(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191698
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20221221BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
G03G21/00 530
G03G21/16 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100081
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根本 志緒里
(72)【発明者】
【氏名】阿部 英人
【テーマコード(参考)】
2H171
2H270
【Fターム(参考)】
2H171FA06
2H171NA03
2H171NA04
2H171NA05
2H171QA03
2H171QA24
2H171QB02
2H171QB15
2H171QB32
2H171QC03
2H171QC22
2H171QC36
2H270SA02
2H270SA09
2H270SB03
2H270SB13
2H270SB14
2H270SB16
2H270SC02
2H270SC06
(57)【要約】
【課題】中継ダクトが曲率を大きく湾曲されて配設されても、ファンにより送風される外気が中継ダクトを介して所望の風量で通る画像形成装置の提供。
【解決手段】ファンにより送風される外気を案内する中継ダクトとして、外周面に多数の凸部が形成された蛇腹形状のフレキシブルチューブ183a~183dを用いる。これらフレキシブルチューブ183a~183dは、湾曲された場合に、湾曲の内側(圧縮側)において凸部により湾曲が制限されて折り曲げられ難い。そのため、フレキシブルチューブ183a~183dは湾曲されても、湾曲前と比べて断面積の大きさが維持され、単位時間当たりの風量が変わることなく外気を案内することができる。したがって、上記のフレキシブルチューブ183a~183dを用いることで、現像装置や中継ダクトの設計自由度を向上させることが容易に実現できる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に画像を形成する画像形成装置であって、
感光体と、
前記感光体にトナーを供給して前記感光体の表面にトナー像を形成する現像ユニットと、
外気を送風するファンと、
前記ファンにより送風される外気を前記現像ユニットへ向けて案内するフレキシブルな中継ダクトと、を備え、
前記中継ダクトは、周方向に沿って凸部が形成された凹凸状の外周面を有する蛇腹形状の筒状部材であって、湾曲された際に前記凸部により湾曲が制限される、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像ユニットを支持する筐体と、
前記筐体の正面に開閉可能に設けられた外装カバーと、
前記筐体に、閉じた状態の前記外装カバーの内面に対向して配置された内カバーユニットと、を備え、
前記中継ダクトは、前記内カバーユニットに設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記内カバーに外気を通過可能に設けられた第一継手部材と、
前記内カバーに外気を通過可能に設けられた第二継手部材と、を備え、
前記中継ダクトは、一端が前記第一継手部材に接続可能に、他端が前記第二継手部材に接続可能に形成され、前記第一継手部材と前記第二継手部材に接続される前の自由長が前記第一継手部材と前記第二継手部材との配置間隔よりも長い、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像ユニットに外気を通過可能に接続され、前記現像ユニットにおいて前記感光体にトナーを供給する際に飛散したトナーを回収するためのトナー回収フィルタを有するトナー回収ユニットを備え、
前記中継ダクトは、前記トナー回収ユニットに接続されて、前記ファンにより送風される外気を前記トナー回収フィルタへ案内する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
記録材に画像を形成する画像形成装置であって、
感光体と、
前記感光体の表面をコロナ放電により帯電する帯電ユニットと、
外気を送風するファンと、
前記ファンにより送風される外気を前記帯電ユニットへ向けて案内するフレキシブルな中継ダクトと、を備え、
前記中継ダクトは、周方向に沿って凸部が形成された凹凸状の外周面を有する蛇腹形状の筒状部材であって、湾曲された際に前記凸部により湾曲が制限される、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記帯電ユニットを支持する筐体と、
前記筐体の正面に開閉可能に設けられた外装カバーと、
前記筐体に、閉じた状態の前記外装カバーの内面に対向して配置された内カバーユニットと、を備え、
前記中継ダクトは、前記内カバーユニットに設けられる、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記内カバーに外気を通過可能に設けられた第一継手部材と、
前記内カバーに外気を通過可能に設けられた第二継手部材と、を備え、
前記中継ダクトは、一端が前記第一継手部材に接続可能に、他端が前記第二継手部材に接続可能に形成され、前記第一継手部材と前記第二継手部材に接続される前の自由長が前記第一継手部材と前記第二継手部材との配置間隔よりも長い、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記帯電ユニットに外気を通過可能に接続され、前記帯電ユニットにおいて前記感光体を帯電する際にコロナ放電に伴い生じたオゾンを回収するためのオゾン回収フィルタを有するオゾン回収ユニットを備え、
