(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191824
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】ロータリースイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 19/00 20060101AFI20221221BHJP
H01H 19/11 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
H01H19/00 Y
H01H19/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100281
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】390025623
【氏名又は名称】共立電気計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】河本 理
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良一
(72)【発明者】
【氏名】和田 篤
【テーマコード(参考)】
5G219
【Fターム(参考)】
5G219HT02
5G219HU05
5G219KS08
(57)【要約】
【課題】スイッチとしての信頼性を向上させ得るロータリースイッチを提供する。
【解決手段】ロータリースイッチ1は、プリント基板2に対して回動自在に軸支された操作軸3と一体に回動するレンジノブ4を利用者が回動操作して、所望のレンジに切り替える。操作軸3と一体に形成された被検知部5の回転位置被検出体51におけるスリットの有無を回転位置検出用フォトインタラプタ61で検出して、レンジの切り替えを判断する。このときの状態被検出体52におけるスリットの有無を第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cで検出し、検出信号のON/OFFの組み合わせから切り替えられたレンジを特定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部に対して回動自在に軸支された操作軸と一体に回転するつまみ部を備え、前記つまみ部を回転させることで、予め設定したn種類(nは2以上の自然数)の機能状態の何れか一つを選択できるロータリースイッチであって、
前記操作軸と一体に回転し、且つ前記固定部と対向する被検知面を有する被検知部を備え、
前記被検知部には、
前記被検知面より前記固定部に向かって突出し、回転中心から等距離となる円弧状の壁体であり、前記つまみ部を回転させて何れか1つの前記機能状態を選択した回転位置の指標となる回転位置特定スリットが、n種類の前記機能状態にそれぞれ対応して設けられた回転位置被検出体と、
前記被検知面より前記固定部に向かって突出し、前記回転中心から等距離となる円弧状の壁体であり、その所要位置に複数の状態特定スリットが設けられた状態被検出体と、
を設け、
前記状態被検出体の前記状態特定スリットは、前記回転位置被検出体の各回転位置特定スリットに対して相対位置が同じになる複数の状態特定箇所における前記状態特定スリットの有無の組み合わせが、前記つまみ部を回転させて選択した前記機能状態を特定できる状態情報となる所要位置に形成し、
前記固定部には、
前記回転位置被検出体を挟んで投光部と受光部が対向するように配置され、前記回転位置特定スリットの有無に応じた回転位置特定信号を出力する回転位置検出用フォトインタラプタと、
前記回転位置検出用フォトインタラプタの配置箇所に対応する複数の前記状態特定箇所それぞれに、前記状態被検出体を挟んで前記投光部と前記受光部が対向するように配置され、前記状態特定スリットの有無に応じた状態信号を出力する複数の状態検出用フォトインタラプタと、
を設け、
前記回転位置検出用フォトインタラプタが前記回転位置被検出体の前記回転位置特定スリットを検出したときの前記回転位置特定信号に基づいて全ての前記状態検出用フォトインタラプタから前記状態信号を取得し、全ての前記状態信号の組み合わせである前記状態情報に基づいて、前記つまみ部を回転させて選択した前記機能状態を特定する制御部を備えることを特徴とするロータリースイッチ。
【請求項2】
前記回転位置被検出体に設けられた各回転位置特定スリットが前記回転位置検出用フォトインタラプタにより検出されるタイミングより前に、前記状態検出用フォトインタラプタにより検出可能な位置に到達しているスリット幅の前記状態特定スリットを前記状態被検出体に設けたことを特徴とする請求項1に記載のロータリースイッチ。
【請求項3】
前記制御部は、前記回転位置検出用フォトインタラプタが前記回転位置被検出体の前記回転位置特定スリットを検出してから、前記回転位置検出用フォトインタラプタが前記回転位置被検出体の前記回転位置特定スリットを検出しなくなるまでの機能状態選択期間を前記回転位置特定信号に基づいて認識し、前記機能状態選択期間中は、予め定めた所定期間毎に、全ての前記状態検出用フォトインタラプタから前記状態信号を取得して、選択中の前記機能状態を特定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のロータリースイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定部に対して回動自在に軸支された操作軸と一体に回転するつまみ部を備え、前記つまみ部を回転させることで、予め設定した複数種類の機能状態の何れか一つを選択できるロータリースイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
広汎に使用されているロータリースイッチは、人為的に回転操作するつまみ部と一体に回転する摺動子が、同心円上に複数設けられた固定接点に順次接触して行くことで、摺動子と接触している固定接点に応じた回路が選択(あるいは信号が出力)される。すなわち、ロータリースイッチを用いれば、つまみ部を回転させることにより選択した回路(あるいは出力される信号)から、複数種類の機能状態の一つを特定できるので、機能状態の切り替えを簡便に行える。
【0003】
例えば、テスターなどの電気計測器では、プリント基板にロータリースイッチが実装されており、外装カバーから露出させたつまみ部を回転操作することで、計測レンジの切り替えを行うことができる。しかしながら、電気計測器のプリント基板上に実装されたロータリースイッチは、導電性金属の摺動子が基板上の固定接点に押し付けられ、擦れながら回転して行くため、長期間の使用によって、摺動子および固定接点の変形や摩耗が問題となる。摩耗によって摺動子あるいは固定接点の表面からメッキ等が剥がれると、錆や腐食によって接続不良が生ずる可能性があるため、摺動面には接点グリスの塗布が必要であった。また、摺動子と固定接点との間にゴミ等が付着すると、非導通状態になるため、つまみ部の回転による機能状態の切り替えができなくなり、誤動作の原因になっていた。
【0004】
そこで、つまみ部を回すときに、摺動子と固定接点が擦れて変形や摩耗が生じることを抑制できるロータリースイッチが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載のロータリースイッチは、ダイヤルと一体に回転する湾曲状のアーム部に移動接点を設けておき、ダイヤル部がモード決定位置にあるときは、アーム部の弾性力で移動接点が基板表面へ押圧されており、基板の固定接点に移動接点が接触した状態を保持できる。そして、ダイヤル部をモード決定位置から動かすと、アーム部が圧縮変形して移動接点を基板表面から一旦浮き上がらせ、ダイヤル部が隣接するモード決定位置に近づくとアーム部が元の形状に戻って行き、再び移動接点が基板表面へ押圧される状態に戻る。すなわち、特許文献1に記載のロータリースイッチでは、ダイヤル部を回す操作を行っても、移動接点が基板上を摺動することがないので、移動接点の摺動によって移動接点および固定接点が摩耗することを防げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に記載のロータリースイッチでは、移動接点が固定接点を直接削り取ることは無いものの、長期間の使用によってアーム部や移動接点が変形あるいは破損してしまうと、移動接点と固定接点との接触不良が生じてしまう。すなわち、特許文献1に記載のロータリースイッチにおいても、移動接点と固定接点との物理的接触を伴う構造であるため、使用材料の耐久性に限界があり、スイッチとしての信頼性を向上させるのは困難である。
【0007】
そこで、本発明は、スイッチとしての信頼性を向上させ得るロータリースイッチの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、固定部に対して回動自在に軸支された操作軸と一体に回転するつまみ部を備え、前記つまみ部を回転させることで、予め設定したn種類(nは2以上の自然数)の機能状態の何れか一つを選択できるロータリースイッチであって、前記操作軸と一体に回転し、且つ前記固定部と対向する被検知面を有する被検知部を備え、前記被検知部には、前記被検知面より前記固定部に向かって突出し、回転中心から等距離となる円弧状の壁体であり、前記つまみ部を回転させて何れか1つの前記機能状態を選択した回転位置の指標となる回転位置特定スリットが、n種類の前記機能状態にそれぞれ対応して設けられた回転位置被検出体と、前記被検知面より前記固定部に向かって突出し、前記回転中心から等距離となる円弧状の壁体であり、その所要位置に複数の状態特定スリットが設けられた状態被検出体と、を設け、前記状態被検出体の前記状態特定スリットは、前記回転位置被検出体の各回転位置特定スリットに対して相対位置が同じになる複数の状態特定箇所における前記状態特定スリットの有無の組み合わせが、前記つまみ部を回転させて選択した前記機能状態を特定できる状態情報となる所要位置に形成し、前記固定部には、前記回転位置被検出体を挟んで投光部と受光部が対向するように配置され、前記回転位置特定スリットの有無に応じた回転位置特定信号を出力する回転位置検出用フォトインタラプタと、前記回転位置検出用フォトインタラプタの配置箇所に対応する複数の前記状態特定箇所それぞれに、前記状態被検出体を挟んで前記投光部と前記受光部が対向するように配置され、前記状態特定スリットの有無に応じた状態信号を出力する複数の状態検出用フォトインタラプタと、を設け、前記回転位置検出用フォトインタラプタが前記回転位置被検出体の前記回転位置特定スリットを検出したときの前記回転位置特定信号に基づいて全ての前記状態検出用フォトインタラプタから前記状態信号を取得し、全ての前記状態信号の組み合わせである前記状態情報に基づいて、前記つまみ部を回転させて選択した前記機能状態を特定する制御部を備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記構成において、前記回転位置被検出体に設けられた各回転位置特定スリットが前記回転位置検出用フォトインタラプタにより検出されるタイミングより前に、前記状態検出用フォトインタラプタにより検出可能な位置に到達しているスリット幅の前記状態特定スリットを前記状態被検出体に設けてもよい。
【0010】
