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特開2022-191712機器管理装置、機器管理システム、機器管理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191712
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】機器管理装置、機器管理システム、機器管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20120101AFI20221221BHJP
   G16Y 20/40 20200101ALI20221221BHJP
   F25D 23/00 20060101ALN20221221BHJP
【FI】
G06Q10/04
G16Y20/40
F25D23/00 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100103
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】宇於崎 哲史
(72)【発明者】
【氏名】小松 正之
(72)【発明者】
【氏名】小泉 吉秋
【テーマコード(参考)】
3L345
5L049
【Fターム(参考)】
3L345AA02
3L345AA24
3L345AA26
3L345EE13
3L345EE31
3L345EE45
3L345EE47
3L345EE53
3L345HH01
3L345HH34
3L345HH42
3L345JJ05
3L345JJ17
3L345JJ27
3L345KK01
3L345KK02
5L049AA04
(57)【要約】
【課題】ユーザの調理に関する傾向に応じてユーザの生活を支援する。
【解決手段】機器管理装置10は、開閉情報取得部12と、推論部15とを備える。開閉情報取得部12は、冷蔵庫のドアの開閉に関する開閉情報を取得する。推論部15は、冷蔵庫のドアの開閉と冷蔵庫のユーザの調理に関する傾向との関係を学習した学習済モデルに基づいて、開閉情報からユーザの調理に関する傾向を推論する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫のドアの開閉に関する開閉情報を取得する開閉情報取得手段と、
前記冷蔵庫のドアの開閉と前記冷蔵庫のユーザの調理に関する傾向との関係を学習した学習済モデルに基づいて、前記開閉情報から前記ユーザの調理に関する傾向を推論する推論手段と、
を備える機器管理装置。
【請求項2】
前記推論手段により推論された前記ユーザの調理に関する傾向に基づいて、調理に関する情報を前記ユーザに提供する情報提供手段をさらに備える、
請求項1に記載の機器管理装置。
【請求項3】
前記調理に関する情報は、前記ユーザの健康維持に関する情報を含む、
請求項2に記載の機器管理装置。
【請求項4】
前記情報提供手段は、前記ユーザの調理に関する傾向と、前記ユーザがあらかじめ入力した情報とに基づいて、調理に関する情報を前記ユーザに提供する、
請求項2に記載の機器管理装置。
【請求項5】
前記推論手段により推論された前記ユーザの調理に関する傾向に基づいて前記冷蔵庫を制御する機器制御手段をさらに備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載の機器管理装置。
【請求項6】
前記開閉情報は、ドアが開かれた回数を示す情報と、ドアが開かれている時間を示す情報と、ドアが開かれた時刻を示す情報とのうち少なくとも1つを含む、
請求項1から5のいずれか1項に記載の機器管理装置。
【請求項7】
前記開閉情報は、冷蔵室と冷凍室と野菜室と製氷室とのうち少なくとも1つの室のドアに関する情報を含む、
請求項1から6のいずれか1項に記載の機器管理装置。
【請求項8】
前記開閉情報取得手段は、前記冷蔵庫から取得したドアの開閉を示す信号に基づき、前記開閉情報を取得する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の機器管理装置。
【請求項9】
冷蔵庫と機器管理装置とを備え、
前記機器管理装置は、
前記冷蔵庫のドアの開閉に関する開閉情報を取得する開閉情報取得手段と、
前記冷蔵庫のドアの開閉と前記冷蔵庫のユーザの調理に関する傾向との関係を学習した学習済モデルに基づいて、前記開閉情報から前記ユーザの調理に関する傾向を推論する推論手段と、
を備える機器管理システム。
【請求項10】
冷蔵庫のドアの開閉に関する開閉情報を取得し、
