(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191773
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】到着時刻予想方法、到着時刻予想装置、及び到着時刻予想プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20221221BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/01 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100212
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】520300057
【氏名又は名称】データバイザー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】島田 孝司
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
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5H181AA07
5H181AA13
5H181AA15
5H181BB04
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5H181DD02
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5H181MA42
5H181MC03
5H181MC04
5H181MC12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】第一の目的地点を中心にして所定の距離以内の領域であって、前記領域内に第二の目的地点も存在する領域(整流域)において、第一の目的地点及び第二の目的地点の少なくともいずれかに通ずる道路の車線毎の到着時刻を正確に予想できる到着時刻予想方法等の提供。
【解決手段】第一の目的地点及び第二の目的地点の少なくともいずれかに通ずる道路の車線毎の所要時間を算出する方法であって、前記道路に設置された、第一の検出装置により車線毎に検出された車両数と、前記第一の検出装置の次に設置された第二の検出装置により車線毎に検出された車両数とに基づき、前記第一の検出装置と前記第二の検出装置との間における車線毎の車両数を推定し、前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの車線毎の到着時刻を予想する到着時刻予想工程を含む到着時刻予想方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の目的地点を中心にして所定の距離以内の領域であって、前記領域内に第二の目的地点も存在する領域における、前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかに通ずる道路の車線毎の前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの所要時間を算出する方法であって、
前記道路に設置された、第一の検出装置により車線毎に検出された車両数と、前記第一の検出装置の次に設置された第二の検出装置により車線毎に検出された車両数とに基づき、前記第一の検出装置と前記第二の検出装置との間における車線毎の車両数を推定し、
前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの車線毎の到着時刻を予想する到着時刻予想工程を含むことを特徴とする到着時刻予想方法。
【請求項2】
前記到着時刻予想工程における車線毎の到着時刻の予想が、
車線毎の現在のプローブ情報に基づき前記第一の検出装置と前記第二の検出装置との間における車線毎の車両数を導出し、前記車線毎の車両数と車線毎の過去のプローブ情報に基づき前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの車線毎の到着時刻を予想する、請求項1に記載の到着時刻予想方法。
【請求項3】
前記到着時刻予想工程における車線毎の到着時刻の予想が、
車線毎の現在のプローブ情報に基づき前記第一の検出装置と前記第二の検出装置との間における車線毎の車両数及び走行速度を導出し、前記車線毎の車両数及び前記走行速度と車線毎の過去のプローブ情報に基づき前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの車線毎の到着時刻を予想する、請求項1に記載の到着時刻予想方法。
【請求項4】
前記到着時刻予想工程において、車線毎の現在のプローブ情報に基づき走行速度を導出する際に、前記現在のプローブ情報が複数存在し、
複数の前記プローブ情報に含まれる、
第一のプローブ情報における時刻Xでの位置情報X1と、前記第一のプローブ情報とは異なる第二のプローブ情報における、前記時刻Xと実質的に同時刻での位置情報X2とが実質的に同一であり、かつ、
前記第一のプローブ情報における、前記時刻Xの次にサンプリングされた時刻Yでの位置情報Y1と、前記第二のプローブ情報における、前記時刻Yと実質的に同時刻での位置情報Y2とが実質的に同一であるとき、
前記第一のプローブ情報と前記第二のプローブ情報とは同一移動体に関するプローブ情報であると判別する、請求項3に記載の到着時刻予想方法。
【請求項5】
第一の目的地点を中心にして所定の距離以内の領域であって、前記領域内に第二の目的地点も存在する領域における、前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかに通ずる道路の車線毎の前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの所要時間を算出する装置であって、
前記道路に設置された、第一の検出装置により車線毎に検出された車両数と、前記第一の検出装置の次に設置された第二の検出装置により車線毎に検出された車両数とに基づき、前記第一の検出装置と前記第二の検出装置との間における車線毎の車両数を推定し、
前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの車線毎の到着時刻を予想する到着時刻予想手段を有することを特徴とする到着時刻予想装置。
【請求項6】
第一の目的地点を中心にして所定の距離以内の領域であって、前記領域内に第二の目的地点も存在する領域における、前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかに通ずる道路の車線毎の前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの所要時間を算出するプログラムであって、
前記道路に設置された、第一の検出装置により車線毎に検出された車両数と、前記第一の検出装置の次に設置された第二の検出装置により車線毎に検出された車両数とに基づき、前記第一の検出装置と前記第二の検出装置との間における車線毎の車両数を推定し、
前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの車線毎の到着時刻を予想する到着時刻予想処理をコンピュータに行わせることを特徴とする到着時刻予想プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、到着時刻予想方法、到着時刻予想装置、及び到着時刻予想プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、港湾地区及び物流エリアでは、目的地点であるターミナル又は倉庫などに車両が進入するための待ち行列が道路上の特定車線に形成され、交通渋滞が多発している。この場合、各車両に搭載された車載機からのプローブ情報だけでは、上記待ち行列に加わった車両であるか、あるいは交通渋滞によって速度が低下した車両であるかを判別することが困難である。そのため、単純に通行車両の平均値をとって速度を算出すると、目的地点までの到着時刻を正確に予想できないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、第一の目的地点を中心にして所定の距離以内の領域であって、前記領域内に第二の目的地点も存在する領域(以下、「整流域」と称することがある)において、第一の目的地点及び第二の目的地点の少なくともいずれかに通ずる道路の車線毎の到着時刻を正確に予想できる到着時刻予想方法、到着時刻予想装置、及び到着時刻予想プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 第一の目的地点を中心にして所定の距離以内の領域であって、前記領域内に第二の目的地点も存在する領域における、前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかに通ずる道路の車線毎の前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの所要時間を算出する方法であって、
