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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191860
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】ベルトコンベヤ
(51)【国際特許分類】
   B65G 21/00 20060101AFI20221221BHJP
   B65G 15/02 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
B65G21/00 A
B65G15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100331
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】505328085
【氏名又は名称】古河産機システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】片股 博美
(72)【発明者】
【氏名】北澤 剛
(72)【発明者】
【氏名】横幕 歩
【テーマコード(参考)】
3F023
【Fターム(参考)】
3F023BA03
3F023BB01
3F023BC01
(57)【要約】
【課題】簡単な基礎工事で施工でき、その後の撤去も容易且つ迅速に行えるベルトコンベアを提供する。
【解決手段】ベルトコンベヤ100は、少なくとも、荷の直線搬送区間である第一の搬送方向に沿って張設された複数のケーブルで懸架状態に支持される第一のコンベヤ部100Aと、地表から立設された複数の支柱上に支持されるとともに荷の曲線搬送区間である第二の搬送方向に沿って設けられる第二のコンベヤ部100Bと、第一のコンベヤ部100Aおよび第二のコンベヤ部100Bに直線搬送区間と曲線搬送区間とを含む搬送区間が描く搬送経路に沿って無限循環可能に掛け回される無端状のコンベヤベルト90と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷の直線搬送区間である第一の搬送方向に沿って張設された複数のケーブルで懸架状態に支持される第一のコンベヤ部と、
地表から立設された複数の支柱上に支持されるとともに荷の曲線搬送区間である第二の搬送方向に沿って設けられる第二のコンベヤ部と、
前記第一のコンベヤ部および前記第二のコンベヤ部に前記直線搬送区間と前記曲線搬送区間とを含む搬送区間が描く搬送経路に沿って無限循環可能に掛け回される無端状のコンベヤベルトと、
を備えることを特徴とするベルトコンベヤ。
【請求項2】
直線搬送区間であって前記第一の搬送方向とは交差する第三の搬送方向に沿って張設された複数のケーブルで懸架状態に支持される第三のコンベヤ部を更に備え、
前記コンベヤベルトは、前記第一のコンベヤ部、前記第二のコンベヤ部および前記第三のコンベヤ部にそれぞれの搬送区間を含む搬送経路に沿って無限循環可能に掛け回される請求項1に記載のベルトコンベヤ。
【請求項3】
前記第一のコンベヤ部、前記第二のコンベヤ部および前記第三のコンベヤ部は、それぞれの搬送区間での前記搬送経路に沿って配置される複数のコンベヤローラ組をそれぞれ有し、
前記コンベヤベルトは、前記第一のコンベヤ部、前記第二のコンベヤ部および前記第三のコンベヤ部それぞれの前記複数のコンベヤローラ組のローラに前記無限循環をするように掛け回される請求項2に記載のベルトコンベヤ。
【請求項4】
前記第一のコンベヤ部および前記第三のコンベヤ部の少なくとも一方は、少なくとも2本の主塔と、前記2本の主塔間に前記搬送方向とは直交する幅員方向に離隔して架け渡されてカテナリ曲線を描くように張設される一対のメインケーブルと、前記一対のメインケーブルのそれぞれから前記幅員方向で対向する位置で垂下される複数対のハンガワイヤと、前記複数対のハンガワイヤで搬送方向に沿って水平に支持されるコンベア本体と、前記コンベア本体に設けられる前記複数のコンベヤローラ組と、を有する請求項3に記載のベルトコンベヤ。
【請求項5】
