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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191895
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】操作装置および光学装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/08 20210101AFI20221221BHJP
   G03B 9/07 20210101ALI20221221BHJP
【FI】
G02B7/08 Z
G03B9/07 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100392
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】叶山 政臣
【テーマコード(参考)】
2H044
2H080
【Fターム(参考)】
2H044DA01
2H044DA02
2H044DC01
2H044DE04
2H080AA87
(57)【要約】
【課題】 光学特性の調節に有利な操作装置を提供する。
【解決手段】 レンズ装置における光学部材の駆動の指令を生成する操作装置(10)は、操作部材(101)と、操作部材の操作量を検出する検出部(102)と、検出部の出力に基づいて指令を生成する処理部(103-105)と、操作部材に付与する操作負荷を生成する負荷生成部(106)とを有する。処理部は、光学部材が予め定められた駆動状態にある場合において、操作部材の操作負荷が第1の負荷から第2の負荷へ高くなり、且つ第2の負荷から第3の負荷へ低くなるように、負荷生成部を制御する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ装置における光学部材の駆動の指令を生成する操作装置であって、
操作部材と、
前記操作部材の操作量を検出する検出部と、
前記検出部の出力に基づいて前記指令を生成する処理部と、
前記操作部材に付与する操作負荷を生成する負荷生成部とを有し、
前記処理部は、前記光学部材が予め定められた駆動状態にある場合において、前記操作部材の操作負荷が第1の負荷から第2の負荷へ高くなり、且つ前記第2の負荷から第3の負荷へ低くなるように、前記負荷生成部を制御することを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記検出部の出力に基づいて、前記光学部材が予め定められた駆動状態にある場合を特定することを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記レンズ装置からの前記光学部材の駆動状態に関する情報に基づいて、前記光学部材が予め定められた駆動状態にある場合を特定することを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項4】
前記予め定められた駆動状態は、前記光学部材の駆動状態の無効範囲における駆動状態であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項5】
前記予め定められた駆動状態は、前記無効範囲のうち前記光学部材の駆動状態の有効範囲との境界における駆動状態であることを特徴とする請求項4に記載の操作装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記無効範囲において前記有効範囲から離れる方向へ前記操作部材が操作された場合において、前記操作部材の操作負荷が前記第3の負荷から第4の負荷へ高くなり、且つ前記第4の負荷から前記第3の負荷へ低くなるように、前記負荷生成部を制御することを特徴とする請求項5に記載の操作装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記無効範囲において前記有効範囲へ近づく方向へ前記操作部材が操作された場合において、前記操作部材の操作負荷が前記第3の負荷から第5の負荷へ高くなり、且つ前記第5の負荷から前記第3の負荷へ低くなるように、前記負荷生成部を制御することを特徴とする請求項5に記載の操作装置。
【請求項8】
前記無効範囲において前記有効範囲へ近づく方向へ前記操作部材が操作された場合においては、前記無効範囲において前記有効範囲から離れる方向へ前記操作部材が操作された場合においてよりも、前記操作部材に付与される操作負荷および前記操作部材に操作負荷が付与される時間のうち少なくとも一方が小さいことを特徴とする請求項7に記載の操作装置。
【請求項9】
前記有効範囲は、前記光学部材の駆動により変更される前記レンズ装置の光学特性の特定範囲に対応することを特徴とする請求項5に記載の操作装置。
【請求項10】