前記中継ダクトは、前記オゾン回収ユニットに接続されて、前記ファンにより送風される外気を前記オゾン回収フィルタへ案内する、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記中継ダクトは、前記凸部が中空に形成された凹凸状の内周面を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記凸部は、螺旋状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記中継ダクトは、湾曲自在に金属で形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記中継ダクトは、湾曲自在に樹脂で形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリあるいは複合機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、感光ドラムや中間転写ベルトなどの像担持体にトナー像を形成し、像担持体から記録材へトナー像を転写し、その後、定着装置により熱と圧力が加えられてトナー像が記録材に定着される。画像形成装置は、帯電器により帯電された感光ドラムにトナー像を形成する現像器を備えている。現像器は、現像器内において搬送スクリューによってトナーを撹拌しながら循環搬送しており、このトナーの撹拌動作に応じて熱を生じる。ただし、現像器が高温になると、トナーの温度が上昇し、画像不良を生じさせる原因となるので、従来からファンやエアポンプ等を設けて、外気により現像器を冷却するようにしている。従来、フレキシブルなチューブを用いて、現像器に向け外気を案内するダクトを形成することが提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載の装置では、フレキシブルなチューブが曲率を小さく湾曲されるようにして配設されている。また、伸縮性を有するチューブ用い、発熱部を空気流により冷却するものが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-237195号公報
【特許文献2】特開2002-55589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、最近では、より短時間により多くの記録材に対してトナー像を形成可能な例えば商業用の画像形成装置が用いられている。そうした装置では、単位時間当たりの風量をより大きくして外気を通すべく、風量の大きい大型のファンと直径の大きいチューブが配設される。ただし、画像形成装置の内部には種々の部材が密集しており、チューブを取り回すスペースが限られる故に、場所によっては曲率を大きく湾曲させてチューブを配設する必要があった。しかしながら、従来では曲率を大きく湾曲させてチューブを配設する際に、チューブが途中で折れ潰れてしまうことがあり、外気がチューブを介して所望の風量で通らなくなる虞があった。
【0005】
本発明は上記問題に鑑み、フレキシブルなチューブを用いてダクトが形成された構成の場合に、ファンにより送風される外気がチューブを介して所望の風量で通る画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る画像形成装置は、記録材に画像を形成する画像形成装置であって、感光体と、前記感光体にトナーを供給して前記感光体の表面にトナー像を形成する現像ユニットと、外気を送風するファンと、前記ファンにより送風される外気を前記現像ユニットへ向けて案内するフレキシブルな中継ダクトと、を備え、前記中継ダクトは、周方向に沿って凸部が形成された凹凸状の外周面を有する蛇腹形状の筒状部材であって、湾曲された際に前記凸部により湾曲が制限される、ことを特徴とする。
【0007】
本発明の一実施形態に係る画像形成装置は、記録材に画像を形成する画像形成装置であって、感光体と、前記感光体の表面をコロナ放電により帯電する帯電ユニットと、外気を送風するファンと、前記ファンにより送風される外気を前記帯電ユニットへ向けて案内するフレキシブルな中継ダクトと、を備え、前記中継ダクトは、周方向に沿って凸部が形成された凹凸状の外周面を有する蛇腹形状の筒状部材であって、湾曲された際に前記凸部により湾曲が制限される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ファンにより送風される外気をフレキシブルな中継ダクトを用いて案内する構成の場合に、ファンにより送風される外気が中継ダクトを介して所望の風量で通るようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の画像形成装置を備えた画像形成システムを示す概略図。
【
図2】画像形成装置を示す左側斜視図であり、(a)前扉が開いた状態、(b)前扉が閉じた状態。
【
図3】第一実施形態の現像装置の冷却に関するエアフロー構成について説明する模式図。
【
図4】(a)左側吸気ユニットを示す右側面図、(b)左側吸気ユニットを示す左側面図。
【
図6】(a)現像装置のエアフロー構成を説明するための正面断面図、(b)現像装置のエアフロー構成を説明するための側面断面図。
【
図7】(a)フレキシブルチューブの一例を示す拡大図、(b)フレキシブルチューブの別の例を示す拡大図。
【
図8】(a)フレキシブルチューブの内部形状の一例について説明する図、(b)フレキシブルチューブの内部形状の別の例について説明する図。
【
図9】(a)フレキシブルチューブの外形の一例を示す図、(b)フレキシブルチューブの外形の別の例を示す図。
【
図10】(a)フレキシブルチューブの伸縮について説明する図、(b)ジョイントを示す概略図、(c)ジョイントの配置間隔について説明する図。
【
図11】第二実施形態の現像装置の飛散トナー回収に関するエアフロー構成について説明する図であり、(a)断面図、(b)平面図。
【
図12】第三実施形態の帯電装置におけるエアフローについて説明する概略図。
【
図13】前扉が閉じた状態の画像形成装置を示す右側斜視図。
【
図14】帯電装置における吸気側のエアフロー構成について説明する模式図。
【
図15】(a)右側吸気ユニットを示す斜視図、(b)右側吸気ユニットを示す左側面図。
【
図16】第三実施形態における内カバーユニットの内面側を示す概略図。
【
図17】帯電装置における排気側のエアフロー構成について説明する図であり、(a)断面図、(b)平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第一実施形態]
<画像形成システム>
本実施形態の画像形成装置を備えた画像形成システムの概略構成について、
図1を用いて説明する。
