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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191804
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】回路構造体
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20221221BHJP
   H05K 7/06 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
H05K7/20 B
H05K7/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100255
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】後藤 秀紀
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA02
5E322AA03
5E322AB01
5E322AB08
5E322EA10
(57)【要約】
【課題】バスバーの幅を広げ、又は厚みを厚くすることなく、放熱性を高めることができる回路構造体を提供する。
【解決手段】複数の端子を有するリレー3を備える車両用の回路構造体100であって、一面にリレー3が実装された絶縁板材10と、絶縁板材10の他面に設けられた第1放熱板材4とを備え、絶縁板材10には、リレー3の第1端子31と接続された第1バスバー21が収容される第1貫通孔11が形成されており、第1バスバー21は第1放熱板材4と接触している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端子を有する回路素子を備える車両用の回路構造体であって、
一面に前記回路素子が実装された絶縁板材と、
前記絶縁板材の他面に設けられた第1放熱板材とを備え、
前記絶縁板材には、前記回路素子の第1端子と接続された第1バスバーが収容される第1貫通孔が形成されており、
前記第1バスバーは前記第1放熱板材と接触している回路構造体。
【請求項2】
前記絶縁板材には、第2貫通孔が形成されており、
前記第2貫通孔を介して、前記第1放熱板材が、前記絶縁板材の一面側から露出されている請求項1に記載の回路構造体。
【請求項3】
前記絶縁板材の前記一面には、前記回路素子の第2端子と接続する第2バスバーが載置される凹部が形成されている請求項1又は2に記載の回路構造体。
【請求項4】
前記第2バスバーは前記第2端子との接続に用いられる接続用貫通孔を有し、
前記凹部の底には、前記接続用貫通孔に対応する位置に第3貫通孔が形成され、
前記絶縁板材の前記他面には前記第3貫通孔の縁に沿ってリブが突設されており、
前記第1放熱板材は前記リブが内嵌される嵌合貫通孔を有する請求項3に記載の回路構造体。
【請求項5】
前記回路素子の動作時、前記第1端子は前記第2端子よりも高い熱を発する請求項3又は4に記載の回路構造体。
【請求項6】
前記絶縁板材には、前記回路素子の第2端子と接続された第2バスバーが収容される第4貫通孔が形成され、
前記第4貫通孔には、前記第2バスバーと接触する第2放熱板材が収容されており、
前記絶縁板材の前記他面では、前記第1放熱板材及び前記第2放熱板材の間に絶縁条が介在している請求項1又は2に記載の回路構造体。
【請求項7】
前記回路素子の動作時、前記第1端子は前記第2端子よりも高い熱を発し、
前記第1放熱板材は前記第2放熱板材よりも大きい請求項6に記載の回路構造体。
【請求項8】
前記第1放熱板材は導電性を有する請求項1から7のいずれか一項に記載の回路構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バスバーを備える回路構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、比較的大きな電流を導通させるためにバスバーを用いた回路を有する回路構造体が車両に搭載されている。また、近年は、車両機能の拡大に伴い、使用される電流の値も大きくなりつつある。
【0003】
