(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191643
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】面発光レーザの製造方法、面発光レーザの検査方法及び面発光レーザの検査装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20221221BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
H01L21/66 X
G01N21/84 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099981
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】久保田 良輔
【テーマコード(参考)】
2G051
4M106
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AB02
2G051BA01
2G051BA10
2G051BB01
4M106AA01
4M106BA14
4M106CA17
4M106DH12
4M106DJ17
4M106DJ27
(57)【要約】
【課題】検査時間を短縮できる面発光レーザの製造方法、面発光レーザの検査方法及び面発光レーザの検査装置を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る面発光レーザの製造方法では、複数のエリアを含む主面を有する基板を準備する。複数のエリアのそれぞれには、複数の面発光レーザが設けられる。複数の面発光レーザのうちn個(nは2以上の整数)の面発光レーザにそれぞれ直流電圧を印加することによって、n個の面発光レーザからそれぞれ出射される第1レーザ光を測定する。複数の面発光レーザのうちm個(mはnより小さい自然数)の面発光レーザにそれぞれ交流電圧を印加することによって、m個の面発光レーザからそれぞれ出射される第2レーザ光を測定する。第1レーザ光の測定結果に基づいて、n個の面発光レーザの良否を判定する。第2レーザ光の測定結果に基づいて、m個の面発光レーザの良否を判定する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエリアを含む主面を有する基板を準備する工程であり、前記複数のエリアのそれぞれには、複数の面発光レーザが設けられる、工程と、
前記複数の面発光レーザのうちn個(nは2以上の整数)の面発光レーザにそれぞれ直流電圧を印加することによって、前記n個の面発光レーザからそれぞれ出射される第1レーザ光を測定する工程と、
前記複数の面発光レーザのうちm個(mはnより小さい自然数)の面発光レーザにそれぞれ交流電圧を印加することによって、前記m個の面発光レーザからそれぞれ出射される第2レーザ光を測定する工程と、
前記第1レーザ光の測定結果に基づいて、前記n個の面発光レーザの良否を判定する工程と、
前記第2レーザ光の測定結果に基づいて、前記m個の面発光レーザの良否を判定する工程と、
を含む、面発光レーザの製造方法。
【請求項2】
前記m個の面発光レーザにそれぞれ直流電圧を印加することによって、前記m個の面発光レーザからそれぞれ出射される第3レーザ光を測定する工程と、
前記第3レーザ光の測定結果に基づいて、前記m個の面発光レーザの良否を判定する工程と、
を更に含む、請求項1に記載の面発光レーザの製造方法。
【請求項3】
前記複数のエリアのうち、前記n個の面発光レーザの良否を判定する工程において良好であると判定された面発光レーザの個数が閾値以上となるエリアを合格エリアと決定する工程を更に含み、
前記合格エリアにおいて、前記第2レーザ光を測定する工程と、前記第2レーザ光の測定結果に基づいて、前記m個の面発光レーザの良否を判定する工程とが行われる、請求項1又は請求項2に記載の面発光レーザの製造方法。
【請求項4】
前記複数のエリアのうち、前記n個の面発光レーザの良否を判定する工程において良好であると判定された面発光レーザの個数が閾値以上となるエリアを合格エリアと決定する工程を更に含み、
前記合格エリアにおいて、前記第2レーザ光を測定する工程と、前記第2レーザ光の測定結果に基づいて、前記m個の面発光レーザの良否を判定する工程と、前記第3レーザ光を測定する工程と、前記第3レーザ光の測定結果に基づいて、前記m個の面発光レーザの良否を判定する工程とが行われる、請求項2に記載の面発光レーザの製造方法。
【請求項5】
複数のエリアを含む主面を有する基板を準備する工程であり、前記複数のエリアのそれぞれには、複数の面発光レーザが設けられる、工程と、
