(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191793
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】距離画像撮像装置及び距離画像撮像方法
(51)【国際特許分類】
G01S 7/4861 20200101AFI20221221BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
G01S7/4861
G01C3/06 120Q
G01C3/06 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100240
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】山本 和人
【テーマコード(参考)】
2F112
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112BA06
2F112BA07
2F112CA12
2F112DA04
2F112DA21
2F112DA25
2F112DA28
2F112EA03
2F112FA07
2F112FA12
2F112FA27
2F112GA01
5J084AA05
5J084AD02
5J084BA04
5J084BA07
5J084BA40
5J084CA55
(57)【要約】
【課題】電荷蓄積部の容量を増加させず、撮像画像の解像度及び入射光に対する感度を維持し、入射光の強度の増加による飽和を抑制する距離画像撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明は、測定対象の空間の測定空間から入射する入射光に応じた電荷を発生する光電変換素子と、フレーム周期で電荷を蓄積するN個(N≧3)の電荷蓄積部と、光電変換素子から電荷蓄積部に電荷を転送する転送トランジスタとを備える複数の画素回路と、光パルスの照射に同期した蓄積周期で、電荷蓄積部に転送トランジスタのオンオフ処理を行い、電荷を振分けて蓄積させる画素駆動回路とを有する受光部と、光電変換素子が発生する電荷を、電荷蓄積サイクルのいずれかの転送周期において、前記電荷蓄積部の組み合わせの各々に分割して振り分けて蓄積させる測定制御部と、電荷蓄積部に蓄積された電荷量により、測定空間の被写体までの距離を測定距離として求める距離演算部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の空間である測定空間から入射する光である入射光に応じた電荷を発生する光電変換素子と、フレーム周期において前記電荷を蓄積するN個(N≧3)の電荷蓄積部と、前記光電変換素子から前記電荷蓄積部のそれぞれに前記電荷を転送する転送トランジスタとを備える複数の画素回路と、
光パルスの照射に対応した所定の蓄積周期で、前記電荷蓄積部の各々に前記転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行い前記電荷を振分けて蓄積させる画素駆動回路と
を有する受光部と
前記画素駆動回路に対し、前記フレーム周期における第1フレーム周期において、前記光パルスの照射に同期した第1蓄積周期で、前記転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行わせ、前記フレーム周期における他のフレーム周期において、所定の時間ずらした他の蓄積周期で、前記転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行わせて前記電荷蓄積部に前記電荷を振り分けさせる測定制御部と、
前記電荷蓄積部のそれぞれに蓄積された電荷量に基づいて、前記測定空間に存在する被写体までの距離を、前記第1フレーム周期及び前記他のフレーム周期の各々において、それぞれ第1測定距離、他の測定距離として求め、前記電荷蓄積部に蓄積される電荷量に応じて、前記第1測定距離及び他の測定距離のいずれを画素回路のそれぞれにおける距離画像撮像装置と被写体との距離とするかを判定する距離演算部と
を備える
ことを特徴とする距離画像撮像装置。
【請求項2】
前記測定制御部が、
前記第1蓄積周期に対して前記他の蓄積周期である第2蓄積周期を、所定の時間遅延させる場合、
前記距離演算部が、
前記第1フレーム周期において、前記光電変換素子から前記第1蓄積周期によって、被写体からの前記光パルスの反射光による電荷が、前記光電変換素子から順次振分けられる前記電荷蓄積部である第1電荷蓄積部と第2電荷蓄積部との各々に蓄積される電荷量の比が、予め設定された第1閾値以上の場合、前記他の測定距離である第2測定距離を前記距離とする
ことを特徴とする請求項1に記載の距離画像撮像装置。
【請求項3】
前記測定制御部が、
前記画素駆動回路による前記他のフレーム周期である第2フレーム周期における光電変換素子からの振分け回数を、前記第1フレーム周期の振分け回数より多くさせている
ことを特徴とする請求項2に記載の距離画像撮像装置。
【請求項4】
前記測定制御部が、
前記第1蓄積周期に対して前記他の蓄積周期である第3蓄積周期を、所定の時間早める場合、
前記距離演算部が、
前記第1フレーム周期において、前記光電変換素子から前記第1蓄積周期によって、被写体からの前記光パルスの反射光による電荷が、前記光電変換素子から順次振分けられる前記電荷蓄積部である第1電荷蓄積部と第2電荷蓄積部との各々に蓄積される電荷量の比が、予め設定された第2閾値以下の場合、前記他の測定距離である第3測定距離を前記距離とする
ことを特徴とする請求項1に記載の距離画像撮像装置。
【請求項5】
前記測定制御部が、
前記画素駆動回路による前記他のフレーム周期である第3フレーム周期における光電変換素子からの振分け回数が、前記第1フレーム周期の振分け回数より少くさせている
ことを特徴とする請求項4に記載の距離画像撮像装置。
【請求項6】
前記測定制御部が、
前記他のフレーム周期として、前記第1フレーム周期の前記第1蓄積周期に対して所定の時間遅延させた第2蓄積周期の第2フレーム周期と、前記第1フレーム周期の前記第1蓄積周期に対して所定の時間早めた第3蓄積周期の第3フレーム周期とを設け、前記第1フレーム周期、前記第2フレーム周期及び前記第3フレーム周期の各々において、前記画素駆動回路により前記電荷蓄積部の各々に電荷を振分けさせ、
前記距離演算部が、
前記電荷蓄積部のそれぞれに蓄積された電荷量に基づいて、前記測定空間に存在する被写体までの距離を、前記第1フレーム周期、前記第2フレーム周期及び前記第3フレーム周期の各々において、それぞれ第1測定距離、第2測定距離、第3測定距離として求め、前記電荷蓄積部に蓄積される電荷量に応じて、それぞれの画素回路における距離を、前記第1測定距離、前記第2測定距離、前記第3測定距離のいずれとするかを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の距離画像撮像装置。
【請求項7】
前記距離演算部が、
前記第1フレーム周期において、前記光電変換素子から前記第1蓄積周期によって、被写体からの前記光パルスの反射光による電荷が、前記光電変換素子から順次振分けられる前記電荷蓄積部である第1電荷蓄積部と第2電荷蓄積部との各々に蓄積される電荷量の比が、予め設定された第1閾値以上の場合、前記第3測定距離を前記距離とし、予め設定された第2閾値以下の場合、前記第2測定距離を前記距離とする
ことを特徴とする請求項6に記載の距離画像撮像装置。
【請求項8】
前記測定制御部が、
前記第1フレーム周期において、前記光パルスの照射に同期した第1蓄積周期で、前記転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行わせ、当該第1フレーム周期における判定領域の画素回路における前記電荷蓄積部に蓄積される電荷量に応じて、前記他のフレーム周期における前記他の蓄積周期を、前記第1蓄積周期に対して所定の時間遅延させるか、早めるかの判定を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の距離画像撮像装置。
【請求項9】
前記測定制御部が、
前記判定領域の画素回路における2個の前記電荷蓄積部において、前記第1フレーム周期における連続する第1蓄積周期の各々において、先の第1蓄積周期で蓄積される第1電荷蓄積部の電荷量、後の第1蓄積周期で蓄積される第2電荷蓄積部の電荷量との比が、予め設定された第1閾値以上の場合、前記他の蓄積周期を前記第1蓄積周期に対して遅延させ、予め設定された第2閾値以下の場合、前記他の蓄積周期を前記第1蓄積周期に対して早める
ことを特徴とする請求項8に記載の距離画像撮像装置。
【請求項10】
光電変換素子と複数の電荷蓄積部と転送トランジスタとからなる複数の画素回路の各々と、画素駆動回路と、距離演算部と、測定制御部とを備える距離画像撮像装置を制御する距離画像撮像方法であり、
前記画素駆動回路が、光パルスの照射に同期した所定の蓄積周期で、測定空間から入射光に応じて前記光電変換素子が発生した電荷を、フレーム周期においてN個(N≧3)の電荷蓄積部の各々に、前記光電変換素子から前記電荷蓄積部に前記電荷を転送させる前記転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行って振分けて蓄積させる過程と、
前記測定制御部が、測定制御部前記画素駆動回路に対し、前記フレーム周期における第1フレーム周期において、前記光パルスの照射に同期した第1蓄積周期で、前記転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行わせ、前記フレーム周期における他のフレーム周期において、所定の時間ずらした他の蓄積周期で、前記転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行わせて前記電荷を前記電荷蓄積部に振り分けさせる過程と、
前記距離演算部が、距離演算部前記電荷蓄積部のそれぞれに蓄積された電荷量に基づいて、前記測定空間に存在する被写体までの距離を、前記第1フレーム周期及び前記他のフレーム周期の各々において、それぞれ第1測定距離、他の測定距離として求め、前記電荷蓄積部に蓄積される電荷量に応じて、それぞれの画素回路における距離を、前記第1測定距離及び前記他の測定距離のいずれとするかを判定する過程と
を含む
ことを特徴とする距離画像撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離画像撮像装置及び距離画像撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光の速度が既知であることを利用し、光の飛行時間に基づいて被写体との距離を測定するタイム・オブ・フライト(Time of Fright、以下「TOF」と記す)方式の距離画像撮像装置がある(例えば、特許文献1参照)。
TOF方式距離画像撮像装置は、光を照射する光源部と、距離を測定するための光を検出する画素回路が二次元の行列状(アレイ状)に複数配置された画素アレイを含む撮像部を備えている。上記画素回路の各々は、光の強度に対応する電荷を発生する光電変換素子(例えば、フォトダイオード)を構成要素として有している。
この構成により、TOF方式距離画像撮像装置は、測定空間(三次元空間)において、自身と被写体との間の距離の情報や、被写体の画像を取得(撮像)することができる。
【0003】
TOF方式距離画像撮像装置は、放射光を放射したタイミングから、被写体により反射した反射光を受光したタイミングまでの遅延時間により距離の計測を行う。
ここで、光パルスを用いた間接TOF方式においては、被写体からの反射光により光電変換素子に生じた電荷を、2つの電荷蓄積部の各々に振分ける。
そして、TOF方式距離画像撮像装置は、電荷蓄積部のそれぞれに蓄積される電荷量の比により、被写体までの距離を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一方の電荷蓄積部に蓄積される電荷量が他方の電荷蓄積部に比較して少ない場合、蓄積された電荷量の小さい電荷蓄積部のノイズが、算出した距離における誤差に対して支配的となる。
すなわち、電荷蓄積部から電荷が読み出される際にランダムに発生するノイズは、読みだされる電荷量の平方根に比例して増加する。
このため、電荷量が少ないほど、電荷蓄積部から読み出される電圧信号に対するノイズの割合が増加して、電圧信号のS(signal) /N (noise) 比が低下し、この電圧信号により算出する距離の精度が低下する。
【0006】
3個以上の複数の電荷蓄積部において、電荷が振分けられる2個の電荷蓄積部の各々において、蓄積された電荷量が1:1の比率の場合が最もS/N比が高くなる。
そして、上述した電荷量の比率が1:1の距離から、被写体がより遠くなる、または近くなる場合、どちらかの電荷蓄積部に偏って振分けられて蓄積されることにより、電圧信号のS/N比が低下する。
【0007】
このため、上述した電荷量の比率が1:1の場合、電荷蓄積部の各々に蓄積される電荷により算出可能な距離範囲の中央であり、最も算出される距離の精度が高くなる。
