(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191646
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】振動素子、振動デバイス及び振動素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H03H 9/19 20060101AFI20221221BHJP
H03H 3/02 20060101ALI20221221BHJP
H03H 9/215 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
H03H9/19 K
H03H3/02
H03H9/215
H03H9/19 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099985
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】川内 修
(72)【発明者】
【氏名】小林 琢郎
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108AA02
5J108BB02
5J108CC06
5J108DD05
5J108HH04
5J108HH06
5J108KK06
5J108MM11
5J108MM14
(57)【要約】
【課題】バリ等の異物の形成を抑制することができる振動素子、振動デバイス及び振動素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】振動素子1の振動腕43,44は、上面である第1面101と、Z方向において第1面101に対向する下面である第2面102と、側面である第1側面111及び第2側面112と、先端面である第3側面113と、を有する。第1側面111、第2側面112及び第3側面113のうち少なくとも1つは、Z方向に対して傾斜する第1側面部と、第1側面部に対し第1面101又は第2面102に向かって傾斜する第2側面部と、を含む。第1錘461は、Z方向から見たときに、第1錘461の外縁部463A,463B,463Cが第1側面部及び第2側面部における最内側部131,132,133よりも内側又は最内側部131,132,133と同じ位置になるように配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
第1面と、Z軸に沿った方向において前記第1面に対向する第2面と、第1側面と、前記Z軸に直交するX軸に沿った方向において前記第1側面に対向する第2側面と、前記基部と反対側に位置する第3側面と、を含み、前記基部から前記Z軸及び前記X軸に直交するY軸に沿った方向に延出している振動腕と、
前記第2面に配置されている第1錘と、を有し、
前記第1側面、前記第2側面及び前記第3側面のうち少なくとも1つは、前記Z軸に沿った方向に対して傾斜する第1側面部と、前記第1側面部に対し前記第1面又は前記第2面に向かって傾斜する第2側面部と、を含み、
前記第1錘は、前記Z軸に沿った方向から見たときに、前記第1錘の外縁部が前記第1側面部及び前記第2側面部における最内側部よりも内側又は前記最内側部と同じ位置になるように配置されている、
振動素子。
【請求項2】
前記第1側面及び前記第2側面の少なくとも一方は、前記第1側面部及び前記第2側面部を有する、
請求項1に記載の振動素子。
【請求項3】
前記第3側面は前記第1側面部及び前記第2側面部を有する、
請求項1又は請求項2に記載の振動素子。
【請求項4】
前記振動腕は、前記第1錘が配置された錘部と、前記錘部よりも前記基部側に、前記第1面及び前記第2面に凹部が形成された腕部と、を有し、
前記錘部の前記第2面における前記X軸に沿った方向の幅は、前記錘部の前記第1面における前記X軸に沿った方向の幅よりも小さい、
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の振動素子。
【請求項5】
前記腕部の前記第1面における前記X軸に沿った方向の幅と、前記腕部の前記第2面における前記X軸に沿った方向の幅と、は等しい、
請求項4に記載の振動素子。
【請求項6】
前記第1側面部には第2錘が配置されている、
請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の振動素子。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の振動素子と、
前記振動素子を収納するパッケージと、を有する振動デバイス。
【請求項8】
振動素子の周波数を調整する周波数調整方法を含み、
前記振動素子は、
基部と、
第1面と、Z軸に沿った方向において前記第1面に対向する第2面と、第1側面と、前記Z軸に直交するX軸に沿った方向において前記第1側面に対向する第2側面と、前記基部と反対側に位置する第3側面と、を含み、前記基部から前記Z軸及び前記X軸に直交するY軸に沿った方向に延出している振動腕と、
前記第2面に配置されている第1錘と、を有し、
前記第1側面、前記第2側面及び前記第3側面のうち少なくとも1つは、前記Z軸に沿った方向に対して傾斜する第1側面部と、前記第1側面部に対し前記第1面又は前記第2面に向かって傾斜する第2側面部と、を含み、
前記第1錘は、前記Z軸に沿った方向から見たときに、前記第1錘の外縁部が前記第1側面部及び前記第2側面部における最内側部よりも内側又は前記最内側部と同じ位置になるように配置されており、
前記周波数調整方法は、前記第1面側から前記Z軸に沿った方向にレーザー光を照射して前記第1錘の少なくとも一部を除去することによって、前記振動素子の発振周波数を変化させる工程、を含む、
振動素子の製造方法。
【請求項9】
前記振動腕は、前記第1側面部に第2錘が配置されており、
前記周波数調整方法は、前記第1面側から前記Z軸に沿った方向にレーザー光を照射して前記第2錘の少なくとも一部を除去することによって、前記振動素子の発振周波数を変化させる工程を含む、
請求項8に記載の振動素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動素子、振動デバイス及び振動素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、水晶振動子の振動片において、第1表面と、断面凸部を有する第1側面と、第2側面と、に周波数調整用金属膜を形成し、第1表面に対向する第2表面からレーザーを入射し、周波数調整用金属膜の一部を除去することにより、周波数を調整する水晶振動子の周波数調整方法が知られている。
また、特許文献1に示すように、レーザーが入射する角度を、第2側面から第1側面に向かって鋭角にすることで、第1側面側の周波数調整用金属膜において、除去すべき周波数調整用金属膜がバリとして残ることを防止できることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の水晶振動子の周波数調整方法では、レーザーが入射する角度を、第2側面から第1側面に向かって鋭角にしているため、第2側面側の周波数調整用金属膜を除去する際に、レーザーが第2側面によって屈折又は遮蔽される。このため、レーザーが第2側面側の周波数調整用金属膜に十分に照射されず、バリ等の異物が形成される虞がある。このバリ等の異物が生産工程上や製品完成後に落下すると、水晶振動子の周波数が変化してしまう、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
振動素子は、基部と、第1面と、Z軸に沿った方向において前記第1面に対向する第2面と、第1側面と、前記Z軸に直交するX軸に沿った方向において前記第1側面に対向する第2側面と、前記基部と反対側に位置する第3側面と、を含み、前記基部から前記Z軸及び前記X軸に直交するY軸に沿った方向に延出している振動腕と、前記第2面に配置されている第1錘と、を有し、前記第1側面、前記第2側面及び前記第3側面のうち少なくとも1つは、前記Z軸に沿った方向に対して傾斜する第1側面部と、前記第1側面部に対し前記第1面又は前記第2面に向かって傾斜する第2側面部と、を含み、前記第1錘は、前記Z軸に沿った方向から見たときに、前記第1錘の外縁部が前記第1側面部及び前記第2側面部における最内側部よりも内側又は前記最内側部と同じ位置になるように配置されている。
【0006】
振動デバイスは、上述の振動素子と、前記振動素子を収納するパッケージと、を有する。
【0007】
