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特開2022-191764基板処理方法、基板処理装置およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191764
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】基板処理方法、基板処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20221221BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
H01L21/304 648H
H01L21/304 651B
H01L21/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100200
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】島野 達矢
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴大
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 亨
(72)【発明者】
【氏名】青木 陸太
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA09
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB42
5F157AB49
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157BB23
5F157BB24
5F157BB45
5F157CB13
5F157CB15
5F157CD05
5F157CD29
5F157CE03
5F157CE08
5F157CE83
5F157CE84
5F157CF14
5F157CF16
5F157CF22
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF50
5F157CF54
5F157CF60
5F157CF99
5F157DA21
5F157DB37
5F157DB46
5F157DB47
5F157DC81
(57)【要約】
【課題】より適切な異常処理を行うことができる技術を提供する。
【解決手段】基板処理方法は、設定工程と、基板処理工程と、検出工程S1と、第1異常処理工程S4とを備える。設定工程においては、基板に対する一連処理を規定する複数の処理内容の各々に対応して、該複数の処理内容の一つをジャンプ先に設定する。基板処理工程において、基板に対して一連処理を開始する。検出工程S1において、異常を検出する。第1異常処理工程S4において、異常を検出したときに、実行中の処理内容である実行内容に対応して設定されたジャンプ先から、一連処理を行う。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対する一連処理を規定する複数の処理内容の各々に対応して前記複数の処理内容の一つをジャンプ先に設定する設定工程と、
前記基板に対して前記一連処理を開始する基板処理工程と、
異常を検出する検出工程と、
前記異常を検出したときに、実行中の処理内容である実行内容に対応して設定された前記ジャンプ先から、前記一連処理を行う第1異常処理工程と
を備える、基板処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理方法であって、
前記異常を検出したときの前記実行内容に対応した前記ジャンプ先が設定されていないとき、または、前記第1異常処理工程の実行中に前記異常を検出したときに、前記実行内容に依存しない予め設定された第2異常処理を行う第2異常処理工程をさらに備える、基板処理方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の基板処理方法であって、
前記設定工程において、前記複数の処理内容および前記ジャンプ先を表示部に表示する、基板処理方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の基板処理方法であって、
前記実行内容が、前記基板に薬液を供給する薬液処理であるときに、前記第1異常処理工程よりも前に、前記薬液処理を継続して行う継続処理工程をさらに備える、基板処理方法。
【請求項5】
請求項4に記載の基板処理方法であって、
前記継続処理工程において、前記薬液処理の終了時刻までの残時間がしきい値以下であるときに、前記薬液処理を継続して行い、前記残時間が前記しきい値よりも大きいときに、前記薬液処理を停止する、基板処理方法。
【請求項6】
基板処理装置であって、
基板に対して一連処理を行う処理ユニットと、
異常を検出するセンサと、
前記一連処理を規定する複数の処理内容の各々に対応して前記複数の処理内容の一つをジャンプ先に設定し、前記処理ユニットに、前記基板に対して前記一連処理を開始させ、前記センサが前記異常を検出したときに、前記処理ユニットに、実行中の処理内容である実行内容に対応して設定された前記ジャンプ先から前記一連処理を行わせる制御部と
を備える、基板処理装置。
【請求項7】
基板に対して一連処理を行う処理ユニットと、異常を検出するセンサとを備える基板処理装置を制御するプログラムであって、
コンピュータに、
前記一連処理を規定する複数の処理内容の各々に対応して前記複数の処理内容の一つをジャンプ先に設定する設定工程と、
前記処理ユニットに、前記基板に対する前記一連処理を開始させる基板処理工程と、
前記異常を検出する検出工程と、
前記異常を検出したときに、前記処理ユニットに、実行中の処理内容である実行内容に対応して設定された前記ジャンプ先から前記一連処理を行わせる第1異常処理工程と
を実行させるための、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理方法、基板処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板を処理する基板処理装置が提案されている(例えば、特許文献1)。基板処理装置は、複数の処理ユニットと、各処理ユニットに基板を搬送する搬送ロボットとを含む。各処理ユニットは基板を水平姿勢で回転させつつ、該基板に種々の処理液を順次に供給する。これにより、処理液に応じた処理を基板に対して順次に行うことができる。例えば、処理ユニットは基板に対して薬液処理、リンス処理および乾燥処理をこの順で行う。
【0003】
この基板処理装置において異常が検出された場合、処理ユニットは基板に対する処理を停止し、予め決められた異常処理を実行する。具体的には、処理ユニットは異常処理としてリンス処理および乾燥処理を行う。
【0004】
これによれば、異常の発生時に処理ユニットが薬液処理の実行中であっても、基板に付着した薬液をリンス液に置換した後で基板を乾燥させることができる。よって、基板に薬液が残ったままで放置されることによる、基板の損傷を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-109347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、異常が生じたタイミングによっては、異常処理を行うことが望ましくない場合もある。例えば乾燥処理の実行中に異常が検出された場合、処理ユニットが異常処理として再びリンス処理および乾燥処理を行うと、不要なリンス処理が行われることになる。
【0007】
また、異常処理として、予め決められた処理を採用することが必ずしも最適とは限らない。
【0008】
そこで、本開示は、より適切な異常処理を行うことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
基板処理方法の第1の態様は、基板に対する一連処理を規定する複数の処理内容の各々に対応して前記複数の処理内容の一つをジャンプ先に設定する設定工程と、前記基板に対して前記一連処理を開始する基板処理工程と、異常を検出する検出工程と、前記異常を検出したときに、実行中の処理内容である実行内容に対応して設定された前記ジャンプ先から、前記一連処理を行う第1異常処理工程とを備える。
【0010】
基板処理方法の第2の態様は、第1の態様にかかる基板処理方法であって、前記異常を検出したときの前記実行内容に対応した前記ジャンプ先が設定されていないとき、または、前記第1異常処理工程の実行中に前記異常を検出したときに、前記実行内容に依存しない予め設定された第2異常処理を行う第2異常処理工程をさらに備える。
