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特開2022-19167橋桁の遊間に設けられる伸縮止水構造体
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  • 特開-橋桁の遊間に設けられる伸縮止水構造体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019167
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】橋桁の遊間に設けられる伸縮止水構造体
(51)【国際特許分類】
   E01C 11/02 20060101AFI20220120BHJP
   E01D 19/06 20060101ALI20220120BHJP
   E01D 19/08 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
E01C11/02 A
E01D19/06
E01D19/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020122840
(22)【出願日】2020-07-17
(71)【出願人】
【識別番号】592061854
【氏名又は名称】ヒートロック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(72)【発明者】
【氏名】白石 英治
【テーマコード(参考)】
2D051
2D059
【Fターム(参考)】
2D051AC04
2D051FA03
2D051FA07
2D051FA10
2D051FA12
2D051FA17
2D051FA29
2D059AA13
2D059GG02
2D059GG37
2D059GG45
(57)【要約】      (修正有)
【課題】遊間の変化を適切に吸収でき、かつ雨水の落下を十分に防止する橋桁の遊間に設けられる伸縮止水構造体を提供する。
【解決手段】伸縮止水構造体1を、長方形状の第1~4の金属板5、6、7、8と、伸縮体10とから構成する。第1~4の金属板は長辺に平行な1本の山折り線により折り曲げて、垂直板部5a、6a、…と水平板部5b、6b、…とを形成する。第1、2の金属板5、6はそれぞれの垂直板部が一方と他方の床版2の端面に接着されるようになっているが、それぞれの水平板部同士が向かい合うようにして所定の重ね代でスライド自在に重ねる。第3、4の金属板7、8は、それぞの垂直板部を第1、2の金属板7、8の垂直板部に接着し、かつそれぞれの水平板部同士を所定の重ね代でスライド自在に重ねる。第1、2の金属板の水平板部と、第1、2の金属板の垂直板部と、第3、4の金属板の水平板部とで囲まれた内部空間に伸縮体10を設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接続されている複数の橋桁からなる橋梁または高架道路の、隣り合う橋桁のそれぞれの床版の間の隙間である遊間に設けられ、該遊間の大きさの変化に合わせて伸縮すると共に前記遊間に流れこむ雨水の落下を防止するようになっている伸縮止水構造体であって、
前記伸縮止水構造体は長辺が長い長方形状の第1~4の金属板と伸縮を許容する所定の伸縮体とから構成され、
前記第1~4の金属板はそれぞれ長辺に平行な1本の山折り線により折り曲げられ、それによって垂直な垂直板部と水平な水平板部とが形成されており、
前記第1、2の金属板はそれぞれの垂直板部が一方の床版と他方の床版のそれぞれの端面に接着されるようになっていると共に、それぞれの前記水平板部同士が互いに向かい合って所定の重ね代でスライド自在に重ね合わされ、
前記第3、4の金属板は前記第1、2の金属板の内側においてそれぞれの前記垂直板部が前記第1、2の金属板のそれぞれの前記垂直板部に接着され、かつそれぞれの前記水平板部が互いに向かい合って所定の重ね代でスライド自在に重ね合わされており、
