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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191866
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
H01L25/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100346
(22)【出願日】2021-06-16
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、「戦略的イノベーション創造プログラム/SIP第2期/IoE社会のエネルギーシステム/高パワー密度、高温動作可能なWBGチップ搭載パワーモジュール/ユニバーサル対応コア・パワーモジュールの開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】堀 元人
(72)【発明者】
【氏名】池田 良成
(72)【発明者】
【氏名】平尾 章
(57)【要約】
【課題】パワー半導体素子を搭載した半導体装置内の配線の寄生インダクタンスを低減することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】導電板12a,12bを上面側に有する絶縁回路基板1と、導電板12a,12b上に搭載された半導体チップ2a,2bと、半導体チップ2a,2bの上方に設けられ、半導体チップ2a,2bと電気的に接続されたプリント基板4と、導電板12a,12bに電気的に接続し、導電板12a,12bの上方へ延伸する第1外部接続端子6a,6bと、第1外部接続端子6a,6bの外周を囲み、且つ第1外部接続端子6a,6bと絶縁して設けられた第1導電ブロック7と、半導体チップ2a,2b、プリント基板4及び第1導電ブロック7を封止する封止部材8とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電板を上面側に有する絶縁回路基板と、
前記導電板上に搭載された半導体チップと、
前記半導体チップの上方に設けられ、前記半導体チップと電気的に接続されたプリント基板と、
前記導電板に電気的に接続し、前記導電板の上方へ延伸する第1外部接続端子と、
前記第1外部接続端子の外周を囲み、且つ前記第1外部接続端子と絶縁して設けられた第1導電ブロックと、
前記半導体チップ、前記プリント基板及び前記第1導電ブロックを封止する封止樹脂と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1導電ブロックは、銅又はアルミニウムを含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1外部接続端子と前記第1導電ブロックの間に設けられた絶縁部材を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記封止樹脂の一部が、前記第1外部接続端子と前記第1導電ブロックの間に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1外部接続端子の下端が、前記導電板に接合されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1外部接続端子の下端が、前記プリント基板に接合されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記導電板に電気的に接続し、前記導電板の上方へ延伸する第2外部接続端子を更に備え、
前記第1導電ブロックが、前記第2外部接続端子の外周を囲み、前記第2外部接続端子と絶縁されて設けられる
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記導電板に電気的に接続し、前記導電板の上方へ延伸する第2外部接続端子と、
前記第1導電ブロックから離間し、前記第2外部接続端子の外周を囲み、且つ前記第2外部接続端子と絶縁して設けられた第2導電ブロックと、
を更に備えることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1導電ブロック及び前記第2導電ブロックが互いに同じ厚さを有することを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1導電ブロック及び前記第2導電ブロックが互いに異なる厚さを有することを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1外部接続端子の外周の、前記第1導電ブロックの下面よりも下方の位置に段差部が設けられていることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1導電ブロックの下面に設けられた絶縁層を更に備えることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1外部接続端子及び前記第2外部接続端子には互いに逆方向に電流が流れることを特徴とする請求項7~10のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記導電板に電気的に接続し、前記導電板の上方へ延伸する第3外部接続端子を更に備え、
前記第1導電ブロックが、前記第3外部接続端子の外周を囲み、前記第3外部接続端子と絶縁されて設けられる
ことを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1導電ブロックが、前記絶縁回路基板の長手方向に延伸するように設けられていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の半導体装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワー半導体素子を内蔵する半導体装置(半導体モジュール)に関する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体素子は、例えば電力変換用のスイッチング素子として用いられている。従来のパワー半導体素子を内蔵する半導体装置として、絶縁回路基板上にパワー半導体素子を構成するパワー半導体チップ(以下、単に「半導体チップ」と呼ぶ。)を配置し、半導体チップの上方にプリント基板を配置した構造が知られている。