【0011】
基板処理方法の第3の態様は、第1または第2の態様にかかる基板処理方法であって、前記設定工程において、前記複数の処理内容および前記ジャンプ先を表示部に表示する。
【0012】
基板処理方法の第4の態様は、第1から第3のいずれか一つの態様にかかる基板処理方法であって、前記実行内容が、前記基板に薬液を供給する薬液処理であるときに、前記第1異常処理工程よりも前に、前記薬液処理を継続して行う継続処理工程をさらに備える。
【0013】
基板処理方法の第5の態様は、第4の態様にかかる基板処理方法であって、前記継続処理工程において、前記薬液処理の終了時刻までの残時間がしきい値以下であるときに、前記薬液処理を継続して行い、前記残時間が前記しきい値よりも大きいときに、前記薬液処理を停止する。
【0014】
基板処理装置の態様は、基板処理装置であって、基板に対して一連処理を行う処理ユニットと、異常を検出するセンサと、前記一連処理を規定する複数の処理内容の各々に対応して前記複数の処理内容の一つをジャンプ先に設定し、前記処理ユニットに、前記基板に対して前記一連処理を開始させ、前記センサが前記異常を検出したときに、前記処理ユニットに、実行中の処理内容である実行内容に対応して設定された前記ジャンプ先から前記一連処理を行わせる制御部とを備える。
【0015】
プログラムの態様は、基板に対して一連処理を行う処理ユニットと、異常を検出するセンサとを備える基板処理装置を制御するプログラムであって、コンピュータに、前記一連処理を規定する複数の処理内容の各々に対応して前記複数の処理内容の一つをジャンプ先に設定する設定工程と、前記処理ユニットに、前記基板に対する前記一連処理を開始させる基板処理工程と、前記異常を検出する検出工程と、前記異常を検出したときに、前記処理ユニットに、実行中の処理内容である実行内容に対応して設定された前記ジャンプ先から前記一連処理を行わせる第1異常処理工程とを実行させる。
【発明の効果】
【0016】
基板処理方法の第1の態様、基板処理装置の態様およびプログラムの態様によれば、基板に対して適切な一連処理の一部を第1異常処理として行うことができる。よって、基板に対してより適切な第1異常処理を行うことができる。
【0017】
基板処理方法の第2の態様によれば、基板を救済できる可能性を向上させることができる。
【0018】
基板処理方法の第3の態様によれば、ユーザは第1異常処理の内容を容易に確認しつつ、ジャンプ先を設定できる。
【0019】
基板処理方法の第4の態様によれば、基板に対する薬液処理が完了できた場合には、異常処理後に基板に処理を行う必要がないので、そのまま基板を次の製造工程に進めることができる。
【0020】
基板処理方法の第5の態様によれば、異常処理に要する時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】基板処理装置の構成の一例を概略的に示す平面図である。
図2】制御部の構成の一例を概略的に示す図である。
図3】処理ユニットの構成の一例を概略的に示す図である。
図4】基板処理およびジャンプ先の一例を示す図である。
図5】設定画面の一例を概略的に示す図である。
図6】基板処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図7】基板処理装置に異常が生じた場合の基板処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図8】第3の実施の形態にかかる基板処理装置の構成の一例を概略的に示す図である。
図9】基板処理装置に異常が生じた場合の基板処理装置の動作の他の一例を示すフローチャートである。
図10】継続処理の一例を示すフローチャートである。
図11】継続処理の他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照しながら、実施の形態について説明する。なお、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本開示の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法または数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。
【0023】
相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば「一方向に」「一方向に沿って」「平行」「直交」「中心」「同心」「同軸」など)は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。等しい状態であることを示す表現(例えば「同一」「等しい」「均質」など)は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。形状を示す表現(例えば、「四角形状」または「円筒形状」など)は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲で、例えば凹凸または面取りなどを有する形状も表すものとする。一の構成要素を「備える」「具える」「具備する」「含む」または「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。「A,BおよびCの少なくともいずれか一つ」という表現は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A,BおよびCのうち任意の2つ、ならびに、A,BおよびCのすべてを含む。
【0024】
<第1の実施の形態>
<基板処理装置の全体構成>
図1は、実施の形態にかかる基板処理装置100の構成の一例を概略的に示す平面図である。基板処理装置100は、ロードポート101と、インデクサロボット110と、センターロボット120と、少なくとも1つの処理ユニット130(図1においては4つの処理ユニット)と、制御部90とを含む。
【0025】
各処理ユニット130は、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。処理ユニット130はチャンバ1を有することができる。その場合、チャンバ1内の雰囲気を制御部90によって制御することで、処理ユニット130は、所望の雰囲気中において基板処理を行うことができる。
【0026】
制御部90は、基板処理装置100の諸構成の動作を制御することができる。キャリアCは、基板Wを収容する収容器である。また、ロードポート101は、複数のキャリアCを保持する収容器保持機構である。インデクサロボット110は、ロードポート101と基板載置部140との間で基板Wを搬送することができる。センターロボットCRは、基板載置部140と処理ユニット130との間で基板Wを搬送することができる。
【0027】
以上の構成によって、インデクサロボット110、基板載置部140およびセンターロボット120は、それぞれの処理ユニット130とロードポート101との間で基板Wを搬送する搬送機構として機能する。
【0028】
未処理の基板WはキャリアCからインデクサロボット110によって取り出される。そして、未処理の基板Wは、基板載置部140を介してセンターロボット120に受け渡される。センターロボット120は、未処理の基板Wを処理ユニット130に搬入する。そして、処理ユニット130は基板Wに対して処理を行う。
【0029】
処理ユニット130において処理済みの基板Wは、センターロボット120によって処理ユニット130から取り出される。そして、処理済みの基板Wは、必要に応じて他の処理ユニット130を経由した後、基板載置部140を介してインデクサロボット110に受け渡される。インデクサロボット110は処理済みの基板WをキャリアCに搬入する。以上によって、基板Wに対する処理が行われる。
【0030】
図2は、制御部90の構成の一例を概略的に示すブロック図である。制御部90は、電気回路を有する一般的なコンピュータによって構成されていてよい。具体的には、制御部90は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置91と、ROM(Read Only Memory)等の非一時的な記憶部92と、RAM(Random Access Memory)等の一時的な記憶部93と、記憶装置94と、入力部96と、表示部97と、通信部98と、これらを相互に接続するバスライン95とを備える。
【0031】