前記複数の面発光レーザのうちn個(nは2以上の整数)の面発光レーザにそれぞれ直流電圧を印加することによって、前記n個の面発光レーザからそれぞれ出射される第1レーザ光を測定する工程と、
前記複数の面発光レーザのうちm個(mはnより小さい自然数)の面発光レーザにそれぞれ交流電圧を印加することによって、前記m個の面発光レーザからそれぞれ出射される第2レーザ光を測定する工程と、
前記第1レーザ光の測定結果に基づいて、前記n個の面発光レーザの良否を判定する工程と、
前記第2レーザ光の測定結果に基づいて、前記m個の面発光レーザの良否を判定する工程と、
を含む、面発光レーザの検査方法。
【請求項6】
複数のエリアを含む主面を有する基板を載置するためのステージであり、前記複数のエリアのそれぞれには、複数の面発光レーザが設けられる、ステージと、
前記複数の面発光レーザのうちn個(nは2以上の整数)の面発光レーザにそれぞれ直流電圧を印加するための第1プローブと、
前記複数の面発光レーザのうちm個(mはnより小さい自然数)の面発光レーザにそれぞれ交流電圧を印加するための第2プローブと、
前記n個の面発光レーザからそれぞれ出射される第1レーザ光を測定するための第1測定器と、
前記m個の面発光レーザからそれぞれ出射される第2レーザ光を測定するための第2測定器と、
前記第1レーザ光の測定結果に基づいて、前記n個の面発光レーザの良否を判定し、前記第2レーザ光の測定結果に基づいて、前記m個の面発光レーザの良否を判定するように構成された判定装置と、
を備える、面発光レーザの検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、面発光レーザの製造方法、面発光レーザの検査方法及び面発光レーザの検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、半導体デバイスウェハの検査方法を開示する。この方法では、半導体デバイスのチップが集積されたウェハに量子ビームを照射し、照射位置を変化させつつ、ウェハに発生する熱起電力を検出する。その後、測定した熱起電力電流または熱起電力電圧がしきい値を超えているか否かを判定し、しきい値を超える熱起電力電流または熱起電力電圧が発生した時の、量子ビームのウェハ上への照射位置を不良アドレス情報として記憶する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウェハに含まれる面発光レーザの良否判定は、面発光レーザに直流電圧を印加することによって出射されるレーザ光の測定結果に基づいて行われる。しかしながら、直流電圧の印加による良否判定だけでは、面発光レーザの良否を適切に判定できない場合がある。そこで、各面発光レーザに交流電圧を印加することによって出射されるレーザ光を測定し、当該測定結果に基づいて各面発光レーザの良否を判定することが考えられる。ただし、交流電圧の印加によって出射されるレーザ光の測定には比較的長時間がかかる。そのため、面発光レーザの検査に長い時間がかかる。
【0005】
本開示は、検査時間を短縮できる面発光レーザの製造方法、面発光レーザの検査方法及び面発光レーザの検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る面発光レーザの製造方法は、複数のエリアを含む主面を有する基板を準備する工程であり、前記複数のエリアのそれぞれには、複数の面発光レーザが設けられる、工程と、前記複数の面発光レーザのうちn個(nは2以上の整数)の面発光レーザにそれぞれ直流電圧を印加することによって、前記n個の面発光レーザからそれぞれ出射される第1レーザ光を測定する工程と、前記複数の面発光レーザのうちm個(mはnより小さい自然数)の面発光レーザにそれぞれ交流電圧を印加することによって、前記m個の面発光レーザからそれぞれ出射される第2レーザ光を測定する工程と、前記第1レーザ光の測定結果に基づいて、前記n個の面発光レーザの良否を判定する工程と、前記第2レーザ光の測定結果に基づいて、前記m個の面発光レーザの良否を判定する工程と、を含む。
【0007】
本開示の他の一側面に係る面発光レーザの検査方法は、複数のエリアを含む主面を有する基板を準備する工程であり、前記複数のエリアのそれぞれには、複数の面発光レーザが設けられる、工程と、前記複数の面発光レーザのうちn個(nは2以上の整数)の面発光レーザにそれぞれ直流電圧を印加することによって、前記n個の面発光レーザからそれぞれ出射される第1レーザ光を測定する工程と、前記複数の面発光レーザのうちm個(mはnより小さい自然数)の面発光レーザにそれぞれ交流電圧を印加することによって、前記m個の面発光レーザからそれぞれ出射される第2レーザ光を測定する工程と、前記第1レーザ光の測定結果に基づいて、前記n個の面発光レーザの良否を判定する工程と、前記第2レーザ光の測定結果に基づいて、前記m個の面発光レーザの良否を判定する工程と、を含む。