前記道路に設置された、第一の検出装置により車線毎に検出された車両数と、前記第一の検出装置の次に設置された第二の検出装置により車線毎に検出された車両数とに基づき、前記第一の検出装置と前記第二の検出装置との間における車線毎の車両数を推定し、
前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの車線毎の到着時刻を予想する到着時刻予想工程を含むことを特徴とする到着時刻予想方法である。
<2> 前記到着時刻予想工程における車線毎の到着時刻の予想が、
車線毎の現在のプローブ情報に基づき前記第一の検出装置と前記第二の検出装置との間における車線毎の車両数を導出し、前記車線毎の車両数と車線毎の過去のプローブ情報に基づき前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの車線毎の到着時刻を予想する、前記<1>に記載の到着時刻予想方法である。
<3> 前記到着時刻予想工程における車線毎の到着時刻の予想が、
車線毎の現在のプローブ情報に基づき前記第一の検出装置と前記第二の検出装置との間における車線毎の車両数及び走行速度を導出し、前記車線毎の車両数及び前記走行速度と車線毎の過去のプローブ情報に基づき前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの車線毎の到着時刻を予想する、前記<1>に記載の到着時刻予想方法である。
<4> 前記到着時刻予想工程において、車線毎の現在のプローブ情報に基づき走行速度を導出する際に、前記現在のプローブ情報が複数存在し、
複数の前記プローブ情報に含まれる、
第一のプローブ情報における時刻Xでの位置情報X1と、前記第一のプローブ情報とは異なる第二のプローブ情報における、前記時刻Xと実質的に同時刻での位置情報X2とが実質的に同一であり、かつ、
前記第一のプローブ情報における、前記時刻Xの次にサンプリングされた時刻Yでの位置情報Y1と、前記第二のプローブ情報における、前記時刻Yと実質的に同時刻での位置情報Y2とが実質的に同一であるとき、
前記第一のプローブ情報と前記第二のプローブ情報とは同一移動体に関するプローブ情報であると判別する、前記<3>に記載の到着時刻予想方法である。
<5> 第一の目的地点を中心にして所定の距離以内の領域であって、前記領域内に第二の目的地点も存在する領域における、前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかに通ずる道路の車線毎の前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの所要時間を算出する装置であって、
前記道路に設置された、第一の検出装置により車線毎に検出された車両数と、前記第一の検出装置の次に設置された第二の検出装置により車線毎に検出された車両数とに基づき、前記第一の検出装置と前記第二の検出装置との間における車線毎の車両数を推定し、
前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの車線毎の到着時刻を予想する到着時刻予想手段を有することを特徴とする到着時刻予想装置である。
<6> 第一の目的地点を中心にして所定の距離以内の領域であって、前記領域内に第二の目的地点も存在する領域における、前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかに通ずる道路の車線毎の前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの所要時間を算出するプログラムであって、
前記道路に設置された、第一の検出装置により車線毎に検出された車両数と、前記第一の検出装置の次に設置された第二の検出装置により車線毎に検出された車両数とに基づき、前記第一の検出装置と前記第二の検出装置との間における車線毎の車両数を推定し、
前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの車線毎の到着時刻を予想する到着時刻予想処理をコンピュータに行わせることを特徴とする到着時刻予想プログラムである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、本発明は、第一の目的地点を中心にして所定の距離以内の領域であって、前記領域内に第二の目的地点も存在する領域(整流域)において、第一の目的地点及び第二の目的地点の少なくともいずれかに通ずる道路の車線毎の到着時刻を正確に予想できる到着時刻予想方法、到着時刻予想装置、及び到着時刻予想プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、整流域と汎用域を説明する模式図である。
【
図2】
図2は、各車両における車載D又は車載Gの搭載位置を示す模式図である。
【
図3】
図3は、本発明における「一式」の状態を示す模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の到着時刻予想装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の到着時刻予想装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施例における用語の定義を説明するための説明図である。
【
図7】
図7は、実施例1における道路の状態の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施例1における到着時刻予想方法の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、交通密度と速度との関係を示すグラフである。
【
図10】
図10は、
図9の「Greenbergモデル」を簡単化した一次直線式を示すグラフである。
【
図11】
図11は、[PM(1,1)、PM(1,2)、PM(1,3)、PM(2,1)、PM(2,2)、PM(2,3)、PM(3,1)、PM(3,2)、PM(3,3)]の9個の各区間での合計台数を示す図である。
【
図12】
図12は、実施例2における到着時刻予想方法の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、実施例2における「一式」の処理を説明する図である。
【
図14】
図14は、コンテナ車及び単独走行について車載器の有無で分類した図である。
【
図15】
図15は、コンテナ車のヘッド部とコンテナ車のシャーシ部の車載器の有無で分類した図である。
【
図16】
図16は、実施例2における車両識別区間での各車両を識別した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(到着時刻予想方法及び到着時刻予想装置)
本発明の到着時刻予想方法は、第一の目的地点を中心にして所定の距離以内の領域であって、前記領域内に第二の目的地点も存在する領域における、前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかに通ずる道路の車線毎の前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの所要時間を算出する方法であって、到着時刻予想工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
【0008】
本発明の到着時刻予想装置は、第一の目的地点を中心にして所定の距離以内の領域であって、前記領域内に第二の目的地点も存在する領域における、前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかに通ずる道路の車線毎の前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの所要時間を算出する装置であって、到着時刻予想手段を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
【0009】
本発明の到着時刻予想方法は、本発明の到着時刻予想装置により好適に実施することができ、到着時刻予想工程は到着時刻予想手段により行うことができ、その他の工程はその他の手段により行うことができる。
【0010】
