(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191879
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
H01L25/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100366
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】堀 元人
(72)【発明者】
【氏名】池田 良成
(72)【発明者】
【氏名】鳥羽 章夫
(72)【発明者】
【氏名】玉手 道雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 以久也
(57)【要約】
【課題】配線長及び電流経路を短くすることができ、インダクタンスを低減することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】第1導電層12a及び第2導電層12bを上面側に有する絶縁回路基板1と、第1導電層12a上に搭載された第1半導体チップ3a,3bと、第2導電層12b上に搭載された第2半導体チップ3c,3dと、第1半導体チップ3a,3bと対向して配置された第1下側配線層63a、及び第2半導体チップ3c,3dと対向して配置された第2下側配線層63bを有し、絶縁回路基板1側に湾曲した湾曲部60を有するプリント基板6と、第1半導体チップ3a,3bと第1下側配線層63aとを接続する第1接続部材21a,21bと、第2半導体チップ3c,3dと第2下側配線層63bとを接続する第2接続部材21c,21dと、第1導電層12aと湾曲部60における第2下側配線層63bとを接続する第3接続部材21とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2導電層を上面側に有する絶縁回路基板と、
前記第1導電層上に搭載された第1半導体チップと、
前記第2導電層上に搭載された第2半導体チップと、
絶縁層、前記絶縁層の一方の主面に前記第1半導体チップと対向して配置された第1下側配線層、及び前記絶縁層の一方の主面に前記第2半導体チップと対向して配置された第2下側配線層を有し、前記絶縁回路基板側に湾曲した湾曲部を有するプリント基板と、
前記第1半導体チップと前記第1下側配線層とを接続する第1接続部材と、
前記第2半導体チップと前記第2下側配線層とを接続する第2接続部材と、
前記第1導電層と前記湾曲部における前記第2下側配線層とを接続する第3接続部材と、
前記第1及び第2半導体チップ、前記プリント基板並びに前記第1~第3接続部材を封止する封止部材と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1~第3接続部材が、互いに同一の高さを有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記湾曲部が、前記第1半導体チップと前記第1導電層とを接合する接合材の厚さと、前記第1半導体チップの厚さとの合計の厚さと同一の段差を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記湾曲部が、前記プリント基板の長手方向の中央部に位置することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記絶縁層が樹脂からなることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記絶縁回路基板が、前記第1及び第2導電層が上面に設けられた樹脂基板を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2導電層と一体的に形成され、前記封止部材の外側まで延伸する第1外部接続端子を更に備えることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1下側配線層が、前記第1半導体チップの主電極と電気的に接続され、
前記第2下側配線層が、前記第1半導体チップの主電極と電気的に接続され、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記プリント基板が、
前記絶縁層の上面に、前記第1下側配線層と前記絶縁層を挟んで重なる位置に配置され、前記第1下側配線層と電気的に接続された第1上側配線層と、
前記絶縁層の上面に、前記第2下側配線層と前記絶縁層を挟んで重なる位置に配置され、前記第2下側配線層と電気的に接続された第2上側配線層と、
を備えることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1上側配線層に接続された第2外部接続端子を更に備えることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第2上側配線層に接続された第3外部接続端子を更に備えることを特徴とする請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記プリント基板が、
前記絶縁層の下面に配置され、前記第1半導体チップの第1主電極に電気的に接続される第3下側配線層と、
前記絶縁層の上面に、前記第3下側配線層と前記絶縁層を挟んで重なる位置に配置され、前記第1半導体チップの制御電極に電気的に接続される第3上側配線層と、
を備え、
前記第3下側配線層及び前記第3上側配線層の電流経路が互いに逆向きであることを特徴とする請求項9~11のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記プリント基板の前記湾曲部に対応する位置にスリットが設けられていることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記プリント基板の前記湾曲部に対応する位置にノッチが設けられていることを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワー半導体素子を内蔵する半導体装置(半導体モジュール)に関する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体素子は、例えば電力変換用のスイッチング素子として用いられている。従来のパワー半導体素子を内蔵する半導体装置として、絶縁回路基板上にパワー半導体素子を構成するパワー半導体チップ(以下、単に「半導体チップ」と呼ぶ。)を配置し、半導体チップと絶縁回路基板及び端子をボンディングワイヤで接合した構造が知られている。
【0003】
特許文献1には、半導体LSIパッケージをはんだボールを介してマザーボード基板に実装する半導体装置の配線構造であって、マザーボード基板へ配線接続されるパッケージ基板においてICがフレキシブル基板にフリップチップ接続されており、ICがフレキシブル基板を介してパッケージ基板に接続された構成が開示されている。
【0004】
特許文献2には、絶縁回路基板と、絶縁回路基板上に搭載した複数の半導体チップと、複数の半導体チップの上方に配置したプリント基板とを用いて、3相分の上下アームを構成した半導体装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-167610号公報
【特許文献2】特開2021-19063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のパワー半導体素子を内蔵する半導体装置において、半導体チップと絶縁回路基板及び端子をボンディングワイヤで接合すると、配線長及び電流経路が長くなり、インダクタンスが増大するという課題がある。
【0007】
