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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191635
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】バッテリー用冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6551 20140101AFI20221221BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20221221BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20221221BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20221221BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20221221BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20221221BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20221221BHJP
【FI】
H01M10/6551
H01M10/613
H01M10/6568
H01M10/651
H01M10/658
H01M10/625
H01M10/647
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099971
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 吉則
(72)【発明者】
【氏名】島津 義一
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031HH08
5H031KK01
5H031KK02
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】冷却効率の向上を図る。
【解決手段】バッテリー用冷却装置20は、バッテリーモジュール15に沿うように設けられ、冷却水を流動させる冷却水流路35を備え、冷却水流路35には、バッテリーモジュール15の熱を冷却水に伝達する伝熱フィン41,42,43,44が設けられ、伝熱フィン41,42,43,44の表面積は、冷却水流路35における下流側の部位の表面積が、上流側の部位の表面積よりも大きくなるように設定されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーモジュールに沿うように設けられ、冷却水を流動させる冷却水流路を備え、
前記冷却水流路には、前記バッテリーモジュールの熱を冷却水に伝達する伝熱フィンが設けられ、
前記伝熱フィンの表面積は、前記冷却水流路における下流側の部位の表面積が、上流側の部位の表面積よりも大きくなるように設定されているバッテリー用冷却装置。
【請求項2】
少なくとも2つの前記伝熱フィンが、冷却水の流動方向に沿って並ぶように配置され、
冷却水の流動方向と直交する断面において、前記伝熱フィンは蛇腹折り状又は波状に屈曲した形状をなし、
下流側に位置する前記伝熱フィンの断面形状における屈曲部のピッチは、上流側に位置する前記伝熱フィンの断面形状の屈曲部のピッチよりも短い請求項1に記載のバッテリー用冷却装置。
【請求項3】
冷却水の流動方向と直交する断面において、前記伝熱フィンは、複数の屈曲部を幅方向に並べた蛇腹折り状又は波状をなし、
前記伝熱フィンの幅方向と直交する高さ寸法は、上流側から下流側に向かって次第に大きくなっている請求項1に記載のバッテリー用冷却装置。
【請求項4】
前記冷却水流路は、互いに平行な上流側流路と下流側流路を、折返流路を介して連ねたU字形をなしている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のバッテリー用冷却装置。
【請求項5】
前記冷却水流路が、上板部と下板部とを有する流路ケース内に形成され、
前記伝熱フィンが前記上板部と直接的に連なっており、
前記伝熱フィンの下端部が、前記下板部から離隔しており、
前記下板部の上面には、断熱層が設けられている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のバッテリー用冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー用冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の単電池セルを収容する筐体に冷却水流路を設け、冷却水流路内で冷却水を流動させることによって、単電池セルを冷却する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-160442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の冷却装置では、冷却水が冷却水流路内を流動しながら単電池セルの熱を奪うので、冷却水の温度は次第に上昇していく。そのため、冷却水と単電池セルとの温度差は、冷却水流路の上流端において最大であり、冷却水流路の下流端で最小となる。温度差が小さくなるほど冷却効率が低下するため、冷却水流路の上流端側に位置する単電池セルに比べると、下流端側に位置する単電池セルは冷却され難いという問題がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、冷却効率の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
