(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191780
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】流体流量制御装置及び体外循環装置
(51)【国際特許分類】
A61M 60/546 20210101AFI20221221BHJP
A61M 60/113 20210101ALI20221221BHJP
A61M 60/279 20210101ALI20221221BHJP
A61M 60/37 20210101ALI20221221BHJP
A61M 60/441 20210101ALI20221221BHJP
A61M 60/845 20210101ALI20221221BHJP
A61M 1/14 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
A61M60/546
A61M60/113
A61M60/279
A61M60/37
A61M60/441
A61M60/845
A61M1/14 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100222
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000153030
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】大塚 浩司
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077CC03
4C077DD01
4C077EE01
4C077HH03
4C077HH09
4C077HH19
4C077JJ03
4C077JJ08
4C077JJ28
4C077KK25
(57)【要約】
【課題】回転操作入力部の誤操作を防止しつつ、緊急時において流体の流量値を短時間で変更可能な流体流量制御装置及び体外循環装置を提供すること。
【解決手段】流体流量制御装置10は、流量調整手段Pから送り出される流体の流量値を回転操作入力部6の回転操作により制御し、回転操作入力部6における所定の単位回転量の回転操作が予め設定された第1設定回転量まで連続して行われた場合に流量調整手段Pから送り出される流体の流量値を変更せずに、回転操作入力部6における所定の単位回転量の回転操作が第1設定回転量を超えて連続して行われた場合に、第1設定回転量を超えた回転量に応じて、流量調整手段Pから送り出される流体の流量値を変更するように制御する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量調整手段から送り出される流体の流量値を回転操作入力部の回転操作により制御する流体流量制御装置であって、
前記回転操作入力部における所定の単位回転量の回転操作が予め設定された第1設定回転量まで連続して行われた場合に前記流量調整手段から送り出される流体の流量値を変更せずに、前記回転操作入力部における所定の単位回転量の回転操作が前記第1設定回転量を超えて連続して行われた場合に、前記第1設定回転量を超えた回転量に応じて、前記流量調整手段から送り出される流体の流量値を変更するように制御する流体流量制御装置。
【請求項2】
前記回転操作入力部の回転操作の回転方向に応じて前記流量調整手段から送り出される液体の流量値の変更を制御する請求項1に記載の流体流量制御装置。
【請求項3】
前記回転操作入力部における回転操作終了後から次の回転操作が所定時間無い場合に、前記回転操作入力部の回転操作の終了を判定する請求項1又は2に記載の流体流量制御装置。
【請求項4】
前記回転操作入力部における所定の単位回転量の回転操作を予め設定された時間内に前記第1設定回転量よりも大きい第2設定回転量以上連続して、前記流量調整手段から送り出される流体の流量値を小さくする回転方向に前記回転操作入力部が回転された場合に、前記流量調整手段から送り出される流体の流量値を所定の流量値まで小さくするように制御する請求項1~3のいずれかに記載の流体流量制御装置。
【請求項5】
前記回転操作入力部における所定の単位回転量の回転操作を予め設定された時間内に前記第1設定回転量よりも大きい第3設定回転量以上連続して、前記流量調整手段から送り出される流体の流量値を大きくする回転方向に前記回転操作入力部が回転された場合に、前記流量調整手段から送り出される流体の流量値を所定の流量値まで大きくするように制御する請求項1~4のいずれかに記載の流体流量制御装置。
【請求項6】
流量調整手段と、
機械的に回転可能に構成され、前記流量調整手段から送り出される流体の流量値を変更させる操作を回転操作可能な前記回転操作入力部と、
