちんこ遊技機Pの前枠P2が外枠P1に対して開放した状態であれば(ステップ1100でYESとなる状況)、1バイトデータの特定のビットが「1」となっている状況であるため、続くステップ1102の処理を省略する。一方で、ぱちんこ遊技機の電源投入時に枠開放中でない場合は、設定変更処理を実行するための必須操作の一部が充足していないとし、入力ポートの確認処理(ステップ1004)で生成した1バイトデータから設定キースイッチの操作情報をオフデータにとなるように演算する。なお、不図示であるが、ステップ1102でYESとなる場合、NOとなる場合のいずれにおいても、1バイトデータ中から枠開放中のビットもオフデータとなるように演算される。
【0102】
続くステップ1104では、入力ポートの確認処理(ステップ1004)で生成した1バイトデータが「設定変更操作あり」と判断可能な情報となっているか否かを判断する。前提とするぱちんこ遊技機Pでは「設定変更操作あり」と判断される状況は、(1)枠開放スイッチP131がオン(電源投入時に枠開放中)であり、(2)設定キースイッチP49がオンであり(回転操作されている)、(3)ラムクリアスイッチP48がオンである、の3つの状態を必要としている。前述したように1バイトデータの内、枠開放スイッチP131の情報はオフに設定されており、(2)(3)の双方を満たすか否かを本ステップにて判断している。例えば特定の2つのビットデータが「1」である場合に設定変更操作ありと判断する(なお、2つのスイッチがオンであることを示すアクティブデータが必ずしも「1」である必要はなく、いずれか1つのデータが「0」であってもよい)。そして、設定変更操作があったと判断した場合、すなわちステップ1104でYESと判断した場合には、遊技停止状態フラグとして「設定変更中」を示すデータを記憶し、遊技停止状態設定処理を終了する(ステップ1106、ステップ1118)。一方、ステップ1104でNOと判断した場合には続くステップ1108の処理へ移行する。なお、主制御基板P40のラム(RAM=Random Access Memory)に記憶されている設定値情報が異常データである場合(復帰不可能エラー状態からの復帰操作である場合)には、初期設定値として設定値「1」に対応するデータを、設定値を記憶する領域にセットする(ステップ1118)。
【0103】
次にステップ1108において、遊技停止エラーの発生の判断を行う。遊技停止エラーは、例えばチェックサム異常(ラム異常)や、設定値異常など、遊技の進行を行うことができない状況に陥ったときに、ラムクリアおよび設定値の設定(変更)処理を要する場合のエラーのことを指す。ステップ1108の判断は、電源断情報確認/チェックサム処理(ステップ1006)の処理結果や、前回の電源断処理時に記憶しているエラー情報を基に遊技停止状態として設定すべきか否かを判断する。エラー状態とすべきと判断した場合(ステップ1108でYESと判断した場合)には、遊技停止状態フラグを「復帰不可能エラー状態」として遊技停止状態設定処理を終了し(ステップ1110、ステップ1118)、エラーが発生していないと判断した場合には続くステップ1112の処理へ移行する。
【0104】
続くステップ1112においては、ラムクリアスイッチP48の操作の有無を判断する。遊技停止状態設定処理において、当該ステップまで進行する場合の状態として、
(ア)設定確認状態へ移行する操作が行われているとき、換言すると、「設定変更操作あり」の判断の内、(1)枠開放スイッチP131がオン(電源投入時に枠開放中)である、(2)設定キースイッチP49がオンである、を充足し、(3)ラムクリアスイッチP48がオンである、を充足していないとき、
(イ)データクリアのためのラムクリア操作が行われたとき、換言すると、(2)設定キースイッチP49がオンである、を充足しておらず、(3)ラムクリアスイッチP48がオンである、を充足しているとき、
(ウ)「設定変更操作」、「設定確認操作」、「ラムクリア操作」などの操作が何ら行われず電源を投入したとき、
のいずれかの状況である。そして、これらの状態において入力ポートの確認処理(ステップ1004)で生成した1バイトデータは、(ア)設定キースイッチP49のオンオフを示すビットデータが「1(オンデータ)」、(イ)ラムクリアスイッチP48の操作検出状態のオンオフを示すビットデータが「1(オンデータ)」、(ウ)1バイトデータが全てオフデータ(例えば全ビット「0」)のいずれかの状況である。
【0105】
そして、ステップ1112においてラムクリアスイッチP48の操作があったか否かを判断し、ラムクリア操作があった場合(ステップ1112でYESと判断する場合)には、ぱちんこ遊技機は、ラムクリアをしたのち遊技可能状態へ移行させるため、遊技停止状態フラグをクリアする処理を行う(ステップ1114)。一方、ラムクリア操作がなされた状況以外では、現在の1バイトデータをそのまま設定することとなり、この時、遊技停止状態フラグは「設定確認状態」へ移行する操作がなされているときは(ステップ1112でNOと判断する場合)、設定キースイッチP49の操作状況を示すビットデータが「1」となっており、遊技停止状態フラグを示す1バイトデータに「設定確認中」を示すデータとして記憶される(ステップ1118)。また、ラムクリア操作も設定確認状態への移行操作もない場合には、入力ポートの確認処理(ステップ1004)で生成した1バイトデータは、もともと遊技停止状態フラグとして遊技停止なしを示すデータであり、遊技停止なし情報としてセットされる。
【0106】
「遊技停止状態設定処理」(ステップ1008)にて設定された遊技停止状態フラグについて、何らかの停止状態を示す値が記憶されている場合は、電源投入処理(ステップ1000)における遊技許容状態であるメインループ(ステップ1028~ステップ1036)への移行後に実行される遊技進行制御の主体となる割込み処理(ステップ2000)において、停止状態を示す値が参照され、「基本遊技進行」として記載した遊技の進行ができない状態となるが、これらの制御については後述する割込み処理の説明において記載する。
【0107】
図7の電源投入処理の説明に戻り、続く処理を説明する。遊技停止状態設定処理(ステップ1008)が終了すると、ラムクリア操作があったか否かを判断する(ステップ1010)。ラムクリア操作は、ぱちんこ遊技機Pの電源投入時にラムクリアスイッチP48が操作されることである。なお、設定キースイッチP49がオフの場合にもオンの場合にも本処理は実行される。ステップ1010においてラムクリア操作ありと判断した場合には、主制御基板P40のラムの記憶領域より、予め定められた部分の記憶領域を初期化する。
【0108】
続くステップ1014からステップ1020の処理では、電源投入時に主制御基板P40から演出制御基板P41に対して遊技機の状態を認識させるための演出制御コマンド(演出コマンド)をセットする処理を行う。より詳細には、ステップ1014において、前回電源が切断したとき(電源断が発生したとき)において未送信となっていた演出制御コマンドを記憶領域からクリアする処理を行う。そして、ステップ1016において電源投入後に復帰した主制御基板P40の現在の遊技状態に関する情報を演出制御コマンドとして生成し、ステップ1018において遊技停止状態でないと判断した場合には、ステップ1020において、生成した復帰した遊技状態を示す演出制御コマンドを演出制御コマンドの送信データを記憶する領域にセットする。
【0109】
電源投入時における演出制御コマンドのセットに係る処理が終了すると、大入賞口P751(特別電動役物P755)や普通電動役物P770を電源断発生前の状態に戻すべく、必要なデータ(駆動信号)を特別電動役物駆動手段P70および普通電動役物駆動手段P71に対して出力ポートから出力する。(ステップ1022)
【0110】
そして、電源投入処理におけるステップ1022までの処理が終了すると、主制御基板P40のCPUに対して、割込み処理時間の発生間隔を設定する処理を行う(ステップ1024)。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、後述する割込み処理(
図9、ステップ2000)を実行する間隔を4ms(ミリ秒)としている。本処理が終了すると、遊技者が遊技可能な状態であるメインループと呼ばれる循環処理に移行し、電源断が発生するまでメインループ中の循環処理の実行を繰り返す。
【0111】
(メインループ)
主制御基板のメインループの処理は、
図7に示すように、まずステップ1026にて割込み処理の発生を禁止する処理を行い、メインループの処理が完了するまで(ステップ1036にて割込みを許可するまで)割込み処理の実行を制限する。
【0112】
割込みが禁止されると、続くステップ1028では、ウォッチドッグタイマと呼ばれる主制御基板P40のCPUの暴走(処理がループしてしまったりして、進まなくなってしまう状況など)の発生を監視するための計時情報を記憶している領域をクリア(初期化)する。
【0113】
そしてステップ1030では、電源断が発生しているか(例えば電源基板P44から電圧が低下したことに基づいて送られる電源断信号が主制御基板P40のCPUの入力ポートに入力されているか)を判断し、電源断が発生している状況であれば、現在の遊技状態を記憶し、電源断情報およびチェックサム情報を記憶して主制御基板P40のCPUとしての処理を停止する電源断処理(ステップ1032)を実行する。電源断が発生していない状況であれば続く処理へ移行する。
【0114】
ステップ1034では、特別図柄抽選に使用する乱数や、普通図柄抽選に使用する乱数値を更新する処理を行う。なお、これらの乱数値の更新は後述する割込み処理において更新するものもあり、割込み処理においてのみ乱数が更新されることで乱数更新周期が一定になってしまうことを防止するための処理である。なお、割込み処理において、不定期に実行されるような処理があれば、それらの処理に合わせて乱数値を更新するなどの手法を採用することにより、乱数更新周期の一定化を防止することもできるため、メインループ内に乱数更新処理を設けることは必須ではない。
【0115】
ステップ1036はメインループ中の最後の処理であり、割込みを許可する処理を行う。直後にメインループ中の最初の処理であるステップ1026の割込み禁止に戻ることになるが、割込み許可を行うステップ1036の処理が行われたときに、割込み実行周期(前回割込み処理の発生から4ms経過した状態)を示す入力が主制御基板P40のCPUにあれば、後述する割込み処理が実行されることとなる。
【0116】
[割込み処理]
続いて主制御基板P40のCPUで行われる割込み処理(「タイマ割込み処理」とも呼ぶ)について
図9を参照しながら説明する。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、割込み処理(ステップ2000)により遊技の進行に関する大部分が制御されており、遊技機仕様(スペック)によって変更可能に設けられたサブモジュールプログラムを、汎用的に一定の順序で読みだして制御するように構成されている。それらのサブモジュールに関する処理を以下に簡易的に説明する。
【0117】
(ウォッチドッグタイマクリア)
割込み処理の最初には、ウォッチドッグタイマクリアの処理が設けられている。本処理は、前述した主制御基板P40のCPUが実行するメインループ処理(
図7、ステップ1026~ステップ1036)におけるウォッチドッグタイマクリア処理と同じ処理である。(ステップ2002)
【0118】
(入力ポート確認処理)
入力ポート確認処理は、主制御基板P40のCPUの入力ポートに入力される情報を確認することにより、以降の処理において判断に必要な情報としての入力情報があったか否かを識別可能とする情報を生成する処理である。(ステップ2004)
【0119】
入力ポートに入力される情報としては、ラムクリアスイッチP48や設定キースイッチP49の操作状況を示す入力信号や、ハンドルP204の操作状況(タッチ有無)を示す入力信号等の人為的な操作に係る入力信号、特
図1始動口スイッチP712や大入賞口スイッチP752等の遊技球の検出による遊技結果を示す入力信号、磁気センサP73やドア開放センサP131、振動検知センサP72など不正監視のために設けられたセンサの検出状況を示す入力信号などがある。
【0120】
入力ポート確認処理では、これらの入力ポートの入力信号を10μs(マイクロ秒)で3回読み込み、全ての読み込みで同一データ(同一ビット)となったデータを今回割込みにおける入力データ(「レベルデータ」という)として主制御基板P40のラムに記憶する。なお、3回読み込んだデータのうち全ての読み込みで同一データとならなかった部分については、前回の割込み処理(4ms前の割込み処理)において確定したデータをレベルデータとして採用することとなり、すなわち今回割込みにおいて正常にデータが読み取れなかった場合は前回割込みで記憶したデータを更新しないこととなる。
【0121】
そして今回割込みにおける入力データ(レベルデータ)が確定すると、前回割込みにおける入力データとの比較演算を行い、「立ち上がりデータ」(入力データがオフからオンに変わったビットを特定するデータ)を生成し、今回割込みでオン入力に切り替わったスイッチを特定するデータを記憶する。
【0122】
(乱数更新処理)
乱数更新処理は、特別図柄抽選に係る当否乱数、図柄乱数、変動パターン乱数や、普通図柄抽選の普図当否乱数、普図図柄乱数、普図変動パターン乱数などの各種乱数の内、ソフト的に更新される乱数値であるいわゆるソフト乱数を更新する処理である(ステップ2006)。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、特別図柄抽選や普通図柄抽選に使用する乱数は、乱数生成回路にて回路上の更新周期にて乱数を更新するものと、ソフト的な周期で更新されるものを有する仕様としており、それらを組み合わせることで、乱数取得時の各種乱数のランダム性を保つように構成している。
【0123】
乱数更新処理においては、前述したようにソフト乱数を更新する処理を行うものであるが、更新の方法としては、
(ア)乱数をインクリメント(+1)あるいはデクリメント(-1)して更新し、乱数範囲の上限(又は下限)を超えた場合に下限値(または上限値)とするもの、
(イ)乱数に対して任意の素数を減算(または加算)し、乱数範囲を超える場合に乱数範囲+1(または乱数範囲-1)の値を加算(または減算)するもの、
(ウ)初期値として設定した乱数からインクリメント(またはデクリメント)を繰り返し、1周期の更新が終わった場合に、別途更新している「初期値乱数」を新たな初期値として設定し同様の更新を繰り返すもの(初期値更新型乱数ともいう)、
といった各種の更新方法が例示できる。なお、本例に例示したものに限らず更新方法は乱数のランダム性が保てる手法であれば、どのような手法を採用してもよい。
【0124】
(設定制御処理)
設定制御処理は、主制御基板P40のCPUにおける電源投入処理(
図7参照)中で設定した遊技停止フラグが「設定変更中」、または「設定確認中」である場合の処理を行う。(ステップ2008)
【0125】
設定制御処理では、最初に電源投入処理中にて遊技停止フラグとして格納したデータの設定キー操作中を示すビットデータがオンデータであるか否かを判定し、オンデータでない、すなわちぱちんこ遊技機の電源投入時に設定キーがオン操作されていなかった場合、本処理を抜けるように構成されている。
【0126】
一方で、遊技停止フラグ中の設定キー操作中を示すビットデータがオンデータである場合には、「設定変更中」、「設定確認中」を終了させるか否かを判定するため、現在の割込み処理における設定キースイッチP49の入力情報(前述した入力ポート確認処理にて生成)を参照し、設定キースイッチP49がオフとなった場合に遊技停止フラグをクリアし、遊技可能な状態とした後、「設定変更状態」、「設定確認状態」のいずれからの復帰であるかに応じて、演出制御基板に演出を復帰(または開始)させるための演出制御コマンドを設定する。
【0127】
また、電源投入処理(
図7参照)において、遊技停止フラグが「設定変更中」である場合、設定キースイッチP49がオフとなるまでの期間において、本割込みタイミングにおける「設定変更スイッチ」の役割を果たすラムクリアスイッチP48(設定値を変更するために操作するスイッチ)の操作状況を確認する。遊技停止フラグが「設定変更中」の時、今回割込みにおいて、設定変更スイッチP48の操作にかかる立ち上がりデータが生成されている場合において、「設定値」を予め定められた変更順序の内の次の設定値となるようデータの変更を行う。例えば、設定が1から6まで順に切り替わるような設定値データを有するぱちんこ遊技機Pであれば、設定変更スイッチ(ラムクリアスイッチP48)の操作に基づく立ち上がりデータがあるたびに、本設定制御処理において設定値を「1」増加させる処理(操作前の設定値が6のときは、次の値として1に変更)を行う。
【0128】
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、設定変更状態や設定確認状態における処理を割込み処理中(
図9参照)に設けることによって、設定キースイッチや設定変更スイッチの操作を割込み処理の周期で監視するとともに、後述するLED出力処理にて表示装置に対しての表示データの出力を可能とし、別途割込み処理の設定ができていない電源投入処理中(
図7参照)において、周期的な監視のためのプログラムを設定することを省略可能としている。なお、電源投入処理中において、設定変更や設定確認に関するスイッチの監視や表示装置の制御、設定値の更新処理を行うように構成してもよい。
【0129】
(遊技停止監視処理)
遊技停止監視処理は、主制御基板のCPUがぱちんこ遊技機の電源投入時に実行した電源投入処理(
図7参照)中にて生成した遊技停止フラグのデータを読みだして遊技停止中であるか否かを確認する処理である。(ステップ2010)
【0130】
遊技停止監視処理において、読みだされた遊技停止フラグのデータに何らかの遊技停止情報(遊技停止フラグ)が記憶されていた場合、例えば、遊技停止フラグのデータが0でなくいずれかのビットが「1」である場合は遊技停止状態(遊技停止が必要な状態)と判断し、遊技停止中として、割込み処理中の一部の処理(
図9における「タイマ減算処理(ステップ2014)」から「特別電動役物制御処理(ステップ2028)」まで)を省略する。
【0131】
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、遊技停止が必要な状態として、すなわち遊技者が遊技をすることが不可能な状態として、「設定変更中」、「設定確認中」、「復帰不可能エラーの発生中」といった状態が例示できる。
【0132】
(タイマ減算処理)
タイマ減算処理は、遊技の進行に関する時間の管理に使用されるタイマデータを更新する処理である(ステップ2014)。
【0133】
タイマデータの更新処理の例として、特別図柄の変動表示が開始された場合に設定される変動表示時間の管理や、大当り遊技中の特別電動役物P755の作動時間(大入賞口P751の開放時間)などの遊技進行を契機としたタイマデータの更新処理や、球詰まりを検出する等のエラー判定のための計時処理、特別図柄表示装置P51、P52などの主制御表示装置P50におけるLEDの点灯パターンを切り替えるための切り替え時間を計時するための処理、外部情報出力端子P77等から外部機器(ホールコンピュータなど)に対する情報の出力を行う期間を計時する処理などが例示できる。
【0134】
タイマ更新処理で更新されるタイマデータは、主制御基板P40の記憶領域(ラム記憶領域)に、「1バイトタイマ」、「2バイトタイマ」などのタイマデータの種類ごとに分けられて、連続した記憶領域にそれぞれ記憶されている。
【0135】
タイマ更新処理では、それらの個別のタイマデータの種類を記憶した記憶領域に対し、「1バイトタイマ更新処理」、「2バイトタイマ更新処理」といった処理を行い、各種タイマの時間値を更新する処理を行う。タイマの更新処理は、記憶領域に記憶されているタイマデータをデクリメント(-1)する処理を行う。なお、記憶されているタイマデータが既に「0」である場合には、処理後においても「0」となるように処理される(負の値になった場合に「0」にすることや、「0」の場合にデクリメントをしない、など)。
【0136】
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、1割込みの周期が4msであるため、1バイトタイマのデータである場合には、最大255回の更新(約1秒)で終了する管理対象のみが制御可能となるが、1秒以内でのみ管理される遊技情報がない場合(少ない場合)には、2バイトタイマデータのみで構成し、1バイトタイマ更新処理を有さないように構成することも可能である。また、2バイトタイマでも管理できないような時間値の管理が必要となる場合は、「3バイトタイマ」などより長時間を管理できるタイマデータを持つように構成してもよい。
【0137】
(有効期間設定処理)
有効期間設定処理は、入球容易態様または入球困難態様に変化可能な入賞口(主として大入賞口P751や普通電動役物P770に係る入賞口が該当)に関し、入球容易態様に制御する期間および有効延長期間において有効期間を設定し、それ以外の期間(入賞口が入球困難態様であり有効延長期間以外のとき)について、無効期間を設定する処理である。(ステップ2016)
【0138】
前提とするぱちんこ遊技機では、大入賞装置としての大入賞口P751と、普通電動役物P770が備えられている第2始動入賞装置P720である第2始動入賞口P721の入賞を有効期間として設定する処理となる。
【0139】
なお、有効延長期間は大入賞口P751や普通電動役物P770が入球困難態様へ移行する直前のタイミングで入球した遊技球を有効入賞として扱うために、大入賞口P751(特別電動役物P755)や普通電動役物P770などの電動役物に対して開放制御を実行させる制御期間が経過した後においても有効期間として扱うため、電動役物の構造に応じて適宜設定される一定時間の制御期間である。
【0140】
また、遊技機仕様によっては特定領域P760(V領域)を有する場合には、特定領域P760に関する遊技球の通過に対する有効延長期間も設定されることがあり、そのような場合には、本処理において特定領域の有効期間の設定も行われる。
【0141】
(入賞監視処理)
入賞監視処理は、ぱちんこ遊技機における各種入賞口(大入賞口P751、始動口P711、P721、一般入賞口P731)に対する遊技球の入賞を基に、有効入賞であるか否かを判定し、賞球や始動口入球に対する特別図柄抽選の権利の発生(保留の発生)の処理が行われる契機となる情報を生成する処理である。(ステップ2018)
【0142】
処理内容としては、入力ポート確認処理(ステップ2004)にて生成したデータを基に予め定められた順序で各種入賞口毎に(ア)入賞の有無を検出(イ)有効期間を有する入賞口の場合は有効期間中における入賞であるかの判断、各種入賞口に対する有効入賞が発生した場合には更に、(ウ)演出制御基板P41に送信する各種入賞口毎の入賞情報をしめす演出制御コマンドの設定、(エ)各種入賞口毎の入賞に基づく動作契機の発生回数を記憶するためのカウンタ値(「入賞カウンタ」と呼ぶ)を更新する(言い換えると、各種入賞口の検出に基づく動作の内で未処理の動作の回数を記憶するカウンタ値を更新する)処理を行う。
【0143】
なお、入賞監視処理においては、各種入賞口に対する入賞の発生のみでなく、アウト球を計数するために設けられたアウト球検出スイッチP792、普通図柄抽選の契機となる作動口スイッチP742や、遊技機仕様によっては特定領域P760(V領域)に対する遊技球の入球および通過についても判定するようになっており、賞球の発生や特別図柄抽選の契機の発生以外にも遊技機の動作(例えば、演出制御基板P41に対して、作動口スイッチP742や特定領域P760を通過した旨の情報を送信する処理)に必要となる遊技球の検出の有無を本処理において行う。
【0144】
(作動口監視処理)
作動口監視処理は、入力ポート確認処理(ステップ2004)にて生成したデータより、普図作動口スイッチP742の立ち上がりデータが生成されている場合に、普通図柄抽選に係る保留の発生に係る処理を行う。(ステップ2020)
【0145】
より具体的には、普図作動口スイッチP742の検出があった場合に、普通図柄抽選に係る保留の数を確認して、保留数が上限に満たない場合は、新たな保留として乱数を記憶可能であるため、保留数を格納している記憶領域のデータをインクリメント(+1)して保留数情報を1個増やした後、普図当否乱数、普図図柄乱数、普図変動パターン乱数を乱数生成回路から取得、あるいは現在の対応するソフト乱数を取得して保留として記憶する。
【0146】
(普通図柄制御処理)
普通図柄制御処理は、普通図柄抽選、普通図柄の変動表示、普通電動役物P770の作動に係る処理を行う(ステップ2022)。これらの処理は、普通図柄ステイタスと呼ばれる普通図柄、普通電動役物の制御状態を示すデータがいずれであるかに応じて、異なるサブモジュール処理に移行して、状態に応じた制御を行う。普通図柄のステイタスとしては、「0:普通図柄待機中」、「1:普通図柄変動中」、「2:普通図柄停止表示中」、「3:普通電動役物作動中」、「4:普通電動役物終了デモ中」があり、それぞれの状態に応じた処理を行う。
【0147】
《普通図柄変動開始監視制御処理》
普通図柄変動開始監視制御処理は、普通図柄ステイタスが「0:普通図柄待機中」である場合に普通図柄制御処理より呼び出されるサブモジュール処理である。
【0148】
普通図柄変動開始監視制御処理では、まず、普通図柄抽選に係る保留数が「0」であるか否かを確認する。「0」である場合には、普通図柄の変動権利は発生していないため、普通図柄制御処理を抜ける。一方、普通図柄抽選に係る保留数が「0」でない場合は、普通図柄の変動権利が発生している状態であり、普通図柄の変動開始条件を満たしていると判断して普通図柄の変動の開始に係る処理を実行する。
【0149】
普通図柄の変動を開始すると判断すると、普通図柄抽選に係る保留数情報を記憶する領域より、保留数情報を-1した後、普図当否乱数、普図図柄乱数、普図変動パターン乱数をそれぞれ呼び出して普図当否抽選、普図図柄抽選、普図変動パターン抽選をそれぞれ行い、抽選結果を主制御基板の記憶領域に格納するとともに、今回使用した乱数情報をクリアし保留数情報の記憶領域を記憶した順番に処理されるようにシフトする処理を行うとともに、普通図柄ステイタスを「1:普通図柄変動中」に更新する。なお、普通図柄抽選に関しては、前述した「ベース状態」(普通図柄の確率変動機能、普通図柄の変動時間短縮機能)の作動状況に応じて異なる抽選テーブルが使用され、高ベース状態では当りとなりやすく、普通図柄の変動表示時間は短いものが決定されやすい傾向にある。
【0150】
《普通図柄変動中処理》
普通図柄変動中処理は、普通図柄ステイタスが「1:普通図柄変動中」である場合に普通図柄制御処理より呼び出されるサブモジュール処理である。
【0151】
普通図柄変動中処理では、普通図柄変動開始監視制御処理中にて決定した普通図柄の変動パターンに応じた普通図柄の変動表示時間が経過するまで、すなわち普通図柄の変動表示を管理するタイマ(普通図柄変動表示タイマ)がタイマ更新処理において0となるまで、普通図柄表示装置P53において、普通図柄の変動表示を実行させる処理である。
【0152】
より具体的には、普通図柄変動表示タイマが0でない場合には、本処理が実行されるたびに最大値が「5」である普図表示切り替えカウンタを更新し、普図表示切り替えカウンタが「5」となるタイミングで、普通図柄表示装置P53を構成するLEDの発光パターンを指定するためのデータを格納する記憶領域に、次の発光パターンに関する情報を記憶する処理を行う。なお、普図表示切り替えカウンタは最大値である「5」となるタイミングで初期値である「0」にリセットされる。すなわち、普通図柄の変動表示は5回の割込み(4ms×5=20ms)間隔で普通図柄表示装置P53の点灯パターンが切り替えられることとなる。なお、切り替え間隔は適宜設定可能であり、例えば普図表示切り替えカウンタの最大値を25とすれば、25割込みに1回(100msに1回)の間隔で普通図柄表示装置P53の表示パターンが切り替えられる。
【0153】
普通図柄の変動表示時間が終了する、すなわち普通図柄変動表示タイマが「0」となっている場合、本処理では普図図柄抽選で決定した普通図柄の停止表示図柄の表示パターンが主制御表示装置P50における普通図柄表示装置P53に停止表示されるよう、停止表示態様を示すLED点灯パターンを指定するためのデータを普通図柄表示装置P53のLED点灯パターンを記憶する記憶領域に格納する。そして、普通図柄の図柄固定時間(停止表示図柄を表示する時間)を普通図柄停止表示タイマに記憶するとともに、普通図柄ステイタスを「2:普通図柄停止表示中」に更新する。
【0154】
《普通図柄停止表示中処理》
普通図柄停止表示中処理は、普通図柄ステイタスが「2:普通図柄停止表示中」である場合に普通図柄制御処理より呼び出されるサブモジュール処理である。
【0155】
普通図柄停止表示中処理では、普通図柄変動中処理の終了時に図柄固定時間が設定された普通図柄停止表示タイマの値が「0」であるかの確認を行い、「0」となったタイミングにて、次の遊技動作に移るための設定を行う処理が行われる。
【0156】
普通図柄停止表示タイマが「0」となったとき、今回の普通図柄抽選の結果が「当り」であった場合、当り図柄およびベース状態(普通電動役物の延長機能)の作動状態に応じて、普通電動役物P770の作動パターンを呼び出し、動作パターンを設定や、普通電動役物P770に係る入賞カウンタをクリアする等の設定をするとともに、普通図柄ステイタスを「3:普通電動役物作動中」に更新する。
【0157】
一方、普通図柄停止表示タイマが「0」となったとき、今回の普通図柄抽選の結果が「はずれ」であった場合には、普通図柄ステイタスを「0:普通図柄待機中」に更新する処理を行う。
【0158】
《普通電動役物作動中処理》
普通電動役物作動中処理は、普通図柄ステイタスが「3:普通電動役物作動中」である場合に普通図柄制御処理より呼び出されるサブモジュール処理である。
【0159】
普通電動役物作動中処理では、普通図柄停止表示中処理において設定された普通電動役物P770の動作パターンに基づいて、普通電動役物の開放動作(入球容易態様への変化)および閉鎖動作(入球困難態様への変化)を制御するとともに、普通電動役物の作動終了条件の成立を監視する。普通電動役物P770の作動終了は、(ア)普通電動役物の終了条件として設定された規定数の普通電動役物入賞が発生した場合、(イ)予め設定された動作パターンの動作が終了した場合(普通電動役物の開放動作期間が終了した場合)である。
【0160】
普通電動役物の作動終了条件が成立すると、普通電動役物の有効延長期間を記憶するタイマ領域に、予め普通電動役物P770の構造に対応して定められた一定時間の延長期間を計時する時間をセットする。そして、普通電動役物の作動終了デモに係る時間値を普通電動役物作動終了デモタイマにセットし、普通図柄ステイタスを「4:普通電動役物終了デモ中」に設定する。
【0161】
《普通電動役物作動終了デモ処理》
普通電動役物作動終了デモ処理は、普通図柄ステイタスが「4:普通電動役物終了デモ中」である場合に普通図柄制御処理より呼び出されるサブモジュール処理である。
【0162】
普通電動役物作動終了デモ処理では、普通電動役物作動中処理にて設定した普通電動役物作動終了デモタイマが「0」となるまで待機し、普通電動役物作動終了デモタイマが「0」となった場合に普通図柄ステイタスを「0:普通図柄待機中」に更新する処理を行う。
【0163】
(始動口監視処理)
始動口監視処理は、入力ポート確認処理(ステップ2004)にて生成したデータより、特
図1始動口スイッチP712および特
図2始動口スイッチP722の立ち上がりデータが生成されている場合に、特別図柄抽選に係る保留の発生に係る処理を行う。(ステップ2024)
【0164】
より具体的には、特
図1始動口スイッチP712および特
図2始動口スイッチP722の検出があった場合に、特別図柄抽選に係る保留の数を確認して、保留数が上限に満たない場合は、新たな保留として乱数を記憶可能であるため、保留数を格納している記憶領域のデータをインクリメント(+1)して保留数情報を1個増やした後、当否乱数、図柄乱数、変動パターン乱数を乱数生成回路から取得、あるいは現在の対応するソフト乱数を取得して保留として記憶する。
【0165】
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、特別図柄として、第1特別図柄(特
図1と称することがある)と第2特別図柄(特
図2と称することがある)との2種類の特別図柄を設けているため、遊技盤P5に設けられた始動口のそれぞれに対し、対応する特別図柄の保留数および始動口スイッチのデータを呼び出して、始動口毎に保留数の加算、乱数の取得の処理が行われる。
【0166】
また、処理対象とする始動口が、普通電動役物に係る始動口(電チュー)で構成される場合には、前述した有効期間設定処理にて普通電動役物P770に係る始動口入賞が有効期間内に行われたか否かを判断した上で有効期間である場合には前述した処理を行う。
【0167】
なお、当否乱数、図柄乱数、変動パターン乱数を記憶する際、取得した乱数情報を事前に予告判定値テーブルを用いて、保留される各種乱数に基づく変動が実行される際の変動内容が事前に推測可能となる情報を生成し、演出制御基板P41に対して演出制御コマンドとして通知する(「事前判定コマンド」、「事前判定情報」、「先読み判定コマンド」と呼ぶ)。事前判定コマンドは、当否乱数、図柄乱数、変動パターン乱数それぞれに対して生成され、演出制御基板P41に送信されると、演出制御基板P41において、後述する「先読み演出」の実行に係る抽選に利用される。
【0168】
(特別図柄制御処理)
特別図柄制御処理(ステップ2026)は、特別図柄ステイタス(「特図ステイタス」ともいう)と呼ばれる特別図柄を管理するための状態情報と、特別電動役物ステイタス(「特電遊技ステイタス」ともいう)と呼ばれる特別電動役物の作動状態を管理するための状態情報とによって、特別図柄の変動開始の管理(特別図柄変動開始監視制御処理)、特別図柄変動中処理、特別図柄停止図柄表示中処理のいずれかの処理を実行する。
【0169】
特別図柄ステイタスには、「0:特別図柄変動待機中」、「1:特別図柄変動中」、「2:はずれ図柄停止表示中」、「3:大当り図柄停止表示中」、「4:小当り図柄停止表示中」の状態を有し、特別電動役物ステイタスには、「0:当り待ち中」、「1:特別電動役物作動中」、「2:大入賞口閉鎖中」、「3:大当り終了デモ中」、「4:小当り特電作動中」、「5:小当り閉鎖中」、「6:小当り終了デモ中」の状態を有する。なお、遊技機仕様によっては小当りを有しない場合もあり、その場合には小当りに関連したステイタスデータを持たない。そして、これらのステイタスに基づく制御は後述する。
【0170】
特別図柄制御処理は、特別図柄を複数有する場合には、予め定められた順序(優先順位)に基づいて処理が行われる。予め定められた順序として、第2特別図柄を優先して制御する処理を行い、第1特別図柄および第2特別図柄の双方の保留が存在する状況下では、第2特別図柄の変動が先に開始される(第2特別図柄が優先して変動する)よう処理される遊技機仕様について、「第2特別図柄(特
図2)優先消化制御」と呼び、前提とするぱちんこ遊技機Pの実施形態に係る説明では、このタイプのものに関する処理について例示して説明する。
【0171】
特別図柄制御処理では、まず、第2特別図柄の制御を行う。第2特別図柄の制御を開始すると、まず第1特別図柄の特別図柄ステイタスと、特別電動役物ステイタスの情報を参照する。特別電動役物ステイタスが大当り遊技中または小当り遊技中を示すデータの場合(特別電動役物ステイタスが「0:当り待ち中」以外のとき)、第1特別図柄が変動中でありの第1特別図柄の特別図柄ステイタスが「0:特別図柄変動待機中」以外の場合には、処理を行うことなく処理を完了する。
【0172】
第2特別図柄の制御を実行する状況である場合には、第2特別図柄に係る制御のタイマ値を更新する処理が実行される。タイマの更新は、タイマを記憶する記憶領域のデータをデクリメント(-1)する処理にて行われ、デクリメントした結果が負の値となる場合には「0」がセットされる。そして、タイマの更新が終了すると特別図柄2に対応する特別図柄ステイタスに基づいて、後述するサブモジュール処理が呼び出され実行される。なお、割込み処理中にもタイマ減算処理を有しているが、タイマ減算処理にて更新されるタイマに特別図柄制御処理にて更新されるタイマデータは含まれておらず、特別図柄制御処理において特別図柄に係る制御のためのタイマデータを管理している。
【0173】
《特別図柄変動開始監視制御処理》
特別図柄変動開始監視制御処理は、特別図柄ステイタスが「0:特別図柄変動待機中」である場合に移行するサブモジュール処理である。
【0174】
特別図柄変動開始監視制御処理では、対象として処理している特別図柄の保留があるか否かを確認し、保留が無ければ処理を終え、保留がある場合には続く処理が実行される。続く処理は、変動を開始する際に行われる特別図柄抽選である。特別図柄抽選は、まず設定値として格納しているデータを読みだして検査し、適切な設定値情報であるか否かを判定する。適切な設定値である場合には、遊技状態等を示す各フラグを記憶した領域のデータを参照して適宜抽選テーブルを選択し、当否抽選および図柄抽選、変動パターン抽選が実行され、抽選結果が記憶領域に格納されたのち、特別図柄ステイタスが「1:特別図柄変動中」に更新される。また、特別図柄抽選によって決定された内容は、演出制御基板P41に演出制御コマンド(当否コマンド、図柄コマンド、変動パターンコマンド)として送信され、特別図柄の変動表示に合わせて実行される変動演出の内容の決定処理(抽選処理)のための情報として利用される。なお、特別図柄抽選に関する詳細は後述する。
【0175】
《特別図柄変動中処理》
特別図柄変動中処理は、特別図柄ステイタスが「1:特別図柄変動中」である場合に移行するサブモジュール処理である。
【0176】
特別図柄変動中処理では、変動パターン抽選で決定した特別図柄の変動時間が経過するまで特別図柄の変動表示時間を管理するタイマを監視するとともに、残り変動時間が「0」になるまで、毎割込み更新される特別図柄表示切替タイマ(最大値「24」)により、25割込みごとに特別図柄の変動表示を示すために特別図柄表示装置(第2特別図柄表示装置P52(特
図1の制御の時は第1特別図柄表示装置P51))の点灯表示パターンの切り替え処理を行う。
【0177】
特別図柄の残り変動表示時間が「0」となると、ぱちんこ遊技機Pに接続する外部機器(データカウンタ―やホールコンピュータなど)に対して、特別図柄の変動表示が1回実行されたことを示す外部信号を出力するための情報の設定と、特別図柄の停止表示図柄を固定表示するための図柄固定時間を設定する処理と、当否抽選、図柄抽選の結果決定された停止表示図柄を示す停止表示図柄を特別図柄表示装置P52(P51)に表示させるための点灯パターンデータの設定とを行う。そして、当否抽選結果に応じて特別図柄ステイタスを「2:はずれ図柄停止表示中」、「3:大当り図柄停止表示中」、「4:小当り図柄停止表示中」のいずれかに設定する。
【0178】
《特別図柄はずれ図柄停止表示中処理》
特別図柄はずれ図柄停止表示中処理は、特別図柄ステイタスが「2:はずれ図柄停止表示中」の場合に移行する処理である。
【0179】
特別図柄はずれ図柄停止表示中処理では、特別図柄変動中処理において設定した図柄固定時間を管理するタイマの値が「0」となったかを確認し、「0」となった場合に処理対象となっている特別図柄の特別図柄ステイタスを「0:特別図柄変動待機中」に更新するとともに、特別図柄抽選に係る遊技状態(確率変動機能、電チューサポート機能、変動時間短縮機能)の残り遊技回数を更新するとともに終了条件成立に関する確認し、遊技状態移行条件の成立時には遊技状態の移行に係る制御(フラグオフなど)を行う。
【0180】
《特別図柄大当り図柄停止表示中処理》
特別図柄大当り図柄停止表示中処理は、特別図柄ステイタスが「3:大当り図柄停止表示中」の場合に移行する処理である。
【0181】
特別図柄大当り図柄停止表示中処理では、特別図柄変動中処理において設定した図柄固定時間を管理するタイマの値が「0」となったかを確認し、「0」となった場合に処理対象となっている特別図柄の特別図柄ステイタスを「0:特別図柄変動待機中」に更新するとともに、特別電動役物ステイタスを「2:大入賞口閉鎖中」に更新する。さらに、特別図柄抽選に係る遊技状態(確率変動機能、電チューサポート機能、変動時間短縮機能)を終了させるために、それぞれの残り回数情報格納領域および作動フラグ格納領域をクリアする処理を実行する。そして、大当り図柄に応じた大当り遊技を実行させるべく、大当り図柄情報より、前回大当り遊技中にデータとして使用していた各種記憶領域の情報を初期化し、大当り遊技中における特別電動役物P755の制御内容データのセットを行う。
【0182】
特別図柄大当り図柄停止表示中処理では、さらに、演出制御基板P41に対して大当り遊技の演出(大当り開始デモ演出)を実行させるための演出制御コマンドを送信する処理を実行する。また、これらの処理に合わせて、主制御表示装置P50の構成要素の一つである右打ち表示灯P56(遊技領域の右側を狙って遊技球を発射させる右打ち遊技が推奨される遊技状態の時に点灯させるLED)を点灯させるための点灯パターンデータの設定も行われる。
【0183】
《特別図柄小当り図柄停止表示中処理》
特別図柄小当り図柄停止表示中処理は、特別図柄ステイタスが「4:小当り図柄停止表示中」の場合に移行する処理である。
【0184】
特別図柄小当り図柄停止表示中処理は、特別図柄大当り図柄停止表示中処理と同様、図柄固定時間の終了とともに、特別電動役物P755の作動に係るデータの設定、右打ち表示灯P56の点灯に係る設定処理を行う。また、本前提技術のぱちんこ遊技機Pでは、小当り遊技の実行時(小当り図柄の停止表示)では、大当り図柄が停止したときとは異なり、特別図柄抽選に係る遊技状態(高確率状態または高ベース状態)を終了させる処理を有さず、特別図柄はずれ図柄停止表示中処理の処理と同様に、それぞれの遊技状態に対して終了条件を満たしたか否かの判定結果を基に遊技状態を制御する。また、これらの処理に合わせて特別電動役物ステイタスを「5:小当り閉鎖中」に更新する。なお、遊技機仕様によっては、変形例として、小当り遊技の実行に際して、大当り図柄停止時と同様に遊技状態(高確率状態または高ベース状態)を強制的に終了させる処理を有する仕様として設計することも可能である。
【0185】
以上のサブモジュール処理の内いずれかの処理が選択的に実施されると、第2特別図柄の処理に続いて第1特別図柄の処理が行われる。第1特別図柄の処理については第2特別図柄の処理と参照する情報が相違するのみ(例えば、変動開始可能かどうかについて、第1特別図柄の特別図柄ステイタスではなく第2特別図柄の特別図柄ステイタスを参照して判断するなど)でほぼ同じ処理が繰り返されるのみであるため説明を割愛する。
【0186】
《入球順消化制御、並列制御》
また、前述した特別図柄制御処理の説明においては、「第2特別図柄優先消化制御」に係る処理に基づいて説明したが、本前提とするぱちんこ遊技機と異なる遊技機仕様を採用する場合にあっては、異なる処理にて特別図柄制御処理を進行することも可能である。以下にその代表的なものについて簡単に説明する。
【0187】
「入球順消化制御」は、第1特別図柄および第2特別図柄のそれぞれに対応する保留情報が発生した順番に1つずつ処理される遊技機仕様である。一方の図柄の変動中に他方の変動表示が行われることは無く、ある遊技状態において第1特別図柄に対応する保留球と第2特別図柄に対応する保留球との双方の保留球の発生が見込まれる場合に採用されることが多い仕様である。
【0188】
「並列制御(並列消化)」は、前述した「第2特別図柄優先消化制御」や「入球順消化」とは異なり、同時に第1特別図柄と第2特別図柄の双方の変動表示を同時に行うことができるタイプの遊技機仕様である。2つの図柄を同時に消化することができるため、単位時間当たりの特別図柄抽選回数を増加させることが可能となる。なお、1の特別図柄の停止表示に伴い特別電動役物P755が作動する場合(大当り、小当りが実行される場合)、他方の図柄は強制的にはずれとして図柄を停止したり、変動表示の残り時間の減算を一時中断するような仕様が適宜採用される。一例として、1の特別図柄が大当りとなった場合には、他方の特別図柄を強制的にはずれとして停止表示する仕様や、1の特別図柄が大当りや小当りとなった場合には、他方の特別図柄の変動表示を一時中断する仕様を採用可能である。