一方、電荷量の比率が最も偏る、距離範囲が上限近傍及び下限近傍の各々の近傍の場合、S/N比が低下し、測定される距離の精度が低下する。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、複数の電荷蓄積部の各々に蓄積される電荷量が他の電荷蓄積部に比較して少ない場合においても、電荷蓄積部の各々に蓄積される電荷により算出可能な距離範囲の上限近傍及び下限近傍において求められる距離の精度を、当該距離範囲の中央近傍において求められる精度と同様とする距離画像撮像装置及び距離画像撮像方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の距離画像撮像装置は、測定対象の空間である測定空間から入射する光である入射光に応じた電荷を発生する光電変換素子と、フレーム周期において前記電荷を蓄積するN個(N≧3)の電荷蓄積部と、前記光電変換素子から前記電荷蓄積部のそれぞれに前記電荷を転送する転送トランジスタとを備える複数の画素回路と、光パルスの照射に対応した所定の蓄積周期で、前記電荷蓄積部の各々に前記転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行い前記電荷を振分けて蓄積させる画素駆動回路とを有する受光部と、前記画素駆動回路に対し、前記フレーム周期における第1フレーム周期において、前記光パルスの照射に同期した第1蓄積周期で、前記転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行わせ、前記フレーム周期における他のフレーム周期において、所定の時間ずらした他の蓄積周期で、前記転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行わせて前記電荷蓄積部に前記電荷を振り分けさせる測定制御部と、前記電荷蓄積部のそれぞれに蓄積された電荷量に基づいて、前記測定空間に存在する被写体までの距離を、前記第1フレーム周期及び前記他のフレーム周期の各々において、それぞれ第1測定距離、他の測定距離として求め、前記電荷蓄積部に蓄積される電荷量に応じて、前記第1測定距離及び他の測定距離のいずれを画素回路のそれぞれにおける距離画像撮像装置と被写体との距離とするかを判定する距離演算部とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の距離画像撮像装置は、前記測定制御部が、前記第1蓄積周期に対して前記他の蓄積周期である第2蓄積周期を、所定の時間遅延させる場合、前記距離演算部が、前記第1フレーム周期において、前記光電変換素子から前記第1蓄積周期によって、被写体からの前記光パルスの反射光による電荷が、前記光電変換素子から順次振分けられる前記電荷蓄積部である第1電荷蓄積部と第2電荷蓄積部との各々に蓄積される電荷量の比が、予め設定された第1閾値以上の場合、前記他の測定距離である第2測定距離を前記距離とすることを特徴とする。
【0011】
本発明の距離画像撮像装置は、前記測定制御部が、前記画素駆動回路による前記他のフレーム周期である第2フレーム周期における光電変換素子からの振分け回数を、前記第1フレーム周期の振分け回数より多くさせていることを特徴とする。
【0012】
本発明の距離画像撮像装置は、前記測定制御部が、前記第1蓄積周期に対して前記他の蓄積周期である第3蓄積周期を、所定の時間早める場合、前記距離演算部が、前記第1フレーム周期において、前記光電変換素子から前記第1蓄積周期によって、被写体からの前記光パルスの反射光による電荷が、前記光電変換素子から順次振分けられる前記電荷蓄積部である第1電荷蓄積部と第2電荷蓄積部との各々に蓄積される電荷量の比が、予め設定された第2閾値以下の場合、前記他の測定距離である第3測定距離を前記距離とすることを特徴とする。
【0013】
本発明の距離画像撮像装置は、前記測定制御部が、前記画素駆動回路による前記他のフレーム周期である第3フレーム周期における光電変換素子からの振分け回数を、前記第1フレーム周期の振分け回数より少くさせていることを特徴とする。
【0014】
本発明の距離画像撮像装置は、前記測定制御部が、前記他のフレーム周期として、前記第1フレーム周期の前記第1蓄積周期に対して所定の時間遅延させた第2蓄積周期の第2フレーム周期と、前記第1フレーム周期の前記第1蓄積周期に対して所定の時間早めた第3蓄積周期の第3フレーム周期とを設け、前記第1フレーム周期、前記第2フレーム周期及び前記第3フレーム周期の各々において、前記画素駆動回路により前記電荷蓄積部の各々に電荷を振分けさせ、前記距離演算部が、前記電荷蓄積部のそれぞれに蓄積された電荷量に基づいて、前記測定空間に存在する被写体までの距離を、前記第1フレーム周期、前記第2フレーム周期及び前記第3フレーム周期の各々において、それぞれ第1測定距離、第2測定距離、第3測定距離として求め、前記電荷蓄積部に蓄積される電荷量に応じて、それぞれの画素回路における距離を、前記第1測定距離、前記第2測定距離、前記第3測定距離のいずれとするかを判定することを特徴とする。
【0015】
本発明の距離画像撮像装置は、前記距離演算部が、前記第1フレーム周期において、前記光電変換素子から前記第1蓄積周期によって、被写体からの前記光パルスの反射光による電荷が、前記光電変換素子から順次振分けられる前記電荷蓄積部である第1電荷蓄積部と第2電荷蓄積部との各々に蓄積される電荷量の比が、予め設定された第1閾値以上の場合、前記第3測定距離を前記距離とし、予め設定された第2閾値以下の場合、前記第2測定距離を前記距離とすることを特徴とする。
【0016】
本発明の距離画像撮像装置は、前記測定制御部が、前記第1フレーム周期において、前記光パルスの照射に同期した第1蓄積周期で、前記転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行わせ、当該第1フレーム周期における判定領域の画素回路における前記電荷蓄積部に蓄積される電荷量に応じて、前記他のフレーム周期における前記他の蓄積周期を、前記第1蓄積周期に対して所定の時間遅延させるか、早めるかの判定を行うことを特徴とする。
【0017】
本発明の距離画像撮像装置は、前記測定制御部が、前記判定領域の画素回路における2個の前記電荷蓄積部において、前記第1フレーム周期における連続する第1蓄積周期の各々において、先の第1蓄積周期で蓄積される第1電荷蓄積部の電荷量、後の第1蓄積周期で蓄積される第2電荷蓄積部の電荷量との比が、予め設定された第1閾値以上の場合、前記他の蓄積周期を前記第1蓄積周期に対して遅延させ、予め設定された第2閾値以下の場合、前記他の蓄積周期を前記第1蓄積周期に対して早めることを特徴とする。
【0018】
本発明の距離画像撮像方法は、光電変換素子と複数の電荷蓄積部と転送トランジスタとからなる複数の画素回路の各々と、画素駆動回路と、距離演算部と、測定制御部とを備える距離画像撮像装置を制御する距離画像撮像方法であり、前記画素駆動回路が、光パルスの照射に同期した所定の蓄積周期で、測定空間から入射光に応じて前記光電変換素子が発生した電荷を、フレーム周期においてN個(N≧3)の電荷蓄積部の各々に、前記光電変換素子から前記電荷蓄積部に前記電荷を転送させる前記転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行って振分けて蓄積させる過程と、前記測定制御部が、測定制御部前記画素駆動回路に対し、前記フレーム周期における第1フレーム周期において、前記光パルスの照射に同期した第1蓄積周期で、前記転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行わせ、前記フレーム周期における他のフレーム周期において、所定の時間ずらした他の蓄積周期で、前記転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行わせて前記電荷を前記電荷蓄積部に振り分けさせる過程と、前記距離演算部が、距離演算部前記電荷蓄積部のそれぞれに蓄積された電荷量に基づいて、前記測定空間に存在する被写体までの距離を、前記第1フレーム周期及び前記他のフレーム周期の各々において、それぞれ第1測定距離、他の測定距離として求め、前記電荷蓄積部に蓄積される電荷量に応じて、それぞれの画素回路における距離を、前記第1測定距離及び前記他の測定距離のいずれとするかを判定する過程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、複数の電荷蓄積部の各々に蓄積される電荷量が他の電荷蓄積部に比較して少ない場合においても、電荷蓄積部の各々に蓄積される電荷により算出可能な距離範囲の上限近傍及び下限近傍において求められる距離の精度を、当該距離範囲の中央近傍において求められる精度と同様とする距離画像撮像装置及び距離画像撮像方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施形態の距離画像撮像装置の概略構成を示したブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態の距離画像撮像装置における距離画像センサ32に配置された画素回路321の構成の一例を示した回路図である。
【
図3】所定のフレーム周期(後述する第1フレーム周期)における光電変換素子PDで生成された電荷を電荷蓄積部CSの各々に転送するタイミングチャートを示す図である。
【
図4】第1の実施形態における第1フレーム周期及び第2フレーム周期の各々における光電変換素子PDで生成された電荷を電荷蓄積部CSの各々に転送するタイミングチャートを示す図である。
【
図5】第1の実施形態における第1フレーム周期及び第2フレーム周期における距離分解能を説明する図である。
【
図6】第1の実施形態の距離画像撮像装置1による距離画像センサ32と被写体Sとの距離の算出の処理の動作例を示すフローチャートである。
【
図7】第2の実施形態における第1フレーム周期及び第2フレーム周期の各々における光電変換素子PDで生成された電荷を電荷蓄積部CSの各々に転送するタイミングチャートを示す図である。
【
図8】第2の実施形態における第1フレーム周期及び第2フレーム周期における距離分解能を説明する図である。
【
図9】第2の実施形態の距離画像撮像装置1による距離画像センサ32と被写体Sとの距離の算出の処理の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の距離画像撮像装置の概略構成を示したブロック図である。
図1に示した構成の距離画像撮像装置1は、ToF方式の距離画像撮像装置であり、光源部2と、受光部3と、距離画像処理部4とを備える。なお、
図1には、距離画像撮像装置1において距離を測定する対象物である被写体Sも併せて示している。距離画像撮像素子は、例えば、受光部3における距離画像センサ32(後述)である。
【0022】
光源部2は、距離画像処理部4からの制御に従って、距離画像撮像装置1において距離を測定する対象の被写体Sが存在する撮影対象の空間に光パルスPOを照射する。光源部2は、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)などの面発光型の半導体レーザーモジュールである。光源部2は、光源装置21と、拡散板22とを備える。
【0023】
光源装置21は、被写体Sに照射する光パルスPOとなる近赤外の波長帯域(例えば、波長が850nm~940nmの波長帯域)のレーザー光を発光する光源である。光源装置21は、例えば、半導体レーザー発光素子である。光源装置21は、タイミング制御部41からの制御に応じて、パルス状のレーザー光を発光する。
拡散板22は、光源装置21が発光した近赤外の波長帯域のレーザー光を、被写体Sに照射する面の広さに拡散する光学部品である。拡散板22が拡散したパルス状のレーザー光が、光パルスPOとして出射され、被写体Sに照射される。
【0024】
受光部3は、距離画像撮像装置1において距離を測定する対象の被写体Sによって反射された光パルスPOの反射光RLを受光し、受光した反射光RLに応じた画素信号を出力する。受光部3は、レンズ31と、距離画像センサ32とを備える。
レンズ31は、入射した反射光RLを距離画像センサ32に導く光学レンズである。レンズ31は、入射した反射光RLを距離画像センサ32側に出射して、距離画像センサ32の受光領域に備えた画素回路に受光(入射)させる。
【0025】
距離画像センサ32は、距離画像撮像装置1に用いられる撮像素子である。距離画像センサ32は、二次元の受光領域に複数の画素回路321と、画素回路321の各々を制御する画素駆動回路322とを備える。
上記画素回路321は、1つの光電変換素子(例えば、後述する光電変換素子PD)と、この1つの光電変換素子に対応する複数の電荷蓄積部(例えば、後述する電荷蓄積部CS1からCS4)と、それぞれの電荷蓄積部に電荷を振り分ける構成要素とが設けられている。
【0026】
距離画像センサ32は、タイミング制御部41(後述)からの制御に応じて、光電変換素子が発生した電荷をそれぞれの電荷蓄積部に振り分ける。また、距離画像センサ32は、電荷蓄積部に振り分けられた電荷量に応じた画素信号を出力する。距離画像センサ32には、複数の画素回路が二次元の行列状に配置されており、それぞれの画素回路の対応する1フレーム分の画素信号を出力する。
【0027】
距離画像処理部4は、距離画像撮像装置1を制御し、受光部3から供給される画素信号により、距離画像センサ32(すなわち、距離画像撮像装置1)から被写体Sまでの距離を演算する。
距離画像処理部4は、タイミング制御部41と、距離演算部42と、測定制御部43との各々を備える。
【0028】
タイミング制御部41は、測定制御部43の制御に応じて、距離の測定に要する様々な制御信号を出力するタイミングを制御する。ここでの様々な制御信号とは、例えば、光パルスPOの照射を制御する信号や、反射光RLを複数の電荷蓄積部に振り分ける信号、1フレームあたりの振り分け回数を制御する信号などである。振り分け回数とは、電荷蓄積部CS(
図2参照)に電荷を振り分ける処理を繰返す回数である。
【0029】