【0003】
特許文献1の図1Cには、モジュールパッケージ内の電力用半導体素子に接続された端子を包囲するように環状磁性部材を配置した半導体パワーモジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-11734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のパワー半導体素子を内蔵する半導体装置では、パワー半導体素子のスイッチング動作時に寄生インダクタンスによるサージ電圧が発生するという課題がある。
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、パワー半導体素子を搭載した半導体装置内の配線の寄生インダクタンスを低減した半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、(a)導電板を上面側に有する絶縁回路基板と、(b)導電板上に搭載された半導体チップと、(c)半導体チップの上方に設けられ、半導体チップと電気的に接続されたプリント基板と、(d)導電板に電気的に接続し、導電板の上方へ延伸する第1外部接続端子と、(e)第1外部接続端子の外周を囲み、且つ第1外部接続端子と絶縁して設けられた第1導電ブロックと、(f)半導体チップ、プリント基板及び第1導電ブロックを封止する封止樹脂とを備える半導体装置であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、パワー半導体素子を搭載した半導体装置内の配線の寄生インダクタンスを低減した半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る半導体装置の側面図である。
図2】第1実施形態に係る半導体装置の一部の平面図である。
図3図2のA-A方向から見た断面図である。
図4】第1実施形態に係る半導体装置の等価回路図である。
図5】比較例に係る半導体装置の側面図である。
図6】第1実施形態に係る半導体装置の導電部材の厚さを変更した場合の解析周波数とPN端子間インダクタンスの関係を示すグラフである。
図7】第1実施形態に係る半導体装置の導電部材の幅を変更した場合の解析周波数とPN端子間インダクタンスの関係を示すグラフである。
図8】第1実施形態に係る半導体装置の導電部材の隙間を変更した場合の解析周波数とPN端子間インダクタンスの関係を示すグラフである。
図9】第1実施形態に係る半導体装置の導電部材の材料を変更した場合の解析周波数とPN端子間インダクタンスの関係を示すグラフである。
図10】第2実施形態に係る半導体装置の側面図である。
図11】第3実施形態に係る半導体装置の側面図である。
図12】第4実施形態に係る半導体装置の一部の断面図である。
図13】第5実施形態に係る半導体装置の一部の断面図である。
図14】第6実施形態に係る半導体装置の一部の平面図である。
図15】第7実施形態に係る半導体装置の一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、第1~第7実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は実際のものとは異なる場合がある。また、図面相互間においても寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。また、以下に示す第1~第7実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。
【0011】
以下の説明において、半導体チップの「第1主電極」とは、電界効果トランジスタ(FET)や静電誘導トランジスタ(SIT)であれば、ソース電極又はドレイン電極のいずれか一方を意味する。絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)であれば、エミッタ電極又はコレクタ電極のいずれか一方を意味する。静電誘導サイリスタ(SIサイリスタ)やゲートターンオフサイリスタ(GTO)、ダイオードであれば、アノード電極又はカソード電極のいずれか一方を意味する。また、半導体素子の「第2主電極」とは、FETやSITであれば、上記第1主電極とはならないソース電極又はドレイン電極のいずれか一方を意味する。IGBTであれば、上記第1主電極とはならないエミッタ電極又はコレクタ電極のいずれか一方を意味する。SIサイリスタやGTO、ダイオードであれば、上記第1主電極とはならないアノード電極又はカソード電極のいずれか一方を意味する。即ち、「第1主電極」がソース電極であれば、「第2主電極」はドレイン電極を意味する。「第1主電極」がエミッタ電極であれば、「第2主電極」はコレクタ電極を意味する。「第1主電極」がアノード電極であれば、「第2主電極」はカソード電極を意味する。
【0012】
また、以下の説明における「上」、「下」、「上下」、「左」、「右」、「左右」等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば「上下」は「左右」に変換して読まれ、180°回転して観察すれば「上下」は反転して読まれることは勿論である。
【0013】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る半導体装置は、パワー半導体素子の2つ分の機能を有する「2イン1」と呼ばれる半導体モジュールである。第1実施形態に係る半導体装置は、図1に示すように、絶縁回路基板1と、絶縁回路基板1上に搭載された半導体チップ2a,2bとを備える。半導体チップ2a,2bの上方には、半導体チップ2a,2bと離間してプリント基板4が配置されている。半導体チップ2a,2b及びプリント基板4の周囲は、封止部材8により封止され、半導体チップ2a,2b及びプリント基板4が周囲と電気的に絶縁されている。
【0014】
絶縁回路基板1は、絶縁基板11と、絶縁基板11の上面(回路面側)に配置された上側導体層(導電板)12a,12bと、絶縁基板11の下面(冷却面側)に配置された下側導体層(放熱板)13とを備える。図1では図示を省略するが、上側導体層12a,12bには所定の回路パターンが形成されている。
