(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191705
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】情報管理システム、情報管理システムの制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/62 20130101AFI20221221BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20221221BHJP
【FI】
G06F21/62
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100089
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】横山 秀磨
(72)【発明者】
【氏名】木下 亜也加
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】元の画像からの改変の真正性を担保しつつ、画像に対する改変を適切に管理する。
【解決手段】第1の画像に関連する第1の情報と、前記第1の画像から改変された第2の画像に関連する第2の情報とをブロックチェーンの形態で管理する管理手段と、前記第1の情報に含まれる、前記第1の画像に対する改変の許可範囲を示す情報に基づいて、前記第2の画像の改変内容が許可範囲内かを判定する判定手段と、を有し、前記管理手段は、前記判定手段により許可範囲内と判定された場合に、前記第2の情報を前記ブロックチェーンに登録することを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像に関連する第1の情報と、前記第1の画像から改変された第2の画像に関連する第2の情報とをブロックチェーンの形態で管理する管理手段と、
前記第1の情報に含まれる、前記第1の画像に対する改変の許可範囲を示す許可情報に基づいて、前記第2の画像の改変内容が許可範囲内かを判定する判定手段と、
を有し、
前記管理手段は、前記判定手段により許可範囲内と判定された場合に、前記第2の情報を前記ブロックチェーンに登録することを特徴とする情報管理システム。
【請求項2】
前記管理手段は、前記判定手段により許可範囲外と判定された場合に、前記第2の情報を前記ブロックチェーンに登録しないことを特徴とする請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項3】
前記許可情報は、前記第1の画像に対する改変が許可されるユーザ範囲を含み、
前記判定手段は、前記第2の画像の登録要求を行ったユーザがユーザ範囲内かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報管理システム。
【請求項4】
前記判定手段は、前記第1の画像と前記第2の画像の改変内容を示す改変情報とを用いて検証用画像を生成するとともに、前記第2の画像と前記検証用画像とが一致するかを判定し、
前記管理手段は、前記判定手段により一致すると判定された場合に、前記第2の情報を登録することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報管理システム。
【請求項5】
前記判定手段は、前記第2の画像の登録要求があった場合に、前記第2の画像の改変内容が許可範囲内かを判定することを特徴する請求項1乃至4の何れか1項に記載の情報管理システム。
【請求項6】
前記許可情報は、特定の色の変更、特定のピクセル範囲の編集、画像の拡大、画像の縮小、及び画像の回転のうちの少なくともいずれか1つを許可する情報、または許可しない情報であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の情報管理システム。
【請求項7】
前記第2の情報は、前記第2の画像に対する改変の許可範囲を示す情報を含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の情報管理システム。
【請求項8】
前記第2の情報は、前記第2の画像の改変内容を示す改変情報を含むことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の情報管理システム。
【請求項9】
前記第1の情報及び前記第2の情報は、報奨分配情報をそれぞれ含み、
前記第2の画像から改変された第3の画像に対して報奨が発生した場合に、前記第1の情報に含まれる前記報奨分配情報と、前記第2の情報に含まれる前記報奨分配情報とに基づいて、報奨を分配する処理を行うことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の情報管理システム。
【請求項10】
前記第1の画像と、前記第1の画像に対応する第1の識別子と、前記第2の画像と、前記第2の画像に対応する第2の識別子とを管理する画像管理手段をさらに有し、
前記第1の情報は、前記第1の識別子を含み、
