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特開2022-191741半導体装置、その製造方法および基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191741
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】半導体装置、その製造方法および基板
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/12 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
H01L31/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100151
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(72)【発明者】
【氏名】藤原 真美
(72)【発明者】
【氏名】堀 将彦
【テーマコード(参考)】
5F889
【Fターム(参考)】
5F889AB03
5F889AC09
5F889CA12
5F889FA06
(57)【要約】
【課題】高周波特性を改善した半導体装置、その製造方法および基板を提供する。
【解決手段】半導体装置は、絶縁部材と、前記絶縁部材上にマウントされた受光素子と、前記受光素子と光結合された発光素子と、前記絶縁部材の裏面上に設けられ、前記発光素子に電気的に接続された第1金属端子と、前記絶縁部材上に金属パッドを介してマウントされたスイッチング素子と、前記絶縁部材の前記裏面上に設けられた第2金属端子と、を備える。前記受光素子の出力は、前記スイッチング素子の制御電極に電気的に接続される。前記第2金属端子は、前記金属パッドに電気的に接続される。前記裏面から前記表面に向かう第1方向において、前記絶縁部材は第1厚を有し、前記金属パッドは第2厚を有し、前記第2金属端子は第3厚を有する。前記第1厚は、前記第2厚と前記第3厚とを合わせた厚さよりも薄い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁部材と、
前記絶縁部材の表面上にマウントされた受光素子と、
前記受光素子上にマウントされ、前記受光素子と光結合された発光素子と、
前記絶縁部材の前記表面とは反対側の裏面上に設けられ、前記発光素子に電気的に接続された第1金属端子と、
前記絶縁部材の前記表面上に金属パッドを介してマウントされ、前記受光素子と並ぶスイッチング素子であって、前記受光素子の出力は、前記スイッチング素子の制御電極に電気的に接続される、スイッチング素子と、
前記絶縁部材の前記裏面上に設けられ、前記金属パッドを介して、前記スイッチング素子に電気的に接続された第2金属端子と、
を備え、
前記絶縁部材は、前記裏面から前記表面に向かう第1方向における第1厚を有し、
前記金属パッドは、前記第1方向における第2厚を有し、
前記第2金属端子は、前記第1方向における第3厚を有し、
前記第1厚は、前記第2厚と前記第3厚とを合わせた厚さよりも薄い半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造に用いられる基板であって、
複数の前記第1金属端子と、複数の前記第2金属端子と、複数の前記金属パッドと、を含む第1領域と、前記第1領域を囲む第2領域と、を有し、前記第1方向の前記第1厚を有するシート状の絶縁部材と、
前記シート状の絶縁部材の前記第2領域上に設けられ、前記第1厚よりも厚い前記第1方向の厚さを有する少なくとも1つの樹脂層と、
を備えた基板。
【請求項3】
前記シート状の絶縁部材の裏面上において、前記第2領域に設けられた別の樹脂層をさらに備え、
前記樹脂層は、前記シート状の絶縁部材の前記表面上に設けられ、
前記第2領域は、前記樹脂層と前記別の樹脂層との間に位置する部分を含む請求項2記載の基板。
【請求項4】
前記シート状の絶縁部材と前記樹脂層との間に設けられた第1金属層と、前記シート状の絶縁部材と前記別の樹脂層との間に設けられた第2金属層と、をさらに備えた請求項3記載の基板。
【請求項5】
前記第1金属層は、前記第1方向の前記第2厚を有し、
前記第2金属層は、前記第1方向の前記第3厚を有する請求項4記載の基板。
【請求項6】