記憶部92は基本プログラムを格納する。記憶部93は、演算処理装置91が所定の処理を行う際の作業領域として用いられる。記憶装置94は、フラッシュメモリおよびハードディスク装置等の不揮発性記憶装置によって構成されている。入力部96は、マウスおよびキーボード等の各種スイッチまたはタッチパネルを含み、オペレータから処理レシピ等の諸情報の入力を受け付ける。表示部97は、例えば、液晶表示装置およびランプによって構成されており、演算処理装置91の制御の下、各種の情報を表示する。通信部98は、LAN(Local Area Network)等の通信網を介したデータ通信機能を有する。
【0032】
記憶装置94には、例えば処理プログラム94Pが記憶されている。演算処理装置91が処理プログラム94Pを実行することによって、基板処理装置100の各構成が制御される。なお、処理プログラム94Pは、光ディスク等の可搬型の記憶媒体に記憶されていてもよい。この記憶媒体を用いれば、制御部90に処理プログラム94Pをインストールすることができる。また、制御部90が実行する機能の一部または全部は、必ずしもソフトウェアによって実現される必要はなく、専用の論理回路などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0033】
<処理ユニット>
図3は、処理ユニット130の構成の一例を概略的に示す側面図である。図3に例示された処理ユニット130は、基板Wに対して種々の処理を行うことが可能な装置である。以下では、処理ユニット130が基板Wに対して行う一連の処理を一連処理と呼ぶ。この一連処理はフローレシピとも呼ばれ得る。一連処理には、例えば、薬液処理、リンス処理および乾燥処理が含まれる。なお、ここでは一例として、これらの処理の前段階で行われるプレディスペンス処理等の前処理、および、これらの処理の後段階で行われる処理ユニット130内の洗浄処理等の後処理は、一連処理には含まれないものとする。
【0034】
図3の例では、処理ユニット130は、チャンバ1と、基板保持部2と、ノズル31と、センサ10とを含んでいる。
【0035】
チャンバ1の内部空間は、基板Wを処理するための処理空間に相当する。チャンバ1の側壁には、センターロボット120と基板Wの受け渡しを行うための搬送口(不図示)と、該搬送口を開閉するシャッタ(不図示)とが設けられる。
【0036】
基板保持部2はチャンバ1内に設けられており、基板Wを水平姿勢で保持する。ここでいう水平姿勢とは、基板Wの厚み方向が鉛直方向に沿う姿勢である。図3の例では、基板保持部2は、ステージ21と、複数のチャックピン22とを含んでいる。ステージ21は円板形状を有し、基板Wよりも鉛直下方に設けられている。ステージ21は、その厚み方向が鉛直方向に沿う姿勢で設けられる。複数のチャックピン22はステージ21の上面に立設されており、基板Wの周縁を把持する。なお、基板保持部2は必ずしもチャックピン22を有する必要はない。例えば、基板保持部2は基板Wの下面を吸引して基板Wを吸着してもよい。
【0037】
図3の例では、基板保持部2は回転機構23をさらに含んでおり、回転軸線Q1のまわりで基板Wを回転させる。回転軸線Q1は基板Wの中心部を通り、かつ、鉛直方向に沿う軸である。回転機構23は例えばシャフト24およびモータ25を含む。シャフト24の上端はステージ21の下面に連結され、ステージ21の下面から回転軸線Q1に沿って延在する。モータ25はシャフト24を回転軸線Q1のまわりで回転させて、ステージ21を回転させる。これにより、複数のチャックピン22によって保持された基板Wが回転軸線Q1のまわりで回転する。このような基板保持部2はスピンチャックとも呼ばれ得る。
【0038】
以下では、回転軸線Q1についての径方向を単に径方向と呼ぶ。
【0039】
ノズル31はチャンバ1内に設けられている。ノズル31は基板Wへの処理液の供給に用いられる。図1の例では、ノズル31は給液管32を介して処理液供給源(不図示)に接続される。つまり、給液管32の下流端がノズル31に接続され、給液管32の上流端が処理液供給源に接続される。処理液供給源は、例えば、処理液を貯留するタンク(不図示)を含み、給液管32に処理液を供給する。処理液は、例えば、基板Wの対象物を除去するエッチング液等の薬液、薬液を洗い流す純水等のリンス液、および、基板Wの電荷を除去する除電液の少なくともいずれかを含む。
【0040】
給液管32にはバルブ33が設けられている。バルブ33が開放動作を行うと、処理液が処理液供給源から給液管32を通じてノズル31に供給され、ノズル31から吐出される。バルブ33が閉止動作を行うと、ノズル31からの処理液の吐出が終了する。
【0041】
図3に例示するように、処理ユニット130は複数のノズル31を含んでいてもよい。各ノズル31には、異なる種類の処理液が供給されてもよい。
【0042】
図3の例では、ノズル31は、ノズル移動機構4によって移動可能にチャンバ1内に設けられる。ノズル移動機構4はノズル31を処理位置と待機位置との間で移動させる。処理位置とは、ノズル31が基板Wに処理液を供給する位置であり、例えば、基板Wの中央部と鉛直方向において向かい合う位置である。待機位置は、ノズル31が基板Wに処理液を供給しない位置であり、例えば、基板保持部2よりも径方向外側の位置である。ノズル31が待機位置に位置する状態では、ノズル31は、基板保持部2とセンターロボット120との間での基板Wの搬送経路と干渉しない。
【0043】
図3の例では、ノズル移動機構4は、アーム41と、支持柱42と、回動機構43とを含む。アーム41は、水平方向に沿って延在する棒状形状を有しており、その先端がノズル31に結合される。アーム41の基端は支持柱42に結合されている。支持柱42は、後述のガード7よりも径方向外側に設けられており、鉛直方向に沿って延在する。回動機構43は支持柱42をその中心軸線Q2のまわりで回動させる。回動機構43は例えばモータを含む。回動機構43が支持柱42を回動させることにより、アーム41およびノズル31が中心軸線Q2のまわりで旋回する。支持柱42は、ノズル31の移動経路上に処理位置および待機位置が位置するように、チャンバ1内の所定位置に設けられる。
【0044】
図3では、複数のノズル移動機構4が設けられており、各ノズル移動機構4がそれぞれ1以上のノズル31を移動させる。図3の例では、一つのアーム41には複数(ここでは2つ)のノズル31が結合されている。よって、該アーム41が回動機構43によって旋回することにより、該アーム41に取り付けられた複数のノズル31が一体で移動する。図3の例では、2つのノズル移動機構4が設けられているものの、3以上のノズル移動機構4が設けれられてもよい。また、各ノズル移動機構4が移動させるノズル31の数も適宜に変更し得る。言い換えれば、アーム41に結合されたノズル31の数を適宜に変更し得る。
【0045】
処理ユニット130は、各ノズル31から回転中の基板Wに向けて順次に処理液を吐出することにより、各処理液に基づく処理(薬液処理およびリンス処理)を順次に行うことができる。例えば薬液処理を行う場合には、処理ユニット130は、薬液を吐出することができるノズル31をノズル移動機構4によって処理位置に移動させ、該ノズル31に対応したバルブ33を開くことにより、回転中の基板Wに薬液を供給する。これにより、基板Wに対して薬液処理を行うことができる。
【0046】
図3の例では、チャンバ1内には、固定ノズル51も設けられている。固定ノズル51はチャンバ1内において固定されており、基板Wへのリンス液の供給に用いられる。図3の例では、固定ノズル51は基板保持部2よりも径方向外側に設けられており、基板Wの上面にリンス液を放出する。図3の例では、固定ノズル51の吐出口は基板Wの上面の中央部に向いている。よって、固定ノズル51から吐出されたリンス液は基板Wの上面の中央部に着液する。
【0047】
固定ノズル51は給液管52を通じてリンス液供給源(不図示)に接続される。つまり、給液管52の下流端が固定ノズル51に接続され、給液管52の上流端がリンス液供給源に接続される。リンス液供給源は、例えば、リンス液を貯留するタンク(不図示)を含み、給液管52にリンス液を供給する。リンス液は、例えば、純水またはイソプロピルアルコールである。
【0048】
給液管52にはバルブ53が設けられている。バルブ53が開放動作を行うと、リンス液が処理液供給源から給液管52を通じて固定ノズル51に供給され、固定ノズル51から吐出される。バルブ53が閉止動作を行うと、固定ノズル51からのリンス液の吐出が終了する。
【0049】
処理ユニット130は、固定ノズル51から回転中の基板Wに向けてリンス液を吐出させることにより、基板Wに対するリンス処理を行うことができる。固定ノズル51は、ノズル移動機構4のような駆動機構によって変位しないので、駆動系の異常が生じず、信頼性が高い。
