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  • 特開-二酸化炭素回収装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191708
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20221221BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20221221BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20221221BHJP
   C01D 7/07 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
B01D53/14 200
B01D53/18 150
C01B32/50
C01D7/07
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100093
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000127123
【氏名又は名称】株式会社アンレット
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】横井 隆志
(72)【発明者】
【氏名】横井 亮知
(72)【発明者】
【氏名】竹田 昌史
【テーマコード(参考)】
4D020
4G146
【Fターム(参考)】
4D020AA03
4D020BB03
4D020CB27
4D020CD10
4G146JA02
4G146JB10
4G146JC29
4G146JC34
4G146JD03
4G146JD10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡単な構成で効率的に空気中の微量の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置を提供する。
【解決手段】ルーツブロワ12を稼働すると、二酸化炭素回収タンク11の中の空気が吸込ライン17を通ってルーツブロワに吸引され、それに伴い空気が空気導入口11aを通って二酸化炭素回収タンク内へ吸引される。同時に、ルーツブロワの吐出口から圧力ライン18を通って圧縮空気が二流体ノズル14に供給される。圧縮空気が二流体ノズルに供給されると、吸上げライン19を通ってアルカリ溶液13aがアルカリ溶液タンク13から吸い上げられ、吸い上げられたアルカリ溶液と圧縮空気が混合されて二流体ノズルから二酸化炭素回収タンク内に噴霧される。そのため、二酸化炭素回収タンク内で空気中の二酸化炭素がアルカリ溶液中に溶解し、二酸化炭素溶解水11cが生成され、空気導入口から二酸化炭素回収タンク内に吸引された空気から二酸化炭素が回収される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気導入口を設けた二酸化炭素回収タンクと、送風機と、アルカリ溶液を貯留するアルカリ溶液タンクと、二流体ノズルを備え、
送風機の吸込口と二酸化炭素回収タンクを吸込ラインで接続し、
二流体ノズルと送風機の吐出口を圧力ラインで接続するとともに、二流体ノズルとアルカリ溶液タンクを吸上げラインで接続し、
送風機の稼働により空気を空気導入口から二酸化炭素回収タンク内へ吸引するとともに、圧力ラインから供給される圧縮空気と吸上げラインから供給されるアルカリ溶液を二流体ノズルで混合して二酸化炭素回収タンク内に噴霧し、
二酸化炭素回収タンク内で空気中の二酸化炭素をアルカリ溶液中に溶解させて二酸化炭素溶解水を生成するようにしたことを特徴とする二酸化炭素回収装置。
【請求項2】
送風機としてルーツブロワ又はターボブロワを設置し、
二酸化炭素回収タンクと吸込口の間を遮断し、吸込口から送風機乾燥用の二次空気を送風機に供給する二次空気供給弁を吸込ラインに設けたことを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項3】
二酸化炭素回収タンクとアルカリ溶液タンクを接続する二酸化炭素溶解水回収ラインと、
アルカリ溶液タンクと曝気槽を接続する二酸化炭素溶解水供給ラインと、
二酸化炭素溶解水供給ラインに設けられ、アルカリ溶液タンクで回収した二酸化炭素溶解水を曝気槽に供給するポンプを設けたことを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項4】
送風機の吐出口と曝気槽中に配置した散気管を圧力ラインで接続したことを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項5】
アルカリ溶液が二酸化炭素回収タンクの底部に向けて噴霧されるように二流体ノズルを二酸化炭素回収タンク内に設け、
