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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191738
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20221221BHJP
   H05K 7/06 20060101ALI20221221BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
H02G3/16
H05K7/06 C
B60R16/02 610A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100148
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】堀場 一成
(72)【発明者】
【氏名】藤村 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】筒木 正人
【テーマコード(参考)】
5G361
【Fターム(参考)】
5G361BA01
5G361BA02
5G361BA03
5G361BA06
5G361BB01
5G361BC01
5G361BC02
(57)【要約】
【課題】筐体に収容された回路基板と複数の機器との接続を、作業工数や部品点数を削減して省スペースに実現することができる、電気接続箱を開示する。
【解決手段】電気接続箱10は、回路基板130と、電力を各種機器に分配するための分岐回路構成体12と、それらを収容する筐体14と、回路基板130に実装された複数の基板側コネクタ140a~140dが一体化された基板側コネクタモジュール128と、を含み、分岐回路構成体12が、バスバー78a~78dと電気部品82を含んで構成された内部回路と、内部回路を収容するケース76と、ケース76に突設されて内部回路に導通して複数の基板側コネクタ140a~140dにそれぞれ接続される複数の中継コネクタ98a~98dを有し、筐体14に分岐回路構成体12と回路基板130を組み付けた状態で、各基板側コネクタ140a~140dが対応する各中継コネクタ98a~98dに接続されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
バッテリから給電される電力を、各種機器に分配するための分岐回路構成体と、
前記回路基板と前記分岐回路構成体とを収容する筐体と、
前記回路基板に実装された複数の基板側コネクタが一体化された基板側コネクタモジュールと、を含み、
前記分岐回路構成体が、バスバーと電気部品を含んで構成された内部回路と、該内部回路を収容するケースと、前記ケースに突設されて前記内部回路に導通して前記複数の基板側コネクタにそれぞれ接続される複数の中継コネクタを有し、
前記筐体に前記分岐回路構成体と前記回路基板を組み付けた状態で、各前記基板側コネクタが対応する各前記中継コネクタに接続されている、電気接続箱。
【請求項2】
前記回路基板を保持する金属製の保持プレートを含み、
前記保持プレートは、前記筐体に伝熱可能に組み付けられている、請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記保持プレートは、前記基板側コネクタモジュールの外周壁部を囲う保護壁部を有している、請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記回路基板は、オンボードチャージャーを実装しており、前記保持プレートが、前記回路基板に接続されたトランスも保持している、請求項2または請求項3に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記筐体の側壁を貫通する開口部と、
前記開口部を塞いで前記側壁に固定される蓋体と、
前記蓋体を板厚方向に貫通する複数の貫通穴に装着されて前記蓋体の外面から突出する複数の外部接続用コネクタと、
前記蓋体の内面に前記分岐回路構成体の前記ケースが固定されて、前記分岐回路構成体の前記内部回路に設けられた複数の接続部位が、対応する各前記外部接続用コネクタの接続端子に接続されており、
前記複数の外部接続用コネクタと前記蓋体と前記分岐回路構成体を含んで外部接続用コネクタモジュールが構成されている、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気自動車やハイブリッド自動車などの車両に搭載されて、バッテリからの電力を各種の車両搭載機器に分配するために用いられる電気接続箱が示されている。この電気接続箱は、アルミニウム等の金属部材で構成された筐体と、筐体の内部に収容されてECU等の電子装置が実装された回路基板とを含んでいる。筐体には、回路基板に接続される分岐回路構成体や電子装置等の複数の機器が収容されており、それらの機器から延びる複数の電線の端末にも設けられたコネクタや端子が、回路基板の端子台やコネクタに接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-106770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の電気接続箱では、回路基板に対して複数の機器から延びる電線のコネクタや端子をそれぞれ接続する作業が必要となり、接続作業の工数や部品点数の増大が避けられなかった。加えて、回路基板と各機器との間に電線の接続作業用のスペースや電線配置用のスペースを確保する必要があり、電気接続箱の小型化に対応できないおそれがあった。
【0005】