前記第一のコンベヤ部および前記第三のコンベヤ部の少なくとも一方は、少なくとも2本の主塔と、前記2本の主塔間にカテナリ曲線を描くように張設されるとともに前記搬送方向とは直交する幅員方向に離隔して架け渡された対をなすメインケーブルと、前記対をなすメインケーブルにて支持されるコンベア本体と、前記コンベア本体に設けられる前記複数のコンベヤローラ組と、を有する請求項3に記載のベルトコンベヤ。
【請求項6】
前記第一のコンベヤ部または前記第三のコンベヤ部は、当該いずれかの前記コンベア本体の配設箇所のうち、少なくとも一箇所に一端が前記コンベア本体に連結されるとともに他端が垂下されて地表に固定される振れ止めワイヤを有する請求項4または5に記載のベルトコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送区間中に曲線区間を有するベルトコンベアに係り、特に、曲線区間を含む搬送区間が描く搬送経路の線形形状に沿って無端状のコンベヤベルトが張設されるベルトコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
搬送区間中に曲線区間を有するベルトコンベア(以下、「曲送コンベア」ともいう)としては、例えば、特許文献1ないし2に記載の技術が開示されている。特許文献1ないし2に記載の曲送コンベアは、個別の支持フレームに設けられたキャリアローラ(およびリターンローラ)の組が、搬送経路の線形に沿って多数配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-020766号公報(段落0002、図8図9
【特許文献2】特開2010-159125号公報(段落0002、図2図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1ないし2に記載の曲送コンベアでは、多数の支持フレーム毎に基礎工事を要する。また、工事規模に相応して周囲に広い作業スペースが必要となる。曲送コンベアの延長距離が長いほどこの問題点が顕著となる。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、曲線区間を含む搬送区間が描く搬送経路に沿って荷を連続搬送可能とするとともに、コンベヤ設備全体として、可及的に簡単な基礎工事で施工でき、その後の撤去も容易且つ迅速に行えるベルトコンベアを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るベルトコンベヤは、荷の直線搬送区間である第一の搬送方向に沿って張設された複数のケーブルで懸架状態に支持される第一のコンベヤ部と、地表から立設された複数の支柱上に支持されるとともに荷の曲線搬送区間である第二の搬送方向に沿って設けられる第二のコンベヤ部と、前記第一のコンベヤ部および前記第二のコンベヤ部に前記直線搬送区間と前記曲線搬送区間とを含む搬送区間が描く搬送経路に沿って無限循環可能に掛け回される無端状のコンベヤベルトと、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様に係るベルトコンベヤによれば、無端状のコンベヤベルトが、第一のコンベヤ部および第二のコンベヤ部に搬送経路に沿って無限循環可能に掛け回されるので、第一のコンベヤ部および第二のコンベヤ部による搬送区間が描く搬送経路に沿って荷を連続して搬送できる。
そして、第一のコンベヤ部は、荷の直線搬送区間である第一の搬送方向に沿って張設された複数のケーブルで懸架状態に支持されるので、第一のコンベヤ部にあっては、懸架式コンベアの採用によって、簡単な基礎工事で施工でき、その後の撤去も容易且つ迅速に行える。
【0008】
さらに、第二のコンベヤ部は、地表から立設された複数の支柱上に支持されるとともに荷の曲線搬送区間である第二の搬送方向に沿って設けられるので、曲線区間を含む搬送区間が描く搬送経路に沿って荷を連続搬送可能とする上で、搬送区間中に曲線区間を設ける構成として好適である。
よって、本発明の一態様に係るベルトコンベヤによれば、曲線区間を含む搬送区間が描く搬送経路に沿って荷の連続搬送を可能とするとともに、コンベヤ設備全体として、可及的に簡単な基礎工事で施工でき、その後の撤去も容易且つ迅速に行える。
【発明の効果】
【0009】