前記第2の情報は、前記第2の識別子を含むことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の情報管理システム。
【請求項11】
前記第1の画像を外部装置へ送信する送信手段をさらに有し、
前記外部装置に対して、前記許可情報に基づいて、前記第1の画像に対する改変操作を制限するよう制御することを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の情報管理システム。
【請求項12】
前記判定手段は、前記ブロックチェーン上で動作するスマートコントラクトの機能であることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の情報管理システム。
【請求項13】
前記第1の情報及び前記第2の情報は、前記ブロックチェーンのトランザクションに登録されることを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載の情報管理システム。
【請求項14】
第1の画像に関連する第1の情報と、前記第1の画像から改変された第2の画像に関連する第2の情報とをブロックチェーンの形態で管理する管理手段を有する情報管理システムの制御方法であって、
前記第1の情報に含まれる、前記第1の画像に対する改変の許可範囲を示す情報に基づいて、前記第2の画像の改変内容が許可範囲内かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより許可範囲内と判定された場合に、前記第2の情報を前記ブロックチェーンに登録する登録ステップと、
を含むことを特徴とする情報管理システムの制御方法。
【請求項15】
コンピュータを、請求項1乃至13の何れか1項に記載された情報管理システムの各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報管理システム、情報管理システムの制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像編集技術の発達により、実際に撮影された画像なのか判断できないほど精巧なフェイク画像が作成されている。そのため、撮影した画像の真正性を保証することが求められている。特許文献1には、画像撮影時、画像からハッシュ関数を用いてハッシュ値を生成し、そのハッシュ値にデジタル署名を付加してブロックチェーンに登録する方法が開示されている。また、特許文献2には、コンテンツを変更した履歴をブロックチェーンで管理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-209744号公報
【特許文献2】特開2019-121946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような先行文献によれば、画像の真正性を保証することや、元の画像から改変された画像の改変履歴を管理することは可能であるが、画像に対する改変には制限が設けられていないため、画像に対する改変を適切に管理することができない。
【0005】
そこで本発明は、元の画像からの改変の真正性を担保しつつ、画像に対する改変を適切に管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報管理システムは、第1の画像に関連する第1の情報と、前記第1の画像から改変された第2の画像に関連する第2の情報とをブロックチェーンの形態で管理する管理手段と、前記第1の情報に含まれる、前記第1の画像に対する改変の許可範囲を示す情報に基づいて、前記第2の画像の改変内容が許可範囲内かを判定する判定手段と、を有し、前記管理手段は、前記判定手段により許可範囲内と判定された場合に、前記第2の情報を前記ブロックチェーンに登録することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、元の画像からの改変の真正性を担保しつつ、画像に対する改変を適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1B】情報管理システムのハードウェア構成例を示す図である。
【
図2】情報管理システムの機能構成例を示す図である。
【
図3】改変内容判定処理を示すフローチャートである。
【
図4】情報管理システムによる一連の動作を示すシーケンス図である。
【
図5】情報管理システムの機能構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態は特許請求の範囲に関る本発明を限定するものではなく、また、本実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。なお、同一な構成については、同じ符号を付して説明する。
【0010】
[第1の実施形態]
図1Aは、本実施形態に係る情報管理システムを含むシステム構成例を示す図である。情報管理システム1は、画像登録装置2,4から取得した画像、画像に関連する情報、及び画像の改変履歴を管理するシステムである。
