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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191858
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】空調制御装置、及び空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/46 20180101AFI20221221BHJP
   F24F 11/61 20180101ALI20221221BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20221221BHJP
   F24F 11/32 20180101ALI20221221BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20221221BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20221221BHJP
   F24F 110/60 20180101ALN20221221BHJP
   F24F 120/20 20180101ALN20221221BHJP
【FI】
F24F11/46
F24F11/61
F24F11/64
F24F11/32
F24F11/74
F24F7/007 B
F24F110:60
F24F120:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100326
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 元巳
(72)【発明者】
【氏名】山田 陽祐
(72)【発明者】
【氏名】西垣内 文香
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BD01
3L056BE07
3L056BF06
3L260BA09
3L260BA12
3L260CA17
3L260CB69
3L260EA02
3L260EA04
3L260EA12
3L260FA14
3L260FB01
3L260FC02
3L260FC03
3L260HA01
3L260HA06
(57)【要約】
【課題】臭いによる不快感の発生を抑制できると共に、熱的快適性を確保できる空調制御装置、及び空調システムを提供する。
【解決手段】部屋Rを空調する室内機2と、部屋Rを換気する換気扇3とを制御する空調制御装置100であって、部屋Rにおいて臭気が発生することを予測するための予測情報に基づいて、部屋Rにおける臭気の発生の有無、及び部屋Rにおいて臭気が発生する時間を予測し、部屋Rにおける臭気の発生、及び部屋Rにおける臭気が発生する時間を予測した場合に、部屋Rにおいて臭気が発生する前の所定のタイミングで、室内機2の運転状態を、部屋Rにおける臭気の発生を予測しない場合の通常運転に比して過剰な運転状態に設定し、部屋Rにおける臭気の発生時に空調装置2を停止させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調対象空間を空調する空調装置と、前記空調対象空間を換気する換気装置とを制御する空調制御装置であって、
前記空調対象空間において臭気が発生することを予測するための予測情報に基づいて、前記空調対象空間における臭気の発生の有無、及び前記空調対象空間において臭気が発生する時間を予測し、
前記空調対象空間における臭気の発生、及び前記空調対象空間における臭気が発生する時間を予測した場合に、前記空調対象空間において臭気が発生する前の所定のタイミングで、前記空調装置の運転状態を、前記空調対象空間における臭気の発生を予測しない場合の通常運転に比して過剰な運転状態に設定し、
前記空調対象空間における臭気の発生時に前記空調装置を停止させる空調制御装置。
【請求項2】
前記空調装置の冷房時の前記通常運転では、PMVの目標値を正の所定値に設定し、前記空調装置の冷房時の前記過剰な運転状態では、PMVの目標値を負の所定値に設定する請求項1に記載の空調制御装置。
【請求項3】
前記空調装置の暖房時の前記通常運転では、PMVの目標値を負の所定値に設定し、前記空調装置の暖房時の前記過剰な運転状態では、PMVの目標値を正の所定値に設定する請求項1又は2に記載の空調制御装置。
【請求項4】
前記予測情報は、前記空調対象空間において発生する臭気を検知する臭気センサから出力される測定値であり、
前記臭気センサから出力される臭気の測定値の変化の傾向に基づいて、前記空調対象空間における閾値を超える臭気の発生、及び前記空調対象空間における閾値を超える臭気が発生する時間を予測する請求項1~3の何れか1項に記載の空調制御装置。
【請求項5】
前記予測情報は、排泄が行われることを検知する排泄検知センサから出力される排泄に関する情報であり、