バッテリーモジュールに沿うように設けられ、冷却水を流動させる冷却水流路を備え、
前記冷却水流路には、前記バッテリーセルの熱を冷却水に伝達する伝熱フィンが設けられ、
前記伝熱フィンの表面積は、前記冷却水流路における下流側の部位の表面積が、上流側の部位の表面積よりも大きくなるように設定されている。
【発明の効果】
【0007】
冷却水が冷却水流路を流れる過程では、バッテリーモジュールの熱が伝熱フィンを介して冷却水に伝達されて、冷却水の温度が次第に高くなるため、冷却水流路の下流側にいくほど伝熱フィンから冷却水への熱伝達効率が低下することが懸念される。この対策として、伝熱フィンの表面積を、上流側よりも下流側の方が大きくなるように設定し、上流側における冷却水と伝熱フィンとの接触面積よりも、下流側における冷却水と伝熱フィンとの接触面積の方が広くなるようにした。これにより、伝熱フィンと冷却水の温度差が小さい下流側においても、バッテリーモジュールの熱を充分に冷却水に伝達することができるので、全体として伝熱フィンによる冷却効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1のバッテリー装置の一部切欠正断面図
図2】バッテリーモジュールと冷却器の斜視図
図3】アッパケースを外した状態の冷却器の平面図
図4】第2~第4伝熱フィンを省略した図3のA-A線相当断面図
図5】第3、第4伝熱フィンを省略した図3のB-B線相当断面図
図6】第4伝熱フィンを省略した図3のC-C線相当断面図
図7図3のD-D線相当断面図
図8】実施例2のバッテリー用冷却装置においてアッパケースを外した状態をあらわす平面図
図9】実施例2の冷却器における図8のE-E線相当断面図
図10】実施例3のバッテリー装置の一部切欠正断面図
図11】実施例3の冷却器の正断面図
図12】実施例4の冷却器の正断面図
図13】実施例4の冷却器における図12のF-F線相当断面図
図14】実施例5の冷却器の正断面図
図15】実施例5の冷却器における図14のG-G線相当断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
少なくとも2つの前記伝熱フィンが、冷却水の流動方向に沿って並ぶように配置され、冷却水の流動方向と直交する断面において、前記伝熱フィンは蛇腹折り状又は波状に屈曲した形状をなし、下流側に位置する前記伝熱フィンの断面形状における屈曲部のピッチは、上流側に位置する前記伝熱フィンの断面形状の屈曲部のピッチよりも短いことが好ましい。この構成によれば、冷却水の流動方向と直角に切断した断面において、冷却水流路が極端に狭くなる領域がないので、冷却水の流れが円滑になる。また、各伝熱フィンの断面形状を一定に保つことができるので、伝熱フィンの成形が容易である。
【0010】
冷却水の流動方向と直交する断面において、前記伝熱フィンは、複数の屈曲部を幅方向に並べた蛇腹折り状又は波状をなし、前記伝熱フィンの幅方向と直交する高さ寸法は、上流側から下流側に向かって次第に大きくなっていることが好ましい。この構成によれば、1つの伝熱フィンだけで、伝熱フィンの表面積を冷却水流路の上流端から下流端に亘って連続的に増大させていくことができる。
【0011】
前記冷却水流路は、互いに平行な上流側流路と下流側流路を、折返流路を介して連ねたU字形をなしていることが好ましい。この構成によれば、冷却水の給水路と排水路を近接して配索することができる。
【0012】
前記冷却水流路が、上板部と下板部とを有する流路ケース内に形成され、前記伝熱フィンが前記上板部と直接的に連なっており、前記伝熱フィンの下端部が、前記下板部から離隔しており、前記下板部の上面には、断熱層が設けられていることが好ましい。この構成によれば、下板部が路面からの輻射熱を受けて高温になっても、下板部から冷却水への熱伝達は、断熱層によって抑制される。これにより、バッテリーセルから冷却水への熱伝達を効果的に行うことができる。
【0013】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を図1図7を参照して説明する。尚、以下の説明において、前後の方向については、図1における斜め左下方、及び図3における左方を前方と定義する。上下の方向については、図1,2,4~7にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。左右の方向については、図4~7にあらわれる向きを、そのまま左方、右方と定義する。左右方向と幅方向を同義で用いる。
【0014】
図1に示すように、本実施例1のバッテリー装置10は、バッテリーケース11と、複数のバッテリーモジュール15と、バッテリー用冷却装置20とを有する。バッテリーケース11は、上面が開口した箱形のケース本体12と、下面が開口した箱形のカバー13とを有する。ケース本体12の上にカバー13を被せることによって、バッテリーケース11が組み付けられている。ケース本体12は、水平な底板部14を有する。バッテリーケース11内には、複数(本実施例1では16個)のバッテリーモジュール15が前後方向及び左右方向に整列した状態で収容されている。図2に示すように、前後方向に並ぶ複数(本実施例1では4個)のバッテリーモジュール15は、10本の細長いモジュール群18を構成する。バッテリーケース11内には、複数本(本実施例1では4本)のモジュール群18が左右方向に並列した状態で配置されている。