前記冷蔵庫のドアの開閉と前記冷蔵庫のユーザの調理に関する傾向との関係を学習した学習済モデルに基づいて、前記開閉情報から前記ユーザの調理に関する傾向を推論する、
機器管理方法。
【請求項11】
コンピュータを、
冷蔵庫のドアの開閉に関する開閉情報を取得する開閉情報取得手段、
前記冷蔵庫のドアの開閉と前記冷蔵庫のユーザの調理に関する傾向との関係を学習した学習済モデルに基づいて、前記開閉情報から前記ユーザの調理に関する傾向を推論する推論手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機器管理装置、機器管理システム、機器管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫のドアの開閉に応じてユーザに情報を提供することによりユーザの生活を支援する技術が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、ユーザが開けた冷蔵庫のドアがどの室のドアであるかに基づいてユーザに提供する情報を決定するネットワークシステムが開示されている。特許文献1に記載のネットワークシステムは、例えばユーザが冷凍室のドアを開けたときには冷凍食品の広告をユーザに提供し、ユーザが野菜室のドアを開けたときには野菜の安売りの広告をユーザに提供する。特許文献1に記載のネットワークシステムによれば、ユーザが開けたドアに応じた広告を提供するので、ユーザの生活を支援することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-133045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のネットワークシステムは、ユーザが開けたドアの室に対応して広告を提供するのみであるため、ユーザの生活の支援において不足がある。
【0006】
例えば、冷凍室のドアを頻繁に開閉する一方で野菜室のドアをあまり開閉しないユーザは、冷凍食品による時短調理をするユーザである可能性が高い。このユーザがたまたま野菜室のドアを開けたときにも、特許文献1に記載のネットワークシステムは、野菜の安売りの広告をユーザに提供する。しかし、このユーザにとっては、野菜の安売りの広告よりも冷凍食品の広告のほうが有用である可能性が高い。
【0007】
特許文献1に記載のネットワークシステムは、ユーザの調理に関する傾向を把握することなく広告を提供するものであることから、上記の問題が生じる。
【0008】
本開示の目的は、上記の事情に鑑み、ユーザの調理に関する傾向に応じてユーザの生活を支援できる機器管理装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本開示に係る機器管理装置は、
冷蔵庫のドアの開閉に関する開閉情報を取得する開閉情報取得手段と、
前記冷蔵庫のドアの開閉と前記冷蔵庫のユーザの調理に関する傾向との関係を学習した学習済モデルに基づいて、前記開閉情報から前記ユーザの調理に関する傾向を推論する推論手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ユーザの調理に関する傾向に応じてユーザの生活を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施の形態に係る機器管理システムの全体構成を示す図
図2】本開示の実施の形態に係る機器管理装置の機能的構成を示す図
図3】本開示の実施の形態に係る開閉情報の一例を示す図
図4】本開示の実施の形態におけるドア開閉傾向とユーザ像と調理に関する傾向との相関の一例を示す図
図5】本開示の実施の形態に係る端末装置に表示される情報の一例を示す図
図6】本開示の実施の形態に係る端末装置に表示される情報の一例を示す図
図7】本開示の実施の形態に係る学習装置による学習フェーズを示す図
図8】本開示の実施の形態に係る機器管理装置による推論フェーズを示す図
図9】本開示の実施の形態に係る冷蔵庫の機能的構成を示す図
図10】本開示の実施の形態に係る機器管理装置のハードウェア構成の一例を示す図
図11】本開示の実施の形態に係る機器管理装置による生活支援の動作の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施の形態に係る機器管理システムを説明する。各図面においては、同一又は同等の部分に同一の符号を付す。
【0013】
(実施の形態)