【0015】
絶縁回路基板1は、例えば直接銅接合(DCB)基板や活性ろう付け(AMB)基板等であってもよい。絶縁基板11は、例えば酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si)、窒化ホウ素(BN)等からなるセラミクス基板や、高分子材料等を用いた樹脂絶縁基板で構成されている。上側導体層12a,12b及び下側導体層13は、例えば銅(Cu)やアルミニウム(Al)等からなる導体箔で構成されている。
【0016】
上側導体層12a,12b上には、はんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して、或いは直接接合技術を用いて、半導体チップ2a,2bが接合されている。半導体チップ2a,2bは、例えばシリコン(Si)材料で構成してもよく、或いは炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、酸化ガリウム(Ga)等のワイドバンドギャップ半導体材料で構成してもよい。半導体チップ2a,2bは、用途により種類が異なるが、例えば金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、電界効果トランジスタ(FET)、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)、静電誘導(SI)サイリスタ、ゲートターンオフ(GTO)サイリスタ等のパワー半導体素子、還流ダイオード(FWD)等の整流素子等が採用可能である。ここでは、半導体チップ2a,2bがSiCのMOSFETである場合を説明する。
【0017】
半導体チップ2a,2bは、下面側に第1主電極(ドレイン電極)をそれぞれ有し、上面側に、制御電極(ゲート電極)及び第2主電極(ソース電極)をそれぞれ有する。半導体チップ2aの下面側のドレイン電極は、はんだ又は焼結材等の接合材を介して、絶縁回路基板1の上側導体層12aに接合されている。半導体チップ2bの下面側のドレイン電極は、はんだ又は焼結材等の接合材を介して、絶縁回路基板1の上側導体層12bに接合されている。
【0018】
図1では2個の半導体チップ2a,2bを例示するが、半導体チップの数は特に限定されず、定格電流等に応じて適宜選択可能である。例えば、1個の半導体チップを有していてもよく、3つ以上の半導体チップを有していてもよい。
【0019】
半導体チップ2a,2bは、複数のポスト電極(バンプ)3a,3bを介してプリント基板4に接続されている。半導体チップ2aのソース電極は、複数のポスト電極3aの一部の下端に、はんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。半導体チップ2aのゲート電極は、複数のポスト電極3aの他の一部の下端に、はんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。半導体チップ2bのソース電極は、複数のポスト電極3bの一部の下端に、はんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。半導体チップ2bのゲート電極は、複数のポスト電極3bの他の一部の下端に、はんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。
【0020】
ポスト電極3a,3bは、例えば棒状(ピン状)又は柱状であり、具体的には円柱、楕円柱、三角柱又は四角柱等の多角柱等であってもよい。ポスト電極3a,3bの材料としては、例えば銅(Cu)等の金属材料が使用可能である。ポスト電極3a,3bは、プリント基板4の下面側の下側配線層43に接合していてもよく、プリント基板4の上面側の上側配線層42まで貫通していてもよい。
【0021】
プリント基板4は、絶縁層41と、絶縁層41の上面に配置された上側配線層42と、絶縁層41の下面に配置された下側配線層43とを備える。例えば、絶縁層41は、ポリイミド樹脂や、ガラス繊維とポリイミド樹脂との組み合わせ等からなる樹脂基板で構成されている。
【0022】
上側配線層42及び下側配線層43は、例えば銅(Cu)やアルミニウム(Al)等からなる導体箔で構成されている。図1では図示を省略するが、上側配線層42及び下側配線層43には、所定の回路パターンが形成されている。例えば、上側配線層42及び下側配線層43には、互いに同一の回路パターンが形成されていてもよい。上側配線層42及び下側配線層43は、絶縁層41を貫通するスルーホールを介して電気的に接続されていてもよい。
【0023】
絶縁回路基板1の上側導体層12aには、高電位側の外部接続端子(ドレイン側接続端子)6aの下端がはんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接続されている。ドレイン側接続端子6aは、絶縁回路基板1の上方に向かって延伸する。ドレイン側接続端子6aの上端は、封止部材8の上面から突出し、外部回路に接続される。ドレイン側接続端子6aは、銅(Cu)等の金属材料で構成されている。ドレイン側接続端子6aは、絶縁回路基板1の上側導体層12aを介して半導体チップ2aのドレイン電極に電流を供給する。
【0024】
プリント基板4の上側配線層42には、低電位側の外部接続端子(ソース側接続端子)6b及び出力側の外部接続端子(出力端子)6cが接続されている。ソース側接続端子6bは、プリント基板4の上方に向かって延伸する。ソース側接続端子6bの上端は、封止部材8の上面から突出し、外部回路に接続される。ソース側接続端子6bは、銅(Cu)等の金属材料で構成されている。ソース側接続端子6bは、半導体チップ2bのソース電極からの電流をポスト電極3b及びプリント基板4を介して外部回路に流す。
【0025】
出力端子6cの下端は、絶縁回路基板1の上側導体層12bに接続されている。出力端子6cは、絶縁回路基板1の上方に向かって延伸する。出力端子6cの上端は、封止部材8の上面から突出し、外部回路に接続される。出力端子6cは、銅(Cu)等の金属材料で構成されている。出力端子6cは、半導体チップ2aがオン状態のときに、半導体チップ2aのソース電極からの電流を、ポスト電極3a及びプリント基板4を介して外部回路に流す。出力端子6cは、半導体チップ2bがオン状態のときに、外部回路からの電流を、絶縁回路基板1の上側導体層12bを介して半導体チップ2bのドレイン電極に供給する。
