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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191628
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】コネクタ装置及びコネクタ部
(51)【国際特許分類】
   F16L 21/00 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
F16L21/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099964
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】510242521
【氏名又は名称】ナブテスコサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】中井 雅章
(72)【発明者】
【氏名】筒井 俊雄
(57)【要約】
【課題】新たな手法により振動や衝撃に起因する不具合の発生を可能なコネクタ装置を提供する。
【解決手段】本発明のコネクタ装置10は、それぞれが有するカプリングを介して接続されることで配管又は配線が連結される一対のコネクタ部を有し、一対のコネクタ部の一方と他方はガイドブッシュ120及びガイドバー220の一方と他方を有し、一方のコネクタ部は、ガイドバー220がガイドブッシュ120と接触しながら挿入された際に接触箇所を介して挿入方向と直交する方向に荷重を受けて挿入方向と直交する平面上で他方のコネクタ部に対して相対的に移動可能に構成された可動部140を有し、ガイドバー220の外径又はガイドブッシュ120の内径の少なくとも一方は挿入方向に向かうにつれて径が小さくなるように構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが有するカプリングを介して接続されることで配管又は配線が連結される一対のコネクタ部を有するコネクタ装置であって、
前記一対のコネクタ部の一方は前記カプリングを位置決めするためのガイドブッシュ及び前記ガイドブッシュに挿入されてガイドされるガイドバーのいずれか一方を有し、
前記一対のコネクタ部の他方は前記ガイドブッシュ及び前記ガイドバーの他方を有し、
前記一対のコネクタ部の一方は、前記ガイドバー及び前記ガイドブッシュのいずれか一方と前記カプリングとが取り付けられ、前記ガイドバーが前記ガイドブッシュと接触しながら挿入された際に接触箇所を介して挿入方向と直交する直交方向に荷重を受けて前記挿入方向と直交する平面上で前記一対のコネクタ部の他方に対して相対的に移動可能に構成された可動部を有し、
前記ガイドバーの外径又は前記ガイドブッシュの内径の少なくとも一方は前記挿入方向に向かうにつれて径が小さくなるように構成される、
コネクタ装置。
【請求項2】
前記一対のコネクタ部の一方は前記可動部を吊り下げ支持する支持部を更に有し、
前記可動部は、前記ガイドバーが前記ガイドブッシュと接触しながら挿入された際に前記接触箇所を介して前記挿入方向と直交する鉛直上方向の荷重を受けて前記支持部に対して前記鉛直上方向に移動することにより前記一対のコネクタ部の他方に対して相対的に前記鉛直上方向に移動可能である、
請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記支持部は前記直交方向において前記可動部と接触して前記可動部の前記直交方向の移動を制限する、
請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記一対のコネクタ部の一方は前記支持部が取り付けられた本体部を更に有し、
前記支持部は、
前記挿入方向に延在して前記可動部を吊り下げ支持する挿入方向延在部と、
前記挿入方向延在部から前記直交方向に延在し、前記可動部の前記挿入方向の移動を制限する直交方向延在部と、を有し、
前記可動部は、前記挿入方向延在部上で、前記直交方向延在部と前記本体部との間で吊り下げ支持される、
請求項3に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
前記一対のコネクタ部の一方は、
