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特開2022-191868昇圧DC/DCコンバータの制御回路、電源回路、電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191868
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】昇圧DC/DCコンバータの制御回路、電源回路、電子機器
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100348
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】福島 瞬
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 智文
(72)【発明者】
【氏名】石野 勉
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA04
5H730AS04
5H730BB14
5H730BB57
5H730BB98
5H730DD04
5H730EE13
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD11
5H730FD31
5H730FF01
5H730FF05
5H730FG05
5H730FG25
(57)【要約】
【課題】出力電圧の跳ね上がりを抑制する。
【解決手段】電流検出回路300は、第1PMOSトランジスタMP1に流れる電流IOUTを示す電流検出信号ISNSを生成する。ロードスイッチ駆動回路270Eは、第1モードと第2モードが切りかえ可能に構成されており、第1モードにおいて第1PMOSトランジスタMP1をフルオンさせる。ロードスイッチ駆動回路270Eは、第2モードにおいて、第1PMOSトランジスタMP1が電流検出信号の示す電流量IOUT(SNS)より大きい電流供給能力IOUT(MAX)を有するように、第1PMOSトランジスタMP1のゲート電圧を電流検出信号ISNSに応じて変化させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇圧DC/DCコンバータの制御回路であって、
前記昇圧DC/DCコンバータは、
ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタと、
前記ハイサイドトランジスタと前記昇圧DC/DCコンバータの出力ラインの間に接続されるロードスイッチと、
を含んでおり、
前記制御回路は、
前記出力ラインの出力電圧が目標レベルに近づくようにパルス変調されるパルス信号を生成するパルス変調器と、
前記パルス信号にもとづいて、ハイサイド制御信号およびローサイド制御信号を生成するロジック回路と、
前記ロードスイッチとして設けられる第1PMOSトランジスタを駆動するロードスイッチ駆動回路と、
前記第1PMOSトランジスタに流れる電流を示す電流検出信号を生成する電流検出回路と、
を備え、
前記ロードスイッチ駆動回路は、(i)前記第1PMOSトランジスタをフルオンさせる第1モードと、(ii)前記第1PMOSトランジスタが前記電流検出信号の示す電流量より大きい電流供給能力を有するように、前記第1PMOSトランジスタのゲート電圧を前記電流検出信号に応じて変化させる第2モードと、が切りかえ可能に構成される、制御回路。
【請求項2】
前記ロードスイッチ駆動回路は、前記第2モードにおいて、前記電流検出信号が示す電流量のK倍(K>1)以上の電流供給能力を有するように、前記第1PMOSトランジスタのゲートをバイアスする、請求項1に記載の制御回路。
【請求項3】
前記電流検出信号が示す電流量をIOUT(SNS)、前記第1PMOSトランジスタの電流供給能力をIOUT(MAX)、IOFSおよびK(>1)を定数とするとき、
OUT(MAX)=K×IOUT(SNS)+IOFS
を満たす、請求項1または2に記載の制御回路。
【請求項4】
前記ロードスイッチ駆動回路は、
前記第1PMOSトランジスタのサイズの1/M倍のサイズを有する第2PMOSトランジスタであって、そのゲートが前記第2モードにおいて前記第1PMOSトランジスタのゲートと接続され、そのソースが前記第1PMOSトランジスタのソースと接続され、そのゲートドレイン間が結線される第2PMOSトランジスタと、
Kを、K>1であるパラメータとするとき、前記電流検出信号の示す電流量のK/M倍以上の電流を前記第2PMOSトランジスタに供給する定電流回路と、
を含む、請求項1から3のいずれかに記載の制御回路。
【請求項5】
昇圧DC/DCコンバータの制御回路であって、
前記昇圧DC/DCコンバータは、
ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタと、
前記ハイサイドトランジスタと前記昇圧DC/DCコンバータの出力ラインの間に接続されるロードスイッチと、
を含んでおり、
前記制御回路は、
前記出力ラインの出力電圧が目標レベルに近づくようにパルス変調されるパルス信号を生成するパルス変調器と、
前記パルス信号にもとづいて、ハイサイド制御信号およびローサイド制御信号を生成するロジック回路と、
前記ロードスイッチとして設けられる第1PMOSトランジスタを駆動するロードスイッチ駆動回路と、
前記第1PMOSトランジスタに流れる電流を示す電流検出信号を生成する電流検出回路と、
を備え、
前記ロードスイッチ駆動回路は、
前記第1PMOSトランジスタのサイズの1/M倍のサイズを有する第2PMOSトランジスタであって、そのゲートが前記第1PMOSトランジスタのゲートと接続可能であり、そのソースが前記第1PMOSトランジスタのソースと接続され、そのゲートドレイン間が結線される第2PMOSトランジスタと、
前記電流検出信号が示す電流量のK/M倍以上の電流を前記第2PMOSトランジスタに供給する定電流回路と、
を含む、制御回路。
【請求項6】
前記定電流回路は、
その第1端が前記第2PMOSトランジスタのドレインと接続される第1トランジスタと、
前記第1トランジスタの第2端と接地ラインの間に接続される第1抵抗と、
その出力が前記第1トランジスタの制御端子と接続され、その第1入力ノードに前記電流検出信号を受け、その第2入力ノードが前記第1トランジスタの前記第2端と接続されている第1オペアンプと、
を含む、請求項4または5に記載の制御回路。
【請求項7】
前記第1オペアンプは非ゼロの入力オフセット電圧を有する、請求項6に記載の制御回路。
【請求項8】
前記第1オペアンプの前記第1入力ノードには、前記電流検出信号をオフセットした電圧が供給される、請求項6に記載の制御回路。
【請求項9】
前記ロードスイッチ駆動回路は、前記電流検出信号が示す電流量が第1過電流しきい値を超える領域において、前記第1PMOSトランジスタの電流供給能力を前記第1過電流しきい値とする、請求項1から8のいずれかに記載の制御回路。
【請求項10】
前記定電流回路は、前記電流検出信号が示す電流量が第1過電流しきい値を越えないように、前記第2PMOSトランジスタに供給する電流を調節する、請求項4から8のいずれかに記載の制御回路。
【請求項11】