前記樹脂層の前記第1方向の厚さは、前記別の樹脂層の前記第1方向の厚さと略同一である請求項3~5のいずれか1つに記載の基板。
【請求項7】
前記シート状の絶縁部材は、複数の前記第1領域を含み、前記第2領域は、前記複数の第1領域を囲む請求項2~6のいずれか1つに記載の基板。
【請求項8】
複数の前記樹脂層を備え、
前記複数の樹脂層は、前記第1領域を囲むように配置される請求項2~7のいずれか1つに記載の基板。
【請求項9】
請求項2~8のいずれか1つに記載の基板を用いた、請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
前記シート状の絶縁部材の前記第1領域に、複数の前記受光素子と、複数の前記スイッチング素子と、をマウントする工程であって、前記複数のスイッチング素子は、前記複数の金属パッド上にそれぞれマウントされる工程と、
前記複数の受光素子上にそれぞれ前記発光素子をマウントする工程と、
前記複数の受光素子と前記複数のスイッチング素子とをそれぞれ金属ワイヤを介して電気的に接続する工程と、
前記複数の発光素子を前記複数の第1金属端子に金属ワイヤを介してそれぞれ電気的に接続する工程と、
前記複数の発光素子、前記複数の受光素子および前記複数のスイッチング素子を封じる樹脂部材を前記シート状の絶縁部材の前記第1領域上に成形する工程と、
前記樹脂部材および前記シート状の絶縁部材の前記第1領域を切断し、前記半導体装置を個片化する工程と、
を備えた製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置、その製造方法および基板に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波信号を伝送する半導体装置には、周波数特性を向上させることが求められる。例えば、光結合された発光素子および受光素子を含むフォトリレーでは、出力側端子間のインピーダンスを低減し、高周波通過特性を向上させることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001―210755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、高周波特性を改善した半導体装置、その製造方法および基板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、絶縁部材と、前記絶縁部材の表面上にマウントされた受光素子と、前記受光素子上にマウントされ、前記受光素子と光結合された発光素子と、前記絶縁部材の前記表面とは反対側の裏面上に設けられ、前記発光素子に電気的に接続された第1金属端子と、前記絶縁部材の前記表面上に金属パッドを介してマウントされたスイッチング素子と、前記絶縁部材の前記裏面上に設けられた第2金属端子と、を備える。前記スイッチング素子と前記受光素子とは、前記絶縁部材の前記表面上に並ぶ。前記受光素子の出力は、前記スイッチング素子の制御電極に電気的に接続される。前記第2金属端子は、前記金属パッドを介して前記スイッチング素子に電気的に接続される。前記絶縁部材は、前記裏面から前記表面に向かう第1方向における第1厚を有し、前記金属パッドは、前記第1方向における第2厚を有し、前記第2金属端子は、前記第1方向における第3厚を有する。前記第1厚は、前記第2厚と前記第3厚とを合わせた厚さよりも薄い。
【0006】
前記半導体装置の製造に用いられる基板は、複数の前記第1金属端子と、複数の前記第2金属端子と、複数の前記金属パッドと、を含む第1領域と、前記第1領域を囲む第2領域と、を有し、前記第1方向の前記第1厚を有するシート状の絶縁部材と、前記シート状の絶縁部材の前記第2領域上に設けられ、前記第1厚よりも厚い前記第1方向の厚さを有する少なくとも1つの樹脂層と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る半導体装置を示す模式断面図である。
図2】実施形態に係る半導体装置の構成を示す回路図である。
図3】実施形態に係る半導体装置の部材を示す模式図である。
図4】実施形態に係る基板を示す別の模式図である。
図5】実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す模式図である。
図6図5に続く製造過程を示す模式図である。
図7】実施形態の変形例に係る基板を示す模式図である。
