IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社IHIの特許一覧

<>
  • 特開-飛行体 図1
  • 特開-飛行体 図2
  • 特開-飛行体 図3
  • 特開-飛行体 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191726
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】飛行体
(51)【国際特許分類】
   B64C 13/18 20060101AFI20221221BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20221221BHJP
   G05D 1/10 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
B64C13/18 Z
B64C27/08
G05D1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100124
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】清水 拓
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA06
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC08
5H301GG09
5H301GG17
(57)【要約】
【課題】外乱の影響を受けた場合であっても、ロータの回転速度を適切に制御して飛行する。
【解決手段】飛行体1は、設定された飛行状態となるようにロータ11~16の回転速度を制御する飛行制御部100と、ロータ11~16のそれぞれについて、回転速度が予め定められた上限回転速度以上となったか否かを判定する判定部110とを備える。判定部110によって、上限回転速度以上となったと判定されたとする。この場合、飛行制御部100は、上限回転速度以上となったロータの回転速度を低下させ、且つ、上限回転速度以上となったロータ側に向けて飛行体1の機体2が傾斜するようにロータ11~16の回転速度を制御する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
6以上のロータを備え、前記ロータの回転速度をそれぞれ独立して制御可能な飛行体であって、
設定された飛行状態となるようにそれぞれの前記ロータの回転速度を制御する制御部と、
前記ロータのそれぞれについて、回転速度が予め定められた上限回転速度以上となったか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記判定部によって前記上限回転速度以上となったと判定された場合、前記制御部は、前記上限回転速度以上となった前記ロータの回転速度を低下させ、且つ、前記上限回転速度以上となった前記ロータ側に向けて前記飛行体の機体が傾斜するように前記ロータの回転速度を制御する、飛行体。
【請求項2】
前記制御部は、
前記機体の姿勢が予め定められた目標姿勢となるように前記ロータの回転速度を制御し、
前記目標姿勢の状態で前記判定部によって前記上限回転速度以上となったと判定された場合、前記上限回転速度以上となった前記ロータの回転速度を低下させ、且つ、前記上限回転速度以上となった前記ロータ側に向けて前記機体が傾斜するように前記ロータの回転速度を制御する、請求項1に記載の飛行体。
【請求項3】
6以上のロータを備え、前記ロータの回転速度をそれぞれ独立して制御可能な飛行体であって、
設定された飛行状態となるようにそれぞれの前記ロータの回転速度を制御する制御部と、
前記ロータのそれぞれについて、回転速度が予め定められた下限回転速度以下となったか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記判定部によって前記下限回転速度以下となったと判定された場合、前記制御部は、前記下限回転速度以下となった前記ロータの回転速度を上昇させ、且つ、前記下限回転速度以下となった前記ロータ側とは反対側に向けて前記飛行体の機体が傾斜するように前記ロータの回転速度を制御する、飛行体。
【請求項4】
前記制御部は、
前記機体の姿勢が予め定められた目標姿勢となるように前記ロータの回転速度を制御し、
前記目標姿勢の状態で前記判定部によって前記下限回転速度以下となったと判定された場合、前記下限回転速度以下となった前記ロータの回転速度を上昇させ、且つ、前記下限回転速度以下となった前記ロータ側とは反対側に向けて前記機体が傾斜するように前記ロータの回転速度を制御する、請求項3に記載の飛行体。
【請求項5】
6以上のロータを備え、前記ロータの回転速度をそれぞれ独立して制御可能な飛行体であって、
設定された飛行状態となるようにそれぞれの前記ロータの回転速度を制御する制御部と、
前記ロータのそれぞれについて、回転速度が予め定められた上限回転速度以上となったか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記制御部は、
前記飛行体が受ける外乱の向きを算出し、
前記判定部によって前記上限回転速度以上となったと判定された場合、前記上限回転速度以上となった前記ロータの回転速度を低下させ、且つ、前記外乱が向かってくる側に向けて前記飛行体の機体が傾斜するように前記ロータの回転速度を制御する、飛行体。
【請求項6】
前記制御部は、
前記機体の姿勢が予め定められた目標姿勢となるように前記ロータの回転速度を制御し、
前記目標姿勢の状態で前記判定部によって前記上限回転速度以上となったと判定された場合、前記上限回転速度以上となった前記ロータの回転速度を低下させ、且つ、前記外乱が向かってくる側に向けて前記機体が傾斜するように前記ロータの回転速度を制御する、請求項5に記載の飛行体。
【請求項7】
6以上のロータを備え、前記ロータの回転速度をそれぞれ独立して制御可能な飛行体であって、
設定された飛行状態となるようにそれぞれの前記ロータの回転速度を制御する制御部と、
前記ロータのそれぞれについて、回転速度が予め定められた下限回転速度以下となったか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記制御部は、
前記飛行体が受ける外乱の向きを算出し、
前記判定部によって前記下限回転速度以下となったと判定された場合、前記下限回転速度以下となった前記ロータの回転速度を上昇させ、且つ、前記外乱が向かってくる側に向けて前記飛行体の機体が傾斜するように前記ロータの回転速度を制御する、飛行体。
【請求項8】
前記制御部は、
前記機体の姿勢が予め定められた目標姿勢となるように前記ロータの回転速度を制御し、
前記目標姿勢の状態で前記判定部によって前記下限回転速度以下となったと判定された場合、前記下限回転速度以下となった前記ロータの回転速度を上昇させ、且つ、前記外乱が向かってくる側に向けて前記機体が傾斜するように前記ロータの回転速度を制御する、請求項7に記載の飛行体。
【請求項9】
6以上のロータを備え、前記ロータの回転速度をそれぞれ独立して制御可能な飛行体であって、
設定された飛行状態とするために必要な推力ベクトルを示す推力指令を生成する推力指令生成部と、
