(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191845
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】半導体パッケージ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/12 20060101AFI20221221BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
G02B6/12 301
G02B6/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100308
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122622
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徳久
(72)【発明者】
【氏名】清水 敬介
(72)【発明者】
【氏名】池田 大介
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
【Fターム(参考)】
2H137AB01
2H137AB12
2H137AC02
2H137AC04
2H137BA01
2H137BB02
2H137BB12
2H137BB25
2H137BB33
2H137BC51
2H137BC73
2H137CC06
2H147AB04
2H147AB05
2H147AC02
2H147BG02
2H147BG05
2H147CA01
2H147CA13
2H147CB01
2H147CB06
2H147CC15
2H147CD13
2H147DA09
2H147DA10
2H147FD15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電気信号の伝送損失がない半導体パッケージの提供。
【解決手段】実施形態の半導体パッケージ1は、第1面2aと第1面2aと反対側の第2面2bとを有するプリント配線板2と、プリント配線板2の第1面2a上に実装されているロジックIC10と、プリント配線板2の第1面2a上に配置されているコネクタ30と、プリント配線板2の第1面2a側に埋まっていて、ロジックIC10とコネクタ30間に配置されている光導波路40と、光導波路40とロジックIC10間に配置されている光信号の伝送方向を変更するための第1ミラー50と、光導波路とコネクタ間に配置されている光信号の伝送方向を変更するための第2ミラー60、とを有する。ロジックIC10は光信号を電気信号に変換する機能を有する。ロジックIC10とコネクタ30は第1ミラー50と光導波路と第2ミラー60を介して光学的に接続されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有するプリント配線板と、
前記プリント配線板の前記第1面上に実装されているロジックICと、
前記プリント配線板の前記第1面上に配置されているコネクタと、
前記プリント配線板の前記第1面側に埋まっていて、前記ロジックICと前記コネクタ間に配置されている光導波路と、
前記光導波路と前記ロジックIC間に配置されている光信号の伝送方向を変更するための第1ミラーと、
前記光導波路と前記コネクタ間に配置されている光信号の伝送方向を変更するための第2ミラー、とを有する半導体パッケージであって、
前記ロジックICは光信号を電気信号に変換する機能を有し、前記ロジックICと前記コネクタは前記第1ミラーと前記光導波路と前記第2ミラーを介して光学的に接続されている。
【請求項2】
請求項1の半導体パッケージであって、前記光導波路の長さは30mm以上、70mm以下である。
【請求項3】
請求項1の半導体パッケージであって、前記光導波路は前記第1面に平行に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基板の一の面に光学素子とICチップが実装されたICチップ実装用基板を開示する。基板には、基板を貫通する光信号伝送用光路が形成されている。光学素子に入出力される光信号は光信号伝送用光路を介して伝送される。光学素子とICチップは、基板に設けられた半田接続部、導体回路、バイアホール、スルーホール等を介して電気的に接続される。そのため、光学素子とICチップの間では、半田接続部、導体回路、バイアホール、スルーホール等を介して電気信号が伝送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
[特許文献1の課題]
