(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191634
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】洗面化粧台
(51)【国際特許分類】
A47K 1/00 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
A47K1/00 B
A47K1/00 Z
A47K1/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099970
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】一二三 潤
(72)【発明者】
【氏名】津田 英作
(57)【要約】
【課題】水栓装置の内部に水が浸入するのを抑制するとともに、見栄えを向上した洗面化粧台を提供する。
【解決手段】洗面化粧台は、洗面ボウルと、水栓装置と、ミラーキャビネットと、を備えている。水栓装置は、電装部材と、洗面ボウルへ向かって吐水する吐水部と、電装部材および吐水部が内蔵され、点検口が設けられたユニットケースと、を有し、ミラーキャビネットは、前面が開放されたキャビネットと、キャビネットの前面に設けられた鏡扉と、を有し、ユニットケースの点検口は、ユニットケースとキャビネットとの間の境界部に連通しており、境界部を前方から覆う化粧カバーと、化粧カバーの背面部に設けられたシール部材と、を有するカバー部材を備え、シール部材は、ユニットケースの前面とキャビネットの前面とが前後方向でずれていても、境界部に水が浸入するのを抑制することを特徴とする洗面化粧台。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗面ボウルと、前記洗面ボウルの上方に設けられた水栓装置と、前記水栓装置の上方に設けられたミラーキャビネットと、を備えた洗面化粧台において、
前記水栓装置は、
電装部材と、
前記洗面ボウルへ向かって吐水する吐水部と、
前記電装部材および前記吐水部が内蔵され、点検口が設けられたユニットケースと、
を有し、
前記ミラーキャビネットは、
前面が開放されたキャビネットと、
前記キャビネットの前面に設けられた鏡扉と、
を有し、
前記ユニットケースの前記点検口は、前記ユニットケースと前記キャビネットとの間の境界部に連通しており、
前記境界部を前方から覆う化粧カバーと、前記化粧カバーの背面部に設けられたシール部材と、を有するカバー部材を備え、
前記シール部材は、前記ユニットケースの前面と前記キャビネットの前面とが前後方向でずれていても、前記境界部に水が浸入するのを抑制することを特徴とする洗面化粧台。
【請求項2】
前記シール部材は、前記化粧カバーの前記背面部から後方に突出する突出部を有し、
前記突出部は、前記境界部に挿入されていることを特徴とする請求項1に記載の洗面化粧台。
【請求項3】
前記シール部材は、前記化粧カバーの前記背面部に固着される板状の固着部と、前記固着部から突出する前記突出部と、によりT字状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の洗面化粧台。
【請求項4】
前記化粧カバーの前記背面部は、前記シール部材が接着される凹み部を有していることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の洗面化粧台。
【請求項5】
前記凹み部は、上下方向で対面する上面および下面と、前記上面と前記下面との奥側に位置する底面と、を有し、
前記シール部材は、前記上面または前記下面の少なくとも一方に当接していることを特徴とする請求項4に記載の洗面化粧台。
【請求項6】
前記境界部は、前端側に位置して前記シール部材が挿入される挿入開口部と、前記挿入開口部から後方に向けて延びる延出孔部と、を有し、
前記挿入開口部の上下方向の寸法は、前記延出孔部の上下方向の寸法よりも大きくなっていることを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の洗面化粧台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、洗面化粧台に関する。
【背景技術】
【0002】
ホースや湯水混合部などが内部に収納された水栓装置が洗面ボウルやミラーキャビネットと別体に設けられた洗面化粧台が知られている。このような洗面化粧台は、例えば洗面ボウルやミラーキャビネットを取り外すことなく、水栓装置のみを取り外して水栓装置のメンテナンスなどを行うことができる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水栓装置とミラーキャビネットとを別体で設けた場合には、水栓装置とミラーキャビネットとの間に境界(隙間)が形成される。この境界は、外部に露出するので水栓装置とミラーキャビネットとの一体感が損なわれて見栄えが悪くなるおそれがある。また、水栓装置の内部に電装部材が設けられている場合には、水栓装置とミラーキャビネットとの間の境界から水栓装置の内部に水などが浸入して電装部材が被水するおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、水栓装置の内部に水が浸入するのを抑制するとともに、見栄えを向上した洗面化粧台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、洗面ボウルと、前記洗面ボウルの上方に設けられた水栓装置と、前記水栓装置の上方に設けられたミラーキャビネットと、を備えた洗面化粧台において、前記水栓装置は、電装部材と、前記洗面ボウルへ向かって吐水する吐水部と、前記電装部材および前記吐水部が内蔵され、点検口が設けられたユニットケースと、を有し、前記ミラーキャビネットは、前面が開放されたキャビネットと、前記キャビネットの前面に設けられた鏡扉と、を有し、前記ユニットケースの前記点検口は、前記ユニットケースと前記キャビネットとの間の境界部に連通しており、前記境界部を前方から覆う化粧カバーと、前記化粧カバーの背面部に設けられたシール部材と、を有するカバー部材を備え、前記シール部材は、前記ユニットケースの前面と前記キャビネットの前面とが前後方向でずれていても、前記境界部に水が浸入するのを抑制することを特徴とする洗面化粧台である。
