(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191768
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】空気清浄機
(51)【国際特許分類】
F24F 8/80 20210101AFI20221221BHJP
F24F 8/108 20210101ALI20221221BHJP
F24F 8/50 20210101ALI20221221BHJP
【FI】
F24F8/80 260
F24F8/108
F24F8/50
F24F8/80 254
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100205
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 伸夫
(57)【要約】
【課題】不快な臭いが漂うことは抑制され、且つ、アロマなどの必要な芳香は放出される空気清浄機を提供する。
【解決手段】空気清浄機1aは、通過する空気を浄化するフィルタ部21aを有するフィルタユニット20aと、フィルタ部21aを通過する第1通風路51aと、フィルタ部21aを通過しない第2通風路52aと、第1通風路51a及び第2通風路52aの開閉を切り替える切替手段30aとを備える。切替手段30aは、第1通風路51aを開放すると共に第2通風路52aを閉鎖する状態と、第2通風路52aを開放すると共に第1通風路51aを閉鎖する状態とを切り替え可能である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通過する空気を浄化するフィルタ部を有するフィルタユニットと、
前記フィルタ部を通過する第1通風路と、
前記フィルタ部を通過しない第2通風路と、
前記第1通風路及び前記第2通風路の開閉を切り替える切替手段とを備え、
前記切替手段は、前記第1通風路を開放すると共に前記第2通風路を閉鎖する状態と、前記第2通風路を開放すると共に前記第1通風路を閉鎖する状態とを切り替え可能である、空気清浄機。
【請求項2】
前記第2通風路に、芳香を放出する芳香部をさらに備える、請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記第1通風路の吹出口と前記第2通風路の吹出口とは共通である、請求項1又は2に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記第1通風路の吸込口と前記第2通風路の吸込口とは共通である、請求項1~3のいずれか一項に記載の空気清浄機。
【請求項5】
前記第1通風路と前記第2通風路とは共通の通風路であり、
前記切替手段は、前記フィルタユニットを、前記フィルタ部が前記共通の通風路の内部に配置される状態、又は、前記フィルタ部が前記共通の通風路の外部に配置される状態に移動する、請求項1~4のいずれか一項に記載の空気清浄機。
【請求項6】
前記第1通風路及び前記第2通風路を開閉するダンパをさらに備え、
前記切替手段は、前記ダンパを、前記第1通風路を開放すると共に前記第2通風路を閉鎖する状態、又は、前記第2通風路を開放すると共に前記第1通風路を閉鎖する状態に移動する、請求項1~4のいずれか一項に記載の空気清浄機。
【請求項7】
前記芳香部を検知する検知センサをさらに備え、
前記検知センサが前記芳香部を検知すると、前記切替手段は前記第2通風路を開放すると共に前記第1通風路を閉鎖する、請求項2に記載の空気清浄機。
【請求項8】
運転モードを選択できる操作部と、前記芳香部を覆う開閉窓をさらに備え、
前記操作部において、前記芳香部から芳香を放出する芳香運転が選択されると、前記開閉窓が開放され、通過する空気を浄化する空清運転が選択されると、前記開閉窓が閉鎖される、請求項2に記載の空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気中に浮遊する塵埃、花粉、ハウスダスト等を除去し、室内の空気を清浄にする種々の空気清浄機が知られている。この空気清浄機に、人の心及び体を癒す効果を発揮するアロマ(芳香)を放出する機能を搭載した空気清浄機が開発されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の空気清浄機は、脱臭フィルタの下流にアロマディフューザを備え、脱臭された空気にアロマを含ませて放出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような空気清浄機によって拡散された空気には、アロマのもととなるミスト化された精油が含まれることが多い。そのため、空気清浄機を稼働し続けると、空気清浄機はミスト化された精油を含んだ空気を吸い込む。特許文献1のような空気清浄機では、ミスト化された精油が脱臭フィルタを通過するため、脱臭フィルタで捕集された臭い成分と精油とが混ざり、人を不快にする臭いを発生するという問題が生じていた。また、脱臭フィルタを通過することでアロマ成分が脱臭フィルタで消臭され、芳香が減少するという問題が生じていた。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、不快な臭いが漂うことは抑制され、且つ、アロマなどの必要な芳香は放出される空気清浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、空気清浄機は、通過する空気を浄化するフィルタ部を有するフィルタユニットと、フィルタ部を通過する第1通風路と、フィルタ部を通過しない第2通風路と、第1通風路及び第2通風路の開閉を切り替える切替手段とを備える。切替手段は、第1通風路を開放すると共に第2通風路を閉鎖する状態と、第2通風路を開放すると共に第1通風路を閉鎖する状態とを切り替え可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、不快な臭いが漂うことは抑制することができ、且つ、アロマなどの必要な芳香は放出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係る空気清浄機の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1のII-II断面を模式的に示す図で、第1通風路が開放された状態を示す図である。
【
図3】
図1のII-II断面を模式的に示す図で、第2通風路が開放された状態を示す図である。
【