【0008】
本開示の他の一側面に係る面発光レーザの検査装置は、複数のエリアを含む主面を有する基板を載置するためのステージであり、前記複数のエリアのそれぞれには、複数の面発光レーザが設けられる、ステージと、前記複数の面発光レーザのうちn個(nは2以上の整数)の面発光レーザにそれぞれ直流電圧を印加するための第1プローブと、前記複数の面発光レーザのうちm個(mはnより小さい自然数)の面発光レーザにそれぞれ交流電圧を印加するための第2プローブと、前記n個の面発光レーザからそれぞれ出射される第1レーザ光を測定するための第1測定器と、前記m個の面発光レーザからそれぞれ出射される第2レーザ光を測定するための第2測定器と、前記第1レーザ光の測定結果に基づいて、前記n個の面発光レーザの良否を判定し、前記第2レーザ光の測定結果に基づいて、前記m個の面発光レーザの良否を判定するように構成された判定装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、検査時間を短縮できる面発光レーザの製造方法、面発光レーザの検査方法及び面発光レーザの検査装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る面発光レーザの検査装置を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、検査される面発光レーザを含む基板の例を模式的に示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図2の基板の主面における1つのエリアを示す平面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る面発光レーザの製造方法を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、他の実施形態に係る面発光レーザの製造方法を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、他の実施形態に係る面発光レーザの製造方法において検査される面発光レーザを含む基板の例を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
一実施形態に係る面発光レーザの製造方法は、複数のエリアを含む主面を有する基板を準備する工程であり、前記複数のエリアのそれぞれには、複数の面発光レーザが設けられる、工程と、前記複数の面発光レーザのうちn個(nは2以上の整数)の面発光レーザにそれぞれ直流電圧を印加することによって、前記n個の面発光レーザからそれぞれ出射される第1レーザ光を測定する工程と、前記複数の面発光レーザのうちm個(mはnより小さい自然数)の面発光レーザにそれぞれ交流電圧を印加することによって、前記m個の面発光レーザからそれぞれ出射される第2レーザ光を測定する工程と、前記第1レーザ光の測定結果に基づいて、前記n個の面発光レーザの良否を判定する工程と、前記第2レーザ光の測定結果に基づいて、前記m個の面発光レーザの良否を判定する工程と、を含む。
【0012】
上記面発光レーザの製造方法によれば、第2レーザ光を測定する面発光レーザの個数(m個)が少ないので、比較的長時間を要する第2レーザ光の測定時間を短縮できる。よって、面発光レーザの検査時間を短縮できる。
【0013】
上記製造方法は、前記m個の面発光レーザにそれぞれ直流電圧を印加することによって、前記m個の面発光レーザからそれぞれ出射される第3レーザ光を測定する工程と、前記第3レーザ光の測定結果に基づいて、前記m個の面発光レーザの良否を判定する工程と、を更に含んでもよい。この場合、第3レーザ光を測定する面発光レーザの個数(m個)が少ないので、比較的長時間を要する第3レーザ光の測定時間を短縮できる。
【0014】
上記製造方法は、前記複数のエリアのうち、前記n個の面発光レーザの良否を判定する工程において良好であると判定された面発光レーザの個数が閾値以上となるエリアを合格エリアと決定する工程を更に含み、前記合格エリアにおいて、前記第2レーザ光を測定する工程と、前記第2レーザ光の測定結果に基づいて、前記m個の面発光レーザの良否を判定する工程とが行われてもよい。この場合、第2レーザ光を測定する面発光レーザの個数(m個)が更に少なくなるので、第2レーザ光の測定時間を更に短縮できる。