前記可動部と前記直交方向延在部との間に設けられ、前記可動部と前記直交方向延在部との摺動抵抗を低減する第1低減部材と、
前記可動部と前記本体部との間に設けられ、前記可動部と前記本体部との摺動抵抗を低減する第2低減部材と、の少なくとも一方を更に有する、
請求項4に記載のコネクタ装置。
【請求項6】
前記一対のコネクタ部の一方は前記配管から出力された流体が供給される圧延ロールを支持するロール支持体に固定され、
前記一対のコネクタ部の他方は地面に設置され、
前記ロール支持体に固定された前記一対のコネクタ部の一方が、前記一対のコネクタ部の他方に対して相対的に移動可能な前記可動部を有する、
請求項1から5のいずれか1項に記載のコネクタ装置。
【請求項7】
前記ガイドバー及び前記ガイドブッシュの一方は前記一対のコネクタ部の一方に複数設けられ、
前記ガイドバー及び前記ガイドブッシュの他方は前記一対のコネクタ部の他方に複数設けられ、
前記一対のコネクタ部の各々の前記カプリングは、前記複数のガイドバーの間又は前記複数のガイドブッシュの間に配置される、
請求項1から6のいずれか1項に記載のコネクタ装置。
【請求項8】
それぞれが有するカプリングを介して接続されることで配管又は配線が連結される一対のコネクタ部の一方のコネクタ部であって、
前記一方のコネクタ部は前記カプリングを位置決めするためのガイドブッシュ及び前記ガイドブッシュに挿入されてガイドされるガイドバーのいずれか一方を有し、
前記一対のコネクタ部の他方のコネクタ部は前記ガイドブッシュ及び前記ガイドバーの他方を有し、
前記一方のコネクタ部は、前記ガイドバー及び前記ガイドブッシュのいずれか一方と前記カプリングとが取り付けられ、前記ガイドバーが前記ガイドブッシュと接触しながら挿入された際に接触箇所を介して挿入方向と直交する直交方向に荷重を受けて前記挿入方向と直交する平面上で前記他方のコネクタ部に対して相対的に移動可能に構成された可動部を有し、
前記ガイドバーの外径又は前記ガイドブッシュの内径の少なくとも一方は前記挿入方向の上流に向かうにつれて径が小さくなるように構成される、
コネクタ部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ装置及びコネクタ部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されるように、鋼板等をロールにより搬送する冷間圧延機、熱間圧延機、連続鋳造機などにおいて、潤滑や冷却のための作動油等をロールに供給するためにオートコネクタが用いられている。特許文献1のオートコネクタは、第1の継手の流路と第2の継手の流路とを連結することにより、ロールを支持するロールユニットと流体供給源とを連結する。
【0003】
特許文献1に記載のオートコネクタでは、油圧シリンダを用いて第2の継手をその上方向(接続方向)に移動させることにより第1の継手と第2の継手とが接続される。第1の継手と第2の継手が接続された状態で、別の油圧シリンダを用いて第1及び第2の継手を水平方向に移動させることで、第1の継手の非係合部を継手支持部の収容部から退避させる。この第1の継手を収容部から退避させた状態から油圧シリンダを用いて第1及び第2の継手を下降させることで、第1の継手と第2の継手を相互に接続した状態で両者を継手支持部から完全に離している。これにより、ロール支持体としてのバックアップロールチョック側からの振動等の影響が接続状態にある第1の継手および第2の継手に及ぶことが無くなる。すなわち、バックアップロールに加わる振動や衝撃に起因する不具合(第1の継手と第2の継手の接続不良等)の発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-158794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のような従来のオートコネクタでは、第1の継手および第2の継手を接続する動作に加え、接続状態にある第1の継手および第2の継手を継手支持部から切り離す動作が必要であった。そのため、装置の複雑化や作業工程の増加などによるコストの増大等を招いていた。したがって、振動や衝撃に起因する不具合の発生を抑制可能な新たな手法が求められている。
【0006】