また、前記構成において、前記制御部は、前記回転位置検出用フォトインタラプタが前記回転位置被検出体の前記回転位置特定スリットを検出してから、前記回転位置検出用フォトインタラプタが前記回転位置被検出体の前記回転位置特定スリットを検出しなくなるまでの機能状態選択期間を前記回転位置特定信号に基づいて認識し、前記機能状態選択期間中は、予め定めた所定期間毎に、全ての前記状態検出用フォトインタラプタから前記状態信号を取得して、選択中の前記機能状態を特定してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のロータリースイッチによれば、つまみ部の回転位置を非接触で検出し、このときの状態情報を非接触で取得し、取得した状態情報に基づいて、選択された機能状態を特定できるので、可動部品等の物理的接触による摩耗・変形・破損等に起因した誤動作を起こすことがない。したがって、本発明のロータリースイッチは、スイッチとしての信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係るロータリースイッチを備えた電気計測器の外観図である。
【
図2】本実施形態に係るロータリースイッチを使ったレンジの選択動作説明図である。
【
図3】本実施形態に係るロータリースイッチに用いる4つのフォトインタラプタの回路構成図である。
【
図4】本実施形態に係るロータリースイッチに用いる4つのフォトインタラプタの配置状態説明図である。
【
図5】本実施形態に係るロータリースイッチの検知部における回転位置被検出体と状態被検出体の配置状態説明図である。
【
図6】本実施形態に係るロータリースイッチを使ったレンジの選択動作に対応する第1~第3被検知箇所の検知状態説明図である。
【
図7】(A)は本実施形態に係るロータリースイッチの第1~第8回転位置特定スリットの開口角度と第1~第4状態特定スリットの開口角度の対比説明図である。(B)は第1~第8回転位置特定スリットの開口角度と第1~第4状態特定スリットの開口角度を同一にした場合の対比説明図である。
【
図8】(A)は
図7(B)のスリット構造を採用した被検知部で選択レンジを「6」から「7」へ変更したときに各フォトインタラプタより得られる信号の一例を示す波形図である。(B)は本実施形態に係るロータリースイッチで選択レンジを「6」から「7」へ変更したときに各フォトインタラプタより得られる信号の一例を示す波形図である。
【
図9】本実施形態に係るロータリースイッチの制御部の機能ブロック図である。
【
図10】本実施形態に係るロータリースイッチで選択レンジを「1」から「4」へ変更したときに各フォトインタラプタより得られる信号の一例を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、例えば、電圧、電流および抵抗などの電気的物理量を測定する電気計測器EMの外観を示し、本実施形態に係るロータリースイッチ1が実装されている。なお、
図1には、ロータリースイッチ1を含む概略縦断面を示してある。
【0014】
ロータリースイッチ1は、固定部としてのプリント基板2に対して回動自在に軸支された操作軸3と一体に回転するつまみ部としてのレンジノブ4を回して使用する。操作軸3には、プリント基板2に近接配置される被検知部5が一体に設けられ、プリント基板2に対向する被検知面5aには、回転位置被検出体51(後に詳述)および状態被検出体52(後に詳述)を設ける。また、ロータリースイッチ1は、レンジノブ4を回転させて選択したスイッチの状態を検出する複数のフォトインタラプタ6(後に詳述)と、状態情報に応じた状態特定信号を出力する制御部(後に詳述)を備える。なお、プリント基板2には、電気計測器EMの主たる計測制御機能を実現するための電気・電子パーツが実装されており、ロータリースイッチ1の一機能である制御部をプリント基板2に設けても良い。無論、ロータリースイッチ1の制御部用基板を別構成とし、制御部用基板とプリント基板2を接続することで、ロータリースイッチ1からプリント基板2へ状態特定信号を出力しても良い。また、ロータリースイッチ1により選択可能な機能状態は特に限定されないが、電気計測器EMに搭載したロータリースイッチ1は、計測レンジの種別を機能状態に割り当てるものとした。
【0015】
レンジノブ4は、操作軸3と着脱可能な軸着部41の一端側に操作ダイヤル42が形成され、電気計測器EMの本体ケースから露出させた操作ダイヤル42を使用者が摘まんで回転させることにより、スイッチの選択状態を切り替えることができる。なお、レンジノブ4に軸着部41を設けずに、レンジノブ4自体を操作軸3と一体に形成しても良いし、さらには、被検知部5と一体に形成しても良い。
【0016】
また、本実施形態のロータリースイッチ1においては、切り替える機能状態を計測レンジに割り当てるものとした。例えば、
図2に示すように、操作ダイヤル42の一側に設けた状態指示部42aが本体ケース側に表示されたレンジ指標部43の所望箇所を指し示すように、レンジノブ4を回転させることで、計測レンジを切り替えることができる。
図2(1)においては、レンジノブ4の状態指示部42aがレンジ指標部43のレンジ番号「1」を選択している。
図2(2)においては、レンジノブ4の状態指示部42aがレンジ指標部43のレンジ番号「2」を選択している。
図2(3)においては、レンジノブ4の状態指示部42aがレンジ指標部43のレンジ番号「3」を選択している。
図2(4)においては、レンジノブ4の状態指示部42aがレンジ指標部43のレンジ番号「4」を選択している。
図2(5)においては、レンジノブ4の状態指示部42aがレンジ指標部43のレンジ番号「5」を選択している。
図2(6)においては、レンジノブ4の状態指示部42aがレンジ指標部43のレンジ番号「6」を選択している。
図2(7)においては、レンジノブ4の状態指示部42aがレンジ指標部43のレンジ番号「7」を選択している。
図2(8)においては、レンジノブ4の状態指示部42aがレンジ指標部43のレンジ番号「8」を選択している。すなわち、レンジノブ4を回転させて選択した位置に応じた計測レンジを任意に選択できるのである。なお、レンジノブ4は、状態指示部42aがレンジ指標部43における何れかのレンジ番号「8」を指し示した状態で安定するように精度良く位置規制され、何れのレンジ番号も選択しない不選択状態に止まることがないように、適宜なロック機構を適用した。
【0017】
遮光性の樹脂素材等で形成される被検知部5は略円形状の板材で、その一面(
図1においては上向きの面)が被検知面5aとなり、所要距離を隔ててプリント基板2の下面と略平行に向かい合う状態となる。そして、被検知部5の被検知面5a側には、回転中心から等距離となる円弧状の壁体として、回転位置被検出体51と状態被検出体52を形成する。例えば、状態被検出体52は、被検知部5の外周縁に沿った外側に設け、回転位置被検出体51は、状態被検出体52よりも内側に設ける。また、回転位置被検出体51と状態被検出体52が被検知部5の被検知面5aからプリント基板2の下面側に突出する突出量を調整することで、回転位置被検出体51と状態被検出体52の突出端がプリント基板2に押し当たることなく、適宜な空隙が生ずるようにしてある。
【0018】
一方、プリント基板2の下面には4つのフォトインタラプタ6を設ける。
図3に示すように、フォトインタラプタ6は、発光ダイオード等で構成する投光部6aとフォトトランジスタ等で構成する受光部6bとを、検知エリア6cを挟んで対向状に設けた構成である。フォトインタラプタ6は透過型のフォトセンサであり、直流電源DCからの直流が入力抵抗R1~R4を介して投光部6aに供給され、投光部6aからの光軸が検知エリア6cを通過して受光部6bに至る。投光部6aから受光部6bへ至る光軸が遮蔽されないときにフォトインタラプタ6はONであり、逆に投光部6aから受光部6bへ至る光軸が遮蔽されたときにフォトインタラプタ6はOFFである。しかしながら、本構成例のフォトインタラプタ6では、直流電源DCから受光部6bへの給電路にシャント抵抗R5~R8を設け、フォトインタラプタ6のON/OFFを受光部6bの通電/遮断に応じた電位レベルの変化として取得する。よって、フォトインタラプタ6がONのときにはLレベルのON信号が制御部7に入力され、フォトインタラプタ6がOFFのときにはHレベルのOFF信号が制御部7に入力される。
【0019】
なお、4つのフォトインタラプタは、同一の特性を備えているが、使用目的に応じて、回転位置検出用フォトインタラプタ61、第1状態検出用フォトインタラプタ62A、第2状態検出用フォトインタラプタ62B、第3状態検出用フォトインタラプタ62Cと呼び分ける。そして、回転位置検出用フォトインタラプタ61から取得される信号は回転位置特定信号、第1状態検出用フォトインタラプタ62Aから取得される信号は第1状態信号、第2状態検出用フォトインタラプタ62Bから取得される信号は第2状態信号、第3状態検出用フォトインタラプタ62Cから取得される信号は第3状態信号とする。
【0020】
プリント基板2の下面側である
図4に示すように、回転位置検出用フォトインタラプタ61は、回転位置被検出体51を挟んで投光部6aと受光部6bが対向するように配置する。また、第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cは、状態被検出体52を挟んで投光部6aと受光部6bが対向するように配置する。なお、回転位置検出用フォトインタラプタ61と第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cとの配置関係は特に限定されるものではないが、本構成例では、次のように定めた。まず、回転中心RCを通る任意の直線上に回転位置検出用フォトインタラプタ61と第2状態検出用フォトインタラプタ62Bを配置する。そして、第2状態検出用フォトインタラプタ62Bの両側に角度αを隔てて、それぞれ第1状態検出用フォトインタラプタ62Aと第3状態検出用フォトインタラプタ62Cを配置する。なお、被検知部5の被検知面5aを上向きに見たときは、
図5に示すように、第2状態検出用フォトインタラプタ62Bに対して第1状態検出用フォトインタラプタ62Aと第3状態検出用フォトインタラプタ62Cの配設位置が逆に見える。
【0021】
上述した回転位置検出用フォトインタラプタ61における投光部6aと受光部6bとの間を通過する回転位置被検出体51は、複数の内壁部と複数の回転位置特定スリットから構成される。例えば、第1内壁部51W1と第2内壁部51W2との間には第1回転位置特定スリット51S1が設けられ、回転位置検出用フォトインタラプタ61によってこの第1回転位置特定スリット51S1が検出されたところが、第1選択状態検出ポイントとなる。第2内壁部51W2と第3内壁部51W3との間には第2回転位置特定スリット51S2が設けられ、回転位置検出用フォトインタラプタ61によってこの第2回転位置特定スリット51S2が検出されたところが、第2選択状態検出ポイントとなる。第3内壁部51W3と第4内壁部51W4との間には第3回転位置特定スリット51S3が設けられ、回転位置検出用フォトインタラプタ61によってこの第3回転位置特定スリット51S3が検出されたところが、第3選択状態検出ポイントとなる。第4内壁部51W4と第5内壁部51W5との間には第4回転位置特定スリット51S4が設けられ、回転位置検出用フォトインタラプタ61によってこの第4回転位置特定スリット51S4が検出されたところが、第4選択状態検出ポイントとなる。第5内壁部51W5と第6内壁部51W6との間には第5回転位置特定スリット51S5が設けられ、回転位置検出用フォトインタラプタ61によってこの第5回転位置特定スリット51S5が検出されたところが、第5選択状態検出ポイントとなる。第6内壁部51W6と第7内壁部51W7との間には第6回転位置特定スリット51S6が設けられ、回転位置検出用フォトインタラプタ61によってこの第6回転位置特定スリット51S6が検出されたころきが、第6選択状態検出ポイントとなる。第7内壁部51W7と第8内壁部51W8との間には第7回転位置特定スリット51S7が設けられ、回転位置検出用フォトインタラプタ61によってこの第7回転位置特定スリット51S7が検出されたところが、第7選択状態検出ポイントとなる。第8内壁部51W8と第9内壁部51W9との間には第8回転位置特定スリット51S8が設けられ、回転位置検出用フォトインタラプタ61によってこの第8回転位置特定スリット51S8が検出されたところが、第8選択状態検出ポイントとなる。