【0050】
図3の例では、チャンバ1内には、遮断板6も設けられている。遮断板6は、基板保持部2によって保持された基板Wよりも鉛直上方に設けられており、基板Wと鉛直方向において対向する。遮断板6は、基板Wの直径とほぼ同じ、もしくは、基板Wの直径よりもわずかに大きい直径を有する円板状の部材である。遮断板6は、その中心軸線が回転軸線Q1と一致するように、基板保持部2よりも鉛直上方において水平姿勢で設けられている。遮断板6の下面は、平坦に形成されており、基板保持部2によって保持された基板Wに対向している。
【0051】
また、遮断板6の中央部には、該遮断板6を鉛直方向に貫通する貫通孔が形成されている。該貫通孔の下端は、遮断板6の下面の中央部において開口している。遮断板6の上面には支軸60が取り付けられている。支軸60は中空であり、その内部空間は該貫通孔に連通している。支軸60の中空部には、給液管61が非接触状態で挿通されている。給液管61の下端は、遮断板6の貫通孔に至っている。
【0052】
給液管61の下端には、基板Wの上面の中央部に向けて処理液を吐出するための吐出口61aを有するノズル61bが形成されている。給液管61の上流端には、給液管62の下流端が接続されており、この給液管62を介して図示しない処理液供給源からの処理液(薬液またはリンス液)が供給される。給液管61に供給された処理液は、ノズル61bの吐出口61aから下方に吐出される。給液管62には、給液管61への処理液の供給および供給停止を切り換えるためのバルブ63が設けられている。
【0053】
また、支軸60と給液管61との間には、給液管61を取り囲む給気路64が形成されている。給気路64には、給気管65が接続されている。給気路64には、給気管65を介して図示しないガス供給源からのガスが供給される。給気路64に供給されたガスは、給気路64を下方に流れ、遮断板6の貫通孔から下方に吐出される。遮断板6の内周面(貫通孔を区画する面)とノズル61bの外周面との間が、給気路64からのガスを吐出するガス吐出口66となっている。給気路64に供給されるガスとしては、例えば、窒素ガス等の不活性ガスが用いられている。また、給気管65には、給気路64へのガスの供給および供給停止を切り換えるためのバルブ67が設けられている。
【0054】
また、支軸60には、昇降機構68および回転機構69が結合されている。昇降機構68の駆動力が支軸60に入力されることにより、遮断板6の下面が基板Wの上面に近接した近接位置と、近接位置よりも鉛直上方の待機位置との間で、支軸60および遮断板6が一体的に昇降する。昇降機構68は、例えば、モータを含むボールねじ機構またはエアシリンダ機構を有する。図2では、支軸60および遮断板6が待機位置で停止した状態を示している。
【0055】
回転機構69の駆動力が支軸60に入力されることにより、支軸60および遮断板6を回転軸線Q1のまわりで一体に回転させる。回転機構69は、例えば、モータを含む。
【0056】
遮断板6を近接位置に下降させた状態では、遮断板6と基板Wとの間の空間の体積を小さくすることができる。よって、当該空間の雰囲気を制御しやすい。例えば、バルブ67を開いてガス吐出口66から窒素ガスを吐出すれば、当該空間における窒素ガスの割合を高め、酸素ガスの割合を低減させることができる。そして、当該空間の雰囲気を制御しつつ、バルブ63を開いてノズル61bから処理液を吐出することにより、所定の雰囲気の下で基板Wを処理することができる。
【0057】
あるいは、乾燥処理にも遮断板6を活用することができる。例えば、遮断板6を近接位置に下降させた状態で、ガス吐出口66から窒素ガスを吐出しつつ、基板保持部2が基板Wを高速に回転させる(スピンドライ)。これによれば、窒素ガスによって、処理液を押圧して基板Wの周縁に向かって移動させることができ、あるいは、処理液の蒸発を促進させることができるので、基板Wをより効果的に乾燥させることができる。
【0058】
以上のように、上述の例にかかる処理ユニット130は、ノズル31、固定ノズル51およびノズル61bを含んでいるので、様々な処理を行うことができる。なお、処理ユニット130は基板Wに対する一連処理(フローレシピ)において、必ずしもすべてのノズルを用いる必要はない。基板Wの種類および製造段階に応じて基板Wに対する一連処理は相違するので、その一連処理に必要なノズルのみを用いればよい。
【0059】
また、図3の例では、チャンバ1内には、ガード7も設けられている。ガード7は、基板保持部2によって保持された基板Wを取り囲む筒状の形状を有している。ガード7は、基板Wの周縁から飛散した処理液を受け止める。
【0060】
図3の例では、複数(図では3つ)のガード7が設けられている。以下では、3つのガード7を必要に応じてガード71、ガード72およびガード73と呼ぶことがある。複数のガード7は同心状に配置される。図3の例では、ガード71、ガード72およびガード73は径方向内側から径方向外側にこの順で設けられている。また、各ガード7は昇降機構74によって昇降可能に設けられている。昇降機構74は、例えば、モータを含むボールねじ機構あるいはエアシリンダ機構を有する。
【0061】
昇降機構74がすべてのガード7を上位置に上昇させた状態では、内側のガード71が基板Wから飛散した処理液を受け止め、その処理液を回収管81に導く。昇降機構74が内側のガード71のみを下位置に下降させた状態では、ガード72が処理液を受け止め、その処理液を回収管82に導く。昇降機構74が外側のガード73のみを上位置に上昇させた状態では、ガード73が処理液を受け止め、その処理液を回収管83に導く。
【0062】
このように昇降機構74が処理液の種類に応じて各ガード7を昇降させることにより、回収管81~83のうち処理液の種類に応じた回収管に処理液を導くことができる。各回収管の供給先は、処理液の種類に対応した処理液供給源のタンクであってもよく、外部の廃液部であってもよい。
【0063】
センサ10は、処理ユニット130における各種の異常を検出する。例えば、センサ10は、基板保持部2の回転機構23の異常を検出するセンサ、各処理液の液漏れ異常を検出するセンサ、ノズル移動機構4の異常を検出するセンサ、昇降機構74の異常を検出するセンサ、昇降機構68の異常を検出するセンサ、および、回転機構69の異常を検出するセンサの少なくともいずれか一つを含む。
【0064】
なお、センサ10が検出する異常は上述に限らず、他の種類の異常であってもよい。例えば、チャンバ1内のガスを排気する排気機構(不図示)が設けられている場合、センサ10は排気機構の異常を検出してもよい。また、チャンバ1にメンテナンス用の脱着カバー(不図示)が設けられる場合、センサ10は脱着カバーの着脱を検出してもよい。脱着カバーはメンテナンス時に外されて、ユーザによってチャンバ1内のメンテナンスが行われるので、基板処理時に脱着カバーが外れると、センサ10は脱着カバーの取り外しを異常として検出する。
【0065】
<基板処理および異常処理>
次に、各処理ユニット130が実行する基板処理(一連処理)および異常処理の一例について説明する。ここでいう異常処理とは、基板処理装置100に異常が生じたときに基板Wを救済するための処理である。
【0066】
<基板処理>
基板に対する一連処理の内容は後述のようにユーザによって設定され得る。ここでは一例として、一連処理は、薬液処理、リンス処理および乾燥処理がこの順で実行されるように設定されるものとする。また、ここでは一例として、ノズル61bおよび固定ノズル51は用いられないものとする。
【0067】
後述するように、薬液処理、リンス処理および乾燥処理等の処理(つまり、プロセスレシピ)は、より細分化された処理内容(以下、レシピステップと呼ぶ)で規定される。つまり、一連処理は複数のプロセスレシピによって規定され、各プロセスレシピは複数のレシピステップによって規定される。
【0068】
図4は、一連処理の流れの一例をレシピステップごとに示す図である。図4で示された表の第1列はレシピステップの実行順番を示しており、第2列はレシピステップの内容を示している。図4の例では、1番目のレシピステップとして「薬液処理準備」が設定されている。このレシピステップでは、薬液処理の準備を行う処理が規定される。例えば、アーム41およびガード7の移動が規定される。ここでは、薬液処理において、あるアーム41のノズル31から薬液を吐出し、基板Wから飛散した薬液をガード72で受け止めるものとする。この場合、このレシピステップにおいて、該アーム41の処理位置への移動およびガード72,73の上位置への上昇が規定される。
【0069】