そこで、筐体に収容された回路基板と複数の機器との接続を、作業工数や部品点数を削減して省スペースに実現することができる、電気接続箱を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電気接続箱は、回路基板と、バッテリから給電される電力を、各種機器に分配するための分岐回路構成体と、前記回路基板と前記分岐回路構成体とを収容する筐体と、前記回路基板に実装された複数の基板側コネクタが一体化された基板側コネクタモジュールと、を含み、前記分岐回路構成体が、バスバーと電気部品を含んで構成された内部回路と、該内部回路を収容するケースと、前記ケースに突設されて前記内部回路に導通して前記複数の基板側コネクタにそれぞれ接続される複数の中継コネクタを有し、前記筐体に前記分岐回路構成体と前記回路基板を組み付けた状態で、各前記基板側コネクタが対応する各前記中継コネクタに接続されている、電気接続箱である。
【発明の効果】
【0007】
本開示の電気接続箱によれば、筐体に収容された回路基板と複数の機器との接続を、作業工数や部品点数を削減して省スペースに実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係る電気接続箱の斜視図である。
図2図2は、図1の分解平面拡大図である。
図3図3は、図1の電気接続箱を前方左側から見た際の斜視拡大図であって、バッテリ高圧コネクタを前方側に外した図である。
図4図4は、図1の分解斜視図である(但し、カバー部は削除し、バッテリ高圧コネクタは外さない状態)。
図5図5は、図4に示す外部接続用コネクタモジュールの分解斜視拡大図である。
図6図6は、図5に示す外部接続用コネクタモジュールのさらなる分解斜視図である。
図7図7は、図5に示す分岐回路構成体の分解斜視図である。
図8図8は、図4に示す基板側コネクタモジュールの分解斜視拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の電気接続箱は、
(1)回路基板と、バッテリから給電される電力を、各種機器に分配するための分岐回路構成体と、前記回路基板と前記分岐回路構成体とを収容する筐体と、前記回路基板に実装された複数の基板側コネクタが一体化された基板側コネクタモジュールと、を含み、前記分岐回路構成体が、バスバーと電気部品を含んで構成された内部回路と、該内部回路を収容するケースと、前記ケースに突設されて前記内部回路に導通して前記複数の基板側コネクタにそれぞれ接続される複数の中継コネクタを有し、前記筐体に前記分岐回路構成体と前記回路基板を組み付けた状態で、各前記基板側コネクタが対応する各前記中継コネクタに接続されている、電気接続箱である。
【0010】
この構造によれば、筐体に収容された回路基板には、複数の基板側コネクタが一体化された基板側コネクタモジュールが実装されており、筐体に収容された分岐回路構成体には、内部回路を収容するケースに突設されて、複数の基板側コネクタにそれぞれ接続されて内部回路に導通する複数の中継コネクタを有している。そして、筐体に分岐回路構成体と回路基板をそれぞれ組み付けた状態で、複数の基板側コネクタと複数の中継コネクタを一括して接続することができる。それゆえ、従来構造のように回路基板の端子台等に対して、分岐回路構成体等の機器から延びる電線のコネクタや端子をそれぞれ接続する作業が不要となり、作業工数や部品点数を削減することができる。
【0011】
しかも、分岐回路構成体と回路基板をそれぞれ筐体に組み付けるだけで、複数の基板側コネクタを対応する複数の中継コネクタにそれぞれ接続することが可能である。それゆえ、従来構造のように、回路基板に回路構成体等の機器から延びる電線のコネクタや端子を接続する作業用のスペースや、複数の電線を配置するスペースを筐体の内部に確保することが不要となり、電気接続箱の省スペース化や作業性の向上も図ることができる。
【0012】
(2)前記回路基板を保持する金属製の保持プレートを含み、前記保持プレートは、前記筐体に伝熱可能に組み付けられている、ことが好ましい。回路基板が金属製の保持プレートに保持されて、保持プレートが筐体に伝熱可能に組み付けられていることから、回路基板で発生した熱を合成樹脂等に比して熱伝導率の良好な金属製の保持プレートを介して筐体に伝熱する放熱経路を構築できる。それゆえ、回路基板に発熱の可能性が高いDC/DCコンバータやオンボードチャージャー等の電子装置を実装する場合には、特に有用である。なお、金属製の保持プレートは熱伝導率の良い金属で形成することが好ましく、比較的軽量のアルミニウムやアルミニウム合金等で構成してもよい。
【0013】
(3)前記保持プレートは、前記基板側コネクタモジュールの外周壁部を囲う保護壁部を有している、ことが好ましい。複数の基板側コネクタが一体化された基板側コネクタモジュールの外周壁部を保持プレートの保護壁部により保護できることから、基板側コネクタモジュールの他部材との干渉を抑制できる。さらに、複数の基板側コネクタと複数の中継コネクタとの嵌合時の変形を保持壁部により抑制または阻止することができ、複数の基板側コネクタと複数の中継コネクタとの安定した接続状態の確保や耐久性の確保に寄与し得る。
【0014】
(4)前記回路基板は、オンボードチャージャーを実装しており、前記保持プレートが、前記回路基板に接続されたトランスも保持している、ことが好ましい。回路基板に実装されたオンボードチャージャーやそれに接続されるトランスからの発熱を、保持プレートを介して筐体に伝熱することができ、電気接続箱の放熱性の向上を図ることができる。さらに、トランスと回路基板とを共に保持プレートで保持することができ、トランスと回路基板の接続安定性も確保することができる。
【0015】
(5)前記筐体の側壁を貫通する開口部と、前記開口部を塞いで前記側壁に固定される蓋体と、前記蓋体を板厚方向に貫通する複数の貫通穴に装着されて前記蓋体の外面から突出する複数の外部接続用コネクタと、前記蓋体の内面に前記分岐回路構成体の前記ケースが固定されて、前記分岐回路構成体の前記内部回路に設けられた複数の接続部位が、対応する各前記外部接続用コネクタの接続端子に接続されており、前記複数の外部接続用コネクタと前記蓋体と前記分岐回路構成体を含んで外部接続用コネクタモジュールが構成されている、ことが好ましい。