【0022】
なお、第1回転位置特定スリット51S1のスリット幅中央位置(被検知部5の回転方向における壁間の真ん中となる位置)と第2回転位置特定スリット51S2のスリット幅中央位置とは、回転中心RCに対して角度α離隔している。同様に、第2回転位置特定スリット51S2のスリット幅中央位置と第3回転位置特定スリット51S3のスリット幅中央位置とは、回転中心RCに対して角度α離隔している。同様に、第3回転位置特定スリット51S3のスリット幅中央位置と第4回転位置特定スリット51S4のスリット幅中央位置とは、回転中心RCに対して角度α離隔している。同様に、第4回転位置特定スリット51S4のスリット幅中央位置と第5回転位置特定スリット51S5のスリット幅中央位置とは、回転中心RCに対して角度α離隔している。同様に、第5回転位置特定スリット51S5のスリット幅中央位置と第6回転位置特定スリット51S6のスリット幅中央位置とは、回転中心RCに対して角度α離隔している。同様に、第6回転位置特定スリット51S6のスリット幅中央位置と第7回転位置特定スリット51S7のスリット幅中央位置とは、回転中心RCに対して角度α離隔している。同様に、第7回転位置特定スリット51S7のスリット幅中央位置と第8回転位置特定スリット51S8のスリット幅中央位置とは、回転中心RCに対して角度α離隔している。したがって、レンジノブ4を角度αだけ回転させる毎に被検知部5も角度αだけ回転するので、第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8の何れかを回転位置検出用フォトインタラプタ61の検出位置に合わせることができる。なお、第1回転位置特定スリット51S1を越えて第1内壁部51W1側へ被検知部5を回したり、第8回転位置特定スリット51S8を越えて第9内壁部51W9側へ被検知部5を回したりできないように、レンジノブ4の可動範囲を規制しておくことが望ましい。また、本構成例の回転位置被検出体51では、第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8を被検知面5aまで窪ませたが、これに限らず、回転位置検出用フォトインタラプタ61が検出可能な程度に窪ませておき、第1~第9内壁部51W1~51W9が被検知面5a側で連続している構造でも良い。
【0023】
上述した第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cにおける投光部6aと受光部6bとの間を通過する状態被検出体52は、複数の外壁部と、所要位置に設けられた複数の状態特定スリットから構成される。例えば、第1外壁部52W1と第2外壁部52W2との間には第1状態特定スリット52S1が設けられる。第2外壁部52W2と第3外壁部52W3との間には第2状態特定スリット52S2が設けられる。第3外壁部52W3と第4外壁部52W4との間には第3状態特定スリット52S3が設けられる。第4外壁部52W4と第1外壁部52W1との間には第4状態特定スリット52S4が設けられる。なお、第1外壁部52W1は、180゜を超える長い弧状壁としたが、これに限らず、第2外壁部52W2に近接させて設ける端壁部と第4外壁部52W4に近接させて設ける端壁部とに分割しても構わない。また、本構成例の状態被検出体52では、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4を被検知面5aまで窪ませたが、これに限らず、第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cが検出可能な程度に窪ませておき、第1~第4外壁部52W1~52W4が被検知面5a側で連続している構造でも良い。
【0024】
また、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4を設けた状態被検出体52には、回転位置被検出体51の第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8それぞれに対して相対位置が同じになる複数の状態特定箇所(例えば、第1状態特定箇所、第2状態特定箇所、第3状態特定箇所)を設定する。例えば、回転中心RCを通る直線上で第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8と対向する位置を第2状態特定箇所に設定し、第2状態特定箇所の両側に角度αを隔てて、それぞれ第1状態特定箇所と第3状態特定箇所を設定する。これにより、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8を検出する位置にあるとき、第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cは、それぞれ第1~第3状態特定箇所を検出する位置にある。すなわち、第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8それぞれに対して相対位置が同じに第1~第3状態特定箇所における第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の有無を、第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cによって検出できる。
【0025】
なお、回転位置被検出体51の第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8は、回転中心RCに対して角度α毎に規則正しく配置されているので、対応する第1~第3状態特定箇所も回転中心RCに対して角度α毎に規則正しく生ずることとなる。すなわち、状態被検出体52には、第1~第3状態特定箇所として第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cにより検出される複数の被検知箇所が回転中心RCに対して角度α毎に規則正しく生ずる。例えば、回転中心RCを通る直線上で第1回転位置特定スリット51S1と対向する位置に第2被検知箇所DL2があり、第2被検知箇所DL2は第1外壁部52W1であるから、フォトインタラプタ6の出力はOFFとなる。また、
図5において時計回りである第1回転方向TR1に第2被検知箇所DL2から角度α離れて第1被検知箇所DL1があり、第1被検知箇所DL1は第1外壁部52W1であるから、フォトインタラプタ6の出力はOFFとなる。また、
図5において反時計回りである第2回転方向TR2に第2被検知箇所DL2から角度α離れて第3被検知箇所DL3があり、第3被検知箇所DL3は第1外壁部52W1であるから、フォトインタラプタ6の出力はOFFとなる。また、第2回転方向TR2に第3被検知箇所DL3から角度α離れて第4被検知箇所DL4があり、第4被検知箇所DL4は第1状態特定スリット52S1であるから、フォトインタラプタ6の出力はONとなる。また、第2回転方向TR2に第4被検知箇所DL4から角度α離れて第5被検知箇所DL5があり、第5被検知箇所DL5は第2状態特定スリット52S2であるから、フォトインタラプタ6の出力はONとなる。また、第2回転方向TR2に第5被検知箇所DL5から角度α離れて第6被検知箇所DL6があり、第6被検知箇所DL6は第3状態特定スリット52S3であるから、フォトインタラプタ6の出力はONとなる。また、第2回転方向TR2に第6被検知箇所DL6から角度α離れて第7被検知箇所DL7があり、第7被検知箇所DL7は第4外壁部52W4であるから、フォトインタラプタ6の出力はOFFとなる。また、第2回転方向TR2に第7被検知箇所DL7から角度α離れて第8被検知箇所DL8があり、第8被検知箇所DL8は第4状態特定スリット52S4であるから、フォトインタラプタ6の出力はONとなる。また、第2回転方向TR2に第8被検知箇所DL8から角度α離れて第9被検知箇所DL9があり、第9被検知箇所DL9は第1外壁部52W1であるから、フォトインタラプタ6の出力はOFFとなる。また、第2回転方向TR2に第9被検知箇所DL9から角度α離れて第10被検知箇所DL10があり、第10被検知箇所DL10は第1外壁部52W1であるから、フォトインタラプタ6の出力はOFFとなる。
【0026】
よって、第1~第8選択状態検出ポイントそれぞれにおいて、第1~第3状態特定箇所(第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cによる検出箇所)における第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の有無に応じた検出信号を得られる。そして、第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cからの第1~第3状態信号の組み合わせが状態情報となるので、この組み合わせを制御部7によって判定し、判定結果に応じた状態特定信号を出力する。なお、状態特定信号は、信号の電気的特性が異なるものでも、信号線が異なるものでも良く、プリント基板2に構成される計測制御機能がロータリースイッチ1における選択状態を識別できれば、特に限定されない。
【0027】
ここで、第1~第8検出タイミングを、レンジノブ4の状態指示部42aがレンジ指標部43のレンジ番号「1」~「8」にそれぞれ対応させた場合に、第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cより得られる第1~第3状態信号の組み合わせについて説明する。
【0028】
レンジ指標部43のレンジ番号「1」が選択された第1選択状態検出ポイントにおいては、
図6(1)に示すように、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第1回転位置特定スリット51S1を検出してONとなるので、制御部7は第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cからの第1~第3状態信号を読み取る。このとき、第1状態検出用フォトインタラプタ62Aは、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の何れにも該当しない第1被検知箇所DL1を検知対象としているので、第1状態信号はOFFとなる。第2状態検出用フォトインタラプタ62Bは、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の何れにも該当しない第2被検知箇所DL2を検知対象としているので、第2状態信号はOFFとなる。第3状態検出用フォトインタラプタ62Cは、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の何れにも該当しない第3被検知箇所DL3を検知対象としているので、第3状態信号はOFFとなる。従って、第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cから取得した第1~第3状態信号の組み合わせである状態情報が「OFF,OFF,OFF」であれば、レンジノブ4の位置(例えば、レンジノブ4を反時計側に回せなくなる最小レンジ選択位置)から「レンジ1」が選択されていると判定できる。
【0029】
レンジ指標部43のレンジ番号「2」が選択された第2選択状態検出ポイントにおいては、