【0026】
図示を省略するが、プリント基板4には、複数のゲート制御端子(外部接続端子)及び複数の補助ソース端子(外部接続端子)が接続されている。各ゲート制御端子は、半導体チップ2a,2bのオン・オフを制御する制御信号を、プリント基板4及びポスト電極3a,3bを介して半導体チップ2a,2bのゲート電極へそれぞれ印加する。各補助ソース端子は、ポスト電極3a,3b及びプリント基板4を介して半導体チップ2a,2bのソース側の電流をそれぞれ検出する。
【0027】
ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bの外周を囲むように、導電ブロック(導電部材)7が設けられている。導電ブロック7は、プリント基板4から離間して、プリント基板4の上方に設けられている。導電ブロック7は、例えば絶縁回路基板1の長手方向に沿って延伸する直方体形状を有する。導電ブロック7は、銅(Cu)、Cuを主成分とするCu合金、アルミニウム(Al)、又はAlを主成分とするAl合金等の金属からなる導電材料で構成されている。
【0028】
図1に示した導電ブロック7、ドレイン側接続端子6a、ソース側接続端子6b及び出力端子6cの平面図を図2に示す。図2に示したA-A方向から見た導電ブロック7を通過する断面図を図3に示す。図2では、絶縁回路基板1、半導体チップ2a,2b及びプリント基板4の平面パターンの外形を一点鎖線で模式的に示している。
【0029】
図2に示すように、プリント基板4の平面パターンの外形はL字状であるが、これに限定されない。また、導電ブロック7の平面パターンは矩形であるが、これに限定されない。ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bは、絶縁回路基板1の平面パターンである矩形の長手方向に並んで設けられている。導電ブロック7は、出力端子6cから離間するように設けられている。
【0030】
図2及び図3に示すように、導電ブロック7には複数の貫通穴7x,7yが設けられており、複数の貫通穴7x,7yのそれぞれをドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bが貫通する。導電ブロック7の厚さt1は、例えば1mm以上、5mm以下であるが、これに限定されない。導電ブロック7の平面パターンである矩形の短手方向の幅w1は、例えば1mm以上、5mm以下であるが、これに限定されない。導電ブロック7の貫通穴7x,7yとドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bとの距離(隙間)d1は、例えば0.1mm以上、1mm以下であるが、これに限定されない。
【0031】
導電ブロック7の貫通穴7x,7yとドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bの間には絶縁部材(介在部品)9a,9bが設けられている。絶縁部材9a,9bとしては、樹脂等の絶縁材料が使用可能である。絶縁部材9a,9bは、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bと導電ブロック7が互いに直接接触しないように、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bと導電ブロック7の間を一定の距離に確保する機能を有する。絶縁部材9a,9bの厚さを調整することにより、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bと導電ブロック7との距離(隙間)d1を調整することができる。
【0032】
なお、導電ブロック7の貫通穴7x,7yとドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bの間に絶縁部材9a,9bを設けた場合を例示したが、これに限定されない。例えば、絶縁部材9a,9bの代わりに、封止部材8の一部が導電ブロック7の貫通穴7x,7yとドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bの間に入り込んでいてもよい。
【0033】
図1に示した封止部材8は、第1実施形態に係る半導体装置の筐体を構成し、略直方体形状を有する。封止部材8の下面から、絶縁回路基板1が露出する。封止部材8としては、例えば耐熱性が高く硬質な熱硬化性樹脂等の樹脂材料が使用可能であり、具体的にはエポキシ樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂等が使用可能である。
【0034】
第1実施形態に係る半導体装置の等価回路の一例を図4に示す。図4に示すように、第1実施形態に係る半導体装置は、3相ブリッジ回路の一部を構成する。ドレイン側接続端子Pに、上アーム側のトランジスタT1の第2主電極(ドレイン電極)が接続され、ソース側接続端子Nに、下アーム側のトランジスタT2の第1主電極(ソース電極)が接続されている。トランジスタT1のソース電極及びトランジスタT2のドレイン電極が出力端子U及び補助ソース端子S1に接続されている。トランジスタT2のソース電極には、補助ソース端子S2が接続されている。トランジスタT1,T2のゲート電極にはゲート制御端子G1,G2が接続されている。トランジスタT1,T2には、還流ダイオード(FWD)となるボディーダイオードD1,D2が逆並列に接続して内蔵されている。
【0035】
図4に示したドレイン側接続端子P、ソース側接続端子N及び出力端子Uが、図1に示したドレイン側接続端子6a、ソース側接続端子6b及び出力端子6cに対応する。図4に示したトランジスタT1,T2が、図1に示した半導体チップ2a,2bにそれぞれ対応する。図4に示したゲート制御端子G1,G2、補助ソース端子S1,S2は、図1では図示を省略している。
【0036】
次に、第1実施形態に係る半導体装置の動作について説明する。図示を省略したゲート制御端子を介して、半導体チップ2a,2bのオン・オフを制御する制御信号が、プリント基板4及びポスト電極3a,3bを介して半導体チップ2a,2bのゲート電極へ印加され、半導体チップ2a,2bが交互にスイッチング動作を行う。