【0015】
1つのバッテリーモジュール15は、1つのモジュールケース16内に、複数のバッテリーセル17を前後方向に積層した状態で収容したものである。モジュールケース16は、熱伝導性に優れた材料(例えば、銅合金、アルミニウム合金など)からなる。バッテリーセル17は、前後方向の寸法が、高さ寸法(上下寸法)及び幅寸法(左右寸法)に比べて小さい厚板状をなす。各バッテリーセル17の上端面にはプラス電極とマイナス電極が設けられており、複数のバッテリーセル17は、プラス電極とマイナス電極を繋ぐバスバー(図示省略)によって直列接続されている。
【0016】
図2に示すように、バッテリー用冷却装置20は、複数(モジュール群18と同数)の冷却器21と、各冷却器21に接続された給水路(図示省略)及び排水路(図示省略)と、給水路及び排水路に接続された熱交換器(図示省略)とを備えている。1つの冷却器21は、1つの流路ケース22と、複数の伝熱フィン41,42,43,44とを備えている。
【0017】
図4~7に示すように、流路ケース22は、アッパケース23とロアケース30を上下に合体させたものであり、前後方向に細長い偏平な箱状をなす。図2,3に示すように、流路ケース22の前後方向の長さ寸法は、左右方向の幅寸法よりも大きく、流路ケース22の幅寸法は、上下方向の高さ寸法よりも大きい。流路ケース22の長さ寸法は1つのモジュール群18の長さ寸法と同じである。流路ケース22の幅寸法は1つのモジュール群18の幅寸法と同じである。
【0018】
アッパケース23は、水平な上板部24と、上板部24の外周縁から下方へ突出したアッパ側周壁部25と、アッパ側周壁部25の下端縁から外方へ水平に張り出したアッパ側フランジ部26とを有する単一部品である。アッパ側周壁部25の前端部に形成した給水口27には、給水路が接続されている。アッパ側周壁部25の後端部に形成した排水口28には、排水路が接続されている。アッパケース23は、熱伝導性に優れた材料(例えば、銅合金、アルミニウム合金など)からなる。
【0019】
ロアケース30は、水平な下板部31と、下板部31の外周縁から上方へ突出したロア側周壁部32と、ロア側周壁部32の上端縁から外方へ水平に張り出したロア側フランジ部33とを有する単一部品である。ロアケース30の材料は、アッパケース23と同様に熱伝導性に優れたものでもよく、アッパケース23よりも熱伝導性の低いものでもよい。流路ケース22を上から見たときの平面視において、ロアケース30の形状と寸法はアッパケース23と同じである。
【0020】
アッパケース23とロアケース30は、双方のフランジ部26,33同士を面接触させ、溶接や接着等によって両フランジ部26,33の隙間を液密状に密閉した状態で合体されている。合体した両ケース23,30によって流路ケース22が構成される。流路ケース22の内部には、上板部24、アッパ側周壁部25、ロア側周壁部32、及び下板部31によって囲まれた冷却水流路35が形成されている。給水口27と排水口28は冷却水流路35と連通している。
【0021】
冷却水流路35内には、冷却器21の前端部の給水口27から冷却水が供給される。冷却水流路35に供給された冷却水は、給水口27側から冷却器21の後端部の排水口28に向かって一方向に流動する。冷却水は、冷却水流路35内を流れる間に、バッテリーモジュール15から流路ケース22に伝達された熱を奪っていく。バッテリーモジュール15の熱を奪った冷却水は、排水口28から冷却器21の外部へ排出され、熱交換器(図示省略)によって冷却された後、再び、冷却水流路35に供給される。
【0022】
図3に示すように、流路ケース22内(冷却水流路35)には、複数の伝熱フィン41,42,43,44が前後方向に間隔を空けて一列に並んだ状態で収容されている。伝熱フィン41,42,43,44は、バッテリーモジュール15から上板部24に伝達された熱を、冷却水へ効率的に伝達するためのものであり、熱伝導性に優れた材料(例えば、銅合金、アルミニウム合金など)からなる。1つの流路ケース22に収容される伝熱フィン41,42,43,44の数は、1つのモジュール群18を構成するバッテリーモジュール15と数と同じく4個である。
【0023】
4個の第1~第4伝熱フィン41,42,43,44は、冷却水流路35の上流側から下流側に向かって順に並んで配置されている。第1~第4伝熱フィン41,42,43,44の平面視形状は、いずれも方形である。第1~第4伝熱フィン41,42,43,44の長さ寸法は同じ寸法である。第1~第4伝熱フィン41,42,43,44の幅寸法は同じ寸法である。第1~第4伝熱フィン41,42,43,44の高さ寸法は同じ寸法である。
【0024】
伝熱フィン41,42,43,44は、流路ケース22とは別体の板状部材である。図4~7に示すように、冷却水の流動方向と同じ方向に見た正面視において、伝熱フィン41,42,43,44は、蛇腹折り状又は波状に屈曲した形状である。換言すると、伝熱フィン41,42,43,44は、複数の傾斜部45を屈曲部46H,46Lで繋いだ形状である。傾斜部45は、冷却水流路35内における冷却水の流動方向と平行であり、上下方向(高さ方向)及び水平方向(幅方向)に対して斜めをなす。複数の傾斜部45は、幅方向において互いに異なる向きで交互に配置されている。
【0025】