図1に示す画像形成システム1Xは、画像形成装置100と、フィニッシャ装置300とを有している。画像形成装置100とフィニッシャ装置300は、記録材Sを受け渡し可能に連結されている。本実施形態において、フィニッシャ装置300は、機能拡張のために画像形成装置100に後付け自在な後工程ユニットであって、画像形成装置100によりトナー像が定着された記録材Sに対し後述する後工程を行い得る。画像形成装置100とフィニッシャ装置300は、シリアル通信やパラレル通信が可能な通信インタフェースを通じてそれぞれの間でデータ送受信可能に接続されている。
【0011】
<画像形成装置>
画像形成装置100は電子写真方式のタンデム型のフルカラープリンタであり、第一筐体101aと第二筐体101bとを有する。第一筐体101aには、記録材Sを搬送してトナー像を転写するまでの工程を実現する画像形成ユニット700などの各種機器や各種部材等が配設されている。
【0012】
他方、第二筐体101bには、記録材Sを搬送してトナー像を定着する工程を実現する定着ユニット800などの各種機器や各種部材等が配設されている。また、第二筐体101bには、正面側に各種情報を表示可能な表示部やユーザ操作に応じて各種情報を入力可能なキー等を有する操作部200が配設されている。なお、これら第一筐体101aや第二筐体101bの背面側には、電源基板を有する電装ユニット(不図示)が配設されていてもよい。本明細書において、ユーザが画像形成装置100を動作させるために、操作部200を操作する際に立つ側を「正面」と呼び、その反対側を「背面」と呼ぶ。また、正面から見た場合に左側の側面を「左側面」と称し、正面から見た場合に右側の側面を「右側面」と称する。
【0013】
画像形成装置100は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成する画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを備えている。画像形成装置100は、原稿から画像信号を読み取る原稿読取装置190あるいはパーソナルコンピュータ等の外部機器(不図示)から受信した画像信号に応じてトナー像を記録材Sに形成する。
【0014】
なお、本実施形態の場合、画像形成部Pa~Pd、一次転写ローラ24a~24d、中間転写ベルト130、複数のローラ13~15、二次転写外ローラ11により、記録材Sにトナー像を形成する画像形成ユニット700が構成されている。また、記録材Sとしては、普通紙、厚紙、ラフ紙、凹凸紙、コート紙等の用紙、プラスチックフィルムや布などが挙げられる。
【0015】
図1に示すように、画像形成部Pa~Pdは、中間転写ベルト130の移動方向に沿って並べて配置されている。中間転写ベルト130は複数のローラ(13、14、15)に張架されて、矢印R2方向に移動される。そして、中間転写ベルト130は後述のようにして一次転写されるトナー像を担持して搬送する。中間転写ベルト130を張架する二次転写内ローラ14と中間転写ベルト130を挟んで対向する位置には、二次転写外ローラ11が配置され、中間転写ベルト130上のトナー像を記録材Sに転写する二次転写部T2を形成している。二次転写部T2の記録材搬送方向の下流には、定着ユニット800が配置されている。
【0016】
画像形成装置100の下方側には、記録材Sが収容された複数(ここでは二台)のカセット10が配置されている。これらカセット10にはサイズや厚さの異なる記録材Sが収容されており、カセット10のいずれかから選択的に記録材Sが搬送される。記録材Sは、搬送ローラ16によりカセット10から搬送経路を通じてレジストレーションローラ12へ向けて搬送される。その後、レジストレーションローラ12が中間転写ベルト130上に形成されたトナー像と同期して回転することにより、記録材Sは二次転写部T2へ向けて搬送される。なお、カセット10に収容された記録材Sに限らず、手差し給送部(不図示)に載置された記録材Sが搬送されるようにしてもよい。
【0017】
画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、トナー像の現像色が異なることを除いて実質的に同一の構成である。したがって、ここでは代表してイエローの画像形成部Paについて説明し、その他の画像形成部Pb、Pc、Pdについては説明を省略する。
【0018】
画像形成部Paには、感光体として円筒型の感光ドラム3aが配設されている。感光ドラム3aは、不図示のモータにより回転駆動される。感光ドラム3aの周囲には、帯電ユニットとしての帯電装置2a、露光装置La、現像ユニットとしての現像装置1a、一次転写ローラ24a、ドラムクリーニング装置4aが配置されている。
【0019】
画像形成装置100により、例えばフルカラーの画像を形成するプロセスについて説明する。まず、画像形成動作が開始されると、回転する感光ドラム3aの表面が帯電装置2aによって一様に帯電される。帯電装置2aは、例えばコロナ放電に伴う荷電粒子を照射して感光ドラム3aの表面を一様な電位に帯電させるコロナ帯電器などである。次いで、感光ドラム3aは、露光装置Laから発せられる画像信号に対応したレーザ光により走査露光される。これにより、感光ドラム3aの表面に画像信号に応じた静電潜像が形成される。感光ドラム3aに形成された静電潜像は、現像装置1a内に収容されているトナーとキャリアを含む現像剤によって可視像であるトナー像に現像される。なお、現像装置1a~1d内では、現像剤が搬送スクリュー(不図示)によって撹拌されながら循環搬送されている。
【0020】
感光ドラム3aに形成されたトナー像は、中間転写ベルト130を挟んで配置される一次転写ローラ24aとの間で構成される一次転写部T1にて、中間転写ベルト130に一次転写される。この際、一次転写ローラ24aには一次転写電圧が印加される。一次転写後に感光ドラム3aの表面に残ったトナーは、ドラムクリーニング装置4aによって除去される。
【0021】
このような動作をイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各画像形成部Pa~Pdで順次に行い、中間転写ベルト130上で4色のトナー像を重ね合わせる。その後、トナー像の形成タイミングにあわせてカセット10に収容された記録材Sが二次転写部T2へ搬送される。そして、二次転写外ローラ11に二次転写電圧を印加することにより、中間転写ベルト130上に形成されたフルカラーのトナー像が記録材Sに一括して二次転写される。なお、二次転写後に中間転写ベルト130上に残ったトナーは、不図示のベルトクリーニング装置によって除去される。
【0022】