前記回転操作入力部の回転操作により前記流量調整手段から送り出される流体の流量値を制御する、請求項1~5のいずれかに記載の流体流量制御装置と、を備える体外循環装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体流量制御装置及び体外循環装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液回路と、血液回路に設けられる血液ポンプ(流量調整手段)と、血液ポンプから送り出される血液(流体)の流量値を調整可能なダイヤル式の回転操作入力部と、を備える体外循環装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の体外循環装置は、所定時間を超えて回転操作入力部による回転操作が連続して行われた場合に、血液ポンプから送り出される血液の流量値を変更可能である。これにより、所定時間内に回転操作入力部にユーザの手が接触して回転操作入力部が回転されても、血液ポンプから送り出される血液の流量値が変更されないため、回転操作入力部の誤操作を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の体外循環装置においては、緊急時に、血液ポンプから送り出される血液の流量値を短時間で減少させたい場合に、回転操作入力部を速く回転操作しても、所定時間内においては血液の流量値を変更できないため、血液の流量値を短時間で減少させることができなかった。よって、回転操作入力部の誤操作を防止しつつ、緊急時において血液ポンプから送り出される血液の流量値を短時間で変更可能であることが望まれる。
【0005】
本発明は、回転操作入力部の誤操作を防止しつつ、緊急時において流体の流量値を短時間で変更可能な流体流量制御装置及び体外循環装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、流量調整手段から送り出される流体の流量値を回転操作入力部の回転操作により制御する流体流量制御装置であって、前記回転操作入力部における所定の単位回転量の回転操作が予め設定された第1設定回転量まで連続して行われた場合に前記流量調整手段から送り出される流体の流量値を変更せずに、前記回転操作入力部における所定の単位回転量の回転操作が前記第1設定回転量を超えて連続して行われた場合に、前記第1設定回転量を超えた回転量に応じて、前記流量調整手段から送り出される流体の流量値を変更するように制御する流体流量制御装置に関する。
【0007】
また、前記回転操作入力部の回転操作の回転方向に応じて前記流量調整手段から送り出される液体の流量値の変更を制御することが好ましい。
【0008】
また、前記回転操作入力部における回転操作終了後から次の回転操作が所定時間無い場合に、前記回転操作入力部の回転操作の終了を判定することが好ましい。
【0009】
また、前記回転操作入力部における所定の単位回転量の回転操作を予め設定された時間内に前記第1設定回転量よりも大きい第2設定回転量以上連続して、前記流量調整手段から送り出される流体の流量値を小さくする回転方向に前記回転操作入力部が回転された場合に、前記流量調整手段から送り出される流体の流量値を所定の流量値まで小さくするように制御することが好ましい。
【0010】
また、前記回転操作入力部における所定の単位回転量の回転操作を予め設定された時間内に前記第1設定回転量よりも大きい第3設定回転量以上連続して、前記流量調整手段から送り出される流体の流量値を大きくする回転方向に前記回転操作入力部が回転された場合に、前記流量調整手段から送り出される流体の流量値を所定の流量値まで大きくするように制御することが好ましい。
【0011】
また、本発明は、流量調整手段と、機械的に回転可能に構成され、前記流量調整手段から送り出される流体の流量値を変更させる操作を回転操作可能な前記回転操作入力部と、前記回転操作入力部の回転操作により前記流量調整手段から送り出される流体の流量値を制御する前記流体流量制御装置と、を備える体外循環装置に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回転操作入力部の誤操作を防止しつつ、緊急時において流体の流量値を短時間で変更可能な流体流量制御装置及び体外循環装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る血液浄化装置を示す図である。
【
図2】血液浄化装置のコンソールを示す斜視図である。
【
図3】回転操作入力部の単位回転量を説明する図である。
【
図5】誤操作防止制御の第1誤操作防止例を示すタイミングチャートである。
【
図6】誤操作防止制御の第2誤操作防止例を示すタイミングチャートである。
【
図7】緊急時の血流量変更制御を示すタイミングチャートである。