前記光学特性の特定範囲は、至近から無限遠までの物体距離の範囲であることを特徴とする請求項9に記載の操作装置。
【請求項11】
前記光学特性の特定範囲は、至近から無限遠までの物体距離の範囲の内側に設定された範囲であることを特徴とする請求項9に記載の操作装置。
【請求項12】
前記有効範囲における前記操作部材の操作負荷は変更可能に構成され、
前記処理部は、該操作負荷が大きくなるほど前記第2の負荷が大きくなるように、前記負荷生成部を制御することを特徴とする請求項5ないし請求項11のうちいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項13】
前記処理部は、前記第1の負荷の大きさと前記第3の負荷の大きさとが互いに異なるように、前記負荷生成部を制御することを特徴とする請求項1ないし請求項12のうちいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項14】
前記処理部は、前記操作部材の操作速度が高くなるほど前記第2の負荷が大きくなるように、前記負荷生成部を制御することを特徴とする請求項1ないし請求項13のうちいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項15】
前記処理部は、前記操作部材の操作負荷が前記第2の負荷である期間において変化した前記操作部材の操作量に基づいて前記第2の負荷の大きさに関する設定を変更することを特徴とする請求項1ないし請求項14のうちいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項16】
前記処理部は、前記操作部材の操作負荷の大きさが設定された大きさとなるように、前記操作装置の使用状況の情報に基づいて前記負荷生成部を制御することを特徴とする請求項1ないし請求項15のうちいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項17】
前記光学部材を有するレンズ装置と、
前記光学部材の駆動の指令を生成する請求項1ないし請求項16のうちいずれか1項に記載の操作装置とを含むことを特徴とする光学装置。
【請求項18】
前記レンズ装置により形成された像を撮る撮像素子を有することを特徴とする請求項17に記載の光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置および光学装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テレビレンズやビデオレンズなどのレンズ装置には、ズームレンズ群やフォーカスレンズ群、アイリス(開口絞り)等の可動の光学部材が備えられ、これらの光学部材の駆動制御を行えるものがある。例えば、フォーカスデマンドと呼ばれる操作装置を操作者が操作することによりフォーカスレンズ群の駆動制御を行うことができる。
【0003】
当該操作装置は、操作部材の回転操作により制御指令を生成するにあたり、操作量が機械的に限定されていない(操作端が無い)ものが存在する。操作端の無い操作装置では、操作部材を無限に回転させることができるため、操作量の絶対値でなく操作量の相対値(変化量)に応じてフォーカスレンズ群の駆動制御が行われうる。
【0004】
特許文献1は、操作端無しの操作装置において、操作部材の操作量が光学特性の調節範囲の端に対応することを、操作部材に操作負荷を付与して操作者が認識できるようにすることを開示している。当該認識が可能であることは、光学特性の調節にあたって操作装置の操作性の点で有利でありうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-023943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の操作装置は、当該操作量が当該端に対応している間に操作部材に操作負荷を付与し続けることによる不利が生じうる。本発明は、例えば、光学特性の調節に有利な操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面は、レンズ装置における光学部材の駆動の指令を生成する操作装置であって、
操作部材と、
前記操作部材の操作量を検出する検出部と、
前記検出部の出力に基づいて前記指令を生成する処理部と、
前記操作部材に付与する操作負荷を生成する負荷生成部とを有し、
前記処理部は、前記光学部材が予め定められた駆動状態にある場合において、前記操作部材の操作負荷が第1の負荷から第2の負荷へ高くなり、且つ前記第2の負荷から第3の負荷へ低くなるように、前記負荷生成部を制御することを特徴とする操作装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えば、光学特性の調節に有利な操作装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係る操作装置の構成例を示す図