図4の例では、2番目のレシピステップとして「薬液処理開始」が設定される。そして、図示省略するものの、3番目および4番目のレシピステップとして「薬液処理」が設定され、5番目のレシピステップとして「薬液処理終了」が設定される。これらのレシピステップでは、例えば、基板Wの回転速度、薬液の流量および所要時間が規定され、アーム41に複数のノズル31が結合されている場合には、ノズル31のうち薬液を吐出するノズルも規定される。所要時間とは、各レシピステップに要する時間である。また、「薬液処理終了」に対応するレシピステップでは、必要に応じて、アーム41の待機位置への移動が規定される。具体的には、次のプロセスレシピ(ここではリンス処理)において、同じアーム41のノズル31からリンス液が吐出される場合には、該アーム41の待機位置への移動が規定されず、他のアーム41のノズル31からリンス液が吐出される場合に、アーム41の待機位置への移動が規定される。ここでは、同じアーム41のノズル31がリンス液を吐出するものとする。
【0070】
図4の例では、6番目のレシピステップとして「リンス処理開始」が設定される。ここでは、リンス処理において、基板Wから飛散したリンス液をガード71で受け止めるものとする。この場合、「リンス処理開始」のレシピステップでは、ガード71~73の上位置への上昇が規定される。そして、図示省略するものの、7番目のレシピステップとして「リンス処理」が設定され、8番目のレシピステップとして「リンス処理終了」が設定される。これらのレシピステップでは、例えば、基板Wの回転速度、ノズル31のうちリンス液を吐出するノズル、リンス液の流量、および、所要時間が規定される。また、「リンス処理終了」のレシピステップでは、必要に応じて、アーム41の待機位置への移動が規定される。
【0071】
図4の例では、9番目のレシピステップとして「乾燥処理開始」が設定される。そして、図示省略するものの、10番目および11番目のレシピステップとして「乾燥処理」が設定され、12番目のレシピステップとして「乾燥処理終了」が設定される。これらのレシピステップでは、例えば、基板Wの回転速度および所要時間が規定される。このレシピステップの回転速度は、薬液処理およびリンス処理における回転速度よりも高い値に設定される。なお、「乾燥処理終了」のレシピステップでは、必要に応じて、ガード7の下位置への下降が規定される。
【0072】
図4の例では、13番目のレシピステップとして「レシピ処理終了」が設定される。このレシピステップでは、必要に応じて、各種構成のホーム位置への移動が規定される。
【0073】
このような一連処理の流れを規定する情報は設定情報D1として記憶装置94に記憶される。以下では、一連処理の流れを規定する情報をフローレシピ情報とも呼ぶ。制御部90は設定情報D1に基づいて基板処理装置100の各種構成の動作を制御する。これにより、基板処理装置100が基板Wに対する一連処理を行うことができる。
【0074】
<異常処理>
<第1異常処理>
基板処理装置100の動作中にいずれかのセンサ10が異常を検出したときに、制御部90は、各処理ユニット30に、実行中の処理内容(実行内容に相当)に応じた第1異常処理を行わせる。具体的には、制御部90は第1異常処理として、実行中の処理内容に対応して設定されたジャンプ先からの一連処理を、処理ユニット130に実行させる。
【0075】
図4の例では、表の第3列において、各レシピステップに対応したジャンプ先が示されている。具体的な一例として、1番目のレシピステップに対応したジャンプ先として、13番目のレシピステップが設定されている。つまり、この例では、「薬液処理準備」のレシピステップの実行中に異常が検出されると、処理ユニット130は第1異常処理として、「レシピ処理終了」のレシピステップから一連処理を実行する。
【0076】
これによれば、基板Wに対して処理液を用いた処理が未だ行われていない「薬液処理準備」の実行中に異常が検出されると、処理液を用いた処理(薬液処理およびリンス処理)を行わずに、乾燥処理後の「レシピ処理終了」のレシピステップを実行する。よって、処理液の消費量を低減させることができる。また、乾燥処理も行われないので、基板処理装置100の消費電力を低減させることもできる。
【0077】
図4の例では、2番目から5番目のレシピステップに対応したジャンプ先として、6番目のレシピステップが設定されている。この例では、薬液処理の実行中に異常が検出されると、処理ユニット130は第1異常処理として、「リンス処理開始」のレシピステップから一連処理を実行する。つまり、処理ユニット130は「リンス処理開始」から最後の「レシピ処理終了」までのレシピステップを順に実行する。
【0078】
これによれば、処理ユニット130は第1異常処理において、薬液処理による基板W上の薬液をリンス処理によって洗い流し、乾燥処理によって基板Wを乾燥させることができる。よって、薬液による基板Wの損傷を抑制することができる。
【0079】
また、図4の例では、6番目から8番目のレシピステップに対応したジャンプ先として、6番目のレシピステップが設定されている。この例では、リンス処理の実行中に異常が検出されると、処理ユニット130は第1異常処理として、「リンス処理開始」のレシピステップから一連処理を実行する。つまり、処理ユニット130は「リンス処理開始」から最後の「レシピ処理終了」までのレシピステップを順に実行する。
【0080】
これによれば、処理ユニット130は第1異常処理において、基板Wに対するリンス処理を最初から再開するので、基板Wに対するリンス処理をより確実に完了させることができる。よって、基板Wにおける薬液の残留を適切に抑制することができる。
【0081】
また、図4の例では、9番目から12番目のレシピステップに対応したジャンプ先として、9番目のレシピステップが設定されている。この例では、乾燥処理の実行中に異常が検出されると、処理ユニット130は異常処理として、「乾燥処理開始」のレシピステップから一連処理を実行する。つまり、処理ユニット130は「乾燥処理開始」から最後の「レシピ処理終了」までのレシピステップを順に実行する。
【0082】
これによれば、処理ユニット130は第1異常処理において、リンス処理を行わないので、リンス液の消費量を低減させることができる。また、処理ユニット130は第1異常処理において、基板Wに対する乾燥処理を最初から再開するので、基板Wに対する乾燥処理をより確実に完了させることができる。よって、基板Wにおけるリンス液の残留を適切に抑制することができる。
【0083】
また、図4の例では、13番目のレシピステップに対応したジャンプ先として、13番目のレシピステップが設定されている。この例では、「レシピ処理終了」に関する処理の実行中に異常が検出されると、処理ユニット130は第1異常処理として、「レシピ処理終了」のレシピステップから一連処理を実行する。
【0084】
複数の処理ユニット130は、基板処理装置100においてある異常が生じたときに、第1異常処理を実行する。例えば、処理ユニット130の一つにおいて該異常が生じた場合、複数の処理ユニット130が該異常の検出に応答して第1異常処理を実行する。
【0085】
しかるに、該一つの処理ユニット130では第1異常処理の実行中にも同様の異常が発生する可能性が高い。第1異常処理の実行中にも異常が生じたときには、該一つの処理ユニット130は第1異常処理をやり直さずに、動作を終了してもよい。あるいは、該一つの処理ユニット130は第1異常処理とは別の第2異常処理を実行してもよい。第2異常処理は後に詳述する。
【0086】
その一方で、他の処理ユニット130は第1異常処理を完了することができる可能性が高い。よって、他の処理ユニット130は適切に基板Wを救済することができる。
【0087】
このように基板処理装置100における異常の検出に応答して、すべての処理ユニット130が第1異常処理を実行して動作を停止するので、ユーザは異常に対する対応を速やかに行うことができる。
【0088】
<第1異常処理の設定方法>
次に、ジャンプ先の設定方法の一例について説明する。例えば、ユーザは入力部96に対して、設定画面SS1の表示を指示するための入力を行う。制御部90は当該入力に応答して表示部97に設定画面SS1を表示させる。
【0089】
図5は、設定画面SS1の一例を概略的に示す図である。図5に例示された設定画面SS1には、処理内容(ここではレシピステップ)をその実行順に示す表ST1が含まれる。表ST1の第1列には、各行の処理内容を識別するための数字が示されており、この第1列の数字は処理内容の実行順を示している。
【0090】