上述のように、本発明によれば、曲線区間を含む搬送区間が描く搬送経路に沿って荷の連続搬送を可能とするとともに、コンベヤ設備全体として、可及的に簡単な基礎工事で施工でき、その後の撤去も容易且つ迅速に行える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一態様に係るベルトコンベヤの一実施形態を示す模式的説明図であり、同図では、3つのコンベヤ部を有するベルトコンベヤ全体の模式的平面図と、同図での各コンベヤ部の側面図とを併せて図示している。
図2図1のベルトコンベヤの第一のコンベヤ部の側面図である。
図3図2の第一のコンベヤ部の要部拡大図である。
図4図2の第一のコンベヤ部の要部を拡大して示す斜視図である。
図5図4の要部の模式的拡大図であり、同図(a)はA矢視の部分図、同図(b)はB矢視の部分図である。
図6図1のベルトコンベヤの第二のコンベヤ部の側面図である。
図7図1のベルトコンベヤの第三のコンベヤ部の側面図である。
図8】本発明の一態様に係るベルトコンベヤにおける、地表立設式のコンベヤ本体と懸架式のコンベヤ本体との乗り継ぎ部分でのコンベヤベルトの搬送姿勢を説明する模式図((a)~(d))であり、(a)~(d)それぞれは、図1での符号A~Dの部分での横断面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0012】
図1に示すように、本実施形態のベルトコンベヤ100は、ヘッダ側から順に、懸架式のベルトコンベヤである第一のコンベヤ部100Aと、地上から立設された支柱上に支持された第二のコンベア部100Bと、懸架式のベルトコンベヤである第三のコンベヤ部100Cと、が搬送方向に連続して装備されている。
【0013】
ヘッダ側の第一のコンベヤ部100Aは、搬送経路の先端に配置される円筒状のヘッダローラ41を有する。ヘッダローラ41には、駆動装置43が近傍に付設されている。また、ヘッダローラ41の側方には、掘削土砂等の荷を投下できるようにホッパ44が設けられている。
フッタ側の第三のコンベヤ部100Cは、搬送経路の尾端に配置される円筒状のフッタローラ42を有する。フッタローラ42側には、掘削土砂等の荷をコンベヤベルト90上に投入する投入装置45が配置されている。また、フッタローラ42側には、以下不図示の、コンベヤベルト90の張設機構、カウンタウエイトおよび洗浄装置等の設備が配置される。
【0014】
第一のコンベヤ部100A、第二のコンベヤ部100Bおよび第三のコンベヤ部100Cは、それぞれの搬送区間での搬送経路に沿ってコンベア本体40A、40B、40Cが配置される。各コンベア本体40A、40B、40Cは、複数の案内ローラを有する複数のコンベヤローラ組をそれぞれ有する。
そして、無端状のコンベヤベルト90が、搬送経路に沿って無限循環可能なように、搬送経路の途中部分ではコンベア本体40A、40B、40Cそれぞれの複数のコンベヤローラ組の案内ローラで案内されつつ、ヘッダローラ41およびフッタローラ42間に掛け回される。コンベヤベルト90は、ヘッダローラ41の近傍とフッタローラ42の近傍では、平坦に広げられた状態でコンベヤ本体40A、40Cに巻回される。
【0015】
以下、第一のコンベヤ部100A、第二のコンベヤ部100Bおよび第三のコンベヤ部100Cそれぞれについてより詳しく説明する。
まず、第一のコンベヤ部100Aについて詳しく説明する。
図2に示すように、第一のコンベヤ部100Aは、懸架式のベルトコンベヤであって、荷の搬送方向に沿って張設された一対のメインケーブル20と、一対のメインケーブル20のそれぞれから幅員方向で対向する位置で垂下される複数対のハンガワイヤ30と、を有する。
【0016】
第一のコンベヤ部100Aのコンベヤ本体40は、搬送経路の途中部分において、複数対のハンガワイヤ30によって搬送方向に沿って支持される。つまり、第一のコンベヤ部100Aは、荷の直線搬送区間であって第一の搬送方向に沿って張設された複数のケーブルで懸架状態に支持され、いわば「サスペンション式コンベア」の構成となっている。
より詳しくは、第一のコンベヤ部100Aは、複数本の主塔10を備える。各主塔10は、幅員方向に離隔して基礎の上に鋼や鉄筋コンクリートにより構築される。なお、基礎が水中に位置するような場合、主塔10は、ケーソンを水中に沈めてコンクリートを流し込み基礎を構築できる。