屈曲部46H,46Lは、冷却水の流動方向と平行であり、下面が凹むように屈曲した上側屈曲部46Hと上面が凹むように屈曲した下側屈曲部46Lとが、幅方向において交互に配置されている。伝熱フィン41,42,43,44の上端部に位置する上側屈曲部46Hは、上板部24に対し、伝熱フィン41,42,43,44の全長に亘って直接的に接触し、溶接又は熱伝導性に優れた接着剤によって固着されている。伝熱フィン41,42,43,44の下端部に位置する下側屈曲部46Lは、下板部31に対し、伝熱フィン41,42,43,44の全長に亘って直接的に接触し、溶接又は熱伝導性に優れた接着剤によって固着されている。
【0026】
上記のように4個の伝熱フィン41,42,43,44の全体の幅寸法と全体の高さ寸法は共通であるが、4個の伝熱フィン41,42,43,44の正面視形状は、互いに異なっている。具体的には、幅方向における屈曲部46H,46Lのピッチが、4個の伝熱フィン41,42,43,44の相互間で異なり、傾斜部45の数と傾斜角度が、4個の伝熱フィン41,42,43,44の相互間で異なっている。伝熱フィン41,42,43,44の屈曲部46H,46Lのピッチは、最も上流側に位置する第1伝熱フィン41(図4参照)が最も大きく、第2伝熱フィン42(図5参照)、第3伝熱フィン43(図6参照)、第4伝熱フィン44(図7参照)の順に小さくなっている。
【0027】
屈曲部46H,46Lの数(上板部24又は下板部31に接触する部位の数)と傾斜部45の数は、第1伝熱フィン41が最も少なく、第2伝熱フィン42、第3伝熱フィン43、第4伝熱フィン44の順に多くなっている。したがって、傾斜部45の表面積は、第1伝熱フィン41が最も小さく、第2伝熱フィン42、第3伝熱フィン43、第4伝熱フィン44の順に大きくなっている。
【0028】
4つの冷却器21は、ケース本体12内に収容され、底板部14の上に幅方向に並べて配置されている。各冷却器21の流路ケース22の上面には、夫々、モジュール群18が載置されている。モジュール群18のモジュールケース16の底面と上板部24の上面は、単に接触させておくだけでもよく、熱伝導性に優れた接着剤によって固着してもよい。ケース本体12に冷却器21とバッテリーモジュール15を収容したら、ケース本体12にカバー13を被せる。以上により、バッテリー装置10が組み付けられる。
【0029】
バッテリーモジュール15で発生した熱は、モジュールケース16を介してアッパケース23の上板部24に伝達され、上板部24から冷却水流路35内を流れる第1~第4伝熱フィン41,42,43,44に伝達される。冷却水流路35内では、低温の冷却水が第1伝熱フィン41、第2伝熱フィン42、第3伝熱フィン43、第4伝熱フィン44の順に接触しながら一方向に流れ続け、第1~第4伝熱フィン41,42,43,44の熱が冷却水によって奪われる。
【0030】
伝熱フィン41,42,43,44から冷却水へ熱が伝達されるときには、伝熱フィン41,42,43,44と冷却水との温度差が大きいほど、伝熱フィン41,42,43,44から冷却水への熱伝達量が大きくなる。冷却水は伝熱フィン41,42,43,44の熱を奪いながら下流側へ流動するので、冷却水の温度は上流側から下流側への移動に伴って上昇する。バッテリーモジュール15の熱が常に伝達されている伝熱フィン41,42,43,44の温度は大きく変動しないので、伝熱フィン41,42,43,44と冷却水との温度差は、上流側から下流側に向かって次第に縮小されていく。そのため、下流側ほど、伝熱フィン41,42,43,44から冷却水への熱伝達量が減少することが懸念される。
【0031】
この対策として、伝熱フィン41,42,43,44(傾斜部45)の表面積を、第1伝熱フィン41、第2伝熱フィン42、第3伝熱フィン43、第4伝熱フィン44の順に大きくなるように設定した。伝熱フィン41,42,43,44と冷却水の単位時間当たりの接触面積が大きいほど、伝熱フィン41,42,43,44から冷却水への熱伝達量は大きくなる。最も上流側に位置する第1伝熱フィン41の表面積は、4個の伝熱フィン41,42,43,44の中で最も小さいが、第1伝熱フィン41と第1伝熱フィン41に接する冷却水との温度差は、4個の伝熱フィン41,42,43,44の中で最も大きい。したがって、第1伝熱フィン41から冷却水への熱伝達量は充分に大きい。
【0032】
第2伝熱フィン42と、第2伝熱フィン42に接する冷却水との温度差は、第1伝熱フィン41と冷却水との温度差よりも小さいが、第2伝熱フィン42の表面積は第1伝熱フィン41よりもが大きいので、第2伝熱フィン42から冷却水への熱伝達量は、第1伝熱フィン41と同様に充分に確保される。第3伝熱フィン43においても、第1伝熱フィン41及び第2伝熱フィン42と同様に、冷却水への熱伝達量が充分に確保される。
【0033】
第4伝熱フィン44に接する冷却水は温度が高いので、第4伝熱フィン44と冷却水との温度差は小さいのであるが、第4伝熱フィン44の表面積は4個の伝熱フィン41,42,43,44の中で最も大きいので、第4伝熱フィン44から冷却水への熱伝達量も、第1~第3伝熱フィン41,42,43と同様、充分に確保される。以上により、第1~第4伝熱フィン41,42,43,44においては、冷却水との温度差が異なっているが、互いに異なる表面積に設定したことによって、第1~第4伝熱フィン41,42,43,44から冷却水への熱伝達が均一に行われる。これにより、全てのバッテリーモジュール15を均一に冷却することができる。
【0034】