図6(2)に示すように、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第2回転位置特定スリット51S2を検出してONとなるので、制御部7は第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cからの第1~第3状態信号を読み取る。このとき、第1状態検出用フォトインタラプタ62Aは、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の何れにも該当しない第2被検知箇所DL2を検知対象としているので、第1状態信号はOFFとなる。第2状態検出用フォトインタラプタ62Bは、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の何れにも該当しない第3被検知箇所DL3を検知対象としているので、第2状態信号はOFFとなる。第3状態検出用フォトインタラプタ62Cは、第1状態特定スリット52S1に該当する第4被検知箇所DL4を検知対象としているので、第3状態信号はONとなる。従って、第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cから取得した第1~第3状態信号の組み合わせである状態情報が「OFF,OFF,ON」であれば、レンジノブ4の位置(例えば、レンジノブ4を最小レンジ選択位置から時計回りにα度回転させた位置)から「レンジ2」が選択されていると判定できる。
【0030】
レンジ指標部43のレンジ番号「3」が選択された第3選択状態検出ポイントにおいては、
図6(3)に示すように、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第3回転位置特定スリット51S3を検出してONとなるので、制御部7は第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cからの第1~第3状態信号を読み取る。このとき、第1状態検出用フォトインタラプタ62Aは、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の何れにも該当しない第3被検知箇所DL3を検知対象としているので、第1状態信号はOFFとなる。第2状態検出用フォトインタラプタ62Bは、第1状態特定スリット52S1に該当する第4被検知箇所DL4を検知対象としているので、第2状態信号はONとなる。第3状態検出用フォトインタラプタ62Cは、第2状態特定スリット52S2に該当する第5被検知箇所DL5を検知対象としているので、第3状態信号はONとなる。従って、第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cから取得した第1~第3状態信号の組み合わせである状態情報が「OFF,ON,ON」であれば、レンジノブ4の位置(例えば、レンジノブ4を最小レンジ選択位置から時計回りに2α度回転させた位置)から「レンジ3」が選択されていると判定できる。
【0031】
レンジ指標部43のレンジ番号「4」が選択された第4選択状態検出ポイントにおいては、
図6(4)に示すように、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第4回転位置特定スリット51S4を検出してONとなるので、制御部7は第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cからの第1~第3状態信号を読み取る。このとき、第1状態検出用フォトインタラプタ62Aは、第1状態特定スリット52S1に該当する第4被検知箇所DL4を検知対象としているので、第1状態信号はONとなる。第2状態検出用フォトインタラプタ62Bは、第2状態特定スリット52S2に該当する第5被検知箇所DL5を検知対象としているので、第2状態信号はONとなる。第3状態検出用フォトインタラプタ62Cは、第3状態特定スリット52S3に該当する第6被検知箇所DL6を検知対象としているので、第3状態信号はONとなる。従って、第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cから取得した第1~第3状態信号の組み合わせである状態情報が「ON,ON,ON」であれば、レンジノブ4の位置(例えば、レンジノブ4を最小レンジ選択位置から時計回りに3α度回転させた位置)から「レンジ4」が選択されていると判定できる。
【0032】
レンジ指標部43のレンジ番号「5」が選択された第5選択状態検出ポイントにおいては、
図6(5)に示すように、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第5回転位置特定スリット51S5を検出してONとなるので、制御部7は第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cからの第1~第3状態信号を読み取る。このとき、第1状態検出用フォトインタラプタ62Aは、第2状態特定スリット52S2に該当する第5被検知箇所DL5を検知対象としているので、第1状態信号はONとなる。第2状態検出用フォトインタラプタ62Bは、第3状態特定スリット52S3に該当する第6被検知箇所DL6を検知対象としているので、第2状態信号はONとなる。第3状態検出用フォトインタラプタ62Cは、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の何れにも該当しない第7被検知箇所DL7を検知対象としているので、第3状態信号はOFFとなる。従って、第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cから取得した第1~第3状態信号の組み合わせである状態情報が「ON,ON,OFF」であれば、レンジノブ4の位置(例えば、レンジノブ4を最小レンジ選択位置から時計回りに4α度回転させた位置)から「レンジ5」が選択されていると判定できる。
【0033】
レンジ指標部43のレンジ番号「6」が選択された第6選択状態検出ポイントにおいては、
図6(6)に示すように、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第6回転位置特定スリット51S6を検出してONとなるので、制御部7は第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cからの第1~第3状態信号を読み取る。このとき、第1状態検出用フォトインタラプタ62Aは、第3状態特定スリット52S3に該当する第6被検知箇所DL6を検知対象としているので、第1状態信号はONとなる。第2状態検出用フォトインタラプタ62Bは、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の何れにも該当しない第7被検知箇所DL7を検知対象としているので、第2状態信号はOFFとなる。第3状態検出用フォトインタラプタ62Cは、第4状態特定スリット52S4に該当する第8被検知箇所DL8を検知対象としているので、第3状態信号はONとなる。従って、第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cから取得した第1~第3状態信号の組み合わせである状態情報が「ON,OFF,ON」であれば、レンジノブ4の位置(例えば、レンジノブ4を最小レンジ選択位置から時計回りに5α度回転させた位置)から「レンジ6」が選択されていると判定できる。
【0034】
レンジ指標部43のレンジ番号「7」が選択された第7選択状態検出ポイントにおいては、
図6(7)に示すように、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第7回転位置特定スリット51S7を検出してONとなるので、制御部7は第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cからの第1~第3状態信号を読み取る。このとき、第1状態検出用フォトインタラプタ62Aは、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の何れにも該当しない第7被検知箇所DL7を検知対象としているので、第1状態信号はOFFとなる。第2状態検出用フォトインタラプタ62Bは、第4状態特定スリット52S4に該当する第8被検知箇所DL8を検知対象としているので、第2状態信号はONとなる。第3状態検出用フォトインタラプタ62Cは、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の何れにも該当しない第9被検知箇所DL9を検知対象としているので、第3状態信号はOFFとなる。従って、第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cから取得した第1~第3状態信号の組み合わせである状態情報が「OFF,ON,OFF」であれば、レンジノブ4の位置(例えば、レンジノブ4を最小レンジ選択位置から時計回りに6α度回転させた位置)から「レンジ7」が選択されていると判定できる。
【0035】
レンジ指標部43のレンジ番号「8」が選択された第8選択状態検出ポイントにおいては、
図6(8)に示すように、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第8回転位置特定スリット51S8を検出してONとなるので、制御部7は第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cからの第1~第3状態信号を読み取る。このとき、第1状態検出用フォトインタラプタ62Aは、第4状態特定スリット52S4に該当する第8被検知箇所DL8を検知対象としているので、第1状態信号はONとなる。第2状態検出用フォトインタラプタ62Bは、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の何れにも該当しない第9被検知箇所DL9を検知対象としているので、第2状態信号はOFFとなる。第3状態検出用フォトインタラプタ62Cは、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の何れにも該当しない第10被検知箇所DL10を検知対象としているので、第3状態信号はOFFとなる。従って、第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cから取得した第1~第3状態信号の組み合わせである状態情報が「ON,OFF,OFF」であれば、レンジノブ4の位置(例えば、レンジノブ4を最小レンジ選択位置から時計回りに7α度回転させた位置)から「レンジ8」が選択されていると判定できる。
【0036】
第1~第8選択状態検出ポイントにおいて、第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cより取得した第1~第3状態信号の組み合わせである状態情報と、選択された機能状態(選択されたレンジ番号)との対応は、下表のようになる。
【0037】
【0038】
このように、第1~第8選択状態検出ポイントで第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cより取得される第1~第3状態信号のON/OFFの組み合わせは、それぞれ異なるものとなり、8種類の状態情報として利用できる。なお、フォトインタラプタ6の検出出力であるON/OFFの組み合わせは、n個のフォトインタラプタ6を用いる場合、2n通りとなる。本実施形態のロータリースイッチ1では、第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cを用いたので、23=8通りの組み合わせを状態情報として取得できるので、8つの機能状態に割り当てたのである。仮に、4つ以下の機能状態に割り当てる場合は、2つの状態検出用フォトインタラプタを用いれば十分であるし、逆に9つ以上の機能状態に割り当てる必要があれば、4つ以上のフォトインタラプタ6を状態検出に用いれば良い。
