(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191645
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】吸水装置
(51)【国際特許分類】
A47K 3/00 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
A47K3/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099983
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 将
(72)【発明者】
【氏名】松下 圭太
(72)【発明者】
【氏名】飯沼 壱成
(72)【発明者】
【氏名】平松 泰成
(57)【要約】
【課題】吸水性能の低下を抑制することができる吸水装置を提供する。
【解決手段】給水装置は、浴槽内に貯留した浴槽水を、浴槽壁Wとの隙間から吸い込む第2吸水路F2と、第2吸水路F2を部分的に閉鎖する凸部420と、を備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽内に貯留した浴槽水を、浴槽壁との隙間から吸い込む吸水路と、
前記吸水路を部分的に閉鎖する閉鎖部と、
を備えている吸水装置。
【請求項2】
前記浴槽壁に取り付けられる吸水装置本体と、
前記浴槽壁と隙間を形成して前記吸水装置本体に着脱自在に取り付けられるカバーと、
を備えており、
前記吸水路は、前記浴槽壁と前記カバーとの隙間、及び前記吸水装置本体と前記カバーとの隙間によって形成されている請求項1に記載の吸水装置。
【請求項3】
前記閉鎖部は、前記浴槽壁と前記カバーとの間に設けられている請求項2に記載の吸水装置。
【請求項4】
前記吸水装置本体は、前記浴槽壁との間に挟まれ、外周縁の一部から外方向に延びた凸部を具備したパッキンを有しており、
前記閉鎖部は、前記浴槽壁と前記カバーとの間に挟まれる前記凸部である請求項2及び請求項3のいずれか一項に記載の吸水装置。
【請求項5】
前記凸部は、前記カバーに接触する面に形成された突起部を有している請求項4に記載の吸水装置。
【請求項6】
前記閉鎖部は、前記吸水装置本体と前記カバーとの間に設けられている請求項2に記載の吸水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は吸水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の吸水装置を開示している。この吸水装置は浴槽壁に取り付けられる。この吸水装置は、浴槽壁に取り付けられる吸水装置本体と、吸水装置本体に取り付けられるカバーとを備えている。この吸水装置は、カバーと浴槽壁との隙間から浴槽内に貯留した浴槽水を吸い込む吸水路を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この吸水装置は、カバーと浴槽壁との隙間に毛髪等の長い異物が絡むと、浴槽水を吸込む性能が低下するおそれがある。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、吸水性能の低下の抑制を解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の給水装置は、浴槽壁との隙間を形成して前記浴槽壁に取り付けられており、前記浴槽壁との隙間から浴槽内に貯留した浴槽水を吸い込む吸水路を形成し、前記吸水路を部分的に閉鎖する閉鎖部を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】実施形態1の吸水装置であって、吸水装置本体からカバーを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図4】実施形態1の吸水装置の要部を示す断面図である。
【
図7】実施形態2の吸水装置であって、吸水装置本体からカバーを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図8】実施形態2の吸水装置の要部を示す断面図である。
【
図10】実施形態3の吸水装置のパッキンの後面に沿って切断した断面図である。
【
図11】実施形態4の吸水装置の分解斜視図である。
【
図12】実施形態4の吸水装置のパッキンの後面に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態1>
実施形態1の吸水装置1は、
図1から
図4に示すように、上下方向に広がる平板状の浴槽壁Wに取り付けられる。上下方向は、浴槽を浴室に取り付けた状態における上下方向である。
図1から
図12において示されるZ軸の正方向が上方向であり、Z軸の負方向が下方向である。吸水装置1は、図示しない配管の上流端部及び下流端部に連結されている。配管は中間部に循環ポンプを連結している。この吸水装置1を取り付けた浴槽は、循環ポンプが駆動すると、浴槽内の浴槽水を吸水装置1から吸い込む。吸い込まれた浴槽水は、配管及び循環ポンプ経由して吸水装置1に戻って吸水装置1から浴槽内へ吐水される。
【0009】
吸水装置1は、吸水装置本体5、及びカバー7を備えている。吸水装置本体5は、
図3及び
図4に示すように、ハウジング10、固定部20、三角パッキン30、パッキン40、スリップワッシャ50、及びノズル部60を有している。
図3及び
図4は、浴槽壁Wに取り付けた吸水装置1の左右中央断面図である。左右方向は、吸水装置5を浴槽壁Wに取り付けた状態において、前方から見た左右方向である。
図1から
図12において示されるY軸の正方向が左方向であり、Y軸の負方向が右方向である。
【0010】
<ハウジング10の構造>