【0037】
図1中の矢印I1~I6は、第1実施形態に係る半導体装置の電流経路を模式的に示している。ドレイン側接続端子6aから入った電流(矢印I1)が、絶縁回路基板1の上側導体層12aを経由し、上アーム側の半導体チップ2aからポスト電極3aへ流れ(矢印I2)、プリント基板4を経由し、出力端子6cから外部回路に流れる(矢印I3)。また、外部回路から出力端子6cに入った電流(矢印I4)が、絶縁回路基板1の上側導体層12bを経由し、下アーム側の半導体チップ2bからポスト電極3bへ流れ(矢印I5)、プリント基板4を経由し、ソース側接続端子6bから外部回路に流れる(矢印I6)。
【0038】
ここで、比較例に係る半導体装置を説明する。比較例に係る半導体装置は、図5に示すように、導電ブロック7を有さない点が、図1に示した第1実施形態に係る半導体装置と異なる。比較例に係る半導体装置を電力変換装置でスイッチングさせる際に、半導体チップ2a,2bには以下の式(1)で表される誘導起電力ΔVが発生する。

ΔV=Ls×di/dt …(1)
【0039】
式(1)中のLsは電力変換装置内の変換回路部の寄生インダクタンスである。寄生インダクタンスは、入力コンデンサ内部、比較例に係る半導体装置の内部、入力コンデンサと比較例に係る半導体装置との間の接続配線に存在する。式(1)中のdi/dtはスイッチング時の電流変化率である。半導体チップ2a,2bには、回路の直流電圧に加えて、式(1)の誘導起電力ΔVがサージ電圧として余分に印加される。そこで、定格電圧を決める際には、サージ電圧も含め、半導体チップ2a,2bの耐圧を超えないように設定する必要がある。
【0040】
一方、比較例に係る半導体装置の電流経路I1~I6において、ドレイン側接続端子6a、ソース側接続端子6b及び出力端子6cが長いため、ドレイン側接続端子6a、ソース側接続端子6b及び出力端子6c自体の寄生インダクタンスが電流経路I1~I6全体の寄生インダクタンスに占める割合が大きく、スイッチング動作時の誘導電圧の抑制が制限される。
【0041】
これに対して、図1図3に示した第1実施形態に係る半導体装置では、導電ブロック7を備えている。第1実施形態に係る半導体装置のスイッチング動作時には、図2の矢印で模式的に示すように、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bに流れる電流の周囲には、アンペールの法則によりに磁場Ma,Mbが発生する。ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bに流れる電流の周囲には、アンペールの法則により磁場Ma,Mbが発生する。
【0042】
図2に示すように導電ブロック7の上面側から見たときに、ドレイン側接続端子6aには紙面の手前側から奥側へ電流が流れる。ドレイン側接続端子6aの周囲には時計回りの磁場Maが発生する。一方、ソース側接続端子6bには、ドレイン側接続端子6aとは逆向きに、紙面の奥側から手前側へ電流が流れる。ソース側接続端子6bの周囲には反時計回りの磁場Mbが発生する。
【0043】
このとき、図3に矢印で模式的に示すように、導電ブロック7には、発生した磁場Ma,Mbを抑制する方向に渦電流Ia,Ibが生じる。この渦電流Ia,Ibが、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bの周囲の磁場Ma,Mbを相殺して低減させる。この結果、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6b自体の寄生インダクタンスを低減させることができる。
【0044】
<半導体装置の製造方法>
次に、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法(組立方法)の一例を説明する。図1に示した絶縁回路基板1を用意し、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12b上に接合材を介して半導体チップ2a,2bを搭載する。次に、半導体チップ2a,2b上に接合材を介してポスト電極3a,3bを搭載し、ポスト電極3a,3b上に接合材を介してプリント基板4を搭載する。
【0045】
次に、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12b上に接合材を介してドレイン側接続端子6a及び出力端子6cの下端を搭載し、プリント基板4の上側配線層42上に接合材を介してソース側接続端子6bの下端を搭載する。次に、絶縁部材9a,9bを貫通穴7x,7yに設けた導電ブロック7を用意し、導電ブロック7の貫通穴7x,7yに絶縁部材9a,9bを介してドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bを圧入する。或いは、導電ブロック7の貫通穴7x,7yに絶縁部材9a,9bを介してドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bを圧入した後に、ドレイン側接続端子6aの下端を絶縁回路基板1の上側導体層12aに接続すると共に、ソース側接続端子6bの下端をプリント基板4の上側配線層42上に接続してもよい。
【0046】
次に、加熱処理により、絶縁回路基板1、半導体チップ2a,2b、ポスト電極3a,3b及びプリント基板4を互いに接合する。次に、半導体チップ2a,2b、ポスト電極3a,3b、プリント基板4及び導電ブロック7を封止部材8で封止する。これにより、図1に示した第1実施形態に係る半導体装置が完成する。
【0047】
<実施例>
次に、第1実施形態に係る半導体装置の導電ブロック7の各パラメータを変更した場合の実施例についてのPN端子間(ドレイン側接続端子6aとソース側接続端子6bの間)のインダクタンスの周波数依存性のシミュレーション結果を説明する。図6は、実施形態に係る半導体装置の導電ブロック7の厚さt1を1mm、3mm、5mmとした場合の実施例と、導電ブロック7が無い場合の比較例についてのPN端子間インダクタンスの周波数依存性のシミュレーション結果を示す。図6に示すように、導電ブロック7の厚さt1が厚いほど、PN端子間インダクタンスが低減することが分かる。
【0048】