前記排泄検知センサから出力される排泄に関する情報に基づいて、前記空調対象空間における閾値を超える臭気の発生、及び前記空調対象空間における閾値を超える臭気が発生する時間を予測する請求項1~4の何れか1項に記載の空調制御装置。
【請求項6】
前記予測情報は、臭気が発生する時間情報を含むスケジュール情報であり、
前記スケジュール情報に基づいて、前記空調対象空間における閾値を超える臭気の発生、及び前記空調対象空間における閾値を超える臭気が発生する時間を予測する請求項1~5の何れか1項に記載の空調制御装置。
【請求項7】
前記空調対象空間における臭気の発生時に、前記換気装置の風量を増大させる請求項1~6の何れか1項に記載の空調制御装置。
【請求項8】
空調対象空間を空調する空調装置と、
前記空調対象空間を換気する換気装置と、
前記空調装置と前記換気装置とを制御する空調制御装置と
を備える空調システムであって、
前記空調制御装置は、
前記空調対象空間において臭気が発生することを予測するための予測情報に基づいて、前記空調対象空間における臭気の発生の有無、及び前記空調対象空間において臭気が発生する時間を予測し、
前記空調対象空間における臭気の発生、及び前記空調対象空間における臭気が発生する時間を予測した場合に、前記空調対象空間において臭気が発生する前の所定のタイミングで、前記空調装置の運転状態を、前記空調対象空間における臭気の発生を予測しない場合の通常運転に比して過剰な運転状態に設定し、
前記空調対象空間における臭気の発生時に前記空調装置を停止させる
空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調制御装置、及び空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
室内の空気を換気扇が設けられた天井へ送風する送風機を備え、この送風機の作動時に空調装置の運転を停止させることにより、おむつの交換時等に発生する臭気を短時間で除去することを企図したシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-163737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のシステムでは、臭気の発生時に空調装置の運転を停止させることにより、臭気が部屋中に拡散することを防止でき、部屋にいる人の臭いによる不快感の発生を抑制できる。しかしながら、空調装置の運転を停止させることにより、部屋にいる人の熱的快適性が損なわれる。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、臭いによる不快感の発生を抑制できると共に、熱的快適性を確保できる空調制御装置、及び空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る空調制御装置は、空調対象空間を空調する空調装置と、前記空調対象空間を換気する換気装置とを制御する空調制御装置であって、前記空調対象空間において臭気が発生することを予測するための予測情報に基づいて、前記空調対象空間における臭気の発生の有無、及び前記空調対象空間において臭気が発生する時間を予測し、前記空調対象空間における臭気の発生、及び前記空調対象空間における臭気が発生する時間を予測した場合に、前記空調対象空間において臭気が発生する前の所定のタイミングで、前記空調装置の運転状態を、前記空調対象空間における臭気の発生を予測しない場合の通常運転に比して過剰な運転状態に設定し、前記空調対象空間における臭気の発生時に、前記空調装置を停止させる。
【0007】
本発明に係る空調システムは、空調対象空間を空調する空調装置と、前記空調対象空間を換気する換気装置と、前記空調装置と前記換気装置とを制御する空調制御装置とを備える空調システムであって、前記空調制御装置は、前記空調対象空間において臭気が発生することを予測するための予測情報に基づいて、前記空調対象空間における臭気の発生の有無、及び前記空調対象空間において臭気が発生する時間を予測し、前記空調対象空間における臭気の発生、及び前記空調対象空間における臭気が発生する時間を予測した場合に、前記空調対象空間において臭気が発生する前の所定のタイミングで、前記空調装置の運転状態を、前記空調対象空間における臭気の発生を予測しない場合の通常運転に比して過剰な運転状態に設定し、前記空調対象空間における臭気の発生時に、前記空調装置を停止させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、臭いによる不快感の発生を抑制できると共に、熱的快適性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る空調制御装置を備える空調システムの概略構成を示す図である。
図2図2は、PMVとPPDとの関係、及び本実施形態でのPMVの目標値の設定について説明するためのグラフである。
図3図3は、臭気が発生する前後の室内機の運転状態を説明するためのタイミングチャートである。