上記に鑑み、本発明の目的は、新たな手法により振動や衝撃に起因する不具合の発生を抑制可能なコネクタ装置及びコネクタ部を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のコネクタ装置は、それぞれが有するカプリングを介して接続されることで配管又は配線が連結される一対のコネクタ部を有するコネクタ装置であって、前記一対のコネクタ部の一方は前記カプリングを位置決めするためのガイドブッシュ及び前記ガイドブッシュに挿入されてガイドされるガイドバーのいずれか一方を有し、前記一対のコネクタ部の他方は前記ガイドブッシュ及び前記ガイドバーの他方を有し、前記一対のコネクタ部の一方は、前記ガイドバー及び前記ガイドブッシュのいずれか一方と前記カプリングとが取り付けられ、前記ガイドバーが前記ガイドブッシュと接触しながら挿入された際に接触箇所を介して挿入方向と直交する直交方向に荷重を受けて前記挿入方向と直交する平面上で前記一対のコネクタ部の他方に対して相対的に移動可能に構成された可動部を有し、前記ガイドバーの外径又は前記ガイドブッシュの内径の少なくとも一方は前記挿入方向に向かうにつれて径が小さくなるように構成される。
【0008】
本発明の他の態様のコネクタ部は、それぞれが有するカプリングを介して接続されることで配管又は配線が連結される一対のコネクタ部の一方のコネクタ部であって、前記一方のコネクタ部は前記カプリングを位置決めするためのガイドブッシュ及び前記ガイドブッシュに挿入されてガイドされるガイドバーのいずれか一方を有し、前記一対のコネクタ部の他方のコネクタ部は前記ガイドブッシュ及び前記ガイドバーの他方を有し、前記一方のコネクタ部は、前記ガイドバー及び前記ガイドブッシュのいずれか一方と前記カプリングとが取り付けられ、前記ガイドバーが前記ガイドブッシュと接触しながら挿入された際に接触箇所を介して挿入方向と直交する直交方向に荷重を受けて前記挿入方向と直交する平面上で前記他方のコネクタ部に対して相対的に移動可能に構成された可動部を有し、前記ガイドバーの外径又は前記ガイドブッシュの内径の少なくとも一方は前記挿入方向の上流に向かうにつれて径が小さくなるように構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、新たな手法により振動や衝撃に起因する不具合の発生を抑制可能なコネクタ装置およびコネクタ部を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】コネクタ装置が設置される圧延機を概略的に示す断面図である。
図2】実施形態のコネクタ装置の接続動作開始前の状態を概略的に示す図である。
図3】接続動作開始前の状態におけるA-A断面矢視図である。
図4】接続動作開始前の状態におけるB-B断面矢視図である。
図5】第1コネクタ部のC-C断面矢視図である。
図6】可動部を第2コネクタ部から見たときの正面図である。
図7】第1コネクタ部を第2コネクタ部から見たときの正面図である。
図8】接続動作開始前の状態におけるD-D断面矢視図である。
図9図9(a)~図9(c)は、それぞれ、接続動作開始前の状態における、ガイドバー及びガイドブッシュ、第1カプリング及び第2カプリング、並びに支持部の各状態を示す概略図である。
図10図10(a)~図10(c)は、それぞれ、接続動作中の状態における、ガイドバー及びガイドブッシュ、第1カプリング及び第2カプリング、並びに支持部の各状態を示す概略図である。
図11図11(a)~図11(c)は、それぞれ、接続動作が完了した状態における、ガイドバー及びガイドブッシュ、第1カプリング及び第2カプリング、並びに支持部の各状態を示す概略図である。
図12】変形例のコネクタ装置を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
[実施形態]
図1は、コネクタ装置が設置される圧延機を概略的に示す断面図である。図1の圧延機5は、例えば鋼板1を挟み込んで圧延する一対のワークロール2と、一対のワークロールを挟み込むように配置された一対のバックアップロール3と、一対のワークロール及び一対のバックアップロールをそれぞれ回転可能に支持するロールチョック4と、を有する。本実施形態の圧延機5は、熱間圧延機であるが、これに限定されず、例えば、冷間圧延機等の種々の圧延機であってもよい。ワークロール2にはバックアップロール3によって圧下力が作用するように構成されており、これによりワークロールによる圧下力が補助される。コネクタ装置10は、ロールチョック4に設置され、作動流体(例えば潤滑油)を各ロールに供給するための配管を連結する。本実施形態のワークロール2及びバックアップロール3は圧延ロールの一例であり、本実施形態のロールチョック4はロール支持体の一例である。