【0189】
(特別電動役物制御処理)
特別電動役物制御処理は、特別電動役物ステイタス(特電遊技ステイタスと称することがある)のデータ内容(値)によって、特別電動役物P755の作動に係るサブモジュール処理を実行し、特別電動役物の作動を管理する処理である(ステップ2028)。言い換えると、大当り遊技や小当り遊技を実行するに際して、大当り遊技、小当り遊技状態における各状態の制御を行い、大入賞口P751の開閉に係る制御を行う処理である。
【0190】
前述したように、特別電動役物ステイタスには、「0:当り待ち中」、「1:特別電動役物作動中」、「2:大入賞口閉鎖中」、「3:大当り終了デモ中」、「4:小当り特電作動中」、「5:小当り閉鎖中」、「6:小当り終了デモ中」の状態を有している。
【0191】
これら特別電動役物ステイタスのうち、「0:当り待ち中」のステイタス状態である場合には、遊技者の遊技によって未だ大当り遊技または小当り遊技の実行権利の獲得がなされていない状況であるため、特別電動役物制御処理は処理を行うことなく終了する。
【0192】
そして、特別電動役物ステイタスが、「0:当り待ち中」以外である場合には、ステイタスに応じて後述するそれぞれの処理のいずれかが実行されることとなる。
【0193】
《特別電動役物作動中処理》
特別電動役物作動中処理は、特別電動役物ステイタスが「1:特別電動役物作動中」または「4:小当り特電作動中」である場合に実行される処理である。本処理は、特別遊技において、いわゆるラウンド遊技(単位遊技)が実行されている状態(大入賞口P751が開放制御され得る状態)の処理である。
【0194】
特別電動役物作動中処理では、まずラウンド遊技(単位遊技)の終了条件を充足したか否かを判断する処理が行われる。ラウンド遊技の終了条件としては、(ア)作動した特別電動役物に応じた規定個数(「カウント」とも呼ぶ)の入賞数が行われたか、(イ)実行される特別電動役物の作動パターンとしてセットされた開放時間(開放パターン)が終了したか、のいずれかを満たす場合に終了したものとして判断する。これらの条件を満たさない場合は、以後の処理を行うことなく今回の割込み処理における特別電動役物制御処理を終了する。なお、特別電動役物P755の作動パターン(開放パターン)の中には、複数回大入賞口P751を開閉させるパターンを有しており、これらのパターンが実行される場合には、1回のラウンド遊技中で(イ)の判断に使用するタイマが複数回「0」となる一方で、1回のラウンド遊技中の次の作動データがあるか否かを確認した上で、条件(ウ)「今回の単位遊技における次作動パターンデータなし」と判断した場合に上記(イ)を満たしたものと判断することとなる。
【0195】
一方、ラウンド遊技の終了条件の上記(ア)、(イ)のいずれかを満たした場合には、続く処理として、大入賞口閉鎖時間を特別電動役物の閉鎖時間管理用タイマに記憶するとともに、特別電動役物ステイタスをインクリメントし「2:大入賞口閉鎖中」とする。そして演出制御基板P41に対し演出制御コマンドとしてラウンド遊技が終了したことを通知するためのコマンドデータをセットして終了する。
【0196】
《大入賞口閉鎖中処理》
大入賞口閉鎖中処理は、特別電動役物ステイタスが「2:大入賞口閉鎖中」または「5:小当り閉鎖中」である場合に実行される処理である。本処理は、特別遊技において、いわゆるラウンド遊技とラウンド遊技との間である「ラウンド間」に制御されている状態の処理である他、大当り遊技や小当り遊技の開始時における初回ラウンドの開始前の状態である「大当り開始デモ(期間)」、「小当り開始デモ(期間)」に制御される状態のとき、あるいは最終ラウンドのラウンド遊技が終了した後に後述する当り終了デモ中処理が実行されることとなるまで待機する期間に制御されている状態のときに係る処理である。
【0197】
大入賞口閉鎖中処理では、まず、特別電動役物作動中処理にて設定した大入賞口閉鎖時間が経過したか否かを判定し、閉鎖時間管理用タイマが「0」でない、すなわち閉鎖時間が経過していない場合は、今回割込みにおける特別電動役物制御処理を終了する。
【0198】
大入賞口閉鎖時間が経過した場合、続いて先に作動が終了した特別電動役物P755の作動(ラウンド遊技)が、今回の当り遊技(大当り遊技、小当り遊技)における最終のラウンド遊技であったか否かを判断し、最終ラウンド遊技の終了時と、最終ラウンド以外のラウンド遊技終了時(または当り開始デモ時)とで異なる処理を実行する。なお、最終のラウンド遊技であったか否かを判断は、今回の当り遊技中に作動した特別電動役物P755の作動回数の累計データが、今回の当り遊技における特別電動役物P755の最大作動回数データを超えているか否かに基づいて判断するものであり、当り開始デモ時には特別電動役物P755の作動回数の累計データは「0」である。
【0199】
大入賞口閉鎖中処理において、最終ラウンド遊技の終了時と判断した場合には、当りの種類(大当り、小当りを開始することとなった特別図柄の種類)に応じて当り終了デモの実行パターン(主として当り終了デモ時間データ)を読みだして設定する。そして、特別電動役物ステイタスをインクリメントし、「3:大当り終了デモ中」または「6:小当り終了デモ中」とし、演出制御基板P41に当り終了デモ演出を実行させるための演出コマンドをセットしてする。さらに、大入賞口P751の有効延長期間を設定するため有効延長期間として定められた時間値データを大入賞口P751の有効延長期間を管理するタイマに格納して終了する。
【0200】
一方、大入賞口閉鎖中処理において、最終ラウンド遊技以外の終了時(または当り開始デモ時)と判断した場合には、演出制御基板P41に対する演出制御コマンドとして、次回のラウンド遊技が何ラウンド目であるかを識別可能とする情報(Nラウンド開始デモコマンド ※Nは整数)と、当り遊技中の推奨発射位置(前提とするぱちんこ遊技機では、遊技盤の右側領域P501R(右打ち領域))を指示するための情報(右打ちコマンド)を送信する。
【0201】
そして、特別電動役物ステイタスをデクリメントして「1:特別電動役物作動中」または「4:小当り特電作動中」に更新し、ラウンド遊技中の大入賞口P751への遊技球の入賞数をカウントするためのデータ領域のデータを初期化する。そして、ラウンド遊技中の大入賞口P751の一回目の開放(またはラウンド遊技開始直後の閉鎖)に係る時間値を、ラウンド遊技における大入賞口P751(特別電動役物P755)の作動パターンデータをセットし、特別電動役物P755の累計作動回数に関する記憶領域のデータをインクリメントする。
【0202】
(賞球制御処理)
賞球制御処理は、遊技盤P5に配置された入賞口に対する遊技球の入賞に対して、遊技者に賞球として遊技球を付与するための処理である。処理内容としては、次に示す3つのサブモジュール処理を実行する構成である。(ステップ2030)
【0203】
《払出データ受信監視処理》
払出データ受信監視処理は、払出制御基板P43から主制御基板P40に対して送信される賞球払出の実行に係る制御コマンドの有無を確認し、送信されたコマンドを受信(記憶)する処理である。主制御基板P0は、払出制御基板P43から送信された情報を2つのレジスタ(記憶領域)に格納している。そして1のレジスタは、ステイタスレジスタと呼ばれ、払出制御基板P43から送信された情報があるか、および送信された情報が正常に送信されたものであるか否かを判断するための情報が格納されている。そして他方のレジスタは、データレジスタと呼ばれ、払出制御基板P43から送信された払出制御に関する制御内容の情報が格納されており、ステイタスレジスタが異常でなければデータレジスタのデータを払出制御情報として記憶領域に記憶する。
【0204】
《払出コマンド要求処理》
払出コマンド要求処理では、入賞監視処理(ステップ2018)で記憶した、各種入賞口の入賞回数データを記憶する入賞口毎の入賞カウンタデータを確認し、未払出の入賞の有無を確認する。当該確認処理は入賞口毎に予め定められた順序で確認し、1の入賞口に対して入賞カウンタのデータが「0」でないと判断した場合に、該当する入賞口の賞球数に応じて、払出制御基板P43に対して遊技球の払出を実行させるための制御コマンドを送信する処理を行う。この処理によって、複数の入賞口に対する入賞カウンタデータが「0」でない場合であっても、1割込みで払出制御基板P43に対して送信される払出制御コマンドは1つに制限される。
【0205】
《払出コマンド制御処理》
払出コマンド制御処理では、正常に払出数に関する情報を払出制御基板P43が受信したか否かのチェックが行われ、この処理にて正常にコマンドを受信するか、何らかの異常で通信エラーと判断されることとなる。払出コマンド制御処理にて、コマンドの受信状況が確定する(正常に受信完了したかエラーであるか判断される)までは、払出コマンド要求処理における次の払出制御コマンドの送信は、払出コマンド要求処理および払出コマンド制御処理内でそれぞれオンオフの設定がされるフラグデータにより一時中断される。
【0206】
(異常検知処理)
異常検知処理は、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいて不正検出のために設けられたセンサの情報より異常の発生有無を確認する処理である。(ステップ2032)
【0207】
より具体的には、振動センサP72、磁気センサP73、電波検知センサP74、枠開放センサP131といったセンサの入力に関し、入力ポート確認処理(ステップ2004)にて生成した入力情報を基に異常の発生している状況であるか否かについて判断する処理である。また、各種センサ以外にも電気的な接続のためのハーネスが抜去されていたり、配線上の短絡(ショート)なども検出対象として有している。
【0208】
そして、いずれかの判断情報に対し異常データが存在する場合には、対応するエラーフラグをオンとするようにして記憶した後、演出制御基板P41に対する演出制御コマンドとしてエラー情報を通知するコマンドをセットする。
【0209】
(センサ検出判定処理)
センサ検出判定処理は、入力ポート確認処理(ステップ2004)にて生成したセンサやスイッチの検出データ(レベルデータ)より、センサやスイッチの検出が連続して行われた期間を判断し、処理を行うフラグを成立させる処理である。(ステップ2034)
【0210】
センサ検出判定処理では、対象のセンサ、スイッチの検出データ情報のレベルデータがオンである場合に、対応するスイッチの連続オン入力期間をカウントするためのデータをインクリメントして更新し、各種処理の実行開始条件を満たしたか否かを判定し、条件が成立した場合に監視対象のスイッチに応じた処理が実行される。監視対象のスイッチがオンデータでなくなった場合、連続入力期間をカウントしているデータを初期化する(「0」に更新する)。
【0211】
例えば、入賞口に設けられた入賞口検出スイッチにおいて連続的にスイッチがオン状態である旨を検出している場合は、球詰まりが発生していると判断して、エラー状態に制御し、演出制御コマンドとして演出制御基板P41に対しエラー報知を行わせるためのコマンド情報をセットする処理や、外部装置(ホールコンピュータ等)にエラーの発生を報知するための信号データの生成および出力要求を行う。
【0212】
なお、本処理において検出対象とするスイッチは、ハンドルP204に設けられたタッチセンサスイッチや、不正検出のためのスイッチなどもあり、人為的操作によるものか電気的なノイズによるものかを判別するために一定期間のオンデータの入力が必要なセンサ等についても対象としている。
【0213】
(遊技状態表示処理)
遊技状態表示処理は、主制御表示装置P50において遊技の進行に関する情報を表示するための点灯データを生成する処理である。なお、表示処理という名称であるものの、主制御表示装置P50に対する表示内容の出力は本処理ではなく後述するLED出力処理にて行っている。(ステップ2036)
【0214】
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、一例としてエラー状態であることを示すエラー表示灯(状態表示灯P55)、特別図柄抽選に係る保留数を表示する特別図柄保留表示灯(特
図1保留表示灯P61、特
図2保留表示灯P62)、普通図柄抽選に係る保留数を表示する普通図柄保留表示灯P63などの点灯データ(点灯パターン)を生成して、LED出力処理にて出力されるデータとして格納する。
【0215】
なお、遊技状態表示処理において、点灯制御されるLED表示灯に関し、点滅表示が必要な場合には、対応するLEDに関する表示切り替えカウンタの更新およびカウンタ値と閾値との比較による点灯パターンの切り替え処理が行われる。例えば、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、特別図柄抽選の保留数は、最大4つまで保留可能であるものの、2つのLED表示灯で特別図柄保留表示灯が構成(特
図1保留表示灯P61、特
図2保留表示灯P62のそれぞれに2つずつのLEDを備える)されるため、3以上の保留数がある場合には、少なくとも1のLEDに関して連続的な点灯表示ではなく、点滅表示を行う仕様となっている。
【0216】
(出力ポート出力処理)
出力ポート出力処理は、主制御基板P40に接続した遊技盤P5上の動作デバイスである電動役物や、払出制御基板P43などに遊技動作に関する信号を送信する設定を行う処理である。(ステップ2038)
【0217】
より具体的には、普通図柄制御処理中や特別電動役物制御処理中に、普通電動役物ないし特別電動役物の作動パターンが設定されると、出力ポート出力処理中の処理によって、普通電動役物駆動手段P71、特別電動役物駆動手段P72(前提とするぱちんこ遊技機では、ソレノイド)に対し、各電動役物を開放動作(あるいは閉動作)させるための信号データが出力される。
【0218】
また、払出制御基板P43に対しては、遊技者のハンドル操作に基づく遊技球の発射を許可あるいは禁止するための制御信号(発射許可信号)を出力ポート出力処理にて生成して出力する。発射許可信号は、払出制御基板P43との通信状態や、遊技停止を要するエラーの発生状況に応じて出力内容が設定される。
【0219】
(演出制御コマンド送信処理)
演出制御コマンド送信処理は、演出制御基板P41に対し演出制御コマンドを出力する処理であり、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出制御コマンド送信処理においてのみ演出制御コマンドが演出制御基板P41に対して送信される仕様となっている(ステップ2040)。なお、送信する演出制御コマンドの設定に関しては、他の処理中において未送信演出制御コマンドとして所定の記憶領域に設定(セット)されるものとなっている。
【0220】
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、未送信の演出制御コマンドを記憶する領域として、リングバッファと呼ばれる記憶先を循環参照する記憶領域を用いている。リングバッファと呼ばれる記憶領域では、演出制御コマンドの書き込み(セット)と演出制御コマンドの読み込み(送信)とのそれぞれの処理によって更新される、「書き込みポインタ」、「読み込みポインタ」と呼ばれる次回の処理においてコマンドを書き込む記憶領域のアドレスおよびコマンドを読み込む記憶領域のアドレスを算出するための情報を用いて演出制御コマンドの書き込みおよび読み込みを実行する仕様となっている。
【0221】
また、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出制御コマンドの構成がコマンドの種類を示すMODEデータと、コマンドの内容を示すEVENTデータの2つのデータにより構成されている。
【0222】
演出制御コマンド送信処理の具体的な処理内容の説明に戻り説明を行う。演出制御コマンド送信処理では、まず前述した書き込みポインタと読み込みポインタの情報が一致しているか否かを確認し、一致している場合は送信する演出制御コマンドはないと判断して処理を終了する。一方で、書き込みポインタと読み込みポインタのデータが一致しない場合、送信すべき演出制御コマンドが存在すると判断して次の処理へ移行する。
【0223】
送信すべき演出制御コマンドがあると判断した場合、読み込みポインタのデータから算出される主制御基板P40の記憶領域のアドレスよりMODEデータおよびEVENTデータを呼び出し、それぞれ主制御基板P40のCPUにおけるレジスタに一時格納し、読み出し先のリングバッファにおける演出制御コマンドをクリアした後、読み出しポインタの値を次の処理時に使用する値に更新する。
【0224】
演出制御コマンドとして、主制御基板P40のレジスタに格納されたMODEデータおよびEVENTデータは、順番に演出制御基板に送信P41されることとなる。まずMODEデータを、演出制御基板P41に対する演出制御コマンドを送信するための出力ポートである演出コマンド出力ポートにセットし、演出制御基板P41に読み取り動作を行わせるためのストローブ信号を出力する。主制御基板P40は、続いてEVENTデータを出力することとなるが、MODEデータを演出制御基板P41が受け取るまでに十分な期間を確保するため26μsの待機時間を挟む処理を行った後、MODEデータ送信時と同様に、EVENTデータの出力ポートへの設定およびストローブ信号の出力を行う。演出制御基板P41は、ストローブ信号を確認すると演出制御コマンド受信割込みを発生させ、主制御基板P40から送信される演出制御コマンドを受信する。
【0225】
(外部情報出力処理)
外部情報出力処理は、前提とするぱちんこ遊技機Pに接続する外部機器(データカウンターやホールコンピュータ)に対し、外部情報出力端子77より遊技状況に関する情報や、エラー発生などセキュリティに関する情報を信号として出力する処理である(ステップ2042)。外部情報出力端子77より出力される信号は、主制御基板P40の出力ポートにセットされたデータに基づいて出力され、信号出力の契機が発生した場合に一定期間のオン電位であるパルス信号を送信するものや、信号出力が終了する条件を満たすまでオン電位を出力し続けるもの等がある。
【0226】
外部情報出力処理では、まず、遊技状態に関する信号を生成する。遊技状態に関する信号として、特定遊技状態の種類を識別可能とするために、前提とするぱちんこ遊技機Pでは確率変動機能の作動状態(確率状態)、電チューサポート機能の作動状態(ベース状態)に対応する情報と、特別遊技中(大当りや小当り)であることを示す情報とを参照し、各遊技状態に制御されている場合には、対応するデータが送信されるよう、外部出力データを更新する。なお、ここで例示したものに限らず、遊技機の仕様によっては、変動時間短縮機能の有無を示す情報や、特定の種類の大当りの場合であることを示す情報を基に出力信号を生成する場合があってもよい。
【0227】
また外部情報出力処理で出力される出力信号として、遊技状態に係る信号のみでなく、予め定めた遊技結果の発生に基づいた情報が出力される。例えば、特別図柄の変動表示が実行され、停止表示されるたびに送信される信号(「図柄固定信号」とも呼ぶ)や、始動口スイッチ(特
図1始動口スイッチP712、特
図2始動口スイッチ722)や大入賞口スイッチP752など各種入賞口に対する遊技球の入球の検出がなされる度、あるいは、各種入賞口に対する入球に基づく賞球の払い出しが所定個数(例えば10個)に到達する度に、外部出力データにデータがセットされ、外部機器に対して送信される信号などがある。これらの信号は主にパルス信号で構成され、1の信号を128msのオン電位が続くパルス信号で送信するものであるが、複数回の遊技結果が連続して発生した場合には、1回のパルス信号の出力が終わった後、一定期間のオフ電位出力を挟んだ後、再度パルス信号を出力する仕様となっている。
【0228】
また、外部信号出力処理では、前述した異常検知処理(ステップ2032)で確認した結果としてのエラーフラグを記憶した記憶領域のデータと、セキュリティ報知の必要なエラーの発生有無を確認するための比較データとを演算、比較してセキュリティ信号を出力する必要があると判断した場合は、外部出力データのセキュリティ信号に対応するビットをオンとするよう、出力ポートにセットする出力データを更新する。
【0229】
(LED出力処理)
LED出力処理は、主制御表示装置P50を構成する複数のLEDに対し、点灯パターンを示すデータを出力して、LEDを発光させ、遊技の進行状況、遊技状態を表示するための処理である。(ステップ2044)
【0230】
主制御表示装置P50を構成するLEDは、第1特別図柄表示装置P51(LED8個)、第2特別図柄表示装置P52(LED8個)、第1特別図柄保留表示灯P61(LED2個)、第2特別図柄保留表示灯P62(LED2個)、普通図柄表示装置P53(LED2個)、普通図柄保留表示灯P63(LED2個)の他、ラウンド表示灯P54、状態表示灯P55、右打ち表示灯(合計8個のLED)の計32個のLED表示部を有する。
【0231】
なお、状態表示灯P55とは、複数の遊技状態に関する表示灯を一括であらわしたものであり、詳細には確率変動機能の作動有無を示す特図確変表示灯や、普通図柄の確変機能の作動有無(電チューサポート機能の作動有無)を示す普図確変表示灯、エラー状態を示すエラー表示灯などの表示灯のことを指す。
【0232】
LED出力処理では、主制御表示装置における表示部の点灯データを割込み処理毎に1バイト分ずつ出力ポートにセットして主制御表示装置P50を点灯するよう構成しており、割込み処理毎に更新されるデジットカウンタという値に基づいて、今回の割込みで点灯させる主制御表示装置P50のLEDを選択し、遊技状況に応じた点灯パターンデータを選択し、表示データとしてセットして各LEDを点灯制御するようになっている。
【0233】
すなわち、前提とするぱちんこ遊技機Pでは主制御表示装置P50を32個のLEDに対し、少なくとも4回の割込み処理を使って順番に点灯データを出力するダイナミック点灯方式にて主制御表示装置P50を制御している。
【0234】
また、LED出力処理では、上記の主制御表示装置P50として遊技者が視認すべきLED表示以外に、遊技停止フラグが設定変更状態、設定確認状態、復帰不可能エラー状態である場合にのみ点灯制御されるLED表示の点灯制御も行っている。
【0235】
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、遊技停止フラグに何らかの遊技停止状態を示すフラグが格納されている場合、主制御表示装置P50に対する点灯パターンデータの設定は省略されるようになっており、設定変更中、設定確認中、復帰不可能エラー中は主制御表示装置を構成するLEDは全消灯状態となっている。変形例として、遊技停止フラグのセットの際に、各状態に対して設定される固定的な点灯パターンを用いて発光表示を行ってもよく、例えば設定変更中である期間に主制御表示装置P50を構成するLEDを全点灯させるように構成してもよい。
【0236】
(領域外制御処理)
領域外制御処理は、ぱちんこ遊技機の試験に利用する信号の出力を行う試験信号出力処理(ぱちんこ遊技機の試験に利用する信号の出力を行うための処理)と、性能表示装置の表示に係る制御を行う処理によって構成される(ステップ2046)。「領域外」の意味として、ぱちんこ遊技機の規則に定めるプログラム記憶領域の容量の計算に含まれない記憶領域のプログラムによって実行される処理であることを示す。
【0237】
試験信号出力処理では、ぱちんこ遊技機Pの試験端子P78から外部の試験用機器に対して出力するための遊技結果や遊技状態に係る情報を出力ポートにセットする処理が行われる。性能表示処理では、遊技状態の確認処理を行い、アウト球の計数、アウト球と賞球の数との比率(ベース)を計算して、表示データとして更新し、性能表示装置P59に対して表示出力を行う処理である。
【0238】
[特別図柄抽選]
続いて、主制御基板P40のCPUにて実行される特別図柄抽選に関し、
図10から
図14を用いてその詳細を説明する。「特別図柄抽選」は、主として「当否抽選」、「当り図柄抽選」、「変動パターン抽選」にて構成される。
【0239】
(当否抽選)
「当否抽選」は、実行される特別図柄抽選の結果に基づき特別電動役物P755を作動させる結果となるか否かを決定する抽選であり、より簡単に説明すれば、特別図柄の抽選結果として、「大当り」、「小当り」、「はずれ」のいずれであるかを決定する抽選である。なお、ぱちんこ遊技機Pの仕様によっては、当否抽選の抽選結果として「小当り」を有しないものも存在する。また、第1特別図柄と第2特別図柄とを有するよう構成した場合、一方の特別図柄に関する当否抽選の抽選結果として「小当り」を有しており、他方の当否抽選の抽選結果として「小当り」を有しないよう構成してもよい。
【0240】
当否抽選は、始動口(第1始動入賞口P711、第2始動入賞口P721など)に遊技球が入球した際に取得され記憶される乱数のうち、「当否乱数」と呼ばれる乱数値を用いて抽選を行う。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、当否乱数の取り得る乱数値の範囲(乱数値範囲)は、「0」から「65535」までの65536通りであり、いわゆる2バイト乱数で構成されている。当否抽選が行われる場合、この乱数値の値と、遊技状態や設定値に応じた当否抽選に使用する抽選テーブル(「当否抽選テーブル」と呼ぶ)との比較により、当否抽選の結果を決定する処理を行う。
【0241】
図10には、当否抽選に使用する抽選テーブルをいくつか例示している。
図10の(A)は設定値「1」かつ低確率状態における当否抽選テーブルを示し、
図10(B)は設定値「1」かつ高確率状態における当否抽選テーブルを示す。
図10の(C)、(D)は、それぞれ設定値「6」であるときの低確率状態、高確率状態における当否抽選テーブルを示している。
【0242】
例えば、
図10(A)の当否抽選テーブルを使用して当否抽選を実行する状況において、今回の特別図柄抽選における当否乱数が、第1特別図柄(特
図1)に対応する乱数であり、乱数値が「1500」であったと仮定し、当否抽選の流れを説明する。
【0243】
まず、最初の当否抽選結果として大当りの乱数値範囲(「0」から「327」)に属するか否かを判定する。具体的には、今回の当否乱数の乱数値「1500」から、判定対象の大当りの乱数値範囲「328」を減算する処理を行う。このとき、減算結果は「1172」であり、負の値とはならないため、今回の当否乱数は、大当りの乱数値範囲には属さないと判定する。
【0244】
続く処理として、先の大当り判定の演算後の乱数値「1172」と、当否抽選テーブルの続く当否抽選結果の判定領域として、はずれの乱数値範囲(「328」から「65370」)の比較を行う。より具体的には、当否乱数の一次データ「1172」から、判定対象のはずれの乱数値範囲「65043」を減算する。このとき、演算結果は負の値となるため、当否抽選結果として、「はずれ」の結果に対応した情報が記憶される。
【0245】
仮に、今回の当否乱数「1500」について、高確率状態において特別図柄抽選が行われた場合には、
図10(B)に示す当否抽選テーブルにて抽選されることとなり、最初の大当りの乱数値範囲(「0」から「1639」)に属するか否かを判定する。このときは、当否乱数と乱数値範囲との比較演算(減算)の結果は、負の値となるため、当否抽選結果は「大当り」であると判定される。
【0246】
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、このように、乱数値として取得したデータと、抽選テーブルの抽選結果に応じた乱数値範囲を順次比較していく手法により、抽選結果を判定する手法を採用しており、後述する当り図柄抽選および変動パターン抽選についても同様の抽選方法を採用するものである。なお、抽選方法は、上記した例に限らず、大当りとなる乱数値と一致するか否かを取得した乱数値と直接判定するような手法を採用してもよく、抽選内容ごとに異なる抽選方式を採用するものであってもよい。
【0247】
(当り図柄抽選)
「当り図柄抽選」は、前述した特別図柄抽選の当否抽選結果を受けて、その後の特別電動役物P755の作動に係る制御内容や、後述する変動パターン抽選の抽選テーブル(
図12から
図14参照)の切り替えに必要な抽選結果としての特別図柄の停止表示図柄を決定する処理である。
【0248】
図11には、当否抽選結果が「大当り」である場合に、当り図柄抽選で使用される大当り図柄抽選テーブル(
図11(A)参照)や、当否抽選結果が「小当り」である場合に、当り図柄抽選で使用される小当り図柄抽選テーブル(
図11(B)参照)や、当否抽選結果が「はずれ」である場合に、当り図柄抽選で使用されるはずれ図柄抽選テーブル(
図11(C)参照)が示されている。
【0249】
当り図柄抽選に使用される、「図柄乱数」は、乱数値範囲を「1000」(「0」から「999」)として構成しており、2バイトデータで表現した場合に、上位1バイトが「0」から「3」、下位1バイトが「0」から「255」で表現されるデータである。
【0250】
当り図柄抽選を具体例にて説明すると、例えば、当否抽選結果が大当りである場合において、図柄乱数が「400」(上位バイトが「1」、下位バイトが「144」)の時の第1特別図柄に対する当り図柄抽選の場合には、
図11(A)に示す上位1バイト「1」の抽選テーブルを用い、下位バイト「128」から「191」に該当する「5R(5ラウンド)確変2」が抽選結果として得られることとなり、特別図柄の変動表示にあたって、停止表示図柄として「5R確変2」図柄が第1特別図柄表示装置P51(第2特別図柄抽選の場合は、第2特別図柄表示装置P52)に停止表示される。
【0251】
そして、「5R確変2」図柄が第1特別図柄表示装置P51に停止表示された場合、「5R確変2」図柄に対応した大当り遊技が実行されることとなる。このとき、第1特別図柄表示装置に「5R確変2」が停止表示図柄として表示された場合と、「5R確変1」が停止表示図柄として表示された場合とで、5ラウンドの大当り遊技の各ラウンド遊技の内容(大入賞口P751の開放パターンや開放時間など)を停止表示図柄に基づいて異ならせてもよく、また大当り遊技後に移行する特定遊技状態における制御内容を異ならせるよう制御することも可能である。これらの大当り遊技、特定遊技状態における制御の割り当ては、ぱちんこ遊技機Pごとに仕様(スペック)に応じて遊技性を実現するために適宜定められるものであり、その詳細な説明は割愛する。
【0252】
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、
図11(A)に示した抽選によって、大当りの種類ごとにまとめた図柄を表示するように記載しているが、例えば先の例において、抽選結果「5R確変2」という、大当りの種類を決定した後、さらに該当する種別の大当りを実行することとなる停止表示図柄を複数のパターンから別の抽選を行って決定するように、大当りの種別の決定、停止表示図柄の決定と2段階で当り図柄抽選が実行されるものであってもよい。
【0253】
また、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、
図11(A)に示すように、第1特別図柄と第2特別図柄のそれぞれに関する特別図柄抽選において、当り図柄抽選にて大当り図柄を決定する場合に、決定され得る当り図柄の種類が異なるように構成されている。より具体的には、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、第2特別図柄の大当りでは、「10R確変5」ないし「10R確変8」が決定される可能性が増えており、第1特別図柄の当り図柄抽選よりも、ラウンド数の大きな大当りに当選しやすく、特定遊技状態として高確率/高ベース状態へ移行することとなる大当りに当選しやすい仕様となっていると言える。
【0254】
図11(B)には、小当り図柄抽選テーブルが例示されている。小当り図柄抽選テーブルは、特別図柄抽選の当否抽選の結果が「小当り」である場合に、当り図柄抽選にて参照されるテーブルであり、抽選の手法は、前述した大当り図柄抽選テーブルの時と同様である。
【0255】
図11(B)に図示した小当り図柄抽選テーブルでは、そのほとんどが「小当り1」図柄に当選するものとなっており、第2特別図柄の当否抽選結果として「小当り」となった場合の一部において「小当り2」が決定され得るようになっている。なお、小当り図柄に関しては1種類であってもよいし、3種類以上の図柄を決定可能に構成してもよい。
【0256】
前提とするぱちんこ遊技機Pのように、小当り図柄を複数設けることの目的の一例としては、単純に小当り遊技中の大入賞口P751の開放態様を変更することで獲得可能な遊技球数を異ならせたり、例えば小当りVを遊技機仕様(スペック)として採用するぱちんこ遊技機Pにおいて、特定領域にV入賞しやすい小当り遊技とV入賞が困難となる小当り遊技とを切り分けるために小当り図柄を差別化したり、V入賞後の大当り遊技の実行後に移行する特定遊技の種類を切り分けるために小当り図柄を異ならせるなどの態様が実行されることを目的とすることが挙げられる。
【0257】
図11(C)には、はずれ図柄抽選テーブルが例示されている。はずれ図柄抽選テーブルは、特別図柄抽選の当否抽選の結果が「はずれ」である場合に、当り図柄抽選にて参照されるテーブルであり、抽選の手法は、第1特別図柄に関して前述した大当り図柄抽選テーブルの時と同様であり、第2特別図柄に関しては異なる手法となっている。
【0258】
より具体的には、
図11(C)には、第1特別図柄に対するはずれ図柄抽選テーブルのみが表されており、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、はずれ図柄抽選テーブルとして第1特別図柄である場合のみ抽選処理を行い、停止表示図柄として「はずれ1」または「はずれ2」のいずれかを停止表示図柄として決定する。
【0259】
「はずれ2」図柄は、第1特別図柄のはずれ時において、およそ6.4%の確率で当選するはずれ図柄であり、「はずれ2」が当選している場合、変動パターン抽選において、リーチとなりやすい特殊な抽選テーブル(不図示)を参照して、変動パターン(変動時間)を決定しやすくするよう構成されている。そのため「はずれ2」に関し、「リーチはずれ図柄」などと称する場合もある。
【0260】
また、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、第2特別図柄のはずれ図柄抽選テーブルを有さず、いかなる図柄乱数である場合においても1のはずれ図柄が決定されるようになっており、図柄乱数とテーブルの比較処理自体を省略し、1のはずれ図柄を記憶するよう構成している。なお、必ず1の図柄に当選する抽選テーブルを用いてはずれ図柄に当選するように構成してもよい。
【0261】
(変動パターン抽選)
「変動パターン抽選」は、特別図柄の抽選結果である停止表示図柄を停止表示するまでの変動表示時間を抽選により決定する処理である。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出表示装置P80において大当りであるか否か、大当りである場合について大当りの種類は何かに関する演出報知を行うため必要な演出時間として特別図柄抽選において、特別図柄の変動表示時間を後述する変動パターンテーブルを使用して決定する処理を行っている。
【0262】
図12には、主として通常遊技状態(低確率/低ベース中)、低ベース状態(非電チューサポート状態)、すなわち前提とするぱちんこ遊技機Pにおいて遊技盤の左側領域P501Lに遊技球を発射することが推奨される状態の「低ベース中変動パターン抽選テーブル」を表している。
【0263】
図12に示される、「ID」は、変動パターン抽選を行った結果として記憶される情報を表しており、「変動パターン」は、同IDが当選した場合に演出表示装置P80にて表示される変動の演出の態様の代表例を示している。「変動時間」は、対象の変動パターン抽選の結果(変動パターンID)における特別図柄の変動表示時間値であり、特別図柄が変動表示してから停止表示されるまでの時間を表している。
【0264】
図12における「保1変動」から「保4変動」は、特別図柄抽選の実行条件を満たした状況における保留数を示しており、当否抽選結果が「はずれ」であり、対象の特別図柄(ここでは第1特別図柄)の保留球がN個であったとき、「保N変動」の変動パターンテーブルを使用して変動パターン抽選が実行される。すなわち、低ベース状態における第1特別図柄の変動パターン抽選は、保留数に依存して使用する変動パターンテーブルを異ならせるように構成されている。なお、保留がない状態において、始動入賞口へ遊技球が入球した場合は、処理上一旦保留として格納されるため、「保1変動」の変動パターンテーブルを使用して変動パターン抽選が実行される。
【0265】
一方
図12中に示すように第2特別図柄に対応する変動パターン抽選は保留数に非依存であり、いかなる保留数である場合においても共通の抽選テーブルを使用するよう構成されている。なお、不図示ではあるが、図柄抽選の結果「はずれ2(リーチはずれ図柄)」が決定されている場合は、第1特別図柄の変動パターン抽選であっても、保留数に依存しない1の変動パターンテーブル(はずれ2用変動パターンテーブル)を使用して変動パターン抽選を行うよう構成されている。
【0266】
図12における「10R確変」、「5R確変」、「10R通常」、「5R通常」は、低ベース状態における、大当り時の変動パターン抽選に使用する変動パターンテーブルを示すものであり、当否抽選結果が「大当り」となり、図柄抽選結果がいずれの図柄であるかに応じて適宜変動パターンテーブルを選択して抽選が行われることを表している。
図12では、第2特別図柄は低ベース状態における遊技の主体でないために、大当り変動パターンテーブルを大当り図柄に依存しない形で決定するように表現しているが、第2特別図柄の大当りについても、大当りの種別に応じて複数パターン有していてもよい。
【0267】
ここで、
図12を用いて、低ベース状態における変動パターン抽選の具体例を説明する。具体例として、第1特別図柄の抽選であって、変動パターン乱数が「30000」、変動開始時の保留球数が3個である状況(変動開始後は保留数2個となる状況)であって当否抽選結果および当り図柄抽選が「はずれ1」となる状況について説明する。
【0268】
まず、変動開始時の保留数が「3」であることから「保3変動」の変動パターンテーブルを使用する。抽選処理は前述した当否抽選における抽選処理と同様、変動パターン乱数と、各抽選結果の変動パターンIDに対応する乱数値範囲を比較演算(減算)し、同範囲に乱数が属するか否かを判定する。本処理を行うことによってID「2」の通常変動Bのタイミングで、変動パターン乱数と乱数値範囲との比較演算を繰り返した結果が負の値となり、同IDが変動パターン抽選として決定され、特別図柄の変動表示として7秒の変動表示が行われた後、第1特別図柄表示装置P51にはずれ図柄1が表示されることとなる。
【0269】
続いて、
図13を用いて高ベース状態における変動パターンテーブルについて説明する。高ベース状態における変動パターンテーブルの構成は、
図12に示した低ベース状態における変動パターンテーブルと対象的な構成となっており、第2特別図柄に対して保留数依存となるはずれ時の変動パターンテーブル、大当り時の大当り図柄別テーブルを有するように構成されている。なお、
図12と
図13にて、多くの変動パターンが共通して決定され得るように構成されているが、これは説明を簡略化する目的でもあり、低ベース状態と高ベース状態とで決定される変動パターンの重複はごく少数であったり、全く重複しないように構成することも可能である。
【0270】
また、高ベース状態における変動パターンテーブルの特徴として、はずれ時の第2特別図柄の「保3変動」および「保4変動」の抽選結果として、前提とするぱちんこ遊技機Pの最短変動時間となる2秒変動(変動パターンID「12」)が決定可能に構成されている。
【0271】
さらに高ベース状態における変動パターンの特徴点として、第1特別図柄の抽選については、必ず変動パターンID「4」の10秒変動が決定されるよう構成されている。第1特別図柄を10秒の変動で構成する理由として、
図11に示した大当り図柄抽選テーブルにて、大当りした場合の遊技者利益が大きい(実行ラウンドが多いことによる獲得出玉期待値が高いこと、特定遊技状態として確率変動状態に移行する大当り図柄が多いこと)ことに起因しており、第2特別図柄に対応する変動表示を優先して数多く実施することで、遊技者により有利な大当りを獲得可能とすることを目的としている。また、第1特別図柄と第2特別図柄の大当り遊技の有利度合いに差がほとんどない場合であっても、第2特別図柄優先消化制御を採用していることに基づいて、第1特別図柄が変動表示されることを避け、有利な状態である特定遊技状態(高ベース状態)が終了するまで、通常遊技状態(低ベース状態)にて成立した保留を保持しやすく、高ベース状態において第2特別図柄の保留を発生するのに使用する遊技球の量に対し、低ベース状態で第1特別図柄の保留を生起させるために多量の遊技球を要することを避ける目的もある。
【0272】
図14は、限定期間における特殊テーブルを示す図であり、特定の期間において参照される特殊な変動パターンテーブルを表している。
図14には、前提とするぱちんこ遊技機Pに備えられる特殊な変動パターンテーブルの一例として、3つの期間の特殊な変動パターンテーブルを包括して記載している。
【0273】
より具体的には、
図14には、大当り後の1変動目から4変動目までの期間(大当り時に存在する4つの保留で大当りとなる、いわゆる「保留連」(保留内連荘)と呼ばれる期間)に参照する「保留内連荘テーブル」(ID「51」、「71」が対象)と、大当り後のn回目からm回目の変動において参照され、55秒となるリーチ変動が選択されやすい高頻度リーチテーブル(ID「52」、「53」、「54」、「72」が対象)と、高ベース状態の最後の変動表示にて参照され、主に後述する「リザルト演出」が実行されることとなる「リザルト変動テーブル」(ID「55」、「73」が対象)が、前提とするぱちんこ遊技機Pに備えられていることが示されている。
【0274】
このように、限定的な期間に参照される特殊な変動パターンテーブルのことを、「特殊変動パターンテーブル」や「限定頻度(パターンテーブル)」などと称する。
【0275】
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、限定頻度パターンテーブルの参照期間を、大当り遊技(特別電動役物の作動、言い換えると役物連続作動装置の作動)の後の定められた期間において参照可能に構成している。これらの参照期間について、大当りの種類(大当り図柄)によって、参照有無を異ならせたりすることも可能であり、小当り遊技に基づく特別電動役物の作動後の特定の期間において、参照する期間を異ならせるように構成することも可能である。いかなる状況でどのような特殊変動パターンテーブルを参照するかは、ぱちんこ遊技機毎に適宜設定可能なものであり、例示したものに限らず、必要があればその詳細を別途の記載で説明することとする。
【0276】
次に、前提とするぱちんこ遊技機Pにおける演出動作に係る制御を行う演出制御基板P41の制御に関する説明を行う。なお、演出制御基板P41の動作制御は、遊技機の型式試験上における制約は少なく、主制御基板P40の制御と比較して設計の自由度が高いものであるため、以下の説明で説明される処理のみに制限されるものでなく、処理が行われるタイミングについても適宜変更可能である。
【0277】
[演出制御基板の電源投入処理~メインループ処理]
前提とするぱちんこ遊技機Pは、遊技機の電源が投入されると演出制御基板P41のCPUにおいて、電源投入処理(ステップ4000)が実行する。ここで、演出制御基板P41の電源投入処理に関し
図15に沿ってその詳細を説明する。
【0278】
前提とするぱちんこ遊技機Pの演出制御基板P41において電源投入処理(ステップ4000)が開始されると、演出制御基板P41上に設けられた演算装置であるCPUの動作に係る初期設定処理が行われる(ステップ4002)。初期設定処理は、この後のCPUの動作に必要な設定を適宜行うものであり、その詳細は割愛するが、前回の電源断が発生した状態で実行されていた演出に関し、主制御基板P40の電源投入処理(
