(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191896
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】充電電力割当装置
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20221221BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20221221BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221221BHJP
B60L 53/63 20190101ALI20221221BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20221221BHJP
B60L 53/67 20190101ALN20221221BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J7/04 C
H02J7/00 P
B60L53/63
B60L58/12
B60L53/67
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100393
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】河合 智成
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 弘友希
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G066AA03
5G066AE03
5G066AE09
5G503AA01
5G503BB01
5G503CB16
5G503FA06
5G503GC04
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC22
5H125BC12
5H125BC21
5H125BE01
5H125DD02
5H125EE27
5H125EE51
(57)【要約】
【課題】 曜日毎の需要電力の変動に対応可能で、車両充電に割当可能な電力を的確に設定して電力供給側でリミッターが動作するようなことの無い充電電力割当装置を提供する。
【解決手段】 車両充電に供給された過去の電力量を、1日を昼夜2分割して記憶する記憶部33と、明日以降の1週間の車両充電のための割当電力量を、記憶部33のデータを基に、昼夜それぞれの車両充電のための割当電力量を設定する制御装置CPU34とを有し、制御装置CPU34は直近の過去1週間の車両充電に供給された電力量データを基に、この先1週間の割当電力量を決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1日毎或いは1日を所定の時間で分割した時間単位毎に、車両充電に供給された電力量を記憶する過去データ記憶部と、前記過去データ記憶部のデータを基に、明日以降の特定の期間の1日毎の或いは前記所定の時間単位毎の車両充電に割り当てる割当電力量を設定する割当電力量決定部とを有することを特徴とする充電電力割当装置。
【請求項2】
前記割当電力量決定部は、直近の過去数週間或いは直近の過去1週間の車両充電に供給された電力量データを基に、この先1週間の前記割当電力量を決定することを特徴とする請求項1記載の充電電力割当装置。
【請求項3】
前記過去データ記憶部は、1日或いは前記所定の時間で分割した時間単位において充電した車両数を記憶し、
前記割当電力量決定部は、明日以降の前記割当電力量を決定する際に、前記過去データ記憶部の車両数データを基に、1台あたりの割当量も決定することを特徴とする請求項2記載の充電電力割当装置。
【請求項4】
前記所定の時間で分割した時間単位が、1日を昼夜2分割した時間単位であり、
前記割当電力量決定部は、前記過去データ記憶部のデータを基に、この先1週間の昼夜2分割した前記割当電力量を決定することを特徴とする請求項2又は3記載の充電電力割当装置。
【請求項5】
前記割当電力量決定部が決定した割当電力量の変更を可能とする設定操作手段を有し、
前記設定操作手段は、決定されたこの先1週間の曜日毎の割当電力量に対して、特定の曜日のデータを他の曜日のデータにコピーして自動設定された内容の変更を可能とすることを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の充電電力割当装置。
【請求項6】
前記設定操作手段の操作で、前記過去データ記憶部に記憶されている任意の時期の1週間の実績データを、前記割当電力量決定部がこの先1週間の割当電力量を設定するために参照する過去1週間のデータに設定でき、