【0016】
筐体の側壁を貫通して設けられた開口部を塞ぐ蓋体に対して、複数の貫通穴が設けられており、これらの貫通穴に対して複数の外部接続用コネクタが、蓋体の外面から突出するように装着されている。筐体に収容された分岐回路構成体は、蓋体の内面に固定されており、分岐回路構成体の内部回路に設けられた複数の接続部位が対応する外部接続用コネクタの接続端子に接続されている。このように、筐体の側壁から分離された蓋体に対して、複数の外部接続用コネクタと、各外部接続用コネクタが接続する接続部位を有する分岐回路構成体が、固定されている。その結果、外部接続用コネクタと分岐回路構成体の接続部位との寸法公差を低減することができ、従来構造のように、それらの間に電線を介することなく、外部接続用コネクタと分岐回路構成体の接続部位を直接接続することが可能となる。その結果、複数の外部接続用コネクタと複数の接続部位をそれぞれ個別に電線で接続する作業が不要となり、作業工数や部品点数を削減することができる。
【0017】
しかも、分岐回路構成体と外部接続用コネクタが何れも筐体から分離された蓋体に対して組み付けられてモジュール化されることにより、外部接続用コネクタモジュールが構成されている。それゆえ、筐体の外部で分岐回路構成体の接続部位と外部接続用コネクタの接続作業を行って、外部接続用コネクタモジュールを予め構成することができる。さらに、筐体への複数の外部接続用コネクタや分岐回路構成体の組み付けを、外部接続用コネクタモジュールを筐体の開口部に組み付ける単一作業で完了させることができる。それゆえ、従来構造のように、筐体の内部に複数の外部接続用コネクタと複数の接続部位をそれぞれ個別に電線で接続する作業用のスペースを筐体の内部に確保することが不要となり、電気接続箱の省スペース化や作業性の向上も図ることができる。
【0018】
このように、基板側コネクタモジュールと外部接続用コネクタモジュールという2つのモジュール化されたコネクタを、分岐回路構成体に設けられた複数の中継コネクタを介して導通接続することが可能であり、従来構造に比して多数の電線やそれらを対応する接続部位に接続する作業が削減されて、製造作業性の向上や省スペース化が可能な電気接続箱を一層有利に提供できるのである。
【0019】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示の電気接続箱の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0020】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態1の電気接続箱10について、図1から図8を参照しつつ説明する。電気接続箱10は、例えば電気自動車やハイブリッド自動車等の車両(図示せず)に搭載され、バッテリ(図示せず)から給電される電力を、分岐回路構成体12を介して各種機器に分配する。また、電気接続箱10は、分岐回路構成体12を収容する筐体14を有している。なお、電気接続箱10は、任意の向きで配置することができるが、以下では、上下方向,左右方向,前後方向を、図中に示す上下方向,左右方向および前後方向を基準として説明する。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0021】
<筐体14>
筐体14は、金属製であり、筐体14は、例えばアルミダイキャスト製である。図1図2に示すように、筐体14は、上方に向かって開口する矩形の有底箱形状を有する筐体本体16と、筐体本体16の上方開口部を覆蓋するカバー部18を備えている。筐体本体16は、底壁20と、底壁20の周縁部から上方に向かって突出する側壁22を有している。図2および図4に示すように、底壁20の6箇所には、円筒形状の保持プレート支持部24が突設されている。保持プレート支持部24の突出寸法は、側壁22の突出寸法のおよそ半分とされている。保持プレート支持部24は、突出先端部に向かって徐々に小径とされた先細構造となっている。保持プレート支持部24の突出先端部には、円形断面のボルト締結穴26が上方に開口して形成されている。保持プレート支持部24は、外周面から外方に向かって突出して、側壁22あるいは底壁20に連結された平板状の補強プレート部28が設けられている。加えて、筐体14の底壁20の4箇所には、円筒形状の分岐回路構成体支持部30が突設されている。分岐回路構成体支持部30の突出寸法は、側壁22の突出寸法の1/10以下とされている。分岐回路構成体支持部30の突出先端部には、円形断面のボルト締結穴26が上方に開口して形成されている。
【0022】
筐体14の前方側の側壁22には、上方および左右両側に張り出すバッテリ固定部32が一体的に形成されている。例えば図3に示すように、バッテリ固定部32には、周方向で相互に離隔する7箇所に、筐体14を図示しないバッテリの筐体に固定するためのボルト挿通孔34が設けられている。筐体14の前方側の側壁22には、バッテリ固定部32よりも中央側の領域に図示しないバッテリの筐体に設けられた接続部位を収容する矩形状の収容凹所36が前方に向かって開口して形成されている。収容凹所36の中央部には、前方に向かって楕円断面形状で突出する突部38が設けられている。突部38の中央部には、前方および筐体14の内部に向かって開口するバッテリ高圧コネクタ挿通孔40が貫設されている。突部38の右上方および左下方には、突出端部にボルト締結穴26を有する円筒形状のバッテリ高圧コネクタ支持部42が設けられている。なお、バッテリ固定部32を含む筐体14の前方側の側壁22の前面は、図示しないバッテリの筐体への固定面となることから、その外周縁部には、環状のシールゴム41が配設されている。
【0023】
<バッテリ高圧コネクタ44>