空気導入口から吸引された空気の流れを二酸化炭素回収タンクの底部に向けるガイドを空気導入口の内端部に設けたことを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中に存在する微量の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の二酸化炭素回収装置の一形式が特開2005‐82419号公報に開示されている。この装置は、液化二酸化炭素を溜めることが可能な密封容器と、この容器に回転可能に設けられ空気を吸引して遠心力により外周側に二酸化炭素を分離して圧縮集合させるとともに該分離して圧縮集合した二酸化炭素を液体窒素とともに外周に設けた複数の噴射口から容器内に噴射させ容器内で二酸化炭素と液体窒素との熱交換を行なわせて二酸化炭素を液化させる中空状の回転体と、回転体を回転させる駆動部と、回転体に空気を冷却しながら導通させる空気導通部と、回転体の不要な気体を排気する排気部と、液体窒素を噴出させる液体窒素噴出体と、液体窒素を供給する液体窒素供給部と、容器内の液化二酸化炭素を取出すポンプから構成されている。
【0003】
この二酸化炭素回収装置によれば、容器内で二酸化炭素と液体窒素との熱交換が行われ、二酸化炭素が液化して容器の底部に流下するので、空気中の微量の二酸化炭素を回収することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-82419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の二酸化炭素回収装置は、空気中の微量の二酸化炭素を回収できるものの、中空の回転体、回転体を回転させる駆動部、圧縮機、凝縮器、熱交換パイプ等、多数の構成要素から成る複雑な構造を備えているので、多大な製造コストを要する。
本発明はかかる点に鑑み、簡単な構成で効率的に空気中の微量の二酸化炭素を回収できる二酸化炭素回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、
空気導入口を設けた二酸化炭素回収タンクと、送風機と、アルカリ溶液を貯留するアルカリ溶液タンクと、二流体ノズルを備え、
送風機の吸込口と二酸化炭素回収タンクを吸込ラインで接続し、
二流体ノズルと送風機の吐出口を圧力ラインで接続するとともに、二流体ノズルとアルカリ溶液タンクを吸上げラインで接続し、
送風機の稼働により空気を空気導入口から二酸化炭素回収タンク内へ吸引するとともに、圧力ラインから供給される圧縮空気と吸上げラインから供給されるアルカリ溶液を二流体ノズルで混合して二酸化炭素回収タンク内に噴霧し、
二酸化炭素回収タンク内で空気中の二酸化炭素をアルカリ溶液中に溶解させて二酸化炭素溶解水を生成するようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の二酸化炭素回収装置において、
送風機としてルーツブロワ又はターボブロワを設置し、
二酸化炭素回収タンクと吸込口の間を遮断し、吸込口から送風機乾燥用の二次空気を送風機に供給する二次空気供給弁を吸込ラインに設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の二酸化炭素回収装置において、
二酸化炭素回収タンクとアルカリ溶液タンクを接続する二酸化炭素溶解水回収ラインと、
アルカリ溶液タンクと曝気槽を接続する二酸化炭素溶解水供給ラインと、
二酸化炭素溶解水供給ラインに設けられ、アルカリ溶液タンクで回収した二酸化炭素溶解水を曝気槽に供給するポンプを設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の二酸化炭素回収装置において、
送風機の吐出口と曝気槽中に配置した散気管を圧力ラインで接続したことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の二酸化炭素回収装置において、
アルカリ溶液が二酸化炭素回収タンクの底部に向けて噴霧されるように二流体ノズルを二酸化炭素回収タンク内に設け、
空気導入口から吸引された空気の流れを二酸化炭素回収タンクの底部に向けるガイドを空気導入口の内端部に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明に係る二酸化炭素回収装置によれば、二流体ノズルでアルカリ溶液を二酸化炭素回収タンク内に噴霧するので、アルカリ溶液が二酸化炭素回収タンク内で霧状に拡散する。そのため二酸化炭素回収容器内に吸引された空気とアルカリ溶液との接触面積が増大するので、空気中の二酸化炭素を効率的にアルカリ溶液中に溶解せさて回収することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明に係る二酸化炭素回収装置によれば、二次空気供給弁を切り替え操作することで、二次空気をルーツブロワ又はターボブロワに供給して乾燥運転ができるので、装置の耐久性が向上する。
【0013】
請求項1に記載の発明に係る二酸化炭素回収装置によれば二酸化炭素回収タンクの底部には、二酸化炭素の溶存量が徐々に増加してpHがアルカリ性から中性に変化した二酸化炭素溶解水が貯留される。
しかして、請求項3に記載の発明によれば、二酸化炭素回収タンクの底部で中和された二酸化炭素溶解水をアルカリ溶液タンクから曝気槽に送って水処理を施し、一定の水質にして河川等に放流できる。
【0014】
請求項4に記載の発明に係る二酸化炭素回収装置によれば、吸込口から二酸化炭素回収タンク内に吸引され、タンク内で二酸化炭素がアルカリ溶液に溶解して除去された空気を、圧力ラインを介して曝気槽の散気管に送ることができるので、効率的に曝気槽の処理水の溶存酸素DO値を上昇させることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明に係る二酸化炭素回収装置によれば、二酸化炭素回収タンク内に吸引された空気とアルカリ溶液との接触面積が増大し、空気中の二酸化炭素をより効率的にアルカリ溶液中に溶解せさて回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施例に係る二酸化炭素回収装置の機能的構成を示す説明図である。