【
図8】緊急時の血流量変更制御を示すタイミングチャートである。
【
図9】流体の流量値を大きく変更制御するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の血流量制御装置を含む体外循環装置の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。本発明では体外循環装置の一例として、透析療法を実施可能な血液浄化装置1について説明する。本実施形態で説明する血液浄化装置1は、装置の構成部材の洗浄を行うプライミング工程、患者から血液を脱血する脱血工程、血液中の余分な水分を除去する透析工程、患者に血液を返す返血工程等の各工程を、血液回路内の透析液の流れを制御することで連続して自動的に行う自動血液浄化装置である。
【0015】
図1に示すように、血液浄化装置1は、ダイアライザやヘモダイアフィルタ等の血液透析器2と、動脈側血液ラインL1と、静脈側血液ラインL2と、透析液導入ラインL3と、透析液導出ラインL4と、コンソール3と、透析液排液ラインL5と、を備える。コンソール3には、操作表示部4、動脈側血液ラインL1の一部、血液ポンプP及び血流量制御装置10が配置されている。動脈側血液ラインL1及び静脈側血液ラインL2は、血液回路を構成する。動脈側血液ラインL1、静脈側血液ラインL2、透析液導入ラインL3、透析液導出ラインL4及び透析液排液ラインL5は、いずれも液体が流通可能な可撓性を有するチューブを主体として構成される。
【0016】
血液透析器2は、動脈側血液ラインL1及び静脈側血液ラインL2と接続される。血液透析器2には、動脈側血液ラインL1に設けられた血液ポンプPによって患者Hの血液が導入される。血液ポンプPは、コンソール3に配置される。血液ポンプPには、血液回路が装着される。
【0017】
血液ポンプPとしては、周知の遠心ポンプやローラーポンプが用いられる。実施形態では、血液ポンプPとして、例えばローラーポンプが用いられ、血液ポンプPは、動脈側血液ラインL1を構成するチューブをローラーポンプでしごくことにより、動脈側血液ラインL1の内部の血液を送り出す。血液透析器2が透析液導入ラインL3及び透析液導出ラインL4と接続されることで、血液透析器2には、透析液が導入される。
【0018】
これにより、血液透析器2の内部では、透析膜を隔てて血液と透析液との間で溶質や水分の移動が生じて、透析が行われる。透析液導出ラインL4には、血液から移動した水分や溶質を含む透析排液が流れており、この透析排液は、コンソール3に導入され、透析液排液ラインL5を介して血液浄化装置1の外部に排出される。
【0019】
コンソール3は、血液の流れや透析液の流れを制御する。コンソール3は、
図1に示すように、操作表示部4と、血液ポンプPと、血流量制御装置10と、を備える。操作表示部4は、
図2に示すように、タッチパネル5と、回転操作入力部6と、を備える。
【0020】
タッチパネル5は、透析治療の状態を示す各種情報を表示する表示部の機能と、タッチ式の入力部の機能と、を兼ね備える。回転操作入力部6は、タッチパネル5の下方に配置される。
【0021】
回転操作入力部6は、機械的に回転可能に構成され、ユーザ(血液浄化装置1の操作を行う医療関係者)がつまんで回転操作可能なダイヤル式の物理的なつまみ部により構成される。回転操作入力部6は、ユーザによりダイヤル式のつまみ部が回転されることで、血液ポンプPから送り出される血液の流量値の設定や変更を行うことが可能である。本実施形態では、回転操作入力部6は、例えば、タッチパネル5の下方に配置され、ユーザがタッチパネル5に表示された血液の流量値を目視しながら回転操作入力部6のつまみ部を回転させることで、血液ポンプPから送り出される血液の流量値を入力して調整できる。
【0022】
回転操作入力部6には、回転の変位をパルス信号として出力可能なロータリーエンコーダーが設けられている。本実施形態においては、回転操作入力部6は、
図3に示すように、所定の単位回転量が1ノッチとされ、右回転(時計回り)又は左回転(反時計回り)に回転操作される。回転操作入力部6は、各回転方向において、単位回転量の回転毎に、パルス信号が血流量制御装置10に出力される。回転操作入力部6において単位回転量に対応する血液ポンプPから送り出す血液の流量変更単位は、予め実験等により求められ、設定されている。
【0023】
本実施形態においては、例えば、
図3に示すように、各回転方向において、回転操作入力部6は、22.5°の回転量を単位回転量(1ノッチ)として、単位回転量で複数回数回転されることで、回転操作される。回転操作入力部6は、例えば、1ノッチ回転されて、22.5°回転され、1ノッチ(単位回転量)が4回回転されることで4ノッチ回転されて、90°回転される。回転操作入力部6のロータリーエンコーダーからは、パルス信号が、単位回転量の回転操作毎に出力される。回転操作入力部6には、回転された場合に、単位回転量(1ノッチ)毎に引っ掛かりを設けている。なお、本実施形態においては、回転操作入力部6の単位回転量を22.5°に設定したが、これに限定されず、単位回転量は、任意に設定できる。