図1を参照しながら、実施の形態に係る機器管理システム1を説明する。機器管理システム1は、機器管理装置10と学習装置20と冷蔵庫30と端末装置40とを備える。機器管理システム1は、冷蔵庫30のドアの開閉に基づいて冷蔵庫30のユーザの調理に関する傾向を推論し、推論した調理の傾向に基づいてユーザの生活を支援する機器管理システムである。機器管理装置10は、インターネットNTを介して冷蔵庫30及び端末装置40と通信する。機器管理装置10と学習装置20とは互いに通信可能に接続されている。機器管理システム1は、本開示に係る機器管理システムの一例である。
【0014】
機器管理装置10は、例えば冷蔵庫30の製造者が運用するクラウドサーバである。機器管理装置10は、冷蔵庫30のドアの開閉に関する開閉情報からユーザの調理に関する傾向を推論する。具体的には、機器管理装置10は、学習装置20が開閉情報と調理に関する傾向を示す調理傾向情報とに基づいて生成した学習済モデルに基づいて、開閉情報からユーザの調理に関する傾向を推論する。機器管理装置10は、推論したユーザの調理に関する傾向に基づいて、ユーザに最適となるような調理に関する情報を提供する、冷蔵庫30を制御するなどしてユーザの生活を支援する。機器管理装置10の機能的構成については後述する。機器管理装置10は、本開示に係る機器管理装置の一例である。なお、機器管理装置10は、冷蔵庫30の製造者の代わりに、生活支援に関するサービス業者が運用するクラウドサーバでもよい。
【0015】
学習装置20は、例えば冷蔵庫30の製造者が機器管理装置10と同一のネットワーク上で運用するクラウドサーバである。なお、学習装置20は機器管理装置10と同一のネットワーク上に設置されていなくてもよい。つまり、学習装置20は、インターネットNTを介して機器管理装置10と通信するものであってもよい。学習装置20は、冷蔵庫30のドアの開閉に関する開閉情報と、ユーザの調理に関する傾向を示す調理傾向情報とに基づいて、開閉情報からユーザの調理に関する傾向を推論するための学習済モデルを機械学習により生成する。
【0016】
学習装置20による学習及び機器管理装置10による推論の詳細は後述する。
【0017】
冷蔵庫30は、インターネットNTを介して機器管理装置10と通信可能な冷蔵庫である。冷蔵庫30は、冷蔵室、冷凍室、野菜室などの各室のドアの開閉に関する情報を示す開閉情報を機器管理装置10に送信する。冷蔵庫30は、機器管理装置10から冷蔵庫30自身の制御に関する電文を受信し、受信した電文に応じて冷蔵庫30自身を制御する。冷蔵庫30の機能的構成については後述する。冷蔵庫30は、本開示に係る冷蔵庫の一例である。
【0018】
端末装置40は、冷蔵庫30のユーザが所有する端末装置である。端末装置40は、例えば冷蔵庫30のユーザが携帯するスマートフォン、タブレット端末などの携帯可能な端末装置である。端末装置40は、インターネットNTを介して機器管理装置10と通信する。端末装置40は、機器管理装置10から調理に関する情報を受信して表示することにより、ユーザに調理に関する情報を提供する。端末装置40のユーザは、必要に応じて端末装置40が表示した画面に対して操作をすることにより、インターネットNTを介して冷蔵庫30を制御できる。端末装置40が直接冷蔵庫30を制御するのではなく、端末装置40が操作に関する情報を機器管理装置10に送信し、機器管理装置10が操作に関する情報に基づいて冷蔵庫30に制御に関する電文を送信することにより、端末装置40のユーザは冷蔵庫30を制御することができる。
【0019】
次に、図2を参照しながら、機器管理装置10の機能的構成を説明する。機器管理装置10は、通信部11と開閉情報取得部12とモデル取得部13とモデル記憶部14と推論部15と情報提供部16と機器制御部17とを備える。
【0020】
通信部11は、インターネットNTを介して冷蔵庫30及び端末装置40と通信する。通信部11は学習装置20と通信する。通信部11は、例えばネットワークインタフェースにより実現される。
【0021】
開閉情報取得部12は、通信部11を介して冷蔵庫30からドアの開閉に関する開閉情報を取得する。開閉情報取得部12は、本開示に係る開閉情報取得手段の一例である。
【0022】
開閉情報は、例えば図3に示すものとなる。図3に示す例では、開閉情報は、1日あたりのドアが開かれている時間を各室ごとに一週間分蓄積したものを含む。図3に示す例のほか、開閉情報は、ドアが開かれた回数、ドアが開かれた時刻などを含むものであってもよい。
【0023】
図3に示す例では、冷蔵室のドアが開かれている時間が最も長く、冷凍室のドア及び野菜室のドアが開かれている時間が冷蔵室のドアが開かれている時間の数割程度であり、製氷室のドアとチルド室のドアはほとんど開かれていない。この例において、ユーザの調理傾向として、例えば冷蔵保存した惣菜を多用し、冷凍食品と野菜の使用はやや控えめであることが想定される。