【0039】
また、本構成例の被検知部5では、
図7(A)に示すように、回転位置被検出体51の第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8における回転中心RCからの開口角度β1が、状態被検出体52の第1~第4状態特定スリット52S1~52S4における回転中心RC心からの開口角度β2より十分小さくなるように設定してある。よって、第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8のスリット幅(回転方向における壁間幅)は、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4のスリット幅(回転方向における壁間幅)よりも短くなり、検出範囲に差異が生じる。なお、
図7においては、説明を簡単にするため、第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8のスリット幅中央位置と回転中心RCを結ぶ仮想中央線CLと、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4のスリット幅中央位置と回転中心RCを結ぶ仮想中央線CLとを重ねて示した。
【0040】
被検知部5に設けられた回転位置被検出体51と状態被検出体52は一体に回転するので、第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8が第1~第8選択状態検出ポイントに到達するより早く、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4が第1~第3状態検出箇所に到達する。また、第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8が回転位置検出用フォトインタラプタ61の検出範囲を過ぎても、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4は第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cの検出範囲にある。なお、第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8と第1~第4状態特定スリット52S1~52S4は、仮想中央線CLに対して対称となるようにスリット幅を設定してある。よって、レンジノブ4を第1回転方向TR1向きに回転させた場合も、第2回転方向TR2向きに回転させた場合も、第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8と第1~第4状態特定スリット52S1~52S4とが検出されるタイミングのズレおよび検出されなくなるタイミングのズレは同じである。
【0041】
上述したように、回転位置検出用フォトインタラプタ61および第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cは、受光部6bであるフォトトランジスタの電流変化をシャント抵抗R5~R8で電圧変化に置き換え、検出された信号電位が所定の閾値電圧Vthを越えたか否かでON/OFFの判定を行う。一般的なフォトインタラプタ6の特性として、ONからOFFおよびOFFからONに切り換わるとき、フォトトランジスタの出力が安定するまでに過度状態を経ることが知られている。しかし、同一製品のフォトインタラプタ6を回転位置検出用フォトインタラプタ61および第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cとして用いても、製品毎に生ずる発光特性や受光特性の誤差等から過度状態にも多少のブレが生じてしまう。また、回転位置検出用フォトインタラプタ61および第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cをプリント基板2に取り付ける際の微妙な取り付け誤差や、操作軸3を取り付ける際の微妙な取り付け誤差も無視できない場合がある。
【0042】
仮に、第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8と第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の開口角度を、
図7(B)に示すように、同じβ1に設定した場合を考える。この場合、原理的には、第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8が回転位置検出用フォトインタラプタ61に検出されるタイミングと、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4が第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cに検出されるタイミングはほぼ同じになる。同様に、第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8が回転位置検出用フォトインタラプタ61に検出されなくなるタイミングと、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4が第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cに検出されなくなるタイミングもほぼ同じになる。したがって、第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8の開口角度と、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の開口角度を共にβ1に設定しておけば、原理的には、第1~第8選択状態検出ポイントにて適正な状態情報を取得できるはずである。しかしながら、理想的に特性がそろったフォトインタラプタ6を用いて、各フォトインタラプタ6の取付精度や操作軸3の取付精度を理想的に高めることは難しい。
【0043】
例えば、
図8(A),(B)に、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第6回転位置特定スリット51S6を検出している第6選択状態検出ポイント(選択レンジ6)から、レンジノブ4を時計回りに回転させてレンジ7を選択する場合の波形図を示す。第6選択状態検出ポイントにおける状態情報は「ON,OFF,ON」であり、第7選択状態検出ポイントにおける状態情報は「OFF,ON,OFF」であるから、第1~第3状態信号すべての電位レベルが変化することで、選択レンジが「6」から「7」に切り替えられたことを制御部7が判定できる。なお、第6選択状態検出ポイントにおいては、第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cの検知エリア6cに、それぞれ第6~第8被検知箇所DL6~DL7が臨んだ状態である。そして、第7選択状態検出ポイントに切り換わると、第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cの検知エリア6cに、それぞれ第7~第9被検知箇所DL7~DL9が臨んだ状態に変わる。
【0044】
また、
図8(A)の波形図は、第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8の開口角度と、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の開口角度を共にβ1に設定した被検知部5を用いている。よって、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4が第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cに検出されるタイミングは、第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8が回転位置検出用フォトインタラプタ61に検出されるタイミングとほぼ同じになる。同様に、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4が第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cに検出されなくなるタイミングも、第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8が回転位置検出用フォトインタラプタ61に検出されなくなるタイミングとほぼ同じになる。なお、レンジノブ4が操作されて第7選択状態検出ポイントに切り換わった判定タイミングは、回転位置検出用フォトインタラプタ61の動作により取得した回転位置特定信号の電位がHレベルからLレベルに変化するときに閾値電圧Vthまで下がった立ち下がり検出点Pdとする。
【0045】
図8(A)の第1状態信号波形において、第1状態検出用フォトインタラプタ62Aが第6被検知箇所DL6に該当する第3状態特定スリット52S3を検出しなくなるタイミングは、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第6回転位置特定スリット51S6を検出しなくなるタイミングとほぼ同じである。すなわち、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第6回転位置特定スリット51S6を検出しなくなって、回転位置特定信号の信号電位がHレベル(OFF電位)に上がりはじめ、閾値電圧Vthに達した立ち上がり検出点Puに達したとき、第1状態信号も閾値電圧Vthに達する。そして、回転位置特定信号と第1状態信号はほぼ同時に閾値電圧Vthを越えた後、更に信号電位が上昇して過度状態から定常状態へ移行し、安定したHレベル(OFF電位)になる。その後、回転位置検出用フォトインタラプタ61は第7回転位置特定スリット51S7を検出してLレベル(ON電位)に下がり始め、閾値電圧Vthに達することで立ち下がり検出点Pdとなる。このとき、第1状態検出用フォトインタラプタ62Aの検知エリア6cには第7被検知箇所DL7に該当する第4外壁部52W4があり、第1状態信号の電位レベルは閾値電圧Vthより高いままであるから、第1状態特定箇所における状態信号として適正な「OFF」が得られる。そして、回転位置特定信号は閾値電圧Vthに達した後、更に信号電位が下降して過度状態から定常状態へ移行し、安定したLレベル(ON電位)になる。
【0046】
なお、レンジノブ4を反時計回りに回転させて、選択レンジを「7」から「6」に変更する場合、回転位置特定信号と第1状態信号の波形は、時間軸を遡行するように見れば良い。すなわち、立ち下がり検出点Pdを立ち上がり検出点Pu′に置き換え、立ち上がり検出点Puを立ち下がり検出点Pd′に置き換え、時間軸が右から左へ流れるように波形変化を見れば良い。よって、レンジノブ4の逆回し時には、立ち下がり検出点Pd′において、第1状態検出用フォトインタラプタ62Aが第3状態特定スリット52S3を検出して下がり始めた第1状態信号が閾値電圧Vthに達しているので、第1状態特定箇所における状態信号として適正な「ON」が得られる。