前記飛行体の目標姿勢を示す姿勢指令を生成する目標姿勢生成部と、
前記推力指令及び前記姿勢指令に基づいて、前記ロータのそれぞれの回転速度を制御する回転制御部と、
前記ロータのそれぞれについて、回転速度が予め定められた上限回転速度以上となったか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記判定部によって前記上限回転速度以上となったと判定された場合、前記目標姿勢生成部は、前記推力指令が示す前記推力ベクトルの推力ベクトル方向と前記飛行体の機体鉛直軸とが一致するように前記目標姿勢を設定し、設定した前記目標姿勢に基づいて前記姿勢指令を生成する、飛行体。
【請求項10】
前記判定部は、前記ロータのそれぞれについて、回転速度が前記上限回転速度未満且つ前記上限回転速度より低い第1中間回転速度以上の状態である第1中間回転状態となったか否かを判定し、
前記目標姿勢生成部は、前記判定部によって前記第1中間回転状態となったと判定された場合、前記目標姿勢として第1中間目標姿勢を設定し、設定した前記第1中間目標姿勢に基づいて前記姿勢指令を生成し、
前記第1中間目標姿勢は、前記機体鉛直軸を前記推力ベクトル方向に近づけるための姿勢であり、前記第1中間目標姿勢を設定する前の当初の前記目標姿勢と、前記機体鉛直軸を前記推力ベクトル方向に一致させた姿勢と、の中間の姿勢である、請求項9に記載の飛行体。
【請求項11】
6以上のロータを備え、前記ロータの回転速度をそれぞれ独立して制御可能な飛行体であって、
設定された飛行状態とするために必要な推力ベクトルを示す推力指令を生成する推力指令生成部と、
前記飛行体の目標姿勢を示す姿勢指令を生成する目標姿勢生成部と、
前記推力指令及び前記姿勢指令に基づいて、前記ロータのそれぞれの回転速度を制御する回転制御部と、
前記ロータのそれぞれについて、回転速度が予め定められた下限回転速度以下となったか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記判定部によって前記下限回転速度以下となったと判定された場合、前記目標姿勢生成部は、前記推力指令が示す前記推力ベクトルの推力ベクトル方向と前記飛行体の機体鉛直軸とが一致するように前記目標姿勢を設定し、設定した前記目標姿勢に基づいて前記姿勢指令を生成する、飛行体。
【請求項12】
前記判定部は、前記ロータのそれぞれについて、回転速度が前記下限回転速度を超え且つ前記下限回転速度より高い第2中間回転速度以下の状態である第2中間回転状態となったか否かを判定し、
前記目標姿勢生成部は、前記判定部によって前記第2中間回転状態となったと判定された場合、前記目標姿勢として第2中間目標姿勢を設定し、設定した前記第2中間目標姿勢に基づいて前記姿勢指令を生成し、
前記第2中間目標姿勢は、前記機体鉛直軸を前記推力ベクトル方向に近づけるための姿勢であり、前記第2中間目標姿勢を設定する前の当初の前記目標姿勢と、前記機体鉛直軸を前記推力ベクトル方向に一致させた姿勢と、の中間の姿勢である、請求項11に記載の飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータを備える飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、6枚のロータを備える飛行体が記載されている。この飛行体は、ロータの回転軸の方向が全て同じではなく、回転軸の方向が互いに異なるロータを含んでいる。そして、この飛行体は、回転及び並進方向の運動を合わせた6自由度での運動成分を発生させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-135659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような飛行体では、例えば横方向からの風に対向するため、風上側のロータの回転速度を上昇させ、風下側のロータの回転速度を低下させることがある。つまり、風等の外乱の影響により、6枚のロータの回転速度が互いに異なることがある。この場合、ロータの回転速度が予め定められた作動可能範囲から外れてしまい、飛行体を適切に飛行させることができないことがある。
【0005】
そこで、本発明は、外乱の影響を受けた場合であっても、ロータの回転速度を適切に制御して飛行可能な飛行体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、6以上のロータを備え、ロータの回転速度をそれぞれ独立して制御可能な飛行体であって、設定された飛行状態となるようにそれぞれのロータの回転速度を制御する制御部と、ロータのそれぞれについて、回転速度が予め定められた上限回転速度以上となったか否かを判定する判定部と、を備え、判定部によって上限回転速度以上となったと判定された場合、制御部は、上限回転速度以上となったロータの回転速度を低下させ、且つ、上限回転速度以上となったロータ側に向けて飛行体の機体が傾斜するようにロータの回転速度を制御する。
【0007】
この飛行体は、風等の外乱の影響によってロータの回転速度が上限回転速度以上となった場合、上限回転速度以上となったロータの回転速度を低下させ、且つ、上限回転速度以上となったロータ側に向けて飛行体の機体を傾斜させる。つまり、飛行体は、上限回転速度以上となったロータの回転速度を低下させたとしても、機体を傾斜させる制御を行うことによって、ロータ全体で飛行に必要な推力を維持(調整)することができる。このように、飛行体は、外乱の影響を受けた場合であっても、ロータの回転速度を適切に制御して飛行することができる。
【0008】
上記飛行体において、制御部は、機体の姿勢が予め定められた目標姿勢となるようにロータの回転速度を制御し、目標姿勢の状態で判定部によって上限回転速度以上となったと判定された場合、上限回転速度以上となったロータの回転速度を低下させ、且つ、上限回転速度以上となったロータ側に向けて機体が傾斜するようにロータの回転速度を制御してもよい。この場合、飛行体は、目標姿勢の状態で飛行中に、回転速度が上限回転速度以上のロータが発生した場合であっても、当初の目標姿勢から姿勢を変化させて飛行を継続することができる。
【0009】
本発明の第2の態様は、6以上のロータを備え、ロータの回転速度をそれぞれ独立して制御可能な飛行体であって、設定された飛行状態となるようにそれぞれのロータの回転速度を制御する制御部と、ロータのそれぞれについて、回転速度が予め定められた下限回転速度以下となったか否かを判定する判定部と、を備え、判定部によって下限回転速度以下となったと判定された場合、制御部は、下限回転速度以下となったロータの回転速度を上昇させ、且つ、下限回転速度以下となったロータ側とは反対側に向けて飛行体の機体が傾斜するようにロータの回転速度を制御する。
【0010】
この飛行体は、風等の外乱の影響によってロータの回転速度が下限回転速度以下となった場合、下限回転速度以下となったロータの回転速度を上昇させ、且つ、下限回転速度以下となったロータ側とは反対側に向けて飛行体の機体を傾斜させる。つまり、飛行体は、下限回転速度以下となったロータの回転速度を上昇させたとしても、機体を傾斜させる制御を行うことによって、ロータ全体で飛行に必要な推力を維持(調整)することができる。このように、飛行体は、外乱の影響を受けた場合であっても、ロータの回転速度を適切に制御して飛行することができる。