【0013】
図2は、コネクタ装置10の接続動作開始前の状態を概略的に示す図である。説明の便宜上、図示のように、水平なある方向をX方向、X方向に直交する水平な方向をY方向、両者に直交する方向すなわち鉛直方向をZ方向とするXYZ直交座標系を定める。また、Z方向を上下方向ということがある。このような方向の表記はコネクタ装置10の使用姿勢を制限するものではなく、コネクタ装置10は、用途に応じて任意の姿勢で使用される。
【0014】
コネクタ装置10は、それぞれが有するカプリングを介して接続されることで配管が連結される第1コネクタ部100及び第2コネクタ部200と、油圧シリンダ11と、シリンダ制御装置12と、を有する。コネクタ装置は、第1コネクタ部100の配管(以下、第1流路105)と第2コネクタ部200の配管(以下、第2流路205)とを着脱自在に連結する。第1コネクタ部100はロールチョック4に固定される。第2コネクタ部200は地面に設置される。第2コネクタ部200は、油圧シリンダ11の駆動によってX方向に移動可能に構成される。本実施形態の第1コネクタ部100及び第2コネクタ部200は、一対のコネクタ部の一例である。
【0015】
第1流路105は、後述の第1カプリング110からロールチョック4のバックアップロール3用の軸受4A付近に設けられた流体供給口106に作動流体を出力する。第2流路205は、流体供給源13から供給される作動流体を後述の第2カプリング210を介して第1流路105に出力する。第1流路105及び第2流路205は、それぞれ弾性変形可能な管路である。作動流体は、例えば、潤滑剤や冷却剤であってもよいし、圧延制御のための油圧を与える作動油であってもよい。
【0016】
油圧シリンダ11は、第2コネクタ部200をX方向に移動させることが可能なアクチュエータである。油圧シリンダ11は、地面に対して固定される。
【0017】
シリンダ制御装置12は、油圧シリンダ11を駆動制御するための駆動制御プログラムを格納した記憶装置とこの駆動制御プログラムを実行するためのプロセッサとを有する。シリンダ制御装置は、駆動制御プログラムを実行することにより油圧シリンダ11を駆動制御する。
【0018】
第1コネクタ部100は、第1カプリング110と、ガイドブッシュ120と、第1本体部130と、可動部140と、支持部150と、第1低減部材161及び第2低減部材162と、第1流路105と、を有する。第2コネクタ部200は、第2カプリング210と、ガイドバー220と、第2本体部230と、第2流路205と、を有する。
【0019】
第1カプリング110及び第2カプリング210は、それぞれ、第1流路105及び第2流路205に連通している。第1カプリング110及び第2カプリング210を連結することにより、第1流路105及び第2流路205が連結される。第1カプリング110及び第2カプリング210の中心軸は、ガイドバー220のガイドブッシュ120への挿入が完了した際に、同軸上に位置するように構成される。
【0020】
図3は、コネクタ装置10の接続動作開始前の状態におけるA-A断面図である。図3では、簡略化のため、第1流路105、第2流路205及び油圧シリンダ11は省略している(以下の図4、5、9~11も同様である)。第1カプリング110では、その内周面側に配置された第1接続部111にOリング111Aが設けられている。Oリング111Aは、第2カプリング210の第2接続部211と接触した際にその接触箇所を密封する。これにより、流路における流体漏れ等を抑制することができる。
【0021】
ガイドブッシュ120及びガイドバー220は、第1カプリング110及び第2カプリング210を位置決めするためのものである。ガイドブッシュ120はガイドバー220を挿入するための挿入孔であり、ガイドバー220はガイドブッシュ120に挿入されてガイドされる棒状の部材である。ガイドバー220をガイドブッシュ120に挿入することにより、第1カプリング110及び第2カプリング210におけるY方向及びZ方向の相対位置が適切な位置に移動することで、互いの中心軸が同軸上に位置するように位置決めがなされる。本実施形態では、第1コネクタ部100は、2つのガイドブッシュ120を有する。第1カプリング110は、2つのガイドブッシュ120の間に配置される。