表ST1の第2列から第(N-1)列には、各行で規定されるレシピステップが示される。具体的な一例として、レシピステップは、「AP1」~「AP3」の項目を含む。「AP1」~「AP3」はアーム41を識別する記号である。つまり、ここでは、処理ユニット130は3つのノズル移動機構4を含む。
【0091】
「AP1」~「AP3」の項目はアーム状態を示す。アーム状態とは、例えば、アーム41の位置およびアーム41の各ノズル31からの吐出状態等の状態を含む。レシピステップは、適宜に、ガード7の位置、基板Wの回転速度、処理液の流量等の情報を含んでもよい。
【0092】
ユーザは、各処理内容を規定するための入力を入力部96に対して行う。より具体的な一例として、ユーザは第2列から第(N-1)列の諸情報を行ごと(つまり、レシピステップごと)に入力部96に入力する。制御部90は当該入力に応答して、処理ユニット130に実行させる一連処理を設定し、その内容を表示部97に表示させる。表示部97は設定画面SS1において表ST1に各レシピステップを表示する。
【0093】
さらに、ユーザは、各レシピステップに対応したジャンプ先を指定する入力を入力部96に対して行う。制御部90は当該入力に応答して、各レシピステップに対応したジャンプ先を設定し、その内容を表示部97に表示させる。表示部97は設定画面SS1において表ST1にジャンプ先を表示する。図5の例では、第N列の「RSC」の項目がジャンプ先を示す項目である。
【0094】
制御部90は、ユーザによって設定された一連処理を示すフローレシピ情報およびジャンプ先を示すジャンプ先情報を設定情報D1として記憶装置94に記憶させる。図5の例では、設定画面SS1には「保存」ボタンB1が表示されており、ユーザは入力部96を操作してボタンB1を選択(クリック)する。制御部90は該入力に応答して、設定情報D1を記憶装置94に記憶させる。
【0095】
制御部90は、基板処理装置100においてセンサ10が異常を検出したときに、設定情報D1に基づいて、実行中の処理内容に応じたジャンプ先を特定する。そして、制御部90は第1異常処理として、特定したジャンプ先の処理内容からの一連処理を処理ユニット130に行わせる。
【0096】
<第2異常処理>
次に、第2異常処理について説明する。第2異常処理は、第1異常処理の実行中に異常が検出されたときに実行される。この第2異常処理の手順は予め決められており、異常が検出されたときの実行中の処理内容には依存しない。ただし、第2異常処理における処理条件(例えば処理液の流量および基板Wの回転速度)はユーザによって任意に変更可能である。言い換えれば、入力部96は第2異常処理の処理条件の入力を受け付ける。
【0097】
第2異常処理は、例えば、予め決められたノズルを用いたリンス処理、および、乾燥処理を含む。具体的な一例として、第2異常処理のリンス処理は、固定ノズル51を用いたリンス処理である。
【0098】
これによれば、処理ユニット130が第1異常処理を完了させることができない場合でも、第2異常処理を完了させることができる場合がある。例えば、一つの処理ユニット130において、ノズル31を用いた処理液に関する異常が生じた場合、該一つの処理ユニット130において第1異常処理の実行中に同様の異常が生じ得る。しかしながら、第2異常処理ではノズル31を用いないので、第2異常処理の実行中には同様の異常が生じない。したがって、該一つの処理ユニット130は第2異常処理を完了させることができる。
【0099】
これによれば、第1異常処理が実行できない場合であっても、第2異常処理によって、基板Wの薬液をリンス液に置換させ得るので、薬液による基板Wの損傷を抑制し得る。
【0100】
<フラグ>
制御部90は、第1異常処理の有効および無効を設定するための第1フラグF1を記憶装置94に記憶させてもよい。例えば、入力部96は第1異常処理の有効または無効を指定するための入力を受け付ける。制御部90は該入力に応答して第1フラグF1を立ち上げ、または、立ち下げる。ここでは、第1フラグF1が立ち上がっているときに、第1異常処理が有効に設定され、第1フラグF1が立ち下がっているときに、第1異常処理が無効に設定される。
【0101】
第1異常処理の有効/無効は処理ユニット130ごとに設定されてもよく、2以上の処理ユニット130に対して共通に設定されてもよい。
【0102】
制御部90は、第2異常処理の有効および無効を設定するための第2フラグF2を記憶装置94に記憶させてもよい。例えば、入力部96は第2異常処理の有効または無効を指定する入力を受け付ける。制御部90は該入力に応答して第2フラグF2を立ち上げ、または、立ち下げる。ここでは、第2フラグF2が立ち上がっているときに、第2異常処理が有効に設定され、第2フラグF2が立ち下がっているときに、第2異常処理が無効に設定される。
【0103】
第2異常処理の有効/無効は処理ユニット130ごとに設定されてもよく、2以上の処理ユニット130に対して共通に設定されてもよい。
【0104】
<基板処理装置100の動作の一例>
図6は、基板処理装置100の処理の一例を示すフローチャートである。まず、ユーザは、各種情報を設定する(ステップS10:設定工程)。具体的には、ユーザは、一連処理の内容、ジャンプ先を指定する入力を入力部96に対して行う。具体的な一例として、この設定工程において、上述のように、表示部97はレシピステップおよびジャンプ先を表示する。ユーザは表示部97を確認しつつ、一連処理およびジャンプ先を入力部96に入力する。この設定工程により、記憶装置94には、フローレシピ情報およびジャンプ先情報を含む設定情報D1が記憶される。表示部97がレシピステップおよびジャンプ先を表示することによって、ユーザは第1異常処理の内容を容易に確認して、ジャンプ先を設定することができる。
【0105】
また、設定工程において、ユーザは、第1異常処理の有効/無効および第2異常処理の有効/無効を入力部96に入力する。制御部90は当該入力に応答して第1フラグF1および第2フラグF2を記憶装置94に記憶させる。
【0106】
次に、基板処理装置100は基板Wに対する処理を行う(ステップS11:基板処理工程)。具体的には、制御部90は設定情報D1に基づいて基板処理装置100の各構成を制御する。これにより、キャリアC内の基板Wが順次に処理ユニット130に搬送され、各処理ユニット130において一連処理が行われる。基板処理装置100に異常が生じることなく、すべての基板Wが処理ユニット130によって処理された上でキャリアCに搬送されると、基板処理装置100は処理を終了する。
【0107】
図7は、基板処理装置100に異常が生じた場合の基板処理装置100の動作の一例を示すフローチャートである。図7は、一つの処理ユニット130についての処理の流れを示している。以下では、該一つの処理ユニット130を自処理ユニット130とも呼ぶ。まず、基板処理装置100のいずれかのセンサ10が異常を検出し、その検出結果を制御部90に出力する(ステップS1:検出工程)。ここでいう異常とは、ガード7が所定位置まで移動しない異常、基板保持部2が回転しない異常、基板Wの処理中において脱着カバーがチャンバ1から取り外される異常、処理液が各ノズル31に至る経路において処理液の漏れが発生している異常、処理ユニット130からの排気圧が所定範囲外となる異常等の異常である。
【0108】
異常が検出されたときには、制御部90は第1異常処理が有効であるか無効であるか否かを判断する(ステップS2)。具体的には、制御部90は、記憶装置94に記憶された第1フラグF1が立ち上がっているか否かを判断する。
【0109】
第1フラグF1が立ち上がっているときには、制御部90は、実行中の処理内容に応じたジャンプ先が設定されているか否かを、設定情報D1に基づいて判断する(ステップS3)。具体的には、制御部90は、記憶装置94に記憶された設定情報D1を確認する。ここでいうジャンプ先が設定されていない場合とは、ジャンプ先の情報自体が設定されていない場合、および、ジャンプ先とは無関係な記号等の情報が設定されている場合を含む。
【0110】
ジャンプ先が設定されている場合には、制御部90は自処理ユニット130に当該ジャンプ先の処理内容から一連処理を実行させる(ステップS4:第1異常処理工程)。つまり、自処理ユニット130は一連処理をそのまま続行するのではなく、ジャンプ先の処理内容からの一連処理(第1異常処理)を実行する。
【0111】
次に、制御部90は第1異常処理の実行中に、その自処理ユニット130内のセンサ10が異常を検出したか否かを判断する(ステップS5)。つまり、制御部90は、第1異常処理の実行を阻害する異常が検出されたか否かを判断する。制御部90はこのセンサ10による異常監視を少なくとも第1異常処理の完了まで継続する。異常が生じなかったときには、自処理ユニット130は第1異常処理を完了することができる。例えば、ステップS1の異常が他の処理ユニット130において生じた場合、自処理ユニット130はより適切な第1異常処理を完了することができる。
