(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191696
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
H05B 45/20 20200101AFI20221221BHJP
F21S 8/02 20060101ALI20221221BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20221221BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20221221BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20221221BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20221221BHJP
H05B 45/37 20200101ALI20221221BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221221BHJP
【FI】
H05B45/20
F21S8/02 400
F21S2/00 444
H05B47/16
H05B47/105
H05B45/10
H05B45/37
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100079
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 ▲琢▼充
【テーマコード(参考)】
3K244
3K273
【Fターム(参考)】
3K244AA05
3K244BA01
3K244BA21
3K244CA03
3K244DA01
3K244DA13
3K244DA16
3K244EA02
3K244EA13
3K244GA02
3K244HA01
3K273PA10
3K273QA07
3K273QA15
3K273RA05
3K273RA12
3K273SA23
3K273SA35
3K273SA46
3K273SA50
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA27
3K273TA28
3K273TA49
3K273TA62
3K273TA77
3K273UA22
(57)【要約】
【課題】長時間使用した場合も空の再現度の低下を抑制できる照明器具を提供することを目的とする。
【解決手段】照明器具において、白色LEDと、青色LEDと、緑色LEDと、を有する青色用LEDモジュールと、青色用LEDモジュールの光を拡散して面発光する導光板と、青色用LEDモジュールを制御して空の色を再現する制御部と、を備え、制御部は、導光板の劣化情報および使用時間に基づき、白色LED、青色LEDおよび緑色LEDへの出力を個別に補正する構成とした。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色LEDと、青色LEDと、緑色LEDと、を有する青色用LEDモジュールと、
前記青色用LEDモジュールの光を拡散して面発光する導光板と、
前記青色用LEDモジュールを制御して空の色を再現する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記導光板の劣化情報および使用時間に基づき、前記白色LED、前記青色LEDおよび前記緑色LEDへの出力を個別に補正する照明器具。
【請求項2】
前記劣化情報は、前記導光板の光量の経年劣化データと、前記導光板の色度の経年劣化データとを含み、予め前記制御部に記憶されている請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記制御部は、
前記色度の経年劣化データおよび前記使用時間に基づき、前記白色LED、前記青色LEDおよび前記緑色LEDの色度補正率をそれぞれ求め、
前記光量の経年劣化データおよび前記使用時間に基づき、前記白色LED、前記青色LEDおよび前記緑色LEDの前記色度補正率を調整する請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記制御部は、前記劣化情報および前記使用時間に基づき、
前記白色LEDへの前記出力を補正する第1補正率と、
前記青色LEDへの前記出力を補正する第2補正率と、
前記緑色LEDへの前記出力を補正する第3補正率と、を求め、
前記第1補正率を用いて前記白色LEDへの前記出力を補正し、
前記第2補正率を用いて前記青色LEDへの前記出力を補正し、
前記第3補正率を用いて前記緑色LEDへの前記出力を補正する請求項1~3の何れか一項に記載の照明器具。
【請求項5】
前記制御部は、
前記使用時間ごとの前記第1補正率を含む第1補正率マップと、
前記使用時間ごとの前記第2補正率を含む第2補正率マップと、
前記使用時間ごとの前記第3補正率を含む第3補正率マップと、を作成する請求項4に記載の照明器具。
【請求項6】
前記制御部には、前記劣化情報に基づき作成された、
前記使用時間ごとの、前記白色LEDへの前記出力を補正する第1補正率を含む第1補正率マップと、
前記使用時間ごとの、前記青色LEDへの前記出力を補正する第2補正率を含む第2補正率マップと、
前記使用時間ごとの、前記緑色LEDへの前記出力を補正する第3補正率を含む第3補正率マップと、が予め記憶されている請求項1に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、LED(Light Emitting Diode)を備える照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空の様子を再現することが可能な照明器具が提案されている。例えば、特許文献1に記載の照明器具では、複数色のLEDを有する発光モジュールを用いて、青色光、黄色光、橙色光、赤色光および白色光の発光を制御することで、空の様子を再現する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の照明器具では、青色光、黄色光、橙色光、赤色光、および白色光の発光を制御して、青空、曇り空、夕空等といった自然の空を光拡散板に映し出す構成となっている。ここで、照明器具が長時間使用されると、温度負荷等により光拡散板が劣化し、照明器具における空の再現度が低下してしまう。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するものであり、長時間使用した場合も空の再現度の低下を抑制できる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る照明器具は、白色LEDと、青色LEDと、緑色LEDと、を有する青色用LEDモジュールと、青色用LEDモジュールの光を拡散して面発光する導光板と、青色用LEDモジュールを制御して空の色を再現する制御部と、を備え、制御部は、導光板の劣化情報および使用時間に基づき、白色LED、青色LEDおよび緑色LEDへの出力を個別に補正するものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る照明器具によれば、導光板の劣化情報および使用時間に基づき、白色LED、青色LEDおよび緑色LEDへの出力を個別に補正することで、長時間使用した場合も空の再現度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る照明器具の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る照明器具の構成を示す分解斜視図である。