上記課題に鑑み、本発明は、配線長及び電流経路を短くすることができ、インダクタンスを低減することができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、(a)第1及び第2導電層を上面側に有する絶縁回路基板と、(b)第1導電層上に搭載された第1半導体チップと、(c)第2導電層上に搭載された第2半導体チップと、(d)第1半導体チップと対向して配置された第1下側配線層、及び第2半導体チップと対向して配置された第2下側配線層を有し、絶縁回路基板側に湾曲した湾曲部を有するプリント基板と、(e)第1半導体チップと第1下側配線層とを接続する第1接続部材と、(f)第2半導体チップと第2下側配線層とを接続する第2接続部材と、(g)第1導電層と湾曲部における第2下側配線層とを接続する第3接続部材と、(h)第1及び第2半導体チップ、プリント基板並びに第1~第3接続部材を封止する封止部材とを備える半導体装置を要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、配線長及び電流経路を短くすることができ、インダクタンスを低減することができる半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置の側面図である。
【
図2】第1実施形態に係る絶縁回路基板及び半導体チップの平面図である。
【
図3】第1実施形態に係るプリント基板の上面側から見た平面図である。
【
図4】第1実施形態に係るプリント基板の下面側から見た平面図である。
【
図5】第1実施形態に係る半導体装置の等価回路図である。
【
図7】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための側面図である。
【
図8】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための
図8に引き続く側面図である。
【
図9】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための
図9に引き続く側面図である。
【
図10】第2実施形態に係るプリント基板の上面側から見た平面図である。
【
図11】第2実施形態に係るプリント基板の下面側から見た平面図である。
【
図12】第3実施形態に係るプリント基板の上面側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、第1~第3実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は実際のものとは異なる場合がある。また、図面相互間においても寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。また、以下に示す第1~第3実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。
【0012】
以下の説明において、半導体チップの「第1主電極」とは、電界効果トランジスタ(FET)や静電誘導トランジスタ(SIT)であれば、ソース電極又はドレイン電極のいずれか一方を意味する。絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)であれば、エミッタ電極又はコレクタ電極のいずれか一方を意味する。静電誘導サイリスタ(SIサイリスタ)やゲートターンオフサイリスタ(GTO)、ダイオードであれば、アノード電極又はカソード電極のいずれか一方を意味する。また、半導体素子の「第2主電極」とは、FETやSITであれば、上記第1主電極とはならないソース電極又はドレイン電極のいずれか一方を意味する。IGBTであれば、上記第1主電極とはならないエミッタ電極又はコレクタ電極のいずれか一方を意味する。SIサイリスタやGTO、ダイオードであれば、上記第1主電極とはならないアノード電極又はカソード電極のいずれか一方を意味する。即ち、「第1主電極」がソース電極であれば、「第2主電極」はドレイン電極を意味する。「第1主電極」がエミッタ電極であれば、「第2主電極」はコレクタ電極を意味する。「第1主電極」がアノード電極であれば、「第2主電極」はカソード電極を意味する。また、半導体チップの「主電極」とは、「第1主電極」及び「第2主電極」のいずれかを意味する。
【0013】
また、以下の説明における「上」、「下」、「上下」、「左」、「右」、「左右」等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば「上下」は「左右」に変換して読まれ、180°回転して観察すれば「上下」は反転して読まれることは勿論である。
【0014】
また、以下の説明では、空間内で互いに直交する三方向において、同一平面内で互いに直交する第1方向及び第2方向をそれぞれX方向、Y方向とし、第1方向及び第2方向のそれぞれと直交する第3方向をZ方向とする。
【0015】
(第1実施形態)
<半導体装置の構成>
第1実施形態に係る半導体装置は、パワー半導体素子の2つ分の機能を有する「2イン1」と呼ばれる半導体モジュールである。第1実施形態に係る半導体装置は、
図1に示すように、絶縁回路基板1と、絶縁回路基板1上にはんだ又は焼結材等の接合材2a~2dを介して搭載された半導体チップ3a~3dとを備える。
【0016】
半導体チップ3a~3dの上方には、半導体チップ3a~3dから離間してプリント基板6が配置されている。プリント基板6は、半導体チップ3a,3bと対向して配置された下側配線層63a,63cと、半導体チップ3c,3dと対向して配置された第2下側配線層63b,63dとを有する。プリント基板6は、プリント基板6の長手方向(X軸方向)の中央部に、絶縁回路基板1側に湾曲した湾曲部60を有する。
【0017】
半導体チップ3a~3dは、接続部材21a~21d,23a~23dを介してプリント基板6に電気的に接続されている。接続部材21a,21bは、半導体チップ3a,3bと下側配線層63aとを接続する。接続部材23a,23bは、半導体チップ3a,3bと下側配線層63cとを接続する。接続部材21c,21dは、半導体チップ3c,3dと下側配線層63bとを接続する。接続部材23c,23dは、半導体チップ3c,3dと下側配線層63dとを接続する。接続部材21は、絶縁回路基板1の第1導電層12aと、プリント基板6の湾曲部60における第2下側配線層63bとを接続する。
【0018】
半導体チップ3a~3d及びプリント基板6の周囲は、封止部材8により封止され、半導体チップ3a~3d及びプリント基板6が周囲と電気的に絶縁されている。
【0019】
絶縁回路基板1は、絶縁基板11と、絶縁基板11の一方の主面である上面(回路面側)に配置された上側導体層(導電板)12a,12bと、絶縁基板11の他方の主面である下面(冷却面側)に配置された下側導体層(放熱板)13とを備える。
【0020】
絶縁基板11は、例えばエポキシ等の樹脂からなる樹脂基板で構成されている。絶縁基板11をセラミクス基板ではなく、樹脂基板とすることにより、絶縁基板11上に設ける上側導体層12a,12bの形状を自由に設定することが可能となる。上側導体層12a,12b及び下側導体層13は、例えば銅(Cu)やアルミニウム(Al)等からなる導体箔で構成されている。
【0021】
図2は、絶縁回路基板1及び半導体チップ3a~3hを上面側から見た平面図である。
図2に示すように、上側導体層12aは、矩形の平面パターンを有する。一方、上側導体層12bは、L字型の平面パターンを有する。上側導体層12bには、高電位側の外部接続端子(ドレイン側接続端子)が一体的に形成されている。ドレイン側接続端子71は、絶縁基板11上からはみ出して、絶縁回路基板1の短手方向(Y方向)に沿って延伸する。ドレイン側接続端子71は、
図1に示した封止部材8の側面から突出して外部回路に接続される。上側導体層12bと一体的に形成されるドレイン側接続端子71の位置は特に限定されず、適宜変更可能である。更に、ドレイン側接続端子71をL字状に折り曲げて、上方(Z軸方向)に延伸させてもよい。
【0022】
なお、絶縁回路基板1は、例えば直接銅接合(DCB)基板や活性ろう付け(AMB)基板等であってもよい。絶縁基板11は、例えば酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si3N4)、または、窒化ホウ素(BN)等からなるセラミクス基板で構成してもよい。絶縁基板11がセラミクス基板で構成される場合には、上側導体層12bを矩形の平面パターンで設けて、上側導体層12b上にはんだ等の接合材を介してドレイン側接続端子71を接続してもよい。この場合も、ドレイン側接続端子71をL字状に折り曲げて、上方(Z軸方向)に延伸させてもよい。