図4図4は、空調制御装置による室内機及び換気扇の制御を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、実施形態は本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用される。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る空調制御装置100を備える空調システム1の概略構成を示す図である。この図に示すように、空調システム1は、空調対象空間である部屋Rを空調する室内機2と、部屋Rの天井に設けられた換気扇3と、部屋Rで発生した臭気を検知する臭気センサ4と、おむつ等に設置された排泄検知センサ(図示省略)と、室内機2と換気扇3との運転を制御する空調制御装置100とを備える。
【0012】
空調制御装置100は、部屋Rでの臭気の発生を予測する予測機能を備えており、当該予測機能による臭気の発生の予測結果に応じて、室内機2と換気扇3とを制御する。具体的には、空調制御装置100は、臭気センサ4の測定値や種々の履歴情報等を機械学習した学習結果に基づいて、部屋Rにおける臭気の発生の有無、及び部屋Rにおいて臭気が発生する時間を予測し、部屋Rにおいて臭気が発生すると予測した場合には、部屋Rで臭気が発生する前の所定のタイミング(例えば、臭気発生の予測時間の5~30分前)で、室内機2の運転状態を過剰運転に設定し、換気扇3の運転を停止する。過剰運転としては、冷房の場合は設定温度を下げる運転を例示できる。その後、空調制御装置100は、臭気センサ4により判定閾値を超えるレベルの臭気が検知された時点で、室内機2を停止させて換気扇3の風量を増大させる。なお、空調制御装置100は、臭気センサ4により判定閾値を超えるレベルの臭気が検知された時点ではなく、臭気が発生すると予測した時間になった時間で、室内機2を停止させて換気扇3の風量を増大させてもよい。
【0013】
部屋Rにおける臭気の発生の有無、及び部屋Rにおいて臭気が発生する時間の予測方法としては、以下に説明する方法を例示できる。
【0014】
まず、臭気センサ4の測定値に基づいて臭気の発生の有無、及び臭気の発生時間を予測する方法を例示できる。この方法では、リアルタイムの臭気センサ4の測定値に基づいて、臭気が増大の傾向にあるか否か、及び、増大の傾向にある臭気が判定閾値に到達するまでの時間を予測する。具体的には、臭気のレベルを例えば1~5のように設定し、臭気発生の判定閾値を所定のレベル(例えば5)に設定する。臭気センサ4によって測定される臭気のレベルが1から2、2から3、3から4と高くなっていく際の所要時間から、臭気のレベルが臭気発生の判定閾値のレベルに到達するまでの時間を予測する。
【0015】
また、臭気発生の主な原因を排泄として、排泄の有無を検知する排泄検知センサ(図示省略)の検知信号に基づいて臭気の発生の有無、及び臭気の発生時間を予測する方法を例示できる。排泄検知センサとしては、おむつで排泄を検知可能なおむつセンサ、ベッドの敷きパッドで排泄を検知可能なセンサ等を例示できる。この方法では、リアルタイムの排泄検知センサ(図示省略)の検出信号に基づき、排泄の有無を予測し、排泄後の臭気の発生時間を予測する。
【0016】
また、機械学習の学習結果に応じて、臭気の発生に関するスケジュール情報を作成し、作成したスケジュール情報に基づいて臭気の発生の有無、及び臭気の発生時間を予測する方法を例示できる。具体的には、ある施設(例えば老健施設)での所定期間(例えば直近の約1カ月間)の排泄の時刻情報を機械学習装置に入力して排泄の時刻の傾向を学習させ、学習結果に応じて臭気の発生に関するスケジュール情報を作成する。例えば、排泄が行われる時間帯には臭気が発生するというスケジュール情報を作成する。
【0017】
あるいは、ある施設での所定期間の食事の内容と食事中の臭気センサ4の測定値とを機械学習装置に入力して食事の内容と臭気の発生との関係性を学習させ、学習結果に応じて臭気の発生に関するスケジュール情報を作成する。例えば、空調制御装置100は、食事のメニューと時刻との情報を予め取得し、取得した情報に基づいて臭気の発生に関するスケジュール情報を作成し、作成したスケジュール情報に基づいて臭気の発生の有無及び臭気が発生する時刻を予測する。
【0018】
あるいは、臭気の発生時に使用者が換気扇3を強運転に切り替えることに着目し、換気扇3の運転履歴データを機械学習装置に入力して弱運転から強運転に切り替えられる時間の傾向を学習させ、学習結果に応じて臭気の発生に関するスケジュール情報を作成する。例えば、換気扇3が弱運転から強運転に切り替えられる傾向が強い時間帯には臭気が発生し、換気扇3が弱運転から強運転に切り替えられる傾向が弱い時間帯には臭気が発生しないというスケジュール情報を作成する。
【0019】