図1Aに示すように、情報管理システム1、画像登録装置2、画像改変装置3、及び画像登録装置4が、ネットワーク5を介して相互に接続されており、データの送受信が可能である。画像登録装置2は、改変元となる原画像を情報管理システム1に登録するための装置であり、カメラ、スマートフォン、PC(パーソナルコンピュータ)等である。画像改変装置3は、情報管理システム1から取得した原画像を改変するための装置であり、画像編集アプリケーションが搭載されたカメラ、スマートフォン、PC等である。画像改変装置3により改変された画像(以下、改変画像という)は、画像登録装置4に提供される。画像登録装置4は、画像改変装置3から提供された改変画像を情報管理システム1に登録するための装置であり、画像登録装置2と同様の装置構成で実現される。なお画像改変装置3と画像登録装置4とが一体的に構成されてもよい。
【0011】
図1Bは、本実施形態に係る情報管理システム1のハードウェア構成例を示す図である。情報管理システム1は、CPU201、記憶装置202、及びネットワークI/F(インターフェース)203により構成され、これら各部がバス204を介して相互に接続されている。
CPU201は、情報管理システム1の全体の動作を制御する。CPU201は、記憶装置202に記憶されたプログラムに基づき処理を実行する。記憶装置202は、HDD、フラッシュメモリ等により実現され、各種のプログラム、画像データ、データベース等を記憶する。ネットワークI/F203は、外部装置とネットワーク通信するためのインターフェースである。情報管理システム1は、ネットワークI/F203を介して画像登録装置2,4や画像改変装置3からの処理要求を受け各種処理を行い、データの送受信を行う。
【0012】
本実施形態では、1つのCPU201が記憶装置202等に記憶されたプログラムを実行することにより、後述するフローチャートやシーケンス図に示す処理を実行する場合を例示するが、他の態様であってもよい。例えば、複数のCPU、HDD等を協働させて後述する各処理を実行することもできる。また、情報管理システム1は、1の装置にて実現されるものではなく、機能に応じた複数の装置により実現されてもよい。
【0013】
図2は、本実施形態に係る情報管理システム1の機能構成例を示す図である。情報管理システム1は、画像管理部11、改変内容判定部12の機能を備え、画像管理部11に登録される画像に関連する情報をブロックチェーン10で管理する。
ブロックチェーン10は、暗号化技術を用いたネットワーク上の分散型管理台帳である。本実施形態に係るブロックチェーン10は、ピアツーピアのネットワークで構成されてもよく、特定のサーバ装置で構成されてもよい。本実施形態において、ブロックチェーン10は、画像の改変に関する情報、及び改変の履歴を管理する。詳細は後述する。
【0014】
画像管理部11は、画像を管理する機能部であり、ピアツーピアのネットワークで構成されてもよく、特定のサーバ装置で構成されてもよい。本実施形態において、画像管理部11は、
図1Bに示すように、原画像110、原画像110に対応する識別子である画像識別子111、改変画像112、及び改変画像112に対応する識別子である画像識別子113を管理する。本実施形態では、画像管理部11が、原画像とその画像識別子、及び改変画像とその画像識別子を一つずつ保持する例を示すが、さらに多くの画像とその画像識別子を保持してもよい。
【0015】
改変内容判定部12は、画像登録装置4から送信された改変画像の改変内容が許可されるかを判定する機能部であり、特定のサーバ装置で構成されてもよく、ブロックチェーン10や画像管理部11と一体的に構成されてもよい。本実施形態において、改変内容判定部12は、ブロックチェーン10に格納されている、当該改変画像の改変元となる画像の情報に基づき、改変画像の改変内容が許可されるか否かを判定する。改変内容判定部12が許可されると判定した場合、ブロックチェーン10に改変画像に関連する情報が登録され、改変内容判定部12が許可されないと判定した場合は、ブロックチェーン10に改変画像が登録されない。具体的な判定方法については、後述する
図3のフローチャートで説明する。また、判定に用いる判定プログラムをブロックチェーン10内で管理してもよい。その場合、改変内容判定部12は、一般的なブロックチェーン上の、改変画像の登録要求をトリガーに実行される所謂スマートコントラクトとして機能する。
【0016】
続いて、ブロックチェーン10の詳細について説明する。
ブロックチェーン10は、ブロック100と、ブロック101とを連結させて管理する。
図1Bでは、ブロック100に原画像110に関連する情報が登録され、ブロック101に改変画像112に関連する情報が登録されている例を示す。なお、ブロックチェーン10が管理するブロック数は、2個に限定されない。例えば、ブロックチェーン10は、ブロック101にさらにブロックを連結させて、当該ブロックに改変画像112に対して改変された画像に関連する情報を登録してもよい。また、1個のブロックに1個の画像に関連する情報が登録される構成に限られず、1個のブロックに複数の画像に関連する情報が登録される構成でもよい。ブロック100及びブロック101は、一般的なブロックチェーンにおける、一定期間のトランザクション情報をブロック単位にまとめたものである。