図8】実施形態の別の変形例に係る基板を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0009】
さらに、各図中に示すX軸、Y軸およびZ軸を用いて各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交し、それぞれX方向、Y方向、Z方向を表す。また、Z方向を上方、その反対方向を下方として説明する場合がある。
【0010】
図1および図2は、実施形態に係る半導体装置1を表す模式図である。
図1は、実施形態に係る半導体装置1を示す模式断面図である。図2は、実施形態に係る半導体装置1の構成を示す回路図である。
【0011】
半導体装置1は、例えば、フォトリレーである。半導体装置1は、絶縁部材10と、受光素子20と、発光素子30と、スイッチング素子40aと、スイッチング素子40bと、を含む。
【0012】
絶縁部材10は、例えば、絶縁性の樹脂シートである。絶縁部材10は、例えば、ポリイミドを含む。絶縁部材10の裏面から表面に向かう方向(Z方向)の厚さは、例えば、50マイクロメートル(μm)である。
【0013】
絶縁部材10の表面上には、例えば、ボンディングパッド13a、13b、マウントパッド15a、15bおよび17が設けられる。ボンディングパッド13a、13b、マウントパッド15a、15bおよび17は、例えば、銅を含む金属層である。ボンディングパッド13a、13b、マウントパッド15a、15bおよび17のそれぞれのZ方向の厚さは、例えば、30μmである。
【0014】
ボンディングパッド13aおよびボンディングパッド13bは、例えば、Y方向に並ぶ。マウントパッド15aおよびマウントパッド15bは、例えば、Y方向に並ぶ。
【0015】
ボンディングパッド13aおよびマウントパッド15aは、例えば、X方向に並ぶ。ボンディングパッド13bおよびマウントパッド15bは、例えば、X方向に並ぶ。
【0016】
マウントパッド17は、例えば、ボンディングパッド13aとマウントパッド15aとの間、および、ボンディングパッド13bとマウントパッド15bとの間に設けられる。
【0017】
絶縁部材10の裏面上には、制御側端子50aおよび50b、出力側端子60aおよび60bが設けられる(図3(c)参照)。制御側端子50a、50b、出力側端子60aおよび60bは、例えば、銅を含む金属層である。制御側端子50a、50b、出力側端子60aおよび60bのそれぞれのZ方向の厚さは、例えば、30μmである。
【0018】
制御側端子50aは、絶縁部材10を介して、ボンディングパッド13aに向き合うように設けられる。制御側端子50aは、絶縁部材10に設けられたビアコンタクト53を介して、ボンディングパッド13aに電気的に接続される。ビアコンタクト53は、例えば、例えば、制御側端子50aと同じ材料を含む。ビアコンタクト53は、例えば、銅を含む。他のビアコンタクトも同様に設けられる。
【0019】
制御側端子50bは、絶縁部材10を介して、ボンディングパッド13bに向き合うように設けられる。制御側端子50bも、図示しないビアコンタクトを介して、ボンディングパッド13bに電気的に接続される。
【0020】
出力側端子60aは、絶縁部材10を介して、マウントパッド15aに向き合うように設けられる。出力側端子60aは、絶縁部材10に設けられたビアコンタクト63を介して、マウントパッド15aに電気的に接続される。出力側端子60aは、例えば、複数のビアコンタクト63を介してマウントパッド15aに電気的に接続される。
【0021】
出力側端子60bは、絶縁部材10を介して、マウントパッド15bに向き合うように設けられる。出力側端子60bも、図示しないビアコンタクトを介して、マウントパッド15bに電気的に接続される。
【0022】
受光素子20は、接続部材23を介してマウントパッド17上にマウントされる。接続部材23は、例えば、はんだ材もしくは導電性ペーストである。発光素子30は、例えば、透光性を有する接続部材35(図5(b)参照)を介して受光素子20の上にマウントされ、受光素子20に光結合される。受光素子20は、例えば、シリコンフォトダイオードを含む。発光素子30は、例えば、発光ダイオード(LED)である。
【0023】
スイッチング素子40aおよび40bは、それぞれ、接続部材43を介してマウントパッド15aおよび15bの上にマウントされる。接続部材43は、例えば、はんだ材もしくは導電性ペーストである。
【0024】