図4】実施形態2に係る空気清浄機の縦断面を模式的に示す図で、第1通風路が開放された状態を示す図である。
【
図5】実施形態2に係る空気清浄機の縦断面を模式的に示す図で、第2通風路が開放された状態を示す図である。
【
図6】実施形態3に係る空気清浄機の縦断面図を模式的に示す図で、第1通風路が開放された状態を示す図である。
【
図7】実施形態3に係る空気清浄機の縦断面図を模式的に示す図で、第2通風路が開放された状態を示す図である。
【
図8】
図6の空気清浄機のダンパ及び切替手段の正面図である。
【
図9】
図7の空気清浄機のダンパ及び切替手段の正面図である。
【
図10】実施形態4に係る空気清浄機の縦断面図を模式的に示す図で、第1通風路が開放された状態を示す図である。
【
図11】実施形態4に係る空気清浄機の縦断面図を模式的に示す図で、第2通風路が開放された状態を示す図である。
【
図12】実施形態5に係る空気清浄機の外観を示す斜視図である。
【
図13】実施形態6に係る空気清浄機の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。空気清浄機の一般的な動作は既知の空気清浄機の動作と同じため、空気清浄機の内部構造及び動作の詳細な説明は省略する。
【0010】
[実施形態1]
まず、
図1~
図3を参照して、本発明の実施形態1に係る空気清浄機1aについて説明する。
図1は、実施形態1に係る空気清浄機1aの外観を示す斜視図である。
図2及び
図3は、
図1のII-II断面を模式的に示す図である。
図2は、第1通風路51aが開放された状態を示す図で、
図3は、第2通風路52aが開放された状態を示す図である。以下の説明では、空気清浄機1aを一般に使用する状態で置いた場合の鉛直方向を上下方向と定義する。また、
図1に示す状態の空気清浄機1aに対して、紙面手前側を前側とし、紙面奥側を後側として前後方向を定義する。また、上下方向及び前後方向に直交する方向を左右方向と定義する。
【0011】
図1~
図3に示すように、空気清浄機1aは、筐体10aと、フィルタユニット20aと、切替手段30aと、芳香部40aと、ファン50aと、操作部60aと、コントローラー(不図示)とを備える。筐体10aは、フィルタユニット20a、切替手段30a、芳香部40a、及び、ファン50aを収容する。
【0012】
コントローラーは、筐体10aに収容されている。コントローラーは、操作部60aが受けた指示に基づく制御信号を生成し、制御信号によって、空気清浄機1aの動作を制御する。
【0013】
筐体10aは、円筒状の外筒11aと円筒状の内筒12aとからなる。外筒11aは、天面及び底面を有する。外筒11aの側面の下部には、周方向に沿って形成された複数の吸込口13aが設けられる。また、外筒11aの天面の中央部には、略円形状の吹出口14aが設けられる。内筒12aは、外筒11aよりも径が小さく、軸方向長さが短く、両端が開口する。内筒12aの上端縁が、吹出口14aの外周縁に取り付けられ、内筒12aは、外筒11aの内部で天面から吊り下げられている。
【0014】
吹出口14aの中央には、芳香部40aを保持するための保持部15aが設けられる。保持部15aは、中央部が凹んでおり、底面は、空気が通過可能な複数の開口151aを有する。
【0015】
フィルタユニット20aは、フィルタ部21aとフィルタ保持部22aとからなる。フィルタユニット20aは、外筒11aと内筒12aとの間に配置される。フィルタユニット20aは、外筒11aの底面に接する状態で置いたときに、上端が内筒12aの下端よりも上方に位置する。
【0016】
フィルタ保持部22aは、円筒状の筒胴部221aと、筒胴部221aの上端から径方向外側に突出するフランジ部222aとからなる。筒胴部221aは、内側に内筒12aを収容できる。また、筒胴部221aは、フィルタ部21aより上下方向に短い。
【0017】
フィルタ部21aは、濾材が蛇腹状に折り曲げて円筒状に形成される。また、フィルタ部21aは、濾材の上面及び底面に接して円盤平板を備える。フィルタ部21aは、筒胴部221aの外側に配置され、フィルタ部21aの上面がフランジ部222aに取り付けられる。フィルタ部21aは、通過する空気中の臭い成分を吸着したり、通過する空気中の微細な塵埃を捕集したりして、通過する空気を浄化するもので、例えば、HEPA脱臭フィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)である。
【0018】
切替手段30aは、フィルタ部21aを通過する第1通風路51a、及び、フィルタ部21aを通過しない第2通風路52aの開閉を切り替えるものである。切替手段30aは、第1通風路51aを開放すると共に第2通風路52aを閉鎖する状態と、第2通風路52aを開放すると共に第1通風路51aを閉鎖する状態とを切り替え可能である。
【0019】
芳香部40aは、芳香を放出するものである。本実施形態1では、芳香部40aは、芳香成分を含侵させたカートリッジである。芳香成分とは、リラックス効果を有するアロマ、虫を寄せ付けないユーカリ又はハッカ由来成分などである。芳香部40aは、筐体10aの天面の保持部15aの凹みに載置される。
【0020】
ファン50aは、モータ(不図示)の駆動により複数の吸込口13aから空気を吸い込み、吹出口14aから空気を吹き出す。ファン50aは、内筒12aの内部に吹出口14aに対向して配置される。吸込口13aから吸い込まれた空気は、内筒12aの内部を通過して吹出口14aから吹き出される。
【0021】
操作部60aは、電源のON/OFF及び空気清浄機1aの運転モードなどをユーザが操作するものである。操作部60aは、筐体10aの側周面上部に設けられている。なお、操作部60aの位置は、筐体10aの外面の任意の場所に設けられればよい。
【0022】
次に、切替手段30aの構成及び切替手段30aを用いた第1通風路51a及び第2通風路52aの開閉の切り替えについて、具体的に説明する。
【0023】
切替手段30aは、ラック31aと、ピニオン32aと、モータ33aとを備える。内筒12aの一部は、上方からみたとき径方向内側に向かってコの字状に後退し、ラック31aは、コの字状に形成された内筒12aの一外面(
図2では後面)に、上下方向に延びて設けられる。モータ33aは、フィルタ保持部22aのフランジ部222a上部に取付け固定される。モータ33aは、内筒12aに向かって伸びる回転軸を有しており、ピニオン32aは、モータ33aから伸びる回転軸の先端に設けられる。このとき、ピニオン32aは、筒胴部221aより径方向内側に位置し、内筒12aに設けられたラック31aと噛み合う。