【0023】
図2に示すように、上側導体層12a上には、下アームを構成する4つの半導体チップ3a,3b,3e,3fが搭載されている。上側導体層12b上には、上アームを構成する4つの半導体チップ3c,3d,3g,3hが搭載されている。半導体チップ3a~3hの数は特に限定されず、定格電流等に応じて適宜選択可能である。例えば、下アーム及び上アームを1つずつの半導体チップで構成してもよい。
【0024】
半導体チップ3a~3hは、例えばシリコン(Si)材料で構成してもよく、或いは炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、酸化ガリウム(Ga2O3)等のワイドバンドギャップ半導体材料で構成してもよい。半導体チップ3a~3hは、用途により種類が異なるが、例えば電界効果トランジスタ(FET)、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)、静電誘導(SI)サイリスタ、ゲートターンオフ(GTO)サイリスタ等のパワー半導体素子、還流ダイオード(FWD)等の整流素子等が採用可能である。ここでは、半導体チップ3a~3hがSiCのMOSFETである場合を説明する。
【0025】
半導体チップ3a~3hは、下面側に第1主電極(ドレイン電極)をそれぞれ有し、上面側に、制御電極(ゲート電極)及び第2主電極(ソース電極)をそれぞれ有する。半導体チップ3a,3b,3e,3fの下面側のドレイン電極は、はんだ又は焼結材等の接合材2a,2b等を介して、絶縁回路基板1の上側導体層12aに接合されている。半導体チップ3c,3d,3g,3hの下面側のドレイン電極は、はんだ又は焼結材等の接合材2c,2d等を介して、絶縁回路基板1の上側導体層12bに接合されている。
【0026】
半導体チップ3a~3hのそれぞれのソース電極には、接続部材21a~21h,23a~22hがはんだ又は焼結材等の接合材を介してそれぞれ接合されている。半導体チップ3a~3hのそれぞれのゲート電極には、接続部材22a~22hがはんだ又は焼結材等の接合材を介してそれぞれ接合されている。
【0027】
半導体チップ3aのソース電極には、8つの接続部材21a及び1つの接続部材23aが接合されている。半導体チップ3aのゲート電極には、1つの接続部材22aが接合されている。半導体チップ3bのソース電極には、8つの接続部材21b及び1つの接続部材23bが接合されている。半導体チップ3bのゲート電極には、1つの接続部材22bが接合されている。半導体チップ3cのソース電極には、8つの接続部材21c及び1つの接続部材23cが接合されている。半導体チップ3cのゲート電極には、1つの接続部材22cが接合されている。半導体チップ3dのソース電極には、8つの接続部材21d及び1つの接続部材23dが接合されている。半導体チップ3dのゲート電極には、1つの接続部材22dが接合されている。
【0028】
半導体チップ3eのソース電極には、8つの接続部材21e及び1つの接続部材23eが接合されている。半導体チップ3eのゲート電極には、1つの接続部材22eが接合されている。半導体チップ3fのソース電極には、8つの接続部材21f及び1つの接続部材23fが接合されている。半導体チップ3fのゲート電極には、1つの接続部材22fが接合されている。半導体チップ3gのソース電極には、8つの接続部材21g及び1つの接続部材23gが接合されている。半導体チップ3gのゲート電極には、1つの接続部材22gが接合されている。半導体チップ3hのソース電極には、8つの接続部材21h及び1つの接続部材23hが接合されている。半導体チップ3hのゲート電極には、1つの接続部材22hが接合されている。
【0029】
半導体チップ3a~3hに接続される接続部材21a~21h,22a~22h,23a~22hの数は特に限定されず、適宜設定可能である。
【0030】
絶縁回路基板1の上側導体層12a上の上側導体層12bと隣接する側の端部には、複数(2列×8行)の接続部材21がはんだ又は焼結材等の接合材を介して接合されている。接続部材21は、絶縁回路基板1の長手方向(X軸方向)の中央部に設けられている。接続部材21は絶縁回路基板1の短手方向(Y軸方向)に2列で配列されているが、1列で配列されていてもよい。接続部材21の数は特に限定されず、適宜設定可能である。
【0031】
接続部材21,21a~21h,22a~22h,23a~23hは、互いに同一の構成を有し、同じ長さを有する。接続部材21,21a~21h,22a~22h,23a~23hは、例えば銅(Cu)等の金属材料からなるピンで構成されている。接続部材21,21a~21h,22a~22h,23a~23hは棒状又は柱状であり、具体的には円柱、楕円柱、三角柱又は四角柱等の多角柱等であってもよい。接続部材21,21a~21h,22a~22h,23a~23hは、銅(Cu)等の金属材料からなるバンプやボールであってもよく、はんだボールであってもよい。
【0032】
ここでは、接続部材21,21a~21h,22a~22h,23a~23hが、プリント基板6の貫通孔に挿入されて、プリント基板6の上側配線層62a~62dまで貫通する場合を例示する。
図1では、接続部材21,21a~21d,23a~23dがプリント基板6を貫通する部分を破線で模式的に示している。接続部材21,21a~21h,22a~22h,23a~23hは、プリント基板6の上側配線層62a~62dから上方に突出してもよい。
【0033】
接続部材21,21a~21h,22a~22h,23a~23hがバンプ等で構成される場合には、接続部材21,21a~21h,22a~22h,23a~23hは、プリント基板6を貫通せずに、プリント基板6の下側配線層63a~63dにはんだ又は焼結材等の接合材を介して接合されていてもよい。この場合、プリント基板6の絶縁層61にスルーホールを設けてフィルドビア等で充填することにより、上側配線層62a~62dと下側配線層63a~63とを電気的に接続してもよい。
【0034】
図1に示したプリント基板6は、柔軟性を有するフレキシブル基板(ラミネートフレキシブル基板)で構成されている。
図3はプリント基板6を上面側から見た平面図であり、
図4はプリント基板6を下面側から見た平面図である。
図1、
図3及び
図4に示すように、プリント基板6は、絶縁層61と、絶縁層61の上面に配置された上側配線層62a~62dと、絶縁層61の下面に配置された下側配線層63a~63dとを備える。絶縁層61は、例えばポリイミド等の樹脂からなる樹脂フィルムで構成されている。上側配線層62a~62d及び下側配線層63a~63dは、例えば銅(Cu)やアルミニウム(Al)等からなる導体箔で構成されている。
【0035】
プリント基板6の長手方向(X方向)における中央部には、プリント基板6の一部が絶縁回路基板1側に凸となるように湾曲した湾曲部60が設けられている。湾曲部60は、絶縁層61の一部と、上側配線層62bの一部と、下側配線層63bの一部を含む。
【0036】
図1に示した湾曲部60の段差d1は、例えば、接合材2a~2dと半導体チップ3a~3dとの合計の厚さt1と同一であってよい。湾曲部60ではプリント基板6と絶縁回路基板1の距離が近づくため、例えば、絶縁回路基板1の上側導体層12aと、プリント基板6の湾曲部60の下側配線層63bとを接続する接続部材21の高さh1は、半導体チップ3a~3hと、プリント基板6の下側配線層63a~63dとを接続する接続部材21a~21h,22a~22h,23a~23hの高さh2と同一とすることができる。接続部材21及び接続部材21a~21h,22a~22h,23a~23hは厚さt2のプリント基板6を貫通するため、接続部材21の長さ(h1+t2)と、接続部材21a~21h,22a~22h,23a~23hの長さ(h2+t2)は同一である。
【0037】
図3に示すように、上側配線層62aは、C字状の平面パターンを有する。上側配線層62aの貫通孔には接続部材21a,21b,21e,21fが貫通して接合されている。上側配線層62aは、接続部材21a,21b,21e,21fを介して、半導体チップ3a,3b,3e,3fのソース電極に電気的に接続されている。
【0038】