スイッチング素子40aおよび40bは、例えば、裏面側にドレイン、表面側にソースを有する縦型MOSFETである。スイッチング素子40aおよび40bは、それぞれ、マウントパッド15aおよび15bに裏面が向き合うようにマウントされる。スイッチング素子40aは、マウントパッド15aおよびビアコンタクト63を介して、出力側端子60aに電気的に接続される。スイッチング素子40bは、マウントパッド15bおよびビアコンタクト(図示しない)を介して、出力側端子60bに電気的に接続される。
【0025】
図1に示すように、受光素子20は、金属ワイヤを介して、スイッチング素子40aおよび40bに電気的に接続される(図2参照)。スイッチング素子40aおよびスイッチング素子40bは、別の金属ワイヤを介して電気的に接続される(図2参照)。
【0026】
発光素子30は、さらなる別の金属ワイヤを介して、ボンディングパッド13aおよび13bに電気的に接続される(図2参照)。発光素子30は、ボンディングパッド13aおよびビアコンタクト53を介して、制御側端子50aに電気的に接続される。また、発光素子30は、ボンディングパッド13bおよびビアコンタクト(図示しない)を介して、制御側端子50bに電気的に接続される。
【0027】
図1に示すように、絶縁部材10の表面側には、樹脂部材70が設けられる。樹脂部材70は、例えば、エポキシ樹脂である。樹脂部材70は、例えば、非透光性を有する。樹脂部材70は、受光素子20、発光素子30、スイッチング素子40a、40bおよび各金属ワイヤを絶縁部材10上に封じる。発光素子30は、樹脂部材33により受光素子20上に封じられる。樹脂部材70は、樹脂部材33を覆うように設けられる。樹脂部材33は、例えば、シリコーンである。
【0028】
このように、半導体装置1は、受光素子20,発光素子30、スイッチング素子40aおよび40bを樹脂パッケージ内に封じ、制御側端子50および出力側端子60を樹脂パッケージの外面に備えた構造を有する。
【0029】
半導体装置1では、樹脂部材70は、各パッド間および絶縁部材10の外縁において、絶縁部材10に接するように設けられる。これにより、絶縁部材10と樹脂部材70との間の密着性が向上し、樹脂部材70により封じられる受光素子20,発光素子30、スイッチング素子40aおよび40bの信頼性を向上させることができる。また、制御端子50および出力端子60以外の金属が樹脂パッケージの外面に露出されない構成とすることが可能であり、例えば、クリームはんだ等の接続部材を用いた実装において、毛細管現象による樹脂パッケージ内への接続部材の侵入やはんだ材の這い上がりなどを防ぐことができる。
【0030】
図2に示すように、受光素子20は、複数のフォトダイオード25と、制御回路27と、を含む。複数のフォトダイオード25は、直列接続される。フォトダイオード25は、発光素子30の光を検出するように構成される。制御回路27は、例えば、波形成形回路である。また、制御回路27は、放電回路、保護回路などであっても良い。フォトダイオード25の出力は、制御回路27を介して出力される。
【0031】
スイッチング素子40aのソースSは、スイッチング素子40bのソースSに接続される。フォトダイオード25のカソード側出力は、制御回路27を介して、例えば、スイッチング素子40aおよび40bのソースSに接続される。また、フォトダイオード25のアノード側出力は、制御回路27を介して、例えば、スイッチング素子40aおよび40bのゲートGに接続される。出力側端子60aは、スイッチング素子40aのドレインDに接続され、出力側端子60bは、スイッチング素子40bのドレインDに接続される。
【0032】
制御側端子50aおよび50bには、例えば、出力側端子60aと出力側端子60bとの間の電気的な導通をオンオフ制御する制御信号が入力される。発光素子30は、制御信号に対応した光信号を放射し、受光素子20は、発光素子30から放射された光信号を検出し、光信号に対応した制御信号をスイッチング素子40aおよび40bに出力する。
【0033】
半導体装置1により、例えば、高周波信号の伝送路をオンオフ制御する場合、出力側端子60aと出力側端子60bとの間の高周波信号の通過特性を向上させることが望まれる。半導体装置1では、絶縁部材10のZ方向の厚さを薄くすることにより、スイッチング素子40aと出力側端子60aとの間のインピーダンスを低減し、スイッチング素子40bと出力側端子60bとの間のインピーダンスを低減することができる。これにより、出力側端子60aと出力側端子60bとの間の高周波信号の通過特性を向上させることが可能となる。
