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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191681
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】鉄道車両
(51)【国際特許分類】
   B61D 27/00 20060101AFI20221221BHJP
   B61D 17/08 20060101ALI20221221BHJP
   B61D 17/10 20060101ALI20221221BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
B61D27/00 V
B61D17/08
B61D17/10
B60H1/00 102T
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100051
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南海 昂輝
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 徹
(72)【発明者】
【氏名】松居 亮稔
(72)【発明者】
【氏名】木村 隆治
(72)【発明者】
【氏名】山口 和也
(72)【発明者】
【氏名】金保 忠正
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211DA16
(57)【要約】
【課題】鉄道車両の上床に空気の取入れ口や吐出口を備えることが難しい場合であっても、圧力損失および騒音を大きくすることなく、車室の内部と外部との間で空気を流通させることができる鉄道車両を提供する。
【解決手段】床下に空調装置を有する鉄道車両1は、側構体に沿って配置された巾木23と、台枠10の上方に配置された複数の上床12と、前記上床12と前記台枠10との間に配置され、前記空調装置に接続された空気ダクト21と、前記上床12の内部、または隣接する前記上床12の間に形成された上床中ダクト19と、を有し、前記空気ダクト21は、前記上床中ダクト19を介して、前記上床12より上方の位置で車室に向かって開口した開口部29に連通する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床下に空調装置を有する鉄道車両において、
側構体に沿って配置された巾木と、
台枠の上方に配置された複数の床板と、
前記床板と前記台枠との間に配置され、前記空調装置に接続された空気ダクトと、
前記床板の内部、または隣接する前記床板の間に形成された上床中ダクトと、を有し、
前記空気ダクトは、前記上床中ダクトを介して、前記床板より上方の位置で車室に向かって開口した開口部に連通する、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項2】
請求項1に記載の鉄道車両において、
前記床板の床板裏板から、前記巾木の車外側を延在して、前記巾木に接続するダクト壁が配設され、
前記巾木と前記ダクト壁とに囲われた空間を介して、前記開口部と前記上床中ダクトが連通している、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項3】
請求項1に記載の鉄道車両において、
前記上床中ダクト内において、前記床板の床板表板と床板裏板とに当接する補強部材を有する、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項4】
請求項1に記載される鉄道車両において、
複数の前記床板の車両長手方向に対向するフレーム同士の間に、前記上床中ダクトが形成されている、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項5】
請求項1に記載される鉄道車両において、
前記床板のフレームの一部は、前記床板の車両幅方向端部から平面視でU字状に延在しており、U字状に延在する前記フレームの内側に前記上床中ダクトが形成されている、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項6】
請求項1に記載の鉄道車両において、
前記床板の床板表板は、車両幅方向に間隙を開けて、前記巾木と重なる位置まで上方に延伸しており、前記間隙が前記開口部を形成する、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項7】
請求項1に記載の鉄道車両において、
前記巾木は、前記側構体に配設した窓の下方に、前記開口部を有する、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項8】
請求項2に記載の鉄道車両において、