【0015】
上記製造方法は、前記複数のエリアのうち、前記n個の面発光レーザの良否を判定する工程において良好であると判定された面発光レーザの個数が閾値以上となるエリアを合格エリアと決定する工程を更に含み、前記合格エリアにおいて、前記第2レーザ光を測定する工程と、前記第2レーザ光の測定結果に基づいて、前記m個の面発光レーザの良否を判定する工程と、前記第3レーザ光を測定する工程と、前記第3レーザ光の測定結果に基づいて、前記m個の面発光レーザの良否を判定する工程とが行われてもよい。この場合、第2レーザ光及び第3レーザ光を測定する面発光レーザの個数(m個)が更に少なくなるので、第2レーザ光及び第3レーザ光の測定時間を更に短縮できる。
【0016】
一実施形態に係る面発光レーザの検査方法は、複数のエリアを含む主面を有する基板を準備する工程であり、前記複数のエリアのそれぞれには、複数の面発光レーザが設けられる、工程と、前記複数の面発光レーザのうちn個(nは2以上の整数)の面発光レーザにそれぞれ直流電圧を印加することによって、前記n個の面発光レーザからそれぞれ出射される第1レーザ光を測定する工程と、前記複数の面発光レーザのうちm個(mはnより小さい自然数)の面発光レーザにそれぞれ交流電圧を印加することによって、前記m個の面発光レーザからそれぞれ出射される第2レーザ光を測定する工程と、前記第1レーザ光の測定結果に基づいて、前記n個の面発光レーザの良否を判定する工程と、前記第2レーザ光の測定結果に基づいて、前記m個の面発光レーザの良否を判定する工程と、を含む。
【0017】
上記面発光レーザの検査方法によれば、第2レーザ光を測定する面発光レーザの個数(m個)が少ないので、比較的長時間を要する第2レーザ光の測定時間を短縮できる。よって、面発光レーザの検査時間を短縮できる。
【0018】
一実施形態に係る面発光レーザの検査装置は、複数のエリアを含む主面を有する基板を載置するためのステージであり、前記複数のエリアのそれぞれには、複数の面発光レーザが設けられる、ステージと、前記複数の面発光レーザのうちn個(nは2以上の整数)の面発光レーザにそれぞれ直流電圧を印加するための第1プローブと、前記複数の面発光レーザのうちm個(mはnより小さい自然数)の面発光レーザにそれぞれ交流電圧を印加するための第2プローブと、前記n個の面発光レーザからそれぞれ出射される第1レーザ光を測定するための第1測定器と、前記m個の面発光レーザからそれぞれ出射される第2レーザ光を測定するための第2測定器と、前記第1レーザ光の測定結果に基づいて、前記n個の面発光レーザの良否を判定し、前記第2レーザ光の測定結果に基づいて、前記m個の面発光レーザの良否を判定するように構成された判定装置と、を備える。
【0019】
上記面発光レーザの検査装置によれば、第2レーザ光を測定する面発光レーザの個数(m個)が少ないので、比較的長時間を要する第2レーザ光の測定時間を短縮できる。よって、面発光レーザの検査時間を短縮できる。
【0020】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、添付図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。図面には、必要に応じてXYZ直交座標系が示される。
【0021】
図1は、一実施形態に係る面発光レーザの検査装置を模式的に示す図である。
図1に示される面発光レーザの検査装置100は、基板Wを載置するためのステージSTを備える。ステージSTは、X軸方向及びY軸方向に移動可能であってもよい。基板Wは、基板WとステージSTとの間に配置されたサーモチャックTC上に載置されてもよい。サーモチャックTCは、基板Wの温度を調整できる。
【0022】
基板Wは、例えばIII-V族化合物半導体基板である。基板Wは主面Waを有する。主面Waは、
図2に示されるように、複数のエリアAを含む。複数のエリアAは、X軸方向及びY軸方向に沿って2次元状に配置される。複数のエリアAのそれぞれには、
図3に示されるように、複数の面発光レーザLDが設けられる。複数の面発光レーザLDは、X軸方向及びY軸方向に沿って2次元状に配置される。各面発光レーザLDは、例えば垂直共振型面発光レーザである。1つの基板Wは例えば3万個以上の面発光レーザLDを含む。1つのエリアAには、例えば500個以上の面発光レーザLDが設けられる。
【0023】
検査装置100は、各面発光レーザLDに直流電圧を印加するための複数の第1プローブPR1を備える。複数の第1プローブPR1には直流電源10が接続されてもよい。2つの第1プローブPR1の先端は各面発光レーザLDの第1電極及び第2電極にそれぞれ接触することができる。第1電極は、面発光レーザLDに含まれるp型半導体層に接続される。第2電極は、面発光レーザLDに含まれるn型半導体層に接続される。
