(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191770
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】車両用照明装置、および車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 45/47 20180101AFI20221221BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20221221BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20221221BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20221221BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20221221BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20221221BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20221221BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20221221BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20221221BHJP
F21W 103/45 20180101ALN20221221BHJP
F21W 103/40 20180101ALN20221221BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221221BHJP
【FI】
F21S45/47
F21V29/70
F21V29/503
F21V19/00 450
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21W103:55
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:00
F21W103:45
F21W103:40
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100208
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】石山 政之
(72)【発明者】
【氏名】中森 俊三
(72)【発明者】
【氏名】小杉 大資
【テーマコード(参考)】
3K013
【Fターム(参考)】
3K013AA01
3K013AA07
3K013BA01
3K013CA05
3K013EA13
(57)【要約】
【課題】発光素子の放熱性を向上させることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る車両用照明装置は、ソケットと;前記ソケットの一方の端部に設けられ、前記ソケットから露出する面と、前記面に設けられた凸部と、を有し、前記ソケットよりも熱伝導率が高い伝熱部と;前記伝熱部の前記凸部が設けられる孔を有し、前記伝熱部の前記面に設けられた基板と;前記伝熱部の前記凸部の頂面に設けられた発光素子と;前記発光素子と、前記凸部の頂面と、の間に設けられた接合層と;を具備している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケットと;
前記ソケットの一方の端部に設けられ、前記ソケットから露出する面と、前記面に設けられた凸部と、を有し、前記ソケットよりも熱伝導率が高い伝熱部と;
前記伝熱部の前記凸部が設けられる孔を有し、前記伝熱部の前記面に設けられた基板と;
前記伝熱部の前記凸部の頂面に設けられた発光素子と;
前記発光素子と、前記凸部の頂面と、の間に設けられた接合層と;
を具備した車両用照明装置。
【請求項2】
前記接合層は、Ag、Ni、Au、およびCuの少なくともいずれかを用いたフィラーを含む請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記接合層は、はんだ、または鉛フリーはんだを含む請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記ソケットは、高熱伝導性樹脂を含み、
前記伝熱部は、金属を含む請求項1~3のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用照明装置、および車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー化や長寿命化などの観点から、フィラメントを備えた車両用照明装置に代えて発光素子(例えば、発光ダイオードなど)を備えた車両用照明装置の普及が進んでいる。
発光素子を備えた車両用照明装置を点灯させると、発光素子から光が照射されるとともに、発光素子や、発光素子に電気的に接続された抵抗などにおいて熱が発生する。また、車両用照明装置の場合には、車両用照明装置が85℃程度の高温環境に置かれる場合もある。
【0003】
発光素子や抵抗などにおいて発生した熱や、環境温度などによって、点灯させた発光素子の温度が最大ジャンクション温度を超えると、発光素子が故障したり、寿命が短くなったりするおそれがある。
【0004】