本実施例1のバッテリー用冷却装置20は、流路ケース22内に形成された冷却水流路35を有する。冷却水流路35は、バッテリーモジュール15の下面に沿うように設けられ、冷却水流路35内では冷却水が一方向に流動する。冷却水流路35には、バッテリーモジュール15の熱を冷却水に伝達する伝熱フィン41,42,43,44が設けられている。伝熱フィン41,42,43,44の表面積は、冷却水流路35における下流側の部位の表面積が、上流側の部位の表面積よりも大きくなるように設定されている。
【0035】
冷却水が冷却水流路35を流れる過程では、バッテリーモジュール15の熱が伝熱フィン41,42,43,44を介して冷却水に伝達されて、冷却水の温度が次第に高くなるため、冷却水流路35の下流側にいくほど伝熱フィン41,42,43,44から冷却水への熱伝達効率が低下することが懸念される。この対策として、伝熱フィン41,42,43,44の表面積を、上流側よりも下流側の方が大きくなるように設定し、上流側における冷却水と伝熱フィン41,42,43との接触面積よりも、下流側における冷却水と伝熱フィン42,43,44との接触面積の方が広くなるようにした。これにより、伝熱フィン42,43,44と冷却水の温度差が小さい下流側においても、バッテリーモジュール15の熱を充分に冷却水に伝達することができるので、全体として伝熱フィン41,42,43,44による冷却効率の向上を図ることができる。
【0036】
冷却水流路35は、上板部24と下板部31とを有する流路ケース22内に形成されている。上板部24はバッテリーモジュール15の下面に沿うように配置されている。伝熱フィン41,42,43,44と上板部24は直接的に連なっている。上板部24は、流路ケース22の中でバッテリーモジュール15に最も近い部位なので、バッテリーモジュール15の熱は上板部24に伝わり易い。上板部24には伝熱フィン41,42,43,44が接しているので、上板部24の熱は伝熱フィン41,42,43,44に伝わり易い。したがって、バッテリーモジュール15の熱を効果的に冷却水に伝達することができる。
【0037】
伝熱フィン41,42,43,44の上端部が上板部24に対して直接的に連なり、伝熱フィン41,42,43,44の下端部が下板部31に対して直接的に連なっている。上板部24は、伝熱フィン41,42,43,44によって下から支えられているので、下方へ変位しない。伝熱フィン41,42,43,44によって、流路ケース22の剛性が高められている。
【0038】
4個(少なくとも2つ)の伝熱フィン41,42,43,44が、冷却水の流動方向に沿って並ぶように配置されている。冷却水の流動方向と直交する断面において、伝熱フィン41,42,43,44は蛇腹折り状に屈曲した形状をなしている。下流側に位置する伝熱フィン42,43,44の断面形状における屈曲部46H,46Lのピッチは、上流側に位置する伝熱フィン41,42,43の断面形状の屈曲部46H,46Lのピッチよりも小さい。伝熱フィン41,42,43,44の断面形状(正面視形状)には、冷却水流路35が極端に狭くなる領域がないので、冷却水の流れが円滑になる。
【0039】
<実施例2>
次に、本発明を具体化した実施例2を図8図9を参照して説明する。本実施例2のバッテリー用冷却装置50は、冷却器51を上記実施例1とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施例1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0040】
バッテリー用冷却装置50は、複数の冷却器51と、各冷却器51に接続された給水路(図示省略)及び排水路(図示省略)と、給水路及び排水路に接続された熱交換器(図示省略)とを備えている。1つの冷却器51は、1つの流路ケース52と、複数の伝熱フィン41,42,43,44とを備えている。
【0041】
流路ケース52は、平面視形状が長辺を前後方向に向けた長方形であり、偏平な箱状をなす。流路ケース52内には、平面視形状がU字形、即ち折り返し状に屈曲した形状をなす冷却水流路53が形成されている。冷却水流路53は、前後方向に細長い上流側流路54と、前後方向に細長い下流側流路55と、上流側流路54の後端部(上流側流路54の下流端部)と下流側流路55の後端部(下流側流路55の上流端部)とを連通させる折返流路56とを有する。
【0042】
流路ケース52は、アッパケース57とロアケース63を上下に合体させたものである。アッパケース57は、平面視形状がU字形をなす水平な上板部58と、上板部58の外周縁から下方へ突出したアッパ側周壁部59と、アッパ側周壁部59の下端縁から外方へ水平に張り出したアッパ側フランジ部60とを有する単一部品である。アッパ側周壁部59のうち上流側流路54を構成する部位の前端部(上流側流路54の上流端部)には給水口61が形成され、給水口61には給水路(図示省略)が接続されている。アッパ側周壁部59のうち下流側流路55を構成する部位の前端部(下流側流路55の下流端部)には排水口62が形成され、排水口62には排水路(図示省略)が接続されている。アッパケース57は、熱伝導性に優れた材料(例えば、銅合金、アルミニウム合金など)からなる。
【0043】
ロアケース63は、平面視形状がU字形をなす水平な下板部64と、下板部64の外周縁から上方へ突出したロア側周壁部65と、ロア側周壁部65の上端縁から外方へ水平に張り出したロア側フランジ部66とを有する単一部品である。ロアケース63の材料は、アッパケース57と同様に熱伝導性に優れたものでもよく、アッパケース57よりも熱伝導性の低いものでもよい。流路ケース52を上から見下ろしたときの平面視において、ロアケース63の形状と寸法はアッパケース57と同じである。