前記割当電力量決定部は、前記設定操作手段により取り出された過去の特定の期間のデータを基に、この先1週間の割当電力量を決定できることを特徴とする請求項5記載の充電電力割当装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池を備えた電動車両に対する充電電力の割当量を設定する充電電力割当装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池を備えた電動車両に電力の供給を開始しても、全体の需要電力が例えばデマンド値を超えないよう、車両にタイマを内蔵させたり充電器側にタイマを持たせて、他の負荷の使用電力が少ない時間帯で充電を行うよう構成された充電システムがある。
例えば、特許文献1では、車両の充電制御部にタイマを持たせて、タイマの設定時間に基づいて充電制御を実施した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タイマ制御で充電する従来のシステムは、曜日による消費電力の変動が少ない場合は、設定されたタイマ時間により、他の負荷へ供給される電力が少ない時間帯を利用して良好な充電を実施させることができた。
しかしながら、車両充電のための充電器を設置した施設が、曜日により他の負荷の状態が大きく変動するような環境ではカレンダ機能が有効に機能せず、タイマにより設定された車両充電の時間帯でも他の負荷に大きな電力が消費される場合が有った。そうなると、例えばデマンド値を超えるような状況が発生した。
このような場合は電力供給側でリミッターが働いて十分に車両充電ができなかったし、逆に電力に余裕がある場合は予想以上に充電が行われる場合が発生した。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、曜日毎の需要電力の変動に対応可能で、車両充電に割当可能な電力を的確に設定して電力供給側でリミッターが動作するようなことの無い充電電力割当装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明に係る充電電力割当装置は、1日毎或いは1日を所定の時間で分割した時間単位毎に、車両充電に供給された電力量を記憶する過去データ記憶部と、過去データ記憶部のデータを基に、明日以降の特定の期間の1日毎の或いは所定の時間単位毎の車両充電に割り当てる割当電力量を設定する割当電力量決定部とを有することを特徴とする。
この構成によれば、過去の実績に基づいて1日毎の或いは1日を所定の時間で分割した時間単位毎の車両充電のための割当電力量が設定されるため、曜日毎に他で使用される電力を加味した設定ができ、電力供給側のリミッターが働くような事態、また設定されている最大使用電力量を超えるような事態を防ぐことが可能となる。そして、自動で設定されるため簡易な操作で割当電力量の設定ができる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、割当電力量決定部は、直近の過去数週間或いは直近の過去1週間の車両充電に供給された電力量データを基に、この先1週間の割当電力量を決定することを特徴とする。
この構成によれば、この先1週間の車両充電のために割り当てる電力量を直近の実績を基に自動設定するため、確度の高い設定を簡易な操作で実施できる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2記載の構成において、過去データ記憶部は、1日或いは所定の時間で分割した時間単位において充電した車両数を記憶し、割当電力量決定部は、明日以降の割当電力量を決定する際に、過去データ記憶部の車両数データを基に、1台あたりの割当量も決定することを特徴とする。
この構成によれば、過去データを基に車両1台あたりの割当量も設定されるため、利用者が車両の充電量を設定しなくても適量の充電が可能となる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項2又は3に記載の構成において、所定の時間で分割した時間単位が、1日を昼夜2分割した時間単位であり、割当電力量決定部は、過去データ記憶部のデータを基に、この先1週間の昼夜2分割した割当電力量を決定することを特徴とする。
この構成によれば、車両充電設備が設置された施設では、昼間と夜とで車両充電に割当できる電力量が異なる場合が殆どであるため、昼間と夜とで異なる割当量に設定できることで、現実に即して電力の割当ができる。
【0010】
請求項5の発明は、請求項2乃至4の何れかに記載の構成において、割当電力量決定部が決定した割当電力量の変更を可能とする設定操作手段を有し、設定操作手段は、決定されたこの先1週間の曜日毎の割当電力量に対して、特定の曜日のデータを他の曜日のデータにコピーして自動設定された内容の変更を可能とすることを特徴とする。