本発明においては、第一の目的地点を中心にして所定の距離以内の領域であって、前記領域内に第二の目的地点も存在する領域である整流域において、第一の目的地点及び第二の目的地点の少なくともいずれかに通ずる道路の車線毎の到着時刻を正確に予想することができる。
【0011】
第一の目的地点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コンテナ基地、ショッピングモール、イベント会場などが挙げられる。
第二の目的地点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、工事現場などが挙げられる。
前記「所定の距離」については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、2km以上が好ましく、2km以上10km以下がより好ましい。
【0012】
ここで、
図1に示すように、整流域10は、第一の目的地点12を中心にして所定の距離以内の領域であって、前記領域内に第二の目的地点13も存在する領域であり、特定の目的地点に向かって車両が集中する場合、走行できる車線等で整流化して、軽微かつ精緻なツール(手法)を利用して目的地点までの所要時間を予測できるエリアを意味する。
汎用域11は、様々な目的地点に向かう車両が車線を限定せずに自由に走行できる領域であり、交通量から所要時間を算出する汎用的なツール(手法)が利用できるエリアであり、例えば、市街地などが挙げられる。
各車両の大部分は、汎用域11を出発して整流域10に進入して複数の目的地点に向かって移動する。
【0013】
整流域10においては、複数の目的地点に進入するための複数車線の道路があり、目的地点毎に車線を決めることが可能である。例えば、コンテナ基地向けの車両は第1車線、工事現場向けの車両は第3車線、整流域を通過する一般車両は主として第2車線を通行するように対応している。表1に、整流域を通行する車両の類型について示す。
【0014】
【0015】
<到着時刻予想工程及び到着時刻予想手段>
前記到着時刻予想工程は、道路に設置された、第一の検出装置により車線毎に検出された車両数と、前記第一の検出装置の次に設置された第二の検出装置により車線毎に検出された車両数とに基づき、前記第一の検出装置と前記第二の検出装置との間における車線毎の車両数を推定し、前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの車線毎の到着時刻を予想する工程であり、到着時刻予想手段により実施される。
【0016】
前記第一の検出装置としては、道路に設置され車線毎の車両数を検出することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、超音波センサ、赤外線センサ、カメラ等の撮像装置などが挙げられる。これらの中でも、カメラが好ましく、5G対応の360°AIカメラがより好ましい。カメラによると、例えば、車線別台数、車種別台数、車種別速度、ナンバープレート識別、動画情報などを取得することができる。
【0017】
前記第二の検出装置としては、前記第一の検出装置の次に設置されていれば特に制限はなく、前記第一の検出装置と同じものを用いることができる。
前記第一の検出装置の「次に」とは、連続する第一の検出装置の「次」の位置に設置してもよいし、所定間隔離間した第一の検出装置の「次」の位置に設置してもよいが、連続する第一の検出装置の「次」の位置に設置することが好ましい。
例えば、整流域内の交通渋滞が発生し易いゲート近傍に第一の検出装置としてのカメラを設置し、該ゲート近傍からプローブ情報を補完するために適当な間隔(例えば、1km)をあけて、次の第二の検出装置としてのカメラを設置する。
【0018】
<<第1の実施形態>>
第1の実施形態では、前記整流域において、第一の検出装置により車線毎に検出された車両数と、前記第一の検出装置の次に設置された第二の検出装置により車線毎に検出された車両数とに基づき、前記第一の検出装置と前記第二の検出装置との間における車線毎の車両数を推定する方法としては、例えば、車線毎の現在のプローブ情報に基づき前記第一の検出装置と前記第二の検出装置との間における車線毎の車両数を導出し、前記車線毎の車両数と車線毎の過去のプローブ情報に基づき前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの車線毎の到着時刻を予想することが好ましい。
【0019】
前記現在のプローブ情報とは、現在走行中の車両に搭載された各種車載機から得られるリアルタイムな情報を意味する。現在のプローブ情報を用いることにより、リアルタイムな処理が可能となる。前記現在のプローブ情報としては、例えば、車両ID、走行ルートID、位置(経度、緯度)、速度、出発日時、出発地(経度、緯度)、到着日時、目的地(経度、緯度)、移動距離、所要時間などが挙げられる。
前記過去のプローブ情報とは、過去のプローブ情報を大量に蓄積した、いわゆる「走行履歴データ」を意味する。過去のプローブ情報を用いた処理をバッチ処理と称することがある。
【0020】
具体的には、一定時間間隔で、整流域内の道路上の各距離区間における現在の各種プローブ情報を基に、車両数を把握する。なお、現在の各種プローブ情報では車線の区別はできないので、車線別の車両数を把握できない。
次に、車線別の車数を把握するため所定の位置に設置したカメラにより2つの距離区間分の範囲における車線別の車両数の補足を行う。
次に、カメラで補足した2距離区間における車線別の車両数に基づき、連続する2つのカメラの設置区間である「計測区間」内の各距離区間についての車線別の車両数を推定する。
次に、道路上の各距離区間における現在のプローブ情報に基づき、出発地点から第一の目的地点までの所要時間、及び出発地点から第二の目的地点までの所要時間を、関数を用いて予測する。
前記関数は、車線毎の交通密度(車両数)をパラメータとして、過去のプローブ情報に基づき、Greenbergモデル等に準拠して求めることができる。なお、交通工学の分野では、「Greenbergモデル」が著名であるが、現実に即して関数化することが一般的である。
【0021】
<<第2の実施形態>>
第2の実施形態では、前記整流域において、到着時刻予想工程における車線毎の到着時刻の予想は、車線毎の現在のプローブ情報に基づき前記第一の検出装置と前記第二の検出装置との間における車線毎の車両数及び走行速度を導出し、前記車線毎の車両数及び前記走行速度と車線毎の過去のプローブ情報に基づき前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの車線毎の到着時刻を予想することが、走行速度を加味したより正確な到着時間の予想を行うことができる点から好ましい。
前記現在のプローブ情報及び前記過去のプローブ情報については、上記第1の実施形態と同じ意味を表す。
【0022】
前記第2の実施形態では、車線毎の現在のプローブ情報に基づき走行速度を導出する際に、前記現在のプローブ情報が複数存在し、複数の前記プローブ情報に含まれる、第一のプローブ情報における時刻Xでの位置情報X1と、前記第一のプローブ情報とは異なる第二のプローブ情報における、前記時刻Xと実質的に同時刻での位置情報X2とが実質的に同一であり、かつ、前記第一のプローブ情報における、前記時刻Xの次にサンプリングされた時刻Yでの位置情報Y1と、前記第二のプローブ情報における、前記時刻Yと実質的に同時刻での位置情報Y2とが実質的に同一であるとき、前記第一のプローブ情報と前記第二のプローブ情報とは同一移動体に関するプローブ情報であると判別する。
【0023】
前記第2の実施形態において、第一のプローブ情報と第二のプローブ情報とが同一車両に関するプローブ情報であることを「一式」であると定義する。
前記「一式」とは、コンテナ車のヘッド部とコンテナ車のシャーシ部が結合されており、かつコンテナ車のヘッド部がデジタルタコグラフ(D)であるプローブD用車載機(総称を「車載D」、車載IDを「D-ID」)を、コンテナ車のシャーシ部がGPS捕捉機(G)であるプローブG用車載機(総称を「車載G」、「G-ID」)を搭載している場合を意味する。
前記「一式」の状態を的確に把握するには、全ての車載D及び車載Gを把握した上で、その動きがある時間帯及び道路区間で実質的同一(近傍)であることを判定する必要がある。
【0024】
前記車両としては、例えば、コンテナ車のヘッド部、コンテナ車のシャーシ部、トラック、生コン車、ダンプカー、普通自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車などが挙げられる。
同一車両とは、一台の車両を意味し、例えば、コンテナ車のヘッド部とコンテナ車のシャーシ部が結合されている場合は一台の車両であり同一車両であるが、コンテナ車のヘッド部とコンテナ車のシャーシ部が切り離された場合はコンテナ車のヘッド部とコンテナ車のシャーシ部は二台の車両となり、同一車両に該当しなくなる。
