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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191734
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/447 20060101AFI20221221BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20221221BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20221221BHJP
   B41J 2/45 20060101ALI20221221BHJP
   H04N 1/036 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
B41J2/447 101Q
G03G15/00 303
G03G15/04
B41J2/45
H04N1/036
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100144
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 賀久
【テーマコード(参考)】
2C162
2H076
2H270
5C051
【Fターム(参考)】
2C162AE12
2C162AE21
2C162AE28
2C162AE40
2C162AE47
2C162AE73
2C162AF06
2C162AF20
2C162AF47
2C162AF70
2C162AF79
2C162AF82
2C162FA04
2C162FA17
2C162FA23
2C162FA45
2C162FA50
2H076AB42
2H076AB43
2H076AB51
2H076AB54
2H076AB67
2H076AB68
2H076AB71
2H076EA01
2H270KA13
2H270LA32
2H270LC05
2H270MA09
2H270MB01
2H270MB07
2H270MC01
2H270MC20
2H270MC23
2H270MC24
2H270MH09
2H270PA83
5C051AA02
5C051CA08
5C051DA04
5C051DA06
5C051DB02
5C051DB29
5C051DC03
5C051DE02
5C051DE03
(57)【要約】
【課題】露光ヘッドを備える画像形成装置において、感光ドラムの回転速度が遅いモードで画像を形成する場合であっても、感光ドラムにトナーが載り過ぎることを抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置において、CPU73は、通常モードと、感光ドラム1を通常モードの回転速度より遅い速度であって通常モードの回転速度に対してm/n倍した速度で回転させる低速モードを実行可能であり、低速モードにおいて、通常モードで生成されるライン同期信号の周期の1/m倍の周期でライン同期信号が生成するように同期信号生成部74を制御し、且つ、n個のライン同期信号のそれぞれに同期して、露光ヘッド6に同一の画像データ信号をm回送信し、発光部50を発光させない画像データ信号をn-m回送信するようにチップデータ変換部72を制御する。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光ドラムと、
前記感光ドラムの回転軸線方向に沿って配列され、前記感光ドラムを露光するために画像データ信号に基づいて発光する複数の発光部を有する露光ヘッドと、
前記複数の発光部が発光するタイミングを制御する制御信号を所定の周期で生成する制御信号生成部と、
前記複数の発光部を前記画像データ信号に応じて発光させるために、前記制御信号に同期して、前記露光ヘッドに前記画像データ信号を送信する画像データ信号送信部と、
前記制御信号生成部、前記画像データ信号送信部、及び、前記感光ドラムの回転速度を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記感光ドラムを第1の回転速度で回転させる第1モードと、前記感光ドラムを前記第1の回転速度より遅い速度であって前記第1の回転速度に対してm/n倍した速度である第2の回転速度で回転させる第2モードとを実行可能であり、
前記第2モードにおいて、1ライン分の画像をシートに形成するための露光を行うために、前記第1モードで生成される前記制御信号の周期の1/m倍の周期で前記制御信号を生成するように前記制御信号生成部を制御し、且つ、n個の前記制御信号のそれぞれに同期して、前記露光ヘッドに同一の前記画像データ信号をm回送信し、前記複数の発光部を発光させない前記画像データ信号をn-m回送信するように前記画像データ信号送信部を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2モードにおいて、1ライン分の画像をシートに形成するための露光を行うために、n個の前記制御信号のそれぞれに同期して、前記露光ヘッドに同一の前記画像データ信号をm回送信した後、前記複数の発光部を発光させない前記画像データ信号をn-m回送信するように前記画像データ信号送信部を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記露光ヘッドによって前記感光ドラムの表面に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像部と、
前記感光ドラムの表面に形成されたトナー像をシートに転写する転写部と、
シートに転写されたトナー像をシートに定着させる定着部と、
を備え、
前記制御部は、
画像が形成されるシートの坪量に関する情報に基づいて、前記定着部を通過するシートの搬送速度を制御し、
前記定着部を通過するシートの搬送速度が第1の搬送速度の場合、前記第1モードを実行し、
前記定着部を通過するシートの搬送速度が前記第1の搬送速度より遅い第2の搬送速度の場合、前記第2モードを実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複数の発光部は、前記回転軸線方向に配列された前記複数の発光部から構成される発光列が前記回転軸線方向と交差する方向に複数列配列されるように前記露光ヘッドに設けられており、
前記露光ヘッドは、前記感光ドラムの表面における一画素に対応する領域を複数列の前記発光列がそれぞれ有する前記発光部によって多重露光することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記複数の発光部は、前記回転軸線方向及び前記交差する方向に二次元配列され基板上に分離して配置された複数の電極を含む第1電極層と、前記第1電極層に積層され電圧が印加されることで発光する発光層と、前記発光層に対して前記第1電極層が配置されている側とは反対側に配置され光が透過可能な第2電極層とを有することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光ヘッドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置で画像を形成する場合、まず感光ドラムの表面に画像データに応じた光を照射することにより感光ドラムの表面に静電潜像を形成する。その後、現像部によって感光ドラムの表面の静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成し、トナー像をシートに転写し、シートに転写されたトナー像を定着部によって加熱してシートに定着させて画像を形成する。
【0003】