前記定電流回路は、前記電流検出信号が示す電流量が第1過電流しきい値を越えないように、前記第1トランジスタの制御端子の電圧を制御する電流制限回路をさらに含む、請求項6から8のいずれかに記載の制御回路。
【請求項12】
前記電流制限回路は、
その第1端が前記第1トランジスタの制御端子と接続され、その第2端が接地ラインと接続される第2トランジスタと、
その出力が前記第2トランジスタの制御端子と接続され、その第1入力ノードに前記第1過電流しきい値を規定する電圧を受け、その第2入力ノードに前記電流検出信号を受ける第3オペアンプと、
を含む、請求項11に記載の制御回路。
【請求項13】
前記ロードスイッチ駆動回路は、前記第1PMOSトランジスタのゲートに、前記昇圧DC/DCコンバータの入力電圧に応じた電圧を印加する第3モードに切りかえ可能であり、
前記ロードスイッチ駆動回路は、前記電流検出信号が示す電流量が前記第1過電流しきい値より大きな第2過電流しきい値を越えると、前記第3モードとなる、請求項9から12のいずれかに記載の制御回路。
【請求項14】
前記ロードスイッチ駆動回路は、前記電流検出信号が示す電流量が前記第1過電流しきい値より小さな解除しきい値を下回ると、元のモードに復帰する、請求項13に記載の制御回路。
【請求項15】
前記電流検出回路は、
前記第1PMOSトランジスタのサイズの1/N倍のサイズを有する第3PMOSトランジスタであって、そのゲートが前記第2PMOSトランジスタのゲートと接続され、そのソースが前記第2PMOSトランジスタのソースと接続される第3PMOSトランジスタと、
その第1端が前記第3PMOSトランジスタのドレインと接続される第3トランジスタと、
前記第3トランジスタの第2端と接地ラインの間に接続される第2抵抗と、
その出力が前記第3トランジスタの制御端子と接続され、その第1入力ノードが前記第1PMOSトランジスタのドレインと接続され、その第2入力ノードが前記第3PMOSトランジスタのドレインと接続される第3オペアンプと、
を含み、前記電流検出信号は、前記第2抵抗の電圧降下に応じている、請求項4から8のいずれかに記載の制御回路。
【請求項16】
前記ロードスイッチ駆動回路は、前記第1PMOSトランジスタのゲートに、前記昇圧DC/DCコンバータの入力電圧に応じた電圧を印加する第3モードに切りかえ可能である、請求項1から12のいずれかに記載の制御回路。
【請求項17】
ひとつの半導体基板に一体集積化される、請求項1から16のいずれかに記載の制御回路。
【請求項18】
昇圧DC/DCコンバータの主回路と、
請求項1から16のいずれかに記載の制御回路と、
を備える、電源回路。
【請求項19】
請求項1から16のいずれかに記載の制御回路を備える、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、昇圧DC/DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
電源電圧より高い電圧を必要とするデバイスを動作させるために、昇圧DC/DCコンバータ(Boost Converter)が使用される。昇圧DC/DCコンバータは、入力ラインと出力ラインの間が、インダクタおよびハイサイドトランジスタのボディダイオードを介して常時、導通している。そのため、昇圧DC/DCコンバータの停止中にも、出力ラインには入力電圧と等しい電圧が発生し、負荷に供給される。
【0003】
昇圧DC/DCコンバータの停止中に、負荷に電圧が供給されるのを防止したい場合には、ハイサイドトランジスタと出力ラインの間に、ロードスイッチが挿入される。あるいはロードスイッチの代わりに、入力ラインとインダクタの間に、ハイサイドスイッチが挿入される場合もある。昇圧DC/DCコンバータの停止中は、ロードスイッチあるいはハイサイドスイッチをオフすることにより、出力ラインに電圧が発生するのを防止できる。
【0004】
入力電圧が出力電圧の目標レベルより低い状態では、ロードスイッチはその損失を最小化するためにフルオン状態とされ、昇圧DC/DCコンバータの出力電圧は、昇圧コンバータのフィードバック制御(パルス幅変調)によって目標レベルに安定化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-120473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らはロードスイッチを備える昇圧DC/DCコンバータについて検討した結果、以下の課題を認識するに至った。なおこれらの課題を当業者の一般的な認識として捉えてはならない。
【0007】
入力電圧が出力電圧の目標レベルを超えた状態で、昇圧DC/DCコンバータの起動を開始したとする。ロードスイッチがフルオンした状態で昇圧DC/DCコンバータを動作させると、インダクタの誘起電圧の影響で、出力電圧が大きく跳ね上がる可能性がある。
【0008】
本開示は係る課題においてなされたものであり、その例示的な目的のひとつは、出力電圧の跳ね上がりを抑制可能な制御回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のある態様は、昇圧DC/DCコンバータの制御回路に関する。昇圧DC/DCコンバータは、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタと、ハイサイドトランジスタと昇圧DC/DCコンバータの出力ラインの間に接続されるロードスイッチと、を含んでいる。制御回路は、出力ラインの出力電圧が目標レベルに近づくようにパルス変調されるパルス信号を生成するパルス変調器と、パルス信号にもとづいて、ハイサイド制御信号およびローサイド制御信号を生成するロジック回路と、ロードスイッチとして設けられる第1PMOSトランジスタを駆動するロードスイッチ駆動回路と、第1PMOSトランジスタに流れる電流を示す電流検出信号を生成する電流検出回路と、を備える。ロードスイッチ駆動回路は、(i)第1PMOSトランジスタをフルオンさせる第1モードと、(ii)第1PMOSトランジスタが電流検出信号の示す電流量より大きい電流供給能力を有するように、第1PMOSトランジスタのゲート電圧を電流検出信号に応じて変化させる第2モードと、が切りかえ可能に構成される。
【0010】
本開示の別の態様もまた、昇圧DC/DCコンバータの制御回路である。制御回路は、出力ラインの出力電圧が目標レベルに近づくようにパルス変調されるパルス信号を生成するパルス変調器と、パルス信号にもとづいて、ハイサイド制御信号およびローサイド制御信号を生成するロジック回路と、ロードスイッチとして設けられる第1PMOSトランジスタを駆動するロードスイッチ駆動回路と、第1PMOSトランジスタに流れる電流を示す電流検出信号を生成する電流検出回路と、を備える。ロードスイッチ駆動回路は、第1PMOSトランジスタのサイズの1/M倍のサイズを有する第2PMOSトランジスタであって、そのゲートが第1PMOSトランジスタのゲートと接続可能であり、そのソースが第1PMOSトランジスタのソースと接続され、そのゲートドレイン間が結線される第2PMOSトランジスタと、電流検出信号の示す電流量のK/M倍以上の電流を第2PMOSトランジスタに供給する定電流回路と、を含む。