【0007】
この洗面化粧台によれば、水栓装置の上面部とキャビネットの下面部とによって形成される境界部は、化粧カバーによって覆われる。従って、洗面化粧台を前方から見たときに、境界部を隠蔽することができる。また、洗面化粧台を設置するときに、例えばキャビネットの前面とユニットケースの前面とが前後方向においてずれていた場合でも、シール部材により境界部から点検口に向かって水が浸入することを抑制できる。その結果、洗面化粧台は、水栓装置の内部に水が浸入するのを抑制できるとともに、見栄えを向上できる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記シール部材は、前記化粧カバーの前記背面部から後方に突出する突出部を有し、前記突出部は、前記境界部に挿入されていることを特徴とする洗面化粧台である。
【0009】
この洗面化粧台によれば、キャビネットの前面とユニットケースの前面との前後方向のずれが間口方向(左右方向)において異なっている場合であっても、間口方向にわたって境界部に水が浸入するのを抑制できる。
【0010】
第3の発明は、第2の発明において、前記シール部材は、前記化粧カバーの前記背面部に固着される板状の固着部と、前記固着部から突出する前記突出部と、によりT字状に形成されていることを特徴とする洗面化粧台である。
【0011】
この洗面化粧台によれば、固着部は、化粧カバーとの接着面積を広くすることができるので、シール部材が化粧カバーから剥がれるのを抑制できる。
【0012】
第4の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、前記化粧カバーの前記背面部は、前記シール部材が接着される凹み部を有していることを特徴とする洗面化粧台である。
【0013】
この洗面化粧台によれば、化粧カバーの背面側に水が流れたとしても、シール部材と化粧カバーとの接着面が被水するのを抑制できる。従って、シール部材と化粧カバーとの接着力が弱まるのを抑制できる。
【0014】
第5の発明は、第4の発明において、前記凹み部は、上下方向で対面する上面および下面と、前記上面と前記下面との奥側に位置する底面と、を有し、前記シール部材は、前記上面または前記下面の少なくとも一方に当接していることを特徴とする洗面化粧台である。
【0015】
この洗面化粧台によれば、シール部材を凹み部に接着するときに、間口方向において上下方向における接着ずれを抑制できる。従って、カバー部材がキャビネットやユニットケースに対して平行に取り付けられるので、見栄えを向上できる。
【0016】
第6の発明は、第2~第5のいずれか1つの発明において、前記境界部は、前端側に位置して前記シール部材が挿入される挿入開口部と、前記挿入開口部から後方に向けて延びる延出孔部と、を有し、前記挿入開口部の上下方向の寸法は、前記延出孔部の上下方向の寸法よりも大きくなっていることを特徴とする洗面化粧台である。
【0017】
この洗面化粧台によれば、挿入開口部は、シール部材を延出孔部内に円滑に案内することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の態様によれば、水栓装置とミラーキャビネットとの間から水が浸入するのを抑制するとともに、見栄えを向上した洗面化粧台が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る洗面化粧台を示す斜視図である。
【
図2】水栓装置とカバー部材とを正面からみた正面図である。
【
図3】水栓装置、カバー部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図4】ミラーキャビネットを取り外して水栓装置を斜め上方からみた斜視図である。
【
図5】
図2中の水栓装置、ミラーキャビネット、およびカバー部材を矢示A-A方向からみた断面図である。
【
図6】
図5中のシール部材および境界部を拡大して示す断面図である。
【
図8】キャビネットの前面がユニットケースの前面よりも前方に位置した状態を示す側面図である。
【
図9】キャビネットの前面がユニットケースの前面よりも後方に位置した状態を示す側面図である。
【
図10】カバー部材の取り付け態様を簡易的に示す説明図である。
【
図11】本発明の第1変形例に係るカバー部材を示す側面図である。
【
図12】キャビネットの前面とユニットケースの前面とが前後方向でずれている場合を示す側面図である。
【
図13】本発明の第2変形例に係るカバー部材および境界部を示す側面図である。
【
図14】本発明の第3変形例に係るカバー部材を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る洗面化粧台を示す斜視図である。
図2は、水栓装置とカバー部材とを正面からみた正面図である。
図3は、水栓装置、カバー部材を取り外した状態を示す斜視図である。
図4は、ミラーキャビネットを取り外して水栓装置を斜め上方からみた斜視図である。
図5は、
図2中の水栓装置、ミラーキャビネット、およびカバー部材を矢示A-A方向からみた断面図である。