距離演算部42は、測定制御部43の制御に応じて、距離画像センサ32から出力された画素信号に基づいて、被写体Sまでの距離を演算した距離情報を出力する。距離演算部42は、複数の電荷蓄積部CSに蓄積された電荷量に基づいて、光パルスPOを照射してから反射光RLを受光するまでの遅延時間Tdを算出する。距離演算部42は、算出した遅延時間Tdに応じて、距離画像撮像装置1から被写体Sまでの距離(測定距離)を演算する。
【0030】
測定制御部43は、フレーム周期で繰返されるフレームにおいて、撮像画像を撮像する際、2つのフレーム周期(後述する第1フレーム周期及び第2フレーム周期の各々)を用いて、一枚の撮像画像を撮像するように、タイミング制御部41、距離演算部42及び画素駆動回路322の各々の動作を制御する。
ここで、測定制御部43は、上記第2フレーム周期における蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を、第1フレーム周期における蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3、TX4のそれぞれに対して、所定の時間だけシフトさせる制御を行う。
【0031】
また、本実施形態による距離画像撮像装置1は、電荷蓄積部CSに蓄積される電荷により、被写体と距離画像センサ32との距離を算出する。
すなわち、測定制御部43は、光電変換素子PDから電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々に振分けるタイミングを、第1フレーム周期に対して第2フレーム周期においてずらしている。
例えば、電荷蓄積部CS2及びCS3の各々に蓄積された電荷量で距離を求める場合、第1フレーム周期、第2フレーム周期のいずれかにおいて、電荷蓄積部CS2、CS3に蓄積された電荷量Qが等しい状態に近い方を用いて距離の算出を行う(詳細は、後述)。電荷蓄積部CS3及びCS4の各々に蓄積された電荷量で距離を求める場合も同様である。
【0032】
ここで、1枚の距離画像を撮像する2つのフレーム周期間において、いずれか一方のフレーム周期で電荷量Qが電荷蓄積部CS間で偏っても、他方のフレーム周期において電荷蓄積部CS間における電荷量Qが等しい状態に近くなる。
このため、電荷量Qが減少することによるS/N比の低下に起因する空間分解能の悪化を低減することができ、画素毎に第1フレーム周期及び第2フレーム周期の各々において等しい電荷量による距離の算出を行うことで、空間分解能の高い距離画像を撮像することができる。
【0033】
すなわち、距離画像センサ32の駆動において、ランダムノイズは、電荷蓄積部CSに蓄積される電荷量の平方根に比例して増加するため、電荷量が低くなるに従って、ノイズの割合が増加することでS/N比が低下することになる。
したがって、2個の電荷蓄積部CSの各々における電荷量の比が1:1に近くなるに従ってS/N比が高くなり、一方、当該電荷量の比が1:1から離れるに従ってS/N比が低くなる。
【0034】
このため、上記電荷蓄積部CSのいずれか一方に偏って電荷量が振分けられた場合、他方に振分けられる電荷量は低下してしまい、測定する距離の距離分解能が悪化する。
すでに述べたように、本実施形態においては、測定距離を伸ばす目的で、3つ以上の電荷蓄積部CSを用いて、タイムウィンドウ(TW,Time Window)駆動を行い、距離画像撮像装置1及び被写体Sの各々の間の距離を測定する。
【0035】
このタイムウィンドウ駆動を行う際、隣接するタイムウィンドウの繋ぎ目近傍における距離は、いずれか一方の電荷蓄積部CSに多くの電荷が振分けられて、電荷蓄積部CSに蓄積される電荷量が偏ってしまい、最もS/N比が低下する。
本実施形態は、上述したランダムノイズによる距離分解能の低下を防止するため、すでに述べたように、第1フレーム周期及び第2フレーム周期により、一枚の距離画像を撮像している。
【0036】
このような構成によって、距離画像撮像装置1では、光源部2が被写体Sに照射した近赤外の波長帯域の光パルスPOが被写体Sによって反射された反射光RLを受光部3が受光し、距離画像処理部4が、被写体Sと距離画像撮像装置1との測定距離を測定した距離情報を出力する。
なお、
図1においては、距離画像処理部4を内部に備えた構成の距離画像撮像装置1を示しているが、距離画像処理部4は、距離画像撮像装置1の外部に備える構成要素であってもよい。
【0037】
次に、距離画像センサ32における画素回路321の構成について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態の距離画像撮像装置における距離画像センサ32に配置された画素回路321の構成の一例を示した回路図である。
図2の画素回路321は、例えば、4つの画素信号読み出し部RU1からRU4を備えた構成例である。本実施形態における画素回路321の構成は、一例であり、画素信号読み出し部は3個以上の複数個、すなわちn個(n≧3)の構成を有する。
【0038】
画素回路321は、1つの光電変換素子PDと、電荷排出トランジスタGDと、対応する出力端子Oから電圧信号を出力する4つの画素信号読み出し部RU(RU1からRU4)とを備える。画素信号読み出し部RUのそれぞれは、読み出しゲートトランジスタGと、フローティングディフュージョンFDと、電荷蓄積容量Cと、リセットトランジスタRTと、ソースフォロアトランジスタSFと、選択トランジスタSLとを備える。フローティングディフュージョンFD(FD1、FD2、FD3、FD4)と電荷蓄積容量C(C1、C2、C3、C4)とは、電荷蓄積部CS(CS1、CS2、CS3、CS4)を構成している。
【0039】
図2に示した画素回路321において、出力端子O1から電圧信号を出力する画素信号読み出し部RU1は、読み出しゲートトランジスタG1(転送MOSトランジスタ)と、フローティングディフュージョンFD1と、電荷蓄積容量C1と、リセットトランジスタRT1と、ソースフォロアトランジスタSF1と、選択トランジスタSL1とを備える。画素信号読み出し部RU1では、フローティングディフュージョンFD1と電荷蓄積容量C1とによって電荷蓄積部CS1が構成されている。画素信号読み出し部RU2、RU3及びRU4も同様の構成である。
【0040】
光電変換素子PDは、入射した光を光電変換して、入射した光(入射光)に応じた電荷を発生させ、発生させた電荷を蓄積する埋め込み型のフォトダイオードである。本実施形態においては、入射光は測定対象の空間から入射される。
画素回路321では、光電変換素子PDが入射光を光電変換して発生させた電荷を4つの電荷蓄積部CS(CS1からCS4)のそれぞれに振り分け、振り分けられた電荷の電荷量に応じたそれぞれの電圧信号を、距離画像処理部4に出力する。
また、距離画像センサ32に配置される画素回路の構成は、
図2に示したような、4つの画素信号読み出し部RU(RU1からRU4)を備えた構成に限定されるものではなく、画素信号読み出し部RUが1個以上の複数の画素信号読み出し部RUを備えた構成の画素回路でもよい。
【0041】
上記距離画像撮像装置1の画素回路321の駆動において、光パルスPOが照射時間(パルス幅、時間とも示す)Toで照射され、遅延時間Td遅れて反射光RLが距離画像センサ32に受光される。画素駆動回路322は、タイミング制御部41による制御により、光パルスPOの照射に同期させて、光電変換素子PDに発生する電荷を、読み出しゲートトランジスタG1、G2、G3、G4に対して、蓄積駆動信号TX1からTX4をそれぞれのタイミングにより供給して振り替えて、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4の順に蓄積させる。
【0042】
そして、画素駆動回路322は、リセットトランジスタRT及び選択トランジスタSLの各々を、駆動信号RST、SELそれぞれにより制御し、電荷蓄積部CSに蓄積された電荷を、ソースフォロアトランジスタSFにより電気信号に変換し、生成された電気信号を出力端子Oを介して距離演算部42に出力する。
また、画素駆動回路322は、タイミング制御部41の制御により、駆動信号RSTDにより、光電変換素子PDにおいて発生された電荷を電源VDDに流して放電する(電荷を消去する)。
【0043】
図3は、所定のフレーム周期(後述する第1フレーム周期)における光電変換素子PDで生成された電荷を電荷蓄積部CSの各々に転送するタイミングチャートを示す図である。
図3のタイミングチャートにおいて、縦軸はパルスのレベルを示し、横軸は時間を示している。また、
図3においては、フレームにおける電荷の蓄積期間に繰返される蓄積周期を示している。通常モードにおける、光パルスPO及び反射光RLの時間軸における相対関係と、読み出しゲートトランジスタG1からG4の各々に供給する蓄積駆動信号TX1からTX4それぞれのタイミングと、電荷排出トランジスタGDに供給する駆動信号RSTDのタイミングとを示している。
【0044】
タイミング制御部41は、光源部2に対して光パルスPOを測定空間に対して照射させる。これにより、光パルスPOが被写体に反射し、反射光RLとして受光部3に受光される。そして、光電変換素子PDは、背景光及び反射光RLの各々に対応した電荷を発生する。画素駆動回路322は、光電変換素子PDの発生した電荷を、電荷蓄積部CS1からCS4の各々に対して転送するため、読み出しゲートトランジスタG1からG4の各々のオンオフを制御する。
すなわち、画素駆動回路322は、蓄積駆動信号TX1からTX4の各々を、所定の時間幅(照射時間To、すなわちパルス幅と同一の幅)の「H」レベルの信号として、読み出しゲートトランジスタG1からG4それぞれに供給する。
【0045】
画素駆動回路322は、例えば、光電変換素子PDから電荷を電荷蓄積部CS1に転送する転送経路上に設けられた読み出しゲートトランジスタG1をオン状態にする。これにより、光電変換素子PDにより光電変換された電荷が、読み出しゲートトランジスタG1を介して電荷蓄積部CS1に蓄積される。その後、画素駆動回路322は、読み出しゲートトランジスタG1をオフ状態にする。これにより、電荷蓄積部CS1への電荷の転送が停止される。このようにして、画素駆動回路322は、電荷蓄積部CS1に電荷を蓄積させる。他の電荷蓄積部CS2、CS3及びCS4においても同様である。
【0046】
このとき、電荷蓄積部CSに電荷の振り分けを行なう電荷蓄積期間(フレームにおける電荷蓄積部CSの各々に電荷を蓄積する期間)において、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3、TX4の各々が、蓄積周期において、読み出しゲートトランジスタG1、G2、G3、G4それぞれに供給される転送周期T1、T2、T3及びT4(電荷を蓄積して積算する周期、転送順番)が繰返される。
ここで、例えば、転送周期T1において入射光(背景光のみ)により発生した電荷が電荷蓄積部CS1に蓄積され、転送周期T2において入射光(背景光+反射光)により発生した電荷が電荷蓄積部CS2に蓄積され、転送周期T3において入射光(背景光+反射光)により発生した電荷が電荷蓄積部CS3に蓄積され、転送周期T4において入射光(背景光+反射光)により発生した電荷が電荷蓄積部CS4に蓄積される。
【0047】
そして、読み出しゲートトランジスタG1、G2、G3及びG4の各々を介して、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4それぞれに、光電変換素子PDから入射光に対応した電荷が転送される。すなわち、各フレーム周期の電荷蓄積期間において、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々の転送順番毎に電荷の転送が行われる複数の蓄積周期が繰返される。
これにより、電荷蓄積期間における電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々の蓄積周期毎に、転送周期T1、T2、T3及びT4の各々において電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4それぞれに電荷が蓄積される。
【0048】
また、画素駆動回路322は、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々の蓄積周期を繰返す際、電荷蓄積部CS4に対する電荷の転送(振り分け)が終了した後、光電変換素子PDから電荷を排出する排出経路上に設けられた電荷排出トランジスタGDに対して、「H」レベルの駆動信号RSTDを供給してオンさせる。
これにより、電荷排出トランジスタGDは、電荷蓄積部CS1に対する転送周期T1が開始される前に、直前の電荷蓄積部CS4の転送周期T4の後に光電変換素子PDに発生した電荷を破棄する(すなわち、光電変換素子PDをリセットさせる)。
【0049】
そして、画素駆動回路322は、受光部3内に配置された全ての画素回路321の各々から、それぞれ電圧信号を画素回路321の行(横方向の配列)単位で、順次A/D変換処理などの信号処理を行なう。
その後、画素駆動回路322は、信号処理を行った後の電圧信号(電荷蓄積部CSの各々に蓄積される電荷量のそれぞれに対応する電圧)を、受光部3において配置された列の順番に、順次、距離演算部42に出力させる。
【0050】
上述したような、画素駆動回路322による電荷蓄積部CSへ電荷の蓄積と光電変換素子PDが光電変換した電荷の破棄とが、1フレームに渡って繰り返し行われる。これにより、所定の時間区間に距離画像撮像装置1に受光された光量に相当する電荷が、電荷蓄積部CSのそれぞれに蓄積される。画素駆動回路322は、電荷蓄積部CSのそれぞれに蓄積された、1フレーム分の電荷量に相当する電気信号を、距離演算部42に出力する。
【0051】