また画像が形成されるシートとして厚紙を用いる場合、普通紙などの坪量が相対的に小さいシートと比較してシートの熱容量が大きいため、トナー像をシートに定着させる際に必要となる熱量が多くなる。そこでシートの搬送速度を通常よりも低速とし、シートに担持されたトナー像を定着部によって加熱する時間を長くすることにより、トナー像やシートにより多くの熱を付与し、厚紙に対してもトナー像を安定的に定着する構成が知られている。即ち、この構成の画像形成装置は、シートを通常の速度で搬送する通常モードと、通常モードより低速でシートを搬送する低速モードを有する。感光ドラムの回転速度はシートの搬送速度に関わるため、低速モードを実行する場合、通常モードを実行する場合よりも感光ドラムの回転速度は遅くなる。
【0004】
また特許文献1では、感光ドラムに光を照射して静電潜像を形成する装置として、LEDや有機ELなどを用いた発光部と、この発光部から照射される光を感光ドラムの表面に結像させるレンズを有する露光ヘッドを備える画像形成装置が記載されている。このように露光ヘッドを用いることで、レーザ光を回転多面鏡により偏向走査して静電潜像を形成するレーザ走査方式の構成と比較して、部品点数の削減を図ることができ、画像形成装置の小型化や製造コストの削減を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-112856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
露光ヘッドを搭載する画像形成装置において、上述した低速モードを実行して画像を形成する場合、通常モードを実行して画像を形成する場合と比較して、感光ドラム上の一画素に対応する領域に照射される光の光量が多くなる。これは低速モードを実行する場合、通常モードを実行する場合と比較して感光ドラムの回転速度が遅いため、感光ドラム上の一画素を対応する領域に光が照射される時間が長くなるからである。この場合、静電潜像を現像部で現像する際にトナーが載り過ぎてしまいトナーの消費量が増加する。
【0007】
そこで本発明は、露光ヘッドを備える画像形成装置において、感光ドラムの回転速度が遅いモードで画像を形成する場合であっても、感光ドラムにトナーが載り過ぎることを抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、感光ドラムと、前記感光ドラムの回転軸線方向に沿って配列され、前記感光ドラムを露光するために画像データ信号に基づいて発光する複数の発光部を有する露光ヘッドと、前記複数の発光部が発光するタイミングを制御する制御信号を所定の周期で生成する制御信号生成部と、前記複数の発光部を前記画像データ信号に応じて発光させるために、前記制御信号に同期して、前記露光ヘッドに前記画像データ信号を送信する画像データ信号送信部と、前記制御信号生成部、前記画像データ信号送信部、及び、前記感光ドラムの回転速度を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記感光ドラムを第1の回転速度で回転させる第1モードと、前記感光ドラムを前記第1の回転速度より遅い速度であって前記第1の回転速度に対してm/n倍した速度である第2の回転速度で回転させる第2モードとを実行可能であり、前記第2モードにおいて、1ライン分の画像をシートに形成するための露光を行うために、前記第1モードで生成される前記制御信号の周期の1/m倍の周期で前記制御信号を生成するように前記制御信号生成部を制御し、且つ、n個の前記制御信号のそれぞれに同期して、前記露光ヘッドに同一の前記画像データ信号をm回送信し、前記複数の発光部を発光させない前記画像データ信号をn-m回送信するように前記画像データ信号送信部を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、露光ヘッドを備える画像形成装置において、感光ドラムの回転速度が遅いモードで画像を形成する場合であっても、感光ドラムにトナーが載り過ぎることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】画像形成装置の断面概略図である。
図2】感光ドラムと露光ヘッドの斜視図と断面図である。
図3】露光ヘッドが備えるプリント基板の実装面を示す図である。
図4】発光素子アレイチップの概略図である。
図5】発光素子アレイチップの断面図である
図6】発光部の配置を説明するための模式図である。
図7】副走査方向に隣接する二つの発光部から出射された光の感光ドラム上の照射位置を説明するための模式図である。
図8】画像コントローラ部と露光ヘッドのシステム構成を示すブロック図である。
図9】チップデータ変換部の構成を示すブロック図である。
図10】発光素子アレイチップのシステム構成を示すブロック図である。
図11】画像データ格納部の回路構成図である。
図12】画像データ格納部における主走査方向の動作を示すタイミングチャートである。
図13】画像データ格納部における通常モード時の副走査方向の動作を示すタイミングチャートである。
図14】アナログ部の構成を示すブロック図である。
図15】駆動部の回路図である。
図16】画像データ格納部における低速モード時の副走査方向の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<画像形成装置>
以下、本発明に係る画像形成装置Aの全体構成を画像形成時の動作とともに図面を参照しながら説明する。なお、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0012】
画像形成装置Aは、イエローY、マゼンダM、シアンC、ブラックKの4色のトナーをシートに画像を転写して画像を形成するフルカラー画像形成装置である。なお、以下の説明において、上記各色のトナーを使用する部材には添え字としてY、M、C、Kを付するものの、各部材の構成や動作は使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同じであるため、区別を要する場合以外は添え字を適宜省略する。
【0013】
図1は、画像形成装置Aの断面概略図である。図1に示す様に、画像形成装置Aは、画像を形成する画像形成部を有する。画像形成部は、感光ドラム1(1Y、1M、1C、10K)、帯電装置2(2Y、2M、2C、2K)、露光ヘッド6(6Y、6M、6C、6K)を備える。また画像形成部は、現像部としての現像装置4(4Y、4M、4C、4K)、転写部としての転写装置5(5Y、5M、5C、5K)、搬送ベルト11を備える。
【0014】
また画像形成装置Aは、ユーザが操作することによって画像形成に関する各種の設定を行うタッチパネル方式の操作部300(検出部)を備える。ユーザは、操作部300を操作することで画像形成の枚数、画像が形成されるシートのサイズなどを指定することができる。またユーザは、操作部300を操作することで、シートカセット99a、99bに収納されているシートSの坪量(例えば厚紙や普通紙、シートの銘柄など)を入力することができる。なお、シートSの坪量は、操作部300から入力するのではなく、例えば搬送経路内に配置したセンサ38(検出部)で測定してもよい。
【0015】
坪量を測定するセンサ38は、例えば透過型の光センサを用いることができる。透過型の光センサは、LEDなどの発光素子とフォトダイオードなどの受光素子の組み合わせで使用される。発光素子から出射されて受光素子へと向かう光をシートSが遮ることで、受光素子が受光する光量が減少する。受光素子は、受光した光量を電圧値に変換し、電圧量に対して所定の閾値を設定することでスイッチとしての機能を果たす。
【0016】