トナー像が転写された記録材Sは、定着ユニット800へ搬送される。定着ユニット800は、トナー像が転写された記録材Sに熱と圧力を加えることで記録材Sにトナー像を定着する。本実施形態の場合、記録材Sに対し第一定着器81により熱と圧力を加えたのちに、さらに第二定着器91により熱と圧力を加えることが選択的に実施できるようにしている。定着ユニット800は記録材Sを、第一定着器81の通過後に第二定着器91へ向けて搬送させるか、第一定着器81の通過後に第二定着器91を回避して搬送させるかを、定着切替フラッパ95により切り替えられる。
【0023】
第二定着器91は、第一定着器81よりも記録材Sの搬送方向下流側に配置されている。第二定着器91は、第一定着器81により定着された記録材S上のトナー像にさらに光沢を付与するなどの目的のため選択的に使用される。例えば、記録材Sが光沢紙や合成紙などのコート紙である場合、第一定着器81及び第二定着器91の両方にて定着が行われるように、第一定着器81を通過した記録材Sは定着ルート30aを搬送される。これに対し、記録材Sが普通紙などの非コート紙である場合、第一定着器81にて定着が行われる一方で第二定着器91にて定着が行われないように、第一定着器81を通過した記録材Sは第二定着器91を回避する定着バイバスルート30bを搬送される。
【0024】
上記の第一定着器81と第二定着器91は同じ構成であってよいので、ここでは第一定着器81を例に挙げて説明する。第一定着器81は、記録材Sのトナー像が定着された面に接触して回転可能な定着ローラ82(あるいは定着ベルト)と、定着ローラ82に圧接して定着ニップ部を形成する加圧ベルト83(あるいは加圧ローラ)とを有する。定着ローラ82及び加圧ベルト83の少なくとも一方は、不図示のヒータによって加熱される。第一定着器81は、定着ローラ82と加圧ベルト83とによって形成される定着ニップ部において、トナー像が形成された記録材Sを挟持搬送する際に記録材Sに熱及び圧力を加えて、トナー像を記録材Sに定着させる。
【0025】
本実施形態の場合、画像形成装置100は両面印刷可能である。片面印刷の場合、トナー像が定着された記録材Sは、排出搬送路150へ搬送されて画像形成装置100の外部へ排出される。両面印刷の場合、トナー像が定着された記録材Sは、両面反転搬送路600へ搬送される。両面反転搬送路600は、第一筐体101aと第二筐体101bに亘って形成されている。両面反転搬送路600では、スイッチバック動作によって記録材Sが反転され、記録材Sの表面と裏面とが入れ替えられる。反転された記録材Sは、レジストレーションローラ12に向けて搬送され、レジストレーションローラ12により印刷されていない裏面側を中間転写ベルト130側に向けた状態で二次転写部T2へ搬送される。二次転写部T2では、中間転写ベルト130上に形成されたフルカラーのトナー像が記録材S(裏面側)に一括して二次転写される。その後、記録材Sは定着ユニット800によるトナー像の定着が行われて画像形成装置100の外部へ、直前に画像形成された面(画像形成面)を上側に向けた状態で排出される。なお、上記した排出搬送路150と両面反転搬送路600の切り替えは、搬送切替フラッパ160により行われる。なお、本実施形態では、定着ユニット800として定着器を2つ備える構成としたが、定着器を1つのみ備える構成であってもよい。また、定着ユニット800によってトナー像が定着された記録材Sを冷却する冷却装置を第二筐体101bに備える構成であってもよい。
【0026】
画像形成装置100にはフィニッシャ装置300が記録材Sを受け渡し可能に連結され、画像形成装置100から排出された記録材Sはフィニッシャ装置300に搬送される。フィニッシャ装置300へ搬送された記録材Sは、フィニッシャ装置300によって記録材Sに孔をあけるパンチ処理、あるいは複数枚の記録材Sを束ねて針閉じするステイプル処理などの後工程処理が行われる。フィニッシャ装置300において、孔あけされた記録材Sは上排出トレイ301へ、針閉じされた記録材Sの束は下排出トレイ302へとそれぞれ分けて排出される。
【0027】
次に、画像形成装置100における外気のエアフロー構成について説明する。まず、第一実施形態として、現像装置1a~1dを冷却するエアフロー構成について説明する。
図2(a)は前扉が開いた状態の画像形成装置100を示し、
図2(b)は前扉が閉じた状態の画像形成装置100を示している。
【0028】
図2(a)に示すように、第一筐体101aの正面には、外装カバーとしての左前扉170a及び右前扉170bが図示のような観音開きに開閉可能に設けられている。左前扉170aの上方には吸気カバー171が設けられ、吸気カバー171には吸気口171aが形成されている。また、第一筐体101aの正面には、左前扉170a、右前扉170bの内側に、内カバー173が設けられている。内カバー173は、ユーザが前扉(170a、170b)を開けた場合に、第一筐体101a内の可動部や電気配線等に誤って触れないようにするためのものである。ただし、サービスマンがメンテナンス作業を行えるように、内カバー173は螺子等によって第一筐体101aに着脱可能に設けられている。この内カバー173には、画像形成部Pa~Pd(点線で図示)を第一筐体101aに対して個別に挿抜可能な開口部が形成されており、内カバーユニット125が画像形成部Pa~Pdを覆い隠すように内カバー173に着脱可能に設けられている。
【0029】
図2(b)に示すように、第一筐体101aの左側面側には、吸気口171aから外気を吸気するファン(後述の
図3参照)を有する左側吸気ユニット124が設けられている。本実施形態の場合、吸気口171aから吸気された外気は、左側吸気ユニット124と内カバーユニット125を経由して、画像形成部Pa~Pdへ向け案内される。
【0030】
<左側吸気ユニット>
左側吸気ユニット124について、
図3乃至
図4(b)を用いて説明する。
図3に示すように、左側吸気ユニット124は、左側本体ダクト174、第一筐体101aに支持された現像装置1a~1dを冷却するための複数の現像用吸気ファン180a、180b、180c、180d、後述する側面ダクト174a、174bを有する。左側本体ダクト174は、上記の吸気口171aと連通する空間が内部に形成されたダクトである。なお、吸気口171aから吸気された外気から塵等を除去するために、吸気口171aから左側本体ダクト174に至る流路の途中にフィルタ(不図示)を配置するのが好ましい。
【0031】
左側本体ダクト174の右側面には、現像装置1b、1c、1dを冷却するために、