前記床板の床板裏板を高さ方向に延伸することにより、前記ダクト壁が形成される、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項9】
請求項6に記載の鉄道車両において、
前記床板の床板裏板を高さ方向に延伸して、前記開口部の上方にて前記巾木に接続される、
ことを特徴とする鉄道車両。
【請求項10】
請求項1に記載の鉄道車両において、
前記上床中ダクトの上方には、座席が配設されていない、
ことを特徴とする鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0002】
高速で運行される鉄道車両や、振り子式特急用鉄道車両等は、走行安定性を高めるために、換気装置及び空調換気装置(以下、空調装置と記す)を床下に備える場合がある。空調装置は、鉄道車両の車内各部から取り込んだ再循環空気に、換気装置が取り込んだ新鮮空気を混合して、室内熱交換器を通過させる過程で、再循環空気と新鮮空気の温度および湿度を調和した調和空気を生成して、鉄道車両の車内各部へ供給する。
【0003】
再循環空気は、鉄道車両の上床の下方に鉄道車両の長手方向に沿って備えられる再循環空気ダクトを通って空調装置に取り込まれる。同様に、調和空気は、鉄道車両の上床の下方に鉄道車両の長手方向に沿って備えられる調和空気ダクトを通って鉄道車両に供給される。
【0004】
特許文献1に、足元に冷気塊ができないようにして乗客の居住部を快適な空間にする鉄道車両の空調吸込みダクトを提供することを目的とした再循環空気ダクトに係わる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-351951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、高速で運行される鉄道車両は、車内に乗客等に供される座席が配置され、この座席の下方の上床の上面に、再循環空気の取入れ口が、鉄道車両の長手方向に沿って離散的に床面のほぼ全面に渡って備えられる。
【0007】
近年、座席に代えて、車椅子利用者のためのスペースや、荷物置場等が、上床の上面に区画される場合がある。このような場合、座席がないため上床に再循環空気の取り入れ口を設けることができないため、鉄道車両の車内から均一に再循環空気を空調装置へ還流することが困難な事象が生じるおそれがある。また、再循環空気の取り入れ口の数が減少すると、他の再循環空気の取り入れ口から再循環空気ダクトに流入する空気の流速が大きくなり、圧力損失や騒音が増大するなどの懸念がある。同様な問題は、空気の吐出口においても生じうる。
【0008】
本発明は、鉄道車両の上床に空気の取入れ口や吐出口を備えることが難しい場合であっても、圧力損失および騒音を大きくすることなく、車室の内部と外部との間で空気を流通させることができる鉄道車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、代表的な本発明の鉄道車両の一つは、
床下に空調装置を有する鉄道車両において、
側構体に沿って配置された巾木と、
台枠の上方に配置された複数の床板と、
前記床板と前記台枠との間に配置され、前記空調装置に接続された空気ダクトと、
前記床板の内部、または隣接する前記床板の間に形成された上床中ダクトと、を有し、
前記空気ダクトは、前記上床中ダクトを介して、前記床板より上方の位置で車室に向かって開口した開口部に連通することにより達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、鉄道車両の上床に空気の取入れ口や吐出口を備えることが難しい場合であっても、圧力損失および騒音を大きくすることなく、車室の内部と外部との間で空気を流通させることができる鉄道車両を提供することができる。
上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、鉄道車両の側面図である。
図2図2は、鉄道車両の長手方向に交差する断面図(図1のA-A断面)である。
図3図3は、第1実施形態の、鉄道車両に備えられる再循環空気ダクト構成を示す断面図(図2のB部の拡大図)である。
図4図4は、第1実施形態の、鉄道車両に備えられる再循環空気ダクト構成および調和空気の床中ダクトに接続する立上りダクトの構成を示す斜視図である。
図5図5は、第1実施形態の、鉄道車両に備えられる再循環空気ダクト構成を示す上面図(図3のC-C断面および再循環空気の床中ダクト)である。
図6図6は、第1実施形態の、鉄道車両に備えられる再循環空気ダクト構成を示す断面図(図3のD-D断面)である。
図7図7は、第2実施形態の、鉄道車両に備えられる再循環空気ダクト構成を示す図5と同様な上面図(床板の高さ中心断面および再循環空気の床中ダクト)である。
図8図8は、第2実施形態の、鉄道車両に備えられる再循環空気ダクト構成を示す断面図(図7のE-E断面)である。