振動素子の製造方法は、振動素子の周波数を調整する周波数調整方法を含み、前記振動素子は、基部と、第1面と、Z軸に沿った方向において前記第1面に対向する第2面と、第1側面と、前記Z軸に直交するX軸に沿った方向において前記第1側面に対向する第2側面と、前記基部と反対側に位置する第3側面と、を含み、前記基部から前記Z軸及び前記X軸に直交するY軸に沿った方向に延出している振動腕と、前記第2面に配置されている第1錘と、を有し、前記第1側面、前記第2側面及び前記第3側面のうち少なくとも1つは、前記Z軸に沿った方向に対して傾斜する第1側面部と、前記第1側面部に対し前記第1面又は前記第2面に向かって傾斜する第2側面部と、を含み、前記第1錘は、前記Z軸に沿った方向から見たときに、前記第1錘の外縁部が前記第1側面部及び前記第2側面部における最内側部よりも内側又は前記最内側部と同じ位置になるように配置されており、前記周波数調整方法は、前記第1面側から前記Z軸に沿った方向にレーザー光を照射して前記第1錘の少なくとも一部を除去することによって、前記振動素子の発振周波数を変化させる工程、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図7】実施形態1に係る振動素子の製造方法を示すフローチャート。
【
図19】実施形態3に係る振動素子の製造方法を示すフローチャート。
【
図22】実施形態4に係る振動デバイスを示す断面図。
【
図24】実施形態5に係る振動素子の動作を説明するための模式図。
【
図25】実施形態5に係る振動素子の動作を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態1
実施形態1に係る振動素子1について、
図1~
図6を参照して説明する。
説明の便宜上、以下の各図には、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、及びZ軸を図示している。X軸に沿った方向を「X方向」、Y軸に沿った方向を「Y方向」、Z軸に沿った方向を「Z方向」と言う。また、各軸の矢印側を「プラス側」、矢印と反対側を「マイナス側」とも言う。また、Z方向プラス側を「上」、Z方向マイナス側を「下」とも言う。また、Z方向からの平面視において、Z方向プラス側の面を上面、この上面と反対側となるZ方向マイナス側の面を下面として説明する。なお、本実施形態では、X軸、Y軸及びZ軸は、後述するように、水晶の結晶軸に相当する。また、以下の各図においては、説明を分かりやすくするため、実際とは異なる尺度で記載している場合がある。
【0010】
図1に示すように、振動素子1は、音叉型の水晶振動子である。
振動素子1は、振動体41と、振動体41を振動させるための電極45と、振動体41の周波数を調整するための金属膜46と、を有する。
【0011】
振動体41は、Zカット水晶板から形成され、X軸及びY軸で規定されるXY平面に広がりを有し、Z方向に厚みを有する平板状である。なお、X軸、Y軸及びZ軸は、それぞれ水晶の結晶軸である電気軸、機械軸及び光軸に相当する。
【0012】
振動体41は、第1面101と、Z方向において第1面101に対向する第2面102と、を有する。本実施形態では、第1面101は、振動体41におけるZ方向プラス側の主面であり、第2面102は、振動体41におけるZ方向マイナス側の主面である。つまり、第1面101は、振動体41の上面であり、第2面102は、振動体41の下面である。
【0013】
なお、振動体41の構成材料としては、特に限定されず、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛等の各種圧電材料を用いても構わないし、例えば、シリコン基板等の圧電材料以外の材料を用いても構わない。
【0014】
振動体41は、基部42と、基部42からY方向に延出している一対の振動腕43,44と、を有する。本実施形態では、振動腕43,44は、基部42からY方向プラス側に延出している。
【0015】
振動腕43,44は、上面である第1面101と、下面である第2面102と、第1面101と第2面102とを接続する第1側面111と、X方向において第1側面111に対向する第2側面112と、基部42と反対側に位置し、第1面101と第2面102とを接続する第3側面113と、を含む。本実施形態では、第1側面111は、振動腕43,44におけるX方向プラス側の側面であり、第2側面112は、振動腕43,44におけるX方向マイナス側の側面である。第3側面113は、振動腕43,44におけるY方向プラス側の側面であり、つまり、振動腕43,44の先端面である。
【0016】
振動腕43,44は、それぞれ腕部430,440と、錘部431,441と、を有する。錘部431,441は、振動腕43,44において、基部42とは反対側の先端部に配置される。腕部430,440は、錘部431,441よりも基部42側に配置され、錘部431,441と、基部42と、を接続する。
【0017】
振動腕43,44の腕部430,440には、電極45が配置される。振動腕43,44の錘部431,441には、金属膜46が配置される。
【0018】
まず、振動腕43,44の腕部430,440について説明する。
図1及び
図2に示すように、振動腕43の腕部430は、第1面101に開口する溝状の凹部432と、第2面102に開口する溝状の凹部433と、を有する。同様に、振動腕44の腕部440は、第1面101に開口する溝状の凹部442と、第2面102に開口する溝状の凹部443と、を有する。このように、腕部430,440は、それぞれの第1面101に溝状の凹部432,442を有し、それぞれの第2面102に溝状の凹部433,443を有する、略H状の横断面形状を有する。
【0019】
振動腕43,44の腕部430,440には、電極45として、信号電極481と、接地電極482と、が配置されている。信号電極481は、振動腕43の第1面101及び第2面102と、振動腕44の第1側面111及び第2側面112と、に配置されている。接地電極482は、振動腕43の第1側面111及び第2側面112と、振動腕44の第1面101及び第2面102と、に配置されている。
【0020】
信号電極481に駆動信号を印加することにより、振動腕43,44は接近、離間を繰り返すようにして屈曲振動する。
【0021】
次に、振動腕43,44の錘部431,441について説明する。
図3及び
図4に示すように、振動腕43の錘部431における第1側面111は、上部側面部121と、下部側面部122と、を含む。第1側面111における上部側面部121の上端は、第1面101と接続している。第1側面111における上部側面部121の下端は、第1側面111における下部側面部122の上端と接続している。第1側面111における下部側面部122の下端は、第2面102と接続している。
【0022】
本実施形態では、錘部431における第1側面111の上部側面部121は、Z方向に対して平行であり、錘部431における第1側面111の下部側面部122は、Z方向に対して傾斜している。
【0023】
つまり、錘部431における第1側面111の下部側面部122は、本発明におけるZ方向に対して傾斜する第1側面部である。そして、錘部431における第1側面111の上部側面部121は、本発明における第1側面部に対し第1面101に向かって傾斜する第2側面部である。
言い換えると、錘部431における第1側面111は、Z方向に対して傾斜する第1側面部である下部側面部122と、第1側面部である下部側面部122に対し第1面101に向かって傾斜する第2側面部である上部側面部121と、を含む。
【0024】
また、振動腕43の錘部431における第2側面112は、上部側面部123と、下部側面部124と、を含む。第2側面112における上部側面部123の上端は、第1面101と接続している。第2側面112における上部側面部123の下端は、第2側面112における下部側面部124の上端と接続している。第2側面112における下部側面部124の下端は、第2面102と接続している。
【0025】
本実施形態では、錘部431における第2側面112の上部側面部123は、Z方向に対して平行であり、錘部431における第2側面112の下部側面部124は、Z方向に対して傾斜している。
【0026】
つまり、錘部431における第2側面112の下部側面部124は、本発明におけるZ方向に対して傾斜する第1側面部である。そして、錘部431における第2側面112の上部側面部123は、本発明における第1側面部に対し第1面101に向かって傾斜する第2側面部である。
言い換えると、錘部431における第2側面112は、Z方向に対して傾斜する第1側面部である下部側面部124と、第1側面部である下部側面部124に対し第1面101に向かって傾斜する第2側面部である上部側面部123と、を含む。
【0027】
図5に示すように、振動腕43の錘部431における第3側面113は、上部側面部125と、下部側面部126と、を含む。第3側面113における上部側面部125の上端は、第1面101と接続している。第3側面113における上部側面部125の下端は、第3側面113における下部側面部126の上端と接続している。第3側面113における下部側面部126の下端は、第2面102と接続している。
【0028】
本実施形態では、錘部431における第3側面113の上部側面部125は、Z方向に対して平行であり、錘部431における第3側面113の下部側面部126は、Z方向に対して傾斜している。
【0029】
つまり、錘部431における第3側面113の下部側面部126は、本発明におけるZ方向に対して傾斜する第1側面部である。そして、錘部431における第3側面113の上部側面部125は、本発明における第1側面部に対し第1面101に向かって傾斜する第2側面部である。