【0011】
上記飛行体において、制御部は、機体の姿勢が予め定められた目標姿勢となるようにロータの回転速度を制御し、目標姿勢の状態で判定部によって下限回転速度以下となったと判定された場合、下限回転速度以下となったロータの回転速度を上昇させ、且つ、下限回転速度以下となったロータ側とは反対側に向けて機体が傾斜するようにロータの回転速度を制御してもよい。この場合、飛行体は、目標姿勢の状態で飛行中に、回転速度が下限回転速度以下のロータが発生した場合であっても、当初の目標姿勢から姿勢を変化させて飛行を継続することができる。
【0012】
本発明の第3の態様は、6以上のロータを備え、ロータの回転速度をそれぞれ独立して制御可能な飛行体であって、設定された飛行状態となるようにそれぞれのロータの回転速度を制御する制御部と、ロータのそれぞれについて、回転速度が予め定められた上限回転速度以上となったか否かを判定する判定部と、を備え、制御部は、飛行体が受ける外乱の向きを算出し、判定部によって上限回転速度以上となったと判定された場合、上限回転速度以上となったロータの回転速度を低下させ、且つ、外乱が向かってくる側に向けて飛行体の機体が傾斜するようにロータの回転速度を制御する。
【0013】
この飛行体は、風等の外乱の影響によってロータの回転速度が上限回転速度以上となった場合、上限回転速度以上となったロータの回転速度を低下させ、且つ、外乱が向かってくる側に向けて飛行体の機体を傾斜させる。つまり、飛行体は、上限回転速度以上となったロータの回転速度を低下させたとしても、機体を傾斜させる制御を行うことによって、ロータ全体で飛行に必要な推力を維持(調整)することができる。このように、飛行体は、外乱の影響を受けた場合であっても、ロータの回転速度を適切に制御して飛行することができる。
【0014】
上記飛行体において、制御部は、機体の姿勢が予め定められた目標姿勢となるようにロータの回転速度を制御し、目標姿勢の状態で判定部によって上限回転速度以上となったと判定された場合、上限回転速度以上となったロータの回転速度を低下させ、且つ、外乱が向かってくる側に向けて機体が傾斜するようにロータの回転速度を制御してもよい。この場合、飛行体は、目標姿勢で飛行中に回転速度が上限回転速度以上のロータが発生した場合であっても、当初の目標姿勢から姿勢を変化させて飛行を継続することができる。
【0015】
本発明の第4の態様は、6以上のロータを備え、ロータの回転速度をそれぞれ独立して制御可能な飛行体であって、設定された飛行状態となるようにそれぞれのロータの回転速度を制御する制御部と、ロータのそれぞれについて、回転速度が予め定められた下限回転速度以下となったか否かを判定する判定部と、を備え、制御部は、飛行体が受ける外乱の向きを算出し、判定部によって下限回転速度以下となったと判定された場合、下限回転速度以下となったロータの回転速度を上昇させ、且つ、外乱が向かってくる側に向けて飛行体の機体が傾斜するようにロータの回転速度を制御する。
【0016】
この飛行体は、風等の外乱の影響によってロータの回転速度が下限回転速度以下となった場合、下限回転速度以下となったロータの回転速度を上昇させ、且つ、外乱が向かってくる側に向けて飛行体の機体を傾斜させる。つまり、飛行体は、下限回転速度以下となったロータの回転速度を上昇させたとしても、機体を傾斜させる制御を行うことによって、ロータ全体で飛行に必要な推力を維持(調整)することができる。このように、飛行体は、外乱の影響を受けた場合であっても、ロータの回転速度を適切に制御して飛行することができる。
【0017】
上記飛行体において、制御部は、機体の姿勢が予め定められた目標姿勢となるようにロータの回転速度を制御し、目標姿勢の状態で判定部によって下限回転速度以下となったと判定された場合、下限回転速度以下となったロータの回転速度を上昇させ、且つ、外乱が向かってくる側に向けて機体が傾斜するようにロータの回転速度を制御してもよい。この場合、飛行体は、目標姿勢で飛行中に回転速度が下限回転速度以下のロータが発生した場合であっても、当初の目標姿勢から姿勢を変化させて飛行を継続することができる。
【0018】
本発明の第5の態様は、6以上のロータを備え、ロータの回転速度をそれぞれ独立して制御可能な飛行体であって、設定された飛行状態とするために必要な推力ベクトルを示す推力指令を生成する推力指令生成部と、飛行体の目標姿勢を示す姿勢指令を生成する目標姿勢生成部と、推力指令及び姿勢指令に基づいて、ロータのそれぞれの回転速度を制御する回転制御部と、ロータのそれぞれについて、回転速度が予め定められた上限回転速度以上となったか否かを判定する判定部と、を備え、判定部によって上限回転速度以上となったと判定された場合、目標姿勢生成部は、推力指令が示す推力ベクトルの推力ベクトル方向と飛行体の機体鉛直軸とが一致するように目標姿勢を設定し、設定した目標姿勢に基づいて姿勢指令を生成する。
【0019】
この飛行体は、風等の外乱の影響によってロータの回転速度が上限回転速度以上となった場合、推力指令が示す推力ベクトルの推力ベクトル方向と飛行体の機体鉛直軸とが一致するように機体を傾斜させる。つまり、飛行体は、上限回転速度以上となったロータの回転速度を低下させても、機体を傾斜させる制御を行うことによって、ロータ全体で飛行に必要な推力を維持(調整)することができる。このように、飛行体は、外乱の影響を受けた場合であっても、ロータの回転速度を適切に制御して飛行することができる。
【0020】
上記飛行体において、判定部は、ロータのそれぞれについて、回転速度が上限回転速度未満且つ上限回転速度より低い第1中間回転速度以上の状態である第1中間回転状態となったか否かを判定し、目標姿勢生成部は、判定部によって第1中間回転状態となったと判定された場合、目標姿勢として第1中間目標姿勢を設定し、設定した第1中間目標姿勢に基づいて姿勢指令を生成し、第1中間目標姿勢は、機体鉛直軸を推力ベクトル方向に近づけるための姿勢であり、第1中間目標姿勢を設定する前の当初の目標姿勢と、機体鉛直軸を推力ベクトル方向に一致させた姿勢と、の中間の姿勢であってもよい。この場合、飛行体は、風等の外乱の影響によってロータの回転速度が上限回転速度以上となるまで変化する場合であっても、段階的に飛行体の機体を傾斜させて外乱の影響に対応することができる。
【0021】
本発明の第6の態様は、6以上のロータを備え、ロータの回転速度をそれぞれ独立して制御可能な飛行体であって、設定された飛行状態とするために必要な推力ベクトルを示す推力指令を生成する推力指令生成部と、飛行体の目標姿勢を示す姿勢指令を生成する目標姿勢生成部と、推力指令及び姿勢指令に基づいて、ロータのそれぞれの回転速度を制御する回転制御部と、ロータのそれぞれについて、回転速度が予め定められた下限回転速度以下となったか否かを判定する判定部と、を備え、判定部によって下限回転速度以下となったと判定された場合、目標姿勢生成部は、推力指令が示す推力ベクトルの推力ベクトル方向と飛行体の機体鉛直軸とが一致するように目標姿勢を設定し、設定した目標姿勢に基づいて姿勢指令を生成する。
【0022】