そのため、発光素子などが実装された基板と、高熱伝導性樹脂から形成されたソケットと、の間に、金属から形成された伝熱部を設ける技術が提案されている。
伝熱部が設けられていれば、発光素子などにおいて発生した熱を、ソケットに伝えやすくなる。そのため、発光素子の温度が最大ジャンクション温度を超えるのを抑制することができる。
【0005】
ところが、近年においては、車両用照明装置の高光束化が求められており、発光素子などに流す電流を増加させる場合がある。発光素子などに流す電流を増加させると、発光素子などにおいて発生する熱が増加する。
また、近年においては、車両用照明装置の小型化も求められており、ソケットの、発光素子などが実装された基板が設けられる部分が小さくなる場合がある。ソケットの、基板が設けられる部分が小さくなると、熱が伝わる部分の面積が小さくなるので、発光素子などにおいて発生した熱の放熱がし難くなる。
そのため、発光素子の放熱性を向上させることができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、発光素子の放熱性を向上させることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る車両用照明装置は、ソケットと;前記ソケットの一方の端部に設けられ、前記ソケットから露出する面と、前記面に設けられた凸部と、を有し、前記ソケットよりも熱伝導率が高い伝熱部と;前記伝熱部の前記凸部が設けられる孔を有し、前記伝熱部の前記面に設けられた基板と;前記伝熱部の前記凸部の頂面に設けられた発光素子と;前記発光素子と、前記凸部の頂面と、の間に設けられた接合層と;を具備している。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、発光素子の放熱性を向上させることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に係る車両用照明装置を例示するための模式分解図である。
【
図2】
図1における車両用照明装置のA-A線断面図である。
【
図4】車両用灯具を例示するための模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0012】
(車両用照明装置)
本実施の形態に係る車両用照明装置1は、例えば、自動車や鉄道車両などに設けることができる。自動車に設けられる車両用照明装置1としては、例えば、フロントコンビネーションライト(例えば、デイタイムランニングランプ(DRL:Daytime Running Lamp)、ポジションランプ、ターンシグナルランプなどが適宜組み合わされたもの)や、リアコンビネーションライト(例えば、ストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ、フォグランプなどが適宜組み合わされたもの)などに用いられるものを例示することができる。ただし、車両用照明装置1の用途は、これらに限定されるわけではない。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る車両用照明装置1を例示するための模式分解図である。
図2は、
図1における車両用照明装置1のA-A線断面図である。
図1および
図2に示すように、車両用照明装置1には、例えば、ソケット10、発光モジュール20、給電部30、および伝熱部40が設けられている。
【0014】
ソケット10は、例えば、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15を有する。
装着部11は、フランジ13の、放熱フィン14が設けられる側とは反対側の面に設けられる。装着部11の外形形状は、柱状とすることができる。装着部11の外形形状は、例えば、円柱状である。装着部11は、例えば、装着部11の、フランジ13側とは反対側の端部に開口する凹部11aを有する。
【0015】
バヨネット12は、例えば、装着部11の側面に設けられる。バヨネット12は、車両用照明装置1の外側に向けて突出している。バヨネット12は、フランジ13と対向している。バヨネット12は、複数設けることができる。バヨネット12は、車両用照明装置1を、例えば、後述する車両用灯具100の筐体101に装着する際に用いられる。バヨネット12は、ツイストロックに用いることができる。
【0016】
フランジ13は、例えば、板状を呈している。フランジ13は、例えば、略円板状を呈している。フランジ13の側面は、バヨネット12の側面よりも車両用照明装置1の外方に位置している。
【0017】
放熱フィン14は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられる。放熱フィン14は、少なくとも1つ設けることができる。例えば、
図1および
図2に示すように、ソケット10には複数の放熱フィン14を設けることができる。複数の放熱フィン14は、所定の方向に並べて設けることができる。放熱フィン14は、例えば、板状、または筒状を呈している。
【0018】
コネクタホルダ15は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられている。コネクタホルダ15は、放熱フィン14と並べて設けることができる。コネクタホルダ15は、筒状を呈し、内部にシール部材105aを有するコネクタ105が挿入される。
【0019】
ソケット10は、発光モジュール20、および給電部30を保持する機能と、発光モジュール20において発生した熱を外部に伝える機能を有する。そのため、ソケット10は、熱伝導率の高い材料から形成するのが好ましい。