図7)と演出制御基板の電源投入処理(
図15)の完了には時間差が生じるため、電源復帰後に電断前の演出に復帰してしまうと、主制御基板P40の動作とずれが発生する虞があることから、演出制御基板P41の電断復帰時の初期処理では、電断前に実行していた演出が実行されないよう演出情報などを初期化することが多い(「演出制御基板リセット」、「サブリセット」と呼ぶ)。
【0279】
(演出制御基板のメインループ)
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、初期設定処理の後にメインループ処理へ移行する。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出表示装置P80(画像表示装置)に対して接続する画像制御基板P42において演出画像を描画する周期(フレーム)の時間が、1秒間に30回描画するよう1周期約33ms(30FPS)に設定されるため、そのおよそ半分の周期である16msの周期にてメインループ処理のループを1回行うように構成されている(ステップ4002からステップ4016)。
【0280】
演出制御基板P41のメインループ処理では、まずCPUの暴走の検出を行うためのウォッチドッグタイマのクリア処理を行う(ステップ4004)。
【0281】
続いて、演出制御乱数データを更新する処理(ステップ4006)を行い、演出抽選を実行する契機が発生した場合に使用する各種の演出制御乱数を更新する。
【0282】
次に、入力ポート監視処理を実行する(ステップ4008)。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、後述する演出制御基板P41の割込み処理中においても入力ポートの監視を実行する仕様となっているが、メインループ処理における入力ポートの監視処理は、16ms周期の監視となるため、システム上必要な監視対象であるスイッチなどの入力の監視にとどまり、演出可動役物P560の演出制御に必要なセンサ類などの入力の監視は省略される。なお、変形例として、演出上監視すべき対象であるセンサ類に関し、メインループ処理内の入力ポート監視処理にて確認を行ってもよい。
【0283】
入力ポート監視処理で実行する内容は、主制御基板の入力ポート確認処理と同様、各種センサの入力データより、レベルデータを生成して記憶したり、立ち上がり(立ち下がり)データを記憶する処理が実行される。
【0284】
続いて、演出制御基板P41は、演出装置制御処理(ステップ4010)を行い、演出表示装置P80(画像表示)以外の演出動作に関する制御を実行する。本処理において制御される演出装置として、ランプP82(「盤ランプ(P550)」「枠ランプ(P350)」)やスピーカP83(上スピーカP370、下スピーカ141)、演出可動役物P560などがあり、これらの演出装置に対して後述する演出制御処理(ステップ4012)などの処理によって実行が決定された演出内容に応じた演出動作命令を各演出装置に送信して演出動作を実行させる。
【0285】
演出装置制御処理(ステップ4010)における各種演出装置に対する演出動作命令の出力は、演出表示装置P80(画像表示装置)にて表示される演出画像と同期して実行(開始)される必要があるため、演出表示装置P80の制御を行っている画像制御基板P42から演出制御基板P41に対して一定間隔で送信される信号や、強制的に同期を図る信号を受信したこと(前述した入力ポート監視処理での受信)を契機として、演出表示装置P80の演出切り替わりタイミングとの同期を図り、各種演出装置に対して演出動作命令の出力を行う。
【0286】
なお、演出装置の内、演出可動役物P560の動作制御に関しては、演出可動役物P560の駆動手段に対して、より短い周期での制御が必要となることから、本処理において設定された演出動作命令にて実行されることとなる演出可動役物P560の動作パターンについて、後述する演出制御基板P41の割込み処理中(
図16参照)においてもセンサの監視、動作切り替えが実行される。
【0287】
次に、演出制御基板P41のメインループ処理で実行される演出制御処理(ステップ4012)に関して説明する。演出制御処理は、後述する演出制御コマンド解析処理で主制御基板P40から受信した演出制御コマンドを解析した結果に基づき成立したフラグや受信した演出制御コマンド自体の情報(特別図柄抽選の抽選結果IDなど)、入力ポート監視処理(ステップ4008)、割込み処理(
図16)等の他の処理中に成立したフラグを基に、各種演出装置で実行する演出内容を抽選したり選択することで決定する処理である。
【0288】
演出制御処理は、各フラグ情報やコマンド解析情報を基に実行すべき演出決定の処理を選択し、対応する演出決定のためのサブモジュール処理を呼び出して実行する。ここで決定される演出内容の例として、特別図柄抽選の実行結果に係るコマンド(当否コマンド、図柄コマンド、変動パターンコマンド)を基に1回の特別図柄の変動に対応する変動演出を決定する処理(予告やリーチの内容、停止する装飾図柄の決定などを行う処理)や、保留が発生した際に送信される保留数情報や事前判定情報を基に新たに発生した保留に対し先読み演出(「事前判定演出」とも呼ぶ)を実行するか否かを決定する先読み抽選処理や、特別遊技(大当りや小当り)の実行に際し演出制御コマンドとして送信された情報に基づき特別遊技中の演出内容を決定する特別遊技演出内容決定処理などがある。
【0289】
また、演出制御処理は、主制御基板P40から送信された演出制御コマンドに対する処理のみでなく、演出制御基板P41でエラーを検出した場合のエラー表示内容の決定処理(主制御基板から送信されたエラー情報に基づくエラー表示内容の決定処理を含む)や、遊技者によって演出操作手段P81である演出ボタンP381、十字キーP383などの入力操作に基づいてスピーカP83から出力される音量の調整や、ランプP82の発光輝度を変更する光量調整、演出内容および演出内容決定傾向のカスタマイズといった演出内容の決定も実行する。
【0290】
なお、演出制御処理で呼び出されるサブモジュール処理にて行われる各種の演出内容の決定処理については、遊技機毎に固有の仕様を用いられることが多いため、説明を割愛し、発明の対象となるぱちんこ遊技機Pにおいて特徴を有する処理を実行する場合には、発明の対象となるぱちんこ遊技機Pの実施例の説明にてその詳細を説明することとする。
【0291】
演出制御基板のメインループ処理の説明に戻り、メインループ処理の最後の処理として演出制御コマンド解析処理(ステップ4014)を説明する。
【0292】
演出制御コマンド解析処理は、主制御基板P40から送信された演出制御コマンドとして記憶されている情報を基に、前述した演出制御処理において演出内容の決定に使用するための演出制御コマンドに対応する情報の記憶や、フラグの設定を行う。本処理は、主制御基板P40から送信されたコマンドに応じて処理内容を決定する必要があり、演出制御コマンドであるMODEデータ、EVENTデータの内容より処理内容を決定して、演出制御コマンドに応じた処理が実行される。
【0293】
なお演出制御コマンドは、主制御基板P40の割込み処理毎(4ms毎)に1のコマンド(MODEデータとEVENTデータ)が送信される可能性があるため、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出制御基板P41のメインループ処理の周期(16ms)が経過するまでの間、処理可能な限り演出制御コマンドの解析を繰り返し実行する(ステップ4016)。
【0294】
[演出制御基板の割込み処理]
次に、演出制御基板P41のCPUにおいて実行される割込み処理に関して説明する。演出制御基板P41における割込み処理は、主制御基板の割込み処理とは異なり、異なる実行契機で開始される複数の割込み処理を有している(
図16(A)および(B)を参照)。なお、これらの複数の割込み処理には、優先度が設定されており、より上位の優先度の割込みが発生した場合には、割込み処理の実行中であっても上位の割込み処理を実行するように制御される。本説明においては、代表して演出制御タイマ割込み処理(
図16(A))と、演出制御コマンド受信割込み(
図16(B))とについて説明を行う。
【0295】
(演出制御タイマ割込み処理)
演出制御タイマ割込み処理(
図16(A))は、演出制御基板P41のCPUにおいて、1ms周期で実行される割込み処理である。
【0296】
ポート入出力処理(ステップ5002)は、演出制御基板P41の入力ポートより、演出可動役物P560の位置検出のために設けられたセンサや、他のセンサ(演出操作手段P81の入力センサ)の入力からレベルデータ、立ち上がりデータを生成して記憶する処理や、出力ポートより、演出装置制御処理にて設定された動作パターンに従って演出可動役物P560の駆動手段(ソレノイドやステッピングモータなど)に対して駆動信号を出力する処理が実行される。また、出力ポートからデータ出力を行った際には、必要があれば出力回数をカウントするカウンタ(記憶領域)のデータを更新する。
【0297】
タイマ更新処理(ステップ5004)は、演出動作の切り替えタイミングを計るタイマの減算や加算を行う処理である。各タイマに関し更新処理が終了すると、比較値との比較演算を行い、演出動作の切り替え条件が発生したか否かを判断し、演出制御処理(ステップ4012)において演出内容の決定に必要な情報やフラグを記憶領域に記憶する処理を行う。
【0298】
センサ監視処理(ステップ5006)は、ポート入出力処理にて生成したセンサの検出データより、演出可動役物P560の演出動作切り替え条件が成立したか否かなど、演出動作の切り替えに係るセンサ検出情報の発生有無を判断し、動作パターンのテーブルを切り替える処理を行ったり、演出制御処理(ステップ4012)にて演出内容を決定するための条件フラグを立てる処理を行う。
【0299】
演出ボタン監視処理(ステップ5008)は、演出操作手段P81である演出ボタンP381やレバーP382、十字キーP383などの入力に基づく演出の切り替え条件の成立有無を判断する処理である。演出ボタン監視処理では、ポート入出力処理(ステップ5002)において生成された各入力装置の入力状態を示すレベルデータや立ち上がりデータ(前回オフから今回オンへレベルデータが変化したことを示すデータ)より演出操作手段P81に対する操作有無、操作態様を判断する。
【0300】
例えば、演出操作手段P81に対する入力情報として、立ち上がりデータが生成されている場合には演出操作手段P81に対する遊技者操作があったものとして、対応する演出の実行のためのフラグなどの情報を記憶する。なお、立ち上がりデータのみで入力を判断すると電気的なノイズにより誤検出して演出動作の切り替えが行われる可能性があるため、立ち上がりデータの発生後、複数回のレベルデータ(オンデータ)の入力が連続したことを契機として演出操作手段P81に対する遊技者操作(「単押し(単引き)操作」、「一撃操作」と表現する場合がある)と判断してもよい。
【0301】
また、オン入力のレベルデータが連続して500回検出された場合、すなわち0.5秒に渡って演出操作手段P81が操作されたと判断した場合、「長押し(長引き)」操作と判断し、特殊な操作として扱うよう構成している。なお、「長押し(長引き)」操作の有無、継続の判断において立ち下がりデータ(前回オンから今回オフへレベルデータが変化したことを示すデータ)が電気的にノイズとして検出される場合があるが、この場合も前述した誤検出防止の対策と同様に立ち下がりデータの検出後、複数回のレベルデータ(オフデータ)の入力を検出したことに基づいて、「長押し(長引き)」操作の入力終了を判断するものとしてもよい。
【0302】
そして、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、実行中の演出内容によっては、演出ボタンP381に対する「長押し」操作の実行により、一定周期毎(例えば0.3秒毎)に1回の演出操作手段P81の「単押し(単引き)」入力操作があったと見做す処理を繰り返して行わせることを可能としており、このように「長押し(長引き)」操作などの特殊な操作を契機として、「単押し」操作が行われたと見做して繰り返し処理が実行されることを「オート連打」操作と呼ぶ。なお、「オート連打」操作は、例示した操作内容に限らず、複数の演出操作手段P81を同時操作するものや、演出ボタンとは異なるスイッチとして設けられたディップスイッチなどのオンオフ操作することで、演出ボタンP381の入力に基づき「オート連打」操作が実行されたと見做す手法を採用することも可能である。
【0303】
なお、演出操作手段P81に対する入力は、演出の実行状況によって、有効操作として扱う期間(「操作有効期間」)と、無効操作として扱う期間(「操作無効期間」)とが存在する。
【0304】
マルチタスク処理(ステップ5010)は、演出制御タイマ割込み処理が実行される毎に更新されるタスクカウンタ(値「0」~「15」の間で更新)の値に応じて、今回発生した演出制御タイマ割込み処理中で実行する処理内容を異ならせて行う処理である。タスクカウンタが16ms周期で循環するように構成されており、メインループ処理の1周期とほぼ同期して各カウンタ値における処理が実行されるように構成されている。各タスクにおける処理の一例としては、画像制御基板P42の動作が実行できるか否かを画像制御基板P42から送信される信号(ポート入出力処理にて入力情報を生成)を基に判断し、画像制御基板P42の動作状況を監視する処理が行われる。
【0305】
画像制御コマンド送信処理(ステップ5012)は、画像制御基板P42のCPUに対して演出制御処理P41にて決定した演出内容に応じた画像表示を実行させるべく、画像制御コマンド(「サブ間コマンド」と呼ぶ場合もある)を画像制御基板P42のCPUに対して送信する処理である。なお、画像制御基板P42と演出制御基板P41は同一の基板で構成してもよいが、本明細書内では便宜的に画像制御基板P42として記載する。
【0306】
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出制御基板P41は、画像制御コマンドを表示内容の種類を示す第1コマンドと、表示内容のパターンを指定する第2コマンドとで構成し、画像制御基板P42に送信する構成となっている。
【0307】
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出制御タイマ割込み処理にて画像制御コマンドを送信する構成となっているが、演出制御基板P41と画像制御基板P42との間におけるコマンドの送受信に関して、別途割込み処理を設けて送受信を行うように構成することも可能である。
【0308】
(演出制御コマンド受信割込み)
演出制御コマンド受信割込み(
図16(B))は、主制御基板P40の割込み処理(
図9)中の演出制御コマンド送信処理(ステップ2040)においてストローブ信号が出力され、当該ストローブ信号を演出制御基板P41が受信した場合に発生させる割込み処理である。
【0309】
演出制御基板P41は、演出制御コマンド受信割込みを開始すると、主制御基板P40の出力ポートより送信される演出制御コマンド(MODEデータまたはEVENTデータ)を読み取り、一時バッファデータを更新して記憶する(ステップ5502、ステップ5504)。
【0310】
一時バッファデータの更新が終了すると、1の演出制御コマンド(MODEデータとEVENTデータの組み合わせ)の受信が完了したか否かを判断する(ステップ5506)。なお、主制御基板P40から送信される演出制御コマンドは、1バイトデータのうち、特定のビットが「1」「0」で構成されている。
【0311】
前述したステップ5504の一時バッファデータ(2バイトデータ記憶領域)の更新に際しては、通常下位の1バイトの記憶領域に今回受信した演出制御コマンドの内容を記憶する処理を行う。このとき、更新前に現在の一時バッファデータの記憶領域の下位1バイトのうち特定のビットの部分がMODEデータであることを示す場合、一時バッファデータの記憶データを上位の1バイト記憶領域にシフトさせて記憶させた後、今回受信したEVENTデータを一時バッファデータの下位の1バイトの記憶領域に記憶する処理が行われる。
【0312】
そしてステップ5506の演出制御コマンドの受信完了の判断においては、一時バッファデータの下位1バイトのうちの特定のビットがEVENTデータを示すデータであるか否かを判断し、EVENTデータであると判断した場合には、1の演出制御コマンドの受信が完了したもの(ステップ5506YES)として次の処理に進み、MODEデータであると判断した場合(ステップ5506NO)には、主制御基板P40からEVENTデータの送信に基づくストローブ信号を受信するまで、演出制御コマンド受信割込みを抜け、他の処理を行って待機する。
【0313】
ステップ5506において、演出制御コマンドの受信が完了したと判断した場合、送られた演出制御コマンドが正常なものであったか否かを判断する(ステップ5508)。この処理は、例えば、主制御基板P40から送信され得る演出制御コマンドの一覧データの中に一致するデータが存在するか否かを基に判断される。そして、正常なコマンドであると判断された場合には、演出制御タイマ割込み処理中の演出制御コマンド解析処理にて解析されるように受信した演出制御コマンドを記憶するための記憶領域に記憶し、異常データの場合には一時バッファデータを破棄する。
【0314】
[基本的な画像表示の演出例]
次に、
図17から
図20を用いて、前提とするぱちんこ遊技機Pにおける基本的な演出に関して説明を行う。
図17は、通常遊技中(低確率/低ベース中)の図柄変動表示(装飾図柄の停止表示中)を表した図であり、
図18は大当りとなる期待度が高いリーチ演出が行われている状況を表した図である。
図19は、大当り遊技を実行している状態を表した図であり、
図20は特定遊技状態中(高確率または低確率/高ベース)である電チューサポート機能の作動中の遊技演出を表した図である。
【0315】
(通常遊技状態の演出表示例)
《装飾図柄》
図17は、通常遊技中(低確率/低ベース中)の図柄変動表示(装飾図柄の停止表示中)を表した図である。画面の略中央領域に3つの数字が遊技者に対して明瞭に確認できる態様にて表示されている。この3つの図柄は「装飾図柄(P801)」(「装図」とも呼ぶ)と呼ばれており、特別図柄抽選の結果に対応して表示される演出的な表示物であり、特別図柄の変動表示に合わせて変動表示される。なお、
図17中では数字のみで表現しているが、各数字にキャラクタ画像などの装飾画像を伴って表示される場合もある。また、各数字に装飾画像を伴って表示するよう構成する場合には、遊技状態によって装飾画像や各数字の表示態様を相違させてもよい。そのように構成することによって、遊技者は現在の遊技状態を判別し易くなる。
【0316】
装飾図柄P801は、特殊な演出を行っている場合を除いて特別図柄の変動表示1回(特別図柄抽選1回)に対して、1度の演出としての変動表示が行われる。なお、不図示であるが、装飾図柄P801の変動表示が行われる際には、装飾図柄が高速で変動表示(場合によっては透過表示や非表示となる)され、アニメーションや演出効果の画像による「予告」と呼ばれる演出により、大当り遊技の権利獲得の期待感を高める演出を行う。
【0317】
図17に示す装飾図柄P801は、変動表示が開始されると上下方向(上から下方向)にスクロール表示された後、左図柄(P801a)、右図柄(P801c)、中図柄(P801b)の順に図柄列毎に、演出制御基板P41で決定された停止表示図柄が停止表示される。一般的には、3つの装飾図柄P801が同一の態様(ぞろ目)で停止表示された場合に、大当りであることを演出的に報知するものとなっている。また、1の図柄が変動表示を行う一方で他の図柄が表示されている状態、例えば、最後に停止する図柄(「最終停止図柄」とも呼ぶ)である中図柄P801bが停止する前に左図柄および右図柄が同一の図柄で表示(仮停止表示)されている状態のことを「リーチ」(「リーチ状態」「リーチ態様」)と呼ぶ。
【0318】
装飾図柄P801の変動表示は、上下方向(上から下方向)にスクロール表示する態様で表示されることが多いが、変動表示の態様は上下方向に限らず、左右方向や奥行きを使って前後(斜め)方向にスクロール表示動作を行うものであってもよいし、スクロールせずにその場で回転動作を行うとともに順番に切り替え表示がされるものであってもよい。
【0319】
また、装飾図柄P801は1回の特別図柄の変動表示中において、複数回の停止表示を行う場合を有している。この時、複数回の停止表示に際して、特別抽選の結果を示す停止表示は、特別図柄の停止表示図柄が特別図柄表示装置に停止表示されるタイミングと同時期に表示される停止表示であり、それ以外のタイミングにおける停止表示を「仮停止(表示)」という。なお、特別図柄の停止表示と同時期の停止表示ついては、「本停止」と表現する場合がある。
【0320】
装飾図柄P801の仮停止が行われた際には、最終的な図柄の停止表示(本停止)と区別するため、装飾図柄P801を完全に固定せず、固定したと認められない程度に一時停止させたり、上下あるいは左右などの方向に動作したり、1の回転軸を中心に揺れ動作を行ったりするように構成される。このような状態のことを仮停止の他に「揺れ変動」などと表現する場合がある。
【0321】
装飾図柄P801が仮停止表示された後は、再び変動表示を繰り返す場合があり、一般的に大当り図柄以外の図柄が仮停止した状態からの再変動を「擬似変動(擬似連)」演出と呼び、大当り図柄の停止後に停止表示される大当り図柄を変更する場合がある再変動を「昇格(変動)」演出と呼ぶ。なお、昇格演出を実行する場合には、停止した大当り図柄よりも不利な大当り図柄には変更しないよう構成したり、はずれ図柄に変更しないよう構成してもよい。
【0322】
また、装飾図柄P801の停止表示に際して、通常の変動表示中は表示されておらず、一部の演出を実行する場合にのみ表示される特殊な装飾図柄の一種があり、これを「特殊装図(P804)」(特殊図柄)と呼ぶ。特殊装図は、それぞれの図柄に意味があり、例えば特定の大当りが実行されることを示唆したり、前述した擬似変動演出を行うことを示唆したり、特定のリーチ演出(リーチ態様となった場合に表示される予告演出)が実行されることを示唆するものなどが挙げられる。特殊図柄を用いる場合には、最後に仮停止する装飾図柄(中図柄P801b)として特殊図柄を仮停止させてもよいし、左図柄P801a、中図柄P801b、右図柄P801cのすべてを代用する1つの装飾図柄として特殊図柄を仮停止させてもよい。
【0323】
《簡易装図(ミニ装図)》
画面右上には、装飾図柄P801と同一の態様にて表示される3つの数字が表示されている。この図柄は「簡易装図(P802)」(「簡易図柄」)や「ミニ装図」とも呼ばれ、前述した「装飾図柄」同様特別図柄の変動表示に合わせて、特別図柄の抽選結果を示す表示物として表示される。
【0324】
簡易装
図P802(ミニ装図)は、「装飾図柄」と異なり、装飾図柄P801が停止表示されない特殊な演出が行われている場合であっても、特別抽選の結果を示す特別図柄が特別図柄表示装置P51、P52に表示されるのに合わせて、特別図柄抽選1回に対して必ず1回の停止表示を行う。
【0325】
また、簡易装
図P802の変動表示は、前述した装飾図柄P801がリーチ態様となった場合に、同一のリーチ態様を形成するように構成してもよいし、特別図柄抽選の結果を報知するという最低限の目的を達成するために、装飾図柄P801とは無関係に特別図柄の変動表示が停止表示状態となるまで一定の表示切り替えを行う、といった簡略的な変動表示とする手法を採用してもよい。
【0326】
《保留表示領域》
図17の下部領域には、保留表示領域P810が設けられている。保留表示領域P810には、遊技者が獲得した特別図柄抽選の権利として、未行使の権利に対応する保留(乱数値)に対応した保留オブジェクトP811が表示される。
図17の例では、特別図柄抽選の権利が3つ保留されている状態を示している。
【0327】
図17の例では、特別図柄抽選の実行時期が早い保留(すなわち先に発生した保留)であるほど、画面下部の略中央方向に近い位置に表示されるようになっており、保留表示領域P810の最も右側に位置する保留オブジェクトの表示位置を「保1(表示領域)」と呼び、画面左側に向かうにつれて「保2(表示領域)」、「保3(表示領域)」、「保4(表示領域)」と呼ぶ。
【0328】
また、保留表示領域P810の右側近傍には、保留表示領域P810の保留オブジェクトP811と略同一態様のオブジェクトが一段高い位置に保留オブジェクトP811より大サイズに表示されている。本表示領域は、現在の特別図柄変動表示の開始契機となった乱数値に対応した保留表示を保留表示領域から継続して表示するものであり、「当該変動オブジェクト表示領域(P812)」と称する。また、当該変動オブジェクト表示領域P812に表示されるオブジェクトを「当該変動オブジェクト(P813)」と呼ぶが、「当該保留表示」などと称する場合があり、保留表示領域P810の保留オブジェクトP811と差別化するために「当該」という頭文字をつけている。
【0329】
なお、当該変動オブジェクト表示領域P812における当該変動オブジェクトP813の表示態様は、保留オブジェクトP811と完全に同一に構成する必要はなく、変動開始に伴いある保留表示が当該変動オブジェクト表示領域P812に移動表示する際に、形状が変化したり、消失(非表示)となったりする場合があってもよい。また、当該変動オブジェクトP813についても、後述する保留変化先読みにおける保留表示と同様に表示態様が変化し得るよう構成してもよい(例えば、変動表示の途中のタイミングでオブジェクトの形状や色が変化する)。
【0330】
《簡易保留表示》
画面左側の高さ方向略中央位置には、2つの数字が縦方向に並んで表示されている。この2つの数字は、現在の第1特別図柄の保留数および第2特別図柄の保留数を表しており、「簡易保留表示(P814)」と呼ばれる。
図17中の例では、第1特別図柄の保留数を上に表示される数値「3」で示しており、第2特別図柄の保留数を下に表示される数値「4」で示している。
【0331】
(先読み演出)
《保留変化先読み》
また、
図17においては、保留表示領域P810における保3表示領域の保留オブジェクトP811が、保2、保1の表示領域における保留オブジェクトP811とは異なる態様で表示されている。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、保3の保留オブジェクトP811の表示態様の方が保2の保留オブジェクトP811の表示態様よりも大当りとなる可能性が高くなるよう構成されている。このように、特定の保留に対して、保留オブジェクトP811の表示態様を変化して表示させる演出のことを「保留変化(先読み)」と呼んでいる。
【0332】
なお、
図17に例示した態様のみに限らず、複数種類の変化態様を有し、そのそれぞれに対して大当りとなる可能性(期待度)が異なり得るように構成し、段階的に保留オブジェクトP811の表示態様を変化させていってもよい。
【0333】
また、「保留変化(先読み)」に限らず、保留として記憶されている乱数値に対して演出の実行対象として決定した場合に、演出の実行対象となった保留に対応した変動表示が開始されるよりも前に、先んじて演出の実行対象となった保留の大当りとなる可能性が高いことを示唆する演出のことを「先読み演出」(「事前判定演出」と称する場合もある)と呼んでいる。
【0334】
そして、「先読み演出」を実行する場合に、演出の実行対象となった保留として決定された保留のことを、「先読み対象保留」、「トリガ保留」、「犯人保留」などと称する場合があり、先読み対象保留に基づく特別図柄の変動表示のことを「先読み対象変動」、「トリガ変動」、「犯人変動」などと称する。
【0335】
ここで、「先読み演出」として、前提とするぱちんこ遊技機Pで採用し得る代表的なものをいくつか例示する。
【0336】
《チャンス目先読み》
「チャンス目先読み」は、先読み対象変動の変動が開始されるまでの装飾図柄P801の変動表示において、予め定められた法則に則った装飾図柄P801の停止表示図柄が停止表示(または仮停止表示)される演出である。チャンス目として予め定められる装飾図柄P801の停止表示態様の法則の一例としては、(ア)装飾図柄の数字部分の色合いが同一の図柄のみの組み合わせによってはずれ図柄が停止表示される場合、(イ)「1」「2」「3」や「5」「4」「3」など、装飾図柄の停止図柄が順番に並ぶ(順目、逆順目)など規則的な停止表示態様で表示される場合、(ウ)「7」などの特別な数字又は「先」などの数字とは異なる図柄が、中図柄の停止表示図柄として停止表示される場合、などが挙げられる。
【0337】
《演出可動役物先読み》
「演出可動役物先読み」は、遊技盤P5または枠(ガラス枠P3)に設けられた演出可動役物P560または枠可動役物P360(前提とするぱちんこ遊技機P1のレバーP382など)を、先読み対象変動の変動表示が開始されるまでの変動、あるいは先読み対象変動まで跨いで、変動開始から演出動作パターンに従ってにぎやかし動作させる演出である。
【0338】
《ゾーン移行先読み》
「ゾーン移行先読み」は、先読み対象変動が開始される前の特別図柄の変動表示において、特殊な演出モード(「ゾーン」と呼ばれる)へ移行させ、先読み対象変動となる変動表示までの間、特殊な演出モードに対応した予告演出を実行させるための予告抽選を実行することで、大当りの可能性が高いことを示唆する先読み演出である。例えば、「通常背景を表示→先読み時背景を表示→大当り」となったり、「通常背景を表示→先読み時背景を表示→はずれ図柄が停止して通常背景に戻る」となる。
【0339】
(リーチ演出の実行時の表示例)
続いて、
図18は大当りとなる期待度が高いリーチ演出が行われている状況を表した図である。「リーチ演出」は、前述したように、1の装飾図柄(中図柄P801b)以外の装飾図柄(左図柄P801a、右図柄P801c)が同一態様で表示されている状況であり、あと1つの図柄が同一態様で停止すれば大当りとなることが報知される状態における演出のことを言う。
【0340】
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、多くの場合、リーチ演出を経由して3つの装飾図柄P801が同一の停止表示態様となることで大当りを報知する仕様となっている。
【0341】
図18の例では、装飾図柄の左図柄P801aと右図柄P801cが「5」で表示されており、変動中の中図柄列の図柄として「4」、「5」、「6」が表示されている状況であり、「4」図柄が激しく振動し、「5」に切り替われば大当りとなる状況を示している。
【0342】
ここで、
図18の例では、装飾図柄の左図柄と右図柄である「5」の表示が、
図17の停止表示時の装飾図柄P801よりも小さく表示されており、変動表示中の中図柄列の装飾図柄P801bを停止表示時の装飾図柄P801よりも大きく表示し、強調表示している。この時の左図柄P801a、右図柄P801cに対応する小さく表示された装飾図柄を「退避図柄(P803)」や、「リーチ図柄」などと呼ぶ場合がある。リーチ演出では、図示した例以外にも、装飾図柄の変動表示に伴って表示される予告演出(リーチ演出)のアニメーションの結末がどのような結末になるかによって大当りとなるか否かを報知する場合もあり、すでに仮停止表示された左図柄P801a、右図柄P801cを退避図柄P803小さくして表示する(あるいは非表示とする)ことで、遊技者に注目させたい演出の視認性を高めるようにしている。
【0343】
また、装飾図柄P801の表示数を3つとしない遊技機なども知られており、同時に複数列のリーチ態様を形成するマルチラインリーチなども存在するが、その詳細に係る説明は割愛する。
【0344】
リーチ演出の例外として、3つの装飾図柄P801の全てが同一の態様で同期して変動表示される「全回転リーチ」と呼ばれるリーチ演出が存在する。リーチ演出の基準である「1の装飾図柄以外の装飾図柄が同一態様で表示されている状況であり、あと1つの図柄が同一態様で停止すれば大当りとなることが報知される状態」とは状況的に異なるが、全回転リーチもまたリーチ演出として当業者には認識されるものである。
【0345】
また
図18において、画面右下領域には、「演出設定表示領域(P850)」が表示されており、
図18の例では演出設定表示として音量設定表示P851が表示されている。
【0346】
演出設定表示領域P850は、遊技機PのスピーカP83から出力される音量レベルを調整する音量設定機能や、遊技機Pの装飾ランプP82の発光輝度を調整する光量調整機能、さらには、演出モードと呼ばれる発生する予告演出の種類を変更したり、予告演出の発生頻度を変更したりする演出モード変更機能の設定状況および変更状況に係る表示を行う領域である。
【0347】
演出設定表示領域P850は、常時表示されているものではなく、遊技者が前述した各種演出設定(音量調整機能、光量調整機能、演出モード変更機能)に係る操作を実行した場合において、一時的に表示されるものであり、例えば十字キーP383の左右方向の操作により
図18に示す音量調整機能に係る演出設定表示(音量設定表示P851)を表示させることが可能である。
図18の状況において、さらに遊技者により十字キーP383の右ボタンが操作された場合には、設定されている音量レベル(図中の黒塗り領域)が増加し、音量設定値が「3」から「4」へと変化するようになっている。
【0348】
また、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、光量調整を行う場合は、十字キーP383の上下方向の操作によって変更操作が行われるように構成され、演出モード変更機能は、演出ボタンの操作に応じて演出モードを予め定められた順序で切り替える例が挙げられる。なお、これらの演出設定に係る操作は、遊技中の演出の実行との関係上異なる操作態様を採用する場合もあり、例示した設定の変更方法以外にも適宜採用可能である。
【0349】
また、演出設定表示領域P850の表示や、各種演出設定機能の利用に関し、遊技者の演出設定操作を有効とする期間、無効とする期間をそれぞれ設定することが可能であり、特に重要な演出が実行されるときには、演出設定表示領域P850を非表示とし、各種演出設定機能の利用を無効とするよう構成される。
【0350】
(大当り遊技中の演出表示例)
続いて、
図19に基づき、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいて大当り遊技を実行している状態における演出の表示態様を説明する。
【0351】
《大当りの種類を示す演出表示》
図19の画面左下および画面右上には、大当り遊技の実行契機となった装飾図柄P801の表示が行われている。画面左下は、前述したリーチ演出の実行中と同様、変動表示中の装飾図柄よりも小さい表示態様にて1の装飾図柄P801(「大当り装図(P805)」とも呼ぶ)を表示し、画面右上には、特別図柄の変動表示が終了した際に表示した簡易装
図P802を引き続き表示している。
【0352】
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、大当りの発生契機となった(大当りの発生時に停止表示した)装飾図柄P801の種類によって、遊技者に実行される大当りの種類や大当り中に獲得できる遊技球数の期待度合や大当り終了後の遊技状態(通常遊技状態)を演出的に示唆している。そのためこのように大当りの実行契機となった装飾図柄(大当り装
図P805、簡易図柄P802)を表示させておくことによって、大当り遊技中においても大当りの種類や、獲得が期待される遊技球数を示唆することを可能としている。
【0353】
また、大当りの種類を示す表示として、
図19では「ROUND6」(「ラウンド表示(P820)」と呼ぶ)という文字列の下に、五角形の盾を模したアイコン画像P821が表示されており、アイコンP821の中央に「MAX」という文字が記載されている。図中のアイコンP821では「MAX」の文字列が示唆する大当りであって、前提とするぱちんこ遊技機Pが有する最大ラウンドの大当り遊技が実行されることを示している。このアイコンP821は「大当りアイコン」や「連荘(表示)アイコン」と呼ばれ、特定遊技状態と大当り遊技が繰り返し実行される毎に、累積的に並んで表示が増加し、いわゆる「連荘」状態において何回、どのような種類の大当りを獲得したかを遊技者が理解できるように報知する演出表示である。
【0354】
なお、図示はしていないが、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、大当り開始デモ期間において実行される演出表示の「大当り開始デモ演出」において「〇〇ボーナス!」(最大ラウンド大当りを報知)や「△△チャンス」(最大ラウンドではない大当りを示唆)といった表示を行うことにより、大当りの種類を遊技者に報知する演出を実行する。
【0355】
また、例えば実行されるラウンド数が少ない「△△チャンス」などの大当りであることが示唆された場合であっても、大当りラウンド中において「エクストラボーナス!+〇ラウンド」として、大当りの実行ラウンドが実は最大ラウンドの大当りであることを報知するといった「大当り昇格演出」を実行することも可能である。
【0356】
なお、「大当り昇格演出」は、先に報知された大当りの種類よりも遊技者にとって有利となる特定遊技状態へ移行することとなる大当り遊技が実行されていることを示唆する場合にも使用されることがある。例えば、大当り遊技後に確率変動機能が作動しないことを示唆する大当り遊技(「非確変大当り」、「通常大当り」と呼ばれる)の演出から、大当り後に確率変動機能が作動することとなる大当り遊技(「確変大当り」、「特定大当り」と呼ばれる)の演出へと演出表示が切り替わる、というような演出表示が挙げられる。
【0357】
《大当り遊技の進行状況を示す演出表示》
次に大当り遊技の実行に際して、大当り遊技の進行状況を示す演出表示に関する説明を行う。
図19において、大当りの演出表示を示す演出として、画面左上の「ROUND_〇」の文字列表示で実行される「ラウンド表示(P820)」、画面右下において「TOTAL_〇〇pt」の文字列表示で実行される「獲得球数表示(P822)」、画面右側略中央の10個の円形画像オブジェクトで表示される「カウント表示(P825)」などが挙げられる。不図示ではあるが、大当り遊技中はこれらの表示に加えて「ラウンド演出」と呼ばれるアニメーションなどの画像表示が表示される。
【0358】
《ラウンド表示》
「ラウンド表示(P820)」は、大当り遊技中において、実行中のラウンド遊技(単位遊技)が何ラウンド目かを示す表示である。ラウンド遊技が開始されるタイミングで「ROUND」の右側の数値が更新される。
図19の例では、6ラウンド目のラウンド遊技が実行されている状況を示している。
【0359】
なお、「ラウンド表示(p820)」は、必ずしも実際の大当り遊技中の実行ラウンド数に同期する必要はない。例えば、前述した「小当りV」のスペックでは、小当り遊技中を1ラウンド目としてカウントして、V入賞後に実行される大当り遊技の1ラウンド目を2ラウンド目として扱うようすることがある。また、他の例では、ラウンド遊技における大入賞口P751の開放パターンが、短時間の入球容易状態への移行で終了する場合には、「ラウンド表示」の値を更新せず、大入賞口の開放パターンが長時間の入球容易状態となる場合においてのみ、実質的に実行されたラウンド「実質ラウンド」として扱う場合などがあってもよい。
【0360】
《獲得球数表示》
「獲得球数表示(P822)」は、実行中の1回の大当り遊技で累積獲得している遊技球数を表示する「大当り獲得球数表示(P823※不図示)」と、特定遊技を挟んで複数回の大当りにおいて累積的に獲得した遊技球数を表示する「累積獲得球数表示(824)」といった種類がある。
図19においては、5桁の獲得球数表示である「累積獲得球数表示(P824)」が表示されている例を示している。なお、「大当り獲得球数表示(P823)」と「累積獲得球数表示(P824)」を並列的に同時表示してもよい。
【0361】
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、「獲得球数表示(P822)」について、大当り遊技中における大入賞口P751への入球に基づく累積の賞球払出数を表示するものとしている。しかし、獲得球数表示P822の賞球払出の累積対象として、遊技盤P5の右側領域P501Rに配置された一般入賞口P731や第2始動入賞口P721に対する入球に基づく払出に関して累積して加算してもよい。
【0362】
また、他の変形例として、「獲得球数表示(P822)」の表示期間は、大当り遊技中だけでなく、特定遊技の実行中に表示してもよいし、「獲得球数表示(P822)」の累積賞球払出数の加算期間についても、大当り遊技中だけでなく、特定遊技中や、小当り遊技中に拡大するよう構成してもよい。
【0363】
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、「獲得球数表示(P822)」の他に、累積した賞球払出数が「2500球」、「5000球」、「10000球」など、区切りとなる払出数を迎えた場合などの特殊な状況においてのみ、遊技者に「獲得球数表示」に加えて強調して報知する「区切り獲得球数表示」演出を実行可能としている(例えば、「GET10000!!」と表示する)。
【0364】
《カウント表示》
「カウント表示(P825)」は、1回のラウンド遊技において大入賞口P751の閉鎖条件として設定される遊技球数まであと何球入球可能か、または今回のラウンド遊技において何球の遊技球が大入賞口P751に入球したかを表す表示である。前者は、
図19において網掛け表示される円形オブジェクトで表示されており、後者は白抜きの円形オブジェクトとして画面右側略中央位置に2列のオブジェクト表示として表示されている。
【0365】
図19の例では、6ラウンド目の遊技として、大入賞口へ5球入球済みであり(白抜きの円形オブジェクトで表示)、あと5球入球可能であること(網掛けの円形オブジェクトで表示)がカウント表示P825により示されている。カウント表示P825は新たなラウンドが開始されるたびに表示が初期態様にリセットされる。
【0366】
大当り遊技のラウンド遊技の実行中には、遊技球の流下状況により、大入賞口P751の閉鎖条件を満たすこととなる遊技球に連続して大入賞口P751の閉鎖条件以上の遊技球数となる入賞が発生する場合があり、このような閉鎖条件以上の遊技球数の入賞が発生することを「オーバー入賞」と呼ぶ。
【0367】
図示はしていないが、「オーバー入賞」が発生した場合に、カウント表示P825のオブジェクト表示等を使って特殊な演出を行ったり、演出ランプP82の特殊な発光やスピーカP83から特殊効果音を発したりして報知してもよい。また、前述した獲得球数表示P822については、「オーバー入賞」となる入賞に基づく賞球払出数を加算対象としてもよいし、加算対象外としてもよい。
【0368】
《大当り遊技中のその他の演出表示》
次に、
図19において演出表示が実行されている、他の演出表示について説明する。
【0369】
まず、画面左側略中央位置に表示されている2つの数字は、前述した簡易保留表示P814である。
【0370】
画面左下の装飾図柄(大当り装
図P805)の右側に表示されている「Sound_2」という表示は、現在の大当り遊技中に再生している楽曲のタイトルを示す「選択楽曲表示(P854)」である。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、大当り遊技中において、1ラウンド目や2ラウンド目の間に演出ボタンP381や十字キーP383を操作することによって、遊技者が任意に再生する楽曲を選択可能とする仕様を有している。選択楽曲表示P854に関し、楽曲が変更可能な状況である場合には、
図20に示すように選択楽曲表示P854の近傍に「(上)(下)キーで変更できます」という画像表示を行う。
【0371】
なお、このような大当り遊技中における演出の選択は、楽曲選択に限らず、ラウンド演出の変更や、大当り遊技後における特定遊技中の演出(演出モード)の選択なども可能とするが(総称して「演出カスタマイズ表示(P853)」と呼ぶ)、それらの詳細な説明は割愛する。
【0372】
最後に、画面右上の簡易装