この構成によれば、この先1週間に祝日といった通常の平日とは異なる日があったら、例えば日曜日の設定内容をコピーできるため、直近の1週間の同一曜日と条件が異なっても容易に割当量を変更できる。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載の構成において、設定操作手段の操作で、過去データ記憶部に記憶されている任意の時期の1週間の実績データを、割当電力量決定部がこの先1週間の割当電力量を設定するために参照する過去1週間のデータに設定でき、割当電力量決定部は、設定操作手段により取り出された過去の特定の期間のデータを基に、この先1週間の割当電力量を決定できることを特徴とする。
この構成によれば、過去の任意の期間の実績データを基にこの先1週間の割当データを作成できる。よって、正月休み等のように1年の中でも特別な1週間の場合、1年前のデータを基に割当電力量を設定でき、簡易な操作で確度の高い設定ができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、過去の実績に基づいて1日毎の或いは所定の時間毎の車両充電のための割当電力量が設定されるため、曜日毎に他で使用される電力を加味した設定ができ、電力供給側のリミッターが働くような事態、また設定されている最大使用電力量を超えるような事態を防ぐことが可能となる。そして、自動で設定されるため簡易な操作で割当電力量の設定ができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る充電電力割当装置の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る充電電力割当装置の一例を示す構成図である。
図1に示すように充電電力割当装置1は、車両を充電するための複数の充電器2、充電器2への割当電力量を決定すると共に充電器2を制御する制御装置3、制御装置3を操作する設定装置(設定操作手段)4を備えている。充電器2には交流電力である商用電源5が供給される。
制御装置3と個々の充電器2は信号線L1で接続され、制御装置3と設定装置4は信号線L2で接続されている。
【0015】
尚、6は充電器2を設置した施設内の負荷、7はスマートメータ等の電力量計であり、制御装置3は電力量計7から受電電力の情報を取得している。
【0016】
図2は制御装置3のブロック図を示している。
図2に示すように、制御装置3は個々の充電器2と通信する充電器通信部31、設定装置4と通信する外部機器通信部32、車両充電に提供された過去の電力量情報を記憶すると共に、設定したこの先の割当電力量情報を記憶する記憶部(過去データ記憶部)33、制御装置3を制御する制御装置CPU34等を備えている。制御装置CPU34は、後述する割当電力量を算出する割当電力量決定部であると共に、充電器2へ供給する充電電力を制御する。
【0017】
図3は設定装置4のブロック図を示している。
図3に示すように、設定装置4は設定操作する操作部41、設定内容等を表示する表示部42、設定装置4を制御する設定装置CPU43、制御装置3と通信する設定装置通信IF44等を有し、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末が使用できる。
【0018】
上記の如く構成された充電電力割当装置1は以下のように動作する。充電電力割当装置1の使用開始直後は、過去データの蓄積がないため、設定装置4による入力操作で車両充電に割り当てられる割当電力量が設定される。
設定装置4の所定の設定操作により、明日以降の1週間の予定を設定する設定画面(図示せす)が表示され、電力会社との契約電力或いはデマンド値と、施設の他の負荷が必要とする電力とを考慮して、管理者により設定装置4からこの先1週間の曜日毎の割当電力量が設定される。
【0019】
制御装置3は、この割当電力量情報を基に充電器2へ供給する電力量を制御する。但し制御装置3は、電力量計7からの情報を基に、受電電力が契約電力或いはデマンド値を超えないよう充電電力を制御することを優先する。この結果、充電器2へ供給される電力の上限は設定された割当電力量で制限されるが、他の負荷への供給電力が予想より上回り、契約電力或いはデマンド値を上回る状況が発生したら、設定した割当電力量に達しなくても、充電器2へ供給される電力は制限される。
【0020】
このような制御が行われて1週間が経過すると、1週間の車両充電に使用された電力量の実績データが記憶部33に蓄積される。
図4はこうして蓄積された過去1週間のデータの一例を示している。1日が昼間と夜間とで2分割されてデータが記憶される。例えば、昼間は午前6時から12時間、夜間は午後6時から12時間としてその間のデータが記憶される。また、制御装置CPU34の制御により、それぞれの時間帯で何台の車両が充電されたかも合わせて記憶される。
こうして、
図4に示すような曜日毎に1日が2分割されてデータが蓄積され、このデータは設定装置4の所定の操作で設定装置4の表示部42に表示でき、設定者は容易に閲覧できる。