一般的に、画像が形成されるシートSは、坪量が大きくなると、紙厚も大きくなる。坪量の小さい薄紙の場合、LEDから出射される光がシートSを透過する。坪量の大きい厚紙の場合、LEDから出射される光の透過光は殆どない。そこでセンサ38とシートSの坪量との関係に注目し、発光素子の発光量を一定にした状態でセンサ38の間を通過するシートSの先端、又は、後端部分で受光素子の受光量を測定することで、シートSの坪量を予測することができる。この測定位置は、シートSの先端や後端では中央付近と比較して画像が形成されることが少ない傾向にあるため、この部分を利用することで測定精度を上げる狙いがある。
【0017】
また操作部300やセンサ38は、図8に示すCPU73に電気的に接続されている。CPU73は、操作部300又はセンサ38から検出されたシートSの坪量に応じて、シートSを搬送する各種ローラの回転速度を制御し、画像形成時のシートSの搬送速度を設定する。ここでいう搬送速度は、シートSが定着装置94(定着部)を通過するときのシートSの速度と定義する。
【0018】
例えばCPU73は、シートSの坪量が所定以上の厚紙に画像を形成する低速モードを実行する場合、シートSの坪量が所定未満の普通紙に画像を形成する通常モードを実行する場合よりもシートSの搬送速度を低速に設定して画像を形成する。また感光ドラム1の回転速度は、シートSの搬送速度に関係するため、CPU73は、低速モード(第2モード)を実行する場合、通常モード(第1モード)を実行する場合よりも感光ドラム1の回転速度を低速に設定する。
【0019】
これにより坪量が大きいシートSに担持されたトナー像を定着装置94によって加熱する時間を長くしてトナー像やシートSにより多くの熱を付与し、熱容量が大きいシートSに対してもトナー像を安定的に定着することができる。なお、CPU73が、低速モードと通常モードを切り替えるタイミングは上記タイミングに限られるものではない。例えばCPU73は、通常よりも高画質の画像を形成する場合に低速モードを設定し、感光ドラム1の回転方向である副走査方向の解像度を通常モードより多くする構成としてもよい。
【0020】
次に、画像形成装置Aによる画像形成動作について説明する。画像を形成する場合、まずシートカセット99a又はシートカセット99bに収納されたシートSが、ピックアップローラ91a、91b、給送ローラ92a、92b、搬送ローラ93a~93cによってレジストローラ96に送られる。その後、シートSは、レジストローラ96によって所定のタイミングで搬送ベルト11に送り込まれる。
【0021】
一方、画像形成部においては、まず帯電装置2Yにより感光ドラム1Yの表面が帯電させられる。次に、画像読取部90によって読み取られた画像データ又は不図示の外部機器から送信された画像データに応じて露光ヘッド6Yが感光ドラム10Y表面に光を照射し、感光ドラム10Yの表面に静電潜像を形成する。その後、現像装置4Yにより感光ドラム1Yの表面に形成された静電潜像にイエローのトナーを付着させ、感光ドラム1Yの表面にイエローのトナー像を形成する。感光ドラム1Yの表面に形成されたトナー像は、転写装置5Yに転写バイアスが印加されることで、搬送ベルト11によって搬送されているシートSに転写される。
【0022】
同様のプロセスにより、感光ドラム1M、1C、1Kにも、露光ヘッド6M、6C、6Kから光が照射されて静電潜像が形成され、現像装置4M、4C、4Kによってマゼンダ、シアン、ブラックのトナー像が形成される。そして転写装置5M、5C、5Kに転写バイアスが印加されることで、これらのトナー像がシートS上のイエローのトナー像に対して重畳的に転写される。これによりシートSの表面には画像データに応じたフルカラーのトナー像が形成される。
【0023】
その後、トナー像を担持するシートSは、搬送ベルト97によって定着装置94に搬送され、定着装置94において加熱、加圧処理が施される。これによりシートS上のトナー像がシートSに定着される。その後、トナー像が定着されたシートSは、排出ローラ98によって排出トレイ95に排出される。
【0024】
<露光ヘッド>
次に、露光ヘッド6の構成について説明する。
【0025】
図2(a)は、感光ドラム1と露光ヘッド6の斜視図である。図2(b)は、感光ドラム1と露光ヘッド6の断面図である。図3(a)、図3(b)は、露光ヘッド6が備えるプリント基板22の一方側と他方側の実装面を示す図である。図3(c)は、図3(b)に示す領域Vの拡大図である。
【0026】
図2に示す様に、露光ヘッド6は、感光ドラム1の表面と対向する位置に、不図示の固定部材によって固定されている。露光ヘッド6は、光を出射する発光素子アレイチップ40と、発光素子アレイチップ40を実装するプリント基板22を有する。また発光素子アレイチップ40から出射された光を感光ドラム1上に結像(集光)させるロッドレンズアレイ23と、ロッドレンズアレイ23とプリント基板22が固定されるハウジング24を有する。
【0027】
またプリント基板22における発光素子アレイチップ40の実装面と反対側の面にはコネクタ21が実装されている。コネクタ21は、画像コントローラ部70(図8)から送信される発光素子アレイチップ40の制御信号の伝送や電源ラインを接続するために設けられている。発光素子アレイチップ40は、コネクタ21を介して駆動される。
【0028】
図3に示す様に、プリント基板22には、20個の発光素子アレイチップ40が千鳥状に二列に配列されて実装されている。また各々の発光素子アレイチップ40内には、その長手方向(矢印X方向)に所定の解像度ピッチで748個の発光部50が配列されている。また各々の発光素子アレイチップ40内には、その短手方向(矢印Y方向)に所定のピッチで発光部50が配列されている。即ち、各々の発光素子アレイチップ40において、発光部50は矢印X方向と、矢印X方向に直交(交差)する方向である矢印Y方向に二次元配列されている。
【0029】
本実施形態において、発光素子アレイチップ40の上記解像度ピッチは1200dpi(約21.16μm)である。また各々の発光素子アレイチップ40が有する発光部50の長手方向の一端部から他端部までの距離は約15.8mmである。即ち、露光ヘッド6は、矢印X方向に合計で14960個の発光部50を備えており、これにより約316mm(≒約15.8mm×20チップ)の長手方向の画像幅に対応した露光処理が可能となっている。
【0030】
発光素子アレイチップ40の長手方向において、隣接する発光素子アレイチップ40の発光部50の間隔L1は約21.16μmとなっている。つまり各々の発光素子アレイチップ40の境界部において発光部50の長手方向のピッチは1200dpiの解像度のピッチとなっている。また発光素子アレイチップ40の短手方向(矢印Y方向)において、二列に並んだ発光素子アレイチップ40の発光部50の間隔L2は約105μm(1200dpiで5画素分)となっている。
【0031】
本実施形態において、発光素子アレイチップ40の長手方向である矢印X方向は、感光ドラム1の回転軸線方向であり、発光素子アレイチップ40の短手方向である矢印Y方向は、感光ドラム1の回転方向である。また矢印Z方向は、後述する層構造の発光部50の各層が重なる積層方向であり、発光部50の光の出射方向でもある。なお、発光素子アレイチップ40の長手方向は、感光ドラム1の回転軸線方向に対して±1°程度傾いていても構わない。また発光素子アレイチップ40の短手方向も感光ドラム1の回転方向に対して±1°程度傾いていても構わない。
【0032】
<発光素子アレイチップ>
次に、発光素子アレイチップ40の構成について説明する。
【0033】
図4は、発光素子アレイチップ40の概略図である。図5は、図4に示すM-M断面で切断した断面図である。図6は、発光部50の配置を説明するための模式図である。
【0034】