【0024】
モータ33aが駆動すると、ピニオン32aが回転する。ピニオン32aは、モータ33aの回転に従って、ラック31a上を上下方向に移動する。ピニオン32aの上下動に従って、フィルタユニット20aも上下方向に移動する。
【0025】
図2に示すように、フィルタユニット20aが最下端にある場合、吸込口13aから吸い込まれた空気は、フィルタ部21aを通過する。すなわち、フィルタ部21aを通過する第1通風路51aが開放されている状態となる。同時に、フィルタ部21aを通過しない第2通風路52aは存在せず、第2通風路52aは閉鎖されている状態となる。
【0026】
一方、
図3に示すように、フィルタユニット20aが上部にある場合、吸込口13aから吸い込まれた空気は、フィルタ部21aを通過しない。すなわち、フィルタ部21aを通過しない第2通風路52aが開放されている状態となる。同時に、フィルタ部21aを通過する第1通風路51aは存在せず、第1通風路51aは閉鎖されている状態となる。
【0027】
このように、空気清浄機1aは、第1通風路51aの吸込口13aと第2通風路52aの吸込口13aとは共通であり、第1通風路51aの吹出口14aと第2通風路52aの吹出口14aとは共通である。また、第1通風路51aと第2通風路52aとは共通の通風路である。そして、切替手段30aは、フィルタユニット20aを、フィルタ部21aが共通の通風路の内部に配置される状態、又は、フィルタ部21aが共通の通風路の外部に配置される状態に移動させることで、第1通風路51a及び第2通風路52aの開閉を切り替える。
【0028】
次に、空気清浄機1aの使用方法について説明する。空気清浄機1aは、ファン50aの動作によって、空気清浄機1aの外部から吸込口13aを経て内部に空気を吸い込む。空気清浄機1aの内部に吸い込まれた空気は、空気清浄機1aの内部を通過して吹出口14aから空気清浄機1aの外部に吹き出される。
【0029】
まず、通過する空気を浄化する空清運転を行う場合について説明する。空清運転を行う場合、操作部60aを操作して空清運転モードを選択すると、切替手段30aが動作して、
図2に示すように、フィルタユニット20aを最下端に移動する。このとき、芳香部40aは取り付けない。吸込口13aから吸い込まれた空気は、フィルタ部21aを通過して、臭い成分及び集塵が除去され、吹出口14aから空気清浄機1aの外部に吹き出される。
【0030】
次に、芳香を放出する芳香運転を行う場合について説明する。芳香運転を行う場合、操作部60aを操作して芳香運転モードを選択すると、切替手段30aが動作して、
図3に示すように、フィルタユニット20aを上側に移動させる。また、芳香部40aを保持部15aに載置する。吸込口13aから吸い込まれた空気は、フィルタ部21aを通過せずに、吹出口14aへ向かって流れる。空気は、吹出口14aから空気清浄機1aの外部に吹き出されるときに、開口151aを通過して芳香部40aを通り、芳香部40aで芳香成分を含んで吹き出される。これにより、芳香が放出される。
【0031】
なお、切替手段30aは、上記構成に限定されない。例えば、内筒12aは、径方向内側にコの字状に後退する部分を有さず、ラック31aは、内筒12aの外面に取り付けられてもよい。また、切替手段は、ラック31aがフィルタ保持部22aに設けられ、ピニオン32a及びモータ33aが筐体10aに設けられる構成としてもよい。この場合、ピニオン32a及びモータ33aが筐体10aに固定されて移動しないため、モータ33aのケーブルを固定できる。
【0032】
また、内筒12aの外面及び外筒11aの内面には、平面視で十字となる位置にスリットを形成してもよい。また、フランジ部222aには、平面視で十字となる位置に細長いリブを形成してもよい。このとき、スリットとリブとは互いに嵌合する位置に設けられる。このスリット及びリブは、フィルタユニット20aを安定して上下方向に移動するためのガイドを形成する。なお、ガイドは、上記構成に限られず、例えば、スリットをフランジ部222aに設け、リブを内筒12a及び外筒11aに設けるなど、適宜変更することが可能である。
【0033】
[実施形態2]
次に、
図4及び
図5を参照して、実施形態2に係る空気清浄機1bについて説明する。
図4及び
図5は、実施形態2に係る空気清浄機を、実施形態1の空気清浄機1aと同じ視点の縦断面で模式的に示す図である。
図4は、第1通風路51bが開放された状態を示す図で、
図5は、第2通風路52bが開放された状態を示す図である。以下、実施形態2について、実施形態1と異なる事項について説明する。実施形態2において、筐体10a、芳香部40a、及びファン50aは実施形態1と同じため説明は省略する。なお、実施形態2では、外観は実施形態1と同じであるが、内筒12aは実施形態1よりも径が小さくなっている。
【0034】
フィルタユニット20bは、フィルタ部21aとフィルタ保持部22bとからなる。フィルタユニット20bは、外筒11aと内筒12aとの間に配置される。フィルタユニット20bは、外筒11aの底面に接する状態で置いたときに、上端が内筒12aの下端よりも上方に位置する。
【0035】
フィルタ保持部22bは、円筒状の筒胴部221bと、筒胴部221bの上端から径方向外側に突出するフランジ部222bとからなる。筒胴部221bは、内側に内筒12aを収容できる。また、筒胴部221bは、フィルタ部21aより上下方向に短い。
【0036】
切替手段30bは、フィルタ部21aを通過する第1通風路51b、及び、フィルタ部21aを通過しない第2通風路52bの開閉を切り替えるものである。切替手段30bは、第1通風路51bを開放すると共に第2通風路52bを閉鎖する状態と、第2通風路52bを開放すると共に第1通風路51bを閉鎖する状態とを切り替え可能である。
【0037】
具体的には、切替手段30bは、第1円筒部31bと、第2円筒部32bと、ギヤ33bと、モータ34bとを備える。外筒11aの内面には、上下方向中央部に、周方向の全周に亘って延びる切替手段ガイド111bが一体的に設けられる。切替手段ガイド111bは、外筒11aの内面から内方に突出する。
【0038】
第1円筒部31bは、外筒11aの内径と略同等の外径を有する。第1円筒部31bの外面には、周方向の全周に亘って延びる回転用溝311bが形成される。第1円筒部31bは、回転用溝311bが切替手段ガイド111bに嵌ることで、外筒11aに水平回転可能に取り付けられる。また、第1円筒部31bの上面には、周方向の全周に亘って延びるかさ歯車312bが設けられる。また、第1円筒部31bの内面には、螺旋状の昇降用溝313bが設けられる。