図2】実施形態1における処理の流れを例示する図
図3】実施形態1における操作量・操作負荷の時間的変化を例示する図
図4】実施形態2に係る光学装置の構成例を示す図
図5】実施形態2における処理の流れを例示する図
図6】実施形態2における操作量・操作負荷の時間的変化を例示する図
図7】撮像装置としての光学装置の構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、実施形態を説明するための全図を通して、原則として(断りのない限り)、同一の部材等には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0011】
〔実施形態1〕
図1ないし図3を参照して本実施形態を説明する。図1は、実施形態1に係る操作装置の構成例を示す図である。同図において、10は、レンズ装置における可動の光学部材(ここではフォーカスレンズ群)を操作するための操作装置(ここではフォーカスデマンド)である。20は、当該レンズ装置である。操作装置10とレンズ装置20とにより光学装置が構成される。101は、操作者(ユーザ)が光学部材を操作するための操作部材であり、例えば回転操作されるノブを含んで構成されうる。ここでは、操作部材101は、操作範囲を制限する機械的な端を有していない。
【0012】
102は、ポテンショメータまたはロータリーエンコーダー等を含んで構成されうる検出部であり、操作部材101の操作量に対応する検出信号を出力する。103は、検出部102で検出された操作部材101の操作量に基づいて、指令(ここではフォーカス指令)を生成する指令生成部である。104は、指令生成部103で生成された指令を、通信コマンド形式の指令へエンコードしたうえで、レンズ装置20へ送信する通信部である。レンズ装置20は、操作装置10からの指令を受信し、当該指令に基づいて、光学部材を駆動し、レンズ装置の光学特性(ここでは物体距離)を変更する。106は、操作部材101に付与する操作負荷を生成する負荷生成部である。105は、検出部102で検出された操作量に基づいて、操作部材101に付与する操作負荷を負荷生成部106に生成させる制御部である。制御部105による処理の詳細は、後述される。なお、指令生成部103、通信部104、制御部105の一部または全部は、単一または複数のCPU等のプロセッサにより構成されうるものであり、処理部ともいう。
【0013】
ここで、負荷発生部106の構成例を説明する。負荷発生部106は、一例として、磁気粘性流体(MR流体)を用いたMRF(Magneto-Rheological Fluid)デバイスを含んで構成されうる。磁気粘性流体は、磁場を印加すると、当該磁場の強度に応じて粘度が変化する流体である。負荷生成部106は、操作部材101と機械的に連結されているため、制御部105による磁気粘性流体への印加磁場の制御により、操作部101に付与される操作負荷を変更できる。MRFデバイスへの印加電圧を高くすることにより、磁気粘性流体の粘度は高くなり、操作部材101を動かすことが困難となる高い操作負荷を操作部材101に付与することができる。なお、レンズ装置と操作装置とは、通信部を介して接続されつつ空間的に分離している例を示したが、それには限られず、空間的に一体となっていてもよい。
【0014】
図2は、実施形態1における処理の流れを例示する図である。本処理は、処理部により実行される。同図において、ステップS101では、検出部102から操作量の取得が行われる。ステップS102では、ステップS101で取得された操作量が至近(MOD)端または無限遠(INF)端(の物体距離)に対応するかが判断される。ここで、光学特性の特定範囲に対応する操作量の範囲を操作量有効範囲(単に有効範囲ともいう)、操作量有効範囲の外側を操作量無効範囲(単に無効範囲ともいう)と定義する。例えば、当該特定範囲としての至近端から無限遠端までの物体距離の範囲に対応する操作量の範囲を有効範囲と定義し、当該有効範囲に対して、至近端より外側を至近端側無効範囲、無限遠端より外側を無限遠端側無効範囲と定義しうる。ステップS102で操作量が至近端または無限遠端に対応すると判断された場合のみ、ステップS103に処理が進められ、ステップS102で操作量が至近端または無限遠端に対応しないと判断された場合、ステップS105に処理が進められる。ステップS103では、経過時間の計測(計時)が開始される。次に、ステップS104に進む。ステップS104では、負荷生成部106に生成させるべき端の操作量での操作負荷が指定される。一方、ステップS105では、ステップS103で開始された計時により得られた経過時間が予め決められた時間(端での操作負荷を生成し続ける時間(閾値))を超過したかが判断される。当該超過があった場合は、ステップS106に処理が進められ、当該超過がなかった場合は、ステップS101に処理が戻される。ステップS106では、負荷生成部106により生成されるべき操作負荷として、端以外の操作量での操作負荷が指定される。ステップS107では、ステップS104またはステップS106で指定された操作負荷を負荷生成部106に生成させる。