言い換えると、錘部431における第3側面113は、Z方向に対して傾斜する第1側面部である下部側面部126と、第1側面部である下部側面部126に対し第1面101に向かって傾斜する第2側面部である上部側面部125と、を含む。
【0030】
また、
図1及び
図3~
図6に示すように、振動腕44の錘部441は、振動腕43の錘部431と基本的な構成が同一である。振動腕44の錘部441における第1側面111は、Z方向に対して傾斜する第1側面部としての下部側面部122と、第1側面部としての下部側面部122に対し第1面101に向かって傾斜する第2側面部としての上部側面部121と、を含む。錘部441における第2側面112は、Z方向に対して傾斜する第1側面部である下部側面部124と、第1側面部である下部側面部124に対し第1面101に向かって傾斜する第2側面部である上部側面部123と、を含む。錘部441における第3側面113は、Z方向に対して傾斜する第1側面部である下部側面部126と、第1側面部である下部側面部126に対し第1面101に向かって傾斜する第2側面部である上部側面部125と、を含む。
【0031】
次に、振動腕43,44の錘部431,441に配置される金属膜46について説明する。
図1及び
図3~
図6に示すように、振動腕43,44の錘部431,441における第2面102と、第1側面111と、第2側面112と、第3側面113と、にはそれぞれ金属膜46が配置されている。金属膜46は、振動素子1の共振周波数を調整したり、振動腕43,44の振動バランスを調整したりするためのものである。後述するように、振動素子1の周波数調整方法に含まれる周波数調整工程において、レーザー光LBを金属膜46に照射して金属膜46の一部を除去し、振動腕43,44の質量を減少させることにより、振動素子1の共振周波数を調整することができる。なお、金属膜46を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)などを主成分とする金属材料で構成することができる。本実施形態では、金属膜46は、金(Au)で構成されている。
【0032】
振動腕43,44の錘部431,441の第2面102に配置されている金属膜46は、本発明における第2面102に配置されている第1錘461である。
【0033】
図1及び
図3~
図6は、周波数調整工程を終えた後、すなわち、レーザー光LBが照射され、第1錘461の一部が除去された状態を示す。
図1及び
図4~
図6に示すように、第2面102における除去領域462は、周波数調整工程においてレーザー光LBが照射されて第1錘461が除去された領域である。
【0034】
本実施形態では、第1錘461と、第2面102における除去領域462と、は振動腕43,44の長手方向であるY方向に並んで配置され、除去領域462が第1錘461に対して振動腕43,44の先端側すなわちY方向プラス側に位置する。このように、除去領域462を第1錘461よりも振動腕43,44の先端側に配置することにより、言い換えると、第1錘461の先端側を除去することにより、除去した第1錘461の単位質量あたりの周波数変化量をより大きくすることができる。そのため、周波数調整工程において、十分な周波数調整幅を確保することができる。ただし、第1錘461及び除去領域462の配置は、特に限定されず、例えば、除去領域462が、第1錘461のY方向マイナス側に位置していても構わない。
【0035】
次に、振動腕43,44の錘部431,441における第1側面111、第2側面112、及び第3側面113に対する第1錘461の配置について説明する。
【0036】
まず、振動腕43の錘部431における第1側面111に対する第1錘461の配置について説明する。
図3に示すように、また、上述したように、錘部431における第1側面111の下部側面部122は、Z方向に対して傾斜している。具体的には、錘部431における第1側面111の下部側面部122は、第1面101から第2面102に向かって錘部431の内側に傾斜している。つまり、錘部431の第1側面111において、第1側面部である下部側面部122及び第2側面部である上部側面部121における最内側部131は、下部側面部122が第2面102と接続する下部側面部122の下端部となる。
【0037】
なお、本発明における「最内側部」とは、錘部431,441における第1側面111、第2側面112及び第3側面113をZ方向から投影したときに、第1側面111、第2側面112及び第3側面113のそれぞれにおいて錘部431,441の最も内側に位置する部分である。
【0038】
錘部431の第1側面111において、第1側面部である下部側面部122及び第2側面部である上部側面部121における最内側部131を通り、Z方向に平行な仮想線を仮想線L1とし、錘部431の第2面102に配置されている第1錘461における第1側面111側の外縁部463Aを通り、Z方向に平行な仮想線を仮想線L2とすると、仮想線L1と、仮想線L2とは、Z方向に直交するY方向からの側面視で、同じ位置にある。
【0039】
なお、本発明における「同じ」、「等しい」は、製造ばらつきなどを含み、実質的に同じ、あるいは実質的に等しいことを意味する。
【0040】
また、
図1に示すように、錘部431において、第1側面111における第1側面部である下部側面部122及び第2側面部である上部側面部121における最内側部131と、第1錘461における第1側面111側の外縁部463Aと、は同じ位置にある。つまり、錘部431における第1錘461は、Z方向から見たときに、第1錘461における第1側面111側の外縁部463Aが第1側面111における第1側面部である下部側面部122及び第2側面部である上部側面部121における最内側部131と同じ位置になるように配置されている。
【0041】
このように、Z方向から見たときに、第1錘461における第1側面111側の外縁部463Aが第1側面111における第1側面部である下部側面部122及び第2側面部である上部側面部121における最内側部131と同じ位置になるように、第1錘461を配置することにより、第1錘461にレーザー光LBを照射する際に、第1側面111の下部側面部122及び上部側面部121におけるレーザー光LBの屈折又は遮蔽を抑制することができる。このため、レーザー光LBを第1錘461に十分に照射することができ、バリ等の異物の形成が抑制されるので、バリ等の異物の落下による周波数の変化が発生し難い振動素子1を提供することができる。
【0042】
次に、振動腕43の錘部431における第2側面112に対する第1錘461の配置について説明する。
図3に示すように、また、上述したように、錘部431における第2側面112の下部側面部124は、Z方向に対して傾斜している。具体的には、錘部431における第2側面112の下部側面部124は、第1面101から第2面102に向かって錘部431の内側に傾斜している。つまり、錘部431の第2側面112において、第1側面部である下部側面部124及び第2側面部である上部側面部123における最内側部132は、下部側面部124が第2面102と接続する下部側面部124の下端部となる。
【0043】
錘部431の第2側面112において、第1側面部である下部側面部124及び第2側面部である上部側面部123における最内側部132を通り、Z方向に平行な仮想線を仮想線L3とし、錘部431の第2面102に配置されている第1錘461における第2側面112側の外縁部463Bを通り、Z方向に平行な仮想線を仮想線L4とすると、仮想線L3と、仮想線L4とは、Z方向に直交するY方向からの側面視で、同じ位置にある。
【0044】
また、
図1に示すように、錘部431において、第2側面112における第1側面部である下部側面部124及び第2側面部である上部側面部123における最内側部132と、第1錘461における第2側面112側の外縁部463Bと、は同じ位置にある。つまり、錘部431における第1錘461は、Z方向から見たときに、第1錘461における第2側面112側の外縁部463Bが第2側面112における第1側面部である下部側面部124及び第2側面部である上部側面部123における最内側部132と同じ位置になるように配置されている。
【0045】
このように、Z方向から見たときに、第1錘461における第2側面112側の外縁部463Bが第2側面112における第1側面部である下部側面部124及び第2側面部である上部側面部123における最内側部132と同じ位置になるように、第1錘461を配置することにより、第1側面111と同様に、第2側面112においても、レーザー光LBの屈折又は遮蔽を抑制することができる。このため、レーザー光LBを第1錘461に十分に照射することができ、バリ等の異物の発生が抑制され、周波数の変化が発生し難い振動素子1を提供することができる。
【0046】
次に、振動腕43の錘部431における第3側面113に対する第1錘461の配置について説明する。