光パルスPOを照射するタイミングと、電荷蓄積部CS(CS1からCS4)のそれぞれに電荷を蓄積させるタイミングとの関係から、電荷蓄積部CS1には、光パルスPOを照射する前の背景光などの外光成分に相当する電荷量が保持される。また、電荷蓄積部CS2、CS3及びCS4には、反射光RL、及び外光成分に相当する電荷量が振り分けられて保持される。電荷蓄積部CS2及びCS3、あるいは電荷蓄積部CS3及びCS4に振り分けられる電荷量の配分(振り分け比率)は、光パルスPOが被写体Sに反射して距離画像撮像装置1に入射されるまでの遅延時間Tdに応じた比率となる。
【0052】
図1に戻り、距離演算部42は、この原理を利用して、以下の(1)あるいは(2)式により、遅延時間Tdを算出する。
Td=To×(Q3-Q1)/(Q2+Q3-2×Q1) …(1)
Td=To+To×(Q4-Q1)/(Q3+Q4-2×Q1) …(2)
ここで、Toは光パルスPOが照射された期間(パルス幅)、Q1は電荷蓄積部CS1に蓄積された電荷量、Q2は電荷蓄積部CS2に蓄積された電荷量、Q3は電荷蓄積部CS3に蓄積された電荷量、Q4は電荷蓄積部CS4に蓄積された電荷量を示す。距離演算部42は、例えば、Q2≧Q4である場合、(1)式で遅延時間Tdを算出し、一方、Q2<Q4である場合、(2)式で遅延時間Tdを算出する。
【0053】
(1)式においては、電荷蓄積部CS2及びCS3には反射光により発生された電荷が蓄積されるが、電荷蓄積部CS4には蓄積されない。一方、(2)式においては、電荷蓄積部CS3及びCS4には反射光により発生された電荷が蓄積されるが、電荷蓄積部CS2には蓄積されない。
なお、(1)式あるいは(2)式では、電荷蓄積部CS2、CS3及びCS4に蓄積される電荷量のうち、外光成分に相当する成分が、電荷蓄積部CS1に蓄積された電荷量と同量であることを前提とする。
【0054】
距離演算部42は、(1)式あるいは(2)式で求めた遅延時間に、光速(速度)を乗算させることにより、被写体Sまでの往復の測定距離を算出する。
そして、距離演算部42は、上記で算出した往復の距離を1/2とする(遅延時間Td×c(光速度)/2)ことにより、距離画像センサ32(すなわち、距離画像撮像装置1)から被写体Sまでの距離を求める。
【0055】
また、時間Trsは、
図3における蓄積周期の1サイクルにおける電荷蓄積部CS4に対する光電変換素子PDからの電荷の振分け終了後における、当該光電変換素子PDに入力光により発生した電荷が留まらない(溜らない)ように、電荷排出トランジスタGDに供給する駆動信号RSTDを「H」レベルとされる期間を示している。
【0056】
測定制御部43は、画素毎の被写体との距離を示す1個(1枚)の距離画像の生成を、上述した
図3のフレーム周期として、第1フレーム周期及び第2フレーム周期の2つのフレーム周期により行う。
すなわち、測定制御部43は、第1フレームにおいて、画素駆動回路322が、
図3に示すように、光パルスPOに同期した蓄積周期である第1蓄積周期で、光パルスPOと同一幅の蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を、順次、読み出しゲートトランジスタG1、G2、G3、G4のそれぞれに供給させるようにタイミング制御部41を制御する。
【0057】
一方、測定制御部43は、第2フレームにおいて、画素駆動回路322が、
図3に示す光パルスPOに対して、光パルスPOの放射されるタイミングに対して、光パルスPOのパルス幅(時間To)の1/2の時間を遅延させた蓄積周期である第2蓄積周期で、光パルスPOと同一パルス幅の蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を、順次、読み出しゲートトランジスタG1、G2、G3、G4のそれぞれに供給させるようにタイミング制御部41を制御する。
【0058】
上述した説明において、測定制御部43は、タイミング制御部41に対して、第1フレーム周期における蓄積駆動信号TXの出力タイミング(第1蓄積周期)に対して、第2フレーム周期における蓄積駆動信号TXの出力タイミング(第2蓄積周期)を所定の時間だけ遅延させる制御を画素駆動回路322に行わせる制御をしている。
しかしながら、測定制御部43は、第1フレーム周期及び第2フレーム周期において、蓄積駆動信号TXの出力タイミングを変化させず、第2フレーム周期において、光パルスPOの照射するタイミングを第1フレーム周期に対して、光源装置21が当該光パルスPOのパルス幅(時間To)の1/2の時間を進める制御を、タイミング制御部41に対して行ってもよい。この場合、光パルスPOの照射タイミングを基準として、相対的に、第1フレーム周期における蓄積駆動信号TXの出力タイミングに対して、第2フレーム周期における蓄積駆動信号TXを所定の時間として遅延させたことと同一となる。
【0059】
図4は、本実施形態における第1フレーム周期及び第2フレーム周期の各々における光電変換素子PDで生成された電荷を電荷蓄積部CSの各々に転送するタイミングチャートを示す図である。
また、第1フレーム周期と第2フレーム周期との各々における、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3、TX4のそれぞれの供給されるタイミングを比較するため、
図3における駆動信号RSTDの波形は省略している。
【0060】
ここで、
図4(a)の第1フレーム周期は、すでに説明した
図3に示すタイミングチャートと同様である。
画素駆動回路322は、第1フレーム周期において、光パルスPOに対して、蓄積駆動信号TX2が同期する蓄積周期である第1蓄積周期として、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を出力している。また、画素駆動回路322は、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を、それぞれ連続する蓄積周期毎に順次出力している。
【0061】
この
図4(a)の第1フレーム周期の場合、蓄積駆動信号TX2及びTX3の各々の蓄積周期における反射光RLが入射される時間は、蓄積駆動信号TX3の蓄積周期の方が、蓄積駆動信号TX2に比較して長い。
一方、
図4(a)の第2フレーム周期の場合、蓄積駆動信号TX2及びTX3の各々の蓄積周期における反射光RLが入射される時間は、蓄積駆動信号TX2の蓄積周期の方が、蓄積駆動信号TX3に比較して長い。
【0062】
また、画素駆動回路322は、第2フレーム周期において、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を、第1フレームに比較して、それぞれ所定の時間遅延(パルス幅Toの1/2の時間)させている。
ここで、距離演算部42は、第1フレーム周期において、電荷蓄積部CS1、CS2及びCS3で蓄積された電荷量Q1、Q2、Q3のそれぞれを用いて、上記(1)により算出した遅延時間Tdから、距離として第1測定距離を求める。
【0063】
また、距離演算部42は、第2フレーム周期においても、電荷蓄積部CS1、CS2及びCS3で蓄積された電荷量Q1、Q2、Q3のそれぞれを用いて、下記(3)により算出した遅延時間Tdから、距離として第2測定距離を求める。
Td=To×(Q3-Q1)/(Q2+Q3-2×Q1)+Ra×To …(3)
ここで、係数Raは、遅延(シフト)させた時間を、パルス幅Toで除算した係数である。例えば、パルス幅Toの半分の時間を遅延させた場合、係数Raは、1/2である。
【0064】
そして、距離演算部42は、第1フレーム周期における電荷蓄積部CS2に蓄積される電荷量Q2を、予め設定した電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3で除算した電荷量比αが予め設定した所定の閾値範囲内である場合、例えば、1/2を超え、かつ2未満である(1/2<α<2である)場合、第1フレーム周期で算出した遅延時間Tdから求めた第1測定距離を、対応する画素の距離とする。
【0065】
図4(b)においても、画素駆動回路322は、第2フレーム周期における蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を、第1フレームに比較して、それぞれ所定の時間(パルス幅Toの1/2の時間)遅延させている。また、画素駆動回路322は、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を、それぞれ連続する蓄積周期毎に順次出力している。
この
図4(b)の第1フレーム周期の場合、蓄積駆動信号TX2及びTX3の各々の蓄積周期における反射光RLが入射される時間は、蓄積駆動信号TX3の蓄積周期の方が、蓄積駆動信号TX2に比較して長い。
一方、
図4(b)の第2フレーム周期の場合、蓄積駆動信号TX2及びTX3の各々の蓄積周期における反射光RLが入射される時間は、蓄積駆動信号TX2の蓄積周期の方が、蓄積駆動信号TX3に比較して長い。
【0066】
ここで、距離演算部42は、第1フレーム周期において、電荷蓄積部CS1、CS2及びCS3で蓄積された電荷量Q1、Q2、Q3のそれぞれを用いて、上記(1)式により距離として第1測定距離を求める。
また、距離演算部42は、第2フレーム周期においても、電荷蓄積部CS1、CS2及びCS3で蓄積された電荷量Q1、Q2、Q3のそれぞれを用いて、上記(3)式により求めた遅延時間Tdから求めた第2測定距離を、対応する画素の距離とする。
【0067】
そして、距離演算部42は、第1フレーム周期における電荷蓄積部CS2に蓄積される電荷量Q2を、予め設定した電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3で除算した電荷量比αが上記閾値範囲の外である場合、1/2<α<2でない(α≦1/2またはα≧2である)場合、第2フレーム周期で算出した第2測定距離を、対応する画素の距離とする。
【0068】
図4(c)においても、画素駆動回路322は、第2フレーム周期における蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を、第1フレームに比較して、それぞれ所定の時間遅延(パルス幅Toの1/2の時間)させている。また、画素駆動回路322は、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を、それぞれ連続する蓄積周期毎に順次出力している。
図4(c)の場合、電荷蓄積部CS3及びCS4に反射光RLにより光電変換素子PDで発生した電荷が振分けられて蓄積されている。
【0069】
この
図4(c)の第1フレーム周期の場合、蓄積駆動信号TX3及びTX4の各々の蓄積周期における反射光RLが入射される時間は、蓄積駆動信号TX3の蓄積周期の方が、蓄積駆動信号TX4に比較して長い。
一方、
図4(c)の第2フレーム周期の場合、蓄積駆動信号TX2及びTX3の各々の蓄積周期における反射光RLが入射される時間は、蓄積駆動信号TX3の蓄積周期の方が、蓄積駆動信号TX2に比較して長い。
【0070】
ここで、距離演算部42は、第1フレーム周期において、電荷蓄積部CS1、CS2及びCS3で蓄積された電荷量Q1、Q2、Q3のそれぞれを用いて、上記(2)により算出した遅延時間から、距離として第1測定距離を求める。
また、距離演算部42は、第2フレーム周期においても、電荷蓄積部CS1、CS2及びCS3で蓄積された電荷量Q1、Q2、Q3のそれぞれを用いて、下記(4)により算出した遅延時間から、距離として第2測定距離を求める。
Td=To+To×(Q4-Q1)/(Q3+Q4-2×Q1)+Ra×To…(4)
ここで、係数Raは、遅延(シフト)させた時間を、パルス幅Toで除算した係数である。例えば、パルス幅Toの半分の時間を遅延させた場合、係数Raは、1/2である。
【0071】
そして、距離演算部42は、第1フレーム周期における電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3を、予め設定した電荷蓄積部CS4に蓄積される電荷量Q4で除算した電荷量比βが予め設定した所定の閾値範囲内である場合、例えば、1/2を超え、かつ2未満である(1/2<β<2である)場合、第1フレーム周期で算出した遅延時間Tdから求めた第1測定距離を、対応する画素の距離とする。
また、距離演算部42は、第1フレーム周期における電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3を、予め設定した電荷蓄積部CS4に蓄積される電荷量Q4で除算した電荷量比βが上記閾値範囲の外である場合、1/2<β<2でない(β≦1/2またはβ≧2である)場合、第2フレーム周期で算出した第2測定距離を、対応する画素の距離とする。
【0072】
図5は、第1の実施形態における第1フレーム周期及び第2フレーム周期における距離分解能を説明する図である。
図5(a)は、第1フレーム周期における測定する距離及び距離分解能の各々の対応関係を示しており、横軸が測定する距離を示し、縦軸が距離分解能を示している。
第1フレーム周期において、
図4(b)の第1フレームに示されるように、電荷蓄積部CS2に蓄積される電荷量Q2が、電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3に比較して、減少するに従い、
図5(a)に示す曲線401における距離4mから5mの距離範囲に示されるように、距離分解能が低下していく。
【0073】
一方、