ハウジング10は、
図1及び
図3に示すように、外筒部110、内筒部120、流出管部130、流入管部140、及び通気管部150を具備している。外筒部110は円筒形状である。外筒部110は、吸水装置本体5を浴槽壁Wに取り付けた状態において、中心軸線が水平方向に延びており、浴槽壁W側に位置する前端部が開口している。外筒部110は、前端部の外周縁から外方向に広がる平板円環状の鍔部111を有している。外筒部110は前側の内周面に雌ねじ部が形成されている。
図3に示すように、吸水装置本体5を浴槽壁Wに取り付けた状態において、外筒部110の中心軸線に沿ってハウジング10から浴槽壁Wに向いた方向が前方であり、その逆が後方である。
図1から
図12において示されるX軸の正方向が前方であり、X軸の負方向が後方である。
【0011】
内筒部120は円筒形状である。内筒部120は、
図3に示すように、外径が外筒部110の内径よりも小さく、外筒部110の内部に配置されている。内筒部120の中心軸線は、外筒部110の中心軸線上に延びている。内筒部120の外周面と外筒部110の内周面との間は、吸い込んだ浴槽水が流れる吸水路の一部分を形成している。内筒部120は、前端部が開口している。内筒部120の前端部の開口は、外筒部110の前端部の開口よりも僅かに後方に位置している。内筒部120の後端部は、外筒部110の後端部よりも後方に延びている。外筒部110の後端部と内筒部120の外周面との間は、吸水装置本体5を浴槽壁Wに取り付けた状態における下部を除いて閉鎖されている。
【0012】
流出管部130は、
図1及び
図3に示すように、円筒形状である。流出管部130の両端部は流出口が形成されている。流出管部130は、中間部を外筒部110の後端部の下側角部及び内筒部120の外筒部110から露出した後端部側の下部に連結している。外筒部110の中心軸線と流出管部130の中心軸線とは、ねじれの位置にあり、吸水装置本体5を浴槽壁Wに取り付けた状態における上方から見た平面視において、直交している。流出管部130は、外筒部110の後端部と内筒部120の外周面との間に形成された開口を介して、外筒部110の内周面と内筒部120の外周面との間に形成された吸水路に連通している。流出管部130は吸水路の一部分を形成している。流出管部130の流出口が形成された両端部の一方の端部は、図示しない循環ポンプの上流側に連結した配管の上流端部が連結される。流出管部130の他方の端部は、図示しない蓋部材が取り付けられ、流出口が閉じられる。
【0013】
流入管部140は、
図1及び
図3に示すように、中心軸線が途中で直角に曲がるように屈曲した円筒形状である。流入管部140の屈曲部140Aよりも上流側の上流管部141は、吸水装置本体5を浴槽壁Wに取り付けた状態において、鉛直方向に延びている。流入管部140の上流端部は流入口が形成されている。流入管部140の屈曲部140Aよりも下流側の下流管部142は、吸水装置本体5を浴槽壁Wに取り付けた状態において、水平方向に延びている。流入管部140の下流端部は内筒部120の後端部に連結している。流入管部140は内筒部120の内側の空間に連通している。流入管部140は、流入口が形成された上流端部に図示しない循環ポンプの下流側に連結された配管の下流端部が連結される。流入管部140及び内筒部120の内側の空間は吐水路の一部分を形成している。
【0014】
通気管部150は、
図1及び
図3に示すように、吸水装置本体5を浴槽壁Wに取り付けた状態において、外筒部110の後端部側の外周面、及び外筒部110から突出した内筒部120の外筒部110側の外周面から鉛直上方に延びている。通気管部150は吐水路の一部分を形成する内筒部120の内側の空間に連通している。通気管部150は、上端部に図示しない通気用チューブを連結する連結部151が取り付けられている。通気管部150は、連結部151内に蓋部材151Aを収納した状態では、吸水装置1から浴槽水を吐水する際、空気を吸引することができず、連結部151から蓋部材151Aを取り外した状態にすると、吸水装置1から浴槽水を吐水する際、空気を吸引して吐水する浴槽水に空気を混入させることができる。
【0015】
<固定部20の構造>
固定部20は、
図3に示すように、筒部210、フランジ部220、及び4個の突片部230を具備している。筒部210は円筒形状である。筒部210は両端が開口している。筒部210は後端側の外周面に雄ねじ部が形成されている。筒部210の外周面に形成された雄ねじ部はハウジング10の外筒部110の内周面に形成された雌ねじ部にねじ込むことができる。
【0016】
フランジ部220は、
図3及び
図4に示すように、筒部210の前端部の外周縁から外方向に延びている。フランジ部220は、フランジ本体221と、フランジ本体221の外周縁から外側に延びた縁部223とを有している。フランジ本体221は、筒部210の外周面に対して直交する外方向に延びた平板円環状である。縁部223は円環状である。縁部223は、吸水装置本体5を浴槽壁Wに取り付けた状態において、筒部210の中心軸線から離れる外方向に向けて前方に傾斜している。
【0017】
各突片部230は、フランジ本体221の内周縁と外周縁との間の中央部から前方向に突出している。各突片部230は、フランジ本体221の前面であって筒部210の中心軸線を中心にした同一円周上に湾曲し延びており、同一円周上に等間隔で配置されている。各突片部230は、後端から前後方向の中間部までがフランジ本体221の前面に対して直交する方向に延びており、前後方向の中間部から前端部までが前方に向けて外方向に傾斜している。
【0018】
<三角パッキン30の構造>
三角パッキン30は、