空調制御装置100は、判定閾値を超えるレベルの臭気が発生していない通常時は、室内機2を熱的快適性指標(PMV:Predicted Mean Vote、予想平均温冷感申告)に基づいて室内機2を制御する。具体的には、空調制御装置100は、冷房時にはPMV=0.3を目標値に設定して室内機2を制御し、暖房時にはPMV=-0.3を目標値に設定して室内機2を制御する。他方で、空調制御装置100は、判定閾値を超えるレベルの臭気が発生すると予測した場合、臭気が発生する予測時間の前の所定タイミングで、PMVの目標値を変更して通常時に比して過剰な運転状態となるように室内機2を制御する。具体的には、空調制御装置100は、冷房時に臭気が発生すると予測した場合、臭気が発生する予測時間の前の所定タイミングで、PMV=-0.5を目標値に設定して室内機2を制御する。他方で、空調制御装置100は、暖房時に臭気が発生すると予測した場合、臭気が発生する予測時間の前の所定タイミングで、PMV=0.5を目標値に設定して室内機2を制御する。
【0020】
図2は、PMVとPPD(Predicted Percentage of Dissatisfied(予測不快者率))との関係、及び本実施形態でのPMVの目標値の設定について説明するためのグラフである。このグラフに示すPMV=-0.5~0.5の範囲が、一般的に温熱環境の快適範囲とされている。一般的には熱的快適性と省エネ性とを両立させるために、冷房時には、PMVの目標値は0.5に近い値に設定され、暖房時には、PMVの目標値は-0.5に近い値に設定される。
【0021】
図3は、室内のガス濃度変化を時間軸で表したタイミングチャートであり、そのタイミングチャートを用いて室内機2の運転状態を説明している。このタイミングチャートでは、部屋Rで判定閾値を超えるレベルの臭気が発生してから換気扇3の風量の増大により臭気のレベルが判定閾値未満に低下するまでの室内機2の運転状態を示している。このタイミングチャートに示すように、時刻t0,t1においては、臭気のレベルが判定閾値未満であり、時刻t2において臭気のレベルが判定閾値に到達する。
【0022】
臭気のレベルの判定閾値は、利用者が不快に感じるレベルに設定すればよい。例えば、排泄物臭がよく発生する部屋では、排泄物臭に含まれるアンモニアのガス濃度(40ppm)に設定する。
【0023】
図3のタイミングチャートに示すように、臭気のレベルが判定閾値未満である時刻t0から時刻t1までの間(図中(3)の期間)、空調制御装置100は、冷房時の室内機2の運転状態を通常運転に設定する。この通常運転では、PMVの目標値は0.3に設定される。ここで、時刻t2は、臭気のレベルが判定閾値まで上昇した時刻であり、時刻t1は、空調制御装置100の予測機能により臭気のレベルが判定閾値を超えると予測された時刻から所定時間前の時刻である。この時刻t1から時刻t2までの間(図中(2)の期間)、空調制御装置100は、冷房時の室内機2の運転状態を過剰運転に設定する。この過剰運転では、PMVの目標値は-0.5に設定される。これにより、時刻t1から時刻t2までの間に、室内機2の過剰運転により部屋Rが過剰に冷房される。
【0024】
なお、時刻t1と時刻t2との間の時間、または過剰運転時の目標値を停止中の換気量から逆算して適切に設定する。室内機2が冷房運転の場合には、当該所定時間を、後の室内機2の運転停止時におけるPMVが0.5を超えることがないように、事前に十分に冷房できる長さに設定する。他方で、室内機2が暖房運転の場合には、当該所定時間を、後の室内機2の運転停止時におけるPMVが-0.5を下回ることがないように、事前に十分に暖房できる長さに設定する。
【0025】
図3のタイミングチャートに示すように、臭気センサ4によって検知された臭気が判定閾値まで上昇した時刻t2において、空調制御装置100は、室内機2の運転を停止する。この間、空調制御装置100は、換気扇3の風量を増大させる。臭気センサ4によって検知される臭気のレベルが判定閾値未満に低下した時刻t3において、空調制御装置100は、室内機2の運転状態を通常運転(PMV=0.3)に設定する。また、換気扇3の運転状態を通常運転に設定する。室内機2の通常運転のPMVは、0.3は一例であって適宜設定すればよい。
【0026】
ここで、室内機2の冷房運転が停止される時刻t2から時刻t3までの間(図中(1)の期間)、部屋Rの室温が徐々に上昇しPMVも上昇していく。しかし、時刻t2において部屋Rの室内が過剰に冷房されていたことにより、図2中の矢印Bで示すように、PMVは快適な範囲内に維持される。
【0027】
図4は、空調制御装置100による室内機2及び換気扇3の制御を説明するためのフローチャートである。このフローチャートに示すように、まず、ステップS1において、空調制御装置100は、室内機2の運転状態を通常運転に設定する。この通常運転では、PMVの目標値は冷房時であれば0.3、暖房時であれば-0.3である。なお、換気扇3は通常運転である。通常運転としては、弱運転を例示できる。次に、ステップS2において、空調制御装置100は、臭気センサ4により検知された臭気のレベルが判定閾値を上回るか否かを判定する。ステップS2において肯定判定がされた場合にはステップS5に移行し、ステップS2において否定判定がされた場合にはステップS3に移行する。