図3に示すように、バッテリ高圧コネクタ44は、矩形平板状の固定部46を有している。固定部46には、対角の2箇所にボルト挿通孔34が貫設されている。固定部46の中央部には、前方および後方に向かって突出し左右方向に離隔配置された一対の角筒状の端子保持突部48,48が設けられている。各端子保持突部48内にはそれぞれL字状に屈曲形成されたバスバー50が配設されている。各端子保持突部48の前端部にはそれぞれバスバー50のバッテリ接続部50aが露出されており、各端子保持突部48の後端部にはそれぞれバスバー50の分岐回路構成体接続部50bが露出されている(図2参照)。分岐回路構成体接続部50bには、ボルト挿通孔52が板厚方向に貫設されている。
【0024】
<開口部54>
図4に示すように、筐体本体16の後方側の側壁22には、略全面に亘って切欠かれることにより後方および筐体本体16の内部に向かって開口して筐体本体16の側壁22を貫通する開口部54が設けられている。開口部54の周縁部の10箇所には、ボルト締結穴26が筐体本体16の側壁22を貫通して形成されている。開口部54の周縁部におけるボルト締結穴26の内側には、後方に向かって開口する凹溝状のシール部材収容部56が形成されている。シール部材収容部56内には、環状のゴム製のシール部材58が収容されている。すなわち、シール部材58は、筐体本体16の開口部54の外周縁部と後述する蓋体62との当接面間に挟持されるようになっている。この結果、シール部材58によって蓋体62で塞がれる筐体本体16の開口部54の防水性が向上されている。筐体本体16には、上方開口部から左右方向および前後方向外方に向かって延出する環状のフランジ状部60が設けられている。フランジ状部60には、周方向に離隔した14箇所にボルト締結穴26が設けられている。
【0025】
<蓋体62>
筐体本体16の後方側の側壁22に貫設された開口部54は、蓋体62によって塞がれている。蓋体62は、矩形平板形状を有している。蓋体62において、開口部54の周縁部のボルト締結穴26に対応する位置には、ボルト挿通孔34が貫設されている。蓋体62のボルト挿通孔34を開口部54の周縁部のボルト締結穴26に位置合わせ後、図1に示すようにボルト締結することにより蓋体62が筐体14の後方側の側壁22に固定されるようになっている。図6に示すように、蓋体62には、蓋体62を板厚方向に貫通する複数(本実施形態では8個)の貫通穴64が設けられている。各貫通穴64に対して、外部接続用コネクタ66a,66b,66c,66d,66e,66f,66g,66hがそれぞれ装着されている。例えば図5に示すように、各外部接続用コネクタ66a~66hは、蓋体62にボルト締結されて保持された状態で蓋体62の外面68および内面70から厚さ方向外方に向かって突出している。これにより、蓋体62を利用して、ベース部118に配置される接続部位72a~72hに接続される外部接続用コネクタ66a~66hを安定して保持できる。それゆえ、後述する外部接続用コネクタモジュール156のスペース効率や接続安定性の向上を図ることができる。蓋体62の外面68から突出した外部接続用コネクタ66a~66hは、図示しない各種機器に接続されたコネクタと接続されるようになっている。また、図2図5および図6に示すように、蓋体62の内面70から突出した外部接続用コネクタ66a~66hは、分岐回路構成体12に設けられた接続部位72a~72hと接続されるようになっている。さらに、図5に示すように、蓋体62の内面70には、左右方向に離隔する3箇所に略筒状の分岐回路構成体固定部74が突設されている。分岐回路構成体固定部74の突出先端部には、前方に向かって開口する円形断面形状のボルト締結穴26が形成されている。
【0026】
<カバー部18>
図1および図2に示すように、筐体本体16の上方開口部を覆蓋するカバー部18は、下方に向かって開口する矩形浅底の有底箱形状を有している。カバー部18には、下方開口部から左右方向および前後方向外方に向かって延出する環状のフランジ状部75が設けられている。フランジ状部75には、筐体本体16のボルト締結穴26に対応した14箇所にボルト挿通孔34が設けられている。カバー部18が筐体本体16にボルト締結されることにより、筐体本体16の側壁22の上面に配設されたシールゴム73が、筐体本体16の側壁22の上面とカバー部18のフランジ状部75との間で挟持され、シール性が確保されている。
【0027】
<分岐回路構成体12>
分岐回路構成体12は、例えば図7に示すように、車両搭載時において下方に位置するロアケース76aと上方に位置するアッパケース76bを備えており、ロアケース76aとアッパケース76bを含んでケース76が構成されている。ケース76は、絶縁性の合成樹脂を所定の形状に射出成形してなる。ケース76を構成する合成樹脂は、ガラスファイバー等のフィラーを含んでいてもよい。ケース76は、例えば図2に示すように平面視で略T字形状を有している。ケース76の内部には、例えば図7に示すように、前後方向に延び出すバスバー78aが配設されている。バスバー78aは、バッテリ高圧コネクタ44を介してバッテリに接続されて高電圧が印加される。バスバー78aの後方右側には、例えば12V電源に接続されるバスバー78bやAC電源に接続されるバスバー78cが配設されている。バスバー78bとバスバー78cの間には、後述する基板側コネクタモジュール128で生成された低電圧電源を基板側コネクタ140bから中継コネクタ98bを介して外部接続用コネクタ66bに伝達するためのワイヤハーネス80が収容されている。バスバー78aの後方左側には、バスバー78aに対して電気部品であるヒューズ82を介して接続されるバスバー78dが配設されている。
【0028】
<アッパケース76b>