図3に示すように、円環状である。三角パッキン30の後面は、内周面の後端周縁から内周面に対して直交し、外方向に延びている。三角パッキン30の外周面は、後端縁が後面の外周縁に連結し、前端縁が内周面の前端周縁に連結しており、後端から前端に向けて徐々に外径が小さくなるように傾斜している。三角パッキン30の内径は、固定部20の筒部210の外径と略等しい。三角パッキン30の後面の外径はハウジング10の外筒部110の鍔部111の外径よりも小さい。
【0019】
<パッキン40の構造>
パッキン40は、
図2から
図5に示すように、パッキン本体部410、及び8個の凸部420を具備している。パッキン本体部410は平板円環状である。パッキン本体部410の内径は固定部20の筒部210の外径と略等しい。パッキン本体部410の外径は固定部20のフランジ本体221の外径よりも僅かに小さい。
【0020】
各凸部420はパッキン本体部410の外周面に連続している。各凸部420はパッキン本体部410の外周縁に沿って等間隔に離れて配置されている。パッキン本体部410の中心軸線に沿って前方からパッキン40を見た各凸部420の正面形状は、
図5に示すように、略矩形状である。各凸部420は、正面形状において、パッキン本体部410の外周縁に連続して外方向に平行に延びる2辺の間隔がパッキン本体部410の外周縁の長さの約3%である。各凸部420のパッキン本体部410の外周縁から離れて延びる外側の1辺は、
図3及び
図4に示すように、吸水装置本体5に後述するカバー7を取り付けた状態において、カバー7の外周縁よりも僅かに内側に位置している。
【0021】
各凸部420の厚さは、
図2から
図4に示すように、パッキン本体部410の厚さの約1/2である。各凸部420の後面は、パッキン本体部410の後面と同一面上に広がっている。各凸部420は、
図2から
図5に示すように、前面から突出して形成された略半球状の突起部421を有している。各突起部421の外周縁の一部は各凸部420の外側の1辺に接している。各突起部421の高さは、各凸部420の厚さの約1/6である。
【0022】
<スリップワッシャ50の構造>
スリップワッシャ50は円環状である。スリップワッシャ50の内径は、
図4に示すように、パッキン本体部410の内径よりも僅かに大きい。スリップワッシャ50の外径はパッキン本体部410の外径よりも僅かに大きい。
【0023】
<ハウジング10及び固定部20の浴槽壁Wへの取付け>
ハウジング10及び固定部20は、以下に説明するように、作業者によって浴槽壁Wに取り付けられる。先ず、作業者は固定部20の筒部210にスリップワッシャ50及びパッキン40を嵌める。この際、スリップワッシャ50は、
図4に示すように、パッキン本体部410の前面と固定部20のフランジ本体221の後面との間に挟み込まれる。次に、作業者は、
図3に示すように、浴槽壁Wに形成された取り付け孔Hに、浴槽内から固定部20の筒部210を挿入する。この結果、筒部210は、浴槽壁Wに形成された取り付け孔Hから後方に突出する。パッキン40及びスリップワッシャ50は、浴槽壁Wよりも前方に配置される。次に、作業者は、筒部210に三角パッキン30を嵌める。この際、三角パッキン30は、内周面が固定部20の筒部210の外周面に接触し、後面が後方を向いた状態にされる。三角パッキン30は浴槽壁Wよりも後方に配置される。次に、作業者は、ハウジング10の通気管部150が外筒部110及び内筒部120の外周面から鉛直上方に延びるようにハウジング10を浴槽壁Wの外側に配置し、筒部210の外周面に形成された雄ねじ部を外筒部110の内周面に形成された雌ねじ部にねじ込む。このようにして、ハウジング10及び固定部20は浴槽壁Wに取り付けられる。
【0024】
ハウジング10及び固定部20が浴槽壁Wに取り付けられると、
図3及び
図4に示すように、パッキン本体部410及び各凸部420の後面は、浴槽壁Wに接触する。パッキン本体部410は、前面にスリップワッシャ50が接触した状態で浴槽壁Wと固定部20のフランジ本体221との間に挟み込まれ、浴槽壁Wに形成された取り付け孔Hからの漏水を防止する。ハウジング10及び固定部20が浴槽壁Wに取り付けられると、三角パッキン30の後面は、ハウジング10の外筒部110の鍔部111の前面に接触する。三角パッキン30の前端部は、浴槽壁Wに形成された取り付け孔Hと固定部20の筒部210との間に入り込む。この結果、ハウジング10の外筒部110と固定部20の筒部210との間からの漏水が防止される。
【0025】
<ノズル部60の構造>
ノズル部60は、
図2から
図4に示すように、管部610、及びヘッド部650を具備している。管部610は、鍔部620、前側管部630、及び後側管部640を有している。鍔部620は、外周部621、及び前面部622を有している。外周部621は円筒状である。複数の流入口623は、外周部621を貫通している。流入口623の開口は矩形状である。外周部621の内周面は、
図3及び
図4に示すように、外周部621の後端縁に沿って延びた4個の突出部625が内方向に突出している。各突出部625は、外周部621の内周面の同一円周上に等間隔に離れて設けられている。各突出部625は、ノズル部60を固定部20に取り付けた際、固定部20の各突片部230の前端部の外周縁よりも後方に位置し、各突片部230の前端部の外周縁よりも内側に突出している。前面部622は、外周部621の前端周縁から内側に延びた平板円環状である。
【0026】
前側管部630は、
図3及び
図4に示すように、鍔部620の前面部622の内周縁から後方に向けて延びている。前側管部630は後述するヘッド部650を内側に収納する。前側管部630は、固定管部631、第1縮径部632、及び中間管部633を有している。固定管部631は、鍔部620の前面部622の内周縁に連続しており、内周面に雌ねじ部が形成されている。固定管部631に、溝部631Aが形成される。溝部631Aは、雌ねじ部が形成された内周面よりも後側に前方に向けて開口する。この溝部631AにOリング634が嵌められている。第1縮径部632は、固定管部631の後端周縁に連続し、後方に向けて縮径しながら延びている。中間管部633は、第1縮径部632の後端周縁に連続した円筒状であり、後方に延びている。