この飛行体は、風等の外乱の影響によってロータの回転速度が下限回転速度以下となった場合、推力指令が示す推力ベクトルの推力ベクトル方向と飛行体の機体鉛直軸とが一致するように機体を傾斜させる。つまり、飛行体は、下限回転速度以下となったロータの回転速度を上昇させても、機体を傾斜させる制御を行うことによって、ロータ全体で飛行に必要な推力を維持(調整)することができる。このように、飛行体は、外乱の影響を受けた場合であっても、ロータの回転速度を適切に制御して飛行することができる。
【0023】
上記飛行体において、判定部は、ロータのそれぞれについて、回転速度が下限回転速度を超え且つ下限回転速度より高い第2中間回転速度以下の状態である第2中間回転状態となったか否かを判定し、目標姿勢生成部は、判定部によって第2中間回転状態となったと判定された場合、目標姿勢として第2中間目標姿勢を設定し、設定した第2中間目標姿勢に基づいて姿勢指令を生成し、第2中間目標姿勢は、機体鉛直軸を推力ベクトル方向に近づけるための姿勢であり、第2中間目標姿勢を設定する前の当初の目標姿勢と、機体鉛直軸を推力ベクトル方向に一致させた姿勢と、の中間の姿勢であってもよい。この場合、飛行体は、風等の外乱の影響によってロータの回転速度が下限回転速度以下となるまで変化する場合であっても、段階的に飛行体の機体を傾斜させて外乱の影響に対応することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の種々の態様によれば、外乱の影響を受けた場合であっても、ロータの回転速度を適切に制御して飛行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、実施形態に係る飛行体の概略構成を示す図である。
図2図2は、機体の構成を示すブロック図である。
図3図3は、飛行ECUの機能構成を示すブロック図である。
図4図4(a)~図4(c)は、飛行体の姿勢と各ロータの回転速度との関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一又は相当する要素同士には同一符号を付し、重複する説明を省略する。以下の説明では、本発明が、無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle、以下、「UAV」という)に適用される場合について説明する。
【0027】
図1に示されるように、本実施形態の飛行体1は、中央に配置された機体2と、機体2に対して固定されて外方に延びる6本のフレーム3と、フレーム3の先端部に取り付けられた6枚のロータ10とを備える。すなわち飛行体1は、6枚のロータ10を備えるマルチロータ機(回転翼機)である。UAVである飛行体1は、回転及び並進方向の運動を合わせた6自由度での運動成分を独立に発生可能になっている。
【0028】
図1に示されるように、飛行体1のロータ10は、機体2を通る予め設定された機体鉛直軸Lの周囲に配置された第1ロータ11と、第2ロータ12と、第3ロータ13と、第4ロータ14と、第5ロータ15と、第6ロータ16とを備えている。これらの第1ロータ11~第6ロータ16の間に、機体2が配置されている。このように、飛行体1は、ヘキサコプタ型の飛行体である。
【0029】
機体鉛直軸Lの周囲に配置された6枚のロータ11~16は、本実施形態においては一例として、水平面に沿って延びる六角形の頂点上に配置されている。すなわち、第1ロータ11の回転中心11a、第2ロータ12の回転中心12a、第3ロータ13の回転中心13a、第4ロータ14の回転中心14a、第5ロータ15の回転中心15a及び第6ロータ16の回転中心16aは、六角形の頂点上に配置されている。
【0030】
本実施形態において、6枚のロータ11~16のそれぞれは、回転面が外向きとされた外向きロータである。すなわち、6枚のロータ11~16のそれぞれは、機体鉛直軸Lに対して傾斜する回転軸線を有する。このように、本実施形態において、6枚のロータ11~16の回転軸線の方向は、互いに異なっている。
【0031】
図2に示されるように、機体2は、飛行体1の各部を制御するための飛行ECU(Electronic Control Unit)20と、飛行体1の各部を駆動するための電源であるバッテリ21と、各部に電源を供給するための電源基板22とが搭載されている。各フレーム3の先端部には、第1ロータ11~第6ロータ16のそれぞれを回転させるモータ31~36が取り付けられている。機体2には、これらのモータ31~36の回転速度を制御するための、6個のモータアンプ30が搭載されている。各モータアンプ30には、電源基板22を介してバッテリ21から電力が供給される。各モータアンプ30は、飛行ECU20によって制御されて、モータ31~36が所定の回転速度及び回転方向で回転するように、モータ31~36に電力を供給する。
【0032】
飛行ECU20は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等のハードウェアと、ROMに記憶されたプログラム等のソフトウェアとから構成されたコンピュータである。飛行ECU20は、例えば地上で操作される送信機(図示せず)と無線で通信可能になっている。飛行ECU20は、送信機からの指令を受け、飛行体1の現在の位置及び姿勢に基づいて、所定(目標)の位置、姿勢又は動作にて飛行体1を飛行させるよう、モータアンプ30を介してモータ31~36のそれぞれを制御する。飛行ECU20は、第1ロータ11、第2ロータ12、第3ロータ13、第4ロータ14、第5ロータ15及び第6ロータ16の回転速度をそれぞれ独立して制御可能である。なお、図2において、実線は電源系統を示し、破線は通信系統(制御系統)を示している。
【0033】
機体2には、各種のセンサ類23が搭載されている。これらのセンサ類23は、飛行体1の位置及び姿勢などを推定するための機器である。図2に示される例では、例えば、ジャイロセンサ24、GPS(Global Positioning System)25及び気圧センサ26が設けられている。これらのセンサ類23は、測定結果を示すデータを飛行ECU20に出力する。飛行ECU20は、センサ類23から出力されたセンサデータに基づき、例えば適当な推定アルゴリズム等を用いて、飛行体1の現在の位置及び姿勢を推定する。
【0034】
上記した機器の他にも、機体2には、例えばカメラ、ロボットアーム等の追加機器が搭載され得る。機体2に搭載される機器は、飛行体1に求められる飛行や作業に応じて、適宜変更され得る。
【0035】
次に、図3を参照して、飛行ECU20の機能詳細の一例について説明する。図3に示されるように、飛行ECU20は、機能的には、飛行制御部(制御部)100、及び判定部110を備えている。飛行制御部100は、設定された飛行状態となるよう飛行体1を飛行させるために、各ロータ11~16(モータ31~36)の回転速度をそれぞれ独立して制御する。
【0036】
具体的には、飛行制御部100は、一例として、位置制御部101、速度制御部(推力指令生成部)102、座標変換部103、目標姿勢生成部104、姿勢制御部105、及びミキサー部(回転制御部)106を備えている。なお、図3において、各記号の添え字は、次の意味である。「*」(アスタリスク)は、指令値を意味する。「w」は、ワールド座標を意味する。「b」は、機体座標を意味する。また、図3において、機体2側から各制御部へのセンサ出力のフィードバックは省略されている。
【0037】