前記伸縮体は、前記第1、2の金属板の前記水平板部と、前記第1、2の金属板の前記垂直板部と、前記第3、4の金属板の前記水平板部とからなる直方体状の内部空間に入れられていることを特徴とする伸縮止水構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の伸縮止水構造体において、前記第1、2の金属板はそれぞれの前記水平板部が前記垂直板部に対してわずかに鋭角になるように折り曲げられ、そして前記第3、4の金属板は、それぞれの前記水平板部が前記垂直板部に対してわずかに鈍角になるように折り曲げられており、それによって前記内部空間に入れられている前記伸縮体は前記第1、2の金属板の前記水平板部から下方へ押しつけられていると共に、前記第3、4の金属板の前記水平板部から上方に押し上げられていることを特徴とする伸縮止水構造体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の伸縮止水構造体において、前記伸縮体はゴムまたは硬質発泡樹脂からなる所定板厚の複数枚のスライド板からなり、該スライド板は上面形状が長方形状を呈し、その短辺は前記内部空間の横幅より短くなっており、
略半数の前記スライド板は、互いに前記スライド板の板厚と略等しい間隔を上下に空けるようにして水平に設けられ、それぞれの長辺に該当する端面が前記第1の金属板の前記垂直板部に接着されており、
残りの前記スライド板はそれぞれ前記略半数の前記スライド板同士の間に挿入され、そしてそれぞれの長辺に該当する端面が前記第2の金属板の前記垂直板部に接着されていることを特徴とする伸縮止水構造体。
【請求項4】
請求項1または2に記載の伸縮止水構造体において、前記伸縮体は弾性を備えた直方体の発泡樹脂からなることを特徴とする伸縮止水構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁や高架道路において、橋桁同士の接続部に設けられる伸縮止水構造体もしくは伸縮目地構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
橋梁や高架道路は複数の橋脚の上に設けられている。つまり隣り合う所定の2本の橋脚間に上部構造、すなわち桁および床版からなる橋桁が架けられ、次の隣り合う2本の橋脚間にも橋桁が設けられ、このようにして道路の進行方向に複数の橋桁が接続されている。そして、これらの橋桁の上にアスファルト合材からなる舗装道路が敷設されている。ところで、隣り合う床版同士の間には、これらの接続部において所定の隙間、すなわち遊間が形成されている。温度変化の熱膨張による橋桁の伸縮を逃がしたり、地震や震動による影響を緩和するためである。このような橋桁同士の接続部には橋桁同士が滑らかに接続されるように、そして伸縮を許容するように所定の伸縮装置すなわち継手構造体が設けられている。例えば鋼鉄製からなるフィンガージョイント、ゴム部材からなるゴムジョイント、弾性を備えた舗装材からなる埋設ジョイント等が周知である。これらの伸縮装置の下には、道路上に降った雨水が下方に落下しないように所定の伸縮止水構造体が設けられている。伸縮止水構造体には、例えば発泡ウレタン等の弾性素材からなる止水材が採用され、遊間に挿入されている。このような止水材は押圧されて遊間に挿入されているので、橋桁を構成している床版に密着して雨水の落下を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-138511号公報
【0004】
特許文献1には、遊間の大きな変動を許容する目地構造体あるいは継合構造体が記載されている。特許文献1に記載の目地構造体50は、図3に示されているように、床版51、52の遊間に設けられている。目地構造体50は、一対のゴム製の所定形状の部材、つまり第1の目地半体54と、第2の目地半体55とからなる。第1の目地半体54と第2の目地半体55は、いずれも橋桁の道路幅の長さに形成され、所定の間隔を空けて櫛状に複数段の板部つまり突片58、59、…が形成されている。そして、第1の目地半体54の突片58、58、…の間に、第2の目地半体55の突片59、59、…がスライド自在に挿入されている。従って、床版51、52の遊間が変動すると、第1、2の目地半体54、55が互いにスライドするようになっている。なお図3において、この目地構造体50の上には、弾性を備えた舗装材60が舗装されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