特許文献1のICチップ実装用基板では、基板に設けられた導体回路、バイアホール、スルーホール等が光学素子とICチップの間の電気的な経路として機能する。しかしながら、特許文献1の構成では電気的な経路が長いため(例えば200mm程度)、電気信号の伝送損失が大きいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の半導体パッケージは、第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有するプリント配線板と、前記プリント配線板の前記第1面上に実装されているロジックICと、前記プリント配線板の前記第1面上に配置されているコネクタと、前記プリント配線板の前記第1面側に埋まっていて、前記ロジックICと前記コネクタ間に配置されている光導波路と、前記光導波路と前記ロジックIC間に配置されている光信号の伝送方向を変更するための第1ミラーと、前記光導波路と前記コネクタ間に配置されている光信号の伝送方向を変更するための第2ミラー、とを有する。前記ロジックICは光信号を電気信号に変換する機能を有する。前記ロジックICと前記コネクタは前記第1ミラーと前記光導波路と前記第2ミラーを介して光学的に接続されている。
【0006】
本発明の実施形態の半導体パッケージでは、ロジックICは光信号を電気信号に変換する機能を有する。ロジックICとコネクタは第1ミラーと光導波路と第2ミラーを介して光学的に接続されており、ロジックICとコネクタ間で光信号が伝送され、電気信号は伝送されない。実施形態の半導体パッケージでは電気信号が伝送される電気的な経路が省略されるため、電気信号の伝送損失が生じない。電気信号の伝送損失がない半導体パッケージが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態の半導体パッケージを模式的に示す断面図。
【
図2】実施形態の半導体パッケージにおける光学的な経路を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
図1は、実施形態の半導体パッケージ1を示す断面図である。半導体パッケージ1は、プリント配線板2と、ロジックIC10と、コネクタ30と、光導波路40とを有している。
【0009】
プリント配線板2は、例えばコア基板上に導体層と樹脂絶縁層を交互に積層して形成されるビルドアップ層を有する配線板である。プリント配線板2は、第1面2aと、第1面2aと反対側の第2面2bとを有する。第1面2aは、ロジックIC10等の電子部品を実装する面である。第2面2bは、プリント配線板2をマザーボード(図示しない)上に実装するための面である。樹脂絶縁層は熱硬化性樹脂を用いて形成される。樹脂絶縁層はシリカ等の無機粒子を含んでもよいし、ガラスクロス等の補強材を含んでもよい。導体層は主に銅を用いて形成される。導体層は図示しない配線等を含んでいる。プリント配線板2の厚みは例えば1mm程度である。
【0010】
ロジックIC10は、光信号と電気信号とを変換する機能を有し、入力された光信号を電気信号に変換して動作するICチップである。ロジックIC10は、プリント配線板2の第1面2a上に実装されている。ロジックIC10は、例えばCPUである。ロジックIC10は、光-電気変換を行う受光素子と、電気-光変換を行う発光素子と、光信号と電気信号の間の変換を制御する制御回路を内蔵している。受光素子は例えばフォトダイオードである。発光素子は例えばレーザダイオードである。ロジックIC10は、光信号を入出力するための光入出力部16を備える。光入出力部16は、プリント配線板2に対向する側(下側)に設けられる。ロジックIC10は、はんだバンプ14と光透過部材52(後述)を介して第1面2a上に実装されている。
【0011】
ロジックIC10は、光入出力部16から入力される(受信される)光信号を電気信号に変換し、変換された電気信号を用いて駆動する。ロジックIC10が駆動されることで出力される電気信号は、光信号に変換されて光入出力部16から外部に出力される(送信される)。
【0012】
コネクタ30は、光導波路(光ファイバ)を接続する部品である。実施形態では、コネクタ30はプリント配線板2の第1面2a上に実装されている。コネクタ30は、光ファイバ32とハウジング34とを備える。光ファイバ32は光信号を伝送する部材である。光ファイバ32の長さは例えば100mm以上である。ハウジング34は光ファイバ32の端部に接続されている。ハウジング34は第1面2a上に実装可能な形状を有する。ハウジング34の内部には光ファイバ32の端部から出力される光信号を案内するとともに、ハウジング34に入力される光信号を光ファイバ32の端部に案内するための経路(図示省略)が形成されている。
【0013】
光導波路40は、光信号を伝送する部材で形成される伝送路である。光導波路40は光ファイバによって形成されている。光導波路40はロジックIC10とコネクタ30間に形成されている。光導波路40はロジックIC10とコネクタ30を光学的に接続する。光導波路40は、プリント配線板2の第1面2a側に埋まっている。光導波路40は、第1面2aに沿って延びており、第1面2aに平行に形成されている。光導波路40の長さは30mm以上70mm以下である。改変例では光導波路40の長さは70mm以上であってもよいし30mm以下であってもよい。
【0014】