【0044】
アッパケース57とロアケース63は、双方のフランジ部60,66同士を面接触させ、溶接や接着等によって両フランジ部60,66の隙間を液密状に密閉した状態で合体されている。合体した両ケース57,63によって流路ケース52が構成される。流路ケース52の内部には、上板部58、アッパ側周壁部59、ロア側周壁部65、及び下板部64によって囲まれた冷却水流路53が形成されている。給水口61と排水口62は冷却水流路53と連通している。
【0045】
流路ケース52内(冷却水流路53)には、バッテリーモジュール(図示省略)から上板部58に伝達された熱を、冷却水へ効率的に伝達する複数(実施例2では、第1~第4)の伝熱フィン41,42,43,44が収容されている。上流側流路54には、第1伝熱フィン41と第2伝熱フィン42が前後方向に間隔を空けて並んだ状態で収容されている。下流側流路55には、第4伝熱フィン44と第3伝熱フィン43が前後方向に間隔を空けて並んだ状態で収容されている。各伝熱フィン41,42,43,44は、熱伝導性に優れた材料(例えば、銅合金、アルミニウム合金など)からなる。第1~第4伝熱フィン41,42,43,44は、実施例1の第1~第4伝熱フィン41,42,43,44と同じ部品であり、冷却水流路53の上流側から下流側に向かって順に並んで配置されている。
【0046】
冷却水流路53は、互いに平行な上流側流路54と下流側流路55を、折返流路56を介して連ねたU字形をなしている。上流側流路54の上流端部に形成された給水口61と、下流側流路55の下流端部に形成された排水口62は、いずれも、冷却器51の前端部に位置している。したがって、冷却水の給水路(図示省略)と排水路(図示省略)を近接して配索することができる。
【0047】
<実施例3>
次に、本発明を具体化した実施例3を図10図11を参照して説明する。本実施例3のバッテリー用冷却装置71は、冷却器75を上記実施例1とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施例1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0048】
本実施例3のバッテリー装置70は、バッテリー用冷却装置71をバッテリーケース72の外部に配置したものである。バッテリーケース72内には、実施例1のバッテリーモジュール15と同じ構成のバッテリーモジュール15が収容されている。バッテリーモジュール15(モジュール群18)のモジュールケース16の下面は、バッテリーケース72の底板部73の上面に対して直接的に接触している。バッテリー用冷却装置71を構成する複数の冷却器75は、バッテリーケース72の底板部73の下面に直接的に接した状態で配置されている。底面視において、複数の冷却器75は複数のモジュール群18に個別に沿うように配置されている。
【0049】
冷却器75は、アッパケース77とロアケース78を上下に合体した流路ケース76と、流路ケース76内に収容した複数の伝熱フィン80とを備えて構成されている。流路ケース76の内部には冷却水流路83が構成されている。伝熱フィン80は、熱伝導性に優れた板材からなり、冷却水流路83内に収容されている。伝熱フィン80は、正面視形状がV字形(逆三角形)をなす複数の板状伝熱部81と、複数の水平な板状繋ぎ部82とを有する単一部品である。複数の板状伝熱部81は幅方向に間隔を空けて配置されている。板状繋ぎ部82は、幅方向に隣り合う板状伝熱部81の上端同士を繋いでいる。板状伝熱部81の上端部と板状繋ぎ部82は、アッパケース77の上板部79の下面に対して溶接又は熱伝導性に優れた接着剤によって固着されている。
【0050】
バッテリーモジュール15の熱は、モジュールケース16、バッテリーケース72の底板部73、冷却器75の上板部79を介して、伝熱フィン80に伝達される。伝熱フィン80の熱は、冷却水に奪われる。伝熱フィン80の表面積は、冷却水流路83の上流側よりも下流側の方が大きく設定されているので、冷却水の温度が上流側から下流側に向かうほど上昇しても、伝熱フィン80から冷却水への熱伝達量は、充分に確保される。
【0051】
冷却器75は、バッテリーケース72の外部底面に配置されているので、バッテリー装置70を車両に搭載すると、冷却器75の下板部84が路面(図示省略)に対して直接的に対向した状態となる。そのため、アスファルト舗装された炎天下の路面からの輻射熱によって下板部84が熱せられた場合に、下板部84の熱によって冷却水の温度が上昇し、冷却効果が低下することが懸念される。
【0052】
この対策として、伝熱フィン80の下端部、即ち板状伝熱部81の下端を、流路ケース76の下板部84に対して上方に離隔した位置に配置した。つまり、伝熱フィン80と下板部84とは、直接的に接触していない。さらに、下板部84の上面には、熱伝導性の低い断熱層85を積層した。これにより、下板部84の温度が上昇しても、下板部84の熱が伝熱フィン80や冷却水に伝達されることが抑制され、ひいては、伝熱フィン80による冷却効率の低下を抑制することができる。
【0053】
冷却水流路83は、上板部79と下板部84とを有する流路ケース76内に形成されている。伝熱フィン80の上端部は上板部79と直接的に連なっている。伝熱フィン80の下端部は下板部84から離隔している。下板部84の上面、即ち冷却水流路83の臨む面には、断熱層85が設けられている。この構成によれば、下板部84が路面からの輻射熱を受けて高温になっても、下板部84から冷却水への熱伝達は、断熱層85によって抑制される。これにより、バッテリーセルから冷却水への熱伝達を効果的に行うことができる。