図4(a)に示すように、現像用吸気ファン180b、180c、180dと、側面ダクト174bが設けられている。左側本体ダクト174の右側面には、現像用吸気ファン180b、180c、180dと連通する連通部が形成され、現像用吸気ファン180b、180c、180dの動作に応じて吸気口171aから吸気される外気が左側本体ダクト174の内部を通過する。側面ダクト174bには、内部に複数の現像用ダクト(181b、181c、181d)が形成されている。現像用吸気ファン180b、180c、180dを通過した外気が各現像用ダクト(181b、181c、181d)を通るように、側面ダクト174bと現像用吸気ファン180b、180c、180dとは接続されている。
【0032】
他方、左側本体ダクト174の左側面には、現像装置1aを冷却するために、
図4(b)に示すように、現像用吸気ファン180aと、側面ダクト174aが設けられている。また、本実施形態では、詳しくは後述するように、帯電装置2a、2b(
図1参照)に外気を送るための帯電用吸気ファン177a、177bが設けられている。左側本体ダクト174の左側面には、現像用吸気ファン180a、帯電用吸気ファン177a、177bと連通する連通部が形成され、現像用吸気ファン180a、帯電用吸気ファン177a、177bの動作に応じて吸気口171aから吸気される外気が左側本体ダクト174の内部を通過する。側面ダクト174aには、内部に現像用ダクト181aと、帯電用ダクト178a、178bが形成されている。現像用吸気ファン180a、帯電用吸気ファン177a、177bを通過した外気が各ダクト(181a、178a、178b)を通るように、側面ダクト174aと現像用吸気ファン180a、帯電用吸気ファン177a、177bとは接続されている。
【0033】
そして、吸気口171aから吸気された外気は、
図3に示すように、左側本体ダクト174、現像用吸気ファン180a~180d、現像用ダクト181a~181d、内カバーユニット125を経由して、現像装置1a~1dへ送られる。
【0034】
<内カバーユニット>
内カバーユニット125について、
図5を用いて説明する。
図5は、内カバーユニット125の内面側を示す概略図である。本実施形態では、
図5に示すように、現像装置1a~1dを冷却するための外気を通す中継ダクトとして、フレキシブルチューブ183a、183b、183c、183dが、内カバーユニット125の内面側に配設されている。フレキシブルチューブ183a~183dは、例えばワイヤーサドルを用いて内カバーユニット125の内面に取り付けられている。
【0035】
また、内カバーユニット125の内面側には、入口ジョイント182a、182b、182c、182dと、出口ジョイント184a、184b、184c、184dとが、外気を通過可能に設けられている。第一継手部材としての入口ジョイント182a~182dは、それぞれが上述した現像用ダクト181a~181dの出口に接続される位置に固定されている。第二継手部材としての出口ジョイント184a~184dは、それぞれが現像装置1a~1dを効率よく冷却可能な現像装置1a~1dに相対する位置に固定されている。フレキシブルチューブ183a~183dは、一端が入口ジョイント182a~182dに接続され、他端が出口ジョイント184a~184dに接続されている。なお、ここで示すフレキシブルチューブ183a~183dの取り回しは一例であって、これに限られない。
【0036】
現像用吸気ファン180a~180dの動作に伴い吸気口171aから吸気された外気は、上記したように左側本体ダクト174、現像用ダクト181a~181dを通って、入口ジョイント182a~182dへ至る。その後、外気は、フレキシブルチューブ183a~183dを通過して出口ジョイント184a~184dから現像装置1a~1dへ向けて流れる。本実施形態では、内カバーユニット125の内面側において、帯電装置2a~2dへ外気を案内するフレキシブルチューブ222a~222d等を避けた隙間に、フレキシブルチューブ183a~183dを適宜に湾曲させて張り巡らせることができる。つまり、フレキシブルチューブ183a~183dを用いることで、限られた空間内におけるダクト配置の自由度が高くなる。
【0037】
ここで、出口ジョイント184a~184d以降のエアフロー構成について、
図6(a)及び
図6(b)を用いて説明する。ただし、現像装置1a~1dのエアフロー構成は同じであるので、ここではイエローの現像装置1aのエアフロー構成を例に示した。
【0038】
図6(a)は現像装置1aのエアフロー構成を説明するための正面断面図であり、
図6(b)は現像装置1aのエアフロー構成を説明するための側面断面図である。
図6(a)に示すように、現像装置1aは、上スリーブ210aと下スリーブ211a、搬送スクリュー212a、213aを有する。上スリーブ210aと下スリーブ211aは現像剤を担持して回転することで、感光ドラム3aに現像剤を供給する。搬送スクリュー212a、213aは、現像装置1a内において互いに反対方向へ向けて現像剤を撹拌しながら循環搬送する。
【0039】
こうした現像装置1aの上方に、現像冷却ダクト186aが設けられている。また、現像冷却ダクト186aの下方であり、搬送スクリュー212aの上方には、前後方向(搬送スクリュー212a、213aの回転軸線方向)に長尺な形状のヒートシンク187が設けられている。現像冷却ダクト186aは、搬送スクリュー212a、213aの回転軸線方向に交差する方向に関し、現像装置1aに対し上スリーブ210aや下スリーブ211aよりも搬送スクリュー212a、213aに近い側で外気を吹き付け可能に配置されている。
【0040】
また、
図6(b)に示すように、現像冷却ダクト186aは、搬送スクリュー212a、213aの回転軸線方向に関し、現像装置1aに沿って形成されている。出口ジョイント184aを通過したエアーは、現像冷却ダクト186aを通って装置背面側へと排気される。このとき、ヒートシンク187は、現像冷却ダクト186aを通過するエアフローによって冷却される。こうして、搬送スクリュー212aの上方に配置されるヒートシンク187が冷却されることで、搬送スクリュー212a、213aの回転に伴い熱が生じる現像装置1aが間接的に冷却される。
【0041】
次に、上記したフレキシブルチューブ183a~183d、入口ジョイント182a~182d、出口ジョイント184a~184dについて、