図5(b)は、第2フレーム周期における、第1フレーム周期に対して蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を、時間To/2遅延させた場合の距離及び距離分解能の各々の対応関係を示している。
図5(b)は、横軸が測定する距離を示し、縦軸が距離分解能を示している。
図5(b)の第2フレーム周期で示されるように、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を遅延させることにより、電荷蓄積部CS2に蓄積される電荷量Q2と、電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3との比αは1/2に近づく。
これにより、
図4(b)の第2フレームに示されるように、電荷蓄積部CS2に蓄積される電荷量Q2が、電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3に近づいて同等となるため、
図5(b)に示す曲線402における距離4mから5mの距離範囲に示されるように、距離分解能が低下しない。
【0074】
しかしながら、第2フレーム周期において、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を、第1フレーム周期に対して遅延させたため、
図4(c)に示すように、電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3が低下する。
そして、
図5(b)に示すように、距離6mから8mにおける距離分解能が、
図5(a)の距離6mから8mにおける距離分解能が大きくなっており、位置検出の精度に対する機能が低下している。
この
図4(c)の場合、距離演算部42は、すでに説明したように、電荷量比βが上記閾値範囲内である場合、1/2<β<2であるため、第1フレーム周期で算出した遅延時間Tdから求めた第1測定距離を、対応する画素の距離とする。
【0075】
上述した
図5(a)及び
図5(b)の各々において示したように、測定する距離により距離分解能が変化し、また、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を遅延させることにより、距離分解能が大きくなり、位置検出の精度が低下する領域も同様に遅延する。
したがって、距離分解能が大きくなり、位置検出の精度が低下する距離範囲に対応させ、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を遅延させることにより、距離分解能が大きくなり、位置検出の精度が低下する距離範囲を調整することができる。
【0076】
そして、距離演算部42は、電荷量比α及び電荷量比βの各々と、閾値とを比較することにより、第1フレーム周期で求めた第1測定距離、第2フレーム周期で求めた第2測定距離のいずれを、距離画像撮像装置1と被写体Sとの距離として用いるかを判定している。
この結果、本実施形態によれば、
図5(c)に示すように、距離範囲501及び503は第1フレーム周期における第1測定距離を採用し、距離範囲502及び504は第2フレーム周期における第2測定距離を採用している。これにより、距離分解能の増加による距離の測定の精度の低下と測定する距離の増加とを線形に近い関係(実線の曲線403)とすることができ、測定する距離の精度を従来の第1フレーム周期のみの場合に比較して向上させることができる。
【0077】
また、距離の演算に用いる2個の電荷蓄積部CS、例えば電荷蓄積部CS2及びCS3において、一方の電荷蓄積部CS2の蓄積される電荷量Q2が0(最低値)に近づく場合、他方の電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3が最大値に近づく。
このため、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を遅延させる時間をTo/2とすることにより、上記電荷量Q2、Q3のそれぞれは1:1の電荷量比に近づき、最も距離分解能が大きくて測定の精度が低い距離範囲を、最も距離分解能が小さくて測定の精度が高い距離範囲に変更することができる。
したがって、上記閾値は、1/2が最も望ましい値であるが、遅延させることにより距離分解能を改善することが可能であるため、任意の数値に設定する構成としてもよい。
【0078】
また、第2フレーム周期の蓄積期間における、光電変換素子PDから電荷蓄積部CSへの電荷の振分け回数を、第1フレーム周期に比較して増加させる構成としてもよい。
すなわち、第2フレーム周期の第2測定距離が選択される場合、被写体Sまでの距離が遠いことを示している。
このため、電荷蓄積部CSに蓄積される電荷量Qを増加させることにより、距離画像撮像装置1と被写体Sとの距離の測定精度を向上させることができる。
【0079】
図6は、第1の実施形態の距離画像撮像装置1による距離画像センサ32と被写体Sとの距離の算出の処理の動作例を示すフローチャートである。距離画像の撮像処理が第1フレーム周期及び第2フレーム周期の2個のフレーム周期により行われる。
【0080】
ステップS101:
画素駆動回路322は、第1フレームにおいて、測定制御部43の制御により、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々に対する、光電変換素子PDからの電荷の振分けの処理を行う。
このとき、画素駆動回路322は、画素回路321の各々(画素単位)において、
図3または
図4に示す第1フレーム周期の蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々により、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4のそれぞれ対応する蓄積周期において、電荷の振り分けを行う。
ここで、すでに述べたように、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々に対する電荷の蓄積を行う振分け回数(蓄積周期の数)は、フレーム周期における蓄積期間において複数個存在する。
【0081】
ステップS102:
画素駆動回路322は、第1フレーム周期における蓄積期間が終了した場合、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々に蓄積されている電荷量Q1、Q2,Q3、Q4のそれぞれに対応する電圧である画素信号を、距離演算部42に対して出力する。
距離演算部42は、距離画像センサ32の画素毎に設けられている画素回路321の各々から供給される画素信号(以下、説明のため、電荷量として記載する)に基づき、遅延時間Tdの算出を行う。
【0082】
このとき、距離演算部42は、電荷量Q2及びQ4の各々を比較し、電荷量Q2が大きい場合、上記(1)式により遅延時間Tdの算出を行なう。
一方、距離演算部42は、電荷量Q2及びQ4の各々を比較し、電荷量Q4が大きい場合、上記(2)式により遅延時間Tdの算出を行なう。
そして、距離演算部42は、算出した遅延時間Tdに基づいて第1測定距離を算出する。
【0083】
ステップS103:
画素駆動回路322は、第2フレーム周期において、測定制御部43の制御により、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々に対する、光電変換素子PDからの電荷の振分けの処理を行う。
このとき、画素駆動回路322は、画素回路321の各々(画素単位)において、
図3または
図4に示す第2フレーム周期の蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々により、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4のそれぞれに電荷の振り分けを行う。
【0084】
すなわち、画素駆動回路322は、第1フレーム周期に対して所定の時間遅延させた蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々により、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4のそれぞれ対応する蓄積周期において、電荷の振り分けを行う。
ここで、すでに述べたように、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々に対する電荷の蓄積を行う振分け回数(蓄積周期の数)は、フレーム周期における蓄積期間において複数個存在する。
【0085】
ステップS104:
画素駆動回路322は、第2フレーム周期における蓄積期間が終了した場合、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々に蓄積されている電荷量Q1、Q2,Q3、Q4のそれぞれに対応する電圧である画素信号を、距離演算部42に対して出力する。
距離演算部42は、距離画像センサ32の画素毎に設けられている画素回路321の各々から供給される画素信号(すなわち、電荷量)に基づき、遅延時間Tdの算出を行う。
【0086】
このとき、距離演算部42は、電荷量Q2及びQ4の各々を比較し、電荷量Q2が大きい場合、上記(3)式により遅延時間Tdの算出を行なう。
一方、距離演算部42は、電荷量Q2及びQ4の各々を比較し、電荷量Q4が大きい場合、上記(4)式により遅延時間Tdの算出を行なう。
そして、距離演算部42は、算出した遅延時間Tdに基づいて第2測定距離を算出する。
【0087】
ステップS105:
距離演算部42は、処理が終了していない画素回路321のいずれかを処理対象の画素として選択し、当該画素回路321における第1フレーム周期における電荷量Q2と電荷量Q4とを比較し、電荷量Q2が電荷量Q4を超えるか否かの判定を行う。
このとき、距離演算部42は、電荷量Q2が電荷量Q4を超えている場合、処理をステップS106へ進める。
一方、距離演算部42は、電荷量Q2が電荷量Q4以下である場合、処理をステップS107へ進める。
【0088】
ステップS106:
距離演算部42は、電荷量Q2を電荷量Q3により除算することにより電荷量比αを求める。
そして、距離演算部42は、電荷量比αと予め設定された閾値範囲とを比較し、電荷量比αが当該閾値範囲内であるか否かの判定を行う。
このとき、距離演算部42は、電荷量比αが閾値範囲内である場合、処理をステップS108へ進める。
一方、距離演算部42は、電荷量比αが閾値範囲外である場合、処理をステップS109へ進める。
【0089】
ステップS107:
距離演算部42は、電荷量Q2を電荷量Q3で除算することにより電荷量比βを求める。
そして、距離演算部42は、電荷量比βと予め設定された閾値とを比較し、電荷量比βが当該閾値以下であるか否かの判定を行う。
このとき、距離演算部42は、電荷量比βが閾値範囲内である場合、処理をステップS108へ進める。
一方、距離演算部42は、電荷量比βが閾値範囲外である場合、処理をステップS109へ進める。
【0090】
ステップS108:
距離演算部42は、電荷量比αあるいは電荷量比βが閾値範囲内であるため、第1測定距離の分解能が所定の精度を満たしているとして、第1測定距離を処理対象の画素における、距離画像撮像装置1と被写体Sとの距離とする。
【0091】
ステップS109:
距離演算部42は、電荷量比αあるいは電荷量比βが閾値範囲外であるため、第1測定距離の分解能が所定の精度を満たしていないとして、第2測定距離を処理対象の画素における、距離画像撮像装置1と被写体Sとの距離とする。
【0092】
ステップS110:
距離演算部42は、距離画像撮像装置1と被写体Sとの距離を求める処理を全ての画素回路321に対して行ったか否かの判定、すなわち距離画像センサ32における全ての画素の距離の算出が終了したか否かの判定を行う。
このとき、距離演算部42は、距離画像センサ32における全ての画素の距離の算出が終了した場合、処理をステップS111へ進める。
一方、距離演算部42は、距離画像センサ32における全ての画素の距離の算出が終了していない場合、処理をステップS105へ進める。
【0093】
ステップS111:
距離演算部42は、距離画像センサ32における全ての画素の各々が、第1測定距離あるいは第2測定距離として決定した場合、この画素毎における距離画像撮像装置1と被写体Sとの距離を有する撮像画像を外部装置に出力し(外部記憶装置に書き込む処理も含む)、処理をステップS101へ進める。
【0094】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。
第2の実施形態の距離画像撮像装置1の構成は、
図1に示す第1の実施形態と同様の構成である。以下、第2の実施形態においては、第1の実施形態と異なる動作のみを説明する。また、第2の実施形態においては、第1の実施形態と同様に一個の撮像画像を撮像するために、第1フレーム周期及び第3フレーム周期の2個のフレーム周期を用いる。
【0095】
そして、第1の実施形態と異なる動作は、第3フレーム周期における蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を供給するタイミングである。
第1の実施形態においては、第1フレーム周期における蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々の出力タイミング(第1蓄積周期)に対して、第2フレーム周期における蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を供給する出力タイミングを遅延させる処理(第2蓄積周期とする処理)を行っている。