【0024】
血流量制御装置10(流体流量制御装置)は、血液ポンプP(流量調整手段)から送り出される血液(流体)の流量値を回転操作入力部6の回転操作により制御する。血流量制御装置10は、回転操作入力部6の誤操作を防止するように制御する。血流量制御装置10は、
図4に示すように、回転量算出判定部11と、回転開始終了判定部12と、流量変更処理部13と、流量値記憶部14と、を有する。流量値記憶部14は、血液ポンプPが送り出す血液の流量値を記憶する。
【0025】
回転量算出判定部11には、回転操作された回転操作入力部6から単位回転量毎に出力されたパルス信号が入力される。回転量算出判定部11は、回転操作入力部6において回転操作された回転操作入力部6の回転方向を判定すると共に、回転操作入力部6において回転操作された単位回転量の回数(回転量)を算出する。
【0026】
回転量算出判定部11は、回転操作入力部6において所定の単位回転量の回転操作が予め設定された設定回数(第1設定回転量)まで連続して行われたか否かを判定する。回転操作入力部6の回転の開始及び終了の判定や、回転操作入力部6の回転操作が連続して行われている否かの判定は、回転開始終了判定部12により行われる。
【0027】
回転開始終了判定部12は、回転操作入力部6の回転の開始及び終了を判定すると共に、回転操作入力部6の回転操作が連続して行われているか否かを判定する。より具体的には、回転開始終了判定部12は、回転操作入力部6から出力されたパルス信号が入力された場合に、回転操作入力部6の回転の開始を判定する。
【0028】
回転開始終了判定部12は、回転操作入力部6における回転操作終了後から次の回転操作が所定時間無い場合に、回転操作入力部6の回転操作の終了を判定する。より具体的には、回転開始終了判定部12は、回転操作入力部6から出力された最後のパルス信号から、パルス信号の出力が所定時間無い場合に、回転操作入力部6の回転の終了を判定する。回転操作入力部6による回転操作は、所定時間よりも短い間隔で回転操作がされた場合に連続した回転操作とされ、所定時間以上の間隔で回転操作がされた場合に連続した回転操作とされない。これにより、回転開始終了判定部12は、回転操作入力部6から出力された最後のパルス信号から、パルス信号の出力が所定時間無い場合に、回転操作入力部6の回転の終了を判定できる。回転操作入力部6の回転操作が連続して行われているか否かが判定される閾値である所定時間は、例えば、1~3秒に設定される。
【0029】
回転量算出判定部11は、回転操作入力部6における所定の単位回転量の回転操作が予め設定された設定回数(第1設定回転量)まで連続して行われた場合に、血液ポンプPから送り出される血液の流量値を変更せずに、回転操作入力部6における所定の単位回転量の回転操作が予め設定された設定回数を超えて連続して行われた場合に、予め設定された設定回数を超えた回数(回転量)に応じて、血液ポンプPから送り出される血液の流量値を変更するように、流量変更処理部13に指示する。また、回転量算出判定部11は、回転操作入力部6の回転操作の回転方向に応じて血液ポンプPから送り出される血液の流量値の変更を制御する。
【0030】
流量変更処理部13は、回転量算出判定部11の判定結果に従って、血液ポンプPの回転速度を調整して、血液ポンプPから送り出される血液の流量値を変更する。
【0031】
より具体的には、例えば、回転操作入力部6における単位回転量の予め設定された設定回数が「3回」(3ノッチ)と設定されている場合に、単位回転量の回転操作が3回(3ノッチ)まで連続して行われた場合には血液の流量値は変更されずに、単位回転量の回転操作が4回(4ノッチ)以上連続して行われた場合に、血液ポンプPから送り出される血液の流量値が変更される。これにより、回転操作入力部6にユーザの手が接触して回転されても、単位回転量の回転操作が3回(3ノッチ)(設定回数)までは血液の流量値が変更されないため、回転操作入力部6の誤操作を防止できる。なお、「予め設定された設定回数」は3回に限定されず、任意の回数に設定できる。
【0032】
流量変更処理部13は、変更された血液の流量値となるように、血液ポンプPの回転速度を調整する。流量変更処理部13は、変更された血液ポンプPから送り出される血液の血流量値をタッチパネル5に送信する。タッチパネル5には、流量変更処理部13により変更された血液ポンプPから送り出される血液の血流量値が表示される。流量変更処理部13は、血液ポンプPから送り出される血液の流量値の変更の終了時に、変更された血液ポンプPから送り出される血液の流量値を流量値記憶部14に送信する。流量値記憶部14には、変更された血液ポンプPから送り出される血液の流量値が記憶される。
