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  • 特開-把手構造体及び把手取付具 図1A
  • 特開-把手構造体及び把手取付具 図1B
  • 特開-把手構造体及び把手取付具 図2
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  • 特開-把手構造体及び把手取付具 図4
  • 特開-把手構造体及び把手取付具 図5
  • 特開-把手構造体及び把手取付具 図6
  • 特開-把手構造体及び把手取付具 図7
  • 特開-把手構造体及び把手取付具 図8
  • 特開-把手構造体及び把手取付具 図9
  • 特開-把手構造体及び把手取付具 図10
  • 特開-把手構造体及び把手取付具 図11
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191751
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】把手構造体及び把手取付具
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/28 20060101AFI20221221BHJP
   A47G 19/22 20060101ALN20221221BHJP
【FI】
B65D25/28 106B
A47G19/22 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100182
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】518432610
【氏名又は名称】ライソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101409
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 泰二
(74)【代理人】
【識別番号】100175662
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100175385
【氏名又は名称】葛西 さやか
(72)【発明者】
【氏名】東山 康子
【テーマコード(参考)】
3B001
3E062
【Fターム(参考)】
3B001AA02
3B001BB02
3B001CC40
3B001DA02
3B001DB20
3E062AA10
3E062AB02
3E062AC03
3E062HA03
3E062HB02
3E062HB08
3E062HC04
3E062HC17
(57)【要約】
【課題】筒状又は柱状の対象物の周面に取り付けられる把手構造体を提供する。
【解決手段】把手構造体T1は、基部12と把持部11とを有する把手本体10、把手本体10の把持部11が対象物1の周面1aに対し突出する姿勢となるように基部を着脱可能に保持する把手保持体20、及び、対象物1の1a周面上に把手保持体20を固定するための固定バンド体30を備える。把手保持体は固定バンド体によって固定される2つの保持部材20A、20Bを含み、各保持部材は収納凹部S1、S2と、収納凹部に対する基部の進退に抵抗力を与える1組の係止凸部22a、22bを含む。把手本体の基部に所定値を超える進退方向の力を与えるだけで取り付け、取り外しができるから、把手本体の着脱作業が容易である。2つの保持部材の間隔を調節することで、異なる大きさの把持本体を利用することが可能である。
【選択図】 図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状又は柱状の形態を有する対象物の周面に取り付けられる把手構造体であって、
基部と、前記基部に一体的に設けられ使用者が把持可能な形態を備えた把持部とを有する把手本体、
前記周面上に配置され、前記把手本体の前記把持部が前記周面に対し突出する姿勢となるように前記基部を着脱可能に保持する把手保持体、及び、
前記対象物の前記周面上に巻き付けられて前記把手保持体を前記周面上に固定するための固定バンド体を備える、
把手構造体。
【請求項2】
前記把手保持体は、前記対象物の軸方向に離れた前記周面上の2個所に配置され、それぞれ前記固定バンド体によって固定される2つの保持部材を含み、
前記2つの保持部材はそれぞれ、前記基部を収納可能な収納凹部と、前記収納凹部の入り口側において対向して配置され、前記収納凹部に対する前記基部の進退に抵抗力を与える1組の係止凸部とを含み、
前記把手本体の前記基部における離れた2個所が、前記2つの保持部材によってそれぞれ保持される、
請求項1記載の把手構造体。
【請求項3】
前記把手本体にカラビナが使用され、
前記カラビナのスパインの部分が前記基部として利用される、
請求項1又は請求項2記載の把手構造体。