図7は、第1実施形態に係る半導体装置の導電ブロック7の幅w1を3mm、4mm、5mmとした場合の実施例と、導電ブロック7が無い場合の比較例についてのPN端子間インダクタンスの周波数依存性のシミュレーション結果を示す。図7に示すように、導電ブロック7の幅w1が広いほど、PN端子間インダクタンスが低減することが分かる。
【0049】
図8は、第1実施形態に係る半導体装置の導電ブロック7の隙間d1を0.5mm、0.2mm、0.1mmとした場合の実施例と、導電ブロック7が無い場合の比較例についてのPN端子間インダクタンスの周波数依存性のシミュレーション結果を示す。図8に示すように、導電ブロック7の隙間d1が小さいほど、PN端子間インダクタンスが低減することが分かる。
【0050】
図9は、第1実施形態に係る半導体装置の導電ブロック7の材料をアルミニウム(Al)、銅(Cu)とした場合の実施例と、導電ブロック7が無い場合の比較例についてのPN端子間インダクタンスの周波数依存性のシミュレーション結果を示す。図9に示すように、導電ブロック7の材料がAl及びCuの場合は、PN端子間インダクタンスが略同等に低減していることが分かる。
【0051】
<効果>
以上のように、第1実施形態に係る半導体装置によれば、導電ブロック7を備えることにより、図5に示した比較例に係る半導体装置の構成から大きく変えることなく、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bに流れる電流により発生する磁場Ma,Mbを渦電流Ia,Ibにより抑制することができる。このため、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6b自体の寄生インダクタンス及び変換回路部経路全体の寄生インダクタンスを低減することができ、スイッチング動作時の誘導電圧の抑制が可能となる。更に、導電ブロック7が絶縁回路基板1の長手方向に沿って延伸することにより、絶縁回路基板1の反りを抑制することができる。
【0052】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る半導体装置は、図10に示すように、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bの外周に導電ブロック7a,7bが個別にそれぞれ設けられている点が、図1に示した第1実施形態に係る半導体装置の構成と異なる。
【0053】
導電ブロック7a,7bは互いに離間して設けられている。導電ブロック7a,7bの厚さt1は互いに同一である。導電ブロック7a,7bの平面パターンの外形は矩形や円形であってよく、特に限定されない。導電ブロック7a,7bの平面パターンは閉じられた環状でなくてもよく、環状の一部に切り欠き部が設けられていてもよい。導電ブロック7a,7bのいずれか一方のみを有し、他方が無くてもよい。
【0054】
第2実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置の構成と同様であるので、重複した説明を省略する。第2実施形態に係る半導体装置は、導電ブロック7a,7bを個別に設ける他は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様の手順で実現可能である。
【0055】
第2実施形態に係る半導体装置によれば、第1実施形態に係る半導体装置の構成と同様に、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bの寄生インダクタンスを低減することができる。更に、導電ブロック7a,7bを個別に設けることにより、導電ブロック7a,7bの間のスペースを有効活用することができる。
【0056】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る半導体装置は、図11に示すように、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bの外周に、導電ブロック7a,7bが個別にそれぞれ設けられており、更に、導電ブロック7a,7bの厚さt1,t2が互いに異なる点が、図1に示した第1実施形態に係る半導体装置の構成と異なる。
【0057】
図11では、ドレイン側接続端子6aの外周を囲む導電ブロック7aの厚さt1が、ソース側接続端子6bの外周を囲む導電ブロック7bの厚さt2よりも厚いが、これとは逆に、導電ブロック7aの厚さt1が導電ブロック7bの厚さt2よりも薄くてもよい。第3実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置の構成と同様であるので、重複した説明を省略する。第3実施形態に係る半導体装置は、互いに厚さt1,t2の異なる導電ブロック7a,7bを個別に設ける他は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様の手順で実現可能である。
【0058】
第3実施形態に係る半導体装置によれば、第1実施形態に係る半導体装置の構成と同様に、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bの寄生インダクタンスを低減することができる。更に、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bの外周に導電ブロック7a,7bを個別に設けて、導電ブロック7a,7bの厚さt1,t2を互いに異ならせることにより、導電ブロック7a,7bの周囲のスペースを有効活用したり、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bのそれぞれの寄生インダクタンスの低減量を個別に調整したりすることができる。
【0059】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る半導体装置は、図12に示すように、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bの外周の導電ブロック7よりも下方の位置に段差部61,62が設けられている点が、図3に示した第1実施形態に係る半導体装置の構成と異なる。
【0060】