同一車両が複数のプローブ情報を有するとは、一台の車両が少なくとも第一のプローブ情報と第二のプローブ情報を有することを意味し、3種以上のプローブ情報を有していてもよい。
【0025】
前記「一式」の判別方法では、第一のプローブ情報と第二のプローブ情報とのサンプリング数が同じであってもよいが、第一のプローブ情報のサンプリング数と、第二のプローブ情報のサンプリング数とが互いに異なることが、同一車両であることの判別精度を高める点から好ましく、第一のプローブ情報のサンプリング数が第二のプローブ情報のサンプリング数よりも多いことがより好ましい。
【0026】
前記第一のプローブ情報を収集する第一のプローブとしては、例えば、デジタルタコグラフなどが挙げられる。
前記第二のプローブ情報を収集する第二のプローブとしては、例えば、GPS捕捉機、スマートフォンなどが挙げられる。
【0027】
前記デジタルタコグラフ、GPS捕捉機、及びスマートフォンの特徴については、下記表2に示すとおりである。
【0028】
【0029】
デジタルタコグラフ(「デジタコ」と略称することもある)は、国土交通省自動車局と厚生労働省が連携してトラック事業者、バス事業者の労働状況を可視化し運行記録の取得を義務化する目的で、機器の認定を行っている。民間企業約20社が認定機器を出荷しており、例えば、株式会社トランストロン、矢崎エナジーシステム株式会社などが挙げられる。本発明においては、クラウド型に強い株式会社トランストロン製のデジタコを使用するが、クラウド型であれば特に制限されるものではない。なお、デジタコは電源供給有り、GPS取得間隔は1秒間である。
【0030】
GPS捕捉機は、電源供給無し、被牽引車両(トレーラー、コンテナ車のシャーシ部、ダブル連結)等、被牽引状態でしか動かないため、近年、位置情報の把握が物流事業者の課題になっている。そのため、民間企業数社が製品化に着手している。なお、GPS捕捉機は電源供給無し、GPS取得間隔は、電池寿命との関係で用途毎に5秒~1時間で変更可能である。
【0031】
前記「一式」の判別方法において、第一のプローブ情報と第二のプローブ情報とが同一移動体に関するプローブ情報であることを判別する。例えば、「第一のプローブ情報D」と、「第二のプローブ情報G」とがある場合、一般的にそのプローブ情報を収集するプローブ車載機の用途及び特性から、設置する位置は車載機の設計上決まっているのが通例である。具体的には、車載Dはコンテナ車のヘッド部、生コン車の座席前のフロント部に搭載され、車載Gはダンプカー、コンテナ車のシャーシ部の荷台前方付近に搭載されるのが一般であり、その搭載位置は概ね、
図2及び
図3に示す通りである。なお、前記「一式」は
図3に該当する。
【0032】
ここで、移動体の移動状態と移動体の停止状態に分けて、「実質的に同時刻」と「実質的に同一の位置情報」について説明する。
図3に示すように、コンテナ車のヘッド部はコンテナ車のシャーシ部に対して、進行方向に向かって前に位置している。そのため、移動状態においては車載Dが通過後に車載Gが通過することになる。なお、コンテナ車のヘッド部単独の場合には後退してコンテナ車のシャーシ部と結合することは頻繁に発生するが、コンテナ車のヘッド部とコンテナ車のシャーシ部が結合している状態では後退はほとんど発生しない。
【0033】
複数種のプローブ情報を融合させるには、複数個の車両の実質的同一(近傍)を把握することが前提となる。本発明においては、以下に説明するように「時空間距離」により実質的同一(近傍)を判断する。
複数種プローブであるプローブDとプローブGにおいて、コンテナ車のヘッド部はコンテナ車のシャーシ部に対して進行方向に向かって前に位置しており、プローブDがプローブGの前にある場合には、プローブ取得時刻の差(時刻G-時刻D)は負の値はとらない。
したがって、時空間距離は、下記数式1で定義される。なお、経度及び緯度の各1秒は約25mである。
【0034】
【0035】
第一のプローブ情報における時刻Xでの位置情報X1と、前記第一のプローブ情報とは異なる第二のプローブ情報における、前記時刻Xと実質的に同時刻での位置情報X2とが実質的に同一であること、及び前記第一のプローブ情報における、前記時刻Xの次にサンプリングされた時刻Yでの位置情報Y1と、前記第二のプローブ情報における、前記時刻Yと実質的に同時刻での位置情報Y2とが実質的に同一であること、を時空間距離で表すと、第一のプローブ情報と第二のプローブ情報との時空間距離が正又はゼロであり、時空間距離が最小値となるプローブ同士を実質的同一(近傍)とする。具体的には、第一のプローブ情報と第二のプローブ情報との移動状態における時空間距離は1.5(秒・秒)以下であることが好ましく、1.0(秒・秒)以下であることがより好ましい。
【0036】
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通信工程、入力工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通信手段、入力手段などが挙げられる。
【0037】
前記通信部としては、到着時刻予想装置と通信可能なものであれば特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、送受信機、情報通信ネットワーク、インターネットなどが挙げられる。
【0038】
前記入力部としては、到着時刻予想装置に対する各種要求を受け付けることができれば特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクなどが挙げられる。
【0039】
(到着時刻予想プログラム)
本発明の到着時刻予想プログラムは、第一の目的地点を中心にして所定の距離以内の領域であって、前記領域内に第二の目的地点も存在する領域における、前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかに通ずる道路の車線毎の前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの所要時間を算出するプログラムであって、
前記道路に設置された、第一の検出装置により車線毎に検出された車両数と、前記第一の検出装置の次に設置された第二の検出装置により車線毎に検出された車両数とに基づき、前記第一の検出装置と前記第二の検出装置との間における車線毎の車両数を推定し、
前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの車線毎の到着時刻を予想する到着時刻予想処理をコンピュータに行わせる。
【0040】
本発明の到着時刻予想プログラムは、例えば、本発明の到着時刻予想方法をコンピュータに実行させるプログラムとすることができる。また、本発明の到着時刻予想プログラムにおける好適な態様は、例えば、本発明の到着時刻予想方法における好適な態様と同様にすることができる。
【0041】
本発明の到着時刻予想プログラムは、使用するコンピュータシステムの構成及びオペレーティングシステムの種類・バージョンなどに応じて、公知の各種のプログラム言語を用いて作成することができる。
【0042】
本発明の到着時刻予想プログラムは、内蔵ハードディスク、外付けハードディスクなどの記録媒体に記録しておいてもよいし、CD-ROM、DVD-ROM、MOディスク、USBメモリなどの記録媒体に記録しておいてもよい。
更に、本発明の到着時刻予想プログラムを、上記の記録媒体に記録する場合には、必要に応じて、コンピュータシステムが有する記録媒体読取装置を通じて、これを直接又はハードディスクにインストールして使用することができる。また、コンピュータシステムから情報通信ネットワークを通じてアクセス可能な外部記憶領域(他のコンピュータなど)に本発明の到着時刻予想プログラムを記録しておいてもよい。この場合、外部記憶領域に記録された本発明の到着時刻予想プログラムは、必要に応じて、外部記憶領域から情報通信ネットワークを通じてこれを直接、又はハードディスクにインストールして使用することができる。
なお、本発明の到着時刻予想プログラムは、複数の記録媒体に、任意の処理毎に分割されて記録されていてもよい。
【0043】
<コンピュータが読み取り可能な記録媒体>
本発明に関するコンピュータが読み取り可能な記録媒体は、本発明の到着時刻予想プログラムを記録してなる。
本発明に関するコンピュータが読み取り可能な記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、内蔵ハードディスク、外付けハードディスク、CD-ROM、DVD-ROM、MOディスク、USBメモリなどが挙げられる。
また、本発明に関するコンピュータが読み取り可能な記録媒体は、本発明の到着時刻予想プログラムが任意の処理毎に分割されて記録された複数の記録媒体であってもよい。