【0034】
図3(a)~(c)は、実施形態に係る半導体装置1のベース部材5を示す模式図である。受光素子20、発光素子30およびスイッチング素子40a、40b(図1参照)は、ベース部材5の表面側にマウントされる。
【0035】
図3(a)は、絶縁部材10の表面側のボンディングパッド13a、13b、マウントパッド15a、15bおよび17を示す平面図である。ボンディングパッド13aおよび13b、マウントパッド15a、15bおよび17は、例えば、絶縁部材10の表面上に設けられた銅箔をパターニングすることにより形成される。ボンディングパッド13aおよび13b、マウントパッド15a、15bおよび17は、例えば、酸化防止のために、金(Au)層が表面に設けられる積層構造であっても良い。
【0036】
ボンディングパッド13aおよび13bは、Y方向に並ぶ。マウントパッド15aおよび15bは、Y方向に並ぶ。マウントパッド17は、ボンディングパッド13aとマウントパッド15aとの間、および、ボンディングパッド13bとマウントパッド15bとの間、に設けられる。なお、実施形態は、この配置に限定される訳ではない。
【0037】
図3(b)は、図3(a)中に示すA-A線に沿った断面図である。絶縁部材10は、例えば、Z方向の厚さT1を有する。ボンディングパッド13a、13b、マウントパッド15a、15bおよび17は、それぞれ、Z方向の厚さT2を有する。また、絶縁部材10の裏面上に設けられる制御端子50a、50b、出力側端子60a、60bは、それぞれ、Z方向の厚さT3を有する。
【0038】
絶縁部材10には、ビアコンタクト53およびビアコンタクト63が設けられる。ビアコンタクト53および63は、例えば、絶縁部材10の裏面側から表面側に連通するビアホール内に設けられる。ビアコンタクト53および63は、例えば、メッキ法を用いて、銅などの金属をビアホール内に充填することにより形成される。
【0039】
制御側端子50aは、ビアコンタクト53によりボンディングパッド13aに電気的に接続される。出力側端子60aは、ビアコンタクト63によりマウントパッド15aに電気的に接続される。制御端子50bおよび出力端子60bも同様に、ビアコンタクトを介して、ボンディングパッド13bおよびマウントパッド15bに電気的に接続される。
【0040】
図3(c)は、絶縁部材10の裏面側に設けられる制御側端子50a、50b、出力側端子60aおよび60bを示す平面図である。制御側端子50a、50b、出力側端子60aおよび60bは、例えば、絶縁部材10の裏面上に設けられた銅箔をパターニングすることにより形成される。制御端子50bおよび出力側端子60bは、制御端子50aおよび出力側端子60aと同じZ方向の厚さT3を有する。制御側端子50a、50b、出力側端子60aおよび60bは、例えば、酸化防止のために、金(Au)層が表面に設けられる積層構造であっても良い。
【0041】
制御側端子50aおよび50bは、例えば、Y方向に並ぶ。出力側端子60aおよび60bは、例えば、Y方向に並ぶ。制御側端子50aおよび出力側端子60aは、例えば、X方向に並ぶ。制御側端子50bおよび出力側端子60bは、例えば、X方向に並ぶ。
【0042】
制御側端子50aは、絶縁部材10を介して、ボンディングパッド13aに向き合うように設けられる。制御側端子50bは、絶縁部材10を介して、ボンディングパッド13bに向き合うように設けられる。
【0043】
出力側端子60aは、絶縁部材10を介して、マウントパッド15aに向き合うように設けられる。出力側端子60bは、絶縁部材10を介して、マウントパッド15bに向き合うように設けられる。
【0044】
絶縁部材10の厚さT1は、例えば、スイッチング素子40aと出力側端子60aとの間のインピーダンス、および、スイッチング素子40bと出力側端子60bとの間のインピーダンスが小さくなるように、薄くすることが好ましい。
【0045】
ボンディングパッド13aおよび13bは、例えば、金属ワイヤ(図1参照)のボンディング強度を確保できる厚さに設けられる。したがって、絶縁部材10の表面側に設けられるボンディングパッド13aおよび13bのZ方向の厚さT2は、ボンディング強度を確保できる所定の厚さよりも厚く設けられることが好ましい。