【請求項4】
前記固定バンド体は、
前記把手保持体に取り付けられる帯状のバンド部と、
前記バンド部の一端に設けられ前記バンド部の他端が締結される留め具部とを有する、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の把手構造体。
【請求項5】
前記対象物は、飲食物収納用の容器である、請求項1から請求項4のいずれかに記載の把手構造体。
【請求項6】
筒状又は柱状の形態を有する対象物の周面に把手を取り付けるための把手取付具であって、
前記対象物の周面上に配置され、前記把手を着脱可能に保持する把手保持体、及び、
前記対象物の前記周面上に巻き付けられて前記把手保持体を前記周面上に固定するための固定バンド体を備える、
把手取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用のカップや水筒、ペットボトル、瓶、缶等の筒状又は柱状の形態を有する対象物の周面に把手を取り付けるための把手構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、把手の無いグラスやコップなどの容器や、ペットボトル、瓶、缶、或いはこれらに類する容器に取り付けて、飲料入りのままで容易に保持でき、直接飲用ができるようにするためのハンドル手段について記載されている。このハンドル手段は、人が握ることができるハンドル本体とそのハンドル本体に固定された複数のベルトとで構成され、このベルトでハンドル本体を容器類の側面に固定することで、飲料容器類をジョッキのように取り扱え、飲料を楽に保持し、直接飲用できるとされている。
【0003】
このハンドル手段の構成を詳しく見ると、ハンドル本体は人が握り持つ握り部を備え、ハンドル本体の2個所に第一、第二のベルト部が接続される。ハンドル本体は、人が握った状態で人の握りの両外側に握りと干渉しない不干渉部分を有し、第一及び第二のベルト部は、ハンドル本体の両側の不干渉部分に各々接続される。第一及び第二のベルト部は、飲料容器の外側面の周囲(外周)方向に沿って少なくとも一周を超えて巻きつくことのできる十分な長さを有すると共に、各々のベルト部の両端部分には、それぞれ接続、分離ができ且つベルト部の長さ調整も可能な接続手段を備えている。ハンドル本体を、その軸方向が容器の開口部と底部を結ぶ方向(飲料を保持する方向)に沿うように配置し、第一及び第二のベルト部各々を容器の外側面に巻きつけ、各ベルト部の両端部分を接続手段によりそれぞれ接続することで、容器にハンドル全体を装着・固定することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3185020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
容器の形状や使用者の要望に応じて、異なる大きさや意匠のハンドルを使用したい場合がある。しかし特許文献1記載のハンドル手段では、ハンドル本体とベルト部とは分離しないように固定されており、ハンドル本体だけを別のものに取り換えることはできない。このため、多くの要望に応えるには、ハンドル本体とベルト部とを一体構成したハンドル手段全体を、多品種準備しなくてはならなかった。
【0006】
又、特許文献1のハンドル手段は、ハンド本体とベルト部とが一体化されているため、嵩張った形態となり、製品の運搬、保管、店頭展示等を行う際に広いスペースが必要であった。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、把手本体を分離可能とした把手構造体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、筒状又は柱状の形態を有する対象物の周面に取り付けられる把手構造体であって、基部と、基部に一体的に設けられ使用者が把持可能な形態を備えた把持部とを有する把手本体、周面上に配置され、把手本体の把持部が周面に対し突出する姿勢となるように基部を着脱可能に保持する把手保持体、及び、対象物の周面上に巻き付けられて把手保持体を周面上に固定するための固定バンド体を備えるものである。
【0009】
このように構成すると、対象物の周面に巻き付けた固定バンド体によって把手保持体を対象物の周面に固定し、把手本体の基部を把手保持体に取り付けることによって、把持部を対象物の周面から突出させた姿勢で把手本体が周面上に保持される。使用者が把持部を介して対象物を手に持つことが可能な状態となる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、把手保持体は、対象物の軸方向に離れた周面上の2個所に配置され、それぞれ固定バンド体によって固定される2つの保持部材を含み、2つの保持部材はそれぞれ、基部を収納可能な収納凹部と、収納凹部の入り口側において対向して配置され、収納凹部に対する基部の進退に抵抗力を与える1組の係止凸部とを含み、把手本体の基部における離れた2個所が、2つの保持部材によってそれぞれ保持されるものである。
