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特開2022-191716UV硬化性シリコーン組成物及びその硬化物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191716
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】UV硬化性シリコーン組成物及びその硬化物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/07 20060101AFI20221221BHJP
   C08K 5/37 20060101ALI20221221BHJP
   C08K 5/36 20060101ALI20221221BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20221221BHJP
   C08K 5/04 20060101ALI20221221BHJP
   C08G 75/045 20160101ALI20221221BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
C08L83/07
C08K5/37
C08K5/36
C08K5/13
C08K5/04
C08G75/045
C09K3/10 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021100108
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】520070769
【氏名又は名称】デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ヘ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】竹内 絢哉
(72)【発明者】
【氏名】大塚 陸人
【テーマコード(参考)】
4H017
4J002
4J030
【Fターム(参考)】
4H017AA04
4H017AB15
4H017AC08
4H017AD06
4H017AE05
4J002CP121
4J002CP131
4J002CP141
4J002EE037
4J002EE047
4J002EE057
4J002EH077
4J002EJ017
4J002EJ027
4J002EJ037
4J002EJ047
4J002EJ067
4J002EL077
4J002EN077
4J002EN107
4J002ES007
4J002EU047
4J002EU077
4J002EU187
4J002EV066
4J002EV067
4J002EV076
4J002EV077
4J002EV317
4J002EW067
4J002EW127
4J002EW147
4J002FD146
4J002GJ02
4J030BA03
4J030BA04
4J030BB07
4J030BC33
4J030BC43
4J030BF07
4J030BG09
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、組成物のゲル化を抑えることができる、少なくとも1つのメルカプト官能性化合物を含むUV硬化性シリコーン組成物を提供することにある。本発明の別の目的は、透明な硬化したシリコーン硬化物を生成できる、少なくとも1つのメルカプト官能性化合物を含むUV硬化性シリコーン組成物を提供することにある。
【解決手段】(A)一分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を有する、少なくとも1つのオルガノポリシロキサン;
(B)一分子当たり少なくとも2つのチオール基を有する、少なくとも1つのメルカプト官能性化合物;
(C)少なくとも1つの光重合開始剤;及び
(D)(d-1)少なく1つのアルコキシル化ポリオール由来(メタ)アクリレート又は少なくとも1つのキノン誘導体化合物を含む重合阻害剤、及び/又は(d-2)少なくとも1つの酸化防止剤;を含み、
(i)分子内水素引き抜き型光重合開始剤から選択される前記(C)光重合開始剤を含むか、又は
(ii)前記(d-1)重合阻害剤を含む、UV硬化性シリコーン組成物により、上記課題を解決する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を有する、少なくとも1つのオルガノポリシロキサン;
(B)一分子当たり少なくとも2つのチオール基を有する、少なくとも1つのメルカプト官能性化合物;
(C)少なくとも1つの光重合開始剤;及び
(D)(d-1)少なく1つのアルコキシル化ポリオール由来(メタ)アクリレート又は少なくとも1つのキノン誘導体化合物を含む重合阻害剤、及び/又は(d-2)少なくとも1つの酸化防止剤;を含み、
(i)分子内水素引き抜き型光重合開始剤から選択される前記(C)光重合開始剤を含むか、又は
(ii)前記(d-1)重合阻害剤を含む、UV硬化性シリコーン組成物。
【請求項2】
前記(B)メルカプト官能性化合物が、1級又は2級チオール基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(B)メルカプト官能性化合物が、ジチオール化合物を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記(C)光重合開始剤が、分子内水素引き抜き型又はオキシエトキシフェニルアセチル誘導体を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記(B)メルカプト官能性化合物が、組成物の総重量に基づいて、3重量%以上50重量%以下の量で存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記(d-2)酸化防止剤が、ヒンダードフェノール系酸化防止剤及び/又はチオエステル酸化防止剤を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のUV硬化性シリコーン組成物により形成された、封止剤又はシートフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UV硬化性シリコーン組成物及びその硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
硬化性シリコーン組成物は、優れた耐熱性、耐寒性、電気絶縁性、耐候性、撥水性、及び透明性を有する硬化物を形成することから、幅広い産業分野で利用されている。こうした硬化性シリコーン組成物の硬化物は、他の有機材料と比較し変色しにくく、また、物理的物性の低下が小さいため、光学材料および半導体装置の封止剤としても適している。
【0003】
硬化性シリコーン組成物の中でも、UV硬化性シリコーン組成物は、硬化性シリコーン組成物の加熱に起因する問題を回避できるため、いくつかの製品で用いられている。UV硬化性シリコーン組成物において、硬化物に高い硬度をもたらすことができるため、メルカプト官能性化合物が配合される。
【0004】
これまで、メルカプト官能性化合物を含むUV硬化性シリコーン組成物のいくつかの出願が公開されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、組成物であって、(A)単位式[(CHSiO1/2[(CHSiO][R(CH)SiO]を有し、式中、xは約0.01~約0.1であり、yは約0~約0.94であり、zは約0.05~約0.99であり、Rはそれぞれ独立してメルカプト(C1~30)ヒドロカルビル基である、メルカプト官能性ポリオルガノシロキサン;(B)(B1)少なくとも2個の脂肪族不飽和炭素-炭素結合を含むポリオルガノシロキサン、及び(B2)少なくとも2個の脂肪族不飽和炭素-炭素結合を含む有機分子のうちの少なくとも1つ;(C)充填剤;並びに(D)光開始剤;を含み、前記組成物が剪断薄化性かつUV硬化性である組成物が記載されている。
【0006】
また、引用文献2には、(A)少なくとも1つの脂肪族不飽和基を含有する特定の直鎖状ポリオルガノシロキサン;(B)23℃における粘度が10~10,000cPである、ケイ素原子に結合するメルカプトアルキル基を含有するポリオルガノシロキサン;(C)2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキシド及びビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキシドからなる群より選ばれるアシルフォスフィンオキシド化合物;並びに(D)3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルベンゼンプロピオン酸のC~Cアルキルエステルからなる群より選ばれるベンゾトリアゾール化合物;並びに(E)ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート及びメチル-1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケートからなる群より選ばれるヒンダードアミン化合物を含み、ここで、成分(A)中の脂肪族不飽和基数に対する、成分(B)中のメルカプトアルキル基の個数の比が、0.1~10であり、成分(A)~(E)の合計100重量%中、成分(C)が0.08~0.25重量%であり、成分(D)が0.5~5.0重量%であり、成分(E)が0.1~0.5重量%である、紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物が記載されている。
【0007】
また、特許文献3には、少なくとも1つのアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン100質量部と、(B)分子中に少なくとも2つのエーテル結合及び少なくとも1つの脂肪族炭素-炭素二重結合を有する有機化合物3~30質量部と、(C)分子中に少なくとも2つのチオール基を有する化合物であって、本成分中の前記チオール基の量が、本組成物中の全脂肪族炭素-炭素二重結合1mol当たり0.2~2.0molである量の化合物と、(D)リン原子を有する光ラジカル開始剤0.05~1.0質量部と、(E)ヒンダードフェノール化合物0.001~1.0質量部と、を含む、硬化性シリコーン組成物が記載されている。