上側配線層62aには、はんだ等の接合材を介して低電位側の外部接続端子(ソース側接続端子)73の一端が接合されている。ソース側接続端子73は、銅(Cu)等の金属材料で構成されている。ソース側接続端子73は、プリント基板6からはみ出してプリント基板6の短手方向(Y軸方向)に沿って延伸する。ソース側接続端子73の他端は、
図1に示した封止部材8の側面から突出して外部回路に接続される。ソース側接続端子73をL字状に折り曲げて上方(Z軸方向)に延伸させてもよい。なお、ソース側接続端子73は
図1では図示を省略している。
【0039】
図3に示すように、上側配線層62bは、上側配線層62aと離間して設けられ、C字状の平面パターンを有する。上側配線層62bの貫通孔には、接続部材21c,21d,21g,21hが貫通して接合されている。上側配線層62bは、接続部材21c,21d,21g,21hを介して、半導体チップ3c,3d,3g,3hのソース電極に電気的に接続されている。
【0040】
プリント基板6の湾曲部60において、上側配線層62bの貫通孔には、接続部材21が貫通して接合されている。上側配線層62bは、接続部材21を介して、絶縁回路基板1の上側導体層12aに電気的に接続されている。
【0041】
上側配線層62bには、はんだ等の接合材を介して出力側の外部接続端子(出力端子)72の一端が接続されている。出力端子72は、銅(Cu)等の金属材料で構成されている。出力端子72は、プリント基板6をはみ出して、プリント基板6の短手方向(Y軸方向)に沿ってソース側接続端子73と逆向きに延伸する。出力端子72の他端は、
図1に示した封止部材8の側面から突出して外部回路に接続される。出力端子72をL字状に折り曲げて上方(Z軸方向)に延伸させてもよい。なお、出力端子72は
図1では図示を省略している。
【0042】
図3に示すように、上側配線層62cは、上側配線層62aに周囲を囲まれように配置され、矩形の平面パターンを有する。上側配線層62cの貫通孔には、接続部材22a,22b,22e,22fが貫通して接合されている。上側配線層62cは、接続部材22a,22b,22e,22fを介して、半導体チップ3a,3b,3e,3fのゲート電極に電気的に接続されている。上側配線層62cの他の貫通孔には、接続部材23a,23b,23e,23fが貫通するが、上側配線層62cとは離間する。
【0043】
上側配線層62cには、はんだ等の接合材を介してゲート制御端子76の一端が接続されている。ゲート制御端子76は、プリント基板6からはみ出して、プリント基板6の短手方向(Y軸方向)に沿って出力端子72と同一の向きに延伸する。ゲート制御端子76の他端は、
図1に示した封止部材8の側面から突出して外部回路に接続される。ゲート制御端子76をL字状に折り曲げて上方(Z軸方向)に延伸させてもよい。なお、ゲート制御端子76は
図1では図示を省略している。
【0044】
上側配線層62dは、上側配線層62bに周囲を囲まれように配置され、矩形の平面パターンを有する。上側配線層62dの貫通孔には、接続部材22c,22d,22g,22hが貫通して接合されている。上側配線層62dは、接続部材22c,22d,22g,22hを介して、半導体チップ3c,3d,3g,3hのゲート電極に電気的に接続されている。上側配線層62dの他の貫通孔には、接続部材23c,23d,23g,23hが貫通するが、上側配線層62dとは離間する。
【0045】
上側配線層62dには、はんだ等の接合材を介してゲート制御端子74の一端が接続されている。ゲート制御端子74は、プリント基板6からはみ出して、プリント基板6の短手方向(Y軸方向)に沿ってゲート制御端子76及び出力端子72と同一の向きに延伸する。ゲート制御端子74の他端は、
図1に示した封止部材8の側面から突出して外部回路に接続される。ゲート制御端子74をL字状に折り曲げて上方(Z軸方向)に延伸させてもよい。なお、ゲート制御端子74は
図1では図示を省略している。
【0046】
図3及び
図4に示すように、例えば、上側配線層62a~62dと下側配線層63a~63dとは絶縁層61を挟んで互いに重なるように同様の回路パターンを有する。
図4に示すように、下側配線層63aは、絶縁層61を挟んで上側配線層62aと重なる位置に設けられており、C字状の平面パターンを有する。下側配線層63aの貫通孔には、接続部材21a,21b,21e,21fが貫通して接合されている。下側配線層63aは、接続部材21a,21b,21e,21fを介して、半導体チップ3a,3b,3e,3fのソース電極及び上側配線層62aに電気的に接続されている。なお、上側配線層62aにソース側接続端子73を接合する代わりに、下側配線層63aにソース側接続端子73を接合してもよい。
【0047】
下側配線層63bは、絶縁層61を挟んで上側配線層62bと重なる位置に設けられている。下側配線層63bは、下側配線層63aと離間して設けられ、C字状の平面パターンを有する。下側配線層63bの貫通孔には、接続部材21c,21d,21g,21hが貫通して接合されている。下側配線層63bは、接続部材21c,21d,21g,21hを介して、半導体チップ3c,3d,3g,3hのソース電極及び上側配線層62bに電気的に接続されている。
【0048】
プリント基板6の湾曲部60において、下側配線層63bの貫通孔には、接続部材21が貫通して接合されている。下側配線層63bは、接続部材21を介して、絶縁回路基板1の上側導体層12a及び上側配線層62bに電気的に接続されている。なお、上側配線層62bに出力端子72を接合する代わりに、下側配線層63bに出力端子72を接合してもよい。
【0049】
下側配線層63cは、絶縁層61を挟んで上側配線層62cと重なる位置に設けられている。下側配線層63cは、下側配線層63aに周囲を囲まれように配置され、矩形の平面パターンを有する。下側配線層63cの貫通孔には、接続部材23a,23b,23e,23fが貫通して接合されている。下側配線層63cは、接続部材23a,23b,23e,23fを介して、半導体チップ3a,3b,3e,3fのソース電極に電気的に接続されている。下側配線層63cの他の貫通孔には、接続部材22a,22b,22e,22fが貫通するが、下側配線層63cとは離間する。
【0050】
下側配線層63cには、はんだ等の接合材を介して制御用の外部接続端子である補助エミッタ端子(センス端子)77の一端が接続されている。補助エミッタ端子77は、プリント基板6からはみ出して、プリント基板6の短手方向(Y軸方向)に沿ってゲート制御端子74,76及び出力端子72と同一の向きに延伸する。補助エミッタ端子77の他端は、
図1に示した封止部材8の側面から突出して外部回路に接続される。補助エミッタ端子77をL字状に折り曲げて上方(Z軸方向)に延伸させてもよい。なお、補助エミッタ端子77は
図1では図示を省略している。
【0051】
下側配線層63dは、絶縁層61を挟んで上側配線層62dと重なる位置に設けられている。下側配線層63dは、下側配線層63bに周囲を囲まれように配置され、矩形の平面パターンを有する。下側配線層63dの貫通孔には、接続部材23c,23d,23g,23hが貫通して接合されている。下側配線層63dは、接続部材23c,23d,23g,23hを介して、半導体チップ3c,3d,3g,3hのソース電極に電気的に接続されている。下側配線層63dの他の貫通孔には、接続部材22c,22d,22g,22hが貫通するが、下側配線層63dとは離間する。
【0052】
下側配線層63dには、はんだ等の接合材を介して制御用の外部接続端子である補助エミッタ端子(センス端子)75の一端が接続されている。補助エミッタ端子75は、プリント基板6からはみ出して、Y軸方向に沿って、ゲート制御端子74,76、出力端子72及び補助エミッタ端子77と同一の向きに延伸する。補助エミッタ端子75の他端は、
図1に示した封止部材8の側面から突出して外部回路に接続される。補助エミッタ端子75をL字状に折り曲げて上方(Z軸方向)に延伸させてもよい。なお、補助エミッタ端子75は
図1では図示を省略している。
【0053】
図1に示した封止部材8は、第1実施形態に係る半導体装置の筐体を構成し、略直方体形状を有する。封止部材8の下面から、絶縁回路基板1が露出する。封止部材8としては、例えば耐熱性が高く硬質な熱硬化性樹脂等の樹脂材料が使用可能であり、具体的にはエポキシ樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂等が使用可能である。