【0015】
上記の経過時間の閾値や端での操作負荷は、操作部材の操作量が操作量有効範囲の端に到達したことを操作者が認識可能で、かつ当該端で操作部材101を制止可能な大きさに設定されている。例えば、当該閾値は、操作者が当該端を認識してから操作部材101の操作を停止するまでに要する時間以上に設定され、当該端での操作負荷は、操作者が操作部材101を操作する力(トルク)以上に設定される。なお、端以外の操作量での操作負荷は、操作者が操作部材を操作しやすい操作負荷であればよく、操作者により変更可能とするのもよい。また、端以外の操作量では負荷生成部106に操作負荷を生成させないようにしてもよい。
【0016】
図3は、実施形態1における操作量・操作負荷の時間的変化を例示する図である。同図は、操作部材101をある操作量から無限遠端へ、その後至近端へ操作した場合の例を示している。図3の(a)は、横軸が時刻、縦軸が操作部材101の操作量を示し、図3の(b)は、横軸が図3の(a)と同一の時刻であり、縦軸が操作負荷を示している。当該操作負荷は、図2を参照して説明した処理の流れに従って制御されたものである。
【0017】
同図において、まず、操作量有効範囲におけるある操作量から徐々に無限遠端(の操作量)へ操作部材が操作されている。無限遠端到達前は、端以外の操作量での操作負荷が負荷生成部106により生成される。操作量が無限遠端に到達すると、その時点T1から時間Tにわたって端での操作負荷が負荷生成部106により生成される。時間Tの経過後は、操作負荷は、端以外の操作量での操作負荷に戻される。その後、徐々に至近端(の操作量)へ操作部材が操作されている。至近端到達前は、操作負荷は、端以外の操作量での操作負荷のままである。そして、操作量が至近端に到達すると、その時点T2から時間Tにわたって端での操作負荷が負荷生成部106により生成される。時間T経過後は、操作負荷は、端以外の操作量での操作負荷に戻される。
【0018】
以上のように、操作部材101の操作量が至近端または無限遠端に到達した場合に、予め定められた時間にわたって操作負荷を端での操作負荷(端以外の操作量での操作負荷より高い操作負荷)とするようにした。こうすることにより、光学部材が可動範囲の端に到達したことを操作者に認識させるのに、消費電力の点で有利とすることができる。操作者は、当該端への到達の認識後は、そのまま同じ方向へ操作部材101を操作し続けることは通常ないからである。また、時間T経過後には付与されていた操作負荷が解除されるため、当該端への到達の認識後に、それまでとは逆方向へ操作部材101を操作する場合に、当該逆方向への操作に操作負荷が付与され難くなる。この点は、操作装置の操作性に資するものである。よって、本実施形態によれば、消費電力や操作性の点で光学特性の調節に有利な操作装置を提供することができる。
【0019】
なお、操作量無効範囲(至近端側無効範囲または無限遠端側無効範囲)においては、操作量有効領域とは異なる操作負荷を負荷生成部に生成させるようにしてもよい。そうすることにより、操作者は、現在の操作量が操作量有効範囲内のものか操作量無効範囲内のものかを識別することができる。
【0020】
操作部材101を制止可能な負荷は、操作部101の操作速度によって異なりうる。操作部101の操作速度が高いほど大きい操作負荷が必要でありうる。よって、操作部材101の操作速度に基づいて、端での操作負荷を変更するようにしてもよい。また、操作部材101を制止可能な操作負荷は、操作部材101を回転させる力に個人差があるため、操作者によって異なりうる。よって、操作者によって操作負荷を変更できるようにしてもよい。また、予め指定された操作負荷で操作部材101を制止できなかった場合、より高い操作負荷となるように操作負荷を更新するようにしてもよい。
【0021】
また、端以外の操作量での操作負荷が大きくなると、端での操作負荷が相対的に小さくなるため、端以外の操作量での操作負荷の大きさに基づいて、端での操作負荷を変更するようにしてもよい。なお、端以外の操作量での操作負荷の負荷生成部は、端での負荷生成部とは異なっていてもよく、その場合は、当該操作量での操作負荷の大きさを検出する検出部を設け、当該検出部の出力に基づいて端での操作負荷を変更するようにしてもよい。
【0022】
また、以上では、物体距離を調節する操作装置を例示したが、それに限定されず、例えば、光量や焦点距離を調節する操作装置であってもよい。また、本実施例では、操作範囲を制限する機械的な端を有しない操作部材を例示したが、それには限定されない。例えば、端を有する操作部材であってもよく、その場合、当該端で制限された操作範囲(例えば至近から無限遠までの物体距離の範囲に対応)の内側に設定された任意の操作範囲において本実施形態の構成を適用してもよい。また、以上では、磁気粘性流体を用いた負荷生成部を例示したが、それには限定されず、電力により操作負荷を生成する任意の負荷生成部でありうる。以上のように、本実施形態によれば、例えば、光学特性の調節に有利な操作装置を提供することができる。