【
図3】実施の形態1に係る照明器具の光源ユニットの構成を示す分解斜視図である。
【
図4】実施の形態1に係る照明器具の光源ユニットの構成を示す分解斜視図である。
【
図5】実施の形態1に係る照明器具の構成を示す断面模式図である。
【
図6】実施の形態1に係る青色用LEDモジュールの概略構成を示す図である。
【
図7】実施の形態1に係る照明器具の制御ブロック図である。
【
図8】実施の形態1に係る青色用LEDモジュールの光量を示すグラフである。
【
図9】導光板の光量の経年劣化データを示すグラフである。
【
図10】導光板の色度の経年劣化データを示すグラフである。
【
図11】導光板の色度の経年劣化データを示すグラフである。
【
図12】実施の形態1に係る照明器具の動作を示すフローチャートである。
【
図13】実施の形態2に係る照明器具の動作を示すフローチャートである。
【
図14】実施の形態2に係る調光ユニットによって作成された第1補正率マップを示す図である。
【
図15】実施の形態2に係る調光ユニットによって作成された第2補正率マップを示す図である。
【
図16】実施の形態2に係る調光ユニットによって作成された第3補正率マップを示す図である。
【
図17】実施の形態3に係る照明器具の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、照明器具の実施の形態について図面を参照して説明する。本開示の照明器具は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、種々に変形することが可能である。また、本開示の照明器具は、以下の実施の形態に示す構成のうち、組み合わせ可能な構成のあらゆる組み合わせを含むものである。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一のまたはこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。また、明細書の全文において、床面から天井に向かう垂直な方向を「上方向」と呼び、天井側を「上側」と呼ぶことする。また、同様に、天井から床面に向かう垂直な方向を「下方向」と呼び、床面側を「下側」と呼ぶことする。なお、各図面では、各構成部材の相対的な寸法関係または形状等が実際のものとは異なる場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明器具1の外観を示す斜視図である。照明器具1は、天井埋め込み型の照明器具であり、天井に埋め込まれる器具本体50と、器具本体50に取り付けられる光源ユニット10とを備える。光源ユニット10は、白色光を発する拡散カバー13と、青色光を発する導光板17とを備える。照明器具1は、導光板17からの青色光と、拡散カバー13からの白色光とにより、窓枠越しに空を見るような奥行き感のある視覚効果を有する照明を提供することができる。
【0011】
図2は、実施の形態1に係る照明器具1の構成を示す分解斜視図である。照明器具1は、天井Cに設けられた埋め込み穴Hに埋め込まれて設置される。
図2に示すように、照明器具1の器具本体50は、長方形の箱形に形成され、下側が開口している。器具本体50は、主面51と、4つの側面52とを有している。側面52のそれぞれは、主面51の4辺のそれぞれから下方向に向かって垂直に延びるように設けられている。
【0012】
器具本体50の4つの側面52のうち、対向する2つの側面52の内側の面には、Vばね取り付け金具53が取り付けられている。Vばね取り付け金具53は、光源ユニット10に設けられた後述するVばね12を引掛けて保持する。また、主面51の四隅には、ボルト孔51-1が設けられている。また、天井Cの埋め込み穴Hからは、吊り下げボルトBが吊り下げられている。器具本体50は、ボルト孔51-1に吊り下げボルトBを挿入した後、吊り下げボルトBをナット61で締めることで、天井Cに固定される。
【0013】
また、主面51には、電線孔51-2が形成されるとともに、端子台54が設けられている。端子台54は、電源端子台と信号線端子台とを有する。
図2において、電源端子台および信号線端子台は図示を省略している。電線孔51-2からは、電線および信号線が引き出される。電線孔51-2から引き出された電線は、端子台54の電源端子台に電気的に接続される。また、電線孔51-2から引き出された信号線は、端子台54の信号線端子台に電気的に接続される。
【0014】
光源ユニット10は、器具本体50の開口内部に配置される。光源ユニット10は、上カバー27と、フランジ部11と、Vばね12と、拡散カバー13と、導光板17と、を備える。上カバー27は、下端が開口した四角錐台に形成される。上カバー27の4つの側面のそれぞれは、台形形状に形成され、上辺の長さが下辺の長さよりも短くなっている。フランジ部11は、平面視で、長方形の枠形に形成されている。フランジ部11は、
図2に示すように、上カバー27の下端から水平方向の外側に向かって突出するように配置されている。
【0015】
Vばね12は、金属製の線材をV字状に曲げて形成された線ばねであり、フランジ部11の上面に取り付けられている。Vばね12は、器具本体50のVばね取り付け金具53の位置に合わせて、合計4個設けられている。Vばね12がVばね取り付け金具53に係合することで、光源ユニット10が器具本体50に吊り下げられて保持される。なお、照明器具1が天井Cの埋め込み穴Hに取り付けられた状態のとき、フランジ部11は埋め込み穴Hの縁を覆う。従って、照明器具1が天井Cの埋め込み穴Hに取り付けられた状態のとき、ユーザからは埋め込み穴Hは見えなくなる。
【0016】
図3および
図4は、実施の形態1に係る照明器具1の光源ユニット10の構成を示す分解斜視図である。光源ユニット10は、
図3に示す構成要素と
図4に示す構成要素とからなる。
図3は、光源ユニット10の下側部分に設けられた構成要素を示し、
図4は、光源ユニット10の上側部分に設けられた構成要素を示している。
【0017】
光源ユニット10の構成要素のうち、まず、
図3に示す構成要素について説明する。
図3に示すように、光源ユニット10は、フランジ部11と、Vばね12と、パッキン21と、拡散カバー13と、パッキン22と、白色用LEDモジュール14と、モジュール保持部15とを備える。