【0054】
第1実施形態に係る半導体装置の等価回路の一例を
図5に示す。
図5に示すように、第1実施形態に係る半導体装置は、3相ブリッジ回路の一部を構成する。ドレイン側接続端子Pに、上アーム側のトランジスタT1の第2主電極(ドレイン電極)が接続され、ソース側接続端子Nに、下アーム側のトランジスタT2の第1主電極(ソース電極)が接続されている。トランジスタT1のソース電極及びトランジスタT2のドレイン電極が出力端子U及び補助ソース端子S1に接続されている。トランジスタT2のソース電極には、補助ソース端子S2が接続されている。トランジスタT1,T2のゲート電極にはゲート制御端子G1,G2が接続されている。トランジスタT1,T2には、還流ダイオード(FWD)となるボディーダイオードD1,D2が逆並列に接続して内蔵されている。
【0055】
図5に示したドレイン側接続端子Pが、
図2に示したドレイン側接続端子71に対応し、
図5に示したソース側接続端子N及び出力端子Uが、
図3に示したソース側接続端子73及び出力端子72に対応する。
図5に示したトランジスタT1が、
図1に示した半導体チップ3c,3d,3g,3hに対応し、
図5に示したトランジスタT2が、
図1に示した半導体チップ3a,3b,3e,3fに対応する。
図5に示したゲート制御端子G1,G2が、
図3に示したゲート制御端子74,76に対応し、
図5に示した補助ソース端子S1,S2が、
図3に示した補助ソース端子75,77に対応する。
【0056】
<半導体装置の動作>
次に、
図1~
図4を参照して、第1実施形態に係る半導体装置の動作について説明する。
図3に示したゲート制御端子76からの制御信号が、上側配線層62c、接続部材22a,22b,22e,22fを介して下アームを構成する半導体チップ3a,3b,3e,3fのゲート電極へ印加される。また、ゲート制御端子74からの制御信号が、上側配線層62d、接続部材22c,22d,22g,22hを介して上アームを構成する半導体チップ3c,3d,3g,3hのゲート電極へ印加される。半導体チップ3a,3b,3e,3f及び半導体チップ3c,3d,3g,3hは、制御信号に応じて交互にスイッチング動作を行う。
【0057】
図2に示したドレイン側接続端子71から入った電流が、絶縁回路基板1の上側導体層12bを介して上アーム側の半導体チップ3c,3d,3g,3hのドレイン電極へ流れる。半導体チップ3c,3d,3g,3hのソース電極からの電流が、接続部材21c,21d,21g,21h、
図3に示したプリント基板6の上側配線層62b及び下側配線層63bを介して、出力端子72から外部回路へ流れる。
【0058】
また、外部回路から出力端子72に入った電流が、プリント基板6の上側配線層62b及び下側配線層63b、接続部材21、絶縁回路基板1の上側導体層12aを介して、下アーム側の半導体チップ3a,3b,3e,3fのドレイン電極に供給される。半導体チップ3a,3b,3e,3fのソース電極からの電流が、接続部材21a,21b,21e,21f、プリント基板6の上側配線層62a及び下側配線層63aを介して、ソース側接続端子73から外部回路へ流れる。
【0059】
半導体チップ3a,3b,3e,3fのソース電極側の電流は、接続部材23a,23b,23e,23f、プリント基板6の下側配線層63c、補助ソース端子77を介して外部回路で検出される。半導体チップ3c,3d,3g,3hのソース電極側の電流は、接続部材23c,23d,23g,23h、プリント基板6の下側配線層63d、補助ソース端子75を介して外部回路で検出される。
【0060】
<比較例>
ここで、比較例に係る半導体装置(パワー半導体モジュール)について説明する。比較例に係るパワー半導体モジュール113は、
図6に示すように、放熱用の金属ベース板101と、金属ベース板101上にはんだ103を介して搭載された絶縁回路基板102と、絶縁回路基板102上にはんだ105を介して搭載した半導体チップ104とを備える。絶縁回路基板102は、セラミクス基板102aと、セラミクス基板102aの上面及び下面に貼り合わせた銅板102b,102cとで構成されている。
【0061】
絶縁回路基板102及び金属ベース板101は樹脂ケース106に収納されている。樹脂ケース106内には端子107,108が配置されている。半導体チップ104と端子107,108及び絶縁回路基板102は、ボンディングワイヤ110,111で接合されている。樹脂ケース106の側面は、金属ベース板101と絶縁回路基板102の上面と共に、半導体チップ104を取り囲む空間を形成し、内部に封止部材112が充填されている。これにより、半導体チップ104、絶縁回路基板102、金属ベース板101、端子107,108の相互間の絶縁性が確保されている。
【0062】
比較例に係るパワー半導体モジュール113は、金属ベース板101両端の2箇所又は4箇所によるネジ114止めにてリング115を介して冷却部材116に取付けられ、放熱グリス117を介して放熱される。
【0063】
比較例に係るパワー半導体モジュール113では、半導体チップ104と絶縁回路基板102及び端子107,108をボンディングワイヤ110,111で接合するため、配線長及び電流経路が長く、主回路のインダクタンスが増大する。これに対して、第1実施形態に係る半導体装置によれば、プリント基板6を湾曲させて、接続部材21を用いて絶縁回路基板1とプリント基板6とを接続するため、配線長を短くすることができるので、主回路のインダクタンスを低減することができる。更に、ボンディングワイヤのような中継エリアを設ける必要がないため、半導体モジュールの小型化を図ることができる。
【0064】
<半導体装置の製造方法>
次に、
図7~
図9を参照して、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法(組立方法)の一例を説明する。
図7に示すように、絶縁回路基板1を用意し、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12b上に接合材2a~2dを介して半導体チップ3a~3dを搭載する。この際、
図2に示した半導体チップ3e~3hも絶縁回路基板1の上側導体層12a,12b上に搭載される。絶縁回路基板1の絶縁基板11は樹脂基板で構成され、絶縁回路基板1の上側導体層12bには、
図2に示したドレイン側接続端子71が一体的に形成されている。
【0065】
次に、
図8に示すように、平坦なフレキシブル基板で構成されるプリント基板6を用意し、プリント基板6に接続部材21,21a,23a,21b,23b,21c,23c,21d,23dを挿入することにより、インプラント基板を構成する。この際、
図3及び
図4に示した接続部材21e~21h,22a~22h,23e~23hもプリント基板6に挿入される。更に、
図3及び
図4に示した出力端子72及びソース側接続端子73をプリント基板6に接合する。
【0066】
次に、
図8に示したインプラント基板を、
図7に示した絶縁回路基板1の上側導体層12a,12b上に接合材2a~2d等を介して搭載する。引き続き、
図9に示すように、カーボン等からなる冶具9を用いて、プリント基板6の中央部を加圧して、湾曲部60を形成する。
【0067】
次に、加熱処理により、絶縁回路基板1と半導体チップ3a~3h、半導体チップ3a~3hと接続部材21,21a~21h,22a~22h,23a~23hを接合する。次に、半導体チップ3a~3d、接続部材21a,23a,21b,23b,21c,23c,21d,23d及びプリント基板6を封止部材8で封止することにより、
図1に示した第1実施形態に係る半導体装置が完成する。
【0068】
<効果>
以上のように、第1実施形態に係る半導体装置によれば、半導体チップ3a~3hで構成されるハーフブリッジの中間部分の接続において、プリント基板6をフレキシブル基板の柔軟性を活かして湾曲させて、接続部材21を用いて絶縁回路基板1とプリント基板6とを導通接続する。このため、従来の平坦なプリント基板を用いて、ワイヤ接続やピン接続を行う場合と比べて配線長を短くすることができるので、主回路のインダクタンスを低減することができる。更に、ボンディングワイヤのような中継エリアを設ける必要がないため、半導体モジュールの小型化を図ることができる。