【0008】
また、特許文献4には、(A)23℃における粘度が50~100,000mPa・sであり、一分子中、炭素数2~12のアルケニル基を少なくとも2個有し、メルカプトアルキル基を有さない直鎖状オルガノポリシロキサン、(B)23℃における粘度が10~10,000mPa・sであり、一分子中、メルカプトアルキル基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン{(A)成分中のアルケニル基1モルに対して、本成分中のメルカプトアルキル基が0.2~3モルとなる量}、(C)式:RSiO3/2(式中、Rは、炭素数1~12のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基、水酸基、または炭素数1~6のアルコキシ基である。)で表されるシロキサン単位および/または式:SiO4/2で表されるシロキサン単位を含み、(C)成分中の全シロキサン単位に対する式:RSiO3/2で表されるシロキサン単位および式:SiO4/2で表されるシロキサン単位のモル比が少なくとも0.5であり、アルケニル基およびメルカプトアルキル基を有さない分岐鎖状オルガノポリシロキサン、(D)リン原子を含有する光ラジカル開始剤、および(E)ヒンダードフェノール化合物を含み、(A)成分~(E)成分の合計100質量部に対して、(C)成分の含有量が25~80質量部であり、(D)成分の含有量が0.01~1.0質量部であり、(E)成分の含有量が0.001~1.0質量部である光硬化性液状シリコーン組成物が記載されている。
【0009】
しかしながら、メルカプト官能性化合物を含むUV硬化性シリコーン組成物において、メルカプト官能性化合物は一般的に反応性が高いため、重合反応プロセスを開始する前に、組成物のゲル化が起こり得るという問題点がある。さらに、組成物のUV硬化中に着色が起こり得るという問題点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許公報第9,732,239号
【特許文献2】特許公開公報第2019-167544号
【特許文献3】国際公開公報WO2017/155919
【特許文献4】米国特許公開公報第2020/0032111号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、組成物のゲル化を抑えることができる、少なくとも1つのメルカプト官能性化合物を含むUV硬化性シリコーン組成物を提供することにある。
【0012】
本発明の別の目的は、透明な硬化したシリコーン硬化物を生成できる、少なくとも1つのメルカプト官能性化合物を含むUV硬化性シリコーン組成物を提供することにある。
【0013】
本発明のさらに別な目的は、組成物のゲル化を抑えることができ、且つ、透明な硬化したシリコーン硬化物を生成できる、少なくとも1つのメルカプト官能性化合物を含むUV硬化性シリコーン組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記本発明の目的は、
(A)一分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を有する、少なくとも1つのオルガノポリシロキサン;
(B)一分子当たり少なくとも2つのチオール基を有する、少なくとも1つのメルカプト官能性化合物;
(C)少なくとも1つの光重合開始剤;及び
(D)(d-1)少なく1つのアルコキシル化ポリオール由来(メタ)アクリレート又は少なくとも1つのキノン誘導体化合物を含む重合阻害剤、及び/又は(d-2)少なくとも1つの酸化防止剤;を含み、
(i)分子内水素引き抜き型光重合開始剤から選択される前記(C)光重合開始剤を含むか、又は
(ii)前記(d-1)重合阻害剤を含む、UV硬化性シリコーン組成物により、達成できる。
【0015】
前記(B)メルカプト官能性化合物は、1級又は2級チオール基を含み得る。
【0016】
前記(B)メルカプト官能性化合物は、ジチオール化合物を含み得る。
【0017】
前記(C)光重合開始剤は、分子内水素引き抜き型又はオキシエトキシフェニルアセチル誘導体を含み得る。
【0018】
前記(B)メルカプト官能性化合物は、組成物の総重量に基づいて、3重量%以上50重量%以下の量で存在し得る。
【0019】
前記(d-2)酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤及び/又はチオエステル酸化防止剤を含み得る。
【0020】
本発明はまた、本発明のUV硬化性シリコーン組成物により形成された、封止剤又はシートフィルムに関する。
【発明の効果】
【0021】
本発明のUV硬化性シリコーン組成物は、組成物のゲル化を抑制することができ、及び/又は透明の硬化したシリコーン硬化物を生成できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
鋭意検討した結果、発明者らは、驚くべきことに、特定の光開始剤、特定の重合阻害剤、及び/又は酸化防止剤の組み合わせにより、少なくとも1つのメルカプト官能性化合物を含むUV硬化性シリコーン組成物のゲル化及び/又は着色を抑制できることを見出し、本発明を完成した。
【0023】
そのため、本発明に係る組成物は、
(A)一分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を有する、少なくとも1つのオルガノポリシロキサン;
(B)一分子当たり少なくとも2つのチオール基を有する、少なくとも1つのメルカプト官能性化合物;
(C)少なくとも1つの光重合開始剤;及び
(D)(d-1)少なく1つのアルコキシル化ポリオール由来(メタ)アクリレート又は少なくとも1つのキノン誘導体化合物を含む重合阻害剤、及び/又は(d-2)少なくとも1つの酸化防止剤;を含み、
(i)分子内水素引き抜き型光重合開始剤から選択される前記(C)光重合開始剤を含むか、又は
(ii)前記(d-1)重合阻害剤を含む、UV硬化性シリコーン組成物である。
【0024】
本発明の別の態様において、本発明に係る組成物は、
(A)一分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を有する、少なくとも1つのオルガノポリシロキサン;
(B)一分子当たり少なくとも2つのチオール基を有する、少なくとも1つのメルカプト官能性化合物;
(C)少なくとも1つの光重合開始剤;及び
(d-1)少なく1つのアルコキシル化ポリオール由来(メタ)アクリレート又は少なくとも1つのキノン誘導体化合物を含む重合阻害剤を含む、UV硬化性シリコーン組成物である。
【0025】
本発明の別の態様において、本発明に係る組成物は、
(A)一分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を有する、少なくとも1つのオルガノポリシロキサン;
(B)一分子当たり少なくとも2つのチオール基を有する、少なくとも1つのメルカプト官能性化合物;
(C)少なくとも1つの光重合開始剤;及び
(d-1)少なく1つのアルコキシル化ポリオール由来(メタ)アクリレート又は少なくとも1つのキノン誘導体化合物を含む重合阻害剤、及び(d-2)少なくとも1つの酸化防止剤を含む、UV硬化性シリコーン組成物である。
【0026】
この態様において、重合阻害剤は、好ましくはアルコキシル化ポリオール由来(メタ)アクリレートを含み、及び/又は酸化防止剤は、好ましくは、少なくとも2つのチオエステル基を含むヒンダードフェノール系酸化防止剤、すなわち、チオエステル酸化防止剤、例えば、BASF社からIRGANOX 1520Lの名称で入手できる、2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル)-o-クレゾールを含む。
【0027】
この態様において、(C)光重合開始剤の量は、組成物の総重量に基づいて、好ましくは0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは0.7重量%以上、さらにより好ましくは0.1重量%以上であることができ、及び5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらにより好ましくは1.5重量%以下であり得る。
【0028】
この態様において、(d-2)酸化防止剤の量は、組成物の総重量に基づいて、好ましくは0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、さらにより好ましくは0.7重量%以上であることができ、及び5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらにより好ましくは1.5重量%以下、であり得る。
【0029】
本発明のさらに別の態様において、本発明の組成物は、
(A)一分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を有する、少なくとも1つのオルガノポリシロキサン;
(B)一分子当たり少なくとも2つのチオール基を有する、少なくとも1つのメルカプト官能性化合物;
(C)分子内水素引き抜き型光重合開始剤から選択される、少なくとも1つの光重合開始剤;及び
(d-1)少なく1つのアルコキシル化ポリオール由来(メタ)アクリレート又は少なくとも1つのキノン誘導体化合物を含む重合阻害剤、及び/又は(d-2)少なくとも1つの酸化防止剤を含む、UV硬化性シリコーン組成物である。
【0030】
以下、本発明の組成物、方法、及び使用をより詳細に説明する。
【0031】
[UV硬化性組成物]
本発明のUV硬化性組成物は、(A)一分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を有する、少なくとも1つのオルガノポリシロキサン、(B)一分子当たり少なくとも2つのチオール基を有する、少なくとも1つのメルカプト官能性化合物、及び(C)少なくとも1つの光重合開始剤を含む。さらに、本発明のUV硬化性シリコーン組成物は、(D)(d-1)少なく1つのアルコキシル化ポリオール由来(メタ)アクリレート及び/又は(d-2)少なくとも1つの酸化防止剤を含む。さらに、本発明のUV硬化性シリコーン組成物は、(i)分子内水素引き抜き型光重合開始剤から選択される(C)光重合開始剤を含むか、又は(ii)(d-1)重合阻害剤を含む。以下に各成分をより詳細に説明する。