図9図9は、第3実施形態の、鉄道車両に備えられる再循環空気ダクト構成を示す図5と同様な上面図(床板の高さ中心断面および再循環空気の床中ダクト)である。
図10図10は、第3実施形態の、鉄道車両に備えられる再循環空気ダクト構成を示す断面図(図9のF-F断面)である。
図11図11は、第4実施形態の、鉄道車両に備えられる再循環空気ダクト構成を示す図5と同様な上面図(床板の高さ中心断面および再循環空気の床中ダクト)である。
図12図12は、第4実施形態の、鉄道車両に備えられる再循環空気ダクト構成を示す断面図(図11のG-G断面)である。
図13図13は、第5実施形態の、鉄道車両に備えられる再循環空気ダクトの吸気部分の構成を示す長手方向に直交する断面図である。
図14図14は、第6実施形態の、鉄道車両に備えられる再循環空気ダクトの吸気部分の構成を示す長手方向に直交する断面図である。
図15図15は、第7実施形態の、鉄道車両に備えられる再循環空気ダクトの吸気部分の構成を示す長手方向に直交する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を参照しながら、本発明による実施の形態を説明する。まず、発明の実施を説明するために供される各方向を定義する。鉄道車両の長手方向またはレール方向をx方向、鉄道車両の幅方向または枕木方向をy方向、鉄道車両の上下方向または高さ方向をz方向とする。以下、単に、x方向、y方向、z方向と記す場合がある。
【0013】
図1は鉄道車両の側面図であり、図2は鉄道車両の長手方向に交差する断面図(図1のA-A断面)である。鉄道車両1は、床面をなす台枠10と、台枠10のy方向の両端部に立設される側構体20と、台枠10のx方向の端部に立設される妻構体40と、側構体20と妻構体40の上端部に載置される屋根構体30と、からなる概直方体である。台枠10のx方向の両端部は軌道3を転動する台車5に支持される。
【0014】
側構体20は、複数の窓や乗客や乗務員等が乗降する側引き戸(側開き戸)を備える。台枠10の下方には、鉄道車両1を支持する台車5に備えられる主電動機に電力を供給する主変換装置(図示なし)や、空調装置50や、鉄道車両1の照明や放送設備等へ電力を供する補助電源装置(図示なし)が備えられる。
【0015】
側構体20と台枠10との接続部の車内側には、空調装置50が生成した調和空気を鉄道車両1のx方向に沿って供給する調和空気ダクト22(以下、CAダクト22)が備えられる。側構体20の窓と窓の間の吹き寄せ部に沿ってz方向に延在する複数の立ち上がりダクト24が、x方向に沿って離散的に配置されており、CAダクト22は立ち上がりダクト24の下端に接続される。調和空気の流れ60は、CAダクト22から分岐して立ち上がりダクト24を通って、鉄道車両1の車内の各部に送風される。立ち上がりダクト24の上方には、側構体20に固定される荷棚26が備えられる。
【0016】
側構体20と台枠10との接続部の車内側には、再循環空気ダクト21(以下、RAダクト21)が備えられ、客室内の空気は、再循環空気としてRAダクト21から空調装置50に向けて鉄道車両1のx方向に沿って流れる。
【0017】
鉄道車両1の床面をなす台枠10の上方には、分割された複数の上床(床板ともいう)12が備えられる。上床12の上面には座席15が固定される。座席15の下方には、RAダクト21に接続するとともに上床12を貫通した開口部を車内側に有する再循環空気吸い込み口21a(以下、RA吸い込み口21a)が備えられる。座席15が、上床12のほぼ全面に渡って備えられる場合、各々の座席15の下方にRA吸い込み口21aが備えられるので、RA吸い込み口21aの1口あたりの吸い込み風量が小さくなり、再循環空気がRA吸い込み口21aから空調装置50まで流れる際の風速を低く抑えることができる。これにより、RAダクト21で生じる圧力損失および騒音を大きくすることなく、鉄道車両の車内からほぼ均一に再循環空気が空調装置50へ還流する。
【0018】
<第1実施形態>
図3は、第1実施形態の、鉄道車両に備えられる再循環空気ダクト構成を示す断面図(図2のB部の拡大図)であり、図4は、第1実施形態の、鉄道車両に備えられる再循環空気ダクトおよび調和空気の床中ダクトに接続する立ち上がりダクトの構成を示す斜視図である。
【0019】
図5は鉄道車両に備えられる再循環空気ダクト構成を示す上面図(図3のC-C断面および再循環空気の床中ダクト)であり、図6は鉄道車両に備えられる再循環空気ダクト構成を示す断面図(図3のD-D断面)である。
【0020】
上床12は、床板表板12aと、床板裏板12bと、床板表板12aおよび床板裏板12bに挟まれる芯材14と、芯材14の縁部に芯材14を囲むようにして備えられ床板表板12aと床板裏板12bとに当接するフレーム13と、で構成される。上床12の一部の区画には、座席15が備えられない区画12dが備えられる(図4)。区画12dは、車椅子等で乗車する乗客等が利用したり、荷物室や機器室等に利用される。区画12dにおいては、上床12は、車椅子や荷物などの移動を妨げないようにRA吸い込み口21aを配設しておらず、区画12dはフラットな面となっている。