【0011】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本開示のある態様によれば、出力電圧の跳ね上がりを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態1に係る昇圧DC/DCコンバータの回路図である。
図2図2は、図1のDC/DCコンバータの動作を説明する図である。
図3図3は、第1PMOSトランジスタのI-V(電流-電圧)特性を示す図である。
図4図4は、比較技術に係るDC/DCコンバータの動作波形図である。
図5図5は、図1のDC/DCコンバータの動作波形図である。
図6図6は、ロードスイッチ駆動回路およびその周辺回路の構成例を示す回路図である。
図7図7は、図6のロードスイッチ駆動回路の動作を説明する図である。
図8図8は、ロードスイッチ駆動回路および電流検出回路の構成例を示す回路図である。
図9図9は、実施形態2に係る制御回路の回路図である。
図10図10は、図9の制御回路による過電流保護を説明する図である。
図11図11は、実施形態3に係る制御回路の回路図である。
図12図12は、図11の制御回路の動作を説明する図である。
図13図13は、実施形態に係るDC/DCコンバータを備える電子機器の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0015】
一実施形態に係る昇圧DC/DCコンバータの制御回路は、出力ラインの出力電圧が目標レベルに近づくようにパルス変調されるパルス信号を生成するパルス変調器と、パルス信号にもとづいて、ハイサイド制御信号およびローサイド制御信号を生成するロジック回路と、ロードスイッチとして設けられる第1PMOSトランジスタを駆動するロードスイッチ駆動回路と、第1PMOSトランジスタに流れる電流を示す電流検出信号を生成する電流検出回路と、を備える。ロードスイッチ駆動回路は、(i)第1PMOSトランジスタをフルオンさせる第1モードと、(ii)第1PMOSトランジスタが電流検出信号の示す電流量より大きい電流供給能力を有するように、第1PMOSトランジスタのゲート電圧を電流検出信号に応じて変化させる第2モードと、が切りかえ可能に構成される。
【0016】
この構成によると、入力電圧が出力電圧の目標レベルより高い状況において、第2モードを選択することで、出力電圧の跳ね上がりを抑制できる。
【0017】
一実施形態において、ロードスイッチ駆動回路は、第2モードにおいて、(ii)第1PMOSトランジスタが電流検出信号の示す電流量のK倍(K>1)以上の電流供給能力を有するように、第1PMOSトランジスタのゲートをバイアスしてもよい。
【0018】
一実施形態において、ロードスイッチ駆動回路は、第1PMOSトランジスタのサイズの1/M倍のサイズを有する第2PMOSトランジスタであって、そのゲートが第2モードにおいて第1PMOSトランジスタのゲートと接続され、そのソースが第1PMOSトランジスタのソースと接続され、そのゲートドレイン間が結線される第2PMOSトランジスタと、Kを、K>1であるパラメータとして、電流検出信号の示す電流量のK/M倍以上の電流を第2PMOSトランジスタに供給する定電流回路と、を含んでもよい。
【0019】
一実施形態に係る制御回路は、出力ラインの出力電圧が目標レベルに近づくようにパルス変調されるパルス信号を生成するパルス変調器と、パルス信号にもとづいて、ハイサイド制御信号およびローサイド制御信号を生成するロジック回路と、ロードスイッチとして設けられる第1PMOSトランジスタを駆動するロードスイッチ駆動回路と、第1PMOSトランジスタに流れる電流を示す電流検出信号を生成する電流検出回路と、を備える。ロードスイッチ駆動回路は、第1PMOSトランジスタのサイズの1/M倍のサイズを有する第2PMOSトランジスタであって、そのゲートが第1PMOSトランジスタのゲートと接続可能であり、そのソースが第1PMOSトランジスタのソースと接続され、そのゲートドレイン間が結線される第2PMOSトランジスタと、電流検出信号の示す電流量のK/M倍以上の電流を第2PMOSトランジスタに供給する定電流回路と、を含む。
【0020】
この構成によると、入力電圧が出力電圧の目標レベルより高い状況において、出力電圧の跳ね上がりを抑制できる。
【0021】
一実施形態において、電流検出信号が示す電流量をIOUT(SNS)、第1PMOSトランジスタの電流供給能力をIOUT(MAX)、IOFS(>0)およびK(>1)を定数とするとき、
OUT(MAX)=K×IOUT(SNS)+IOFS
を満たしてもよい。これにより、出力電流IOUTがゼロとなった状態でも、第1PMOSトランジスタが完全にオフするのを防止できる。
【0022】
一実施形態において、定電流回路は、その第1端が第2PMOSトランジスタのドレインと接続される第1トランジスタと、第1トランジスタの第2端と接地ラインの間に接続される第1抵抗と、その出力が第1トランジスタの制御端子と接続され、その第1入力ノードに電流検出信号を受け、その第2入力ノードが第1トランジスタの第2端と接続されている第1オペアンプと、を含んでもよい。
【0023】
一実施形態において、第1オペアンプは非ゼロの入力オフセット電圧を有してもよい。一実施形態において、第1オペアンプの第1入力ノードには、電流検出信号をオフセットした電圧が供給されてもよい。これらのオフセットにより、出力電流IOUTがゼロとなった状態でも、第1PMOSトランジスタが完全にオフするのを防止できる。
【0024】
一実施形態において、ロードスイッチ駆動回路は、電流検出信号が示す電流量が第1過電流しきい値を超える領域において、第1PMOSトランジスタの電流供給能力を第1過電流しきい値としてもよい。
【0025】
一実施形態において、定電流回路は、電流検出信号が示す電流量が第1過電流しきい値を越えないように、第2PMOSトランジスタに供給する電流を調節してもよい。
【0026】
一実施形態において、定電流回路は、電流検出信号が示す電流量が第1過電流しきい値を越えないように、第1トランジスタの制御端子の電圧を制御する電流制限回路をさらに含んでもよい。
【0027】
一実施形態において、電流制限回路は、その第1端が第1トランジスタの制御端子と接続され、その第2端が接地ラインと接続される第2トランジスタと、その出力が第2トランジスタの制御端子と接続され、その第1入力ノードに第1過電流しきい値を規定する電圧を受け、その第2入力ノードに電流検出信号を受ける第3オペアンプと、を含んでもよい。
【0028】
一実施形態において、ロードスイッチ駆動回路は、第1PMOSトランジスタのゲートに、昇圧DC/DCコンバータの入力電圧に応じた電圧を印加する第3モードに切りかえ可能であってもよい。
【0029】
この構成によると、昇圧DC/DCコンバータを停止する際に、ロードスイッチ(PMOSトランジスタ)を直ちにオフせずに、PMOSトランジスタのゲートに、入力電圧に応じた電圧Vcを印加することで、PMOSトランジスタを、ソースフォロア回路(ドレイン接地回路)として動作させることができる。このとき、PMOSトランジスタのソース電圧、すなわちロードスイッチとハイサイドトランジスタの接続ノードの電圧VMIDは、
MID=Vc+VGS≒VIN+VGS