特許文献1には、開閉可能な接点と、該接点の開閉を切り替える励磁コイルとを有するリレーを備え、該リレーの接点をバスバーと電気的に接続し、該バスバーに放熱機構を備えることで、バスバーを電流経路と放熱経路とに兼用できる電源装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-79093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、使用電流値の上昇に比例して電気抵抗も大きくなるので、回路素子及びバスバーにおける発熱量の増加を招く。これに対しては、放熱性を高めるために、バスバーの幅を広げる手法、又は厚みを厚くする手法が一般に採用されている。
【0006】
しかしながら、幅が広いバスバー又は厚みが厚いバスバーは加工が困難であるので、大量生産が容易ではなく、加工費が高くなるうえに、歩留まりも低いという問題がある。
しかしながら、特許文献1に係る電源装置は、このような問題に対して考慮されておらず、解決できない。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、バスバーの幅を広げ、又は厚みを厚くすることなく、放熱性を高めることができる回路構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の実施形態に係る回路構造体は、複数の端子を有する回路素子を備える車両用の回路構造体であって、一面に前記回路素子が実装された絶縁板材と、前記絶縁板材の他面に設けられた第1放熱板材とを備え、前記絶縁板材には、前記回路素子の第1端子と接続された第1バスバーが収容される第1貫通孔が形成されており、前記第1バスバーは前記第1放熱板材と接触している。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、バスバーの幅を広げ、又は厚みを厚くすることなく、放熱性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1の回路構造体の一例を例示する斜視図である。
図2】実施形態1の回路構造体を、絶縁板材の他面側から示す斜視図である。
図3】実施形態1の回路構造体の分解図である。
図4図1のIV-IV線による断面図である。
図5】実施形態2の回路構造体の一例を例示する斜視図である。
図6】実施形態2の回路構造体を、絶縁板材の他面側から示す斜視図である。
図7】実施形態2の回路構造体の分解図である。
図8】実施形態2の回路構造体の一部を省略して示す斜視図である。
図9】実施形態2の回路構造体の変形例1を示す斜視図である。
図10】実施形態2の回路構造体の変形例2を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0012】
(1)本開示の実施形態に係る回路構造体は、複数の端子を有する回路素子を備える車両用の回路構造体であって、一面に前記回路素子が実装された絶縁板材と、前記絶縁板材の他面に設けられた第1放熱板材とを備え、前記絶縁板材には、前記回路素子の第1端子と接続された第1バスバーが収容される第1貫通孔が形成されており、前記第1バスバーは前記第1放熱板材と接触している。
【0013】
本実施形態にあっては、前記絶縁板材の前記第1貫通孔には、前記第1バスバーが収容され、かつ前記第1バスバーは前記第1放熱板材と接触している。従って、前記回路素子が発する熱は前記第1端子及び前記第1バスバーを介して前記第1放熱部材に直接的に伝わり、放熱される。
【0014】
(2)本開示の実施形態に係る回路構造体は、前記絶縁板材には、第2貫通孔が形成されており、前記第2貫通孔を介して、前記第1放熱板材が、前記絶縁板材の一面側から露出されている。
【0015】
本実施形態にあっては、前記第1放熱板材が、前記第2貫通孔を介して、前記絶縁板材の一面側から外部に露出されている。従って、前記回路素子が発する熱は前記第1バスバーを介して前記第1放熱部材に伝わり、前記第2貫通孔を介して空冷される。
【0016】
(3)本開示の実施形態に係る回路構造体は、前記絶縁板材の前記一面には、前記回路素子の第2端子と接続する第2バスバーが載置される凹部が形成されている。
【0017】
本実施形態にあっては、前記絶縁板材の前記凹部には、前記第2バスバーが載置されている。従って、前記回路素子が発する熱は前記第2端子を介して前記第2バスバーに伝わり、その後、前記凹部の底を通って前記第1放熱部材に伝わり、放熱される。