【0027】
後側管部640は、第2縮径部641、及び挿入管部642を有している。第2縮径部641は、前側管部630の中間管部633の後端周縁に連続し、後方に向けて縮径しながら延びている。挿入管部642は円筒状である。挿入管部642は、第2縮径部641の後端周縁に連続した円筒状であり、後方に延びている。挿入管部642はハウジング10の内筒部120の前端部の開口から内筒部120の内部に挿入される。挿入管部642は、後端部の外周面の同一円周上に溝部642Aが形成され、この溝部642AにOリング643が嵌められている。
【0028】
ヘッド部650の前面650Aは、
図2から
図4に示すように、ノズル部60の前面部622の中央開口から前方に向けて露出している。前面650Aは外形が円形状である。前面650Aの外径は、ヘッド部650を固定管部631に固定する固定部材635の内径よりも僅かに小さい。固定部材635は円環状である。固定部材635の外周面は雄ねじ部が形成されている。固定部材635の外周面に形成された雄ねじ部は、固定管部631の内周面に形成された雌ねじ部にねじ込むことができる。ヘッド部650は前面650Aよりも後方の外周面から外方向に広がる鍔部651を形成している。
【0029】
ヘッド部650は、
図1から
図4に示すように、前面650Aから突出し、平行に延びる一対のつまみ片652を有している。各つまみ片652は、前側から見た正面視において、前面650Aの中心を通る仮想線から両側に等間隔離れて延びている。各つまみ片652の前端縁は、つまみ片652が延びている方向の中央に向けて前方に膨らんだ湾曲形状である。作業者は、一対のつまみ片652を摘まんで、前側管部630に対して前側管部630の中心軸線周りにヘッド部650を回転させることができる。ヘッド部650は、1個の吐出口653を有する。吐出口653は、前面650Aの中心であり、且つ、各つまみ片652の間に位置する。ヘッド部650は、2個の流入口654を有する。2個の流入口654は、後方に向けて開口している。ヘッド部650は、内部が空洞であり、1個の吐出口653と2個の流入口654とが内部の空洞を介して連通している。
【0030】
作業者が、ノズル部60の前側管部630の前端開口から前側管部630内に挿入し、前側管部630の固定管部631の雌ねじ部に固定部材635をねじ込むことによって、固定部材635が鍔部651を後方に押さえつける。この結果、ヘッド部650が管部610に固定される。ヘッド部650は、管部610に固定されると、スリップワッシャ660を介してOリング634を押しつぶす。Oリング634は、管部610とヘッド部650とを水密状に連結し、管部610とヘッド部650との間から浴槽水が浴槽内に流出することを防止している。ヘッド部650の内部の空洞は、前側管部630と後側管部640に連通しており、吐水路の一部分を形成している。
【0031】
<ノズル部60の固定部20への取付け>
ノズル部60は、以下に説明するように、作業者によって固定部20に着脱自在に取り付けられる。作業者は、浴槽壁Wに取り付けられたハウジング10の内筒部120の前端開口から内筒部120内にノズル部60の後側管部640の挿入管部642を挿入しながらノズル部60を後方に移動させる。
【0032】
各突出部625は、各突片部230の前端部に接触し、ノズル部60の鍔部620の外周部621及び各突片部230を弾性変形させながら、各突片部230の前端部の外周縁よりも後方に移動し、各突片部230の前端部の外周縁よりも内側に突出した状態になる。ノズル部60は、鍔部620の外周部621の後端面が固定部20のフランジ部220のフランジ本体221の前面に接触すると、後方に移動することができなくなる。これで、ノズル部60の固定部20への取付けが完了する。
【0033】
作業者が固定部20にノズル部60を取り付けた状態からノズル部60を前方に移動させて取り外そうとすると、各突出部625が各突片部230の前端部に引っ掛かる。作業者は、外周部621及び各突片部230を弾性変形させて、各突出部625が各突片部230の前端部を乗り越える力以上でノズル部60を前方へ移動させると、ノズル部60を固定部20から取り外すことができる。
【0034】
ノズル部60を固定部20に取り付けた状態において、挿入管部642の後端部の溝部642Aに嵌めたOリング643によって、挿入管部642の外周面と内筒部120の内周面との間が水密状に連結される。ノズル部60の前側管部630及び後側管部640は、ハウジング10の内筒部120の内側の空間に連通しており、吐水路の一部分を形成している。ノズル部60の管部610と固定部20との間は、ハウジング10の外筒部110の内周面と内筒部120の外周面との間に形成された吸水路に連通している。ノズル部60の管部610と固定部20との間は、吸水路の一部分を形成している。浴槽壁Wに取り付けられたハウジング10及び固定部20に対してノズル部60を取り付けた状態が、
図2に示すように、吸水装置本体5を浴槽壁Wに取り付けた状態である。
【0035】
<カバー7の構造>
カバー7は、
図3及び