図4に示す様に、発光素子アレイチップ40は、発光部50を制御するための回路部46を内蔵した発光基板42と、複数の発光部50が発光基板42上に規則的に配置された発光領域44と、ワイヤボンディング用パッド48を有する。発光素子アレイチップ40の外部と回路部46との信号の出入力や回路部46への電源供給は、ワイヤボンディング用パッド48を通じて行われる。なお、回路部46は、アナログ駆動回路、デジタル制御回路、又はその両方を含んだ回路を用いることができる。
【0035】
図5に示す様に、発光部50は、発光基板42と、発光基板42上に矢印X方向と矢印Y方向に一定の間隔(図6に示す間隔d1、d2)で二次元配列された複数の下部電極54と、発光層56と、上部電極58から構成されている。
【0036】
下部電極54(複数の電極を有する第1電極層)は、発光基板42上に層状で、且つ、分離して形成された複数の電極であって、各画素に対応して設けられた電極である。つまり各々の下部電極54は、それぞれ一画素を形成するために設けられている。
【0037】
上部電極58(第2電極層)は、発光層56に対する下部電極54が配置された側と反対側の位置において、発光層56に積層されている。上部電極58は、発光層56の発光波長の光を透過させることが可能(透過可能)な電極である。
【0038】
回路部46は、画像データに応じて生成された制御信号に基づいて選択された下部電極54の電位を制御し、選択された下部電極54と上部電極58との間に電位差を生じさせる。陽極である上部電極58と陰極である下部電極54との間に電位差が生じると、陰極から電子が発光層56に流れ込み、陽極から正孔が発光層56に流れ込む。発光層56において電子と正孔が再結合することによって発光層56が発光する。
【0039】
発光層56が発光することで上部電極58に向かう光は、上部電極58を透過して出射される。また発光層56から下部電極54に向かう光は、下部電極54より上部電極58に向けて反射され、その反射光も上部電極58を透過して出射される。このようにして発光部50は光を出射する。なお、発光層56から上部電極58に直接向かって出射される光と、下部電極54より反射されて上部電極58から出射される光との間で出射タイミングに時間差は生じるものの、発光部50の層の厚さは極めて薄いため、ほぼ同時とみなすことができる。
【0040】
なお、本実施形態において、発光基板42はシリコン基板である。上部電極58は、発光層56の発光波長に対して透明であることが好ましい。例えば酸化インジウム錫(ITO)などの透明電極を用いることにより開口率は実質的に100%となって、発光層56で発光された光は上部電極58を通ってそのまま出射される。また本実施形態において、上部電極58は各々の下部電極54に対して共通に設けられた陽極であるが、各々の下部電極54それぞれに対して個別に設ける構成としても、複数の下部電極54毎に一つの上部電極58を設ける構成としてもよい。
【0041】
また発光層56は、有機EL膜や無機EL層などが用いられる。発光層56として有機EL膜を用いる場合、発光層56は電子輸送層、正孔輸送層、電子注入層、正孔注入層、電子ブロック層、正孔ブロック層などの機能層を必要に応じて含む積層構造体であってもよい。また発光層56は矢印X方向に連続的に形成されていても、下部電極54と同等の大きさに分断されていてもよい。また各々の下部電極54を複数のグループに分割し、分割したグループ毎にそのグループに属する下部電極54の上部に一つの発光層56を積層させる構成としてもよい。
【0042】
なお、発光層56として有機EL層や無機EL層などの水分に弱い発光材料を用いる際は発光領域44への水分侵入を阻止するために封止しておくことが望ましい。封止方法としては、例えばシリコンの酸化物、シリコンの窒化物、アルミの酸化物などの薄膜の単体あるいは積層した封止膜を形成する。封止膜の形成方法としては段差などの構造の被覆性能に優れた方法が好ましく、例えば原子層堆積法(ALD法)などを用いることができる。なお、封止膜の材料、構成、形成方法などは一例であり、上述した例には限定されず、適宜好適なものを選択すればよい。
【0043】
また下部電極54は、発光層56の発光波長に対して反射率の高い金属を材料とするのが好ましい。例えばAg、Al、又はAgとAlの合金などが用いられる。また下部電極54は、回路部46の形成と共にSiプロセスを用いて形成され、回路部46の駆動部に直結される。このように下部電極54をSiプロセスによって形成することで、プロセスルールが0.2μm程度で高精度となるため、下部電極54を精度良く高密度に配置できる。さらに下部電極54を高密度に配置できるため、発光領域44の殆どを発光させることができ、発光領域44の利用効率を高めることができる。なお、各々の下部電極54の間には発光層56の有機材料が充填されており、各々の下部電極54は有機材料によって仕切られている。
【0044】
ここで発光部50に流れる電流と発光光量は略比例関係にある。このため、発光部50に流れる電流を制御することにより、発光部50の光量を制御することができる。また発光部50は閾値電圧を有し、発光部50の両端にかかる電圧が閾値電圧以上になると発光部50に電流が流れ始め、その後は電流がほぼ線形的に流れる。各々の発光部50の閾値電圧にはばらつきがあるため、各々の発光部50で電流が流れ始める電圧が若干異なる。そこで工場からの製品出荷前の段階において、発光素子アレイチップ40の発光部50を個別に順次発光させて、ロッドレンズアレイ23を介して集光した光が所定の光量になるように発光部50に流れる電流が調整される。なお、露光ヘッド6は、工場からの製品出荷前の段階において、上述した光量調整だけでなく、発光素子アレイチップ40とロッドレンズアレイ23との間隔を調整するピント調整がなされる。
【0045】
また図6に示す様に、発光部50は、発光領域44において、矢印X方向及び矢印Y方向に所定の間隔で二次元配列されている。つまり一つの発光素子アレイチップ40の発光領域44において、矢印X方向に沿って複数の発光部50が配列されており、この矢印X方向に沿って配列された複数の発光部50により発光列が構成される。この発光列は、矢印Y方向に複数列並んでおり、本実施形態において発光列の列数は6列である。
【0046】
また本実施形態では、発光部50の矢印X方向の幅W1は20.90μmであり、矢印X方向に隣接する発光部50同士の間隔d1は0.26μmである。即ち、発光部50は、矢印X方向において21.16μm(1200dpi)ピッチに配列されている。また発光部50の矢印Y方向の幅W2も幅W1と同様に20.90μmであり、間隔d2も間隔d1と同様に0.26μmであり、発光部50は矢印Y方向においても21.16μm(1200dpi)ピッチに配列されている。つまり本実施形態の発光部50は、一辺を20.90μmとする正方形状をなしており、その面積は436.81μmの大きさとなる。これは一画素の面積447.7456μmに対して約97.6%を占める。有機発光材料はLEDに比較して光量が少ない。これに対して上記のように発光部50を正方形として隣接する発光部50との間の距離を小さくすることで、感光ドラム1の電位を変化させる程度の光量を得るための発光面積を確保することが可能となる。
【0047】
なお、一画素の占有面積に対し90%以上の発光部50の面積を確保することが望ましい。従って、1200dpiの出力解像度の画像形成装置Aに対しては発光部50の一辺の幅を約20.07μm以上で形成することが望ましい。また2400dpiの出力解像度の画像形成装置Aに対しては発光部50の一辺の幅を約10.04μm以上で形成することが望ましい。また発光部50の形状は正方形に限られず、画像形成装置Aの出力解像度に対応する露光領域サイズの光を出射して出力画像の画質が画像形成装置Aの設計仕様を満たすレベルであれば、四角形以上の多角形、円形、楕円形などでもよい。また矢印Y方向に隣接する発光部50同士の間隔d2、発光部50の矢印Y方向の列数は、露光ヘッド6の走査速度、露光処理に必要な光量、解像度などに基づいて決定される。