位置制御部101は、飛行体1の飛行位置を制御する。位置制御部101は、位置指令(r )に基づいて、飛行の目標位置を算出する。速度制御部102は、飛行体1の移動速度を制御する。速度制御部102は、速度指令(v )に基づいて目標速度を算出する。また、速度制御部102は、飛行体1を飛行させるために必要な推力指令(f )を生成する。この推力指令は、目標位置及び目標速度に基づいて設定された飛行状態とするために必要な推力ベクトルを示している。また、この推力指令は、飛行体1が外乱の影響を受ける場合であっても、外乱の影響を考慮して、目標位置及び目標速度に基づいて設定された飛行状態とするために必要な推力ベクトルを示している。なお、外乱とは、飛行体1が外部から受ける力である。飛行体1が受ける外乱とは、主に風が挙げられる。例えば、推力指令とは、風が吹いている状態でその場でホバリングする際に、風の影響を考慮してその場でホバリングするために必要な推力ベクトルを示している。座標変換部103は、ワールド座標の推力指令を機体座標の推力指令(f )に座標変換する。
【0038】
目標姿勢生成部104は、飛行体1の目標姿勢を算出する。目標姿勢生成部104は、目標姿勢として、例えば、水平姿勢、又は飛行体1で実行すべきミッション上で必要な姿勢(例えば傾斜地への着陸を行う場合には、その傾斜面に並行な姿勢)等を算出する。目標姿勢生成部104は、算出した飛行体1の目標姿勢を示す姿勢指令(p )を生成する。また、目標姿勢生成部104は、推力指令に基づいて目標姿勢を設定することができる。推力指令に基づく目標姿勢の設定について、詳しくは後述する。姿勢制御部105は、目標姿勢を実現するために必要なトルク指令(τ )を生成する。
【0039】
ミキサー部106は、推力指令(f )及びトルク指令(τ )に基づいて、これらの指令に基づく飛行状態を実現するための各ロータ11~16の回転速度を算出する。ミキサー部106は、算出した各ロータ11~16の回転速度を示すロータ回転速度指令を各モータアンプ30に出力し、各ロータ11~16の回転速度を制御する。すなわち、ミキサー部106は、速度制御部102で生成された推力指令及び目標姿勢生成部104によって生成された姿勢指令に基づいて、各ロータ11~16のそれぞれの回転速度を制御する。
【0040】
判定部110は、ミキサー部106から出力されるロータ回転速度指令に基づいて、各ロータ11~16のそれぞれの回転速度を監視する。
【0041】
ここで、例えば、図4(a)に示されるように、飛行体1が、無風の状態のときに、水平姿勢となるようにその場でホバリングしているとする。なお、図4(a)では、図示簡略化のため、第2ロータ12及び第5ロータ15のみ示されている。図4(b)及び図4(c)も同様とする。また、ここでは、第2ロータ12及び第5ロータ15の回転速度を代表して示している。
【0042】
図4(a)に示される飛行体1の飛行状態では、図中左側に位置する第2ロータ12の回転速度と、図中右側に位置する第5ロータ15の回転速度とは同じとなっている。また、第2ロータ12及び第5ロータ15の回転速度は、予め設定された上限回転速度と予め設定された下限回転速度との間の回転速度となっている。他のロータ11,13,14,16についても同様となっている。飛行体1は、各ロータ11~16が発生させた推力の合力によって、その場でホバリングしている。
【0043】
次に、図4(b)に示されるように、飛行体1が右側(第5ロータ15側)から風を受けた場合について説明する。この場合、飛行制御部100は、右からの風に対抗してホバリングできるように、各ロータ11~16の回転速度を制御する。各ロータ11~16のうち例えば第5ロータ15の回転速度は、図4(a)に示される状態よりも高くなる。各ロータ11~16のうち例えば第2ロータ12の回転速度は、図4(a)に示される状態よりも低くなる。
【0044】
判定部110は、上述したように外乱の影響によって変動する各ロータ11~16の回転速度を監視する。本実施形態において、目標姿勢生成部104は、判定部110の判定結果に基づいて目標姿勢を設定し、設定した目標姿勢に基づいて姿勢指令を生成することができる。つまり、目標姿勢生成部104は、判定部110の判定結果に基づいて、当初設定していた目標姿勢を変更する。本実施形態において、判定部110は、各ロータ11~16の回転速度が上限回転速度に近づく場合と、各ロータ11~16の回転速度が下限回転速度に近づく場合の両方の場合を監視する。
【0045】
まず、各ロータ11~16の回転速度が上限回転速度に近づく場合について説明する。判定部110は、各ロータ11~16のそれぞれについて、回転速度が予め定められた上限回転速度以上となったか否かを判定する。この上限回転速度は、一例として、各ロータ11~16の最大回転速度に基づいて予め定められてもよい。
【0046】
判定部110によって、ロータ11~16のいずれかが上限回転速度以上となったと判定されたとする。この場合、目標姿勢生成部104は、速度制御部102で生成された推力指令が示す推力ベクトルの推力ベクトル方向と飛行体1の機体鉛直軸Lとが一致するように目標姿勢を設定する。そして、目標姿勢生成部104は、設定した目標姿勢に基づいて姿勢指令を生成する。これにより、飛行体1の姿勢が傾き、各ロータ11~16間の回転速度の差を減少させることができる。
【0047】
具体的には、例えば、図4(b)に示されるように右から風が吹いている状態とする。このときに速度制御部102は、右からの風に対抗するために推力ベクトル方向が右に傾いた推力指令を生成している。そして、判定部110によって、第5ロータ15の回転速度が上限回転速度以上になったと判定されたとする。この場合、目標姿勢生成部104は、速度制御部102で生成されている推力指令に基づいて目標姿勢を設定(変更)する。このため、図4(c)に示されるように飛行体1は、右側(第5ロータ15側)に傾いた姿勢となる。このように飛行体1を傾斜させることにより、第5ロータ15の回転速度が低下し、第2ロータ12の回転速度が上昇する。
【0048】
このように、飛行制御部100は、各ロータ11~16のいずれかの回転速度が上限回転速度以上となるまでは、当初の目標姿勢の状態を維持する。すなわち、飛行制御部100は、飛行体1(機体2)の姿勢が予め定められた当初の目標姿勢となるように各ロータ11~16の回転速度を制御する。当初の目標姿勢の状態でロータ11~16のいずれかの回転速度が上限回転速度以上となったと判定されたとする。この場合、飛行制御部100は、当初の目標姿勢を変更する。つまり、飛行制御部100は、風速が低い場合には、当初の目標姿勢を維持して飛行する。一方、風速が早くなり、ロータ11~16のいずれかの回転速度が上限回転速度以上となった場合、飛行制御部100は、各ロータ11~16の回転速度の差が小さくなるように姿勢を変化させる。これにより、飛行制御部100は、飛行体1が飛行可能な外乱(風速)の上限を引き上げることができる。
【0049】
換言すると、飛行制御部100は、ロータ11~16のうち回転速度が上限回転速度以上となったロータ側に機体鉛直軸L(機体2)を傾斜させる。つまり、当初の目標姿勢の状態で、判定部110によってロータ11~16のいずれかが上限回転速度以上となったと判定されたとする。この場合、飛行制御部100は、ロータ11~16のうち上限回転速度以上となったロータの回転速度を低下させる。さらに、飛行制御部100は、上限回転速度以上となったロータ側(図4(b)の例では第5ロータ15側)に向けて機体鉛直軸L(機体2)が傾斜するように各ロータ11~16の回転速度を制御する。