図5に示すように、また、上述したように、錘部431における第3側面113の下部側面部126は、Z方向に対して傾斜している。具体的には、錘部431における第3側面113の下部側面部126は、第1面101から第2面102に向かって錘部431の内側に傾斜している。つまり、錘部431の第3側面113において、第1側面部である下部側面部126及び第2側面部である上部側面部125における最内側部133は、下部側面部126が第2面102と接続する下部側面部126の下端部となる。
【0047】
錘部431の第3側面113において、第1側面部である下部側面部126及び第2側面部である上部側面部125における最内側部133を通り、Z方向に平行な仮想線を仮想線L5とし、錘部431の第2面102に配置されている第1錘461における第3側面113側の外縁部463Cを通り、Z方向に平行な仮想線を仮想線L6とすると、仮想線L6は、仮想線L5に対し、Z方向に直交するX方向からの側面視で、Y方向マイナス側に位置している。つまり、外縁部463Cを通り、Z方向に平行な仮想線L6は、第3側面113の第1側面部及び第2側面部における最内側部133を通り、Z方向に平行な仮想線L5よりも内側に向かう方向であるY方向マイナス側に位置している。
【0048】
また、
図1に示すように、錘部431において、第1錘461における第3側面113側の外縁部463Cは、第3側面113における第1側面部である下部側面部126及び第2側面部である上部側面部125における最内側部133よりも内側になる。
【0049】
このように、Z方向から見たときに、第1錘461における第3側面113側の外縁部463Cが第3側面113における第1側面部である下部側面部126及び第2側面部である上部側面部125における最内側部133よりも内側になるように、第1錘461を配置することにより、第1側面111や第2側面112と同様に、第3側面113においても、レーザー光LBの屈折又は遮蔽を抑制することができる。このため、レーザー光LBを第1錘461に十分に照射することができ、バリ等の異物の発生が抑制され、周波数の変化が発生し難い振動素子1を提供することができる。
【0050】
次に、振動腕44の錘部441における第1側面111、第2側面112、及び第3側面113に対する第1錘461の配置について説明する。
図1及び
図3~
図6に示すように、振動腕44の錘部441は、振動腕43の錘部431と基本的な構成が同一である。従って、振動腕44の錘部441における第1側面111、第2側面112、及び第3側面113に対する第1錘461の配置は、振動腕43の錘部431と同様である。具体的には、Z方向から見たときに、第1錘461は、第1錘461の外縁部463A,463Bがそれぞれ第1側面111の第1側面部及び第2側面部における最内側部131、第2側面112の第1側面部及び第2側面部における最内側部132と同じ位置になるように配置される。Z方向から見たときに、第1錘461は、第1錘461の外縁部463Cが第3側面113の第1側面部及び第2側面部における最内側部133よりも内側になるように配置される。これにより、錘部441における第1側面111、第2側面112、及び第3側面113によるレーザー光LBの屈折又は遮蔽を抑制することができる。このため、レーザー光LBを第1錘461に十分に照射することができ、バリ等の異物の発生が抑制され、周波数の変化が発生し難い振動素子1を提供することができる。
【0051】
本実施形態では、上述したように、振動腕43,44の錘部431,441における第1側面111、第2側面112、及び第3側面113の3つの側面は、Z方向に対して傾斜する第1側面部である下部側面部122,124,126と、第1側面部に対し第1面101に向かって傾斜する第2側面部である上部側面部121,123,125と、をそれぞれ含む。そして、第1錘461は、Z方向から見たときに、第1錘461の外縁部463A,463B,463Cがそれぞれ第1側面部である下部側面部122,124,126及び第2側面部である上部側面部121,123,125におけるそれぞれの最内側部131,132,133よりも内側又は最内側部131,132,133と同じ位置になるように配置されている。なお、第1側面111、第2側面112、及び第3側面113の少なくとも1つの側面を、本実施形態の構成とすることにしても構わない。ただし、第1側面111、第2側面112、及び第3側面113の3つの側面を、本実施形態の構成とすると、第1側面111、第2側面112、及び第3側面113の3つの側面においてバリ等の異物の発生が抑制されるので、第1側面111、第2側面112、及び第3側面113の3つの側面のうち1つあるいは2つの側面を本実施形態の構成とする場合と比べ、周波数の変化がさらに発生し難い振動素子1を提供することができる。
【0052】
また、振動腕43,44の錘部431,441における第1側面111及び第2側面112の少なくとも一方を、本実施形態の構成とすることにより、周波数の変化が発生し難い音叉型の水晶振動子を振動素子1として提供することができる。つまり、音叉型の水晶振動子をウェットエッチングにより形成する場合、水晶の異方性により、第1側面111や第2側面112は、従来技術のように断面凸部を有する形状となり易いが、断面凸部を有する形状であっても、後述する振動素子1の周波数調整工程において、第1錘461にレーザー光LBを照射する際に、第1側面111又は第2側面112におけるレーザー光LBの屈折又は遮蔽を抑制することができる。そのため、周波数の変化が発生し難い音叉型の水晶振動子を振動素子1として提供することができる。
【0053】
また、振動腕43,44の錘部431,441における第3側面113を本実施形態の構成とすることにより、後述する振動素子1の周波数調整工程において周波数変化量を大きくすることができるとともに、周波数調整工程後の周波数の変化が発生し難い振動素子1を提供することができる。つまり、第3側面113は、振動腕43,44の先端面であり、振動腕43,44の先端面である第3側面113におけるレーザー光LBの屈折又は遮蔽を抑制することにより、第1錘461を、振動腕43,44の先端側から除去することが容易になる。そのため、周波数調整工程において周波数変化量を大きくすることができる。また、振動腕43,44の先端側におけるバリ等の異物の発生を抑制することができるので、周波数調整工程後の周波数の変化が発生し難い振動素子1を提供することができる。
【0054】
また、
図3に示すように、錘部431,441の第2面102におけるX方向の幅W4は、錘部431,441の第1面101におけるX方向の幅W3よりも小さい。これにより、錘部431,441の第2面102におけるX方向の幅W4全体に第1錘461を形成することが容易になり、製造が容易な振動素子1を提供することができる。
【0055】
また、
図2に示すように、腕部430,440の第1面101におけるX方向の幅W1と、腕部430,440の第2面102におけるX方向の幅W2と、は等しい。上述したように、腕部430,440には、信号電極481と、接地電極482と、が配置されており、信号電極481に駆動信号を印加することにより、振動腕43,44が振動する。腕部430,440の第1面101におけるX方向の幅W1と、腕部430,440の第2面102におけるX方向の幅W2と、を等しくすることにより、振動腕43,44の振動バランスが向上し、振動漏れを低減することができる。これにより、振動効率に優れた振動素子1を提供することができる。
【0056】
次に、本実施形態に係る振動素子1の製造方法について、
図7~
図11を参照して説明する。
【0057】
振動素子1の製造方法は、振動素子1の周波数を調整する周波数調整方法を含む。そして、振動素子1の周波数を調整する周波数調整方法は、
図7に示すように、振動素子1を準備する準備工程と、振動素子1の発振周波数を測定する周波数測定工程と、振動素子1の発振周波数を変化させて、振動素子1の発振周波数を目標値とする周波数に調整する周波数調整工程と、を含む。
【0058】
1.1 準備工程
まず、ステップS1において、
図8に示すように、水晶ウエハー40を準備し、フォトリソグラフィー技法及びエッチング技法を用いて水晶ウエハー40をパターニングすることにより、水晶ウエハー40に複数の振動体41を形成する。次に、スパッタリング等によって、振動体41の表面に電極45を形成し、さらに、蒸着等によって、振動腕43,44の錘部431,441に金属膜46を形成する。本実施形態では、上述したように、錘部431,441の第2面102と、第1側面111と、第2側面112と、第3側面113と、に金属膜46が形成される。第2面102に形成される金属膜46が、第1錘461である。
【0059】
1.2 周波数測定工程
次に、ステップS2において、例えば、発振回路を有する周波数測定装置のプローバーを振動体41の表面に形成されている電極45に接触させ、振動素子1の発振周波数を測定する。
【0060】
1.3 周波数調整工程
次に、ステップS3において、ステップS2で測定した発振周波数に基づいて、振動素子1の周波数を調整する。具体的には、