にクランプされ、過電圧が発生するのを防止できる。ハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタの接続ノード(スイッチングピン)の電圧VSWは、
SW=VMID+V=Vc+VGS+V≒VIN+VGS+V
となり、スイッチングピンの過電圧も抑制される。Vはハイサイドトランジスタのボディダイオードの順方向電圧である。またこのときインダクタの両端間電圧Vは、
=VIN-VSW=VIN-(Vc+VGS+V)≒-(VGS+V
となる。これによりコイル電流を、-(VGS+V)/Lの傾きで時間とともに減少させることができる。
【0030】
一実施形態において、ロードスイッチ駆動回路は、電流検出信号が示す電流量が第1過電流しきい値より大きな第2過電流しきい値を越えると、第3モードとなってもよい。
【0031】
一実施形態において、ロードスイッチ駆動回路は、電流検出信号が示す電流量が第1過電流しきい値より小さな解除しきい値を下回ると、元のモードに復帰してもよい。
【0032】
一実施形態において、電流検出回路は、第1PMOSトランジスタのサイズの1/N倍のサイズを有する第3PMOSトランジスタであって、そのゲートが第2PMOSトランジスタのゲートと接続され、そのソースが第2PMOSトランジスタのソースと接続される第3PMOSトランジスタと、その第1端が第3PMOSトランジスタのドレインと接続される第3トランジスタと、第3トランジスタの第2端と接地ラインの間に接続される第2抵抗と、その出力が第3トランジスタの制御端子と接続され、その第1入力ノードが第1PMOSトランジスタのドレインと接続され、その第2入力ノードが第3PMOSトランジスタのドレインと接続される第3オペアンプと、を含み、電流検出信号は、第2抵抗の電圧降下に応じていてもよい。
【0033】
一実施形態において、制御回路はひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0034】
(実施形態)
以下、本発明を好適な実施形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0035】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0036】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0037】
また、「信号A(電圧、電流)が信号B(電圧、電流)に応じている」とは、信号Aが信号Bと相関を有することを意味し、具体的には、(i)信号Aが信号Bである場合、(ii)信号Aが信号Bに比例する場合、(iii)信号Aが信号Bをレベルシフトして得られる場合、(iv)信号Aが信号Bを増幅して得られる場合、(v)信号Aが信号Bを反転して得られる場合、(vi)あるいはそれらの任意の組み合わせ、等を意味する。「応じて」の範囲は、信号A、Bの種類、用途に応じて定まることが当業者には理解される。
【0038】
本明細書において参照する波形図やタイムチャートの縦軸および横軸は、理解を容易とするために適宜拡大、縮小したものであり、また示される各波形も、理解の容易のために簡略化され、あるいは誇張もしくは強調されている。
【0039】
(実施形態1)
第1実施形態に関連する構成要素には、添え字のEを付す。図1は、実施形態1に係る昇圧DC/DCコンバータ100Eの回路図である。昇圧DC/DCコンバータ(以下、単にDC/DCコンバータという)100Eは、入力端子(入力ライン)102の入力電圧VINを昇圧し、所定の電圧レベルに安定化して、出力端子(出力ライン)104に接続される負荷(不図示)に供給する。
【0040】
DC/DCコンバータ100Eは、主回路110Eと、制御回路200Eを備える。主回路110Eは、インダクタL1、ローサイドトランジスタ(スイッチングトランジスタ)ML、ハイサイドトランジスタ(同期整流トランジスタ)MH、出力キャパシタC1およびロードスイッチSW1を含む。本実施形態においてロードスイッチSW1は、PMOSトランジスタ(以下、第1PMOSトランジスタMP1という)を含む。
【0041】
制御回路200Eは、ひとつの半導体基板(ダイ)に集積化された機能IC(Integrated Circuit)である。本実施形態において、ローサイドトランジスタML、ハイサイドトランジスタMHおよび第1PMOSトランジスタMP1は、制御回路200Eに集積化されている。
【0042】
制御回路200Eは、ローサイドトランジスタML、ハイサイドトランジスタMH、第1PMOSトランジスタMP1に加えて、パルス変調器210、ロジック回路220、ハイサイドドライバ230、ローサイドドライバ232、ロードスイッチ駆動回路270E、電圧監視回路280、電流検出回路300、抵抗R11,R12を備える。
【0043】
制御回路200Eには、スイッチングピンSW、接地ピンPGND、入力ピンVIN、出力ピンVOUT、センスピンVOUT_SNSが設けられる。
【0044】
スイッチングピンSWには、外付けのインダクタL1が接続される。出力ピンVOUTには出力キャパシタC1が接続される。ローサイドトランジスタMLは、スイッチングピンSWと接地ピンPGNDの間に接続される。ハイサイドトランジスタMHおよび第1PMOSトランジスタMP1は、スイッチングピンSWと出力ピンVOUTの間に直接に接続される。入力ピンVINには、DC/DCコンバータ100Eの入力電圧VINが供給される。
【0045】
DC/DCコンバータ100Eは定電圧出力のコンバータであり、パルス変調器210は、DC/DCコンバータ100Eの出力電圧VOUTが目標レベルVOUT(REF)に近づくようにパルス変調されるパルス信号Spを生成する。
【0046】
センスピンVOUT_SNSには出力電圧VOUTがフィードバックされる。出力電圧VOUTは抵抗R11,R12により分圧され、出力電圧VOUTを示すフィードバック信号VFBが生成される。パルス変調器210は、フィードバック信号VFBが基準電圧VREFに近づくように、パルス信号Spをパルス変調する。
【0047】
出力電圧VOUTの目標レベルVOUT(REF)は以下の式で表される。
OUT(REF)=VREF×(R11+R12)/R12
【0048】
パルス変調器210の構成や制御方式は特に限定されない。たとえばパルス変調器210は、電圧モードのコントローラであってもよいし、ピーク電流モードや平均電流モードのコントローラであってもよい。あるいはパルス変調器210は、リップル制御、具体的にはヒステリシス制御(Bang-Bang制御)、ボトム検出オン時間固定制御、ピーク検出オフ時間固定制御のコントローラであってもよい。
【0049】
またパルス変調器210の変調方式も特に限定されず、パルス幅変調であってもよいし、パルス周波数変調であってもよいし、その他の変調方式であってもよい。
【0050】
ロジック回路220は、パルス信号Spにもとづいて、ハイサイド制御信号HGCTLおよびローサイド制御信号LGCTLを生成する。またロジック回路220は、第1PMOSトランジスタMP1の制御信号SWCTLを生成する。
【0051】
ハイサイドドライバ230は、ハイサイド制御信号HGCTLにもとづいてハイサイドトランジスタMHを駆動する。ローサイドドライバ232は、ローサイド制御信号LGCTLにもとづいてローサイドトランジスタMLを駆動する。