【0039】
第2円筒部32bは、フィルタユニット20bと一体的に設けられる。本実施形態では、第2円筒部32bは、フィルタユニット20bのフランジ部222bである。第2円筒部32bは、内筒12aと第1円筒部31bの間に配置される。第2円筒部32bは、上下方向に所定の厚さを有する。第2円筒部32bの外面には、螺旋状の昇降用突起321bが設けられる。昇降用突起321bは、第1円筒部31bの昇降用溝313bに嵌る。
【0040】
モータ34bは、筐体10aの上部において、外筒11aと内筒12aの間に配置される。ギヤ33bは、モータ34bから伸びる回転軸の先端に設けられる。このとき、かさ歯車形状のギヤ33bは、第1円筒部31bの上面のかさ歯車312bと噛み合う。
【0041】
モータ34bが駆動すると、ギヤ33bが回転する。ギヤ33bの回転に従って、第1円筒部31bは時計方向又は反時計方向に回転する。第1円筒部31bが回転すると、第1円筒部31bの昇降用溝313bに沿って第2円筒部32bの昇降用突起321bが螺旋状に動く。昇降用突起321bが螺旋運動すると、第2円筒部32b、つまりフィルタユニット20bは上下方向に移動する。
【0042】
図4に示すように、フィルタユニット20bが最下端にある場合、吸込口13aから吸い込まれた空気は、フィルタ部21aを通過する。すなわち、フィルタ部21aを通過する第1通風路51bが開放されている状態となる。同時に、フィルタ部21aを通過しない第2通風路52bは存在せず、第2通風路52bは閉鎖されている状態となる。
【0043】
一方、
図5に示すように、フィルタユニット20bが上部にある場合、吸込口13aから吸い込まれた空気は、フィルタ部21aを通過しない。すなわち、フィルタ部21aを通過しない第2通風路52bが開放されている状態となる。同時に、フィルタ部21aを通過する第1通風路51bは存在せず、第1通風路51bは閉鎖されている状態となる。
【0044】
このように、空気清浄機1bは、第1通風路51bの吸込口13aと第2通風路52bの吸込口13aとは共通であり、第1通風路51bの吹出口14aと第2通風路52bの吹出口14aとは共通である。また、第1通風路51bと第2通風路52bとは共通の通風路である。そして、切替手段30bは、フィルタユニット20bを、フィルタ部21aが共通の通風路の内部に配置される状態、又は、フィルタ部21aが共通の通風路の外部に配置される状態に移動させることで、第1通風路51b及び第2通風路52bの開閉を切り替える。
【0045】
なお、切替手段30bは、上記構成に限定されない。例えば、切替手段30bは、第1円筒部31bが内筒12aの外面近傍に、内筒12aに対して回転可能に設けられる構成としてもよい。このとき、第2円筒部32bは、第1円筒部31bと外筒11aとの間に配置される。また、切替手段30bは、第1円筒部31bの内面に螺旋状の昇降用突起を設け、第2円筒部32bの外面に螺旋状の昇降用溝を設ける構成としてもよい。
【0046】
また、内筒12aの外面には、平面視で十字となる位置にスリットを形成してもよい。また、第2円筒部32bには、平面視で十字となる位置に細長いリブを形成してもよい。このとき、スリットとリブとは互いに嵌合する位置に設けられる。このスリット及びリブは、フィルタユニット20bを安定して上下方向に移動するためのガイドを形成する。なお、ガイドは、上記構成に限られず、例えば、スリットを第2円筒部32bに設け、リブを内筒12aに設けるなど、適宜変更することが可能である。また、ガイドは、第2円筒部32bの横方向への回転を防止できるものであれば任意の構成とすることができる。
【0047】
[実施形態3]
次に、
図6~
図9を参照して、実施形態3に係る空気清浄機1cについて説明する。
図6及び
図7は、実施形態3に係る空気清浄機1cの縦断面図を模式的に示す図である。
図6は、第1通風路51cが開放された状態を示す図で、
図7は、第2通風路52cが開放された状態を示す図である。
図8は、
図6の空気清浄機1cのダンパ25c及び切替手段30cの正面図である。
図9は、
図7の空気清浄機1cのダンパ25c及び切替手段30cの正面図である。以下の説明では、空気清浄機1cを一般に使用する状態で置いた場合の鉛直方向を上下方向と定義する。また、
図6に示す状態の空気清浄機1cに対して、紙面左側を前側とし、紙面右側を後側として前後方向を定義する。また、上下方向及び前後方向に直交する方向を左右方向と定義する。
【0048】
図6及び
図7に示すように、空気清浄機1cは、筐体10cと、フィルタユニット20cと、ダンパ25cと、切替手段30cと、芳香部40cと、ファン50cと、操作部(不図示)と、コントローラー(不図示)とを備える。筐体10cは、フィルタユニット20c、ダンパ25c、切替手段30c、芳香部40c、及び、ファン50cを収容する。
【0049】
操作部は、筐体10cの外面に設けられている。操作部は、電源のON/OFF及び空気清浄機1cの運転モードなどをユーザが操作するものである。
【0050】
コントローラーは、筐体10cに収容されている。コントローラーは、操作部が受けた指示に基づく制御信号を生成し、制御信号によって、空気清浄機1cの動作を制御する。
【0051】
筐体10cは、角筒状の外筒11cと角筒状の内筒12cとからなる。外筒11cは、天面及び底面を有する。外筒11cの背面(後面)には、複数の吸込口13cが設けられる。また、外筒11cの天面には、略矩形状の吹出口14cが設けられる。内筒12cは、外筒11cよりも軸方向長さが短く、両端が開口する。内筒12cの上端縁が、吹出口14cの外周縁に取り付けられ、内筒12cは、外筒11cの内部で天面から吊り下げられている。
【0052】
筐体10cの内部には、フィルタユニット20cを載置するための台座16cが設けられる。台座16cは、内筒12cの下端よりも鉛直方向下側で、外筒11cの後面と内筒12cとの間に配置される。
【0053】
フィルタユニット20cは、フィルタ部21cからなる。フィルタ部21cは、通過する空気中の臭い成分を吸着する脱臭フィルタ211c及び通過する空気中の微細な塵埃を捕集するHEPAフィルタ212cで構成される。脱臭フィルタ211c及びHEPAフィルタ212cは、平板状に形成される。脱臭フィルタ211cは、外筒11cの後面と内筒12cとの間において、吸込口13cに対向して台座16c上に配置される。また、HEPAフィルタ212cは、外筒11cの後面と内筒12cとの間において、脱臭フィルタ211cに対向して台座16c上に配置される。