【0018】
(4)本開示の実施形態に係る回路構造体は、前記第2バスバーは前記第2端子との接続に用いられる接続用貫通孔を有し、前記凹部の底には、前記接続用貫通孔に対応する位置に第3貫通孔が形成され、前記絶縁板材の前記他面には前記第3貫通孔の縁に沿ってリブが突設されており、前記第1放熱板材は前記リブが内嵌される嵌合貫通孔を有する。
【0019】
本実施形態にあっては、前記凹部の底に前記第3貫通孔が形成され、前記第3貫通孔の前記リブが前記第1放熱板材の前記嵌合貫通孔に内嵌される。よって、たとえ、前記第2バスバーの前記接続用貫通孔にネジを通して前記第2バスバーと前記第2端子とを接続させた場合でも、斯かるネジが前記第3貫通孔の前記リブによって取り囲まれ、前記第1放熱板材から絶縁される。
【0020】
(5)本開示の実施形態に係る回路構造体は、前記回路素子の動作時、前記第1端子は前記第2端子よりも高い熱を発する。
【0021】
本実施形態にあっては、前記回路素子の動作時、前記第1端子が前記第2端子よりも高い熱を発するのに備え、前記第1端子の熱を前記第1バスバーから前記第1放熱部材に直接的伝え、前記第2端子の熱を前記第2バスバーから前記凹部の底を介して前記第1放熱部材に間接的に伝える。従って、前記第2端子よりも高い熱を発する前記第1端子を重点的に放熱できる。
【0022】
(6)本開示の実施形態に係る回路構造体は、前記絶縁板材には、前記回路素子の第2端子と接続された第2バスバーが収容される第4貫通孔が形成され、前記第4貫通孔には、前記第2バスバーと接触する第2放熱板材が収容されており、前記絶縁板材の前記他面では、前記第1放熱板材及び前記第2放熱板材の間に絶縁条が介在している。
【0023】
本実施形態にあっては、前記絶縁板材の前記第4貫通孔には、前記第2バスバーが収容され、かつ前記第2バスバーは前記第2放熱板材と接触している。従って、前記回路素子が発する熱は前記第2端子及び前記第2バスバーを介して前記第2放熱部材に直接的に伝わり、放熱される。また、前記第1放熱部材及び前記第2放熱部材は前記絶縁条によって絶縁される。
【0024】
(7)本開示の実施形態に係る回路構造体は、前記回路素子の動作時、前記第1端子は前記第2端子よりも高い熱を発し、前記第1放熱板材は前記第2放熱板材よりも大きい。
【0025】
本実施形態にあっては、前記回路素子の動作時、前記第1端子が前記第2端子よりも高い熱を発するのに備え、前記第1バスバーを介して前記第1端子の熱が伝わる前記第1放熱部材の大きさを、前記第2バスバーを介して前記第2端子の熱が伝わる前記第2放熱部材の大きさよりも大きくしている。従って、前記第2端子よりも高い熱を発する前記第1端子を重点的に放熱できる。
【0026】
(8)本開示の実施形態に係る回路構造体は、前記第1放熱板材は導電性を有する。
【0027】
本実施形態にあっては、例えば、複数の回路素子の前記第1端子同士又は前記第2端子同士を直列接続するような場合、前記第1放熱板材が導電性を有するので、前記第1放熱板材又は前記第2放熱板材を介した前記第1端子同士又は前記第2端子同士を電気的に接続させることが可能である。よって、前記第1端子及び前記第1放熱板材の間に介在する前記第1バスバー、及び前記第2端子及び前記第2放熱板材の間に介在する前記第2バスバーを部分的に省くことができる。
【0028】
[本発明の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る回路構造体を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0029】
(実施形態1)
図1は、実施形態1の回路構造体100の一例を例示する斜視図である。回路構造体100は車両に実装される。回路構造体100は、例えば、矩形の絶縁板材10を有しており、絶縁板材10の一面にはリレー3(回路素子)が例えば2つ実装されている。絶縁板材10は絶縁性を有する樹脂からなる。
【0030】
図2は、実施形態1の回路構造体100を、絶縁板材10の他面側から示す斜視図であり、図3は、実施形態1の回路構造体100の分解図であり、図4は、図1のIV-IV線による断面図である。
【0031】