【0011】
このように構成すると、把手本体の基部に係止凸部の抵抗力よりも大きい押し込み方向の力を与えることにより、基部が収納凹部内に収納され、基部に抵抗力よりも大きな引き出し方向の力を与えることにより、基部が収納凹部から取り出される。即ち係止凸部は、把手本体を着脱可能に保持する手段を構成する。把手本体の基部は、離れた2個所において、2つの保持部材それぞれにより保持される。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、把手本体にカラビナが使用され、カラビナのスパインの部分が基部として利用されるものである。
【0013】
このように構成すると、カラビナが把手本体として対象物に取り付けられる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、固定バンド体は、把手保持体に取り付けられる帯状のバンド部と、バンド部の一端に設けられバンド部の他端が締結される留め具部とを有するものである。
【0015】
このように構成すると、バンド部の一端を他端の留め具部に締結することで、固定バンド体が対象物に固定される。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、対象物は、飲食物収納用の容器であるものである。
【0017】
このように構成すると、飲食物収納用の容器に把手が取り付けられる。
【0018】
請求項6記載の発明は、筒状又は柱状の形態を有する対象物の周面に把手を取り付けるための把手取付具であって、対象物の周面上に配置され、把手を着脱可能に保持する把手保持体、及び、対象物の周面上に巻き付けられて把手保持体を周面上に固定するための固定バンド体を備えるものである。
【0019】
このように構成すると、把手保持体を固定バンド体で対象物に固定すると、対象物に把手を取付可能な構造が準備される。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、把手構造体は、把手本体を分離可能なので嵩張らないから、運搬、展示、保管のための必要スペースが少なくて済む。固定バンド体を巻き付けて固定するから、大きさや周面形状の異なる対象物への適用が容易である。把手本体は着脱可能なので、対象物の種類に応じ最適な形状、大きさの把手本体に交換することができる。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、把手本体の取り付け、取り外しは、基部に所定値を超える進退方向の力を与えるだけでよいから、把手本体の着脱作業が容易である。把手本体は、基部の離れた2個所で保持されるから、取付状態が安定する。基部の寸法に応じて2つの保持部材の間隔を調節することができるから、異なる大きさの把持本体を利用することが可能である。
【0022】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、把手本体に市販のカラビナを利用できるので、製品を低コストで提供できる。カラビナを介して、対象物を所望の個所へ着脱可能に取り付けることも可能である。又、カラビナは多種類の製品が準備されているので、対象物の形態や使用者の要望等に応じた変更が容易である。
【0023】
請求項4記載の発明によれば、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、異なる大きさの対象物に適用するのが容易である。簡単な構造で、比較的強固な締結力を得ることができる。留め具部には汎用品を利用できるから、製造コストを抑えられる。
【0024】
請求項5記載の発明によれば、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、把手を持たない容器に把手が取り付けられるので、直接持つのが難しい容器であっても、収納した飲食物の飲食を容易にできる。
【0025】
請求項6記載の発明によれば、カラビナ等の適当な把手本体を用意することで、対象物に把手を取り付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A】本発明の第1の実施の形態に関するものであって、把手構造体を飲料用容器に適用した状況を示す斜視図である。
図1B図1Aに示す把手構造体において、把手本体を分離した状況を示す斜視図である。
図2図1Aに示す把手構造体を、把手本体側から見た正面図である。
図3図1Aに示す把手構造体の背面図である。
図4図1Aに示す把手構造体の左側面図である。
図5図1Aに示す把手構造体の平面図である。
図6図1Aに示す把手構造体に含まれる把手保持体を示すものであって、(A)は上位の把手保持体の正面図、(B)はその右側面図、(C)は下位の把手保持体の正面図、(D)はその右側面図である。