【0018】
フランジ部11は、上述したように、長方形の枠形に形成されている。フランジ部11は、例えば金属から構成されている。Vばね12は、フランジ部11の上面に、合計4個設けられている。
【0019】
モジュール保持部15は、平面視で長方形の枠形に形成されている。モジュール保持部15は、4つの部材を組み合わせて構成されている。4つの部材のそれぞれは、後述する
図5に示されるように、L字断面を有している。また、
図3に示すように、モジュール保持部15の4つの部材のそれぞれの下端には、取付フランジ15-1が設けられている。取付フランジ15-1は、ねじによってフランジ部11に取り付けられる。
【0020】
白色用LEDモジュール14は、3つの基板140と、3つの基板140それぞれの内側に設けられた色温度の異なる2種類の白色LED141および142とを有している。白色用LEDモジュール14の3つの基板140は、長方形の3辺を形成するように、平面視でコの字形に配置される。隣接する基板140同士のなす角度は90°である。白色用LEDモジュール14は、コの字を構成する3方向から白色光を出射する。
【0021】
白色LED141は、例えば色温度が4000~5000(K)の昼色のLEDであり、白色LED142は例えば色温度が2600~3000(K)の電球色のLEDである。白色用LEDモジュール14は、白色LED141および142の調光率を変化させることにより、様々な色温度および様々な光量の白色光を出射することができる。また、白色LED141と白色LED142は、時刻に応じて調光されてもよい。例えば、白色LED141と白色LED142は、昼間に光量が100%、明け方および夕方に光量が50%、夜に光量が20%となるよう調光される。さらに、白色LED141と白色LED142は、例えば、昼間に色温度が4500Kの昼白色となり、夕方に色温度が3000~3500Kの電球色となり、夜に色温度が4000~3800Kとなるよう調光される。
【0022】
なお、白色用LEDモジュール14の光源として、LED以外の発光素子または発光装置を用いてもよい。また、白色用LEDモジュール14は、1種類のみの白色LEDを備えてもよいし、3種類以上の白色LEDを備えてもよい。白色用LEDモジュール14は、モジュール保持部15の内側に配置され、モジュール保持部15によって保持される。
【0023】
パッキン22は、平面視で、長方形の細枠形に形成されている。パッキン22は、拡散カバー13の上側の端面と、
図4に示す導光板17の出射面である下面との間に配置される。パッキン22は、後述する青色用LEDモジュール18から出射された光が導光板17の出射面から拡散カバー13の上側の端面に入り込まないよう遮光する。また、パッキン22は、白色用LEDモジュール14から出射された白色光が拡散カバー13の上側の端面から導光板17の出射面に入り込まないよう遮光する。さらに、パッキン22は、照明器具1が地震等により揺れた場合の緩衝材としても機能する。
【0024】
拡散カバー13は、例えば白色の樹脂から構成され、平面視で長方形の枠形に形成されている。拡散カバー13は、上側と下側が開口した四角錐台形状を有する。すなわち、拡散カバー13の4つの側面のそれぞれは、垂直方向に対して予め設定された角度で傾斜している。拡散カバー13の4つの側面のそれぞれは、台形形状の拡散板から構成され、上辺の長さが下辺の長さよりも短くなっている。また、拡散カバー13の4つの側面のそれぞれが傾斜しているため、平面視で、上辺の位置が下辺の位置よりも内側になるように配置されている。それにより、拡散カバー13の内部空間は、下方向に向かってテーパ状に大きくなっている。拡散カバー13は、4枚の台形形状の拡散板を組み合わせて形成されてもよいし、一体成型で形成されてもよい。
【0025】
拡散カバー13の4つの側面のうち、3つの面は発光面13-1であり、他の1つの面は非発光面13-2である。3つの発光面13-1は、コの字形状に配置されている。ここで、拡散カバー13の4つの側面のそれぞれにおいて、拡散カバー13の内部空間に面している内側の面を前面と呼び、外側の面を背面と称する。
【0026】
拡散カバー13は、白色用LEDモジュール14の内側に配置される。すなわち、拡散カバー13の発光面13-1のそれぞれの背面側に、白色用LEDモジュール14が配置される。白色用LEDモジュール14から出射された白色光は、拡散カバー13の発光面13-1の背面から入射し、発光面13-1を透過して、発光面13-1の前面から出射される。発光面13-1のそれぞれが傾斜しているため、3つの発光面13-1の前面から出射される白色光は、斜め下方向を照射する。
【0027】
拡散カバー13の非発光面13-2の背面には、遮光シート(不図示)が貼付され、非発光面13-2から光が漏れないように構成されている。
【0028】
このように、拡散カバー13は、白色光を発する3つの発光面13-1と、光を発しない1つの非発光面13-2とを組み合わせた構成を有している。これにより、拡散カバー13から発せられる光は、3方向からの光となり、太陽光に照らされたひなたの窓枠、または日陰の窓枠越しに、外からの光が差し込んでいるような奥行き感のある視覚効果を演出することができる。
【0029】
拡散カバー13はパッキン21を介して、フランジ部11上に載置される。パッキン21は、平面視で、長方形の細枠形に形成されている。パッキン21は、フランジ部11または拡散カバー13が振動した際に、互いが直接的にぶつかり合うことを防止する。また、パッキン21の弾力性により、フランジ部11から拡散カバー13に与える力が緩和され、拡散カバー13の破損を抑制することができる。さらに、フランジ部11と拡散カバー13との間にパッキン21を設けることで、窓枠としての印象を持たせることができる。特に、パッキン21が白色系の色調の場合に、窓枠としての印象を強めることができる。また、パッキン21は、拡散カバー13とフランジ部11との隙間から白色光が漏れることを防ぐ遮光部としても機能する。
【0030】
次に、光源ユニット10の構成要素のうち、
図4に示す構成要素について説明する。
図4に示すように、光源ユニット10は、さらに、下ガイドプレート16と、導光板17と、青色用LEDモジュール18と、上ガイドプレート19と、絶縁部23と、モジュール保持部24と、固定部材25と、導光板カバー26と、上カバー27とを備える。また、光源ユニット10は、上カバー27の上面に配置され、光源ユニット10の制御を行う制御部30をさらに備える。制御部30は、電源装置31および調光ユニット32を有する。
【0031】
下ガイドプレート16は、
図3に示したモジュール保持部15上に載置される。下ガイドプレート16は、2本の棒状の部材から構成され、導光板17の下方において、導光板17の長手方向に延びる端部に沿って配置される。下ガイドプレート16を構成する2本の棒状の部材の両端には、突起部16-3が設けられている。突起部16-3は、上側に向かって垂直に延びている。突起部16-3は、導光板17の短手方向に延びる端面17-2と接触し、導光板17の長手方向への移動を規制する。