各リレー3は、絶縁板材10の一面に沿って延び、短冊形状をなす、第1端子31及び第2端子32を有している。リレー3は、例えば、車両を走行させる状態でON状態に切り換えられ、車両を走行させない状態ではOFF状態に切り換えられる。リレー3の動作時、第1端子31は第2端子32よりも高い熱を発する。第1端子31及び第2端子32の端部には、夫々、貫通孔311及び貫通孔321が夫々形成されている。リレー3は、第1端子31及び第2端子32を用いて絶縁板材10にネジ止めされている。
【0032】
絶縁板材10には、リレー3の第1端子31及び第2端子32と接続しているバスバー2が設けられている。第1端子31は第1バスバー21と接続しており、第2端子32は第2バスバー22と接続している。2つのリレー3の第1端子31は共に第1バスバー21と接続している。即ち、絶縁板材10には、1つの第1バスバー21と、2つの第2バスバー22とが設けられている。第1バスバー21及び第2バスバー22は、通電性の良い金属製板材から製作されている。第1バスバー21及び第2バスバー22は、例えば銅製である。図1では図示を省略しているが、第1バスバー21及び第2バスバー22は、他の回路素子又は回路と電気的に接続している。
【0033】
絶縁板材10には、厚み方向に貫通する第1貫通孔11が形成されている。第1貫通孔11は、第1バスバー21の形状に対応する形状を成している。第1貫通孔11には、第1バスバー21が絶縁板材10の一面側から収容されている。即ち、第1バスバー21の一面が絶縁板材10の一面から露出されている。第1バスバー21の他面は後述する第1放熱板材4と接触している。
また、第1バスバー21には、各リレー3の第1端子31の貫通孔311と対応する位置に、第1バスバー21を厚み方向に貫通する貫通孔211が夫々形成されている(図3参照)。
【0034】
また、絶縁板材10には、厚み方向に貫通する第2貫通孔12が形成されている。第2貫通孔12は例えば矩形であり、リレー3の第1端子31の近傍に形成されている。第2貫通孔12を介して第1放熱板材4が絶縁板材10の一面から露出されている。
【0035】
図3に示すように、絶縁板材10の一面には、凹部14が2個所に形成されている。凹部14は、第2バスバー22の形状に対応する形状を成しており、凹部14内に、第2バスバー22が夫々収容されている。また、各第2バスバー22には、各リレー3の第2端子32の貫通孔321と対応する位置に、第2バスバー22を厚み方向に貫通する貫通孔221(接続用貫通孔)が形成されている。
【0036】
また、各凹部14の底には、第2バスバー22の貫通孔221と対向する位置に、絶縁板材10を厚み方向に貫通する第3貫通孔13が形成されている。また、第3貫通孔13においては、絶縁板材10の他面側の縁にリブ15が周設されている(図2及び図4参照)。換言すれば、リブ15は円筒形状である。リレー3の貫通孔321、第2バスバー22の貫通孔221及び凹部14の第3貫通孔13(リブ15)は絶縁板材10の厚み方において整合しており、第3貫通孔13の径が最も大きく、後述するナット51の径よりも大きい。
【0037】
図2に示すように、絶縁板材10の他面には、略全面に亘る凹部18が形成されており、凹部18内に第1放熱板材4が設けられている。第1放熱板材4は絶縁板材10に倣う矩形であり、絶縁板材10よりも少し小さい。即ち、第1放熱板材4は、絶縁板材10の他面の大部分を覆っており、第1放熱板材4の一面が絶縁板材10の他面から露出されている。また、上述の如く、第1放熱板材4の他面の一部が第2貫通孔12を介して絶縁板材10の一面から露出されている。第1放熱板材4は導電性であり、優れた熱伝導性を有しており、例えば、第1バスバー21及び第2バスバー22と同じ材料(銅)からなる。
【0038】
第1放熱板材4には、凹部14の第3貫通孔13に対応する位置に、厚み方向に貫通する貫通孔41(嵌合貫通孔)が形成されている。貫通孔41は、第3貫通孔13よりも径が大きく、貫通孔41には第3貫通孔13のリブ15が内嵌されている。
【0039】
また、上述の如く、第1放熱板材4の他面は第1バスバー21と接触している。第1放熱板材4において、第1バスバー21の貫通孔211に対応する位置には、厚み方向に貫通する貫通孔42が形成されている。
【0040】