【0054】
ダンパ25cは、第1通風路51c及び第2通風路52cを開閉するものである。ダンパ25cは、外筒11cの後面とフィルタユニット20cとの間において、吸込口13cに対向して設けられる。
【0055】
切替手段30cは、フィルタ部21cを通過する第1通風路51c、及び、フィルタ部21cを通過しない第2通風路52cの開閉を切り替えるものである。切替手段30cは、第1通風路51cを開放すると共に第2通風路52cを閉鎖する状態と、第2通風路52cを開放すると共に第1通風路51cを閉鎖する状態とを切り替え可能である。
【0056】
芳香部40cは、芳香を放出するものである。芳香部40cは、トレイ41cに芳香成分を貯留したものである。具体的には、トレイ41cに水を貯留し、芳香成分となる精油又はハッカ油などを数滴垂らしたものである。芳香部40cは、筐体10cの底面に載置される。
【0057】
ファン50cは、モータ(不図示)の駆動により複数の吸込口13cから空気を吸い込み、吹出口14cから空気を吹き出す。ファン50cは、内筒12cの内部に吸込口13cに対向して配置される。ファン50cは、中央部から空気を吸い込み、遠心方向に空気を吹き出す。吸込口13cから吸い込まれた空気は、内筒12cの内部を通過して吹出口14cから吹き出される。
【0058】
次に、
図6~
図9を参照して、ダンパ25c及び切替手段30cの構成並びに切替手段30cを用いた第1通風路51c及び第2通風路52cの開閉の切り替えについて、具体的に説明する。
【0059】
切替手段30cは、一対の巻き取り具31cと、巻き取り具31cを駆動するモータ及びゼンマイバネ(不図示)とを備える。切替手段30cは、外筒11cの後面とフィルタユニット20cとの間において、ダンパ25cの上部及び下部に設けられる。
【0060】
巻き取り具31cは、ダンパ25cを巻き取り可能な長さを有する棒状部材である。巻き取り具31cの一方にはゼンマイバネが取り付けられ、他方にはモータが取り付けられる。巻き取り具31cは、吸込口13cの上方及び下方に回転可能に取り付けられる。
【0061】
ダンパ25cは、屈曲且つ遮蔽可能なシートである。ダンパ25cの左右方向の長さは、吸込口13cの左右方向の長さと同等の長さ又は吸込口13cの左右方向の長さより長い長さを有する。ダンパ25cは、上端及び下端が巻き取り具31cに固定され、巻き取り具31cの動作により上側の巻き取り具31c又は下側の巻き取り具31cに巻き取られる。
【0062】
図8及び
図9に示すように、ダンパ25cには、開口251cが設けられる。開口251cは、フィルタ部21cの後面の面積と略同等の面積を有する。
【0063】
図6及び
図8に示すように、ダンパ25cが上側の巻き取り具31cに巻き取られて上方して、開口251cがフィルタ部21cと対向すると、吸込口13cから吸い込まれた空気は、フィルタ部21cを通過する。すなわち、フィルタ部21cを通過する第1通風路51cが開放されている状態となる。このとき、吸込口13cから吸い込まれた空気は、ダンパ25cによって遮られるため、台座16cの下方の空間へは流れない。すなわち、フィルタ部21cを通過しない第2通風路52cは閉鎖されている状態となる。
【0064】
一方、
図7及び
図9に示すように、ダンパ25cが下側の巻き取り具31cに巻き取られて下降して、開口251cが台座16cの下方の空間と対向すると、吸込口13cから吸い込まれた空気は、台座16cの下方の空間を通過する。すなわち、フィルタ部21cを通過しない第2通風路52cが開放されている状態となる。このとき、吸込口13cから吸い込まれた空気は、ダンパ25cによって遮られるため、フィルタ部21cへは流れない。すなわち、フィルタ部21cを通過する第1通風路51cは閉鎖されている状態となる。
【0065】
このように、空気清浄機1cは、第1通風路51cの吸込口13cと第2通風路52cの吸込口13cとは共通であり、第1通風路51cの吹出口14cと第2通風路53cの吹出口14cとは共通である。そして、切替手段30cは、ダンパ25cを、第1通風路51cを開放すると共に第2通風路52cを閉鎖する状態、又は、第2通風路52cを開放すると共に第1通風路51cを閉鎖する状態に移動させることで、第1通風路51c及び第2通風路52cの開閉を切り替える。
【0066】
次に、空気清浄機1cの使用方法について説明する。空気清浄機1cは、ファン50cの動作によって、空気清浄機1cの外部から吸込口13cを経て内部に空気を吸い込む。空気清浄機1cの内部に吸い込まれた空気は、空気清浄機1cの内部を通過して吹出口14cから空気清浄機1cの外部に吹き出される。
【0067】
まず、通過する空気を浄化する空清運転を行う場合について説明する。空清運転を行う場合、操作部を操作して空清運転モードを選択すると、切替手段30cが動作して、
図6及び
図8に示すように、ダンパ25cの開口251cをフィルタ部21cと対向する位置に移動する。吸込口13cから吸い込まれた空気は、フィルタ部21cを通過して、臭い成分及び集塵が除去され、吹出口14cから空気清浄機1cの外部に吹き出される。
【0068】
次に、芳香を放出する芳香運転を行う場合について説明する。芳香運転を行う場合、操作部を操作して芳香運転モードを選択すると、切替手段30cが動作して、
図7及び
図9に示すように、ダンパ25cの開口251cを台座16cの下方の空間と対向すると位置に移動する。また、芳香部40cには芳香成分を貯留する。吸込口13cから吸い込まれた空気は、フィルタ部21cを通過せず、空気清浄機1cの前部を経由して吹出口14cへ向かって流れる。その過程において芳香部40cの周囲を通過する際に、空気は芳香成分を含み、芳香成分を含んだ状態で吹出口14cから吹き出される。
【0069】
なお、切替手段30cは、上記構成に限定されない。例えば、切替手段30cは、一対の巻き取り具31cの両方に、同期して動くモータを設ける構成としてもよい。
【0070】
また、ダンパ25cは、フィルタ部21cと略同等の面積を有する第1開口と、台座16cと吸込口13cの底面との間の上下方向長さと略同等の長さを有する第2開口とを有する構成としてもよい。このとき、第1開口がフィルタ部21cと対向するときは、第2開口は台座16cの下方の空間と対向しない。また、第2開口が台座16cの下方の空間と対向するときは、第1開口はフィルタ部21cと対向しない。このダンパ25cでは、第1通風路51cを開放するときは第1開口がフィルタ部21cと対向する位置に移動し、第2通風路52cを開放するときは第2開口が台座16cの下方の空間と対向する位置に移動する。