図12では段差部61,62が導電ブロック7の下面に接触する場合を例示するが、段差部61,62が導電ブロック7から離間していてもよい。段差部61,62と導電ブロック7との接触を防止するため、段差部61,62は、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bと導電ブロック7との距離(隙間)d1よりも小さく設定されている。
【0061】
第4実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置の構成と同様であるので、重複した説明を省略する。第4実施形態に係る半導体装置は、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bに段差部61,62を設ける他は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様の手順で実現可能である。
【0062】
第4実施形態に係る半導体装置によれば、第1実施形態に係る半導体装置の構成と同様に、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bの寄生インダクタンスを低減することができる。更に、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bの外周の導電ブロック7よりも下方の位置に段差部61,62が設けられているため、第4実施形態に係る半導体装置の組み立て時に、導電ブロック7をドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bに圧入したときに段差部61,62がストッパとなり、導電ブロック7とプリント基板4の接触を防止することができる。
【0063】
(第5実施形態)
第5実施形態に係る半導体装置は、図13に示すように、導電ブロック7の下面に絶縁層71が設けられている点が、図3に示した第1実施形態に係る半導体装置の構成と異なる。絶縁層71は、導電ブロック7の下面全体を覆うように設けられている。絶縁層71は、樹脂等の絶縁材料で構成されている。
【0064】
第5実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置の構成と同様であるので、重複した説明を省略する。第5実施形態に係る半導体装置は、絶縁層71を下面に設けた導電ブロック7を用意する他は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様の手順で実現可能である。
【0065】
第5実施形態に係る半導体装置によれば、第1実施形態に係る半導体装置の構成と同様に、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bの寄生インダクタンスを低減することができる。更に、導電ブロック7の下面に絶縁層71が設けられていることにより、第5実施形態に係る半導体装置の組み立て時に導電ブロック7とプリント基板4の接触を防止することができる。
【0066】
(第6実施形態)
第6実施形態に係る半導体装置は、図14に示すように、導電ブロック7が、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bに加え、出力端子6cの外周も囲むように設けられている点が、図2に示した第1実施形態に係る半導体装置の構成と異なる。
【0067】
導電ブロック7には3つの貫通穴7x,7y,7zが設けられている。導電ブロック7の貫通穴7zには出力端子6cが貫通するように設けられている。導電ブロック7の貫通穴7zと出力端子6cの間には絶縁部材9cが設けられている。第6実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置の構成と同様であるので、重複した説明を省略する。第6実施形態に係る半導体装置は、導電ブロック7の貫通穴7x,7y,7zにドレイン側接続端子6a、ソース側接続端子6b及び出力端子6cを圧入する他は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様の手順で実現可能である。
【0068】
第6実施形態に係る半導体装置によれば、第1実施形態に係る半導体装置の構成と同様に、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bの寄生インダクタンスを低減することができる。更に、導電ブロック7が、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bに加え、出力端子6cの外周も囲むことにより、出力端子6c自体の寄生インダクタンスも低減することができる。
【0069】
(第7実施形態)
第7実施形態に係る半導体装置は、図15に示すように、絶縁部材9a,9bが導電ブロック7の下面よりも下方に延伸する点が、図3に示した第1実施形態に係る半導体装置の構成と異なる。第7実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置の構成と同様であるので、重複した説明を省略する。第7実施形態に係る半導体装置は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様の手順で実現可能である。
【0070】
第7実施形態に係る半導体装置によれば、第1実施形態に係る半導体装置の構成と同様に、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bの寄生インダクタンスを低減することができる。なお、図15では、絶縁部材9a,9bが導電ブロック7の下面よりも下方に延伸する場合を例示したが、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bの上端が外部回路に接続するのを阻害しない程度に、絶縁部材9a,9bが導電ブロック7の上面よりも上方に延伸していてもよい。
【0071】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は第1~第7実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0072】
例えば、第1~第7実施形態に係る半導体装置として、パワー半導体素子2つ分の機能を有する「2イン1」の構成を例示したが、パワー半導体素子の1つ分の機能を有する「1イン1」の構成にも適用可能である。