アッパケース76bは、平面視でロアケース76aよりやや大きい相似形状を有している。アッパケース76bもロアケース76aと相似の略T字形状を有している。アッパケース76bにおいて前方に向かって延び出す部位の前端部には、左右方向に離隔して一対のバスバー挿通孔84,84が貫設されている。図7に示すように、バスバー78aの前端部がクランク状に屈曲されてバスバー挿通孔84から外部に露出されるようになっている。図2に示すように、このバスバー78aの前端部に対してクランク状に屈曲形成された中継バスバー86の後端部を接続し、中継バスバー86の先端部をバッテリ高圧コネクタ44の分岐回路構成体接続部50bに接続する。これにより、バッテリからバスバー78aに高電圧が供給されるようになっている。例えば図5に示すように、アッパケース76bの前端部の左右両端側には、外方に向かって矩形平板形状で突出する脚部88が設けられている。また、アッパケース76bにおいて左右方向に向かって延び出す部位にも、左右両端部の前方側において外方に向かって矩形平板形状で突出する脚部88が設けられている。各脚部88の中央部には、円形断面形状のボルト挿通孔90が貫設されている。
【0029】
加えて、アッパケース76bの後端部において左右方向に向かって延び出す天壁部92の前方右側には、後述する基板側コネクタ140a~140dに対応する位置に4つの中継コネクタハウジング94a,94b,94c,94dが設けられている。4つの中継コネクタハウジング94a~94dはいずれも天壁部92から上方に向かって突出し上下方向に開口する角筒形状を有している。中継コネクタハウジング94aの後方には、一対のバスバー挿通孔96,96が貫設されている。そしてロアケース76aに配設されたバスバー78bの後端部がクランク状に屈曲されて、バスバー挿通孔96から外部に露出されるようになっている(図7参照)。この外部に露出されたバスバー78bの後端部によって、接続部位72aが構成されている。また、ロアケース76aに配設されたバスバー78bの先端部が上方に向かってL字状に屈曲されて、中継コネクタハウジング94a内に配設されている。中継コネクタハウジング94a内に一対のバスバー78b,78bの先端部が配置されることにより、中継コネクタ98aが構成されている。そして、バスバー78bの後端部に対してクランク状に屈曲形成された中継バスバー110の先端部を接続し、中継バスバー110の後端部を外部接続用コネクタ66a内の接続端子112に接続する(図5参照)。これにより、例えば12V電源が外部接続用コネクタ66aから供給されるようになっている。
【0030】
図7に示すように、アッパケース76bの後端部において左右方向に向かって延び出す天壁部92の前後方向中央部にも、一対のバスバー挿通孔100,100が貫設されている。ロアケース76aに配設されたバスバー78aの後端部がクランク状に屈曲されて、バスバー挿通孔100から外部に露出されるようになっている。図5に示すように、この外部に露出されたバスバー78aの後端部によって、接続部位72eが構成されている。そして、バスバー78aの後端部に対してクランク状に屈曲形成された中継バスバー114の先端部を接続し、中継バスバー114の後端部を外部接続用コネクタ66e内の接続端子116に接続する。これにより、バッテリの高電圧が外部接続用コネクタ66eから供給されるようになっている。ロアケース76aに配設されたバスバー78aの後方側には、L字状の一対のバスバー102,102が組み付けられている。より詳細には、バスバー102の一端部はバスバー78aの後方側にボルト締結されており、バスバー102の他端部は上方に向かってL字状に屈曲されて、中継コネクタハウジング94d内に収容されている。中継コネクタハウジング94d内に一対のバスバー102,102の他端部が収容されることにより、中継コネクタ98dが構成されている。
【0031】
さらに、図5に示すように、中継コネクタハウジング94bの後方側には、筒形状の中間コネクタハウジング104aが設けられている。中間コネクタハウジング104aは天壁部92から上方に向かって突出する筒形状を有している。中継コネクタハウジング94b内にはワイヤハーネス80の一端部に接続された棒状の端子80aが収容されて中継コネクタ98bが構成されている。中間コネクタハウジング104a内にはワイヤハーネス80の他端部に接続された棒状の端子80aが収容されて中間コネクタ106aが構成されている。この中間コネクタ106aによって、接続部位72bが構成されている。中継コネクタハウジング94cの後方側には、筒形状の一対の中間コネクタハウジング104b,104bが設けられている。中間コネクタハウジング104bは天壁部92から上方に向かって突出する筒形状を有している。中継コネクタハウジング94c内に4本のバスバー78cの一端部が上方に向かってL字形状に屈曲形成されて配設されて、中継コネクタ98cが構成されている。中間コネクタハウジング104b内にはそれぞれ2本のバスバー78cの他端部が上方に向かってL字形状に屈曲形成されて配設されて、一対の中間コネクタ106b,106bが構成されている。この一対の中間コネクタ106b,106bによってそれぞれ、接続部位72c,72dが構成されている。
【0032】
アッパケース76bの後端部において左右方向に向かって延び出す天壁部92の左端部には、筒形状の3個の中間コネクタハウジング104cが設けられている。中間コネクタハウジング104cは天壁部92から上方に向かって突出する筒形状を有している。各中間コネクタハウジング104c内には、ヒューズ82を介してバスバー78aに接続されたバスバー78dの一端部が上方に向かってL字形状に屈曲形成されて配設されている。加えて、各中間コネクタハウジング104c内には、グランド電位に接続されたグランドバスバー108の一端部が上方に向かってL字形状に屈曲形成されて配設されている。これにより、各中間コネクタ106cが構成されている。この3個の中間コネクタ106cによってそれぞれ、接続部位72f,72g,72hが構成されている。
【0033】
<ケース76>