図P802の下部に表示されている「右打ち」および右側矢印記号は、「打ち分け報知(P830)」(「推奨発射位置報知」などとも呼ばれる)に係る画像表示である。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、大当り遊技中は、遊技領域の右側領域P501Rに遊技球を発射することが推奨される遊技状態であるため、「右打ち報知(P832)」(「右打ち」の文字列、および右側矢印記号の表示)が実行されている。
【0373】
「打ち分け報知」は、大当り遊技中に限らず、特定遊技状態における遊技中や、通常遊技状態における遊技中においても表示される場合を有する。特に、遊技状態が切り替わるような状況(大当りの発生/終了や、特定遊技状態の発生/終了)においては、
図19に示す打ち分け報知P830よりも、遊技者が認識しやすいよう大きなサイズの表示を画面中央部などに一時的に表示することで、次の遊技状態での推奨される発射位置を遊技者に報知する演出が実行される。
【0374】
なお、「打ち分け報知(P830)」において、遊技状態が遷移するタイミングで一時的に大きなサイズで表示されるものを「第1打ち分け報知画像」(「右打ち大表示(P831)」、「左打ち大表示(P833)」)と表現し、大当り遊技中や特定遊技状態中において、遊技状態での推奨発射位置を、遊技状態が続く期間のほぼ全てにおいて表示する表示について「第2打ち分け報知画像」(「右打ち小表示(P832)」、「左打ち小表示(P834)」)と表現する場合がある。
【0375】
また、「打ち分け報知(P830)」の他の種類の演出として、推奨される発射位置以外の位置に遊技球が発射されている状況を検出した場合、例えば、大当り中に遊技領域の左側領域P501Lに遊技球を発射した場合に、遊技領域の右側領域P501Rに遊技球を発射すべきことを遊技者に対して注意喚起する「左打ち警告報知」(「右打ち注意喚起報知(P835)」)として「右打ちしてください」などのメッセージ表示)を行う。なお、推奨発射位置と遊技者の実発射位置が逆の状況では、「右打ち警告報知」(「左打ち注意喚起報知(P936)」)が実行される。
【0376】
(特定遊技状態中の演出表示例)
図20は、特定遊技状態中(高確率または低確率/高ベース)である電チューサポート機能の作動中の遊技演出を表した図である。図中には多岐にわたる演出表示がなされているが、前述の説明の中で説明を行ったものに関しての説明は割愛し、これまでに説明がされていない演出表示、および前述の説明と相違点を有する演出表示に関する説明を行う。
【0377】
まず、これまでに説明がされていない演出表示として、特定遊技状態中の演出表示に関する説明として「演出モード表示(P840)」と「残り遊技回数表示(P841)」に関する説明を行う。
【0378】
《演出モード表示》
「演出モード表示(P840)」は、現在の演出表示態様の状態を示す表示であり、演出モードと呼ばれる状態情報によって、該当するモードに応じた予告演出が抽選されていることを示す表示である。演出モード表示が相違する場合には、遊技者に視認される予告演出の種類が、一部共通とする予告演出はあるものの、見た目に与える印象が大きく異なるように作られることが一般的である。
図20では、「RUSH_MODE」という表示がなされており、前提とするぱちんこ遊技機Pにおける遊技状態が、「ST(回数切り確変)」(高確率/高ベース状態)であることを示す表示を行っている。
【0379】
なお、「演出モード表示(P840)」は、特定遊技状態における演出モードを報知する以外に、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)において表示される場合があってもよいし、1の遊技状態において複数の演出モードを有する場合に、演出モードが切り替わる条件が成立するたびに表示を一時的、または演出モードが終了するまで継続して行うものであってもよい。
【0380】
《残り遊技回数表示》
「残り遊技回数表示(P841)」は、特定遊技状態が終了するまでの特別図柄の変動表示の回数(特別図柄抽選の回数)や、現在の演出モードが終了するまでの特別図柄の変動表示の回数を表す表示である。
図20では、画面中央上部に「残り_56」という表示が実行されており、「ST(回数切り確変)」の遊技状態が、あと56回の特別図柄抽選が実行されるまで行われることを遊技者に報知している。
【0381】
次に、
図20に示す特定遊技状態の演出表示例において、前述した他の遊技状態における演出表示例と相違する表示に関して説明を行う。
【0382】
《装飾図柄(特定遊技状態)》
図20の画面中央には、装飾図柄P801の変動表示が表示されている。
図20の通常遊技状態における演出表示例の装飾図柄P801に比して、
図20の特定遊技状態における装飾図柄P801の演出表示例では、装飾図柄P801の表示が小さく表示されている。
【0383】
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、特定遊技状態の演出表示として、画面上部に演出モード表示P840や、残り遊技回数表示P841、さらには大当りアイコン表示P821を行っており、画面下部には選択楽曲表示P854および獲得球数表示P824を行っている。特定遊技状態では、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)で表示されないこのような付加的な表示を行うため、通常遊技状態と同等のサイズで装飾図柄P801を表示してしまうと、停止表示の際に一部図柄の表示が各表示の一部と重なってしまい、停止表示図柄の視認性が低下するという問題が発生する虞があり、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、このような問題が生じにくくなるよう装飾図柄P801の表示を小さく簡略化するものとしている。また、装飾図柄P801を簡略化して表示する例として、サイズを小さくするほか、図柄を示す数字に付帯して表示されるキャラクタ画像などの表示を行わない手法なども採用可能である。
【0384】
《保留表示領域(特定遊技状態)》
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、
図20の画面左下に示すように、特定遊技状態の保留表示領域P810における保留オブジェクトP811の表示として、画面手前側から奥行き方向に向かって「保1」から「保4」の保留オブジェクトの表示領域が設けられている。なお、当該変動オブジェクト表示領域P812(及び当該変動オブジェクト表示P813)については「RUSH_MODE」の演出モード状態では表示が省略されている。
【0385】
図20に示す変動表示が終了し、状態で新たな変動が開始すると、
図20の最も下部に位置する保留オブジェクトP811の表示が消失し、奥に並ぶ保留オブジェクトP811の表示が手前に移動するとともに表示が大きくなるよう表示制御される。
【0386】
また、図示はしないが特定遊技中において表示される演出として重要な演出である、「リザルト表示演出」に関して説明を行う。
【0387】
《リザルト表示演出》
「リザルト表示演出」は、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、主として特定遊技状態(高ベース状態)の最後の変動が実行される際、あるいは特定遊技状態中に生起した保留がなくなる際等、遊技者が「連荘」状態が終了したと認識するタイミングに行われる演出であり、いわゆる「連荘」状態において、何回の大当り遊技を獲得したかという情報や、合計で何発の遊技球を獲得したか(獲得球数表示に相当)を遊技者に報知する演出である。
【0388】
(救済機能/時短図柄)
前提とするぱちんこ遊技機は、さらに、遊技者の過度な遊技へののめり込みを防止するため、以下の「救済機能」や「時短図柄」の機能が用意されている。
【0389】
《特別図柄の作動回数を契機とした変動時間短縮機能の作動「救済機能」》
特別図柄の作動回数を契機とした変動時間短縮機能の作動「救済機能」は、低確率状態において、予め定められた遊技回数の特別図柄の変動表示が実行された場合に、高ベース状態(電チューサポート機能の作動状態))を発生させる機能である。
【0390】
より具体的には、低確率状態に移行後(RAMクリア直後や高確率状態での遊技終了条件成立後、低確率状態に移行することとなる特別遊技の実行後、大当り直後の低確率状態への移行後)において、予め定められた遊技回数となる特別遊技が実行された場合に、高ベース状態を発生させることで、普通電動役物770に係る始動入賞口(第1特別図柄に係る始動入賞口または第2特別図柄に係る始動入賞口)への入賞を容易とし、特別図柄抽選の権利の獲得を容易とし、遊技者が過度に遊技球を消費することを抑制する機能である。
【0391】
《「時短図柄」による特別図柄の変動時間短縮機能の作動》
前提とするぱちんこ遊技機では、大当り遊技(特別遊技)の実行後に、特別図柄の変動時間短縮機能(時短機能)や電チューサポート機能の作動を行うことが可能である点について説明した。特別図柄の変動時間短縮機能(時短機能)や電チューサポート機能の作動は、このような特別遊技の実行後のみに限らず、特定の種類の特別図柄(はずれ図柄、小当り図柄)が停止表示された場合であって、大当り遊技が実行されない場合であっても作動を開始させるように構成してもよい。
【0392】
例えば、第1特別図柄の特別図柄抽選において、当否抽選が「はずれ」である場合の当り図柄抽選(はずれ図柄抽選)にて、1/800で当選する「時短付き_はずれ図柄」に当選した場合に、100回の特別図柄抽選が実行されるまで継続する高ベース状態(時短状態、電チューサポート状態)を発生させるように構成するようにしてもよい。
【0393】
また、「時短付き_はずれ図柄」に種類を設けて、「時短付き_はずれ図柄」の種類に応じて高ベース状態に維持する遊技回数が異なるように構成してもよい。例えば「時短付き_はずれ図柄A」のとき50回、「時短付き_はずれ図柄B」のとき100回、「時短付き_はずれ図柄C」のとき10000回(※実質的に次回大当り確定)まで、とすることもできる。
【0394】
[本実施例]
本実施例のぱちんこ遊技機Pは、上述の前提技術を基本構成とする他、種々の特徴的な構成を有する。以下、前提技術との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。本実施例のぱちんこ遊技機Pを構成する要素のうち、前提技術で説明した要素と同一または対応する要素には同一の符号を付す。
【0395】
(本実施例のぱちんこ遊技機Pの構造)
最初に、本実施例のぱちんこ遊技機Pの構造(主として遊技性に係る遊技盤の構造)に関し、
図21から
図32を用いて説明を行う。
【0396】
図21は、本実施例のぱちんこ遊技機Pに用いられるガラス枠P3の正面図である。外枠P1や前枠P2、遊技盤P5の構造については、前提とするぱちんこ遊技機の構造と同一であるため説明を割愛する。なお、
図21に示す遊技盤は本実施例のものとは異なっており、本実施例のぱちんこ遊技機Pに係る遊技盤P5の詳細な構造は
図22以降に示している。
【0397】
図21に示す本実施例のぱちんこ遊技機Pのガラス枠P3は、前提技術であるぱちんこ遊技機(
図1等参照)とはガラス枠P3において複数の交換部材を有する点で構造が異なっている。より具体的には、本実施例のぱちんこ遊技機のガラス枠P3には3つの交換部材が備えられており、交換部材としては、演出操作ユニットP380と、トップユニットP390、右ユニットP395の3つが設けられている。
図21に示す例では、演出操作ユニットP380のみが演出的な動作を実行可能な枠可動役物P360として備えられるように構成されているが、トップユニットP390や右ユニットP395に演出動作を実行可能な枠可動役物P360を備える装飾ユニットに交換するように構成してもよい。
【0398】
本実施例のぱちんこ遊技機のガラス枠P3の交換部材は、型式申請上は遊技盤P5の部材として扱われており「盤部材」であるといえるが、このように扱う理由は、ぱちんこ遊技機の販売形態として、枠部材と盤部材を一体として販売する枠販売と、盤部材のみで販売する盤販売の2つの形態があるためであり、遊技盤(機種のモチーフ)に対応した装飾構造を枠に取り付けたい場合、型式申請上「盤部材」として申請することで、ガラス枠P3に取り付ける交換ユニットについて盤販売を行い、遊技店舗に備えられている枠に対して遊技盤P5を交換する際にガラス枠P3の交換部材を交換可能にすることができる。
【0399】
図22は、本実施例のぱちんこ遊技機Pの遊技盤P5の正面図である。
【0400】
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、遊技盤P5に遊技領域P501として左側領域P501Lと右側領域P501Rとが形成される。なお、左側領域P501Lおよび右側領域P501Rは、遊技者がハンドルP204の操作度合いを調整することによって発射強度(発射速度)を異ならせることにより、センター飾りユニットP6の左側を流下させる場合の遊技領域P501を左側領域P501Lとし、センター飾りユニットP6の右側を流下させる場合の遊技領域P501を右側領域P501Rとしており、それぞれの領域の一部は共用となっている(例えば遊技領域の最下部に配置されるアウト口P790周辺の遊技領域が共用部である)。
【0401】
図22に示すように、本実施例のぱちんこ遊技機Pの遊技領域P501の左側領域p501Lには、左側一般入賞ユニットP730L(左側一般入賞口P731L)が配置され、センター飾りユニットP6の下方の略中央には左側一般入賞ユニットP730Lと一体化して形成される第1始動入賞ユニットP710(第1始動入賞口P710)が配置される(
図32参照)。
【0402】
また、本実施例のぱちんこ遊技機Pの遊技領域P501の右側領域P501Rには、遊技球の流下方向の上流側から、遊技球が通過するゲートタイプの作動口ユニットP740(作動口P741)、スライド板が遊技領域に進出しているときに入賞口へ向けて遊技球を流下させるタイプの普通電動役物P770および当該普通電動役物P770に係る第2始動入賞口ユニットP720(第2始動入賞口P721)、右側一般入賞ユニットP730R(右側一般入賞口P731R)、スライド式の開閉部材が遊技領域から退避した場合に入賞可能となるように構成された大入賞口ユニットP750(大入賞口P751)が配置されている。
【0403】
本実施例のぱちんこ遊技機Pの遊技領域P501の右側領域P501Rは特徴的な構造を有しているが、その詳細については
図31、
図32を用いた説明にて後述する。
【0404】
図22には図示されていないが、本実施例のぱちんこ遊技機Pのセンター飾りユニットP6には、演出の興趣を高めるために複数の演出役物P560を備えている。複数の演出役物は、それぞれ「フレネルレンズ役物P610」、「星役物P640」、「変形フレーム役物P650」であり、続いて
図23から
図30を用いて、演出役物の構造等について説明を行う。
【0405】
《フレネルレンズ役物P610》
最初に
図23から
図26を用いてフレネルレンズ役物P610の構造等について説明を行う。
【0406】
図23に示すようにフレネルレンズ役物P610は、割れたガラス片のような形状の12枚のレンズ部材(フレネルレンズP611A~L)が演出表示装置P80の表示領域の周縁部を囲うように移動(進出、変位)する演出役物P560である。
【0407】
フレネルレンズ役物P610のレンズ部材であるフレネルレンズP611A~Lは、遊技者から見た演出表示装置P80の演出表示を拡大して視認させるレンズ部材であり、表面を蛇腹(ギザギザ)の構造とすることによって、単純な凹レンズや凸レンズよりも薄型に構成することができるレンズである。
【0408】
本実施例のぱちんこ遊技機Pのフレネルレンズ役物P610のフレネルレンズP611A~Lは、
図23に示す仮想点CP(遊技者視点での演出表示装置中心点)を同心とする複数の半径が異なる同心円の円周を仮想線とし、当該複数の仮想線をレンズの厚みが最大(または最小)となるように構成されている。このように複数のフレネルレンズP611に対し、共通の位置(仮想点)を中心に拡大構造の形成方向を定めていることにより、遊技者の仮想視点からの拡大率が安定的となり、フレネルレンズ役物全体としての拡大表示の見た目が向上する。
【0409】
図24は、フレネルレンズ役物P610が演出位置に進出している状態で演出表示装置P80の表示がフレネルレンズP611A~Lによって拡大されている様子を示す図である。
図24の例では、特に3人の女性キャラの両脇の二人の画像表示がフレネルレンズP611EやフレネルレンズLを通じて拡大されている様子が視認されやすく示されている(その他フレネルレンズについても演出表示が拡大して視認される状態である)。
【0410】
不図示ではあるが、フレネルレンズ役物P610と連携する演出表示の例としては、主人公キャラクタが必殺技を繰り出して複数回のパンチを遊技者側(演出表示領域の各方向周縁)に向けて繰り出している画像表示とフレネルレンズ役物P610を組み合わせる例が挙げられる。
【0411】
このように、遠近感を感じさせる画像表示(遠近法を用いた画像表示演出)を行う場合、遊技者方向に向けて近づく画像(演出表示装置の周縁に向かって拡大されながら表示される画像)が、フレネルレンズ役物P610のフレネルレンズP611によって、さらに拡大されるように表示されるため、遊技者側に向かって近づいているように表示される画像オブジェクト(本例では、主人公キャラクタの拳)が、加速度を増して近づいているように視認できるようになり、より演出効果を高めた演出表示として提供することができる。
【0412】
図25はフレネルレンズ役物P610の初期位置(a)および演出位置(b)の状態を示している。
【0413】
フレネルレンズ役物P610は、フレネルレンズP611A~フレネルレンズP611Dを備える上側フレネルレンズ役物P610U、フレネルレンズP611EおよびフレネルレンズP611Fを備える右側フレネルレンズ役物P610R、フレネルレンズP611G~フレネルレンズP611Jを備える下側フレネルレンズ役物P610D、フレネルレンズP611KおよびフレネルレンズP611Lを備える左側フレネルレンズ役物P610Lとから構成される。
【0414】
フレネルレンズ役物P610の上下左右のフレネルレンズ役物ユニットの略中心位置に配置されたフレネルレンズP611(B、C、E、F、H、I、K、L)は、
図25に示すように、それぞれのユニットの中心付近を支点として初期位置から演出位置に向けて略90度揺動変位することで、演出表示装置P80の演出表示領域の前方に進出するように構成され、フレネルレンズ役物P610の上下のフレネルレンズ役物ユニットの両端側に配置された4枚のフレネルレンズP611(A、D、G、J)は、上下方向にスライド移動することで演出表示装置P80の演出表示領域の前方の演出位置に進出するように構成されている。
【0415】
次に、
図26を用いて、フレネルレンズ役物P610の動作機構について説明を行う。なお、
図26では上側フレネルレンズ役物P610Uと右側フレネルレンズ役物P610Rのみが示されているが、下側フレネルレンズ役物P610Dと左側フレネルレンズ役物P610Lはそれぞれ上側フレネルレンズ役物P610、右側フレネルレンズ役物P610Rと動作機構が同一であるため図示及び説明を割愛する。
【0416】
まず、上側フレネルレンズ役物P610Uの動作機構について説明する。
【0417】
上側フレネルレンズ役物P610Uの動作機構に係る駆動源は、上側レンズ駆動モータP612Uであり、上側レンズ駆動モータP612Uを駆動すると、上側レンズ駆動ラックギアP613Uが左右方向にスライド移動(演出位置への変位の場合は左側へ動作)し、上側レンズ駆動従動ギアP614Uへ動力を伝達する。
【0418】
上側レンズ駆動従動ギア614Uが回転すると、フレネルレンズP611B、Cは従動ギアの回転力がそのまま演出位置方向への変位動作に変換されフレネルレンズP611B、Cが演出位置方向に略90度揺動変位する。
【0419】
また、上側レンズ駆動従動ギア614Uは、上側レンズ駆動揺動アームP615Uに形成されたギア歯部と噛合しており、上側レンズ駆動従動ギア614Uの回転動作は、フレネルレンズP611A、Dの動作に関与する上側レンズ駆動揺動アームP615Uの揺動動作に変換される。
【0420】
上側レンズ駆動揺動アームP615の先端には、フレネルレンズP611A、Dに形成された長孔に左右方向に移動自在に挿通される上側レンズ係合ピンP616が設けられており、上側レンズ駆動揺動アームP615が揺動すると、フレネルレンズP611A、Dは上側レンズ係合ピン616によって押し出される(あるいは引き戻される)ように動力が伝えられ、演出位置方向である下方(あるいは初期位置方向である上方)に直線的に移動するように構成されている。
【0421】
また、フレネルレンズP611A、Dには上側フレネルレンズ役物P610Uの両端位置に上下方向に向かって形成された上側レンズ駆動ガイド溝P617に挿通するピン部材が取り付けられており、ガイド溝の形成方向に沿って真っすぐ上下方向に変位動作するようになっている。
【0422】
続いて右側フレネルレンズ役物P610Rの動作機構について説明を行う。
【0423】
右側フレネルレンズ役物P610Rの動作に係る駆動源は、右側レンズ駆動モータP612Rであり、右側レンズ駆動モータP612Rが駆動されると、右側レンズ駆動ラックギアP613Rが上下方向にスライド移動する。
【0424】
演出位置への動作の際には、右側レンズ駆動ラックギアP613Rが下方向に動作するように右側レンズ駆動モータP612Rが駆動され、右側レンズ駆動ラックギアP613Rが下方向に動作すると、右側レンズ駆動従動ギアP614Rが回転し、右側レンズ駆動従動ギアP614Rの回転動作を受けてフレネルレンズP611E、Fが演出位置方向に向けて約90度揺動変位するように構成される。
【0425】
《星役物P640》
続いて、本実施例のぱちんこ遊技機Pに備わる演出役物P560の一つである「星役物P640」について
図27および
図28を用いて説明を行う。
【0426】
「星役物P640」は、星をモチーフとした装飾が施された演出役物P560であり、通常、演出を行わない状態(初期位置状態)では、演出表示装置の上方に配置されたロゴ装飾(
図27等で「闘神」の文字が表示される装飾)の背面に退避した状態で退避し、演出動作を行う際には、演出表示装置P80の演出表示領域の略中央位置まで加工して
図27に示すように十字型に装飾部を展開させる演出役物P560である。
【0427】
図28は「星役物P640」の動作機構を示す図である。なお、「星役物P640」は後述する変形フレーム役物P650と一体化された演出役物ユニットであるが、
図28では星役物P640の機構の視認性を高めるため、変形フレーム役物P650の主要部を不図示としている。
【0428】
星役物P640は、
図28に示すように、星役物装飾部P641を支持する昇降アームP644を昇降ベルトP645を用いて上下に昇降移動させることで移動させるようになっている。なお、昇降ベルトP645は昇降モータP646の回転により動作を行うようになっている。
【0429】
星役物P640は前述したように、演出位置に移動した際に
図27に示すように星役物装飾部P641が十字型の星型の形状を形成するようになっている。星役物装飾部P641は昇降アームP644に連結して真っすぐ水平に伸びる水平装飾部P641aと、演出位置に移動する際に、不図示の弾性部材(例:トーションスプリング(ねじりバネ)等)の作用により水平装飾部P641から垂直方向に向けて90度展開動作を行う垂直可変装飾部P641bとから構成される。
【0430】
星役物P640の星役物装飾部P641における垂直可変装飾部P641bは、先端に収納ローラP642が配置され、星役物P640が初期位置に復帰する際には、星役物P640のフレームの上部に形成された収納ガイドP643に収納ローラP642が案内されて右側に向けて移動することによって、垂直可変装飾部P641bの展開動作を行わせているトーションスプリングなどの弾性部材の付勢力に抗って収納動作を行うように構成されている。
【0431】
《変形フレーム役物P650》
続いて本実施例のぱちんこ遊技機Pの演出役物P560である「変形フレーム役物P650」に関し、
図29、
図30を用いて説明を行う。
【0432】
「変形フレーム役物P650」は、演出動作を行う際に
図29に示すように2種類の装飾部が演出表示装置の前方に露出する演出役物P560である。
【0433】
「変形フレーム役物P650」の装飾部は、演出動作時に変位動作(変形動作)として、中央部が屈曲してくの字形に折れ曲がり、その後半分に折りたたまれた状態に変形する4つの屈曲装飾部P651と、各屈曲装飾部P651の変位動作に合わせて両端で揺動変位する8つの揺動装飾部P652とを有する。揺動装飾部P652は、
図29に示すように演出動作の際に2つの揺動装飾部P652がくっつくように近接する変位動作を行うが、それぞれ近接動作する揺動装飾部P652は、90度ずれた位置に配置される屈曲装飾部P651に連動して動作する揺動装飾部P652となっている。
【0434】
なお不図示であるが、「変形フレーム役物P650」の演出動作は、
図29に示される演出動作の限界位置までの演出動作を行う場合と、途中の位置で停止させる中間演出動作が実行可能であり、中間演出動作を行う場合、1の屈曲装飾部P651がくの字形に折れ曲がっている状態で両端位置に連続する位置に揺動装飾部P652が揺動変位している状態となり、屈曲装飾部P651と揺動装飾部P652とで連続したように視認される状態(言い換えると屈曲装飾部P651と揺動装飾部P652とで大きなくの字形の装飾を形成する状態)となる。
【0435】
また、「変形フレーム役物P650」は、4つの屈曲装飾部P651毎に駆動源である演出部可動モータP655(ステッピングモータ)を有しており、それぞれ独立して変形可能である他、「変形フレーム役物P650」の全体を回転モータP653によって回転動作させることも可能である。
【0436】
そして、「変形フレーム役物P650」の演出動作の際には、演出表示装置P80の表示領域を変形フレーム役物P650が狭くするように変位する動作(特に中間演出動作)が行われるため、変形フレーム役物P650役物の動作に合わせて画像を変形させる演出表現等を行うことができる。例えば遊技者から見て左側の屈曲装飾部P651が中間演出動作を行った場合、演出表示装置P80の上下方向中段部分が、変形フレーム役物P650の動作によって狭められるため、画像表示も画像の上下方向の中間部分が圧縮されて表示される、といった表示制御をするように構成し、演出例としては、主人公キャラクタが敵キャラに攻撃を加えたときに敵キャラクタの体が変形しているような表現を行う、といった演出を実行可能である。
【0437】
図30は、「変形フレーム役物P650」の動作機構を説明する図である。
図30では、前述した「星役物P640」と共用する演出役物ユニットのフレームを背面から見た図を示しており、動作機構の説明のため屈曲装飾部P651A(右側の屈曲装飾部P651)の後方のカバー部材を取り外した状態を示している。
【0438】
変形フレーム役物P650は前述したように、屈曲装飾部P651および揺動装飾部P652を含む全体を回転モータP653によって回転変位させられるように屈曲装飾部P651および揺動装飾部P652を支持するフレームの外周縁にギア歯が形成されている。
【0439】
屈曲装飾部P651および揺動装飾部P652は4か所それぞれ独立した駆動源である4つの演出部可動モータP655を駆動させるため、フレームの外周縁に沿ってFFC(フレキシブルフラットケーブル)あるいはFPC(フレキシブルプリント基板)が配設されており、変形フレーム役物P650の回転動作によってFFC等が撓んで演出動作を妨げたり、挟み込みによる故障が生じないように、ぜんまいバネなどによりFFCのテンション(張力)を保つ巻取収納部P654が備えられている。なお、FFC等の長さにより変形フレーム役物P650の回転動作量には制限があり、初期位置から反時計回り(逆転方向)に90度回転可能であり、また初期位置から時計回り(正転方向)に180度回転可能に構成され、合計270度の範囲で回転動作が可能となっている。
【0440】
屈曲装飾部P651は、2つの装飾部の先端(初期位置では中央位置に配置される部分)に互いに回転自在に軸支されて連結する先端連結部P657が設けられ、2つの装飾部の略中央位置に演出部可動モータP655で揺動変位する2つの揺動アームP656がそれぞれ装飾部を回転自在に保持する形で連結される。
【0441】
屈曲装飾部P651はこのように構成されるため、初期位置に位置している状態(先端連結部P657を中心にフレームの外周縁に真っすぐに伸びている状態)から演出動作を行うと、2つの装飾部が先端連結部P657がを中心に折れ曲がりながら演出表示装置P80の表示領域方向に突出するように変位動作を行うことになる。
【0442】
また、屈曲装飾部P651の2つの装飾部の先端方向には保持磁石P659が配置されるようになっている。なお、保持磁石P659は2つの装飾部の内の一方が磁石(磁性体)であり、他方が磁石にくっつく金属片等の部材で構成されている。このように屈曲装飾部P651には保持磁石P659が配置されているので、演出動作位置に移動した際に動作機構である揺動アームP656と演出部可動モータP655との間のギアのバックラッシ等によって2つの装飾部に隙間ができたりすることで見栄えの低下が生じることなどを防止することができる。なお、不図示であるが、屈曲装飾部P651が初期位置にある場合にも保持磁石P659が、フレーム側に配置された金属片等の保持部とくっつくように構成され、屈曲装飾部P651が初期位置に復帰した場合にもバックラッシ等で演出表示装置P80の表示領域側に戻ってしまい演出表示装置P80の表示領域を狭めてしまう等の問題を防止するように構成されている。
【0443】
変形フレーム役物P650の揺動装飾部P652は、屈曲装飾部P651を駆動させる演出部可動モータP655と駆動源を共用しており、複数の従動ギアP658により揺動動作のための動力が伝達されるように構成され、屈曲装飾部P651の演出動作に合わせて揺動変位動作を行うように構成されている。
【0444】
《右側領域P501Rの構成》
次に、
図31、
図32を用いて本実施例のぱちんこ遊技機Pの遊技領域P501における右側領域P501Rの流路構成について説明を行う。
【0445】
図31、
図32に示すように、本実施例のぱちんこ遊技機Pの右側領域P501Rは、作動口ユニットP740の入賞に関係する第1流路R1(作動口周辺流路R1)、第2始動入賞口ユニットP720の入賞に関係する第2流路R2(普通電動役物周辺流路R2)、第2始動入賞口P721や右側一般入賞口P731Rへ入賞可能性が低く大入賞口ユニットP750に向けて高速に遊技球を流下させる第3流路R3(高速流路R3)、右側一般入賞口P731Rへの入賞に関係するとともに複数の障害釘により遊技球を滞留させる効果が高い第4流路R4(一般入賞口周辺流路R4)とを有する。
【0446】
なお、
図32において示す矢印について、黒塗りの矢印は各種入球口(作動口P741、第2始動入賞口P721、右側一般入賞口P731R)への入球に関係する流路を示し、白抜きの矢印は各種入球口への入球がなされない流路を示している。
【0447】
図32に示す流路R1aは、第1流路R1での最初の流路を示しており、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては第1流路R1よりも上流に任意のアウト口が配置されていないため、遊技者により遊技領域P501の右側領域P501Rに発射された遊技球は全てこの流路R1aを通過するように構成されている。
【0448】
第1流路R1では、複数の障害釘により、流路R1b、流路R1c、流路R1dのいずれかに振り分けられて流下する。この時最も流下割合が高いのは、作動口ユニットP740(作動口P741)へ入賞することとなる流路R1cとなるように構成され、大当り等の特別遊技が実行されていない場合にアウト球(入賞しない遊技球)となりやすい流路R1bへの振り分けは少なめ(例えば流路R1aを通過した遊技球の20%未満)となるように構成されている。
【0449】
第1流路R1において、流路R1c、流路R1dを流下した遊技球は、続いて第2流路R2(普通電動役物周辺流路R2)の上流に形成された流路R2aを流下することとなり、第1流路R1において流路R1bを流下した遊技球は第3流路R3(高速流路R3)を流下することとなる。
【0450】
第2流路R2(普通電動役物周辺流路R2)に入ると、流路R2aに示すように下方に落下するように遊技球が流下し、第2始動入賞口P721に備わるスライド式の普通電動役物P770が入球容易状態(スライド板が遊技領域状に突出した状態)である場合、遊技球は第2始動入賞口P721へ入球する流路R2cをとり、普通電動役物P770が入球容易状態でない場合(スライド板が遊技領域から退避した状態)である場合、普通電動役物P770の前方を下方に落下し流路R2dへ流下し、第4流路R4(一般入賞口周辺流路R4)へ向けて流下するようになっている。
【0451】
なお、第2流路R2には流下経路として第3流路R3(高速流路R3)に向かう流路R2dが備わっているが、流路R2dに向かう遊技球は流路R2aを通過した遊技球の5%にも満たない数(例えば1%程度)となるように構成されており、大半の遊技球が普通電動役物P770の作動状態により流路R2bまたは流路R2cに振り分けられるようになっている。
【0452】
第3流路R3(高速流路R3)は、第1流路R1(作動口周辺流路R1)の流路R1bまたは第2流路R2(普通電動役物周辺流路R2)の流路R2dを流下した遊技球が流下する流路であり、第2流路R2や後述する第4流路R4(一般入賞口周辺流路R4)を流下する場合よりも短時間で大入賞口ユニットP750(大入賞口P751)へ遊技球を流下させることができる流路である。
【0453】
第3流路R3(高速流路R3)を流下する遊技球は、その大部分がまっすぐ大入賞口ユニットP750へ向けて流下する流路R3cへ向けて流下するが、ごく稀に第4流路(一般入賞口周辺流路R4)に向けて流下する流路R3bを遊技球が流下するように構成されている(流路R3bを流下する遊技球は流路R3aを通過した遊技球の5%未満等に設計される)。
【0454】
第3流路R3は、高速に大入賞口ユニットP750に向けて遊技球を流下させるように構成する流路ではあるが、垂直ではなく遊技盤P5の外レールP502の内側面に沿って傾斜が設けられている。また、第3流路R3では高速に遊技球を通過させるような構成である一方、過度に遊技球が速度を増して落下して大入賞口ユニットP750等の遊技部品の故障につながらないように減速機構が設けられている。
【0455】
第3流路R3内の減速機構としては、流路R3bと流路R3cの分岐までの上流部分に遊技盤の背面および大入賞口ユニットP750の装飾カバーの前面から互い違いに前後方向に突出する前後方向の減速機構(減速突起)が形成され、流路R3bと流路R3cの分岐よりも下流側では大入賞口ユニットP750の装飾カバーに形成された左右方向に突出する減速機構(減速突起)が形成されている。
【0456】
第3流路R3内の減速機構(減速突起)は本来であれば同一方向に形成する方が成形する際に容易となりやすく、第3流路R3を流下した後の遊技球の流下方向が略左右方向であることを考慮すれば、減速突起の形成方向は左右方向で統一して形成したほうが成形の容易性や速度調整の目的を達しやすい。しかし、本実施例のぱちんこ遊技機Pの右側領域では、第3流路R3(高速流路R3)を流下する遊技球はなるべく流路R3cを通過するように構成したいため、流路R3bと流路R3cの分岐の上流で左右方向に突出する減速機構(減速突起)にて左右方向の速度を付与して流路R3bに流れやすくならないように、流路R3bと流路R3cの分岐の上流では減速機構(減速突起)の形成方向を前後方向とするようにしている。
【0457】
第4流路R4(一般入賞口周辺流路R4)は、第2流路R2(普通電動役物周辺流路R2)の流路R2dまたは第3流路R3(高速流路R3)の流路R3bを流下した遊技球が流下する遊技領域であり、いずれの遊技球も最初に流路R4aを通過する。
【0458】
第4流路R4内には、複数の障害釘が配置されており、遊技球は障害釘に衝突しながら
図32に示すように流路R4b、流路R4c、流路R4dのいずれかに振り分けられる。
【0459】
第4流路R4内の流路R4cは、右側一般入賞口P731Rへ入球する流路であり、その他の流路R4b、流路R4dはいずれも大入賞口ユニットP750の大入賞口P751の開閉部材であるスライド板上に遊技球を落下させる流路となっている。
【0460】
第4流路R4内での遊技球の振り分け比率は、大当り等の特別遊技が実行されていない状況下(電チューサポート状態中等)において遊技球を右側領域P501Rへ発射し続けた場合に、流路R4cを流下して右側一般入賞口P731Rへ入球する遊技球と、第2流路R2内で流路R2cを通過して第2始動入賞口P721へ入球する遊技球とで得られる遊技球(賞球)により、遊技者が保持する遊技球が維持される(または微減する)程度となる入賞が発生するように設計される。
【0461】
ただし、大当り遊技(特別遊技)が実行されているとき(非入球容易状態、非電チューサポート状態)に、流路R4cを流下してしまうことにより、大入賞口P751への単位時間当たりの入賞数(入賞効率)が低下してしまう虞があるため、普通電動役物P770の作動しがたい非入球容易状態中に右側領域P501Rに発射した遊技球の少なくとも70%から80%は大入賞口P751に向けて流下する流路である流路R4bまたは流路R4dに振り分けられるように第4流路R4内における障害釘の配置を設計することが好ましい。
【0462】
ここで、第4流路R4(一般入賞口周辺流路R4)において、右側一般入賞口P731Rへ入球しない流路である流路R4bまたは流路R4dを流下した遊技球は、それぞれ大入賞口P751の開閉部材P756の上流端側に落下する流路R4f(流路R4bから流下)、大入賞口P751の開閉部材P756の中央付近上から落下する流路R4e(流路R4dから流下)する経路を流下することとなる。
【0463】
流路R4fから大入賞口P751の開閉部材P756方向へ落下した遊技球は、大入賞口P751の開閉部材P756上を上流端から下流端まで時間をかけて流下可能となる一方で、流路R4eから大入賞口P751の開閉部材P756方向へ落下した遊技球は、流路R4eの大入賞口P751の開閉部材P756に対する上下方向の位置が大入賞口P751の開閉部材P756の中腹に位置してしまうため、大入賞口P751の開閉部材P756上での流下時間を十分に確保できずに流路R4eを通過した遊技球の大入賞口P751に対する入賞可能性が他の流路よりも低下する虞がある。
【0464】
そこで本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては、流路R4eの下流端側に
図32上で「A」と示す突起状のコーナー部を形成し、流路R4eは、大入賞口P751の開閉部材P756に対して垂直方向ではなく、大入賞口P751の開閉部材P756上での遊技球の流下方向と逆方向への速度を付加して遊技球を大入賞口P751の開閉部材P756上に落下させるように構成している。
【0465】
このように、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおける大入賞口ユニットP750のような可変入賞口の入賞可能位置の途中部分に遊技球を落下させる場合であっても、流路R4eのように可変入賞口上での遊技球の流下方向と逆方向の速度を付加させる流路構造(コーナー部)を形成することにより、可変入賞口上での流下時間を確保することができ、可変入賞口に対する入賞可能性について流下した流路別での有利不利の差を低減させることが可能となる。
【0466】
以上説明したように、本実施例のぱちんこ遊技機Pの遊技領域P501における右側領域P501Rでは、遊技球が高速に流下しやすい第3流路R3(高速流路R3)と、障害釘や分岐流路数が多い第2流路R2(普通電動役物周辺流路R2)及び第4流路R4(一般入賞口周辺流路R4)とのいずれかを遊技球が流下して大入賞口P751の入賞可能領域(大入賞口P751の開閉部材P756上)に遊技球が流下することとなるため、いずれの流路を流下したかによって遊技球の大入賞口P751の入賞可能領域に対する到達時間をランダムにしやすく、大入賞口P751の入賞可能領域状に存在する遊技球数が多くなるタイミング、少なくなるタイミングを創出することができ、例えば大当りの単位遊技(ラウンド遊技)の終了間際に遊技球数が多くなることによって、単位遊技の終了条件となる規定個数の遊技球以上の入賞が発生しやすく構成することができる。
【0467】
(本実施例のぱちんこ遊技機Pの演出役物の特徴的な制御)
次に、上記で説明した本実施例のぱちんこ遊技機Pの演出役物P560について、特徴的な動作制御の説明を行う。特徴的な動作制御としては、「枠開放時の役物強制初期位置復帰」、「単割込み複数パルス出力」、「出荷モード」の3つの制御を有し、以下順を追って説明する。
【0468】
《枠開放時の役物強制初期位置復帰》
本実施例のぱちんこ遊技機Pの演出役物P560の特徴的な制御として、最初に「枠開放時の役物強制初期位置復帰」の制御について説明を行う。
【0469】
本実施例のぱちんこ遊技機Pは、演出役物P560等を有するセンター飾りユニットP6の前方が開口となっており、枠開放(特にガラス枠P3)が遊技店舗の従業員等の管理者によって開閉されると、センター飾りユニットP6の開口部から遊技球やその他の物体(ゴミ等)が侵入可能となる状況が生まれる。
【0470】
例えば、遊技領域P501に遊技球が滞留してしまう状態(「ブドウ」などと称される場合がある)が発生した場合に、正常な遊技が実行できなくなることより、遊技店舗の従業員等によってガラス枠3の開閉が行われる場合がある。
【0471】
この時、遊技領域P501に滞留していた遊技球の詰りが解消されて遊技球の流下(落下)が開始されると、弾んだ遊技球がセンター飾りユニットP6の開口部から侵入してしまい、演出役物P560の動作(演出動作や初期位置復帰動作)に影響が出る虞がある。
【0472】
そこで、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては、ガラス枠P3の開放を検出すると(開放信号が演出制御基板P41に入力される、あるいは枠開放コマンドが主制御基板P40から演出制御基板P41に送られる状況が発生すると)、演出制御基板P41は演出役物P560が演出動作中であるかを問わず、各演出役物に初期位置へ復帰させるリクエストを実行する(制御指令を出力する)。
【0473】
このように構成することで、ガラス枠P3が開放される際にセンター飾りユニットP6の開口部から遊技球等の物体が侵入して演出役物P560の動作不良、故障が発生するリスクを低減させることができる。
【0474】
なお、本実施例のぱちんこ遊技機Pではガラス枠P3や前枠P2の開放は、枠部材自体の揺動による移動を検出することで検知を行うように構成しているが、ガラス枠P3と前枠P2との間に微少量の隙間が発生した段階で遊技領域P501に滞留している遊技球が一斉に落下し、演出役物P560の初期位置復帰動作が完遂する前に遊技球がセンター飾りユニットP6の開口部から侵入してしまう虞が懸念される場合には、ガラス枠P3や前枠P2の開放検知を施錠部のキーの回転動作あるいはキーの回転動作に連動する施錠部のロック部の解除動作を検出するタイミングで枠部材の開放を検出可能にセンサの配置構成を変更し、施錠部の開放操作を行った状態で演出役物P560の復帰を待ち、演出役物P560の復帰完了後にガラス枠P3や前枠P2の開放操作を行うことができるように構成してもよいし、あるいは施錠部における開放操作の際にガラス枠P3一部が開放され、当該開放部から遊技盤とガラスを離間させられるガラス枠P3本体の開放操作部が露出して2段階でガラス枠P3が開放されるように構成して、ガラス枠P3の一部が開放した際に演出役物P560の復帰を行わせるように構成してもよい。
【0475】
「枠開放時の役物強制初期位置復帰」にて初期位置復帰動作が実行された場合、ガラス枠P3の開放が継続している状態で新たに演出役物P560の動作が行われないように演出役物P560の動作を許可する条件が成立するまでは、新たな演出役物P560の動作リクエスト(動作指令)を受け付けない、あるいは動作リクエストを行わないように構成されている。
【0476】