【0017】
両端に位置する主塔10の両端にはアンカ11が構築される。アンカ11は、懸架式のベルトコンベヤ100の両端に構築されるコンクリートブロックであり、メインケーブル20を繋ぎ止める碇として機能する。地形的制約や強固な岩盤などがある場合は地山の支持力も利用できる。
【0018】
第一のコンベヤ部100Aでは、図3に拡大図示するように、少なくとも隣接する2本の主塔間にメインケーブル20が張設される。メインケーブル20は、図4に斜視図を示すように、搬送方向とは直交する幅員方向に離隔してカテナリ曲線を描くように一対のメインケーブル20L、20Rから構成される。以下、一対のメインケーブル20L、20R相互を特に区別しないときは、単に「メインケーブル20」とも呼称する。
メインケーブル20には、通常、複数の鋼製ワイヤ(ピアノ線)を並行に束ねたものが用いられる。メインケーブル20は腐食(錆)防止のためにゴムや塗装による表面処理を施すことができる。
【0019】
本実施形態では、一対のメインケーブル20L、20Rが、図2に示す、各主塔10とアンカ11との間、及び隣接する一対の主塔10間に架け渡される。メインケーブル20は、各主塔10の頂部サドル10sに架けられ、ハンガワイヤ30を通じてコンベヤ本体40Aを搬送方向に沿って吊り下げている。
一対のメインケーブル20L、20Rそれぞれの適所から幅員方向で対向する位置で複数対のハンガワイヤ30L、30Rが垂下される。なお、「メインケーブル20」同様に、以下、対をなすハンガワイヤ30L、30Rを特に区別しないときは、単に「ハンガワイヤ30」とも呼称する。
【0020】
ハンガワイヤ30は、図3に示すように、複数のローラブラケット60の並び姿勢が略水平になるように、懸垂線を描くメインケーブル20とローラブラケット60とを結ぶために、搬送方向での配置位置により異なる長さに設定される。ハンガワイヤ30には撚ワイヤが用いられる。複数のハンガワイヤ30は、メインケーブル20から垂下されてコンベヤ本体40を略水平に支えている。ハンガワイヤ30は、メインケーブル20から所定の間隔に垂下される。
【0021】
図4に示すように、各ハンガワイヤ30L、30Rは、各ハンガワイヤ30L、30Rの上端部が、ケーブルバンド33で対応するメインケーブル20L、20Rにそれぞれ連結され、一対のメインケーブル20L、20Rからそれぞれハンガワイヤ30L及びハンガワイヤ30Rが所定の間隔に垂下される。
また、図3および図4に示すように、ハンガワイヤ30の下端部32は、横桁50の上面に固定されている。横桁50の上面には、複数の案内ローラのうち復路を構成するリターンローラ組62が設けられている。複数の横桁50の両側部相互にそれぞれ一対の縦桁72が掛け渡されている。
【0022】
図4に示すように、一対の縦桁72のうち、内側の縦桁72間の幅員方向で対向する位置にローラブラケット60が設けられ各ローラブラケット60によりキャリアローラ組61が支持されている。キャリアローラ組61は、複数の案内ローラのうち往路を構成している。
コンベア本体40Aは、搬送経路の途中部分の複数の案内ローラとして、上部の複数のキャリアローラ組61と、下部の複数のリターンローラ組62とを有する。各キャリアローラ組61およびリターンローラ組62は、円筒状をなす複数の案内ローラを有して構成され、各案内ローラは、両端部が自身軸回りに回転自在に支持される。
【0023】
本実施形態では、上部のキャリアローラ組61は、門型のローラブラケット60に設けられる。ローラブラケット60の左右の支柱60hは、それぞれの下端部が一対の内側の縦桁72の内側面にそれぞれ固定されている。
キャリアローラ組61は、ローラブラケット60に連結されたローラ支持ワイヤ61wで、例えば5つの案内ローラ(キャリアローラ)を数珠状に連結することで上方にU字状をなすように支持しつつ、各案内ローラをその軸回りに回転自在に保持している。本実施形態では、ローラ支持ワイヤ61wの両端は、ローラブラケット60の固定部61jに固定され、これにより、複数の案内ローラを転動自在に支えている。
【0024】