ケース76は、アッパケース76bとロアケース76aを含んで構成されている。ケース76は、バスバー78a~78dと電気部品であるヒューズ82を含んで構成された内部回路を収容している。ケース76は、アッパケース76bとロアケース76aが組み付けられたベース部118と、ベース部118から立ち上がる立板部120を有している。また、分岐回路構成体12のケース76のベース部118の一部領域(本実施形態では前端側の右方側)には4個の中継コネクタ98a~98dが集約して突設されており、後述する4個の基板側コネクタ140a~140dにそれぞれ接続されてケース76内の内部回路に導通するようになっている。すなわち、筐体本体16内に分岐回路構成体12と後述する回路基板130を組み付けた状態で、各基板側コネクタ140a~140dが対応する各中継コネクタ98a~98dに一括して接続されるようになっている。
【0034】
<立板部120>
図5~7に示すように、立板部120は、矩形平板形状を有しており、アッパケース76bの側壁122の後端側に連結されて天壁部92を越えて上方に向かって突設されている。立板部120には、8箇所に略矩形断面形状の切欠部124a,124b,124c,124d,124e,124f,124g,124hが貫設されている。切欠部124aおよび124eにはそれぞれ、ベース部118に配置された接続部位72a,72eに中継バスバー110,114を介して接続される外部接続用コネクタ66a,66eが組み付けられて支持されている。また、切欠部124b~124dおよび124f~124hにはそれぞれ、ベース部118に配置された接続部位72b~72dおよび72f~72hに図示しない通電部品を介して接続される外部接続用コネクタ66b~66dおよび66f~66hが組み付けられて支持されている。立板部120の上部の3箇所には、ボルト挿通孔126が貫設されている。立板部120のボルト挿通孔126を蓋体62における分岐回路構成体固定部74のボルト締結穴26に位置合わせ後、ボルト締結することにより立板部120が蓋体62の内面70に接触して固定されるようになっている。アッパケース76bに立板部120を設けることにより、蓋体62に接触する面積を広く確保することができる。それゆえ、蓋体62と分岐回路構成体12のケース76との固定強度を向上させることができる。また、立板部120を利用して、ベース部118に配置される接続部位72a~72hに接続される外部接続用コネクタ66a~66hを安定して保持できる。それゆえ、後述する外部接続用コネクタモジュール156のスペース効率や接続安定性の向上を図ることができる。
【0035】
<回路基板130>
筐体14内には、回路基板130が収容されており、回路基板130には、後述する基板側コネクタモジュール128が実装されている。図8に示すように、回路基板130は、金属製の矩形平板状の保持プレート132に保持されている。回路基板130は、例えばガラスエポキシ樹脂などの公知の絶縁材料で形成された略矩形の平板形状を有しており、回路基板130上には、図示しないプリント配線により給電パターンが形成されている。本実施形態では、回路基板130は、オンボードチャージャーを実装している。また、金属製の保持プレート132は熱伝導率の良い金属で形成することが好ましく、比較的軽量のアルミニウムやアルミニウム合金等で構成してもよい。回路基板130上には、2組の一対の接続部位134,134が設けられている。各接続部位134は、回路基板130に突設された絶縁性の端子固定部134aと、端子134bを有している。端子134bは、L字状に屈曲されて、一端部が回路基板130のプリント配線に半田付け等によって接続されている。端子134bの他端部は、端子固定部134aの突出端面上に載置されている。一対の接続部位134,134の一方側(右方側)の組は、回路基板130から例えば12V電源が給電されている。一対の接続部位134,134の他方側(左方側)の組には、例えばバッテリに接続されて回路基板130に高電圧電源が給電されている。
【0036】
<保持プレート132>
保持プレート132は、例えばアルミダイキャスト製とされている。保持プレート132の右方側には、回路基板130が保持されている。保持プレート132の左方側には、トランス136が保持されている。後述するように、保持プレート132は筐体14に対して伝熱可能に組み付けられていることから、回路基板130やトランス136で発生した熱を保持プレート132を介して筐体14に伝熱できる。それゆえ、電気接続箱10の放熱性の向上を図ることができ、トランス136も回路基板130に安定的に接続できる。トランス136は図示しない接続構造によって回路基板130に接続されている。トランス136を用いてバッテリの高電圧が所望の電圧に変圧されている。保持プレート132の右方側の後端部には、矩形枠体状の基板側コネクタ収容部138が後方に向かって突出して設けられている。基板側コネクタ収容部138には、基板側コネクタモジュール128を構成する一体化された4つの基板側コネクタ140a,140b,140c,140dが収容されるようになっている。基板側コネクタ収容部138の後方側の周壁はその他の部分の周壁よりも上方に向かって大きな突出寸法で突出している。この後方側の周壁によって、基板側コネクタモジュール128を構成する4つの基板側コネクタ140a~140dの外周壁部を囲う保護壁部142が構成されている。これにより、基板側コネクタモジュール128の他部材との干渉を抑制できる。また、基板側コネクタ140a~140dと中継コネクタ98a~98dとの嵌合時の変形を保護壁部142により抑制または阻止することができる。この結果、基板側コネクタ140a~140dと中継コネクタ98a~98dとの安定した接続状態の確保や耐久性の確保に寄与し得る。加えて、基板側コネクタ収容部138の左右方向両端部にはそれぞれ固定脚部144が外方に向かって突設されている。また、保持プレート132の外周縁部の6箇所には、脚部146が設けられている。
