(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191694
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】カメラシステム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20221221BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20221221BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20221221BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
G06T7/00 350B
G06N20/00
H04N5/225 800
H04N5/232 290
H04N5/225 600
H04N5/225 300
H04N5/225 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100075
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】中溝 正彦
【テーマコード(参考)】
5C122
5L096
【Fターム(参考)】
5C122DA30
5C122EA55
5C122FA06
5C122FA18
5C122FB03
5C122FB11
5C122FB13
5C122FB16
5C122FB17
5C122FC05
5C122FC06
5C122GG03
5C122GG21
5C122HA46
5C122HA82
5C122HB01
5L096AA02
5L096BA08
5L096CA02
5L096DA01
5L096KA03
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】機械学習に用いられる学習データとして適切な複数種類の撮像画像データを取得可能なカメラシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】 カメラシステムは、撮像のための光学素子を含む撮像光学系と、前記撮像光学系を介して入射された光を分光するミラーと、前記ミラーを介して入射される入射光を受光し光電変換を行うことにより機械学習の学習データとして用いられる第1撮像画像データを出力する第1撮像素子と、前記ミラーを介して入射される入射光を受光し光電変換を行うことにより前記学習データとして用いられる第2撮像画像データを出力する第2撮像素子と、を備えるものとした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像のための光学素子を含む撮像光学系と、
前記撮像光学系を介して入射された光を分光するミラーと、
前記ミラーを介して入射される入射光を受光し光電変換を行うことにより機械学習の学習データとして用いられる第1撮像画像データを出力する第1撮像素子と、
前記ミラーを介して入射される入射光を受光し光電変換を行うことにより前記学習データとして用いられる第2撮像画像データを出力する第2撮像素子と、を備えた
カメラシステム。
【請求項2】
前記分光は時分割分光とされた
請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項3】
前記ミラーにおける反射光が前記第1撮像素子に導かれる第1位置と前記反射光が前記第2撮像素子に導かれる第2位置との間で前記ミラーを可動させるミラー可動部を備えた
請求項2に記載のカメラシステム。
【請求項4】
前記ミラーはハーフミラーとされ、
前記分光は前記ハーフミラーによる同時分光とされ、
前記ハーフミラーにおける反射光が前記第1撮像素子及び前記第2撮像素子における一方の撮像素子に入射され、前記ハーフミラーにおける透過光が他方の撮像素子に入射される
請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項5】
前記第1撮像画像データはカラー画像データとされた
請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項6】
前記第2撮像画像データは距離画像データとされた
請求項5に記載のカメラシステム。
【請求項7】
前記第2撮像素子の撮像動作に同期させて発光制御される発光部を備えた
請求項6に記載のカメラシステム。
【請求項8】
前記第2撮像画像データは、偏光画像データとされた
請求項5に記載のカメラシステム。
【請求項9】
前記第1撮像素子が備える光学フィルタと前記第2撮像素子が備える光学フィルタは光学特性が異なるものとされた
請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項10】
前記第1撮像素子は原色系カラーフィルタを備え、
前記第2撮像素子は補色系カラーフィルタを備えた
請求項9に記載のカメラシステム。
【請求項11】
前記第2撮像画像データはモノクロ画像データとされた
請求項5に記載のカメラシステム。
【請求項12】
前記第1撮像素子は位相差画素を含まない画素構成とされ、
前記第2撮像素子は位相差画素を含んだ画素構成とされた
請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項13】
前記第1撮像素子は、異なるカラーフィルタを有する画素が所定パターンで配列され、
前記第2撮像素子は、互いに波長の異なる光を吸収する複数の光吸収層を有する画素が配列された
請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項14】
前記第2撮像素子は前記第1撮像素子よりも光学的クロストークの発生頻度及び受光感度が共に高くされた
請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項15】
前記第1撮像画像データの画素数と前記第2撮像画像データの画素数は同一とされた
請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項16】
前記第1撮像画像データの画素数は前記第2撮像画像データの画素数よりも多くされた
請求項1に記載のカメラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、複数の撮像素子を備えたカメラシステムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
機械学習においては学習モデルの性能向上のために多くの学習データを必要とする。学習データの用意には工数が掛かることもあり、大量に用意することは難しかった。
下記特許文献1においては、画像データから学習データを切り出す際の精度向上を図る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、撮像画像データから得られる情報に基づいて撮像画像データには含まれていない情報を推定する場合に、複数種類の撮像画像データを学習データとして用意して機械学習を行う技術が知られている。例えば、二次元のカラー画像データに基づいて被写体についての奥行き情報(距離情報)を推定する場合を例に挙げる。このとき、機械学習に用いる最適な学習データは、画角や距離など各種の条件を一致させた上で撮像されたカラー画像データと距離画像データである。
【0005】
しかし、各種の条件を一致させた上で異なる種類の撮像画像データを得ることは困難である。従って、大抵は似たような撮影環境で得られた複数種類の撮像画像データ、即ち、カラー画像データと距離画像データを学習データとして用いることにより学習モデルを構築して推論に用いるのが一般的である。
また、実際に撮像された一種類の撮像画像データに基づいて他の種類の撮像画像データを人工的に作成することにより、或いは、全ての撮像画像データを人工的に作成することにより学習データを用意して学習モデルを構築する手法もある。
【0006】
このような手法を用いた場合には、学習モデルの性能が必ずしも高いとは言えない場合があった。
【0007】