【0024】
再び図2を参照する。モデル取得部13は、通信部11を介して学習装置20から学習済モデルを取得してモデル記憶部14に保存する。モデル記憶部14は、モデル取得部13が取得した学習済モデルを保存する。モデル記憶部14に保存される学習済モデルは、学習装置20により生成された、開閉情報からユーザの調理に関する傾向を推論するための学習済モデルである。モデル取得部13は、例えば一週間ごとに学習装置20から学習済モデルを取得する。
【0025】
推論部15は、モデル記憶部14に保存された学習済モデルに基づいて、開閉情報取得部12が取得した開閉情報から冷蔵庫30のユーザの調理に関する傾向を推論する。以下に説明するように、冷蔵庫30のドアの開閉と、ユーザの調理に関する傾向との間には相関があるため、開閉情報からユーザの調理に関する傾向を推論することができる。推論部15は、推論したユーザの調理に関する傾向を示す調理傾向情報を情報提供部16及び機器制御部17に出力する。推論部15は、本開示に係る推論手段の一例である。
【0026】
図4を参照しながら、ドアの開閉と調理に関する傾向との間に相関があることを説明する。図4に示す例は、ドアの開閉傾向と、ドアの開閉傾向から想定されるユーザ像と、想定されるユーザ像の調理に関する傾向との相関を示す例である。例えば、ドアの開閉傾向が、冷凍室の開時間が長く野菜室及びチルド室の開時間が短い場合、図4に示すとおり、冷凍食品を活用する、料理を作り置き、まとめ炊き等して冷凍保存するなど、調理の時短、効率化の意識が高いユーザ像が想定できる。そのため、この場合における調理に関する傾向は「効率重視」であるといえる。図4に示すその他の例についても同様に、ドア開閉傾向からユーザ像を想定でき、調理に関する傾向を求めることができる。したがって、ドアの開閉と調理に関する傾向との間には相関があるといえる。
【0027】
以上より、ドアの開閉と調理に関する傾向との間には相関があるので、学習装置20による学習フェーズにおいて、開閉情報と調理傾向情報とを入力として学習することにより、開閉情報からユーザの調理に関する傾向を推論するための学習済モデルを生成できる。
【0028】
再び図2を参照する。情報提供部16は、推論部15が推論したユーザの調理に関する傾向に基づいて、ユーザに調理に関する情報を提供する。具体的には、情報提供部16は、推論部15が出力した調理傾向情報に基づいてユーザに提供すべき調理に関する情報を決定する。情報提供部16は、調理に関する情報を端末装置40に送信することにより、端末装置40を介して調理に関する情報をユーザに提供する。情報提供部16が調理に関する情報をユーザに提供することにより、機器管理装置10及び機器管理システム1は、ユーザの生活を支援できる。情報提供部16は、本開示に係る情報提供手段の一例である。
【0029】
図5及び図6を参照しながら、情報提供部16により提供され端末装置40に表示される、調理に関する情報の一例を説明する。図5に示す例は、「茄子の煮びたし」を夕飯に推奨する情報を、調理に関する情報としてユーザに提供する例である。「茄子の煮びたし」は調理に若干の手間がかかること、低カロリーかつ食物繊維が豊富であることなどから、図4でいうところの「栄養バランス重視」の傾向のユーザに好適である。そのため、情報提供部16は、推論部15が出力した調理傾向情報が「栄養バランス重視」を示すものであるときのみ、「茄子の煮びたし」を夕飯に推奨する情報を調理に関する情報としてユーザに提供する。調理傾向情報が「効率重視」を示すものであるとき、情報提供部16は、例えば生食可能かつ栄養も豊富なトマトを付け合わせとして推奨する情報を、調理に関する情報としてユーザに提供する。図5にも示すとおり、ユーザに提供する調理に関する情報は、ユーザの健康維持に関する情報を含んでもよい。また、例えばユーザの調理に関する傾向が「自炊頻度低」であるとき、情報提供部16は、他の傾向の場合よりも積極的にユーザの健康維持に関する情報を提供してもよい。調理に関する傾向が「自炊頻度低」であるユーザは、栄養バランスを欠く食事の頻度が高いことが想定されるからである。このように、ユーザに推奨メニューを提示することで、ユーザの生活を支援することができる。
【0030】