【0112】
一方で、第1異常処理の実行中にセンサ10によって異常が検出されると、制御部90は、第2異常処理が有効であるか否かを判断する(ステップS6)。具体的には、制御部90は、記憶装置94に記憶された第2フラグF2が立ち上がっているか否かを判断する。
【0113】
第2フラグF2が立ち上がっているときには、制御部90は、自処理ユニット130に第2異常処理を実行させる(ステップS7:第2異常処理工程)。第2異常処理は、例えば、固定ノズル51からリンス液を吐出するリンス処理と、該リンス処理後の乾燥処理とを含む。これによれば、たとえ基板W上に薬液が存在していたとしても、該薬液をリンス液に置換した後に基板Wを乾燥させ得る。よって、薬液による基板Wの損傷を抑制し得る。
【0114】
なお、第2異常処理の実行中にも自処理ユニット130において異常が生じた場合、制御部90は自処理ユニット130に第2異常処理を途中で終了させてもよい。あるいは、制御部90は、自処理ユニット130に予め決められた回数だけ第2異常処理をやり直させてもよい。制御部90は、最初からやり直したすべての第2異常処理で異常が生じたときに、自処理ユニット130に第2異常処理を途中で終了させてもよい。
【0115】
第1異常処理が無効に設定されているとき(ステップS2:NO)には、制御部90は第2異常処理が有効であるか否かを判断する(ステップS6)。また、実行中の処理内容に対応したジャンプ先が設定されていないとき(ステップS3:NO)にも、制御部90は第2異常処理が有効であるか否かを判断する(ステップS6)。
【0116】
第2異常処理が無効に設定されているときには(ステップS6:NO)、制御部90は自処理ユニット130の動作を停止させる。つまり、自処理ユニット130は基板Wに対する異常処理を行わずに、動作を停止する。
【0117】
<処理例>
以下、具体的な処理例について説明する。以下では、特に説明がない限り、すべてのレシピステップに対応してジャンプ先が設定されており、第1異常処理および第2異常処理が有効に設定されているものとする。
【0118】
<排気機構の異常>
基板処理装置100の排気機構に異常が生じた場合について説明する。このような異常が生じると、チャンバ1内の圧力が変動し得る。しかしながら、チャンバ1内の圧力が変わっても、各処理ユニット130の各駆動機構は正常に動作することが可能であるので、第1異常処理を行うことができる。
【0119】
よって、このような異常が一連処理の実行中に生じた場合、各処理ユニット130は第1異常処理を完了させることができる(ステップS1からステップS5)。なお、第1異常処理の実行中に排気機構の異常が検出され得るものの、制御部90は第1異常処理の続行に支障がないので、第1異常処理を続行する。
【0120】
<処理ユニット130の異常>
次に、一つの処理ユニット130に異常が生じた場合について説明する。当該異常は、例えば、ノズル移動機構4の駆動系の異常である。
【0121】
このような異常は、該一つの処理ユニット130による第1異常処理の実行中にも生じるので、該一つの処理ユニット130は該異常の検出に応答して第2異常処理を行うこととなる(ステップS1からステップS7)。
【0122】
その一方で、他の処理ユニット130においては異常が生じないので、他の処理ユニット130は第1異常処理を完了することができる(ステップS1からステップS5)。
【0123】
<ジャンプ先の未設定>
また、一連処理の処理内容のいくつかに対応してジャンプ先が適切に設定されない場合もあり得る。図8は、基板処理およびジャンプ先の一例を示す図である。図8の例では、薬液処理の処理内容に対応したジャンプ先が設定されていない。具体的には、2番目から5番目のレシピステップに対応したジャンプ先が設定されていない。
【0124】
この場合、薬液処理の実行中に異常が生じると、処理ユニット130は第1異常処理を行わずに、第2異常処理を行う(ステップS1からステップS3、ステップS6およびステップS7)。
【0125】
<第1の実施の形態の効果>
以上のように、基板処理装置100に異常が生じたときには、各処理ユニット130は一連処理をそのまま続行するのではなく、第1異常処理を行う(ステップS4)。具体的には、各処理ユニット130は第1異常処理として、その異常が生じたときに実行していた処理内容に対応したジャンプ先から一連処理を行う。つまり、第1異常処理は、一連処理の一部に相当する。一連処理は基板Wに対して適切な処理内容によって規定されるので、第1異常処理も基板Wにとって適切な処理となる。
【0126】
例えば一連処理において、薬液処理の後に実行されるリンス処理では、薬液に適した種類のリンス液が採用され、また、リンス液の流量および処理時間も適切に設定される。これにより、一連処理において基板Wの薬液を適切にリンス液に置換することができる。そして、本実施の形態によれば、薬液処理の実行中に異常が生じると、第1異常処理において、一連処理と同じリンス処理が行われる。よって、第1異常処理においても、基板Wの薬液を適切にリンス液に置換することができる。
【0127】
また、例えば、乾燥によってパターンが倒壊しやすい基板Wに対しては、一連処理においてパターンが倒壊しないように処理が行われる。具体的な一例として、処理ユニット130は一連処理として、薬液処理、第1リンス処理、疎水化処理、第2リンス処理および乾燥処理をこの順で行う。疎水化処理とは、基板Wに疎水化液を供給して基板Wのパターンの表面に疎水化膜を形成する処理であり、第2リンス処理は基板W上の疎水化液をリンス液に置換する処理である。このように疎水化処理を行うことにより、乾燥処理におけるパターン倒壊を抑制することができる。
【0128】
この場合、ユーザは、薬液処理に対応したジャンプ先として、第1リンス処理開始に対応するレシピステップを設定するとよい。これによれば、薬液処理の実行中に異常が生じると、処理ユニット130は第1異常処理として、第1リンス処理から一連処理を実行する。つまり、処理ユニット130は第1異常処理として、第1リンス処理、疎水化処理、第2リンス処理および乾燥処理をこの順で行う。よって、第1異常処理においても、パターン倒壊をより確実に抑制することができる。
【0129】
以上のように、第1異常処理は一連処理の一部と同じであるので、基板Wにとってより適切な異常処理を行うことができる。したがって、基板Wに対して生じ得る種々の不具合を抑制または回避することができる。
【0130】
また、入力部96は、一連処理の各処理内容に対応したジャンプ先の入力を受け付けるので、ユーザはより適切な第1異常処理を設定することができる。例えば、ユーザは、乾燥処理の処理内容に対応したジャンプ先として、乾燥処理の処理内容を設定するとよい(図4も参照)。この場合、処理ユニット130は乾燥処理の実行中に異常が生じると、第1異常処理として乾燥処理から一連処理を行う。言い換えれば、処理ユニット130は第1異常処理においてリンス処理を行わない。よって、リンス液の消費量および基板処理装置100の消費電力を低減させることができる。
【0131】
また、例えば、ユーザは、処理液が未だ吐出されずに基板Wに処理液が付着していない状況での処理内容(例えば「薬液処理準備」)に対応したジャンプ先として、乾燥処理後の処理内容(例えば「レシピ処理終了」)を設定するとよい(図4も参照)。この場合、処理ユニット130は処理液の吐出前の処理内容の実行中に異常が生じると、乾燥処理後の処理内容から一連処理を行う。言い換えれば、処理ユニット130は第1異常処理においてリンス処理および乾燥処理を行わない。よって、リンス液の消費量を低減させることができ、また、基板処理装置100の消費電力をさらに低減させることができる。
【0132】
また、上述の例では、処理ユニット130において第1異常処理の実行中に異常が生じた場合には、異常が生じた処理ユニット130は第1異常処理をやり直すのではなく、第1異常処理とは異なる第2異常処理を行う(ステップS5およびステップS6)。第2異常処理では、予め設定されたノズル(例えば固定ノズル51)を用いたリンス処理と、該リンス処理後の乾燥処理とが行われる。
【0133】
そして、第2異常処理において異常が生じなければ、処理ユニット130は第2異常処理を完了させることができる。例えば、第1異常処理においてノズル移動機構4の駆動異常が生じても、第2異常処理において、固定ノズル51を用いたリンス処理を行うことができる。したがって、たとえ第1異常処理が行うことができない場合であっても、第2異常処理により、基板Wの処理液を除去して乾燥させ得る。よって、薬液による基板Wの損傷を抑制することができる。