ここで、本実施例のぱちんこ遊技機Pではガラス枠P3の開放動作に伴って初期位置復帰動作が実行された場合、ガラス枠P3が閉鎖されたことを検出した後、新たな特別図柄の変動表示が開始されるまでは演出役物P560の動作を禁止するように構成している(例外として、禁止状態で電断した場合は、電源投入時に電断前の変動表示が継続している場合であっても復帰動作を実行する)。
【0477】
なお、遊技球の球詰りなどは、比較的短時間で解消されることが多く、仮に高期待度のリーチ等の演出(演出役物P560の演出動作を伴う)が発生する変動表示が開始され、変動表示の開始直後にわずかな時間でガラス枠P3の閉鎖動作が行われた場合、次の変動表示まで演出役物P560の動作を禁止すると高期待度のリーチ等の演出の興趣が低下してしまう虞がある。そこで、ガラス枠P3の閉鎖を検出後において、特別図柄の変動表示に合わせた演出表示が所定のタイミング(例:ノーマルリーチ発展前、擬似連演出実行前、SPリーチ発展前)である場合に、所定のタイミング以降の演出において演出役物P560の動作を許容するように構成してもよい。
【0478】
また、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、ガラス枠P3の開放に伴い演出役物P560の演出動作が禁止されている状況であっても、演出役物P560に備わる発光部に対する発光演出の実行については禁止せず、演出役物P560を初期位置に維持しながら発光演出を実行可能に構成している。このように構成することで、ガラス枠P3の開放(枠開放エラーとして扱う)に伴うエラー表示用のランプ発光演出の実行が可能となったり、ガラス枠P3の閉鎖後においては、演出表示に連動した発光演出を実行可能となり演出の興趣が過剰に低下してしまうことを防止できる。
【0479】
また、演出役物P560の動作が規制されている状況下で演出役物P560においてランプ発光演出のみを実行すると遊技者が違和感を覚える可能性があるため、演出表示装置P80の表示領域に「演出役物動作停止中」などと異常である旨を報知する画像を表示したり、演出役物P560と同様の見た目を有する演出役物画像を予定していた動作に合わせて表示するように構成してもよい。なお、演出役物P560の動作が規制されている場合であっても、予定されていた演出役物の動作に合わせて表示される予定であった演出役物の動作エフェクト画像については、演出役物P560の動作予定であったタイミングにて表示される。
【0480】
ここで、本実施例のぱちんこ遊技機Pではガラス枠P3の開放動作時に初期位置(遊技状態によって別の位置が待機位置に指定されている場合は演出状態に応じた待機位置)に存在しない演出役物について初期位置(待機位置)に復帰させるリクエスト(動作指令)を全役物に対して一斉に出力するように構成している。
【0481】
しかし、すべての演出役物を初期位置に同時に復帰させようとした場合に、過剰な電力を必要としてしまい、電気的な制約より演出役物P560の動作不良が生じてしまう虞がある場合がある。そのような場合には、後の「出荷モード」の説明にて詳述する「初期位置復帰動作(初期位置に戻すフロー)」に従って順番に演出役物を復帰させるように構成してもよい。このように構成すれば電気的な制約のリスクを避けられるほか、復帰のための処理として汎用的なモジュールを使用できるため、処理を簡潔にすることが可能となる。
【0482】
また、変形例としてガラス枠P3の開放動作時において、演出役物P560を初期位置に戻す目的として異物の侵入に対する対策を主としていることより、異物が侵入して動作不良を起こしやすいセンター飾りユニットP6内で下方に配置されている演出役物P560を優先して初期位置(待機位置)に戻すように順番を設定したガラス枠P3の開放動作時の緊急初期位置復帰動作フローを設定しておいてもよい。
【0483】
緊急初期位置復帰動作フローにおいて、初期位置(待機位置)に復帰させる演出役物P560は、異物の影響を受けやすい一部の演出役物P560のみに制限してもよいが、重力で落下する異物の侵入以外にも遊技店舗の従業員や遊技者等の進退の一部がセンター飾りユニットP6の開口部から侵入する虞があるのですべての役物を初期位置(待機位置)に移動させるように構成しておいてもよい。
【0484】
また、ガラス枠P3の開放動作に伴う初期位置復帰動作は、特殊な状況においては実行されないように制限することも考えられる。例えば演出役物の動作不良が生じて「役物動作エラー」(演出役物の演出動作時に初期位置に復帰できなく成った場合に発生するエラー)等が発生して演出役物P560の動作を停止させている状況下では、遊技店舗の従業員によりガラス枠P3の開放が行われ演出役物P560のメンテナンスが実行される可能性があるため、ガラス枠P3の開放が行われた場合であっても初期位置に復帰させる動作を行わないように構成してもよい(そもそも初期位置に復帰できない状況であるので、更なる動作で故障等につながるリスクもあるため、「役物動作エラー」時にはガラス枠P3の開放で初期位置に復帰させないことで故障リスクを避けることもできる)。なお、「役物動作エラー」が発生している状況は、一部の演出役物P560である場合に、その他の演出役物P560についてはガラス枠P3の開放に伴う初期位置復帰動作の実行を許容するようにしてもよい。
【0485】
また、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて、ガラス枠P3の開放の際に遊技盤P5に備わる演出役物P560を初期位置等へ復帰させる処理を行うように構成したが、ガラス枠P3に演出可動装置(枠可動役物P360)を備え、ガラス枠P3や前枠P2の開放動作時に隣に配置された遊技機と枠可動役物P360が干渉する虞がある場合には、ガラス枠P3や前枠P2の開放時に枠可動役物P360を初期位置(あるいは特定の演出動作位置のほうが干渉しない場合には特定の演出位置)に向けて動作させるように構成してよい。
【0486】
《単割込み複数パルス出力》
次に
図33を用いて本実施例のぱちんこ遊技機Pにおける特徴的な演出役物P560の動作制御について説明を行う。
【0487】
前提とするぱちんこ遊技機にて説明したように(
図16参照)、演出役物P560の駆動源の制御は、1ms毎に発生する演出制御タイマ割込み中の処理であるポート入出力処理(ステップ5002)内の処理プログラムによって行われ、演出役物P560の駆動源であるステッピングモータやソレノイド等に対する制御データの出力のセットが行われる。
【0488】
そして前提とするぱちんこ遊技機では、1割込みに1回、2割込みに1回、N割込み(Nは自然数)に1回という割込み周期ごとに演出役物P560の駆動源(特にステッピングモータ)に対して、演出動作パターンにおける次の励磁相への励磁を行わせる出力データを設定することによって1000pps(1秒間に1000回励磁相が更新される速度、演出制御基板P41の1割込みに1回の動作更新制御)、500pps(2割込みに1回)、333pps(3割込みに1回)、といった動作速度で制御されるようになっている。
【0489】
一方、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては、
図33に示すように、1回の割込み(
図33の表に示す割込み1、割込み2等の横軸)毎に3回のステップ数の更新が実行可能となっている。以下、
図33を用いて、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおけるステッピングモータの動作制御の特徴について説明する。
【0490】
図33の横軸は、先に説明したように何回目の割込みであるかを示す上段の列項目と、各割込みに3回ずつ配置され、全体として何回目のステッピングモータの更新タイミングであるかを示す下段の列項目とが示されている。なお、図中の上段の割込み回数や下段の更新タイミングは、動作パターンを設定してからの割込み回数、更新タイミングを表しており、演出動作を開始するタイミングが「割込み1」の更新タイミング「1」となっている。
【0491】
図33の縦軸は、ステッピングモータの動作速度(制御パターン)を示す項目であり、1000pps(1秒間に1000回ステップ数を更新する速度)等、ステッピングモータの励磁相の更新速度を示している。なお、図中に「※」印が付加されている動作パターンは従来の制御方法でも実行可能であった動作速度の制御である。
【0492】
例えば、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて演出役物P560の駆動源であるステッピングモータを1000ppsで制御する場合には、各割込みの最初のステッピングモータの励磁相の更新タイミングで次の励磁相への更新処理(出力ポートへの出力データのセット)が行われ、割込み1の「1」、割込み2の「4」、割込み3の「7」のようにタイマ割込み1回毎に1ステップずつステッピングモータの励磁相が更新される処理が行われる。
【0493】
一方、
図33に示す750ppsの制御では、1000ppsが3回の更新タイミング毎に1回の更新処理であったのに対し、4回の更新タイミング毎に1回の更新となっており、更新タイミングとしては、割込み1の「1」、割込み2の「5」、割込み3の「9」、割込み5の「13」と更新されていき、428ppsでは、割込み1の「1」、割込み3の「8」、割込み5の「15」、割込み8の「22」と8回の更新タイミング毎に1回励磁相の更新が行われるように制御される。
【0494】
続いて、
図33に示すような1割込み中に3回のモータ出力を実行する手法について説明を行う。
【0495】
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出制御タイマ割込み(
図16参照)が1msごとに発生して、各種制御処理を実行するように構成していた。
【0496】
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、演出制御タイマ割り込みの発生を管理しているタイマが0.333msないし0.666msを計時するタイミングで、演出役物P560の駆動(ステッピングモータ制御)に関する処理を実行するモータ制御用タイマ割込みが発生するようになっている。
【0497】
通常の演出制御タイマ割込みおよびモータ制御用タイマ割込みは、同一のモジュールを使用する一方で、各割込み内で更新されるカウンタに基づいて、モータ制御用割込みが実行されるタイミングでは演出役物P560の駆動(ステッピングモータ制御)に関する処理のみ(あるいは付随するいくつかの処理)が実行されるようになっており、演出制御タイマ割込み全体の処理の一部のみが実行されるようになっている。
【0498】
このように構成することで、
図33に示す割込み1の「1」、割込み2の「4」、割込み3の「7」といったステッピングモータの励磁相の更新タイミングは、割込み1「1」を演出制御タイマ割り込み、割込み1の「2」をモータ制御用割込み、割込み1の「3」をモータ制御用割込み、割込み2の「4」を演出制御タイマ割り込み、というようにおよそ0.33ms周期で発生する割込み処理で実行されるようになっている。
【0499】
ここで、前述したようにモータ制御用割込みでは、演出制御タイマ割り込み(
図16)参照の一部の処理(特に演出役物P560の駆動に関する処理)を中心に実行され、その他の処理を実行しないように構成される。より具体的には、モータ制御用割込みでは「ポート入出力処理」(ステップ5002)において演出役物P560の動作パターンに従ったステッピングモータ等の動作パターンの更新処理のみ実行され、演出制御用のタイマ更新の処理(ステップ5004)やセンサ監視(ステップ5006)、演出ボタン監視(ステップ5008)、マルチタスク処理(ステップ5010)、画像制御コマンド送信(ステップ5012)の処理は省略される。
【0500】
演出役物P560の動作を行うとき、演出役物P560の動作過程に配置されるセンサ類(初期位置センサ、演出位置センサ、中間位置センサ等)の検出状況により動作パターンを切り替えるように構成される場合があるが、本実施例のぱちんこ遊技機Pではセンサの検出に対し、チャタリング等のノイズ情報での動作パターンの切り替えを避けるため、センサの検出(ON又はOFFに切り替わったことの検出)に2msの検出(2回の演出制御タイマ割込みでの一致)を要求する仕様としていることより、演出役物P560の動作が1割込み(1ms、1回の演出制御タイマ割込み)で最大3回実行可能である一方で、センサでの位置検出に関する処理は演出制御タイマ割込みでのみ実行されるようになっている。
【0501】
《出荷モード》
続いて
図34から
図36を用いて、本実施例のぱちんこ遊技機Pの演出役物P560に係る特徴的な制御である「出荷モード」について説明を行う。
【0502】
「出荷モード」は、工場等から遊技店舗等へ向けて遊技機を出荷する際に、演出役物P560に緩衝材を配置したりするなどして、運搬に適した状態としてから出荷させるための状態を創出するために用いる制御状態である。
【0503】
本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて、「出荷モード」は、演出操作手段P81(演出操作ユニットP380、演出ボタンP381、レバーP382、十字キーP383等)を操作することにより「出荷モード」の動作フロー(
図36参照)に定められた対象の演出役物P560が順番に動作を行うように構成されており、演出操作手段の操作と緩衝材の詰め込み等の工場での工程を所定の手順で実行することにより運搬等に適した状態とすることができるようになっている。
【0504】
以下、「出荷モード」の詳細について説明を行う。
【0505】
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、電源投入時において、十字キーP383の所定のキーを操作しながら電源スイッチP47を操作して電源投入を行うことで、演出制御基板P41の制御により、電源投入時の演出役物P560の「初期位置復帰動作処理(初期位置に戻するフロー)」、「初期化動作処理(初期化順序フロー)」、を実行した後、「出荷モード」に移行するようになっている。
【0506】
図34は、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおける電源投入時等の演出役物P560の「初期位置復帰動作処理(初期位置に戻するフロー)」を示している。「初期位置復帰動作処理」は、電源投入時以外にも演出役物P560が演出動作を行った後に、演出動作パターンの実行で初期位置に復帰しなかった場合のリトライ動作や、変動開始時等の所定のタイミングで演出役物P560が存在するべき位置(初期位置等)に存在しない場合に演出役物P560を初期位置に復帰させる動作として実行される。
【0507】
ここで、
図34等で示される用語を説明しておくと、「全役物」は本実施例のぱちんこ遊技機Pの演出役物P560であるフレネルレンズ役物P610、星役物P640、変形フレーム役物P650を示し、「変形フレーム装飾」は変形フレーム役物P650の屈曲装飾部P651や揺動装飾部P652を指す。「変形フレーム回転」は、変形フレーム役物P650の回転モータP653で回転動作される変形フレーム役物P650のフレーム動作部分を指し、「フレネル」はフレネルレンズ役物P610を、「星役物」は星役物P640を表している。
【0508】
図34の「初期位置復帰動作処理」の説明に戻り、初期位置復帰動作処理の処理手順を説明する。
【0509】
「初期位置復帰動作処理」が開始されると、最初にすべての演出役物P560(および枠可動役物P360)に対し、実行中の動作を停止させるリクエスト(動作指令)を出力する。
【0510】
すべての演出役物P560の演出動作が停止されると、最初に変形フレーム役物P650の回転位置が初期位置に存在しているか否かを判断し、初期位置に存在しないと判断した場合は変形フレーム役物P650を初期位置に復帰させるための追加処理が行われる。
【0511】
変形フレーム役物P650を初期位置に復帰させるための追加処理としては、演出部可動モータP655を駆動させることにより屈曲装飾部P651および揺動装飾部P652を演出動作位置に移動させ、さらに回転モータP653を逆転動作させることにより変形フレーム役物P650の回転位置を逆転位置(初期位置から反時計回り90度の位置)に移動させ、その後回転モータP653を正転させ変形フレーム役物P650の回転位置を初期位置に復帰させる。変形フレーム役物P650を初期位置に復帰させるための追加処理は、以上で終了し、追加処理が行われた場合、変形フレーム役物P650は回転位置が初期位置状態にある状態において屈曲装飾部P651および揺動装飾部P652が演出位置に移動した状態となっている。
【0512】
「初期位置復帰動作処理」が開始され、変形フレーム役物P650の回転位置が初期位置であった場合または変形フレーム役物P650の回転位置を初期位置に戻すための追加処理が実行された場合、続いてフレネルレンズ役物P610のフレネルレンズP611A~Lを初期位置に復帰させる動作リクエストおよび変形フレーム役物P650の屈曲装飾部P651および揺動装飾部P652を初期位置に復帰させる動作リクエストを実行させるため、レンズ駆動モータP612U、R、D、Lおよび4つの演出部可動モータP655の合計8個のモータ(ステッピングモータ)に対して各演出役物P560を初期位置に復帰させる方向に動作させる指示を行う。
【0513】
続いて、「星役物P640」が初期位置(=待機位置)に存在しているか否かを判定し、初期位置に存在していない場合には初期位置に復帰させる処理として、星役物P640をロック解除位置センサ(演出位置センサ)が検出されるまで下降させる動作を実行した後、初期位置方向へ上昇移動させて初期位置(=待機位置)に移動させる。
【0514】
以上の処理で「初期位置復帰動作処理」が完了となる。なお、「初期位置復帰動作処理」において、各演出役物P560を動作させる際に、処理フロー上で既に目的となる位置のセンサ(例えば初期位置センサ、演出位置センサ等)が検出動作にある場合は、動作のリクエストを行うことなく(省略されて)続くフローへ移行するようになっている。また、図中にて同一の処理ブロックに複数の演出役物P560の動作が指定されている場合は同時に処理が実行されることを示しており、それぞれの処理ブロックの処理が完遂された場合に次の処理ブロックの処理に進行されることを示している(いずれかの処理ブロックで処理が完遂されない場合は、リトライ動作が実行され、リトライ動作が複数回行われても完遂されない場合は「役物復帰エラー」の処理が行われて演出役物P560の動作が禁止される)。
【0515】
続いて
図35を用いて「初期化動作処理(初期化順序フロー)」の説明を行う。「初期化動作処理(初期化順序フロー)」は、ぱちんこ遊技機Pに備わる演出役物P560が正常な動作を行えるかどうかを確認するために、演出役物P560の各種センサを全て検出するかどうかを確認していく処理となっている。
【0516】
本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては、「初期化動作処理(初期化順序フロー)」が開始されると、最初に変形フレーム役物P650の確認動作のため、屈曲装飾部P651および揺動装飾部P652を動作させる「変形フレーム装飾」の動作のために、演出部可動モータP655を動作させ、屈曲装飾部P651および揺動装飾部P652を可動位置センサ検出まで動作させる。
【0517】
屈曲装飾部P651および揺動装飾部P652の動作確認が終了すると、続いて変形フレーム役物P650の回転動作を正常に実行できるかを確認するために回転モータP653を正転させて正転位置のセンサを検出させた後、回転モータP653を逆転させて逆転位置のセンサを検出させる動作を行う。回転動作の確認が終了すると、変形フレーム役物P650の回転位置を元に戻すように回転モータP653を動作させる。
【0518】
変形フレーム役物P650の各種センサの確認動作が終了すると、変形フレーム役物P650の屈曲装飾部P651および揺動装飾部P652を初期位置に戻す前に、屈曲装飾部P651および揺動装飾部P652と連携して演出を行う星役物P640を動作させて、見た目上問題ないか、故障等により星役物P640と変形フレーム役物P650とが干渉しないかの確認を行う。
【0519】
星役物P640が正常に演出動作を実行することを確認すると、変形フレーム役物P650の屈曲装飾部P651および揺動装飾部P652とを初期位置に復帰させ、続いてフレネルレンズ役物P610を動作させて星役物P640との干渉等が発生しないかを含めて演出動作が正常に実行されるかの確認動作を行うため、レンズ駆動モータP612を駆動させる。
【0520】
フレネルレンズ役物P610の動作確認が終了すると、星役物P640およびフレネルレンズ役物P610を初期位置に復帰させて「初期化動作処理(初期化順序フロー)」の実行が完了する。
【0521】
続いて
図36を用いて「出荷モード」の説明を行う。「出荷モード」は前述したように電源投入時に所定の移行操作(十字キーP383の操作)を行い、すべての演出役物の「初期位置復帰動作処理(初期位置に戻するフロー)」、「初期化動作処理(初期化順序フロー)」の完了後に移行する。
【0522】
「出荷モード」が開始されると最初に星役物P640を可動待機位置(初期位置側に設けられた動作の待機位置)へ移動させる。
【0523】
星役物P640の動作が完了した後、「出荷モード」における作業者(工場の作業担当員等)がガラス枠の演出ボタンP381を操作することによって、続く動作である変形フレーム役物P650の動作が実行される。
【0524】
変形フレーム役物P650の動作では、1回目の操作で屈曲装飾部P651および揺動装飾部P652が可動位置へ動作するようになっている。
【0525】
屈曲装飾部P651および揺動装飾部P652の可動位置への動作が完了すると、演出ボタンP381に対する2回目の操作によって、出荷モードに定められた続く動作パターンである変形フレーム役物P650の回転動作を行うようになっている。
【0526】
そして3回目の演出ボタンP381の操作によって屈曲装飾部P651および揺動装飾部P652が初期位置に復帰するように動作パターンが定められている。
【0527】
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、変形フレーム役物P650のフレームにFPC(やFFC)が配回されているため、初期位置に待機している状態だと演出位置まで移動するための余裕を持たせるためにFPCの配回されている空間や巻取収納部P654内でのFPCの撓みを運搬に適したテンション(張力)や曲がり度合いとなる状態に変更し、また屈曲装飾部P651および揺動装飾部P652を動作させる際に緩衝材等を適切な位置に配置する処置が行われ、保持磁石P659による保持を行わせるように初期位置への動作を完了させた後、運搬に適した状態として「出荷モード」の処理が完了する。
【0528】
なお、本実施例では遊技機の枠に遊技盤が備え付けられた状態で「出荷モード」の処置を行うことを想定しているが、出荷形態として遊技盤のみで出荷される場合があり、その場合には、演出ボタンP381等の演出操作ユニットP380を用いた操作により演出役物を移動させるためには一度枠に取り付けて処置を行う必要が生じてしまう。そこで、変形例としては、遊技盤P5のみの出荷形態であっても演出役物P560の位置を適切な位置に移動させることができるように、工場等の設備で遊技盤のみの状態にて電源供給させるとともに遊技盤に備わるスイッチ類(ラムクリアスイッチP48や演出制御基板P41に備わるロータリースイッチやディップスイッチ等)の操作で「出荷モード」への移行や「出荷モード」中の処理を実行可能とするように構成してもよい。
【0529】
また、本実施例においては、演出ボタンP381の1回の押下操作で「出荷モード」における演出役物P560の動作パターンが進行していくように構成しているが、作業中に意図せず操作してしまって動作が進行してしまうことを防止するために、演出ボタンP381とその他の操作手段(十字キーP383)との操作を組み合わせて操作を進行させるようにしてもよいし、1回の押下操作ではなく1秒程度の長押しによって進行するように構成してもよい。また、現状「出荷モード」の動作は不可逆に進行するように構成されており、やり直しの際には電源の再投入が必要となるが、演出ボタンP381の操作とは異なる操作(例:演出ボタンP381と十字キーP383の同時操作など)を1個前の状態へ戻す操作として設定しておいてもよい。
【0530】
(本実施例のぱちんこ遊技機の遊技性)
続いて本実施例のぱちんこ遊技機Pにおける遊技性(ゲームフロー)について説明を行う。
【0531】
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、前提とするぱちんこ遊技機にて説明された「小当りV」の遊技性を採用しており、特別図柄抽選の確率変動機能は有さず、高ベース状態において遊技の主体となる第2特別図柄の特別図柄抽選にて当選しやすい小当り遊技中に大入賞口内に設けられた特定領域を通過させることによって大当りの獲得を連続して獲得する遊技性が大量の遊技球を獲得容易とするポイントとなる遊技機である。
【0532】
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、特別図柄抽選により大当りとなる確率が319分の1であり、特別図柄抽選にて小当りとなる確率が、第1特別図柄の特別図柄抽選である場合は278分の1、第2特別図柄の特別図柄抽選である場合は24.7分の1となっている。
【0533】
また、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、入球順消化制御を採用しており、第1特別図柄および第2特別図柄の双方の特別図柄抽選に係る保留が存在する場合には、保留が発生した順番に特別図柄抽選が実行されるようになっている。
【0534】
なお、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは「小当りV」のスペックを採用しているものの、第1特別図柄の特別図柄抽選で発生する小当り遊技や、第2特別図柄の特別図柄抽選で発生する一部の小当り(「転落小当り」や「敗北小当り」と称する場合がある)の小当り遊技の際には、正常に遊技を行った場合でも大入賞口内の特定領域を通過させることが困難(1000回に1回あるかないか程度)となるように設計されている。
【0535】
上記を踏まえて
図37を用いて、本実施例のぱちんこ遊技機Pの遊技性(ゲームフロー)の詳細を説明する。
【0536】
図37の上部に示される「通常時(低確率/低ベース)」は、通常、遊技店舗の営業開始の際に遊技者が最初に遊技を開始する際に遊技する状態である。
【0537】
「通常時(低確率/低ベース)」は、電チューサポート状態とはなっておらず遊技領域P501の右側領域P501Rに遊技球を発射させても、普通図柄抽選や普通電動役物の作動に関して不利な状態に設定されていることより、遊技者に対しては遊技領域P501の左側領域P501Lで遊技を実行することが推奨される遊技状態である。
【0538】
「通常時(低確率/低ベース)」では、遊技者は、遊技領域P501の左側領域P501Lに遊技球を発射させることにより、第1始動入賞口P711や左側一般入賞口P731Lへ遊技球を入賞させ、賞球を獲得しながら第1特別図柄の特別図柄抽選による大当りの獲得を目指す遊技が主体となる遊技状態となっている。なお、詳細は後述するが
図37に示すフローの(J)、(K)の遊技状態遷移(遊技状態の移行)が行われた際には、電チューサポート状態(高ベース状態)にて発生した第2特別図柄の特別図柄抽選に係る保留が残っている場合があり(「残保留」と称する場合がある)、「通常時(低確率/低ベース)」であっても、電チューサポート状態(高ベース状態)からの移行直後においては第2特別図柄の特別図柄抽選が一時的に遊技の主体となっていることを補足しておく。
【0539】
「通常時(低確率/低ベース)」において第1特別図柄の特別図柄抽選にて大当りを獲得すると、大当りとなったときの特別図柄(停止表示図柄)によって、
図37に示す「大当りA」または「大当りB」のいずれかが実行されるように構成されている。
【0540】
ここで、「大当りA」は、
図37(A)および(C)に示されるように大当り遊技後において有利な電チューサポート状態(高ベース状態)である「モードA」に移行することとなる大当り(有利大当り)となっており、「大当りB」は、
図37(B)および(D)に示されるように大当り遊技後において不利な電チューサポート状態(高ベース状態)である「モードB」へ移行することとなる大当り(不利大当り)となっている。
【0541】
なお、本実施例において「大当りA」および「大当りB」は全て大当り遊技中の単位遊技数(ラウンド数)が3Rとなるように定められているが、「大当りA」と「大当りB」とで単位遊技数を異ならせてもよいし、「大当りA」や「大当りB」に属する大当りの種類(「大当りA1」、「大当りA2」、等)毎に単位遊技数を異ならせるように構成してもよい。
【0542】
また、「通常時(低確率/低ベース)」にて第2特別図柄の特別図柄抽選(残保留による特別図柄抽選)にて大当り(小当り遊技中の特定領域通過によって発生する「小当りV大当り」も含む)や、転落小当りとなる場合があるが、この場合には、
図37の「モードA」(又は「モードB」において第2特別図柄の特別図柄抽選を行った場合の遊技状態の遷移と略同様の遊技遷移(遊技状態の移行)が行われるようになっている。
【0543】
「モードA(低確率/高ベース)」は、
図37に示すように「大当りA」後や、あるいは後述する「大当りC」の後に移行する遊技状態である。(
図37(C)、(E)参照)
【0544】
「モードA(低確率/高ベース)」は、電チューサポート状態(高ベース状態)が特別図柄抽選(第2特別図柄の特別図柄抽選)が900回実行されるまで継続する遊技状態である。なお、「モードA(低確率/高ベース)」状態にて、「大当りC」又は「時短有小当り」を獲得した場合や、「転落小当り」を獲得した場合には、特別遊技(大当り遊技や小当り遊技)の実行に際して電チューサポート状態(高ベース状態)が終了するように構成されており、例えば大当りまたは小当り遊技へ移行することとなる特別図柄が第2特別図柄ように特別図柄表示装置P82に表示された際に電チューサポート状態(高ベース状態)は終了する(ただし、第1特別図柄抽選による小当り当選では特定領域への遊技球の通過が困難となる小当りのみが実行されるため電チューサポート状態(高ベース状態)は終了しない)。
【0545】
「モードA(低確率/高ベース)」では、高ベース状態であるため、普通図柄抽選および普通電動役物の作動に関して有利な状態であり、遊技者は、遊技領域P501の右側領域P501Rに遊技球を発射させて、普通電動役物P770に係る第2始動入賞口P721(第2特別図柄の特別図柄抽選に対応した始動口)、および右側一般入賞口P731Rに入賞させ、第2特別図柄の特別図柄抽選によって大当りまたは小当りを獲得して、「大当りC」または「時短有小当り(小当りV大当り)」を獲得することにより大当り遊技と「モードA(低確率/高ベース)」を繰り返すことで大量の出玉獲得を目指す遊技を実行する。(
図37(D)、(E)参照)
【0546】
一方「モードA(低確率/高ベース)」において、第2特別図柄の特別図柄抽選によって「転落小当り」となる小当り図柄が停止表示された場合には、
図37(F)に示す「転落小当り」の小当り遊技状態に遷移した後、特定領域(V領域)に入賞しなかった場合に
図37(K)に示すように「通常時(低確率/低ベース)」に移行するようになっている。なお、「転落小当り」では特定領域への遊技球の通過はほとんど発生しないように小当り遊技が設計されているが、イレギュラーな状態として特定領域への遊技球の通過が発生した場合には、単位遊技数が「3」(転落小当りの小当り遊技の単位遊技を含む)である大当りが実行された後、「通常時(低確率/低ベース)」へ移行するように構成されている。
【0547】
なお、「モードA(低確率/高ベース)」は特別図柄抽選(第2特別図柄の特別図柄抽選)が900回実行された場合にも「通常時(低確率/低ベース)」に移行するように構成されているが、第2特別図柄の特別図柄抽選における大当り又は小当りとなる確率は25分の1以下であり、実質的に次回の「大当りC」または「時短有小当り」が実行されるか「転落小当り」の獲得まで「モードA(低確率/高ベース)」は終了しない、といえる遊技性となっているため、
図37には「モードA(低確率/高ベース)」の特別図柄抽選の実行回数による終了の遊技遷移フローは図示を省略している。
【0548】
次に「モードB(低確率/高ベース)」の遊技状態について説明を行う。
【0549】
「モードB(低確率/高ベース)」は、大当りBの後に移行し得る遊技状態であり、前述した「モードA」と同様電チューサポート状態(高ベース状態)である一方、特別図柄抽選(第2特別図柄の特別図柄抽選)の実行回数が1回で終了する遊技となっている点で、次回の大当りないし時短有小当りが実質的に確約できない点で相対的に不利な有利遊技状態となっている。
【0550】
「モードB(低確率/高ベース)」において、第2特別図柄の特別図柄抽選により「大当りC」または「時短有小当り」に当選した場合、大当り遊技後において「モードA(低確率/高ベース)」へ移行するようになっている(
図37(H)、(E)参照)。一方、「モードB(低確率/高ベース)」において「転落小当り」または特別図柄抽選の結果が「はずれ」となる結果が1回決定された場合には、小当り遊技後あるいは特別図柄の変動表示の終了後に「通常時(低確率/低ベース)」に移行するように構成される(
図37(I)、(K)および(J)参照)。
【0551】
なお、「通常時(低確率/低ベース)」に移行した後の第2特別図柄抽選に係る保留(残保留)における遊技性も上述の「モードB(低確率/高ベース)」の説明と略同等である。
【0552】
次に、
図37に示すその他の遊技状態遷移について説明を行う。
【0553】
図37に示す(L)(M)の遊技状態遷移フローは、特定の特別図柄にて「大当りA」を獲得した場合の遊技状態遷移を示す遊技状態遷移フローである。
【0554】
特定の特別図柄にて「大当りA」を獲得すると、大当り遊技後において電チューサポート状態(高ベース状態)が特別図柄抽選900回の「モードA(低確率/高ベース)」と同様の状態に制御されることとなるが、特定の特別図柄にて「大当りA」となった場合、大当り後の特別図柄抽選にて使用される変動パターンテーブルが「大当りB」となった場合と同様の変動パターンテーブルに設定され、一旦演出としては不利となる「大当りB」を獲得してしまったかのように遊技者に認識させて遊技をさせた後、「大当りB」に対応する「モードB」と略同等の遊技が進行した後に実は「モードA(低確率/高ベース)」であった旨の演出表示を行い、遊技状態を昇格させるといった演出表示を行う仕様となっている。
【0555】
図37の(L)(M)の遊技状態遷移は、所謂「潜伏」などと称される遊技状態遷移フローであるが、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは特別図柄抽選の確率変動機能を有しているわけではないため、前提とするぱちんこ遊技機において説明した「潜伏確変」とは少し異なる遊技性である。
【0556】
図37(N)は「通常時(低確率/低ベース)」にて、第1特別図柄の特別図柄抽選で小当りとなった場合の遊技状態の遷移を示している。「通常時(低確率/低ベース)」にて第1特別図柄の特別図柄抽選で小当りとなった場合は、小当り遊技後において「通常時(低確率/低ベース)」に復帰するようになっている。遊技者にとって、この遊技の遷移は実質的に変化がないように感じられるものであるが、主制御基板P40では、「通常時(低確率/低ベース)」で特別図柄抽選の際に参照する変動パターンテーブルの条件が設定されるようになっており、その詳細は後に説明する。
【0557】
(本実施例のぱちんこ遊技機の特別遊技および変動パターンモードの種類)
続いて、
図38および
図39を用いて、本実施例のぱちんこ遊技機Pにて実行されうる特別遊技(大当り、小当り)の種類の例と、各種特別遊技後の変動パターンモードの遷移に関して説明を行う。
【0558】
図38には、本実施例のぱちんこ遊技機Pで実行される特別遊技(大当り、小当りV大当り、小当り)の種類を示している。図中の「当り種別」は特別遊技の種類を示す項目であり、「当り後遊技状態」は当該特別遊技後に移行する遊技状態(正常に遊技が進行した場合)を示し、「限定頻度遷移テーブル」は、当該特別遊技後に変動パターンモードの選択状態がどのように推移していくのかを示している。
【0559】
なお、
図38に示しているのは
図37に示した遊技性(ゲームフロー)を実現するのに最低限必要となる特別遊技を示しているに過ぎず、
図38中の特別遊技の種類と略同様の特別遊技を複数種類備えるように構成してもよいし、遊技性(ゲームフロー)に影響が出ない程度であれば異なる特別遊技(例えば単位遊技数(ラウンド数)が異なる大当り、小当りV大当り等)を備えるように構成してもよい。
【0560】
ここで、
図38の各種大当りの種類の詳細を説明する前に、変動パターンモードの詳細について
図39を用いて先に説明をしておく。
【0561】
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、変動パターンモードとして「0」~「8」の合計9つの変動パターンモードを備えるように構成されている。ここで「変動パターンモード」とは、特別図柄抽選に用いる変動パターンテーブル自体を示すものではなく、特別図柄抽選を実行する際に、大当りやはずれ等の当否抽選の結果や保留数、特別図柄の時短状態の有無等各種の状況に応じて選択し得る変動パターンテーブルの種類を制限(絞り込む)するために用いる情報である。
【0562】
以下、各種変動パターンモードについて順に説明する。なお、表中の備考欄に示す概要の隅括弧は、当該変動パターンモード参照中の遊技の主体となる特別図柄の種類を示しており、括弧は当該変動パターンモード参照中の電チューサポート状態の作動有無の状況を表している。
【0563】
変動パターンモード番号「0」は、前述した遊技性(ゲームフロー)に示す「通常時(低確率/低ベース)」にて設定されうる変動パターンモードであり、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいてはラムクリアが実行された初期の状態や、特別遊技が実行された後の所定のタイミング(詳細は
図38を用いた説明で後述)にて移行する変動パターンモードの状態である。
【0564】
変動パターンモード番号「0」では、特別図柄の抽選が実行された場合に、今回の特別図柄抽選に係る特別図柄の種類(第1特別図柄であるか第2特別図柄であるかの情報)や保留数、当否抽選の結果等に応じて、抽選に使用する変動パターンテーブルを変動パターンモード番号「0」に割り当てられた複数のテーブルより1つ選択して特別図柄抽選における変動パターン抽選が実行されるようになっている。
【0565】
変動パターンモード番号「1」は、「通常時(低確率/低ベース)」にて設定される場合がある変動パターンモードであり、詳細は後述するが特別遊技(大当り、小当り)の実行後において複数の変動パターンモードを繰り返し設定する状況で設定されることがある変動パターンモードとなっている。
【0566】
変動パターンモード番号「1」が設定されている状況下では、第1特別図柄抽選の当否抽選の結果がはずれである場合に、特殊な変動パターンテーブルが参照されるように構成されており、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、変動パターンモード番号「1」が設定されているときに特別図柄抽選(はずれ)で用いられる変動パターンテーブルは、必ず特殊演出が実行可能な変動時間以上となる変動パターンが選択される特殊変動パターンテーブルを参照するように構成されている。
【0567】
変動パターンモード番号「2」は、「大当りA」である「特
図1_3R大当り図柄A1」が実行された場合に、大当り遊技後において設定される変動パターンモードである。
【0568】
変動パターンモード番号「2」では、「通常時(低確率/低ベース)」にて大当りAを獲得した際に残留している第1特別図柄の特別図柄抽選に係る保留を素早く消化するために、第1特別図柄の特別図柄抽選が実行される場合に、当否抽選結果が「はずれ」であるとき1秒程度の短い変動時間となるように定められた変動パターンテーブルが設定されるようになっている。
【0569】
なお、「大当りA」を獲得した後、電チューサポート状態(高ベース状態)が発生している状況下で、小当りV大当りの発生が期待できない第1特別図柄抽選が実行されるため、仮に第1特別図柄の特別図柄抽選に係る保留が大当り(特に大当りBを実行するもの)となった場合に、遊技者が不利益を被る虞があると考えられるため、このようなイレギュラーな状況においては、第1特別図柄の特別図柄抽選にて発生し得る「特
図1_3R大当り図柄B」、「特
図1_3R大当り図柄A2」についても、「特
図1_3R大当り図柄A1」と同様の遊技状態遷移(「モードA」への移行および限定頻度遷移テーブルの設定)が実行されるように設定されている。
【0570】
また、変動パターンモード番号「2」に設定される期間は、特別図柄抽選が4回実行されるまでの期間として設定されているが、「大当りA」を獲得した際に第1特別図柄の特別図柄抽選に係る保留が4つない場合、第2特別図柄の特別図柄抽選が変動パターンモード番号「2」に設定されている状況で実行されることとなる。
【0571】
この時、第2特別図柄の特別図柄抽選にて使用される変動パターンテーブルは、後述する変動パターンモード番号「4」に設定されているときと同じ変動パターンテーブルが特別図柄抽選に用いられるようになっている。なお、第2特別図柄の特別図柄抽選が遊技の主体となるモードAに応じた演出を実行可能な変動パターンが選択されるのであれば、第2特別図柄の特別図柄抽選に用いる変動パターンテーブルは、変動パターンモード番号「4」に設定されているときと異なる構成のものを採用するように構成してもよい。
【0572】
なお、本実施例の変動パターンモード番号の変更に関する条件(後述する限定頻度遷移テーブルでの変動パターンモード番号設定期間の更新条件)は、第1特別図柄と第2特別図柄のいずれの特別図柄の変動回数でも更新されうるように構成しているが、遊技の主体が第1特別図柄であるか第2特別図柄を切り替える情報である電チューサポート状態(高ベース状態)であるか否かの情報によって変動パターンモード番号を切り替えるための成立条件としてカウントする情報を異ならせるように構成してもよい。
【0573】
一例として、電チューサポート状態(高ベース状態)である場合には、第2特別図柄の変動が行われることが正常な遊技の進行であることより、電チューサポート状態(高ベース状態)であるときは、第2特別図柄の特別図柄抽選の実行回数に基づいてのみ変動パターンモード番号の更新条件が成立したか否かを判定するように構成してもよい。
【0574】
反対に通常時(低確率/低ベース)においては、第1特別図柄の特別図柄抽選の実行回数に基づいてのみ変動パターンモード番号の更新条件が成立したか否かを判定するように構成してもよい。このような変形例は、より簡単に説明するのであれば、
図39における変動パターンモード備考欄に示す隅括弧内の情報に基づいて、変動パターンモード番号切り替えの条件としてカウントする特別図柄の情報が設定される(隅括弧内が「特
図2」であれば、第2特別図柄の特別図柄抽選の回数をカウントすることで変動パターンモード番号の情報を更新する)ように構成する制御例である。
【0575】
このような変形例の構成によれば、変動パターンモード番号「2」の例では、大当りAの後に第1特別図柄の残保留が消化されても変動パターンモード番号が更新されることは無く、第2特別図柄の特別図柄抽選が1回実行されるまでは変動パターンモード番号「2」を維持することができるため、変動パターンモード番号「2」の設定期間を1回とするように変更しても、大当りAの終了時に残留しているすべての第1特別図柄の特別図柄抽選に係る保留について変動パターンモード番号「2」に応じた変動パターンテーブルにて変動パターン抽選を実行可能となる。
【0576】