【0024】
検査装置100は、各面発光レーザLDに交流電圧を印加するための複数の第2プローブPR2を備える。複数の第2プローブPR2には交流電源12が接続されてもよい。2つの第2プローブPR2の先端は各面発光レーザLDの第1電極及び第2電極にそれぞれ接触することができる。交流電源12と複数の第2プローブPR2との間にはバイアスティー14が配置されてもよい。バイアスティー14には、直流電源10が接続される。
【0025】
検査装置100は、各面発光レーザLDからZ軸方向に出射されるレーザ光(第1レーザ光L1、第2レーザ光L2又は第3レーザ光L3)を測定するための測定装置20を備える。測定装置20は、レンズ22と、レンズ22に光ファイバ24を介して接続される測定器26とを備えてもよい。レンズ22はレーザ光を受けることができる。レンズ22に入射したレーザ光は、光ファイバ24を通って測定器26に到達する。
【0026】
測定器26は、第1測定器26a及び第2測定器26bを備える。第1測定器26aは、第1レーザ光L1の強度を測定するためのパワーメータであってもよいし、第1レーザ光L1の波長を測定するための分光器又は光スペクトラムアナライザであってもよい。第2測定器26bは、第2レーザ光L2の高周波特性を測定するための光コンポーネントアナライザ(LCA:Lightwave component analyzer)であってもよい。第2測定器26bは交流電源12を含んでもよい。測定器26は第3測定器26cを備えてもよい。第3測定器26cは、第3レーザ光L3の相対強度ノイズ(RIN:Relative Intensity Noise)を測定するためのRIN測定システムであってもよい。
【0027】
検査装置100は制御装置30を備える。制御装置30は、測定装置20による第1レーザ光L1から第3レーザ光L3の測定結果に基づいて、各面発光レーザLDの良否を判定するように構成される判定装置であってもよい。制御装置30は例えばプロセッサを含む。制御装置30は、ステージST、直流電源10及び測定装置20をそれぞれ制御するように構成される。
【0028】
図4は、一実施形態に係る面発光レーザの製造方法を示すフローチャートである。
図4に示される面発光レーザの製造方法MT1(以下、単に方法MT1という)は、一実施形態に係る面発光レーザの検査方法を含む。方法MT1は、工程S1から工程S9を含んでもよい。工程S1から工程S9は順に行われてもよい。工程S1、工程S2、工程S5、工程S8及び工程S9は行われなくてもよい。方法MT1は、検査装置100を用いて行われてもよい。方法MT1により、以下のように面発光レーザLDを製造することができる。
【0029】
まず、基板Wにおいてウェハプロセスを実行する(工程S1)。ウェハプロセスは、例えば成膜、フォトリソグラフィー及びエッチング等を含む。工程S1により、複数の面発光レーザLDを含む基板Wが準備される。
【0030】
次に、測定サンプル数mを決定する(工程S2)。測定サンプル数mは、工程S4及び工程S5において測定対象とされる面発光レーザLDの数である。工程S2は工程S1の前に行われてもよい。測定サンプル数mは、1つのエリアAにおける測定サンプル数とエリアAの総数との積であってもよい。
【0031】
測定サンプル数mは、生産者危険α及び消費者危険βのそれぞれが目標値以下となるように決定されてもよい。例えば、測定サンプル数mは、消費者危険βが10%以下、生産者危険αが5%以下となるように決定される。前提条件の例は以下の通りである。
(前提条件)
許容される不良数k:1個、
レーザ光の波長が許容範囲内となる割合:90%、
ロット許容不良率(LTPD:Lot Tolerance Percent Defective):10%、
合格品質限界(AQL:Acceptable Quality Limit):5%以下。
【0032】
AQLが例えば0.71%である場合、測定サンプル数mが56個であれば、βが3.38%となり、αが4.93%となる。生産者危険α及び消費者危険βはいずれも目標値以下である。
【0033】
次に、複数の面発光レーザLDのうちn個の面発光レーザLDにそれぞれ直流電圧を印加することによって、n個の面発光レーザLDからそれぞれ出射される第1レーザ光L1を測定する(工程S3)。nは2以上の整数である。nは、基板Wに含まれる複数の面発光レーザLDの全個数であってもよい。工程S3では、第1レーザ光L1の強度、第1レーザ光L1の発振波長及び第1レーザ光L1のスペクトル幅のうち少なくとも1つが測定される。工程S3は工程S2の前に行われてもよい。