【0032】
(A)一分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン
本発明のUV硬化性シリコーン組成物は、成分(A)として、一分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を有する、少なくとも1つのオルガノポリシロキサンを含む。本発明に係る硬化性シリコーン組成物は、1種類の(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンを含んでもよいし、2種類以上の(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンを含んでもよい。
【0033】
(A)一分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンは、直鎖状又はレジン状構造を有し得る。用語「直鎖状」は、本明細書において、オルガノポリシロキサンが分子において直鎖構造を有し、分岐鎖又は分岐構造有さないことを意味する。本明細書において、レジン状とは、オルガノポリシロキサンが分子中に分岐状または三次元網状構造を有することを意味する。
【0034】
(A)成分に含まれるアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、及びドデセニル基等の炭素数が2~12個のアルケニル基が例示され、好ましくは、ビニル基である。
【0035】
(A)成分に含まれるアルケニル基以外のケイ素原子結合基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、及びドデシル基等のC1~12アルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、及びナフチル基等のC6~12アリール基;ベンジル基、フェネチル基及びフェニルプロピル基等のC7~12アラルキル基;これらの基の水素原子の一部または全部をフッ素原子、塩素原子、又は臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が挙げられる。なお、(A)成分中のケイ素原子には、本発明の目的を損なわない範囲で、少量の水酸基やメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基が結合してもよい。アルケニル基以外のケイ素原子に結合する基は、好ましくは、C1~12アルキル基、特にメチル基、及びC6~12アリール基、特にフェニル基を含む。成分(A)は、如何なるチオール基も含まなくてよい。
【0036】
本発明の一実施形態において、(A)一分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンは、以下の式(I):
平均単位式(I):(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2(XO1/2
[式中、Rは同じかまたは異なる、少なくとも1つのハロゲンで置換されていてもよい一価炭化水素基であり、ただし、一分子中、少なくとも2個のRはアルケニル基を表し、Xは水素原子またはアルキル基を表し、0≦a<1、0≦b<1、0≦c<0.95、0≦d<0.9、0≦e<0.4、a+b+c+d=1.0、且つ、c+d>0を満たす。]で表され得るオルガノポリシロキサンレジンであり得る。
【0037】
の少なくとも1個のハロゲンで置換されていてもよい一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、及びドデシル基等のC1~12アルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、及びナフチル基等のC6~12アリール基;ベンジル基、フェネチル基及びフェニルプロピル基等のC7~12アラルキル基;これらの基の水素原子の一部または全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が挙げられる。Rにおける一価炭化水素基は、本発明の目的を損なわない範囲で、少量の水酸基やメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基を含んでいてもよい。Rにおける一価炭化水素基は、好ましくは、C1~12のアルキル基、特にメチル基、C6~12のアリール基、特にフェニル基を表す。
【0038】
上記式(I)において、Xは水素原子またはアルキル基を表す。Xのアルキル基は、好ましくは、メチル基、エチル基、又はプロピル基等のC1~3アルキル基を表す。
【0039】
本発明の一実施形態において、式(I)において、aは、好ましくは0.05≦a≦0.8の範囲であり、より好ましくは0.1≦a≦0.6の範囲であり、さらにより好ましくは0.15≦a≦0.4の範囲である。上記式(I)において、bは、好ましくは0≦b≦0.5の範囲であり、より好ましくは0≦b≦0.3の範囲であり、さらにより好ましくは0≦b≦0.1の範囲である。上記式(I)において、cは、好ましくは0.2≦c≦0.9の範囲であり、より好ましくは0.4≦c≦0.85の範囲であり、さらにより好ましくは0.6≦c≦0.8の範囲である。上記式(I)において、dは、好ましくは0≦d≦0.5の範囲であり、より好ましくは0≦d≦0.3の範囲であり、さらにより好ましくは0≦d≦0.1の範囲である。上記式(I)において、eは、好ましくは0≦e≦0.2の範囲であり、より好ましくは0≦e≦0.1の範囲であり、さらにより好ましくは0≦e≦0.05の範囲である。
【0040】
本発明の当該実施形態において、式(I)において、cは0よりも大きく、すなわち、(A)オルガノポリシロキサンレジンは、SiO3/2で表される少なくとも1つのシロキサン単位(T単位)を含む。当該実施形態において、(A)オルガノポリシロキサンレジンは、SiO4/2で表されるシロキサン単位(Q単位)を含んでも含まなくてもよいが、好ましくはQ単位を含まない。
【0041】
本発明の別の実施形態において、式(I)において、aは、好ましくは0.1≦a≦0.8の範囲であり、より好ましくは0.2≦a≦0.7の範囲であり、さらにより好ましくは0.3≦a≦0.6の範囲である。上記式(I)において、bは、好ましくは0≦b≦0.5の範囲であり、より好ましくは0≦b≦0.3の範囲であり、さらにより好ましくは0≦b≦0.1の範囲である。上記式(I)において、cは、好ましくは0≦c≦0.5の範囲であり、より好ましくは0≦c≦0.3の範囲であり、さらにより好ましくは0≦c≦0.1の範囲である。上記式(I)において、dは、好ましくは0.1≦d≦0.8の範囲であり、より好ましくは0.2≦d≦0.7の範囲であり、さらにより好ましくは0.3≦d≦0.6の範囲である。上記式(I)において、eは、好ましくは0≦e≦0.2の範囲であり、より好ましくは0≦e≦0.1の範囲であり、さらにより好ましくは0≦e≦0.05の範囲である。
【0042】
本発明の当該実施形態において、式(I)において、dは0よりも大きく、すなわち、(A)オルガノポリシロキサンレジンは、SiO4/2で表される少なくとも1つのシロキサン単位(Q単位)を含む。当該実施形態において、(A)オルガノポリシロキサンレジンは、SiO3/2で表されるシロキサン単位(T単位)を含んでも含まなくてもよいが、好ましくはT単位を含まない。
【0043】
本発明の別の実施形態において、(A)一分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンは、以下の式(I-b):
平均単位式(I-b):(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2(XO1/2
[式中、Rは同じかまたは異なる、少なくとも1つのハロゲンで置換されていてもよい一価炭化水素基であり、ただし、一分子中、少なくとも2個のRはアルケニル基を表し、Xは水素原子またはアルキル基を表し、0≦a<1、0≦b<1、c=d=0、0≦e<0.4、且つ、a+b+e=1.0を満たす。]で表され得る直鎖状オルガノポリシロキサンであり得る。
【0044】
上記式(I-b)において、Xは水素原子またはアルキル基を表す。Xのアルキル基は、好ましくは、メチル基、エチル基、又はプロピル基等のC1~3アルキル基を表す。
【0045】
上記式(I-b)において、aは、好ましくは0.0001≦a≦0.8の範囲であり、より好ましくは0.001≦a≦0.6の範囲であり、さらにより好ましくは0.002≦a≦0.4の範囲であり、bは、好ましくは0≦b≦0.9999の範囲であり、より好ましくは0≦b≦0.999の範囲であり、さらにより好ましくは0≦b≦0.998の範囲であり、eは、好ましくは0≦e≦0.2の範囲であり、より好ましくは0≦e≦0.1の範囲であり、さらにより好ましくは0≦e≦0.05の範囲である。
【0046】
本発明の別の実施形態において、(A)一分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンは、以下の式(I-c):
平均構造式(I-c):R SiO(R SiO)SiR
[式中、Rは同じかまたは異なる、少なくとも1つのハロゲンで置換されていてもよい一価炭化水素基であり、ただし、一分子中、少なくとも2個のRはアルケニル基を表し、mは1~1000の範囲である。]で表され得る直鎖状オルガノポリシロキサンであり得る。
【0047】
式(I-c)において、mは、好ましくは10~800の範囲であり、より好ましくは50~700の範囲であり、さらにより好ましくは100~600の範囲である。
【0048】
本発明の好適な一実施形態において、成分(A)の直鎖状オルガノポリシロキサンは、分子鎖両末端にジメチルビニルシロキシ基を含む、直鎖状ジメチルポリシロキサンであり得る。