【0044】
以下では、装置の構成例やフローチャートなどを用いて、本発明で開示する技術の一例を更に詳細に説明する。
図4に、本発明の到着時刻予想装置のハードウェア構成例を示す。
到着時刻予想装置100においては、例えば、制御部101、主記憶装置102、補助記憶装置103、I/Oインターフェイス104、通信インターフェイス105、入力装置106、出力装置107、表示装置108が、システムバス109を介して接続されている。
【0045】
制御部101は、演算(四則演算、比較演算等)、ハードウェア及びソフトウェアの動作制御などを行う。制御部101としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)であってもよいし、到着時刻予想方法に用いるマシンの一部であってもよく、これらの組み合わせでもよい。
制御部101は、例えば、主記憶装置102などに読み込まれたプログラム(例えば、本発明の到着時刻予想プログラムなど)を実行することにより、種々の機能を実現する。
本発明の到着時刻予想装置における判別手段(判別部)が行う処理は、例えば、制御部101により行うことができる。
【0046】
主記憶装置102は、各種プログラムを記憶するとともに、各種プログラムを実行するために必要なデータ等を記憶する。主記憶装置102としては、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)の少なくともいずれかを有するものを用いることができる。
ROMは、例えば、BIOS(Basic Input/Output System)などの各種プログラムなどを記憶する。また、ROMとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)などが挙げられる。
RAMは、例えば、ROMや補助記憶装置103などに記憶された各種プログラムが、制御部101により実行される際に展開される作業範囲として機能する。RAMとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)などが挙げられる。
【0047】
補助記憶装置103としては、各種情報を記憶できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ソリッドステートドライブ(SSD)、ハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。また、補助記憶装置103は、CDドライブ、DVDドライブ、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)ドライブなどの可搬記憶装置としてもよい。
また、本発明の到着時刻予想プログラムは、例えば、補助記憶装置103に格納され、主記憶装置102のRAM(主メモリ)にロードされ、制御部101により実行される。
【0048】
I/Oインターフェイス104は、各種の外部装置を接続するためのインターフェイスである。I/Oインターフェイス104は、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk ROM)、MOディスク(Magneto-Optical disk)、USBメモリ〔USB(Universal Serial Bus) flash drive〕などのデータの入出力を可能にする。
【0049】
通信インターフェイス105としては、特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、無線又は有線を用いた通信デバイスなどが挙げられる。
【0050】
入力装置106としては、到着時刻予想装置100に対する各種要求や情報の入力を受け付けることができれば特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクなどが挙げられる。また、入力装置106がタッチパネル(タッチディスプレイ)である場合は、入力装置106が表示装置108を兼ねることができる。
【0051】
出力装置107としては、特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、プリンタなどが挙げられる。
表示装置108としては、特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどが挙げられる。
【0052】
図5に、本発明の到着時刻予想装置の機能構成例を示す。
図5に示すように、到着時刻予想装置100は、通信機能部120と、入力機能部130と、出力機能部140と、表示機能部150と、記憶機能部160と、制御機能部170とを備える。
【0053】
通信機能部120は、例えば、各種のデータを外部の装置と送受信する。通信機能部120は、例えば、外部の装置から、車両属性データ、走行履歴データ等のデータを受信してもよい。
入力機能部130は、例えば、到着時刻予想装置100に対する各種指示を受け付ける。また、入力機能部130は、例えば、複数のプローブ情報を受け付ける。
出力機能部140は、例えば、到着時刻予想装置で予想した到着時刻の結果をプリントアウトする。
表示機能部150は、例えば、到着時刻予想装置で予想した到着時刻の結果をディスプレイに表示する。
【0054】
記憶機能部160は、例えば、各種プログラムを記憶すると共に、プローブ情報DB161と、カメラ情報DB162、予想結果DB163とを有する。
プローブ情報DB161では、車載機により収集されたプローブ情報を保存するDBである。
プローブ情報は、下記表3に示すように、「車両ID」、「走行ルートID」、「位置(経度、緯度)」、「速度」、「出発日時」、「出発地(経度、緯度)」、「到着日時」、「目的地(経度、緯度)」、「移動距離」、「所要時間」のデータ項目を含む。
【0055】
【0056】
「車両ID」のデータ項目は、車載機が搭載されている当該車両を識別するためのデータであり、予め設定される。
「走行ルートID」のデータ項目は、目的をもってある出発地からある目的地へ移動する単位である走行ルートを識別するために用いられる。
「日時」及び「位置(経度、緯度)」のデータ項目は、車載機に搭載されているGPS(Global Positioning System)ユニットにより取得される。
「速度」のデータ項目は、GPSユニットと同期させ、車載機が有する速度センサを用いて車両の車軸から取得される。
「出発日時」及び「出発地(経度、緯度)」のデータ項目は、当該走行ルートの出発日時及び出発地の経度緯度である。
「到着日時」及び「目的地(経度、緯度)」のデータ項目は、当該走行ルートの到着日時及び目的地の経度、緯度である。
「移動距離」のデータ項目は、出発地から現在地までの移動距離である。
「所要時間」のデータ項目は、出発地から現在地までの所要時間である。
【0057】
カメラ情報DB162は、カメラにより撮影された車両の画像データを保存するDBである。カメラ情報DBのデータに基づき、車線毎に検出された車両数を推定することができる。
【0058】
予想結果DB163は、到着時刻予想装置が予想した到着時刻の結果を保存するDBである。
【0059】
制御機能部170は、到着時刻予想手段としての到着時刻予想部171と、判別部172を有する。制御機能部170は、例えば、記憶機能部160に記憶された各種プログラムを実行するとともに、到着時刻予想装置100全体の動作を制御する。
【0060】
到着時刻予想部171は、整流域における道路に設置された、第一の検出装置により車線毎に検出された車両数と、前記第一の検出装置の次に設置された第二の検出装置により車線毎に検出された車両数とに基づき、前記第一の検出装置と前記第二の検出装置との間における車線毎の車両数を推定し、前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの車線毎の到着時刻を予想する。
また、到着時刻予想部171は、整流域における道路の車線毎の過去のプローブ情報に基づき、走行速度を導出し、導出した前記走行速度と、前記車線毎の車両数とから前記第一の目的地点及び前記第二の目的地点の少なくともいずれかまでの車線毎の到着時刻を予想する。
【0061】
判別部172は、複数の前記プローブ情報に含まれる、第一のプローブ情報における時刻Xでの位置情報X1と、前記第一のプローブ情報とは異なる第二のプローブ情報における、前記時刻Xと実質的に同時刻での位置情報X2とが実質的に同一であり、かつ、前記第一のプローブ情報における、前記時刻Xの次にサンプリングされた時刻Yでの位置情報Y1と、前記第二のプローブ情報における、前記時刻Yと実質的に同時刻での位置情報Y2とが実質的に同一であるとき、前記第一のプローブ情報と前記第二のプローブ情報とは同一移動体に関するプローブ情報であると判別する処理を行う。