橋桁間の雨水の落下は、従来の発泡ウレタン等の弾性素材からなる止水材によっても防止できるし、特許文献1に記載の目地構造体50によっても防止できる。しかしながら解決すべき問題も見受けられる。例えば、従来の止水材については、吸収できる伸縮量は十分に大きくないので、季節によって遊間が増減すると隙間が形成されることがある。また、重量の大きい車両が橋梁を通過するとき、橋梁が振動して遊間の大きさが短時間で変化するが、発泡ウレタン等の弾性素材のみによっては短時間の遊間の変化に十分対応できない。さらには従来の弾性素材からなる止水材については、遊間の大きさが変化して幅方向の寸法が変化すると、必然的に上下方向に膨張したり縮んだりする。そうすると、止水材の上に弾性を備えた舗装が施工されている場合には、舗装が陥没したり突出したりする問題がある。これに対して特許文献1に記載の目地構造体50は、第1、2の目地半体54、55が互いにスライドして横幅が変化するようになっているので、遊間の間隔が変化しても吸収できる伸縮量は大きいし、重量の大きい車両が走行して遊間の大きさが短時間で変化しても、これをスムーズに吸収できる。さらには遊間の大きさが変化して幅方向の寸法が変化しても、上下方向の膨張や伸縮は比較的少ないという優れた特徴がある。しかしながら、特許文献1に記載の目地構造体50においても、若干の上下方向の体積変化は生じる。目地構造体50の上に弾性を備えた舗装材60が舗装されている場合には、遊間の大きさの変化によってわずかではあるが図3において符号61で示されているように凹みが生じたり、符号62で示されているように膨れが生じる可能性がある。さらには、止水効果についても改善の余地が見受けられる。目地構造体50は、第1、2の目地半体54、55が、それぞれの突片58、59、…同士が挿入され合い、それによって雨水の落下がある程度防止されているが、突片58、59、…同士の隙間を伝って落下する雨水は完全には防止できない。仮に、突片58、59、…同士の隙間を可及的に小さくするようにすれば雨水の落下を実質的に完全に防止できるかもしれない。しかしながら隙間をほとんど無くすようにすると季節によって突片58、59、…が膨張するとスライドが阻害されて目地構造体50が適切に遊間の幅の変化を吸収できなくなる虞がある。つまり、雨水の落下を十分に防止でき、かつ確実にスライドが保証されるように突片58、59、…の隙間を調整しなければならないという課題がある。
【0006】
本発明は、上記したような問題点を解決した、橋桁の遊間に設けられる伸縮止水構造体を提供することを目的とし、具体的には、上下方向の体積変化がほとんど生じずに遊間の大きさの変化を適切に吸収でき、かつ雨水の落下を十分に防止することができる、橋梁、高架道路の橋桁の遊間に設けられる伸縮止水構造体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために、伸縮止水構造を、長辺が長い長方形状の第1~4の金属板と、伸縮を許容する所定の伸縮体とから構成する。第1~4の金属板は長辺に平行な1本の山折り線により折り曲げて、垂直な垂直板部と水平な水平板部とを有するようにする。第1、2の金属板はそれぞれの垂直板部が一方と他方の床版の端面に接着されるようになっているが、それぞれの水平板部同士が向かい合うようにして所定の重ね代でスライド自在に重ねられている。第3、4の金属板は、それぞの垂直板部がそれぞれ第1、2の金属板の垂直板部に接着され、かつそれぞれの水平板部同士が向かい合うようにして所定の重ね代でスライド自在に重ねられている。第1、2の金属板の水平板部と、第1、2の金属板の垂直板部と、第3、4の金属板の水平板部とで囲まれた内部空間に伸縮体を設ける。
【0008】
かくして、請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、互いに接続されている複数の橋桁からなる橋梁または高架道路の、隣り合う橋桁のそれぞれの床版の間の隙間である遊間に設けられ、該遊間の大きさの変化に合わせて伸縮すると共に前記遊間に流れこむ雨水の落下を防止するようになっている伸縮止水構造体であって、前記伸縮止水構造体は長辺が長い長方形状の第1~4の金属板と伸縮を許容する所定の伸縮体とから構成され、前記第1~4の金属板はそれぞれ長辺に平行な1本の山折り線により折り曲げられ、それによって垂直な垂直板部と水平な水平板部とが形成されており、前記第1、2の金属板はそれぞれの垂直板部が一方の床版と他方の床版のそれぞれの端面に接着されるようになっていると共に、それぞれの前記水平板部同士が互いに向かい合って所定の重ね代でスライド自在に重ね合わされ、前記第3、4の金属板は前記第1、2の金属板の内側においてそれぞれの前記垂直板部が前記第1、2の金属板のそれぞれの前記垂直板部に接着され、かつそれぞれの前記水平板部が互いに向かい合って所定の重ね代でスライド自在に重ね合わされており、前記伸縮体は、前記第1、2の金属板の前記水平板部と、前記第1、2の金属板の垂直板部と、前記第3、4の金属板の前記水平板部とからなる直方体状の内部空間に入れられていることを特徴とする伸縮止水構造体として構成される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の伸縮止水構造体において、前記第1、2の金属板はそれぞれの前記水平板部が前記垂直板部に対してわずかに鋭角になるように折り曲げられ、そして前記第3、4の金属板は、それぞれの前記水平板部が前記垂直板部に対してわずかに鈍角になるように折り曲げられており、それによって前記内部空間に入れられている前記伸縮体は前記第1、2の金属板の前記水平板部から下方へ押しつけられていると共に、前記第3、4の金属板の前記水平板部から上方に押し上げられていることを特徴とする伸縮止水構造体として構成される。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の伸縮止水構造体において、前記伸縮体はゴムまたは硬質発泡樹脂からなる所定板厚の複数枚のスライド板からなり、該スライド板は上面形状が長方形状を呈し、その短辺は前記内部空間の横幅より短くなっており、略半数の前記スライド板は、互いに前記スライド板の板厚と略等しい間隔を上下に空けるようにして水平に設けられ、それぞれの長辺に該当する端面が前記第1の金属板の前記垂直板部に接着されており、残りの前記スライド板はそれぞれ前記略半数の前記スライド板同士の間に挿入され、そしてそれぞれの長辺に該当する端面が前記第2の金属板の前記垂直板部に接着されていることを特徴とする伸縮止水構造体として構成される。
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の伸縮止水構造体において、前記伸縮体は弾性を備えた直方体の発泡樹脂からなることを特徴とする伸縮止水構造体として構成される。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明は、互いに接続されている複数の橋桁からなる橋梁または高架道路の、隣り合う橋桁のそれぞれの床版の間の隙間である遊間に設けられ、該遊間の大きさの変化に合わせて伸縮すると共に遊間に流れこむ雨水の落下を防止するようになっている伸縮止水構造体を対象としている。そして本発明によると伸縮止水構造体は長辺が長い長方形状の第1~4の金属板と伸縮を許容する所定の伸縮体とから構成されている。そして第1~4の金属板はそれぞれ長辺に平行な1本の山折り線により折り曲げられ、それによって垂直な垂直板部と水平な水平板部とが形成されており、第1、2の金属板はそれぞれの垂直板部が一方の床版と他方の床版のそれぞれの端面に接着されるようになっていると共に、それぞれの水平板部同士が互いに向かい合って所定の重ね代でスライド自在に重ね合わされ、第3、4の金属板は第1、2の金属板の内側においてそれぞれの垂直板部が第1、2の金属板のそれぞれの垂直板部に接着され、かつそれぞれの水平板部が互いに向かい合って所定の重ね代でスライド自在に重ね合わされており、伸縮体は、第1、2の金属板の水平板部と、第1、2の金属板の垂直板部と、第3、4の金属板の水平板部とからなる直方体状の内部空間に入れられている。従って、本発明に係る伸縮止水構造体は、第1、2の金属板同士、第3、4の金属板同士の間隔が変化して、床版同士の間隔、つまり遊間の大きさの変化を吸収するようになっている。そして本発明の伸縮止水構造体は、その最上面が互いにスライドされる第1、2の金属板の水平板部になっているので、遊間の大きさが変化して全体が伸縮しても、上下方向の体積変化が生じることがない。これによって伸縮止水構造体の上に、弾性を備えた舗装材が設けられていても、舗装材に凹凸が生じない。また伸縮止水構造体の最上面が第1、2の金属板の水平板部になっているので雨水はほとんどがこの部分において遮水されて下方への落下が防止されるという効果が得られる。他の発明によると、第1、2の金属板はそれぞれの水平板部が垂直板部に対してわずかに鋭角になるように折り曲げられ、そして第3、4の金属板は、それぞれの水平板部が垂直板部に対してわずかに鈍角になるように折り曲げられており、それによって内部空間に入れられている伸縮体は第1、2の金属板の水平板部から下方へ押しつけられていると共に、第3、4の金属板の水平板部から上方に押し上げられている。従って、伸縮体に上下方向から所定の圧力が作用して、伸縮体の形状が安定し、伸縮止水構造体が長期間にわたって適切に維持されることが保証される。