【0049】
本発明の一実施形態において、(A)オルガノポリシロキサンは、分子鎖両末端にアルケニル基を含む。この実施形態は、(A)オルガノポリシロキサンが、SiO1/2で表されるシロキサン単位(M単位)にアルケニル基を含むことを意味する。(A)オルガノポリシロキサンは、SiO2/2で表されるシロキサン単位(D単位)及び/又はT単位にアルケニル基を含んでも含まなくてもよいが、好ましくはD単位又はT単位にアルケニル基を含まない。
【0050】
(A)オルガノポリシロキサン中のケイ素原子結合基の合計量に対するアルケニル基の量は、特に限定されないが、ケイ素原子結合基の合計量に対して、例えば1モル%以上、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.2モル%以上、特に0.3モル%以上であり、通常40モル%以下、好ましくは30モル%、より好ましくは25モル%以下、特に20モル%以下である。アルケニル基の含有量は、例えば、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)、核磁気共鳴(NMR)等の分析法、または以下の滴定法等の測定法によって測定することができる。
【0051】
滴定法により各成分中のアルケニル基量を定量する方法について説明する。オルガノポリシロキサン成分中のアルケニル基含有量は、ウイス法として一般的に知られる滴定方法により精度よく定量することができる。原理を下記に述べる。まずオルガノポリシロキサン原料中のアルケニル基と一塩化ヨウ素とを式(1)に示すように付加反応させる。次に式(2)に示される反応により、過剰の一塩化ヨウ素をヨウ化カリウムと反応させヨウ素として遊離させる。次に遊離したヨウ素をチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。
式(1)CH=CH- + 2ICl → CHI-CHCl- + ICl(過剰)
式(2)ICl+KI → I + KCl
滴定に要したチオ硫酸ナトリウムの量と、別途作成したブランク液との滴定量の差から、成分中のアルケニル基量を定量することができる。
【0052】
本発明の好適な一実施形態において、(A)オルガノポリシロキサンは、ケイ素原子結合有機基にアリール基を含む。すなわち、上記式(I)、(I-b)、及び/又は(I-c)において、少なくとも1つのRは、アリール基であり得る。本発明の好ましい一実施形態において、(A)オルガノポリシロキサンは、D単位又はT単位に少なくとも1つのアリール基を含む。(A)オルガノポリシロキサンは、M単位にアリール基を含んでも含まなくてもよいが、好ましくはM単位にアリール基を含まない。アリール基としては、C6~12アリール基、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、及びナフチル基が挙げられる。
【0053】
(A)オルガノポリシロキサンがアリール基を含有する場合、(A)オルガノポリシロキサン中のアリール基の含有量は、特に限定されないが、ケイ素原子結合基の合計量に基づいて、通常5モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは15モル%以上、さらに好ましくは20モル%以上、特に好ましくは25モル%以上であり、また、通常60モル%以下、好ましくは50モル%以下、より好ましくは40モル%以下、さらに好ましくは35モル%以下、特に好ましくは30モル%以下である。アリール基の含有量は、例えば、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)、核磁気共鳴(NMR)等の分析方法によって計測することができる。
【0054】
本発明の別の実施形態において、(A)オルガノポリシロキサンは、ケイ素原子結合基にアリール基を含まない。この実施形態において、(A)オルガノポリシロキサンは、ビニルメチルシロキサンレジンであり得る。
【0055】
本発明置いて用いられ得るビニルメチルシロキサンレジンの特定の例として、以下の式(V)によって表されるものが言及される。
【0056】
【化1】
【0057】
式中、R及びRは、それぞれ独立して、アルケニル基を含む炭化水素基を表し、ここで、少なくとも2つのRは、アルケニル基であり、mは1以上の整数であり、nは0又は1~5の整数を表す。式(V)中の炭化水素及びアルケニル基は、上記成分(A)で説明したものと同じである。
【0058】
式(V)において、mは好ましくは1~20、より好ましくは1~10、さらに好ましくは1~5である。
【0059】
ビニルメチルシロキサンレジンの質量平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは300~5,000であり、より好ましくは300~2,500であり、さらに好ましくは500~1,500である。重量平均分子量は、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算により測定可能である。
【0060】
上記式(V)により表されるビニルメチルシロキサンレジンの市販品としては、GELEST社により製造されるMTV-112(登録商標)が挙げられる。
【0061】
(A)オルガノポリシロキサンの粘度は、特に限定されないが、例えば、25℃で5mPa~5,000mPaであり得る。本明細書において、オルガノポリシロキサン成分の粘度は、JISK7117-1に準拠した回転粘度計で測定できる。
【0062】
(A)成分は、組成物の総重量に基づいて、40重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは55重量%以上、特に好ましくは60重量%以上で含まれることができ、また、(A)成分は、組成物の総重量に基づいて、98重量%以下、好ましくは95重量%以下で含まれ得る。
【0063】
(B)一分子当たり少なくとも2つのチオール基を有するメルカプト官能性化合物
本発明に係るUV硬化性シリコーン組成物は、成分(B)として、少なくとも1つの一分子当たり少なくとも2つのチオール基を有するメルカプト官能性化合物を含む。本発明に係る組成物は、1種類の(B)メルカプト官能性化合物を含んでもよいし、2種類以上の(B)メルカプト官能性化合物を組み合わせて含んでもよい。
【0064】
(B)メルカプト官能性化合物は、一分子当たり少なくとも2つのチオール基を有するメルカプト官能性有機化合物及び一分子当たり少なくとも2つのチオール基を有するメルカプト官能性シリコーン化合物から選択され得る。
【0065】
(B)メルカプト官能性化合物は、一級又は二級チオール基を含み得る。
【0066】
(B)メルカプト官能性化合物は、ジチオール化合物を含み得る。
【0067】
メルカプト官能性有機化合物において、用語「有機化合物」は、本明細書において、C-C骨格構造を有する化合物を意味する。本発明に係る組成物は、1種類のメルカプト官能性有機化合物を含んでもよいし、2種類以上のメルカプト官能性有機化合物を組み合わせて含んでもよい。
【0068】
メルカプト官能性有機化合物は、2~6個のチオール基、好ましくは2~4個のチオール基、より好ましくは2~3個のチオール基を有し得る。特に、メルカプト官能性有機化合物は、少なくとも1つのジチオール化合物を含む。
【0069】
メルカプト官能性有機化合物におけるチオール基の種類は、1級チオール、2級チオール、及び3級チオールから選択され得る。好ましくは、メルカプト官能性有機化合物は、チオール基として1個以上の2級チオール基を含む。
【0070】
特に、メルカプト官能性有機化合物は、2個の2級チオール基を有するジチオール化合物であり得る。
【0071】
メルカプト官能性有機化合物の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、通常100以上であり、好ましくは150以上であり、より好ましくは200以上であり、さらに好ましくは250以上であり、また、通常1,000以下であり、好ましくは800以下であり、より好ましくは600以下であり、さらに好ましくは400以下である。重量平均分子量は、例えば、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定可能である。
【0072】
メルカプト官能性有機化合物のチオール基当量、すなわち、チオール化合物の分子量をチオール基の数(チオール化合物の分子量/チオール化合物のチオール基-SHの数)で割ることによって得られる値は、特に限定されないが、通常50以上、好ましくは100以上、より好ましくは125以上であり、通常500以下、好ましくは400以下、より好ましくは300以下である。
【0073】
2級ジチオール化合物の例としては、例えば、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ビス(1-メルカプトエチル)フタレート、ビス(2-メルカプトプロピル)フタレート、ビス(3-メルカプトブチル)フタレート、エチレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)、プロピレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(3-メルカプトブチレート)、オクタンジオールビス(3-メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、プロピレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(2-メルカプトプロピオネート)、オクタンジオールビス(2-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、プロピレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(2-メルカプトプロピオネート)、オクタンジオールビス(2-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(4-メルカプトバレレート)、プロピレングリコールビス(4-メルカプトイソバレレート)、ジエチレングリコールビス(4-メルカプトバレレート)、ブタンジオールビス(4-メルカプトバレレート)、オクタンジオールビス(4-メルカプトバレレート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトバレレート)、プロピレングリコールビス(3-メルカプトバレレート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトバレレート)、ブタンジオールビス(3-メルカプトバレレート)、オクタンジオールビス(3-メルカプトバレレート)等が挙げられる。
【0074】
2級トリチオール化合物の例としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(4-メルカプトバレレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトバレレート)、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン等が挙げられる。
【0075】
2級テトラチオール化合物の例としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプト-2-プロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(4-メルカプトバレレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトバレレート)等が挙げられる。
【0076】
2級ヘキサチオール化合物の例としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2-メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(4-メルカプトバレレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトバレレート)等が挙げられる。
【0077】
1級ジチオール化合物の例としては、例えば、2,2’-(エチレンジオキシ)ジエタンチオール、エチレングリコールビス-メルカプトアセテート等が挙げられる。
【0078】
1級トリチオール化合物の例としては、例えば、トリメチロールプロパン トリス(3-メルカプトプロピオナート)等が挙げられる。
【0079】
1級テトラチオール化合物の例としては、例えば、ペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオナート)等が挙げられる。
【0080】
本発明の一実施形態において、メルカプト官能性有機化合物は、水酸基を含まない。
【0081】
(B)メルカプト官能性化合物は、一分子当たり少なくとも2つのチオール基を有するメルカプト官能性シリコーン化合物であり得る。本発明に係る組成物は、1種のメルカプト官能性シリコーン化合物を含んでもよいし、2種以上のメルカプト官能性シリコーン化合物を組み合わせて含んでもよい。
【0082】
メルカプト官能性シリコーン化合物の構造は、直鎖状、分岐状、一部分岐状、環状、又はレジン状であり得る。本発明の好適な一態様において、メルカプト官能性シリコーン化合物は、直鎖状構造を有する。
【0083】
メルカプト官能性シリコーン化合物は、一分子当たり少なくとも2つのチオール基を有する。メルカプト官能性シリコーン化合物は、ポリマー鎖の末端にチオール基を有してもよいし、ポリマー鎖の末端以外のケイ素原子、すなわち、ペンダント基としてチオール基を有してもよい。本発明の好適な一実施形態において、メルカプト官能性シリコーン化合物は、ポリマー鎖の末端以外のケイ素原子、すなわち、ペンダント基としてチオール基を有し、ポリマー鎖の末端にチオール基を有さない。
【0084】
メルカプト官能性シリコーン化合物に含まれるチオール基以外の他のケイ素原子に結合基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、及びドデシル基等のC1~12アルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、及びナフチル基等のC6~12アリール基;ベンジル基;フェネチル基及びフェニルプロピル基等のC7~12アラルキル基;これらの基の水素原子の一部または全部をフッ素原子、塩素原子、又は臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が挙げられる。チオール基以外のケイ素原子結合基は、好ましくは、C1~12アルキル基、特にメチル基を含む。
【0085】
メルカプト官能性シリコーン化合物の特定の例としては、限定されないが、[(メルカプトプロピル)メチルシロキサン]-ジメチルシロキサンコポリマーである、Gelest社から商品名SMS-022、SMS-042、及びSMS-142で入手可能なもの、及び、信越化学社からKF-2001及びKF-2004の商品名で入手可能であり、ポリマー鎖の内部のいくつかのケイ素原子、すなわち、末端でないケイ素原子が、メルカプトアルキル基で置換されているものが挙げられる。言及できる別のシリコーン化合物は、信越化学社からX-22-167Bの商品名で入手可能である、両末端のケイ素原子がメルカプトアルキル基で置換されているものが挙げられる。
【0086】
(B)メルカプト官能性化合物は、組成物の総重量に基づいて、3重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは6重量%以上、さらに好ましくは7重量%以上、特に好ましくは8重量%以上で含まれることができ、また、50重量%以下、好ましくは45重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは35重量%以下、特に好ましくは30重量%以下で含まれ得る。
【0087】
本発明の一実施形態において、UV硬化性シリコーン組成物は、本発明の(A)オルガノポリシロキサンとして、ケイ素原子結合基中に少なくとも1つのアリール基を含むオルガノポリシロキサンと、本発明の(B)メルカプト官能性化合物として、メルトカプト官能性有機化合物を含む。
【0088】
本発明の一実施形態において、UV硬化性シリコーン組成物は、本発明の(A)オルガノポリシロキサンとして、ケイ素原子結合基中にアリール基を含まないオルガノポリシロキサンと、本発明の(B)メルカプト官能性化合物として、メルトカプト官能性シリコーン化合物を含む。
【0089】
(C)光重合開始剤
本発明に係るUV硬化性シリコーン組成物は、成分(C)として、少なくとも1つの光重合開始剤を含む。本発明に係る組成物は、1種類の(C)光重合開始剤を含んでもよいし、2種類以上の(C)光重合開始剤を組み合わせて含んでもよい。
【0090】
(C)光重合開始剤の種類は、特に限定されないが、アルキルフェノン型光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド型光重合開始剤、分子内水素引き抜き型光重合開始剤、及びオキシムエステル型光重合開始剤から選択され得る。
【0091】
アルキルフェノン型光重合開始剤は、例えば、Omnirad 184の名称でIGM RESINS B.V.社により販売されている、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン;Omnirad 1173の名称でIGM RESINS B.V.社により販売されている、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、Omnirad 2959の名称でIGM RESINS B.V.社により販売されている、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン、オリゴ-[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)-フェニル]-プロパノン]、Omnirad 127の名称でIGM RESINS B.V.社により販売されている、1,1’-(メチレン-ジ-4,1-フェニレン)ビス[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパノン]等のヒドロキシアセトフェノン;Omnirad 907の名称でIGM RESINS B.V.社により販売されている、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-プロパン-1-オン、Omnirad 379EGの名称でIGM RESINS B.V.社により販売されている、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(3,4-ジメトキシ-フェニル)-ブタン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、Omnirad 369の名称でIGM RESINS B.V.社により販売されている、2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジル-1-ブタノン、及び2-メチル-1-(4-メチルスルファニル-フェニル)-2-モルホリン-4-イル-プロパン-1-オン等のアミノアセトフェノン;2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0092】
アシルフォスフィンオキサイド型光重合開始剤は、例えば、Omnirad TPO-Hの名称でIGM RESINS B.V.社により販売されている、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、Omnirad TPO-Lの名称でIGM RESINS B.V.社により販売されている、フェニル-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-リン酸エチルエステル、Omnirad 819の名称でIGM RESINS B.V.社により販売されている、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、及びそれらの組み合わせから選択され得る。