【0069】
更に、プリント基板6の湾曲部60において絶縁回路基板1とプリント基板6とを接続する接続部材21の高さh1と、半導体チップ3a~3hとプリント基板6の湾曲部60以外の位置とを接続する接続部材21a~21h,22a~22h,23a~23hと同じ高さh2を同一とすることができる。このため、接続部材21の長さ(h1+t2)は接続部材21a~21h,22a~22h,23a~23hの長さ(h2+t2)と同じでよく、同じ部品を使用することができる。したがって、従来のような高さ調整用の金属ブロック材や長さの異なるピン端子を設ける必要が無くなり、部品点数及び工数を削減することができる。
【0070】
更に、絶縁回路基板1の絶縁基板11を樹脂基板で構成して、絶縁基板11上の上側導体層12bにドレイン側接続端子71を一体的に形成することにより、部品点数の削減とドレイン側接続端子71を絶縁回路基板1に接続するための工数の削減が可能となる。
【0071】
更に、プリント基板6のゲート制御端子74,76に接続される上側配線層62c,62dと、プリント基板6の補助エミッタ端子75,77に接続される下側配線層63c,63dとは、絶縁層61を挟んで同一の平面パターンを有し、電流経路が逆の構成となっているため、インダクタンスを低減することができる。
【0072】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る半導体装置は、
図10及び
図11に示すように、プリント基板6にスリット64,65が設けられている点が、
図3及び
図4に示した第1実施形態に係る半導体装置の構成と異なる。
図10は、プリント基板6の上面側から見た平面図であり、
図11は、プリント基板6の下面側から見た平面図である。
図10に示すように、プリント基板6の上側配線層62bにはスリット64が設けられている。
図11に示すように、プリント基板6の下側配線層63bには、スリット64に対応する位置に、スリット65が設けられている。
図10及び
図11では、スリット64,65が2列で設けられた場合を例示するが、1列で設けてもよい。また、上側配線層62b及び下側配線層63bに挟まれた絶縁層61のスリット64,65に対応する位置にもスリットを設けてもよい。
【0073】
第2実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置の構成と同様であるので、重複した説明を省略する。第2実施形態に係る半導体装置は、プリント基板6にスリット64,65を設ける他は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様の手順で実現可能である。
【0074】
第2実施形態に係る半導体装置によれば、第1実施形態に係る半導体装置の構成と同様に、配線長及び電流経路を短くすることができ、インダクタンスを低減することができる。更に、プリント基板6にスリット64,65を設けることにより、第2実施形態に係る半導体装置の組み立て時に、プリント基板6がスリット64,65の位置で湾曲し易くなり、湾曲部60を形成し易くなる。
(第3実施形態)
第3実施形態に係る半導体装置は、
図12に示すように、プリント基板6の絶縁層61に、湾曲部60を形成する位置を示すノッチ66a,66bが設けられている点が、
図1に示した第1実施形態に係る半導体装置の構成と異なる。なお、絶縁層61にノッチ66a,66bを設ける代わりに、上側配線層62bに湾曲部60を形成する位置を示すノッチが設けられていてもよい。
【0075】
第3実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置の構成と同様であるので、重複した説明を省略する。第3実施形態に係る半導体装置は、プリント基板6の絶縁層61にノッチ66a,66bを設ける他は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様の手順で実現可能である。
【0076】
第3実施形態に係る半導体装置によれば、第1実施形態に係る半導体装置の構成と同様に、配線長及び電流経路を短くすることができ、インダクタンスを低減することができる。更に、プリント基板6の絶縁層61に、湾曲部60を形成する位置を示すノッチ66a,66bを設けることにより、第3実施形態に係る半導体装置の組み立て時に、湾曲部60の形成時の治具9等の位置決めが容易となる。
【0077】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は第1~第3実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0078】
例えば、第1~第3実施形態がそれぞれ開示する構成を、矛盾の生じない範囲で適宜組み合わせることができる。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0079】
1…絶縁回路基板
2a~2d…接合材
3a~3h…半導体チップ
6…プリント基板
8…封止部材
9…冶具
11…絶縁基板
12a,12b…上側導体層(導電板)
13…下側導体層(放熱板)
21,21a~21h,22a~22h,23a~23h…接続部材
60…湾曲部
61…絶縁層
62a~62d…上側配線層
63a~63d…下側配線層
64,65…スリット
66a,66b…ノッチ
71…外部接続端子(ドレイン側接続端子)
72…外部接続端子(出力端子)
73…外部接続端子(ソース側接続端子)
74,76…外部接続端子(ゲート制御端子)
75,77…外部接続端子(補助ソース端子)
101…金属ベース板
102…絶縁回路基板
102a…セラミクス基板
102b,102c…銅板
104…半導体チップ
106…樹脂ケース
107,108…端子
110,111…ボンディングワイヤ
112…封止部材
113…パワー半導体モジュール
114…ネジ
115…リング
116…冷却部材
117…放熱グリス
D1,D2…ボディーダイオード
G1,G2…ゲート制御端子
N…ソース側接続端子
P…ドレイン側接続端子
S1,S2…補助ソース端子
T1,T2…トランジスタ
U…出力端子
【手続補正書】
【提出日】2022-03-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項8
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項8】
前記第1下側配線層が、前記第1半導体チップの主電極と電気的に接続され、
前記第2下側配線層が、前記第2半導体チップの主電極と電気的に接続され、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置の側面図である。
【
図2】第1実施形態に係る絶縁回路基板及び半導体チップの平面図である。
【
図3】第1実施形態に係るプリント基板の上面側から見た平面図である。
【
図4】第1実施形態に係るプリント基板の下面側から見た平面図である。
【
図5】第1実施形態に係る半導体装置の等価回路図である。
【
図7】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための側面図である。
【
図8】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図
7に引き続く側面図である。
【
図9】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図
8に引き続く側面図である。
【
図10】第2実施形態に係るプリント基板の上面側から見た平面図である。
【
図11】第2実施形態に係るプリント基板の下面側から見た平面図である。
【
図12】第3実施形態に係るプリント基板の上面側から見た平面図である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