【0021】
1週間以上のデータが蓄積されると、この先1週間の設定を簡易に行うことが可能となる。設定装置4の所定の設定操作で、この先1週間の割当電力量のカレンダ(割当カレンダ)の自動設定を行うことができる。
図5は自動設定されたこの先1週間の供給電力量の一覧を示している。この設定値は、
図4に示す直前の過去1週間の実績を基に、設定装置4の操作で制御装置CPU34の制御により設定される。その際、5kWk刻みで設定され、例えば10kWhから14kWhの実績に対しては10kWhで設定される。
尚、この自動設定する際の演算式は任意で有り、切り上げて算出しても良いし、実績値を変更せず、そのまま設定値としても良い。
【0022】
その際、制御装置CPU34は、実績値と共に記憶されている車両台数を基に、1台あたりの充電量も算出して設定する。例えば、記憶部33の情報から直近の月曜日の昼間は2台の車両充電が行われたことが分かる。このデータから、次の月曜日の充電台数も昼間は2台であると仮定して、利用者による充電量の設定がなければ、充電器2に接続された1台あたりの車両に対して、月曜昼間の設定値である5kWhの2分の1である2.5kWhが充電電力量として設定され、この電力量を充電するよう制御する。そして、充電電力量が2.5kWhに達したら終了される。
【0023】
また、設定装置4の操作で、設定データの曜日間のコピーを実施できるし、過去の任意の時期のデータを基にこの先の1週間の割当カレンダを設定できる。例えば、車両充電に供給した1年以上のデータが蓄積されていれば、直近の1週間でなく1年前の1週間のデータを基にこの先1週間の電力量の割り当てを設定できる。
【0024】
具体的に、設定する1週間の中に祝日等の平日と電力の利用状況が異なる日があったら、1週間前のデータが参考にならない。このような場合は、一旦自動設定で1週間の割当カレンダを作成した後、設定された日曜日のデータを祝日にコピーすると良く、設定装置4の操作でコピーすることで、週内に祝日があっても容易に設定内容を変更できる。
また、正月のように休日が連続する1年の中でも特別な1週間の割当カレンダを設定する場合は、1年前の同一時期の1週間のデータを基に、この先の1週間の割当カレンダを設定すると良い。設定装置4の操作で、制御装置3の記憶部33から1年前の同一時期の1週間のデータを取り出し、取り出したデータを基に、この先1週間の割当カレンダを設定操作を行う。この操作で、この先1週間の割当電力量が設定され、割当カレンダが作成される。
【0025】
このように、過去の実績に基づいて1日毎の或いは1日を所定の時間で分割した時間単位毎の車両充電のための割当電力量が設定されるため、曜日毎に他で使用される電力を加味した設定ができ、電力供給側のリミッターが働くような事態、また設定されている最大使用電力量を超えるような事態を防ぐことが可能となる。そして、自動で設定されるため簡易な操作で割当電力量の設定ができる。
また、この先1週間の車両充電のために割り当てる電力量を直近の実績を基に自動設定するため、確度の高い設定を簡易な操作で実施できる。
更に、車両充電設備が設置された施設では、昼間と夜とで車両充電に割当できる電力量が異なる場合が殆どであり、昼間と夜とで異なる割当量に設定できることで、現実に即して電力の割当ができる。
加えて、過去データを基に車両1台あたりの割当量も設定されるため、利用者が車両の充電量を設定しなくても適量の充電が可能となる。
また、この先1週間に祝日といった通常の平日とは異なる日があったら、例えば日曜日の設定内容をコピーできるため、直近の1週間の同一曜日と条件が異なっても容易に割当量を変更できる。
また、正月休み等のように1年の中でも特別な1週間の場合、1年前のデータを基に割当電力量を設定でき、簡易な操作で確度の高い設定ができる。
【0026】
尚、上記実施形態では、過去1週間の実績を基にこの先1週間の割当量を設定しているが、過去数週間の実績の平均値を基に設定しても良い。
また、直近の1週間の実績データを基に翌1週間を設定する場合、具体的には今週の実績データを基に明日からの来週1週間の割当量を設定する場合を説明しているが、間1週間を開けて先週の実績データを基に来週の割当量を設定しても良い。この設定形態では間に1週間の余裕ができるため、前もって設定しておくことができる。
更に、1日を昼夜2分割して設定しているが、2分割せず設定しても良いし、1日を更に多く分割して設定しても良い。
また、制御装置3と設定装置4とは信号線L2で接続されているが、設定装置4を充電器2が設置されている施設から離して別途管理センタ等に設置し、通信ネットワーク(図示せず)を介して接続しても良い。
【符号の説明】
【0027】
1・・充電電力割当装置、2・・充電器、3・・制御装置、4・・設定装置(設定操作手段)、31・・充電器通信部、32・・外部機器通信部、33・・記憶部(過去データ記憶部)、34・・制御装置CPU(割当電力量決定部)、42・・表示部。