【0048】
図7は、矢印Y方向において重なる位置にある二つの発光部50から出射された光の感光ドラム1上の照射位置を説明するための模式図である。図7(a)に示す様に、Y方向において重なる位置にある二つの発光部50を同時に点灯させる場合、二つの発光部50から出射された光Hの感光ドラム1上での照射位置は、二つの発光部50の位置関係と同様に感光ドラム1の回転方向(矢印Y方向、副走査方向)にずれる。これに対して図7(b)に示す様に、感光ドラム1の回転速度に応じて二つの発光部50の点灯タイミングを変化させる場合、二つの発光部50から出射された光Hの感光ドラム1上での照射位置を略同一にすることができる。このように矢印Y方向に配列された複数の発光部50から感光ドラム1上の略同一の位置に光を照射することを多重露光と称する。多重露光に用いられる矢印Y方向に配列された発光部50の数が多い程、多重露光を行った際の感光ドラム1上の一部分の受光量は大きくなる。
【0049】
矢印Y方向において重なる位置にある二つの発光部50から出射された光の感光ドラム1上での照射位置を一致させるためには、感光ドラム1の回転方向の下流側の発光部50の点灯タイミングを、上流側の発光部50の点灯タイミングに対して遅延量Tの時間分、遅延させる必要がある。ここで遅延量T(μs)は、感光ドラム1の回転速度をVdr(mm/s)とし、幅W2(μm)、間隔d2(μm)とする場合、次の式1で算出される。
【0050】
(式1)
T=((W2+d2)÷1000)÷Vdr
【0051】
また本実施形態では、各々の発光部50の発光時間の最大値Tw(s)は、副走査方向の一ライン時間に等しくなるように発光信号が生成され、解像度である1200dpiと感光ドラム1の回転速度Vdr(mm/s)から次の式2で表される。
(式2)
Tw=(25.4÷1200)÷Vdr
【0052】
<露光ヘッドのシステム構成>
次に、画像形成装置Aの本体側に設けられた画像コントローラ部70と、露光ヘッド6のシステム構成について説明する。以下では、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの四色のうち単色の処理について説明するものの、画像形成動作を行う場合、上記四色について同様の処理が並列的に行われる。
【0053】
図8は、画像コントローラ部70と露光ヘッド6のシステム構成を示すブロック図である。図8に示す様に、画像コントローラ部70は、画像データ信号生成部71(画像データ信号生成部)、チップデータ変換部72(画像データ信号送信部)、CPU73(制御部)、同期信号生成部74(制御信号生成部)を備える。
【0054】
画像コントローラ部70は、上述した各部により、画像データの処理や画像形成タイミングの処理を行い、露光ヘッド6のプリント基板22に対して露光ヘッド6を制御するための制御信号を送信する。具体的には、制御信号は、画像データ信号、チップセレクト信号、クロック信号、ライン同期信号、CPU73の通信信号であり、これらの信号は画像コントローラ部70から後述する各信号線を介して露光ヘッド6に伝送される。
【0055】
画像データ信号生成部71には、画像読取部90により読み取られた原稿の画像データや外部機器からネットワークを介して転送された画像データが入力される。画像データ信号生成部71は、入力された画像データに対して、CPU73から指示された解像度でディザリング処理を行い、画像を出力するための画像データ信号を生成する。本実施形態では、画像データ信号生成部71は、1200dpiの解像度でディザリング処理を行う。画像データ信号は、3bit幅で濃度値0~7の8階調を表す。濃度値0は最小濃度であり、濃度値7が最大濃度である。なお、CPU73は、画像データ信号生成部71に対し、通信信号線79を介して通信信号を送信して各種の指示を行う。
【0056】
同期信号生成部74は、画像データ信号の主走査方向の1ライン毎の区切りを表すライン同期信号を周期的に生成する。換言すれば、同期信号生成部74は、主走査方向の1ライン分の静電潜像を形成する際に画像データ信号に応じて選択された発光部50が発光を開始するタイミングを制御する制御信号であるライン同期信号を周期的に生成する。CPU73は、通常モードで画像を形成する場合、予め設定された感光ドラム1の回転速度に対し、感光ドラム1表面が回転方向に副走査方向の解像度に対応する画素サイズ移動する周期を1ライン周期とし、同期信号生成部74にライン同期信号の周期を指示する。具体的には、CPU73は、通常モードの実行時において、感光ドラム1が1200dpiの解像度のピッチ(約21.16μm)回転する毎にライン同期信号を生成するように同期信号生成部74に指示する。例えば同期信号生成部74は、通常モードにおいて感光ドラム1が200mm/sで回転する場合、105.8μsの周期でライン同期信号を生成する。
【0057】
チップデータ変換部72は、後述する通り、ラインバッファ15を有し、画像データ信号生成部71から画像データ信号を受信して格納する。そして同期信号生成部74で生成され、ライン同期信号線78を介して入力されたライン同期信号に同期して、CPU73の指示に応じて1ライン分の画像データ信号を各々の発光素子アレイチップ40に分割して画像データ信号線77を介して送信する。またチップデータ変換部72は、チップセレクト信号線75、クロック信号線76を介して、クロック信号及び画像データ信号の有効範囲を表すチップセレクト信号を発光素子アレイチップ40へ送信する。
【0058】
露光ヘッド6が備えるヘッド情報格納部171は、通信信号線79を介してCPU73と接続されている。ヘッド情報格納部171は、ヘッド情報として、各々の発光素子アレイチップ40の発光量や実装位置情報を格納する。またチップセレクト信号線75、クロック信号線76、画像データ信号線77、ライン同期信号線78、通信信号線79は、全て発光素子アレイチップ40に接続されている。発光素子アレイチップ40は、画像コントローラ部70から上述した各信号線を介して入力された各信号の設定値に基づいて、発光部50を発光させる。また各々の発光素子アレイチップ40は、チップセレクト信号線75を介して、他の発光素子アレイチップ40とカスケード接続されている。各々の発光素子アレイチップ40は、他の発光素子アレイチップ40で使用されるチップセレクト信号を生成し、チップセレクト信号線75を介して送信する。
【0059】
<チップデータ変換部>
次に、チップデータ変換部72の構成について説明する。
【0060】
図9は、チップデータ変換部72の構成を示すブロック図である。図9に示す様に、チップデータ変換部72は、ラインバッファ15、バッファ書き込み制御部16、バッファ読み込み制御部17を備える。CPU73は、チップデータ変換部72に制御信号を送信することにより、ラインバッファ15、バッファ書き込み制御部16、バッファ読み込み制御部17を制御する。
【0061】
バッファ書き込み制御部16は、画像データ信号生成部71に受信可能通知信号を送信する。これにより画像データ信号生成部71から画像データ信号が出力される。バッファ書き込み制御部16は、画像データ信号生成部71から出力された画像データ信号を、ラインバッファ15に1ライン毎に格納する。ラインバッファ15は、四つのデータ格納領域(Buf000~Buf003)を有し、Buf000→Buf001→Buf002→Buf003→Buf000→Buf001・・の順番で1ライン分の画像データ信号が格納される。バッファ書き込み制御部16は、ラインバッファ15に画像データ信号を1ライン分格納する度に、書き込み完了通知信号をバッファ読み込み制御部17に送信する。またバッファ書き込み制御部16は、ラインバッファ15のデータ格納領域がフル状態の場合、画像データ信号生成部71への受信可能通知信号の送信を中止して、画像データ信号の出力を停止させる。