【0052】
ロードスイッチ駆動回路270Eは、制御信号SWCTLにもとづいて、ロードスイッチSW1である第1PMOSトランジスタMP1を駆動する。具体的には、制御信号SWCTLがオンレベル(たとえばハイ)のときに、第1PMOSトランジスタMP1をオンし、制御信号SWCTLがオフレベル(たとえばロー)のときに、第1PMOSトランジスタMP1をオフする。
【0053】
ロードスイッチ駆動回路270Eは、制御信号SWCTLがオンレベル(ハイ)の期間において、2つのモードが切りかえ可能に構成される。ロードスイッチ駆動回路270Eにはモードを指定する制御信号MODEが入力されている。
【0054】
ロードスイッチ駆動回路270Eは、第1モードにおいて、第1PMOSトランジスタMP1をフルオンさせる。たとえばロードスイッチ駆動回路270Eは、第1PMOSトランジスタMP1のソース電圧VMIDよりも所定電圧幅ΔV低い電圧を生成し、第1PMOSトランジスタMP1のゲートに供給する。所定電圧幅ΔVは、第1PMOSトランジスタMP1のしきい値電圧Vgs(th)よりも大きい。
【0055】
制御回路200Eの入力ピンVINは、入力ライン102と接続され、入力電圧VINが入力されている。電圧監視回路280は、入力電圧VINをしきい値電圧VTHと比較し、比較結果に応じた比較信号VINCOMPを生成する。ここでは、VIN>VTHのときにVINCOMPがハイをとるものとする。電圧監視回路280は電圧コンパレータで構成することができる。
【0056】
ロジック回路220は、比較信号VINCOMPにもとづいて、DC/DCコンバータ100Cの動作モードを制御する。具体的には、VIN<VOUT(REF)のとき、DC/DCコンバータ100Cを昇圧モードで動作させ、VIN>VOUT(REF)のとき、DC/DCコンバータ100Cをスルーモードで動作させる。
【0057】
電流検出回路300は、第1PMOSトランジスタMP1に電流、すなわちDC/DCコンバータ100Eの出力電流IOUTを示す電流検出信号ISNSを生成する。電流検出回路300は、後述するように第1PMOSトランジスタMP1に流れる電流を検出してもよい。あるいは、第1PMOSトランジスタMP1に流れる電流は、ハイサイドトランジスタMHに流れる電流や、インダクタL1に流れるコイル電流と等しいから、ハイサイドトランジスタMHやインダクタL1の電流にもとづいて、間接的に第1PMOSトランジスタMP1の電流IOUTを検出してもよい。
【0058】
電流検出信号ISNSは、ロードスイッチ駆動回路270Eに供給される。ロードスイッチ駆動回路270Eは、第2モードにおいて、電流検出信号ISNSが示す電流量IOUT(SNS)より大きい電流供給能力IOUT(MAX)を有するように、第1PMOSトランジスタMP1のゲート電圧を電流検出信号ISNSに応じて変化させる。
OUT(MAX)>IOUT(SNS)
電流供給能力IOUT(MAX)は、FET(Field-Effect Transistor)の飽和領域におけるドレイン電流Idと把握できる。
Id=1/2×K
【0059】
第2モードでは、電流検出信号ISNSを目標値に近づけるフィードバック制御を行っているのではなく、電流検出信号ISNSが、第1PMOSトランジスタMP1のバイアス点を決める基準信号となっている。
【0060】
たとえばロードスイッチ駆動回路270Eは、第2モードにおいて、(ii)電流検出信号ISNSが示す電流量IOUT(SNS)のK倍(K>1)以上の電流供給能力IOUT(MAX)を有するように、第1PMOSトランジスタMP1のゲートをバイアスする。Kは設計パラメータである。
OUT(MAX)≧K×IOUT(SNS)
【0061】
以上がDC/DCコンバータ100Eの構成である。続いてその動作を説明する。
【0062】
図2は、図1のDC/DCコンバータ100Eの動作を説明する図である。横軸は入力電圧VINを、縦軸は出力電圧VOUTを示す。
【0063】
入力電圧VINが出力電圧VOUTの目標レベルVOUT(REF)より低い状態において、DC/DCコンバータ100Eは昇圧モードで動作する。昇圧モードでは、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタがスイッチングすることにより、出力電圧VOUTが目標レベルVOUT(REF)に安定化される。
【0064】
この昇圧モードにおいて、ロジック回路220はロードスイッチ駆動回路270Eを第1モードで動作させる。これにより第1PMOSトランジスタMP1はフルオンし、第1PMOSトランジスタMP1における損失は小さく抑えられる。
【0065】
入力電圧VINが出力電圧VOUTの目標レベルVOUT(REF)より高い状態では、DC/DCコンバータ100Eは、スルーモードで動作する。この状態では、パルス信号Spのデューティサイクルが0まで低下し、ローサイドトランジスタMLがオフ、ハイサイドトランジスタMHがオンの状態でスイッチングが停止する。
【0066】
ロードスイッチ駆動回路270Eは、スルーモードにおいて、第2モードで動作する。このときの、第1PMOSトランジスタMP1は、フルオン状態には達しておらず、そのときの負荷電流を供給できるだけの電流供給能力を有するようにバイアスされる。
【0067】
図3は、第1PMOSトランジスタMP1のI-V(電流-電圧)特性を示す図である。横軸は第1PMOSトランジスタMP1のドレインソース間電圧VDSを、縦軸はドレイン電流Iを示す。飽和領域における電流量(飽和電流量ともいう)ID(SAT)は、以下の式で表される。
D(SAT)=-W/2L・μCOX(VGS-V=-A(VGS-V
A=W/2L・μCOX
GSは第1PMOSトランジスタMP1のゲートソース間電圧(バイアス点)、VはPチャンネルMOSFETのしきい値電圧、Wはゲート幅、Lはゲート長、μは移動度、COXはゲート絶縁膜の容量である。
【0068】
上述したように、電流供給能力IOUT(MAX)は、飽和領域の電流量ID(SAT)と把握できる。ある出力電流IOUTが流れているとき、以下の関係を満たすように、動作点が決定される。
D(SAT)=A(VGS-V>IOUT
GS>√(IOUT/A)+V
【0069】
たとえば、出力電流IOUTのK倍の電流供給能力IOUT(MAX)を持たせる場合、動作点は以下のようになり、第1PMOSトランジスタMP1は線形領域で動作する。
D(SAT)=A(VGS-V=K×IOUT
GS=√(K×IOUT/A)+V
【0070】
IN≧VOUT(REF)の状態で第2モードを選択すると、出力電圧VOUTは、
OUT=VIN-(RON(MH)+RON(MP1))×IOUT
となり、入力電圧VINよりわずかに低い電圧レベルをとる。RON(MH)はハイサイドトランジスタMHのオン抵抗であり、ハイサイドトランジスタMHはフルオン状態となっているため、オン抵抗は非常に小さい。RON(MP1)は、第1PMOSトランジスタMP1のオン抵抗である。オン抵抗RON(MP1)は、上述のパラメータKに応じて規定することができ、Kを大きくするほど、第2モードにおけるオン抵抗RON(MP1)は小さくなる。この観点において、Kは1.5以上とすることが好ましく、より好ましくは2以上であり、4以上とすると、オン抵抗を十分に小さくして、損失を低減できる。