図7(a)乃至
図10(c)を用いて説明する。なお、入口ジョイント182a~182dと出口ジョイント184a~184dは、同じものであってよい。以下では、代表してフレキシブルチューブ183a、入口ジョイント182aを例に挙げて説明する。
【0042】
<フレキシブルチューブ>
フレキシブルチューブ183aは内部が空洞の筒状に形成され、
図7(a)に示すように、外周面には多数の凸部1831が所定の間隔を開けて連続して形成された蛇腹形状の筒状部材である。あるいは、
図7(b)に示すように、フレキシブルチューブ183aは、外周面に螺旋状に凸部1832が形成された蛇腹形状の筒状部材であってもよい。このように、フレキシブルチューブ183aは、周方向に沿って凸部1831(1832)が形成された連続する凹凸状の外周面を有する蛇腹形状の筒状部材である。
【0043】
フレキシブルチューブ183aの内周面は、
図8(a)に示すように、外周面の凸部1831にあわせて凹部1833が形成された凹凸面であってよい。つまり、凸部1831は中空である。あるいは、フレキシブルチューブ183aの内周面は、
図8(b)に示すように、上記した凹部1833のない平坦面であってもよい。この場合、凸部1831は中空でない。
【0044】
また、
図9(a)に示すように、フレキシブルチューブ183aは断面が円形状に形成されている。あるいは、
図9(b)に示すように、フレキシブルチューブ183aは断面が矩形状に形成されていてもよい。
【0045】
上記のフレキシブルチューブ183aは、例えばPA6(ポリアミド)等の樹脂や金属を用いて湾曲自在に形成されている筒状部材である。フレキシブルチューブ183aは一例として、フレキシブルチューブ183a内を通す外気の所望風量が「0.1m3/min」である場合に、内径「16mm」、断面積「約200mm2」、肉厚「0.1mm」に形成される。また、湾曲させたときのフレキシブルチューブ183aの湾曲半径が約「35mm」となるように、凸部1831が形成されたものである。
【0046】
図10(a)に示すように、フレキシブルチューブ183aは湾曲された場合に、引張側となる湾曲外側の外周面では、凸部1831に引張応力がかかるので、凸部1831は先端の角部や根元の隅部が鈍角になるように変形する。他方、圧縮側となる湾曲内側の外周面では、凸部1831に圧縮応力がかかるので、凸部1831は先端の角部や根元の隅部が鋭角になるように変形する。
【0047】
そして、引張側におけるフレキシブルチューブ183aの塑性変形での屈曲限界は、フレキシブルチューブ183aに使用する材料の伸び率によって限界値が決まる。また、圧縮側におけるフレキシブルチューブ183aの弾性変形での屈曲限界は、フレキシブルチューブ183aに使用する材料のヤング率、引張応力及び圧縮応力によって限界値が決まる。さらに、圧縮側では、隣り合う凸部1831がぶつかり合い、フレキシブルチューブ183aがそれ以上湾曲できない場合に屈曲限界となる。本実施形態の場合、屈曲限界でフレキシブルチューブ183aは折れ潰れることなく、湾曲させる前の内径(例えば16mm)が維持された状態にある。つまり、フレキシブルチューブ183aは、湾曲された際に湾曲の内側(圧縮側)において凸部1831により湾曲が制限される。
【0048】
具体的に、フレキシブルチューブ183aの凸部1831の高さは例えば「2.5mm以上7mm以下」であり、隣り合う凸部1831の間隔は例えば「2mm以上5mm以下」である。こうしたフレキシブルチューブ183aを湾曲させた場合に、フレキシブルチューブ183aは湾曲半径が約「35mm」で屈曲限界となる。したがって、予めフレキシブルチューブ183aの凸部1831の高さや隣り合う凸部1831の間隔を変えることで、フレキシブルチューブ183aの屈曲限界が変わる。
【0049】
<ジョイント>
図10(b)に、入口ジョイント182aの一例を示す。入口ジョイント182aは、外気の流入口と流出口にそれぞれダクトが接続される。具体例を挙げると、入口ジョイント182aの場合、流入口には現像用ダクト181aが接続され、流出口にはフレキシブルチューブ183aが接続される。出口ジョイント184aの場合、流入口にはフレキシブルチューブ183aが接続され、流出口には現像冷却ダクト186aが接続される。
【0050】
図10(b)に示すように、入口ジョイント182aは、流れる外気の向きを変えるために、流入口の向きと流出口の向きとが例えば90度異なる向きとなるように形成されている。本実施形態では、入口ジョイント182a~182dと出口ジョイント184a~184dが、屈曲限界より小さい曲率に湾曲させたフレキシブルチューブ183a~183dを接続可能に形成されている。
【0051】
なお、
図10(c)に示すように、フレキシブルチューブ183aは、接続される入口ジョイント182aと出口ジョイント184aとの配置間隔よりも、接続される前の自由長が長くなる長さに形成されている。こうすると、フレキシブルチューブ183aを、入口ジョイント182aと出口ジョイント184aに接続した場合に、フレキシブルチューブ183aの両端に圧縮応力がかかる。したがって、フレキシブルチューブ183aは入口ジョイント182aと出口ジョイント184aに密着された状態で接続される。
【0052】
以上のように、本実施形態では、ファンにより送風される外気を案内する中継ダクトとして、外周面に多数の凸部1831が形成された蛇腹形状のフレキシブルチューブ183a~183dを用いる。これらフレキシブルチューブ183a~183dは、湾曲された場合に、湾曲の内側(圧縮側)において凸部1831により湾曲が制限されて折り曲げられ難い。そのため、フレキシブルチューブ183a~183dは湾曲されても、湾曲前と比べて断面積の大きさが維持され、単位時間当たりの風量が変わることなく外気を案内することができる。したがって、上記のフレキシブルチューブ183a~183dを用いることで、現像装置1a~1dや中継ダクトの設計自由度を向上させることが容易に実現できる。
【0053】
また、従来では、複雑な形状のダクトをエアフローの流路に合わせて成型する必要があったが、本実施形態ではそうした必要がない。したがって、フレキシブルチューブを成形する金型を削減して汎用性の高いフレキシブルチューブ(183a~183d)を安価に作成できることから、コストを削減することができる。