【0032】
上ガイドプレート19は、導光板17上に載置される。上ガイドプレート19は、2本の棒状の部材から構成され、導光板17の長手方向に延びる端部に沿って配置される。
【0033】
導光板17は、平面視で長方形の板状に形成される。導光板17は、青色用LEDモジュール18から出射された光を拡散させ、出射面である下面から青色光を面発光する。導光板17は、アクリル樹脂で形成され、光を散乱させる粒子である散乱体として、例えばシリカを含む。導光板17の長手方向の端部は、下ガイドプレート16と上ガイドプレート19とで上下方向から挟持される。
【0034】
導光板17の上面は、全反射するために平滑となっている。導光板17の上面は、鏡面仕上げであることが望ましい。照明器具1の組立て作業中に、導光板17の上面に傷がつくと、傷がついた箇所で全反射が起こりにくくなる。そのため、上面の傷がついた箇所に対応する下面の一部分が白っぽく光って見えてしまう。そのため、導光板17の上面の傷つきを防止するために、導光板17の上面を反射シート(不図示)で覆うようにしてもよい。
【0035】
青色用LEDモジュール18は、導光板17の長手方向に延びる端面17-1に平行になるように配置される。青色用LEDモジュール18は、2つの基板180と、基板180にそれぞれ配置された複数のLEDとを備える。基板180の上部には、複数の貫通穴18-1が設けられている。青色用LEDモジュール18の構成および調光制御については、後ほど詳述する。
【0036】
青色用LEDモジュール18は、固定部材25によりモジュール保持部24に取り付けられる。固定部材25の青色用LEDモジュール18側の面には、円柱型の突起部25-1が設けられている。突起部25-1は、青色用LEDモジュール18の基板180の貫通穴18-1にそれぞれ挿入される。突起部25-1が貫通穴18-1に挿入された状態で、固定部材25がモジュール保持部24にねじ止めされる。
【0037】
モジュール保持部24は、断面がL字状の板金で形成されている。モジュール保持部24は、青色用LEDモジュール18の基板180を保持するだけでなく、青色用LEDモジュール18からの熱を外部に放出する放熱板としても機能する。モジュール保持部24は、
図3に示したモジュール保持部15の上面に取り付けられる。また、青色用LEDモジュール18は、絶縁部23を介して、モジュール保持部24に取り付けられる。なお、青色用LEDモジュール18の基板180が両面基板でない場合には、絶縁部23は省略してもよい。
【0038】
導光板カバー26は、上ガイドプレート19上に載置される。導光板カバー26は、導光板17を上から覆い、導光板17を保護する。上カバー27は、
図3および
図4に示す光源ユニット10の構成要素を覆い、当該構成要素を保護する。上カバー27の上面には、制御部30が載置される。制御部30は、電源装置31および調光ユニット32からなる。
【0039】
電源装置31は、青色用LEDモジュール18および白色用LEDモジュール14に電力を供給する。調光ユニット32は、青色用LEDモジュール18および白色用LEDモジュール14が備える各LEDを調光する。電源装置31と調光ユニット32とは、例えば渡り配線などの配線で、電気的に接続される。また、電源装置31および調光ユニット32は、光源ユニット10が器具本体50に取り付けられた状態において、器具本体50の端子台54の電源端子台および信号端子台と電気的に接続される。
【0040】
図5は、実施の形態1に係る照明器具1の構成を示す断面模式図である。
図5は、照明器具1を、長手方向の中央部分において、短手方向の1つの側面に平行な平面で切断した断面を模式的に示している。
【0041】
図5に示すように、器具本体50の下端の開口内に光源ユニット10が配置される。光源ユニット10のフランジ部11の上面には、Vばね12が設けられている。Vばね12は、器具本体50に設けられたVばね取り付け金具53に引き掛けられた状態で保持されている。これにより、光源ユニット10と器具本体50とが係合され、光源ユニット10が器具本体50に保持される。
【0042】
白色用LEDモジュール14は、モジュール保持部15に保持され、拡散カバー13の背面に配置される。また、青色用LEDモジュール18は、モジュール保持部15の上面に固定されたモジュール保持部24に保持され、空隙33を介して導光板17の端面17-1に対向するように配置される。拡散カバー13と導光板17とは互いに交差する向きに配置されている。具体的には、導光板17は天井Cと平行に配置され、拡散カバー13は導光板17から斜め下方向に延びるよう配置される。
【0043】
白色用LEDモジュール14から出射された白色光は、拡散カバー13の背面から入射され、拡散カバー13の発光面13-1の前面から出射される。発光面13-1は傾斜しているため、発光面13-1の前面から出射される白色光は、斜め下方向を照らす。また、青色用LEDモジュール18から出射した光は、導光板17の端面17-1に入射され、導光板17の上面と下面とで全反射しながら導光板17内を進む。導光板17内を進む光の一部は、導光板17内の散乱体に当たって拡散され、導光板17の下面から面発光される。
【0044】
次に、本実施の形態における青色用LEDモジュール18の構成および調光制御について説明する。
図6は、実施の形態1に係る青色用LEDモジュール18の概略構成を示す図である。
図6では、青色用LEDモジュール18における1つの基板180の概略構成を示しているが、もう1つの基板180の構成も
図6と同様である。
図6に示すように、青色用LEDモジュール18の基板180には、複数の白色LED181と、青色LED182と、緑色LED183とが配置される。詳しくは、基板180には、2個の白色LED181と、2個の青色LED182と、1個の緑色LED183とを一組として、複数の組が一列に配置される。
【0045】
なお、青色用LEDモジュール18の基板180に配置される白色LED181、青色LED182、および緑色LED183の数および配置は、
図6の例に限定されるものではない。例えば、白色LED181と、青色LED182と、緑色LED183とを、基板180の下側の領域に配置してもよい。この場合、導光板17と拡散カバー13とを近づけて配置することができ、導光板17からの青色光と拡散カバー13からの白色光とを近接させて出射することができる。また、白色LED181と、青色LED182と、緑色LED183との上下方向の位置をずらして配置するなどしてもよい。また、白色LED181、青色LED182、および緑色LED183の並びは、色のばらつきおよび基板の設計を考慮し、適宜決定すればよい。ただし、空の色を再現するためには、青色用LEDモジュール18におけるLEDの総数に対する白色LED181、青色LED182、および緑色LED183の数の比は、2:2:1とすることが望ましい。