【0071】
以上がDC/DCコンバータ100の動作である。スルーモードにおいて、ロードスイッチ駆動回路270Eを第1モードではなく、第2モードで動作させる利点を説明する。この利点は比較技術との対比によって明確となる。
【0072】
比較技術では、スルーモードでロードスイッチ駆動回路270Eが第1モードで動作し、第1PMOSトランジスタMP1をフルオンさせるものとする。図4は、比較技術に係るDC/DCコンバータの動作波形図である。入力電圧VINが出力電圧VOUTの目標電圧VOUT(REF)よりも高い状況を考える。時刻tにDC/DCコンバータに対して、起動指示が入力される。ロジック回路は、VIN>VOUT(REF)を検出すると、スルーモードを選択し、ロードスイッチ駆動回路270Eを、第1モードにセットする。その結果、第1PMOSトランジスタMP1は直ちにフルオン状態となる。これにより、入力ライン102から出力ライン104に向かう電流が急峻に立ち上がる。この電流は、インダクタL1を流れるところ、コイル電流が急峻に変化すると、誘起電圧が発生する。この誘起電圧によって、出力電圧VOUTがオーバーシュートする。
【0073】
図5は、図1のDC/DCコンバータ100Eの動作波形図である。図4と同様、入力電圧VINが出力電圧VOUTの目標電圧VOUT(REF)よりも高い状況を考える。時刻tにDC/DCコンバータに対して、起動指示が入力される。ロジック回路は、VIN>VOUT(REF)を検出すると、スルーモードを選択し、ロードスイッチ駆動回路270Eを第2モードにセットする。この場合、第1PMOSトランジスタMP1は直ちにフルオン状態とはならず、第1PMOSトランジスタMP1のゲートソース間電圧は、ロードスイッチ駆動回路270Eのフィードバックループの遅れによって、比較技術の場合に比べてゆっくりと大きくなっていく。これにより、入力ライン102から出力ライン104に向かう電流は、比較技術(図4)よりもゆっくりと増大する。これによりコイル電流の急峻な変化が抑制され、誘起電圧も小さくなる。これにより、出力電圧VOUTのオーバーシュートを抑制できる。
【0074】
続いて制御回路200Eの具体的な構成例を説明する。図6は、ロードスイッチ駆動回路270Eおよびその周辺回路の構成例を示す回路図である。
【0075】
ロードスイッチ駆動回路270Eは、第2PMOSトランジスタMP2、電圧源272、セレクタ274、第2PMOSトランジスタMP2、定電流回路310Eを備える。
【0076】
電圧源272は、第1モードにおいて、第1PMOSトランジスタMP1をフルオンさせるためのゲート電圧を生成する。具体的には電圧源272は、第1PMOSトランジスタMP1のソース電圧VMIDをレベルシフトし、ソース電圧VMIDよりも所定電圧幅ΔV低い電圧(VMID-ΔV)を生成する。セレクタ274は、第1モードにおいて、電圧源272の出力電圧を選択し、第1PMOSトランジスタMP1のゲートに供給する。
【0077】
第2PMOSトランジスタMP2および定電流回路310Eは、第2モードにおける第1PMOSトランジスタMP1のゲート電圧を生成する。
【0078】
第2PMOSトランジスタMP2は、第1PMOSトランジスタMP1のサイズの1/M倍のサイズを有する。第2PMOSトランジスタMP2のゲートは第2モードにおいて、セレクタ274を介して第1PMOSトランジスタMP1のゲートと接続され、第2PMOSトランジスタMP2のソースは、第1PMOSトランジスタMP1のソースと接続される。第2PMOSトランジスタMP2のゲートドレイン間は結線されている。
【0079】
セレクタ274は、第2モードにおいて、第2PMOSトランジスタMP2のゲートを第1PMOSトランジスタMP1のゲートと接続する。第2モードにおいて、第2PMOSトランジスタMP2と第1PMOSトランジスタMP1は、第2PMOSトランジスタMP2を入力、第1PMOSトランジスタMP1を出力とするカレントミラー回路を構成するように接続されることとなる。ただし、第1PMOSトランジスタMP1はドレインソース間電圧が小さい線形領域で動作するため、第1PMOSトランジスタMP1には、第2PMOSトランジスタMP2の電流IFRCのM倍の電流が流れるわけではなく、第1PMOSトランジスタMP1の電流供給能力が、IFRC×Mとなる。
【0080】
定電流回路310Eは、電流検出回路300が生成する電流検出信号ISNSが示す電流量IOUT(SNS)のK/M倍以上のフォース電流IFRCを第2PMOSトランジスタMP2に供給する。
FRC≧K/M×IOUT(SNS)
【0081】
たとえば、定電流回路310Eは、電流検出信号ISNSが示す電流量IOUT(SNS)のK/M倍のフォース電流IFRCを第2PMOSトランジスタMP2に供給してもよい。
FRC=K/M×IOUT(SNS)
ただし、この場合、出力電流IOUTがゼロになると、フォース電流IFRCがゼロとなり、第1PMOSトランジスタMP1、第2PMOSトランジスタMP2のゲートソース間電圧が0Vとなり、第1PMOSトランジスタMP1が完全にオフとなり、再始動のための追加の制御が必要となる。
【0082】
そこで定電流回路310Eは、電流検出信号ISNSが示す電流量IOUT(SNS)のK/M倍に、オフセットIOFSを追加したフォース電流IFRCを第2PMOSトランジスタMP2に供給することが望ましい。
FRC=K/M×IOUT(SNS)+IOFS
【0083】
これにより、出力電流IOUTがゼロになった場合でも、フォース電流IFRCはIOFSとなり、第1PMOSトランジスタMP1および第2PMOSトランジスタMP2をオフしない状態で維持することができる。
【0084】
以上がロードスイッチ駆動回路270Eの構成である。続いてその動作を説明する。図7は、図6のロードスイッチ駆動回路270Eの動作を説明する図である。横軸は出力電流IOUTを、縦軸は第1PMOSトランジスタMP1の電流供給能力IOUT(MAX)を示す。
【0085】
このように、図6のロードスイッチ駆動回路270Eによれば、出力電流IOUTに対して、第1PMOSトランジスタMP1の電流供給能力IOUT(MAX)(飽和電流量ID(SAT))を線形に増大させることができる。
【0086】
図8は、ロードスイッチ駆動回路270Eおよび電流検出回路300の構成例を示す回路図である。図8では電圧源272やセレクタ274は省略している。
【0087】
電流検出回路300は、第3PMOSトランジスタMP3、第3トランジスタM23、第2抵抗R22、第2オペアンプOP2を含む。
【0088】
第3PMOSトランジスタMP3は、第1PMOSトランジスタMP1のサイズの1/N倍のサイズ(第2PMOSトランジスタMP2のM/N倍)を有する。第3PMOSトランジスタMP3のゲートが第2PMOSトランジスタMP2のゲートと接続され、そのソースは第2PMOSトランジスタMP2および第1PMOSトランジスタMP1のソースと接続される。
【0089】
第3トランジスタM23は、PチャンネルMOSFETであり、その第1端(ソース)が第3PMOSトランジスタMP3のドレインと接続される。
【0090】