【0037】
<基板側コネクタモジュール128>
4つの基板側コネクタ140a~140dは一体化されて基板側コネクタモジュール128を構成している。基板側コネクタモジュール128の左右方向両端部にはそれぞれ脚部148が外方に向かって突設されている。基板側コネクタモジュール128は、脚部148を保持プレート132の固定脚部144に対してボルト締結することにより保持プレート132に固定されている。そして、基板側コネクタモジュール128を構成する4つの基板側コネクタ140a~140dは、保持プレート132に装着された回路基板130に実装されている。より詳細には、基板側コネクタ140a,140dはそれぞれ、クランク状に屈曲形成された一対の中継端子150,150を介して接続部位134上の端子134bにボルト締結され接続されている。また、基板側コネクタ140bは、中継用コネクタ152を介して回路基板130内の低圧電源ラインにつながるプリント配線に接続されている。さらに、基板側コネクタ140cは、端子付電線154を介して回路基板130内のAC電源ラインにつながるプリント配線に接続されている。
【0038】
<電気接続箱10の組立方法>
本開示の実施形態1の電気接続箱10の組立方法の概略について説明する。はじめに、筐体14を構成する筐体本体16とカバー部18を準備する。続いて、分岐回路構成体12と蓋体62と外部接続用コネクタ66a~66hを準備する。蓋体62の貫通穴64に外部接続用コネクタ66a~66hを装着後、外部接続用コネクタ66a~66hを蓋体62に対してボルト締結する。そして、蓋体62の内面70に設けられた分岐回路構成体固定部74のボルト締結穴26に対して、分岐回路構成体12の立板部120に設けられたボルト挿通孔126を位置合わせ後ボルト締結する。これにより、蓋体62の内面70に分岐回路構成体12のケース76が固定されるようになっている。そして、蓋体62の内面70から突出した外部接続用コネクタ66a~66hを、分岐回路構成体12の内部回路に設けられた接続部位72a~72hに対して接続する。例えば、外部接続用コネクタ66aの接続端子112を中継バスバー110を用いて接続部位72aに対して接続する。この結果、外部接続用コネクタ66a~66hと蓋体62と分岐回路構成体12を含んで外部接続用コネクタモジュール156が構成されるようになっている。
【0039】
次に、外部接続用コネクタモジュール156の分岐回路構成体12を筐体本体16の開口部54から内部に挿入する。その後、外部接続用コネクタモジュール156の蓋体62に設けられたボルト挿通孔34を開口部54の周縁部に設けられたボルト締結穴26に位置合わせして、蓋体62を筐体本体16に対してボルト締結する。また、分岐回路構成体12に設けられた脚部88を、筐体本体16の底壁20に突設された分岐回路構成体支持部30に対して位置合わせしてボルト締結する。さらに、バッテリ高圧コネクタ44と一対の中継バスバー86を準備する。バッテリ高圧コネクタ44に収容され配設されたバスバー50の分岐回路構成体接続部50bに対して中継バスバー86を接続する。このように構成されたバッテリ高圧コネクタ44を筐体本体16に設けられたバッテリ高圧コネクタ支持部42に対して固定する。また、中継バスバー86を分岐回路構成体12に配設されたバスバー78aに接続する。次に、基板側コネクタモジュール128を準備する。例えば図8に示すように、基板側コネクタモジュール128は、保持プレート132上にオンボードチャージャーを実装している回路基板130やトランス136が載置されて構成されている。保持プレート132の後方右側に設けられた基板側コネクタ収容部138には、一体化された基板側コネクタ140a~140dによって構成された基板側コネクタモジュール128が収容され固定されている。各基板側コネクタ140a~140dはそれぞれ中継端子150や中継用コネクタ152や端子付電線154を介して回路基板130のプリント配線に接続されている。そして、この基板側コネクタモジュール128が実装された回路基板130やトランス136を保持する保持プレート132を筐体本体16内に収容配置された分岐回路構成体12に対して上方から組み付ける。
【0040】
この際、保持プレート132の脚部146を筐体本体16の底壁20に突設された保持プレート支持部24に載置し、ボルト締結により固定する。保持プレート132が金属製の筐体本体16に設けられた保持プレート支持部24にボルト締結されることにより、保持プレート132が筐体14に対して伝熱可能に組み付けられる。これにより、回路基板130で発生した熱を合成樹脂等に比して熱伝導率の良好な金属製の保持プレート132を介して筐体14に伝熱する放熱経路を構築できる。それゆえ、回路基板130に発熱の可能性が高いDC/DCコンバータやオンボードチャージャー等の電子装置を実装する場合には、特に有用となっている。ここで、基板側コネクタ140dを介して回路基板130に給電された電力は、基板側コネクタモジュール128によって変換されて、他の基板側コネクタ140a~140cから分岐回路構成体12の中継コネクタ98a~98cに出力されるようになっている。そして、中継コネクタ98a~98cから接続部位72a~72hおよび中継端子(例えば中継バスバー110,114)を介して外部接続用コネクタ66a~66hから図示しない各種機器に接続されたコネクタと接続されるようになっている。最後に、筐体本体16のフランジ状部60にカバー部18のフランジ状部75を重ね合わせてボルト締結することにより、筐体本体16の上方開口部がカバー部18によって覆蓋されて、図1に示す電気接続箱10が完成する。なお、電気接続箱10は、筐体14のバッテリ固定部32を図示しないバッテリの筐体に固定した状態で使用される。
【0041】