【0017】
まず、ブロック100について説明する。ブロック100は、前ブロックハッシュ値1000とトランザクション1001とで構成される。本実施形態では、説明を簡易化するために1つのブロック内には1つのトランザクションが含まれる例を示すが、1つのブロック内には複数のトランザクションが含まれてもよく、トランザクションの数は限定されない。前ブロックハッシュ値1000は、ブロック100の前に連結されるブロック(不図示)を特定する情報を、ハッシュ関数を用いてハッシュ値にした値であり、前のブロックとの連結関係を示す情報である。
【0018】
トランザクション1001は、画像識別子1002、改変許可情報1003、許可者情報1004、画像ハッシュ値1005、及び電子署名1006を含む。画像識別子1002は、画像管理部11で管理される画像識別子111と同一のものであり、トランザクション1001と画像管理部11で管理される原画像110とを紐づけるための情報である。
改変許可情報1003は、原画像110に対する改変の許可範囲を示す情報である。改変許可情報1003は、原画像110の所有者(撮影者、管理者、著作権所有者、ブロックチェーン登録者など)により設定される。改変許可情報1003は、許可する範囲を示す情報でもよく、許可しない範囲を示す情報でもよい。具体的には、改変許可情報1003には、特定の色の変更許可または不許可、特定のピクセル範囲の編集許可または不許可、画像拡大縮小の許可または不許可、画像回転の許可または不許可などを示す情報が設定される。改変許可情報1003は、英語などの標準言語の文字列であってもよく、符号化された文字列であってもよい。符号化された文字列である場合、画像改変装置3などの装置で復号可能である。画像改変装置3で復号可能である場合、情報管理システム1は、改変許可情報1003の内容に基づいて、画像改変装置3の特定の画像改変操作を制限させるよう制御してもよい。制限させる方法としては、画像編集アプリケーションのGUI(Graphical User Interface)の特定の操作を指示するボタンをグレーアウトさせる方法や、特定の操作が行われた場合に警告画面を表示させる方法などがある。
【0019】
許可者情報1004は、原画像110に対する改変が許可されるユーザ範囲を示す情報である。許可者情報1004は、原画像110の所有者(撮影者、管理者、著作権所有者、ブロックチェーン登録者など)により設定される。許可者情報1004は、許可する範囲を示す情報でなく、許可しない範囲を示す情報でもよい。情報管理システム1を利用するユーザは、ユーザ登録が必要であり、許可者情報1004には、ユーザのアカウント名やユーザID(Identification)が設定される。また、一般的なブロックチェーンおける、電子署名や公開鍵から生成された値を用いてもよい。また、許可者情報1004には、複数のユーザを特定の条件でまとめたグループを示すグループ名やグループIDが設定されてもよい。
【0020】
画像ハッシュ値1005は、原画像110をハッシュ関数を用いてハッシュ値にした値であり、原画像110とトランザクション1001とを紐づけ、原画像110の真正性を高めるための情報である。
電子署名1006は、一般的なブロックチェーンにおける電子署名であり、原画像110の登録者を確認するための署名である。例えば、情報管理システム1に登録するデータを秘密鍵で暗号化した値である。
【0021】
次に、ブロック101について説明する。ブロック101は、前ブロックハッシュ値1000、及びトランザクション1001により構成される。ブロック101は、前ブロックハッシュ値1010と、トランザクション1011とで構成される。
前ブロックハッシュ値1010は、前ブロックハッシュ値1000と同様であり、本実施形態では、ブロック101の前のブロックであるブロック100を特定する情報を、ハッシュ関数を用いてハッシュ値にした値である。
トランザクション1011は、画像識別子1012、画像識別子1013、改変情報1014、改変許可情報1015、許可者情報1016、画像ハッシュ値1017、及び電子署名1018を含む。画像識別子1012は、画像識別子111及び画像識別子1002と同一のものである。画像識別子1012は、トランザクション1011と画像管理部11で管理される原画像110とを紐づけるための情報であり、トランザクション1011に関連付く改変画像の改変元が原画像110であることを示す。
【0022】
画像識別子1013は、画像識別子113と同一のものであり、トランザクション1011と画像管理部11で管理される改変画像112とを紐づけるための情報である。
改変情報1014は、原画像110をどのように改変して改変画像112を生成したかを示す情報である。具体的には、特定の色の変更、特定のピクセル範囲の編集、画像拡大縮小、画像回転などの画像改変情報である。改変情報1014は、英語などの標準言語の文字列であってもよく、符号化された文字列であってもよい。改変情報1014に示される画像改変の内容は、改変許可情報1003で許可する範囲内での改変内容である。許可する範囲内でない場合には、改変内容判定部12によりブロックチェーン10への登録が許可されないためである。