図7】(A)は、図6の(B)のX―X線における断面図、(B)は、図6の(A)のY―Y線における断面図である。
図8図1Aに示す把手構造体に含まれる固定バンド体の締結手順を示すものであって、(A1)は固定バンド体の一端の留め具を容器(対象物)の周面上に配置する第1の手順を示す背面図であり、(A2)は(A1)のa―a線における断面図、(B1)は固定バンド体の他端を留め具に挿通させる第2の手順を示す背面図であり、(B2)は(B1)のb―b線における断面図、(C1)は固定バンド体の他端を折り返して留め具に再度挿通させる第3の手順を示す背面図であり、(C2)は(C1)のc―c線における断面図である。
図9】本発明の第2の実施の形態に関するものであって、把手本体を分離した把手構造体の左側面図である。
図10】本発明の第3の実施の形態に関するものであって、把手本体を分離した把手構造体の左側面図である。
図11】本発明の第4の実施の形態の把手構造体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1Aは本発明の第1の実施の形態に関するものであって、把手構造体を飲料用容器に適用した状況を示す斜視図であり、図1B図1Aに示す把手構造体において、把手本体を分離した状況を示す斜視図であり、図2図1Aに示す把手構造体を、把手本体側から見た正面図であり、図3図1Aに示す把手構造体の背面図であり、図4図1Aに示す把手構造体の左側面図であり、図5図1Aに示す把手構造体の平面図である。
【0028】
これらの図を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る把手構造体T1は、飲料用の容器を、把手を取り付ける対象物1とするものであって、把手本体10、把手保持体20、及び、固定バンド体30を含む。本例の対象物1とする容器の形態は、円筒形、又は、円錐台形である。
【0029】
把手本体10は、基部12と、基部12に一体的に設けられ使用者が把持可能な形態を備えた把持部11とを有する。本例では、カラビナが把手本体10として使用される。カラビナは一般に、金属でD字形やオーバル形のリング状に形成されたフレームを備え、フレームの一部に開閉可能なゲート13が設けられ、フレーム中のゲート13と対向する直線状の部分はスパインと呼ばれる。本例では、スパインが基部12として利用される。又、フレームにおけるゲート13を含む部分が把持部11として利用される。このゲート13は、バネやネジ等の機構で常時閉止状態に維持される。図示は省略したが、ゲートの開閉構造には公知の機構を使用することができる。尚、把手本体10の長さは、対象物1が容器の場合、下端部が容器の底面から突出しないような長さであることが好ましい。
【0030】
把手保持体20は、対象物1の周面1a上に配置され、把手本体10の把持部11が周面1aに対し突出する姿勢となるように、その基部12を着脱可能に保持するものである。本例の把手保持体20は、対象物1の軸方向に離れた周面1a上の2個所に配置した2つの保持部材20A、20Bを含み、これらはそれぞれ固定バンド体30によって周面1a上に固定される。対象物1が容器の場合、保持部材20A、20Bは、容器の開口部1bを上方とすると、周面1aの上位及び下位に配置されることになる。従って把手本体10は、その基部12における上下に離れた2個所が、2つの保持部材20A、20Bによってそれぞれ保持される。保持部材20A、20Bの構成の詳細は後述する。
【0031】
固定バンド体30は、対象物1の周面1a上に巻き付けられて把手保持体20を周面1a上に固定するためのものである。本例の固定バンド体30は、上位及び下位の保持部材20A、20Bそれぞれに装着される2本の帯状のバンド部31と、各バンド部31の一端に設けられ、他端を締結するための留め具部40とを含む。バンド部31は例えば布、不織布、合成樹脂等の柔軟性と強度とを備える素材から成る。又、必要に応じ、耐熱性や耐水性をさらに備えてもよい。留め具部40は、例えば、中央に軸部を有するリング状の部材から成る。固定バンド体30の締結方法については後述する。
【0032】
次に、把手保持体20の詳細を説明する。図6図1Aに示す把手構造体に含まれる把手保持体を示すものであって、(A)は上位の把手保持体の正面図、(B)はその右側面図、(C)は下位の把手保持体の正面図、(D)はその右側面図である。図7の(A)は、図6の(B)のX―X線における断面図であり、図7の(B)は、図6の(A)のY―Y線における断面図である。
【0033】