【0033】
次に、血流量制御装置10の制御動作について説明する。血流量制御装置10は、血液ポンプPから送り出される血液の流量値を変更できる。また、血流量制御装置10は、回転操作入力部6の誤操作を防止する制御を実行できると共に、緊急時において短時間で血液ポンプPから送り出される血液の流量値を変更することができる。
【0034】
血液ポンプPから送り出される血液の流量値を変更するために、ユーザが回転操作入力部6を回転操作した場合において、血流量制御装置10では、回転開始終了判定部12が回転操作入力部6の回転の開始を判定し、回転量算出判定部11により回転操作入力部6の単位回転量の回数を算出し、回転操作入力部6の回転の終了が判定されるまで制御動作を実行する。
【0035】
ここで、血流量制御装置10においては、回転操作入力部6の誤操作を防止する誤動作防止制御が実行される。血流量制御装置10は、回転操作入力部6における単位回転量の回数操作が、予め設定した単位回転量の設定回数(第1設定回転量)を超えて連続して行われた場合に、流量変更処理部13が流量値記憶部14から読み出した現在の流量値を変更し、タッチパネル5に表示する。血流量制御装置10は、回転操作入力部6における所定の単位回転量の回転操作が予め設定された設定回数まで連続して行われた場合に、血液ポンプPから送り出される血液の流量値を変更しない。
血流量制御装置10の誤動作防止制御の具体例として、例えば、以下の第1誤操作防止例及び第2誤操作防止例がある。
【0036】
第1誤操作防止例について説明する。第1誤操作防止例では、例えば、
図5に示すように、血液の流量値が100mL/minで、単位回転量回転させた場合の流量変更単位が5mL/minであり、例えば、回転操作入力部6による単位回転量の回転操作の予め設定された設定回数(第1設定回転量)が「3回(3ノッチ)」である。
【0037】
この場合に、回転操作入力部6の流量値が大きくなる回転方向(例えば右回転(時計回り))に、単位回転量の3回(3ノッチ)までの連続した入力操作が行われた場合には、血液の流量値は100mL/minから変更されない。
【0038】
一方、回転操作入力部6の流量値が大きくなる回転方向(例えば右回転(時計回り))に、単位回転量の4回(4ノッチ)の連続した入力操作が行われた場合には、血液の流量値が100mL/minから105mL/minに変更され、単位回転量の5回(5ノッチ)目の入力操作が続けて行われた場合に、105mL/minから110mL/minに変更される。
【0039】
このように、回転操作入力部6に単位回転量の4回(4ノッチ)以上の連続した入力操作が行われた場合に、血液の流量値の変更をすることができる。一方、単位回転量の回転操作が3回(3ノッチ)までは血液の流量値は変更されない。そのため、回転操作入力部6にユーザの手が接触して回転されても、単位回転量の回転操作が3回(3ノッチ)(設定回数)までは血液の流量値が変更されないため、回転操作入力部6の誤操作を防止できる。
【0040】
第2誤操作防止例について説明する。第2誤操作防止例では、例えば、
図6に示すように、血液の流量値が100mL/minで、単位回転量回転させた場合の流量変更単位が10mL/minであり、例えば、回転操作入力部6による単位回転量の回転操作の予め設定された設定回数(第1設定回転量)が「2回(2ノッチ)」である。
【0041】
この場合に、回転操作入力部6の流量値が大きくなる回転方向(例えば右回転(時計回り))に、単位回転量の2回(2ノッチ)までの連続した入力操作が行われた場合には、血液の流量値は100mL/minから変更されない。
【0042】
一方、回転操作入力部6の流量値が大きくなる回転方向(例えば右回転(時計回り))に回転操作する。単位回転量の3回(3ノッチ)の連続した入力操作が行われた場合には、血液の流量値が100mL/minから110mLに変更され、単位回転量の4回(4ノッチ)目の入力操作が続けて行われた場合に、110mLから120mL/minに変更される。
【0043】
その後、回転操作入力部6の回転方向を回転操作入力部6の流量値が小さくなる回転操作(例えば左回転(反時計回り))に変更されて、単位回転量の5回(5ノッチ)目の入力操作が続けて行われたときに、回転方向が変更されることで、血液の流量値が120mL/minから110mL/minに変更され、単位回転量の6回(6ノッチ)目の連続した入力操作では、110mL/minから100mL/minに変更され、単位回転量の7回(7ノッチ)目の連続した入力操作では、100mL/minから90mL/minに変更される。