【0020】
また、近年においては、ソケット10は、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができ、且つ、軽量であることが望まれている。そのため、ソケット10は、例えば、高熱伝導性樹脂から形成することができる。高熱伝導性樹脂は、例えば、樹脂と、無機材料を用いたフィラーと、を含む。高熱伝導性樹脂は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)やナイロン等の樹脂に、炭素や酸化アルミニウムなどを用いたフィラーを混合させたものである。高熱伝導性樹脂の熱伝導率は、例えば、8W/(m・K)~20W/(m・K)程度とすることができる。
【0021】
高熱伝導性樹脂を含み、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15が一体に成形されたソケット10とすれば、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができる。また、ソケット10の重量を軽くすることができる。この場合、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15は、射出成形法などを用いて、一体成形することができる。また、インサート成形法などを用いて、ソケット10と給電部30を一体成形することもできる。
【0022】
発光モジュール20(基板21)は、伝熱部40の、ソケット10(凹部11aの底面11a1)から露出する面40aに設けられる。
発光モジュール20は、例えば、基板21、発光素子22、枠部23、封止部24、および素子25を有する。
基板21は、例えば、伝熱部40の面40aに接着される。この場合、接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。例えば、接着剤は、無機材料を用いたフィラーが混合された接着剤とすることができる。接着剤の熱伝導率は、例えば、0.5W/(m・K)以上、10W/(m・K)以下である。
【0023】
基板21は、板状を呈している。基板21の平面形状は、例えば、四角形である。基板21は、例えば、セラミックス(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなど)などの無機材料、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料などから形成することができる。また、基板21は、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したメタルコア基板などであってもよい。基板21に実装される素子25などの発熱量が多い場合には、放熱の観点から熱伝導率の高い材料を用いて基板21を形成することが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、高熱伝導性樹脂、メタルコア基板などを例示することができる。基板21は、単層構造を有するものであってもよいし、多層構造を有するものであってもよい。
【0024】
また、基板21の表面には、配線パターン21aが設けられている。配線パターン21aは、例えば、銀を主成分とする材料や、銅を主成分とする材料などから形成される。
【0025】
また、基板21の中央領域には、孔21bが設けられている。孔21bは、基板21の表面と裏面との間を貫通している。孔21bの内部には、伝熱部40の面40aに設けられた凸部40bが設けられる。例えば、孔21bの平面形状は、凸部40bの平面形状と同じとすることができる。例えば、孔21bの平面寸法は、凸部40bの平面寸法と同じか、若干大きくすることができる。
【0026】
この様にすれば、基板21と、伝熱部40の凸部40bとの位置合わせを行うことができる。後述するように凸部40bの頂面40b1には、発光素子22が設けられる。そのため、基板21と凸部40bとの位置合わせを行うことができれば、配線パターン21aの接続パッドと、発光素子22の電極とを配線により電気的に接続するのが容易となる。
【0027】
また、基板21には、配線パターン21aや、後述する膜状の抵抗器などを覆う被覆部を設けることもできる。被覆部は、例えば、ガラス材料を含むことができる。
【0028】
発光素子22は、伝熱部40の凸部40bの頂面40b1に設けられている。例えば、発光素子22は、熱伝導率の高い接合材を用いて、凸部40bの頂面40b1に接合される。熱伝導率の高い接合材は、例えば、金属粒子などのフィラーと、有機材料などとの混合物とすることができる。フィラーは、例えば、Ag、Ni、Au、Cuなどの金属を含んでいる。また、接合材は、例えば、はんだ、または鉛フリーはんだなどであってもよい。鉛フリーはんだは、例えば、Sn-Ag-Cu、Sn-Cu、Sn-Sb、Sn-Biなどである。
【0029】
すなわち、発光素子22と、凸部40bの頂面40b1との間には、接合層26を設けることができる。
例えば、接合層26は、Ag、Ni、Au、およびCuの少なくともいずれかを用いたフィラーを含む。
例えば、接合層26は、はんだ、または鉛フリーはんだを含むこともできる。
【0030】
発光素子22は、配線を介して、配線パターン21aと電気的に接続される。例えば、ワイヤーボンディング法を用いて、配線パターン21aの接続パッドと、発光素子22の電極とを電気的に接続することができる。
【0031】