しかしながら、第2の実施形態においては、第1フレーム周期に対して、第3フレーム周期における蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を供給する出力タイミングを早める処理(第3蓄積周期とする処理)を行う。
【0096】
第1の実施形態と同様に、測定制御部43は、第1フレームにおいて、画素駆動回路322が、
図3に示すように、光パルスPOに同期した蓄積周期である第1蓄積周期で、光パルスPOと同一幅の蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を、順次、読み出しゲートトランジスタG1、G2、G3、G4のそれぞれに供給させるようにタイミング制御部41を制御する。
【0097】
一方、測定制御部43は、第3フレームにおいて、画素駆動回路322が、
図3に示す光パルスPOに対して、光パルスPOの放射されるタイミングに対して、光パルスPOのパルス幅(時間To)の1/2の時間を早めさせた蓄積周期である第3蓄積周期で、光パルスPOと同一パルス幅の蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を、順次、読み出しゲートトランジスタG1、G2、G3、G4のそれぞれに供給させるようにタイミング制御部41を制御する。
【0098】
上述した説明において、測定制御部43は、タイミング制御部41に対して、第1フレーム周期における蓄積駆動信号TXの出力タイミングに対して、第3フレーム周期における蓄積駆動信号TXを所定の時間として早めさせる制御を画素駆動回路322に行わせる制御をしている。
しかしながら、測定制御部43は、第1フレーム周期及び第3フレーム周期において、蓄積駆動信号TXの出力タイミングを変化させず、第3フレーム周期において、光パルスPOの照射するタイミングを第1フレーム周期に対して、光源装置21が当該光パルスPOのパルス幅(時間To)の1/2の時間を遅延させる制御を、タイミング制御部41に対して行ってもよい。この場合、光パルスPOの照射タイミングを基準として、相対的に、第1フレーム周期における蓄積駆動信号TXの出力タイミングに対して、第3フレーム周期における蓄積駆動信号TXを所定の時間として早めさせたことと同一となる。
【0099】
図7は、第1の実施形態における第1フレーム周期及び第3フレーム周期の各々における光電変換素子PDで生成された電荷を電荷蓄積部CSの各々に転送するタイミングチャートを示す図である。
また、第1フレーム周期と第3フレーム周期との各々における、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3、TX4のそれぞれの供給されるタイミングを比較するため、
図3における駆動信号RSTDの波形は省略している。
【0100】
ここで、
図7(a)の第1フレーム周期は、すでに説明した
図3に示すタイミングチャートと同様である。
画素駆動回路322は、第1フレーム周期において、光パルスPOに対して、蓄積駆動信号TX2が同期する蓄積周期(第1蓄積周期)として、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を出力している。また、画素駆動回路322は、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を、それぞれ連続する蓄積周期毎に順次出力している。
【0101】
この
図7(a)の第1フレーム周期の場合、蓄積駆動信号TX2及びTX3の各々の蓄積周期における反射光RLが入射される時間は、蓄積駆動信号TX3の蓄積周期の方が、蓄積駆動信号TX2に比較して長い。
一方、
図7(a)の第3フレーム周期の場合、蓄積駆動信号TX2及びTX3の各々の蓄積周期(第3蓄積周期)における反射光RLが入射される時間は、蓄積駆動信号TX2の蓄積周期(第3蓄積周期)の方が、蓄積駆動信号TX3に比較して長い。
【0102】
また、画素駆動回路322は、第3フレーム周期において、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を、第1フレームに比較して、それぞれ所定の時間早く供給している(パルス幅Toの1/2の時間早く供給している)。
ここで、距離演算部42は、第1フレーム周期において、電荷蓄積部CS1、CS2及びCS3で蓄積された電荷量Q1、Q2、Q3のそれぞれを用いて、上記(1)により算出した遅延時間Tdから、距離として第1測定距離を求める。
【0103】
また、距離演算部42は、第3フレーム周期においても、電荷蓄積部CS1、CS2及びCS3で蓄積された電荷量Q1、Q2、Q3のそれぞれを用いて、下記(5)により算出した遅延時間Tdから、距離として第3測定距離を求める。
Td=To×(Q3-Q1)/(Q2+Q3-2×Q1)-Ra×To …(5)
ここで、係数Raは、早めさせた(シフトさせた)時間を、パルス幅Toで除算した係数である。例えば、パルス幅Toの半分の時間を早めた場合、係数Raは、1/2である。
【0104】
そして、距離演算部42は、第1フレーム周期における電荷蓄積部CS2に蓄積される電荷量Q2を、予め設定した電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3で除算した電荷量比αが予め設定した所定の閾値範囲内である場合、例えば、1/2を超え、かつ2未満である(1/2<α<2である)場合、第1フレーム周期で算出した遅延時間Tdから求めた第1測定距離を、対応する画素の距離とする。
【0105】
図7(b)においても、画素駆動回路322は、第3フレーム周期における蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を、第1フレーム周期に比較して、それぞれ所定の時間早く供給している(パルス幅Toの1/2の時間早く供給している)。また、画素駆動回路322は、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を、それぞれ連続する蓄積周期(第3蓄積周期)毎に順次出力している。
【0106】
この
図7(b)の第1フレーム周期の場合、蓄積駆動信号TX2及びTX3の各々の蓄積周期における反射光RLが入射される時間は、蓄積駆動信号TX2の蓄積周期の方が、蓄積駆動信号TX3に比較して長い。
一方、
図7(b)の第3フレーム周期の場合、蓄積駆動信号TX2及びTX3の各々の蓄積周期における反射光RLが入射される時間は、蓄積駆動信号TX3の蓄積周期の方が、蓄積駆動信号TX2に比較して長い。
【0107】
ここで、距離演算部42は、第1フレーム周期において、電荷蓄積部CS1、CS2及びCS3で蓄積された電荷量Q1、Q2、Q3のそれぞれを用いて、上記(1)式により距離として第1測定距離を求める。
また、距離演算部42は、第3フレーム周期においても、電荷蓄積部CS1、CS2及びCS3で蓄積された電荷量Q1、Q2、Q3のそれぞれを用いて、上記(5)式により求めた遅延時間Tdから求めた第3測定距離を、対応する画素の距離とする。
【0108】
そして、距離演算部42は、第1フレーム周期における電荷蓄積部CS2に蓄積される電荷量Q2を、予め設定した電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3で除算した電荷量比αが上記閾値範囲の外である場合、1/2<α<2でない(α≦1/2またはα≧2である)場合、第3フレーム周期で算出した第3測定距離を、対応する画素の距離とする。
【0109】
図7(c)においても、画素駆動回路322は、第3フレーム周期における蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を、第1フレーム周期に比較して、それぞれ所定の時間早く供給している(パルス幅Toの1/2の時間早く供給している)。また、画素駆動回路322は、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を、それぞれ連続する蓄積周期毎に順次出力している。
図7(c)の場合、電荷蓄積部CS3及びCS4に反射光RLにより光電変換素子PDで発生した電荷が振分けられて蓄積されている。
【0110】
この
図7(c)の第1フレーム周期の場合、蓄積駆動信号TX2及びTX3の各々の蓄積周期における反射光RLが入射される時間は、蓄積駆動信号TX2の蓄積周期の方が、蓄積駆動信号TX3に比較して長い。
一方、
図7(c)の第3フレーム周期の場合、蓄積駆動信号TX2及びTX3の各々の蓄積周期における反射光RLが入射される時間は、蓄積駆動信号TX3の蓄積周期の方が、蓄積駆動信号TX2に比較して長い。
【0111】
ここで、距離演算部42は、第1フレーム周期において、電荷蓄積部CS1、CS2及びCS3で蓄積された電荷量Q1、Q2、Q3のそれぞれを用いて、上記(2)式により算出した遅延時間から、距離として第1測定距離を求める。
また、距離演算部42は、第3フレーム周期においても、電荷蓄積部CS1、CS2及びCS3で蓄積された電荷量Q1、Q2、Q3のそれぞれを用いて、上記(5)式により算出した遅延時間から、距離として第3測定距離を求める。
【0112】
そして、距離演算部42は、第1フレーム周期における電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q2を、予め設定した電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3で除算した電荷量比αが上記閾値範囲の外である場合、1/2<α<2でない(α≦1/2またはα≧2である)、第1フレーム周期で算出した遅延時間Tdから求めた第1測定距離を、対応する画素の距離とする。
また、距離演算部42は、第1フレーム周期における電荷蓄積部CS2に蓄積される電荷量Q2を、電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3で除算した電荷量比αが上記閾値範囲の外である場合、1/2<α<2でない(α≦1/2またはα≧2である)場合、第3フレーム周期で算出した第3測定距離を、対応する画素の距離とする。
【0113】
図8は、第2の実施形態における第1フレーム周期及び第3フレーム周期における距離分解能を説明する図である。
図8(a)は、第1フレーム周期における測定する距離及び距離分解能の各々の対応関係を示しており、横軸が測定する距離を示し、縦軸が距離分解能を示している。
第1フレーム周期において、
図7(a)や
図7(b)の第1フレームに示されるように、電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3が、電荷蓄積部CS2に蓄積される電荷量Q2に比較して、減少するに従い、
図8(a)に示す曲線411における距離4mから5mの距離範囲に示されるように、距離分解能が大きくなり、距離の測定の精度が低下していく。
【0114】
一方、
図8(b)は、第3フレーム周期における、第1フレーム周期に対して蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を、時間To/2早めさせた場合の距離及び距離分解能の各々の対応関係を示している。
図8(b)は、横軸が測定する距離を示し、縦軸が距離分解能を示している。
図7(a)や
図7(b)の第3フレーム周期で示されるように、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を早めさせることにより、電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3と、電荷蓄積部CS2に蓄積される電荷量Q2との比αは1/2に近づく。
これにより、
図7(a)や
図7(b)の第3フレームに示されるように、電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3が、電荷蓄積部CS2に蓄積される電荷量Q2に近づいて同等となるため、
図8(b)に示す曲線412における距離4mから5mの距離範囲に示されるように、距離分解能が低くなり、距離の測定の精度が低下していない。
【0115】
しかしながら、第3フレーム周期において、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を、第1フレーム周期に対して早めさせたため、
図7(c)に示すように、電荷蓄積部CS2に蓄積される電荷量Q2が低下する。
そして、
図8(b)に示すように、距離6mから8mにおける距離分解能が、
図8(a)の距離6mから8mにおける距離分解能に対して大きくなり、距離の測定の精度が低下する。
この
図7(c)の場合、距離演算部42は、すでに説明したように、電荷量比αが、所定の閾値範囲外、例えば1/2<α<2の範囲外であるため、第1フレーム周期で算出した遅延時間Tdから求めた第1測定距離を、対応する画素の距離とする。
【0116】
上述した
図8(a)及び
図8(b)の各々において示したように、測定する距離により距離分解能が変化し、また、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を早めさせることにより、距離分解能が大きくなり、距離の測定の精度が低下する領域も同様に早まる。
したがって、距離分解能が低下する距離範囲に対応させ、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を早めさせることにより、距離分解能が大きくなり、距離の測定の精度が低下する距離範囲を調整することができる。
【0117】