図6は、
図5中のシール部材および境界部を拡大して示す断面図である。
図7は、カバー部材を背面部からみた斜視図である。
【0021】
図1に示すように、洗面化粧台10は、洗面ボウル20と、水栓装置50と、ミラーキャビネット40と、を備える。なお、本願明細書において、洗面化粧台10を使用する使用者が位置する方向を「前」方向として説明する。そして、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」は、前方を向いた状態を基準としたそれぞれの方向である。そして、洗面化粧台10は、左右方向が間口方向となっている。
【0022】
洗面ボウル20は、ボウル部22と、バックガード部24と、を有する。ボウル部22は、下方に向かって凹んだ凹状に形成されている。ボウル部22は、排水口26を有する。排水口26は、ボウル部22の底部に設けられる。排水口26は、図示しない排水管に接続され、ボウル部22に吐出された水を排水管に流す。ボウル部22は、排水口26に向かって下方へ傾斜した排水勾配を有する。
【0023】
バックガード部24は、ボウル部22の後端から上方に延びる。バックガード部24は、必要に応じて設けられ、省略可能である。洗面ボウル20の形状は、少なくともボウル部22を有する任意の形状でよい。
【0024】
支持台30は、床F上に載置される。例えば、支持台30は、洗面化粧台10が設置される部屋(洗面所または脱衣所など)の床上に載置される。洗面ボウル20は、支持台30の上に設けられる。支持台30は、洗面ボウル20を支持する。支持台30は、例えば本体部30aと、引き出し30bと、を有する。本体部30aは、例えば前方および上方を開口させた略直方体の開口箱状である。本体部30aの上方の開口は、洗面ボウル20によって塞がれる。ボウル部22の少なくとも一部は、本体部30aの上方の開口から本体部30a内に入り込む。
【0025】
引き出し30bは、上方を開口させた略直方体の開口箱状である。引き出し30bは、本体部30aに前後に移動可能に支持され、本体部30a内に収納された収納位置(
図1に表した位置)と、本体部30aから前方に引き出された引出位置と、に移動する。引き出し30bは、収納位置にある状態において、本体部30aの前方の開口を塞ぐ。そして、引き出し30bは、引出位置にある状態において、内部に物品を収納可能とする。
【0026】
このように、支持台30は、物品を収納可能なキャビネットとしても機能する。支持台30は、換言すれば、洗面化粧台10の下部キャビネット(フロアキャビネット)である。また、支持台30は、引き出し式のキャビネットに限ることなく、扉式のキャビネットでもよい。
【0027】
支持台30は、必ずしも収納機能を有していなくてもよい。支持台30は、洗面ボウル20を支持可能な任意の構成でよい。また、洗面ボウル20は、例えば建築躯体の壁W(例えば洗面所または脱衣所などの壁)に直接取り付けてもよい。すなわち、支持台30は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0028】
ミラーキャビネット40は、水栓装置50を介して支持台30の上方に配置される。ミラーキャビネット40は、キャビネット41と、3枚の鏡扉42~44と、を有する。キャビネット41は、前面が開放された箱状体に形成され、例えば複数の棚部(図示せず)が内部に設けられている。これにより、キャビネット41は、化粧水や髭剃りや歯ブラシなどの洗面用品を内部に収納できるようになっている。キャビネット41は、換言すれば、洗面化粧台10の上部キャビネットである。キャビネット41は、下面部41aが水栓装置50(ユニットケース52)の上方を覆っている。
【0029】
各鏡扉42~44は、キャビネット41の前面に設けられている。各鏡扉42~44は、キャビネット41に開閉可能に支持されている。各鏡扉42~44の前面には、鏡が設けられている。なお、ミラーキャビネット40に設けられる鏡扉の数は、3枚に限ることなく、1枚または2枚でもよいし、4枚以上でもよい。
【0030】
ミラーキャビネット40は、例えば建築躯体の壁Wなどにボルトなどの固定部材によって取り付けられている。これに限らず、ミラーキャビネット40は、壁W以外の支持体(例えば別途設けられたカウンタ、パネル、または支持台30など)に取り付けられ、支持されてもよい。
【0031】
水栓装置50は、洗面ボウル20の上方に設けられる。具体的には、水栓装置50は、バックガード部24とキャビネット41との間に設けられる。水栓装置50は、湯水を吐出する吐水部72を有している。吐水部72は、いわゆるスパウトであり、洗面ボウル20のボウル部22に向けて湯水を吐出する。例えば、バックガード部24の上端部は、水栓装置50のユニットケース52と接していてもよい。水栓装置50は、例えばボルトなどの固定部材によって、建築躯体の壁Wに直接的または間接的に取り付けられている。
【0032】
このように、水栓装置50は、洗面ボウル20およびミラーキャビネット40とは別体となっている。水栓装置50は、洗面ボウル20およびミラーキャビネット40に直接固定されていない。すなわち、水栓装置50は、洗面ボウル20やミラーキャビネット40から独立している。
【0033】
これにより、
図3に示すように、洗面ボウル20を支持台30から取り外したり、ミラーキャビネット40を壁Wなどの支持体から取り外したりすることなく、水栓装置50のみを取り外すことができる。従って、洗面化粧台10は、水栓装置50のメンテナンスが容易となっている。また、洗面ボウル20、支持台30、水栓装置50、およびミラーキャビネット40の組み合わせを自由にすることができるので、洗面化粧台のバリエーションを簡単に増やすことができる。
【0034】