【0046】
絶縁部材10の裏面側に設けられる制御側端子50a、50b、出力側端子60aおよび60bのそれぞれ厚さT3は、例えば、絶縁部材10に加わる応力をバランスさせるために、ボンディングパッド13a、13b、マウントパッド15a、15bおよび17の厚さT2と同じであることが好ましい。ここで「同じ」とは、厳密な一致を意味するだけでなく、略同一もしくは実質的に同一であることを含む。
【0047】
一方、ボンディングパッド13a、13b、マウントパッド15a、15bおよび17の厚さT2および制御側端子50a、50b、出力側端子60aおよび60bの厚さT3を厚くし過ぎると、絶縁部材10およびその表面および裏面上に設けられる金属層(図4(b)参照)を含む積層構造を切断することが難しくなる。
【0048】
結果として、絶縁部材10の厚さT1は、ボンディングパッド13a、13b、マウントパッド15a、15bおよび17のそれぞれのの厚さT2と、制御側端子50a、50b、出力側端子60aおよび60bのそれぞれの厚さT3と、を合わせた厚さ(T2+T3)よりも薄いことが好ましい。これにより、スイッチング素子40aと出力側端子60aとの間、および、スイッチング素子40bと出力側端子60bとの間のインピーダンスを低減できる。
【0049】
さらに、積層構造の切断の観点からは、厚さT2および厚さT3は、それぞれ、絶縁部材10の厚さT1よりも薄いことが好ましい。また、絶縁部材10の表面および裏面に形成される金属層は、例えば、同時に形成され、厚さT2および厚さT3は同じである。絶縁部材10の厚さT1は、例えば、50μmである。厚さT2および厚さT3は、例えば、それぞれ、30μmである。
【0050】
図4(a)および(b)は、実施形態に係る半導体装置1の製造に用いられる基板100を示す別の模式図である。図4(a)は、基板100の全体を示す平面図である。図4(b)は、図4(a)中に示すB-B線に沿った断面図である。
【0051】
図4(a)に示すように、基板100は、第1領域1Rと、第2領域2Rと、を含む。第2領域2Rは、第1領域1Rを囲む。
【0052】
第1領域1Rは、複数のボンディングパッド13a、複数のボンディングパッド13b、複数のマウントパッド15a、複数のマウントパッド15b、および、複数のマウントパッド17を含む。また、第1領域1Rは、裏面側(図示しない)に設けられる、複数の制御側端子50a、複数の制御側端子50b、複数の出力側端子60a、および、複数の出力側端子60bを含む。
【0053】
ボンディングパッド13a、13b、マウントパッド15a、15bおよび17は、例えば、図3(a)に示す配置を維持しながら、それぞれ、X方向およびY方向に並ぶ。また、制御側端子50a、50b、出力側端子60aおよび60bは、例えば、図3(b)に示す配置を維持しながら、それぞれ、X方向およびY方向に並ぶ。
【0054】
第2領域2Rは、例えば、金属層115と、樹脂層120と、を含む。金属層115は、例えば、ボンディングパッド13a、13b、マウントパッド15a、15bおよび17を形成する過程において、第1領域1Rを囲むように残される。樹脂層120は、金属層115上に、第1領域1Rを囲むように設けられる。金属層115は、例えば、銅箔である。樹脂層120は、例えば、ポリイミドを含む。金属層115は、例えば、銅箔の表面上に金(Au)層を形成した積層構造を有しても良い。
【0055】
金属層115は、第1領域1Rと樹脂層120との間に露出された領域を含む。金属層115は、第1領域1Rを囲むように設けられる複数のスリットSLを含む。スリットSLは、金属層115の露出された領域において、第1領域1Rの外縁に沿って延在するように設けられる。スリットSLは、例えば、第1領域1Rを囲む線(図6(a)参照)上に位置するように設けられる。また、スリットSLは、例えば、四角形の第1領域1Rの四隅のそれぞれにおいて、各隅を囲むように、つながって設けられても良い。
【0056】
図4(b)に示すように、基板100は、シート状の絶縁部材110を含む。ベース部材5は、基板100の第1領域1Rを切断することにより設けられる。絶縁部材10は、絶縁部材110を分断することにより設けられる。絶縁部材110は、ポリイミドを含む。金属層115は、絶縁部材110と樹脂層120との間に位置する領域を含む。金属層115は、Z方向の厚さT2を有する。スリットSLは、金属層115の表面から絶縁部材110に連通するように設けられる。