【0054】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態として、現像装置1a~1dにおいてトナー像の現像に伴い生じる飛散トナーの回収に関するエアフロー構成について説明する。画像形成装置100では、現像装置1a~1dからトナーが感光ドラム3a~3dへ供給されることによりトナー像を現像するが、その際に感光ドラム3a~3dへ供給されずに飛散するトナー(飛散トナーと呼ぶ)が存在する。
【0055】
上述した
図6(a)に示すように、例えば現像装置1aにおいて、トナーは上スリーブ210a及び下スリーブ211aによって感光ドラム3aに供給されるが、感光ドラム3aに供給されずに余ったトナーは撹拌室214へ回収される。しかし、感光ドラム3aに供給されなかったトナーの一部は、撹拌室214へ回収されずに現像装置1aの外部へ飛散し得る。この飛散トナーは、画像形成装置100内を汚して画像不良を生じさせる虞がある。そこで、トナー回収ユニットを設け、飛散トナーを外気によってトナー回収ユニットへ送り回収できるようにしている。以下では、代表して現像装置1aを例に挙げて説明する。
【0056】
図11(a)、
図11(b)に示すように、トナー回収ユニット400は、排気ダクト217aと、現像用排気ファン214aと、トナー回収フィルタ218aとを有し、第一筐体101aの背面側(
図11(a)において右側)に配置されている。現像用排気ファン214aとトナー回収フィルタ218aは、排気ダクト217aに設けられている。現像装置1aの下スリーブ211aの下方には、飛散回収ダクト215aが配置されている。飛散回収ダクト215aは、下スリーブ211aの回転軸線方向に沿うように形成されている。飛散回収ダクト215aには複数の回収口が形成されており、下スリーブ211aの下方へ飛散したトナーがそれら回収口から侵入するようにしている。
【0057】
飛散回収ダクト215aと、トナー回収ユニット400の排気ダクト217aとは、中継ダクトとして上述したフレキシブルチューブ183aと同様のフレキシブルチューブ216aによって接続されている。上記の飛散トナーを含んだ外気は、現像用排気ファン214aによって生成されるエアフローにより、飛散回収ダクト215aからフレキシブルチューブ216a及び排気ダクト217aを通って、画像形成装置100の外部へ排出される。トナー回収フィルタ218aは、フレキシブルチューブ216aと現像用排気ファン214aとの間の流路の途中に配置されている。そのため、トナー回収フィルタ218aを通過する際に外気からトナーが除去され、トナーが除去されたエアーが画像形成装置100の外部へ排出される。
【0058】
なお、上記のエアフロー構成は、現像装置1a~1dで同様の構成であり、フレキシブルチューブ216aと同様のフレキシブルチューブが中継ダクトとして設けられている。これにより、現像装置1a~1dやダクトの設計自由度が向上するといった上述した第一実施形態と同様の効果が得られる。また、通気経路に隙間なく断面積の大きさを維持したままフレキシブルチューブを湾曲させて配設でき、ダクトの圧力損失を抑制しつつ、トナーを逃がすことなく外気を画像形成装置100の外部へ排出できる。
【0059】
[第三実施形態]
次に、第三実施形態として、第一筐体101aに支持された帯電装置2a~2dにおけるエアフロー構成について説明する。
図12では、代表して帯電装置2aを例に挙げている。
図12に示すように、帯電装置2aでは、コロナ放電により帯電ワイヤ203aの周囲のエアーを電離してイオンを発生させることにより、感光ドラム3aの表面を帯電する。エアーを電離してイオンを発生させるが故に、帯電装置2aへ外気を送風する必要がある。帯電装置2aへ外気を送風するために、帯電装置2aの近傍には一次吸気ダクト202aが配設されている。また、帯電装置2aはコロナ放電の際にイオンだけでなくオゾンをも発生させる。ただし、オゾンは、帯電装置2aが有する例えばステンレス製のグリッド(不図示)等を腐食させやすいために回収する必要がある。そこで、オゾンを外気によってオゾン回収フィルタ219a(
図17(a)参照)へ送って回収させるために、帯電装置2aの近傍には一次排気ダクト204aが配設されている。
【0060】
図13に示すように、第一筐体101aの右側面側には、外気を吸気するファン(後述の
図14参照)を有する右側吸気ユニット126が設けられており、ファンの動作に応じて吸気口172aから外気を吸気する。吸気口172aは、第一筐体101aの右側面に設けられた右カバー172に形成されている。吸気口172aから吸気された外気は、後述の帯電用吸気ファン177c、177dにより右側吸気ユニット126と内カバーユニット125を経由して帯電装置2c、2dへ案内される。
【0061】
<右側吸気ユニット>
右側吸気ユニット126について、
図14乃至
図15(b)を用いて説明する。
図14に示すように、右側吸気ユニット126は、右側本体ダクト176と、帯電装置2c、2dへ外気を送風するための帯電用吸気ファン177c、177dと、後述する通過ダクト179とを有する。右側本体ダクト176は、上記の吸気口172aと連通する空間が内部に形成されたダクトである。なお、吸気口172aから吸気された外気から塵等を除去するために、吸気口172aから右側本体ダクト176に至る流路の途中にフィルタ(不図示)を配置するのが好ましい。
【0062】
右側本体ダクト176の左側面には、
図15(a)に示すように、帯電装置2c、2dへ外気を送風するための帯電用吸気ファン177c、177dが設けられている。即ち、右側本体ダクト176の左側面には、帯電用吸気ファン177c、177dと連通する連通部が形成されており、帯電用吸気ファン177c、177dの動作に応じて吸気口172aから吸気される外気が右側本体ダクト176の内部を通過する。そして、通過ダクト179には、
図15(b)に示すように、内部に帯電用ダクト178c、178dが形成されている。帯電用吸気ファン177c、177dを通過した外気が帯電用ダクト178c、178dを通るように、通過ダクト179は帯電用吸気ファン177c、177dに接続されている。
【0063】
上記した吸気口172aから吸気された外気は、
図14に示すように、右側本体ダクト176、帯電用吸気ファン177c、177d、帯電用ダクト178c、178d、内カバーユニット125を経由して、帯電装置2c、2dへ送られる。他方、帯電装置2a、2bに対しては、上記した吸気口171aから吸気された外気が、左側本体ダクト174、帯電用吸気ファン177a、177b、内カバーユニット125を経由して送られる。このように、本実施形態では、帯電装置2a~2dへ外気を送風するために、左側吸気ユニット124と右側吸気ユニット126とが用いられる。