発光素子22は、少なくとも1つ設けることができる。複数の発光素子22を設ける場合には、複数の発光素子22を互いに直列接続することができる。
発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
【0032】
発光素子22は、例えば、チップ状の発光素子とすることができる。チップ状の発光素子22とすれば、凸部40bの頂面40b1を小さくすることができるので、伝熱部40の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を図ることができる。チップ状の発光素子22は、例えば、COB(Chip On Board)により凸部40bの頂面40b1に接合することができる。チップ状の発光素子22は、例えば、上部電極型の発光素子などとすることができる。
【0033】
発光素子22の数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、車両用照明装置1の大きさや用途などに応じて適宜変更することができる。
【0034】
枠部23は、基板21の上に設けられている。枠部23は、枠状を呈し、基板21に接着されている。枠部23は、基板21の孔21bを囲んでいる。枠部23の内側には、凸部40bの頂面40b1に設けられた発光素子22が設けられる。枠部23は、例えば、樹脂から形成される。樹脂は、例えば、PBT(polybutylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、PET、ナイロン(Nylon)、PP(polypropylene)、PE(polyethylene)、PS(polystyrene)などの熱可塑性樹脂とすることができる。
【0035】
枠部23は、封止部24の形成範囲を規定する機能と、リフレクタの機能とを有することができる。そのため、枠部23は、反射率を向上させるために、酸化チタンの粒子などを含んでいたり、白色の樹脂を含んでいたりすることができる。
【0036】
また、枠部23は、省くこともできる。ただし、枠部23が設けられていれば、発光素子22から照射された光の利用効率を向上させることができる。また、封止部24が形成される範囲を小さくすることができるので、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を図ることができる。
【0037】
封止部24は、枠部23の内側に設けられる。封止部24は、枠部23により囲まれた領域を覆うように設けられる。封止部24は、発光素子22を覆うように設けられる。封止部24は、透光性を有する樹脂を含んでいる。封止部24は、例えば、枠部23の内側に樹脂を充填することで形成される。樹脂の充填は、例えば、ディスペンサなどを用いて行われる。充填する樹脂は、例えば、シリコーン樹脂などである。
なお、枠部23が省かれる場合には、例えば、ドーム状の封止部24が、凸部40bの頂面40b1と、基板21とに形成される。
【0038】
また、封止部24には蛍光体を含めることができる。蛍光体は、例えば、YAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)などとすることができる。ただし、蛍光体の種類は、車両用照明装置1の用途などに応じて所定の発光色が得られるように適宜変更することができる。
【0039】
素子25は、発光素子22を有する発光回路を構成するために用いられる受動素子または能動素子とすることができる。素子25は、基板21の上に設けられている。例えば、素子25は、枠部23の周辺に設けることができる。素子25は、配線パターン21aと電気的に接続される。素子25は、少なくとも1つ設けることができる。
【0040】
素子25は、例えば、抵抗25a、および制御素子25bなどとすることができる。
ただし、素子25の種類は例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22を有する発光回路の構成に応じて適宜変更することができる。例えば、素子25は、前述したものの他に、コンデンサ、正特性サーミスタ、負特性サーミスタ、インダクタ、サージアブソーバ、バリスタ、FETやバイポーラトランジスタなどのトランジスタ、集積回路、演算素子などであってもよい。
【0041】
抵抗25aは、基板21の上に設けられている。抵抗25aは、配線パターン21aと電気的に接続される。抵抗25aは、例えば、表面実装型の抵抗器、リード線を有する抵抗器(酸化金属皮膜抵抗器)、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器などとすることができる。なお、
図1に例示をした抵抗25aは、膜状の抵抗器である。
【0042】
膜状の抵抗器の材料は、例えば、酸化ルテニウム(RuO2)である。膜状の抵抗器は、例えば、スクリーン印刷法および焼成法を用いて形成される。抵抗25aが膜状の抵抗器であれば、抵抗25aと基板21との接触面積を大きくすることができるので、放熱性を向上させることができる。また、複数の抵抗25aを一度に形成することができる。そのため、生産性を向上させることができる。また、複数の抵抗25aにおける抵抗値のばらつきを抑制することができる。
【0043】