本技術はこのような問題に鑑みて為されたものであり、機械学習に用いられる学習データとして適切な複数種類の撮像画像データを取得可能なカメラシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術に係るカメラシステムは、撮像のための光学素子を含む撮像光学系と、前記撮像光学系を介して入射された光を分光するミラーと、前記ミラーを介して入射される入射光を受光し光電変換を行うことにより機械学習の学習データとして用いられる第1撮像画像データを出力する第1撮像素子と、前記ミラーを介して入射される入射光を受光し光電変換を行うことにより前記学習データとして用いられる第2撮像画像データを出力する第2撮像素子と、を備えたものである。
これにより、第1撮像素子と第2撮像素子に入射される光は、同一の撮像光学系を通過した光とされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態におけるカメラシステムの構成例を示す図である。
【
図2】第1の実施の形態におけるカメラシステムにおいて可動ミラーが第2位置に位置した状態を示す図である。
【
図3】第1の実施の形態における可動ミラーの制御と第1撮像素子の撮像動作と第2撮像素子の撮像動作のタイミングチャートである。
【
図4】第1の実施の形態における可動ミラーの制御と第1撮像素子の撮像動作と第2撮像素子の撮像動作のタイミングチャートの別例である。
【
図5】第2の実施の形態におけるカメラシステムの構成例を示す図である。
【
図6】第2の実施の形態における可動ミラーの制御と発光部の制御と第1撮像素子の撮像動作と第2撮像素子の撮像動作のタイミングチャートである。
【
図7】第2の実施の形態における可動ミラーの制御と発光部の制御と第1撮像素子の撮像動作と第2撮像素子の撮像動作のタイミングチャートの別例である。
【
図8】第3の実施の形態におけるカメラシステムの構成例を示す図である。
【
図9】第3の実施の形態におけるハーフミラーの制御と第1撮像素子の撮像動作と第2撮像素子の撮像動作のタイミングチャートである。
【
図10】第3の実施の形態におけるカメラシステムの構成の別例を示す図である。
【
図11】第3の実施の形態におけるハーフミラーの制御と発光部の制御と第1撮像素子の撮像動作と第2撮像素子の撮像動作のタイミングチャートである。
【
図12】変形例におけるカメラシステムの構成例を示す図である。
【
図13】変形例におけるカメラシステムの構成の別の例を示す図である。
【
図14】変形例におけるカメラシステムの構成の更に別の例を示す図である。
【
図15】変形例におけるカメラシステムの構成の他の例を示す図である。
【
図16】提供システムを含むシステム全体の構成を示すブロック図である。
【
図17】提供システムが実行する処理についてのフローチャートである。
【
図18】提供システムを含むシステム全体の構成の別例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照し、本技術に係る実施の形態を次の順序で説明する。
<1.複数種類の撮像画像データ>
<2.第1の実施の形態>
<2-1.カメラシステムの構成>
<2-2.タイミングチャート>
<3.第2の実施の形態>
<4.第3の実施の形態>
<5.カメラシステムの構成についての変形例>
<6.カメラシステムのまとめ>
<7.提供システム>
<8.コンピュータ装置>
<9.提供システムのまとめ>
<10.本技術>
【0011】
<1.複数種類の撮像画像データ>
本実施の形態におけるカメラシステム1は、複数種類の撮像画像データを略同時に生成するカメラシステム1である。また、それらの複数種類の撮像画像データは、極力同一の条件下で撮像されることにより得られるものである。
【0012】
これらの複数種類の撮像画像データは、略同一条件及び略同一タイミングで撮像された撮像画像データを組として機械学習に供与される。
【0013】
異なる種類の撮像画像データを入力データとして機械学習を行うことにより、一方の撮像画像データに基づいて他方の撮像画像データを推定するための学習モデルを構築することができる。
【0014】
学習済みの学習モデルを用いることにより、一方の撮像画像データから他方の撮像画像データを推論することが可能となる。また、各種のアルゴリズムの改良にも繋がる。
【0015】
具体的に、カラー画像データと距離画像データの2種類を例に挙げて説明する。本実施の形態におけるカメラシステム1においては、画角などの各種の条件を一致させた状態で同じ被写体を略同じタイミングで撮像したカラー画像データと距離画像データが生成される。カラー画像データと距離画像データは、対応する画像データと言える。
【0016】
例えば、画素数や画角や撮像倍率などの各種条件を一致させて得られたカラー画像データと距離画像データは、ある画素位置における色情報と距離情報が完全に対応する。
【0017】
このようにして得られた2種類の撮像画像データを学習データとして利用して学習モデルを生成する。この学習モデルを用いて、例えば、対応する距離画像データが得られないカラー画像データについて推論を行うことにより、対応する距離画像データを生成することができる。
【0018】
従って、例えば、カラー画像データに撮像された被写体ごとに距離を推定することが可能となる。
【0019】
このように、複数種類の撮像画像データを組み合わせることで、一方の撮像画像データから他方の撮像画像データを推論するための学習モデルを生成することができる。
【0020】
また、2種類の撮像画像データを複数の時刻において連続して取得することにより得られた学習データを用いて機械学習を行うことにより、高精度な推論を行うことができる学習モデルを生成することができる。
【0021】
ここで、撮像画像データの種類について説明する。
【0022】
撮像画像データには、撮像素子の構成や特性に応じて各種考えられる。
例えば、カラー画像データやモノクロ画像データなどである。
【0023】
これらの撮像画像データを用いて機械学習を行うことにより、モノクロ画像データからカラー画像データを推定することや、変換アルゴリズムの改良を行うことができる。
【0024】
また、カラー画像データやモノクロ画像データには、画素数の違いによって高解像度の撮像画像データや低解像度の撮像画像データがある。
【0025】
画素数の異なる撮像画像データを用いて機械学習を行うことにより、低解像度の撮像画像データから高解像度の撮像画像データを推定することや、変換アルゴリズムの改良を行うことができる。
【0026】
また、画素ごとの被写体の深度情報とされた距離画像データや、被写体についての偏光情報とされた偏光画像データも複数種類の撮像画像データに含まれる。
【0027】
これらの撮像画像データを用いて機械学習を行うことにより、カラー画像データから距離画像データを推定することや、カラー画像データから偏光画像データを推定することなどが可能となる。
【0028】
更に、カラー画像データは、カラーフィルタの種類に応じて異なる種類の撮像画像データとされる。具体的には、R(Red:赤)、G(Green:緑)、B(Blue:青)の原色系カラーフィルタがベイヤー配列などの所定のパターンで配列された撮像素子から得られるRGB撮像画像データや、R(Red)、C(Clear)、B(Blue)に対応したカラーフィルタが所定のパターンで配列された撮像素子から得られるRCCB撮像画像データや、Cy(Cyan)、Ye(Yellow)、G(Green)、Mg(Magenta)に対応した補色系カラーフィルタが所定のパターンで配列された撮像素子から得られるCMY撮像画像データなど各種考えられる。
【0029】
カラーフィルタの種類によって得られる撮像画像データの特性は異なる。具体的には、色再現に優れたカラーフィルタの配列と、解像度に優れたカラーフィルタの配列などが存在する。そして、異なる態様でカラーフィルタが配置された撮像素子によって得られた複数の撮像画像データを用いて機械学習を行うことにより、双方の特性を持つ撮像画像データを推論することが可能となる。
【0030】
また、このように所定パターンで複数種類のカラーフィルタが配列された撮像素子において得られるカラー画像データは、デモザイク処理が必要となる。一方で、一つの画素において複数の吸収層が積層された構造を備えた撮像素子を用いることにより、一つの画素から複数種類の色信号(例えばR信号、G信号、B信号)を得ることができる。このような撮像素子を用いればデモザイク処理が不要となる。
【0031】