【0022】
図4は、コネクタ装置10の接続動作開始前の状態におけるB-B断面矢視図である。ガイドバー220の外径は、ガイドバー220がガイドブッシュ120に挿入される挿入方向(+X方向)に向かうにつれて径が小さくなるように構成される。具体的には、ガイドバー220は先端に向かうにつれて径が小さくなるように構成されたテーパ部221を有する。ここでの「径が小さくなる」とは、テーパ部221の傾斜面が挿入方向に対して直線的に傾斜するように径が小さくなるような態様でもよいし、テーパ部221の傾斜面が挿入方向に対して曲線的に(例えば丸みを帯びるように)傾斜するように径が小さくなるような態様でもよい。
【0023】
第1本体部130は、ロールチョック4に固定される。第1流路105は、穴部131を通って流体供給口106に連結される。
【0024】
図5は、第1コネクタ部100のC-C断面矢視図である。第1本体部130は、その内側に穴部131を有し、中空構造で構成される。第1本体部130には、支持部150及び第1低減部材161が取り付けられる。
【0025】
第2本体部230は、地面に設置される。第2本体部230の地面に対する相対位置は、油圧シリンダ11の駆動によってX方向に移動可能である。第2本体部230には、ガイドバー220が取り付けられる。
【0026】
図6は、可動部140を第2コネクタ部200から見たときの正面図である。図7は、第1コネクタ部100を第2コネクタ部200から見たときの正面図である。可動部140は、ガイドバー220がガイドブッシュ120と接触しながら挿入された際に、接触箇所を介して挿入方向と直交する方向に荷重を受け、この挿入方向と直交する平面上で第2コネクタ部200に対して相対的に移動可能に構成される。可動部140には、第1カプリング110及びガイドブッシュ120が取り付けられる。そのため、第1カプリング110及びガイドブッシュ120は可動部140の上記直交する平面上での移動とともに移動する。可動部140は、Y方向両側の側部142からY方向に突出する突出部141に有する。可動部140は、上側の突出部141の下端141aを介して自重によって支持部150に支持される。可動部140は、例えば平板状の部材で構成される。
【0027】
図8は、コネクタ装置10の接続動作開始前の状態におけるD-D断面矢視図である。支持部150は、可動部140を吊り下げ支持し、可動部140と接触して可動部140のY方向及びZ方向の移動を制限する。本実施形態の支持部150は、挿入方向に延在して可動部140を吊り下げ支持することで可動部140のY方向及びZ方向の移動を制限する挿入方向延在部151を有する。挿入方向延在部151の鉛直方向移動制限面151aは、突出部141の下端141aとの接触により可動部140の鉛直下方向(-Z方向)の移動を制限する。挿入方向延在部151の水平方向移動制限面151bは、可動部140の側部142との接触により可動部140の水平方向(Y方向)の移動を制限する。支持部150は、第1本体部130に取り付けられる。具体的には、挿入方向延在部151が第1本体部130に固定される。支持部150は、挿入方向延在部から上記挿入方向と直交する方向に延在し、可動部140の挿入方向の移動を制限する直交方向延在部152を有する。本実施形態の直交方向延在部152は、鉛直方向に延在するように構成される。本実施形態の支持部150は、挿入方向延在部151と挿入方向延在部151から上下方向に延在する直交方向延在部152とによって側面視でT字型に構成される。
【0028】
第1低減部材161は、可動部140と支持部150の直交方向延在部152との間に設けられ、可動部140と直交方向延在部152との摺動抵抗を低減する。第2低減部材は、可動部140と第1本体部130との間に設けられ、可動部140と第1本体部130との摺動抵抗を低減する。このように第1低減部材161及び第2低減部材162を配置することにより、可動部140がY方向及びZ方向にスムーズに移動することが可能となる。本実施形態の第1低減部材161及び第2低減部材162は、例えばオイレスプレートである。本実施形態では、直交方向延在部152、第1低減部材161及び第2低減部材162によって、可動部140の挿入方向の移動が制限される。