【0062】
バッファ読み込み制御部17は、書き込み完了通知信号を受信すると、ライン同期信号に同期して、ラインバッファ15に格納された1ライン分の画像データ信号を各々の発光素子アレイチップ40に割り当てられるように分割し、クロック信号とチップセレクト信号と共に画像データ信号を発光素子アレイチップ40に送信する。またバッファ読み込み制御部17は、1ライン分の画像データ信号を発光素子アレイチップ40に送信し終えると、読み込み完了通知信号をバッファ書き込み制御部16に送信し、ラインバッファ15のデータ格納領域が一つ空いたことを通知する。またバッファ読み込み制御部17は、ラインバッファ15に格納された画像データ信号ではなく、露光ヘッド6の全ての発光部50を非点灯にさせるための画像データ信号をCPU73の指示に応じて発光素子アレイチップ40に送信することもできる。露光ヘッド6の全ての発光部50を非点灯にさせるための画像データ信号は、全て「0」又は「1」の画像データ信号である。
【0063】
<発光素子アレイチップのシステム構成>
次に、発光素子アレイチップ40のシステム構成について説明する。
【0064】
図10は、発光素子アレイチップ40のシステム構成を示すブロック図である。図10に示す様に、発光素子アレイチップ40の回路部46は、デジタル部80とアナログ部86から構成されている。アナログ部86は、後述する通り、デジタル部80で生成されたパルス信号に基づいて、発光部50を駆動させるための信号を生成する。
【0065】
デジタル部80は、通信IF部81、レジスタ部82、チップセレクト信号生成部83、画像データ格納部84、パルス信号生成部85を備える。デジタル部80は、これらの部位により、クロック信号に同期して通信信号により予め設定された設定値、チップセレクト信号、画像データ信号、ライン同期信号に基づいて、発光部50を発光させるためのパルス信号を生成し、アナログ部86へ送信する。
【0066】
通信IF部81は、CPU73から入力された通信信号に基づいて、レジスタ部82に対する設定値のライト及びリードを制御する。レジスタ部82は、動作に必要な設定値を格納する。この設定値には、パルス信号生成部85で生成されるパルス信号の幅情報、ライン同期信号の周期情報、アナログ部86で設定される駆動電流の設定情報、感光ドラム1の通常モード及び低速モードにおける回転速度の情報が含まれる。
【0067】
チップセレクト信号生成部83は、入力されたチップセレクト信号を遅延させ、チップセレクト信号線75を介して接続された他の発光素子アレイチップ40で使用されるチップセレクト信号を生成する。画像データ格納部84は、入力されたチップセレクト信号が有効な間の画像データ信号を保持し、ライン同期信号に同期して、画像データ信号を点灯制御部88に出力する。
【0068】
パルス信号生成部85は、レジスタ部82に格納されたパルス信号の幅情報、及び、ライン同期信号の周期に基づいて、発光部50の発光タイミングを制御するパルス信号を生成し、点灯制御部88に出力する。点灯制御部88は、画像データ格納部84から出力された画像データ信号に基づいて、パルス信号生成部85で生成されたパルス信号をアナログ部86に出力するか否かを発光部50毎に選択し、アナログ部86にパルス信号を出力する。
【0069】
<画像データ格納部>
次に、画像データ格納部84の構成について説明する。
【0070】
図11は、画像データ格納部84の回路構成図である。なお、図11において、画像データ信号を「data」とも記載する。またチップセレクト信号とライン同期信号は負論理信号であるものの、これらは正論理信号であってもよい。
【0071】
図11に示す様に、画像データ格納部84は、クロックゲート回路30と、フリップフロップ回路31~37を有する。フリップフロップ回路31(31-000~31-747)は、画像データ格納部84に入力された画像データ信号dataを大元の入力とし、発光素子アレイチップ40の矢印X方向の発光部50の数と同数の748個が直列接続されている。
【0072】
フリップフロップ回路32~37も同様に、発光素子アレイチップ40の矢印X方向の発光部50の数と同数設けられている(32-000~32-747、33-000~33-747、34-000~34-747、35-000~35-747、36-000~36-747、37-000~37-747)。
【0073】
クロックゲート回路30は、チップセレクト信号の反転信号とクロック信号の論理積を出力とし、チップセレクト信号が有効な時のみフリップフロップ回路31にクロック信号を出力する。フリップフロップ回路31は、クロックゲート回路30から送られてきたクロック信号で動作し、画像データ信号(dly_data_000)を出力する。
【0074】
フリップフロップ回路32-000は、フリップフロップ回路31-000の出力を入力とし、ライン同期信号で動作する。フリップフロップ回路32-000の出力(buf_data_0_000)は、フリップフロップ回路33-000と点灯制御部88に入力される。
【0075】
フリップフロップ回路33-000は、フリップフロップ回路32-000の出力を入力とし、ライン同期信号で動作する。フリップフロップ回路33-000の出力(buf_data_1_000)は、フリップフロップ回路34-000と点灯制御部88に入力される。
【0076】
フリップフロップ回路34-000は、フリップフロップ回路33-000の出力を入力とし、ライン同期信号で動作する。フリップフロップ回路34-000の出力(buf_data_2_000)は、フリップフロップ回路35-000と点灯制御部88に入力される。
【0077】
フリップフロップ回路35-000は、フリップフロップ回路34-000の出力を入力とし、ライン同期信号で動作する。フリップフロップ回路35-000の出力(buf_data_3_000)は、フリップフロップ回路36-000と点灯制御部88に入力される。
【0078】
フリップフロップ回路36-000は、フリップフロップ回路35-000の出力を入力とし、ライン同期信号で動作する。フリップフロップ回路36-000の出力(buf_data_4_000)は、フリップフロップ回路37-000と点灯制御部88に入力される。
【0079】
フリップフロップ回路37-000は、フリップフロップ回路36-000の出力を入力とし、ライン同期信号で動作する。フリップフロップ回路37-000の出力(buf_data_5_000)は、点灯制御部88に入力される。
【0080】
なお、フリップフロップ回路32-001~32-747、33-001~33-747、34-001~34-747、35-001~35-747、36-001~36-747、37-001~37-747の各々も、上述したフリップフロップ回路32-000~37-000と同様に動作する。
【0081】
図12は、画像データ格納部84における主走査方向の動作を示すタイミングチャートである。図12に示す各記号の意味は、図11に示す記号と同じ意味である。図12に示す様に、チップセレクト信号のロー出力をクロック信号の立ち上がりで捉えた時刻T0からT1の間、画像データ信号はdata→dly_data_000→dly_data_001という具合に順にシフトする。チップセレクト信号のロー出力は、クロック信号が主走査方向の発光部50の数と同数である748だけ入力される。これにより1ライン分の画像データ信号がdly_data_000~dly_data_747に保持される。
【0082】