【0071】
また、ダンパ25cの上下方向両端部及び台座16cに対向する位置を支持する水平ガイド、並びに、ダンパ25cの左右方向両端部を支持する垂直ガイドを備えてもよい。これにより、ダンパ25cの横ずれ、しわ、浮きを防止することができる。また、水平ガイド及び垂直ガイドの各所にローラーを配置してもよい。これにより、空気の遮蔽効率及びダンパ25cの上下移動をより向上させることができる。
【0072】
[実施形態4]
次に、
図10及び
図11を参照して、実施形態4に係る空気清浄機1dについて説明する。
図10及び
図11は、実施形態4に係る空気清浄機1dを、実施形態3の空気清浄機1cと同じ視点の縦断面で模式的に示す図である。
図10は、第1通風路51dが開放された状態を示す図で、
図11は、第2通風路52dが開放された状態を示す図である。以下、実施形態4について、実施形態3と異なる事項について説明する。実施形態4において、筐体10c、フィルタユニット20c、芳香部40c、及びファン50cは実施形態3と同じため説明は省略する。
【0073】
ダンパ25dは、第1通風路51d及び第2通風路52dを開閉するものである。ダンパ25dは、外筒11cの後面とフィルタユニット20cとの間において、吸込口13cに対向して設けられる。ダンパ25dは、複数の遮蔽板251dを備える。
【0074】
遮蔽板251dは、板状である。遮蔽板251dの左右方向の長さは、吸込口13cの左右方向の長さと同等の長さ又は吸込口13cの左右方向の長さより長い長さを有する。また、遮蔽板251dの上下方向の長さは、台座16cと吸込口13cの底面との間の上下方向長さと略同等の長さを有する。
【0075】
遮蔽板251dには、上下方向に延びるスリットが形成されている。また、遮蔽板251dの上部にはスリットに係合する突起が設けられる。突起は、遮蔽板251dの厚み方向(
図10及び
図11では、前後方向)に突出する。複数の遮蔽板251dは、隣接する遮蔽板251dのスリットに突起を上下動可能に係合させることで、互いに連結される。
【0076】
切替手段30dは、昇降用歯車31dと、歯付きベルト32dと、モータ33dとを備える。切替手段30cは、外筒11cとフィルタユニット20cとの間において、ダンパ25dに沿って設けられる。
【0077】
昇降用歯車31dは、歯付きベルト32dと噛み合う歯車である。昇降用歯車31dは、筐体10c内に取り付けられたときに吸込口13c側に位置する遮蔽板251dの突起に回転可能に取り付けられる。吸込口13c側に位置する遮蔽板251dを「最後面の遮蔽板251d」と称する。
【0078】
歯付きベルト32dは、吸込口13cを有する面の外筒11cとフィルタユニット20cとの間に上下方向に延びて設けられる。歯付きベルト32dの上側の歯車にモータ33dが取り付けられる。
【0079】
モータ33dの駆動により歯付きベルト32dが動作すると、歯付きベルト32dに噛み合う昇降用歯車31dが上下動する。昇降用歯車31dが上下方向に移動することで、昇降用歯車31dに連結される最後面の遮蔽板251dが上下方向に移動し、連なって他の遮蔽板251dも上下方向に移動する。
【0080】
図10に示すように、昇降用歯車31dが下降すると、複数の遮蔽板251dは重なりながら、台座16cから吸込口13cの底面の間を覆う位置に移動する。このとき、吸込口13cから吸い込まれた空気は、フィルタ部21cを通過する。すなわち、フィルタ部21cを通過する第1通風路51dが開放されている状態となる。一方、吸込口13cから吸い込まれた空気は、ダンパ25dによって遮られるため、フィルタ部21cが載置される台座16cの下側の空間へは流れない。すなわち、フィルタ部21cを通過しない第2通風路52dは閉鎖されている状態となる。
【0081】
一方、
図11に示すように、昇降用歯車31dが上昇すると、最後面の遮蔽板251dが上方へ移動する。隣接する遮蔽板251dは、突起が最後面の遮蔽板251dのスリットの下端に移動すると、最後面の遮蔽板251dの上昇に伴って上方へ移動する。このようにして、複数の遮蔽板251dは上方へ移動しながら広がる。昇降用歯車31dが最上部へ到達すると、広がった遮蔽板251dがフィルタ部21cの後面全体を覆う。このとき、吸込口13cから吸い込まれた空気は、台座16cの下方の空間を通過する。すなわち、フィルタ部21cを通過しない第2通風路52dが開放されている状態となる。一方、吸込口13cから吸い込まれた空気は、ダンパ25dによって遮られるため、フィルタ部21cへは流れない。すなわち、フィルタ部21cを通過する第1通風路51dは閉鎖されている状態となる。
【0082】
このように、空気清浄機1dは、第1通風路51dの吸込口13cと第2通風路52dの吸込口13cとは共通であり、第1通風路51dの吹出口14cと第2通風路53dの吹出口14cとは共通である。そして、切替手段30dは、ダンパ25dを、第1通風路51dを開放すると共に第2通風路52dを閉鎖する状態、又は、第2通風路52dを開放すると共に第1通風路51dを閉鎖する状態に移動させることで、第1通風路51d及び第2通風路52dの開閉を切り替える。
【0083】
なお、切替手段30dは、上記構成に限定されない。例えば、切替手段30dは、ボールネジとナットとによって構成されてもよい。このとき、ダンパ25dの左右両側にボールネジの軸が設けられ、ダンパ25dにナットが連結される。ナットは、ボールネジの軸に嵌合する。ボールネジの時計方向又は反時計方向の回転に伴ってナットが昇降すると、ダンパ25dも昇降する。
【0084】
また、切替手段30dは、第1通風路51dを閉鎖する第1ダンパと、第2通風路52dを閉鎖する第2ダンパとを備える構成としてもよい。第1ダンパ及び第2ダンパは各通風路51d,52dを開閉可能に移動する。切替手段30dは、第1通風路51dを開放するとき、第1ダンパを移動させる。また、切替手段30dは、第2通風路52dを開放するとき、第2ダンパを移動させる。
【0085】
また、ダンパ25dの各遮蔽板251dの左右両端部を支持するガイドレールを備えてもよい。ガイドレールに従って各遮蔽板251dが上下動することで、遮蔽板251dが安定して上下にスライドすることができる。
【0086】
[実施形態5]
次に、
図12を参照して、実施形態5に係る空気清浄機1eについて説明する。
図12は、本発明の実施形態5に係る空気清浄機1eの外観を示す斜視図である。
図12では、芳香部40aを空気清浄機1eから取り外した状態を示している。以下、実施形態5について、実施形態1と異なる事項について説明する。実施形態5において、筐体10a、芳香部40a、及び、操作部60aは実施形態1と同じため説明は省略する。また、筐体10aの内部に配置されるフィルタユニット、切替手段、及びファンも実施形態1と同じため説明は省略する。
【0087】
芳香部40aを保持する保持部15aには、芳香部40aを検知する検知センサ152eが設けられる。検知センサ152eは、物体が存在することを検知できるものであればよく、例えば、トルグスイッチである。
【0088】
次に、空気清浄機1eの使用方法について説明する。空気清浄機1eは、ファンの動作によって、空気清浄機1eの外部から吸込口13aを経て内部に空気を吸い込む。空気清浄機1eの内部に吸い込まれた空気は、空気清浄機1eの内部を通過して吹出口14aから空気清浄機1eの外部に吹き出される。
【0089】
空気清浄機1eは、芳香部40aを取り外して使用する場合、通過する空気を浄化する空清運転を行う。空清運転を行っている場合は、実施形態1において
図2で示したのと同様に、フィルタユニットは最下端に位置する。吸込口13aから吸い込まれた空気は、フィルタ部を通過して、臭い成分及び集塵が除去され、吹出口14aから空気清浄機1eの外部に吹き出される。
【0090】
次に、芳香部40aが保持部15aに取り付けられると、検知センサ152eが芳香部40aを検知する。芳香部40aを検知した検知センサ152eは、芳香部40aが検知されたことをコントローラーに通知する。通知を受け取ったコントローラーは、自動的に芳香運転に切り替えるべく、切替手段を動作させる。具体的には、実施形態1において
図3で示したのと同様に、フィルタユニットを上側に移動させる。これにより、切替手段は、第2通風路を開放すると共に第1通風路を閉鎖する状態に切り替える。吸込口13aから吸い込まれた空気は、フィルタ部を通過せずに、吹出口14aへ向かって流れる。空気は、吹出口14aから空気清浄機1eの外部に吹き出されるときに、芳香部40aを通り、芳香部40aで芳香成分を含んで吹き出される。
【0091】
その後に、芳香部40aが保持部15aから取り外されると、検知センサ152eが保持部15aから芳香部40aが取り外されたことを検知する。芳香部40aがないことを検知した検知センサ152eは、芳香部40aが外されたことをコントローラーに通知する。通知を受け取ったコントローラーは、自動的に空清運転に切り替えるべく、切替手段を動作させる。具体的には、実施形態1において
図2で示したのと同様に、フィルタユニットを最下端に移動させる。これにより、切替手段は、第1通風路を開放すると共に第2通風路を閉鎖する状態に切り替える。吸込口13aから吸い込まれた空気は、フィルタ部を通過して、臭い成分及び集塵が除去され、吹出口14aから空気清浄機1eの外部に吹き出される。
【0092】
[実施形態6]
次に、
図13を参照して、実施形態6に係る空気清浄機1fについて説明する。
図13は、本発明の実施形態6に係る空気清浄機1fの外観を示す斜視図である。
図13では、開閉窓41fを空気清浄機1fから取り外した状態を示している。以下、実施形態6について、実施形態1と異なる事項について説明する。実施形態6において、筐体10a、芳香部40a、及び、操作部60aは実施形態1と同じため説明は省略する。また、筐体10aの内部に配置されるフィルタユニット、切替手段、及びファンも実施形態1と同じため説明は省略する。
【0093】
図13に示すように、空気清浄機1fは、芳香部40aを保持する保持部15aに、芳香部40aを覆う開閉窓41fをさらに備える。
【0094】
開閉窓41fは、本体411fと、シャッター412fとを備える。本体411fは、天面を有し、下端が開口する円筒状を有する。本体411fの天面には、複数の開口413fが所定間隔をあけて周方向に複数設けられる。シャッター412fは、複数のシャッター部材から構成される。シャッター部材は、開口413fを覆える大きさを有する。複数のシャッター部材は、本体411fの開口413fと同じ間隔をあけて周方向に配置される。このとき、シャッター412fの周方向の間隔は、開口413fと同等又は開口413fよりも大きい。シャッター412fは、本体411fの天面の内側に、回転可能に取り付けられる。
【0095】
次に、空気清浄機1fの使用方法について説明する。空気清浄機1fは、ファンの動作によって、空気清浄機1fの外部から吸込口13aを経て内部に空気を吸い込む。空気清浄機1fの内部に吸い込まれた空気は、空気清浄機1fの内部を通過して吹出口14aから空気清浄機1fの外部に吹き出される。
【0096】
操作部60aにより運転モードを選択する。運転モードは、通過する空気を浄化する空清運転と、芳香部40aから芳香を放出する芳香運転とから選択する。なお、運転モードは、例えば、通過する空気を加湿する加湿運転など、他の運転モードも適宜利用できるようにしてもよい。他の運転モードの詳細は後述する。
【0097】
空清運転が選択されると、コントローラーは、開閉窓41fのシャッター412fを回転させて複数の開口413fを覆う位置にシャッター412fを移動させ、開閉窓41fを閉鎖する。また、実施形態1において
図2で示したのと同様に、フィルタユニットを最下端に位置させる。吸込口13aから吸い込まれた空気は、フィルタ部を通過して、臭い成分及び集塵が除去され、吹出口14aから空気清浄機1fの外部に吹き出される。
【0098】
一方、芳香運転が選択されると、コントローラーは、開閉窓41fのシャッター412fを回転させて複数の開口413fを開く位置にシャッター412fを移動させ、開閉窓41fを開放する。また、実施形態1において
図3で示したのと同様に、フィルタユニットを上側に移動させる。吸込口13aから吸い込まれた空気は、フィルタ部を通過せずに、吹出口14aへ向かって流れる。空気は、吹出口14aから空気清浄機1fの外部に吹き出されるときに、芳香部40aを通り、芳香部40aで芳香成分を含んで吹き出される。
【0099】
これにより、空清運転と芳香運転を切り替えるたびに芳香部40aを着脱する必要がなくなる。
【0100】
本実施形態6では、操作部60aで運転モードを選択する以外にも、自動で空清運転と芳香運転とを切り替えることもできる。例えば、時間を設定し、一定時間空清運転を行って空気清浄機1fが置かれる周囲の空気が清浄になったと判断されると、自動で芳香運転に切り替えてもよい。
【0101】