【0023】
改変許可情報1015は、改変画像112に対する改変の許可範囲を示す情報である。改変許可情報1015は、改変画像112の所有者(作成者、管理者、著作権所有者、ブロックチェーン登録者など)により設定される。具体的な情報の内容は、改変許可情報1003と同様である。
許可者情報1016は、改変画像112に対する改変が許可されるユーザ範囲を示す情報である。許可者情報1016は、改変画像112の所有者(作成者、管理者、著作権所有者、ブロックチェーン登録者など)により設定される。具体的な情報の内容は、許可者情報1004と同様である。
画像ハッシュ値1017は、改変画像112をハッシュ関数を用いてハッシュ値にした値であり、改変画像112とトランザクション1011とを紐づけ、改変画像112の真正性を高めるための情報である。
電子署名1018は、一般的なブロックチェーンの電子署名であり、改変画像112の登録者を確認するための署名である。具体的な内容は電子署名1006と同様である。
【0024】
次に、改変内容判定部12が行う改変内容判定処理の詳細について説明する。
図3は、改変内容判定処理を示すフローチャートである。
図3のフローチャートは、CPU201が記憶装置202等に記憶されるプログラムを実行することにより実現される。以下、フローチャートの各工程(ステップ)は、それら符号の先頭にはS(ステップ)を付与して説明する。
改変内容判定処理が実行される前提として、情報管理システム1は、画像登録装置2からの要求に応じて、画像登録装置2から送信された原画像110及び原画像110の画像識別子111を、画像管理部11が管理する記憶装置202の記憶領域に格納する。また情報管理システム1は、原画像110に関連する情報をトランザクション1001に登録し、ブロックチェーン10が管理する記憶装置202の記憶領域に格納する。その後情報管理システム1は、画像改変装置3からの要求に応じて、原画像110及び原画像110に対応する画像識別子111を画像改変装置3に対して送信する。画像改変装置3は、原画像110から改変された改変画像112を画像登録装置4に対して送信する。
図3のフローチャートは、情報管理システム1が改変画像112の登録要求を画像登録装置4から受信した場合に実行される処理である。
【0025】
まずS301にて、CPU201は、画像登録装置4からネットワークI/F203を介して改変画像112の登録要求を受信する。受信した登録要求には、改変画像112の改変元となる原画像110の画像識別子111、及び原画像110からの画像改変内容を示す改変情報1014が含まれている。更に登録要求には、改変画像112に対する改変許可情報1015、改変画像112に対する許可者情報1016、改変画像112の電子署名1018が含まれている。
【0026】
次にS302にて、CPU201は、ブロックチェーン10が管理する記憶装置202の記憶領域から、改変元となる画像の情報を取得する。具体的には、CPU201は、登録要求に含まれる画像識別子111と同一の画像識別子1002を含むトランザクション1001の情報を取得する。
次にS303にて、CPU201は、S302で取得した情報に基づいて、改変画像の登録要求の送信元のユーザが、改変が許可されるユーザ範囲内のユーザか否かを判定する。具体的には、CPU201は、トランザクション1001に含まれる許可者情報1004を参照して、画像登録装置4のユーザが、許可者情報1004で許可される範囲内のユーザか否かを判定する。CPU201が改変が許可されているユーザと判定した場合、処理はS304へ進む。CPU201が改変が許可されていないユーザと判定した場合、処理はS308へ進む。
【0027】
S304にて、CPU201は、改変画像の改変内容を、S302で取得した許可情報と照合する。具体的には、CPU201は、改変画像112の改変情報1014を、トランザクション1001に含まれる改変許可情報1003と照合する。
次にS305にて、CPU201は、改変画像の改変内容が許可範囲内か否かを判定する。具体的には、CPU201は、改変情報1014が改変許可情報1003で許可される範囲内か否かを判定する。例として、改変許可情報1003に、画像縮小の許可と、画像回転の許可が設定されているとする。改変情報1014の内容に、色の変更など、画像縮小と画像回転のどちらでもない内容が含まれている場合、CPU201が改変内容が許可範囲外と判定し、処理はS308へ進む。一方で、改変情報1014の内容が、画像縮小と画像回転の両方、または何れか一方であった場合、CPU201が改変内容が許可範囲内と判定し、処理はS306へ進む。
【0028】
S306にて、CPU201は、画像管理部11が管理する記憶装置202の記憶領域から、S301で受信した画像識別子111に対応する原画像110を取得し、取得した原画像110と改変情報1014とを用いて、検証用画像を生成する。
次にS307にて、CPU201は、S301で受信した改変画像112が、S306で生成した検証用画像と一致するか否かを判定する。CPU201が検証用画像と一致すると判定した場合、処理はS309へ進む。CPU201が検証用画像と一致しないと判定した場合、処理はS308へ進む。