【0093】
水素引き抜き型光重合開始剤は、例えば、Omnirad MBFの名称でIGM RESINS B.V.社により販売されている、メチルベンゾイルホルメート等のオキシフェニル型光重合開始剤から選択され得る。
【0094】
特に、光重合開始剤は、分子内水素引き抜き型光重合開始剤にも該当する、オキシエトキシフェニルアセチル誘導体を含み得る。オキシエトキシフェニルアセチル誘導体の具体例として、Omnirad 754の名称でIGM RESINS B.V.社により販売されている、オキシ-フェニル-酢酸2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステルとオキシ-フェニル-酢酸2 -[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステルのブレンド、及びその混合物に言及することができる。
【0095】
オキシムエステル型光重合開始剤は、例えば、Irgacure OXE-01の名称でBASF社により販売されている、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン-2-(o-ベンゾイルオキシム)、Irgacure OXE-01の名称でBASF社により販売されている、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン-1-(o-アセチルオキシム)、及びそれらの組み合わせから選択され得る。
【0096】
本発明の特定の一実施形態において、(C)光重合開始剤は、好ましくは、分子内水素引き抜き型光重合開始剤から選択される。本発明の別の特定の実施形態において、(C)光重合開始剤は、分子内水素引き抜き型光重合開始剤のみを含み、他の光重合開始剤を含まない。
【0097】
本発明の特定の一実施形態において、(C)光重合開始剤は、いかなるリン原子も含まない。
【0098】
(C)光重合開始剤は、組成物の総質量に基づいて、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上で含まれてもよく、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下で含まれ得る。
【0099】
(D)光重合阻害剤及び/又は酸化防止剤
本発明に係るUV硬化性シリコーン組成物は、成分(d-1)としての少なくとも1つの光重合阻害剤及び/又は成分(d-2)としての少なくとも1つの酸化防止剤のいずれか又は両方を含む。
【0100】
(d-1)光重合阻害剤
(d-1)光重合阻害剤は、1種の光重合阻害剤を含んでもよいし、2種以上の光重合阻害剤を組み合わせて含んでもよい。
【0101】
本発明の(d-1)光重合阻害剤は、少なく1つのアルコキシル化ポリオール由来(メタ)アクリレート又は少なくとも1つのキノン誘導体化合物を含む。
【0102】
アルコキシル化ポリオール由来(メタ)アクリレートは、単官能性、2官能性、3官能性、又は4官能性であり得る。
【0103】
アルコキシル化ポリオール由来(メタ)アクリレートのポリオール部分は、2価から8価のポリオールから選択され得る。2価から8価のポリオールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、及びネオペンチルグリコール等の2価アルコール、グリセロール、トリオキシイソブタン、1,2,3-ブタントリオール、1,2,3-ペンタントリオール、2-メチル-1,2,3-プロパントリオール、2-メチル-2,3,4-ブタントリオール、2-エチル-1,2,3-ブタントリオール、2,3,4-ペンタントリオール、2,3,4-ヘキサントリオール、4-プロピル-3,4,5-ヘプタントリオール、2,4-ジメチル-2,3,4 -ペンタントリオール、ペンタメチルグリセロール、ペンタグリセロール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,4-ペンタントリオール、トリメチロールエタン、及びトリメチロールプロパン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、1,2,3,4-ペンタンテトロール、2,3,4,5-ヘキサンテトロール、1,2,4,5-ペンタンテトロール、及び1,3,4,5-ヘキサンテトロール等の4価アルコールが挙げられる。
【0104】
アルコキシル化ポリオール由来(メタ)アクリレートのアルコキシル化部分は、メトキシ化部分、エトキシ化部分、ブトキシ化部分、及びプロポキシ化部分から選択され得る。アルコキシル化ポリオール由来(メタ)アクリレートのアルコキシル化部分の繰り返し数は、特に限定されないが、通常、1~30、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、及びさらに好ましくは1~5である。
【0105】
単官能アルコキシル化ポリオール由来(メタ)アクリレートとしては、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、及びネオペンチルグリコールプロポキシレートメチルエーテルモノアクリレートが言及できる。
【0106】
2官能アルコキシル化ポリオール由来(メタ)アクリレートとしては、アルコキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、例えば、エトキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート及びプロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレートが言及できる。
【0107】
3官能アルコキシル化ポリオール由来(メタ)アクリレートとしては、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、及びプロポキシ化グリセロールトリアクリレートが言及できる。
【0108】
4官能アルコキシル化ポリオール由来(メタ)アクリレートとしては、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレートが言及できる。
【0109】
キノン誘導体化合物は、キノンメチド化合物であってもよい。キノンメチド化合物の特定の実施形態としては、BASF社によりIrgastab(登録商標)UV22の名称で販売されている、2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-(フェニレンメチレン)シクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オンが言及できる。
【0110】
(d-1)光重合阻害剤は、組成物の総質量に基づいて、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.03質量%以上で含まれてもよく、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下で含まれ得る。
【0111】
(d-2)酸化防止剤
(d-2)酸化防止剤は、1種の酸化防止剤を含んでもよいし、2種以上の酸化防止剤を組み合わせて含んでもよい
【0112】
こうした酸化防止剤は、特に限定されないが、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、ヒドロキシルアミン系酸化防止剤、ビタミンE系酸化防止剤、および硫黄系酸化防止剤が挙げられる。
【0113】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤として、例えば、IRGANOX 245の名称でBASFから入手可能なトリエチレングリコール-ビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、IRGANOX 259の名称でBASFから入手可能な1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、IRGANOX 565の名称でBASFから入手可能な4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、IRGANOX 1010の名称でBASFから入手可能なペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、IRGANOX 1035の名称でBASFから入手可能な2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、IRGANOX 1076の名称でBASFから入手可能なオクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、IRGANOX 1098の名称でBASFから入手可能なN,N'-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナミド)、IRGAMOD 295の名称でBASFから入手可能な3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルホスホネート-ジエチルエステル、IRGANOX 1330の名称でBASFから入手可能な1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、IRGANOX 3114の名称でBASFから入手可能なトリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、IRGANOX 5057の名称でBASFから入手可能なオクチル化ジフェニルアミン、IRGANOX 1520L の名称でBASFから入手可能な2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル)-o-クレゾール、IRGANOX 1135の名称でBASFから入手可能なイソオクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオネート、IRGANOX 1726の名称でBASFから入手可能な2,4-ビス(ドデシルチオメチル)-6-メチルフェノール、IRGANOX E201の名称でBASFから入手可能な2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)クロマン-6-オール、及びIRGANOX HP-136の名称でBASFから入手可能な5,7-ジ-tert-ブチル-3-(3,4-ジメチルフェニル)ベンゾフラン-2(3H)-オン、並びにそれらの組み合わせが言及できる。