以上のように、本発明の空気清浄機1a~1f(以下、「空気清浄機1」という)は、第1通風路51a~51d(以下、「第1通風路51」という)、第2通風路52a~52d(以下、「第2通風路52」という)及び切替手段30a~30d(以下、「切替手段30」という)を有する。切替手段30が第1通風路51及び第2通風路52の開閉を切り替えることで、通過する空気を浄化する空清運転モードでは、臭い成分及び塵埃などを吸着するフィルタ部21a,21c(以下、「フィルタ部21」という)を通過することができる。一方、空気中に芳香を放出する芳香運転モードでは、臭い成分及び塵埃などを吸着するフィルタ部21を通過しない。これにより、芳香成分がフィルタ部21に吸着されて消臭されることが抑制され、アロマなどの必要な芳香は、十分に放出することができる。また、芳香成分がフィルタ部21に吸着される臭い成分及び塵埃などと接触しないため、芳香成分と臭い成分等とが混ざり合って生じる不快な臭いが漂うことを抑制することができる。
【0102】
以上、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、種々の態様において実施することが可能である。また、上記の各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、大きさ、個数等は、適宜変更されてもよい。また、上記の実施形態で示す各構成要素の形状、寸法等は一例であって特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0103】
上記の実施形態1、2、5及び6では、モータ33a,34bと歯車(ピニオン32a,ギヤ33b)とでフィルタユニット20a,20bを上下動させる構成としているが、本発明はこれに限定されない。例えば、フィルタユニット20a,20bのフランジ部222a,222bにフック又は磁石を設け、筐体10aの内部に設けられる昇降機から取り外し可能に取り付けられる構成としてもよい。また、空気清浄機1a,1bの底部が開閉可能に構成されてもよい。この構成の場合、フィルタユニット20a,20bのフィルタ部21a,21bの交換が容易である。
【0104】
また、フィルタユニット20a,20bを上下動させる構成は、フィルタ部21aを通過する第1通風路51a,51bと、フィルタ部21aを通過しない第2通風路52a,52bとを切り替えられる構成であればよく、実施形態に示す構成に限定されない。
【0105】
上記の実施形態3及び4において、吸込口13cとダンパ25c,25dとの間に、小さな埃を吸着するプレフィルタを設けてもよい。
【0106】
上記の実施形態5及び6において、実施形態1の変形例として説明したが、実施形態2に対しても同様の構成を適用することができる。
【0107】
上記の実施形態1、2、5及び6では、芳香成分を含侵させたカートリッジを用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ファン50aよりも風上側の筐体10aの底面などにトレイを配置し、トレイに芳香成分を貯留する構成としてもよい。また、上記の実施形態3及び4では、トレイ41cに芳香成分を貯留する構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、吹出口14cに芳香成分を含侵させたカートリッジを備える構成としてもよい。
【0108】
上記の実施形態1、2、5及び6では、円筒状からなる空気清浄機としているが、本発明はこれに限定されない。また、上記の実施形態3及び4では、背面吸込み型の空気清浄機としているが、本発明はこれに限定されない。例えば、空気清浄機1は、円筒状又は角筒状など任意の外観を取ることができ、前面吸込み型など任意の位置に吸込口及び吹出口を設けることができる。
【0109】
上記の実施形態では、空気清浄機1に芳香部40a,40cを設ける構成としているが、本発明はこれに限定されない。例えば、空気清浄機1の周囲にアロマディフューザなどの芳香機を設け、空気清浄機1は芳香運転を行うことで、空気に芳香を漂わせてもよい。
【0110】
上記の実施形態では、空清運転と芳香運転とを切り替える構成としているが、本発明はこれに限定されない。例えば、空清運転及び芳香運転に加えて、通過する空気を加湿する加湿運転、又は加湿運転と空清運転とを同時に行う加湿空清運転を行えるようにしてもよい。
【0111】
実施形態1、2、5及び6では、筐体10aの底面に加湿トレイを設置し、フィルタユニット20a,20bを第1通風路51a,51bが開放されるように配置すると加湿空清運転を行うことができる。また、筐体10aの底面に加湿トレイを設置し、フィルタユニット20a,20bを第2通風路52a,52bが開放されるように配置すると加湿運転を行うことができる。このとき、加湿トレイは、スポンジ等で覆われたものが好ましい。これにより、空気清浄機1が転倒しても、加湿トレイに貯留される水が一気にこぼれず、フィルタ部21aに水をかかりにくくすることができる。
【0112】
実施形態3では、ダンパ25cに設ける開口を、第1通風路51cだけが開放される場合、第2通風路52cだけが開放される場合、並びに、第1通風路51c及び第2通風路52cが開放される場合の3個準備する。そして、加湿空清運転を行う場合には、トレイ41cに水を貯留し、ダンパ25cを第1通風路51c及び第2通風路52cが開放される位置に移動させればよい。
【0113】
また、一般の空気清浄機では、埃センサ又は臭いセンサによって検知された埃又は臭いの量に応じてファンの回転数を制御して風量制御を行っている。本発明において、芳香運転を行う時には、この風量制御を停止できるようにしてもよい。これにより、芳香運転モードでは常に風量が一定となり、適切な芳香を感じ続けることができる。
【0114】
また、本発明の空気清浄機1において、一般の空気清浄機に設けられるようなプラズマクラスターイオン発生機を通風路に配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、空気清浄機を提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0116】
1a,1b,1c,1d,1e,1f 空気清浄機
13a,13c 吸込口
14a,14c 吹出口
152e 検知センサ
20a,20b,20c フィルタユニット
21a,21c フィルタ部
25c,25d ダンパ
30a,30b,30c,30d 切替手段
40a,40c 芳香部
41f 開閉窓
51a,51b,51c,51d 第1通風路
52a,52b,52c,52d 第2通風路
60a 操作部