そして、距離演算部42は、比α及び比βの各々と、閾値とを比較することにより、第1フレーム周期で求めた第1測定距離、第3フレーム周期で求めた第3測定距離のいずれを、距離画像撮像装置1と被写体Sとの距離として用いるかを判定している。
この結果、本実施形態によれば、
図8(c)に示すように、距離範囲511及び513は第1フレーム周期における第1測定距離を採用し、距離範囲512は第3フレーム周期における第3測定距離を採用している。これにより、距離分解能の増加による距離の測定の精度の低下と測定する距離の増加とを線形に近い関係(実線の曲線413)とすることができ、測定する距離の精度を従来の第1フレーム周期のみの場合に比較して向上させることができる。
【0118】
また、距離の演算に用いる2個の電荷蓄積部CS、例えば電荷蓄積部CS2及びCS3において、一方の電荷蓄積部CS2の蓄積される電荷量Q2が、反射光RLにより光電変換素子PDに生成される電荷の全てが振り分けられることで最低値に近づく場合、他方の電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3が最小値に近づく。
このため、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を早めさせる時間をTo/2とすることにより、上記電荷量Q2、Q3のそれぞれは1:1の電荷量比に近づき、最も距離分解能が低い距離範囲を、最も距離分解能が高い距離範囲に変更することができる。
したがって、上記閾値は、1/2が最も望ましい値であるが、早めさせることにより距離分解能を改善することが可能であるため、任意の数値に設定する構成としてもよい。
【0119】
また、第3フレーム周期の蓄積期間における、光電変換素子PDから電荷蓄積部CSへの電荷の振分け回数を、第1フレーム周期に比較して減少させる構成としてもよい。
すなわち、第3フレーム周期の第2測定距離が選択される場合、被写体Sまでの距離が近いことを示している。
このため、電荷蓄積部CSに蓄積される電荷量Qを減少させることにより、蓄積される電荷量が電荷蓄積部CSの容量を超えることを抑制し、距離画像撮像装置1と被写体Sとの距離の測定精度を向上させることができる。
【0120】
図9は、第2の実施形態の距離画像撮像装置1による距離画像センサ32と被写体Sとの距離の算出の処理の動作例を示すフローチャートである。第1の実施形態と同様に、距離画像の撮像処理が第1フレーム周期及び第3フレーム周期の2個のフレーム周期により行われる。
【0121】
ステップS201:
画素駆動回路322は、第1フレームにおいて、測定制御部43の制御により、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々に対する、光電変換素子PDからの電荷の振分けの処理を行う。
このとき、画素駆動回路322は、画素回路321の各々(画素単位)において、
図3または
図7に示す第1フレーム周期の蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々により、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4のそれぞれ対応する蓄積周期において、電荷の振り分けを行う。
ここで、すでに述べたように、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々に対する電荷の蓄積を行う振分け回数(蓄積周期の数)は、フレーム周期における蓄積期間において複数個存在する。
【0122】
ステップS202:
画素駆動回路322は、第1フレーム周期における蓄積期間が終了した場合、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々に蓄積されている電荷量Q1、Q2,Q3、Q4のそれぞれに対応する電圧である画素信号を、距離演算部42に対して出力する。
距離演算部42は、距離画像センサ32の画素毎に設けられている画素回路321の各々から供給される画素信号(電荷量に相当)に基づき、遅延時間Tdの算出を行う。
【0123】
このとき、距離演算部42は、電荷量Q2及びQ4の各々を比較し、電荷量Q2が大きい場合、上記(1)式により遅延時間Tdの算出を行なう。
一方、距離演算部42は、電荷量Q2及びQ4の各々を比較し、電荷量Q4が大きい場合、上記(2)式により遅延時間Tdの算出を行なう。
そして、距離演算部42は、算出した遅延時間Tdに基づいて第1測定距離を算出する。
【0124】
ステップS203:
画素駆動回路322は、第3フレームにおいて、測定制御部43の制御により、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々に対する、光電変換素子PDからの電荷の振分けの処理を行う。
このとき、画素駆動回路322は、画素回路321の各々(画素単位)において、
図7に示す第3フレーム周期の蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々により、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4のそれぞれに電荷の振り分けを行う。
【0125】
すなわち、画素駆動回路322は、第1フレーム周期に対して所定の時間早めさせた(早めた)蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々により、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4のそれぞれ対応する蓄積周期において、電荷の振り分けを行う。
ここで、第1の実施形態と同様に、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々に対する電荷の蓄積を行う振分け回数(蓄積周期の数)は、フレーム周期における蓄積期間において複数個存在する。
【0126】
ステップS204:
画素駆動回路322は、第3フレーム周期における蓄積期間が終了した場合、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々に蓄積されている電荷量Q1、Q2,Q3、Q4のそれぞれに対応する電圧である画素信号を、距離演算部42に対して出力する。
距離演算部42は、距離画像センサ32の画素毎に設けられている画素回路321の各々から供給される画素信号(すなわち、電荷量)に基づき、遅延時間Tdの算出を行う。
【0127】
このとき、距離演算部42は、電荷量Q2及びQ4の各々を比較し、電荷量Q2が大きい場合、上記(5)式により遅延時間Tdの算出を行なう。
一方、距離演算部42は、電荷量Q2及びQ4の各々を比較し、電荷量Q4が大きい場合、以下の(6)式により遅延時間Tdの算出を行なう。
Td=To+To×(Q4-Q1)/(Q3+Q4-2×Q1)-Ra×To…(6)
ここで、係数Raは、早めさせた時間を、パルス幅Toで除算した係数である。
そして、距離演算部42は、算出した遅延時間Tdに基づいて第3測定距離を算出する。
【0128】
ステップS205:
距離演算部42は、処理が終了していない画素回路321のいずれかを処理対象の画素として選択し、当該画素回路321における第1フレーム周期における電荷量Q2と電荷量Q4とを比較し、電荷量Q2が電荷量Q4を超えるか否かの判定を行う。
このとき、距離演算部42は、電荷量Q2が電荷量Q4を超えている場合、処理をステップS206へ進める。
一方、距離演算部42は、電荷量Q2が電荷量Q4以下である場合、処理をステップS207へ進める。
【0129】
ステップS206:
距離演算部42は、電荷量Q2を電荷量Q3により除算することにより電荷量比αを求める。
そして、距離演算部42は、電荷量比αと予め設定された閾値範囲とを比較し、電荷量比αが当該閾値範囲内であるか否かの判定を行う。
このとき、距離演算部42は、電荷量比αが閾値範囲内である場合、処理をステップS208へ進める。
一方、距離演算部42は、電荷量比αが閾値範囲外である場合、処理をステップS209へ進める。
【0130】
ステップS207:
距離演算部42は、電荷量Q2を電荷量Q3により除算することにより電荷量比βを求める。
そして、距離演算部42は、電荷量比βと予め設定された閾値範囲とを比較し、電荷量比βが当該閾値範囲内であるか否かの判定を行う。
このとき、距離演算部42は、電荷量比βが閾値範囲内である場合、処理をステップS208へ進める。
一方、距離演算部42は、電荷量比βが閾値範囲外である場合、処理をステップS209へ進める。
【0131】
ステップS208:
距離演算部42は、電荷量比αあるいは電荷量比βが閾値範囲内であるため、第1測定距離の分解能が所定の精度を満たしているとして、第1測定距離を処理対象の画素における、距離画像撮像装置1と被写体Sとの距離とする。
【0132】
ステップS209:
距離演算部42は、電荷量比αあるいは電荷量比βが閾値範囲外であるため、第1測定距離の分解能が所定の精度を満たしていないとして、第3測定距離を処理対象の画素における、距離画像撮像装置1と被写体Sとの距離とする。
【0133】
ステップS210:
距離演算部42は、距離画像撮像装置1と被写体Sとの距離を求める処理を全ての画素回路321に対して行ったか否かの判定、すなわち距離画像センサ32における全ての画素の距離の算出が終了したか否かの判定を行う。
このとき、距離演算部42は、距離画像センサ32における全ての画素の距離の算出が終了した場合、処理をステップS211へ進める。
一方、距離演算部42は、距離画像センサ32における全ての画素の距離の算出が終了していない場合、処理をステップS205へ進める。
【0134】
ステップS211:
距離演算部42は、距離画像センサ32における全ての画素の各々が、第1測定距離あるいは第3測定距離として決定した場合、この画素毎における距離画像撮像装置1と被写体Sとの距離を有する撮像画像を外部装置に出力し(外部記憶装置に書き込む処理も含む)、処理をステップS201へ進める。
【0135】
<第3の実施形態>
以下、本発明の第3の実施形態について、図面を参照して説明する。
第3の実施形態の距離画像撮像装置1の構成は、
図1に示す第1の実施形態と同様の構成である。以下、第3の実施形態においては、第1の実施形態と異なる動作のみを説明する。また、第3の実施形態においては、第1の実施形態と異なり、一個の撮像画像を撮像するために、第1フレーム周期、第2フレーム周期及び第3フレーム周期の各々の3個のフレーム周期を用いる。
【0136】
また、本実施形態においては、第1フレーム周期を中央のフレーム周期として、第1フレーム周期の直前のフレーム周期として第2の実施形態における第3フレーム周期が設けられ、第1フレーム周期の直後のフレーム周期として第1の実施形態における第2フレーム周期が設けられた3個のフレーム周期により、1つの距離画像の撮像を行う。
例えば、電荷蓄積部CS2及び電荷蓄積部CS3の各々に、反射光RLにより発生した電荷が光電変換素子PDから振り分けられる場合、距離演算部42は、電荷蓄積部CS2に蓄積される電荷量Q2を電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3で除算した電荷量比αを求める。
【0137】
そして、距離演算部42は、第1フレーム周期における電荷蓄積部CS2に蓄積される電荷量Q2を、予め設定した電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3で除算した電荷量比αが1/2を超え、かつ2未満である(1/2<α<2)場合、第1及び第2の実施形態と同様に、第1フレームにおいて遅延時間Tdから求めた第1測定距離を、対応する画素の距離とする。
また、距離演算部42は、第1フレーム周期における電荷蓄積部CS2に蓄積される電荷量Q2を、予め設定した電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3で除算した電荷量比αが1/2以下(α≦1/2)の場合、第1の実施形態と同様に、第2フレームにおいて算出した遅延時間Tdから求めた第2測定距離を測定距離とする。
また、距離演算部42は、第1フレーム周期における電荷蓄積部CS2に蓄積される電荷量Q2を、予め設定した電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3で除算した電荷量比αが2以上(α≧2)の場合、第2の実施形態と同様に、第3フレームにおいて遅延時間Tdから求めた算出した第3測定距離を測定距離とする。
【0138】
また、例えば、電荷蓄積部CS3及び電荷蓄積部CS4の各々に、反射光RLにより発生した電荷が光電変換素子PDから振り分けられる場合、距離演算部42は、電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3を電荷蓄積部CS4に蓄積される電荷量Q4で除算した電荷量比βを求める。
そして、距離演算部42は、第1フレーム周期における電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3を、予め設定した電荷蓄積部CS4に蓄積される電荷量Q4で除算した電荷量比βが予め設定した所定の閾値範囲内である場合、例えば、1/2を超え、かつ2未満である(1/2<β<2である)場合、第1フレーム周期で算出した遅延時間Tdから求めた第1測定距離を、対応する画素の距離とする。
【0139】
また、距離演算部42は、第1フレーム周期における電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3を、予め設定した電荷蓄積部CS4に蓄積される電荷量Q4で除算した電荷量比βが上記閾値範囲の外である場合、1/2以下(β≦1/2)の場合、第1の実施形態と同様に、第2フレームにおいて算出した第2測定距離を測定距離とする。