第一のコンベヤ部100Aにおいて、下部のリターンローラ組62は、第一のコンベア本体40Aの両端部以外では、例えば2つの案内ローラ(リターンローラ)を、支持用ブラケット62bによって略平坦に近いV字状に支持しつつ、各案内ローラをその軸回りに回転自在に保持している。
これにより、第一のコンベヤ部100Aでは、上部の複数のキャリアローラ組61それぞれは、往路において、コンベヤベルト90を上方に開放する横断面が略U字状をなす半円弧状の支持状態で搬送し、復路では、下部の複数のリターンローラ組62によりコンベヤベルト90を略平坦とした状態で搬送するようになっている。
【0025】
なお、後に図8を参照しつつ説明するように、地表立設式の第二のコンベヤ本体40Bでは、コンベヤベルト90は、下部の複数のリターンローラ組62により円筒状に丸められた状態で搬送される。
そのため、復路での第一のコンベア本体40Aから第二のコンベヤ本体40Bへの乗り継ぎ部においては、複数のリターンローラ組62による支持姿勢が、図8の(a)→(b)→(c)→(d)に示すように、コンベヤベルト90を略平坦とした支持状態から円筒状とした支持状態に遷移させるように、複数の案内ローラ(リターンローラ)による支持姿勢を次第に異ならせている。
【0026】
ここで、第一のコンベヤ部100Aでは、図5に示すように、搬送方向で隣接するキャリアローラ組61による往路での往路案内ピッチPcと、搬送方向で隣接するリターンローラ組62による復路での復路案内ピッチPrとを、往路案内ピッチPcが復路案内ピッチPrよりも小さくなるように構成している(Pc<Pr)。本実施形態の例では、往路案内ピッチPcは、復路案内ピッチPrの1/2(つまり、2×Pc=Pr)とされている。
これにより、第一のコンベヤ部100Aは、荷の負荷を大きく受ける往路でのキャリアローラ組61の配置数を多くするとともに、荷の負荷を受けない復路でのリターンローラ組62の配置数を可及的に少なくし、安定した搬送能力を維持しつつ、コンベヤ設備全体を簡素に構成している。
【0027】
また、本実施形態では、図4に示すように、第一のコンベヤ部100Aのコンベヤ本体40Aは、複数の横桁50のうち隣り合う少なくとも一箇所に、縦桁72によって連結されないことで、相互間に堅固な結合をもたない絶縁構造DSを有する。なお、同図は、一の縦桁72の前後が、搬送方向で隣接する他の縦桁72とは離隔されている一の絶縁単位を示している。床板70および縦桁72は、搬送方向において適宜の箇所で分割構造若しくは接合構造とすることができる。
【0028】
さらに、本実施形態では、作業者が歩行可能なように、第一のコンベヤ部100Aのコンベヤ本体40Aには、側方で隣接する二つの縦桁72の上面に、パンチングメタル等の床板70が載置固定され、作業通路Wとなる歩廊が設けられている。作業通路Wとなる歩廊は、搬送方向に沿って配設されて複数のローラブラケット60の左右の支柱60hよりも幅員方向の側方に張り出している。
【0029】
さらに、本実施形態では、コンベヤ本体40の搬送経路の途中部分の少なくとも一箇所に、一端が連結されるとともに他端が垂下されて地表に固定される振れ止めワイヤ80を備える。本実施形態では、幅員方向に離隔して、二本の振れ止めワイヤ80L、80Rが、コンベヤ本体40の全ての横桁50の下面に対して設けられている。二本の振れ止めワイヤ80L、80Rを特に区別しないときは、単に「振れ止めワイヤ80」とも呼称する。
各振れ止めワイヤ80の上端83は、横桁50の下面に固定され、振れ止めワイヤ80の下端のアンカ82は、地表に埋入されて強固に固定されている。第一のコンベヤ部100Aでは、全ての横桁50の下面に対して振れ止めワイヤ80が同様の構成によって設けられている。
【0030】
次に、第二のコンベア部100Bについて詳しく説明する。
第二のコンベア部100Bは、図6に示すように、地表から立設された複数の支柱10B上に支持されるとともに荷の曲線搬送区間である第二の搬送方向に沿って設けられる曲送コンベアである。
詳しくは、同図に示すように、第二のコンベア部100Bは、搬送方向に沿って離隔して配置されて地上から立設される複数の支柱10Bと、複数の支柱10B上に設けられて複数の支柱10B相互を繋ぐように搬送方向に沿って掛け渡される支持桁70Bと、を備える。同図の例では、支柱10BとしてI型脚と、A型脚の二種類を図示しているが、支柱10Bの脚の態様がこれらに限定されるものではない。