【実施例0062】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。以下の実施例において使用する用語の定義について説明する。
【0063】
<用語の定義>
図6に示すように、第一の目的地点aを中心にして所定の距離以内の領域であって、前記領域内に第二の目的地点bも存在する領域である整流域内の道路R(例えば、出発地点oから3km)に関して、車線No.をjとし、j=1~3である。第二の目的地点bからの距離(例えば、100m単位)に基づく距離区間No.をiとし、i=1~30である。道路R内の該当部分をR(i,j)で表す。なお、道路Rにおいて車線No.を意識しない場合は、R(i,)と表記する。
【0064】
カメラは、整流域内の道路Rにおける交通渋滞(待ち行列)が発生し易いゲート近傍に設置し、該ゲート近傍からプローブ情報を補足するために所定の間隔(例えば、1km)で設置する。なお、カメラを設置する場所は、過去の統計情報に基づき、プローブ情報を補足し易い場所を適宜選択することができる。
カメラの設置場所はC(i)で表す。
図6では、カメラはC(1)、C(8)、C(16)、及びC(24)に設置されている。1台のカメラは、2つの距離区間を撮影することができる(枠囲み部分)。
連続する2箇所のカメラの設置区間を「計測区間」とする。
図6では、「計測区間1」、「計測区間2」、「計測区間3」の3つが該当する。「計測区間」は所要時間を予測する関数のパラメータとなる。
【0065】
図6に示すように、整流域内の道路Rにおいて、出発地点oの直前に、各車両の種類の識別を行う「車両識別区間」(例えば、300m)を設ける。
各車両の種類の識別は、各車両に搭載している車載機からの情報に基づき行うことができる。例えば、車載機のプローブ所得時間間隔をデジタルタコグラフ:1秒、GPS捕捉機:5秒、スマートフォン:30秒とすると、時速60km/時で走行した場合、デジタルタコグラフ:16m、GPS捕捉機:83m、スマートフォン:500mの間隔で情報を取得できる。
【0066】
デジタルタコグラフDは、コンテナ車のヘッド部又は生コン車に搭載される。デジタルタコグラフDは各車両に固定的に搭載されているので、車載ID(以下、「D-ID」と称する)によって識別できる。D-IDの秘匿化要請は大きい。デジタルタコグラフDでは、出発地点oを通過後の目的地点は、走行履歴データに基づいて予測が可能である。
【0067】
GPS捕捉機Gは、ダンプカー又はコンテナ車のシャーシ部に搭載される。GPS捕捉機Gは各車両に簡易的に取り付けられ、頻繁に異なる車両に搭載されるので、車載ID(以下、「G-ID」と称する)の秘匿化要請は小さい。したがって、GPS捕捉機を車両に取り付けるタイミングで、設置対象の車両のナンバープレート、目的地点、又は走行ルート等の情報が車載IDに紐づけされて登録される。
【0068】
道路R内の該当部分R(i,j)について、デジタルタコグラフの現在速度をVD(i,j)、GPS捕捉機の現在速度をVG(i,j)、スマートフォンの現在速度をVS(i,j)とし、これらの集合体をプローブ情報に基づく現在速度VP(i,j)とする。
カメラに基づく現在速度をVC(i,j)とし、特定車線において待ち行列が形成されていること(交通密度が高くかつ速度が低いこと)が確認できた場合、前記待ち行列内の移動速度をVQ(i,j)と定義する。
【0069】
各車両の速度は、デジタルタコグラフのように車両から直接取得する方式が採れる場合を除いて、2地点のGPS位置を相対化することにより把握する。例えば、GPS捕捉機の現在速度であるVG(i,)は、R(i,)とR(i+1,)とのGPS位置情報を使用する。なお、「車両識別区間」の速度は、スマートフォンを除いて「車両識別区間」中の車載機からの情報で把握できる。
【0070】
プローブ情報に基づく交通密度(車両数)をKP(i,j)、カメラに基づく交通密度(車両数)をKC(i,j)、真実の交通密度(車両数)をKE(i,j)で表現する。
【0071】
出発地点oから目的地点aまで(a←o)における所要時間T(a←0)、及び出発地点oから目的地点bまで(b←o)における所要時間T(b←o)は、関数Fa及び関数Fbから求めることができる。なお、関数Fa及び関数Fbは、Greenbergモデル等に準拠して事前に求めることができる。
【0072】
(実施例1)
<プローブ情報をカメラで補強して、車線別の概略台数から予測する方法>
図7に示すように、整流域内の道路Rにおいて、出発地点o(距離区間No.i=30)、第一の目的地点であるゲートa(距離区間No.i=7)、第二の目的地点であるゲートb(距離区間No.i=1)が存在する。
道路R上の各距離区間(i=1~30)の3車線(車線No.j=1~3)に、実際、
図7に示す丸囲み数字の台数の車両が走行している。この状態において、複数種のプローブ情報を取得しているが、道路Rにおける車線全体の情報を把握できていない。
【0073】
まず、一定時間間隔で、道路R上の各距離区間(i=1~30)における各種プローブ情報を基に、車両数を把握する。なお、各種プローブ情報では車線No.の区別はできないので、車線別車両数を把握できない。各種プローブ情報の取得間隔は、上述したとおり固定であり既知である。
次に、車線別の車数を把握するため、C(1)、C(7)、C(17)、及びC(27)に設置したカメラにより2つの距離区間分(枠囲み部分)の範囲における車線別の車数の補足を行う。
【0074】
次に、カメラにより補足した2つの距離区間における車線別車両数に基づき、連続する2箇所のカメラの設置区間である「計測区間」内の各距離区間についての車線別車両数を推定する。
【0075】
次に、道路R上の各距離区間における過去のプローブ情報に基づき、出発地点oから目的地点aまで(a←o)における所要時間T(a←0)、及び出発地点oから目的地点bまで(b←o)における所要時間T(b←o)を関数Fa及び関数Fbにより予測する。
関数Fa及び関数Fbは、車線毎の交通密度(車両数)であるPM(k,j)をパラメータとして、過去のプローブ情報に基づき、事前に求めることができる。
【0076】
次に、
図8に示すようにして、所要時間T(a←o)及び所要時間T(b←o)を算出することができる。
ステップS1では、プローブ情報に基づく車両数であるKP(i,)を10秒毎に、整流域内の道路R上を走行する車載機を搭載した車両からの位置及び速度情報から、距離区間(3車線の合計)毎に把握すると、処理をステップS2に移動する。
【0077】
ステップS2では、カメラに基づく車両数であるKC(i,j)を、カメラを設置した場所C(i)から解析可能な2つの距離区間分における車線毎の車両数から把握すると、処理をステップS3に移行する。
【0078】
ステップS3では、真実の車両数であるKE(i,j)を、連続する2箇所のカメラの「計測区間」により車線毎に車両数を推定すると、処理をステップS4に移行する。
具体的には、表4に示すように、「計測区間」における車線別の真実の車両数であるKE(i,j)を推定する。
【0079】
【0080】
カメラC(7)とカメラC(17)との間の「計測区間2」における距離区間(i=7~16)において、車線毎の車両数を推定する処理について説明する。
表4に示すように、カメラに基づく車両数であるKC(7,1)、KC(8,1)、KC(17,1)、及びKC(18,1)が全て「6」であることから、真実の車両数であるKE(i,1)(i=7~16)は全て「6」とする。
カメラに基づく車両数であるKC(7,3)、及びKC(8,3)がともに「8」であり、カメラに基づく車両数であるKC(17,3)、及びKC(18,3)がともに「5」であることから、真実の車両数であるKE(i,3)(i=9~16)は単純減少すると推定する。
プローブに基づく車両数であるKP(i,)(i=9~16)での最大値は、i=11の「15」であることから、真実の車両数であるKE(11,1)が「6」、真実の車両数であるKE(11,3)が「8」、真実の車両数であるKE(11,2)が「1」と推定できる。真実の車両数であるKE(11,3)が「8」と推定できたので、真実の車両数であるKE(9,3)及び真実の車両数であるKE(10,3)も「8」と推定できる。
真実の車両数であるKE(i,3)(i=12~16)に関しては、「8」~「5」で単純減少すると推定する。
真実の車両数であるKE(i,2)に関しては、プローブ情報に基づく車両数であるKP(i,)を考慮して推定する。
以上により、カメラC(7)とカメラC(17)との間の「計測区間2」における距離区間(i=7~16)において、車線毎の真実の車両数であるKE(i,j)を推定することができる。なお、「計測区間1」及び「計測区間3」についても同様にして、車線毎の真実の車両数であるKE(i,j)を推定することができる。