【0044】
このように、回転操作入力部6に3回(3ノッチ)以上の連続した入力操作が行われた場合に、血液の流量値の変更をすることができる。一方、単位回転量の回転操作が2回(2ノッチ)までは血液の流量値は変更されない。そのため、回転操作入力部6にユーザの手が接触して回転されても、単位回転量の回転操作が2回(2ノッチ)(設定回数)までは血液の流量値が変更されないため、回転操作入力部6の誤操作を防止できる。
【0045】
次に、血流量制御装置10の緊急時の血液の流量値を変更する血流量変更制御について説明する。
緊急時に、例えば、血液ポンプPから送り出される血液の流量値を300mL/minから短時間で0mL/minに変更したい場合がある。例えば停止スイッチを押下して血液ポンプPから送り出される血液の流量値を0mL/minに変更する手段もある。しかし、緊急時は冷静な判断が困難な場合もあり、停止スイッチの操作ではなく、回転操作入力部6を一気に回転させて血液の流量値を0mL/minにする操作を実行するユーザも想定される。また、0mL/minにすると透析療法がストップするため、0mL/minではなく、緊急時であっても10~100mL/min程度の血液の流量値にするユーザも想定される。
【0046】
従来、所定時間を超えて回転操作入力部による回転操作が連続して行われた場合に、血液ポンプから送り出される血液の流量値を変更可能な体外循環装置がある(先行技術文献の特許文献1参照)。この体外循環装置においては、所定時間内においては回転操作入力部による回転操作を行っても、血液ポンプから送り出される血液の流量値が変更されないため、回転操作入力部の誤操作を防止できる。しかし、このような体外循環装置においては、所定時間内には血液の流量値を変更できないため、緊急時に、血液の流量値を短時間で減少させることができなかった。
【0047】
これに対して、本発明は、回転操作入力部6における所定の単位回転量の回転操作が予め設定された設定回数を超えて連続して行われた場合に、血液ポンプPの流量を変更できる。本発明の血流量制御装置10は、回転操作入力部6における所定の単位回転量の回転操作を予め設定された設定回数(第1設定回転量)を超えて連続して、血液ポンプPから送り出される血液の流量値を小さくする回転方向に回転操作入力部6が回転された場合に、血液ポンプPから送り出される血液の流量値を所定の流量値まで小さくするように制御する。そのため、緊急時に、短時間で回転操作入力部6を回転させた場合に、ユーザの意図した通りに、血液ポンプPから送り出される血液の流量値を変更できる。
【0048】
より具体的には、例えば、
図7に示すように、血液の流量値が300mL/minで、単位回転量回転させた場合の流量変更単位が5mL/minであり、例えば、回転操作入力部6による単位回転量の回転操作の予め設定された設定回数(第1設定回転量)が「5回」である場合について説明する。この場合に、緊急時に、血液の流量値が小さくなる回転方向(例えば左回転(反時計回り))に、ユーザにより回転操作入力部6を速く回転させる回転操作が行われる。
【0049】
この場合に、回転操作入力部6の流量値が小さくなる回転方向(例えば左回転(反時計回り))に、単位回転量の6回(6ノッチ)の連続した入力操作が行われた場合には、血液の流量値が300mL/minから295mL/minに変更され、単位回転量の7回(7ノッチ)目の入力操作が続けて行われた場合に、290mL/minに変更され、更に入力操作が連続して行われることで、血液の流量値が連続して5mL/minずつ減少され、結果的に、単位回転量の65回(65ノッチ)以上の回転操作が行われて、血液の流量値が0mL/minに変更される。
【0050】
このように、回転操作入力部6の回転操作を速く行うことで、血液ポンプPから送り出される血液の流量値を、短時間(例えば0.5秒以内)で、0mL/minに変更できる。よって、緊急時に、血液ポンプPから送り出される血液の流量値を短時間で変更して減少させることができる。
【0051】
また、本実施形態において、300mL/minから0mL/minまでの血液の流量値の変更では無い例について説明する。透析中の緊急時に回転操作入力部6を一気に回転させるユーザが、1回だけの瞬間的な回転操作入力部6の回転操作により、300mL/minから例えば100mL/minまで血液の流量値の変更を短時間(例えば0.1秒以内)で行うことができれば、低速な血液の流量値となるため、安全であり、0mL/minでない場合においても透析療法をストップすることがなく有効である。より具体的に説明すると、