【0031】
搬送方向に沿って掛け渡される支持桁70Bは、例えばトラス枠体構造とされており、支持桁70Bの枠体内には、図8(c)、(d)に示すように、曲送搬送方向に沿って近似する多角形を描くようにキャリアローラ組61を支持する複数の案内ユニット74が配置される。複数の案内ユニット74は、支持桁70Bにボルト・ナットで着脱可能に設けられ、平面視において、搬送方向に沿った中心線が、曲送経路の線形形状に近似する多角形を描くように配置される。
【0032】
第二のコンベア部100Bの各案内ユニット74には、上記第一のコンベヤ部100Aのキャリアローラ組61および複数のリターンローラ組62と対応する案内ローラが配置される。
例えば、各案内ユニット74は、支持桁70Bにボルト・ナットで着脱可能な筐体74kと、筐体74kの上部側に設けられた往路用の複数のキャリアローラ組61と、筐体74kの下部側に設けられた復路用の複数のリターンローラ組62と、を有する構成とすることができる。図8(d)に示すように、第二のコンベヤ本体40Bでは、コンベヤベルト90は、下部の複数のリターンローラ組62により円筒状に丸められた状態で搬送される。
【0033】
さらに、第二のコンベア部100Bでは、各案内ユニット74の筐体74kに対して、複数のキャリアローラ組61は、図8(c)、(d)に示すように、ボルト・ナット(不図示)で着脱可能に装着されるとともに周方向での固定位置を複数段階に調整可能とされる。そのため、各キャリアローラ組61の傾斜姿勢(搬送路の曲率に応じたバンク角度)が、線形に応じた傾斜姿勢に合うように調整可能となる。
これにより、往路用の複数のキャリアローラ組は、コンベヤベルト90を搬送方向に沿って下方から半円弧状の湾曲状態に支持しつつ、曲送時のバンク範囲でコンベヤベルト90の周方向への移動を許容するように支持することができる。
【0034】
次に、第三のコンベヤ部100Cについて詳しく説明する。
第三のコンベヤ部100Cは、荷の直線搬送区間である第三の搬送方向であって第一の搬送方向とは交差する方向に沿って張設された複数のケーブルで懸架状態に支持される。
ここで、上記第一のコンベヤ部100Aは、いわば「サスペンション式コンベア」であるのに対し、この第三のコンベヤ部100Cは、コンベヤ本体40Cがメインケーブル20C、20Cによって直接懸架される、いわば「カテナリ式コンベヤ」の構成を有する点が相違する。
【0035】
つまり、第三のコンベヤ部100Cは、図7に示すように、少なくとも2本の主塔10Cと、2本の主塔10C間に搬送方向に沿って架け渡されて搬送方向とは直交する幅員方向に離隔して対をなすメインケーブル20C、20Cと、対をなすメインケーブル20C、20Cによってカテナリ曲線を描くように支持されるコンベヤ本体40Cと、を備える。同図の例では、第三のコンベヤ本体40Cの任意の箇所から地表GLに向けて振れ止めワイヤ80Cが垂下され下端が地表GLに固定されている。
【0036】
第三のコンベヤ本体40Cには、無端状のコンベヤベルト90を搬送方向に沿って掛け回し可能なように、第一のコンベヤ部100Aと同様、図8(a)、(b)に示すように、往路と復路それぞれに複数の案内ローラを有するキャリアローラ組61およびリターンローラ組62が装備されている。ここで、上述したように、地表立設式の第二のコンベヤ本体40Bでは、コンベヤベルト90が、下部の複数のリターンローラ組62により円筒状に丸められた状態で搬送される。
【0037】
そのため、復路での第二のコンベヤ本体40Bから第三のコンベヤ本体40Cへの乗り継ぎ部においては、複数のリターンローラ組62による支持姿勢が、図8の(d)→(c)→(b)→(a)に示すように、コンベヤベルト90を円筒状とした支持状態から略平坦とした支持状態に遷移させるように、複数の案内ローラ(リターンローラ)による支持姿勢を次第に異ならせている。
なお、上述した第一のコンベヤ部100Aと比較して、第三のコンベヤ部100Cは、コンベヤ本体40Cの懸架構造が相違する以外は、例えば、第一のコンベヤ部100Aの、往路での複数のキャリアローラ組61および復路での複数のリターンローラ組62の構成等、上述した第一のコンベヤ部100Aと同様の構成を採用できるため、他の構成部分のより詳細な説明は省略する。