【0050】
また、判定部110は、各ロータ11~16のそれぞれについて、回転速度が上限回転速度未満且つ上限回転速度より低い第1中間回転速度以上の状態である、第1中間回転状態となったか否かを判定する。
【0051】
判定部110によって、ロータ11~16のいずれかが第1中間回転状態となったと判定されたとする。この場合、目標姿勢生成部104は、目標姿勢として第1中間目標姿勢を設定し、設定した第1中間目標姿勢に基づいて姿勢指令を生成する。なお、この第1中間目標姿勢は、機体鉛直軸Lを推力指令の推力ベクトル方向に近づけるための姿勢である。さらに、この第1中間目標姿勢は、第1中間目標姿勢を設定する前の当初の目標姿勢と、機体鉛直軸Lを推力ベクトル方向に一致させた姿勢と、の中間の姿勢である。なお、ここでの「中間」とは、2つの姿勢のちょうど中間ではなく、2つの姿勢の間の姿勢であればよい。つまり、第1中間目標姿勢とは、当初の目標姿勢と、上限回転速度以上となったと判定された場合に飛行体1を傾斜させるときの姿勢と、の中間的な姿勢である。
【0052】
次に、各ロータ11~16の回転速度が下限回転速度に近づく場合について説明する。判定部110は、各ロータ11~16のそれぞれについて、回転速度が予め定められた下限回転速度以下となったか否かを判定する。この下限回転速度は、一例として、各ロータ11~16が飛行体1を飛行させるための推力を発生可能な最低回転速度に基づいて予め定められてもよい。
【0053】
判定部110によって、下限回転速度以下となったと判定されたとする。この場合、目標姿勢生成部104は、速度制御部102で生成された推力指令が示す推力ベクトルの推力ベクトル方向と飛行体1の機体鉛直軸Lとが一致するように目標姿勢を設定する。そして、目標姿勢生成部104は、設定した目標姿勢に基づいて姿勢指令を生成する。これにより、飛行体1の姿勢が傾き、各ロータ11~16間の回転速度の差を減少させることができる。
【0054】
具体的には、例えば、図4(b)に示されるように右から風が吹いている状態とする。このときに速度制御部102は、右からの風に対抗するために推力ベクトル方向が右に傾いた推力指令を生成している。そして、判定部110によって、第2ロータ12の回転速度が、下限回転速度以下になったと判定されたとする。この場合、目標姿勢生成部104は、速度制御部102で生成されている推力指令に基づいて目標姿勢を設定(変更)する。このため、図4(c)に示されるように飛行体1は、右側(第5ロータ15側)に傾いた姿勢となる。このように飛行体1を傾斜させることにより、第2ロータ12の回転速度が上昇し、第5ロータ15の回転速度が低下する。
【0055】
このように、飛行制御部100は、各ロータ11~16のいずれかの回転速度が下限回転速度以下となるまでは、当初の目標姿勢の状態を維持する。すなわち、飛行制御部100は、飛行体1(機体2)の姿勢が予め定められた当初の目標姿勢となるように各ロータ11~16の回転速度を制御する。当初の目標姿勢の状態でロータ11~16のいずれかの回転速度が下限回転速度以下となったと判定されたとする。この場合、飛行制御部100は、当初の目標姿勢を変更する。つまり、飛行制御部100は、風速が低い場合には、当初の目標姿勢を維持して飛行する。一方、風速が早くなり、ロータ11~16のいずれかの回転速度が下限回転速度以下となった場合、飛行制御部100は、各ロータ11~16の回転速度の差が小さくなるように姿勢を変化させる。これにより、飛行制御部100は、飛行体1が飛行可能な外乱(風速)の上限を引き上げることができる。
【0056】
換言すると、飛行制御部100は、ロータ11~16のうち回転速度が下限回転速度以下となったロータ側に機体鉛直軸L(機体2)を傾斜させる。つまり、当初の目標姿勢の状態で、判定部110によってロータ11~16のいずれかが下限回転速度以下となったと判定されたとする。この場合、飛行制御部100は、ロータ11~16のうち下限回転速度以下となったロータの回転速度を上昇させる。さらに、飛行制御部100は、下限回転速度以下となったロータ側とは反対側(図4(b)の例では第5ロータ15側)に向けて機体鉛直軸L(機体2)が傾斜するように各ロータ11~16の回転速度を制御する。
【0057】
また、判定部110は、各ロータ11~16のそれぞれについて、回転速度が下限回転速度を超え且つ下限回転速度より高い第2中間回転速度以下の状態である、第2中間回転状態となったか否かを判定する。
【0058】
判定部110によって、ロータ11~16のいずれかが第2中間回転状態となったと判定されたとする。この場合、目標姿勢生成部104は、目標姿勢として第2中間目標姿勢を設定し、設定した第2中間目標姿勢に基づいて姿勢指令を生成する。なお、この第2中間目標姿勢は、機体鉛直軸Lを推力指令の推力ベクトル方向に近づけるための姿勢である。さらに、この第2中間目標姿勢は、第2中間目標姿勢を設定する前の当初の目標姿勢と、機体鉛直軸を推力ベクトル方向に一致させた姿勢と、の中間の姿勢である。なお、ここでの「中間」とは、2つの姿勢のちょうど中間ではなく、2つの姿勢の間の姿勢であればよい。つまり、第2中間目標姿勢とは、当初の目標姿勢と、下限回転速度以下となったと判定された場合に飛行体1を傾斜させるときの姿勢と、の中間的な姿勢である。
【0059】
以上のように飛行体1において、判定部110によって、ロータ11~16のいずれかが上限回転速度以上となったと判定されたとする。この場合、目標姿勢生成部104は、推力指令の推力ベクトル方向と機体鉛直軸Lとが一致するように目標姿勢を設定する。このように、飛行体1は、風等の外乱の影響によってロータ11~16のいずれかの回転速度が上限回転速度以上となった場合、推力指令の推力ベクトル方向と機体鉛直軸Lとが一致するように機体2を傾斜させる。つまり、飛行体1は、ロータ11~16のうち上限回転速度以上となったロータの回転速度を低下させても、機体2を傾斜させる制御を行うことによって、ロータ11~16全体で飛行に必要な推力を維持(調整)することができる。このように、飛行体1は、外乱の影響を受けた場合であっても、ロータ11~16の回転速度を適切に制御して飛行することができる。
【0060】
また、判定部110は、ロータ11~16のそれぞれについて、回転速度が第1中間回転状態となったか否かを判定する。目標姿勢生成部104は、判定部110によって第1中間回転状態となったと判定された場合、目標姿勢として第1中間目標姿勢を設定する。この第1中間目標姿勢は、機体鉛直軸Lを推力ベクトル方向に近づけるための姿勢である。さらに、この第1中間目標姿勢は、第1中間目標姿勢を設定する前の当初の目標姿勢と、機体鉛直軸Lを推力ベクトル方向に一致させた姿勢と、の中間の姿勢である。この場合、飛行体1は、風等の外乱の影響によってロータ11~16のいずれかの回転速度が上限回転速度以上となるまで変化する場合であっても、段階的に機体2を傾斜させて外乱の影響に対応することができる。
【0061】