以下の説明において、半導体チップの「第1主電極」とは、電界効果トランジスタ(FET)や静電誘導トランジスタ(SIT)であれば、ソース電極又はドレイン電極のいずれか一方を意味する。絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)であれば、エミッタ電極又はコレクタ電極のいずれか一方を意味する。静電誘導サイリスタ(SIサイリスタ)やゲートターンオフサイリスタ(GTO)、ダイオードであれば、アノード電極又はカソード電極のいずれか一方を意味する。また、半導体チップの「第2主電極」とは、FETやSITであれば、上記第1主電極とはならないソース電極又はドレイン電極のいずれか一方を意味する。IGBTであれば、上記第1主電極とはならないエミッタ電極又はコレクタ電極のいずれか一方を意味する。SIサイリスタやGTO、ダイオードであれば、上記第1主電極とはならないアノード電極又はカソード電極のいずれか一方を意味する。即ち、「第1主電極」がソース電極であれば、「第2主電極」はドレイン電極を意味する。「第1主電極」がエミッタ電極であれば、「第2主電極」はコレクタ電極を意味する。「第1主電極」がアノード電極であれば、「第2主電極」はカソード電極を意味する。また、半導体チップの「主電極」とは、「第1主電極」及び「第2主電極」のいずれかを意味する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
半導体チップ3a~3dの上方には、半導体チップ3a~3dから離間してプリント基板6が配置されている。プリント基板6は、半導体チップ3a,3bと対向して配置された下側配線層63a,63cと、半導体チップ3c,3dと対向して配置された下側配線層63b,63dとを有する。プリント基板6は、プリント基板6の長手方向(X軸方向)の中央部に、絶縁回路基板1側に湾曲した湾曲部60を有する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
半導体チップ3a~3dは、接続部材21a~21d,23a~23dを介してプリント基板6に電気的に接続されている。接続部材21a,21bは、半導体チップ3a,3bと下側配線層63aとを接続する。接続部材23a,23bは、半導体チップ3a,3bと下側配線層63cとを接続する。接続部材21c,21dは、半導体チップ3c,3dと下側配線層63bとを接続する。接続部材23c,23dは、半導体チップ3c,3dと下側配線層63dとを接続する。接続部材21は、絶縁回路基板1の上側導電層12aと、プリント基板6の湾曲部60における下側配線層63bとを接続する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
絶縁回路基板1は、絶縁基板11と、絶縁基板11の一方の主面である上面(回路面側)に配置された上側導電層(導電板)12a,12bと、絶縁基板11の他方の主面である下面(冷却面側)に配置された下側導電層(放熱板)13とを備える。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
絶縁基板11は、例えばエポキシ等の樹脂からなる樹脂基板で構成されている。絶縁基板11をセラミクス基板ではなく、樹脂基板とすることにより、絶縁基板11上に設ける上側導電層12a,12bの形状を自由に設定することが可能となる。上側導電層12a,12b及び下側導電層13は、例えば銅(Cu)やアルミニウム(Al)等からなる導体箔で構成されている。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
図2は、絶縁回路基板1及び半導体チップ3a~3hを上面側から見た平面図である。
図2に示すように、上側
導電層12aは、矩形の平面パターンを有する。一方、上側
導電層12bは、L字型の平面パターンを有する。上側
導電層12bには、高電位側の外部接続端子(ドレイン側接続端子)
71が一体的に形成されている。ドレイン側接続端子71は、絶縁基板11上からはみ出して、絶縁回路基板1の短手方向(Y方向)に沿って延伸する。ドレイン側接続端子71は、
図1に示した封止部材8の側面から突出して外部回路に接続される。上側
導電層12bと一体的に形成されるドレイン側接続端子71の位置は特に限定されず、適宜変更可能である。更に、ドレイン側接続端子71をL字状に折り曲げて、上方(Z軸方向)に延伸させてもよい。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
なお、絶縁回路基板1は、例えば直接銅接合(DCB)基板や活性ろう付け(AMB)基板等であってもよい。絶縁基板11は、例えば酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si3N4)、または、窒化ホウ素(BN)等からなるセラミクス基板で構成してもよい。絶縁基板11がセラミクス基板で構成される場合には、上側導電層12bを矩形の平面パターンで設けて、上側導電層12b上にはんだ等の接合材を介してドレイン側接続端子71を接続してもよい。この場合も、ドレイン側接続端子71をL字状に折り曲げて、上方(Z軸方向)に延伸させてもよい。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
図2に示すように、上側
導電層12a上には、下アームを構成する4つの半導体チップ3a,3b,3e,3fが搭載されている。上側
導電層12b上には、上アームを構成する4つの半導体チップ3c,3d,3g,3hが搭載されている。半導体チップ3a~3hの数は特に限定されず、定格電流等に応じて適宜選択可能である。例えば、下アーム及び上アームを1つずつの半導体チップで構成してもよい。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
半導体チップ3a~3hは、下面側に第1主電極(ドレイン電極)をそれぞれ有し、上面側に、制御電極(ゲート電極)及び第2主電極(ソース電極)をそれぞれ有する。半導体チップ3a,3b,3e,3fの下面側のドレイン電極は、はんだ又は焼結材等の接合材2a,2b等を介して、絶縁回路基板1の上側導電層12aに接合されている。半導体チップ3c,3d,3g,3hの下面側のドレイン電極は、はんだ又は焼結材等の接合材2c,2d等を介して、絶縁回路基板1の上側導電層12bに接合されている。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
半導体チップ3a~3hのそれぞれのソース電極には、接続部材21a~21h,23a~23hがはんだ又は焼結材等の接合材を介してそれぞれ接合されている。半導体チップ3a~3hのそれぞれのゲート電極には、接続部材22a~22hがはんだ又は焼結材等の接合材を介してそれぞれ接合されている。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
絶縁回路基板1の上側導電層12a上の上側導電層12bと隣接する側の端部には、複数(2列×8行)の接続部材21がはんだ又は焼結材等の接合材を介して接合されている。接続部材21は、絶縁回路基板1の長手方向(X軸方向)の中央部に設けられている。接続部材21は絶縁回路基板1の短手方向(Y軸方向)に2列で配列されているが、1列で配列されていてもよい。接続部材21の数は特に限定されず、適宜設定可能である。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
接続部材21,21a~21h,22a~22h,23a~23hがバンプ等で構成される場合には、接続部材21,21a~21h,22a~22h,23a~23hは、プリント基板6を貫通せずに、プリント基板6の下側配線層63a~63dにはんだ又は焼結材等の接合材を介して接合されていてもよい。この場合、プリント基板6の絶縁層61にスルーホールを設けてフィルドビア等で充填することにより、上側配線層62a~62dと下側配線層63a~63dとを電気的に接続してもよい。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
図1に示した湾曲部60の段差
D1は、例えば、接合材2a~2dと半導体チップ3a~3dとの合計の厚さt1と同一であってよい。湾曲部60ではプリント基板6と絶縁回路基板1の距離が近づくため、例えば、絶縁回路基板1の上側