【0081】
ステップS4では、計測区間1~3毎の車線別の車両数を合計し、車線毎の車両数であるPM(k,j)を求めると、処理をステップS5に移行する。
表4から、車線毎の車両数であるPM(k,j)は、PM(1,1)=36、PM(1,2)=2、PM(1,3)=0、PM(2,1)=60、PM(2,2)=8、PM(2,3)=68、PM(3,1)=38、PM(3,2)=4、PM(3,3)=34となる。
【0082】
ステップS5では、関数Fa[PM(1,1)、PM(1,2)、PM(1,3)、PM(2,1)、PM(2,2)、PM(2,3)、PM(3,1)、PM(3,2)、PM(3,3)]の確定(1回/月に実施)を行い、関数Fb[PM(1,1)、PM(1,2)、PM(1,3)、PM(2,1)、PM(2,2)、PM(2,3)、PM(3,1)、PM(3,2)、PM(3,3)]の確定(1回/月に実施)を行うと、処理をステップS6に移行する。
ステップS5では、車線毎の車両数であるPM(k,j)をパラメータとして、過去のプローブ情報に基づき、所要時間T(a←0)及び所要時間T(b←0)を求める関数Fa、関数Fbを事前に求める。
【0083】
ステップS6では、10秒毎に車線毎の車両数であるPM(k,j)を算出し、関数Faから所要時間T(a←0)、関数Fbから所要時間T(b←0)をそれぞれ算出し、通知すると、本処理を終了する。
具体的には、関数Faから所要時間T(a←0)を算出し、関数Fbから所要時間T(b←0)を算出する処理は、以下に示すとおりである。
なお、交通工学の分野では、空間平均速度と交通密度の関係としては
図9に示す「Greenbergモデル」(「交通流理論」桑原雅夫著、一般社団法人交通工学研究会発行、第14頁の
図1.7参照)が著名であるが、現実に即して簡単化し、例えば、
図10に示すような一次直線式に変換するのが一般的である。
【0084】
ここで、
図11に示す[PM(1,1)、PM(1,2)、PM(1,3)、PM(2,1)、PM(2,2)、PM(2,3)、PM(3,1)、PM(3,2)、PM(3,3)]の9個の区間について、渋滞(jam)状態での台数合計(最大)を想定している。例えば、PM(2,3)では80台とした。制限速度は全て60km/時として車両が0台の場合には自由走行できるので、
図10に示す一次直線式のイメージとなる。
図10中の車両数「68」は、実施例1においては、上記ステップS3~ステップS4により推定した結果である。
【0085】
【0086】
所要時間T(a←o)=Fa[PM(1,1)、PM(1,2)、PM(1,3)、PM(2,1)、PM(2,2)、PM(2,3)、PM(3,1)、PM(3,2)、PM(3,3)]
所要時間T(a←o)=Fa(PMa)=5.111×PMa+138
ただし、PMaは、PM(1,1)、PM(1,2)、PM(1,3)、PM(2,1)、PM(2,2)、PM(2,3)、PM(3,1)、PM(3,2)、及びPM(3,3)からなる一次関数である。
【0087】
PMa=1+0.1PM(1,1)+0.02PM(1,2)+0.05PM(1,3)+0.8PM(2,1)+0.2PM(2,2)+PM(2,3)+0.7PM(3,1)+0.2PM(3,2)+PM(3,3)
ただし、各PM(i,j)に乗じる係数は、当該計測区間が所要時間に及ぼす重みである。
【0088】
PMa・jam=1+0.1×36+0.02×60+0.05×48+0.8×60+0.2×100+80+0.7×60+0.2×100+80=298
ただし、PMa・jamは、速度が5km/時である渋滞の極限状態である。
【0089】
所要時間T(b←o)=Fb[PM(1,1)、PM(1,2)、PM(1,3)、PM(2,1)、PM(2,2)、PM(2,3)、PM(3,1)、PM(3,2)、PM(3,3)]
所要時間T(b←o)=Fb(PMb)=4.440×PMb+180
ただし、PMbは、PM(1,1)、PM(1,2)、PM(1,3)、PM(2,1)、PM(2,2)、PM(2,3)、PM(3,1)、PM(3,2)、及びPM(3,3)からなる一次関数である。
【0090】
PMb=1+PM(1,1)+0.2PM(1,2)+0.8PM(1,3)+PM(2,1)+0.6PM(2,2)+PM(2,3)+PM(3,1)+0.4PM(3,2)+PM(3,3)
ただし、各PM(i,j)に乗じる係数は、当該計測区間が所要時間に及ぼす重みである。
【0091】
PMb・jam=1+36+0.2×60+0.8×48+60+0.6×100+80+60+0.4×100+80=467
ただし、PMb・jamは、速度が5km/時である渋滞の極限状態である。
【0092】
なお、上記においてPMaとPMbで、PM(i,j)の係数が異なる(例えば、PMaでのPM(1,1)が「0.1」であるのに対し、PMbでのPM(1,1)が「1.0」である。下線部分参照)のは、所要時間T(a←o)と所要時間T(b←o)に影響する度合いが異なるためである。
【0093】
【表6】
表6の結果から、実施例1において、関数Faから算出した所要時間T(a←0)は1,077秒となり、関数Fbから算出した所要時間T(b←0)は1,214秒となる。
【0094】
(実施例2)
<プローブ情報をカメラで補強した上で車種別速度を加味した車線別台数から予測する方法>
この実施例2は、実施例1において、計測区間の車線別車両数を確定するために、車種別の区間別速度を算出して車線別車両数を予測したこと以外は、実施例1と同様であるため、既に説明した実施例1と同一の構成についてはその説明を省略する。
【0095】
図12に示すように、ステップS21では、現在のプローブ情報に基づく車両数であるKP(i,)を10秒毎に、整流域の道路R上を走行する車載機を搭載した車両からの位置及び速度情報から距離区間毎に把握すると、処理をステップS22に移動する。
【0096】
ステップS22では、10秒毎のGPS情報により車両識別区間に存在するすべてのデジタルタコグラフの車載ID(D-ID)及びGPS搭載機の車載ID(G-ID)の目的地点を推定すると、処理をステップS23に移行する。
【0097】
ステップS23では、カメラに基づく車両数であるKC(i,j)を、カメラを設置した場所C(i)から解析可能な距離区間(2距離区間分)における車線毎の車両数から把握すると、処理をステップS24に移行する。
【0098】
ステップS24では、10秒間において、車両識別区間に存在する生コン車の台数である「Nad」、ダンプカーの台数である「Nag」、コンテナ車のヘッド部の台数である「Nbd」、及びコンテナ車のシャーシ部の台数である「Nbg」を確定すると、処理をステップS25に移行する。
【0099】
ステップS25では、10秒間において、車両識別区間に存在するコンテナ車(一式)の台数である「Nbc」を確定すると、処理をステップS26に移行する。
実施例2においては、速度を正確に把握する必要があるため、走行する車両から収集される複数種の現在のプローブ情報からコンテナ車のヘッド部+コンテナ車のシャーシ部の組み合わせ(一式)を
図13に示す車両識別区間で検出する。
図3に示すコンテナ車のヘッド部+コンテナ車のシャーシ部の組み合わせ(一式)状態のケース[a]を、
図14に示す様々な状態の車両の中から検出する。
「Nbd」はコンテナ車のヘッド部の単独状態の台数、「Nbg」はコンテナ車のシャーシ部の単独状態の台数である。なお、コンテナ車のシャーシ部は単独では走行できないが、コンテナ車のヘッド部に車載器がない場合である。
図15において、「一式」状態であると判定されるのは、ケース[a]の場合である。
【0100】
複数種のプローブ情報を融合させるには、複数個の移動体の近傍性(実質的に同一)を把握することが前提となる。したがって、下記数式1で表される「時空間距離(位置情報、時刻)」の近傍性で判断する。
【0101】
【0102】
複数種のプローブ情報の中で、プローブDとプローブGが前進しているので、必ずプローブDがプローブGの前に存在する。経度及び緯度の各秒は約25mである。
近傍性(実質的に同一)は、時空間距離が正又はゼロで最小値のプローブ情報を近傍とする。
【0103】
図16に示すように、各車両の識別は、「車両識別区間」(例えば、300mの区間)で行う。車両識別区間において、時間帯(t31~t33の10秒間)に捉えられるものは、プローブDが「D-ID」、プローブGが「G-ID」で表せる。5台存在したとする。
D1+G1、D3+G3、D4+G4は、[a]の「一式」状態である。
G2は[c]の状態(コンテナ車のシャーシ部がデジタコのないヘッド部に牽引されているか、ダンプカー)である。
D5は[b]の状態(コンテナ車のヘッド部単独、GPS捕捉機のないコンテナ車のシャーシ部を牽引しているコンテナ車のヘッド部、又は生コン車)である。