変動パターンモード番号「3」は、第2特別図柄の特別図柄抽選を主体とする電チューサポート状態(高ベース状態)の「モードA」に移行した直後に特別図柄(主に第2特別図柄)の特別図柄抽選が4回行われるまでの期間設定される変動パターンモードであり、
図38に示すように第2特別図柄の特別図柄抽選において「特
図2_10R大当り図柄C2」または「特
図2_小当り(10R)図柄C2」となった場合に大当り遊技直後に設定される変動パターンモードとなっている。
【0577】
変動パターンモード番号「3」であるとき、第2特別図柄の特別図柄抽選が実行されると、当否抽選の結果が「はずれ」である場合には1秒程度の短時間の変動パターンが選択される変動パターンテーブルにて抽選が行われ、当否抽選結果が「大当り」または「小当り」となる場合には、大当り遊技中に発生している保留内で大当りを獲得したことを報知するための保留内大当り報知演出や、大当り時には存在せずモードA以降後に新たに発生した保留での大当り又は時短有小当りを獲得したこと、あるいは転落小当りとなったことを報知するためのバトル演出(バトルリーチ)を実行可能な変動パターンが選択されうる変動パターンテーブルにて抽選が行われる。
【0578】
変動パターンモード番号「4」は、「モードA(低確率/高ベース)」にて通常使用される変動パターンテーブル群を指定する情報である。変動パターンモード番号「4」が設定されているときは、電チューサポート状態(高ベース状態)における第2特別図柄の特別図柄抽選を中心とした変動パターン抽選が主となり、第2特別図柄の特別図柄抽選の当否抽選の結果や当り図柄抽選の結果に基づき使用する変動パターンテーブルを変動パターンモード番号「4」に対応する複数の変動パターンテーブルより選択して変動パターン抽選が実行される。
【0579】
変動パターンモード番号「5」は、
図37にて説明した(L)、(M)の遊技状態遷移フローを経由する際の「モードB」に応じた演出を実行する際に使用する変動パターンテーブルが選択されるように設定される変動パターンモード番号の情報である。
【0580】
変動パターンモード番号「6」は、「通常時(低確率/低ベース)」において「大当りB」である「特
図1_3R大当り図柄B」に当選し、大当り遊技後に「モードB」に遷移する際に設定される変動パターンモード番号の情報である。変動パターンモード番号「6」が設定されている状況下において、第2特別図柄の特別図柄抽選が実行されると、変動パターンモード番号「6」に応じた特殊な変動パターンテーブルが1つ必ず選択されるようになっており、1分以上の変動(普通電動役物P770の作動により第2始動入賞口P721への入賞を発生させ、第2特別図柄の特別図柄抽選に係る保留を4つ溜められる程度の変動時間)が必ず選択されるようになっている。
【0581】
変動パターンモード番号「7」は、「モードB」において、第2特別図柄の特別図柄抽選が「はずれ」となる結果で終了して残保留(第2特別図柄の特別図柄抽選に係る保留)が消化された後に、第1特別図柄の特別図柄抽選が8回行われるまでの期間において、「通常時(低確率/低ベース)」とは異なる特殊な演出表示が表示される演出モード(時短抜けモードB)で遊技を実行させるための変動パターンを選択し得る変動パターンテーブルを選択させるための変動パターンモード番号の情報となっている。
【0582】
変動パターンモード番号「8」は、「モードA」や「モードB」において、第2特別図柄の特別図柄抽選が「転落小当り」となる結果で終了して残保留(第2特別図柄の特別図柄抽選に係る保留)が消化された後に、第1特別図柄の特別図柄抽選が8回行われるまでの期間において、「通常時(低確率/低ベース)」とは異なる特殊な演出表示が表示される演出モード(時短抜けモードA)で遊技を実行させるための変動パターンを選択し得る変動パターンテーブルを選択させるための変動パターンモード番号の情報となっている。
【0583】
図38に戻り、本実施例のぱちんこ遊技機Pで実行される特別遊技の種類について説明を行う。
【0584】
「特
図1_3R大当り図柄A1」は、「通常時(低確率/低ベース)」における「大当りA」に相当し、大当り遊技後に「モードA(低確率/高ベース)」に移行する特別遊技(大当り)である。
【0585】
「特
図1_3R大当り図柄A1」は単位遊技数(ラウンド数)が3回で構成された大当り遊技であり、大当り遊技後の限定頻度遷移テーブルの情報として、変動パターンモード番号「2」を特別図柄抽選4回が実行されるまでの期間、変動パターンモード番号「4」を電チューサポート状態(高ベース状態)である期間、その後の期間には変動パターンモードセットA(詳細は「特
図1小当りA」にて説明)を順次設定する情報がセットされるようになっている。
【0586】
「特
図1_3R大当り図柄B」は、「通常時(低確率/低ベース)」における「大当りB」に相当し、大当り遊技後に「モードB(低確率/高ベース)」に移行する特別遊技(大当り)である。
【0587】
「特
図1_3R大当り図柄B」は単位遊技数(ラウンド数)が3回で構成された大当り遊技であり、大当り遊技後の限定頻度遷移テーブルの情報として、変動パターンモード番号「6」を特別図柄抽選(第2特別図柄の特別図柄抽選)1回が実行されるまでの期間、変動パターンモード番号「7」を特別図柄抽選(第1特別図柄の特別図柄抽選)が8回実行されるまでの期間、その後の期間には変動パターンモードセットAを順次設定する情報がセットされるようになっている。
【0588】
「通常時(低確率/低ベース)」における「大当りA」に相当し、大当り遊技後に「モードA(低確率/高ベース)」に移行する特別遊技(大当り)である。ただし、演出的には「モードB(低確率/低ベース)」と同様の演出を行った後、実は電チューサポート状態(高ベース状態)が900回であることを報知する昇格パターンで演出が進行するため、大当り直後においては変動パターンモードの設定が「特
図1_3R大当り図柄A1」とは異なっている。
【0589】
「特
図1_3R大当り図柄A2」は単位遊技数(ラウンド数)が3回で構成された大当り遊技であり、大当り遊技後の限定頻度遷移テーブルの情報として、変動パターンモード番号「5」を特別図柄抽選(第2特別図柄の特別図柄抽選)1回が実行されるまでの期間設定し、続いて変動パターンモード番号「4」を電チューサポート状態(高ベース状態)である期間設定する。そして、大当りないし小当りを獲得することなく電チューサポート状態(高ベース状態)が終了すると、その後の期間には変動パターンモードセットAを順次設定する情報がセットされるようになっている。
【0590】
「特
図1小当りA」、「特
図1小当りB」、「特
図1小当りC」は、第1特別図柄の特別図柄抽選にて「小当り」となった場合に実行される小当り遊技である。
図38では、「通常時(低確率/低ベース)」にて「特
図1小当りA」、「特
図1小当りB」、「特
図1小当りC」を獲得した場合の状況について記載している。
【0591】
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、「特
図1小当りA」、「特
図1小当りB」、「特
図1小当りC」が当選して実行される小当り遊技ではV入賞が限りなく困難なものとなっており大入賞口内の特定領域への遊技球の入賞は無いものを想定しているが、万一特定領域への通過が発生した場合には小当り遊技における単位遊技を含めて3回の単位遊技が実行される大当り遊技(小当りV大当り)が実行される。
【0592】
「特
図1小当りA」、「特
図1小当りB」、「特
図1小当りC」が当選した場合、小当り遊技中に特定領域への遊技球がなく小当り遊技が終了した場合は、小当り遊技の実行契機となった変動表示が行われたときの遊技状態が継続するように構成されており、「通常時(低確率/低ベース)」にて「特
図1小当りA」、「特
図1小当りB」、「特
図1小当りC」に当選した場合は小当り遊技後も「通常時(低確率/低ベース)」へ移行し、電チューサポート状態(高ベース状態)が作動しているときに「特
図1小当りA」、「特
図1小当りB」、「特
図1小当りC」に当選した場合には電チューサポート状態(高ベース状態)が継続する(ただし、電チューサポート状態(高ベース状態)の特別図柄抽選の実行回数に基づく終了条件を満たした最終変動である場合を除く)。
【0593】
「特
図1小当りA」、「特
図1小当りB」、「特
図1小当りC」について、小当り遊技や遊技状態の遷移について差は無く、3種類の小当り図柄の相違点として、小当り遊技後に設定される限定頻度遷移テーブルが相違している点が挙げられる。
【0594】
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、特
図1の小当りの種類によって、異なる変動パターンモードの遷移が繰り返し実行される変動パターンモードセットの限定頻度遷移テーブル情報が設定される。
【0595】
具体的には「特
図1小当りA」である場合、変動パターンモードセットAが設定される(
図38参照)。変動パターンモードセットAは、変動パターンモード番号「0」を127回、変動パターンモード番号「0」を38回、変動パターンモード番号「1」を1回、それぞれ「通常時(低確率/低ベース)」にて遊技の主体となる第1特別図柄の特別図柄抽選が、各回数実行されるまで変動パターンモード番号の情報として設定することを繰り返すように構成されている。なお、変動パターンモード番号「0」として同じものを配置している理由は1バイトデータで回数を管理しているためであり、2バイトデータで管理する場合には、変動パターンモード番号「0」の参照期間を一つにまとめることが可能である。
【0596】
変動パターンモードセットAは、言い換えると、通常時(低確率/低ベース)にて基本的に使用する変動パターンテーブルを用いた抽選を165回(127+38回)実行した後、1変動だけ特殊な変動パターンテーブルを用いて特殊な演出を実行するための変動パターンが選択されるように構成された変動パターンモードセットであるといえる。
【0597】
変動パターンモード番号「1」が設定されている状況下では、前述したように、特別図柄抽選に用いる変動パターンテーブルが必ず所定時間以上(例えば1分以上)の変動パターンを選択する変動パターンテーブルが設定され、当該変動において特殊演出(例えば、変動パターンモード番号「0」の際に決定されれば大当り期待度が相対的に高く設定された変動パターンである場合に実行可能となる演出であり、SPリーチ等の高期待度リーチなどが例として挙げられる)を実行する。
【0598】
このように変動パターンモードセットAでは、166回の変動表示毎に特殊演出が実行されるように構成できることから、遊技中に高期待度の演出が全く発生せず期待感のある演出を体験できないという不満を解消しやすく構成できる。
【0599】
「特
図1小当りB」、「特
図1小当りC」ときは、「特
図1小当りA」の時と異なる変動パターンモードセットBないし変動パターンモードセットCがそれぞれ設定され、変動パターンモードセットAとの相違点は変動パターンモード番号「0」の設定期間がそれぞれ177回(127+50回)、201回(127+74回)である点で相違している。すなわち「特
図1小当りA」~「特
図1小当りC」のいずれが当選したかによって、変動パターンモード番号「1」に対応する変動パターンテーブルによって特殊演出を実行する変動パターンの選択が行われるタイミングが相違するように構成されているといえる。
【0600】
なお、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、変動パターンモードセット(複数の変動パターンモードの組合せ)を繰り返し参照するように構成しているが、繰り返しをしない場合があってもよいし、各変動パターンモードセットの構成や変動パターンモードセット内の参照期間の相違を適宜設けるように構成してもよい。
【0601】
また、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、第1特別図柄の小当り確率が278分の1であるため、「特
図1小当りA」、「特
図1小当りB」、「特
図1小当りC」の実行に基づいていずれかの変動パターンモードセットが設定されている状況下でも、新たに第1特別図柄の特別図柄抽選にて「小当り」となる場合があり、その際には改めて小当り図柄に応じた変動パターンモードセットが最初から設定されるようになっており、過度に特殊演出が実行されすぎないように構成している。
【0602】
なお、本例においては説明を簡略化するために第1特別図柄における小当り図柄の種類を3種類に限定して説明したが、より多くの小当り図柄を有するように構成してもよいし、本実施例のぱちんこ遊技機Pのように大入賞口内の特定領域を通過しない小当りのみではなく、特定領域への遊技球の通過が可能な第1特別図柄の特別図柄抽選に基づく小当りを設けるように構成してもよい。
【0603】
「特
図2_10R大当り図柄C」または「特
図2_小当り(10R)図柄C」は、電チューサポート状態(高ベース状態)である「モードA(低確率/高ベース)」、「モードB(低確率/高ベース)」や、「通常時(低確率/低ベース)」移行後の第2特別図柄の特別図柄抽選によって当選する可能性がある大当り又は小当りである。
【0604】
なお、
図38において「特
図2_10R大当り図柄C」または「特
図2_小当り(10R)図柄C」について、大当り遊技(小当りV大当り)後の遊技状態の遷移や限定頻度遷移テーブルが共通であることより1つにまとめて説明を行っているが、特別遊技中は初回の単位遊技(1ラウンド目)が大当り中であるか小当り中であるかが異なっており、初回の単位遊技に限り大入賞口の開放パターンが異なって以外に相違はない。初回の単位遊技における大入賞口の開放パターンは「特
図2_10R大当り図柄C」が大入賞口ユニットP750を29秒入球容易の状態を維持し続けるフルオープンの態様で開放させられる一方、「特
図2_小当り(10R)図柄C」では、0.1秒程度の開放を断続的に13回程度繰り返し、合計1.3秒の大入賞口ユニットP750の入球容易状態への変化が行われる態様で大入賞口の開放パターンが実行される。
【0605】
「特
図2_10R大当り図柄C」または「特
図2_小当り(10R)図柄C」に基づく大当り遊技が実行されると、大当り遊技後においては、「モードA(低確率/高ベース)」に移行するとともに、限定頻度遷移テーブルに従い変動パターンモード番号「4」が設定される。変動パターンモード番号「4」の設定期間は電チューサポート状態(高ベース状態)である状態の期間継続し、大当り遊技を獲得することなく変動パターンモード番号「4」の設定期間が終了すると変動パターンモードセットAが設定されるようになっている。
【0606】
「特
図2_10R大当り図柄C2」または「特
図2_小当り(10R)図柄C2」は、それぞれ「特
図2_10R大当り図柄C」または「特
図2_小当り(10R)図柄C」と同様の制御の大当り(小当り)遊技が実行されることとなり、大当り遊技後の遊技状態も「モードA(低確率/高ベース)」という点で共通である。
【0607】
「特
図2_10R大当り図柄C2」または「特
図2_小当り(10R)図柄C2」と、「特
図2_10R大当り図柄C」または「特
図2_小当り(10R)図柄C」の相違点は、限定頻度遷移テーブルに基づき最初に設定される変動パターンモードが変動パターンモード番号「3」である点で相違する。
【0608】
「特
図2_10R大当り図柄C2」または「特
図2_小当り(10R)図柄C2」の終了後に設定される変動パターンモード番号「3」に対応する変動パターンテーブルでは、第2特別図柄の特別図柄抽選により選択される変動パターン(はずれ)が1秒程度の短時間のものとなっており、保留内に大当り又は小当りとなる保留がある場合に、大当り遊技中のラウンド演出(大当り中演出)として、保留(第2特別図柄の特別図柄抽選に係る保留)に大当り又は小当りがあることを示唆する「保留連演出(保留内連荘演出)」が実行されるように構成されており、保留内に大当り、小当りがある場合に現在実行中の大当りから続く保留内の大当り(小当りV大当り)にスムーズに誘導する演出を実行するとともに単位時間内に獲得し得る遊技球の数を増加させ得るという効果を有する。
【0609】
なお、「特
図2_10R大当り図柄C2」または「特
図2_小当り(10R)図柄C2」において、保留内に大当り(小当り)となる保留がある場合に「保留連演出」が実行されうると説明したが、厳密には保留内に存在する最先の当りが、大当り(小当り)のうち「特
図2_10R大当り図柄C」または「特
図2_小当り(10R)図柄C」、「特
図2_10R大当り図柄C2」または「特
図2_小当り(10R)図柄C2」である場合に、「保留連演出」を実行するものとし、第1特別図柄の特別図柄抽選に基づく大当りや小当り、あるいは後述する「特
図2_小当り(3R)図柄」(「転落小当り」に相当)である場合には「保留連演出」を実行しないように構成されている。
【0610】
「特
図2_10R大当り図柄C2」または「特
図2_小当り(10R)図柄C2」の実行後に変動パターンモード番号「3」の設定期間(第2特別図柄の特別図柄抽選4回)が経過した後は、「特
図2_10R大当り図柄C」または「特
図2_小当り(10R)図柄C」と同様の変動パターンモードの設定が実行される。
【0611】
「特
図2_小当り(3R)図柄」は、第2特別図柄の特別図柄抽選にて小当りとなった場合に実行されうる小当り遊技の一つであり、小当り遊技の終了後に「通常時(低確率/低ベース)」に移行することが想定された小当り遊技である。
【0612】
なお、「特
図2_小当り(3R)図柄」は
図37に示す「転落小当り」に相当し、小当り遊技中に大入賞口P751内の特定領域P760に対する遊技球の通過は想定されて設計されてはいないため、小当りV大当りの実行はイレギュラーとして扱っている(特定領域P760を通過した場合、小当り遊技の単位遊技を含めて合計3回の単位遊技が実行される小当り図柄となっている)。
【0613】
「特
図2_小当り(3R)図柄」に基づく小当り遊技が終了した後は、「通常時(低確率/低ベース)」に制御されるとともに限定頻度遷移テーブルに従い、変動パターンモード番号「8」を特別図柄の特別図柄抽選が8回(第1特別図柄および第2特別図柄の特別図柄抽選の合計8回)実行されるまで設定するように構成され、変動パターンモード番号「8」の設定期間の経過後は、変動パターンモードセットAを設定するようになっている。
【0614】
《限定頻度遷移テーブルを用いた変動パターンモードの更新制御》
ここまで限定頻度遷移テーブルと変動パターンモードの設定に関する説明を行ってきたが、ここで、限定頻度遷移テーブルを用いた変動パターンモードの切り替えに関する具体的な処理についての例に関し説明を行う。
【0615】
限定頻度遷移テーブルは、特別遊技の終了時に、特別遊技を実行することとなった特別図柄(大当り図柄、小当り図柄)に基づいて参照する限定頻度遷移テーブルが予め設定される。ここで限定頻度遷移テーブルを設定するとは、限定頻度遷移テーブルを記憶するテーブル記憶領域の先頭アドレスの情報を、現在設定されている限定頻度遷移テーブル情報としてラムの所定の記憶領域に記憶する処理と、初回参照アドレスのオフセット値として「0」を合わせて所定の記憶領域に記憶する。
【0616】
限定頻度遷移テーブルの構造は、参照する変動パターンモード番号の情報と変動パターンモード番号の参照回数を記憶した構造となっており、限定頻度遷移テーブルの設定期間が終了するタイミングでは終了データ「FF」が記憶されている。
【0617】
例えば、大当り遊技後に変動パターンモード番号「X」を5回、変動パターンモード番号「Y」を3回設定し、その後通常の変動パターンテーブル参照状態に移行する場合の限定頻度遷移テーブルは、5バイトの記憶領域となっており、先頭アドレスの記憶領域(1バイトの記憶領域)から順番に、「変動パターンモード番号「X」を指定する情報」、5(「変動パターンモード番号「X」を参照する回数情報)、「変動パターンモード番号「Y」を指定する情報」、3(「変動パターンモード番号「Y」を参照する回数情報)、「FF」(終了データ)が記憶されたテーブル記憶領域となっている。
【0618】
そして、変動パターン抽選の実行により大当り遊技の終了後に5回の変動パターン抽選が実行されると、前述の限定頻度遷移テーブルの切り替えのために参照する位置を切り替えるためのオフセット値情報を「+2」して、続く変動パターンモード番号「Y」を指定する情報と、参照回数の3が呼び出されるようになっている。
【0619】
その後、さらに3回の変動パターン抽選が実行されると、再度限定頻度遷移テーブルの切り替えのために参照する位置を切り替えるためのオフセット値の記憶領域を「+2」することとなるが、この際オフセット値に基づいて限定頻度遷移テーブルのを参照した結果が終了データ(「FF」)であるため、変動パターンモードを通常の変動パターンモードに復帰させるように構成される。ここで通常の変動パターンモードは、変動パターンモード番号「0」を意味しており、限定頻度遷移テーブルに基づく変動パターンモードの設定において終了データに到達すると、変動パターンモード番号の記憶領域を初期化(0クリア)するように構成することで、限定頻度遷移テーブルの参照期間が終了するようになっている。
【0620】
ここで、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、「特
図1小当りA」や各種大当りごとに定められた限定頻度遷移テーブルの参照時の最終的な限定頻度遷移テーブル情報として、複数の変動パターンモードを繰り返し設定する「変動パターンモードセット」が設定されるように構成されているが、「変動パターンモードセット」は、前述の限定頻度遷移テーブルの構造とは少し異なり、「終了データ(FF)」の代わりに、「ループ設定データ(FE)」とループさせる変動パターンモード番号を参照するためのオフセット値の再設定情報が設定されるように構成されている。
【0621】
限定頻度遷移テーブルのデータとして、「ループ設定データ(FE)」が設定されている場合、複数の変動パターンモード番号の設定期間が終わり、オフセット値のが「ループ設定データ(FE)」となったときに「ループ設定データ」が設定されている旨を判定し、続くアドレスに記憶されている、オフセット値の情報を読み出し、限定頻度遷移テーブルの変動パターンモード番号の設定情報を記憶している記憶領域を指定する情報のアドレス値を指定するためのオフセット値を再度設定するように構成することで、再び再設定されたオフセット値が指定する領域の変動パターンモード番号の設定情報から、変動パターンモード番号の設定を繰り返すように構成することができる。
【0622】
例えば「特
図1_3R大当り図柄B」の後に設定される限定頻度遷移テーブルに基づく制御の場合、変動パターンモード番号「6」(オフセット値「0」)、「変動パターンモード番号「7」(オフセット値「2」)、変動パターンモード番号「0」(オフセット値「4」)、「変動パターンモード番号「0」(オフセット値「6」)、変動パターンモード番号「1」(オフセット値「8」)、ループ設定データ(オフセット値「10」)という構造になっており、各データの間の記憶領域にはそれぞれの変動パターンモード番号の設定情報の設定回数が記憶され、ループ設定データの後の記憶領域にはオフセット値「4」を再設定するための情報である定数データの「4」が記憶されている。
【0623】
このように構成されることで、「特
図1_3R大当り図柄B」の実行された後は、変動パターンモード番号「6」、変動パターンモード番号「7」はそれぞれ1回、8回の1回の設定期間だけ参照される一方、変動パターンモードセットである変動パターンモード番号「0」(127回、38回)と変動パターンモード番号「1」(1回)は、繰り返し変動パターンモード番号として設定可能に構成される。
【0624】
(本実施例のぱちんこ遊技機Pの特殊変動「変動付加」と特殊変動中の演出表示)
次に本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて実行される特殊変動と当該特殊変動中に表示される演出表示の内容について
図40から
図42を用いて説明を行う。
【0625】
本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて実行される特殊変動は「変動付加」と呼ばれる通常の特別図柄抽選中の変動パターン抽選で決定される変動パターン(変動時間)に対し、別途抽選される「変動付加」抽選(変動付加乱数を用いた抽選で決定される)で当選した追加の変動時間(「変動付加時間」とも称する)を付加した変動である。以下では「変動付加」として決定された変動時間が付加された変動パターンを表す表現として、「特殊付加変動」と称し説明を行うこととする。
【0626】
図40、BAEは「特殊付加変動」が実行されている変動表示中の演出表示例を示す。
図40(A)および(B)は「特殊付加変動」が実行されていない場合の演出表示例を示し、
図40(C)~(E)は「特殊付加変動」が実行されている変動の1変動分の演出表示例を示し、
図41(A)~(E)は「特殊付加変動」が実行されているときに実行されうる演出表示と関連性がある先読み演出を伴う場合に「特殊付加変動」が実行されるまでの複数回(図の例では2回)の変動表示中に実行される演出表示の例を示している。
【0627】
最初に「特殊付加変動」が実行されない場合(すなわち変動付加抽選に当選しない、あるいは変動付加抽選で付加される変動時間が0秒と決定された場合)の演出表示例の説明を行う。
【0628】
図40に示す演出表示例では、大当り期待度を示唆する、あるいはリーチ等の高期待度演出への発展期待度を示唆する予告演出A(キャラクタ通過予告)が実行されており、演出表示装置P80の表示領域右側に女性キャラクタが表示され、表示領域の右側から左側に向かって女性キャラクタの奥側をキャラクタが通過する予告演出が行われている。
図40の例では女性キャラクタの前を犬のキャラクタが通過している様子が示されている。
【0629】
続いて
図40(C)~(E)に示す「特殊付加変動」が実行されている状況下において予告演出A中に「特殊付加変動」により付加された時間分の演出時間に実行されるモードアップ演出(チャンスアップ演出)の内容について説明する。
【0630】
図40(C)は予告演出Aが開始されて所定時間が経過している状況を示している。ここまでの過程において「特殊付加変動」の実行中と「特殊付加変動」を実行していない場合(
図40(A)~(B)参照)との間で大きな差は無いものとなっている。しかし、
図40(C)に示すタイミング(「特殊付加変動」で実行されるモードアップ演出が発生する60フレーム(2秒)前のタイミング)において、演出表示領域の略中央上部に「きゅん」と記載されたハートマーク画像が半透過状態にて透過率を変化させながら表示(例えば非透過に近づく、透過状態に近づくという変化態様を繰り返す表示)され、「特殊付加変動」に応じたモードアップ演出が実行されることを示唆する予兆画像が表示される。なお、「特殊付加変動」が実行されない場合の予告演出Aの一部のパターンに予兆画像が最終的に非表示となりモードアップ演出が発生しないことを示唆するガセパターンを有するように構成していてもよい。
【0631】
図40(D)のタイミングになると、予告演出Aに対して「特殊付加変動」に対応するモードアップ演出が割り込んで表示される。この時予告演出Aの表示は一時停止され、モードアップ演出の背面に隠れて略全体(少なくとも予告演出Aの期待度示唆の鍵となる通過キャラクタの部分)の視認が困難となるようになっている。
【0632】
モードアップ演出では、女性キャラクタのカットイン画像が表示され、「いくわよ!きゅんタイム」というセリフが音声を伴い表示され、「きゅんタイム」という通常より大当り期待度が高まっている状態(モード)への移行を示唆するように構成されている。なお、「きゅんタイム」が実行された場合には、その後に表示される予告演出の種類も「きゅんタイム」(モード)特有の演出表示となるように構成してもよいし、通常時と同様の予告演出の種類が実行されるように構成してもよい。また図示はされていないが本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては「きゅんタイム」よりも上位(大当り期待度が高い)の「きゅんきゅんタイム」、さらに上位の「きゅんきゅんタイムSUPER」が存在するように構成されている。
【0633】
図40(E)は、モードアップ演出の表示が終了し、モードアップ演出が途中で割り込んだ対象の演出である予告演出Aに復帰している状態を示している。
図40(E)の例では演出表示装置P80の表示領域の左上に「きゅんタイム」と表示された帯状の画像が表示され、モードアップした状態であることを示しているとともに、予告演出Aの対象演出である通過キャラクタも通常の犬のキャラクタ画像からパトランプを頭につけた犬のキャラクタに変更されている。なお、通常の犬のキャラクタとパトランプを頭につけた犬のキャラクタとでは、パトランプをつけた犬のキャラクタのほうが大当り期待度が高く、本例においてはモードアップ演出の発生前後において予告演出Aにて実行されている演出パターの大当り期待度が上昇しているかのような表示態様となっている。
【0634】
なお、モードアップ演出の前後でモードアップ演出の割り込み対象となる予告演出の大当り期待度等を示唆する対象画像を、より大当り期待度の高い予告画像(予告パターン)に昇格させる(成り上げる)必要は必ずしもなく、例えばモードアップ演出の発生前に既にある程度の大当り期待度の予告演出パターンが実行されている状況下においてモードアップ演出が発生した場合、必ず予告演出を成り上げる法則とすると過度に大当りを期待させてしまい、はずれとなった場合に遊技者の遊技意欲の減退につながってしまう虞が考えられる。
【0635】
また、モードアップ演出が割り込んだ場合に、実行中の演出がより大当り期待度の高いパターンに変更される例として、
図40(E)では保留球画像(当該保留オブジェクト表示領域P812の当該保留オブジェクトP813)が変化している例を示している。なお、モードアップ演出の割り込み前後において変化する演出画像は、予告画像や保留画像の他、先読み演出(先読み変動から当該変動まで継続する連続演出)であってもよいし、装飾図柄のリーチ図柄等のその他の演出画像を高期待度の演出画像に変換するように構成してもよい。
【0636】
本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて、「特殊付加変動」が実行される変動表示においては、通常
図40に示したようなモードアップ演出が「特殊付加変動」に対応する演出表示として実行されるものであるが、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて、「モードアップ」は先読み演出としても「モードアップ先読み」として事前に実行される場合を有しており、「特殊付加変動」において既にモードアップが発生している状況下であって、更なる「モードアップ演出」の実行が不適切となる場合(例えば、特に高期待度のリーチ演出にも発展することがないはずれ変動であるにもかかわらず少なくとも2段階以上モードアップした状態である「きゅんきゅんタイム」に発展してしまい、過剰な期待を遊技者に抱かせてしまう虞がある場合、等)には、「モードアップ演出」を実行せず、「特殊付加変動」に対応する演出表示を代替演出(期待度示唆演出)に差し替えて実行させるようにすることが好ましい。
【0637】
以下、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて、事前に「モードアップ先読み」が発生し、「特殊付加変動」が実行される変動表示において既にモードアップした状態で「特殊付加変動」が行われ、「特殊付加変動」に対応する演出表示が代替演出の「期待度示唆演出」に差し替えて実行される場合の例について
図41を用いて説明する。
【0638】
図41(A)は、「特殊付加変動」の実行される変動表示の1回前の変動表示において、リーチ演出中にモードアップが発生することを示唆する演出である、モードアップ図柄(特殊装飾図柄)の停止表示を煽っている様子が示されており、
図41(B)においてモードアップ図柄が最終停止表示図柄の一部として停止表示している様子が示されている。なお、モードアップ図柄は装飾図柄P801において一時的に表示される特殊装飾図柄であるため、簡易図柄P802の領域では単純なリーチはずれ図柄である「232」が停止表示されている。
【0639】
図41(C)では、モードアップ図柄が停止表示した変動の次の変動表示が開始された状況を示しており、本例では、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて、「特殊付加変動」が実行される変動表示の開始時点の表示態様を示している。
【0640】
モードアップ先読みによりモードアップ図柄が停止表示された次の変動表示においては、変動開始時にカットイン画像(
図41(C)では「ブースター発動!」の文字と2人の女性キャラクタが表示されるカットイン画像を表示)が表示されるとともに、演出表示領域の左上領域にモードアップ図柄に対応する「きゅんタイム」の帯画像が表示されている。
【0641】
図41(D)は、「特殊付加変動」が開始した後予告演出Aが開始され、「特殊付加変動」に対応する演出である「期待度示唆演出」が発生する所定時間前(およそ2秒(60フレーム)前)のタイミングでの演出表示例を示しており、「期待度示唆演出」に対する予兆画像(上向きの矢印の画像と「UP」の文字)が透過度を変化させながら最終的に不透過な状態となって表示されることで「期待度示唆演出」が発生するか否かを煽る演出が表示されている。
【0642】
図41(E)は、「特殊付加変動」に対応する演出表示である「期待度示唆演出」が表示されている状況を示しており、実行中の予告演出画像(予告演出Aの画像表示)に重ねて3人の女性キャラクタと「CHANCE」の文字列のカットイン画像が表示されている。この時、「期待度示唆演出」に隠れてしまっている予告演出Aの画像は一時停止しており、カットイン画像が非表示に切り替わり予告演出Aの画像表示に復帰するタイミング(
図41(F)参照)で予告演出Aの進行が再開する。
【0643】
図41(F)は、「期待度示唆演出」の表示が終了して、一時停止となっていた予告演出Aの画像表示に復帰した状況を示すが演出表示例である。「期待度示唆演出」の場合であっても前述の「モードアップ演出」を実行した場合と同様に実行中の予告演出Aの画像が昇格(成り上げ)された状態(予告演出Aの通過キャラクタが通常の犬のキャラクタからパトランプをつけた犬のキャラクタに変更されている様子)で復帰している様子が本例では示されている。
【0644】
なお、図示はしていないが
図41のようにモードアップした状態で「特殊付加変動」が実行される場合であっても、さらにモードアップをさせてもよい状況(高期待度のリーチへ発展する変動表示である場合等)においては、「特殊付加変動」に対応する演出表示として現在のモードアップ状態よりもさらに上位のモードに移行する「モードアップ演出」を実行するように構成してもよい。このように構成した場合にあっては、
図41(D)に示すタイミングの予兆画像を「モードアップ演出」の実行を示唆する予兆画像(
図40(C)参照)と「期待度示唆演出」の実行を示唆する予兆画像(
図41(D)参照)を交互に表示して、どちらが表示されるかを煽り、「特殊付加変動」に対応する演出をどちらとするかによって最終的に非透過状態で表示される予兆画像を異ならせるという予兆画像の表示の煽り方をすることも可能となる。
【0645】
また、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては、「特殊付加変動」に対応する演出である「モードアップ演出」や「期待度示唆演出」の実行中は背景として実行されている予告演出画像が一時停止されて、復帰時に一時停止状態のタイミングから復帰するものとしたが、一時停止したタイミングより少し手前の状態(例えば一時停止の1秒前)に戻して演出表示を実行するように構成してもよい。なおこの場合には「特殊付加変動」に対応する変動付加時間に実行される演出として「モードアップ演出」または「期待度示唆演出」の実行時間+復帰後画像表示の1秒が追加時間として決定されるようにすることで、通常の変動演出を実行する場合と「特殊付加変動」に対応する変動演出を実行する場合とで違和感なく演出表示ができる。
【0646】
また、本実施例のぱちんこ遊技機Pの「モードアップ演出」は「特殊付加変動」や「モードアップ先読み」以外に、当該変動の変動時間内で発生する予告演出としても抽選して決定される場合があり、1回の特別図柄の変動中に「モードアップ演出」が2回や3回発生する場合も存在する。
【0647】
以上、予告演出A(キャラクタ通過予告)が実行されている変動演出に対し、「特殊付加変動」に対応する演出が追加される場合の演出表示例を示したが、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて、「特殊付加変動」に対応する演出が割込み可能となる演出は予告演出Aの表示中に限られず、変動演出中に表示される複数の予告演出のいずれかのタイミング(最大2回)にて「特殊付加変動」に対応する演出が表示可能に構成されている。以下その他の例の一部として
図42を用いて説明する。
【0648】
図42には、3つの例が例示されており、1つは上述した「予告演出A(キャラクタ通過予告)」であり、その他の例として「予告演出B(ノーマルリーチ)」と、演出操作手段P80(演出ボタンP381、演出レバーP382等)を用いた演出である「リーチ後背景予告」が例示されている。
【0649】
図42の「予告名」は、「特殊付加変動」に対応する演出が割込みを行う対象の予告演出の種類を示しており、「演出付加タイミング」は対象の演出が実行されている状況のどのタイミングで割込みが発生するかを示している。図示はしていないが予告演出が開始されるタイミングや開始直後で割込みが発生する場合もあり、この場合には予兆画像の表示発生が設定できないので予兆画像の表示なしで「特殊付加変動」に対応する演出が割込む。
【0650】
図42の「付加パターン」は「特殊付加変動」に対応する演出が「モードアップ演出」または「期待度示唆演出」のいずれの態様で実行されるかを示しており、「発生フレーム」は「モードアップ演出」または「期待度示唆演出」の発生タイミングを示している。ここで「F」はフレームを表し、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては1秒間に30フレームの画像表示切替が行われるため、例えば「300F」では、変動演出の開始(特別図柄の変動表示の開始)から10秒後において「特殊付加変動」に対応する演出が割り込むことが示される。
【0651】
「予兆発生フレーム」は、「特殊付加変動」に対応する演出の発生前に予兆画像を用いた煽り演出を行い、煽り演出の画像が非透過となるタイミングを示しており、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては予兆画像を発生させる場合には、いずれも「特殊付加変動」に対応する演出が発生する60フレーム(2秒)前の時間が指定されるように構成されている。なお予兆発生フレームのタイミングは演出毎に任意に異なる時間を設定してもよい。
【0652】
「予告成り上げ」は、
図40や
図41で犬のキャラクタの表示態様が変更されたように、「特殊付加変動」に対応する演出が割り込んだ予告演出の表示態様(予告演出の実行パターン)が、「特殊付加変動」に対応する演出の割り込み前後において、遊技者にとってより有利(大当り期待度が高い等)となるように昇格し得るかどうかを示しており、「あり」である場合には昇格(成り上げ)が発生可能であることを示している。なお「あり」の場合であっても昇格(成り上げ)が発生することは確定ではなく、「特殊付加変動」に対応する演出が割り込む前に高期待度の演出が既に実行されている状況等では昇格(成り上げ)が発生しない場合も有する。
【0653】
「成り上げ対象予告」は、予告演出の実行中に「特殊付加変動」に対応する演出が割り込んだ場合に、実行中の演出のいずれの表示物が昇格(成り上げ)対象として指定されているかを示している。
【0654】
続いて、「特殊付加変動」に対応する演出の割り込み対象演出の一例について説明する。なお、「予告演出A(キャラクタ通過予告)」については、既に説明済みであるので詳細な説明は割愛する。
【0655】
「特殊付加変動」に対応する演出の割り込み対象となる予告演出の他の例の一つとして「予告演出B(ノーマルリーチ)」がある。「ノーマルリーチ」では、基本的に3つの装飾図柄P801の内2つが同一の図柄で仮停止したリーチ状態で、最後の変動中の装飾図柄列の装飾図柄P801が既に仮停止中の装飾図柄P801と同一の図柄で停止表示されるかを煽る装飾図柄P801が主体となる演出表示である。本例においては装飾図柄P801の変動表示に加えて、変動表示中の装飾図柄列の装飾図柄P801に対し、キャラクタが攻撃アクションを行う付加的な演出表示(例えば
図41(A)参照)が一例として実行される。
【0656】
図42のNO「3」に示す例の場合、「予告演出B(ノーマルリーチ)」に対して「特殊付加変動」に対応する演出として「モードアップ演出」が割り込む場合の例が示されている。
【0657】
「予告演出B(ノーマルリーチ)」に対し、「モードアップ演出」が割り込む場合、変動表示の開始から27秒後(810F)のタイミングが「モードアップ演出」の発生タイミングとして設定され、25秒後(750F)のタイミングが予兆画像の表示タイミングとして設定されていることが示されている。そして、「予告演出B(ノーマルリーチ)」に「モードアップ演出」が割り込んだ場合、「予告演出B(ノーマルリーチ)」中に付加的に表示されているキャラクタの攻撃アクションが予告の昇格(成り上げ)の対象として設定されており、「モードアップ演出」が割り込む前後でキャラクタの攻撃アクションが変化するように構成されている。
【0658】
なお、キャラクタの攻撃アクションのように途中で表示態様が切り替わると状況の判別がつきにくい演出(言い換えると、色や形状でなく時系列的な変化全体で期待度を表す演出)である場合には、「特殊付加変動」に対応する演出の割り込み前後で演出表示を切り替えるように構成する一方で、割り込み後において通常表示されないが高期待度であることが認識しやすい演出で構成された割り込み演出後の特殊表示態様で演出表示を実行するように構成してもよく、この時「予告演出B(ノーマルリーチ)」で煽られている更なる発展の示唆やリーチ演出自体は必ず遊技者に有利な態様で表示される(高期待度リーチへの発展示唆が表示される、ノーマルリーチで当り結果が表示される等)ように構成されている。
【0659】
図42のNO「4」に示す例では、「予告演出B(ノーマルリーチ)」に対し、「特殊付加変動」に対応する演出として「期待度示唆演出」が割り込む場合の例が示されている。
【0660】
「予告演出B(ノーマルリーチ)」に対して「期待度示唆演出」を実行する場合も、「モードアップ演出」と同様の割り込みタイミング、予兆画像の表示タイミングが設定される一方で、予告の成り上げが「なし」となっており、「予告演出B(ノーマルリーチ)」に対して「期待度示唆演出」が割り込むように構成される場合には予告演出の成り上げが発生しないように設定されている。
【0661】
図42のNO「5」、「6」は、演出操作手段P80を用いた演出(所謂ボタン演出)である「リーチ後背景予告」を「特殊付加変動」に対応する演出が割り込む対象の予告演出として設定されたものであることを示している。ただし、本実施例のぱちんこ遊技機PにおいてNO「5」のように、「モードアップ演出」を実行する場合には、「リーチ後背景予告演出」は、「特殊付加変動」に対応する演出が割り込む対象の予告演出として割り当てられていないことを示している。
【0662】
したがって、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて「リーチ後背景予告」を「特殊付加変動」に対応する演出が割り込む対象の予告として設定可能となるのは「特殊付加変動」に対応する演出として「期待度示唆演出」を実行することが決定されている場合となる。
【0663】
図42のNO「6」には、「リーチ後背景予告」を「特殊付加変動」に対応する演出の割り込み対象とした場合の制御態様が示されている。「リーチ後背景予告」は、演出操作手段P80(演出ボタンP381や演出レバーP382等)を操作したタイミングで特殊な背景画像(一枚の演出画像)が表示される演出となっており、演出操作手段P80の操作有効期間における遊技者操作のタイミングを起点として所定の終了タイミングまで継続して表示される演出である。