組み立ての際には、ネジ50を各リレー3の第1端子31の貫通孔311から挿入し、第1バスバー21の貫通孔211及び第1放熱板材4の貫通孔42を通して、ナット51に螺合させる。また、他のネジ50を各リレー3の第2端子32の貫通孔321から挿入し、第2バスバー22の貫通孔221と、凹部14の第3貫通孔13及びリブ15とを通して、ナット51に螺合させる。
【0041】
この際、リレー3の第1端子31は第1バスバー21と電気的に接続し、第1バスバー21は第1放熱板材4と接触する。また、リレー3の第2端子32は第2バスバー22と電気的に接続し、第2バスバー22と第1放熱板材4との間には絶縁板材10(凹部14)が介在している。上述の如く、第1バスバー21が第1放熱板材4と接触しており、第2バスバー22がナット51と接触しているものの、図2及び図4に示すように、第2バスバー22に係るナット51はリブ15内に位置されている。よって、斯かるナット51と第1放熱板材4との間には十分な空間距離及び沿面距離が確保でき、絶縁されている。
【0042】
以上のような構成を有する実施形態1の回路構造体100では、動作時にリレー3が発熱した場合、熱は第1端子31及び第2端子32を介して夫々第1バスバー21及び第2バスバー22に伝わる。
【0043】
第1バスバー21に伝わった熱は、第1バスバー21に第1放熱板材4が接触しているので、第1放熱板材4に伝わり、第1放熱板材4の一面から空冷される。また、第2バスバー22に伝わった熱は、絶縁板材10(凹部14の底)を介して第1放熱板材4に伝わり、第1放熱板材4の一面から空冷される。
【0044】
上述の如く、第1放熱板材4は、優れた熱伝導性を有しており、絶縁板材10の大部分を覆う一面が外部に露出されているので、リレー3の熱を効率的に放熱できる。
【0045】
更に、第1バスバー21及び第2バスバー22を介して第1放熱板材4に伝わった熱の一部は、第2貫通孔12を介して第1放熱板材4の他面からも空冷される。
【0046】
そして、実施形態1の回路構造体100では、第1端子31は第1バスバー21を介して第1放熱板材4と直接的に接触し、第2端子32は絶縁板材10を介して間接的に第1放熱板材4と接触している。よって、リレー3の動作時に第2端子32よりも高い熱が発せられる第1端子31の熱を重点的に放熱でき、一層効率的にリレー3の熱を放熱することができる。
【0047】
以上により、バスバーの放熱性を高めるために、バスバーの幅又は厚みを厚くする必要が無くなる。従って、実装可能なバスバーの数が増え、回路構造体100をコンパクト化でき、かつ回路構造体100の製造コストを低減できる。
【0048】
以上においては、第1放熱板材4が絶縁板材10の他面に形成された凹部18に設けられた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えは、インサート成形を用いて、絶縁板材10の他面に第1放熱板材4を設けても良い。
【0049】
また、以上においては、第2貫通孔12が一つ形成された場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、複数設けても良い。
【0050】
(実施形態2)
図5は、実施形態2の回路構造体100の一例を例示する斜視図であり、図6は、実施形態2の回路構造体100を、絶縁板材10の他面側から示す斜視図であり、図7は、実施形態2の回路構造体100の分解図である。
【0051】
実施形態1と同様に、実施形態2の回路構造体100は、矩形の絶縁板材10を有しており、絶縁板材10の一面には2つのリレー3が実装されている。各リレー3は第1端子31及び第2端子32を有している。第1端子31は第1バスバー21と接続しており、第2端子32は第2バスバー22と接続している。絶縁板材10には、1つの第1バスバー21と、2つの第2バスバー22とが設けられており、2つのリレー3の第1端子31は共に第1バスバー21と接続しており、各第2端子32は夫々異なる第2バスバー22に接続している。
【0052】
実施形態2の回路構造体100において、第1バスバー21は、途中に、屈曲部212を有しており、屈曲部212は絶縁板材10の一面から離隔されている。即ち、絶縁板材10には、厚み方向に貫通する第1貫通孔11が形成されており、第1貫通孔11には、第1バスバー21が絶縁板材10の一面側から収容されているが、屈曲部212は第1貫通孔11に収容されていない。詳しくは、屈曲部212は略倒立のU字形状を成しており、中央部が絶縁板材10の一面から所定間隔離れている。第1バスバー21において、第1貫通孔11に収容された部分は第1放熱板材4Aの他面と接触している。