【0047】
図8(A)の第2状態信号波形において、第2状態検出用フォトインタラプタ62Bは、何らかの誤差要因により、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4を検出するタイミングおよび検出しなくなるタイミングが適正位置からズレている。例えば、図中に二点鎖線で示すように、第2状態検出用フォトインタラプタ62Bが第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の何れかを検出しなくなるタイミングは、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8の何れかを検出しなくなるタイミングより若干遅れる。同様に、第2状態検出用フォトインタラプタ62Bが第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の何れかを検出するタイミングも、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8の何れかを検出するタイミングより若干遅れる。
【0048】
回転位置検出用フォトインタラプタ61が第6回転位置特定スリット51S6を検出しているとき、第2状態検出用フォトインタラプタ62Bの検知エリア6cには、第7被検知箇所DL7に該当する第4外壁部52W4があるため、第2状態信号はHレベル(OFF電位)である。その後、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第6回転位置特定スリット51S6を検出しなくなることで回転位置特定信号はLレベル(OFF電位)に変わるが、第2状態信号はHレベル(OFF電位)を維持する。その後、回転位置検出用フォトインタラプタ61は第7回転位置特定スリット51S7を検出してLレベル(ON電位)に下がり始め、閾値電圧Vthに達することで立ち下がり検出点Pdとなる。このとき、第2状態検出用フォトインタラプタ62Bは、第8被検知箇所DL8に該当する第4状態特定スリット52S4を検出してLレベル(ON電位)に下がり始めるが、検出タイミングが遅いために、立ち下がり検出点Pdにおいては閾値電圧Vthに達していない。したがって、第2状態特定箇所における状態信号としては、不適正な「OFF」が得られるため、誤判定となる。そして、回転位置特定信号と第2状態信号は、更に信号電位が下降して過度状態から定常状態へ移行し、共に安定したLレベル(ON電位)になる。
【0049】
なお、レンジノブ4を反時計回りに回転させて、選択レンジを「7」から「6」に変更する場合、回転位置特定信号と第2状態信号の波形は、時間軸を遡行するように見れば良い。レンジノブ4の逆回し時には、立ち下がり検出点Pd′において、第2状態検出用フォトインタラプタ62Bが第4外壁部52W4を検出しており、第2状態信号が閾値電圧Vthを越えたままであるから、第2状態特定箇所における状態信号として適正な「OFF」が得られる。
【0050】
図8(A)の第3状態信号波形において、第3状態検出用フォトインタラプタ62Cは、何らかの誤差要因により、第1~第4状態特定スリット52S1~52S4を検出するタイミングおよび検出しなくなるタイミングが適正位置からズレている。例えば、図中に二点鎖線で示すように、第2状態検出用フォトインタラプタ62Bが第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の何れかを検出するタイミングは、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8の何れかを検出するタイミングより若干早まる。同様に、第3状態検出用フォトインタラプタ62Cが第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の何れかを検出しなくなるタイミングも、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8の何れかを検出しなくなるタイミングより若干早まる。
【0051】
したがって、第3状態検出用フォトインタラプタ62Cが第4状態特定スリット52S4を検出しなくなるタイミングは、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第6回転位置特定スリットを検出しなくなるタイミングよりも若干早い。したがって、第3状態信号は回転位置特定信号よりも早く閾値電圧Vthを越えてHレベル(OFF電位)に達する。その後、回転位置検出用フォトインタラプタ61は第7回転位置特定スリット51S7を検出してLレベル(ON電位)に下がり始め、閾値電圧Vthに達することで立ち下がり検出点Pdとなる。このとき、第3状態検出用フォトインタラプタ62Cの検知エリア6cには、第9被検知箇所DL9に該当する第1外壁部52W1があり、第3状態信号の電位レベルは閾値電圧Vthより高くなっているので、第3状態特定箇所における状態信号として適正な「OFF」が得られる。そして、回転位置特定信号は、更に信号電位が下降して過度状態から定常状態へ移行し、安定したLレベル(ON電位)になる。
【0052】
なお、立ち下がり検出点Pdにおいて、第3状態検出用フォトインタラプタ62Cが第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の何れかを検出するタイミングであった場合、立ち下がり検出点Pdにおいては、第3状態信号の電位レベルは既に閾値電圧Vthより下がっているので、第3状態特定箇所における状態信号として適正な「ON」が得られ、適正判定となる。一方、レンジノブ4の逆回し時には、立ち下がり検出点Pd′において、第3状態検出用フォトインタラプタ62Cが第4状態特定スリット52S4を検出して下がり始めた第3状態信号は未だ閾値電圧Vthに達していいないので、第3状態特定箇所における状態信号として不適正な「OFF」が得られるため、誤判定となる。
【0053】
このように、第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8の開口角度と第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の開口角度を同じに設定した場合、微妙な誤差要因によって、第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cから取得する第1~第3状態信号に誤りが含まれる可能性がある。
図8(A)では、レンジノブ4を回してレンジ6からレンジ7へ切り替えるときに、立ち下がり検出点Pdにて取得した第1~第3状態信号の組み合わせである状態情報が「OFF,OFF,OFF」となるので、制御部7はレンジ1が選択されたと誤判定してしまう。また、レンジノブ4を逆に回してレンジ7からレンジ6へ切り替えるときに、立ち下がり検出点Pd′にて取得した第1~第3状態信号の組み合わせである状態情報が「ON,OFF,OFF」となるので、制御部7はレンジ8が選択されたと誤判定してしまう。このように、第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8の開口角度と第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の開口角度を同じに設定した場合、微妙な誤差要因によって、ロータリースイッチ1としての信頼性を十分に高められない可能性もある。
【0054】
すなわち、OFF(或いはON)の定常状態からON(或いはOFF)の定常状態になるまでの過度期間中に第1~第3状態検出用フォトインタラプタの検出出力から状態情報を取得すると、OFFからONへの遷移あるいはONからOFFへの遷移を誤検出してしまうことが誤判定に繋がるのである。このような誤検出を回避して、ロータリースイッチ1としての信頼性を一層高めるには、第1~第3状態検出用フォトインタラプタがOFFからONに変わる過度期間を経過して安定状態となった後に、第1~第8選択状態検出ポイントを設定できることが望ましい。
【0055】
そこで、本構成例の被検知部5では、
図7(A)に示したように、第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8の開口角度β1よりも第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の開口角度β2を適宜大きく設定することで、微妙な誤差要因による状態信号の判定誤りを回避できるようにした。本構成例の被検知部5を適用したロータリースイッチ1において、選択レンジを「6」から「7」に切り替える場合の波形図が
図8(B)である。ここでも、回転位置検出用フォトインタラプタ61の動作により取得した回転位置特定信号の電位がLレベルからHレベルに変化する過程で閾値電圧Vthに達したときを立ち上がり検出点Puとし、HレベルからLレベルに変化する過程で閾値電圧Vthまで下がったときを立ち下がり検出点Pdとする。レンジノブ4を反時計回りに回転させて、選択レンジを「7」から「6」に変更する場合は、立ち下がり検出点Pdを立ち上がり検出点Pu′に置き換え、立ち上がり検出点Puを立ち下がり検出点Pd′に置き換え、時間軸が右から左へ流れるように波形変化を見る。
【0056】
図8(B)の第1状態信号波形において、第1状態検出用フォトインタラプタ62Aが第6被検知箇所DL6に該当する第3状態特定スリット52S3を検出しなくなるタイミングは、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第6回転位置特定スリット51S6を検出しなくなるタイミングよりも遅い。すなわち、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第6回転位置特定スリット51S6を検出しなくなって、回転位置特定信号の信号電位がHレベル(OFF電位)に上がりはじめ、閾値電圧Vthに達した立ち上がり検出点Puに達したとき、第1状態信号は未だLレベル(ON電位)である。その後、回転位置特定信号の電位が更に上昇して過度状態から定常状態へ移行し、安定したHレベル(OFF電位)になっても、第1状態信号は未だLレベル(ON電位)である。そして、第1状態検出用フォトインタラプタ62Aの設置誤差等の誤差要因によりズレる可能性がある誤差量を勘案して定めた猶予期間GTだけ遅れて、第1状態検出用フォトインタラプタ62Aが第3状態特定スリット52S3を検出しなくなる。なお、猶予期間GTは、前述した第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8の開口角度β1と第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の開口角度β2とによって任意に設定でき、レンジノブ4の回し方によって時間幅は変化する。
【0057】
回転位置特定信号がHレベルの定常状態になった後、回転位置検出用フォトインタラプタ61は第7回転位置特定スリット51S7を検出して回転位置検出信号がLレベル(ON電位)に下がり始め、閾値電圧Vthに達することで立ち下がり検出点Pdとなる。このとき、第1状態検出用フォトインタラプタ62Aの検知エリア6cには第7被検知箇所DL7に該当する第4外壁部52W4があり、第1状態信号の電位レベルは閾値電圧Vthより高いままであるから、第1状態特定箇所における状態信号として適正な「OFF」が得られる。そして、回転位置特定信号は閾値電圧Vthに達した後、更に信号電位が下降して過度状態から定常状態へ移行し、安定したLレベル(ON電位)になる。
【0058】