【0057】
絶縁部材110の裏面側には、金属層117と、樹脂層130と、が設けられる。金属層117は、第2領域2Rに設けられ、第1領域1Rを囲む。制御側端子50a、50b、出力側端子60aおよび60bは、金属層117をパターニングすることにより設けられる。樹脂層130は、金属層117上に設けられる。金属層117は、絶縁部材110と樹脂層130との間に位置する領域を含む。金属層117は、Z方向の厚さT3を有する。金属層117は、例えば、銅箔である。金属層117は、例えば、銅箔の上に金(Au)層を形成した積層構造を有しても良い。
【0058】
金属層117は、第1領域1Rと樹脂層130との間に露出された領域を有する。スリットSLは、金属層117の露出された領域にも設けられる。絶縁部材110の裏面側に設けられたスリットSLは、表面側に設けられたスリットSLと絶縁部材110を挟んで対向する位置に設けられる。
【0059】
樹脂層120および樹脂層130は、例えば、受光素子20およびスイッチング素子40a、40bのマウント時、および、金属ワイヤのボンディング時における熱による基板100の反りや変形を抑制するように設けられる。また、基板100の反りや変形を抑制することにより、搬送時の位置精度を向上させることができる。
【0060】
樹脂層120は、Z方向の厚さTR1を有し、樹脂層130は、Z方向の厚さTR2を有する。樹脂層120の厚さTR1および樹脂層130の厚さTR2は、例えば、絶縁部材110の厚さT1よりも厚い。樹脂層120の厚さTR1および樹脂層130の厚さTR2は、例えば、それぞれ150μmである。
【0061】
樹脂層120および樹脂層130は、必ずしも同じ厚さを有する訳ではなく、基板100の反りを抑制するように調整された厚さTR1およびTR2を有する。例えば、TR1およびTR2の一方が0μmであっても良い。言い換えれば、基板100は、樹脂層120および樹脂層130のいずれか一方が設けられた構成を有しても良い。
【0062】
次に、図5(a)~図6(b)を参照して、半導体装置1の製造方法を説明する。図5(a)~図6(b)は、実施形態に係る半導体装置1の製造過程を示す模式図である。
【0063】
図5(a)に示すように、絶縁部材110上に設けられたマウントパッド15aおよびマウントパッド17の上に、それぞれ、スイッチング素子40aおよび受光素子20をマウントする。スイッチング素子40aおよび受光素子20は、例えば、クリームはんだもしくは導電ペーストを介して、マウントパッド15aおよびマウントパッド17の上に載置され、リフローもしくはキュアにより固定される。スイッチング素子40bは、図示しない部分において、マウントパッド15bの上にマウントされる。
【0064】
図5(b)に示すように、受光素子20の上に発光素子30をマウントする。発光素子30は、例えば、接続部材35を介して受光素子20に接合される。発光素子30は、受光素子20に向き合う裏面から受光素子20に向けて光を放射する。接続部材35は、例えば、発光素子30の放射光を透過する透明樹脂層である。
【0065】
図5(c)に示すように、ボンディングパッド13aと発光素子30との間を金属ワイヤMW1により電気的に接続する(図2参照)。また、受光素子20とスイッチング素子40aとの間を金属ワイヤMW2およびMW3により電気的に接続する(図2参照)。金属ワイヤMW1、MW2およびMW3は、例えば、超音波ボンディングにより各素子の電極上に接続される。
【0066】
図示しない部分において、ボンディングパッド13bと発光素子30との間、受光素子20とスイッチング素子40bとの間、および、スイッチング素子40aとスイッチング素子40bとの間も金属ワイヤを介して電気的に接続される。
【0067】
発光素子30は、樹脂部材33により、受光素子20の上に封じられる。樹脂部材33は、例えば、ポッティングにより形成される。
【0068】
各素子の電極に金属ワイヤを自動ボンディングする際に、基板100の反りが大きくなると、例えば、カメラの画像認識機能が低下し、ボンディングができなくなる等の不具合が生じる。例えば、カメラの画角内において、絶縁部材の反りが焦点深度よりも大きくなると、画像認識の精度が低下する。実施形態に係る基板100では、樹脂層120および130(図4(b)参照)により反りを抑制し、このような不具合を回避できる。
【0069】