【0046】
青色用LEDモジュール18の基板180の上部には、複数の貫通穴18-1が設けられている。基板180の中央部分に設けられた貫通穴18-1(不図示)は円形であり、それ以外の貫通穴18-1は長手方向に延びた楕円形である。青色用LEDモジュール18の基板180は、白色LED181、青色LED182、および緑色LED183から発せられる熱によって熱膨張および熱収縮する。そのため、青色用LEDモジュール18をモジュール保持部24に固定させると、青色用LEDモジュール18の基板180に熱膨張および熱収縮による反りまたはゆがみが生じるおそれがある。
【0047】
そこで、本実施の形態では、基板180に楕円形の貫通穴18-1を設け、固定部材25の突起部25-1を貫通穴18-1に遊びを持って挿入できる構成となっている。これにより、青色用LEDモジュール18の基板180が熱膨張および熱収縮した場合にも、突起部25-1が楕円形の貫通穴18-1内を長手方向に移動することができ、基板180の反りまたはゆがみを抑制することができる。
【0048】
白色LED181は、例えば色温度が5000(K)であり、順電圧が6VのLEDである。青色LED182は、例えばドミナント波長が440~480nmであり、順電圧が3VのLEDである。緑色LED183は、例えばドミナント波長が510~570nmであり、順電圧が3VのLEDである。白色LED181は、青色LED182および緑色LED183よりも順電圧が高く、同じ電流が流れた場合に、青色LED182および緑色LED183よりも明るく発光する。すなわち、青色用LEDモジュール18における、各LEDの出力バランスは、白色LED181>青色LED182>緑色LED183となる。
【0049】
本実施の形態の青色用LEDモジュール18は、白色LED181、青色LED182、および緑色LED183の発光を制御して、空の色、特に青空の色を再現する。このように、白、青、緑の3色を用いることで、赤、青、緑の3色を用いる場合に比べて、演色性を向上させることができる。
【0050】
図7は、実施の形態1に係る照明器具1の制御ブロック図である。
図7に示すように、電源装置31は、青色用LEDモジュール18の白色LED181と、青色LED182と、緑色LED183とに、それぞれ電流を出力する第1点灯回路31aと、第2点灯回路31bと、第3点灯回路31cと、を備える。LED毎に個別に点灯回路を備えることで、青色用LEDモジュール18の発光色に対して二次元の制御ができるため、様々な青空を再現することができる。電源装置31は、さらに、白色用LEDモジュール14の白色LED141と、白色LED142と、にそれぞれ電流を出力する第4点灯回路31dと、第5点灯回路31eと、を備える。
【0051】
電源装置31は、さらに、電源制御回路310を備える。電源制御回路310は、専用の単一回路または複合回路などのハードウェア、メモリに格納されるプログラムを実行するマイクロコンピュータまたはプロセッサ、もしくはこれらの組み合わせで構成される。電源制御回路310は、調光ユニット32からの指令に基づき、第1点灯回路31a~第5点灯回路31eの出力を個別に制御する。電源装置31は、さらに、商用電源を直流電源に変換するための整流回路などの回路(不図示)を備える。
【0052】
第1点灯回路31a~第5点灯回路31eは、電源装置31が備える整流回路などの回路から電源の供給を受ける。また、第1点灯回路31a~第5点灯回路31eは各LEDを点灯するためのスイッチング素子(不図示)を備える。第1点灯回路31a~第5点灯回路31eは、電源制御回路310からの指示により、各LEDを個別に点灯させる。
【0053】
調光ユニット32は、電源装置31の電源制御回路310に、第1点灯回路31a~第5点灯回路31eを制御するための調光信号を出力する。すなわち、調光ユニット32は、青色用LEDモジュール18の白色LED181および青色LED182および緑色LED183、ならびに白色用LEDモジュール14の白色LED141および142の発光を制御するものである。
【0054】
調光ユニット32は、例えばタイマー(不図示)を有し、時刻に応じて電源制御回路310を通して第1点灯回路31a~第5点灯回路31eの出力を制御する。調光ユニット32は、専用の単一回路または複合回路などのハードウェア、メモリに格納されるプログラムを実行するマイクロコンピュータまたはプロセッサ、もしくはこれらの組み合わせで構成される。また、調光ユニット32は、外部インタフェースが挿入され、データの入出力が行われるポートを備える。
【0055】
調光信号は、例えば各LEDへの出力電流の指令値を示すPWM(Pulse Width Modulation)信号であり、指令値に応じて各LEDの光量が変更される。電源装置31の電源制御回路310は、PWM信号に基づいて、第1点灯回路31a~第5点灯回路31eの出力を制御し、各LEDに流れる電流を変えることで青色用LEDモジュール18と白色用LEDモジュール14との調光制御を行う。なお、調光信号として、デューティ比に応じて各LEDの光量を変更するためのPWM信号を用いてもよい。
【0056】
図8は、実施の形態1に係る青色用LEDモジュール18の光量を示すグラフである。
図8の横軸は時刻を示し、縦軸は青色用LEDモジュール18の光量を示す。本実施の形態の青色用LEDモジュール18は、白色用LEDモジュール14と同様に、時刻に応じて光量が変更される。詳しくは、
図8に示すように、昼間(例えば8時から16時)の光量は100%とされ、明け方(例えば6時から8時)および夕方(例えば16時から18時)の光量は50%とされ、夜(例えば18時から6時)の光量は20%とされる。なお、
図8に示す時刻は、単なる一例であって、
図8の例に限定されず、適宜設定してよい。また、季節に応じて各時刻の光量を変更してもよい。例えば、季節が夏の場合は、冬の場合に比べて、青色用LEDモジュール18の光量を100%とする昼間の時間を長くしてもよい。また、季節に応じて、青色用LEDモジュール18の光量だけでなく色度を変更してもよい。
【0057】
照明器具1の使用時間が長時間になると、点灯時の温度負荷等により導光板17が劣化し、導光板17から発せられる光の光量および色度が変化する。そこで、本実施の形態の第1点灯回路31a~第3点灯回路31cを指示する電源制御回路310を指示する調光ユニット32は、導光板17の劣化に関する情報に基づき、使用時間に応じて第1点灯回路31a~第3点灯回路31cから各LEDへの出力を補正する。導光板17の劣化情報は、導光板17の光量の経年劣化データと、色度の経年劣化データとを含む。導光板17の劣化情報は、予め実験等により求められるものとする。
【0058】
図9は、導光板17の光量の経年劣化データを示すグラフである。
図9の横軸は累積の使用時間[h]を示し、縦軸は導光板17から発せられる光の光量[%]を示す。