【0029】
S308にて、CPU201は、画像登録装置4に対して改変画像112の登録が不可であった旨を示すエラー通知を送信する。その後
図3に示す一連のフローチャートの処理が終了する。
S309にて、CPU201は、S301で受信した改変画像112を、画像管理部11が管理する記憶装置202の記憶領域に格納する。またCPU201、ブロック100に連結されるブロック101のトランザクション1011に、改変画像112に関連する情報を登録し、ブロックチェーン10が管理する記憶装置202の記憶領域に格納する。トランザクション1011に登録される情報には、S301で受信した登録要求に含まれる情報が用いられる。その後
図3に示す一連のフローチャートの処理が終了する。
【0030】
以上のような改変内容判定処理によれば、画像登録装置4が情報管理システム1に登録しようとしている画像が、改変許可された範囲内である場合に限り、ブロックチェーン10に登録することが可能になる。これにより、改変される内容や改変できるユーザを限定することができる。
【0031】
図4は、本実施形態に係る情報管理システム1の一連の動作を示すシーケンス図である。以下の説明では、各工程(ステップ)について先頭にSを付けて表記することで、工程(ステップ)の表記を省略する。
S401~S403では、原画像を情報管理システム1に登録する場合に実行される原画像登録処理の流れを示す。S401にて、画像登録装置2が、情報管理システム1に対して原画像110の登録要求を行うと、ブロックチェーン10が、原画像110の改変許可情報1003、許可者情報1004、及び電子署名1006をトランザクション1001に登録する。S401と並行してS402にて、画像管理部11が、原画像110を登録する。
【0032】
その後S403にて、画像管理部11が、原画像110をハッシュ値化した画像ハッシュ値1005と、原画像110に対応する画像識別子111とを生成し、ブロックチェーン10に提供する。ブロックチェーン10は、提供された画像ハッシュ値1005と、画像識別子111と同じ画像識別子1002とを、トランザクション1001に登録する。これにより、原画像110とトランザクション1001とが紐づけられる。
なお、画像登録装置2が、画像管理部11で生成された画像識別子111を受信し、直接トランザクション1001に登録してもよく、限定されない。また、画像登録装置2が、原画像110から画像ハッシュ値1005を生成し、直接トランザクション1001に登録してもよく、限定されない。
【0033】
S411~S418では、改変画像を情報管理システム1に登録する場合に実行される改変画像登録処理の流れを示す。まずS411にて、画像改変装置3が、画像管理部11から原画像110と原画像110に対応する画像識別子111とを取得する。次にS412にて、画像改変装置3が、原画像110から改変した改変画像112を画像登録装置4に対して送信する。
続いてS413にて、画像登録装置4が、情報管理システム1に対して改変画像112の登録要求を行う。当該登録要求には、改変画像112、画像識別子111、改変情報1014、改変許可情報1015、許可者情報1016、及び電子署名1018が含まれる。次にS414にて、改変内容判定部12が、画像識別子111に紐づくトランザクション1001に含まれる改変許可情報1003、及び許可者情報1004を取得する。その後、改変内容判定部12が、取得した情報に基づいて、改変情報1014が許可されるか、及び画像登録装置4のユーザが許可されるかを判定する。
【0034】
S415~S417では、改変内容判定部12による判定がOKだった場合、即ち改変画像112の改変内容が、改変許可情報1003、及び許可者情報1004で許可される範囲内であった場合に実行される処理の流れを示す。
S415にて、改変内容判定部12の指示により、ブロックチェーン10が、画像識別子1012、改変情報1014、改変許可情報1015、許可者情報1016、及び電子署名1018を、トランザクション1011に登録する。S415と並行してS416にて、改変内容判定部12の指示により、画像管理部11が、改変画像112を登録する。
【0035】
その後S417にて、画像管理部11が、改変画像112をハッシュ値化した画像ハッシュ値1017と、改変画像112に対応する画像識別子113とを生成し、ブロックチェーン10に提供する。ブロックチェーン10は、提供された画像ハッシュ値1017と、画像識別子113と同じ画像識別子1013とを、トランザクション1011に登録する。これにより、改変画像112とトランザクション1011とが紐づけられる。
なお、画像登録装置4が、画像管理部11で生成された画像識別子113を受信し、直接トランザクション1011に登録してもよく、限定されない。また、画像登録装置4が、改変画像112から画像ハッシュ値1017を生成し、直接トランザクション1011に登録してもよく、限定されない。以上により、
図4に示す一連のシーケンス図の動作が終了する。
【0036】