【実施例0017】
以下に本発明を図面に基づき説明する。図1には本発明の一実施例に係る二酸化炭素回収装置10の機能的構成が示されている。この二酸化炭素回収装置10は、円筒形の二酸化炭素回収タンク11と、ルーツブロワ12と、アルカリ溶液13aを貯留するアルカリ溶液タンク13と、二流体ノズル14、曝気槽15及びポンプ16を備えている。
【0018】
二酸化炭素回収タンク11は上下両端面が閉蓋され、周面に空気導入口11aが設けられている。この二酸化炭素回収タンク11は吸込ライン17でルーツブロワ12の吸込口に接続されている。
【0019】
二流体ノズル14は二酸化炭素回収タンク11の内部に3個が配置され、ルーツブロワ12の吐出口と圧力ライン18で接続されている。この圧力ライン18でルーツブロワ12の吐出口と曝気槽15の散気管15aも接続されている。
また、二流体ノズル14は吸上げライン19でアルカリ溶液タンク13に接続されている。このアルカリ溶液タンク13にはアルカリ溶液13aとして、水酸化ナトリウム水溶液が蓄えられている。
【0020】
二酸化炭素回収タンク11とアルカリ溶液タンク13は二酸化炭素溶解水回収ライン20で接続され、二酸化炭素溶解水回収ライン20には同ライン20を導通又は遮断する電磁弁21が設けられている。
【0021】
アルカリ溶液タンク13は二酸化炭素溶解水供給ライン22で曝気槽15に接続され、二酸化炭素回収タンク11で生成した二酸化炭素溶解水11cがアルカリ溶液タンク13を経てポンプ16で二酸化炭素供給ライン22を通り曝気槽15に送ることができる。
【0022】
3個の二流体ノズル14は、アルカリ溶液13aが二酸化炭素回収タンク11の底部に向けて噴霧されるように二酸化炭素回収タンク11内に下向きに設けられている。また、空気導入口11aから吸引された空気の流れを二酸化炭素回収タンク11の底部に向けるガイド11bが空気導入口11aの内端部に設けられている。
【0023】
二酸化炭素回収タンク11とルーツブロワ12の吸込口を接続する吸込ライン17には二酸化炭素回収タンク11とルーツブロワ12の吸込口の間を遮断し、吸込口からルーツブロワ12の乾燥用の二次空気をルーツブロワ12に供給する二次空気供給弁23が設けられている。
なお、符号24はルーツブロワ12のドレンバルブ、25はDo計、26はpH計である。
【0024】
本実施例に係る二酸化炭素回収装置10の構成は以上の通りであって、以下にその作動を説明する。
ルーツブロワ12を稼働すると、二酸化炭素回収タンク11の中の空気が吸込ライン17を通ってルーツブロワ12に吸引され、それに伴い二酸化炭素回収タンク11の外部から空気が空気導入口11aを通って二酸化炭素回収タンク11内へ吸引される。同時に、ルーツブロワ12の吐出口から圧力ライン18を通って圧縮空気が二流体ノズル14に供給される。圧縮空気が二流体ノズル14に供給されると、吸上げライン19を通ってアルカリ溶液13aがアルカリ溶液タンク13から吸い上げられ、吸い上げられたアルカリ溶液13aと圧縮空気が混合されて二流体ノズル14から二酸化炭素回収タンク11内に噴霧される。そのため、二酸化炭素回収タンク11内で空気中の二酸化炭素がアルカリ溶液13a中に溶解し、二酸化炭素溶解水11cが生成され、空気導入口11aから二酸化炭素回収タンク11内に吸引された空気から二酸化炭素が回収される。
【0025】
本実施例に係る二酸化炭素回収装置10によれば、二流体ノズル14でアルカリ溶液13aを二酸化炭素回収タンク11内に噴霧するので、アルカリ溶液13aが二酸化炭素回収タンク11内で霧状に拡散する。そのため二酸化炭素回収容器11内に吸引された空気とアルカリ溶液13aとの接触面積が増大するので、空気中の二酸化炭素を効率的にアルカリ溶液13a中に溶解し、二酸化炭素溶解水11cとして回収することができる。
【0026】
二次空気供給弁23を切り替え操作することで、二次空気をルーツブロワ12に供給して乾燥運転ができるので、装置の耐久性が向上する。
【0027】
二酸化炭素回収タンク11の底部で中和された二酸化炭素溶解水11cを、アルカリ溶液タンク13を経て、二酸化炭素溶解水供給ライン22を通って曝気槽15に送り、ここで水処理を施し、一定の水質にして河川等に放流できる。
【0028】
空気導入口11aから二酸化炭素回収タンク11内に吸引され、タンク11内で二酸化炭素がアルカリ溶液13aに溶解して除去された空気を、圧力ライン18を介して曝気槽15の散気管15aに送ることができるので、効率的に曝気槽15の処理水の溶存酸素DO値を上昇させることができる。
【0029】
二酸化炭素回収タンク11内に吸引された空気とアルカリ溶液13aとの接触面積が増大し、空気中の二酸化炭素をより効率的にアルカリ溶液13a中に溶解せさて回収することができる。
【符号の説明】
【0030】
10…二酸化炭素回収装置
11…二酸化炭素回収タンク
11a…空気導入口
11c…二酸化炭素溶解水
12…ルーツブロワ
13…アルカリ溶液タンク
13a…アルカリ溶液
14…二流体ノズル
15…曝気槽
15a…散気管
16…ポンプ
17…吸込ライン
18…圧力ライン
19…吸上げライン
20…二酸化炭素溶解水回収ライン
21…電磁弁
22…二酸化炭素溶解水供給ライン
23…二次空気供給弁
24…ドレンバルブ
25…Do計
26…pH計
図1