また、距離演算部42は、第1フレーム周期における電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3を、予め設定した電荷蓄積部CS4に蓄積される電荷量Q4で除算した電荷量比βが2以上(β≧2)の場合、第2の実施形態と同様に、第3フレームにおいて算出した第3測定距離を測定距離とする。
【0140】
そして、距離演算部42は、比α及び比βの各々と、閾値範囲とを比較することにより、第1フレーム周期で求めた第1測定距離、第2フレーム周期で求めた第2測定距離、第3フレーム周期で求めた第3測定距離のいずれを、距離画像撮像装置1と被写体Sとの距離として用いるかを判定している。
この結果、本実施形態によれば、
図5(c)に示すように、距離範囲501及び503は第1フレーム周期における第1測定距離を採用し、距離範囲502及び504は第2時レーム周期における第2測定距離を採用している。これにより、距離分解能の増加による距離の測定の精度の低下と測定する距離の増加とを線形に近い関係(実線の曲線403)とすることができ、測定する距離の精度を従来の第1フレーム周期のみの場合に比較して向上させることができる。
【0141】
また、この結果、本実施形態によれば、
図8(c)に示すように、距離範囲511及び513は第1フレーム周期における第1測定距離を採用し、距離範囲502は第2フレーム周期における第3測定距離を採用している。これにより、距離分解能の増加による距離の測定の精度の低下と測定する距離の増加とを線形に近い関係(実線の曲線413)とすることができ、測定する距離の精度を従来の第1フレーム周期のみの場合に比較して向上させることができる。
【0142】
また、距離の演算に用いる2個の電荷蓄積部CS、例えば電荷蓄積部CS2及びCS3において、一方の電荷蓄積部CS2の蓄積される電荷量Q2が0(最低値)に近づく場合、他方の電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3が最大値に近づく。
一方の電荷蓄積部CS2に対し、反射光RLにより光電変換素子PDで生成される電荷の全てが振り分けられる場合(電荷量Q2が最大値に近づく場合)、他方の電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3が最小値に近づく。
【0143】
このため、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を遅延させる、あるいは早めさせる時間をTo/2とすることにより、上記電荷量Q2、Q3のそれぞれは1:1の電荷量比に近づき、最も距離分解能が大きくて測定の精度が低い距離範囲を、最も距離分解能が小さくて測定の精度が高い距離範囲に変更することができる。
したがって、上記閾値は、1/2が最も望ましい値であるが、第2フレーム周期における蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を遅延、あるいは早めさせることにより距離分解能を改善することが可能であるため、任意の数値に設定する構成としてもよい。
【0144】
<第4の実施形態>
以下、本発明の第4の実施形態について、図面を参照して説明する。
第4の実施形態の距離画像撮像装置1の構成は、
図1に示す第1の実施形態と同様の構成である。以下、第4の実施形態においては、第1の実施形態と異なる動作のみを説明する。また、第4の実施形態においては、第1の実施形態と同様に、一個の撮像画像を撮像するために2個のフレーム周期を用いる。
しかしながら、第4の実施形態においては、第1フレーム周期及び第1フレーム周期との2個のフレーム周期を用いる場合と、第1フレーム周期及び第2フレーム周期(第1の実施形態)との2個のフレーム周期を用いる場合と、第1フレーム周期及び第3フレーム周期(第2の実施形態)との2個のフレーム周期を用いる場合との各々を、所定の条件により選択して距離画像を撮像する。
【0145】
距離画像センサ32において、予めフレーム周期の選択の判定を行う画素領域、すなわち画素回路321の領域(例えば、中央の画素領域)を判定領域として設定しておく。
この判定領域は、画素回路321において特に精度の高い測定を行いたい領域として、ユーザが任意に設定する。
そして、測定制御部43は、距離画像を撮像する2個のフレーム周期において、1個目のフレーム周期を第1フレームとして画素駆動回路322が動作するように、タイミング制御部41を制御する。
画素駆動回路322は、画素回路321の各々において、第1フレーム周期における蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を供給させ、光電変換素子PDから入射光により発生した電荷を、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4のそれぞれに振り分ける。
【0146】
以下、電荷蓄積部CS2及びCS3の各々に、反射光RLにより光電変換素子PDが生成した電荷が振り分けられる場合を説明する。
距離演算部42は、上述した判定領域における画素回路321の各々において、電荷蓄積部CS2に蓄積される電荷量Q2を、電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3により除算し、比αを算出する(第1の実施形態と同様)。
そして、距離演算部42は、判定領域における画素回路321の各々の比αの平均値を求め、平均比α’とする。
【0147】
ここで、距離演算部42は、平均比α’が1/2を超え、かつ2未満である(1/2<α<2)場合、第1及び第2の実施形態と同様に、第1フレーム周期において遅延時間Tdから求めた第1測定距離を算出する。
また、距離演算部42は、平均比α’が1/2<α<2であることを示す制御信号を、測定制御部43に対して出力する。
これにより、測定制御部43は、距離画像を撮像する2個のフレームにおいて、2個目のフレーム周期を第2フレーム周期として画素駆動回路322が動作するように、タイミング制御部41を制御する。
【0148】
距離演算部42は、2個目のフレーム周期における第1フレーム周期において遅延時間Tdから求めた第1測定距離を算出する。
この平均比α’が1/2<α’<2である場合、距離演算部42は、1個目の第1フレーム周期、2個目の第1フレーム周期のいずれかで求めた第1測定距離を、あるいは2個の第1フレーム周期で求めた第1測定距離の平均値を、距離画像撮像装置1と被写体Sとの距離とする。
【0149】
一方、距離演算部42は、平均比α’が1/2以下(α’≦1/2)である場合、第1及び第2の実施形態と同様に、第1フレーム周期において遅延時間Tdから求めた第1測定距離を算出する。
また、距離演算部42は、平均比α’がα’≦1/2であることを示す制御信号を、測定制御部43に対して出力する。
【0150】
これにより、測定制御部43は、距離画像を撮像する2個のフレームにおいて、2個目のフレーム周期を第2フレーム周期として画素駆動回路322が動作するように、タイミング制御部41を制御する。
距離演算部42は、2個目のフレーム周期における第2フレーム周期において遅延時間Tdから求めた第2測定距離を算出する。
そして、平均比α’がα’≦1/2である場合、距離演算部42は、2個目の第2フレーム周期で求めた第2測定距離を、距離画像撮像装置1と被写体Sとの距離とする。
【0151】
また、距離演算部42は、平均比α’が2以上(α≧2)である場合、第1及び第2の実施形態と同様に、第1フレーム周期において遅延時間Tdから求めた第1測定距離を算出する。
また、距離演算部42は、平均比α’がα’≧2であることを示す制御信号を、測定制御部43に対して出力する。
【0152】
これにより、測定制御部43は、距離画像を撮像する2個のフレームにおいて、2個目のフレーム周期を第3フレーム周期として画素駆動回路322が動作するように、タイミング制御部41を制御する。
距離演算部42は、2個目のフレーム周期における第3フレーム周期において遅延時間Tdから求めた第3測定距離を算出する。
そして、平均比α’がα’≧2である場合、距離演算部42は、2個目の第3フレーム周期で求めた第3測定距離を、距離画像撮像装置1と被写体Sとの距離とする。
【0153】
また、距離演算部42は、上述した判定領域における画素回路321の各々において、反射光RLにより光電変換素子PDで発生した電荷が電荷蓄積部CS3、CS4に振り分けられる場合、電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3を、電荷蓄積部CS4に蓄積される電荷量Q4により除算し、比βを算出する(第1の実施形態と同様)。
また、距離演算部42は、撮像画像を撮像する2個のフレーム周期において、1個目の第1フレーム周期での判定領域における画素回路321の各々の比βの平均値を求め、平均比β’とする。
【0154】
そして、距離演算部42は、平均比α’の場合と同様に、平均比β’と閾値と比較する処理を行い、第1測定距離を算出するとともに、比較結果を測定制御部43に出力する。
これにより、測定制御部43は、距離画像を撮像する2個のフレームにおいて、2個目のフレーム周期を第2フレーム周期あるいは第3フレーム周期として、画素駆動回路322が動作するように、タイミング制御部41を制御する。
そして、距離演算部42は、平均比α’の場合と同様に、距離画像における距離画像撮像装置1と被写体Sとの距離を求める。
【0155】
本実施形態によれば、上述した構成により、2個のフレーム周期における1個目の第1フレーム周期において、電荷蓄積部CSに蓄積される電荷量Qの平均比(α’あるいはβ’)と閾値との比較結果に対応して、2個目のフレーム周期として第1フレーム周期による稼働を選択した場合、距離範囲501及び503において第1フレーム周期における第1測定距離を採用し、一方、2個目のフレーム周期として第2フレーム周期による稼働を選択した場合、距離範囲502及び504において第2フレーム周期における第2測定距離を採用している。これにより、距離分解能の増加による距離の測定の精度の低下と測定する距離の増加とを線形に近い関係(実線の曲線403)とすることができ、測定する距離の精度を従来の第1フレーム周期のみの場合に比較して向上させることができる。
【0156】
同様に、本実施形態によれば、2個のフレーム周期における1個目の第1フレーム周期において、電荷蓄積部CSに蓄積される電荷量Qの平均比(α’あるいはβ’)と閾値との比較結果に対応して、2個目のフレーム周期として第1フレーム周期による稼働を選択した場合、
図8(c)に示すように、距離範囲511及び513において第1フレーム周期における第1測定距離を採用し、2個目のフレーム周期として第3フレーム周期による稼働を選択した場合、距離範囲502において第3フレーム周期における第3測定距離を採用している。これにより、距離分解能の増加による距離の測定の精度の低下と測定する距離の増加とを線形に近い関係(実線の曲線413)とすることができ、測定する距離の精度を従来の第1フレーム周期のみの場合に比較して向上させることができる。
【0157】
また、距離の演算に用いる2個の電荷蓄積部CS、例えば電荷蓄積部CS2及びCS3において、一方の電荷蓄積部CS2の蓄積される電荷量Q2が0(最低値)に近づく場合、他方の電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3が最大値に近づく。
一方の電荷蓄積部CS2に対し、反射光RLにより光電変換素子PDで生成される電荷の全てが振り分けられる場合(電荷量Q2が最大値に近づく場合)、他方の電荷蓄積部CS3に蓄積される電荷量Q3が最小値に近づく。
【0158】
このため、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を遅延させる、あるいは早めさせる時間をTo/2とすることにより、より高い測定精度が必要な判定領域に含まれる画素回路321の各々においては、上記電荷量Q2、Q3(あるいは電荷量Q3及びQ4)のそれぞれは1:1の電荷量比に近づき、最も距離分解能が低い距離範囲を、最も距離分解能が高い距離範囲に変更することができる。
したがって、上記閾値は、1/2が最も望ましい値であるが、撮像画像を撮像する2個のフレーム周期における1個目の第1フレーム周期で判定した結果に応じて、第2フレーム周期における蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を遅延、あるいは早めさせることにより距離分解能を改善することが可能であるため、任意の数値に設定する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0159】
1…距離画像撮像装置
2…光源部
3…受光部
21…光源装置
22…拡散板
31…レンズ
32…距離画像センサ(距離画像撮像素子)
321…画素回路
322…画素駆動回路
4…距離画像処理部
41…タイミング制御部
42…距離演算部
43…測定制御部
CS1,CS2,CS3,CS4…電荷蓄積部
FD1,FD2,FD3,FD4…フローティングディフュージョン
G1,G2,G3,G4…読み出しゲートトランジスタ
GD…電荷排出トランジスタ
PD…光電変換素子
PO…光パルス
RL…反射光
RT1,RT2,RT3,RT4…リセットトランジスタ
S…被写体
SF1,SF2,SF3,SF4…ソースフォロアトランジスタ
SL1,SL2,SL3,SL4…選択トランジスタ