【0054】
<実施例4>
次に、本発明を具体化した実施例4を図12図13を参照して説明する。本実施例4のバッテリー用冷却装置90は、冷却器91を上記実施例1とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施例1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0055】
冷却器91は、流路ケース92と伝熱フィン98とを備えて構成されている。流路ケース92は、実施例1と同様、アッパケース93とロアケース94とを合体したものである。アッパケース93は水平な上板部95を有し、ロアケース94は水平な下板部96を有する。流路ケース内には冷却水流路97が構成されている。アッパケースには、冷却水流路97の上流端に臨む給水口101と、冷却水流路97の下流端に臨む排水口102が形成されている。
【0056】
1つの流路ケース92内には、1つの伝熱フィン98が収容されている。伝熱フィン98は、流路ケース92とは別体である単一の板状部材である。図12に示すように、冷却水の流動方向と同じ方向に見た正面視において、伝熱フィン98は、蛇腹折り状又は波状に屈曲した形状である。伝熱フィン98は、複数の傾斜部99を複数の屈曲部100H,100Lで繋いだ形状である。尚、冷却水流路97の長さ方向と平行に切断した断面、即ち幅方向と直角に切断した断面を示す図13は、流路ケース92及び冷却水流路97の長さを短縮して描いている。
【0057】
傾斜部99は、全体としては、流路ケース92(冷却水流路97)の長さ方向に沿うように配置されているが、詳細には、流路ケース92の長さ方向に対して傾斜している。複数の傾斜部99は、幅方向において互いに異なる向きで交互に配置されている。屈曲部100H,100Lは、全体として流路ケース92の長さ方向に沿うように配置されている。屈曲部100H,100Lは、下面が凹むように屈曲した複数の上側屈曲部100Hと上面が凹むように屈曲した複数の下側屈曲部100Lとからなる。上側屈曲部100Hと下側屈曲部100Lは、幅方向において交互に配置されている。屈曲部100H,100Lの幅方向のピッチは、伝熱フィン98の上流側端部98Uから下流側端部98Dまで一定である。
【0058】
伝熱フィン98の上端部に位置する上側屈曲部100Hは、伝熱フィン98の上流側端部98Uから下流側端部98Dまで一定の高さを保つ。上側屈曲部100Hは、上板部95に対し、伝熱フィン98の全長に亘って直接的に接触し、溶接又は熱伝導性に優れた接着剤によって固着されている。伝熱フィン98の下端部に位置する下側屈曲部100Lは、上流側端部98Uから下流側端部98Dに向かって次第に低くなるように傾斜している。下側屈曲部100Lは、下板部96に対し、伝熱フィン98の下流側端部98Dのみにおいて直接的に接触し、溶接又は熱伝導性に優れた接着剤によって固着されている。
【0059】
流路ケース92の長さ方向と直角に切断した断面において、伝熱フィン98の断面形状は、伝熱フィン98の上流側端部98Uから下流側端部98Dに向かって連続的に変化していく。即ち、上側屈曲部100Hと下側屈曲部100Lとの高低差(傾斜部99の高さ寸法)は、伝熱フィン98の上流側端部98Uで最も小さく、下流側端部98Dで最も大きくなっている。したがって、伝熱フィン98の表面積は、伝熱フィン98の上流側端部98Uで最も小さく、下流側端部98Dで最も大きい。伝熱フィン98の表面積は、上流側端部98Uから下流側端部98Dに向かって次第に大きくなっている。
【0060】
伝熱フィン98の表面積は、上流側よりも下流側の方が大きくなるように設定されているので、上流側における冷却水と伝熱フィン98との接触面積よりも、下流側における冷却水と伝熱フィン98との接触面積の方が広くなっている。これにより、伝熱フィン98と冷却水の温度差が小さい下流側においても、バッテリーモジュール(図示省略)の熱を充分に冷却水に伝達することができるので、全体として伝熱フィン98による冷却効率の向上を図ることができる。
【0061】
流路ケース92は、上板部95と下板部96とを有し、上板部95がバッテリーモジュール(図示省略)の下面に沿うように配置されている。伝熱フィン98の上側屈曲部100Hは、その全長に亘って上板部95と直接的に連なっている。上板部95は、流路ケース92のうちバッテリーモジュール(図示省略)に最も近い部位なので、バッテリーモジュールの熱は上板部95に伝わり易い。上板部95には伝熱フィン98が接しているので、上板部95の熱は伝熱フィン98に伝わり易い。したがって、バッテリーモジュールの熱を効果的に冷却水に伝達することができる。
【0062】
冷却水の流動方向(流路ケース92の長さ方向)と直交する断面において、伝熱フィン98は、複数の屈曲部100H,100Lを幅方向に並べた蛇腹折り状又は波状をなしている。伝熱フィン98の幅方向と直交する高さ寸法は、上流側から下流側に向かって次第に大きくなっている。この構成によれば、1つの伝熱フィン98だけで、伝熱フィン98の表面積を冷却水流路97の上流側端部98Uから下流側端部98Dに亘って連続的に増大させていくことができる。
【0063】
<実施例5>