【0029】
図9図11を用いて、本実施形態に係るコネクタ装置の動作を説明する。図9(a)~図9(c)は第1コネクタ部100及び第2コネクタ部200が接続されていない場合における、ガイドバー220及びガイドブッシュ120、第1及び第2カプリング210、並びに支持部150の各状態の概略図である。図10(a)~図10(c)は、第1コネクタ部100及び第2コネクタ部200の接続過程における、ガイドバー220及びガイドブッシュ120、第1及び第2カプリング210、並びに支持部150の各状態の概略図である。図11(a)~図11(c)は、第1コネクタ部100及び第2コネクタ部200の接続が完了した場合における、ガイドバー220及びガイドブッシュ120、第1及び第2カプリング210、並びに支持部150の各状態の概略図である。
【0030】
図9(a)~図9(c)を参照する。図9(b)に示すように、第1カプリング110の中心軸C1及び第2カプリング210の中心軸C2はZ方向に大きくずれている。仮にこのままの位置関係で第1カプリング110及び第2カプリング210を接続しようとした場合、第1カプリング110及び第2カプリング210の下端同士が接触してしまい、第1カプリング110及び第2カプリング210を接続することができない。なお、本実施形態では、簡略化のため、初期位置において第1カプリング110及び第2カプリング210の中心軸C1及びC2はZ方向にのみずれているものとする。
【0031】
図10(a)~図10(c)を参照する。シリンダ制御装置12が油圧シリンダ11を駆動して第2コネクタ部200を挿入方向に移動させると、図10(a)に示すように、ガイドバー220のテーパ部221がガイドブッシュ120と接触する。このとき、ガイドブッシュ120は、テーパ部221からテーパ部221の傾斜面に直交する方向の荷重Rを受ける。ガイドブッシュ120が荷重Rを受けると、テーパ部221との接触箇所を介してガイドブッシュ120の固定された可動部140にこの荷重Rが伝達される。可動部140に荷重Rが伝達されると、荷重Rの鉛直上方向成分の力により、可動部140が鉛直上方向に移動するようになる。一方で、可動部140は、水平方向の移動が制限されているため、荷重Rの水平方向成分の力によっては、水平方向には移動しない。第2コネクタ部200の挿入方向への移動が進行すると、ガイドバー220がガイドブッシュ120と接触しながらテーパ部221の傾斜に沿ってガイドブッシュ120を滑るように挿入されていく。その結果、可動部140が鉛直上方向の荷重を受けて持ち上げられるように鉛直上方向に移動していく。その結果、図10(c)に示すように、可動部140が鉛直上方向に移動して支持部150によって吊り下げ支持されなくなり、支持部150から離れていく。この状態では、可動部140はガイドブッシュ120を介してガイドバー220によって支持される。また、図10(b)に示すように、可動部140の鉛直上方向の移動に伴い、可動部140に固定された第2カプリング210も鉛直上方向に移動するため、第2カプリング210の中心軸C2は、第1カプリング110の中心軸C1に次第に近づいていく。
【0032】
図11(a)~図11(c)を参照する。ガイドバー220のガイドブッシュ120への挿入が完了すると(図11(a)参照)、第1カプリング110の中心軸C1及び第2カプリング210の中心軸C2が同軸上に位置することになる。その結果、第1カプリング110及び第2カプリング210が接続され(図11(b)参照)、これにより、第1流路105と第2流路205とが連結される。
【0033】
図9図11の例では、簡略化のため、初期位置において中心軸C1及びC2はZ方向にのみずれているものとしたが、これに限定されず、Y方向にずれていてもよい。Y方向にずれている場合、荷重Rの水平方向成分の力により可動部140が第2コネクタ部200に対してY方向に移動することで、ガイドブッシュ120及びガイドバー220のY方向の位置合わせが可能である。
【0034】
本実施形態の作用及び効果を説明する。
【0035】