【0053】
また、絶縁板材10には、厚み方向に貫通する第2貫通孔12が形成されており、第2貫通孔12を介して第1放熱板材4Aが絶縁板材10の一面から露出されている。
【0054】
更に、絶縁板材10の一面には、第4貫通孔17が2個所に形成されている。第4貫通孔17は、第2バスバー22の形状に対応する形状を成している。各第4貫通孔17には、第2バスバー22が絶縁板材10の一面側から夫々収容されている。これによって、第2バスバー22の一面が絶縁板材10の一面から露出されており、他面は後述する第2放熱板材4Bと接触している。
【0055】
図6に示すように、絶縁板材10の他面には、凹部18Aが形成されており、凹部18A内に第1放熱板材4Aが設けられている。凹部18Aは第1放熱板材4Aに倣う形状を成している。凹部18Aは、絶縁板材10の他面の一部に設けられており、第1放熱板材4Aの一面が絶縁板材10の他面から露出されている。即ち、絶縁板材10の他面には、第4貫通孔17が開口しているので、凹部18Aは、第4貫通孔17が形成されていない部分に形成されている。
【0056】
また、各第4貫通孔17には、第2放熱板材4Bが絶縁板材10の他面側から夫々収容されている。第2放熱板材4Bは、第4貫通孔17の形状に対応する形状を成しており、第2放熱板材4Bの大きさは第1放熱板材4Aよりも小さい。そして、第2放熱板材4Bは、優れた熱伝導性を有しており、例えば、第1バスバー21及び第2バスバー22と同じ材料(銅)からなる。第2放熱板材4Bの一面は絶縁板材10の他面から露出されており、他面は第2バスバー22と接触している。
なお、各第2放熱板材4Bにおいて、第2バスバー22の貫通孔221に対応する位置には、厚み方向に貫通する貫通孔43が夫々形成されている。
【0057】
更に、絶縁板材10の他面には、第2放熱板材4B及び第1放熱板材4Aの間と、第2放熱板材4B同士の間とに絶縁のため絶縁条16が突設されている。換言すれば、絶縁板材10の他面には、第4貫通孔17の縁に沿って絶縁条16が周設されている。
【0058】
図8は、実施形態2の回路構造体100の一部を省略して示す斜視図である。図8では、便宜上、リレー3及びネジ50の図示を省略している。
実施形態2の回路構造体100においては、上述の如く、第1バスバー21が、絶縁板材10の一面から所定間隔離れている屈曲部212を有するので、例えば、絶縁板材10の一面上に障害物(図8の一点鎖線部参照)等が存在する場合、斯かる障害物を迂回して第1バスバー21を組み込むことができる。
【0059】
組み立ての際には、ネジ50を各リレー3の第1端子31の貫通孔311から挿入し、第1バスバー21の貫通孔211及び第1放熱板材4Aの貫通孔42を通して、ナット51に螺合させる。また、他のネジ50を各リレー3の第2端子32の貫通孔321から挿入し、第2バスバー22の貫通孔221と、第2放熱板材4Bの貫通孔43とを通して、ナット51に螺合させる。
【0060】
この際、リレー3の第1端子31は第1バスバー21と電気的に接続し、第1バスバー21は第1放熱板材4Aと接触する。また、リレー3の第2端子32は第2バスバー22と電気的に接続し、第2バスバー22は第2放熱板材4Bと接触する。
【0061】
以上のような構成を有する実施形態2の回路構造体100では、動作時にリレー3が発熱した場合、熱は第1端子31及び第2端子32を介して夫々第1バスバー21及び第2バスバー22に伝わる。
【0062】
第1バスバー21に伝わった熱は、第1バスバー21に第1放熱板材4Aが接触しているので、第1放熱板材4Aに伝わり、第1放熱板材4Aの一面から空冷される。また、第2バスバー22に伝わった熱は、第2バスバー22に第2放熱板材4Bが接触しているので、第2放熱板材4Bに伝わり、第2放熱板材4Bの一面から空冷される。よって、リレー3の熱を効率的に放熱できる。
更に、第1バスバー21及び第2バスバー22を介して第1放熱板材4Aに伝わった熱の一部は、第2貫通孔12を介して第1放熱板材4Aの他面からも空冷される。
【0063】