【0038】
次に、本実施形態のベルトコンベヤ100の動作および作用効果について説明する。
本実施形態のベルトコンベヤ100は、第三のコンベヤ部100Cの駆動装置43でヘッダローラ41が駆動されると、無端状のコンベヤベルト90が、第三のコンベヤ部100Cのヘッダローラ41と第一のコンベヤ部100Aのフッタローラ42との間で無限循環を開始する。コンベヤベルト90は、円筒状のヘッダローラ41の近傍と円筒状のフッタローラ42の近傍では、平坦に広げられた状態で巻回される。
【0039】
また、搬送経路の途中部分において、第一のコンベヤ部100A、第二のコンベヤ部100Bおよび第三のコンベヤ部100Cは、上部の往路では、複数のキャリアローラ組(61)により、コンベヤベルト90を上方に開放する横断面が略U字状をなす半円弧状の支持状態で搬送される。さらに、下部の復路では、複数のリターンローラ組(62)により略平坦とされた状態で搬送される。
これにより、本実施形態のベルトコンベヤ100によれば、無端状のコンベヤベルト90が、往路では略U字状をなす支持状態で周回される。そのため、搬送中の荷こぼれを防止できる。
【0040】
また、往路側では略平坦とされた状態で搬送されるため、各コンベヤ部100A、100B、100Cのコンベヤ本体40A、40B、40Cの高さをコンパクトに構成できる。そのため、コンベヤ設備全体を簡素に構成する上で好適である。なお、上記実施形態では図示を省略したが、各コンベヤ本体40A、40B、40Cの上方を屋根やカバーによって覆うことは好ましい。
ここで、例えば特許文献1-2に記載の懸架式のベルトコンベアでは、個別の支持フレームに設けられたキャリアローラ(およびリターンローラ)の組が、搬送経路の線形に沿って多数配置されて、多数の支持フレーム毎に基礎工事を要する。また、工事規模に相応して周囲に広い作業スペースが必要となる。曲送コンベアの延長距離が長いほどこの問題点が顕著となる。
【0041】
これに対し、本実施形態のベルトコンベヤ100では、上述したように、無端状のコンベヤベルト90が、第一のコンベヤ部100A、第二のコンベヤ部100Bおよび第三のコンベヤ部100Cに搬送経路に沿って無限循環可能に掛け回されるので、第一のコンベヤ部100A、第二のコンベヤ部100Bおよび第三のコンベヤ部100Cによる搬送区間が描く搬送経路に沿って荷を連続して搬送できる。
そして、第一のコンベヤ部100Aおよび第三のコンベヤ部100Cは、荷の直線搬送区間である第一の搬送方向およびこれに交差する方向の第三の搬送方向に沿って張設された複数のケーブルで懸架状態に支持されるので、第一のコンベヤ部100Aおよび第三のコンベヤ部100Cにあっては、懸架式コンベアの採用によって、簡単な基礎工事で施工でき、その後の撤去も容易且つ迅速に行える。
【0042】
さらに、第二のコンベヤ部100Bは、地表から立設された複数の支柱10B上に支持されるとともに荷の曲線搬送区間である第二の搬送方向に沿ってコンベヤ本体40B(若しくは複数の案内ユニットの並びの列)が設けられるので、搬送区間中に曲線区間を設ける上で好適である。
よって、本実施形態のベルトコンベヤ100によれば、曲線区間を含む搬送区間が描く搬送経路に沿って荷を連続搬送可能とするとともに、コンベヤ設備全体として、可及的に簡単な基礎工事で施工でき、その後の撤去も容易且つ迅速に行える。
【0043】
特に、第一のコンベヤ部100Aでは、少なくとも隣接する2本の主塔10間に搬送方向とは直交する幅員方向に離隔して架け渡されてカテナリ曲線を描くように張設される一対のメインケーブル20L、20Rと、一対のメインケーブル20L、20Rのそれぞれから幅員方向で対向する位置で垂下される複数対のハンガワイヤ30と、複数対のハンガワイヤ30によって搬送方向に沿って支持されるコンベア本体40と、コンベア本体40の複数の案内ローラに搬送方向に沿って無限循環可能に掛け回される無端状のコンベヤベルト90と、を備える構成を採用するので、この種のコンベヤ設備として優れている。
【0044】