【0114】
リン系酸化防止剤として、例えば、RGAFOS 168の名称でBASFから入手可能なトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、IRGAFOS 12の名称でBASFから入手可能なトリス[2-[[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、IRGAFOS 38の名称でBASFから入手可能なビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイト、及び大崎工業社からGSY-P1O1の名称で入手可能なビフェニル-4,4'-ジイル-ビス[ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-5-メチルフェノキシ)ホスフィン]、並びにそれらの組み合わせが言及できる。
【0115】
ラクトン系酸化防止剤として、例えば、3-ヒドロキシ-5,7-ジ-tert-ブチル-フラン-2-オンとo-キシレンの反応生成物(CAS番号181314-48-7)が言及できる。
【0116】
ヒドロキシルアミン系酸化防止剤として、例えば、還元型牛脂を原料としたアルキルアミンの酸化生成物等が言及できる。
【0117】
ビタミンE系酸化防止剤として、例えば、3,4-ジヒドロ-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-2H-ベンゾピラン-6-オールが言及できる。
【0118】
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、IRGANOX PS800の名称でBASFから入手可能なジドデシル3,3-チオビスプロピオネート、及びIRGANOX PS802の名称でBASFから入手可能なジオクタデシル3,3-チオビスプロピオネートが言及できる。
【0119】
本発明の好ましい一実施形態では、酸化防止剤は、ヒンダードフェノール型酸化防止剤から選択される。本発明の別の好ましい実施形態において、ヒンダードフェノール型酸化防止剤は、以下の式(II)で表され得る:
【0120】
【化2】
【0121】
式中、
R1及びR3は、互いに独立して、O、S、及びN等の少なくとも1つのヘテロ原子によって中断されていてもよい、好ましくは炭素数4以上、より好ましくは炭素数5~16、さらに好ましくは炭素数6~12の直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和のアルキル基を表し;
はアルキル基、好ましくは炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基を表す。
【0122】
一般式(II)において、R1及びR3は好ましくは直鎖状の飽和アルキル基を表す。好ましくは、式(II)中のR1及びR3は、少なくとも1つのカルボニル基(-OC-)、カルボニルオキシ基(-OC-O-)及び/又は硫黄原子(-S-)によって中断されたアルキル基を表す。
【0123】
本発明の特定の一実施形態において、(d-2)酸化防止剤は、少なくとも2つのチオエステル基を含むヒンダードフェノール型酸化防止剤、すなわち、例えばIRGANOX 1520Lの名称でBASFから入手可能である2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル)-o-クレゾール等のチオエステル酸化防止剤である。
【0124】
(d-2)酸化防止剤の他の例として、以下の通常使用される酸化防止剤も挙げられる:4-メトキシフェノール、4-tert-ブチルカテコール、又は2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)等のフェノール類;1,4-ジヒドロキシベンゼン又は3,5-ジ-tert-ブチルベンゼン-1,2-ジオール等のハイドロキノン類;1,4-ベンゾキノン又はナフタレン-1,2-ジオン等のキノン類;1,3-ジニトロベンゼン又は1,4-ジニトロベンゼン等の芳香族ニトロ化合物;2-(sec-ブチル)-4,6-ジニトロフェノール、4-メチル-2-ニトロフェノール、又は4-メチル-2,6-ジニトロフェノール等のニトロフェノール類;フェノチアジン、N1-フェニル-N4-プロピルベンゼン-1,4-ジアミン、N-(1,4-ジメチルペンチル)-N'フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン、又は2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等のアミン類;N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩等のニトロソ化合物;ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート、1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-オキシル-2,2,6、6-テトラメチルピペリジン-4-オール、1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチル-4-n-ブトキシピペリジン等のニトロキシド化合物;及びそれらの混合物。
【0125】
(d-2)酸化防止剤は、組成物の総質量に基づいて、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上で含まれてもよく、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下で含まれ得る。
【0126】
本発明の一実施形態において、UV硬化性シリコーン組成物は、比較的多量の(C)少なくとも1つの光重合開始剤及び(d-2)少なくとも1つの酸化防止剤を含む。この実施形態において、多量の(d-2)酸化防止剤が、シリコーン硬化物の着色を抑制し、透明なシリコーン硬化物が得られることを見出した。
【0127】
当該実施形態において、(d-1)重合阻害剤は、好ましくは、アルコキシル化ポリオール由来(メタ)アクリレートを含み、及び/又は、(d-2)酸化防止剤は、好ましくは、少なくとも2つのチオエステル基を含む少なくとも1つのヒンダードフェノール型酸化防止剤、すなわちチオエステル酸化防止剤、例えば、IRGANOX 1520Lの名称でBASFから入手可能である2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル)-o-クレゾール等を含む。
【0128】
当該実施形態において、(C)光重合開始剤は、組成物の総質量に基づいて、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.7質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上で含まれてもよく、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下で含まれ得る。
【0129】
この態様において、(d-2)酸化防止剤は、組成物の総質量に基づいて、0.1質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは0.7質量%以上で含まれてもよく、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下で含まれ得る。
【0130】
(E)環状オルガノポリシロキサン
本発明のUV硬化性シリコーン組成物は、成分(E)として、少なくとも1つの環状オルガノポリシロキサンを含み得る。本発明に係る組成物は、1種類の(E)環状オルガノポリシロキサンを含んでもよいし、2種類以上の(E)環状オルガノポリシロキサンを含んでもよい。
【0131】
環状オルガノポリシロキサンは、以下の式(III)で表され得る:
式(III):(R SiO)
式中、Rは独立に、ハロゲン置換又は非置換の一価炭化水素基であり、nは環状オルガノポリシロキサンの25℃での粘度が1000mPa以下となる数である。なお、粘度は、JIS K7117-1に準拠した回転粘度計によって測定することができる。
【0132】
上記式(III)において、少なくとも1つのハロゲンで置換されていてもよいRの一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素数が1~12個のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数が6~12個のアリール基;ベンジル基;フェネチル基、フェニルプロピル基等の炭素数が7~20個のアラルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基等の炭素数が2~12個のアルケニル基;これらの基の水素原子の一部または全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換した基が例示される。Rの一価炭化水素基は、本発明の目的を損なわない範囲で、少量の水酸基やメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基であってもよい。好ましくは、Rの一価炭化水素基は、炭素数が1~12個のアルキル基、特にメチル基、炭素数が2~12個のアルケニル基、特にビニル基を表す。
【0133】