ここで、発光素子22の順方向電圧特性には、ばらつきがあるので、アノード端子とグランド端子との間の印加電圧を一定にすると、発光素子22から照射される光の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる。そのため、発光素子22から照射される光の明るさが所定の範囲内に収まるように、発光素子22に直列接続された抵抗25aにより、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。この場合、抵抗25aの抵抗値を変化させることで、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。
【0044】
抵抗25aが表面実装型の抵抗器やリード線を有する抵抗器などの場合には、発光素子22の順方向電圧特性に応じて適切な抵抗値を有する抵抗25aを選択する。抵抗25aが膜状の抵抗器の場合には、抵抗25aの一部を除去すれば、抵抗値を増加させることができる。例えば、膜状の抵抗器にレーザ光を照射すれば、膜状の抵抗器の一部を容易に除去することができる。なお、抵抗25aの数、大きさなどは、例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22の数や仕様などに応じて適宜変更することができる。
【0045】
制御素子25bは、基板21の上に設けられている。制御素子25bは、配線パターン21aと電気的に接続される。制御素子25bは、例えば、逆方向電圧が発光素子22に印加されないようにするため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子22に印加されないようにするために設けられる。制御素子25bは、例えば、表面実装型のダイオードや、リード線を有するダイオードなどである。
図1に例示をした制御素子25bは、表面実装型のダイオードである。
【0046】
その他、必要に応じて光学要素を設けることもできる。光学要素は、例えば、封止部24の上に設けることができる。光学要素は、例えば、凸レンズ、凹レンズ、導光体などとすることができる。
【0047】
給電部30は、例えば、複数の給電端子31、および保持部32を有する。
複数の給電端子31は、棒状体とすることができる。複数の給電端子31の一方の端部は、凹部11aの底面11a1から突出している。複数の給電端子31は、例えば、所定の方向に並べて設けられる。複数の給電端子31の一方の端部は、基板21に設けられた配線パターン21aと半田付けされる。複数の給電端子31の他方の端部は、コネクタホルダ15の孔の内部に露出している。コネクタホルダ15の孔の内部に露出する複数の給電端子31には、コネクタ105が嵌め合わされる。複数の給電端子31は、例えば、銅合金などの金属から形成される。なお、複数の給電端子31の形状、配置、材料などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0048】
前述したように、ソケット10は熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。ところが、熱伝導率の高い材料は導電性を有している場合がある。例えば、炭素を用いたフィラーを含む高熱伝導性樹脂などは、導電性を有している。そのため、保持部32は、複数の給電端子31と、導電性を有するソケット10との間を絶縁するために設けられている。また、保持部32は、複数の給電端子31を保持する機能をも有する。なお、ソケット10が絶縁性を有する高熱伝導性樹脂(例えば、酸化アルミニウムを用いたフィラーを含む高熱伝導性樹脂など)から形成される場合には、保持部32を省くことができる。この場合、ソケット10が複数の給電端子31を保持する。保持部32は、例えば、絶縁性を有する樹脂から形成される。保持部32は、例えば、ソケット10に設けられた孔に圧入したり、孔の内壁に接着したりすることができる。
【0049】
ここで、発光素子22を点灯させると、発光素子22において熱が発生する。また、車両用照明装置1の場合には、車両用照明装置1が85℃程度の高温環境に置かれる場合もある。発光素子22において発生した熱や、環境温度などによって、点灯させた発光素子22の温度が最大ジャンクション温度を超えると、発光素子22が故障したり、寿命が短くなったりするおそれがある。
【0050】
また、近年においては、車両用照明装置1の高光束化が求められており、発光素子22に流す電流を増加させる場合がある。発光素子22に流す電流を増加させれば、発光素子22において発生する熱が増加する。
また、近年においては、車両用照明装置1の小型化が求められており、車両用照明装置1の中心軸に直交する方向における装着部11の断面積が小さくなる場合がある。装着部11の断面積が小さくなると、発光モジュール20と放熱フィン14との間の、熱が伝わる部分の面積が小さくなるので、発光素子22において発生した熱が放熱フィン14に伝わり難くなる。
【0051】
そこで、本実施の形態に係る車両用照明装置1には、以下に例示をする伝熱部40が設けられている。
図3は、伝熱部40を例示するための模式斜視図である。
図1~
図3に示すように、伝熱部40は、例えば、ブロック状を呈している。伝熱部40は、ソケットの10一方の端部に設けられている。例えば、伝熱部40は、凹部11aの底面11a1に設けられている。伝熱部40の一方の面40aは、凹部11aの底面11a1から露出している。この場合、面40aは、凹部11aの底面11a1から突出した位置に設けることができる。前述したように、伝熱部40の面40aには、基板21が接着される。面40aが、凹部11aの底面11a1から突出した位置に設けられていれば、基板21を面40aに接着するのが容易となる。
【0052】