さらに他の発明によると、伸縮体はゴムまたは硬質発泡樹脂からなる所定板厚の複数枚のスライド板からなり、該スライド板は上面形状が長方形状を呈し、その短辺は内部空間の横幅より短くなっており、略半数のスライド板は、互いにスライド板の板厚と略等しい間隔を上下に空けるようにして水平に設けられ、それぞれの長辺に該当する端面が第1の金属板の垂直板部に接着されており、残りのスライド板はそれぞれ略半数のスライド板同士の間に挿入され、そしてそれぞれの長辺に該当する端面が第2の金属板の垂直板部に接着されている。従って、遊間の大きさが変化して第1、2の金属板同士の間隔が変化するとき、複数枚のスライド板同士の重ね代の大きさが変化するだけで済む。つまりスライド板同士のスライドだけで、遊間の大きさの変化を吸収できる。そうすると重量車両が橋梁を走行して橋桁が振動して遊間の大きさが短時間で変化しても、容易にこれを吸収できる。また、吸収できる遊間の大きさ変化を、十分に大きく採ることができる。他の発明によると、伸縮体は弾性を備えた直方体の発泡樹脂からなる。そうすると伸縮体を安価な発泡ウレタン等から構成することができ、伸縮止水構造体を安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】その(A)は、橋梁または高架道路の隣り合う橋桁と、それぞれの橋桁の遊間に設けられているフィンガージョイントと、本発明の実施の形態に係る伸縮止水構造体を示す斜視図であり、その(B)は本発明の実施の形態に係る伸縮止水構造体の正面断面図である。
図2】本発明の他の実施の形態に係る伸縮止水構造体を示す図で、その(A)は第2の実施の形態に係る伸縮止水構造体を、そしてその(B)は第3の実施の形態に係る伸縮止水構造体を、それぞれ示す正面断面図である。
図3】従来例を示す図で、橋梁または高架道路の隣り合う橋桁の遊間に設けられる目地構造体の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明の本実施の形態に係る伸縮止水構造体1は、図1の(A)に示されているように、橋梁または高架道路の隣り合う橋桁の隙間に、つまり橋桁を構成しているそれぞれの床版2、2の遊間に設けられている。本実施の形態においては床版2、2の上には、鋼鉄製のフィンガージョイントからなる伸縮装置3が設けられ、本実施の形態に係る伸縮止水構造体1は、伸縮装置3の下に設けられ、伸縮装置3から浸入する雨水を遮断して雨水の落下を防止すると共に、遊間の大きさの変化を吸収するようになっている。
【0012】
本実施の形態に係る伸縮止水構造体1は、図1の(A)、(B)に示されているように、第1~4の金属板5、6、7、8と、所定の伸縮体10とから構成されている。第1~4の金属板5、6、7、8は、所定板厚の不銹鋼からなり橋梁の幅方向に長い長方形の板材から形成されている。そして第1~4の金属板5、6、7、8は、それぞれ長方形の長辺に平行な山折り線によって略直角に折り曲げられ、垂直な垂直板部5a、6a、7a、8aと、水平な水平板部5b、6b、7b、8bとが形成されている。第1の金属板5と第2の金属板6は、それぞれの水平板部5b、6bが向き合うように配置され水平板部5b、6bが所定の重ね代でスライド自在に重ね合わされている。これらのそれぞれの垂直板部5a、6aは床版2、2の端面に接着されるようになっている。第3、4の金属板7、8は、第1、2の金属板5、6の内側に設けられ、第3の金属板7の垂直板部7aが第1の金属板5の垂直板部5aに、そして第4の金属板8の垂直板部8aが第2の金属板6の垂直板部6aに、それぞれ溶接等により固着されている。そして第3、4の金属板7、8のそれぞれの水平板部7b、8bは向かい合い、所定の重ね代でスライド自在に重ね合わされている。第1、2の金属板5、6の水平板部5b、6bと第3、4の金属板7、8の水平板部7b、8bとは上下に離間しており、これによって第1、2の金属板5、6の水平板部5b、6bと第1、2の金属板5、6の垂直板部5a、6aと第3、4の金属板7、8の水平板部7b、8bとで直方体状の内部空間が形成されており、この内部空間に伸縮体10が入れられている。
【0013】