第2抵抗R22は、第3トランジスタM23の第2端(ドレイン)と接地ラインの間に接続される。第2オペアンプOP2の出力は、第3トランジスタM23の制御端子(ゲート)と接続され、その第1入力ノード(非反転入力端子+)が第1PMOSトランジスタMP1のドレイン(VOUTピン)と接続され、その第2入力ノード(反転入力端子-)が第3PMOSトランジスタMP3のドレインと接続される。
【0091】
第2オペアンプOP2および第3トランジスタM23によって、第3PMOSトランジスタMP3のドレイン電圧が、第1PMOSトランジスタMP1のドレイン電圧と等しくなるように帰還がかかる。その結果、第3トランジスタM23には、出力電流IOUTの1/N倍の電流IOUT/Nが流れる。第2抵抗R22には、出力電流IOUTに比例した電圧降下IOUT/N×R22が発生する。
【0092】
電流検出回路300は、第2抵抗R22の電圧降下に応じた電流検出信号ISNSを出力する。
ISNS=R22×IOUT/N
【0093】
定電流回路310Eは、第1トランジスタM21、第1抵抗R21、第1オペアンプOP1を含む。
【0094】
第1トランジスタM21はNチャンネルMOSFETであり、その第1端(ドレイン)が第2PMOSトランジスタMP2のドレインと接続される。第1抵抗R21は、第1トランジスタM21の第2端(ソース)と接地ラインの間に接続される。第1オペアンプOP1の出力は、第1トランジスタM21の制御端子(ゲート)と接続され、その第1入力ノード(非反転入力端子+)に電流検出信号ISNSを受け、その第2入力ノード(反転入力端子-)が第1トランジスタM21の第2端(ソース)と接続されている。
【0095】
第1オペアンプOP1は、非ゼロの入力オフセット電圧VOFSを有していてもよい。このとき、定電流回路310Eが生成するフォース電流IFRCは、
FRC=(ISNS+VOFS)/R21
となる。VOFS/R21が、上述のオフセット電流IOFSに相当する。
【0096】
以上が電流検出回路300および定電流回路310Eの構成例である。この構成によれば、第1PMOSトランジスタMP1の電流供給能力IOUT(MAX)は以下の式で表される。
OUT(MAX)=IFRC×M=(ISNS+VOFS)/R21×M
=(R22×IOUT/N+VOFS)/R21×M
=(R22/R21)・M/N×IOUT+VOFS/R21×M
【0097】
つまり、K=(R22/R21)・M/N、IOFS=VOFS/R21×Mとなる。たとえば、M=Nとし、R22=R21×Kとしてもよい。
【0098】
オフセット電圧VOFSの与え方は特に限定されない。たとえば、オフセット電圧VOFSを生成する電圧源312を追加し、電流検出信号ISNSを、VOFSだけオフセットした電圧ISNS+VOFSを第1オペアンプOP1の第1入力ノード(+)に供給するようにしてもよい。
【0099】
あるいは、電流検出回路300の第2抵抗R22に電流Izをソースする電流源314を追加し、電流検出信号ISNSをオフセットしてもよい。このときのオフセット量は、VOFS=Iz×R22となる。
【0100】
(実施形態2)
図6を参照する。実施形態2に関連する構成には、添え字のFを付すものとする。ロードスイッチ駆動回路270Fは第2モードにおいて有効となる電流制限機能を有している。ロードスイッチ駆動回路270Fは、電流検出信号ISNSが示す電流量IOUT(SNS)が第1過電流しきい値IOCP1より大きい領域において、第2PMOSトランジスタMP2の電流供給能力IOUT(MAX)を第1過電流しきい値IOCP1に制限する。
【0101】
より具体的には、定電流回路310Fは、電流検出信号ISNSが示す電流量IOUT(SNS)が第1過電流しきい値IOCP1を越えないように、第2PMOSトランジスタMP2に供給するフォース電流IFRCを調節する。
【0102】
図9は、実施形態2に係る制御回路200Fの回路図である。定電流回路310Fは、図8の定電流回路310Eに加えて、電流制限回路320をさらに含む。電流制限回路320は、電流検出信号ISNSが示す電流量IOUT(SNS)が第1過電流しきい値IOCP1を越えないように、第1トランジスタM21の制御端子(ゲート)の電圧を制御する。
【0103】
電流制限回路320は、第2トランジスタM22、第3オペアンプOP3を含む。第2トランジスタM22はPMOSトランジスタであり、その第1端(ソース)が第1トランジスタM21の制御端子(ゲート)と接続され、その第2端(ドレイン)が接地ラインと接続される。第3オペアンプOP3は、その出力が第2トランジスタM22の制御端子(ゲート)と接続され、その第1入力ノード(非反転入力端子+)に第1過電流しきい値IIOCP1を規定する電圧ILIM1を受け、その第2入力ノード(反転入力端子-)に電流検出信号ISNSを受ける。
【0104】
なお、電流制限機能付きの定電流回路310Fの構成は、図9のそれに特に限定されるものではない。
【0105】
図10は、図9の制御回路200Fによる過電流保護を説明する図である。出力電流IOUTが第1過電流しきい値IOCP1を超えると、電流制限回路320によって、第1PMOSトランジスタMP1の電流供給能力IOUT(MAX)が、第1過電流しきい値IOCP1まで低下する。
【0106】
実施形態2の制御回路200Fによれば、第1PMOSトランジスタMP1の電流供給能力を低下させることにより、過電流保護を実現できる。
【0107】
(実施形態3)
実施形態3に関連する構成には、添え字のGを付加する。第2モード(スルーモード)において、第1PMOSトランジスタMP1は線形領域で動作しており、過剰な電流供給能力を有している。したがって、DC/DCコンバータ100Fの出力ライン104が地絡すると、電流制限回路320による保護が働くまでの遅延時間の間、第1PMOSトランジスタMP1には瞬時的に大きな電流が流れる場合がある。その後、電流制限回路320が第1PMOSトランジスタMP1の電流供給能力IOUT(MAX)を低下させると、電流供給能力IOUT(MAX)を超えるコイル電流Iが、第1PMOSトランジスタMP1のソースに流れ込み、ソース電圧VMIDが跳ね上がるおそれがある。
【0108】
図11は、実施形態3に係る制御回路200Gの回路図である。制御回路200Gは、上記問題を解決するために、2段階の過電流保護を行う。
【0109】
ロードスイッチ駆動回路270Gは、ロードスイッチ駆動回路270Eと同様に、第2モードにおける電流制限機能を有している。
【0110】
ロードスイッチ駆動回路270Gは、第1モード、第2モードに加えて、第3モードが選択可能に構成される。ロードスイッチ駆動回路270Gは第3モードにおいて、第1PMOSトランジスタMP1のゲートに、入力電圧VINに応じた電圧Vcを印加する。第3モードを、オフモードとも称する。電圧Vcが「入力電圧VINに応じている」とは、電圧Vcが入力電圧VINを利用して生成されていることを含む。これには、電圧Vcが入力電圧VINと等しい場合のみでなく、電圧Vcが入力電圧VINを正または負方向にレベルシフトされた電圧である場合や、電圧Vcが入力電圧VINに係数を乗じた電圧である場合も含まれる。本実施形態では、電圧Vcは、入力電圧VINと等しいものとする。セレクタ274は、第3モードにおいて、第1PMOSトランジスタMP1のゲートを、入力ピンVINと接続する。