図4に示すように、カバー本体70、及び外装部80を有している。カバー本体70は、周壁部710、及び前壁部720を具備している。周壁部710は円筒状である。周壁部710は、周方向に長い6個の矩形状の開口710Aが周方向に並んで形成されている。周壁部710は、6個の開口710Aが周方向に並んだ第1領域と、開口710Aが形成されていない第2領域とを有している。周壁部710は、第1領域の両端に連続して第2領域を形成している。浴槽壁Wに取り付けた吸水装置本体5にカバー7を取り付けた状態における前方から見た正面視において、第2領域の両端とカバー本体70の周壁部710の中心軸線とを結んだ2本の直線とが交差する角度は約120度である。各開口710Aは周壁部710の内周面側にメッシュ711が張られている。
【0036】
周壁部710の内径は、吸水装置本体5の固定部20のフランジ部220の外径よりも僅かに大きい。周壁部710の内周面は、3個の突出部730が内方向に突出している。各突出部730は、周壁部710の内周面の同一円周上に等間隔に離れて設けられている。各突出部730は、カバー7を吸水装置本体5に取り付けられた際、固定部20のフランジ部220の縁部223の外周縁よりも後方に位置し、フランジ部220の縁部223の外周縁よりも内側に突出している。周壁部710は後端周縁から外方向に突出した後端縁部713を有している。後端縁部713の外周縁は、カバー7を吸水装置本体5に取り付けた際、パッキン40の各凸部420の外側の1辺よりも僅かに外側に位置する。
【0037】
前壁部720は、周壁部710の前端周縁から内側に延びた円環状である。前壁部720の前面は、外周縁から内周縁の中間部が最も前方に突出している。前壁部720の前面は、外周縁から中間部までが前方に向けて傾斜した傾斜面であり、中間部から内周縁までが後方に向けて傾斜した傾斜面である。前壁部720の後面は、周壁部710の内周面に直交した平面である。前壁部720の内径は、ノズル部60のヘッド部650の前面の外径よりも僅かに大きい。
【0038】
外装部80は、薄板状であり、側面部810、及び前面部820を有している。側面部810は6個の矩形状の開口810Aが形成されている。各開口810Aは、外装部80をカバー本体70に固定した際にカバー本体70に形成された6個の開口710Aに対応する位置に形成されている。各開口810Aはカバー本体70に形成された対応する各開口710Aよりもわずかに大きい相似形である。側面部810は、外装部80をカバー本体70に固定した際に周壁部710の第2領域に対応する部分の周方向の中央部に、側面部810の中心軸線に沿って延びた直線状のスリット810Bが形成されている。前面部820は、側面部810の前端周縁に連続している。前面部820の後面は、外装部80をカバー本体70に固定した際、カバー本体70の前壁部720の前面に接触するように形成されている。
【0039】
外装部80は、側面部810に形成された6個の開口810Aをカバー本体70の周壁部710に形成された6個の開口710Aに重ね合わせて、カバー本体70に固定される。カバー7は、カバー本体70の周壁部710に形成された6個の開口710Aと外装部80の側面部810に形成された6個の開口810Aとが重ね合った6個の吸水口7Aが形成されている。カバー本体70に外装部80を固定した状態において、外装部80の側面部810は、カバー本体70の周壁部710の後端縁から外方向に突出した後端縁部713よりも前方の外周面に沿って配置され、外装部80の前面部820は、カバー本体70の前壁部720の前面に接触して固定されている。
【0040】
<カバー7の吸水装置本体5への取付け>
カバー7は、以下に説明するように、作業者によって浴槽壁Wに取り付けられた吸水装置本体5に着脱自在に取り付けられる。作業者は、
図2に示すように、浴槽壁Wに取り付けられた吸水装置本体5の浴槽壁Wよりも前側に配置されたノズル部60に被せるようにカバー7を後方に移動させる。この際、作業者は、カバー7の外装部80に形成されたスリット810Bを上端位置に配置するようにする。
【0041】
各突出部730は、縁部223の前端部に接触して、周壁部710及び側面部810を弾性変形させながら、縁部223の外周縁よりも後方に移動する。この結果、各突出部730は、フランジ部220の縁部223の外周縁よりも内側に突出した状態になる。カバー7は、カバー本体70の周壁部710の後端面がパッキン40の各凸部420の前面及び各突起部421の少なくとも一方に接触すると、後方に移動することができなくなる。この結果、カバー7の吸水装置本体5への取付けが完了する。各凸部420は、
図4に示すように、浴槽壁Wと周壁部710との間に挟まれており、浴槽壁Wとカバー7との隙間によって形成された後述する第2吸水路F2を閉鎖する閉鎖部を構成している。各凸部420は、浴槽壁Wとカバー7との間に設けられていることになる。
【0042】
作業者が吸水装置本体5にカバー7を取り付けた状態からカバー7を前方に移動させて取り外そうとすると、周壁部710の内周面から内方向に突出した各突出部730がフランジ部220の縁部223に引っ掛かる。作業者は、カバー本体70の周壁部710及び外装部80の側面部810を弾性変形させて、各突出部730がフランジ部220の縁部223を乗り越える力以上でカバー7を前方へ移動させると、カバー7を吸水装置本体5から取り外すことができる。
【0043】
<吸水路について>
カバー7を吸水装置本体5に取り付けた状態において、
図4に示すように、浴槽内に貯留した浴槽水を吸い込む第1吸水路F1、第2吸水路F2、及び第3吸水路F3が形成されている。第1吸水路F1は、カバー7に形成された6個の吸水口7Aからノズル部60の鍔部620の外周部621に形成された複数の流入口623を経由してノズル部60の管部610と固定部20との間に形成された吸水路まで繋がっている。吸水装置1は、第1吸水路F1を経由してノズル部60の管部610と固定部20との間に形成された吸水路に浴槽水を吸い込むことができる。
【0044】