【0021】
図5において、区画12dに供される上床12は、上床12のy方向の一方の端部に設けられる床板開口部12cと、床板裏板12bに設けられる開口部16と、床板開口部12cから開口部16に至る上床中ダクト19と、を有する。フレーム13の一部は、上床12の床板開口部12cから上床12の中央まで、平面視でU字状に延在し、その内部には芯材14が配置されない。床板表板12aと、床板裏板12bと、U字状に延在するフレーム13とで囲われた空間により、上床中ダクト19が構成される。また、図3に示すように、床板裏板12bに備えられる開口部16と、RAダクト21の開口部と、の間には隙間埋め部材18が備えられ、空気漏れを抑制している。
【0022】
側構体20の車内側に備えられる内装材28と、この内装材28の下端部と上床12のy方向の端部とを接続する部位には、側構体20に沿って巾木23が備えられる。巾木23は、上床12よりz方向上方の位置で、鉄道車両の車内から再循環空気が吸い込まれる開口部29を有する。巾木23に備えられる開口部29と、巾木23と、巾木23の車外側に接続されるダクト壁25と、は、上床12に配設された上床中ダクト19の一方の端部に備えられる床板開口部12c(図5)に接続する流路を構成する。
【0023】
調和空気のCAダクト22は、x方向に沿って複数の開口部(図示なし)を離散的に有しており、これら複数の開口部にはz方向に沿って調和空気の流れ60(図2)を流すための立ち上がりダクト24が接続される。立ち上がりダクト24のz方向の上端部は、荷棚26の下方まで延伸する。開口部29を有する巾木23とダクト壁25とは、立ち上がりダクト24がない部位(例えば、側構体20に設けられる窓の下方など)に備えられる。開口部29は窓の下方に配置されると好ましい。
【0024】
上述した構成によれば、空調装置50に還流する再循環空気は、座席15が備えられない上床12の区画12dであっても、巾木23に備えられる開口部29から上床12の内部に備えられる上床中ダクト19を経てRAダクト21へ吸い込まれる。
【0025】
したがって、鉄道車両の上床の全面に離散的に再循環空気の取入れ口を備えることが難しい場合であっても、再循環空気取り入れ口の圧力損失および騒音を大きくすることなく、鉄道車両の車内からほぼ均一に再循環空気を空調装置へ還流できる鉄道車両を提供することができる。
【0026】
以上本発明は第1実施形態に限定されず、様々な形態で実施しうる。以下、図を参照しながら、他の実施形態を説明する。
【0027】
<第2実施形態>
図7および図8は、第2実施形態の、鉄道車両に備えられる再循環空気ダクト構成を示す図であり、それぞれRAダクト21を重ねて図示する上床12のz方向に直交する断面図(図7)、および上床12のy方向に直交する断面図(図8)である。上述した第1実施形態と同様の構成、機能の説明を省略し、第2実施形態の特有の構成について説明する。
【0028】
上床中ダクト19に、上床12のy方向端部の床板開口部12cから開口部16までの範囲に、床板表板12aと床板裏板12bとに当接する補強部材17が備えられる。この補強部材17を備えることによって、鉄道車両1の車外でアウトワークによって製造する上床12の剛性を高く維持できるので、鉄道車両1を製造する時に、上床中ダクト19を備える上床12を、特別に養生等することなく、鉄道車両1の車内に搬入することができる。
【0029】
第2実施形態で説明した構成を備える鉄道車両1は、第1実施形態で説明した作用と、効果と、を奏することができる。
【0030】
<第3実施形態>
図9および図10は、第3実施形態の、鉄道車両に備えられる再循環空気ダクト構成を示す図であり、それぞれRAダクト21を重ねて図示する上床12のz方向に直交する断面図(図9)、および上床12およびRAダクト21のy方向に直交する断面図(図10)である。上述した第1実施形態および第2実施形態と同様の構成、機能の説明を省略し、第3実施形態の特有の構成について説明する。
【0031】
一般に上床12は、床板表板12aと、床板裏板12bと、床板表板12aおよび床板裏板12bに挟まれる芯材14と、芯材14の端部を囲むフレーム13と、で構成される床板を、x方向に隙間なく並べて構成される。これに対し第3実施形態では、x方向に並べられる上床12間に隙間を有し、それにより、床板開口部12cおよび上床中ダクト19が構成される。
【0032】
上床中ダクト19を挟んで対向する上床12のうち、一方の床板表板12aおよび床板裏板12b(例えば、図10における-x方向の床板表板12aおよび床板裏板12b)は、上床中ダクト19の上方及び下方を覆うように延長部を有して形成され、そのため他方の床板表板12aおよび床板裏板12bよりもx方向に長くなっている。一方の床板表板12aの延長部と、他方の床板表板12aのフレーム13との間の隙間は、フレーム13の側面から水平に延在する板状の水平部13a上に配設された隙間調整部材32により封止される。上床12間に隙間を備えるように、離間して一対の上床12を配置することによって、フレーム13および芯材14に特別な加工をすることなく、床板開口部12cおよび上床中ダクト19を形成できる。