【0111】
ロードスイッチ駆動回路270Gは、第2モードで動作中に、電流検出信号ISNSが示す電流量IOUT(SNS)が第1過電流しきい値IOCP1より大きな第2過電流しきい値IOCP2を越えると、第3モードとなる。またロードスイッチ駆動回路270Gは、電流検出信号ISNSが示す電流量IOUT(SNS)が第1過電流しきい値IOCP1より小さな解除しきい値IRELEASEを下回ると第2モードに戻る。
【0112】
制御回路200Gは、過電流保護回路330を備える。過電流保護回路330は、電流検出信号ISNSを、第2過電流しきい値IOCP2を規定するしきい値電圧ILIM2、解除しきい値IRELEASEを規定するしきい値電圧IRELEASEと比較する。過電流保護回路330は、ヒステリシスコンパレータで構成してもよい。ロジック回路220は、過電流保護回路330の出力OCP2に応じて、ロードスイッチ駆動回路270Gのモードを制御する。
【0113】
図12は、図11の制御回路200Gの動作を説明する図である。時刻tより前において制御回路200Gは第2モード(スルーモード)で動作している。時刻tに出力ライン104の地絡が発生すると、出力電圧VOUTが0V付近まで低下するとともに、出力電流IOUTが急峻に増大する。時刻tに電流IOUTが第2過電流しきい値IOCP2を超えると、ロードスイッチ駆動回路270Gが第3モード(オフモード)に遷移する。これにより、第1PMOSトランジスタMP1のゲートに、入力電圧VIN(=Vc)が印加される。
【0114】
このとき第1PMOSトランジスタMP1は直ちにオフになるわけではなく、ソースフォロア回路として動作する。その結果、第1PMOSトランジスタMP1のソース電圧、すなわちロードスイッチSW1とハイサイドトランジスタMHの接続ノードの電圧VMIDは、
MID=Vc+VGS
にクランプされ、過電圧が発生するのを防止できる。
【0115】
このとき、ハイサイドトランジスタMHとローサイドトランジスタMLの接続ノードであるスイッチングピンSWの電圧VSWは、
SW=VMID+V=Vc+VGS+V≒VIN+VGS+V
となり、スイッチングピンSWの過電圧も抑制される。
【0116】
またこのときインダクタの両端間電圧Vは、
=VIN-VSW=VIN-(Vc+VGS+V
となる。上述のように、Vc≒VINとなるように定めると、
≒-(VGS+V
となる。これによりコイル電流I、ひいては出力電流IOUTを、-(VGS+V)/Lの傾きで時間とともに減少させることができる。
【0117】
時刻tに、出力電流IOUTが解除しきい値IRELEASEまで低下すると、第2モード(スルーモード)に戻る。ただし依然として地絡状態が持続しているため、出力電流IOUTが増大する。時刻tに出力電流IOUTが第1過電流しきい値IOCP1を超えると、ロードスイッチ駆動回路270Gによる電流制限が働き、出力電流IOUTが、IOCP1にクランプされる。
【0118】
その後、時刻tに地絡状態が解消すると、出力電圧VOUTが、入力電圧VIN付近まで上昇する。時刻t以降は、電流制限も解除される。
【0119】
以上が制御回路200Gの動作である。この制御回路200Gによれば、急激な過電流が発生した場合に、ロードスイッチ駆動回路270Gを第3モードで動作させることにより、電圧VMIDの過電圧やリンギングを抑制できる。
【0120】
(変形例)
上述した実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なことが当業者に理解される。以下、こうした変形例について説明する。
【0121】
実施形態1~3に関連して、ローサイドトランジスタML、ハイサイドトランジスタMHはディスクイート素子として外付けされてもよい。
【0122】
また実施形態1~3に関連して、第1PMOSトランジスタMP1はディスクリート素子として外付けされてもよい。この場合において、ロードスイッチ駆動回路270の一部、あるいは全部が、制御回路200EのICの外部にディスクリート素子で構成されてもよい。
【0123】
ロードスイッチ駆動回路270は、第4モードをサポートしてもよい。第4モードでは、ロードスイッチ駆動回路270は、出力電圧VOUTが目標レベルVOUT(REF)に近づくように、第1PMOSトランジスタMP1のゲート電圧をフィードバック制御する。第4モードをLDO(Low Drop Output)モードとも称する。
【0124】
ロードスイッチ駆動回路270は、DC/DCコンバータ100の起動時に、第4モードで動作してもよい。この際に、基準電圧VREFを時間とともに緩やかに上昇させることにより、出力電圧VOUTを緩やかに上昇させてもよい(ソフトスタート)。そしてソフトスタートの完了時に、入力電圧VINが出力電圧VOUTの目標レベルVOUT(REF)より高い場合には、第2モード(スルーモード)に遷移してもよい。
【0125】
(用途)
続いて、DC/DCコンバータ100E~100G(以下、単に100として示す)の用途を説明する。
【0126】
図13は、実施形態に係るDC/DCコンバータ100を備える電子機器700の一例を示す図である。電子機器700は、たとえば、携帯電話端末、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、タブレット端末、ポータブルオーディオプレイヤなどの電池駆動型デバイスである。電子機器700は、筐体702、電池704、マイクロプロセッサ706およびDC/DCコンバータ100を備える。DC/DCコンバータ100は、その入力端子に電池704からの電池電圧VBAT(=VIN)を受け、出力端子に接続される負荷に、出力電圧VOUTを供給する。
【0127】
電子機器700の種類は、電池駆動型のデバイスには限定されず、車載機器であってもよいし、ファクシミリなどのOA機器であってもよいし、産業機器であってもよい。
【0128】
実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにさまざまな変形例が存在すること、またそうした変形例も本開示に含まれ、また本発明の範囲を構成しうることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0129】
100 DC/DCコンバータ
102 入力ライン
104 出力ライン
110 主回路
ML ローサイドトランジスタ
MH ハイサイドトランジスタ
SW1 ロードスイッチ
200 制御回路
210 パルス変調器
220 ロジック回路
230 ハイサイドドライバ
232 ローサイドドライバ
270 ロードスイッチ駆動回路
272 電圧源
274 セレクタ
280 電圧監視回路
300 電流検出回路
MP1 第1PMOSトランジスタ
MP2 第2PMOSトランジスタ
MP3 第3PMOSトランジスタ
310 定電流回路
320 電流制限回路
R21 第1抵抗
R22 第2抵抗
M21 第1トランジスタ
M22 第2トランジスタ
M23 第3トランジスタ
OA1 第1オペアンプ
OA2 第2オペアンプ
OA3 第3オペアンプ
330 過電流保護回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13