第2吸水路F2は、周壁部710の後端面と浴槽壁Wとの隙間から、周壁部710とフランジ部220の縁部223との間、及び複数の流入口623を経由し、ノズル部60の管部610と固定部20との間に形成された吸水路まで繋がっている。周壁部710の後端面と浴槽壁Wとの隙間は、各凸部420によって部分的に閉鎖されている。第2吸水路F2は、浴槽壁Wとカバー本体70の周壁部710との間に挟まれたパッキン40の各凸部420によって部分的に閉鎖されている。パッキン40の各凸部420が第2吸水路F2を部分的に閉鎖する閉鎖部である。吸水装置1は、第2吸水路F2を経由してノズル部60の管部610と固定部20との間に形成された吸水路に浴槽水を吸い込むことができる。
【0045】
第3吸水路F3は、カバー本体70の前壁部720の内周縁とノズルの前面650Aの外周縁との間から、カバー本体70の後面とノズル部60の鍔部620の前面部622との隙間、及びノズル部60の鍔部620の外周部621に形成された複数の流入口623を経由してノズル部60の管部610と固定部20との間に形成された吸水路まで繋がっている。吸水装置1は、第3吸水路F3を経由してノズル部60の管部610と固定部20との間に形成された吸水路に浴槽水を吸い込むことができる。
【0046】
<吸水装置1の浴槽水の吸水及び吐水について>
循環ポンプが駆動すると、浴槽水が第1吸水路F1、第2吸水路F2、及び第3吸水路F3の夫々を経由して、ノズル部60の管部610と固定部20との間、ハウジング10の内筒部120の外周面と外筒部110の内周面との間、及び流出管部130によって形成された吸水路を流れる。吸水路を流れた浴槽水は、配管及び循環ポンプを経由して、流入管部140、ハウジング10の内筒部120の内側の空間、ノズル部60の管部610、及びヘッド部650の内部の空洞によって形成された吐水路を流れ、ヘッド部650から浴槽内に吐水される。
【0047】
<実施形態2>
実施形態2の吸水装置2は、
図6から
図8に示すように、閉鎖部がパッキン40に設けられておらず、カバー7Xに設けられている点が実施形態1の吸水装置1と異なる。実施形態1と同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0048】
<カバー7Xの構造>
実施形態2のカバー本体70Xは、周壁部710Xの後端面から後方に延びる8個の凸部740を有している。8個の凸部740はカバー本体70Xの周壁部710Xの周方向に沿って等間隔に離れて設けられている。各凸部740の外側面及び内側面は周壁部710Xの周方向に長い略矩形状である。カバー本体70Xの周壁部710Xの周方向に沿った各凸部740の幅は、カバー本体70Xの周壁部710Xの周長の約2.5%である。各凸部740の内側面は、周壁部710Xの内周面と同一面上に広がっている。各凸部740の外側面は、周壁部710Xの外周面より僅かに内側であって、周壁部710Xの外周面に平行に広がっている。各凸部740は、周壁部710Xの後端面からの突出高さがパッキン40Xの厚さの約1/2である。
【0049】
<パッキン40Xの構造>
パッキン40Xは平板円環状である。パッキン40Xの内径は固定部20の筒部210の外径と略等しい。パッキン40Xの外径は固定部20のフランジ本体221の外径よりも僅かに小さい。
【0050】
<カバー7Xの吸水装置本体5への取付け>
作業者は、
図7に示すように、浴槽壁Wに取り付けられた吸水装置本体5の浴槽壁Wよりも前側に配置されたノズル部60に被せるようにカバー7Xを後方に移動させる。カバー7Xは、
図6及び
図8に示すように、カバー本体70Xの周壁部710Xの各凸部740の後端面が浴槽壁Wに接触すると、後方に移動させることができなくなる。この結果、カバー7Xの吸水装置本体5への取付けが完了する。カバー本体70Xの周壁部710Xの各凸部740は、浴槽壁Wとカバー7Xとの隙間によって形成された第2吸水路F2を部分的に閉鎖する閉鎖部を構成している。各凸部740は、浴槽壁Wとカバー7Xとの間に設けられていることになる。
【0051】
<吸水路について>
カバー7Xを吸水装置本体5に取り付けた状態において、
図8に示すように、浴槽内に貯留した浴槽水を吸い込む第1吸水路F1、第2吸水路F2、及び第3吸水路F3が形成されている。
図8は、浴槽壁Wに取り付けた吸水装置2の左右中央断面図である。
【0052】
第2吸水路F2は、周壁部710Xの後端面と浴槽壁Wとの隙間から、周壁部710Xとフランジ部220の縁部223との間、及び複数の流入口623を経由し、ノズル部60の管部610と固定部20との間に形成された吸水路まで繋がっている。周壁部710Xの後端面と浴槽壁Wとの隙間は、各凸部740によって部分的に閉鎖されている。第2吸水路F2は、カバー本体70Xの各凸部740によって部分的に閉鎖されている。カバー本体70Xの各凸部740が第2吸水路F2を部分的に閉鎖する閉鎖部である。吸水装置2は、第2吸水路F2を経由してノズル部60の管部610と固定部20との間に形成された吸水路に浴槽水を吸い込むことができる。
【0053】
<実施形態3>
実施形態3の吸水装置3は、
図9及び
図10に示すように、閉鎖部がパッキン40Xやカバー7に設けられておらず、パッキン40Xの前面と固定部20のフランジ本体221の後面との間に挟み込むスリップワッシャ50Xに設けられている点が実施形態1及び2の吸水装置1,2と異なる。実施形態1及び2と同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図10は、浴槽壁Wに取り付けた吸水装置3のパッキン40Xの後面に沿って切断した切断面から前方を見た断面図である。
【0054】
<スリップワッシャ50Xの構造>
実施形態3のスリップワッシャ50Xは円環状である。スリップワッシャ50Xの内径はパッキン40Xの内径よりも僅かに大きい。スリップワッシャ50Xの外径は、