【0023】
〔実施形態2〕
本実施形態では、操作部材(を備えた操作装置)を含む光学装置に関するものである。当該光学装置は、いわゆる交換レンズ装置でありうる。また、当該光学装置は、実施形態1におけるレンズ装置と操作装置とが一体化されてなるものでありうる。図4ないし図6を参照して本実施形態を説明する。図4は、実施形態2に係る光学装置の構成例を示す図である。同図において、30は、本実施形態における光学装置である。操作部材101、検出部102、指令生成部103、負荷発生部106は、光学装置30の構成要素となっている。
【0024】
301は、物体距離を調節するために可動の光学部材(フォーカスレンズ群)である。302は、光学部材301の位置を検出する位置検出部である。303は、指令生成部103で生成された指令と位置検出部302で検出された光学部材の位置とに基づいて、光学部材301を駆動制御(位置制御)するための制御信号を生成する駆動制御部である。304は、駆動制御部303により生成された制御信号に基づいて、光学部材301を駆動する駆動部である。305は、光学装置30内の温度を検出する温度検出部である。306は、検出部102で検出された操作量と、位置検出部302で検出された光学部材301の位置と、温度検出部305で検出された光学装置30内の温度とに基づいて、負荷生成部106を制御する制御部である。制御部306による処理の詳細は、後述される。
【0025】
なお、本実施形態における処理は、実施形態1におけるようなレンズ装置と操作装置とを含む構成における当該操作装置にも適用しうるものである。ここで、図5は、実施形態2における処理の流れを例示する図である。同図において、まずステップS201では、検出部102から操作量の取得が行われる。ステップS202では、位置検出部302から光学部材の位置の取得が行われる。ステップS203では、ステップS201で取得された操作量が操作量無効範囲内のものかが判断される。本実施形態では、操作量無効範囲は、操作量有効範囲から予め定められた操作量(不感範囲)だけ隔てた外側の範囲としている。また、本実施形態では、至近端および無限遠端に対応する操作量は、検出部102の出力でなく位置検出部の出力に基づいて特定される。すなわち、処理部は、レンズ装置からの光学部材の駆動状態に関する情報に基づいて、操作部材の操作量が当該端に対応する操作量(予め定められた操作量)であることを特定(認識)しうる。このような認識が有用であるのは、例えば、光学部材の位置の制御が比例制御である場合には定常偏差(指令(目標)と制御量との差)が生じうるところ、制御量すなわち光学部材の実際の位置に基づいて操作負荷を生成できるからである。ステップS201で取得された操作量が操作量無効範囲内のものである場合は、ステップS206に処理が進められ、そうでない場合は、ステップS204に処理が進められる。ステップS204では、負荷生成部に生成させるべき操作負荷として操作量有効範囲での操作負荷が指定される。ステップS205では、計時(後述)が停止される。ステップS206では、操作部材101が操作中(上記操作量が変化中)かつ上記計時が停止中かが判断される。当該操作中かつ当該停止中の場合は、ステップS207に処理が進められ、そうでない場合は、ステップS212に処理が進められる。ステップS207では、操作量無効範囲内において操作量有効範囲から離れる方向(外側方向)へ操作部材101が操作されているかが判断される。操作部材101が外側へ操作されている場合は、ステップS208に処理が進められ、そうされていない場合は、ステップS209へ処理が進められる。ステップS208では、予め決められた時間Tが設定される。ステップS209では、予め決められた時間tが設定される。ここで、時間Tは、操作者が操作部材101を停止させるのに十分な時間とし、時間tは、操作者の操作部材101の操作を阻害しない程度のごく短い時間とする。つづくステップS210では、負荷生成部に生成させるべき操作負荷として操作量無効範囲の端での操作負荷が指定される。ステップS211では、時間の計測(計時)が開始される(既述の経時は、ここで開始されたものである)。ステップS212では、上記計時により得られた経過時間がステップS208またはステップS209で設定された時間Tまたはtを超過したかが判断される。当該超過があった場合は、ステップS213に処理が進められ、当該超過がなかった場合は、ステップS215に処理が進められる。ステップS213では、ステップS204と同様に、負荷生成部206に生成させるべき操作負荷として操作量有効範囲内での操作負荷が指定される。ステップS214では、ステップS205と同様に、計時が停止される。