時刻T1以降は、チップセレクト信号はハイであるため、シフト動作は行われずに保持される。時刻T2でライン同期信号のロー出力をクロック信号の立ち上がりで捉えると、dly_data_000→buf_data_0_000→dly_data_001→buf_data_0_001という具合に1ライン分の画像データ信号が一斉にbuf_data_0_000~buf_data_0_747としてシフトして点灯制御部88に出力される。
【0083】
図13は、画像データ格納部84における通常モード時の副走査方向の動作を示すタイミングチャートである。図13に示す各記号の意味は、図11に示す記号と同じ意味である。以下では、図11に示すフリップフロップ回路32-000、33-000、34-000、35-000、36-000、37-000の出力buf_data_0_000、buf_data_1_000、buf_data_2_000、buf_data_3_000、buf_data_4_000、buf_data_5_000について説明する。以下では説明を省略するものの、buf_data_0_001~buf_data_0_747、buf_data_1_001~buf_data_1_747、buf_data_2_001~buf_data_2_747、buf_data_3_001~buf_data_3_747、buf_data_4_001~buf_data_4_747、buf_data_5_001~buf_data_5_747についても同様である。
【0084】
図13に示す様に、ライン同期信号のローからハイへの立ち上がり毎に、dly_data_000→buf_data_0_000、buf_data_0_000→buf_data_1_000という具合にシフトする。このため、時刻S0におけるdly_data_000のB000の値が時刻S1でbuf_data_0_000、時刻S2でbuf_data_1_000、時刻S3でbuf_data_2_000という具合に点灯制御部88に出力される。
【0085】
このように感光ドラム1上で先に露光される発光部50から順にbuf_data_0_000、buf_data_1_000、buf_data_2_000、buf_data_3_000、buf_data_4_000、buf_data_5_000を接続することで多重露光が実現される。
【0086】
<アナログ部>
次に、アナログ部86の構成について説明する。なお、以下の説明では、二つの発光部50を駆動させる二つの駆動部61について説明するものの、全ての発光部50は同様の駆動部61によって同様に駆動される。
【0087】
図14は、アナログ部86の構成を示すブロック図である。図14に示す様に、アナログ部86は、発光部50を駆動させる駆動部61、デジタルアナログ変換器であるDAC62、駆動部選択部67を備える。
【0088】
DAC62は、レジスタ部82で設定されているデータに基づいて、駆動電流を決定するアナログ電圧を信号線63を介して駆動部61に供給する。点灯制御部88から出力されたパルス信号は、信号線66を介して、駆動部61に入力される。このように駆動部61には、駆動電流を決定するアナログ電圧とパルス信号が入力される。そして駆動部61は、これらの信号に基づいて、後述する駆動回路によって発光部50の駆動電流と発光時間を制御する。
【0089】
駆動部選択部67は、レジスタ部82に設定されているデータに基づいて、駆動部61を選択する駆動部セレクト信号を、信号線64、65を介して、二つの駆動部61に供給する。ここで駆動部セレクト信号は、選択された駆動部61に接続されている信号のみがハイとなるように生成される。例えば図14に示す上側の駆動部61が選択される場合、信号線64のみにハイが供給され、信号線65にはローが供給される。二つの駆動部61は、駆動部セレクト信号がハイになるタイミングで、DAC62から駆動電流を決定するアナログ電圧が設定される。このようにCPU73は、レジスタ部82を介して駆動部61を順次選択し、選択した駆動部61のアナログ電圧を設定することにより、一つのDAC62を用いて全ての駆動部61のアナログ電圧を設定する。
【0090】
<駆動部>
次に、駆動部61の構成について説明する。
【0091】
図15は、駆動部61の回路図である。図15に示す様に、駆動部61は、MOSFET112~115、コンデンサ116、インバータ117を備える。
【0092】
MOSFET112は、ゲート電圧の値に応じて発光部50に駆動電流を供給し、ゲート電圧がローレベルの場合、駆動電流がオフ(消灯)するように電流を制御する。MOSFET114のゲートには、信号線63が接続されている。MOSFET114は、信号線66を介して入力されるパルス信号がハイの場合、コンデンサ116に充電された電圧をMOSFET112に受け渡す。
【0093】
MOSFET115は、駆動部選択部67から信号線64を介して送信された駆動部セレクト信号がゲートに接続されている。MOSFET115は、入力された駆動部セレクト信号がハイの場合にオンし、DAC62から出力され、信号線63を介して伝送されたアナログ電圧をコンデンサ116に充電する。本実施形態では、DAC62は、画像形成前のタイミングでコンデンサ116にアナログ電圧を設定し、画像形成動作中はMOSFET115をオフ状態にして電圧レベルを保持し続ける。
【0094】
上記の動作により、MOSFET112は、設定されたアナログ電圧とパルス信号に応じて、駆動電流を発光部50に供給する。また発光部50の入力容量が大きく、オフ時の応答速度が遅い場合、MOSFET113によってオフ時の応答速度を速めることができる。MOSFET113のゲートには、インバータ117によりパルス信号を論理反転させた信号が入力されている。パルス信号がローの場合、MOSFET113のゲートはハイとなり、発光部50の入力容量に充電された電荷を強制的に放電する。
【0095】
<低速モード時の発光部の制御>
上述した通り、CPU73は、画像形成時に通常モードと低速モードとを実行可能であり、これらのモードの切り替えに際して感光ドラム1の回転速度を変化させる。ここでCPU73が、低速モードにおいて、通常モードと同様に、感光ドラム1が副走査方向の解像度に対応する画素サイズの分、回転する時間をライン同期信号の周期として同期信号生成部74を制御する場合、次の課題が生じる。
【0096】
即ち、感光ドラム1の回転速度が低下すると、ライン同期信号の周期が長くなるため、感光ドラム1上の一画素に対応する領域に照射される光の光量が多くなる。例えば低速モード時の感光ドラム1の回転速度が通常モード時の半分の場合、ライン同期信号の周期は通常モード時の2倍となり、感光ドラム1上の一画素に対応する領域に照射される光の光量が2倍となる。感光ドラム1上の一画素に対応する領域に照射される光の光量が多くなる場合、静電潜像を現像する際に感光ドラム1上にトナーが載り過ぎてしまう。
【0097】
これに対し、低速モード時において、通常モード時と比較して、発光部50を駆動させるための電流の値を低くして光量を低下させることにより、感光ドラム1上にトナーが載り過ぎることを抑制する構成が考えられる。しかしながら、発光部50の光量を可変にする構成は、発光部50を駆動させる回路の構成が複雑化する。そこでCPU73は、低速モード時に次に説明する制御を行うことで、感光ドラム1上の一画素に対応する領域に照射される光の光量を減少させて、感光ドラム1上にトナーが載り過ぎることを抑制する。
【0098】
図16は、画像データ格納部84における低速モード時の副走査方向の動作を示すタイミングチャートである。ここでは、低速モードにおける感光ドラム1の回転速度を、通常モードにおける感光ドラム1の回転速度の2/3倍とする場合を想定する。なお、図16に示す各記号の意味は、図11に示す記号と同じ意味である。
【0099】