そして、これらの撮像画像データを学習データとして機械学習を行うことにより、デモザイク処理のアルゴリズムの改良を行うことが可能となる。換言すれば、デモザイク処理により得られた撮像画像データを一つの画素から複数の色信号を得ることにより生成された撮像画像データに近づけることが可能となる。これにより、デモザイク処理による画質の劣化などを低減させることができる。
【0032】
或いは、赤外(IR:Infrared)光についての感度を有するIRフィルタを備えた撮像素子から得られるIR撮像画像データを用いてもよい。これらのデータを用いた機械学習を行うことにより、カラー画像データからIR撮像画像データを推論することなどが可能となる。
【0033】
また、位相差画素を含む撮像素子によって得られた撮像画像データも考えられる。このような撮像画像データは、位相差画素を含まない撮像素子によって得られた撮像画像データと組にされる。
【0034】
即ち、位相差画素を含む場合には、画素欠陥と見なされる位相差画素についての適切な画素信号を得るために画素欠陥補完処理が必要となる。
そして、位相差画素を含んで撮像された撮像画像データと位相差画素を含まずに撮像された撮像画像データを用いて機械学習を行うことにより、画素欠陥補完処理のアルゴリズムの性能改善などを行うことが可能となる。
【0035】
他にも、クロストークの発生確率を低減させた構成において得られたカラー画像データと、受光感度を向上させた構成において得られたカラー画像データを用いて機械学習を行うことにより、クロストーク及び受光感度低下に基づくノイズが低減された良好な撮像画像データを得ることが可能となる。
【0036】
<2.第1の実施の形態>
<2-1.カメラシステムの構成>
このように複数種類の撮像画像データを略同一条件で得るためのカメラシステム1について説明する。具体的に、第1の実施の形態におけるカメラシステム1Aの構成について、
図1を参照して第1の実施の形態を説明する。
【0037】
カメラシステム1Aは、撮像光学系2と、第1ミラー3と、第2ミラー4A、4Bと、第1撮像素子5と、第2撮像素子6と、ミラー可動部7と制御部8とを備えている。
【0038】
撮像光学系2は、フォーカスレンズやズームレンズなどの各種レンズと、アイリス機構と、メカニカルシャッタ機構等を備えている。なお、電子シャッタ制御を行うことによりメカニカルシャッタ機構を備えていなくてもよい。
【0039】
第1ミラー3は、第1位置P1と第2位置P2の間で可動する可動ミラー3Aとされている。可動ミラー3Aが第1位置P1に位置した状態においては、撮像光学系2を通過した入射光(被写体光)が第2ミラー4Aに向けて反射される。
【0040】
第2ミラー4Aにおいては、入射された被写体光が更に第1撮像素子5に向けて反射される。
【0041】
第1撮像素子5は、カラーフィルタやマイクロレンズや受光素子や読み出し回路等を備えて構成され、第1撮像画像データを出力する。第1撮像素子5は、可動ミラー3Aが第1位置P1に位置している状態で被写体光を受光して光電変換により電荷を蓄積する。
【0042】
可動ミラー3Aが第2位置P2に位置した状態(
図2参照)においては、撮像光学系2を通過した被写体光が第2ミラー4Bに向けて反射される。
【0043】
第2ミラー4Bにおいては、入射された被写体光が更に第2撮像素子6に向けて反射される。
【0044】
第2撮像素子6は、カラーフィルタやマイクロレンズや受光素子や読み出し回路等を備えて構成され、第2撮像画像データを出力する。
但し、第1撮像素子5に対して何らかの構成が変更されている。例えば、第1撮像画像データがカラー画像データとされ、第2撮像画像データがモノクロ画像データとされている場合には、第2撮像素子6は、カラーフィルタを備えずに構成されている。
【0045】
或いは、第2撮像画像データが偏光画像データである場合には、第2撮像素子6は偏光子を備えて構成されている。
【0046】
それ以外にも、第1撮像素子5と第2撮像素子6が異なる光学特性を備えた光学フィルタを備えていてもよい。例えば、第1撮像素子5が原色系カラーフィルタを備え、第2撮像素子6が補色系カラーフィルタを備えていてもよい。
これにより、複数の撮像画像データを得る事ができる。
【0047】
また、第1撮像素子5が位相差画素を含まずに構成され、第2撮像素子6が位相差画素を含んで構成されていてもよい。
【0048】
また、第1撮像素子5は各画素が一色のカラーフィルタを一つだけ備えることにより一つの波長帯についての感度を有するように構成されているのに対し、第2撮像素子6は各画素が複数の波長帯に対する感度を有するように構成されていてもよい。
【0049】
また、第1撮像素子5が光学的クロストークの発生頻度が低くなるように構成され、第2撮像素子6が高受光感度となるように構成されていてもよい。
【0050】
第1撮像素子5と第2撮像素子6の画素数は、同一とされていてもよいし、異なっていてもよい。例えば、第1撮像素子5と第2撮像素子6の構成に画素数以外の違いがある場合には、第1撮像素子5と第2撮像素子6の画素数を同一にすることが望ましい。これにより得られた撮像画像データは、解像度以外の構成の違いによって生じた違いのみを含むこととなる。
【0051】
一方、第1撮像素子5と第2撮像素子6の画素数が異なる場合には、第1撮像素子5と第2撮像素子6の画素数以外の条件をできるだけ同一にすることが望ましい。これにより得られた撮像画像データは、解像度の違いによって生じた違いのみを含むこととなる。
【0052】
第2撮像素子6は、可動ミラー3Aが第2位置P2に位置している状態で被写体光を受光して光電変換により電荷を蓄積する。
【0053】
1枚の撮像画像データを得るために必要な露光時間を考えれば、可動ミラー3Aの切り替え周期は数msecや数十msec等の短い時間となる。従って、第1撮像画像データと第2撮像画像データは略同じタイミングで撮像されたデータと見なすことが可能となる。
特に、被写体が動被写体でない場合には、第1撮像素子5と第2撮像素子6が全く同じタイミングで撮像した場合に得られる撮像画像データと遜色の無いデータを得ることができる。
【0054】
ミラー可動部7は、可動ミラー3Aを可動する機構である。なお、ミラー可動部7がミラー3Aと一体に設けられていてもよい。
【0055】
制御部8は、カメラシステム1Aの全体的な制御や撮像光学系2の駆動制御を行うと共に、ミラー可動部7の駆動制御を行う。これにより、制御部8は可動ミラー3Aの位置を制御する。
制御部8が可動ミラー3Aを駆動制御することにより、可動ミラー3Aにおいては時分割分光が行われる。
【0056】
<2-2.タイミングチャート>
制御部8が行う可動ミラー3Aの制御は、第1撮像素子5及び第2撮像素子6の撮像動作に同期させて行う。各撮像素子の撮像動作と可動ミラー3Aの動作についてのタイミングチャートを
図3に示す。
【0057】
可動ミラー3Aが第1位置P1に位置している場合には、第1撮像素子5において撮像動作が行われ、第2撮像素子6において撮像動作が休止される。
【0058】
制御部8が可動ミラー3Aの位置を第1位置P1から第2位置P2に移動させたことに応じて、第1撮像素子5において撮像動作が休止され、第2撮像素子6において撮像動作が行われる。
【0059】
可動ミラー3Aが1/60sec間隔で第1位置P1と第2位置P2の位置の切り替えが行われている場合には、各撮像素子は1/60sec間隔で撮像動作と休止動作が切り替えられる。その結果、各撮像素子は、1/30sec間隔で一つの撮像画像データが出力される。
【0060】
なお、可動ミラー3Aが第1位置P1から第2位置P2へ移動している間、或いは第2位置P2から第1位置P1へ移動している間は、各撮像素子に入射される光がノイズを多分に含んでいる可能性がある。
【0061】
その場合には、
図4に示すように、第1位置P1から第2位置P2へ移動している間の時間は第1撮像素子5と第2撮像素子6の双方において撮像動作が休止されるように構成されてもよい。
可動ミラー3Aが第2位置P2から第1位置P1へ移動している間の時間についても同様である。
【0062】
<3.第2の実施の形態>
第2の実施の形態におけるカメラシステム1Bは、第2撮像素子6において距離画像データが生成されるものである。
【0063】
具体的に、カメラシステム1Bの構成について
図5を参照して説明する。
【0064】
カメラシステム1Bは、発光部9を備えて構成されている。