このように、飛行体1は、推力指令の推力ベクトル方向と機体鉛直軸Lとが一致するように機体2を傾斜させる。換言すると、飛行体1において、判定部110によって、ロータ11~16のいずれかが上限回転速度以上となったと判定されたとする。この場合、飛行制御部100は、ロータ11~16のうち上限回転速度以上となったロータの回転速度を低下させる。さらに、飛行制御部100は、ロータ11~16のうち上限回転速度以上となったロータ側に向けて機体2が傾斜するようにロータ11~16の回転速度を制御する。このように、飛行体1は、風等の外乱の影響によってロータ11~16のいずれかの回転速度が上限回転速度以上となった場合、ロータ11~16のうち上限回転速度以上となったロータの回転速度を低下させ、且つ、上限回転速度以上となったロータ側に向けて機体2を傾斜させる。つまり、飛行体1は、ロータ11~16のうち上限回転速度以上となったロータの回転速度を低下させたとしても、機体2を傾斜させる制御を行うことによって、ロータ11~16全体で飛行に必要な推力を維持(調整)することができる。このように、飛行体1は、外乱の影響を受けた場合であっても、ロータ11~16の回転速度を適切に制御して飛行することができる。
【0062】
また、飛行制御部100は、機体2の姿勢が予め定められた目標姿勢となるようにロータ11~16の回転速度を制御している。目標姿勢の状態で飛行中に、判定部110によってロータ11~16のいずれかが上限回転速度以上となったと判定されたとする。この場合、飛行制御部100は、ロータ11~16のうち上限回転速度以上となったロータの回転速度を低下させ、且つ、上限回転速度以上となったロータ側に向けて機体2が傾斜するようにロータ11~16の回転速度を制御する。この場合、飛行体1は、目標姿勢の状態で飛行中に、ロータ11~16のうち回転速度が上限回転速度以上のロータが発生した場合であっても、当初の目標姿勢から姿勢を変化させて飛行を継続することができる。
【0063】
飛行体1において、判定部110によって、ロータ11~16のいずれかが下限回転速度以下となったと判定されたとする。この場合、目標姿勢生成部104は、推力指令の推力ベクトル方向と機体鉛直軸Lとが一致するように目標姿勢を設定する。このように、飛行体1は、風等の外乱の影響によってロータ11~16のいずれかの回転速度が下限回転速度以下となった場合、推力指令の推力ベクトル方向と機体鉛直軸Lとが一致するように機体2を傾斜させる。つまり、飛行体1は、ロータ11~16のうちの下限回転速度以下となったロータの回転速度を上昇させても、機体2を傾斜させる制御を行うことによって、ロータ11~16全体で飛行に必要な推力を維持(調整)することができる。このように、飛行体1は、外乱の影響を受けた場合であっても、ロータ11~16の回転速度を適切に制御して飛行することができる。
【0064】
また、判定部110は、ロータ11~16のそれぞれについて、回転速度が第2中間回転状態となったか否かを判定する。目標姿勢生成部104は、判定部110によって第2中間回転状態となったと判定された場合、目標姿勢として第2中間目標姿勢を設定する。この第2中間目標姿勢は、機体鉛直軸Lを推力ベクトル方向に近づけるための姿勢である。さらに、第2中間目標姿勢は、第2中間目標姿勢を設定する前の当初の目標姿勢と、機体鉛直軸Lを推力ベクトル方向に一致させた姿勢と、の中間の姿勢である。この場合、飛行体1は、風等の外乱の影響によってロータ11~16のいずれかの回転速度が下限回転速度以下となるまで変化する場合であっても、段階的に機体2を傾斜させて外乱の影響に対応することができる。
【0065】
このように、飛行体1は、推力指令の推力ベクトル方向と機体鉛直軸Lとが一致するように機体2を傾斜させる。換言すると、飛行体1において、判定部110によって、ロータ11~16のいずれかが下限回転速度以下となったと判定されたとする。この場合、飛行制御部100は、ロータ11~16のうち下限回転速度以下となったロータの回転速度を上昇させる。さらに、飛行制御部100は、ロータ11~16のうち下限回転速度以下となったロータ側とは反対側に向けて機体2が傾斜するようにロータ11~16の回転速度を制御する。このように、飛行体1は、風等の外乱の影響によってロータ11~16のいずれかの回転速度が下限回転速度以下となった場合、下限回転速度以下となったロータの回転速度を上昇させ、且つ、下限回転速度以下となったロータ側とは反対側に向けて機体2を傾斜させる。つまり、飛行体1は、ロータ11~16のうち下限回転速度以下となったロータの回転速度を上昇させたとしても、機体2を傾斜させる制御を行うことによって、ロータ11~16全体で飛行に必要な推力を維持(調整)することができる。このように、飛行体1は、外乱の影響を受けた場合であっても、ロータ11~16の回転速度を適切に制御して飛行することができる。
【0066】
また、飛行制御部100は、機体2の姿勢が予め定められた目標姿勢となるようにロータ11~16の回転速度を制御している。目標姿勢の状態で飛行中に、判定部110によって、ロータ11~16のいずれかが下限回転速度以下となったと判定されたとする。この場合、飛行制御部100は、ロータ11~16のうち下限回転速度以下となったロータの回転速度を上昇させ、且つ、下限回転速度以下となったロータ側とは反対側に向けて機体2が傾斜するようにロータ11~16の回転速度を制御する。この場合、飛行体1は、目標姿勢の状態で飛行中に、ロータ11~16のうち回転速度が下限回転速度以下のロータが発生した場合であっても、当初の目標姿勢から姿勢を変化させて飛行を継続することができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記において目標姿勢生成部104は、ロータ11~16のいずれかが上限回転速度以上となった等の場合、推力指令の推力ベクトル方向に機体鉛直軸Lが一致するように目標姿勢を変更した。これに限定されず、目標姿勢生成部104は、推力指令の推力ベクトル方向に代えて、外乱のベクトル方向に基づいて目標姿勢を算出することができる。以下、上記実施形態の変形例として、目標姿勢生成部104が外乱を推定し、目標姿勢を設定する例について説明する。
【0068】
まず、目標姿勢生成部104が行う外乱推定について説明する。目標姿勢生成部104は、一例として、次の式を用いて外乱推定を行う。飛行体1の推力生成から速度生成までのダイナミクスを、次の式(1)とする。
【数1】

目標姿勢生成部104は、飛行体1の運動に寄与した推力成分を、速度計測値に基づいて次の式(2)より推定する。但し、Mは飛行体1の質量であり、sはラプラス演算子である。
【数2】
【0069】
また、飛行体1に対して生じた外乱をdとすると、次の式(3)が成立する。
【数3】

これにより、目標姿勢生成部104は、次の式(4)を用い、速度制御系の出力値と速度計測値とに基づいて、外乱を推定することができる。
【数4】
【0070】
但し、式(4)の右辺の第1項は非プロパーであり、オンラインでの計算が不可能である。このため、演算可能な形式に変換する必要がある。一例として、1次LPF(ローパスフィルタ)を用いてプロパー化した場合、目標姿勢生成部104は、次の式(5)のように外乱をフィルター処理した形での外乱の推定値(dw_filtered)を得ることができる。
【数5】
【0071】
目標姿勢生成部104は、外乱の推定値を算出した後、この外乱の推定値に基づいて飛行体1の目標姿勢を算出する。ここでは、目標姿勢生成部104は、実施形態における推力指令の推力ベクトル方向に代えて、推定した外乱(dw_filtered)ベクトルの逆ベクトルを用いて目標姿勢を算出することができる。