図16に示す様に、まずCPU73は、同期信号生成部74に対し、低速モードにおけるライン同期信号の周期を、通常モードにおけるライン同期信号の周期の1/2倍とするように指示する。この「1/2」の数値は、次のように決定される。即ち、低速モードにおける感光ドラム1の回転速度が通常モードにおける感光ドラム1の回転速度に対してm/n倍の速度であるとする。なお、低速モードの方が感光ドラム1の回転速度が遅いためm<nである。この場合、CPU73は、まず通常モードのライン同期信号の周期に対するn/m(m/nの逆数)倍の値を求める。ここで求められた値は、低速モードにおいて、感光ドラム1が回転方向に副走査方向の解像度に対応する画素サイズ分、移動する時間である。
【0100】
次に、CPU73は、求めた通常モードのライン同期信号の周期に対するn/m倍の値に対し、更に1/n倍した値を求める。CPU73は、このようにして求められた値をライン同期信号の周期として同期信号生成部74に指示する。なお、このようにして求められた低速モードにおけるライン同期信号の周期は、低速モードにおいて感光ドラム1が副走査方向の解像度に対応する画素サイズ回転する時間をn分割した時間とも言える。
【0101】
つまりCPU73は、感光ドラム1を通常モードの回転速度(第1の回転速度)より遅い速度であって通常モードの回転速度に対してm/n倍した速度(第2の回転速度)で回転させる低速モードを実行する場合、同期信号生成部74を次のように制御する。即ち、CPU73は、低速モードにおいて、通常モードで生成されるライン同期信号の周期の1/m倍の周期でライン同期信号を生成するように同期信号生成部74を制御する。
【0102】
次に、CPU73は、チップデータ変換部72を次のように制御する。即ち、CPU73は、バッファ読み込み制御部17に対し、低速モードにおいて感光ドラム1が副走査方向の解像度に対応する画素サイズ回転する間に生成される三つのライン同期信号のうち、一つ目のライン同期信号、及び、二つ目のライン同期信号に同期して、ラインバッファ15のBuf000から1ライン分の画像データ信号を読み込んで発光素子アレイチップ40に送信させる。つまりバッファ読み込み制御部17は、時刻S0Aで生成される一つ目のライン同期信号、及び、時刻S0Bで生成される二つ目のライン同期信号に同期して、同一の1ライン分の画像データ信号を発光素子アレイチップ40に送信する。
【0103】
次に、CPU73は、バッファ読み込み制御部17に対し、時刻S0Cで生成される三つ目のライン同期信号に同期して、発光部50を発光させない(非点灯とする)画像データ信号を発光素子アレイチップ40に送信させる。これによりバッファ読み込み制御部17は、三つのライン同期信号にそれぞれ同期して露光ヘッド6に送信する三つの画像データ信号のうち、1ライン分の同一の画像データ信号を二回送信し、発光部50を発光させないための画像データ信号を一回送信する。これらのバッファ読み込み制御部17による画像データ信号の送信回数を上記n、mを用いて一般化すると次のようになる。即ち、CPU73は、低速モードにおいて感光ドラム1が副走査方向の解像度に対応する画素サイズ回転する間に生成されるn個のライン同期信号にそれぞれ同期して、1ライン分の同一の画像データ信号をm回出力し、発光部50を発光させないための画像データ信号をn-m回出力するようにバッファ読み込み制御部17を制御する。換言すれば、CPU73は、主走査方向(感光ドラム1の回転軸線方向、シートSの幅方向)に延びる1ライン分の画像をシートSに形成するための露光を行うために、チップデータ変換部72を上記通り制御する。
【0104】
ここでチップデータ変換部72が1ライン分の同一の画像データ信号を発光素子アレイチップ40に二回送信することによって発光部50が発光する時間は、通常モードにおいて感光ドラム1が副走査方向の解像度に対応する画素サイズ回転する間に発光部50が発光する時間と同等である。つまり図16に示す時刻S0Aから時刻S0Bまでの時間は、図13に示す時刻S0から時刻S1までの時間と同じである。また図16に示す時刻S0Aから時刻S0Bまでの時間は、低速モードにおいて感光ドラム1が副走査方向の解像度に対応する画素サイズ回転する時間である。他の時刻も同様である。このため、低速モードにおいて、CPU73がチップデータ変換部72と同期信号生成部74を上記通り制御することで、通常モードと低速モードにおいて、感光ドラム1上の一画素に対応する領域に照射される光の光量を同等することができる。
【0105】
なお、CPU73は、バッファ読み込み制御部17に対し、二つ目のライン同期信号に同期して画像データ信号を露光ヘッド6に送信した後、バッファ書き込み制御部16に読み込み完了通知信号を送信するように指示する。バッファ書き込み制御部16は、読み込み完了通知信号を受信すると、受信可能通知信号を生成して画像データ信号生成部71に出力する。画像データ信号生成部71は、受信可能通知信号を受信すると、次の1ライン分の画像データ信号をバッファ書き込み制御部16に送信する。バッファ書き込み制御部16は、画像データ信号生成部71から受信した次の1ライン分の画像データ信号を空になったラインバッファBuf000に格納する。またCPU73は、バッファ読み込み制御部17に対し、時刻S1Aで生成されるライン同期信号に同期してBuf001から画像データ信号を読み込んでプリント基板22に送信するように指示する。CPU73は、時刻S1B以降も上記制御を繰り返し実行して露光処理を行う。
【0106】
以上をまとめると、CPU73は、感光ドラム1を通常モードの回転速度より遅い速度であって通常モードの回転速度に対してm/n倍した速度で回転させる低速モードを実行する場合、次の制御を行う。即ち、CPU73は、低速モードにおいて、通常モードで生成されるライン同期信号の周期の1/m倍の周期でライン同期信号を生成するように同期信号生成部74を制御する。またCPU73は、主走査方向に延びる1ライン分の画像をシートSに形成するための露光を行うために、同期信号生成部74によって生成されるn個のライン同期信号にそれぞれ同期して、同じ画像データ信号をm回送信し、発光部50を発光させないための画像データ信号をn-m回送信するようにバッファ読み込み制御部17を制御する。これにより通常モードと低速モードにおいて、感光ドラム1上の一画素に対応する領域に照射される光の光量を同等することができる。従って、低速モードにおいて感光ドラム1上にトナーが載り過ぎることを抑制することができる。
【0107】
なお、上記説明では、低速モードにおける感光ドラム1の回転速度を通常モードの2/3倍とする構成を例示したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、通常モードの低速モードの速度差は上記したものに限られず、他の速度差であっても上記同様の効果を得ることができる。
【0108】
また本実施形態では、発光部50の一つ当たりの光量不足を補うために、発光部50を矢印Y方向に複数配置して多重露光を行う構成について説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、発光部50の一つ当たりの光量が高く、矢印Y方向に並ぶ発光部50による多重露光が必要ない場合、発光部50を矢印X方向に沿って複数配設された一列のみ設けて上記制御を行う構成としても、上記同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0109】
1…感光ドラム
6…露光ヘッド
42…発光基板(基板)
50…発光部
54…下部電極(複数の電極を含む第1電極層)
56…発光層
58…上部電極(第2電極層)
72…チップデータ変換部(画像データ信号送信部)
73…CPU(制御部)
74…同期信号生成部(制御信号生成部)
A…画像形成装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15
図16