このような構造とされた本開示の電気接続箱10によれば、筐体14に分岐回路構成体12と回路基板130をそれぞれ組み付けた状態で、基板側コネクタ140a~140dと中継コネクタ98a~98dを一括して接続することができる。それゆえ、従来構造のように回路基板の端子台等に対して、分岐回路構成体等の機器から延びる電線のコネクタや端子をそれぞれ接続する作業が不要となる。したがって、作業工数や部品点数を削減することができる。しかも、従来構造のように回路基板に回路構成体等の機器から延びる電線のコネクタや端子を接続する作業用のスペースや、複数の電線を配置するスペースを筐体の内部に確保することが不要である。それゆえ、電気接続箱10の省スペース化や作業性の向上も図ることができる。
【0042】
筐体14の側壁22から分離された蓋体62に対して、外部接続用コネクタ66a~66hと、各外部接続用コネクタ66a~66hが接続する接続部位72a~72hを有する分岐回路構成体12が、固定されている。蓋体62を介して外部接続用コネクタ66a~66hと接続部位72a~72hが接続されていることから、外部接続用コネクタ66a~66hと分岐回路構成体12の接続部位72a~72h間の寸法公差を低減することができる。また、外部接続用コネクタ66a~66hと接続部位72a~72h間の接続に電線を必要としない。これにより、それらを電線で接続する作業が不要となり、作業工数や部品点数を削減することができる。しかも、筐体14の外部において分岐回路構成体12の接続部位72a~72hと外部接続用コネクタ66a~66hの接続作業を行い、外部接続用コネクタモジュール156として予め構成することができる。それゆえ、筐体14に対する外部接続用コネクタ66a~66hと分岐回路構成体12の組み付け作業を、外部接続用コネクタモジュール156を筐体14の開口部54に対して組み付ける単一作業だけで完了させることができる。したがって、筐体14の内部に複数の外部接続用コネクタ66a~66hと分岐回路構成体12の接続部位72a~72hをそれぞれ個別に電線で接続する作業用のスペースを確保することが不要となる。これにより、電気接続箱10の省スペース化や作業性の向上を図ることもできる。
【0043】
このように、基板側コネクタモジュール128と外部接続用コネクタモジュール156という2つのモジュール化されたコネクタを、分岐回路構成体12に設けられた中継コネクタ98a~98dを介して導通接続することが可能となっている。それゆえ、電線による接続作業が不要とされ、製造作業性の向上や省スペース化が可能な電気接続箱10を一層有利に提供できる。
【0044】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述および図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
【0045】
(1)上記実施形態1では、基板側コネクタ140a~140dおよび中継コネクタ98a~98dはそれぞれ4個の場合を例示して説明を行ったが、個数やコネクタの構造については任意のものが選択可能である。外部接続用コネクタ66a~66hについても任意の個数や形状のコネクタが採用可能である。
【0046】
(2)保持プレート132は、必ずしも金属製である必要はなく、さらに保持プレート132を省略してもよい。
【0047】
(3)上記実施形態1では、外部接続用コネクタモジュール156を採用していたが、外部接続用コネクタモジュール156は必ずしも必要ではない。分岐回路構成体12の各接続部位を筐体14の任意の箇所に設けられた対応する外部接続用コネクタにそれぞれ電線等により各別に接続するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 電気接続箱
12 分岐回路構成体
14 筐体
16 筐体本体
18 カバー部
20 底壁
22 側壁
24 保持プレート支持部
26 ボルト締結穴
28 補強プレート部
30 分岐回路構成体支持部
32 バッテリ固定部
34 ボルト挿通孔
36 収容凹所
38 突部
40 バッテリ高圧コネクタ挿通孔
41 シールゴム
42 バッテリ高圧コネクタ支持部
44 バッテリ高圧コネクタ
46 固定部
48 端子保持突部
50 バスバー
50a バッテリ接続部
50b 分岐回路構成体接続部
52 ボルト挿通孔
54 開口部
56 シール部材収容部
58 シール部材
60 フランジ状部
62 蓋体
64 貫通穴
66a~66h 外部接続用コネクタ
68 外面
70 内面
72a~72h 接続部位
73 シールゴム
74 分岐回路構成体固定部
75 フランジ状部
76 ケース
76a ロアケース
76b アッパケース
78a~78d バスバー
80 ワイヤハーネス
80a 端子
82 ヒューズ(電気部品)
84 バスバー挿通孔
86 中継バスバー
88 脚部
90 ボルト挿通孔
92 天壁部
94a~94d 中継コネクタハウジング
96 バスバー挿通孔
98a~98d 中継コネクタ
100 バスバー挿通孔
102 バスバー
104a~104c 中間コネクタハウジング
106a~106c 中間コネクタ
108 グランドバスバー
110 中継バスバー(中継端子)
112 接続端子
114 中継バスバー(中継端子)
116 接続端子
118 ベース部
120 立板部
122 側壁
124a~124h 切欠部
126 ボルト挿通孔
128 基板側コネクタモジュール
130 回路基板
132 保持プレート
134 接続部位
134a 端子固定部
134b 端子
136 トランス
138 基板側コネクタ収容部
140a~140d 基板側コネクタ
142 保護壁部
144 固定脚部
146 脚部
148 脚部
150 中継端子
152 中継用コネクタ
154 端子付電線
156 外部接続用コネクタモジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8