図6に示す例は、冷凍室の位置の変更を問い合わせる情報を、調理に関する情報としてユーザに提供する例である。図6に示す例は、例えば冷凍室のドアの開時間が長いときに表示されうる。図4に示すとおり、冷凍室のドアの開時間が長いとき、冷蔵庫30のユーザは冷凍した食品を活用した調理が多い「効率重視」の傾向にあることから、情報提供部16は、開閉の効率がよい中段の室を冷凍室としてよいかを問い合わせる情報をユーザに提供する。ユーザは、端末装置40の操作により、冷凍室の位置の変更を許可または拒否できる。ユーザが冷凍室の位置の変更を許可した場合、後述の機器制御部17が室の機能変更を示す電文を冷蔵庫30に送信することにより、冷凍室の位置が図6に示すものへと変更される。このように、ユーザに冷蔵庫の各室の使い方を提示することで、ユーザの生活を支援することができる。
【0031】
再び図2を参照する。機器制御部17は、推論部15が推論したユーザの調理に関する傾向に基づいて冷蔵庫30を制御する。具体的には、機器制御部17は、推論部15が出力した調理傾向情報に基づいて、冷蔵庫30を制御するための電文を、通信部11を介して冷蔵庫30に送信する。当該電文を受信した冷蔵庫30は、当該電文の内容に基づいて冷蔵庫30自身を制御する。例えば調理傾向情報が「自炊頻度低」を示すとき、飲料を冷やすための氷が必要になる可能性がやや高くなることが想定されるので、現在が夏であるならば、機器制御部17は製氷室を重点的に冷却するように冷蔵庫30を制御することが考えられる。機器制御部17が冷蔵庫30を制御することにより、機器管理装置10及び機器管理システム1は、ユーザの生活を支援できる。機器制御部17は、本開示に係る機器制御手段の一例である。このように、ユーザに応じて冷蔵庫内の制御を変更することで、ユーザの生活を支援することができる。
【0032】
なお、機器制御部17は、情報提供部16が調理傾向情報に基づいて提供した調理に関する情報に対するユーザの応答に基づいて冷蔵庫30を制御する。例えば図6に示す例がこれに該当する。この場合も、提供された調理に関する情報が、推論部15が推論したユーザの調理に関する傾向に基づくものであるため、機器制御部17は、推論部15が推論したユーザの調理に関する傾向に基づいて冷蔵庫30を制御することとなる。
【0033】
次に、図7を参照しながら、学習装置20による学習フェーズを説明する。学習フェーズにより機器管理装置10の推論部15にて使用される学習済モデルが生成される。学習装置20は、モデル生成部21とモデル記憶部22とを備える。モデル生成部21は、冷蔵庫のドアの開閉に関する開閉情報と、ユーザの調理に関する傾向を示す調理傾向情報とに基づいて、開閉情報からユーザの調理に関する傾向を推論するための学習済モデルを機械学習により生成する。モデル記憶部22は、モデル生成部21が生成した学習済モデルを保存する。機器管理装置10のモデル取得部13は、学習装置20のモデル記憶部22に保存された学習済モデルを取得する。
【0034】
モデル生成部21に入力される開閉情報は、冷蔵庫30そのものから取得された実際の開閉情報でなくてもよい。どのタイプの冷蔵庫であっても、ドアの開閉傾向とユーザの調理に関する傾向との相関は概ね同様となることが想定されるからである。また、開閉情報は、実際に冷蔵庫から取得された情報でなく、人為的に生成された情報であってもよい。例えば、冷凍室の開時間が長くなっている開閉情報、野菜室の開時間が長くなっている開閉情報などを人為的に生成してもよい。
【0035】
モデル生成部21に入力される調理傾向情報は、例えば開閉情報に対して人手でラベリングされたラベルである。例えばモデル生成部21に入力される開閉情報が、冷凍室の開時間が長く、野菜室及びチルド室の開時間が短いものであるとき、図4に基づいて、人手で「効率重視」のラベルが当該開閉情報に対してラベリングされる。なお、ラベリングするにあたって、予めモデル生成部21に入力される開閉情報をクラスタリングによりグループ分けしてもよい。開閉情報をクラスタリングしておくことにより、人手によるラベリングの精度を向上できる。
【0036】
次に、図8を参照しながら、機器管理装置10による推論フェーズを説明する。前述のとおり、機器管理装置10の推論部15は、モデル記憶部14に保存された学習済モデルに基づいて、開閉情報取得部12が取得した開閉情報からユーザの調理に関する傾向を推論する。推論部15は、推論した調理に関する傾向を示す調理傾向情報を情報提供部16及び機器制御部17に出力する。
【0037】
次に、図9を参照しながら、冷蔵庫30の機能的構成を説明する。冷蔵庫30は、通信部31と制御部32とメインユニット33と開閉センサ34と開閉情報記憶部35とを備える。
【0038】
通信部31は、インターネットNTを介して機器管理装置10と通信する。通信部31は、例えばネットワークインタフェースにより実現される。
【0039】