図9~
図11に示すように、錘部431,441の第2面102に配置されている第1錘461にレーザー光LBを照射し、第1錘461の一部を除去する。本実施形態では、レーザー光LBは、振動素子1の第1面101側から第2面102に向かって、Z方向に沿った方向に照射される。第1錘461の一部を除去し、振動腕43,44の質量を減少させることにより、振動素子1の発振周波数を変化させ、目標値とする周波数に調整することができる。なお、振動腕43の錘部431と、振動腕44の錘部441と、は基本的な構成が同一であるので、
図10及び
図11では、振動腕43,44の錘部431,441のうち、振動腕43の錘部431を図示している。
【0061】
図10に示すように、レーザー光LBが照射される方向であるZ方向から見たときに、第1側面111における第1側面部である下部側面部122及び第2側面部である上部側面部121における最内側部131よりも内側又は最内側部131と同じ位置に照射されるレーザー光LBは、第1側面111による屈折又は遮蔽が抑制される。つまり、Z方向から見たときに、第1側面111の第1側面部及び第2側面部における最内側部131よりも内側又は最内側部131と同じ位置に配置される第1錘461を除去するとき、最内側部131よりも内側又は最内側部131と同じ位置に配置される第1錘461に、レーザー光LBを十分に照射することができる。そのため、第1錘461を除去する際に、バリ等の異物の形成が抑制されるので、バリ等の異物の落下による周波数の変化が発生し難い振動素子1を提供することができる。
【0062】
また、同様に、Z方向から見たときに、第2側面112における第1側面部である下部側面部124及び第2側面部である上部側面部123における最内側部132よりも内側又は最内側部132と同じ位置に照射されるレーザー光LBは、第2側面112による屈折又は遮蔽が抑制されるので、最内側部132よりも内側又は最内側部132と同じ位置に配置される第1錘461に、レーザー光LBを十分に照射することができる。そのため、第1錘461を除去する際に、バリ等の異物の形成が抑制されるので、周波数の変化が発生し難い振動素子1を提供することができる。
【0063】
また、
図11に示すように、Z方向から見たときに、第3側面113における第1側面部である下部側面部126又は第2側面部である上部側面部125における最内側部133よりも内側及び最内側部133と同じ位置に照射されるレーザー光LBは、第3側面113による屈折又は遮蔽が抑制されるので、最内側部133よりも内側又は最内側部133と同じ位置に配置される第1錘461に、レーザー光LBを十分に照射することができる。そのため、第1錘461を除去する際に、バリ等の異物の形成が抑制されるので、周波数の変化が発生し難い振動素子1を提供することができる。
【0064】
なお、本実施形態では、周波数調整工程をステップS2の周波数測定工程後に行っているが、これに限定されることはなく、周波数調整工程において周波数測定しながら振動素子1の発振周波数を調整しても構わない。
【0065】
また、周波数調整工程において用いられるレーザー光LBとしては、特に限定されず、例えば、YAG、エキシマレーザー等のパルス状レーザー光、炭酸ガスレーザー等の連続発振レーザー光を用いても構わない。なお、本実施形態では、レーザー光LBとしてパルス状レーザー光を用いている。つまり、スポット状に集光されたレーザー光LBを連続して照射することにより、第1錘461の一部を除去している。このように、レーザー光LBとしてパルス状レーザー光を用いることにより、レーザー光LBの強度を変化させることなく一定としたまま、照射時間や照射ピッチを変更することにより、第1錘461に対する単位面積当たりのレーザー光LBの照射量すなわちエネルギー量を制御することができる。そのため、レーザー光LBが安定し、周波数調整工程を精度よく行うことができる。
【0066】
なお、本実施形態では、周波数調整工程において、第1錘461の一部を除去しているが、第1錘461を全て除去しても構わない。つまり、第1錘461の少なくとも一部を除去することによって、振動素子1の発振周波数を変化させ、振動素子1を目標値とする周波数に調整することができる。
【0067】
以上述べた通り、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
振動素子1は、基部42と、第1面101と、Z方向において第1面101に対向する第2面102と、第1側面111と、X方向において第1側面111に対向する第2側面112と、基部42と反対側に位置する第3側面113と、を含み、基部42からY方向に延出している振動腕43,44と、第2面102に配置されている第1錘461と、を有する。そして、振動素子1における第1側面111、第2側面112及び第3側面113のうち少なくとも1つは、Z方向に対して傾斜する第1側面部である下部側面部122,124,126と、第1側面部に対し第1面101に向かって傾斜する第2側面部である上部側面部121,123,125と、を含む。そして、Z方向から見たときに、第1錘461の外縁部463A,463B,463Cが、第1側面111、第2側面112、及び第3側面113のそれぞれにおいて、第1側面部である下部側面部122,124,126及び第2側面部である上部側面部121,123,125における最内側部131,132,133よりも内側又は最内側部131,132,133と同じ位置になるように、第1錘461は配置されている。
これにより、レーザー光LBを第1錘461に十分に照射することができ、第1錘461におけるバリ等の異物の形成が抑制され、バリ等の異物の落下による周波数の変化が発生し難い振動素子1を提供することができる。
【0068】
なお、本実施形態では、錘部431,441の第1側面111、第2側面112、及び第3側面113における第2側面部である上部側面部121,123,125は、Z方向に対して平行であるが、Z方向に対して傾斜していても構わない。
【0069】
また、本実施形態では、錘部431,441の第1側面111、第2側面112、及び第3側面113における第1側面部である下部側面部122,124,126は、第1面101から第2面102に向かって錘部431の内側に傾斜しているが、錘部431の外側に向かって傾斜していても構わない。
【0070】
また、本実施形態では、錘部431,441の第1側面111、第2側面112、及び第3側面113における下部側面部122,124,126が本発明における第1側面部であり、上部側面部121,123,125が本発明における第2側面部であるが、上部側面部121,123,125が第1側面部となり、下部側面部122,124,126が第2側面部となるように、上部側面部121,123,125と、下部側面部122,124,126と、を配置しても構わない。なお、下部側面部122,124,126が第2側面部となるように配置される場合は、第2側面部となる下部側面部122,124,126は、第1側面部となる上部側面部121,123,125に対し第2面102に向かって傾斜する。
【0071】
また、本実施形態では、錘部431,441の第1側面111、第2側面112、及び第3側面113において、上部側面部121,123,125の上端部と、第1面101と、が接続しているが、上部側面部121,123,125の上端部と、第1面101と、が他の側面部を介して接続していても構わない。同様に、上部側面部121,123,125の下端部と、下部側面部122,124,126の上端部とが、他の側面部を介して接続していても構わないし、下部側面部122,124,126の上端部と、第2面102とが他の側面部を介して接続していても構わない。
【0072】
2.実施形態2
次に、実施形態2に係る振動素子1aについて、
図12~
図15を参照して説明する。
実施形態2の振動素子1aは、実施形態1の振動素子1に比べ、振動腕43,44の錘部431a,441aの形状が異なること以外は、実施形態1と同様である。
なお、上述した実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図12~
図15は、周波数調整工程を終えた後、すなわち、レーザー光LBが照射され、第1錘461の一部が除去された状態を示す。また、振動腕43の錘部431aと、振動腕44の錘部441aと、は基本的な構成は同一であるので、
図13~
図15では、振動腕43,44の錘部431a,441aのうち、振動腕43の錘部431aを図示している。
【0073】
図12、
図13及び
図15に示すように、振動腕43,44の錘部431a,441aにおける第2面102と、第1側面111aと、第2側面112aと、第3側面113aと、にはそれぞれ金属膜46が配置されている。振動腕43の錘部431aの第2面102に配置されている金属膜46は、第1錘461である。また、
図12、
図14及び
図15に示すように、第2面102における除去領域462は、周波数調整工程においてレーザー光LBが照射されて第1錘461が除去された領域である。
【0074】