図9に示すように、導光板17から発せられる光の光量は、使用時間が長くなる程、低下する。
【0059】
図10および
図11は、導光板17の色度の経年劣化データを示すグラフである。
図10の横軸は累積の使用時間[h]を示し、縦軸は導光板17から発せられる光のCIE色度図におけるx値の変化値Δxを示す。
図11の横軸は累積の使用時間[h]を示し、縦軸は導光板17から発せられる光のCIE色度図におけるy値の変化値Δyを示す。
図10および
図11に示すように、ΔxおよびΔyは正の値であり、導光板17のx値およびy値は、経年劣化により値が増加することがわかる。また、導光板17のx値およびy値は、40000時間までは大きく変化し、40000時間以降はほとんど変化しないことがわかる。
【0060】
図12は、実施の形態1に係る照明器具1の動作を示すフローチャートである。
図12のフローチャートは、照明器具1の制御部30により実行される。まず、調光ユニット32に、導光板17の劣化情報が書き込まれ、記憶される(S1)。導光板17の劣化情報は、メモリーカードまたはUSBなどの外部インタフェース経由で調光ユニット32に書き込まれる。導光板17の劣化情報の書き込みは、調光ユニット32の組立時または照明器具1の組立時に行われる。もしくは、照明器具1の完成後に製造工場または客先において、導光板17の劣化情報が書き込まれてもよい。ただし、照明器具1に組み込まれる導光板17の特性が個々に大きく異なる場合は、導光板17の個々の劣化情報を用意して書き込む必要がある。そのため、このような場合は、照明器具1の組立時または製品完成時の、調光ユニット32と導光板17との組み合わせが確定した段階で、劣化情報の書込みを行う。これにより、製造管理の効率化を図ることができる。
【0061】
そして、照明器具1を点灯するか否かが判断される(S2)。ここでは、図示しないリモコンが操作された場合、または図示しない制御コントローラーに記憶されたスケジュールによる点灯時刻になった場合に、点灯すると判断される。なお、ここでいうスケジュールは、調光ユニット32が保持していてもよい。照明器具1を点灯すると判断されるまで(S2:NO)待機する。そして、照明器具1を点灯すると判断された場合(S2:YES)、調光ユニット32において、照明器具1の使用時間が計測される(S3)。この使用時間は、照明器具1が初めて点灯されてからの累積使用時間である。
【0062】
そして、調光ユニット32において、記憶された劣化情報および現在の使用時間に基づいて、白色LED181、青色LED182および緑色LED183の補正率がそれぞれ求められる(S4)。調光ユニット32は、白色LED181の補正率である第1補正率と、青色LED182の補正率である第2補正率と、緑色LED183の補正率である第3補正率と、を求める。第1~第3補正率は、白色LED181、青色LED182および緑色LED183の調光信号の調光率を補正するものである。例えば、調光信号の調光率が50%で補正率が100%の場合、補正後の調光信号の調光率は50%となる。また、例えば調光信号の調光率が50%で補正率が150%の場合、補正後の調光信号の調光率は75%となる。
【0063】
調光ユニット32は、導光板17から発せられる光の光量と色度とが、使用時間に依らず初期値と略同じとなるように、第1~第3補正率を求める。初期値は、使用時間が0時間の場合の導光板17の光量Q0および色度である。色度の初期値は、CIE色度図におけるx値(x0)およびy値(y0)である。具体的には、まず、現在の使用時間における導光板17の色度が初期値の色度と同じになるよう、白色LED181、青色LED182、および緑色LED183の色度補正率が求められる。
【0064】
使用時間が0時間の場合、白色LED181、青色LED182、および緑色LED183の色度補正率は、それぞれ100%である。また、使用時間がN時間の場合、まず、導光板17の劣化情報から、使用時間がN時間の場合のΔxnとΔynが抽出される。そして、白色LED181、青色LED182および緑色LED183の3色を混合した光のx値(xn)およびy値(yn)が下記の式(1)および式(2)の値となるよう、白色LED181、青色LED182および緑色LED183の色度補正率が求められる。
xn=x0+Δxn・・・(1)
yn=y0+Δyn・・・(2)
【0065】
導光板17から発せられる光の色度は、白色LED181、青色LED182および緑色LED183の光の比率によって変化する。例えば、白色LED181の調光率を維持し、青色LED182および緑色LED183の調光率を増加させると、3色を混合した光のx値およびy値は減少する。そのため、導光板17の劣化で増加したx値(Δx)およびy値(Δy)を帳消しにするためには、青色LED182および緑色LED183の調光率を増加させる必要がある。そこで、青色LED182および緑色LED183の色度補正率が100%よりも大きい値とされる。
【0066】
実際には、白色LED181、青色LED182、および緑色LED183にランダムに複数の色度補正率を設定し、各色度補正率で調光信号を補正した場合の色度が求められる。そして、求められた色度が、式(1)および(2)で得られるxnおよびynに近い色度補正率が、各LEDの色度補正率として採用される。
【0067】
そして、現在の使用時間における導光板17の光量Qnが初期値の光量Q0と同じになるよう、白色LED181、青色LED182、および緑色LED183の色度補正率を調整することで第1~第3補正率が求められる。まず、調光ユニット32は、導光板17の劣化情報から、使用時間Nにおける光量の減少値ΔQnを求める。そして、下記の式(3)から、係数αを求める。
α=(Q0+ΔQn)/Qn・・・(3)
【0068】
Qnは、色度補正率を適用させた後の白色LED181、青色LED182および緑色LED183の3色を混合した光の光量である。使用時間が0時間の場合、係数αは1となる。そして、係数αを、白色LED181、青色LED182および緑色LED183の色度補正率にそれぞれ乗算することで、第1~第3補正率が求められる。ここでは、各LEDの光の比率を維持したまま光量の調整を行うべく、各色度補正率に同じ係数αが乗算される。例えば、現在の使用時間における導光板17の色度が初期値の色度と同じになるよう補正したことで、補正後の全体の光量Qnが初期値の光量Q0に減少値ΔQnを加算した光量よりも大きくなる場合がある。この場合は、係数αは1未満となり、各LEDの色度補正率が下方修正される。
【0069】
そして、調光ユニット32において、求められた第1~第3補正率で白色LED181、青色LED182および緑色LED183の調光信号が補正される(S5)。具体的には、調光ユニット32は、白色LED181の調光信号を第1補正率で補正し、青色LED182の調光信号を第2補正率で補正し、緑色LED183の調光信号を第3補正率で補正する。これにより、第1点灯回路31aから白色LED181への出力が第1補正率で補正され、第2点灯回路31bから青色LED182への出力が第2補正率で補正され、第3点灯回路31cから緑色LED183への出力が第3補正率で補正される。