【0028】
ステップS3において、空調制御装置100は、判定閾値を超えるレベルの臭気が発生する予測時刻までの時間が閾値以下であるか否かを判定する。ステップS3において肯定判定がされた場合にはステップS4に移行し、ステップS3において否定判定がされた場合にはステップS2に移行する。
【0029】
ステップS4において、空調制御装置100は、室内機2の運転状態を過剰運転に設定する。この過剰運転では、PMVの目標値は冷房時であれば-0.5、暖房時であれば0.5である。このステップS4における室内機2の運転状態は、図3のタイミングチャートの時刻t1から時刻t2までの間の運転状態に相当する。なお、ステップS4において、空調制御装置100は、換気扇3の運転を停止させてもよい。ステップS4からステップS2に移行する。
【0030】
ステップS5において、空調制御装置100は、室内機2の運転を停止する。この際、空調制御装置100は、換気扇3の風量を増大させる。ステップS4からステップS2を経てステップS5に移行した後の室内機2の運転状態は、図3のタイミングチャートの時刻t2から時刻t3までの間の運転状態に相当する。
【0031】
次に、ステップS6において、空調制御装置100は、臭気センサ4により検知された臭気のレベルが判定閾値以下であるか否かを判定する。ステップS6において肯定判定がされた場合にはステップS7に移行し、ステップS6において否定判定がされている間はステップS6が繰り返される。
【0032】
ステップS7において、空調制御装置100は、室内機2の運転状態を通常運転に設定し、換気扇3の風量を通常運転の風量に低下させる。なお、ステップS7において、空調制御装置100は、換気扇3を停止させてもよい。ステップS7に移行した後の室内機2の運転状態は、図3のタイミングチャートの時刻t3以降の運転状態に相当する。以上の処理が繰り返し実行される。
【0033】
以上説明したように、本実施形態の空調制御装置100は、判定閾値を超えるレベルの臭気が部屋Rで発生する際に室内機2の運転を停止させることにより、部屋Rで臭気を含む空気が拡散されることを防止する。ここで、空調制御装置100は、判定閾値を超えるレベルの臭気が部屋Rで発生するか否か、及び判定閾値を超えるレベルの臭気が部屋Rで発生する時間(時刻)を予測し、発生する場合には発生する予測時間の前の所定のタイミングで、室内機2を通常運転よりも過剰な運転状態に設定する。これによって、室内機2の運転を停止する前に部屋Rが過剰に空調された状態になり、室内機2の運転停止時におけるPMVを快適な範囲に維持することが可能になる。従って、臭気の発生時に臭いによる不快感の発生を抑制できると共に、熱的快適性を確保できる。
【0034】
また、本実施形態の空調制御装置100では、室内機2の冷房時の通常運転では、PMVの目標値を正の所定値(0.3)に設定し、室内機2の冷房時の過剰な運転状態では、PMVの目標値を負の所定値(-0.5)に設定する。これによって、室内機2の冷房運転を停止させる間におけるPMVを快適な範囲に維持することが可能になる。
【0035】
さらに、本実施形態の空調制御装置100では、室内機2の暖房時の通常運転では、PMVの目標値を負の所定値(-0.3)に設定し、室内機2の暖房時の過剰な運転状態では、PMVの目標値を正の所定値(0.5)に設定する。これによって、室内機2の暖房運転を停止させる間におけるPMVを快適な範囲に維持することが可能になる。
【0036】
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、適宜公知や周知の技術を組み合わせてもよい。
【0037】
例えば、上記実施形態では、PMVに基づいて室内機2の運転状態を設定したが、他の快適性(DI:不快指数、SET:新標準有効温度、等)や不快感(PPD等)を示す指標に基づいて室内機2の運転状態を設定してもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、室内機2の冷房運転時と暖房運転時との双方を対象として本発明の空調制御を実行したが、室内機2の冷房運転時と暖房運転時との少なくとも一方を対象としてもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、室内機2の過剰運転時に換気扇3の通常運転を維持したが、これは必須ではなく、室内機2の過剰運転時に換気扇3の風量を減少させたり、換気扇3を停止したりしてもよい。さらに、室内機2の通常運転時に換気扇3を通常運転させたが、これも必須ではなく、室内機2の通常運転時に換気扇3を停止させてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 空調システム
2 室内機(空調装置)
3 換気扇(換気装置)
4 臭気センサ
5 排泄検知センサ
100 空調制御装置
R 部屋(空調対象空間)
図1
図2
図3
図4