次に、本発明を具体化した実施例5を図14図15を参照して説明する。本実施例5のバッテリー用冷却装置110は、冷却器111を上記実施例1とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施例と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0064】
冷却器111は、流路ケース112と伝熱フィン120とを備えて構成されている。流路ケース112は、実施例1と同様、アッパケース113とロアケース114とを合体したものである。アッパケース113は水平な上板部115を有し、ロアケース114は水平な下板部116を有する。流路ケース112内には冷却水流路117が構成されている。アッパケースには、冷却水流路117の上流端に臨む給水口118と、冷却水流路117の下流端に臨む排水口119が形成されている。
【0065】
1つの流路ケース112内には、複数の伝熱フィン120が収容されている。伝熱フィン120は、流路ケース112とは別体である平板状の部材である。図14に示すように、冷却水の流動方向と同じ方向に見た正面視において、複数の伝熱フィン120は、板厚方向を幅方向と平行に向けた姿勢で、幅方向に一定ピッチで間隔を空けて配置されている。尚、冷却水流路117の長さ方向と平行に切断した断面、即ち幅方向と直角に切断した断面を示す図15は、流路ケース112(冷却水流路117)の長さを短縮して描いている。
【0066】
伝熱フィン120は、全体としては、流路ケース112(冷却水流路117)の長さ方向と平行に配置されている。伝熱フィン120の幅方向のピッチは、伝熱フィン120の上流側端部120Uから下流側端部120Dまで一定である。伝熱フィン120の上端縁120Hは、伝熱フィン120の上流側端部120Uから下流側端部120Dまで一定の高さを保つ。伝熱フィン120の上端縁120Hは、上板部115に対し、伝熱フィン120の全長に亘って直接的に接触し、溶接又は熱伝導性に優れた接着剤によって固着されている。伝熱フィン120の下端縁120Lは、伝熱フィン120の上流側端部120Uから下流側端部120Dに向かって次第に低くなるように傾斜している。伝熱フィン120の下端縁120Lは、下板部116に対し、伝熱フィン120の下流側端部120Dのみにおいて直接的に接触し、溶接又は熱伝導性に優れた接着剤によって固着されている。
【0067】
流路ケース112の長さ方向と直角に切断した断面において、伝熱フィン120の高さ寸法は、伝熱フィン120の上流側端部120Uから下流側端部120Dに向かって連続的に大きくなっている。したがって、伝熱フィン120の表面積は、伝熱フィン120の上流側端部120Uで最も小さく、下流側端部120Dで最も大きい。伝熱フィン120の表面積は、上流側端部120Uから下流側端部120Dに向かって次第に大きくなっている。1つの伝熱フィン120だけで、伝熱フィン120の表面積を冷却水流路117の上流側端部120Uから下流側端部120Dに亘って連続的に増大させていくことができる。
【0068】
伝熱フィン120の表面積は、上流側よりも下流側の方が大きくなるように設定されているので、上流側における冷却水と伝熱フィン120との接触面積よりも、下流側における冷却水と伝熱フィン120との接触面積の方が広くなっている。これにより、伝熱フィン120と冷却水の温度差が小さい下流側においても、バッテリーモジュール(図示省略)の熱を充分に冷却水に伝達することができるので、全体として伝熱フィン120による冷却効率の向上を図ることができる。
【0069】
流路ケース112は、上板部115と下板部116とを有し、上板部115がバッテリーモジュール(図示省略)の下面に沿うように配置されている。伝熱フィン120の上端縁120Hは、その全長に亘って上板部115と直接的に連なっている。上板部115は、流路ケース112のうちバッテリーモジュールに最も近い部位なので、バッテリーモジュールの熱は上板部115に伝わり易い。上板部115には伝熱フィン120が接しているので、上板部115の熱は伝熱フィン120に伝わり易い。したがって、バッテリーモジュールの熱を効果的に冷却水に伝達することができる。
【0070】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
実施例2の冷却水流路をU字形に設定する構造は、実施例3~5に適用することができる。
実施例3の伝熱フィンを下板部に接触させず、下板部に断熱層を設ける構造は、実施例2,4,5に適用することができる。
実施例3の流路ケースをバッテリーケースの外部に配置する構造は、実施例1,2,4,5に適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
15…バッテリーモジュール
20,50,71,90,110…バッテリー用冷却装置
22,52,76,92,112…流路ケース
24,58,79,95,115…上板部
31,64,84,96,116…下板部
35,53,83,97,117…冷却水流路
41…第1伝熱フィン(伝熱フィン)
42…第2伝熱フィン(伝熱フィン)
43…第3伝熱フィン(伝熱フィン)
44…第4伝熱フィン(伝熱フィン)
46H…上側屈曲部(屈曲部)
46L…下側屈曲部(屈曲部)
54…上流側流路
55…下流側流路
56…折返流路
80,98,120…伝熱フィン
85…断熱層
100H…上側屈曲部(屈曲部)
100L…下側屈曲部(屈曲部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15