【0073】
また、第1~第7実施形態がそれぞれ開示する構成を、矛盾の生じない範囲で適宜組み合わせることができる。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0074】
1…絶縁回路基板
2a,2b…半導体チップ
3a,3b…ポスト電極(バンプ)
4…プリント基板
6a…ドレイン側接続端子(外部接続端子)
6b…ソース側接続端子(外部接続端子)
6c…出力端子(外部接続端子)
7,7a,7b…導電ブロック(導電部材)
7x,7y,7z…貫通穴
8…封止部材
9a,9b…絶縁部材(介在部品)
11…絶縁基板
12a,12b…上側導体層(導電板)
13…下側導体層(放熱板)
41…絶縁層
42…上側配線層
43…下側配線層
61,62…段差部
71…絶縁層
D1,D2…還流ダイオード
G1,G2…ゲート制御端子
I1~I6…電流経路
Ia,Ib…渦電流
Ma,Mb…磁場
N…ソース側接続端子
P…ドレイン側接続端子
S1,S2…補助ソース端子
T1,T2…トランジスタ
U…出力端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2022-04-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電板を上面側に有する絶縁回路基板と、
前記導電板上に搭載された半導体チップと、
前記半導体チップの上方に設けられ、前記半導体チップと電気的に接続されたプリント基板と、
前記導電板に電気的に接続し、前記導電板の上方へ延伸する第1外部接続端子と、
前記第1外部接続端子の外周を囲み、且つ前記第1外部接続端子と絶縁して設けられた第1導電ブロックと、
前記半導体チップ、前記プリント基板及び前記第1導電ブロックを封止する封止部材と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1導電ブロックは、銅又はアルミニウムを含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1外部接続端子と前記第1導電ブロックの間に設けられた絶縁部材を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記封止部材の一部が、前記第1外部接続端子と前記第1導電ブロックの間に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1外部接続端子の下端が、前記導電板に接合されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1外部接続端子の下端が、前記プリント基板に接合されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記導電板に電気的に接続し、前記導電板の上方へ延伸する第2外部接続端子を更に備え、
前記第1導電ブロックが、前記第2外部接続端子の外周を囲み、前記第2外部接続端子と絶縁されて設けられる
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記導電板に電気的に接続し、前記導電板の上方へ延伸する第2外部接続端子と、
前記第1導電ブロックから離間し、前記第2外部接続端子の外周を囲み、且つ前記第2外部接続端子と絶縁して設けられた第2導電ブロックと、
を更に備えることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1導電ブロック及び前記第2導電ブロックが互いに同じ厚さを有することを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1導電ブロック及び前記第2導電ブロックが互いに異なる厚さを有することを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1外部接続端子の外周の、前記第1導電ブロックの下面よりも下方の位置に段差部が設けられていることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1導電ブロックの下面に設けられた絶縁層を更に備えることを特徴とする請求項
1~11のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1外部接続端子及び前記第2外部接続端子には互いに逆方向に電流が流れることを特徴とする請求項7~10のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記導電板に電気的に接続し、前記導電板の上方へ延伸する第3外部接続端子を更に備え、
前記第1導電ブロックが、前記第3外部接続端子の外周を囲み、前記第3外部接続端子と絶縁されて設けられる
ことを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1導電ブロックが、前記絶縁回路基板の長手方向に延伸するように設けられていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の一態様は、(a)導電板を上面側に有する絶縁回路基板と、(b)導電板上に搭載された半導体チップと、(c)半導体チップの上方に設けられ、半導体チップと電気的に接続されたプリント基板と、(d)導電板に電気的に接続し、導電板の上方へ延伸する第1外部接続端子と、(e)第1外部接続端子の外周を囲み、且つ第1外部接続端子と絶縁して設けられた第1導電ブロックと、(f)半導体チップ、プリント基板及び第1導電ブロックを封止する封止部材とを備える半導体装置であることを要旨とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
これに対して、図1図3に示した第1実施形態に係る半導体装置では、導電ブロック7を備えている。第1実施形態に係る半導体装置のスイッチング動作時には、図2の矢印で模式的に示すように、ドレイン側接続端子6a及びソース側接続端子6bに流れる電流の周囲には、アンペールの法則によりに磁場Ma,Mbが発生する
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2