水栓装置50は、ユニットケース52と、ユニットケース52に内蔵された電装部材70と、ユニットケース52に内蔵され、ボウル部22上に引き出し可能な吐水部72と、を有している。また、ユニットケース52の内部には、吐水部72に接続されるホース74、ホース74に向けて流れる湯水の流量を調整する開閉弁(図示せず)、吐水部72の下方に差し出された手を検知するセンサ(図示せず)などが収納されている。
【0035】
ユニットケース52は、水栓装置50の外郭を形成している。
図3~
図5に示すように、ユニットケース52は、前側開口53aおよび上側開口53bを有し箱状に形成された箱体53と、前側開口53aを覆う前面カバー54と、を有している。前側開口53aおよび上側開口53bは、箱体53の内部に収納された電装部材70などを点検するための点検口となっている。なお、点検口は、箱体53の後面板に設けられていてもよい。また、前面カバー54は、箱体53と一体に形成されていてもよい。点検口は、少なくとも1か所設けられていればよい。例えば、前面カバー54と箱体53とを一体に形成する場合には、箱体53は前側開口53aを有していなくてもよい。
【0036】
境界部60は、ユニットケース52とキャビネット41との間に形成される。
図5に示すように、境界部60は、キャビネット41の下面部41aとユニットケース52の上面部との間に形成される。ユニットケース52の上面部は、箱体53の上面部53cと、前面カバー54の上面部54aと、により構成されている。
【0037】
箱体53の前側開口53aと上側開口53bとは、境界部60に連通している。そして、境界部60は、前面カバー54の上面部54aとキャビネット41の下面部41aとの間に後述のシール部材85が挿入される隙間62を有している。すなわち、隙間62は、キャビネット41の前面41bおよび前面カバー54の前面54bから後方に向けて延びている。また、隙間62は、キャビネット41と前面カバー54との間に位置して左右方向(間口方向)に延びている。隙間62は、例えば前面カバー54の上面部54aが箱体53の上面部53cよりも下方に位置することにより形成される。
【0038】
図6に示すように、境界部60の隙間62は、前端側に位置して後述するシール部材85が挿入される挿入開口部62aと、挿入開口部62aから後方に向けて延びる延出孔部62bと、を有している。挿入開口部62aの上下方向の寸法L1は、延出孔部62bの上下方向の寸法L2よりも大きくなっている。挿入開口部62aは、例えばキャビネット41の角部と前面カバー54の角部とを湾曲面にすることにより形成されている。なお、挿入開口部62aは、湾曲面に限らず、例えばキャビネット41の角部と前面カバー54の角部とを面取り加工などにより平坦面に形成されてもよい。
【0039】
電装部材70は、箱体53の内部に収納されている。この電装部材70の内部には、例えばセンサが手を検知した場合に、吐水部72から湯水を吐出させる自動水栓の制御部(図示せず)が収納されている。また、電装部材70は、吐水温表示機能、自動捨て水機能、機能水(除菌水)生成機能、および各種機能操作スイッチなどを制御する制御部(図示せず)などが収納されている。
【0040】
吐水部72は、ユニットケース52内に収納されたホース74に接続されている。吐水部72は、基端側がユニットケース52に内蔵され、先端側が前斜め下方に向けて突出している。吐水部72は、ボウル部22に向けて湯水を吐出する。ホース74は、例えば樹脂製および金属製の可撓性管路からなり、ユニットケース52の内部に延びている。これにより、吐水部72は、ユニットケース52からボウル部22上に引き出し可能(挿抜可能)となっている。
【0041】
流量調整レバー76は、基端側が開閉弁に接続され、先端側がユニットケース52から下方に向けて突出している。流量調整レバー76は、開閉弁を開閉する。流量調整レバー76が操作されて開閉弁が開くことにより、ホース74を介して吐水部72から湯水を吐出させることができる。開閉弁は、例えば流量調整レバー76の操作量により、ホース74に流出させる湯水の流量を制御する。なお、開閉弁は、給水管路または給湯管路のいずれか一方にのみ接続されていてもよい。すなわち、吐水部72から水または湯のみが吐出するものでもよい。
【0042】
カバー部材80は、キャビネット41の前面41bと、ユニットケース52の前面カバー54の前面54bと、にわたって設けられている。カバー部材80は、境界部60を前方から覆う化粧カバー82と、化粧カバー82の背面部82aに設けられたシール部材85と、を有している。このように、キャビネット41およびユニットケース52とは別体であるカバー部材80は、境界部60に浸入する水を止水する役割を持つシール部材85を有している。これにより、洗面ボウル20を支持台30から取り外したり、ミラーキャビネット40を壁Wなどの支持体から取り外したりすることなく、水栓装置50のみを取り外したとしても、水栓装置50の着脱の際にシール部材85が捲れることを防止して止水不良となることを抑制できる。
【0043】
化粧カバー82は、例えば硬質な樹脂材料により薄板状に形成されている。化粧カバー82は、左右方向(間口方向)の長さ寸法がキャビネット41の左右方向の長さやユニットケース52の左右方向の長さに対応して設定されている。
図1~
図3に示すように、化粧カバー82は、境界部60を前方から隠蔽することにより、洗面化粧台10の前方に位置する使用者が境界部60を視認できないようにしている。また、化粧カバー82の前面部82bは、平坦面となっている。これにより、化粧カバー82は、洗面化粧台10のデザイン性を向上している。
【0044】
図5~