【0026】
ステップS215では、温度変動による操作負荷の変動を補償するように操作負荷が指定される。具体的には、制御部内等に予め記憶された温度と操作負荷との間の関係を示す情報と、温度検出部305により検出された温度の情報とに基づいて、当該指定が行われうる。このようにすることにより、温度変動による操作負荷変動を軽減することができるため、操作性の点で有利な操作装置を提供することができる。ステップS216では、ステップS215で指定された操作負荷を負荷生成部106に生成させ、ステップS201に処理が戻される。
【0027】
ここで、図6は、実施形態2における操作量・操作負荷の時間的変化を例示する図である。同図は、操作部材101をある操作量から無限遠端方向へ、その後さらに外側方向へ、次に、操作量有効範囲内へ操作した場合の例を示している。図6の(a)は、横軸が時刻、縦軸が操作部材101の操作量を示し、図6の(b)は、横軸が図6の(a)と同一の時刻、縦軸が操作負荷を示している。当該操作負荷は、図5を参照して説明した処理の流れに従って制御されたものである。
【0028】
実施形態1では、操作量が無限遠端に到達した時点で、端での操作負荷が生成されたが、本実施形態では、無限遠端から予め設定された量だけ外側の操作量において操作量無効範囲の端での操作負荷が付与されるようになっている。具体的には、光学部材301が無限遠端を通過して時点T20で時間Tだけ端での操作負荷が付与されるようになっている。端で当該操作負荷が付与されると、端付近で光学特性(物体距離)を調節するのに、操作負荷が頻繁に変化して操作性が低下しうる。よって、本実施形態のように構成することにより、端付近での操作性を改善することができる。
【0029】
その後、時間Tにわたって、当該操作負荷が負荷生成部により生成される。その後は、操作量有効範囲内での操作負荷に戻されるため、操作部材は、さらに外側方向へ操作することができる。操作量無効範囲をさらに外側方向へ操作部材が操作された場合は、操作量有効範囲から離れないように操作部材を制止するため、操作部材の外側方向への操作が検出された時点T21、T22で、再度当該操作負荷が負荷生成部106により生成されている。その後、操作部材は、操作量無効範囲内において操作量有効範囲へ近づく方向(内側方向)へ操作されている。内側方向への操作は、操作量有効範囲に戻る操作のため、当該操作の期間T23ないしT24は、内側方向への操作が認識される度に、当該操作を妨げにくい極く短い時間tだけ当該操作負荷が負荷生成部106により生成される。そうすることにより、操作量無効範囲を内側方向へ操作部材が操作されている場合は、操作を妨げにくくしつつ、現在の操作量が操作量無効範囲内にあることを操作者が認識可能となるため、操作性の点で有利な光学装置(操作装置)を提供することができる。
【0030】
本実施形態に係る光学装置(操作装置)は、操作負荷の付与を時間Tまたはtの間のみとすることにより、実施形態1と同様、消費電力の点で有利となりうる。また、同装置は、操作量無効範囲の端で操作負荷が付与されるようにすることにより、操作性の点で有利となりうる。また、同装置は、操作量無効範囲での外側方向への操作と内側方向への操作との間で、操作負荷が付与される時間を異ならせることにより、操作性の点で有利となりうる。また、同装置は、付与される操作負荷を温度の情報に基づいて補償する(操作部材の操作負荷の大きさが設定された大きさとなるようにする)ことにより、操作性の点で有利となりうる。なお、操作負荷の補償は、温度の情報に替えて又は加えて、操作部材の操作負荷を変化させる他の使用状況(例えば、外部磁場や気圧、操作負荷の経時変化(に係る使用時間)、負荷生成部や操作部材の要素の特性(の変化)等)の情報に基づきうる。当該他の使用状況の情報に基づいて操作負荷の補償を行う場合は、当該使用状況を検出する検出部または当該使用状況の情報を取得する取得部(当該取得部は実施形態1における通信部104を含みうる)を光学装置(操作装置)が備えればよい。また、操作部材の操作量の無効範囲のうち操作部材の操作量の有効範囲との境界等の予め定められた操作量において、予め定められた時間だけ予め定められた操作負荷が操作部材に付与されうる。すなわち、処理部は、光学部材が予め定められた駆動状態(操作部材の予め定められた操作量に対応)にある場合において操作部材の操作負荷が第1の負荷から第2の負荷へ高くなるように、負荷生成部を制御しうる。且つ処理部は、当該場合において操作部材の操作負荷が第2の負荷から第3の負荷へ低くなるように、負荷生成部を制御しうる。なお、処理部は、第1の負荷の大きさと第3の負荷の大きさとが互いに異なるように、負荷生成部を制御しうる。そのように処理部が負荷生成部を制御するにあたり、当該境界の認識は、検出部102の出力に基づくものには限定されない。当該境界の認識は、指令生成部103により生成された指令や、(レンズ装置20からの)光学部材の駆動状態に関する情報(例えば光学部材の位置に関する情報)に基づくものでありうる。また、処理部は、操作部材の操作負荷が第2の負荷である期間において変化した操作部材の操作量に基づいて第2の負荷の大きさに関する設定を変更しうる。上述のように、予め指定された操作負荷(第2の負荷)で操作部材101が適度に制止されなかった場合、操作負荷が高められるように第2の負荷の大きさが更新されるようにしてもよい。また、予め指定された操作負荷(第2の負荷)で操作部材101が過度に制止された場合、操作負荷が低められるように第2の負荷が更新されるようにしてもよい。