第1コネクタ部100は、圧延機のロールチョック4に固定される。そのため、第1コネクタ部100と第2コネクタ部200とが接続された状態では、ロールの振動が第1カプリング110及び第2カプリング210に伝達される。その結果、例えば第1カプリング110及び第2カプリング210の接続箇所(例えばOリング111A)が摩耗して流体漏れが発生し、必要な圧力や流量等の供給ができなくなるおそれがある。
【0036】
ここで、例えば、第1コネクタ部100及び第2コネクタ部200を圧延機のロールチョック4から切り離し可能に構成し、第1コネクタ部100と第2コネクタ部200とが接続された状態で、この一対のコネクタ部を圧延機のロールチョック4から切り離すことが想定される。これにより、ロールチョック4側からの振動等の影響が接続状態にある第1コネクタ部100及び第2コネクタ部200に及ぶことが無くなるため、振動や衝撃に起因する不具合の発生を抑制できる。しかし、このような切り離す動作を行うためのアクチュエータを用意する必要があるため、装置の設置スペースの増大や、装置及び制御の複雑化、その作業負担の増大を招く。したがって、振動や衝撃に起因する不具合の発生を抑制可能な新たな手法が求められている。
【0037】
一方で、ガイドバー220がガイドブッシュ120に挿入された状態におけるガイドバー220の外周面とガイドブッシュ120の内周面との間の隙間を小さくすることにより、第1カプリング110及び第2カプリング210の振動を抑制することが想定される。例えば、この隙間を小さくすることにより、ガイドバー220及びガイドブッシュ120がより強固に連結されるため、ロールの振動や衝撃によってガイドバー220及びガイドブッシュ120が振動しにくくなる。その結果、第1カプリング110及び第2カプリング210の振動が抑制されるためである。しかし、ガイドバー220とガイドブッシュ120との間の隙間を小さくする場合、ガイドバー220とガイドブッシュ120との相対位置を高い精度で位置決めすることが求められる。
【0038】
本実施形態のコネクタ装置10は、ガイドブッシュ120とカプリングとが取り付けられ、ガイドバー220がガイドブッシュ120と接触しながら挿入された際に接触箇所を介して挿入方向と直交する方向に荷重を受けて挿入方向と直交する平面上で第2コネクタ部200に対して相対的に移動可能に構成された可動部140を有する。また、ガイドバー220の外径は挿入方向に向かうにつれて径が小さくなるように構成される。本構成によると、第1カプリング110が取り付けられた可動部140がガイドバー220の位置に合わせて挿入方向と直交する方向に移動可能となる。そのため、ガイドバー220とガイドブッシュ120との相対位置を高い精度で位置決めすることが可能となる。これにより、ガイドバー220の外周面とガイドブッシュ120の内周面との間の隙間を小さくしたとしても、ガイドバー220とガイドブッシュ120とを高い精度で容易に位置決めすることができる。その結果、ロールの振動や衝撃によって第1カプリング110及び第2カプリング210の接続箇所が振動しにくくなりその接続箇所の摩耗を抑制可能となるため、振動や衝撃に起因する不具合の発生を抑制することが可能となる。また、上記切り離す動作を行うためのアクチュエータを用いる必要がないため、装置の設置スペースの増大や、装置の複雑化、その作業負担の増大を抑制することが可能となる。
【0039】
本実施形態では、可動部140は、挿入方向延在部151上で、直交方向延在部152と第1本体部130との間で吊り下げ支持される。本構成によると、挿入方向延在部151によって可動部140を吊り下げ支持することにより可動部140の鉛直下方向の移動を制限できるとともに、可動部140の挿入方向への移動を直交方向延在部152と第1本体部130とによって制限できる。その結果、可動部140の脱落を抑制できる。
【0040】
本実施形態では、第1カプリング110は2つのガイドブッシュ120の間に配置される。本構成によると、第1カプリング110の位置がより動きにくくなるため、第1カプリング110及び第2カプリング210の接続箇所の摩耗を抑制することが可能となる。
【0041】
本実施形態では、第1低減部材161は、可動部140と支持部150の直交方向延在部152との間に設けられ、可動部140と直交方向延在部152との摺動抵抗を低減し、第2低減部材162は、可動部140と第1本体部130との間に設けられ、可動部140と第1本体部130との摺動抵抗を低減する。本構成によると、摺動抵抗が低減されるため、可動部140、直交方向延在部152及び第1本体部130の摩耗を抑制し、耐久性能を向上させることができる。