図7に示すように、化粧カバー82の背面部82aは、前面部82bに向けて凹む凹み部83を有している。この凹み部83には、シール部材85が接着される。凹み部83は、化粧カバー82の上下方向の中央部に位置して、化粧カバー82の左右方向に延びている。凹み部83は、上下方向で対面する上面83aおよび下面83bと、上面83aと下面83bとの奥側に位置する底面83cと、を有している。上面83aおよび下面83bは、境界部60と左右方向で平行に延びている。
【0045】
シール部材85は、例えば化粧カバー82よりも軟質な樹脂材料により形成され、化粧カバー82の背面部82aに設けられている。具体的には、シール部材85は、背面部82aに形成された凹み部83に固着されている。シール部材85は、化粧カバー82の背面側に浸入した水が境界部60に浸入するのを抑制する。このシール部材85は、ユニットケース52の前面54bとキャビネット41の前面41bとが前後方向でずれていても、境界部60に水が浸入するのを抑制する。そして、シール部材85は、化粧カバー82の背面部82aに固着される板状の固着部85aと、固着部85aから突出する突出部85bと、によりT字状に形成されている。
【0046】
シール部材85は、凹み部83の上面83aまたは下面83bの少なくとも一方に当接している。換言すると、シール部材85の固着部85aは、上下方向の寸法が凹み部83の上下方向の寸法以下に形成されている。本実施形態では、シール部材85は、固着部85aの上面および下面がそれぞれ凹み部83の上面83aおよび下面83bに当接している。
【0047】
これにより、シール部材85を凹み部83内に接着する場合に、固着部85aを凹み部83の上面83aまたは下面83bに接触させることで、シール部材85の位置決めを簡単に行うことができる。すなわち、凹み部83の上面83aおよび下面83bは、境界部60と左右方向で平行に形成されている。従って、シール部材85の固着部85aを上面83aまたは下面83bに当接させるだけで、突出部85bを境界部60と平行にすることができる。
【0048】
図6に示すように、固着部85aの前後方向(厚さ方向)の寸法L3は、凹み部83の前後方向(深さ方向)の寸法L4よりも小さくなっている。これにより、固着部85aは、凹み部83内に位置している。固着部85aは、キャビネット41の前面41b、ユニットケース52の前面54b、および境界部60と前後方向で対面している。固着部85aは、例えば凹み部83の底面83cに接着剤88により接着されている。これにより、例えば凹み部83内に浸入した水が接着剤88に到達して、接着剤88の接着力が弱まるのを抑制できる。なお、固着部85aは、凹み部83の上面83aおよび下面83bに接着されていてもよい。なお、固着部85aの前後方向(厚さ方向)の寸法L3が、凹み部83の前後方向(深さ方向)の寸法L4よりも小さくなっている場合においても、接着剤88の厚みにより、キャビネット41の前面41b、ユニットケース52の前面54b、および境界部60と対向している固着部85aの面が凹み部83より突出しないように、L4≧L3+接着剤の厚みとなるように寸法L4と寸法L3の関係を設ける構成が好ましい。
【0049】
突出部85bは、固着部85aの上下方向の中央部から後方に向けて延びている。すなわち、シール部材85は、化粧カバー82の背面部82aから後方に突出する突出部85bを有している。この突出部85bは、弾性を有する樹脂材料からなり、固着部85aの左右方向に延びている。突出部85bの上下方向(厚さ方向)の寸法は、隙間62の延出孔部62bの上下方向の寸法L2よりも僅かに大きく形成されている。これにより、突出部85bは、延出孔部62bに圧入されている。
【0050】
ここで、隙間62の後端から後方に延びる部分は、キャビネット41の下面部41aとユニットケース52の上面部53cとが当接しているだけであり、境界部60(隙間62)に浸入した水は上側開口53b(点検口)に向けて流通し得る状態となっている。また、隙間62の後端から下方に延びる部分は、ユニットケース52の箱体53と前面カバー54とが当接しているだけであり、境界部60(隙間62)に浸入した水は前側開口53a(点検口)に向けて流通し得る状態となっている。すなわち、ユニットケース52の点検口(前側開口53aおよび上側開口53b)と境界部60とは、水が流通し得る状態で連通している。
【0051】
シール部材85は、突出部85bが延出孔部62bに圧入されることにより、化粧カバー82の背面側に流入した水が境界部60(延出孔部62b)に浸入するのを抑制している。これにより、境界部60からユニットケース52の点検口(前側開口53aおよび上側開口53b)を介してユニットケース52の内部に水が浸入するのを抑制できる。
【0052】
また、突出部85bは、カバー部材80をキャビネット41とユニットケース52との前方に取り付けるための固定部の機能も兼ねている。すなわち、カバー部材80は、突出部85bが延出孔部62bに圧入されることにより、キャビネット41とユニットケース52との前方に取り付けられる。
【0053】
ここで、挿入開口部62aの上下方向の寸法L1は、延出孔部62bの上下方向の寸法L2よりも大きくなっている。これにより、挿入開口部62aは、突出部85bを延出孔部62bに挿入(案内)しやすくしている。従って、カバー部材80を境界部60の前方に取り付けるときの作業の作業性を向上することができる。
【0054】
次に、キャビネット41の前面41bとユニットケース52の前面54bとが前後方向でずれた場合の止水について、
図6、
図8、
図9を参照して説明する。
図8は、キャビネットの前面がユニットケースの前面よりも前方に位置した状態を示す側面図である。
図9は、キャビネットの前面がユニットケースの前面よりも後方に位置した状態を示す側面図である。
【0055】