図5(d)に示すように、絶縁部材110の表面側に樹脂部材70を成形する。樹脂部材70は、絶縁部材110に密着し、受光素子20、発光素子30、スイッチング素子40a、40bおよび金属ワイヤMW1~MW3を封じるように形成される。
【0070】
図6(a)に示すように、樹脂部材70は、基板100の表面側に形成される。樹脂部材70は、基板100の第1領域1Rを覆うように形成される。樹脂部材70は、例えば、真空成型を用いて形成される。
【0071】
図6(b)に示すように、基板100を切断し、樹脂部材70が成形された第1領域1Rを残して、第2領域2Rを除去する。基板100は、スリットSLに沿った分離線CLに沿って切断される。
【0072】
続いて、基板100の第1領域1Rおよび樹脂部材70を、例えば、X方向およびY方向に切断し、半導体装置1を個片化する。基板100および樹脂部材は、例えば、ダイサーを用いて切断される。実施形態に係る基板100では、第1領域1R上において隣り合う半導体装置1の間に金属部材が設けられないため個片化が容易である。また、個片化された樹脂パッケージの切断面に金属のバリ等が残されることもない。
【0073】
図7(a)および(b)は、実施形態の変形例に係る基板200および300を示す模式図である。
【0074】
図7(a)に示す基板200は、複数の第1領域1Rを有する。樹脂層120は、第2領域2Rにおいて、複数の第1領域1Rを囲むように設けられる。金属層115は、隣り合う第1領域1Rの間に延在する領域を含む。また、樹脂部材110の裏面側に設けられる金属層117(図4(b)参照)も、同様に、隣り合う第1領域1Rの間に延在する領域を含んでも良い。
【0075】
この例では、金属層115の第1領域1R間に延在する領域により、第1領域1Rの撓みを抑制できる。例えば、第1領域1Rの面積を拡大し、第1領域1Rに設けられる第1半導体装置1の数を増やす場合に有効である。
【0076】
図7(b)に示す基板300では、複数の樹脂層120が第2領域2Rに設けられる。第1領域1Rは、樹脂層120a~120dにより囲まれる。樹脂層120aと樹脂層120bとの間のスペース、樹脂層120bと樹脂層120cとの間のスペース、樹脂層120cと樹脂層120dとの間のスペース、および、樹脂層120dと樹脂層120aとの間のスペースには、金属層115の一部がそれぞれ露出される。
【0077】
樹脂層120のこのような構成は、基板300の反りを抑制する際により有効となる場合がある。また、基板300の裏面側においても、複数の樹脂層130を設けてもよい。
【0078】
図8(a)および(b)は、実施形態の別の変形例に係る基板400を示す模式図である。図8(a)は、基板400の全体を示す平面図である。図8(b)は、図8(a)中に示すC-C線に沿った断面図である。
【0079】
図8(a)および(b)に示すように、基板400では、第2領域2Rに金属層115および117が設けられない。樹脂層120および樹脂層130は、それぞれ、絶縁部材110の上に直接設けられる。なお、樹脂層120および樹脂層130のそれぞれと絶縁部材110とを接続する接着剤が介在する場合がある。
【0080】
この例では、樹脂部材70(図6(a)参照)と樹脂層120との間には、金属層115および117がなく、絶縁部材110が露出される。これにより、樹脂部材70と樹脂層120との間を切断し、第1領域1Rの樹脂部材70が成形された部分を残して、基板400を分離することが容易になる。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1…半導体装置、 1R…第1領域、 2R…第2領域、 5…ベース部材、 10、110…絶縁部材、 13a、13b…ボンディングパッド、 15a、15b、17…マウントパッド、 20…受光素子、 23、43…接続部材、 25…フォトダイオード、 27…制御回路、 30…発光素子、 33、70…樹脂部材、 35…接続部材、 40a、40b…スイッチング素子、 50a、50b…制御側端子、 53、63…ビアコンタクト、 60a、60b 出力側端子、 100、200、300、400…基板、 115、117…金属層、 120、120a~120d、130…樹脂層、 CL…分離線、 MW1、MW2、MW3…金属ワイヤ、 SL…スリット
図1
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