【0104】
次に、D3+G3について「一式」状態を判定するケースを考える。
計算を簡単にするために、
図16に示す道路Rの車両識別区間は、300mの内の北側170mであり、東経135度を真北に走っており、地点oは北緯35度に位置する。
この道路Rを、制限速度60km/時=16.7m/秒で、各車両は制限速度を守って走行している。
この区間の南端は北緯34:59:53である。170/25=6.8で地点oの7秒南に位置する。
「G3-1」のプローブが、t32(=10:59:40)の時刻に北緯34:59:56(東経は全て135度で維持される)で検出されたと仮定して算出する。
「G3-1」より前にプローブ情報が採取されたものは、t32以前に限られるので、「D4-2」、「D4-1」、「D3-4」、「D3-3」、「D3-2」、「D1-9」「D1-8」、「D1-7」、「D1-6」、及び「D1-5」とG3-1との時空間距離を上記数式1から求め、表7に示した。
【0105】
【表7】
表7の結果から、60km/時で走行している場合の「一式」状態の時空間距離の判別基準を1.5(秒・秒)以下とすると、その条件を満たすのは「D3-4」の場合であり、D3が「一式」状態であると認定される。なお、この「一式」状態を判定する処理はリアルタイムに行い、即座に判定する必要があるため、条件を満たせばそれで推定することになる。
【0106】
ステップS26では、確定した車両識別区間にある生コン車の台数である「Nad」、ダンプカーの台数である「Nag」、コンテナ車のヘッド部の台数である「Nbd」、コンテナ車のシャーシ部の台数である「Nbg」、及びコンテナ車(一式)の台数である「Nbc」に含まれる車両の速度VP(i,j)について、「Nad+Nag」の分をj=3とし、「Nbd+Nbg-Nbc」の分をj=1として算出すると、処理をステップS27に移行する。
【0107】
ステップS27では、真実の車両数であるKE(i,j)として、連続する2箇所のカメラの計測区間に関して、車線別及び距離区間別の平均速度を基に車線別の車両数を推定すると、処理をステップS28に移行する。
具体的には、表8に示すように「計測区間」において車線別の真実の車両数であるKE(i,j)を推定する。
【0108】
【0109】
2つのカメラC(7)とC(17)との間の「計測区間2」における距離区間(i=7~16)において、車線毎の車両数を推定する処理について説明する。
表8に示すように、カメラに基づく車両数であるKC(7,1)、KC(8,1)、KC(17,1)、及びKC(18,1)が全て「6」であり、プローブ情報に基づく現在速度であるVP(7,1)、VP(8,1)、VP(17,1)、及びVP(18,1)が全て「5」であることから、真実の車両数であるKE(i,1)(i=7~16)は、全て「6」とする。
プローブ情報に基づく現在速度であるVPが、待ち行列内の移動速度であるVQ(例えば「5」)以下なら、車両は待ち行列に並んでいると判断する。
基本的に、真実の車両数であるKE(i,1)はプローブ情報に基づく現在速度であるVP(i,1)の一次関数として算出する。同様に、真実の車両数であるKE(i,3)はプローブ情報に基づく現在速度であるVP(i,3)の一次関数として算出する。
以上により、カメラC(7)とカメラC(17)との間の「計測区間2」における距離区間(i=7~16)において、車線毎の真実の車両数であるKE(i,j)を推定することができる。なお、「計測区間1」及び「計測区間3」についても同様にして、車線毎の真実の車両数であるKE(i,j)を推定することができる。
【0110】
ステップS28では、計測区間毎の車線別の車両数を合計し、車線毎の車両数であるPM(k,j)を求めると、処理をステップS29に移行する。
表8から、車線毎の車両数であるPM(k,j)は、PM(1,1)=36、PM(1,2)=2、PM(1,3)=0、PM(2,1)=60、PM(2,2)=8、PM(2,3)=68、PM(3,1)=38、PM(3,2)=4、PM(3,3)=34となる。
【0111】
ステップS29では、関数Fa[PM(1,1)、PM(1,2)、PM(1,3)、PM(2,1)、PM(2,2)、PM(2,3)、PM(3,1)、PM(3,2)、PM(3,3)]の確定(例えば、1回/月実施)を行い、関数Fb[PM(1,1)、PM(1,2)、PM(1,3)、PM(2,1)、PM(2,2)、PM(2,3)、PM(3,1)、PM(3,2)、PM(3,3)]の確定(例えば、1回/月実施)を行うと、処理をステップS30に移行する。
ステップS29では、PM(k,j)をパラメータとして、所要時間T(a←0)及び所要時間T(b←0)を求める関数Fa及び関数Fbを事前に求める。
【0112】
ステップS30では、10秒毎に車線毎の車両数であるPM(k,j)を算出し、関数Faから所要時間T(a←0)、関数Fbから所要時間T(b←0)をそれぞれ算出し、通知すると、本処理を終了する。
具体的には、関数Faから所要時間T(a←0)を算出し、関数Fbから所要時間T(b←0)を算出する処理は、以下に示すとおりである。
なお、交通工学の分野では、空間平均速度と交通密度の関係としては
図9に示す「Greenbergモデル」(「交通流理論」桑原雅夫著、一般社団法人交通工学研究会発行、第14頁の
図1.7参照)が著名であるが、現実に即して簡単化し、例えば、
図10に示すような一次直線式に変換するのが一般的である。
図11に示す9個の区間[PM(1,1)、PM(1,2)、PM(1,3)、PM(2,1)、PM(2,2)、PM(2,3)、PM(3,1)、PM(3,2)、PM(3,3)]について、渋滞(jam)状態での台数合計(最大)を想定している。例えば、PM(2,3)では80台とした。制限速度は全て60km/時として車両が0台の場合には自由にその速度で走行できるので、
図10に示す直線の一次直線式のようなイメージである。
図10中の車両数「68」は、実施例2では、上記ステップS24~ステップS26において速度VP(i,j)を考慮し、上記ステップS27~ステップS28で求めた結果である。
【0113】
【0114】
所要時間T(a←o)=Fa[PM(1,1)、PM(1,2)、PM(1,3)、PM(2,1)、PM(2,2)、PM(2,3)、PM(3,1)、PM(3,2)、PM(3,3)]
所要時間T(a←o)=Fa(PMa)=5.111×PMa+138
ただし、PMaは、PM(1,1)、PM(1,2)、PM(1,3)、PM(2,1)、PM(2,2)、PM(2,3)、PM(3,1)、PM(3,2)、及びPM(3,3)からなる一次関数である。
【0115】
PMa=1+0.1PM(1,1)+0.02PM(1,2)+0.05PM(1,3)+0.8PM(2,1)+0.2PM(2,2)+PM(2,3)+0.7PM(3,1)+0.2PM(3,2)+PM(3,3)
ただし、各PM(i,j)に乗じる係数は、当該計測区間が所要時間に及ぼす重みである。
【0116】
PMa・jam=1+0.1×36+0.02×60+0.05×48+0.8×60+0.2×100+80+0.7×60+0.2×100+80=298
ただし、PMa・jamは、速度が5km/時である渋滞状態である。
【0117】
所要時間T(b←o)=Fb[PM(1,1)、PM(1,2)、PM(1,3)、PM(2,1)、PM(2,2)、PM(2,3)、PM(3,1)、PM(3,2)、PM(3,3)]
所要時間T(b←o)=Fb(PMb)=4.440×PMb+180
ただし、PMbは、PM(1,1)、PM(1,2)、PM(1,3)、PM(2,1)、PM(2,2)、PM(2,3)、PM(3,1)、PM(3,2)、及びPM(3,3)からなる一次関数である。
【0118】
PMb=1+PM(1,1)+0.2PM(1,2)+0.8PM(1,3)+PM(2,1)+0.6PM(2,2)+PM(2,3)+PM(3,1)+0.4PM(3,2)+PM(3,3)
ただし、各PM(i,j)に乗じる係数は、当該計測区間が所要時間に及ぼす重みである。
【0119】
PMb・jam=1+36+0.2×60+0.8×48+60+0.6×100+80+60+0.4×100+80=467
ただし、PMb・jamは、速度が5km/時である渋滞状態である。
【0120】
なお、上記においてPMaとPMbで、PM(i,j)の係数が異なる(例えば、PMaでのPM(1,1)が「0.1」であるのに対し、PMbでのPM(1,1)が「1.0」である。下線部分参照)のは、所要時間T(a←o)と所要時間T(b←o)に影響する度合いが異なるためである。
【0121】
【表10】
表10の結果から、実施例2において、関数Faから算出した所要時間T(a←0)は1,077秒となり、関数Fbから算出した所要時間T(b←0)は1,214秒となる。