まず、
図6に示すように、シール部材85の突出部85bは、固着部85aから寸法L5の長さを有している。
図6に示すように、キャビネット41の前面41bとユニットケース52の前面54bとが上下方向で同一面となっている場合には、突出部85bの先端85cが延出孔部62bの奥側に位置している。換言すると、キャビネット41の前面41bとユニットケース52の前面54bとが上下方向で同一面となっている場合には、延出孔部62bに対する突出部85bの圧入長さが大きい。
【0056】
突出部85bは、寸法L5の長さを有することにより、キャビネット41およびユニットケース52が前後方向でずれても、境界部60に水が浸入するのを抑制する。また、突出部85bは、寸法L5の長さを有することにより、キャビネット41およびユニットケース52が前後方向でずれても、カバー部材80をキャビネット41とユニットケース52との前方に固定できるようになっている。
【0057】
図8に示すように、例えば洗面化粧台10の背面側の壁Wが下方から上方に向けて前方に傾斜していた場合には、キャビネット41の前面41bがユニットケース52の前面54bよりも前方に位置するおそれがある。このような場合でも、突出部85bが寸法L5の長さを有しているので、突出部85bの先端85cを延出孔部62b内に位置させることができる。
【0058】
キャビネット41の前面41bがユニットケース52の前面54bよりも前方に位置した場合には、キャビネット41の前面41bに化粧カバー82の背面部82aが当接し、ユニットケース52の前面54bと化粧カバー82の背面部82aとの間に隙間S1が形成される。例えば、吐水部72から水栓装置50の前面カバー54に水をかけて清掃したような場合には、隙間S1に水が流入する。このような場合でも、シール部材85は、突出部85bが隙間62の延出孔部62bに圧入されているので、水が境界部60に浸入するのを抑制できる。
【0059】
また、
図9に示すように、例えば洗面化粧台10の背面側の壁Wが下方から上方に向けて後方に傾斜していた場合には、キャビネット41の前面41bがユニットケース52の前面54bよりも後方に位置するおそれがある。このような場合でも、突出部85bが寸法L5の長さを有しているので、突出部85bの先端85cを延出孔部62b内に位置させることができる。
【0060】
キャビネット41の前面41bがユニットケース52の前面54bよりも後方に位置した場合には、ユニットケース52の前面54bに化粧カバー82の背面部82aが当接し、キャビネット41の前面41bと化粧カバー82の背面部82aとの間に隙間S2が形成される。例えば、キャビネット41の前面41bを水拭きしたような場合や、キャビネット41に収納されている化粧水などの液体が前面41bを伝うような場合には、隙間S2に水や化粧水が流入する。このような場合でも、シール部材85は、突出部85bが隙間62の延出孔部62bに圧入されているので、水が境界部60に浸入するのを抑制できる。
【0061】
また、例えば壁Wが左右方向で歪んでいたり、左右方向で凹凸していたりするような場合には、洗面化粧台10の左側と右側とでキャビネット41とユニットケース52との前後方向のずれ量が異なる場合がある。また、洗面化粧台10の左側でキャビネット41がユニットケース52よりも前方に位置しており、洗面化粧台10の右側でキャビネット41がユニットケース52よりも後方に位置しているような場合もある。このような場合でも、突出部85bは、境界部60の隙間62に沿って左右方向に延びているので、境界部60に水が浸入するのを抑制できる。
【0062】
また、化粧カバー82は、境界部60を前方から覆っている。これにより、化粧カバー82は、キャビネット41とユニットケース52とが前後方向でずれているのを隠すことができる。すなわち、化粧カバー82は、キャビネット41とユニットケース52とのずれによる段差を、洗面化粧台10の前方に位置する使用者から視認できなくすることができる。
【0063】
図10は、カバー部材の取り付け態様を簡易的に示す説明図である。上述した実施形態では、突出部85bが境界部60の隙間62に圧入されることにより、カバー部材80を固定した場合を例に挙げて説明した。しかし、例えば
図10(a)~
図10(c)に示すように、カバー部材80は、突出部85bとは別の固定部を設けてもよい。
【0064】
図10(a)は、ユニットケース52側に設けられた取付穴90と、カバー部材80に設けられた爪部91と、により固定部を有する場合を示している。カバー部材80は、爪部91を取付穴90に嵌合させることにより取り付けることができる。
【0065】
また、
図10(b)は、ユニットケース52側に設けられた取付穴93と、カバー部材80に設けられたクリップ94と、により固定部を有する場合を示している。カバー部材80は、クリップ94を取付穴93に嵌合させることにより取り付けることができる。
【0066】
また、
図10(c)は、ユニットケース52に設けられた面ファスナ96aと、カバー部材80に設けられた面ファスナ96bと、により固定部を有する場合を示している。カバー部材80は、面ファスナ96bをユニットケース52の面ファスナ96aに接着させることにより取り付けることができる。
【0067】
図10(a)~
図10(c)に示すような取り付け構成である場合、キャビネット41の前面41bとユニットケース52の前面54bとが前後方向でずれたとき、化粧カバー82は前後方向へのずれに対応して所定の傾きを維持した状態でユニットケース52に固定されることになる。なお、
図10(a)~
図10(c)は、水栓装置50のユニットケース52側に固定部を設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、キャビネット41側に