なお、第1状態検出用フォトインタラプタ62Aが第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の何れかを検出するタイミングであった場合、図中に二点鎖線で示すように、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第7回転位置特定スリット51S7を検出するよりも猶予期間GTだけ早く閾値電圧Vthまで下がっている。したがって、立ち下がり検出点Pdにおいては、第1状態信号の電位レベルは既にLレベル(ON電位)の定常状態になっているので、第1状態特定箇所における状態信号として適正な「ON」が得られ、適正判定となる。一方、レンジノブ4の逆回し時には、第1状態検出用フォトインタラプタ62Aが第3状態特定スリット52S3を検出して下がり始めた第1状態信号が、立ち下がり検出点Pd′よりも猶予期間GTだけ早く閾値電圧Vthに達している。したがって、立ち下がり検出点Pd′においては、第1状態信号の電位レベルは既にLレベル(ON電位)の定常状態になっているので、第1状態特定箇所における状態信号として適正な「ON」が得られる。
【0059】
図8(B)の第2状態信号波形において、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第6回転位置特定スリット51S6を検出しているとき、第2状態検出用フォトインタラプタ62Bの検知エリア6cには、第7被検知箇所DL7に該当する第4外壁部52W4があるため、第2状態信号はHレベル(OFF電位)である。その後、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第6回転位置特定スリット51S6を検出しなくなることで回転位置特定信号は過度状態からLレベル(OFF電位)の定常状態へ移行するが、第2状態信号はHレベル(OFF電位)を維持する。
【0060】
その後、回転位置検出用フォトインタラプタ61は第7回転位置特定スリット51S7を検出してLレベル(ON電位)に下がり始め、閾値電圧Vthに達することで立ち下がり検出点Pdとなる。一方、第2状態検出用フォトインタラプタ62Bは、猶予期間GTだけ早く第4状態特定スリット52S4を検出してLレベル(ON電位)に下がり始めるので、立ち下がり検出点Pdにおいては、既にLレベル(ON電位)の定常状態となっている。したがって、第2状態特定箇所における状態信号として適正な「ON」が得られ、適正判定となる。そして、回転位置特定信号は、更に信号電位が下降して過度状態から定常状態へ移行し、安定したLレベル(ON電位)になる。
【0061】
なお、レンジノブ4を反時計回りに回転させて、選択レンジを「7」から「6」に変更するときに、第2状態検出用フォトインタラプタ62Bが第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の何れかを検出するタイミングとなる場合は、図中に二点鎖線で示す波形のようになる。すなわち、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第7回転位置特定スリット51S7を検出するよりも猶予期間GTだけ早く、閾値電圧Vthまで下がっている。したがって、立ち下がり検出点Pdにおいては、第2状態信号の電位レベルは既にLレベル(ON電位)の定常状態になっているので、第2状態特定箇所における状態信号として適正な「ON」が得られ、適正判定となる。
【0062】
図8(B)の第3状態信号波形において、第3状態検出用フォトインタラプタ62Cが第4状態特定スリット52S4を検出しなくなるタイミングは、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第6回転位置特定スリット51S6を検出しなくなるタイミングよりも遅い。すなわち、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第6回転位置特定スリット51S6を検出しなくなって、回転位置特定信号の信号電位がHレベル(OFF電位)に上がりはじめ、閾値電圧Vthに達した立ち上がり検出点Puに達したとき、第3状態信号は未だLレベル(ON電位)である。その後、回転位置特定信号の電位が更に上昇して過度状態から定常状態へ移行し、安定したHレベル(OFF電位)になっても、第3状態信号は未だLレベル(ON電位)である。更にその後、第3状態検出用フォトインタラプタ62Cが第4状態特定スリット52S4を検出しなくなり、立ち上がり検出点Puから猶予期間GTだけ遅れて、第3状態信号は閾値電圧Vthを越え、過度状態から定常状態のHレベル(OFF電位)になる。
【0063】
その後、回転位置検出用フォトインタラプタ61は第7回転位置特定スリット51S7を検出してLレベル(ON電位)に下がり始め、閾値電圧Vthに達することで立ち下がり検出点Pdとなる。このとき、第3状態検出用フォトインタラプタ62Cの検知エリア6cには第1外壁部52W1があり、第3状態信号の電位レベルは閾値電圧Vthより高くなっているので、第3状態特定箇所における状態信号として適正な「OFF」が得られる。そして、回転位置特定信号は、更に信号電位が下降して過度状態から定常状態へ移行し、安定したLレベル(ON電位)になる。
【0064】
なお、第3状態検出用フォトインタラプタ62Cが第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の何れかを検出するタイミングであった場合、図中に二点鎖線で示すように、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第7回転位置特定スリット51S7を検出するよりも猶予期間GTだけ早く第3状態信号は閾値電圧Vthまで下がっている。したがって、立ち下がり検出点Pdにおいては、第3状態信号の電位レベルは既にLレベル(ON電位)の定常状態になっているので、第3状態特定箇所における状態信号として適正な「ON」が得られ、適正判定となる。一方、レンジノブ4の逆回し時には、第3状態検出用フォトインタラプタ62Cが第4状態特定スリット52S4を検出して下がり始めた第3状態信号が、立ち下がり検出点Pd′よりも猶予期間GTだけ早く閾値電圧Vthに達している。したがって、立ち下がり検出点Pd′においては、第3状態信号の電位レベルは既にLレベル(ON電位)の定常状態になっているので、第3状態特定箇所における状態信号として適正な「ON」が得られ、適正判定となる。
【0065】
このように、第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8の開口角度β1よりも第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の開口角度β2を適宜大きく設定しておけば、微妙な誤差要因による状態信号の判定誤りを回避できるので、ロータリースイッチ1としての信頼性を向上させることができる。すなわち、第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8が回転位置検出用フォトインタラプタ61により検出されるタイミングより前に、第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cにより検出可能な位置に到達しているスリット幅の第1~第4状態特定スリット52S1~52S4を状態被検出体52に設ければ、適正な状態情報を取得できるのである。また、第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8と第1~第4状態特定スリット52S1~52S4の開口角度を基準としてスリット幅を設定すれば、被検知部5の回転中心RCから回転位置被検出体51までの距離と、状態被検出体52までの距離が違う場合でも、検出タイミングの調整を適切に行える。
【0066】
なお、回転角度を検出するロータリーエンコーダとして、フォトダイオードとフォトセンサからなる光検出機構を用いたアブソリュート方式などが知られている。ロータリーエンコーダでは、相対的な回転角度あるいは絶対回転角度を非接触で認識することができる。回転角度の分解能は、回転板に設けるスリット形状によって様々に変えることができる。一般的に、同心円になっているスリットの列を増やせば回転角度の分解能を向上させることができる。しかし、ロータリースイッチは、ダイヤル部を回して選択機能等を切り替えることから、切り替わりのタイミングを的確に判別できることが重要である。このような目的でロータリーエンコーダを使おうとすると、回転角度の分解能を高めて角度変化を細かく検知できなければ、機能切り替えの境界を的確に検出できないので、大型の回転板と多くの光検出機構が必要となり、コンパクトなスイッチ構造の実現は難しい。また、回転角度のみで機能切り替えの境界部分を判別している場合、角度が僅かにズレただけで、利用者が意図した機能ではなく、隣接した機能が選択されてしまい、利用者を困惑させる可能性もある。
【0067】
このようなロータリーエンコーダに対して、本実施形態のロータリースイッチ1は、機能状態の切り替えタイミングを回転角度で認識せず、回転位置検出用フォトインタラプタ61による第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8の検出タイミングを第1~第8選択状態検出ポイントとして採用した。そして、選択された機能状態は、第1~第8選択状態検出ポイントに対応付けておくことで、第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cからの第1~第3状態信号の組み合わせである状態情報から選択された機能状態を認識できるのである。したがって、本実施形態のロータリースイッチ1では、利用者の選択動作による機能状態の切り替わりを適切に管理できるので、スイッチとして信頼性が高いものとなる。
【0068】
しかしながら、ロータリースイッチ1が適用される電気計測器EMは様々な環境で利用されることが想定され、ノイズの影響によってロータリースイッチ1が誤動作すると、スイッチとしての信頼性が損なわれてしまう。例えば、電気計測器EM自体は外装カバー等で外来ノイズをシールドできても、プローブ等を介して内部にノイズが進入する可能性もある。このようなノイズの影響によって、第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cからの第1~第3状態信号を誤判定してしまうと、レンジノブ4によって利用者が選択した機能状態と、ロータリースイッチ1の制御部7が判定した機能状態(例えば、選択レンジ番号)が異なってしまい、利用者を困惑させる可能性もある。そこで、制御部7には、ノイズによる誤判定を是正できる機能を持たせた。
【0069】
制御部7の一構成例を
図9に示す。回転位置検出用フォトインタラプタ61からの観点位置特定信号は、制御部7の検出タイミング指示手段71に入力され、第1~第3状態検出用フォトインタラプタ62A~62Cからの第1~第3状態信号は、制御部7の機能状態特定手段72に入力される。検出タイミング指示手段71は、判定閾値記憶手段73に記憶された判定閾値Vthを用いて、立ち下がり検出点Pdおよび立ち上がり検出点Puを検出する。ロータリースイッチ1のレンジノブ4が操作されて被検知部5が回転し、回転位置被検出体51の第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8を検出して回転位置検出用フォトインタラプタ61がONになるときに、検出タイミング指示手段71は回転位置特定信号から立ち下がり検出点Pdを検出できる。検出タイミング指示手段71が立ち下がり検出点Pdを検出したタイミング(回転時検出タイミング)で、機能状態特定手段72に対して検出指示を行う。この検出指示を受けた機能状態特定手段72は、判定閾値記憶手段73に記憶されていた判定閾値Vthを用いて、第1~第3状態信号のON/OFFを判定する。そして、機能状態特定手段72は、第1~第3状態信号のON/OFFの組み合わせから機能状態を特定し、特定した機能状態を示す指示信号を機能状態信号出力手段74へ供給する。機能状態信号出力手段74は、指示された機能状態に対応する機能状態信号を出力するので、利用者がロータリースイッチ1を操作して選択した機能状態を機能状態信号によって報せることができる。