【0134】
また、上述の例では、第1異常処理の有効および無効の区別を示す第1フラグF1が設定される。これによれば、ユーザビリティを向上させることができる。
【0135】
また、上述の例では、第2異常処理の有効および無効の区別を示す第2フラグF2が設定される。これによっても、ユーザビリティを向上させることができる。
【0136】
<ジャンプ先の他の設定例>
上述の例では、「薬液処理準備」のレシピステップに対応したジャンプ先は「レシピ処理終了」のレシピステップであった(図4参照)。しかしながら、ユーザは、「薬液処理準備」のレシピステップに対応したジャンプ先として、「薬液処理準備」のレシピステップを設定してもよい。これによれば、「薬液処理準備」のレシピステップの実行中に異常が生じると、処理ユニット130は第1異常処理として、「薬液処理準備」のレシピステップから一連処理を実行する。
【0137】
この場合、「薬液処理準備」のレシピステップが重複して行われ得るものの、このレシピステップは、基板Wに対して薬液を供給するものではないので、重複動作が生じても問題はない。そして、処理ユニット130は第1異常処理として、薬液処理、リンス処理および乾燥処理をこの順で行う。よって、第1異常処理において異常が生じなければ、処理ユニット130は実質的な一連処理を完了させることができる。よって、基板Wを破棄する必要はなく救済できるとともに、基板Wをそのまま次の製造工程に進めることができる。
【0138】
一方、第1異常処理の実行中に異常が生じれば、処理ユニット130は第2異常処理を行う。これにより、薬液による基板Wの損傷を抑制することができる。
【0139】
また、上述の例では、一連処理において、遮断板6が用いられていないが、遮断板6が用いられてもよい。例えば、薬液処理および乾燥処理において遮断板6が近接位置で停止してもよい。この場合、「薬液処理準備」のレシピステップでは、遮断板6の近接位置への下降が規定され、「レシピ処理終了」のレシピステップでは、遮断板6のホーム位置への上昇が規定される。
【0140】
この場合も、図4のように「薬液処理準備」のレシピステップに対応したジャンプ先として、「レシピ処理終了」のレシピステップが設定されていてもよい。「薬液処理準備」の実行中に異常が生じると、処理ユニット130は「レシピ処理終了」のレシピステップから一連処理を行うので、遮断板6をホーム位置に上昇させることができる。また、この場合も、リンス処理および乾燥処理を行わないので、処理液の消費量および消費電力を低減させることができる。
【0141】
<ジャンプ先の自動設定>
上述の例では、ユーザがすべてのジャンプ先を設定している。しかしながら、必ずしもこれに限らない。制御部90は、一連処理のレシピステップのいくつか、または、全部に対して、ジャンプ先を自動的に設定してもよい。
【0142】
例えば、制御部90は、処理液を供給する前の処理内容(例えば「薬液処理準備」)のレシピステップに対応したジャンプ先を、自動的に、乾燥処理後のレシピステップ(例えば「レシピ処理終了」)に設定してもよい。この乾燥処理後のレシピステップ以降のレシピステップには、各種の駆動機構(ノズル移動機構4、昇降機構68および昇降機構74)が待機位置に移動させるレシピステップが含まれる。
【0143】
制御部90は、ユーザが入力部96にジャンプ先を入力したときには、当該入力に応答してジャンプ先を更新すればよい。つまり、制御部90は、自動的に設定したジャンプ先を、ユーザが入力したジャンプ先に更新すればよい。
【0144】
これによれば、ユーザがより簡単にジャンプ先を設定することができるので、ユーザビリティをさらに向上させることができる。
【0145】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態にかかる基板処理装置100の構成は第1の実施の形態と同様である。図9は、第2の実施の形態にかかる基板処理装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0146】
第2の実施の形態では、第1異常処理が有効であるときに(ステップS2:YES)、制御部90は継続処理を行う(ステップS8:継続処理工程)。図10は、継続処理の具体的な一例を示すフローチャートである。まず、制御部90は、異常が生じたときに実行中の処理内容がプロセスレシピで規定された処理内容であるか否かを判断する(ステップS81)。実行中の処理内容がプロセスレシピで規定された処理内容でないときには、制御部90は継続処理を終了する。実行中の処理内容がプロセスレシピで規定された処理内容であるときには、制御部90は、実行中の処理内容が薬液処理であるか否かを判断する(ステップS82)。実行中の処理内容が薬液処理でないときには、制御部90は継続処理を終了する。
【0147】
実行中の処理内容が薬液処理であるときには、制御部90はその薬液処理を継続する(ステップS83)。なお、薬液処理の継続中に異常が生じることにより、薬液処理を継続できない場合には、制御部90は薬液処理を終了してもよい。
【0148】
次に、制御部90は継続処理(ステップS8)の後に、第1の実施の形態と同様にステップS3以降のステップを実行する(図9参照)。
【0149】
以上のように、第2の実施の形態では、処理ユニット130の薬液処理の実行中に基板処理装置100に異常が生じた場合に、該処理ユニット130は該薬液処理を続行する。よって、例えば、他の処理ユニット130で異常が生じた場合には、該処理ユニット130は該薬液処理を完了させることができる。
【0150】
そして、薬液処理の完了後には、該処理ユニット130は第1の実施の形態と同様に、第1異常処理または第2異常処理を行う。これによれば、第1異常処理においてジャンプ先に薬液処理が設定されていない場合でも、薬液処理を完了させることができる。なお、第1異常処理においても薬液処理が行われると、重複して薬液処理が行われるので、継続処理は、ジャンプ先に薬液処理が設定されていない場合に限って行われてもよい。
【0151】
以上のように、第2の実施の形態では、薬液処理の実行中に異常が生じると、継続処理において薬液処理が継続される(ステップS83)。そして、この薬液処理の継続中に異常が生じずに薬液処理を完了させることができる場合には、異常処理後の基板Wをそのまま次の製造工程に進めることができる。
【0152】
図11は、継続処理の他の一例を示すフローチャートである。図11の例では、異常が生じたときに実行中の処理内容が薬液処理であるとき(ステップS82:YES)、制御部90は、薬液処理の残時間を取得する(ステップS84)。残時間とは、現在時刻から薬液処理の終了時刻までの残りの時間である。具体的には、制御部90は、フローレシピ情報で規定された薬液処理の処理時間と、薬液処理の開始からの経過時間とに基づいて、残時間を算出する。経過時間は例えばタイマー回路によって測定される。
【0153】
次に、制御部90は、残時間がしきい値以下であるか否かを判断する(ステップS85)。しきい値は例えば予め設定され、記憶装置94に記憶される。残時間がしきい値以下であるときには、薬液処理を短時間で完了させることができるので、制御部90は薬液処理を続行する(ステップS83)。一方で、残時間がしきい値よりも大きいときには、制御部90は薬液処理を停止して、継続処理を終了する。
【0154】
上述の例では、制御部90は薬液処理の残時間が短い場合には薬液処理を続行し、薬液処理の残時間が長い場合には薬液処理を続行しない。これによれば、異常が生じたときの第1異常処理に要する時間が長くなりすぎることを回避することができる。つまり、異常処理をより短時間で終了させることができる。
【0155】
以上のように、基板処理装置100は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この基板処理装置100および基板処理方法がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0156】
10 センサ
90 制御部
100 基板処理装置
130 処理ユニット
97 表示部
S1 検出工程(ステップ)
S10 設定工程(ステップ)
S11 基板処理工程(ステップ)
S4 第1異常処理工程(ステップ)
S7 第2異常処理工程(ステップ)
S8 継続処理工程(ステップ)
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11