振動腕43の錘部431aにおける第1側面111aは、上部側面部121aと、下部側面部122aと、を含む。第1側面111aにおける上部側面部121aの上端は、第1面101と接続している。第1側面111aにおける上部側面部121aの下端は、第1側面111aにおける下部側面部122aの上端と接続している。第1側面111aにおける下部側面部122aの下端は、第2面102と接続している。
【0075】
本実施形態では、錘部431aにおける第1側面111aの上部側面部121aは、Z方向に対して傾斜しており、錘部431aにおける第1側面111aの下部側面部122aは、Z方向に対して平行である。
【0076】
つまり、錘部431aにおける第1側面111aの上部側面部121aは、本発明におけるZ方向に対して傾斜する第1側面部である。そして、錘部431aにおける第1側面111aの下部側面部122aは、本発明における第1側面部に対し第2面102に向かって傾斜する第2側面部である。
言い換えると、錘部431aにおける第1側面111aは、Z方向に対して傾斜する第1側面部である上部側面部121aと、第1側面部である上部側面部121aに対し第2面102に向かって傾斜する第2側面部である下部側面部122aと、を含む。
【0077】
本実施形態では、錘部431aにおける第1側面111aの上部側面部121aは、第1面101から第2面102に向かって錘部431aの内側に傾斜している。つまり、錘部431aの第1側面111aにおいて、第1側面部である上部側面部121a及び第2側面部である下部側面部122aにおける最内側部131aは、上部側面部121aが下部側面部122aと接続する上部側面部121aの下端部となる。
【0078】
図13に示すように、錘部431aの第1側面111aにおいて、第1側面部である上部側面部121a及び第2側面部である下部側面部122aにおける最内側部131aを通り、Z方向に平行な仮想線を仮想線L1aとし、錘部431aの第2面102に配置されている第1錘461における第1側面111a側の外縁部463Aを通り、Z方向に平行な仮想線を仮想線L2aとすると、仮想線L1aと、仮想線L2aとは、Z方向に直交するY方向からの側面視で、同じ位置にある。
【0079】
また、
図12に示すように、錘部431aにおいて、第1側面111aにおける第1側面部である上部側面部121a及び第2側面部である下部側面部122aにおける最内側部131aと、第1錘461における第1側面111a側の外縁部463Aと、は同じ位置にある。つまり、錘部431aにおける第1錘461は、Z方向から見たときに、第1錘461における第1側面111a側の外縁部463Aが第1側面111aにおける第1側面部である上部側面部121a及び第2側面部である下部側面部122aにおける最内側部131aと同じ位置になるように配置されている。
【0080】
このように、Z方向から見たときに、第1錘461における第1側面111a側の外縁部463Aが第1側面111aにおける第1側面部である上部側面部121a及び第2側面部である下部側面部122aにおける最内側部131aと同じ位置になるように、第1錘461を配置することにより、第1錘461にレーザー光LBを照射する際に、第1側面111aの上部側面部121a及び下部側面部122aにおけるレーザー光LBの屈折又は遮蔽を抑制することができる。このため、レーザー光LBを第1錘461に十分に照射することができ、バリ等の異物の形成が抑制されるので、バリ等の異物の落下による周波数の変化が発生し難い振動素子1aを提供することができる。
【0081】
なお、
図13及び
図14に示すように、本実施形態では、振動腕43の錘部431aにおける第2側面112aは、YZ平面に平行な面であり、
図15に示すように、第3側面113aは、XZ平面に平行な面である。つまり、振動腕43の錘部431aにおける第2側面112a及び第3側面113aは、本発明における第1側面部及び第2側面部を含まない。
【0082】
振動腕43の錘部431aについて説明したが、振動腕43の錘部431aと、振動腕44の錘部441aと、は基本的な構成は同一であり、振動腕43の錘部431aと同様に、振動腕44の錘部441aにおける第1側面111aは、Z方向に対して傾斜する第1側面部である上部側面部121aと、第1側面部である上部側面部121aに対し第2面102に向かって傾斜する第2側面部である下部側面部122aと、を含む。そして、Z方向から見たときに、第1錘461における第1側面111a側の外縁部463Aが第1側面111aにおける第1側面部である上部側面部121a及び第2側面部である下部側面部122aにおける最内側部131aと同じ位置になるように、第1錘461を配置することにより、レーザー光LBを第1錘461に十分に照射することができ、バリ等の異物の落下による周波数の変化が発生し難い振動素子1aを提供することができる。
【0083】
以上述べた通り、本実施形態によれば、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
振動素子1aにおける第1側面111a、第2側面112a及び第3側面113aのうちの1つである第1側面111aは、Z方向に対して傾斜する第1側面部である上部側面部121aと、第1側面部に対し第2面102に向かって傾斜する第2側面部である下部側面部122aと、を含む。そして、第1錘461は、Z方向から見たときに、第1錘461における第1側面111a側の外縁部463Aが、第1側面部である上部側面部121a及び第2側面部である下部側面部122aにおける最内側部131aと同じ位置になるように配置されている。
これにより、レーザー光LBを第1錘461に十分に照射することができ、第1錘461におけるバリ等の異物の形成が抑制され、周波数の変化が発生し難い振動素子1aを提供することができる。
【0084】
なお、本実施形態では、錘部431a,441aの第1側面111aにおける第2側面部である下部側面部122aは、Z方向に対して平行であるが、Z方向に対して傾斜していても構わない。
【0085】
また、本実施形態では、錘部431a,441aの第1側面111aにおける第1側面部である上部側面部121aは、第1面101から第2面102に向かって錘部431aの内側に傾斜しているが、錘部431aの外側に向かって傾斜していても構わない。
【0086】
3.実施形態3
次に、実施形態3に係る振動素子1bについて、
図16~
図18を参照して説明する。
実施形態3の振動素子1bは、実施形態1の振動素子1に比べ、振動腕43,44の錘部431,441の第1側面111における第1側面部である下部側面部122に配置される金属膜46が第2錘465となることや、第2錘465がレーザー光LBにより除去された除去領域466を有すること以外は、実施形態1と同様である。
なお、上述した実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図16~
図18は、後述する周波数微調整工程を終えた後、すなわち、レーザー光LBが照射され、第2錘465の一部が除去された状態を示す。また、振動腕43の錘部431と、振動腕44の錘部441と、は基本的な構成は同一であるので、
図17及び
図18では、振動腕43,44の錘部431,441のうち、振動腕43の錘部431を図示している。
【0087】
図16及び
図17に示すように、振動腕43,44の錘部431,441における第2面102と、第1側面111と、第2側面112と、第3側面113と、にはそれぞれ金属膜46が配置されている。
【0088】
本実施形態では、錘部431,441の第1側面111における第1側面部である下部側面部122に配置される金属膜46は、第2錘465である。言い換えると、錘部431,441の第1側面111における第1側面部である下部側面部122には、第2錘465が配置されている。
【0089】
また、
図16及び
図18に示すように、第1側面111における第1側面部である下部側面部122は、除去領域466を有する。除去領域466は、後述する周波数微調整工程において、レーザー光LBが照射されて第2錘465が除去された領域である。
【0090】
次に、実施形態3に係る振動素子1bの製造方法について、
図19~
図21を参照して説明する。実施形態3の振動素子1bの製造方法は、実施形態1の振動素子1の製造方法に比べ、ステップS4である周波数測定工程と、ステップS5である周波数微調整工程と、を有すること以外は、実施形態1と同様である。
なお、上述した実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、振動腕43の錘部431と、振動腕44の錘部441と、は基本的な構成は同一であるので、
図21では、振動腕43,44の錘部431,441のうち、振動腕43の錘部431を図示している。
【0091】
振動素子1bの製造方法は、振動素子1bの周波数を調整する周波数調整方法を含む。そして、振動素子1bの周波数を調整する周波数調整方法は、