発光部9は、ドライバ回路を含んで構成され、IR光を被写体に向けて照射する。発光部9のIR光の照射制御は、制御部8によって行われる。
【0065】
第1撮像素子5の前段には、IR光を遮断するIRカットフィルタ10が設けられている。IRカットフィルタ10は、第1撮像素子5の一部として設けられていてもよい。
【0066】
発光部9の発光態様は各種考えられる。例えば、IR光を単に発光及び消光させるだけでなく、ストライプ状や格子状の発光パターンを被写体に対して投影するように発光してもよい。
【0067】
第2撮像素子6は、ToF(Time of Flight)方式の測距を行うToFセンサとされている。ToFとしては、dToF(direct ToF)とiToF(indirect ToF)のいずれであってもよい。
これにより、被写体の三次元構造を推測するための距離画像データを得ることができる。
【0068】
発光部9の発光タイミングと各撮像素子の撮像タイミングの関係について、
図6のタイミングチャートに示す。
【0069】
図示するように、可動ミラー3Aが第1位置P1に移動されたタイミングで短時間の発光動作が行われると共に、可動ミラー3Aが第2位置P2に移動されたタイミングでも短時間の発光動作が行われる。即ち、制御部8は、可動ミラー3Aの移動制御に同期させて発光部9を発光させる。
【0070】
なお、可動ミラー3Aが第1位置P1に位置した状態で発光部9から出射したIR光は、被写体で反射した可動ミラー3Aが第2位置P2に移動する前に撮像光学系2及び可動ミラー3Aを介して第1撮像素子5に入射しようとする。
但し、第1撮像素子5の前段にはIRカットフィルタ10が配置されているため、IR光は第1撮像素子5に到達しない。
【0071】
このことを鑑みて、制御部8は、可動ミラー3Aが第2位置P2に位置したタイミングに応じて、即ち、第2撮像素子6の撮像動作に同期させて発光部9の発光動作を行ってもよい(
図7参照)。
【0072】
<4.第3の実施の形態>
第3の実施の形態におけるカメラシステム1Cは、
図8に示すように、第1ミラー3として可動ミラー3Aを備える代わりにハーフミラー3Bを備える。
【0073】
カメラシステム1Cは、撮像光学系2と、ハーフミラー3Bと、第2ミラー4Bと、第1撮像素子5と、第2撮像素子6と、制御部8とを備えている。
【0074】
ハーフミラー3Bは、一部の光を透過させる(直進させる)と共に、一部の光を反射させる。即ち、ハーフミラー3Bは被写体光の同時分光を行う。
【0075】
ハーフミラー3Bを透過した光は第1撮像素子5に入射される。一方、ハーフミラー3Bにおいて反射された光は、第2ミラー4Bにおいて更に反射され、第2撮像素子6に入射される。
【0076】
ハーフミラー3Bは、例えば、透過した光と反射した光が略同じ光量となるようにされている。或いは、第2ミラー4Bでの反射における減衰量を考慮して透過する光の光量が反射される光の光量よりも少なくされていてもよい。
【0077】
可動ミラー3Aの代わりにハーフミラー3Bを用いることにより、第1撮像素子5と第2撮像素子6において被写体光が同時に受光される。従って、可動ミラー3Aを用いた際に生じた第1撮像素子5と第2撮像素子6の撮像動作のずれを解消することができる。特に、被写体が動被写体である場合に効果的である。
【0078】
第3の実施の形態におけるカメラシステム1Cが備える各撮像素子の撮像タイミングの関係について
図9に示す。
【0079】
図示するように、ハーフミラー3Bに対する制御は行わないでよい。また、第1撮像素子5における撮像動作と第2撮像素子6における撮像動作は、休止期間がないため高速で行うことができる。
【0080】
第3の実施の形態における別の例について説明する。
別の例におけるカメラシステム1C’は、ハーフミラー3Bと発光部9とIRカットフィルタ10を備えている(
図10参照)。
【0081】
カメラシステム1C’が備える発光部9の発光タイミングと各撮像素子の撮像タイミングの関係について、
図11のタイミングチャートに示す。
【0082】
図示するように、ハーフミラー3Bに対する制御は行わないでよい。また、発光部9の発光タイミングは、第1撮像素子5の撮像動作の開始及び第2撮像素子6の撮像動作の開始に同期させて短時間の発光動作が行われる。
【0083】
<5.カメラシステムの構成についての変形例>
上述した各例では、第1撮像素子5及び第2撮像素子6が同一平面上に設けられている例を示したが、第1撮像素子5及び第2撮像素子6が同一平面上に設けられていなくてもよい。
【0084】
例えば、
図12に示すように、カメラシステム1A’は可動ミラー3Aを備えている。可動ミラー3Aが第1位置P1に制御されている状態においては、第1の実施の形態と同様に、第2ミラー4Aでの反射を介して第1撮像素子5へと被写体光が導かれる。一方、可動ミラー3Aが第2位置P2に制御されている状態においては、第1の実施の形態とは異なり、可動ミラー3Aでの反射光としての被写体光が第2ミラー4Bでの反射を介さずに第2撮像素子6へと入射される。
【0085】
但し、第1撮像素子5に入射される被写体光に対して第2撮像素子6に入射される被写体光は反射回数の違いによって左右反転されたものとなる。
従って、第2撮像素子6から出力される信号に対する後段の処理において左右を反転する処理が必要となる。
【0086】
このような構成を採ることで、第2ミラー4Bなどの光学部材を削減することができるため、組み立て工数の削減や部品点数の削減やコスト削減やカメラシステム1A’の小型化を図ることができる。
【0087】
このように、第2ミラー4A、4Bのうちの一方を省略する構成は、可動ミラー3Aを備えたカメラシステム1だけでなくハーフミラー3Bを備えたカメラシステムにも適用することが可能である。
【0088】
また、第2ミラー4A、4Bの双方を省略する構成としてもよい。この場合には、第1撮像素子5から出力される信号及び第2撮像素子6から出力される信号の双方について、後段の処理で左右を反転する処理を実行する。
【0089】
更に、
図13に示すカメラシステム1B’のように、発光部9及びIRカットフィルタ10を備えた構成において第1撮像素子5と第2撮像素子6が同一平面上に設けられていなくてもよい。
【0090】
また、
図13に示す構成から更に第2ミラー4Aを削減した構成とされていてもよい。
何れの場合であっても、第1撮像素子5及び第2撮像素子6から出力される信号に対して適宜左右反転処理が必要となる。
【0091】
IR光を照射する発光部9を備えた上述の各例においては、IRカットフィルタ10を備える構成を例に挙げたが、それ以外の構成であってもよい。
【0092】
例えば、
図14に示すように、第2ミラー4Aとして誘電体ミラー4A’を採用したカメラシステム1Dであってもよい。
誘電体ミラー4A’は、波長範囲が約360nm~約830nmとされた可視光や可視光に近い波長のIR光のみを反射する特性を有している。従って、第1撮像素子5がカラー画像データを出力する場合に
図14に示すようなIRカットフィルタ10を備えていない構成を採ることができる。
【0093】
第2ミラー4Aとして誘電体ミラー4A’を採用した場合には、IRカットフィルタ10を設ける必要がなくなるため、部品点数の削減や組み立て工数の削減、或いは、カメラシステム1Dの小型化を図ることが可能となる。
【0094】
上述した各例では、二つの撮像素子を備えた構成について説明したが、三つ以上の撮像素子を備えていてもよい。
【0095】
例えば、
図15に示すカメラシステム1Eは、第1ミラー3としての可動ミラー3Aと、第2ミラー4Aと第2ミラー4B’を備えている。
【0096】
第2ミラー4Aは、第1の実施の形態と同様の構成とされている。一方、第2ミラー4B’は、ハーフミラーとされており、反射光を第2撮像素子6へと導くと共に通過光を第3撮像素子11へと導く。
【0097】
これにより、可動ミラー3Aが第1位置P1に制御された状態においては、第1撮像素子5において撮像動作が行われる。また、可動ミラー3Aが第2位置P2に制御された状態においては、第2撮像素子6及び第3撮像素子11の双方において撮像動作が行われる。
【0098】
従って、
図15に示すカメラシステム1Eでは、3枚の撮像画像データを略同時に得ることが可能となる。
【0099】
なお、