光導波路40とロジックIC10の間には第1ミラー50と光透過部材52が備えられている。光透過部材52は光信号を透過する部材である。光透過部材52は、例えば透明な樹脂で形成される光ピンである。光透過部材52の下端は第1ミラー50の直上に設けられている。光透過部材52の上端はプリント配線板2の第1面2aから突出している。光透過部材52の上端は後述のロジックIC10の光入出力部16の直下に設けられている。光入出力部16と光透過部材52は光学的に接続されている。
【0015】
第1ミラー50は光導波路40とロジックIC10の間で伝送される光信号の伝送方向を変更するための反射部材である。第1ミラー50は光導波路40の端部と光透過部材52の間に配置されている。このため、光導波路40は第1ミラー50を介してロジックIC10と光学的に接続される。光導波路40の端部から出力される光信号は、第1ミラー50によって伝送方向が変更されて光透過部材52を介してロジックIC10の光入出力部16に入力される。反対に、ロジックIC10の光入出力部16から出力される光信号は、第1ミラー50によって伝送方向が変更されて光透過部材52を介して光導波路40の端部に入力される。
【0016】
光導波路40とコネクタ30の間には第2ミラー60と光透過部材62が備えられている。光透過部材62は光信号を透過する部材である。光透過部材62は、例えば透明な樹脂で形成される光ピンである。光透過部材62はコネクタ30のハウジング34の下側のプリント配線板2内に設けられている。ハウジング34と光透過部材62は光学的に接続されている。
【0017】
第2ミラー60は光導波路40とコネクタ30の間で伝送される光信号の伝送方向を変更するための反射部材である。第2ミラー60は光導波路40の端部と光透過部材62の間に配置されている。このため、光導波路40は第2ミラー60を介してコネクタ30と光学的に接続される。光導波路40の端部から出力される光信号は、第2ミラー60によって伝送方向が変更されて光透過部材62を介してコネクタ30に入力される。反対に、コネクタ30から出力される光信号は、第2ミラー60によって伝送方向が変更されて光透過部材62を介して光導波路40の端部に入力される。
【0018】
上記のように、実施形態では、ロジックIC10とコネクタ30は光透過部材52と第1ミラー50と光導波路40と第2ミラー60と光透過部材62を介して光学的に接続されている。ロジックIC10とコネクタ30間で光信号を伝送することができる。
【0019】
図2は、実施形態の半導体パッケージ1における光学的な経路90を示す。光信号は、光学的な経路90を介して、コネクタ30の光ファイバ32とロジックIC10の光入出力部16間で伝送される。光学的な経路90は、光透過部材52と第1ミラー50と光導波路40と第2ミラー60と光透過部材62とハウジング34と光ファイバ32によって形成される。光学的な経路90全体の長さは光ファイバ32の長さに応じて変化する。
【0020】
上記の通り実施形態のロジックIC10は光信号を電気信号に変換する機能を有する。ロジックIC10とコネクタ30は、第1ミラー50と光導波路40と第2ミラー60を介して光学的に接続されている。ロジックIC10とコネクタ30間で光信号が伝送されるが電気信号は伝送されない。実施形態の半導体パッケージ1では電気信号が伝送される電気的な経路が存在しないため、電気信号の伝送損失が生じない。電気信号の伝送損失がない半導体パッケージ1が提供される。
【0021】
[実施形態の半導体パッケージ1の製造方法]
実施形態の半導体パッケージ1の製造方法が説明される。実施形態の半導体パッケージ1は、以下の各工程によって形成される。コア基板上に導体層と樹脂絶縁層を交互に積層することによってプリント配線板2が形成される。プリント配線板2の第1面2a側に、光導波路40を内蔵するための凹部が形成される。形成された凹部内に光導波路40が配置される。この際、凹部内には光透過部材52と第1ミラー50と第2ミラー60と光透過部材62も配置される。
【0022】
その後、凹部に配置された光導波路40上に樹脂絶縁層が形成される。光透過部材52の上端部は第1面2aから突出する。
【0023】
プリント配線板2の第1面2a上に、はんだバンプ14、光透過部材52を介してロジックIC10が実装される。ロジックIC10の光入出力部16は、第1面2aから突出する光透過部材52の上端と光学的に接続される。これにより、ロジックIC10は、第1ミラー50を介して光導波路40と光学的に接続される。
【0024】
プリント配線板2の第1面2a上にコネクタ30が実装される。コネクタ30のハウジング34が光透過部材62上に固定される。これにより、コネクタ30と光導波路40が第2ミラー60を介して光学的に接続される。この結果、ロジックIC10とコネクタ30が、第1ミラー50と光導波路40と第2ミラー60を介して光学的に接続される。実施形態の半導体パッケージ1が得られる。
【符号の説明】
【0025】
1 :半導体パッケージ
2 :プリント配線板
2a :第1面
2b :第2面
10 :ロジックIC
30 :コネクタ
40 :光導波路
50 :第1ミラー
60 :第2ミラー