S418では、改変内容判定部12による判定がNGだった場合、即ち改変画像112の改変内容が、改変許可情報1003、及び許可者情報1004で許可される範囲外であった場合に実行される処理の流れを示す。
S418にて、改変内容判定部12が、登録不可であった旨を示すエラー通知を、画像登録装置4に対して送信する。以上により、
図4に示す一連のシーケンス図の動作が終了する。
【0037】
以上のような第1の実施形態によれば、画像の改変履歴を連結させて管理するブロックチェーンを用いることで、画像の改変内容や、画像の改変が可能なユーザについて、制限を設けることが可能になる。これにより、元の画像からの改変の真正性を担保しつつ、意図しない改変を抑制することができる。即ち、画像の改変を適切に管理することができる。
【0038】
[第2の実施形態]
図5は、本実施形態に係る情報管理システム1の機能構成例を示す図である。
図5は、第1の実施形態の
図2とは、トランザクション1001に報奨分配情報500が追加されている点、及びトランザクション1011に報奨分配情報501が追加されている点で異なる。第2の実施形態では、報奨分配情報500,501を用いて、改変後の画像が商用に利用された場合等で報奨が発生した場合に、改変元の画像の登録者に対しても報奨を分配する方法について説明する。以下、第1の実施形態と同様の部分については同じ符号を用いて説明を省略する。
【0039】
報奨分配情報500は、原画像110から改変された画像で報奨が発生した場合に分配される報奨を決定するための設定値である。報奨分配情報500は、原画像110の所有者(撮影者、管理者、著作権所有者、ブロックチェーン登録者など)によりトランザクション1001に登録される。具体的な設定値や分配方法は、
図6を用いて説明する。
報奨分配情報501は、改変画像112がさらに改変された画像で報奨が発生した場合に分配される報奨を決定するための設定値である。報奨分配情報501は、改変画像112の所有者(撮影者、管理者、著作権所有者、ブロックチェーン登録者など)によりトランザクション1011に登録される。具体的な設定値や分配方法は、
図6を用いて説明する。
【0040】
図6は、本実施形態における画像の改変履歴と、その画像に付随する報奨分配情報を示すブロック図である。
図6を用いて、報奨の分配方法の一例について説明する。
画像α600は、情報管理システム1で管理される画像であり、他の画像を改変して生成されたものではない、オリジナルの画像である。報奨分配情報α601は、画像α600の所有者により設定された画像α600の報奨分配情報であり、0.5という数値であったとする。
画像β602は、情報管理システム1で管理される画像であり、画像α600を改変して生成された画像である。報奨分配情報β603は、画像β602の所有者により設定された画像β602の報奨分配情報であり、0.3という数値であったとする。
画像γ604は、情報管理システム1で管理される画像であり、画像β602を改変して生成された画像である。報奨分配情報γ605は、画像γ604の所有者により設定された画像γ604の報奨分配情報であり、0.7という数値であったとする。
【0041】
上述の画像と報奨分配情報を用いた、報奨の分配方法について説明する。
画像α600に報奨X(単位は通貨の単位が想定されるが、限定されない)が発生した場合、画像α600の所有者は、報奨Xをそのまま取得可能である。ここで、報奨分配情報α601は、画像α600の改変後の画像で報奨が発生した場合の設定のため、無視される。
画像β602に報奨Yが発生した場合、情報管理システム1は、画像α600の所有者に対して、Y×0.5の報奨を分配する。情報管理システム1は、画像β602の所有者に対して、Y-(Y×0.5)の報奨を分配する。ここで、報奨分配情報β603は、画像β602の改変後の画像で報奨が発生した場合の設定のため、無視される。
画像γ604に報奨Zが発生した場合、情報管理システム1は、画像α600の所有者に対して、Z×0.5の報奨を分配する。また、情報管理システム1は、画像β602の所有者に対して、(Z-(Z×0.5))×0.3の報奨を分配する。更に、情報管理システム1は、画像γ604の所有者に対して、Z-((Z-(Z×0.5))×0.3)の報奨を分配する。ここで、報奨分配情報γ605は、画像γ604の改変後の画像で報奨が発生した場合の設定のため、無視される。
【0042】
以上のような第2の実施形態によれば、画像の改変履歴を連結させて管理するブロックチェーンを用いることで、改変された画像に報奨が発生した場合に、改変元の画像の所有者に対しても、報奨を適切に分配することができる。なお、上述の報奨分配情報の設定値や分配方法は一例であり、異なる設定値や分配方法を用いて報奨分配を行ってもよく、限定されない。
【0043】
以上、本発明を実施形態と共に説明したが、上記実施形態は本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0044】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0045】
1:情報管理システム、2,4:画像登録装置、3:画像改変装置