制御部32は、冷蔵庫30を統括制御する。制御部32は、メインユニット33を制御する。制御部32は、開閉センサ34からドアの開閉を示す信号を受信する。制御部32は、開閉センサ34から受信したドアの開閉を示す信号に基づいて開閉情報を生成して開閉情報記憶部35に保存する。制御部32は、通信部31が機器管理装置10から冷蔵庫30の制御を示す電文を受信したとき、当該電文の内容に基づいてメインユニット33を制御する。
【0040】
メインユニット33は、コンプレッサ、庫内照明、温度センサなど、冷蔵庫30の主要な機器を含む。メインユニット33が制御部32に制御に基づいて動作することにより、冷蔵、冷凍など冷蔵庫の基本的な機能を実現できる。
【0041】
開閉センサ34は、冷蔵庫30の各ドアに設けられた、ドアの開閉を検知するセンサである。開閉センサ34は、ドアの開状態又は閉状態を示す信号を制御部32に出力する。
【0042】
開閉情報記憶部35は、制御部32が生成した開閉情報を保存する。開閉情報記憶部35に保存される開閉情報は、例えば前述の図3に示すものとなる。
【0043】
次に、機器管理装置10のハードウェア構成の一例について、図10を参照しながら説明する。図10に示す機器管理装置10は、例えばパーソナルコンピュータ、マイクロコントローラなどのコンピュータにより実現される。
【0044】
機器管理装置10は、バス1000を介して互いに接続された、プロセッサ1001と、メモリ1002と、インタフェース1003と、二次記憶装置1004と、を備える。
【0045】
プロセッサ1001は、例えばCPU(Central Processing Unit:中央演算装置)である。プロセッサ1001が、二次記憶装置1004に記憶された動作プログラムをメモリ1002に読み込んで実行することにより、機器管理装置10の各機能が実現される。
【0046】
メモリ1002は、例えば、RAM(Random Access Memory)により構成される主記憶装置である。メモリ1002は、プロセッサ1001が二次記憶装置1004から読み込んだ動作プログラムを記憶する。また、メモリ1002は、プロセッサ1001が動作プログラムを実行する際のワークメモリとして機能する。
【0047】
インタフェース1003は、例えばシリアルポート、USB(Universal Serial Bus)ポート、ネットワークインタフェースなどのI/O(Input/Output)インタフェースである。インタフェース1003により通信部11の機能が実現される。
【0048】
二次記憶装置1004は、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)である。二次記憶装置1004は、プロセッサ1001が実行する動作プログラムを記憶する。二次記憶装置1004によりモデル記憶部14の機能が実現される。
【0049】
次に、図11を参照しながら、機器管理装置10による生活支援の動作の一例を説明する。図11に示す動作は、例えば午前6時、午後5時など、朝食及び夕食の準備が行われることが想定される時刻に開始される。
【0050】
機器管理装置10の開閉情報取得部12は、冷蔵庫30から開閉情報を取得する(ステップS101)。
【0051】
機器管理装置10の推論部15は、モデル記憶部14に保存された学習済モデルに基づいて、ステップS101にて取得した開閉情報からユーザの調理に関する傾向を推論する(ステップS102)。推論部15は、推論した調理に関する傾向を示す調理傾向情報を機器管理装置10の情報提供部16及び機器制御部17に出力する。
【0052】
情報提供部16は、ステップS102にて推論されたユーザの調理に関する傾向に基づいて、調理に関する情報を提供する(ステップS103)。この動作の結果、例えば図5あるいは図6に示す画面が端末装置40に表示される。
【0053】
機器制御部17は、ステップS102にて推論されたユーザの調理に関する傾向に基づいて冷蔵庫30を制御する(ステップS104)。そして機器管理装置10は、生活支援の動作を終了する。
【0054】
以上、実施の形態に係る機器管理システム1を説明した。機器管理システム1の機器管理装置10によれば、学習済モデルに基づいて、冷蔵庫30のドアの開閉に関する開閉情報からユーザの調理に関する傾向を推論する。そのため、機器管理装置10による情報提供及び冷蔵庫30の制御が可能となり、ユーザの調理に関する傾向に応じてユーザの生活を支援することができる。
【0055】
(変形例)
実施の形態において、ドア開閉情報は、予め定められた期間内における、全ドアの開時間の総計に対する各ドアの開時間の割合を示す情報を含んでもよい。また、開時間でなくドアの開閉回数を採用してもよい。また、割合そのものではなく当該割合を大きい順に並べたときの順位を採用してもよい。順位を採用することにより、1位だけ極端に大きな割合となっている場合であっても、2位以下のドアの開時間が十分に反映された推論が可能となる。