【0070】
なお、第1点灯回路31a~第3点灯回路31cの出力は、補正率による補正を鑑み、初期の調光率を100%未満とする。例えば、第1~第3補正率の最大値が150%の場合、最大の補正率が適用された場合に調光率が100%となるように、初期の最大調光率(例えば昼間の調光率)を65%とする。
【0071】
そして、補正後の調光信号に基づく電流が第1点灯回路31a~第3点灯回路31cから白色LED181、青色LED182および緑色LED183に供給され、白色LED181、青色LED182および緑色LED183が点灯する(S6)。また、白色用LEDモジュール14の白色LED141および142にも、調光ユニット32が電源制御回路310を通して指示した結果出力される第4点灯回路31dおよび第5点灯回路31eの電流が供給され、白色LED141および142が点灯する。
【0072】
その後、照明器具1を消灯するか否かが判断される(S7)。ここでは、図示しないリモコンが操作された場合、または図示しない制御コントローラーに記憶されたスケジュールによる消灯時刻になった場合に、消灯すると判断される。そして、消灯しない場合は(S7:NO)、ステップS3に戻り、以降の処理が繰り返される。一方、消灯する場合は(S7:YES)、各LEDへの電流の供給が停止され、各LEDが消灯する(S8)。その後は、ステップS2に戻り、再度点灯されるまで待機する。
【0073】
以上のように、本実施の形態の照明器具1では、天井Cと平行に配置された導光板17から空の色を再現する青色光が出射されるとともに、導光板17を囲む3方向から白色光が出射される。これにより、太陽光に照らされた日向または日陰の窓枠越しに、青空を見るような奥行き感のある視覚効果を演出することができる。また、導光板17の劣化情報と使用時間とに基づき青色用LEDモジュール18の各LEDの出力を調整することで、経年劣化による空の再現度の低下を抑制することができる。
【0074】
さらに、本実施の形態では、導光板17の劣化情報と使用時間とに応じて、青色用LEDモジュール18の白色LED181、青色LED182および緑色LED183の補正率が個別に設定され、出力が個別に補正される。これにより、各LEDへの出力を劣化情報に応じて一律に補正する場合に比べて、導光板17から発せられる光の色味のバランスを初期値と同等に維持することができる。
【0075】
実施の形態2.
実施の形態2について説明する。実施の形態2では、照明器具1の動作において、実施の形態1と相違する。照明器具1の構成は、実施の形態1と同じである。
図13は、実施の形態2に係る照明器具1の動作を示すフローチャートである。
図13のフローチャートは、照明器具1の制御部30により実行される。
【0076】
まず、実施の形態1と同様に、調光ユニット32に、導光板17の劣化情報が書き込まれ、記憶される(S11)。そして、調光ユニット32において、書き込まれた劣化情報に基づき、白色LED181、青色LED182および緑色LED183の補正率マップがそれぞれ作成される(S12)。補正率マップは、使用時間ごとの補正率を示すものである。
【0077】
図14は、実施の形態2に係る調光ユニット32によって作成された第1補正率マップを示す図である。
図14の横軸は累積の使用時間[h]を示し、縦軸は白色LED181の第1補正率[%]を示す。
図15は、実施の形態2に係る調光ユニット32によって作成された第2補正率マップを示す図である。
図15の横軸は累積の使用時間[h]を示し、縦軸は青色LED182の第2補正率[%]を示す。
図16は、実施の形態2に係る調光ユニット32によって作成された第3補正率マップを示す図である。
図16の横軸は累積の使用時間[h]を示し、縦軸は緑色LED183の第3補正率[%]を示す。
【0078】
第1~第3補正率マップにおける使用時間ごとの第1~第3補正率は、実施の形態1と同じ方法で求められる。作成された第1~第3補正率マップは、調光ユニット32に記憶される。
【0079】
そして、照明器具1を点灯するか否かが判断される(S13)。ここでは、図示しないリモコンが操作された場合、または図示しない制御コントローラーに記憶されたスケジュールによる点灯時刻になった場合に、点灯すると判断される。照明器具1の点灯が開始されるまで(S13:NO)待機する。そして、照明器具1を点灯すると判断された場合(S13:YES)、調光ユニット32において、照明器具1の使用時間が計測される(S14)。この使用時間は、照明器具1が初めて点灯されてからの累積使用時間である。
【0080】
そして、調光ユニット32において、使用時間および補正率マップに基づいて、白色LED181、青色LED182および緑色LED183の調光信号が補正される(S15)。具体的には、調光ユニット32は、第1補正率マップを参照し、白色LED181の調光信号を現在の使用時間に対応する第1補正率で補正する。また、調光ユニット32は、第2補正率マップを参照し、青色LED182の調光信号を現在の使用時間に対応する第2補正率で補正する。また、調光ユニット32は、第3補正率マップを参照し、緑色LED183の調光信号を現在の使用時間に対応する第3補正率で補正する。これにより、第1点灯回路31aから白色LED181への出力が第1補正率で補正され、第2点灯回路31bから青色LED182への出力が第2補正率で補正され、第3点灯回路31cから緑色LED183への出力が第3補正率で補正される。
【0081】
そして、補正後の調光信号に基づく電流が、第1点灯回路31a~第3点灯回路31cから白色LED181、青色LED182および緑色LED183に供給され、白色LED181、青色LED182および緑色LED183が点灯する(S16)。また、白色用LEDモジュール14の白色LED141および142にも、調光ユニット32が電源制御回路310を通して指示した結果出力される第4点灯回路31dおよび第5点灯回路31eの電流が供給され、白色LED141および142が点灯する。
【0082】
その後、照明器具1を消灯するか否かが判断される(S17)。ここでは、図示しないリモコンが操作された場合、または図示しない制御コントローラーに記憶されたスケジュールによる消灯時刻になった場合に、消灯すると判断される。そして、消灯しない場合は(S17:NO)、ステップS14に戻り、以降の処理が繰り返される。一方、消灯する場合は(S17:YES)、各LEDへの電流の供給が停止され、各LEDが消灯する(S18)。その後は、ステップS13に戻り、再度点灯されるまで待機する。
【0083】
以上のように、本実施の形態の照明器具1においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態1のように使用時間ごとに第1~第3補正率を求める場合に比べて、点灯時の調光ユニット32の処理を簡素化することができる。
【0084】
実施の形態3.