図10に示すように、カバー本体70の周壁部710の内径と略等しい。スリップワッシャ50Xは、外径よりも小さい同一円周上に延びた8個のスリット状の開口510が形成されている。各開口510は同一円周上を等間隔に離れて形成されている。各開口510の周方向の長さは同じである。スリップワッシャ50Xは同一円周上で隣り合った各開口510の間に連結部520が形成されている。連結部520はスリップワッシャ50の同一円周上の8カ所に形成されている。各連結部520はスリップワッシャ50Xの同一円周上に等間隔離れている。各連結部520の円周方向の長さは、各開口510の円周方向の長さの約30%である。
【0055】
<カバー7の吸水装置本体5への取付け>
作業者は、浴槽壁Wに取り付けられた吸水装置本体5の浴槽壁Wよりも前側に配置されたノズル部60に被せるようにカバー7を後方に移動させる。カバー7は、カバー本体70の前壁部720の後面がノズル部60の鍔部620の前面に接触すると、後方に移動させることができなくなる。この結果、カバー7の吸水装置本体5への取付けが完了する。スリップワッシャ50Xの外周縁はカバー本体70の周壁部710の内周面に接触する。スリップワッシャ50Xの各開口510は、カバー本体70の周壁部710より内側であり、且つ、固定部20のフランジ部220の後側において、浴槽水が通過する。スリップワッシャ50Xの各連結部520は、第2吸水路F2を部分的に閉鎖する閉鎖部を構成している。各連結部520は、吸水装置本体5とカバー7との間に設けられていることになる。
【0056】
<吸水路について>
カバー7を吸水装置本体5に取り付けた状態において、浴槽内に貯留した浴槽水を吸い込む第1吸水路F1、第2吸水路F2、及び第3吸水路F3が形成されている。
【0057】
第2吸水路F2は、周壁部710の後端面と浴槽壁Wとの隙間から、スリップワッシャ50Xの各開口510、周壁部710とフランジ部220の縁部223との間、及び複数の流入口623を経由し、ノズル部60の管部610と固定部20との間に形成された吸水路まで繋がっている。第2吸水路F2は、スリップワッシャ50Xの各連結部520によって部分的に閉鎖されている。スリップワッシャ50Xの各連結部520が第2吸水路F2を部分的に閉鎖する閉鎖部である。吸水装置3は、第2吸水路F2を経由してノズル部60の管部610と固定部20との間に形成された吸水路に浴槽水を吸い込むことができる。
【0058】
<実施形態4>
実施形態4の吸水装置4は、
図11及び
図12に示すように、閉鎖部がパッキン40X、カバー7、及びスリップワッシャ50に設けられておらず、吸水装置本体5の固定部20Xに設けられている点が実施形態1から3の吸水装置1,2,3と異なる。実施形態1から3と同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図12は、浴槽壁Wに取り付けた吸水装置4のパッキン40Xの後面に沿って切断した切断面から前方を見た断面図である。
【0059】
<固定部20の構造>
実施形態4の固定部20Xのフランジ部220は、縁部223から外方向に延びる8個の凸部240を有している。8個の凸部240はフランジ部220Xの外周縁に沿って等間隔に離れて設けられている。各凸部240の前面及び後面はフランジ部220Xの周方向に長い略矩形状である。フランジ部220Xの周方向に沿った各凸部240の幅は、フランジ部220Xの外周の長さの約2.3%である。各凸部240の外側面は、フランジ部220Xの縁部223の外周面に平行である。
【0060】
<カバー7の吸水装置本体5への取付け>
作業者は、浴槽壁Wに取り付けられた吸水装置本体5の浴槽壁Wよりも前側に配置されたノズル部60に被せるようにカバー7を後方に移動させる。カバー7は、カバー本体70の前壁部720の後面がノズル部60の鍔部620の前面に接触すると、後方に移動させることができなくなる。この結果、カバー7の吸水装置本体5への取付けが完了する。各凸部240の外側面はカバー本体70の周壁部710の内周面に接触する。各凸部240は、カバー本体70の周壁部710より内側において、第2吸水路F2を部分的に閉鎖する閉鎖部を構成している。各凸部240は、吸水装置本体5とカバー7との間に設けられていることになる。
【0061】
<吸水路について>
カバー7を吸水装置本体5に取り付けた状態において、浴槽内に貯留した浴槽水を吸い込む第1吸水路F1、第2吸水路F2、及び第3吸水路F3が形成されている。
【0062】
第2吸水路F2は、周壁部710の後端面と浴槽壁Wとの隙間から、フランジ部220の各凸部240の間、及び複数の流入口623を経由し、ノズル部60の管部610と固定部20との間に形成された吸水路まで繋がっている。第2吸水路F2は、フランジ部220Xの各凸部240によって部分的に閉鎖されている。フランジ部220Xの各凸部240が第2吸水路F2を部分的に閉鎖する閉鎖部である。吸水装置4は、第2吸水路F2を経由してノズル部60の管部610と固定部20との間に形成された吸水路に浴槽水を吸い込むことができる。
【0063】
以上説明したように、実施形態1から4の吸水装置1,2,3,4は、浴槽壁Wとの隙間を形成して浴槽壁Wに取り付けられており、浴槽壁Wとの隙間から浴槽内に貯留した浴槽水を吸い込む第2吸水路F2を形成し、第2吸水路F2を部分的に閉鎖する閉鎖部を備えている。この吸水装置1,2,3,4は、浴槽壁Wとの隙間から浴槽水を吸い込む第2吸水路F2を部分的に閉鎖する閉鎖部を備えているため、浴槽壁Wとの隙間に毛髪等の長い異物が絡むことを抑制することができる。このため、この吸水装置1,2,3,4は、吸水性能の低下の抑制ができる。
【0064】