図15に示す構成において、第2ミラー4Aにハーフミラーを採用すれば、4枚の撮像画像データを略同時に得る事が可能となる。
【0100】
各図を参照してカメラシステム1の構成を説明したが、撮影時に撮像画像データを確認するためのモニタなどが必要な場合には、カメラシステム1が背面モニタなどを備えていてもよい。その場合には、制御部8は、背面モニタに表示するための表示画像データを生成し、モニタドライバを介して背面モニタに提供する。
なお、背面モニタの代わりにカメラシステム1の外部に設けられたモニタを利用してもよい。
【0101】
<6.カメラシステムのまとめ>
上述した各例を用いて説明したように、カメラシステム1(1A、1A’、1B、1B’、1C、1C’、1D、1E)は、撮像のための光学素子(レンズやアイリス等)を含む撮像光学系2と、撮像光学系2を介して入射された光(被写体光)を分光するミラー(可動ミラー3Aやハーフミラー3Bなどの第1ミラー3)と、該ミラーを介して入射される入射光(被写体光)を受光し光電変換を行うことにより機械学習の学習データとして用いられる第1撮像画像データを出力する第1撮像素子5と、該ミラーを介して入射される入射光を受光し光電変換を行うことにより学習データとして用いられる第2撮像画像データを出力する第2撮像素子6と、を備えたものである。
これにより、第1撮像素子5と第2撮像素子6に入射される光は、同一の撮像光学系2を通過した光とされる。
従って、第1撮像画像データと第2撮像画像データの差分の要因から撮像光学系の違いを排除することができるため、一方の撮像画像データから他方の撮像画像データを推定するための適切な学習データを得ることができる。そして、これらの学習データとしての撮像画像データを用いた機械学習を行うことにより、学習モデルの高精度化を図ることができる。
特に、第1撮像素子5と第2撮像素子6で撮像光学系2を共通とすることにより、画角や被写体までの距離や撮影方向といった撮影に関する各種条件を両撮像素子間で完全に一致させることができるため好適である。
【0102】
第1の実施の形態等で説明したように、ミラー(可動ミラー3A)における分光は時分割分光とされてもよい。
例えば、ミラーの反射率を高くすると共に、第1撮像画像データの生成のために要する露光時間に亘って分光(反射光)が第1撮像素子5に導かれるようにし、第2撮像画像データの生成のために要する露光時間に亘って分光が第2撮像素子6に導かれるようにすることが可能となる。
これにより、第1撮像素子5及び第2撮像素子6における受光量を確保することができる。従って、ゲインコントロール等によるノイズの増加が抑制された第1撮像画像データ及び第2撮像画像データを得ることができる。
【0103】
第1の実施の形態等で説明したように、ミラー(可動ミラー3A)における反射光が第1撮像素子5に導かれる第1位置P1と反射光が第2撮像素子6に導かれる第2位置P2との間でミラーを可動させるミラー可動部7を備えていてもよい。
カメラシステム1がミラーを可動させる構成を備え、可動位置に応じて第1撮像素子5と第2撮像素子6のそれぞれに入射光(被写体光)を導くことができる。これにより、第1撮像素子5と第2撮像素子6の撮像が時分割で行われる。
従って、例えば、1フレームごとに第1撮像画像データと第2撮像画像データが交互に出力されるような構成を採ることができ、略同じタイミングで撮像された2種類の画像データを得ることができる。
【0104】
第3の実施の形態等で説明したように、ミラー(第1ミラー3)はハーフミラー3Bとされ、分光はハーフミラー3Bによる同時分光とされ、ハーフミラー3Bにおける反射光が第1撮像素子5及び第2撮像素子6における一方の撮像素子に入射され、ハーフミラー3Bにおける透過光が他方の撮像素子に入射されてもよい。
ハーフミラー3Bを用いて反射光と透過光がそれぞれの撮像素子に入射されることにより、第1撮像素子5における露光と第2撮像素子6における露光を同時に行うことができる。
従って、撮像対象の被写体が動きのある動被写体であった場合に被写体の動きによって被写体の撮像位置が撮像素子ごとに異なってしまうことが防止される。これにより、機械学習に用いられる学習データとして最適なデータを生成することができる。
【0105】
上述した各例で説明したように、第1撮像画像データはカラー画像データとされてもよい。
撮像画像データとしては種々考えられるが、一般的にはカラー画像データが広く用いられている。本構成では、カラー画像データとされた第1撮像画像データと、距離画像データやIR画像データなどそれ以外の画像データとされた第2撮像画像データを取得することができる。
これにより、一般的に広く用いられているカラー画像データからそれ以外の画像データを推定するために用いられる学習モデルを獲得するための学習データを生成することができる。
【0106】
第2の実施の形態等で説明したように、第2撮像画像データは距離画像データとされてもよい。
これにより、カラー画像データから距離画像データを推定する学習モデルを生成するための学習データを生成することができる。
従って、このようにして得られた学習モデルを用いた推論処理を行うことにより、撮像された各被写体までの距離情報をカラー画像データから得ることが可能となる。このようにして得られた距離情報を用いれば、例えば、二次元のカラー画像データから三次元モデルを構築することなどが可能となる。
【0107】
第2の実施の形態等で説明したように、第2撮像素子6の撮像動作に同期させて発光制御される発光部9を備えていてもよい。
これにより、第2撮像素子6は発光部9から出射されて被写体で反射した反射光(被写体光)を受光するタイミングに応じた露光制御を行うことが可能となる。
従って、第2撮像素子6は、被写体までの距離に基づく距離画像データを生成することができる。
【0108】
第1の実施の形態等で説明したように、第2撮像画像データは、偏光画像データとされてもよい。
これにより、カラー画像データに対応する偏光画像データがカメラシステムから出力される。
従って、カラー画像データに基づいて被写体ごとに面の向きなどを推定する学習モデルを生成するための学習データを生成することができる。このような学習モデルを用いた推論処理によって得られた被写体ごとの面の向きは、例えば、二次元画像データから三次元モデルを構築する際などに利用可能である。
【0109】
第1の実施の形態等で説明したように、第1撮像素子5が備える光学フィルタと第2撮像素子6が備える光学フィルタは光学特性が異なるものとされてもよい。
これにより、ある光学特性を備えた撮像素子において得られた撮像画像データに対応して、異なる光学特性を備えた撮像素子において得られた撮像画像データを得ることができる。
従って、一方の光学特性を備えた撮像素子において得られた撮像画像データに基づいて、他方の撮像素子において得られるであろう撮像画像データを推論するための学習データを得ることができる。
光学特性の違いとは、例えば、光波長に対する受光感度の特性の違いなどである。
【0110】
第1の実施の形態において説明したように、第1撮像素子5は原色系カラーフィルタを備え、第2撮像素子6は補色系カラーフィルタを備えていてもよい。
一般的に、原色系カラーフィルタを用いた撮像素子において得られる撮像画像データは色再現やSN(Signal to Noise)比が良好な傾向にあり、補色系カラーフィルタを用いた撮像素子において得られる撮像画像データは受光感度と解像度が良好な傾向にある。
本構成によれば、原色系カラーフィルタにより得られた第1撮像画像データに対応した撮像画像データとして補色系カラーフィルタにより得られた第2撮像画像データを生成することができる。
従って、原色系カラーフィルタにより得られた第1撮像画像データから補色系カラーフィルタにより得られた第2撮像画像データを推定するための学習モデルを生成することが可能となる。このような学習モデルを利用することにより、第1撮像画像データに相当する画像を撮像した場合に、対応する第2撮像画像データを推論処理によって得る事ができる。そして、原色系カラーフィルタを用いて得られた色再現やSN比の良好な特性と、補色系カラーフィルタを利用した際に得られる受光感度の高さや解像度の高さなどの良好な特性の双方を有する新たな画像を生成することなどが可能となる。
【0111】
第1の実施の形態において説明したように、第2撮像画像データはモノクロ画像データとされてもよい。
これにより、カラー画像データに対応するモノクロ画像データがカメラシステムから出力される。