導電層12aと、プリント基板6の湾曲部60の下側配線層63bとを接続する接続部材21の高さh1は、半導体チップ3a~3hと、プリント基板6の下側配線層63a~63dとを接続する接続部材21a~21h,22a~22h,23a~23hの高さh2と同一とすることができる。接続部材21及び接続部材21a~21h,22a~22h,23a~23hは厚さt2のプリント基板6を貫通するため、接続部材21の長さ(h1+t2)と、接続部材2
1a~21h,22a~22h,23a~23hの長さ(h2+t2)は同一である。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
プリント基板6の湾曲部60において、上側配線層62bの貫通孔には、接続部材21が貫通して接合されている。上側配線層62bは、接続部材21を介して、絶縁回路基板1の上側導電層12aに電気的に接続されている。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
プリント基板6の湾曲部60において、下側配線層63bの貫通孔には、接続部材21が貫通して接合されている。下側配線層63bは、接続部材21を介して、絶縁回路基板1の上側導電層12a及び上側配線層62bに電気的に接続されている。なお、上側配線層62bに出力端子72を接合する代わりに、下側配線層63bに出力端子72を接合してもよい。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
下側配線層63cには、はんだ等の接合材を介して制御用の外部接続端子である補助
ソース端子(センス端子)77の一端が接続されている。補助
ソース端子77は、プリント基板6からはみ出して、プリント基板6の短手方向(Y軸方向)に沿ってゲート制御端子74,76及び出力端子72と同一の向きに延伸する。補助
ソース端子77の他端は、
図1に示した封止部材8の側面から突出して外部回路に接続される。補助
ソース端子77をL字状に折り曲げて上方(Z軸方向)に延伸させてもよい。なお、補助
ソース端子77は
図1では図示を省略している。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
下側配線層63dには、はんだ等の接合材を介して制御用の外部接続端子である補助
ソース端子(センス端子)75の一端が接続されている。補助
ソース端子75は、プリント基板6からはみ出して、Y軸方向に沿って、ゲート制御端子74,76、出力端子72及び補助
ソース端子77と同一の向きに延伸する。補助
ソース端子75の他端は、
図1に示した封止部材8の側面から突出して外部回路に接続される。補助
ソース端子75をL字状に折り曲げて上方(Z軸方向)に延伸させてもよい。なお、補助
ソース端子75は
図1では図示を省略している。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
図2に示したドレイン側接続端子71から入った電流が、絶縁回路基板1の上側
導電層12bを介して上アーム側の半導体チップ3c,3d,3g,3hのドレイン電極へ流れる。半導体チップ3c,3d,3g,3hのソース電極からの電流が、接続部材21c,21d,21g,21h、
図3に示したプリント基板6の上側配線層62b及び下側配線層63bを介して、出力端子72から外部回路へ流れる。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
また、外部回路から出力端子72に入った電流が、プリント基板6の上側配線層62b及び下側配線層63b、接続部材21、絶縁回路基板1の上側導電層12aを介して、下アーム側の半導体チップ3a,3b,3e,3fのドレイン電極に供給される。半導体チップ3a,3b,3e,3fのソース電極からの電流が、接続部材21a,21b,21e,21f、プリント基板6の上側配線層62a及び下側配線層63aを介して、ソース側接続端子73から外部回路へ流れる。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
<半導体装置の製造方法>
次に、
図7~
図9を参照して、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法(組立方法)の一例を説明する。
図7に示すように、絶縁回路基板1を用意し、絶縁回路基板1の上側
導電層12a,12b上に接合材2a~2dを介して半導体チップ3a~3dを搭載する。この際、
図2に示した半導体チップ3e~3hも絶縁回路基板1の上側
導電層12a,12b上に搭載される。絶縁回路基板1の絶縁基板11は樹脂基板で構成され、絶縁回路基板1の上側
導電層12bには、
図2に示したドレイン側接続端子71が一体的に形成されている。
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
次に、
図8に示したインプラント基板を、
図7に示した絶縁回路基板1の上側
導電層12a,12b上に接合材2a~2d等を介して搭載する。引き続き、
図9に示すように、カーボン等からなる冶具9を用いて、プリント基板6の中央部を加圧して、湾曲部60を形成する。
【手続補正24】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
次に、加熱処理により、絶縁回路基板1と半導体チップ3a~3h、半導体チップ3a~3hと接続部材21,21a~21h,22a~22h,23a~23hを接合する。次に、半導体チップ3a~3d、接続部材
21,21a~21h,22a~22h,23a~23h及びプリント基板6を封止部材8で封止することにより、
図1に示した第1実施形態に係る半導体装置が完成する。
【手続補正25】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
更に、絶縁回路基板1の絶縁基板11を樹脂基板で構成して、絶縁基板11上の上側導電層12bにドレイン側接続端子71を一体的に形成することにより、部品点数の削減とドレイン側接続端子71を絶縁回路基板1に接続するための工数の削減が可能となる。
【手続補正26】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
更に、プリント基板6のゲート制御端子74,76に接続される上側配線層62c,62dと、プリント基板6の補助ソース端子75,77に接続される下側配線層63c,63dとは、絶縁層61を挟んで同一の平面パターンを有し、電流経路が逆の構成となっているため、インダクタンスを低減することができる。
【手続補正27】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0079
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0079】
1…絶縁回路基板
2a~2d…接合材
3a~3h…半導体チップ
6…プリント基板
8…封止部材
9…冶具
11…絶縁基板
12a,12b…上側導電層(導電板)
13…下側導電層(放熱板)
21,21a~21h,22a~22h,23a~23h…接続部材
60…湾曲部
61…絶縁層
62a~62d…上側配線層
63a~63d…下側配線層
64,65…スリット
66a,66b…ノッチ
71…外部接続端子(ドレイン側接続端子)
72…外部接続端子(出力端子)
73…外部接続端子(ソース側接続端子)
74,76…外部接続端子(ゲート制御端子)
75,77…外部接続端子(補助ソース端子)
101…金属ベース板
102…絶縁回路基板
102a…セラミクス基板
102b,102c…銅板
104…半導体チップ
106…樹脂ケース
107,108…端子
110,111…ボンディングワイヤ
112…封止部材
113…パワー半導体モジュール
114…ネジ
115…リング
116…冷却部材
117…放熱グリス
D1,D2…ボディーダイオード
G1,G2…ゲート制御端子
N…ソース側接続端子
P…ドレイン側接続端子
S1,S2…補助ソース端子
T1,T2…トランジスタ
U…出力端子