【0033】
第3実施形態で説明した構成を備える鉄道車両1は、上述した実施形態で説明した作用と、効果と、を奏することができる。
【0034】
<第4実施形態>
図11および図12は、第4実施形態の、鉄道車両に備えられる再循環空気ダクト構成を示す図であり、それぞれRAダクト21を重ねて図示する上床12のz方向に直交する断面図(図11)、および上床12のy方向に直交する断面図(図12)である。
【0035】
第3実施形態で構成された上床中ダクト19に、上床12のy方向両端部の床板開口部12cから開口部16までの範囲に、床板表板12aと床板裏板12bとに当接する一対の補強部材17が備えられる。この補強部材17を備えることによって、鉄道車両1の車外でアウトワークによって製造する上床12の剛性を高く維持できるので、鉄道車両1を製造するときに、上床中ダクト19を備える上床12を、特別に養生等することなく、鉄道車両1の車内に搬入することができる。
【0036】
第4実施形態で説明した構成を備える鉄道車両1は、上述した実施形態で説明した作用と、効果と、を奏することができる。
【0037】
<第5実施形態>
図13は、第5実施形態の、鉄道車両に備えられる再循環空気ダクトの吸気部分の構成を示すx方向に直交する断面図である。
【0038】
床板表板12aのy方向端部が、巾木23に対してy方向に離間して巾木23に沿って立ち上がるように延長され、床板表板12aと巾木23との間に間隙31を有する。間隙31から、鉄道車両車内の再循環空気が吸い込まれる。この間隙31を備えることによって、巾木23に、再循環空気を吸い込むための開口部29(図3)を構成する必要がない。
【0039】
第5実施形態で説明した構成を備える鉄道車両1は、上述した実施形態で説明した作用と、効果と、を奏することができる。
【0040】
<第6実施形態>
図14は、第6実施形態の、鉄道車両に備えられる再循環空気ダクトの吸気部分の構成を示すx方向に直交する断面図である。
【0041】
床板裏板12bのy方向端部が立ち上がるように延長され、開口部29よりも上側で、巾木23の車外側と接続される。開口部29と、巾木23と、床板裏板12bと、により、床板開口部12cに接続する流路を構成することで、同流路を構成するときに、ダクト壁25(図3)を備える必要がない。
【0042】
第6実施形態で説明した構成を備える鉄道車両1は、上述した実施形態で説明した作用と、効果と、を奏することができる。
【0043】
<第7実施形態>
図15は、第7実施形態の、鉄道車両に備えられる再循環空気ダクトの吸気部分の構成を示すx方向に直交する断面図である。
【0044】
床板表板12aのy方向端部が、巾木23に対してy方向に離間して巾木23に沿って立ち上がるように延長され、床板表板12aと巾木23との間に間隙31を有する。また床板裏板12bのy方向端部が立ち上がるように延長され、間隙31よりも上側で、巾木23の車外側と接続される。間隙31と、巾木23と、床板表板12aと、床板裏板12bと、により、床板開口部12cに接続する流路を構成することで、同流路を構成するときに、開口部29およびダクト壁25を備える必要がない。
【0045】
第7実施形態で説明した構成を備える鉄道車両1は、上述した実施形態で説明した作用と、効果と、を奏することができる。
【0046】
以上、第1実施形態~第7実施形態では、床板の一部に再循環空気を導く構成を説明したが、導く空気を再循環空気に限定するものではなく、車外への排気や、調和空気を、第1実施形態~第7実施形態と同様に床板の一部に導く構成としてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…鉄道車両、 3…軌道、
5…台車、 10…台枠(床部)、
12…上床、 12a…床板表板、
12b…床板裏板、 12c…床板開口部、
12d…区画、 13…フレーム、
14…芯材、 15…座席、
16…開口部(床板裏板)、 17…補強部材、
18…隙間埋め部材、 19…上床中ダクト、
20…側構体、 21…RAダクト、
21a…RA吸い込み口、 22…CAダクト、
23…巾木、 24…立ち上がりダクト、
25…ダクト壁、 26…荷棚、
28…内装材、 29…開口部(巾木)、
30…屋根構体、 31…間隙、
32…隙間調整部材、 40…妻構体、
50…空調装置、 60…CAの流れ、
70…RAの流れ、 80…中心線、
B…再循環空気ダクト拡大部、 x…鉄道車両の長手方向(レール方向)、
y…鉄道車両の幅方向(枕木方向)、 z…鉄道車両の高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15