従って、モノクロ画像データに基づいてカラー画像データを推定する学習モデルを生成するための学習データを生成することができる。このような学習モデルを用いた推論処理を行うことにより、例えば、モノクロ画像データしか無い場合であっても、カラー画像データを生成することが可能となる。即ち、カラーの撮像画像データを得ることができなかった時代に撮像されたモノクロ画像データから当時の色彩を再現することなどが可能となる。
【0112】
第1の実施の形態において説明したように、第1撮像素子5は位相差画素を含まない画素構成とされ、第2撮像素子6は位相差画素を含んだ画素構成とされていてもよい。
第2撮像素子6に含まれる位相差画素は、撮像画像データに用いる画素信号を出力できない場合がある。そのような場合には、撮像画像データから見ると位相差画素は画素欠陥として扱われる。そして、周辺画素から出力される画素信号を用いた画素欠陥補完(補正)を行うことにより位相差画素から出力されるべき画素信号の推定が行われる。
本構成によれば、画素欠陥補完が行われていない状態の第1撮像画像データと、画素欠陥補完が行われた状態の第2撮像画像データの双方を出力することができる。
これにより、画素欠陥補完が行われた撮像画像データから画素欠陥補完が行われていない撮像画像データを推定するための学習モデルに用いられる学習データを出力することができる。従って、位相差画素を含んだ撮像素子による撮像画像データしか得られない場合に、位相差画素を含まない撮像素子による撮像画像データを推定することが可能となる。また、第1撮像素子5から出力される第1撮像画像データは、第1撮像素子5が位相差画素を含まないため、画素欠陥補完を行った場合の理想の撮像画像データとみなすことができる。従って、画素欠陥補完のアルゴリズムによって得られた撮像画像データと推定された第1撮像画像データに相当する撮像画像データ、即ち推定された理想の撮像画像データを比較することにより、画素欠陥補完アルゴリズムの性能を向上させることが可能となる。
【0113】
第1の実施の形態において説明したように、第1撮像素子5は、異なるカラーフィルタを有する画素が所定パターンで配列され、第2撮像素子6は、互いに波長の異なる光を吸収する複数の光吸収層を有する画素が配列されていてもよい。
これにより、例えば、第2撮像素子6からは画素ごとにR、G、Bの画素信号を得ることができる。従って、第2撮像素子6においてはデモザイク処理が不要とされる。そして、カメラシステム1からは、デモザイク処理が施された第1撮像画像データとデモザイク処理が施されない第2撮像画像データがカメラシステムから出力される。
このような第1撮像画像データと第2撮像画像データを用いて機械学習を行うことにより得られた学習モデルは、第1撮像画像データと第2撮像画像データの差分に基づいたものとなる。従って、デモザイク処理における補完アルゴリズムの改良を行うことや、デモザイク処理による解像度の劣化等を防止するための補正を行うことなどが可能となる。
【0114】
第1の実施の形態において説明したように、第2撮像素子6は第1撮像素子よりも光学的クロストークの発生頻度及び受光感度が共に高くされていてもよい。
具体的には、第1撮像素子5は光学的クロストークの抑制に特化した撮像素子とされ、第2撮像素子6は受光感度の向上に特化した撮像素子とされる。これにより、光学的クロストークが抑制された第1撮像画像データと受光感度が高くゲインコントロール等によるノイズの増加が抑制された第2撮像画像データを出力することができる。
これらの撮像画像データを学習データとして機械学習を行うことにより得られた学習モデルを用いることにより、光学的クロストークによるノイズと受光感度が低いことによるノイズの双方が低減された撮像画像データを推定することが可能となる。
【0115】
第1の実施の形態において説明したように、第1撮像画像データの画素数と第2撮像画像データの画素数は同一とされてもよい。
双方の撮像画像データの画素数が一致されることで、第1撮像画像データと第2撮像画像データから画素ごとに対応した異なるデータを得ることができる。例えば、カラー画像データと距離画像データであれば、カラー画像データにおける各画素に対応した距離情報が含まれるように距離画像データが生成される。
このような2種類の画像データを学習データとして学習モデルの構築が行われることにより、学習モデルの推論の精度向上を図ることができる。
【0116】
第1の実施の形態において説明したように、第1撮像画像データの画素数は第2撮像画像データの画素数よりも多くされてもよい。
例えば、第1撮像画像データは高解像度の撮像画像データとされ、第2撮像画像データは低解像度の撮像画像データとされる。
このような撮像画像データを学習データとして学習モデルの構築がおこなわれることにより、低解像度の撮像画像データから高解像度の撮像画像データを推論するための学習モデルを生成することが可能となる。
【0117】
なお、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0118】
また、上述した各例はいかように組み合わせてもよく、各種の組み合わせを用いた場合であっても上述した種々の作用効果を得ることが可能である。
【0119】
<7.提供システム>
機械学習を行うことにより学習モデルを得ようとするユーザに対して機械学習に用いられる各種の情報を提供する提供システム100ついて説明する。
【0120】
提供システム100はユーザUに対して各種の情報を提供するシステムである。
提供システム100は、サーバ装置101と学習データ取得装置102を備えている。
【0121】
サーバ装置101は、学習データの管理等を行うデータサーバとしての機能を備えると共に、ユーザUの要求に応じて各種の処理を行うコンピュータ装置である。
【0122】
サーバ装置101は、学習データを蓄積する処理や検索処理や取得処理や送信処理などを行う。
【0123】
具体的に、サーバ装置101は、ユーザUから学習データの送信要求を受信し、管理下にある学習データの中からユーザUの要求に合った学習データを検索する。ユーザUの要求に応じた学習データが見つかった場合には、検索結果として抽出された学習データをユーザUに提供する。ユーザUへの学習データの提供は、例えば、ユーザUが使用するコンピュータ装置に対する送信処理を行うことにより実現する。
【0124】
一方、ユーザUの要求に応じた適切な学習データが無かった場合、或いは、学習データがあったとしてもユーザUが所望するデータ量に足りなかった場合には、センサ工場200に対して、ユーザUが所望する学習データ、即ち、撮像画像データを取得するための条件等の情報を送信する。
【0125】
ユーザUが所望する撮像画像データを取得するための条件についての情報とは、撮像素子の画素数や撮像光学系についての情報や、撮像素子が備える光学フィルタについての条件などである。
【0126】
具体的な例を用いて説明すると、カラー撮像画像データから被写体ごとの距離情報を抽出するための学習モデルを構築することを望んでいる場合には、カラー撮像画像データと距離画像データの双方を取得可能な前述した第2の実施の形態のカメラシステム1Bを製造するための情報をセンサ工場200に対して送信する。それらの情報は、例えば、第1撮像素子5を作成するための画素数や光学フィルタなどの条件と、第2撮像素子6を作成するための画素数や光学フィルタなどの条件、更に、発光部9を用意するための情報(発光周期や発光時間や照射する光の波長などの情報)やIRカットフィルタ10を用意するための情報などをセンサ工場200に提供する。
【0127】
センサ工場200では、受信した情報に基づいて撮像素子を作成し、ユーザUの所望の撮像画像データを得るためのカメラシステム1を製造して学習データ取得装置102に提供する。
【0128】
学習データ取得装置102は、カメラシステム1を用いて撮像画像データの取得、即ち撮影を行う。取得した撮像画像データは、サーバ装置101に送信されることにより、学習データとして蓄積される。
【0129】
ユーザUのために撮像された撮像画像データは、学習データとしてサーバ装置101から、或いは学習データ取得装置102から直接ユーザU(ユーザUが利用するコンピュータ装置)へ送信される。
【0130】
なお、サーバ装置101は、ユーザUに対して追加の学習データの提供を提案してもよい。追加の学習データとは、ユーザUが作成する学習モデルの性能を向上させ得るような学習データである。