図10(a)~
図10(c)のような固定部を設けてもよい。例えば、ユニットケース52側のみに固定部を設けることにより、キャビネット41の汎用性を向上させることができる。すなわち、キャビネット41などを壁に単体で取り付けて使用する場合などに、取付穴などによりデザイン性が悪化するのを抑制できる。このことは、水栓装置50のユニットケース52についても同様である。なお、ユニットケース52側とキャビネット41側との両方に固定部を設けてもよい。また、固定部は、
図10(a)~
図10(c)に挙げた態様に限らず、任意の態様を用いることができる。
【0068】
次に、カバー部材80に換えて設けられるカバー部材100を示した第1変形例について説明する。
図11は、本発明の第1変形例に係るカバー部材を示す側面図である。
図12は、キャビネットの前面とユニットケースの前面とが前後方向でずれている場合を示す側面図である。
【0069】
カバー部材100は、化粧カバー101と、化粧カバー101の背面部101aに設けられた第1シール部材110aおよび第2シール部材110bと、を有する。化粧カバー101の背面部101aは、第1凹み部103aと第2凹み部103bとを有する。第1凹み部103aには、第1シール部材110aが接着されている。一方、第2凹み部103bには、第2シール部材110bが接着されている。
【0070】
図11に示すように、第1シール部材110aと第2シール部材110bとは、例えば弾性を有する樹脂材料で形成され、自然状態で突出寸法が異なっている。すなわち、第1シール部材110aは、第2シール部材110bよりも厚さが大きくなっている。第1シール部材110aと第2シール部材110bとは、左右方向(間口方向)に平行に延びている。
【0071】
図12(a)に示すように、キャビネット41がユニットケース52よりも前方に位置した場合には、第1シール部材110aを下側にした状態でカバー部材100を取り付ける。一方、
図12(b)に示すように、キャビネット41がユニットケース52よりも後方に位置した場合には、第1シール部材110aを上側にした状態でカバー部材100を取り付ける。なお、カバー部材100の取付け態様は、
図10に示す固定部を用いることができる。
図11、
図12では、固定部を省略して示している。
【0072】
キャビネット41の前面41bとユニットケース52の前面54bとが上下方向で同一面上にある場合には、第1シール部材110aおよび第2シール部材110bのいずれか一方を上側に位置して、カバー部材100を取り付ける。カバー部材100は、第1シール部材110aおよび第2シール部材110bを弾性変形(圧縮変形)させた状態で取り付けることにより、境界部60に水が浸入するのを抑制できる。
【0073】
図12(a)では、第1シール部材110aがユニットケース52の前面54bに弾性状態で接触するとともに、第2シール部材110bがキャビネット41の前面41bに弾性状態で接触する。これにより、化粧カバー101の背面側に流入した水は、第1シール部材110aおよび第2シール部材110bにより遮断されて境界部60に浸入(到達)できないようになっている。
【0074】
一方、
図12(b)では、第2シール部材110bがユニットケース52の前面54bに弾性状態で接触するとともに、第1シール部材110aがキャビネット41の前面41bに弾性状態で接触する。これにより、化粧カバー101の背面側に流入した水は、第1シール部材110aおよび第2シール部材110bにより遮断されて境界部60に浸入(到達)できないようになっている。
【0075】
このように、カバー部材100は、突出寸法の異なる2つのシール部材(第1シール部材110aと第2シール部材110b)を上下に離間して設けている。従って、カバー部材100は、上下反転して用いることで、キャビネット41とユニットケース52との前後方向のいずれのずれにも対応できるようになっている。また、カバー部材100によれば、キャビネット41とユニットケース52との間の境界部60に隙間62を形成する必要がないので、カバー部材100のみで境界部60に水が浸入するのを抑制できる。
【0076】
なお、第1変形例によるカバー部材100は、異なる突出寸法を有する第1シール部材110aおよび第2シール部材110bを設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、例えば第1凹み部と第2凹み部との深さ寸法を変えてもよい。このような場合には、第1シール部材と第2シール部材とを同じものを用いることができる。
【0077】
次に、カバー部材80に換えて設けられるカバー部材120を示した第2変形例について説明する。
【0078】
図13は、本発明の第2変形例に係るカバー部材および境界部を示す側面図である。
上述した実施形態では、境界部60の隙間62にシール部材85の突出部85bが圧入される延出孔部62bが設けられた場合を例に挙げて説明した。しかし、
図13に示す第2変形例のように、境界部125は、延出孔部を有していなくてもよい。このような場合には、シール部材122は、境界部125の前方を弾性的に塞ぐような突出部122aを有していればよい。すなわち、キャビネット41とユニットケース52とが前後方向でずれても、境界部125の前端側を閉塞して、水の浸入を抑制する突出部122aを有していればよい。なお、カバー部材120の取付け態様は、
図10に示す固定部を用いることができる。
図13では、固定部を省略して示している。
【0079】
図14は、本発明の第3変形例に係るカバー部材を示す側面図である。
上述した実施形態では、シール部材85は、固着部85aと突出部85bとによりT字状に形成された場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば
図14に示す第3変形例のように、シール部材130は、一枚の板状体により形成されていてもよい。
【0080】
また、上述した実施形態では、シール部材85を接着する凹み部83を設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えばシール部材は、凹み部を有していなくてもよい。すなわち、シール部材は、平坦な背面部に接着されていてもよい。
【0081】
かくして、本発明の態様によれば、洗面ボウル20と、洗面ボウル20の上方に設けられた水栓装置50と、水栓装置50の上方に設けられたミラーキャビネット40と、を備えた洗面化粧台10において、水栓装置50は、電装部材70と、洗面ボウル20へ向かって吐水する吐水部72と、電装部材70および吐水部72が内蔵され、点検口が設けられたユニットケース52と、を有し、ミラーキャビネット40は、前面41bが開放されたキャビネット41と、キャビネット41の前面41bに設けられた鏡扉42~44と、を有し、ユニットケース52の点検口は、ユニットケース52とキャビネット41との間の境界部60に連通しており、境界部60を前方から覆う化粧カバー82と、化粧カバー82の背面部82aに設けられたシール部材85と、を有するカバー部材80を備え、シール部材85は、ユニットケース52の前面54bとキャビネット41の前面41bとが前後方向でずれていても、境界部60に水が浸入するのを抑制する。
【0082】
これにより、水栓装置50の上面部53cとキャビネット41の下面部41aとによって形成される境界部60は、化粧カバー82によって覆われる。従って、洗面化粧台10を前方から見たときに、境界部60を隠蔽することができる。また、洗面化粧台10を設置するときに、例えば建築躯体の壁Wの歪み等の影響によりキャビネット41の前面41bとユニットケース52の前面54bとが前後方向においてずれていた場合でも境界部60を経由して点検口に向かって水が浸入することを抑制できる。その結果、洗面化粧台10は、水栓装置50の内部に水が浸入するのを抑制できるとともに、見栄えを向上できる。
【0083】
また、シール部材85は、化粧カバー82の背面部82aから後方に突出する突出部85bを有し、突出部85bは、境界部60に挿入されている。これにより、キャビネット41の前面41bとユニットケース52の前面54bとの前後方向のずれが間口方向において異なっている場合であっても、間口方向にわたって境界部60に水が浸入するのを抑制できる。
【0084】
また、シール部材85は、化粧カバー82の背面部82aに固着される板状の固着部85aと、固着部85aから突出する突出部85bと、によりT字状に形成されている。これにより、固着部85aは、化粧カバー82との接着面積を広くすることができるので、シール部材85が化粧カバー82から剥がれるのを抑制できる。
【0085】
また、化粧カバー82の背面部82aは、シール部材85が接着される凹み部83を有している。これにより、化粧カバー82の背面側に水が流れたとしても、シール部材85と化粧カバー82との接着面が被水するのを抑制できる。従って、シール部材85と化粧カバー82との接着力が弱まるのを抑制できる。
【0086】
また、凹み部83は、上下方向で対面する上面83aおよび下面83bと、上面83aと下面83bとの奥側に位置する底面83cと、を有し、シール部材85は、上面83aまたは下面83bの少なくとも一方に当接している。これにより、シール部材85を凹み部83に接着するときに、間口方向において上下方向における接着ずれを抑制できる。従って、カバー部材80がキャビネット41やユニットケース52に対して平行に取り付けられるので、見栄えを向上できる。
【0087】
また、境界部60は、前端側に位置してシール部材85が挿入される挿入開口部62aと、挿入開口部62aから後方に向けて延びる延出孔部62bと、を有し、挿入開口部62aの上下方向の寸法L1は、延出孔部62bの上下方向の寸法L2よりも大きくなっている。これにより、挿入開口部62aは、シール部材85を延出孔部62b内に円滑に案内することができる。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、洗面化粧台が備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0089】
10 洗面化粧台
20 洗面ボウル
22 ボウル部
24 バックガード部
26 排水口
30 支持台
30a 本体部
30b 引き出し
40 ミラーキャビネット
41 キャビネット
41a 下面部
41b 前面
42~44 鏡扉
50 水栓装置
52 ユニットケース
53 箱体
53a 前側開口(点検口)
53b 上側開口(点検口)
53c 上面部
54 前面カバー
54a 上面部
54b 前面
60 境界部
62 隙間
62a 挿入開口部
62b 延出孔部
70 電装部材
72 吐水部
74 ホース
76 流量調整レバー
80 カバー部材
82 化粧カバー
82a 背面部
82b 前面部
83 凹み部
83a 上面
83b 下面
83c 底面
85 シール部材
85a 固着部
85b 突出部
85c 先端
88 接着剤
90 取付穴
91 爪部
93 取付穴
94 クリップ
96a 面ファスナ
96b 面ファスナ
100 カバー部材
101 化粧カバー
101a 背面部
103a 第1凹み部
103b 第2凹み部
110a 第1シール部材
110b 第2シール部材
120 カバー部材
122 シール部材
122a 突出部
125 境界部
130 シール部材
F 床
S1 隙間
S2 隙間
W 壁