【0034】
工程S3は、
図1の検査装置100により行われてもよい。第1プローブPR1から各面発光レーザLDに直流電圧が印加されると、各面発光レーザLDから第1レーザ光L1が出射される。第1レーザ光L1は、第1測定器26aによって測定される。第1レーザ光L1の測定結果は、第1測定器26aから制御装置30に送られる。制御装置30は、第1測定器26aを制御するための信号を第1測定器26aに送る。制御装置30は、直流電源10を制御するための信号を直流電源10に送る。各面発光レーザLDに印加される電流及び電圧のデータは、直流電源10から制御装置30に送られる。
【0035】
第1レーザ光L1の強度は、各面発光レーザLDに印加される直流電圧を例えば0ボルトから数ボルトまで変化させながら測定される。第1レーザ光L1の発振波長及びスペクトル幅は、予め定められたバイアス電流を各面発光レーザLDに印加しながら測定される。第1レーザ光L1の発振波長の範囲は、例えば800nm~950nmである。
【0036】
次に、複数の面発光レーザLDのうちm個の面発光レーザLDにそれぞれ交流電圧を印加することによって、m個の面発光レーザLDからそれぞれ出射される第2レーザ光L2を測定する(工程S4)。mはnより小さい自然数である。mは、工程S2において決定された測定サンプル数mである。工程S4では、交流電圧の周波数の変化に対する第2レーザ光L2の強度の変化(追随性)が測定される。例えば数MHzから50GHzまで交流電圧の周波数を変化させながら第2レーザ光L2の強度の変化が測定されてもよい。工程S4は工程S3の前に行われてもよい。
【0037】
工程S4は、
図1の検査装置100により行われてもよい。第2プローブPR2から各面発光レーザLDに交流電圧が印加されると、各面発光レーザLDから第2レーザ光L2が出射される。第2レーザ光L2は、第2測定器26bによって測定される。第2レーザ光L2の測定結果は、第2測定器26bから制御装置30に送られる。制御装置30は、第2測定器26bを制御するための信号を第2測定器26bに送る。第2測定器26bは、高周波信号を各面発光レーザLDに送る。制御装置30は、直流電源10を制御するための信号を直流電源10に送る。
【0038】
次に、m個の面発光レーザLDにそれぞれ直流電圧を印加することによって、m個の面発光レーザLDからそれぞれ出射される第3レーザ光L3を測定する(工程S5)。工程S5では、第3レーザ光L3の相対強度ノイズが測定される。工程S5は工程S4の前に行われてもよい。
【0039】
工程S5は、
図1の検査装置100により行われてもよい。第1プローブPR1から各面発光レーザLDに直流電圧が供給されると、各面発光レーザLDから第3レーザ光L3が出射される。第3レーザ光L3は、第3測定器26cによって測定される。第3レーザ光L3の測定結果は、第3測定器26cから制御装置30に送られる。制御装置30は、第3測定器26cを制御するための信号を第3測定器26cに送る。制御装置30は、直流電源10を制御するための信号を直流電源10に送る。
【0040】
次に、工程S3における第1レーザ光L1の測定結果に基づいて、n個の面発光レーザLDの良否を判定する(工程S6)。例えば、第1レーザ光L1の発振波長が許容範囲内にある場合、面発光レーザLDが良品であると判定する。工程S6は、工程S5の前又は工程S4の前に行われてもよい。工程S6において面発光レーザLDの良品率が閾値未満である場合、基板Wに含まれる良品の面発光レーザLDの数が少ないので、基板W自体が廃棄されてもよい。
【0041】
次に、工程S4における第2レーザ光L2の測定結果に基づいて、m個の面発光レーザLDの良否を判定する(工程S7)。例えば、交流電圧の周波数の変化に対する第2レーザ光L2の強度の変化が許容範囲内である場合、面発光レーザLDが良品であると判定する。工程S7は、工程S6の前又は工程S5の前に行われてもよい。
【0042】
次に、工程S5における第3レーザ光L3の測定結果に基づいて、m個の面発光レーザLDの良否を判定する(工程S8)。例えば、第3レーザ光L3の相対強度ノイズが許容範囲内である場合、面発光レーザLDが良品であると判定する。工程S8は、工程S7の前又は工程S6の前に行われてもよい。
【0043】