例えば、画素数や撮影条件を振ることにより得られた種々のカラー画像データと距離画像データのセットを追加の学習データとして提案する。
【0131】
或いは、3種類以上の撮像画像データが組となったデータセットを追加の学習データとして提案してもよい。
【0132】
例えば、ユーザUがカラー撮像画像データと距離画像データの学習データを要求していた場合、距離画像データはToFセンサとしての撮像素子から出力されたデータであるため、ノイズやジッタなどの誤差を含んだものとなる。
【0133】
このような誤差を含んだ学習データを用いて機械学習を行っても、学習モデルの性能が低くなる虞がある。
【0134】
そこで、カラー画像データと距離画像データと偏光画像データが組となったデータセットを追加の学習データとして提案する。
【0135】
偏光画像データを用いて距離画像データに含まれる誤差を低減させることにより、距離画像データの精度を向上させることができ、作成される学習モデルの性能を更に向上させることが可能となる。
【0136】
これ以外にも、低解像度のカラー画像データと高解像度のカラー画像データの学習データを要求していた場合に、モノクロ画像データを追加の学習データとして提案してもよい。
【0137】
高解像度のカラー画像データを得るための撮像素子は一般的に受光感度が低下する。従って、高解像度のカラー画像データと同等の画素数とされたモノクロ撮像画像データをユーザUに提供することにより、高解像度のカラー画像データの誤差(ノイズ)を低減させることができ、より高性能な学習モデルを生成することが可能となる。
【0138】
提供システム100が実行する処理の流れの一例について、
図17を参照して説明する。
【0139】
提供システム100は、ステップS101において、ユーザUから要求を受信したか否かを判定する。要求を受信していない場合には再度ステップS101の処理を実行する。
【0140】
ユーザUから要求を受信したと判定した場合、提供システム100は、ステップS102において、ユーザUの要求に応じた検索条件を設定して検索処理を実行する。この処理により、提供システム100が管理する学習データからユーザUが所望した条件に合致する学習データが検索される。この検索処理は、学習データごとに付与された後述するタグを用いて行われる。
【0141】
提供システム100は、ステップS103において、検索処理の結果学習データが抽出されたか否かを判定する。
学習データが抽出されていないと判定した場合には、撮像素子の制作過程に移る。具体的には、提供システム100は、ステップS104において、撮像素子の仕様を決定してセンサ工場200へ提供する。
【0142】
センサ工場200においてカメラシステム1が製造された後、提供システム100は、ステップS105において、カメラシステム1を用いて学習データの取得を行う。具体的には、カメラシステム1を用いて撮像を行い、例えば、カラー撮像画像データと距離画像データの双方を得る。
【0143】
提供システム100はステップS106において、取得した学習データにタグ付けを行う。付与するタグは、検索処理に用いられるものであり、例えば、撮像された撮像画像データがカラー撮像画像データであることや距離画像データであることを特定するための情報や、画素数についての情報などである。或いは、被写体についての情報がタグとして付与されてもよい。
【0144】
具体的には、タグは、撮像素子についての情報や、被写体の情報や、撮像画像データを得るための条件についての情報や、撮影条件についての情報などである。
【0145】
撮像素子についての情報は、製品情報や、撮像素子の種類や、光学サイズや、画素サイズや、画素数や撮像素子の設定情報などを含み得る。
【0146】
被写体の情報は、人物、風景、車両、顔などの情報を含み得る。
【0147】
撮像画像データを得るための条件についての情報は、平均出力や露光時間等の情報を含み得る。
【0148】
撮影条件についての情報は、撮像光学系についての情報や、露光時間や、撮影時刻や、位置情報などを含み得る。更に、発光部9の情報(発光波長)などが含まれていてもよい。
【0149】
提供システム100はステップS107において、ユーザUに対するデータ提供を行う。なお、提供システム100はステップS107において追加データの提案を行ってもよい。
【0150】
ステップS103において、ユーザUが所望した学習データを抽出できたと判定した場合、提供システム100はステップS108へと進み、学習データの取得を行う。
更に、提供システム100はステップS107においてユーザUに対するデータ提供を行う。
なお、追加データの提案を行う場合には、ステップS108において類似データの検索を行い、抽出された学習データを追加データとしてステップS107においてユーザUに提供してもよい。或いは、ステップS108において、学習モデルの性能の向上に寄与する撮像画像データの種類を特定して検索処理を行い、抽出された撮像画像データを追加データとしてステップS107においてユーザUに提供してもよい。
【0151】
なお、ユーザUに対して学習データを提供するのではなく学習データを取得するための手段を提供する場合もある。
【0152】
具体的に、
図18を参照して説明する。
提供システム100Aは、サーバ装置101と学習データ取得装置102だけでなく、センサ工場200を備えている。
【0153】
センサ工場200で製造されたカメラシステム1は、学習データ取得装置による学習データ取得に用いられるだけでなく、ユーザUに提供されてもよい。
【0154】
これによりユーザUは、カメラシステム1を利用して自身で学習データの取得を行うことができる。
【0155】
また、センサ工場200は、カメラシステム1を構成する撮像素子(第1撮像素子5及び第2撮像素子6)を作成し、撮像素子をユーザUに提供してもよい。或いは、ユーザUが既に所有する第1撮像素子5の情報に基づいて第2撮像素子6を作成して、第2撮像素子6をユーザに提供してもよい。
【0156】
ユーザUは、提供された撮像素子を用いてカメラシステム1を作成し、学習データの取得を行う。
【0157】
このように、提供システム100Aでは、データだけでなく作成した撮像素子やカメラシステム1自体をユーザUに提供可能とされている。
【0158】
なお、ユーザUがカメラシステム1を用いて学習データを取得した場合には、サーバ装置101において学習データを蓄積することができない。
そこで、ユーザUに対して、取得した学習データのアップロードを要求してもよい。そして、そのインセンティブとして追加の学習データの提供や金銭の支払いを行うことが可能となるように提供システム100Aが構成されていてもよい。
【0159】
ユーザUにおいて取得された学習データの提供が行われた場合には、サーバ装置101において学習データの蓄積が行われる。
【0160】
<8.コンピュータ装置>
提供システム100、100Aが備えるコンピュータ装置の構成について
図19を参照して説明する。
【0161】
コンピュータ装置はCPU71を備えている。CPU71は、上述した各種の処理を行う演算処理部として機能し、ROM72や例えばEEP-ROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの不揮発性メモリ部74に記憶されているプログラム、または記憶部79からRAM73にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM73にはまた、CPU71が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0162】
なお、提供システム100としてのコンピュータ装置が備えるCPU71は、上述した各機能を実現するために
図17に示す各処理を実行する。
【0163】
CPU71、ROM72、RAM73、不揮発性メモリ部74は、バス83を介して相互に接続されている。このバス83にはまた、入出力インタフェース(I/F)75も接続されている。
【0164】
入出力インタフェース75には、操作子や操作デバイスよりなる入力部76が接続される。
例えば入力部76としては、キーボード、マウス、キー、ダイヤル、タッチパネル、タッチパッド、リモートコントローラ等の各種の操作子や操作デバイスが想定される。