本発明の一実施形態において、環状オルガノポリシロキサンは、一分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を含み得る。環状オルガノポリシロキサンが一分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を含む場合、環状オルガノポリシロキサン中のアルケニル基の量は、特に限定されないが、例えば、ケイ素原子結合基の全体量に基づいて、10モル%以上であり、好ましくは20モル%以上であり、より好ましくは30モル%以上であり、また、通常、80モル%以下であり、好ましくは70モル%以下であり、さらに好ましくは60モル%以下である。アルケニル基の含有量は、例えば、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)、核磁気共鳴(NMR)等の分析法、または上記滴定法によって求めることができる。
【0134】
(E)環状オルガノポリシロキサンは、組成物の総質量に基づいて、2.5質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7.5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上で含まれてもよく、30質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、特に好ましくは15質量%以下で含まれ得る。
【0135】
(任意の添加剤)
本発明に係るUV硬化性シリコーン組成物は、本発明の分野で通常用いられる任意の添加剤を含んでもよい。こうした添加剤は、例えば、上記成分(A)及び(B)以外のオルガノポリシロキサン、有機又は無機充填剤、顔料、粘着性付与剤、耐性付与剤、離型剤、耐熱性付与剤、着色剤、難燃性付与剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0136】
本発明に係るUV硬化性シリコーン組成物は、上記した必須成分及び任意成分を従来の方法で混合することにより調製できる。各成分の混合方法は、従来公知の方法でよく、特に限定されない。例えば、混合は、単なる撹拌により行うか、又は、一軸または二軸の連続混合機、二本ロール、ホバートミキサー、デンタルミキサー、プラネタリミキサー、ニーダーミキサー、及びヘンシェルミキサー等の混合装置を用いて行うことができる。
【0137】
[封止剤及びシートフィルム]
本発明は、本発明に係るUV硬化性シリコーン組成物を硬化して得られる封止剤又はシートフィルムにも関する。本発明の封止剤は、光半導体を含む光半導体素子を封止するのに好適に用いられる。本発明のシートフィルムは、封止材層又はマストランスファー用粘着性シートフィルムとして好適に用いられる。
【0138】
半導体素子の例としては、SiC、GaN等が挙げられる。光半導体素子の例としては、発光ダイオード(LED)、フォトダイオード、フォトトランジスタ、レーザダイオード等の半導体素子が挙げられる。
【0139】
本発明の封剤材又はシートフィルムは、例えば、フィルム状、テープ状、又はシート状基材に本発明のUV硬化性シリコーン組成物を塗工した後、紫外線を照射して硬化させ、前記基材の表面に硬化皮膜を形成することで得られる。硬化皮膜の膜厚は特に限定されないが、好ましくは、1μm~10mmの範囲内、または5μm~5mmの範囲内である。
【0140】
本明細書において、用語「紫外線(UV)」は、約10nm~約400nmの波長の電磁放射線であり、紫外線硬化においては、波長は、例えば、280nm~400nmに位置するUVA及びUVB波長帯から選択できる。紫外線を発生する装置としては、高圧水銀灯、中圧水銀灯、紫外線LEDが例示される。紫外線の照射量は、特に限定されないが、365nmにおいて、1~1,000mW/cmが好ましく、より好ましくは5~500mW/cmであり、更に好ましくは10~200mW/cmである。
【実施例0141】
本発明を以下の実施例でより詳細に説明するが、本発明の範囲を制限するものとして解釈するべきではない。
【0142】
本発明のUV硬化性シリコーン組成物を実施例及び比較例により詳細に説明する。実施例及び比較例において、以下の成分をUV硬化性シリコーン組成物を調製するのに用いた。処方において、Viはビニル基を表し、Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表す。また、表中の量を表す数値は、原材料の活性成分の「質量部」に基づく。
【0143】
(成分)
(a-1) 平均単位式:(Me3SiO1/2)0.05(Me2ViSiO1/2)0.17(MeSiO3/2)0.39(PhSiO3/2)0.39で表される、一分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンレジン
(a-2) 平均単位式:(Me3SiO1/2)0.4(Me2ViSiO1/2)0.3(SiO4/2)0.5で表される、一分子当たり少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンレジン
(a-3) 一分子中に少なくとも2つのアルケニル基を有するビニルメチルシロキサンレジン(製品名:MTV-112、GELEST社製)
(a-4) 式ViMe2SiO(Me2SiO2/2)310SiMe2Viで表される直鎖状オルガノポリシロキサン
(b-1) 1,4-ビス(3-メルカプトブチリロキシ)ブタン(製品名:Karenz MT(登録商標) BD1、昭和電工)
(b-2) [(メルカプトプロピル)メチルシロキサン]-ジメチルシロキサン共重合体(製品名:SMS-142、Gelest社製)
(c-1) オキシ-フェニル-酢酸2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステルとオキシ-フェニル-酢酸2 -[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステルのブレンド(製品名:Omnirad 754、IGM RESINS B.V.社製)
(c-2) 2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン(製品名:Omnirad 1173、IGM RESINS B.V.社製)
(c-3) 1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン(製品名:Omnirad 184、IGM RESINS B.V.社製)
(c-4) ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド(製品名:Omnirad 819、IGM RESINS B.V.社製)
(c-5) 2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン(製品名:Omnirad 379EG、IGM RESINS B.V.社製)
(c-6) フェニル-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-リン酸エチルエステル(製品名:Omnirad TPO-L、IGM RESINS B.V.社製)
(c-7) 2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-プロパン-1-オン(製品名:Omnirad 907、IGM RESINS B.V.社製)
(c-8) 1,1'-(メチレン-ジ-4,1-フェニレン)ビス[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパノン](製品名:Omnirad 127、IGM RESINS B.V.社製)
(d-1-1) プロポキシル化グリセロール(1PO/OH)トリアクリレート(製品名:Genorad 16、Rahn社製)
(d-1-2) 2,6-ジ-tert-ブチル-4-(フェニルメチリデン)シクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン(製品名:Irgastab UV22、BASF社製)
(d-1-3) Tinuvin 123 (BASF社製)
(d-1-4) Tinuvin 292 (BASF社製)
(d-1-5) Omnistab 123 (IGM RESINS B.V.社製)
(d-1-6) Genorad 24
(d-1-7) TBT-100
(d-2-1) 2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル)-o-クレゾール(製品名:IRGANOX 1520L、BASF社製)
(d-2-2) 2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール
(e) 式(MViSiO)4で表される環状オルガノポリシロキサン
【0144】
[評価]
(ゲル化)
得られたUV硬化性組成物を25℃で5時間保持し、次いで、ゲル化が生じているかどうかを観察した。ゲル化が生じていなかった組成物を「OK」と示した。
【0145】
(着色)
UV硬化性シリコーン組成物を所定形状の凹部を有する型に充填し、上部の液面から高圧水銀灯を用いて累積照射量が1000mJ/cmとなるように紫外光を照射した。得られた厚さ2mmのプレート状硬化物について、25℃、450nmにおける透過率を測定した。透過率89%以上の硬化物を「透明」と示した。
【0146】
結果を以下の表に示す。
【0147】
【表1】
【0148】
【表2】
【0149】
【表3】
【0150】
表1~3の結果から分かるように、少なくとも1つのアルコキシル化ポリオール由来(メタ)アクリレート又は少なくとも1つのキノン誘導体を含む、少なくとも1つの重合阻害剤を含む本発明によるUV硬化性シリコーン組成物のこれらの実施形態は、組成物のゲル化を抑えることができる。そのため、本発明のこれらの実施形態は、メルカプト官能性化合物を含むにもかかわらず、安定で長いポットライフを有するUV硬化性シリコーン組成物を提供することができる。
【0151】
【表4】
【0152】
【表5】
【0153】
表4及び5の結果から分かるように、本発明によるUV硬化性シリコーン組成物のこれらの実施形態は、UV硬化組成物の着色及び組成物のゲル化を抑制することができる。そのため、本発明のこれらの実施形態は、長いポットライフを有する安定なUV硬化性シリコーン組成物であることに加えて、UV照射により透明な硬化物を提供することができる。
【外国語明細書】