図19に示すように、振動素子1bを準備する準備工程と、振動素子1bの発振周波数を測定する周波数測定工程と、振動素子1bの発振周波数を調整する周波数調整工程と、振動素子1bの発振周波数を測定する周波数測定工程と、振動素子1bの発振周波数を変化させて、振動素子1bの発振周波数を目標値とする周波数に微調整する周波数微調整工程と、を含む。
【0092】
ステップS1である準備工程、ステップS2である周波数測定工程、及びステップS3である周波数調整工程は、実施形態1と同一の工程であるので、詳細な説明を省略する。
【0093】
1.1 準備工程
まず、ステップS1において、水晶ウエハー40を準備し、水晶ウエハー40に複数の振動体41を形成する。次に、振動体41の表面に電極45や、金属膜46を形成する。本実施形態では、上述したように、錘部431,441の第2面102に形成される金属膜46が、第1錘461であり、錘部431,441の第1側面111における第1側面部である下部側面部122に形成される金属膜46が、第2錘465である。
【0094】
1.2 周波数測定工程
次に、ステップS2において、振動素子1bの発振周波数を測定する。
【0095】
1.3 周波数調整工程
次に、ステップS3において、ステップS2で測定した発振周波数に基づいて、振動素子1の周波数を調整する。具体的には、錘部431,441の第2面102に配置されている第1錘461にレーザー光LBを照射し、第1錘461の一部を除去する。
【0096】
1.4 周波数測定工程
次に、ステップS4において、ステップS2と同様に、発振回路を有する周波数測定装置のプローバーを振動体41の表面に形成されている電極45に接触させ、振動素子1bの発振周波数を測定する。
【0097】
1.5 周波数微調整工程
次に、ステップS5において、ステップS4で測定した発振周波数に基づいて、振動素子1bの周波数を微調整する。具体的には、
図20及び
図21に示すように、錘部431,441の第1側面111における第1側面部である下部側面部122に配置されている第2錘465にレーザー光LBを照射し、第2錘465の一部を除去する。
【0098】
本実施形態では、レーザー光LBは、振動素子1の第1面101側から第2面102に向かって、Z方向に沿った方向に照射される。レーザー光LBの焦点の位置は、ステップS3である周波数調整工程において第2面102に配置されている第1錘461を効率的に除去できるように、第2面102に配置される第1錘461の位置にある。つまり、錘部431,441の第1側面111における第1側面部である下部側面部122に配置されている第2錘465の位置と、第2錘465に照射されるレーザー光LBの焦点の位置と、は一致しない。そのため、第2錘465に照射される単位面積当たりのレーザー光LBの照射量すなわちエネルギー量は、第1錘461に照射される単位面積当たりのレーザー光LBのエネルギー量よりも減少し、レーザー光LBの1スポット当たりの第2錘465の除去量は、レーザー光LBの1スポット当たりの第1錘461の除去量に比べて減少する。
【0099】
従って、ステップS5である周波数微調整工程において第2錘465の一部を除去することにより、ステップS3である周波数調整工程よりも、振動素子1bの発振周波数を高精度に変化させることができ、振動素子1bの発振周波数を目標値とする周波数に微調整することができる。
【0100】
なお、本実施形態では、周波数微調整工程をステップS4の周波数測定工程後に行っているが、これに限定されることはなく、周波数微調整工程において周波数測定しながら振動素子1bの発振周波数を微調整しても構わない。
【0101】
また、本実施形態では、錘部431,441の第1側面111における第1側面部である下部側面部122に形成される金属膜46を第2錘465としているが、第2側面112における第1側面部である下部側面部124に形成される金属膜46や、第3側面113における第1側面部である下部側面部126に形成される金属膜46を、第2錘465としても構わない。
【0102】
以上述べた通り、本実施形態によれば、実施形態1での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
振動素子1bは、錘部431,441の第1側面111における第1側面部である下部側面部122に第2錘465が配置されている。これにより、周波数の微調整が容易な振動素子1bを提供することができる。
【0103】
なお、本実施形態では、上述した周波数微調整工程において、第2錘465の一部を除去しているが、第2錘465を全て除去しても構わない。つまり、第2錘465の少なくとも一部を除去することによって、振動素子1bの発振周波数を変化させ、振動素子1bを目標値とする周波数に微調整することができる。
【0104】
4.実施形態4
次に、実施形態4に係る振動デバイス10について、
図22を参照して説明する。実施形態4に係る振動デバイス10では、上述した振動素子1,1a,1bのいずれかを用いることができる。本実施形態では、実施形態1で説明した振動素子1を適用した例を示す。
なお上述した実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、
図22では、振動素子1に設けられる電極45や、金属膜46の図示を省略している。
【0105】
図22に示す振動デバイス10は、例えば、発振器として用いられる。なお、振動デバイス10は、発振器以外の機器、例えば、加速度センサー、角速度センサー等の各種センサーとして用いられても構わない。振動デバイス10は、コンピューター、プリンター、スマートフォン、タブレット端末、時計、テレビ、ヘッドマウントディスプレイ、ビデオカメラ、デジタルスチールカメラ、カーナビゲーション装置、電子ゲーム機器、各種医療機器、各種測定機器、各種移動体等に内蔵することができる。
【0106】
図22に示すように、振動デバイス10は、パッケージ13と、パッケージ13内に収納されている振動素子1及び回路素子16と、を有する。
【0107】
パッケージ13は、上面に開口する凹部311を備えるベース31と、凹部311の開口を塞ぐようにベース31の上面に接合部材33を介して接合されている板状のリッド32と、を有する。パッケージ13の内側には、凹部311によって内部空間Sが形成され、内部空間Sに振動素子1及び回路素子16が収納されている。
【0108】
例えば、ベース31は、アルミナ等のセラミックスで構成することができ、リッド32は、コバール等の金属材料で構成することができる。ただし、ベース31及びリッド32の構成材料としては、それぞれ、特に限定されない。例えば、リッド32は、光透過性を有するガラス材料で構成されていても構わない。
【0109】
また、内部空間Sは、気密であり、減圧状態、好ましくは、より真空に近い状態となっている。これにより、粘性抵抗が減少して振動素子1の振動特性が向上する。ただし、内部空間Sの雰囲気は、特に限定されず、例えば、窒素又はアルゴン等の不活性ガスを封入した雰囲気であってもよく、減圧状態でなく大気圧状態又は加圧状態となっていても構わない。
【0110】
また、凹部311は、ベース31の上面に開口する凹部311aと、凹部311aの底面に開口し、凹部311aよりも開口幅が小さい凹部311bと、凹部311bの底面に開口し、凹部311bよりも開口幅が小さい凹部311cと、を有する。
【0111】
凹部311aの底面には、複数の内部端子341が配置されている。凹部311bの底面には複数の内部端子342が配置されている。ベース31の下面には複数の外部端子343が配置されている。複数の内部端子342の一部は、ベース31内に形成されている図示しない内部配線を介して内部端子341と電気的に接続され、残りは、図示しない内部配線を介して外部端子343と電気的に接続されている。
【0112】
振動素子1は、振動素子1の基部42において導電性の接合部材12を介して内部端子341と接合される。これにより、振動素子1は、接合部材12を介してベース31に固定されるとともに、振動素子1が有する電極45と、内部端子341と、は電気的に接続されている。
【0113】
回路素子16は、凹部311cの底面に接合されている。回路素子16には、例えば、外部のホストデバイスと通信を行うインターフェイス部や、振動素子1を発振させる発振回路等が含まれている。なお、回路素子16は、省略しても構わないし、パッケージ13の外部に配置しても構わない。
また、回路素子16は、ボンディングワイヤーBWを介して内部端子342と電気的に接続されている。
【0114】
このように、振動素子1と、回路素子16と、は内部端子341、図示しない内部配線、内部端子342、及びボンディングワイヤーBWを介して電気的に接続されているので、回路素子16が振動素子1に駆動信号を印加することにより、振動素子1を所望の周波数で発振させることができる。
【0115】
以上述べた通り、本実施形態によれば、上述した実施形態1と同様の効果を得ることができ、周波数の変化が発生し難い振動デバイス10を提供することができる。
【0116】
5.実施形態5
次に、実施形態5に係る振動素子1cについて、
図23~
図25を参照して説明する。