入力部76によりユーザの操作が検知され、入力された操作に応じた信号はCPU71によって解釈される。
【0165】
また入出力インタフェース75には、LCD或いは有機ELパネルなどよりなる表示部77や、スピーカなどよりなる音声出力部78が一体又は別体として接続される。
表示部77は各種表示を行う表示部であり、例えばコンピュータ装置の筐体に設けられるディスプレイデバイスや、コンピュータ装置に接続される別体のディスプレイデバイス等により構成される。
【0166】
表示部77は、CPU71の指示に基づいて表示画面上に各種の画像処理のための画像や処理対象の動画等の表示を実行する。また表示部77はCPU71の指示に基づいて、各種操作メニュー、アイコン、メッセージ等、即ちGUI(Graphical User Interface)としての表示を行う。
【0167】
入出力インタフェース75には、ハードディスクや固体メモリなどより構成される記憶部79や、モデムなどより構成される通信部80が接続される場合もある。
【0168】
通信部80は、インターネット等の伝送路を介しての通信処理や、各種機器との有線/無線通信、バス通信などによる通信を行う。
【0169】
入出力インタフェース75にはまた、必要に応じてドライブ81が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブル記憶媒体82が適宜装着される。
【0170】
ドライブ81により、リムーバブル記憶媒体82から各処理に用いられるプログラム等のデータファイルなどを読み出すことができる。読み出されたデータファイルは記憶部79に記憶されたり、データファイルに含まれる画像や音声が表示部77や音声出力部78で出力されたりする。またリムーバブル記憶媒体82から読み出されたコンピュータプログラム等は必要に応じて記憶部79にインストールされる。
【0171】
このコンピュータ装置では、例えば本実施の形態の処理のためのソフトウェアを、通信部80によるネットワーク通信やリムーバブル記憶媒体82を介してインストールすることができる。或いは当該ソフトウェアは予めROM72や記憶部79等に記憶されていてもよい。
【0172】
CPU71が各種のプログラムに基づいて処理動作を行うことで、上述した演算処理部を備えたコンピュータ装置である提供システム100としての必要な情報処理や通信処理が実行される。
なお、提供システム100は、
図19のようなコンピュータ装置が単一で構成されることに限らず、複数のコンピュータ装置がシステム化されて構成されてもよい。複数のコンピュータ装置は、LAN(Local Area Network)等によりシステム化されていてもよいし、インターネット等を利用したVPN(Virtual Private Network)等により遠隔地に配置されたものでもよい。複数のコンピュータ装置には、クラウドコンピューティングサービスによって利用可能なサーバ群(クラウド)としてのコンピュータ装置が含まれてもよい。
【0173】
<9.提供システムのまとめ>
上述した提供システム100(100A)が実行する提供方法は、ユーザから機械学習に用いられる学習データの提供要求を受信する処理(サーバ装置101の要求受信機能)と、前記要求に応じてカメラシステム1(1A、1A’、1B、1B’、1C、1C’、1D、1E)によって撮像された第1撮像画像データと第2撮像画像データを提供する処理(サーバ装置101のデータ提供機能)と、をコンピュータ装置が実行するものである。そして、カメラシステム1は、撮像のための光学素子(レンズやアイリス等)を含む撮像光学系2と、撮像光学系2を介して入射された光(被写体光)を分光するミラー(可動ミラー3Aやハーフミラー3Bなどの第1ミラー3)と、該ミラーを介して入射される入射光(被写体光)を受光し光電変換を行うことにより機械学習の学習データとして用いられる第1撮像画像データを出力する第1撮像素子5と、該ミラーを介して入射される入射光を受光し光電変換を行うことにより学習データとして用いられる第2撮像画像データを出力する第2撮像素子6と、を備えたものである。
これにより、同一の撮像光学系2を通過した光を受光する第1撮像素子5と第2撮像素子6による光電変換により得られた第1撮像画像データと第2撮像画像データがユーザに対して提供される。
従って、第1撮像画像データと第2撮像画像データの差分の要因から撮像光学系の違いを排除することができるため、一方の撮像画像データから他方の撮像画像データを推定するための適切な学習データを提供することができる。そして、これらの学習データとしての撮像画像データを用いた機械学習を行うことにより、ユーザUは学習モデルの高精度化を図ることができる。
特に、第1撮像素子5と第2撮像素子6で撮像光学系2を共通とすることにより、画角や被写体までの距離や撮影方向といった撮影に関する各種条件を両撮像素子間で完全に一致させることができるため好適である。
【0174】
<10.本技術>
本技術は以下のような構成を採ることもできる。
(1)
撮像のための光学素子を含む撮像光学系と、
前記撮像光学系を介して入射された光を分光するミラーと、
前記ミラーを介して入射される入射光を受光し光電変換を行うことにより機械学習の学習データとして用いられる第1撮像画像データを出力する第1撮像素子と、
前記ミラーを介して入射される入射光を受光し光電変換を行うことにより前記学習データとして用いられる第2撮像画像データを出力する第2撮像素子と、を備えた
カメラシステム。
(2)
前記分光は時分割分光とされた
上記(1)に記載のカメラシステム。
(3)
前記ミラーにおける反射光が前記第1撮像素子に導かれる第1位置と前記反射光が前記第2撮像素子に導かれる第2位置との間で前記ミラーを可動させるミラー可動部を備えた
上記(2)に記載のカメラシステム。
(4)
前記ミラーはハーフミラーとされ、
前記分光は前記ハーフミラーによる同時分光とされ、
前記ハーフミラーにおける反射光が前記第1撮像素子及び前記第2撮像素子における一方の撮像素子に入射され、前記ハーフミラーにおける透過光が他方の撮像素子に入射される
上記(1)から上記(3)の何れかに記載のカメラシステム。
(5)
前記第1撮像画像データはカラー画像データとされた
上記(1)から上記(5)の何れかに記載のカメラシステム。
(6)
前記第2撮像画像データは距離画像データとされた
上記(5)に記載のカメラシステム。
(7)
前記第2撮像素子の撮像動作に同期させて発光制御される発光部を備えた
上記(6)に記載のカメラシステム。
(8)
前記第2撮像画像データは、偏光画像データとされた
上記(5)に記載のカメラシステム。
(9)
前記第1撮像素子が備える光学フィルタと前記第2撮像素子が備える光学フィルタは光学特性が異なるものとされた
上記(1)から上記(8)の何れかに記載のカメラシステム。
(10)
前記第1撮像素子は原色系カラーフィルタを備え、
前記第2撮像素子は補色系カラーフィルタを備えた
上記(9)に記載のカメラシステム。
(11)
前記第2撮像画像データはモノクロ画像データとされた
上記(5)に記載のカメラシステム。
(12)
前記第1撮像素子は位相差画素を含まない画素構成とされ、
前記第2撮像素子は位相差画素を含んだ画素構成とされた
上記(1)から上記(11)の何れかに記載のカメラシステム。
(13)
前記第1撮像素子は、異なるカラーフィルタを有する画素が所定パターンで配列され、
前記第2撮像素子は、互いに波長の異なる光を吸収する複数の光吸収層を有する画素が配列された
上記(1)から上記(12)の何れかに記載のカメラシステム。
(14)
前記第2撮像素子は前記第1撮像素子よりも光学的クロストークの発生頻度及び受光感度が共に高くされた
上記(1)から上記(13)の何れかに記載のカメラシステム。
(15)
前記第1撮像画像データの画素数と前記第2撮像画像データの画素数は同一とされた
上記(1)から上記(14)の何れかに記載のカメラシステム。
(16)
前記第1撮像画像データの画素数は前記第2撮像画像データの画素数よりも多くされた
上記(1)から上記(15)の何れかに記載のカメラシステム。
【符号の説明】
【0175】
1、1A、1A’、1B、1B’、1C、1C’、1D、1E カメラシステム
2 撮像光学系
3 第1ミラー(ミラー)
3A 可動ミラー(ミラー)
3B ハーフミラー(ミラー)
5 第1撮像素子
6 第2撮像素子
7 ミラー可動部
9 発光部
P1 第1位置
P2 第2位置