【0070】
さらに、制御部7には、検出タイミング指示手段71に経過時間を知らせる計時手段75を設けてあり、検出タイミング指示手段71は、第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8が回転位置検出用フォトインタラプタ61を通過するまでの期間を計時できる。すなわち、検出タイミング指示手段71は、回転位置検出用フォトインタラプタ61が回転位置被検出体51の第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8を検出してから、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8を検出しなくなるまでの機能状態選択期間を、回転位置特定信号に基づいて認識できる。
【0071】
更に、この機能状態選択期間中、検出タイミング指示手段71は、予め定めた所定期間である再検出実行期間(例えば、100ミリ秒程度)が経過するタイミング(停止時検出タイミング)で、機能状態特定手段72に対して検出指示を行う。すなわち、検出タイミング指示手段71は、回転位置特定信号の立ち下がり検出点Pdを検出して、回転位置特定信号の立ち上がり検出点Puを検出するまでの間を機能状態選択期間として管理すると共に、機能状態選択期間中は再検出実行期間を周期的に管理するのである。なお、再検出実行期間の時間幅は、特に限定されるものではないが、レンジノブ4を回して選択位置を変更するときに、利用者の標準的な回転操作で第1~第8回転位置特定スリット51S1~51S8が回転位置検出用フォトインタラプタ61を通過する時間幅(平均的スリット通過時間)よりも十分長い時間幅にしておくことが望ましい。このように、再検出実行期間を平均的スリット通過時間よりも長くしておけば、通過するはずのスリットを回転位置検出用フォトインタラプタ61が検出する度に、再検出実行期間経過毎の再検出が実行される無駄を省ける。
【0072】
そして、機能状態選択期間中に検出タイミング指示手段71より検出指示を受ける毎に、機能状態特定手段72は第1~第3状態信号のON/OFFを判定し、特定した機能状態を示す指示信号を機能状態信号出力手段74へ供給する。このように、ロータリースイッチ1のレンジノブ4が何れかの機能状態を選択したまま停まっている機能状態選択期間中、第1~第3状態信号の監視を続けておけば、電気的ノイズによる第1~第3状態信号の誤認識が一時的に生じても、再検出によって誤りを訂正することが可能となる。
【0073】
ロータリースイッチ1のレンジノブ4を操作して、選択レンジ「1」から「4」に切り替えるときの各信号波形を
図10に示す。初期状態では、選択した機能状態としてレンジ「1」が選択されているので、第1~第3状態信号の組み合わせである状態情報は「OFF,OFF,OFF」であり、制御部7からは、選択レンジ1に対応する機能状態信号1が出力されている。
【0074】
利用者がレンジノブ4を回し始めると、第1回転位置特定スリット51s1が回転位置検出用フォトインタラプタ61に検出されなくなることで回転位置特定信号がOFFとなり、選択レンジ1に対応する機能状態選択期間STが終了する。その後、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第2回転位置特定スリット51S2を検出した回転時検出タイミングDPmになると、検出タイミング指示手段71からの指示により機能状態特定手段72が第1~第3状態信号のON/OFFを読み取る。このときの状態情報は「OFF,OFF,ON」であり、機能状態特定手段72は、特定した機能状態2(選択レンジ2)を示す指示信号を機能状態信号出力手段74へ供給する。これにより、機能状態信号出力手段74は、指示された機能状態2(選択レンジ2)に対応する機能状態信号2を出力する。
【0075】
更にレンジノブ4が回され、第2回転位置特定スリット51s2が回転位置検出用フォトインタラプタ61に検出されなくなることで回転位置特定信号がOFFとなり、選択レンジ2に対応する機能状態選択期間STが終了する。なお、この機能状態選択期間STは、平均的スリット通過時間程度であるから、再検出実行期間CTよりも十分短いので、機能状態選択期間ST中に再検出実行期間CTが経過し、停止時検出タイミングDPsとなって第1~第3状態信号の再検出が行われることはない。その後、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第3回転位置特定スリット51S3を検出した回転時検出タイミングDPmになると、検出タイミング指示手段71からの指示により機能状態特定手段72が第1~第3状態信号のON/OFFを読み取る。このときの状態情報は「OFF,ON,ON」であり、機能状態特定手段72は、特定した機能状態3(選択レンジ3)を示す指示信号を機能状態信号出力手段74へ供給する。これにより、機能状態信号出力手段74は、指示された機能状態3(選択レンジ3)に対応する機能状態信号3を出力する。
【0076】
更にレンジノブ4が回され、第3回転位置特定スリット51s3が回転位置検出用フォトインタラプタ61に検出されなくなることで回転位置特定信号がOFFとなり、選択レンジ3に対応する機能状態選択期間STが終了する。この機能状態選択期間STも再検出実行期間CTより十分短いので、機能状態選択期間ST中に再検出実行期間CTが経過し、停止時検出タイミングDPsとなって第1~第3状態信号の再検出が行われることはない。その後、回転位置検出用フォトインタラプタ61が第4回転位置特定スリット51S4を検出した回転時検出タイミングDPmになると、検出タイミング指示手段71からの指示により機能状態特定手段72が第1~第3状態信号のON/OFFを読み取る。このときの状態情報は、本来「ON,ON,ON」であるが、第3状態信号に混入したノイズNS1により、第3状態信号を「OFF」と誤検出してしまう。このため、機能状態特定手段72は状態情報「ON,ON,OFF」から特定した機能状態5(選択レンジ5)を示す指示信号を機能状態信号出力手段74へ供給する。これにより、機能状態信号出力手段74は、指示された機能状態5(選択レンジ5)に対応する機能状態信号5を誤出力してしまう。
【0077】
上記のようなノイズNS1の影響により、レンジノブ4により選択された機能状態4(選択レンジ4)とは異なる機能状態5(選択レンジ5)を示す機能状態信号が制御部7より出力されると、スイッチとしての信頼性を欠いてしまう。しかしながら、第4回転位置特定スリット51s4が回転位置検出用フォトインタラプタ61に検出されて、選択レンジ4に対応する機能状態選択期間STになると、検出タイミング指示手段71は、再検出実行期間CTの経過を監視する。再検出実行期間CTが経過して停止時検出タイミングDPsになると、検出タイミング指示手段71は機能状態特定手段72に指示して、第1~第3状態信号の再検出を行わせる。第1~第3状態信号がノイズの影響を受けていなければ、機能状態特定手段72が取得する状態情報は「ON,ON,ON」であるから、機能状態信号出力手段74より、適正な機能状態信号4が出力され、選択レンジが「4」に訂正されることとなる。
【0078】
また、第1~第3状態信号が一斉にノイズの影響を受ける可能性もある。例えば、再検出実行期間CTが経過して停止時検出タイミングDPsとなったとき、第1状態信号にノイズNS2aが作用し、第2状態信号にノイズNS2bが作用し、第3状態信号にノイズNS2cが作用すると、機能状態特定手段72が誤判定してしまう。第1状態信号に作用したノイズNS2aは比較的弱く、第1状態信号のレベルは判定閾値Vthを越えていなかったため、機能状態特定手段72は第1状態信号を適正に「ON」と検出する。第2状態信号に作用したノイズNS2bは比較的強く、第2状態信号のレベルは判定閾値Vthに達していたため、機能状態特定手段72は第2状態信号を「OFF」と誤検出する。第3状態信号に作用したノイズNS2cも比較的強く、第3状態信号のレベルも判定閾値Vthに達していたため、機能状態特定手段72は第3状態信号も「OFF」と誤検出する。すなわち、機能状態特定手段72が取得した状態情報は「ON,OFF,OFF」であるから、機能状態8(選択レンジ8)を示す指示信号を機能状態信号出力手段74へ供給するため、機能状態信号出力手段74より、誤った機能状態信号8が出力されてしまう。しかしながら、更に再検出実行期間CTが経過して停止時検出タイミングDPsになると、検出タイミング指示手段71は機能状態特定手段72に指示して、第1~第3状態信号の再検出を行わせる。第1~第3状態信号がノイズの影響を受けていなければ、機能状態特定手段72が取得する状態情報は「ON,ON,ON」であるから、機能状態信号出力手段74より、適正な機能状態信号4が出力され、選択レンジが「4」に訂正されることとなる。
【0079】
以上のように、検出タイミング指示手段71が、機能状態選択期間ST中に、停止時検出タイミングDPsの監視を行い、停止時検出タイミングDPsが成立する毎に、機能状態特定手段72が第1~第3状態信号を取得し、改めて機能状態を特定するので、ノイズ等による誤判定を効果的に是正できる。
【0080】
なお、機能状態選択期間ST中は、レンジノブ4が操作されていないのであるから、停止時検出タイミングDPsにて機能状態特定手段72が特定した機能状態が前回の機能状態と異なっていた場合、ノイズ等により一時的に誤判定された可能性が疑われる。このような誤判定に基づく機能状態信号の訂正を許してしまうと、瞬時的に機能状態が変更された後、再び元に戻るような挙動が生じ、電気計測器EMとしての安定性を損なう。そこで、制御部7に機能状態補正手段76(
図9においては、破線で示す)を設けておき、機能状態選択期間ST中に機能状態特定手段72から異なる機能状態の指示信号を受けた場合には、機能状態信号出力手段74による機能状態信号の変更を一時保留させる。例えば、機能状態特定手段72から同じ機能状態の指示信号が複数回連続して入力されることを機能状態訂正条件とし、機能状態補正手段76が機能状態訂正条件を満たすと判定した場合のみ、機能状態信号出力手段74からの機能状態信号を訂正させる。機能状態補正手段76を設ければ、瞬時的に機能状態が変更された後、再び元に戻るような挙動を防ぐことができ、電気計測器EMとしての安定性を高めることができる。
【0081】
以上、本発明に係るロータリースイッチの実施形態を添付図面に基づいて説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない範囲で、公知既存の等価な技術手段を転用することにより実施しても構わない。
【符号の説明】
【0082】
1 ロータリースイッチ
2 プリント基板
3 操作軸
4 レンジノブ
5 被検知部
5a 被検知面
51 回転位置被検出体
51S1~51S8 第1~第8回転位置特定スリット
52 状態被検出体
52S1~52S4 第1~第4状態特定スリット
6 フォトインタラプタ
61 回転位置検出用フォトインタラプタ
62A~62C 第1~第3状態検出用フォトインタラプタ
7 制御部