実施の形態3について説明する。実施の形態3では、照明器具1の動作において、実施の形態1および実施の形態2と相違する。照明器具1の構成は、実施の形態1と同じである。
図17は、実施の形態3に係る照明器具1の動作を示すフローチャートである。
図17のフローチャートは、照明器具1の制御部30により実行される。
【0085】
図17に示すように、本実施の形態では、まず、調光ユニット32に、第1~第3補正率マップがそれぞれ書き込まれ、記憶される(S21)。第1~第3補正率マップは、実施の形態2と同様に、使用時間ごとの補正率を示すものである。第1~第3補正率マップは、実施の形態2と同じ方法で、導光板17の劣化情報に基づいてPCなどの外部の処理装置で予め作成される。そして、メモリーカードまたはUSBなどの外部インタフェース経由で調光ユニット32に書き込まれる。その後は、実施の形態2と同じステップS13~S18の処理が実行される。
【0086】
以上のように、本実施の形態の照明器具1においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態1および実施の形態2のように、調光ユニット32で補正率を求める場合および補正率マップを作成する場合に比べて、調光ユニット32の処理負荷を軽減することができる。
【0087】
以上が実施の形態の説明であるが、本開示は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形または組み合わせることが可能である。例えば、上述の実施の形態では、調光ユニット32が各LEDの調光信号を補正することで、第1点灯回路31a~第3点灯回路31cの出力を補正する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、調光ユニット32は、電源制御回路310に調光信号と第1~第3補正率を送信し、電源制御回路310において、補正率に基づき、第1点灯回路31a~第3点灯回路31cの出力を補正してもよい。
【0088】
また、上述の実施の形態では、導光板17の劣化情報を調光ユニット32に書き込む構成としたが、電源装置31の中の電源制御回路310に劣化情報が書き込まれてもよい。その際は、調光ユニット32は単に調光信号を送るのみとなり、電源制御回路310にて時間経過および劣化情報に従って、出力補正を行うことになる。この際、電源制御回路310は、器具使用時間を計測するためのタイマー機能を有するものとする。例えば、調光ユニット32が昼シーンの調光信号を電源制御回路310に送った際、電源制御回路310は器具使用開始直後では、第1点灯回路31aに200mA、第2点灯回路31bに100mA、第3点灯回路31cに100mAを出力する指令値をそれぞれ送る。一方、器具使用時間が12800時間経過した時点では、電源制御回路310は、第1点灯回路31aに97.3%に補正した195mA、第2点灯回路31bに118.2%に補正した118mA、第3点灯回路31cに118.7%に補正した119mAを出力する指令値をそれぞれ送る。なお、さらに別の変形例では、調光ユニット32または電源制御回路310ではなく、第1点灯回路31a~第3点灯回路31cのそれぞれに劣化情報を書き込む構成としてもよい。
【0089】
さらに、上述の実施の形態では、使用時間ごとに調光信号を補正する場合について説明したが、例えば100時間ごとまたは1000時間ごとに調光信号を補正する構成としてもよい。また、白色用LEDモジュール14についても、拡散カバーの劣化情報に応じて調光信号を補正してもよい。
【0090】
さらに、上述の実施の形態では、照明器具1を天井Cに取り付けることを前提として説明したが、照明器具1は、室内の壁に設置してもよい。但し、その場合には、白色用LEDモジュール14を、平面視でL字型にする。また、これに合わせて、拡散カバー13についても、4つの側面のうち、隣接する2つの面を発光面13-1とし、他の2面を非発光面13-2とする。他の構成については、上述の実施の形態と同じにする。これにより、照明器具1を天井Cに取り付けた場合と同様に、照明器具1を室内の壁に設置した場合においても、太陽光に照らされた日向または日陰の窓枠越しに奥行き感のある青空を見るような視覚効果を演出することができる。また、照明器具1の形状は、長方形に限定されるものではなく、正方形の箱型であってもよい。
【0091】
また、上述の実施の形態では、LEDごとに第1点灯回路31a~第5点灯回路31eを備える構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、青色用LEDモジュール18の白色LED181と青色LED182との点灯回路を共通化してもよい。これにより、部品点数をさらに削減することができ、コストの削減および照明器具1の小型化を実現することができる。
【0092】
さらに、青色用LEDモジュール18の保持構造は、上述の実施の形態に記載される構造に限定されるものではない。また、照明器具1において、白色用LEDモジュール14を省略し、光源として青色用LEDモジュール18のみを備える構成としてもよい。
【0093】
また、上述の実施の形態において、調光ユニット32は、まず緑色LED183の光量を低下させてから、白色LED181と青色LED182の光量を低下させる2段階の制御を行ってもよい。または、白色LED181と青色LED182の光量を低下させてから、緑色LED183の光量を低下させる2段階の制御としてもよい。さらに、白色LED181、青色LED182および緑色LED183の制御は、上述したものに限定されるものではなく、目的の空の色に応じて、CIE色度図におけるx値およびy値の両方または何れか一方をマイナス側またはプラス側に変化させてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 照明器具、10 光源ユニット、11 フランジ部、12 Vばね、13 拡散カバー、13-1 発光面、13-2 非発光面、14 白色用LEDモジュール、15 モジュール保持部、15-1 取付フランジ、16 下ガイドプレート、16-3 突起部、17 導光板、17-1 端面、17-2 端面、18 青色用LEDモジュール、18-1 貫通穴、19 上ガイドプレート、21 パッキン、22 パッキン、23 絶縁部、24 モジュール保持部、25 固定部材、25-1 突起部、26 導光板カバー、27 上カバー、30 制御部、31 電源装置、31a 第1点灯回路、31b 第2点灯回路、31c 第3点灯回路、31d 第4点灯回路、31e 第5点灯回路、32 調光ユニット、33 空隙、50 器具本体、51 主面、51-1 ボルト孔、51-2 電線孔、52 側面、53 Vばね取り付け金具、54 端子台、61 ナット、140 基板、141 白色LED、142 白色LED、180 基板、181 白色LED、182 青色LED、183 緑色LED、310 電源制御回路、B 吊り下げボルト、C 天井、H 埋め込み穴。