【0056】
また、図3に示すドアの開閉情報は、冷蔵庫30が作成する代わりに、開閉情報取得部12が作成してもよい。この場合、冷蔵庫30の各室の開閉センサ34が出力したドアの開状態又は閉状態を示す信号は、通信部31を介して機器管理装置10に送信される。そして、機器管理装置10内の開閉情報取得部12が、通信部11を介してドアの開閉を示す信号を取得し、ドアの開閉回数、開時間、開閉時刻情報を生成する。これにより、冷蔵庫30の機能を簡素化することができる。
【0057】
また、端末装置40は、冷蔵庫30が備える表示部でもよく、冷蔵庫30が設置された家屋に設置されたテレビでもよい。冷蔵庫30の前にいる在宅中のユーザは、他の場所にいるときよりも調理に関する興味及び意識が相対的に強い状態であることが予想されるため、図5に示すような推奨メニューを冷蔵庫30が備える表示部、テレビなどに表示することで、ユーザは推奨メニューを十分検討することができる。また、冷蔵庫30の表示部を用いて、図6に示すような冷凍室位置変更の問い合わせ及び位置変更の許可の受付をすることで、冷凍室の位置制御と、位置変更に対応してユーザが行う食材の入れ替え作業とを適切なタイミングで行うことができる。
【0058】
また、機器管理装置10における情報提供部16は、推論部15が推論したユーザの調理に関する傾向に基づいて、調理に関する情報、例えばメニュー、冷蔵庫内の各室の変更などをユーザに提供していたが、ユーザの調理に関する傾向に加えて、ユーザが入力した情報も用いてもよい。例えば、ユーザが、好きな食材、使いたい食材などを機器管理装置10に登録する(言い換えれば、ユーザが、好きな食材、使いたい食材などを端末装置40を介して機器管理装置10に送信するとともに機器管理装置10が記憶する)。そして、情報提供部16がユーザにメニューを提供する際に、ユーザの調理に関する傾向とユーザの好きな食材に関する情報とを用いてメニューを提示してもよい。また、ユーザが食べた食事を登録し、情報提供部16がユーザの調理に関する傾向と最近の数日間の食事に関する情報とを用いてメニューを提示してもよい。ユーザが調理に関する情報を登録することで、さらにユーザに適した調理に関する情報を提供することができる。
【0059】
実施の形態において、機器管理装置10と学習装置20は別個の装置とし、学習フェーズと推論フェーズとがそれぞれ別個に行われていたが、機器管理装置10が学習装置20の学習機能を備え、機器管理装置10が学習フェーズと推論フェーズとの両方を行うものであってもよい。つまり、図1において機器管理装置10と学習装置20を統合して1つの機器管理装置10としてもよい。
【0060】
図10に示すハードウェア構成においては、機器管理装置10が二次記憶装置1004を備えている。しかし、これに限らず、二次記憶装置1004を機器管理装置10の外部に設け、インタフェース1003を介して機器管理装置10と二次記憶装置1004とが接続される形態としてもよい。この形態においては、USBフラッシュドライブ、メモリカードなどのリムーバブルメディアも二次記憶装置1004として使用可能である。
【0061】
また、図10に示すハードウェア構成に代えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いた専用回路により機器管理装置10を構成してもよい。また、図10に示すハードウェア構成において、機器管理装置10の機能の一部を、例えばインタフェース1003に接続された専用回路により実現してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 機器管理システム、10 機器管理装置、11 通信部、12 開閉情報取得部、13 モデル取得部、14 モデル記憶部、15 推論部、16 情報提供部、17 機器制御部、20 学習装置、21 モデル生成部、22 モデル記憶部、30 冷蔵庫、31 通信部、32 制御部、33 メインユニット、34 開閉センサ、35 開閉情報記憶部、40 端末装置、1000 バス、1001 プロセッサ、1002 メモリ、1003 インタフェース、1004 二次記憶装置、NT インターネット。
図1
図2
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図5
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図10
図11