図8のように、血流量制御装置10は、回転操作入力部6における所定の単位回転量の回転操作を予め設定された時間内(例えば0.1秒以内)に第1設定回転量よりも大きい第2設定回転量(例えば10回(10ノッチ))以上連続して、血液ポンプPから送り出される血液の流量値を小さくする回転方向に回転操作入力部6が回転された場合に、血液ポンプPから送り出される血液の流量値を所定の流量値(例えば100mL/min)まで小さくし、それ以降の連続した入力は一時的に無視するように制御する。これにより、1回だけの瞬間的な回転操作入力部6の回転操作により、300mL/minから100mL/minまで血液の流量値の変更を、更に短時間(この例の場合は0.1秒間)で行うことができる。
【0052】
上記実施形態に係る血流量制御装置10によれば、以下の効果が奏される。
上記実施形態では、血流量制御装置10を、血液ポンプPから送り出される血液の流量値を回転操作入力部6の回転操作により制御するように構成し、回転操作入力部6における所定の単位回転量の回転操作が予め設定された設定回数(第1設定回転量)まで連続して行われた場合に血液ポンプPから送り出される血液の流量値を変更せずに、回転操作入力部6における所定の単位回転量の回転操作が予め設定された設定回数を超えて連続して行われた場合に、予め設定された設定回数を超えた回数(回転量)に応じて、血液ポンプPから送り出される血液の流量値を変更するように制御するように構成した。これにより、血液ポンプPから送り出される血液の流量値を回転操作入力部6の回転操作により制御する場合に、回転操作入力部6の誤操作を防止できると共に、緊急時において血液の流量値の変更を短時間で行うことができる。
【0053】
また、本実施形態においては、回転操作入力部6の回転操作の回転方向に応じて血液ポンプPから送り出される血液の流量値が変更可能である。これにより、回転操作入力部6の回転方向がいずれの回転方向においても、回転操作入力部6の誤操作を防止できると共に、緊急時において血液ポンプPから送り出される血液の流量値の変更を短時間で行うことができる。
【0054】
また、本実施形態においては、回転開始終了判定部12は、回転操作入力部6における所定の単位回転量の回転操作の終了後から次の回転操作が所定時間無い場合に、回転操作入力部6の回転操作の終了を判定する。これにより、回転操作入力部6の回転操作が連続して行われているかを容易に判定できる。
【0055】
また、本実施形態においては、血流量制御装置10は、回転操作入力部6における所定の単位回転量の回転操作を予め設定された設定回数を超えて連続して、血液ポンプPから送り出される血液の流量値を小さくする回転方向に回転操作入力部6が回転された場合に、血液ポンプPから送り出される血液の流量値を所定の流量値まで小さくするように制御する。これにより、緊急時において血液ポンプPから送り出される血液の流量値を小さくする変更を短時間で行うことができる。
【0056】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【0057】
例えば、前記実施形態において、回転操作入力部6の回転操作が予め設定された設定回数(第1設定回転量)を超えて連続して行われた場合に音を鳴らすことも可能である。これによって、音を鳴らして血流量が変化し始めたことを操作者に分かりやすくすることができる。また、別途、回転操作入力部6の回転操作が予め設定された設定回数を超えて連続して行われた場合に、血流量の数値や数値の周辺部の色を一時的に(例えば、0.1~1.0秒、あるいは、回転操作が所定時間無くなったと判定されるまで)変更することで操作者に血流量の変化を更に分かりやすくすることができる。
【0058】
また、前記実施形態において、血液の流量値を制御する場合について説明したが、これに限定されず、プライミング時や補液、補充液の供給時において、生理食塩液や透析液の流量値を制御する場合に適用してもよく、
図9のように、流体流量制御装置は、回転操作入力部6における所定の単位回転量の回転操作を予め設定された時間内(例えば0.1秒以内)に第1設定回転量よりも大きい第3設定回転量(例えば10回(10ノッチ))以上連続して、流量調整手段から送り出される流体の流量値を大きくする回転方向に回転操作入力部6が回転された場合に、流量調整手段から送り出される流体の流量値を所定の流量値(例えば250mL/min)まで大きくするように制御してもよい。この場合、1回だけの瞬間的な回転操作入力部6の回転操作により、0mL/minから250mL/minまでの流体の流量値の変更を、短時間(この例の場合は0.1秒間)で行うことができる。なお、この生理食塩液や透析液の流量値を短時間で大きくする制御を、血液の流量値の制御に適用してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 血液浄化装置(体外循環装置)
6 回転操作入力部
10 血流量制御装置(流体流量制御装置)
P 血液ポンプ(流量調整手段)