伝熱部40の面40aには、凸部40bが設けられている。例えば、凸部40bは、面40aの中央領域に設けることができる。前述したように、凸部40bの頂面40b1には、発光素子22が接合される。そのため、頂面40b1は、平坦な面とすることが好ましい。
【0053】
また、前述したように、凸部40bは、基板21の孔21bの内部に設けられる。凸部40bの厚み(凸部40bの頂面40b1と、面40aとの間の距離)には特に限定がない。ただし、凸部40bの厚みが小さすぎると、伝熱部40(凸部40b)と、基板21との位置合わせがし難くなる。凸部40bの厚みが大きすぎると、配線により、発光素子22の電極と配線パターン21aとを接続するのがし難くなる。例えば、凸部40bの厚みは、基板21の厚みと略同じとすることができる。
【0054】
面40aの平面形状と平面寸法は、例えば、基板21の平面形状と平面寸法と略同じとすることができる。ただし、伝熱部40には、複数の給電端子31との短絡を防ぐための切り欠き40cが設けられている。
【0055】
面40aの周縁には、凹部40dを設けることができる。凹部40dは、例えば、面40aと、伝熱部40の側面40eとに開口している。凹部40dの、面40aに垂直な方向の長さ(深さ)は、例えば、1mm程度とすることができる。凹部40dの、面40aに平行な方向の長さ(幅)は、例えば、1mm程度とすることができる。
【0056】
後述するように、伝熱部40に設けられた凹部40dと、ソケット10に設けられた凸部11a2が協働して、伝熱部40がソケット10に固定される。そのため、少なくとも1つの凹部40dが設けられればよいが、複数の凹部40dが設けられていれば、伝熱部40の固定を強固にしたり、伝熱部40の姿勢を安定させたりすることができる。
【0057】
例えば、側面40eの、面40aの角部の近傍に接続される部分40e1は、内側に向けて屈曲している。例えば、部分40e1は、装着部11の側面に沿った形状(例えば、円柱の側面の一部)とすることができる。部分40e1が、装着部11の側面に沿った形状なっていれば、側面40eの面積を大きくすることができる。そのため、伝熱部40からソケット10(装着部11)に伝わる熱量を増加させることができ、ひいては発光素子22の放熱性を向上させることができる。
【0058】
伝熱部40の、面40aに垂直な方向の長さ(厚み)を大きくすれば、面40aに対向する面40fと放熱フィン14との間の距離を小さくすることができる。そのため、発光素子22において発生した熱を放熱フィン14に伝えるのが容易となる。例えば、面40fが、フランジ13の内部に設けられるようにすることができる。
一方、伝熱部40の、面40aに垂直な方向の長さを小さくすれば、車両用照明装置1の軽量化を図ることができる。例えば、面40fが、装着部11の内部に設けられるようにすることができる。
図2に例示をした面40fは、フランジ13の、装着部11が設けられる側の面の位置に設けられている。
【0059】
また、面40fに凹凸を設けたり、面40fに複数の板状体(フィン)を設けたりすることもできる。この様にすれば、伝熱部40の、放熱フィン14側の面積を大きくすることができるので、伝熱部40から放熱フィン14に熱が伝わり易くなる。
【0060】
伝熱部40は、ソケット10よりも熱伝導率が高い材料から形成されている。伝熱部40は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などの金属を含む。例えば、伝熱部40は、密度が2.7kg/m3程度のアルミニウム合金を用いて形成することができる。伝熱部40は、例えば、ダイカスト法などの鋳造法や、切削加工などにより形成することができる。
【0061】
例えば、インサート成形法を用いて、伝熱部40とソケット10を一体成形したり、熱伝導率の高い接着剤を用いて、伝熱部40とソケット10を接着したりすることができる。
また、例えば、伝熱部40とソケット10との間に、熱伝導グリス(放熱グリス)を含む層41を設けることもできる。熱伝導グリスは、例えば、変性シリコーンに、無機材料を用いたフィラーが混合されたものである。熱伝導グリスの熱伝導率は、例えば、1W/(m・K)以上、5W/(m・K)以下である。
【0062】
ここで、発光素子22の点灯と消灯や、環境温度の変化などに伴い、伝熱部40とソケット10との間には熱応力が繰り返し発生する。また、車両用照明装置1には走行に伴う振動が加わる。そのため、伝熱部40とソケット10を一体成形したり、伝熱部40とソケット10を接着したりして、伝熱部40とソケット10を固着すると、伝熱部40とソケット10の間に経時的に隙間が生じるおそれがある。伝熱部40とソケット10の間に隙間が生じると、伝熱部40からソケット10への熱伝導が妨げられたり、伝熱部40の温度にムラが生じたりするおそれがある。
【0063】
これに対して、熱伝導グリスを含む層41は、半固体状であるため、ある程度以上の応力が加わると流動する。そのため、熱伝導グリスを含む層41が設けられていれば、熱伝導グリスを含む層41により、熱応力や振動を吸収したり、発生した隙間を埋めたりすることができる。伝熱部40とソケット10の間に経時的に隙間が生じるのを抑制することができれば、発光素子22の放熱性を長期間維持することができる。
【0064】
なお、伝熱部40とソケット10との間の隙間を、熱伝導グリスを含む層41により、埋めることができればよい。例えば、伝熱部40とソケット10とが部分的に接触している場合には、熱伝導グリスを含む層41が、伝熱部40とソケット10とが接触していない部分に設けられていればよい。この場合、伝熱部40とソケット10とが部分的に接触していれば、伝熱部40の位置、ひいては発光素子22の位置が動くのを抑制することができる。