本実施の形態において、伸縮体10は複数枚のスライド板12、13、…から構成されている。スライド板12、13、…は硬質な発泡樹脂つまり硬質発泡樹脂から形成することもできるが、本実施の形態においてはウレタン等の合成ゴム、天然ゴム等のゴム製からなる。スライド板12、13、…は所定厚さで上面形状が長方形で橋梁の幅方向に長く形成されているが、長方形の短辺は、第1~4の金属板5、6、7、8からなる内部空間の横幅より短くなっている。スライド板12、13、…は本実施の形態においては6~7枚からなり、略半数のスライド板12、12、…は第1の金属板5の垂直板部5aに、残りのスライド板13、13、…は第2の金属板6の垂直板部6aにそれぞれ固着されている。より詳しく説明すると、前者の略半数のスライド板12、12、…は、それぞれ上下方向にスライド板12の板厚の間隔を空けて、水平に配置され、それぞれの端面が第1の金属板5の垂直板部5aに固着されている。そして後者の残りのスライド板13、13、…は前者のスライド板12、12、…の間に挿入され、そしてそれぞれの端面が第2の金属板6の垂直板部6aに固着されている。従って、床版2、2の遊間の大きさが変化して第1、3の金属板5、7と、第2、4の金属板6、8との間隔が変化すると、スライド板12、13、…同士がスライドする。すなわち伸縮体10が伸縮することになる。このようなスライド板12、13、…からなる伸縮体10は、その上部が第1、2の金属板5、6の水平板部5b、6bに、そしてその下部が第3、4の金属板7、8の水平板部7b、8bに、それぞれ密着している。
【0014】
ところで、第1~4の金属板5、6、7、8はいずれも略直角に折り曲げられていると説明したが、第1、2の金属板5、6は直角よりわずかに鋭角に、そして第3、4の金属板7、8は直角より若干大きめの鈍角に折り曲げられている。そして、これらの第1~4の金属板5、6、7、8と伸縮体10とから伸縮止水構造体1が組み立てられると、第1~4の金属板5、6、7、8はそれぞれの弾性に抗して直角に形成される。このとき、図1の(B)に示されているように、伸縮体10には第1、2の金属板5、6の水平板部5b、6bからは下向きに、そして第3、4の金属板7、8の水平板部7b、8bからは上向きに力が作用することになり、スライド板12、13、…同士の密着性が高まっている。なお、スライド板12、13、…には重力により下方に力が作用するが、第3、4の金属板7、8の弾性による付勢の力の大きさが大きいので、適切にこれらが支持されることになる。
【0015】
本実施の形態に係る伸縮止水構造体1は、床版2、2の端面に接着するだけもいいが、必要に応じてバネ15、15、…を後から装着したり、ゴム製のU字形樋16を設けてもよい。この場合、予め第3、4の金属板7、8の垂直板部7a、8aの内側に、バネ位置決め用部材18、18やU字形樋位置決め用部材19、19を設けておくと、施工が容易になる。
【0016】
本発明の実施の形態に係る伸縮止水構造体1は色々な変形が可能である。図2の(A)には、第2の実施の形態に係る伸縮止水構造体1’が示されているが、この実施の形態においては伸縮体10’は発泡ウレタン等の弾性を備えた発泡樹脂から形成されている。従って、遊間の大きさが変動しても、その変動を適切に吸収できる。図2の(B)には第3の実施の形態に係る伸縮止水構造体1’’が示されているが、この実施の形態においては、伸縮体10’’はバネ20、20、…を備えている。具体的には伸縮体10’’は、第1の実施の形態における伸縮体10と同様に、スライド板12’、13’、…から構成されているが、それぞれのスライド板12’、13’、…の端面には小径の水平な孔が空けられており、これらの孔のそれぞれにバネ20、20、…が入れられている。これらのバネ20、20、…は、それぞれ第1、2の金属板5、6の垂直板部5a、6aに対して所定のバネ付勢により当接している。これらのバネ20、20、…によって、伸縮止水構造体1’’は押し広げられる方向に付勢が働き、遊間にしっかりと取り付けられることになる。
【0017】
本実施の形態に係る伸縮止水構造体1は他にも変形が可能であり、スライド板12、13、…の枚数は4枚程度でもいいし、8枚以上であってもよい。さらにスライド板12、13、…は、平板な板状であるようい説明した。しかしながら、橋梁において道路の路側帯に対応する部分には、車両の落下を防止する壁、つまり立ち上がりが形成されている。道路と立ち上がりの境目から雨水が落下しないようにスライド板12、13、…の端部は立ち上がりに適合するように上向きに湾曲させてもよい。そうすると、道路と立ち上がりの境目からの雨水の落下が防止できる。
【符号の説明】
【0018】
1 伸縮止水構造体 2 床版
3 伸縮装置
5 第1の金属板 5a 垂直板部
5b 水平板部
6 第2の金属板 6a 垂直板部
6b 水平板部
7 第3の金属板 7a 垂直板部
7b 水平板部
8 第4の金属板 8a 垂直板部
8b 水平板部
10 伸縮体 12 スライド板
13 スライド板 15 バネ
16 U字形樋
図1
図2
図3