本例の把手保持体20の上下2つの保持部材20A、20Bのうち、上位の保持部材20Aは、把手本体10の基部12の上端側を収納可能な収納凹部S1と、収納凹部S1の入り口側において対向して配置され、収納凹部S1に対する基部12の進退に抵抗力を与える1組の係止凸部22aを含む。更に詳しくは、保持部材20Aは対象物1の周面1a上に配置される基板部20aを有し、この基板部20aに、把手本体10の基部12の側面に当接する係止凸部22aを備える1対の側面係止部21aと、逆U字形の正面視形状を有し基部12の上端部に当接する上面係止部23aとが設けられる。基板部20a、側面係止部21a、及び上面係止部23aで囲まれた領域により、上位の収納凹部S1が形成される。又、基板部20aの両側部24aは、周面1aに沿うようわずかに折り曲げられると共に、固定バンド体30を装着するための取付孔25aが形成されている。
【0034】
図7を参照して、係止凸部22aには、例えばボールキャッチ構造として知られる機構が使用される。即ち、収納凹部S1を形成するための間隔を空けて対向して配置された1対の側面係止部21aは、貫通孔27が形成された柱状又はブロック状の形態を有する。各貫通孔27の軸線は同一線上となるように設定される。この貫通孔27内には収納凹部S1側から順に、その一部が係止凸部22aとなるボール26、バネ28、及びネジ29が配置され、ネジ29によって、ボール26と圧縮状態のバネ28とが貫通孔27内に閉じ込められる。又、貫通孔27における収納凹部S1に面する開口27aの口径は、ボール26の直径よりも小さく設定される。このような構成により、対向する各ボール26は、バネ28で常時弾性的に付勢されることによりその一部を開口27aから収納凹部S1に突出させる。この突出部分が係止凸部22aを構成する。又、開口27aの口径の設定に基づき、両ボール26は所定の最接近間隔W2よりも接近することが阻止される。更に、ボール26は、貫通孔27内を弾性的に進退可能であり、所定以上の力を与えることで貫通孔27内に後退させることが可能である。このボール26を後退させるのに要する力が抵抗力として機能する。
【0035】
図7を参照して、本例では、収納凹部S1に面する側面係止部21aの端面と上面係止部23aの内面とが面一に連続して収納凹部S1の内表面を形成している。そして、収納凹部S1の幅寸法W1、係止凸部22aが最接近したときの間隔W2、把手本体10の基部12の直径W3の関係が、W2<W3<W1となるように設定されている。又、係止凸部22aの基板部20aからの距離は、基部12を収納凹部S1内に収納することが可能な大きさに設定される。これにより、基部12に係止凸部22aの抵抗力よりも大きい押し込み方向の力を与えることにより、係止凸部22aが貫通孔27内に一旦後退し、基部12が収納凹部S1内に収納された状態となった後、係止凸部22aが再び突出して基部12の表面に当接するようになる。その結果、把手本体10が、容易に分離しないように把手保持体20で保持されることになる。
【0036】
この時、基部12の上端部が上面係止部23aに当接することにより、把手本体10が基部12の軸に沿って上方へ移動するのが阻止される。又、収納凹部S1に収納した把手本体10の把持部11における基部12に接続する部分11a(図7(B)で楕円で囲んだ部分)が、側面係止部21a及び上面係止部23aで構成される収納凹部S1の内表面P1と当接し得るように設定されている。これにより、把手本体10が基部12の軸周りに回動するのが阻止される。
【0037】
把手本体10を分離する場合は、基部12に抵抗力よりも大きな引き出し方向の力を与えることにより、係止凸部22aを再度貫通孔27内に後退させ、基部12を収納凹部S1から取り出すことができる。
【0038】
尚、下位の保持部材20Bは、上面係止部を有さない以外は、上位の保持部材20Aと共通の構成、機能を備えている。即ちこの保持部材20Bは、基板部20bと、基板部20bの上に収納凹部S2となる間隔を空けて設けられた一対の側面係止部21bとを有し、基板部20bの両端部24bは折り曲げられると共に、固定バンド体30を装着するための取付孔25bが形成され、側面係止部21bは弾性的に進退可能な係止凸部22bを有している。そして、基部12に所定値以上の力を与えることで、収納凹部S2に対し取り付け、取り出しが可能である。
【0039】
次に、固定バンド体30の締結方法の一例を説明する。図8図1Aに示す把手構造体に含まれる固定バンド体の締結手順を示すものであって、(A1)は固定バンド体の一端の留め具を容器(対象物)の周面上に配置する第1の手順を示す背面図であり、(A2)は(A1)のa―a線における断面図、(B1)は固定バンド体の他端を留め具に挿通させる第2の手順を示す背面図であり、(B2)は(B1)のb―b線における断面図、(C1)は固定バンド体の他端を折り返して留め具に再度挿通させる第3の手順を示す背面図であり、(C2)は(C1)のc―c線における断面図である。
【0040】