【0064】
<内カバーユニット>
内カバーユニット125について、
図16を用いて説明する。
図16は、内カバーユニット125の内面側を示す概略図である。ただし、
図16では、上述した現像装置1a~1dを冷却する外気を通すフレキシブルチューブ183a~183dなどの図示を省略している。
【0065】
本実施形態では、
図16に示すように、帯電装置2a~2dへ送風する外気を通す中継ダクトとして、フレキシブルチューブ222a、222b、222c、222dが、内カバーユニット125の内面側に配設されている。フレキシブルチューブ222a~222dは、例えばワイヤーサドルを用いて内カバーユニット125の内面に取り付けられている。フレキシブルチューブ222a~222dは、上述したフレキシブルチューブ183aと同様のものである。
【0066】
また、内カバーユニット125の内面側には、入口ジョイント221a、221b、221c、221dと、出口ジョイント224a、224b、224c、224dとが固定されている。入口ジョイント221a~221dは、それぞれが上述した帯電用ダクト178a~178dの出口に接続される位置に固定されている。出口ジョイント224a~224dは、それぞれが帯電装置2a~2dへ効率よく外気を送風可能な帯電装置2a~2dに相対する位置に固定されている。フレキシブルチューブ222a~222dは、一端が入口ジョイント221a~221dに接続され、他端が出口ジョイント224a~224dに接続されている。なお、ここで示すフレキシブルチューブ222a~222dの取り回しは一例であって、これに限られない。
【0067】
帯電用吸気ファン177c、177dの動作に伴い吸気口172aから吸気された外気は、上記したように右側本体ダクト176、帯電用ダクト178c、178dを通って、入口ジョイント221c、221dへ至る。また、帯電用吸気ファン177a、177bの動作に伴い吸気口171aから吸気された外気は、上記したように左側本体ダクト174、帯電用ダクト178a、178bを通って、入口ジョイント221a、221bへ至る。その後、外気はフレキシブルチューブ222a~222dを通過して出口ジョイント224a~224dから上記の一次吸気ダクト毎に帯電装置2a~2dへと流れる。このようにして、外気がフレキシブルチューブ222a~222dを介して帯電装置2a~2dへ送風されることで、帯電装置2a~2dは感光ドラム3a~3dを帯電させるためのコロナ放電により発生したオゾンを回収するエアフローを形成することができる。
【0068】
このように、現像装置1a~1dへ外気を案内するフレキシブルチューブ183a~183dと共に、帯電装置2a~2dへ外気を案内するフレキシブルチューブ222a~222dを湾曲させて張り巡らせることができるので、ダクト配置の自由度が高い。
【0069】
次に、帯電装置2a~2dにおける排気側のエアフロー構成について、
図17(a)及び
図17(b)を用いて説明する。
図17(a)及び
図17(b)では、代表して帯電装置2aにおける排気側のエアフロー構成を例に示した。
【0070】
図17(a)、
図17(b)に示すように、上記したコロナ放電に伴い発生するオゾンを除去するために、オゾン回収ユニット500が第一筐体101aの背面側(
図17(a)において右側)に配置されている。オゾン回収ユニット500は、上記したトナー回収と共用可能な排気ダクト217aと、帯電用排気ファン220aと、オゾン回収フィルタ219aとを有している。帯電用排気ファン220aとオゾン回収フィルタ219aは、排気ダクト217aに設けられている。
【0071】
上記の一次排気ダクト204aと、オゾン回収ユニット500の排気ダクト217aとは、中継ダクトとして上述したフレキシブルチューブ183aと同様のフレキシブルチューブ223aによって接続されている。上記のオゾンを含んだ外気は、帯電用排気ファン220aによって生成されるエアフローにより、一次排気ダクト204aからフレキシブルチューブ223a及び排気ダクト217aを通って、画像形成装置100の外部へ排出される。オゾン回収フィルタ219aは、フレキシブルチューブ223aと帯電用排気ファン220aとの間の流路の途中に配置されている。そのため、オゾン回収フィルタ219aを通過する際に外気からオゾンが除去され、オゾンが除去されたエアーが画像形成装置100の外部へ排出される。
【0072】
なお、上記した排気側のエアフロー構成は、帯電装置2a~2dで同様の構成であり、フレキシブルチューブが中継ダクトとして設けられている。このように、フレキシブルチューブが中継ダクトとして設けられることから、オゾン回収のためのエアフロー構成においてもダクト配置の自由度が高い。また、ダクトの圧力損失を抑制しつつ、オゾンを逃がさないように、フレキシブルチューブを湾曲して配設することが容易に実現できる。
【0073】
<他の実施形態>
なお、上述した実施形態では、現像装置1a~1dや帯電装置2a~2dへ外気を送風する場合を例に説明したが、これに限らない。例えば、第一定着器81や第二定着器91(
図1参照)を通過した後の記録材Sを搬送する搬送部材を外気により冷却する場合にも、上述した実施形態を適用してよい。
【0074】
なお、上述した実施形態では、電子写真方式の画像形成装置100を例に説明したが、これに限らない。例えば、インクジェットプリンタや昇華型プリンタなどの熱乾燥方式の画像形成装置にも、上述した各実施形態を適用してよい。
【符号の説明】
【0075】
1a…現像ユニット(現像装置)、2a…帯電ユニット(帯電装置)、3a…感光体(感光ドラム)、100…画像形成装置、101a…筐体(第一筐体)、125…内カバーユニット、170a、170b…外装カバー(左前扉、右前扉)、177a…ファン(帯電用吸気ファン)、180a…ファン(現像用吸気ファン)、182a(221a)…第一継手部材(入口ジョイント)、183a(216a、222a、223a)…中継ダクト(フレキシブルチューブ)、184a(224a)…第二継手部材(出口ジョイント)、214a…ファン(現像用排気ファン)、218a…トナー回収フィルタ、219a…オゾン回収フィルタ、220a…ファン(帯電用排気ファン)、400…トナー回収ユニット、500…オゾン回収ユニット、S…記録材