そして、実施形態2の回路構造体100では、第2端子32よりも高い熱が発せられる第1端子31には第1バスバー21を介して第1放熱板材4Aが接続しており、第2端子32には第2バスバー22を介して第2放熱板材4Bが接続している。かつ、第1放熱板材4Aの大きさが第2放熱板材4Bよりも大きい。よって、リレー3の動作時に第2端子32よりも高い熱が発せられる第1端子31の熱を重点的に放熱でき、一層効率的にリレー3の熱を放熱することができる。
【0064】
以上により、バスバーの放熱性を高めるために、バスバーの幅又は厚みを厚くする必要が無くなる。従って、回路構造体100をコンパクト化でき、かつ回路構造体100の製造コストを低減できる。
【0065】
(変形例1)
図9は、実施形態2の回路構造体100の変形例1を示す斜視図である。図9では、便宜上、リレー3及び第2バスバー22の図示を省略している。
以上においては、回路構造体100にて、第1バスバー21が絶縁板材10の一面から所定間隔離れている屈曲部212を有し、絶縁板材10の一面上に障害物(図8の一点鎖線部参照)等が存在する場合でも、斯かる障害物を迂回して第1バスバー21を組み込むことができることについて説明した。
これに対して、変形例1に係る回路構造体100においては、第1バスバー21が、屈曲部212を有しておらず、屈曲部212に相当する部分が取り除かれて2つの部分に分けられている。
【0066】
しかし、上述の如く、第1放熱板材4Aが導電性であり、二分された第1バスバー21の両部分が何れも第1放熱板材4Aと接触しており、電気的にも第1放熱板材4Aに接続している。よって、屈曲部212が取り除かれて第1バスバー21が二分されても、離れた部分同士は第1放熱板材4Aを介して電気的に繋がっており、何ら妨げにならない。
【0067】
従って、変形例1に係る回路構造体100は、屈曲部212が取り除かれたより簡単な構成にて、絶縁板材10の一面上に存在する障害物(図9の一点鎖線部参照)に対応することができる。
【0068】
(変形例2)
図10は、実施形態2の回路構造体100の変形例2を示す斜視図である。図10では、便宜上、リレー3及び第2バスバー22の図示を省略している。
上述の変形例1においては、回路構造体100が、屈曲部212が取り除かれたより簡単な構成を有する場合について説明した。
これに対して、変形例2に係る回路構造体100においては、第1バスバー21が屈曲部212を有しないうえに、第1バスバー21が3つ以上の複数の部分に分けられている。例えば、第1バスバー21は、各リレー3の第1端子31と接続する部分を含む4つの部分に分かれており、部分同士が所定間隔を隔てて散在している。これによって、第1貫通孔11を介して第1放熱板材4Aの所定領域(図10破線で囲まれた領域参照)が絶縁板材10の一面から露出されている。
【0069】
しかし、上述の如く、第1放熱板材4Aが導電性であり、第1バスバー21の各部分が何れも第1放熱板材4Aと接触しているので、電気的にも第1放熱板材4Aに接続している。よって、第1バスバー21の各部分同士は第1放熱板材4Aを介して電気的に繋がっており、何ら妨げにならない。
【0070】
よって、変形例2に係る回路構造体100においては、第1放熱板材4Aの斯かる露出領域に相当する部分だけ第1バスバー21が省かれる。従って、回路構造体100の軽量化及びコスト削減を図ることができる。
【0071】
なお、以上の記載に限定されるものではなく、各リレー3の第1端子31を共に、第1放熱板材4Aに直接接続させ、第1バスバー21を省く構成であっても良い。
【0072】
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0073】
実施の形態1-2で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
3 リレー
4,4A 第1放熱板材
4B 第2放熱板材
10 絶縁板材
11 第1貫通孔
12 第2貫通孔
13 第3貫通孔
14 凹部
15 リブ
16 絶縁条
17 第4貫通孔
18 凹部
21 第1バスバー
22 第2バスバー
31 第1端子
32 第2端子
41 貫通孔(嵌合貫通孔)
42 貫通孔
51 ナット
100 回路構造体
211 貫通孔
212 屈曲部
221 貫通孔(接続用貫通孔)
321 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10