【0664】
そのため、「リーチ後背景予告」が開始されるタイミングが遊技者の演出操作手段P80に対する操作時期に依存するため、「リーチ後背景予告」の開始時期のずれに合わせて「期待度示唆演出」の開始タイミングをずらすことで、「リーチ後背景予告」の表示開始から「期待度示唆演出」の表示開始までの期間を一定に保つように制御されるようになっている。
【0665】
したがって、
図42のNO「6」に示す例では、「特殊付加変動」に対応する演出の割り込みの発生タイミングが、演出操作手段P80の操作有効期間の開始直後に遊技者操作が行われた場合の最速タイミングで525F(約17.5秒後)、演出操作手段P80の操作有効期間の経過まで遊技者操作が行われず(あるいはぎりぎりで操作した場合)の最遅タイミングの600F(20秒後)が「期待度示唆演出」の実行開始の可能なタイミングとして設定されている状況が示されている。
【0666】
より具体的には、「リーチ後背景予告」の実行契機となるボタンの有効期間が、特別図柄の変動表示の開始から14.5秒後(435F)から17秒後(510F)までの期間に発生し、遊技者操作が行われたタイミングから3秒後を「期待度示唆演出」の実行タイミングとして演出制御基板P41で設定するように構成している。例えば変動演出の開始(特別図柄の変動表示の開始)から16秒後(480F)のタイミングで遊技者による演出操作手段P80に対する操作が実行された場合には、19秒後(570F)を「期待度示唆演出」の実行タイミングとして、変動演出の開始された後において改めて決定されるように構成されている。
【0667】
(特殊付加変動に関するその他細部の説明)
以上に説明した内容が、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおける「特殊付加変動」のおおよその概要の説明となるが、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは「特殊付加変動」においてその他にも細かな仕様が採用されており、それらについていくつか紹介する。
【0668】
《特殊付加変動の複数回実行》
本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて、「特殊付加変動」を実行するための抽選である変動付加抽選で当選し得る追加時間のパターンは、「特殊付加変動」に対応する演出が1回である第1パターン(ショート付加パターン)と、「特殊付加変動」に対応する演出を2回実行可能な第2パターン(ロング付加パターン)とを有するように構成されている。
【0669】
そのため、変動付加抽選で「特殊付加変動」を実行可能とするいずれかの変動付加時間が決定された場合には、決定された変動付加時間のパターンに基づいていずれのタイミングで「特殊付加変動」に対応する演出を実行させるかを抽選により決定するように構成されており、変動演出で実行される複数の予告演出の内容が決定された後、決定された予告演出の種類によって「特殊付加変動」に対応する演出を実行することが可能な対象の予告演出を選択して演出制御基板P41にて実行タイミングや内容を抽選等により決定する。
【0670】
なお、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、「特殊付加変動」を実行する場合に「モードアップ演出」や「期待度示唆演出」等の大当り期待度が高まることを示唆する演出表示を実行する仕様であるため、変動付加抽選を実行する条件として、変動パターン抽選でノーマルリーチ以上などある程度の期待度がある変動パターンであることが条件として設定され、予告演出1つなどで当否抽選結果がはずれを報知するような短時間のはずれ変動では変動付加抽選が実行されない、あるいは変動付加抽選で当選しても結果を無視するなどの処理が実行されるように構成されている。
【0671】
また、「特殊付加変動」に対応する演出を割り込ませることが可能な予告演出の中には、「特殊付加変動」に対応する演出2回分の時間を使って1回のチャンスアップ演出を実行可能とするものも設定されており、変動演出の内容として決定された予告演出に「特殊付加変動」に対応する演出を割り込ませることができる対象となる予告演出が存在しない場合には、強制的に「特殊付加変動」に対応する演出2回分の時間を使って1回のチャンスアップ演出を対象として設定するようにするなどの処置がとられるように構成している。なお、この2回分の時間を使用する場合の「特殊付加変動」に対応する演出は、変動演出の開始直後(特別図柄の変動表示の開始直後)に実行される演出を指定しており、変動演出の開始直後に発生する予告演出以外の予告演出では必ず「特殊付加変動」に対応する演出1回分の変動付加時間に対応した演出が設定されるようになっている。
【0672】
なお、変動演出の開始直後に「特殊付加変動」に対応する演出を発生させる場合、装飾図柄P801等の動き出しにより変動表示が開始されたことを視認できるように変動開始から5F(約0.17秒)後に「特殊付加変動」に対応する演出を発生させるように構成している。
【0673】
《モードアップ演出にて変化するモードと変動パターンの期待度の対応関係》
続いて、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、「特殊付加変動」に対応する演出として「モードアップ演出」を実行したり、「モードアップ先読み」を実行することで、演出モードを有利な態様に変化(昇格)させることを説明したが、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて「モード」は「特殊付加変動」あるいは「モードアップ先読み」の先読み対象となる変動表示が、移行したモードに応じて所定の期待度以上の変動パターンが実行されていることを示唆するように構成されている。
【0674】
より具体的には、通常の態様よりも1段階期待度が高まっている「きゅんタイム」の状態においては、当該変動の変動演出がノーマルリーチ以上である場合に移行可能なモードであり、さらに1つ上の「きゅんきゅんタイム」では高期待度リーチ(SPリーチ)以上の期待度の変動演出が実行される変動パターンが抽選により決定されていることを示唆している。
【0675】
そしてさらに上位の「きゅんきゅんタイムSUPER」では、高期待度リーチの中でも特に期待度の高い「バトルリーチ」等の特定のリーチ演出等に発展する変動演出が実行されうる変動パターンが変動パターン抽選にて決定されていることを示唆するようになっている。
【0676】
なお、
図40(E)にて、「特殊付加変動」に対応する演出(「モードアップ演出」)が実行された後の演出表示として当該保留オブジェクトP813が変化する態様を説明したが、「きゅんきゅんタイムSUPER」に発展した場合には必ず保留オブジェクトを「バトルリーチ」等のリーチ演出に対応したバトル保留(「BATTLE」等の文字列が付加された赤色、金色等の保留であり、期待度や発展先リーチ演出のにより色や文字列が変化)に変化するように構成されている。
【0677】
《特殊付加変動に対応する演出の実行中のランプ、音の制御》
続いて、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて「特殊付加変動」に対応する演出(「モードアップ演出」や「期待度示唆演出」)が実行されている期間において、割り込み対象となる予告演出に応じたランプ演出や音(サウンド)の制御の内容について説明を行う。
【0678】
本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては、「特殊付加変動」に対応する演出が実行されている期間、割り込み対象となる予告演出の進行は一時停止されるように構成されているため、ランプP82やスピーカP83で実行されている発光演出及び音声演出も一時停止となるように構成され、「特殊付加変動」に対応する演出が終了した後、予告演出の進行の再開に合わせてランプP82やスピーカP83で実行されていた発光演出及び音声演出が一時停止したタイミングより再開するように構成されている。
【0679】
本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては、画像制御基板P42において演出表示装置P80の演出表示の制御を行い、演出制御基板P41にてランプP82やスピーカP83の制御を行っているため、「特殊付加変動」に対応する演出の表示を開始するタイミングで画像制御基板P42から演出制御基板41に対して「特殊付加変動」に対応する演出が開始されたことを示すフィードバックコマンドが送信されるように構成されており、演出の一時停止等の同期が図られるようになっている。なお前述した「リーチ後背景予告」では、演出操作手段P80に対する操作が演出制御基板P41に対して入力されるため、操作が発生したタイミングで改めて「特殊付加変動」に対応する演出の実行タイミングを画像制御基板P42に送信し、画像制御基板P42にて「特殊付加変動」に対応する演出が開始される際にフィードバックコマンドを送り返すようになっている。
【0680】
(「モードA(低確率/高ベース)」における演出制御)
《継続率の異なる複数の演出モード間の遷移に関する制御》
続いて、本実施例のぱちんこ遊技機Pの「モードA(低確率/高ベース)」(
図37参照)における演出モード遷移に関する制御に関して説明を行う。
【0681】
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、「モードA(低確率/高ベース)」において「継続率」が異なる複数の演出モードを短期間の間に目まぐるしく変化させる仕様を有している。本例における「継続率」とは、「モードA(低確率/高ベース)」において獲得する特別遊技が、「特
図2_10R大当り図柄C」や「特
図2_小当り(10R)図柄C」等の特別遊技後において再度「モードA(低確率/高ベース)」に遷移する特別遊技を転落小当りの前に獲得する「期待度」のことを指しており、遊技者の見た目上においての連荘の期待感が「モードA(低確率/高ベース)」にて制御される複数の演出モード内で異なることを意味している。
【0682】
すなわち、「モードA(低確率/高ベース)」においては演出モードによってバトル演出に発展したときの特別遊技の実行に係る特別図柄(停止表示図柄)の図柄比率が異なるということができる。
【0683】
なお、演出的な側面を無視した場合には「特
図2_10R大当り図柄C」や「特
図2_小当り(10R)図柄C」等の特別遊技後において再度「モードA(低確率/高ベース)」に遷移する特別遊技(連荘となる特別遊技)と「転落小当り」との発生可能性は常に一定である。
【0684】
本実施例においては、「モードA(低確率/高ベース)」においてバトル演出を実行するように構成されており、リーチに発展した場合に連荘となる特別遊技(「特
図2_10R大当り図柄C」や「特
図2_小当り(10R)図柄C」等)または「転落小当り」のいずれかに当選したことが報知され、リーチ演出の結果(バトルの勝敗)に基づいて連荘となる特別遊技が発生するのか「転落小当り」が発生するのかの結果が報知されるように構成されている。
【0685】
そのため、遊技者は見た目上の「継続率」高い演出モードに制御されている期間においてリーチ態様を形成して発展することを願う一方で、「継続率」が低い演出モードにてリーチ態様に発展してしまった場合にはバトル演出に勝利することを願って結末を見守る、といったようにリーチの発展前からリーチの発展後にかけて常に期待感や緊張感をもって遊技することができるようになる。なお、詳細な説明は割愛するが「モードA(低確率/高ベース)」においてバトル演出(バトルリーチ)を経由しない方法で演出を行い、成功態様が表示された場合に連荘となる特別遊技であることを報知する演出を備えていてもよい(ただし、バトル演出以外では失敗態様は「はずれ」であり「転落小当り」とはならないように構成されている)。
【0686】
以下、「モードA(低確率/高ベース)」における演出モードの演出例や制御の具体例について
図43を用いて説明する。
【0687】
図43(A)は、大当り終了デモ画面の例であり、大当り終了後に「モードA(低確率/高ベース)」に移行する種類の大当り遊技が実行された際に演出表示装置P80の表示領域に表示される演出表示例である。
【0688】
図43(B)、(C)、(D)は、それぞれ「モードA(低確率/高ベース)」における演出モードの表示例であり、演出表示領域の左上領域に示される「☆(星印)」の数および背景画像によって見た目上の「継続率」の高さを示唆するように構成されている。
図43では
図43(A)から時計回りに見た目上(演出上)の「継続率」が次第に高まるように図示している。
【0689】
図43(B)が最も「継続率」が低いレベル1(星印の数が1個)の状態であり、背景で展開されるバトル演出(リーチ発展前)の状態が3頭身のミニキャラクタで展開される様子が示されている。
【0690】
図43(D)は、「継続率」が複数の演出モードの内で中程度に設定されたレベル2(星印の数が2個)の状態を示しており、背景で展開される演出画像として通常のキャラクタが戦っている様が示されるように構成されている。
【0691】
図43(C)は、最も「継続率」の高い演出モードであり、レベル3(星印の数が3個)の状態を示し、背景で展開される演出画像として、レベル1、レベル2の状態と異なるキャラクタが表示されている様子が示されている。
【0692】
図43中において、
図43(A)から各演出モードに向かう白抜きの矢印は、大当り終了デモが終了して「モードA(低確率/高ベース)」の状態に遷移した場合の最初の演出モードとしていずれの演出モードにも設定可能であることを示している。
【0693】
図43(B)、(D)および
図43(C)、(D)の間に示される黒色の双方向の矢印は、演出モード間で遷移可能な演出モードを示しており、レベル1とレベル2、レベル2とレベル3が互いに遷移可能な演出モードとして設定され、レベル1とレベル3は直接的に遷移することができないように構成されている。
【0694】
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、「モードA(低確率/高ベース)」に制御されている状況下では、変動毎に当該変動表示の特別図柄抽選や変動開始時に存在する第2特別図柄の特別図柄抽選に係る保留の事前判定情報(先読み判定情報)に基づいて演出抽選(モード移行抽選)により演出モードの遷移の実行決定がなされるように構成されている。
【0695】
モード移行抽選は、事前判定情報に基づく「先読みモード移行抽選」と、当該変動の特別図柄抽選の結果等に応じた「当該モード移行抽選」との2つの抽選が行われるように構成されており、「先読みモード移行抽選」では演出モードのレベルが上昇する結果およびレベルが下降する結果のいずれも決定可能である一方で、「当該モード移行抽選」では演出モードのレベルが上昇する結果のみ当選可能に構成されている。
【0696】
このように「当該モード移行抽選」では演出モードが下降する(「継続率」の低い演出モードへ移行する)ことがないので、1回の変動表示にてモードが下降する演出が実行されるとともにバトル演出へ発展する、すなわち「継続率」(バトル演出の勝利期待度)が下げられ、遊技者の期待感が減退された状態でバトル演出を見守らなければならないという事象が発生することがないように構成されている。なお、「当該モード移行抽選」で演出モードが上昇した場合に当該変動中にバトル演出に発展する状況は、遊技者の期待感が高まる仕様であるため実行可能となっている。
【0697】
また、前述したように
図43(A)の大当り終了デモ状態から「モードA(低確率/高ベース)」に遷移した場合には
図43(B)~(D)のいずれの状態を初期の演出モードとして設定可能とする仕様であるが、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは大当り終了デモの実行時(あるいは大当り遊技の開始時点や小当り遊技の特定領域通過時等所定のタイミング)で大当り終了後のモードAにおける演出モードの「初期モード抽選」が実行されるように構成されている。
【0698】
「初期モード抽選」は、特別遊技(大当り、小当り)の所定のタイミング、本例では大当り終了デモの開始時点で実行され、当該タイミングで存在する第2特別図柄の特別図柄抽選に係る保留の情報を参照して初期の演出モードに設定する演出モードを決定するように構成されている。
【0699】
特に「初期モード抽選」が実行される際に、保留内に特別遊技に当選する第2特別図柄の特別図柄抽選に係る保留が存在し、当該保留(複数ある場合は最先に消化される保留)が「転落小当り」である場合には、バトル演出に発展した場合であってもバトル結果が敗北となることが確定的であるため、初期の演出モードとしてはレベル1を必ず決定するように構成している。
【0700】
その他の状況においては、保留内に「転落小当り」以外の特別遊技の実行に係る保留が存在する場合には、レベル2あるいはレベル3を初期の演出モードとして決定される確率が高まる一方で、保留内に特別遊技を実行することとなる保留がない場合にはレベル1>レベル2>レベル3の順(レベル1のほうが選択率高い)で選択される、あるいは全レベル共通の確率で振り分けられるように構成されている。
【0701】
なお、前述したように「特
図2_10R大当り図柄C2」や「特
図2_小当り(10R)図柄C2」に当選した場合であって、保留内に連荘となる特別遊技が実行されることとなる保留が存在する場合にあっては、大当り遊技中から変動パターンモード番号「3」に制御されている期間にかけて保留内大当り報知演出が実行されることとなるため、前述したレベル1からレベル3の演出モードに応じた演出とは異なる演出表示が実行されるように構成されており、この際には「初期モード抽選」を実行しない、あるいは「初期モード抽選」の結果が無視されるように構成されている。
【0702】
また、本実施例のぱちんこ遊技機Pの変形例として、レベル3よりも「継続率」が高い、例えばバトル演出に発展した場合には勝利(連荘となる特別遊技の実行)が確定的となる演出モードのレベル4を備えるように構成してもよい。なお、レベル4に相当する演出モードを備える場合であって、レベル4に滞在している期間においては、「転落小当り」に係る保留が発生した場合には、少なくとも「転落小当り」が当選する保留の変動表示が開始される前の変動表示においてレベル3以下に遷移するように、「先読みモード移行抽選」における抽選方法を工夫する必要があるとともに、「転落小当り」が保留内に存在しない場合であっても、保留が特定個数以下(例えば1個)になると、強制的にレベル3に移行する結果が「先読みモード移行抽選」にて当選するように構成され、レベル4の状態で「転落小当り」に当選する演出上の不具合を避けるように構成している。
【0703】
(「モードA(低確率/高ベース)」のバトル演出から大当りにかけての音声制御)
次に本実施例のぱちんこ遊技機Pの「モードA(低確率/高ベース)」および大当り遊技の実行中における音声制御(サウンド制御)について
図44および
図45を用いて説明を行う。
【0704】
なお、前提として本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、「モードA(低確率/高ベース)」および大当り遊技中の所定の期間において、本実施例のぱちんこ遊技機Pで設定される複数の楽曲の中から遊技者が任意に再生するBGM(大当り中ではBGMに背景演出が連動する)を変更可能に構成されている。楽曲の変更操作は演出操作手段P80(十字キーP383)にて行う。
【0705】
図44は、「モードA(低確率/高ベース)」においてバトル演出(バトルリーチ)に発展した状態から特別遊技(大当り、小当り)の開始直後である1回目の単位遊技(大当りの1ラウンド目または小当り遊技中)まで様子の例を
図44(A)から
図44(E)にかけて順番に示している。
【0706】
図44(A)は、「モードA(低確率/高ベース)」における演出モード「レベル1」においてバトル演出(バトルリーチ)に発展した状況の表示例を示している。この時、スピーカP83からは、バトル演出中のBGMやその他音声(効果音やセリフ音声等)が再生されている。
【0707】
なお
図44(A)が実行されている変動表示では、遊技者により楽曲選択として「楽曲A」が選択されていることが演出表示装置P80の表示領域の左下に楽曲選択P854として表示されている。選択した楽曲は、大当り中や「モードA(低確率/高ベース)」に亘って再生されるように構成されているが、バトル演出(バトルリーチ)に発展するタイミングでリーチ演出の固有BGMに切り替えられ、バトル演出の緊張感を高めるように構成している。
【0708】
「モードA(低確率/高ベース)」のバトル演出(バトルリーチ)は、味方のキャラクタと敵キャラクタとが戦っている様子が示され、味方キャラクタが優勢な状況(例えば味方キャラクタが先制攻撃を行う様子が示される、敵キャラクタの攻撃を避けて反撃する等)表示されると、バトル演出での勝利(有利結果の報知)が確定的となる。
【0709】
図44(B)は、バトル演出において味方キャラクタが優勢となった後に攻撃を繰り出して敵キャラクタを打ち負かした様子が示されている。この時
図44(B)に示すようにスピーカP83からは選択中の楽曲である「楽曲A」の導入部分(イントロ等)の再生が行われている。なお図示はされていないが「楽曲A」の導入部分の再生開始タイミングは前述した味方キャラクタが優勢な状況となったことが示されたタイミングであり、「楽曲A」が再生されている状況下で味方キャラクタが必殺技を繰り出した後、
図44(B)の状態に至る。
【0710】
図44(C)は、バトル演出(バトルリーチ)が実行されている変動表示の特別図柄が停止表示に切り替わるタイミングを示しており、装飾図柄P801が演出表示装置P80の表示領域の中央位置に当り態様(3つの装飾図柄P801がぞろ目となっている態様)で表示されており、この状態でも
図44(B)から引き続きBGMとして「楽曲A」がスピーカP83から出力され続けている。
【0711】
なお、本例では「特
図2_10R大当り図柄C」や「特
図2_小当り(10R)図柄C」等の連荘となる特別遊技が当選した状態を示しており、「転落小当り」に当選している場合には
図44(B)の状態にて敗北演出が表示され、敗北が面のまま小当り遊技が実行され「通常時(低確率/低ベース)」に移行直後に滞在する特殊な演出モード(変動パターンモード番号「6」の参照期間に応じた特殊な演出モード)へ移行することが示される。
【0712】
図44(D)は、特別遊技の開始デモ(大当り開始デモまたは小当り開始デモ)の実行時の画面であり、演出表示装置P80の表示領域には「BIG_BONUS」の文字が表示され不図示ではあるが特別遊技(大当り、小当り)の初回の単位遊技の開始に向けて右打ち報知画像等が表示されるように構成されている。そして、
図44(D)の状況においても
図44(B)から引き続きBGMとして「楽曲A」の導入部分がスピーカP83から出力され続けている。
【0713】
図44(E)は、特別遊技の初回の単位遊技(大当り遊技の1ラウンド目、または小当り遊技)が開始されている状況の一例を示している。本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、「モードA(低確率/高ベース)」および先の大当り遊技中等において遊技者によって選択されていた楽曲選択の内容に基づく楽曲の特定部分(例えば楽曲の歌い出し、サビ等)が
図44(E)のタイミング(特別遊技による大入賞口ユニットP750の入賞容易状態の開始時期)に合わせて再生されるようになっている。
【0714】
なお、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、遊技者による任意選択で選択された楽曲がバトル演出の勝利演出に合わせて導入部分の再生が開始されるようになっており、特別遊技における大入賞口P751の入賞容易状態への変化時期に楽曲の特定箇所が合わせられるように構成されている。
【0715】
このとき選択された楽曲の種類によっては楽曲の特定箇所(歌い出しやサビの開始部分)までの時間が異なるため、選択された楽曲によって大入賞口P751の開放タイミングに合わせる部分を歌い出しやサビの開始のいずれかに適宜合わせたり、導入部分にループや特殊なアレンジを加えた特殊サウンドパターンで楽曲の再生を行うように構成してもよい。
【0716】
図45は
図44にて示した演出表示の流れに沿って選択楽曲が再生されるタイミングを示したタイミングチャートである。
【0717】
図45(A)は、バトル演出(バトルリーチ)にて敗北する場合(「転落小当り」に当選した場合)の例を示している。
図45(A)_(ア)のタイミングはバトル演出の開始タイミングを示しており、バトル演出の開始タイミングにおいて遊技者が選択している楽曲(図の例では「楽曲A」)からバトル演出用のBGMに変更される様子が表されている。
【0718】
図45(A)_(イ)は、バトル演出の当落分岐(当否抽選の結果を示唆する演出)が遊技者に示されるタイミングである。
図45(A)の例では、特別図柄抽選の結果が「転落小当り」である場合を示しているため、バトル演出の当落分岐演出としては、味方キャラクタが敵キャラクタに敗北する演出が表示され、当落分岐演出が開始された後もバトル演出用のBGMが継続するあるいは敗北演出用のBGM(リザルト演出用のBGM等)に切り替えられるように構成されている。
【0719】
図45(A)_(ウ)はバトル演出の実行されている変動表示が終了するタイミングを示しており、バトル演出が終了すると「転落小当り」の実行に基づいて「通常時(低確率/低ベース)」に遊技状態が遷移するため、変動開始時に通常時用BGM(本例では「転落小当り」後の特殊モード用BGM)が再生されるようになっている。なお、バトル演出(バトルリーチ)が特別図柄抽選の結果が「はずれ」である場合に実行され、バトル演出への発展後に復活や引き分け等の結果により「モードA(低確率/高ベース)」が継続することを示唆する演出態様を有する場合には、次変動の開始後において「楽曲A」の再生が再開されるように構成してもよい。
【0720】
図45(B)は、
図44にて示した演出表示例と同様、バトル演出(バトルリーチ)が連荘となる特別遊技が実行されることとなる特別図柄の変動表示が実行されている状況下のタイムチャート例を示している。
【0721】
図45(B)_(ア)は「モードA(低確率/高ベース)」の実行中にて、バトル演出(バトルリーチ)に発展するタイミングを示しており、バトル演出(バトルリーチ)の開始されるタイミングで選択中の楽曲からバトル演出(バトルリーチ)用のBGMに移行することが表されている。
【0722】
図45(B)_(イ)はバトル演出(バトルリーチ)における当落分岐演出の実行タイミングであり、味方キャラクタが優勢な状況が表示され、連荘となる特別遊技が実行されることが確定的であることが遊技者に示唆される演出が発生するタイミングとなっており、バトル演出(バトルリーチ)用のBGMから「楽曲A」の導入部分の再生が開始されている様が表されており、
図45(B)_(ウ)の大当り開始デモ(小当り開始デモ)の期間に亘って「楽曲A」の特定部分に向けて再生される。
【0723】
図45(B)_(エ)のタイミングは、特別遊技の開始デモ(大当り開始デモまたは小当り開始デモ)が終了して、初回の単位遊技が開始されて大入賞口P751が入球容易状態に変化するタイミングを表しており、
図45(B)_(イ)のタイミングから再生が開始された「楽曲A」の特定部分(図の例では歌い出し)が当該タイミングに合わせて開始されるように調整されていることを示している。
【0724】
このように本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、遊技球の大量獲得を期待する「モードA(低確率/高ベース)」における連荘(特別遊技の連続獲得)について、大当りの開始という遊技者にとって気分が高まるタイミングに合わせて遊技者自身が選択している「楽曲A」の特定部分を合わせることにより、より一層大当りの開始タイミングにおける遊技者の気分の高揚を助長することができるようになり、連荘中の遊技の興趣性が高まる効果が期待できる。
【0725】
なお、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、
図44(D)に示すように、特別遊技の最初の単位遊技が開始される前に、「BIG_BONUS」といった大当りの種類を示す大当り開始演出(大当り開始デモ演出)を実行するように構成していたが、変形例としてこのような大当り開始デモを最初の単位遊技に跨って実行するように構成してもよい。
【0726】
このような変形例とする場合には、特別遊技の開始デモ時間を例えば0.5秒や1秒等の短時間に構成してバトル演出(バトルリーチ)にて当りとなる装飾図柄P801が停止表示されたことを示した後に、すぐに大入賞口P751が開放するようになり、楽曲の特定部分への連続再生をよりスムーズに構成することができる。
【0727】
また、特別遊技の開始デモを短く構成する場合には、特別遊技の開始デモの開始タイミングと特別遊技の最初の単位遊技の開始タイミングがほぼ同時期となるため、
図45(B)_(ウ)のタイミングを楽曲の特定部分の再生開始タイミングとして調整するように構成してもよい。
【0728】
他の変形例として、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、大当りとなる変動の変動表示中に選択されている楽曲がそのまま大当り遊技の開始に向けて再生されるようになっているが、
図44(E)の例の下部に「楽曲変更は○○すると次ラウンドで変更できるよ」と示すように大当り遊技中の操作によって変更可能に構成されていてもよい。
【0729】
このようにすることで、バトル演出(バトルリーチ)での勝利時のBGMと大当り遊技中(新たな楽曲の選択操作以降)とで遊技者が好みの楽曲を使い分けることができ、バトル演出(バトルリーチ)と大当り遊技をそれぞれ好みの楽曲で実行させるようにすることができる。
【0730】
また、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、「モードA(低確率/高ベース)」における特別遊技の実行回数(連荘回数)が所定回数に到達した場合であって、新たに連荘となる特別遊技が獲得されることとなる場合には、バトル演出(バトルリーチ)の当落分岐後や大当り遊技中の演出として特別演出(ストーリーエンディング演出)を実行するように構成してもよく、このように構成する場合にはバトル演出(バトルリーチ)の過程から特別な演出を実行することとなるため、選択されている楽曲でなく、ストーリーエンディング演出用のBGMがリーチ中の当落分岐演出の結果報知後に再生されるように構成してもよい。
【0731】
(本実施例のぱちんこ遊技機における演出カスタマイズ機能)
つづいて本実施例のぱちんこ遊技機Pに搭載される「演出カスタマイズ機能」について説明を行う。本実施例のぱちんこ遊技機Pでは「演出カスタマイズ機能」として「実機カスタム」と「遊技カスタム」との2種類を備えている。
【0732】
実機カスタムは、遊技者所有の端末を用いてメーカーが運営するサービスと遊技機を連携させる「マイパチ」機能と、多言語の遊技を可能とする「LANGUAGE_SETTING(言語設定)」機能とを備えている。
【0733】
一方、遊技カスタムは、詳細な内容は後述するが、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて実行される演出の実行態様について、実行パターンや実行頻度を設定、調整する機能を有するカスタム機能である。
【0734】
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、遊技者にとって利便性、操作性の高い演出カスタマイズ機能が提供されており、以下その内容について
図46から
図54を用いて説明を行う。
【0735】
図46は、本実施例のぱちんこ遊技機Pの待機中メニュー表示P910の例である。待機中メニュー表示P910は、演出表示装置P80の表示領域にて装飾図柄P801が変動表示されていない状態が所定時間継続した場合や電源投入時(装飾図柄P801非変動中)に表示されるメニュー表示画面である。なお、待機中メニュー表示P910は、遊技者に対して遊技を誘致するための遊技待機デモ演出(全画面表示のアニメーションやメーカーロゴの表示、のめり込み防止等の注意喚起)を行う期間においては非表示となるように構成されている。
【0736】
図46の待機中メニュー表示P910は、メニュー案内表示P911(
図46中のボタン画像P381と「マイパチ開始」の文字)と、遊技機の音量を調整するための音量調整案内表示P912、遊技機の光量を調整するための光量調整案内表示P913、遊技者端末を用いて対象機種の遊技方法等を紹介するホームページへのリンク等のアクセス情報を取得可能とする二次元コード等で構成されるデジタル小冊子案内表示P914を有している。
【0737】
待機中メニュー表示P910において、演出ボタンP381を操作すると、メニュー案内表示P911に対する操作として扱われ、後述するメニュー画面の表示状態(
図47参照)に移行するように構成されており、メニュー画面の表示中において、「実機カスタム」、「遊技カスタム」の双方を実行可能とする。なお、メニュー案内表示P911には、吹き出し画像と「MYパチはこちら」という文字にて「マイパチ」機能の誘導を行うマイパチ案内表示P915が付加的に表示されている。また、
図46の例ではメニュー案内表示P911の文字が「マイパチ開始」となっているが、メニュー画面の表示を直接的に示唆する「メニュー画面を開く」等の文字列で構成されていてもよい。
【0738】
また、待機中メニュー表示P910の表示中にて、十字キーP383の左右キーを押すと、音量調整機能に基づく音量調整、十字キーP383の上下キーを押下すると、光量調整機能に基づく光量調整が実行可能となっている。
【0739】
図47は、本実施例のぱちんこ遊技機Pの演出カスタマイズ機能に係るメニュー画面P920の表示例である。メニュー画面P920の表示領域には、左側に「実機カスタム」機能の各種メニュー項目の表示領域が配置され、右側に「遊技カスタム」機能のメニュー項目の表示領域が配置されている。
【0740】
本実施例のぱちんこ遊技機Pのメニュー画面P920では、
図47に示すように「実機カスタム」機能を設定中は、メニュー画面P920の左側に配置される「実機カスタム」機能が表示領域を拡大されて表示(少なくとも画面中央より右側に進出した位置までを表示領域とする表示)され「遊技カスタム」機能のメニュー項目の表示領域は縮小している態様で表示されることにより、現在「実機カスタム」機能の各種項目が選択可能であることを示唆している表示態様となっている。
【0741】
図47の状態では「実機カスタム」機能のメニュー項目P921として「マイパチ開始」(メニュー項目P921a)、「終了コード表示」(メニュー項目P921b)、「マイカウンター」(メニュー項目P921c)、「LANGUAGE_SETTING」(メニュー項目P921d)、「戻る」(メニュー項目P921e)が表示されており、各種項目の下方に上下キーの部分が加色された十字キー画像P883と演出ボタン画像P881が表示されることにより、十字キーP383の上下キーおよび演出ボタンP381の操作に基づいて「実機カスタム」機能の各項目を選択して各項目に相当するカスタマイズ機能を利用可能であることを認識可能に表示している。
【0742】
また、
図47の例では、「終了コード表示」(メニュー項目P921b)が選択されている状態を示しており、当該状況においてメニュー項目から吹き出し画像として説明ウィンドウP925が表示されるようになっており、説明ウィンドウ内の説明内容(「遊技データを記録したコードを出力します。」の説明)に応じた内容の処理が、当該項目が選択された場合に実行されうる処理であることを説明している。
【0743】
図47に示す実機カスタム機能のメニュー項目P921aの「マイパチ開始」からメニュー項目P921c「マイカウンター」は、いずれも本実施例のぱちんこ遊技機Pと遊技者所有の端末との連携機能となっており、より具体的にはメーカーの運営するサイトのサービスを利用するための「マイパチ」機能を利用に関する項目となっている。
【0744】
「マイパチ」機能は、同機能の利用中において実行された特別図柄抽選の回数や特別遊技の種類/回数、発生した演出の種類/回数など、遊技の実行において計数可能な情報や、所定条件を達成することによりメーカー運営サイトで特典を取得することができるようになるミッション(特典付与条件)の達成状況等のマイパチ情報(連携機能用情報)を計数、管理する機能となっている。
【0745】
「マイパチ」機能は、
図47に示すメニュー項目P921aの「マイパチ開始」から所定の操作(例:実行開始の選択やパスワードの入力等)を行うことによって開始可能に構成されている。
【0746】
メニュー項目P921bの「終了コード表示」やメニュー項目P921c「マイカウンター」は、「マイパチ」機能の利用中に限り有効となる機能であり、「終了コード表示」は「マイパチ」機能の利用の終了時に蓄積したマイパチ情報を遊技者端末に情報として出力するために使用する機能であり、選択することで「マイパチ」機能によるマイパチ情報の蓄積が終了するメニュー項目となっている。また「マイカウンター」は「マイパチ」機能の利用中に現在のマイパチ情報を参照したい場合に、遊技者所有端末に対して現在のマイパチ情報を出力する機能である。いずれの機能も遊技者所有端末への情報出力は二次元コードを用いて行うようになっている。
【0747】
「LANGUAGE_SETTING」(メニュー項目P921d)は、選択することで言語設定が実行可能となるメニュー項目であり、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、日本語、韓国語、中国語、英語の4言語に対応している。言語設定機能を利用すると、演出上表示される文字の一部が設定された言語にて表示されるようになる。
【0748】
「戻る」(メニュー項目P921e)は、メニュー画面P920の表示を終了して、装飾図柄P801が表示される待機中表示等の状態に復帰させるための項目である。
【0749】
図47の例において、演出表示領域の下部右側には十字キーP383の右キーが加色された十字キー画像P883が表示されており、十字キーP383の右キーを操作することで「実機カスタム」機能の選択可能状態から「遊技カスタム」機能の選択可能状態に切り替え可能であることを示している。
【0750】
図48は、「遊技カスタム」機能の選択可能状態におけるメニュー画面P920の様子を表しており、
図47の状態より十字キーP383の右キー操作が行われた後の状態を示している。
【0751】
図48の例では、メニュー項目fからメニュー項目iに示す4つの「遊技カスタム」機能の選択可能項目が「遊技カスタム」機能のメニュー項目として表示されている状況を表している。本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、「遊技カスタム」機能にて設定可能な項目が13種類ありすべての項目を一度に表示させることが困難であるため、メニュー項目P921の表示領域内にさらに細分化され複数のメニュー項目をスクロールにより表示可能とする動的メニュー項目表示となっている。
【0752】
図48の動的メニュー項目表示の下方に示すように、「遊技カスタム」機能の各種メニュー項目は、十字キーP383上下キーにより選択可能に構成され、適宜演出ボタンP381を押下することで、選択中の「遊技カスタム」機能の項目に関する設定を実行可能に構成している。なお、動的メニュー項目表示は最初に配置される項目(最上部に配置されるメニュー項目P921f「遊技カスタムリセット」や最後に配置される項目において、それぞれ十字キーの上キーまたは下キーを操作すると、反対側の端部に配置される項目(例えば最上部を選択中である場合は最下部の項目)に選択状態が変更されるように構成されており、メニュー画面P920を閉じるために選択されるメニュー項目P921e「戻る」を選択するには十字キーの右キーを操作した場合に選択可能に構成され、
図48の例では表示領域の右下にメニュー項目P921e「戻る」への選択切替操作の案内が表示されるように構成されている。
【0753】
なお、本実施例に示した動的メニュー項目表示は一例であり、本実施例では4つの項目画像が常に表示される表示例で示しているが、立体的に循環する円環状(リング状)のメニュー項目P921の表示とするなど他の構成を採用するように構成していてもよい。
【0754】
また、
図48に示す例では、メニュー項目表示P921gの「エイリやん告知モード」が選択されている状況を表しているが、「遊技カスタム」機能の選択中も「実機カスタム」機能の選択中と同様に選択中のメニュー項目に応じた説明メッセージの説明ウィンドウP925が吹き出し画像としてポップアップ表示されている。
【0755】
図49は、
図48に示す状況において、メニュー項目表示P921gの「エイリやん告知モード」を選択している状況で演出ボタンP381を押下した場合の状態を示す図である。図のように「遊技カスタム」機能の設定では、「遊技カスタム」機能に設定された項目に対応するメニュー項目表示P921を選択した状態にて演出ボタンP381を押下すると、設定ウィンドウP926がメニュー画面P920の前方に重ねて表示され、設定ウィンドウP926上の説明に従い、十字キーP383の左右キーによって対象のカスタム機能のOFF(無効)、ON(有効)を切り替えるように構成しており、決定操作である演出ボタンP381の押下により設定ウィンドウP926を閉じて、設定ウィンドウP926が開かれる直前のメニュー画面P920の状態に復帰する。
【0756】
なお、本例では設定ウィンドウP926をメニュー画面P920に重ねて表示するように構成しているが、メニュー画面P920から設定用画面に画面ごと切り替えるように構成されていてもよい。
【0757】
図50は、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおける演出カスタマイズ機能(遊技カスタム機能)によって選択可能な遊技カスタム機能のメニュー項目の一覧であり、変更可能なカスタム機能を示している。
【0758】
図50において「NO」は、遊技カスタム機能のメニュー項目における整理番号を示し、「遊技カスタム項目」はメニュー項目の名称を示す。「決定内容」は各メニュー項目にて設定可能な内容であり、有効無効の切り替えや種類など各項目で選択できる内容を示している(なお本実施例のぱちんこ遊技機Pでは非搭載であるが、「決定内容」は、「少ない」、「普通」、「多い」や、「大」、「中」、「小」等の「程度」を調整する内容であってもよい。)。「説明」は各メニュー項目に対応する処理の内容を示し、各カスタム機能がどのような機能を有しているかを端的に示している。
【0759】
以下、本実施例のぱちんこ遊技機Pの演出カスタマイズ機能における「遊技カスタム」機能の各種項目の内容について簡単に説明する。
【0760】
「遊技カスタムリセット」は、現在実行中の遊技カスタム機能(遊技カスタムで初期設定状況にない遊技カスタム機能)について、一括で初期設定に復帰させる処理を実行させることができる遊技カスタム機能のメニュー項目である。決定内容としては、「決定」と「キャンセル」があり、「決定」が実行された場合に初期設定に復帰させる処理が実行され、「キャンセル」の場合には現在の遊技カスタム機能の設定状況を維持するように構成されている。
【0761】
「エイリやん告知モード」は、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて「エイリやん告知」と呼ばれる、宇宙人を模したキャラクタが登場すれば大当りが濃厚である、という告知の実行頻度を上昇させる機能である。決定内容としては「ON」が有効を意味しており、「ON」に設定すると、以降の演出抽選において「エイリやん告知」の当選頻度が上昇した演出抽選テーブルを用いて演出抽選が実行されるようになる。決定内容「OFF」は無効を意味しており、以降の演出抽選において通常の演出抽選テーブル(またはその他の遊技カスタム機能の設定状況に応じた演出抽選テーブル)によって演出抽選が実行されるようになる。
【0762】