【0072】
例えば、判定部110によって、ロータ11~16のいずれかの回転速度が上限回転速度以上又は下限回転速度以下となったと判定されたとする。この場合、目標姿勢生成部104は、一例として、推定した外乱ベクトルの逆ベクトルに対して機体鉛直軸Lが一致するように、目標姿勢を算出する。そして、目標姿勢生成部104は、算出した目標指令に基づいて姿勢指令を生成する。
【0073】
また、例えば、判定部110によって、ロータ11~16のいずれかが第1中間回転状態となったと判定されたとする。この場合、目標姿勢生成部104は、目標姿勢として第1中間目標姿勢を設定し、設定した第1中間目標姿勢に基づいて姿勢指令を生成する。なお、外乱の推定値を用いる場合の第1中間目標姿勢とは、機体鉛直軸Lを推定した外乱ベクトルの逆ベクトル方向に近づけるための姿勢である。さらに、ここでの第1中間目標姿勢は、第1中間目標姿勢を設定する前の当初の目標姿勢と、機体鉛直軸Lを外乱ベクトルの逆ベクトル方向に一致させた姿勢と、の中間の姿勢である。つまり、第1中間目標姿勢とは、当初の目標姿勢と、上限回転速度以上となったと判定された場合に飛行体1を傾斜させるときの姿勢との中間的な姿勢である。
【0074】
また、例えば、判定部110によって、ロータ11~16のいずれかが第2中間回転状態となったと判定されたとする。この場合、目標姿勢生成部104は、目標姿勢として第2中間目標姿勢を設定し、設定した第2中間目標姿勢に基づいて姿勢指令を生成する。なお、外乱の推定値を用いる場合の第2中間目標姿勢とは、機体鉛直軸Lを推定した外乱ベクトルの逆ベクトル方向に近づけるための姿勢である。さらに、ここでの第2中間目標姿勢は、第2中間目標姿勢を設定する前の当初の目標姿勢と、機体鉛直軸Lを外乱ベクトルの逆ベクトル方向に一致させた姿勢と、の中間の姿勢である。つまり、第2中間目標姿勢とは、当初の目標姿勢と、下限回転速度以下となったと判定された場合に飛行体1を傾斜させるときの姿勢との中間的な姿勢である。
【0075】
このように、飛行制御部100は、判定部110においてロータ11~16のいずれかが上限回転速度以上となった等と判定された場合、当初の目標姿勢を、外乱に基づいて算出された目標姿勢に変更する。この場合、飛行体1の操作者の意図した操作では飛行体1の姿勢は変動せず、外乱に対しては飛行体1の姿勢が変化する。
【0076】
また、飛行体1は、推力指令の推力ベクトル方向に代えて外乱のベクトル方向に基づいて目標姿勢を算出する場合であっても、実施形態と同様に、ロータ11~16の回転速度を適切に制御して飛行することができる。
【0077】
ここで、目標姿勢生成部104は、推定された外乱ベクトルの逆ベクトルに機体鉛直軸Lが一致するように目標姿勢を生成する。換言すると、飛行制御部100は、飛行体1が受ける外乱の向きを算出している。そして、飛行制御部100は、当初の目標姿勢の状態から、外乱が向かってくる側に向けて機体2を傾斜させる制御を行う。
【0078】
より詳細には、判定部110によって、当初の目標姿勢の状態で、ロータ11~16のいずれかが上限回転速度以上となったと判定されたとする。この場合、飛行制御部100は、ロータ11~16のうち上限回転速度以上となったロータの回転速度を低下させる。さらに、飛行制御部100は、外乱が向かってくる側に向けて機体2が傾斜するようにロータ11~16の回転速度を制御する。つまり、飛行体1は、ロータ11~16のうち上限回転速度以上となったロータの回転速度を低下させたとしても、機体2を傾斜させる制御を行うことによって、ロータ11~16全体で飛行に必要な推力を維持(調整)することができる。このように、飛行体1は、外乱の影響を受けた場合であっても、ロータ11~16の回転速度を適切に制御して飛行することができる。また、飛行体1は、目標姿勢で飛行中に、ロータ11~16のうち回転速度が上限回転速度以上のロータが発生した場合であっても、当初の目標姿勢から姿勢を変化させて飛行を継続することができる。
【0079】
一方、判定部110によって、当初の目標姿勢の状態で、ロータ11~16のいずれかが下限回転速度以下となったと判定されたとする。この場合、飛行制御部100は、ロータ11~16のうち下限回転速度以下となったロータの回転速度を上昇させる。さらに、飛行制御部100は、外乱が向かってくる側に向けて機体2が傾斜するようにロータ11~16の回転速度を制御する。つまり、飛行体1は、ロータ11~16のうち下限回転速度以下となったロータの回転速度を上昇させたとしても、機体2を傾斜させる制御を行うことによって、ロータ11~16全体で飛行に必要な推力を維持(調整)することができる。このように、飛行体1は、外乱の影響を受けた場合であっても、ロータ11~16の回転速度を適切に制御して飛行することができる。また、飛行体1は、目標姿勢で飛行中に、ロータ11~16のうち回転速度が下限回転速度以下のロータが発生した場合であっても、当初の目標姿勢から姿勢を変化させて飛行を継続することができる。
【0080】
以上、飛行体1が目標姿勢を変更する他の例を説明したが、これ以外にも、種々の変更が可能である。例えば、飛行体1に搭載されるロータの数は、6枚以上であればよい。また、ロータ11~16のすべてが、回転面が外向きとされた外向きロータであることに限定されない。ロータ11~16には、回転面が内向きとされた内向きロータが1以上含まれていてもよく、全てが内向きロータであってもよい。ロータ11~16は、ロータ11~16の回転軸のすべてが互いに並行な構成でなければよい。ロータ11~16は、飛行体1が6自由度での運動成分を独立に発生可能な構成であればよい。
【0081】
また、上記では、ロータ11~16のいずれかの回転速度が上限回転速度以上となるまで変化する場合に、段階的に機体2を傾斜させる場合を説明した。ここでは、中間的な傾斜の姿勢として第1中間目標姿勢を1段階介在させることを説明したが、中間的な傾斜の姿勢として複数段階介在させる構成であってもよい。この場合、飛行制御部100は、ロータ11~16のいずれかの回転速度が上限回転速度に近いほど、当初の目標姿勢からの傾斜角度を大きくしてもよい。同様に、上記では、ロータ11~16のいずれかの回転速度が下限回転速度以下となるまで変化する場合に、段階的に機体2を傾斜させる場合を説明した。ここでは、中間的な傾斜の姿勢として第2中間目標姿勢を1段階介在させることを説明したが、中間的な傾斜の姿勢として複数段階介在させる構成であってもよい。この場合、飛行制御部100は、ロータ11~16のいずれかの回転速度が下限回転速度に近いほど、当初の目標姿勢からの傾斜角度を大きくしてもよい。
【0082】
また、飛行体1において目標姿勢を保つことが重要ではない場合、判定部110は、必ずしも必要ではない。この場合、飛行制御部100は、ロータ11~16の回転速度の差が少なくなるように常に飛行体1の姿勢を変化させてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 飛行体
2 機体
10 ロータ
11~16 第1ロータ~第6ロータ(ロータ)
100 飛行制御部(制御部)
102 速度制御部(推力指令生成部)
104 目標姿勢生成部
106 ミキサー部(回転制御部)
110 判定部
L 機体鉛直軸
図1
図2
図3
図4