次に、基板Wをダイシングする(工程S9)。これにより、複数の面発光レーザLDを互いに分離する。その結果、単一の面発光レーザLDを含むチップ又は複数の面発光レーザLDを含むアレイが得られる。工程S6から工程S8の全てにおいて良品と判定された面発光レーザLDが選別されて製品として出荷され得る。あるいは、工程S7において判明した不良数がk個以下(kは前提条件で定めた許容される不良数)であった基板Wについては、工程S7において不良と判定された面発光レーザLDを除いて、工程S6において良品と判定された面発光レーザLDの全てが製品として出荷され得る。この場合、製品は第2レーザ光L2の測定が行われていない面発光レーザLDも含むことができる。あるいは、工程S8において不良数がk個以下であるような基板Wについては、工程S8において不良と判定された面発光レーザLDを除いて、工程S6において良品と判定された面発光レーザLDの全てが製品として出荷され得る。この場合、製品は第3レーザ光L3の測定が行われていない面発光レーザLDも含むことができる。
【0044】
方法MT1によれば、第2レーザ光L2を測定する面発光レーザLDの個数(m個)が少ないので、比較的長時間を要する第2レーザ光L2の測定時間を短縮できる。また、工程S5及び工程S8が行われる場合、第3レーザ光L3を測定する面発光レーザLDの個数(m個)が少ないので、比較的長時間を要する第3レーザ光L3の測定時間を短縮できる。よって、面発光レーザLDの検査時間を短縮できる。したがって、面発光レーザLDの製造時間を短縮できる。
【0045】
図5は、他の実施形態に係る面発光レーザの製造方法を示すフローチャートである。
図6は、他の実施形態に係る面発光レーザの製造方法において検査される面発光レーザを含む基板の例を模式的に示す平面図である。
図5に示される面発光レーザの製造方法MT2(以下、単に方法MT2という)は、工程S1から工程S3、工程S6、工程S10、工程S4、工程S5、工程S7から工程S9を含んでもよい。工程S1から工程S3、工程S6、工程S10、工程S4、工程S5、工程S7から工程S9は、順に行われてもよい。工程S1、工程S2、工程S5、工程S8及び工程S9は行われなくてもよい。方法MT2は、検査装置100を用いて行われてもよい。方法MT2により、以下のように面発光レーザLDを製造することができる。
【0046】
まず、方法MT1と同様に工程S1から工程S3が行われる。その後、方法MT1と同様の工程S6が行われる。
【0047】
次に、複数のエリアAのうち、工程S6において良好であると判定された面発光レーザLDの個数が閾値以上となるエリアを合格エリアA1(
図6参照)と決定する(工程S10)。複数のエリアAのうち合格エリアA1以外のエリアは不合格エリアA2となる。
【0048】
次に、合格エリアA1において、m個の面発光レーザLDにそれぞれ交流電圧を印加することによって、m個の面発光レーザLDからそれぞれ出射される第2レーザ光L2を測定する(工程S4)。
【0049】
次に、合格エリアA1において、m個の面発光レーザLDにそれぞれ直流電圧を印加することによって、m個の面発光レーザLDからそれぞれ出射される第3レーザ光L3を測定する(工程S5)。工程S5は、工程S4の前に行われてもよい。
【0050】
次に、合格エリアA1において、第2レーザ光L2の測定結果に基づいて、m個の面発光レーザLDの良否を判定する(工程S7)。工程S7は、工程S5の前に行われてもよい。
【0051】
次に、合格エリアA1において、第3レーザ光L3の測定結果に基づいて、m個の面発光レーザLDの良否を判定する(工程S8)。工程S8は、工程S7の前に行われてもよい。
【0052】
次に、方法MT1と同様の工程S9が行われる。
【0053】
方法MT2によれば、方法MT1と同様に面発光レーザLDの検査時間を短縮できる。また、不合格エリアA2において工程S4、工程S5、工程S7及び工程S8を行う必要がない。そのため、第2レーザ光L2及び第3レーザ光L3を測定する面発光レーザLDの個数(m個)が更に少なくなるので、第2レーザ光L2及び第3レーザ光L3の測定時間を更に短縮できる。
【0054】
以上、本開示の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本開示は上記実施形態に限定されない。
【0055】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0056】
10…直流電源
12…交流電源
14…バイアスティー
20…測定装置
22…レンズ
24…光ファイバ
26…測定器
26a…第1測定器
26b…第2測定器
26c…第3測定器
30…制御装置
100…検査装置
A…エリア
A1…合格エリア
A2…不合格エリア
L1…第1レーザ光
L2…第2レーザ光
L3…第3レーザ光
LD…面発光レーザ
MT1…方法
MT2…方法
PR1…第1プローブ
PR2…第2プローブ
ST…ステージ
TC…サーモチャック
W…基板
Wa…主面