【0065】
また、前述したように、熱伝導グリスを含む層41は、ある程度以上の応力が加わると流動するので、伝熱部40を保持する力が弱い。そこで、
図1および
図2に示すように、凹部11aの底面11a1には、少なくとも1つの凸部11a2が設けられている。凸部11a2は、凹部11aの底面11a1の、伝熱部40が設けられる領域の周辺に設けられている。凸部11a2は、底面11a1に開口する凹部11a3の周辺に設けることができる。凸部11a2は、伝熱部40の凹部40dに対峙する位置に設けられている。凸部11a2の数は、例えば、凹部40dの数と同じとすることができる。
【0066】
凸部11a2の先端側は、凹部40dの底面に接触している。そのため、伝熱部40がソケット10から脱落するのを抑制することができる。例えば、凸部11a2の先端側に超音波振動を加えたり、加熱したりすることで、凸部11a2の先端側を、凹部40dの底面に接触させることができる。
【0067】
以上に説明した様に、発光素子22は、伝熱部40(凸部40bの頂面40b1)に直接接合されている。そのため、発光素子22において発生した熱を、伝熱部40に直接伝えることができる。すなわち、発光素子22の放熱性を向上させることができる。
【0068】
(車両用灯具)
次に、車両用灯具100について例示する。
なお、以下においては、一例として、車両用灯具100が自動車に設けられるフロントコンビネーションライトである場合を説明する。ただし、車両用灯具100は、自動車に設けられるフロントコンビネーションライトに限定されるわけではない。車両用灯具100は、自動車や鉄道車両などに設けられる車両用灯具であればよい。
【0069】
図4は、車両用灯具100を例示するための模式部分断面図である。
図4に示すように、車両用灯具100は、例えば、車両用照明装置1、筐体101、カバー102、光学要素103、シール部材104、およびコネクタ105を有する。
【0070】
筐体101には、車両用照明装置1が取り付けられる。筐体101は、装着部11を保持する。筐体101は、一方の端部側が開口した箱状を呈している。筐体101は、例えば、光を透過しない樹脂などから形成される。筐体101の底面には、装着部11の、バヨネット12が設けられた部分が挿入される取付孔101aが設けられる。取付孔101aの周縁には、装着部11に設けられたバヨネット12が挿入される凹部が設けられる。なお、筐体101に取付孔101aが直接設けられる場合を例示したが、取付孔101aを有する取付部材が筐体101に設けられていてもよい。
【0071】
車両用照明装置1を車両用灯具100に取り付ける際には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分を取付孔101aに挿入し、車両用照明装置1を回転させる。すると、例えば、取付孔101aの周縁に設けられた嵌合部にバヨネット12が保持される。この様な取り付け方法は、ツイストロックと呼ばれている。
【0072】
カバー102は、筐体101の開口を塞ぐように設けられる。カバー102は、透光性樹脂などから形成される。カバー102は、レンズなどの機能を有することもできる。
【0073】
光学要素103には、車両用照明装置1から出射した光が入射する。光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光の反射、拡散、導光、集光、所定の配光パターンの形成などを行う。例えば、
図4に例示をした光学要素103はリフレクタである。この場合、光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光を反射して、所定の配光パターンを形成する。
【0074】
シール部材104は、フランジ13と筐体101の間に設けられる。シール部材104は、環状を呈し、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成される。
【0075】
車両用照明装置1が車両用灯具100に取り付けられた際には、シール部材104は、フランジ13と筐体101との間に挟まれる。そのため、シール部材104により、筐体101の内部空間を密閉することができる。また、シール部材104の弾性力により、バヨネット12が筐体101に押し付けられる。そのため、車両用照明装置1が、筐体101から脱離するのを抑制することができる。
【0076】
コネクタ105は、コネクタホルダ15の内部に露出している複数の給電端子31の端部に嵌め合わされる。コネクタ105には、図示しない電源などが電気的に接続される。そのため、コネクタ105を複数の給電端子31の端部に嵌め合わせることで、図示しない電源などと、発光素子22とを電気的に接続することができる。
【0077】
また、コネクタ105には、シール部材105aが設けられている。シール部材105aを有するコネクタ105が、コネクタホルダ15の内部に挿入された際には、コネクタホルダ15の内部が水密となるように密閉される。
【0078】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 車両用照明装置、10 ソケット、11 装着部、11a 凹部、11a1 底面、11a2 凸部、13 フランジ、14 放熱フィン、20 発光モジュール、21 基板、21b 孔、22 発光素子、26 接合層、40 伝熱部、40a 面、40b 凸部、40b1 頂面、40d 凹部、41 層、100 車両用灯具、101 筐体