実施形態5の振動素子1cは、実施形態1の振動素子1に比べ、いわゆるダブルT型と呼ばれる構造を有するジャイロ素子であること以外は、実施形態1と同様である。
なお、上述した実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、
図23は、上述した周波数調整工程を終えた後、すなわち、レーザー光LBが照射され、第1錘461の一部が除去された状態を示す。
【0117】
本実施形態の振動素子1cは、ジャイロ素子であり、具体的には、Z軸を検出軸とする角速度ωzを検出することのできる角速度センサー素子である。
【0118】
図23に示すように、振動素子1cは、振動体41cと、電極45と、振動体41の周波数を調整するための金属膜46と、を有する。本実施形態では、電極45は、後述するように、振動体41cが有する駆動腕456,457,458,459を振動させるためや、振動体41cが有する検出腕452,453の振動を検出するために用いられる。
【0119】
振動体41cは、Zカット水晶板から形成され、中央部に位置する基部451と、基部451からY方向プラス側及びY方向マイナス側にそれぞれ延出する振動腕としての一対の検出腕452,453と、基部451からX方向プラス側及びX方向マイナス側にそれぞれ延出する一対の連結腕454,455と、連結腕454の先端部からY方向プラス側及びY方向マイナス側にそれぞれ延出する振動腕としての一対の駆動腕456,457と、連結腕455の先端部からY方向プラス側及びY方向マイナス側にそれぞれ延出する振動腕としての一対の駆動腕458,459と、を有する。
【0120】
なお、本実施形態では、Y方向プラス側に延出する検出腕452、駆動腕456、及び駆動腕458のそれぞれのX方向プラス側の側面を第1側面111とし、X方向マイナス側の側面を第2側面112とする。検出腕452、駆動腕456、及び駆動腕458のそれぞれの先端面であるY方向プラス側の側面を第3側面113とする。
【0121】
また、Y方向マイナス側に延出する検出腕453、駆動腕457、及び駆動腕459のそれぞれのX方向マイナス側の側面を第1側面111とし、X方向プラス側の側面を第2側面112とする。検出腕453、駆動腕457、及び駆動腕459のそれぞれの先端面であるY方向マイナス側の側面を第3側面113とする。
【0122】
振動腕としての一対の検出腕452,453は、それぞれ腕部452a,453aと、錘部452b,453bと、を有する。錘部452b,453bは、検出腕452,453において、基部451とは反対側の先端部に配置される。腕部452a,453aは、錘部452b,453bよりも基部451側に配置され、錘部452b,453bと、基部451と、を接続する。
【0123】
振動腕としての一対の駆動腕456,457は、それぞれ腕部456a,457aと、錘部456b,457bと、を有する。錘部456b,457bは、駆動腕456,457において、連結腕454とは反対側の先端部に配置される。腕部456a,457aは、錘部456b,457bよりも連結腕454側に配置され、錘部456b,457bと、連結腕454と、を接続する。
【0124】
振動腕としての一対の駆動腕458,459は、それぞれ腕部458a,459aと、錘部458b,459bと、を有する。錘部458b,459bは、駆動腕458,459において、連結腕455とは反対側の先端部に配置される。腕部458a,459aは、錘部458b,459bよりも連結腕455側に配置され、錘部458b,459bと、連結腕455と、を接続する。
【0125】
駆動腕456,457,458,459及び検出腕452,453のそれぞれの先端部に配置される錘部456b,457b,458b,459b,452b,453bは、上述した実施形態1と同様の構成となっている。
【0126】
具体的には、錘部456b,457b,458b,459b,452b,453bのそれぞれにおける第2面102と、第1側面111と、第2側面112と、第3側面113と、には金属膜46が配置されている。第2面102に配置されている金属膜46は、第1錘461である。第2面102における除去領域462は、上述した周波数調整工程においてレーザー光LBが照射されて第1錘461が除去された領域である。
【0127】
そして、Z方向から見たときに、錘部456b,457b,458b,459b,452b,453bのそれぞれにおける第1錘461は、第1錘461における第1側面111側の外縁部463Aが第1側面111の第1側面部及び第2側面部における最内側部131と同じ位置になるように配置される。また、Z方向から見たときに、第1錘461は、第1錘461における第2側面112側の外縁部463Bが第2側面112の第1側面部及び第2側面部における最内側部132と同じ位置になるように配置される。また、Z方向から見たときに、第1錘461は、第1錘461における第3側面113側の外縁部463Cが第3側面113の第1側面部及び第2側面部における最内側部133よりも内側になるように配置される。これにより、第1錘461にレーザー光LBを照射する際に、錘部456b,457b,458b,459b,452b,453bのそれぞれにおける第1側面111、第2側面112、及び第3側面113によるレーザー光LBの屈折又は遮蔽を抑制することができる。このため、レーザー光LBを第1錘461に十分に照射することができ、バリ等の異物の発生が抑制され、周波数の変化が発生し難い振動素子1cを提供することができる。
【0128】
電極45は、駆動信号電極483と、駆動接地電極484と、第1検出信号電極485と、第1検出接地電極486と、第2検出信号電極487と、第2検出接地電極488と、を有する。
駆動信号電極483は、駆動腕456の腕部456aにおける第1面101及び第2面102と、駆動腕457の腕部457aにおける第1面101及び第2面102と、駆動腕458の腕部458aにおける第1側面111及び第2側面112と、駆動腕459の腕部459aにおける第1側面111及び第2側面112と、に配置されている。
【0129】
駆動接地電極484は、駆動腕456の腕部456aにおける第1側面111及び第2側面112と、駆動腕457の腕部457aにおける第1側面111及び第2側面112と、駆動腕458の腕部458aにおける第1面101及び第2面102と、駆動腕459の腕部459aにおける第1面101及び第2面102と、に配置されている。
【0130】
第1検出信号電極485は、検出腕452の腕部452aにおける第1面101及び第2面102に配置され、第1検出接地電極486は、検出腕452の腕部452aにおける第1側面111及び第2側面112に配置されている。
【0131】
第2検出信号電極487は、検出腕453の腕部453aにおける第1面101及び第2面102に配置され、第2検出接地電極488は、検出腕453の腕部453aにおける第1側面111及び第2側面112に配置されている。
【0132】
このような振動素子1cは、次のようにして角速度ωzを検出する。
図24に示すように、まず、駆動信号電極483及び駆動接地電極484の間に駆動信号を印加すると、駆動腕456,457,458,459は、
図24中の矢印で示すように屈曲振動する。以下、この駆動モードを駆動振動モードと言う。
【0133】
そして、
図25に示すように、振動素子1cが駆動振動モードで駆動している状態で、振動素子1cに角速度ωzが加わると、検出振動モードが新たに励振される。検出振動モードでは、駆動腕456,457,458,459にコリオリの力が作用し、
図25中の矢印bに示す方向の振動が励振される。そして、駆動腕456,457,458,459における矢印bに示す方向の振動に呼応して、検出腕452,453には矢印aに示す方向の屈曲振動による検出振動が生じる。このような検出振動モードによって検出腕452に発生した電荷を第1検出信号電極485及び第1検出接地電極486の間から第1検出信号として取り出し、検出腕453に発生した電荷を第2検出信号電極487及び第2検出接地電極488の間から第2検出信号として取り出し、これら第1、第2検出信号に基づいて角速度ωzを検出することができる。
【0134】
以上のような実施形態5によっても、上述した実施形態1と同様の効果を得ることができる。つまり、本発明に係る振動素子は、ジャイロ素子にも適用することができる。
【符号の説明】
【0135】
1,1a,1b,1c…振動素子、10…振動デバイス、13…パッケージ、41,41c…振動体、42…基部、43,44…振動腕、45…電極、46…金属膜、101…第1面、102…第2面、111,111a…第1側面、112,112a…第2側面、113,113a…第3側面、121,121a,123,125…上部側面部、122,122a,124,126…下部側面部、131,131a,132,133…最内側部、430,440…腕部、431,431a,441,441a…錘部、432,433,442,443…凹部、461…第1錘、462…除去領域、463A,463B,463C…外縁部、481…信号電極、482…接地電極。