つまり、第一のコンベヤ部100Aによれば、コンベア本体40Aが、一対のメインケーブル20L、20Rから垂下される複数対のハンガワイヤ30で搬送方向に沿って支持される。そのため、コンベア本体40Aによる搬送経路を水平になるように配設した場合であっても、一対のメインケーブル20L、20Rの張力を可及的に小さくすることが可能となり、第一のコンベヤ部100Aを構成するコンベヤ設備全体を簡素に構成する上で好適である。
【0045】
さらに、第一のコンベヤ部100Aによれば、コンベヤ本体40Aは、搬送方向に沿って配設されてコンベヤベルト90よりも幅員方向の側方に張り出すとともに作業者が歩行可能な歩廊となる作業通路Wを有するので、コンベヤ設備全体を簡素に構成しつつメンテナンス性にも優れている。なお、作業通路について、第二のコンベヤ部100Bおよび第三のコンベヤ部100Cについては言及しなかったが、これら他のコンベヤ部に作業通路を設けることも勿論可能である。
また、第一のコンベヤ部100Aおよび第三のコンベヤ部100Cによれば、コンベヤ本体40Aおよびコンベヤ本体40Cの搬送経路の途中部分の少なくとも一箇所に、一端が連結されるとともに他端が地表に垂下して固定される振れ止めワイヤ80を有するので、コンベヤ本体40Aおよびコンベヤ本体40Cの横揺れが大幅に低減される。
【0046】
つまり、第一のコンベヤ部100Aおよび第三のコンベヤ部100Cのような吊コンベヤは、風や加重によって揺れやすいという欠点も持つところ、振れ止めワイヤ80は、コンベヤ本体40Aおよびコンベヤ本体40Cを下方に引っ張り、メインケーブル20(および第一のコンベヤ部100Aでのハンガワイヤ30)はコンベヤ本体40Aおよびコンベヤ本体40Cを上方に引っ張るので、コンベヤ本体40Aおよびコンベヤ本体40Cが横から風を受けても容易に動かなくなり、第一のコンベヤ部100Aおよび第三のコンベヤ部100Cの横揺れが大幅に低減できる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態のベルトコンベヤ100によれば、曲線区間を含む搬送区間が描く搬送経路に沿って荷を連続搬送可能とするとともに、コンベヤ設備全体として、可及的に簡単な基礎工事で施工でき、その後の撤去も容易且つ迅速に行えるのである。
なお、本発明に係るベルトコンベヤは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
【0048】
例えば、上記実施形態では、地上から立設された支柱10B上に支持された第二のコンベア部100Bに対して、その前後に懸架式の第三のコンベヤ部100Cおよび第一のコンベヤ部100Aを配置した例を示したが、これに限らず、少なくとも第二のコンベア部100Bの前後のいずれか一方に懸架式のベルトコンベヤを配置することで、本発明に係るベルトコンベヤを構成できる。
【0049】
また、例えば上記実施形態では、第三のコンベヤ部100Cに「カテナリ式コンベヤ」を採用し、第一のコンベヤ部100Aに「サスペンション式コンベア」を採用した例を示したが、これに限定されるものではない。
例えば、第三のコンベヤ部100Cに「サスペンション式コンベア」を採用し、第一のコンベヤ部100Aに「カテナリ式コンベヤ」を採用してもよいし、第三のコンベヤ部100Cおよび第一のコンベヤ部100A共に、「カテナリ式コンベヤ」または「サスペンション式コンベア」を採用できる。
【符号の説明】
【0050】
10 主塔
11 アンカ
20 メインケーブル
30 ハンガワイヤ
40A 第一のコンベヤ本体
40B 第二のコンベヤ本体
40C 第三のコンベヤ本体
41 ヘッダローラ
42 フッタローラ
43 駆動装置
44 ホッパ
45 投入装置
50 横桁
60 ローラブラケット
61 キャリアローラ組
62 リターンローラ組
70 床板
71 柵
72 縦桁
74 案内ユニット
80 振れ止めワイヤ
90 コンベヤベルト
100 ベルトコンベヤ
100A 第一のコンベヤ部(サスペンション式コンベア:直送部分)
100B 第二のコンベヤ部(地表立設式コンベヤ:曲送部分)
100C 第三のコンベヤ部(カテナリ式コンベヤ:直送部分)
DS 絶縁構造
W 作業通路(歩廊)
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8