【0031】
なお、操作量無効範囲では、外側方向への操作と内側方向への操作との間で、操作負荷が付与される時間に替えて又は加えて、付与される操作負荷の大きさを異ならせてもよい。その場合、外側方向への操作に付与される操作負荷は、内側方向への操作に付与される操作負荷より大きくされうる。処理部は、無効範囲において有効範囲から離れる方向へ操作部材が操作された場合において操作部材の操作負荷が第3の負荷から第4の負荷へ高くなるように、負荷生成部を制御しうる。且つ処理部は、当該場合において操作部材の操作負荷が第4の負荷から第3の負荷へ低くなるように、負荷生成部を制御しうる。また、処理部は、無効範囲において有効範囲へ近づく方向へ操作部材が操作された場合において、操作部材の操作負荷が第3の負荷から第5の負荷へ高くなるように、負荷生成部を制御しうる。且つ処理部は、当該場合において操作部材の操作負荷が第5の負荷から第3の負荷へ低くなるように、負荷生成部を制御しうる。また、無効範囲において有効範囲へ近づく方向へ操作部材が操作された場合においては、無効範囲において有効範囲から離れる方向へ操作部材が操作された場合においてよりも、次の少なくとも一方が小さいのも好ましい。すなわち、操作部材に付与される操作負荷および操作部材に操作負荷が付与される時間のうち少なくとも一方が小さいのも好ましい。なお、処理部は、予め定められた操作量としての、操作量の有効範囲と無効範囲との境界における操作量において、予め定められた時間だけ予め定められた操作負荷が操作部材に付与されるように、負荷生成部を制御するものには限定されない。すなわち、予め定められた操作量は、当該境界における操作量でなくてもよく、例えば、予め設定された任意の操作量(任意の光学部材の駆動状態に対応)でありうる。また、有効範囲における操作部材の操作負荷は変更可能に構成されうる。その場合、処理部は、当該操作負荷が大きくなるほど第2の負荷が大きくなるように、負荷生成部を制御しうる。以上のような構成によれば、予め定められた操作量(光学部材の駆動状態)を操作部材の操作により再現するのが容易となり、操作性の点で有利な操作装置を提供することができる。よって、本実施形態によれば、例えば、光学特性の調節に有利な操作装置を提供することができる。
【0032】
〔撮像装置としての光学装置に係る実施形態〕
図7は、撮像装置としての光学装置の構成例を示す図である。同図において、1000は、以上に例示した操作装置10または光学装置30を含んで構成される撮像装置としての光学装置である。光学装置1000は、レンズ装置20または光学装置30により形成された像を撮る(撮像する)撮像素子40aを有するカメラ装置40(撮像部;撮像装置本体)を含んで構成されうる。なお、操作装置10は、レンズ装置20から空間的に分離されていてもよい。また、操作装置10は、レンズ装置20に有線または無線により通信接続されうる。また、カメラ装置40は、光学部材に対する指令を送信する機能を有しうる。その場合、当該指令は、例えば、カメラ装置40のサブユニットとしての(カメラ)操作装置40bにより生成されうる。または、当該指令は、例えば、カメラ装置40のオートフォーカス機能またはオートアイリス機能等により生成されうる。操作装置40bは、カメラ装置の本体から空間的に分離されていてもよい。また、操作装置40bは、カメラ装置の本体に有線または無線により通信接続されうる。また、操作装置40bは、レンズ装置の物体距離に対応する指令、レンズ装置の焦点距離またはズーミングに対応する指令、およびレンズ装置の有効口径または絞り開口径に対応する指令等のうちの少なくとも1つを生成しうる。本実施形態によれば、操作装置10または光学装置30を含むことにより、例えば、予め定められた操作量(光学部材の駆動状態に対応;例えば光学特性の特定範囲の端に対応)において操作部材に操作負荷を付与するのに有利な撮像装置を提供することができる。
【0033】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 操作装置
101 操作部材
102 検出部
103 指令生成部(処理部を構成)
105 制御部(処理部を構成)
106 負荷生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7