固定バンド体30で上下の保持部材20A、20Bをそれぞれ対象物1の周面1aに固定するため、各基板部20a、20bの取付孔25a、25bそれぞれにバンド部31を挿通させ、これらを周面1aに巻き付けた状態で、その一端31aに設けた留め具部40で他端31bを締結する。本例では以下のようにしてバンド部31を締結している。尚、ここでは上位に配置されるバンド部31の締結手順について説明するが、下位のバンド部31についても同様である。
【0041】
図8の(A1)、(A2)を参照して、本例の留め具部40は、中間に軸部42を設けた方円形のリング状部材であり、中間の軸部42の両側それぞれに軸部41、43が配置された構成となっている。説明の便宜上、軸部41~43をそれぞれ、第1の軸部41、第2の軸部42、第3の軸部43と称する。尚、中間の第2の軸部42は、可動の構造であってもよい。
【0042】
バンド部31は、その一端31aが予め第2の軸部42に適宜の手段で連結されており、一端31aを起点として、他端31bを対象物1の周面1aに沿って巻き付ける。この例では、バンド部31は、第2の軸部42から第1の軸部41の裏側(周面1aとの間)を通る方向へ巻き付けられている。
【0043】
次に図8の(B1)、(B2)を参照して、バンド部31の他端31bを、留め具部40の第3の軸部43の裏側から、第2の軸部42の表側を通り、更に第1の軸部41の裏側へ抜けるように引き出す。これにより、バンド部31の全体が周面1aに密着する。
【0044】
最後に図8の(C1)、(C2)を参照して、バンド部31の他端31bを折り返し、再び第3の軸部43の裏側を挿通させ、強く引っ張って緩みをなくす。これにより、バンド部31が簡単にほどけることがなくなり、保持部材20Aを周面1a上に固定することができる。
【0045】
以上のように構成された本例の把手構造体T1は、上下の保持部材20A、20Bの係止凸部22a、22bの抵抗力によって、把手本体10の基部12の離れた2個所を容易には脱落することがないように保持するから、取付状態が安定する。又、基部12に所定値を超える進退方向の力を与えるだけで把手本体10取り付け、取り外しができるので、着脱作業が容易である。
【0046】
又、本例ではカラビナを把手本体10として使用するので、対象物1に取り付けた状態でカラビナが姿勢を変えたり周面1a上を移動したりしないことが望ましい。本例では、上位の保持部材20Aの側面係止部21a及び上面係止部23aが、把手本体10の移動規制手段として機能する。把手本体10の基部12を収納凹部S1に収納した状態で、把持部11を把持して対象物1を持ち上げたとき、対象物1の重量によって、対象物1に固定バンド体30で固定された保持部材20A、20Bには下向きの荷重が作用する。しかし本例では、上面係止部23aが基部12の上端部に当接することで、把手本体10と保持部材20Aとが軸方向に相対移動するのが阻止される。又、把手本体10の把持部11における基部12に接続する部分11aが、側面係止部21a及び上面係止部23aで構成され収納凹部S1の内表面P1と当接するように設定されているから、把手本体10が収納凹部S1内で基部12の軸回りに回動するのが阻止される。上述の構成により、対象物1を持ち上げたときに、把手本体10が対象物に対し相対移動しにくくなり、対象物1の保持状態が安定するから、例えば容器に入れた飲料をスムーズに飲むことができる。
【0047】
尚、固定バンド体30は、バンド部31を対象物1の周面1aに巻き付ける構成であるので、周面1aにおける任意の位置に配置することができる。依って、上下の保持部材20A、20Bの固定位置を容易に変更可能である。そのため、同一の対象物1であっても、基部12の寸法が異なる把手本体10を使用する場合は、それに応じて2つの保持部材20A、20Bの間隔を調節して、異なる大きさの把手本体10に容易に対応することができる。
【0048】
特に本例では、把手本体10にカラビナを利用するものであるが、取り付ける対象物1の寸法、対象物1が容器の場合に収容する飲食物の重量、男性か女性かの使用者の性別、子供か高齢者かの使用者の年齢、或いは使用者の嗜好等に合わせて、市販品として多種類が準備されているカラビナ製品のうちから最適なものを選択して使用することが可能である。
【0049】
このように本例の把手構造体T1は、把手本体10が着脱可能であり、異なる種類に交換可能なので、対象物の種類や使用者の要望に応じて把手本体10を選択することができる。把手本体10は分離可能なので、運搬、展示、在庫に際しては嵩を小さくして必要スペースを少なくできる効果が発揮される。固定バンド体30を対象物1の周面1aに巻き付けて固定するから、大きささや周面形状の異なる対象物への適用が容易である。
【0050】
図9は本発明の第2の実施の形態に関するものであって、把手本体を分離した把手構造体の左側面図である。
【0051】