「一発告知モード」は、変動表示中に特殊な音声が発せられたら大当り、特定のランプが光ったら大当り、特定状況でボタンを押したときにボタンが振動したら大当りなどのいわゆる特定の演出の実行のみで大当りが確定的であることを遊技者が認識可能となる「一発告知演出」の実行頻度が上昇する遊技カスタム機能である。「一発告知モード」が「ON」に設定されると、大当り変動の実行時に演出抽選にて「一発告知演出」当選する確率が上昇した演出抽選テーブルで演出抽選が実行される。なお、本遊技カスタム機能で実行確率が上昇する「一発告知演出」は、変動開始時の演出抽選にて実行の有無が決定される「一発告知演出」のみならず、変動途中においてボタン演出等でボタン押下毎に抽選されるような変動途中の演出抽選においても「一発告知演出」の発生頻度が上昇するように構成されている。
【0763】
「プレミアムモード」は、通常実行頻度が限りなく低く設定されている「プレミアム演出」の実行頻度を上昇させる機能である。「プレミアム演出」は実行頻度の低さから特別遊技の実行可能性が高めである、あるいは特別遊技の実行が確定となる演出であるが、「プレミアムモード」が設定(決定内容を「ON」に設定)されると特別遊技の事項可能性を低くする代わりに「プレミアム演出」の実行確率を高めるように構成することができる。
【0764】
「キリンフラッシュ激増モード」は、高期待度のリーチとなる変動や、特別遊技の実行される変動において実行されるように設定されている「キリンフラッシュ演出」の実行頻度を調整する機能である。「キリンフラッシュ演出」は枠ランプP350が黄色と橙色で発光する演出であり、対象の変動の変動開始時やリーチ発展時などに実行されることで、リーチ演出前に高期待度の変動であることを遊技者が認識できる演出となっている。
【0765】
「ジュラッキーズ激増モード」は、本実施例のぱちんこ遊技機Pで「ジュラッキーズ」と呼ばれる複数種類のチャンスアップ演出用のキャラクタの出現頻度が上昇するように演出抽選テーブルを切り替える遊技カスタム機能である。
【0766】
「赤大チャンスモード」は、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて、様々な予告演出の実行パターンに設定される赤色を用いた高期待度の演出のはずれ変動での出現頻度を下げることにより、赤色系統の予告演出パターンが出現した場合の大当り期待度を高めるように構成された遊技カスタム機能である。「赤大チャンスモード」の決定内容が「ON」(有効)に設定されると、演出抽選テーブルにおいて、赤系統の予告演出パターンの当選確率が低くなる(例えば4分の1程度となる)ように構成され、例えば「はずれ変動」において10%で出現していた赤色系統の予告演出パターンが2.5%で出現するように変更されることで、相対的に赤色系統の予告演出パターンが事項されたときの大当り期待度が上昇するようになる。
【0767】
なお、「赤大チャンスモード」で確率が変更される予告演出は一部であり、赤色系統の予告演出パターンの実行頻度をそのままに維持する予告演出があってもよい。例えば、1の予告演出で完結するタイプの予告演出における赤色系統の予告演出パターンは「赤大チャンスモード」による確率の変更対象として設定される。一方、赤色系統の予告演出パターンが実行された場合に、以降の変動演出の展開に対する関連性が高い予告演出の種類では赤色系統の予告演出パターンの実行頻度を変更しないように構成する、あるいは確率の低下量を数%に抑えるようにしてもよい。例えば、「以降の変動演出の展開に対する関連性が高い予告演出」の例として、複数のキャラクタが掛け合いを行う「セリフ予告」では、赤色の文字で掛け合いが表示されるとリーチや擬似連演出の発展頻度が高く、リーチや擬似連演出への発展となる変動においてセリフ予告演出が実行される場合、30%~50%赤色の文字での掛け合いとなるように構成されていると、反対に通常の文字色(例えば白色)での掛け合いでリーチや擬似連演出に発展することが珍しい、という状況が生じ、このような演出にあっては「赤大チャンスモード」で赤色系統の予告演出パターンの実行頻度を下げてしまうと、通常パターン等で発展する「珍しい」、「期待できるのでは?」と遊技者に誤認させてしまう虞が生じる。このような赤色系統の予告演出パターンが、以降の変動演出の内容と関連性が深い場合には、「赤大チャンスモード」の適用外とするように構成しておいてもよく、その他の演出においても遊技者に誤認等を招く虞がある演出については「赤大チャンスモード」の設定の対象外として構成するのが好ましい。
【0768】
「先読み大チャンスモード」は、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいて実行される様々な先読み演出について、先読み対象となる保留に対し、事前判定情報が「はずれ」であることを指定する情報である場合には、先読み抽選にて「先読み演出」に当選する確率を低く設定した先読み演出用の演出抽選テーブルを用いるように構成することで、「はずれ」となる保留に対する先読み演出の発生率を減少させ、相対的に先読み演出に対する大当り期待度を上昇させる演出カスタマイズ機能である。
【0769】
なお、「先読み大チャンスモード」について、事前判定情報として当否抽選に係る事前判定情報だけでなく、変動パターン抽選に関する事前判定情報によって、リーチとならないような短時間の変動(はずれ)となる場合には、先読み演出抽選において先読み演出に全く当選しないように構成してもよい。
【0770】
「ボタンバイブ大チャンスモード」は、演出操作手段P80に内蔵された振動発生装置(偏心モータやソレノイド等)を振動させることによって、遊技者に対して触覚による大当り期待度の告知を行う演出である(ただし、注意していれば聴覚や視覚でも認識可能)。より具体的には、変動表示が開始された直後や、演出操作手段P80を用いた操作演出において遊技者操作が行われたときなどにおいて振動発生装置を用いて振動をさせることにより、遊技者が接触している演出操作手段P80やハンドルP204より振動を近くさせることで期待度が告知される。
【0771】
「ボタンバイブ大チャンスモード」が設定されると、はずれ変動における演出抽選において、ボタンバイブ演出に当選する確率が減少するように構成し、相対的にボタンバイブ演出が発生した場合の大当り期待度が高まるように構成されている。
【0772】
「キリン柄超激熱モード」は、前述した「赤大チャンスモード」と同様に予告演出中の特定の実行パターンの出現頻度を、「キリン柄超激熱モード」の非設定時と設定時とで相違させるように構成することで、対象の演出パターンが出現した場合に大当り期待度が高まるように構成する演出カスタマイズ機能である。「キリン柄超激熱モード」は、通常時において、赤色系統の演出実行パターンよりもさらに大当り期待度が高く設定されている「キリン柄(メーカー柄、特殊柄)」を対象とした演出カスタマイズ機能である。
【0773】
「クレイジーギア超激熱モード」は、演出操作手段P80を用いた操作演出の実行パターン抽選について、演出レバーP382を操作する実行パターンの当選頻度を調整する演出カスタマイズ機能である。より具体的には、「クレイジーギア超激熱モード」が設定されると、はずれ変動において演出レバーP382を用いた操作演出の実行パターンの当選確率が低く設定された演出抽選テーブルによって操作演出の実行パターン抽選が行われるように構成されている。これにより、「クレイジーギア超激熱モード」が設定されている場合には、設定されていない場合に比して、はずれとなる変動表示に応じた変動演出中の操作演出で演出レバーP382を傾倒操作する実行パターンの実行頻度が低くなるため、相対的に演出レバーP382を傾倒操作する演出(クレイジーギア演出)の大当り期待度が高まるように構成されている。
【0774】
「変動開始時期待度告知モード」は、変動表示が開始される毎に変動表示の開始直後に遊技盤P5の「闘神」という文字のロゴ装飾(
図22参照)に内蔵された発光手段が、変動表示の期待度に応じて抽選された発光色にて発光する演出を実行する演出カスタマイズ機能である。
【0775】
なお「変動開始時期待度告知モード」が設定されている状況下において、毎変動何らかの発光演出を実行しないように構成してもよく、例えば短時間のはずれ変動である場合には「変動開始時期待度告知モード」に対応する発光演出が実行されないように構成してもよい。また、先読み演出として遊技盤P5の演出ランプP82を用いてランプステップアップ(ランプの発光色が「青」「緑」「赤」などと段階的に変化することで期待度の告知を行う演出)等の演出を実行している場合(特にロゴ装飾の発光手段を使用している場合)、先読み演出の対象となる変動までは、遊技者ははずれである可能性が高いと認識していることより、「変動開始時期待度告知モード」に応じた発光演出よりも、先読み演出に対応する発光演出を優先して実行するように構成してもよい。
【0776】
「裏ボタンナビモード」は、「裏ボタン演出」と呼ばれる演出操作手段P80を用いた操作演出の実行に係る演出カスタマイズ機能である。「裏ボタン演出」とは、通常実行される操作演出とは異なり、演出表示装置P80の表示領域に演出ボタン画像P881や演出レバー画像P882等の操作促進画像の表示を伴うことなく実行される操作演出であり、遊技者が演出操作手段P80の有効期間であることを認識し難い状態にて実行される操作演出である。「裏ボタンナビモード」が設定されると、通常では認識し難く設定された「裏ボタン演出」が実行されること、あるいは実行されていることについて、演出操作手段P80の表示領域に演出ボタン画像P881や演出レバー画像P882、あるいは「裏ボタン演出」実行中です」などの案内表示等を表示させることによって遊技者に案内する演出カスタマイズ機能である。
【0777】
「一発告知音カスタム」は、特別遊技(大当り、小当り)が実行されることとなる変動表示において、特別図柄の停止表示前、かつ装飾図柄P801の停止表示前のタイミングにおいて、事前に特別遊技の発生が確定的であることを告知する「一発告知演出」の内、スピーカP83から特殊な音声または効果音を発生させることにより「一発告知演出」を実行する「一発告知音演出」の実行態様を遊技者の好みに設定することが可能となる演出カスタマイズ機能である。
【0778】
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは「一発告知音カスタム」により選択可能な演出の種類として、
図50に示すように「A」から「D」の4種類が設定可能に構成されている。本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、「一発告知音カスタム」にて設定可能な4つの告知音として、それぞれ異なるキャラクタ(1人またはグループ)の祝福音声が設定されている。
【0779】
遊技カスタム項目の最終項目の「戻る」はメニュー項目表示P921eの「戻る」ボタンと同様、演出カスタマイズ機能の設定を終了するための項目である。
【0780】
《変動表示中カスタム機能》
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、待機中メニュー表示P910の表示中に限らず、変動演出の実行中においても演出カスタマイズ機能を利用して演出カスタマイズ機能の一部(遊技カスタム機能)について、設定内容を変更可能に構成している。
【0781】
以下
図51から
図54を用いて、演出表示装置P80の表示領域にて装飾図柄P801の変動表示が実行されている際において、演出カスタマイズ機能を利用して設定内容を変更する場合の制御内容について説明を行う。
【0782】
図51は、「通常時(低確率/低ベース)」における演出表示例を示している。
図51の例では演出表示装置P80の表示領域の左上に演出モード表示P840(「STAGE_a」の表示)が表示され、右上には簡易図柄P802が表示されている。表示領域の高さ中央位置には左側に簡易保留表示P814が表示され、中央位置には装飾図柄P801の変動表示が表示されている。
【0783】
そして、
図51の例では、演出表示装置P80の表示領域の下方に、中央下部から左下側へ向かって保留表示領域P810が表示され、右下方に変動中カスタム表示P855が表示されている。
【0784】
図51の例では、遊技者が未だ演出カスタマイズ機能(遊技カスタム機能)の設定機能を利用していない状況を表しており、変動中カスタム表示P855では、変動中カスタム機能を利用するために必要な操作である十字キーP383の下キー操作を支持するため、下キーが加色された十字キー画像P883と「(十字キー画像)キーで遊技カスタム」の文字列とが表示され、遊技者に対して変動中カスタム機能が実行可能であることを案内している。
【0785】
なお、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、変動演出中に重要な演出であるSPリーチなどの演出が実行されている状態など、特定の状態に移行した場合には、変動中カスタム機能は無効となるように構成され、変動中カスタム表示P855は非表示状態に切り替わるように構成してもよい。また、変動中カスタム表示P855は、遊技者による利用がない状態が一定時間や一定回数の変動表示が実行された場合に、演出の視認性を向上させるために非表示に切り替え、ステージチェンジ演出の実行やSPリーチはずれなど特定の演出が発生した後や、遊技者による十字キーP383の操作があった場合に表示を復帰させるように構成してもよい。
【0786】
図52は、
図51に示した状態から遊技者により十字キーP383の下キーが操作され、変動中カスタム機能(遊技カスタム機能)の利用が実施されている状況を示す図となっている。
【0787】
遊技者により変動中カスタム機能(遊技カスタム機能)の利用が開始されると、変動中カスタム表示P855の表示領域に設定用画像の展開が実行される。
図52の例では、いずれの遊技カスタム機能についても設定されていない初期状態である状況下で変動中カスタム機能が利用された状態を示している。
【0788】
変動中カスタム表示P855の設定用画像は、前述した遊技カスタム機能のメニュー項目として設定可能な項目を1つ目立つ態様にて表示する(明るく表示する、大きく表示する等)ように構成し、その他のメニュー項目を現在選択中のメニュー項目画像の背面の上下方向に半分画した状態で円環状の3D表示画像として選択中のメニュー項目画像が示される。メニュー項目画像の左上には丸数字にてメニュー項目の整理番号が表示され、
図52の例では、変動中カスタム表示P855の設定用画像の初期画像として、整理番号「1」の「エイリやん告知モード」が選択中のメニュー項目であることを示した表示がなされる。
【0789】
また、変動中カスタム表示P855の設定用画像のその他の表示としては、現在選択中のメニュー項目に応じた設定の切り替えのための設定内容の選択肢表示を表示しており、
図52の例では「エイリやん告知モード」の決定内容(
図50参照)に応じた「OFF」、「ON」の画像が示されている。
図51の例では「エイリやん告知モード」の初期状態(設定オフの状態)を示すため、「OFF」の画像が色付きで表示されるように構成されている。
【0790】
変動中カスタム機能を利用した遊技カスタム機能の設定内容の変更操作は、
図52の変動中カスタム表示P855の設定用画像の例に示すように十字キーP383の上下キー操作(メニュー項目の切り替え操作)と、十字キーP383の左右キー操作(選択中のメニュー項目における設定内容の切り替え操作)によって実行される。
【0791】
すなわち、
図52の表に変動中カスタム表示P855の設定用画像の表示がされている状況下で、十字キーP383の上下キー操作がなされると、選択中のメニュー項目が切り替えられるようになっており、例えば十字キーP383の上キーを操作すると整理番号が「-1」されて、円環状の3D表示の上側背面に隠れていたメニュー項目画像が正面の設定中メニュー項目画像の位置に変換されるように循環される。反対に、十字キーP383の下キーを操作すると、整理番号が「+1」されて円環状の3D表示の下側背面に隠れていたメニュー項目画像が正面の設定中メニュー項目画像の位置に変換されるように循環されるようになっている。
図52の例では、現在設定中のメニュー項目画像とプラスマイナス1の整理番号を有するメニュー項目画像が表示されるようになっており、選択中のメニュー項目画像を切り替えると、選択中のメニュー項目画像に応じて3D表示の上下に配置されるメニュー項目画像が切り替わるように構成されている。
【0792】
なお、変動中カスタム表示P855の設定用画像では、整理番号「0」から「13」が、設定可能なメニュー項目として3D表示可能に構成されており、整理番号「0」、「13」の表示対象の項目の整理番号上限及び下限に相当するメニュー項目が選択中のメニュー項目画像として指定されているときは、互いに循環するようにメニュー項目画像の切り替え対象のメニュー項目画像として表示されるようになっている(例えば「一発告知音カスタム」が選択中のメニュー項目画像としてされているときは、十字キーP383の下キー操作で切り替えられるメニュー項目画像として「遊技カスタムリセット」が配置されるようになっている)。
【0793】
また、整理番号「14」の「戻る」は変動中カスタム表示P855には表示されないように構成されているが、遊技者による変動中カスタム機能の利用が一定時間継続した場合(例えば十字キーP383の切り替え操作が行われない状態が5秒継続した場合等)に自動的に変動中カスタム機能は非表示に切り替わるように構成している。これは、変動中カスタム機能は、演出ボタンP381の操作を用いずに十字キーP383の操作により選択画像を切り替えることによって設定内容を変更するように構成しているためであり、このようにすることによって、演出ボタンP381の操作を変動中に発生する操作演出に専属の操作手段として割り当て可能となるためである(例外として「遊技カスタムリセット」は決定操作が必要となるため演出ボタンP381を操作するように構成してもよい)。
【0794】
なお、変動中カスタム機能に対して、決定操作を演出ボタンP381に割り当てるように構成する場合には、変動中カスタム機能のメニュー項目画像として「戻る」を用意し、メニュー項目画像の「戻る」の選択中に演出ボタンP381を操作することで変動中カスタム表示P855を閉じることを可能に構成してもよい(なおこの場合にも一定時間非操作で変動中カスタム表示P855のメニュー項目画像の表示状態を終了するように構成する)。
【0795】
また、
図52の例では、遊技カスタム機能の設定状態がいずれの機能も初期状態である状態で表示を開始した場合を示しているが、いずれか一つでも初期状態とは異なる状態に設定されている状況下において変動中カスタム表示P855の設定用画像を表示状態に切り替えた場合には、初期状態として整理番号「0」の「遊技カスタムリセット」を初期位置として表示するように構成し、適用済みのカスタムをすぐに初期化可能に構成するようにしてもよい。なお、上述の例では遊技カスタム機能が初期状態である場合にも変動中カスタム表示P855の設定用画像のメニュー項目画像として「遊技カスタムリセット」を表示するように構成していたが、変形例として、遊技カスタム機能が初期状態である場合には「遊技カスタムリセット」を変動中カスタム表示P855の設定用画像のメニュー項目として含まないように構成してもよい。
【0796】
図53および
図54は、「モードA(低確率/高ベース)」における演出カスタマイズ機能の利用時の演出表示例を示す図である。なお演出カスタマイズ機能(遊技カスタム機能)についての変動中カスタム表示P855の表示態様は、
図51、
図52に示した「通常時(低確率/低ベース)」と同様であるため、
図53、
図54では、「楽曲選択」を実行している演出表示例を示している。
【0797】
図53は「モードA(低確率/高ベース)」における楽曲選択機能の利用がなされていない状況下における演出表示例であり、
図51に示した「通常時(低確率/低ベース)」の表示例との相違点として、演出表示装置P80の表示領域の上部左側における累積獲得数表示P824、表示領域上部中央における残り遊技回数表示P841、表示領域右上の打ち分け報知画像P830(右打ち報知画像P832)が表示されているのに加え、演出表示装置P80の表示領域の左下に楽曲選択P854が表示されている。
【0798】
楽曲選択P854は、楽曲選択機能を有効とするための操作の十字キーP383の上キー操作を案内するため、十字キーの上キー位置が加色された十字キー画像P883と「(十字キー画像)キーで楽曲変更」の文字列を表示している。なお楽曲選択P854の表示には、現在選択中の楽曲(図の例では「Sound5」の表示)が十字キー画像P883の左側に表示されており、不図示ではあるが現在選択中の楽曲の歌詞テロップが所定の箇所(例えば装飾図柄P801の変動表示領域下方)に表示されるように構成されている。
【0799】
図53に示すように、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、変動中カスタム機能として、「モードA(低確率/高ベース)」においては、十字キーP383の上キーに「楽曲選択」が割り当てられ、十字キーP383の下キーに「遊技カスタム機能」が割り当てられるように構成されている。なお、案内表示等はなされていないが、十字キーP383の左右キーには音量調整機能が割り当てられており、変動表示中においても音量調整が可能となっている。
【0800】
図54は、「モードA(低確率/高ベース)」において楽曲選択が実施されている状況の演出表示例を示す図である。
【0801】
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、変動中における演出カスタマイズ機能の楽曲選択機能が有効となると、楽曲選択P854の画像表示として、現在選択中の楽曲項目(
図54の例では「Sound5」)が選択中であることを目立たせる態様(例えば明るく表示、枠を点滅させて表示するなどの態様)で表示され、現在選択中の楽曲の右側背面に整理番号「+1」となる楽曲項目が相対的に目立たない態様(暗く表示する、一部隠して表示するなどの態様)で表示されるようになっている。このように本例では、遊技カスタム機能が縦方向に項目が循環する3D表示であったのに対し、楽曲選択は左右方向に項目が循環する3D表示となっている。
【0802】
図54のように楽曲選択P854の設定用画像が表示されると、2つの項目が3D表示されるのに加え、楽曲の切り替え操作である十字キーP383の左右キー操作を案内するため、左右キーの部分が加色された十字キー画像P883と「選択」の文字列が切り替え操作の案内表示として表示される。この状態において、遊技者により十字キーP383の左右キーが操作されると操作態様に従って楽曲選択機能にて選択中の楽曲を切り替えることができ、例えば十字キーP383の右キーを操作すると、楽曲の整理番号が「+1」されて楽曲選択の設定用画像が左方向に循環し、「Sound5」から「Sound6」が選択されている状態に切り替わるようになっており、左キー操作の場合は逆の態様となる。
【0803】
演出カスタマイズ機能として楽曲選択が有効であるとき、十字キーの左右キーが楽曲選択の切り替え操作に割り当てられるため、十字キーP383の左右キーに割り当てられていた音量調整機能は一時無効化されている。なお、遊技カスタム機能については、十字キーP383の上キーが楽曲選択機能の設定内容の変更に利用されないため有効となっており、
図54の状態にて十字キーP383の上キーが操作されると遊技カスタム機能の設定が有効となる状態(「通常時(低確率/低ベース)」の例ではあるが
図52参照)に変更される。遊技カスタム機能が有効である場合には、十字キーP383の下キーも、項目の切り替え操作に利用されるため、楽曲選択機能は無効となるので楽曲選択P854は選択中の楽曲名を残してその他を非表示に切り替える。
【0804】
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、楽曲選択機能を利用している状態、すなわち楽曲選択P854の設定用画像を表示している状態にて、遊技者の選択操作が行われない状態が所定時間(例えば5秒)継続した場合に楽曲選択機能が無効な状態に自動で切り替わるように構成されている。なお、変形例としては、その他の終了条件として、十字キーP383の上キーを終了操作(決定操作)として割り当てるように構成してもよく、このように決定操作が割り当てられる場合、楽曲選択機能が有効となる状態で、楽曲の切り替え操作が行われたとき、選択中のメニュー項目となった対象の楽曲の盛り上がりとなる箇所(例えばサビの部分)を即座に再生するように構成し、楽曲選択機能の有効となる期間において、当該楽曲の再生音量を把握させ音量の調整が必要となるかを遊技者に認識させやすく構成してもよい。なお、このような変形例の場合には、決定操作がなされて楽曲選択機能が無効となった際に楽曲を改めて最初から再生するように構成するようにしてもよい。
【0805】
(変形例)
続いて、本実施例のぱちんこ遊技機に適用可能な変形例について説明を行う。
【0806】
《救済機能の搭載および救済機能の作動開始時における特殊制御》
最初に「救済機能」の搭載について説明を行う。「救済機能」は前提とするぱちんこ遊技機において説明したように、低確率状態における遊技回数が予め定められた「救済機能」の作動開始条件回数となった場合に、高ベース状態に移行することで、遊技者に不利な遊技状態(低確率状態)で過度な遊技を行わせることを防止する役割を果たす機能である。なお、本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、遊技機仕様(スペック)として小当りVを採用しているため、確率変動機能を有しておらず、「救済機能」を備える場合には、実質的に前回の大当り終了からの特別図柄の変動表示回数(特別図柄抽選回数)によって「救済機能」の作動が行われるように制御される。
【0807】
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、「救済機能」の作動開始条件回数を950回としており、950回目の特別図柄の変動表示が行われた場合に、「救済機能」の作動開始条件を充足し、950回転目の特別図柄の変動表示の終了後より高ベース状態となる。すなわち最短で951回転目の特別図柄の変動表示から普通電動役物P770に係る第2始動入賞口P721への入賞に基づく第2特別図柄の変動表示を実行可能に構成している。
【0808】
本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、この「救済機能」の作動開始条件を充足することとなる950回目の変動表示について特徴的な制御を備えているためその詳細について説明を行う。
【0809】
<限定頻度>
最初に、本実施例のぱちんこ遊技機Pにおける「救済機能」の作動開始条件となる950回目の特別図柄の変動表示について、変動パターン抽選の特殊制御について説明を行う。
【0810】
本実施例中に説明したように本実施例のぱちんこ遊技機Pでは、大当り図柄や小当り図柄(特に第1特別図柄の特別図柄抽選)によって、「通常時(低確率/低ベース)」においても頻繁に限定頻度遷移テーブルの再セットが行われるように構成しているため、大当り遊技の終了後において、特定の特別図柄回数で専用の変動パターンテーブルを設定することが難しくなっている。
【0811】
そこで、変形例のぱちんこ遊技機では、本実施例に示した限定頻度遷移テーブル(以下「第1限定頻度遷移テーブル」と称する)の他に、個別の第2限定頻度遷移テーブルを用意し、第2限定頻度遷移テーブルを用いて950回目の変動表示の開始時に行われる変動パターン抽選を特殊な仕様に変更するように構成してもよい。
【0812】
より具体的には、第2限定頻度遷移テーブルでは、変動パターンモード番号「0」(
図39参照)を949回設定するデータの後に、950回転目用の変動パターンモード番号「9」を設定するデータが記憶されている。
【0813】
そして変動パターンテーブルを選択する手段は、第1限定頻度遷移テーブル、第2限定頻度遷移テーブルの双方で指定される変動パターンモード番号の大小を比較し、番号の大きい方(同じである場合は第1限定頻度遷移テーブルが指定する変動パターンモード番号に応じた変動パターンテーブル)を用いて変動パターンテーブルを選択し変動パターン抽選を行うようにする。このように構成することで、大当り遊技後の「救済機能」の作動開始条件となる950回目の特別図柄の変動表示について、必ず第2限定頻度遷移テーブルに基づいて、950回目の変動表示用の変動パターンテーブルを選択するための変動パターンモード番号「9」が設定されるようになるため、950回転目に専用の変動パターンテーブルを用いて変動パターン抽選が実行可能となる。
【0814】
なお、上述の例では第2限定頻度遷移テーブルの949回目までのデータとして変動パターンモード番号「0」を設定していたが、実質的に参照されないダミーデータとなるため変動パターンモード番号「0」のように第1限定頻度遷移テーブルにも採用されるデータではないダミーデータ用の情報を記憶するように構成してもよい。
【0815】
また、他の例として、第2限定頻度遷移テーブルでは、950回転目のみ第1限定頻度遷移テーブルよりも優先となるデータが設定されるように構成していたが、例えば特別図柄抽選100回毎に、第2限定頻度遷移テーブルが指定する特殊変動パターンテーブルを指定するため、第2限定頻度遷移テーブルに100変動刻みで変動パターンモード番号「10」を設定しておき、100変動毎に特殊な変動パターンテーブルが選択されて、遊技者に特殊な演出を見せるように構成してもよい。
【0816】
「特殊な演出」の例としては、変動表示が「100回」、「200回」、と100回毎の区切りに達したことを報知する演出、設定示唆演出、ステージチェンジ演出等の事例が挙げられる。
【0817】
また、このように特定のタイミングで第2限定頻度遷移テーブルに基づく変動パターンモード番号に応じた変動パターンテーブルを設定する仕様は、第2限定頻度遷移テーブルにおいて第1限定頻度遷移テーブルよりも優先される変動パターンモード番号が設定される期間を複数変動にすることによって、特定の変動回数を達成すると所定の設定期間だけ特殊な変動パターンテーブルによって変動パターン抽選が行われる特殊演出モードに移行させるような制御も行うことができる。例えば上記の950回転目の直前の9変動の期間(特別図柄の変動表示の941回転目から949回転目の期間)に特殊演出モードを表示するため第2限定頻度遷移テーブルが優先されるようなデータを設定しておき、「救済機能」の作動開始条件となる950回転目までカウントダウン演出を行う変動パターンが選択されるような特殊な変動パターン選択状態(変動パターンモード番号の設定状態)を設定するように構成することができる。
【0818】
<救済機能の作動開始条件を充足する変動における特殊な図柄固定時間の設定>
変形例のぱちんこ遊技機Pでは、「救済機能」の作動開始条件となる前回の大当り遊技後から950回転目の変動表示時間の経過時(図柄固定時間に移行するタイミング)において、遊技状態の移行処理を行うように構成しており、図柄固定時間に制御されている場合、次の遊技状態に移行した状態となっている。すなわち、変形例のぱちんこ遊技機Pでは、950回転目の特別図柄の変動表示が行われると、特別図柄の停止表示が開始したタイミングで救済機能の作動に基づく高ベース状態に移行するようになっている。
【0819】
このとき、遊技状態が遷移するに際して、遊技状態が遷移する旨の演出を実行することで遊技者に対して適切な遊技状態の報知を行うことができることとなるため、変形例のぱちんこ遊技機Pでは、950回転目の特別図柄の変動表示に際して、遊技状態が遷移することとなる特別図柄の停止表示時間(固定時間)を通常より延長するように構成し、図柄固定時間(あるいは図柄固定時間の少し前の特別図柄変動中を含む時間)に亘って、遊技状態の遷移を報知する演出を実行する。
【0820】
このとき、前回の大当り後から950回転目の特別図柄の変動表示に関し、図柄の停止表示時間(固定時間)を延長するための特殊な処理が必要となるが、以下その特殊な処理に関しての説明を行う。
【0821】
変形例のぱちんこ遊技機Pでは、前述したように、第2限定頻度遷移テーブルが設けられており、950回転目の変動表示においては変動表示の開始の際に変動パターン抽選を実行するための変動パターンテーブルを選択するための情報として、950回転目の変動表示のみに指定される情報である変動パターンモード番号「9」の情報が一時的に使用されるようになっている。
【0822】
変形例のぱちんこ遊技機Pでは、特別図柄抽選を行う工程(特に変動パターン抽選を行う工程)の中で、変動パターンモード番号「9」が指定されているかどうかの判定を行うように構成しており、変動パターンモード番号「9」が指定されている場合には、図柄固定時間を記憶する記憶領域に通常のデータ「125」(0.5秒)とはことなる特殊データ「1500」(6秒)を設定するように構成している。
【0823】
このように構成することにより、変形例のぱちんこ遊技機Pでは、前回の大当り遊技の終了後から950回転目の変動表示の際に、第2限定頻度遷移テーブルに基づき変動パターンモード番号「9」が指定され、特殊な変動パターンテーブルに基づいて変動パターン抽選が実行されるとともに、変動パターンモード番号「9」の情報により図柄固定時間を延長する処理が行われるようになるため、対象となる950回転目の救済機能の作動条件となる変動表示が実行された場合に、特殊な変動パターンと特殊な図柄固定時間が設定されるようになり、当該特殊な図柄固定時間(および特殊な変動パターンの変動中)において、救済機能の作動を報知する演出(救済機能開始演出)を実行することが可能となる。
【0824】
なお、上記の変形例では、変動パターンモード番号「9」の情報を特殊な図柄固定時間の設定用の契機情報として設定していたが、他の例では、変動パターンモード番号「9」に対応する変動パターンで選択される変動パターンが特定の変動パターンであることを条件として、すなわち変動パターン抽選結果(変動パターンID)を契機情報として特殊な図柄固定時間を設定するように構成してもよい。
【0825】
変形例のぱちんこ遊技機Pでは、上述の通り、前回の大当り遊技の終了後から950回転目の変動表示において、第2限定頻度遷移テーブルの情報に基づいて種々の制御を行うように構成しているが、第2限定頻度遷移テーブルの設定は大当り遊技の終了時に行われるように構成しているため、ラムクリアが行われた場合には設定されず、ラムクリア直後に950回転の変動表示が行われた場合には、特殊な変動パターンの設定や特殊な図柄固定時間の設定が実行できず、救済機能開始演出を大当り遊技を実行した後である場合とで異ならせる必要がある。
【0826】
このような問題の対策として、変形例のぱちんこ遊技機Pでは、救済機能開始演出について、特殊な図柄固定時間が設定される通常の場合よりも短縮されたバージョンである短縮救済機能開始演出を用意している。短縮救済機能開始演出は、演出制御基板P41において、変動パターンモード番号「9」に対応する変動パターンテーブルで決定される特殊な変動パターンに応じた変動表示の実行情報を受けることなく、「通常時(低確率/低ベース)」から高ベース状態へ移行した旨の情報を受信すると実行されるように設定されている。
【0827】
また短縮救済機能開始演出は、通常の図柄固定時間(0.5秒)+高ベース状態中の最短変動時間よりも短い時間(あるいは高ベース状態中の第1特別図柄の最短変動表示時間)で構成するようにし、特殊な図柄固定時間が設定されることなく、すぐさま特別図柄の変動表示が開始された場合であっても特別図柄の停止表示までには短縮救済機能開始演出を完了させ、特別図柄の停止表示に合わせた装飾図柄P801の停止表示を阻害しないように構成している。
【0828】
<救済機能開始演出など救済機能の作動に関する演出の詳細>
前述したように変形例のぱちんこ遊技機Pでは、「救済機能」の作動開始条件となる950回転目の変動表示の終了時点で高ベース状態となっており、延長された図柄固定時間中に遊技状態の遷移に関する報知を実行するようになっている。
【0829】
このとき、遊技状態は既に高ベース状態であることより、遊技者が遊技領域P501の右側領域P501Rにむけて遊技球を発射する右打ちを行うことにより、普通電動役物P770に係る第2始動入賞口P721への入賞が発生して第2特別図柄の特別図柄抽選に係る保留が生起する場合がある。
【0830】
変形例のぱちんこ遊技機Pでは、救済機能開始演出を実行した後に特別図柄の変動表示が開始可能な状態となると、救済機能が作動した状態である高ベース状態に応じた演出モードに移行するようになっており、同状態では、第2特別図柄の特別図柄抽選が主体となる遊技状態であるため、演出表示も第2特別図柄の特別図柄抽選に係る保留のみを表示する状態に移行するようになっている。
【0831】
ここで、救済機能開始演出の実行中は既に高ベース状態であることより、救済機能開始演出の実行中においても保留表示領域P810を、第1特別図柄の特別図柄抽選に係る保留に対応する表示から第2特別図柄の特別図柄抽選に係る保留の表示に切り替えるように構成してもよい。このようにすることで、救済機能開始演出においても第2特別図柄の特別図柄抽選に係る保留を発生させることができたかを確認することができる。
【0832】
また、変形例のぱちんこ遊技機Pでは、変動パターンモード番号「9」に対応する特殊な変動パターンテーブルにて決定可能な変動パターン(はずれ変動の変動パターン)を複数種類備えており、例えば期待度の低い予告演出が1個だけ表示されて終了するような7秒程度の変動パターンや、ノーマルリーチはずれとなる18秒程度の変動パターン、SPリーチ発展してはずれとなる2分程度変動パターンなど3種類以上の多様な変動パターンの中から選択されるように構成されており、950回転目の特別図柄の変動表示に対応する変動演出もおよそ通常の変動パターンテーブルにて抽選された変動パターンに対応する変動演出と同様の演出が実行されるようになっている。もちろん変動パターンモード番号「9」に対応する特殊な変動パターンテーブルにて選択される変動パターン(はずれ)を1の特殊な変動パターンのみに限定して専用の変動演出を表示するように構成してもよい。
【0833】
<他の変形例>
上述した変形例のぱちんこ遊技機Pでは、第2限定頻度遷移テーブルを有するように構成したが、このように複数の限定頻度遷移テーブルを有するように構成して、個別に遷移条件を判定し、変動パターンテーブルの選択の際にはそれぞれの情報を比較する、という手法をとると、主制御基板P40(主制御CPU)の制御プログラムの記憶領域を圧迫してしまう虞がある。
【0834】
主制御基板P40の制御プログラムの記憶領域は限られた容量しかないため、第2限定頻度遷移テーブルを搭載することができない場合には、他の手法を用いることが考えられる。以下ではそういった場合における救済機能の作動の報知のための制御について説明する。
【0835】
他の変形例のぱちんこ遊技機Pでは、先の大当り遊技の終了後から950回の特別図柄の変動表示が終了すると、図柄の変動表示の終了時(図柄固定時間への移行時)、あるいは図柄固定時間の経過時に遊技状態の遷移処理を行い、「通常時(低確率/低ベース)」から救済機能の作動に基づく高ベース状態に移行するように構成されている。
【0836】
このとき、「通常時(低確率/低ベース)」において設定されていた変動パターンモード番号は、高ベース状態用の抽選に用いる変動パターンが選択される情報に更新されるようになっており、より具体的には救済機能の作動時に変動パターンモード番号「4」(
図39参照)を設定して、「モードA(低確率/高ベース)」用の変動パターンテーブルが設定されるように構成する。
【0837】
このような他の変形例のぱちんこ遊技機Pでは、先の大当り遊技後から950回転目の変動表示において、特殊な変動パターンおよび特殊な図柄固定時間の設定が行われないため、救済機能開始演出の実行タイミングを変形例のぱちんこ遊技機Pとは異ならせる必要がある。
【0838】
そこで、他の変形例のぱちんこ遊技機Pでは、救済機能開始演出の実行を、951回目の変動表示中(+図柄固定時間中)に行うように構成している。
【0839】
他の変形例のぱちんこ遊技機Pでは、950回転目の変動表示が行われた場合であっても救済機能開始演出が実行されないため、内部的には(主制御基板P40での処理では)高ベース状態に滞在している状況でありながらも遊技者は左打ちを継続することが想定される。そして、遊技者が左打ちを継続した場合に951回転目の特別図柄の変動表示が第1特別図柄の特別図柄抽選によって実行されることが想定されるため、他の変形例のぱちんこ遊技機Pでは、「モードA(低確率/高ベース)」用の変動パターンテーブルが設定されている状況下で第1特別図柄の特別図柄抽選が実行された場合、変動パターン抽選(はずれ)の結果として10秒程度の変動パターンを選択するように構成し、当該10秒の変動表示時間に救済機能開始演出を実行するように構成している。
【0840】
なお、他の変形例のぱちんこ遊技機Pでは、打ち分け報知P830の右打ち報知画像P832として「右打ち(右向き矢印画像)」の表示に加え、「右打ち(右向き矢印画像)」の右下近傍に右打ち報知画像P832(「右打ち(右向き矢印画像)」)よりも目立ちにくい「.(ドットマーク)」等の極小右打ち報知画像を表示可能に構成し、950回転目の変動表示が終了した時点で極小右打ち報知画像を表示して、内部的には右打ち状態に移行した旨を報知しながらも、救済機能開始演出を実行開始までは右打ち報知画像P832の表示を控えて、高ベース状態に移行した旨を認識し難くしている。
【0841】
このようにすることで、951回転目の変動表示が実行される際に特定の変動パターンが第1特別図柄の特別図柄抽選により選択されて救済機能開始演出が実行され、スムーズに救済機能の作動に基づく演出モードへの導入を実行することができるようになる。なお、前提としている本実施例のぱちんこ遊技機Pにおいては入球順消化を採用しているため、第1特別図柄の特別図柄抽選に係る保留が950回転目の変動中に存在している場合は、必ず951回転目の変動表示が実行される際に特定の変動パターンが第1特別図柄の特別図柄抽選により選択されて救済機能開始演出が実行される。
【0842】
なお、遊技機に詳しい熟練の遊技者の場合には、950回転目の変動表示が終了した後951回転目の変動を第1特別図柄の特別図柄抽選によって行わせないように即座に右打ちを開始する可能性があるが、このように遊技者が951回転目の変動表示を第1特別図柄の特別図柄抽選にて実行させず第2特別図柄の特別図柄抽選にて実行させた場合には、救済機能開始演出を適切に実行できないため、救済機能開始演出を実行することなく、第2特別図柄の特別図柄抽選に係る変動表示の開始と同時に演出モードを変更するように構成する。
【0843】
また、「通常時(低確率/低ベース)」においては、遊技者が遊技領域P501の右側領域P501Rに遊技球を発射すると不利益を被る可能性が高いことより、作動口P741等の通過情報を基に左側領域P501Lに遊技球を発射するように注意喚起(左打ち注意喚起P836の表示)を行うが、950回転目の変動表示が終了した後は高ベース状態であるため、救済機能開始演出の実行前で演出モードが「通常時(低確率/低ベース)」に応じた演出モードに滞在している状況下であっても、遊技者が遊技領域P501の右側領域P501Rに遊技球を発射している情報を検出しても注意喚起は実行しないようになっている。
【符号の説明】
【0844】
P ぱちんこ遊技機、 P1 外枠、 P2 前枠、 P3 ガラス枠、
P4 裏セットユニット、 P5 遊技盤、 P40 主制御基板、
P41 演出制御基板、 P42 画像制御基板、 P43 払出制御基板、
P44 電源基板、 P47 電源スイッチ、 P48 ラムクリアスイッチ、
P49 設定キースイッチ、 P50 主制御表示装置、
P51 第1特別図柄表示装置、 P52 第2特別図柄表示装置、
P80 演出表示装置、 P81 演出操作手段(P380 演出操作ユニット、
P381 演出ボタン、 P382 レバー、 P383 十字キー)、
P82 演出ランプ(P350 枠ランプ、 P550 盤ランプ)、
P83 スピーカ(P141 幕板スピーカ,P371 上スピーカ)、
P560 演出役物、 P710 第1始動入賞装置、
P720(P808) 第2始動入賞装置、 P730 一般入賞装置、
P740 普図作動ゲート装置、 P750(P809) 大入賞口装置
P755 特別電動役物、 P770(P907) 普通電動役物