実施形態1から4の吸水装置1,2,3,4は、吸水装置本体5と、カバー7、7Xとを備えている。吸水装置本体5は浴槽壁Wに取り付けられる。カバー7、7Xは、カバー本体70の周壁部710の後端面と浴槽壁Wとの間に隙間を形成し、吸水装置本体5に着脱自在に取り付けられる。第2吸水路F2は、浴槽壁Wとカバー本体70の周壁部710の後端面との隙間、及びフランジ部220の縁部223と周壁部710との隙間によって第2吸水路F2が形成されている。この吸水装置1,2,3,4はカバー7、7Xが着脱自在であるため、浴槽壁Wとカバー7、7Xとの隙間に毛髪等の長い異物が付着しても、カバー7、7Xを吸水装置本体5から取り外して毛髪等の長い異物を容易に除去することができる。
【0065】
実施形態1及び2の吸水装置1,2において、閉鎖部は浴槽壁Wとカバー7との間に設けられている。この吸水装置1,2は、浴槽壁Wとカバー7との隙間を部分的に閉鎖する閉鎖部によって浴槽壁Wとカバー7との隙間に毛髪等の長い異物が絡むことを抑制することができる。
【0066】
実施形態1の吸水装置1において、吸水装置本体5は、浴槽壁Wとの間に挟まれ、外周縁の8カ所から外方向に延びた8個の凸部420を具備したパッキン40を有しており、閉鎖部は浴槽壁Wとカバー7との間に挟まれる凸部420である。この吸水装置1は、閉鎖部を容易に取り付けることができ、閉鎖部によって浴槽壁Wとカバー7との隙間に毛髪等の長い異物が絡むことを抑制することができる。
【0067】
実施形態1の吸水装置1において、パッキン40の凸部420はカバー7に接触する表面に形成された突起部421を有している。この吸水装置1は、パッキン本体の後面及び凸部420の後面が接触する浴槽壁Wが湾曲していても、カバー本体70の周壁部710の後端面にパッキン40の各凸部420の前面及び突起部421の少なくとも一方を接触させることができる。このため、この吸水装置1は、浴槽壁Wとカバー本体70の周壁部710との間に閉鎖部を確実に挟み込むことができ、浴槽壁Wとカバー7との隙間に毛髪等の長い異物が絡むことを抑制することができる。
【0068】
実施形態3及び4の吸水装置3,4において、閉鎖部は吸水装置本体5とカバー7との間に設けられている。この吸水装置3,4は、吸水装置本体5とカバー7との間に形成された第2吸水路F2を部分的に閉鎖するため、浴槽壁Wとカバー7との隙間から吸水される浴槽水の流量が低減し、浴槽壁Wとカバー7との隙間に毛髪等の長い異物が絡むことを抑制することができる。
【0069】
<他の実施形態>
本開示は実施形態1から4に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態1とは異なり、凸部の数は、8個に限らず、1個以上あればよい。複数の凸部を設ける場合、各凸部は、等間隔に離して設けなくてもよい。各凸部は、パッキン本体部の外周縁の一方に偏って設けてもよい。例えば、各凸部は、吸水装置を浴槽壁に取り付けた状態において、外周縁の下方に偏って設けてもよい。
(2)実施形態1とは異なり、各凸部の正面形状は、略台形、略三角形等の略矩形状以外の形状であってもよい。
(3)実施形態1とは異なり、各凸部の平行に延びる2辺の間隔は、凸部の数や浴槽水を第2吸水路から吸水する設定流量等によって、大きくしたり、小さくしたりしてもよい。各凸部の平行に延びる2辺の間隔が異なっていてもよい。
(4)実施形態1とは異なり、突起部の形状は略半球状でなくてもよく、突起部をパッキンの各凸部の前面に設けなくてもよい。
(5)実施形態2とは異なり、凸部の数は、8個に限らず、1個以上あればよい。複数の凸部を設ける場合、各凸部は、等間隔に離して設けなくてもよい。各凸部は、カバー本体の周壁部の一方に偏って設けてもよい。例えば、各凸部は、吸水装置を浴槽壁に取り付けた状態において、周壁部の下方に偏って設けてもよい。
(6)実施形態2とは異なり、各凸部の外側面及び内側面は、略台形、略三角形等の略矩形状以外の形状であってもよい。
(7)各凸部の幅は、凸部の数や浴槽水を第2吸水路から吸水する設定流量等によって、実施形態2の値に比べて大きくしたり、小さくしたりしてもよい。各凸部の幅は異なっていてもよい。
(8)実施形態3とは異なり、連結部の数は、8個に限らず、1個以上あればよい。複数の連結部を設ける場合、各連結部は、等間隔に離して設けなくてもよい。連結部は、スリップワッシャの一方に偏って設けてもよい。例えば、連結部は、吸水装置を浴槽壁に取り付けた状態において、スリップワッシャの下方に偏って設けてもよい。
(9)連結部の周方向の長さは、連結部の数や浴槽水を第2吸水路から吸水する設定流量等によって、実施形態3の値に比べて長くしたり、短くしたりしてもよい。各連結部の周方向の長さは異なっていてもよい。
(9)実施形態4とは異なり、凸部の数は、8個に限らず、1個以上あればよい。複数の凸部を設ける場合、各凸部は、等間隔に離して設けなくてもよい。各凸部は、フランジの縁部の一方に偏って設けてもよい。例えば、各凸部は、吸水装置を浴槽壁に取り付けた状態において、フランジの縁部の下方に偏って設けてもよい。
(10)実施形態4とは異なり、各凸部の前面及び後面は、略台形、略三角形等の略矩形状以外の形状であってもよい。
(11)、各凸部の幅は、凸部の数や浴槽水を第2吸水路から吸水する設定流量等によって、実施形態4の値に比べて大きくしたり、小さくしたりしてもよい。各凸部の幅は異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1,2,3,4…吸水装置、5…吸水装置本体、7,7X…カバー、40,40X…パッキン、240,420,520,740…閉鎖部(240…(固定部20Xの)凸部、420…(パッキン40の)凸部、520…(スリップワッシャ50Xの)連結部、740…(カバー7Xの)凸部、421…突起部、F2…第2吸水路(吸水路)、W…浴槽壁