同図を参照して、本例は、把手本体に、カラビナに代えて、別のものを使用するものである。図9に示す把手構造体T2は、基本的な構成は第1の実施の形態と同様であるが、把手本体50として全体がD字形状に構成されたものを使用し、その湾曲部分が把持部51となされ、直線状部分が基部52となされたものである。把手保持体20及び固定バンド体30については、第1の実施の形態と共通のものを使用することができる。従って把手本体50の基部52の断面形状は、カラビナと同様の円形、又は、円形に近い形状であることが好ましい。
【0052】
図10は本発明の第3の実施の形態に関するものであって、把手本体を分離した把手構造体の左側面図である。
【0053】
同図を参照して、本例の把手構造体T3は、基本的な構成は第1の実施の形態と同様であるが、把手本体60として、全体が逆J字形状に構成されたものを使用し、その湾曲部分が把持部61となされ、直線状部分が基部62となされたものである。把手保持体20及び固定バンド体30については、第1の実施の形態と共通のものを使用することができる。従って把手本体60の基部62の断面形状は、カラビナと同様の円形、又は、円形に近い形状であることが好ましい。
【0054】
図11は本発明の第4の実施の形態の把手構造体を示す斜視図である。
【0055】
この実施の形態の把手構造体T4では、固定バンド体70を幅広に形成した単一の帯状体とし、その両端部に面ファスナー71を設けた構成とされている。即ち、固定バンド体70の一方の端部の表面に面ファスナー71のフック部(又はループ部)71aを設け、他方の端部の裏面に面ファスナー71のループ部(又はフック部)71bを設け、両者を重ね合わせて接合することで、対象物の周面に固定できるようにしたものである。従って、フック部71aとループ部71bとの重ね合わせ位置を変更することで、様々な大きさの対象物に取り付け可能となっている。
【0056】
尚、把手保持体80の保持部材80A、80Bの基本的構成は上述の実施の形態と共通であり、カラビナを把手本体10に利用可能である。但し、基板部81a、81bが、固定バンド体70の表面適所に間隔を空けて接着等により一体的に取り付けられ、側部に取付孔が省略されている点で異なっている。従って、上下の保持部材80A、80Bは相対移動が抑えられるから、取り付けの際に位置合わせをする必要が無く、又、使用中に把手本体10の位置ずれを生じさせるおそれが少ない。
【0057】
尚、前述の実施の形態では、把手構造体が適用される対象物として、飲食物用の容器を例示したが、特にステンレス製の断熱二重構造を有するカップやタンブラーは、その構造上、把手を設けるのが難しい場合が多いので、適用対象として好適である。他の取付対象物としては、ペットボトル、缶、瓶等も挙げられる。本発明は、これらの把手を持たない容器に把手を取り付けて、収納した飲食物の飲食を容易にすることが可能となる。更に本発明の対象物としては、容器以外に、望遠鏡のような筒状体も含まれる。
【0058】
又、上述の実施の形態では、把手保持体と固定バンド体とは分離可能であったが、両者を一体成形してもよい。
【0059】
又、把手本体を着脱可能に保持する手段としては、例示したボールキャッチ構造に代えて、磁石を利用する構造も可能である。この場合、把手本体の基部と、把手保持体との間に凹凸嵌合する構造や、突起と穴との嵌合構造を設けることで、把手本体の移動規制する手段を兼用させることができる。
【0060】
又、固定バンド体のバンド部分をゴム等の弾性体で形成し、その弾性的な収縮力を利用して対象物に取り付ける構造としてもよい。
【0061】
尚、本発明の把手構造体を提供するに当たっては、カラビナについては使用者が市販のものを用意することができるので、把手保持体と固定バンド体とを組み合わせ、これらを把手取付具として販売、流通させることも可能である。
【符号の説明】
【0062】
T1~T4…把手構造体
1…対象物
1a…周面
1b…開口部
10…把手本体
11…把持部
11a…接続する部分
12…基部
13…ゲート
20…把手保持体
20A、20B…保持部材
20a、20b…基板部
21a、21b…側面係止部
22a、22b…係止凸部
23a…上面係止部
24a、24b…側部
25a、25b…取付孔
26…ボール
27…貫通孔
27a…開口
28…バネ
29…ネジ
30…固定バンド体
31…バンド部
31a…一端
31b…他端
40…留め具部
41…第1の軸部
42…第2の軸部
43…第3の軸部
50…把手本体
51…把持部
52…基部
60…把手本体
61…把持部
62…基部
70…固定バンド体
71…面ファスナー
71a…フック部
71b…ループ部
80…把手保持体
80A、80B…保持部材
81a、81b…基板部
S1、S2…収納凹部
P1…収納凹部の内表面
W1…収納凹部の幅寸法
W2…係止凸部の最接近間隔
W3…把手本体の基部の直径
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11