【0042】
以下、変形例を説明する。
【0043】
実施形態では、ガイドバー220の外径はガイドブッシュ120に挿入される挿入方向(+X方向)に向かうにつれて径が小さくなるように構成されるが、これに限定されない。ガイドバー220の外径及びガイドブッシュ120の内径の少なくとも一方が挿入方向に向かうにつれて径が小さくなるように構成されてもよい。
【0044】
実施形態では、直交方向延在部152はZ方向に延在したが、これに限定されない。直交方向延在部152はY方向及びZ方向の少なくとも一方に延在してもよい。
【0045】
実施形態では、可動部140には、ガイドブッシュ120が取り付けられたが、これに限定されず、ガイドバー220が取り付けられてもよい。したがって、第1コネクタ部100はガイドブッシュ120及びガイドバー220のいずれか一方を有し、第2コネクタ部200はガイドブッシュ120及びガイドバー220の他方を有してもよい。
【0046】
実施形態では、第1低減部材161及び第2低減部材162が設けられるが、これに限定されない。第1低減部材161及び第2低減部材162が設けられなくてもよいし、両者の少なくとも一方が設けられてもよい。また、実施形態では、第1低減部材161及び第2低減部材162としてオイレスプレートが用いられたが、これに限定されず、例えば可動部140と支持部150又は第1本体部130との接触箇所に球体ベアリングを設けることによって摺動抵抗を低減してもよい。
【0047】
第1カプリング110及び第2カプリング210は、第1コネクタ部100及び第2コネクタ部200にそれぞれ1つ設けられたが、これに限定されず、複数設けられてもよい。
【0048】
ガイドバー220及びガイドブッシュ120は第1コネクタ部100及び第2コネクタ部200にそれぞれ2つ設けられたが、1つだけ設けられてもよいし、3つ以上設けられてもよい。
【0049】
支持部150は、側面視でT字型に構成されたが、これに限定されない。例えば、支持部150は、L字型に構成されてもよいし、可動部140を天井から吊り下げるように支持する構成であってもよい。
【0050】
実施形態では、第2コネクタ部200を水平方向に移動することにより第1コネクタ部100及び第2コネクタ部200が接続されたが、これに限定されない。第1コネクタ部100及び第2コネクタ部を上下方向(Z方向)に並べて配置し、第2コネクタ部200を上下方向に移動することにより第1コネクタ部100及び第2コネクタ部200が接続されてもよい。
【0051】
実施形態では、第2コネクタ部200の駆動に際し、油圧シリンダ11及びシリンダ制御装置12が用いられたが、これに限定されず、他の駆動機構が用いられてもよい。
【0052】
図12を参照する。実施形態では、油圧シリンダ11は第2コネクタ部200側に設けられたが、これに限定されない。油圧シリンダ11は第1コネクタ部100側に設けられてもよい。この場合、第1本体部130はロールチョック4に固定せずに地面に設置し、油圧シリンダ11を第1本体部130に設け、第1本体部130を油圧シリンダ11の駆動によってX方向に移動可能に構成すればよい。
【0053】
実施形態では、コネクタ装置10は、第1コネクタ部100及び第2コネクタ部200において、流体を流通する配管同士が連結されたが、これに限定されない。例えば、電気(電源や電気信号)や光信号が伝わる配線が連結されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 鋼板、 2 ワークロール、 3 バックアップロール、 4 ロールチョック、 5 圧延機、10 コネクタ装置、11 油圧シリンダ、12 シリンダ制御装置、13 流体供給源、 100 第1コネクタ部、 105 第1流路、 110 第1カプリング、 120 ガイドブッシュ、 130 第1本体部、 140 可動部、 150 支持部、 161 第1低減部材、 162 第2低減部材、 200 第2コネクタ部、 205 第2流路、 210 第2カプリング、 220 ガイドバー、 230 第2本体部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12