(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191900
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】大便器の製造方法、大便器本体の製造装置及び大便器
(51)【国際特許分類】
B29C 51/20 20060101AFI20221221BHJP
E03D 11/02 20060101ALI20221221BHJP
B29C 51/08 20060101ALI20221221BHJP
B29C 51/12 20060101ALI20221221BHJP
B29C 51/36 20060101ALI20221221BHJP
B29C 51/34 20060101ALI20221221BHJP
B29C 33/12 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
B29C51/20
E03D11/02 Z
B29C51/08
B29C51/12
B29C51/36
B29C51/34
B29C33/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100406
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森本 雅憲
【テーマコード(参考)】
2D039
4F202
4F208
【Fターム(参考)】
2D039AA02
2D039AD00
2D039DB00
4F202AC03
4F202AD03
4F202AD19
4F202AD26
4F202AD27
4F202AG28
4F202AH49
4F202AK09
4F202CA17
4F202CB01
4F202CB12
4F202CC04
4F202CK18
4F202CK32
4F202CK54
4F202CN01
4F202CN18
4F202CQ01
4F208AC03
4F208AD18
4F208AH81
4F208MA01
4F208MA06
4F208MB01
4F208MC02
4F208MC04
4F208MD01
4F208MH06
4F208MK02
4F208MK03
4F208MK04
(57)【要約】
【課題】シンプルな構造の大便器を、効率的に提供する。
【解決手段】本開示の大便器の製造方法は、ボウル部11、リム部13及びスカート部15を一体に有する合成樹脂製の大便器本体1を、製造する工程を備える。この工程では、熱可塑性樹脂製のシート材10に第1コア31を当てることで、ボウル部11を成形し、シート材10に第1コア31と補助型4とを当てることで、リム部13を成形し、シート材10に第2コア32を当てることで、スカート部15を成形する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボウル部、リム部及びスカート部を一体に有する合成樹脂製の大便器本体を、製造する工程を備え、
前記工程では、
熱可塑性樹脂製のシート材に第1コアを当てることで、前記ボウル部を成形し、
前記シート材に前記第1コアと補助型とを当てることで、前記リム部を成形し、
前記シート材に第2コアを当てることで、前記スカート部を成形する、
大便器の製造方法。
【請求項2】
前記補助型は、成形された前記大便器本体に残存することで、大便器のフレームを構成する、
請求項1の大便器の製造方法。
【請求項3】
前記補助型は、複数の部材を、かしめ、溶接又はボルト締結によって連結させたものである、
請求項2の大便器の製造方法。
【請求項4】
前記補助型は、金属製である、
請求項2又は3の大便器の製造方法。
【請求項5】
前記スカート部は、前記補助型の周囲を覆うように成形される、
請求項2から4のいずれか一項の大便器の製造方法。
【請求項6】
前記スカート部は、前記第2コアを構成するスライドコアによって、前記補助型の周囲を覆うように成形される、
請求項5の大便器の製造方法。
【請求項7】
前記補助型の少なくとも一部には、滑り性を高める表面処理又はコーティングが施されている、
請求項1から6のいずれか一項の大便器の製造方法。
【請求項8】
前記シート材は、ひずみ硬化性を有する、
請求項1から7のいずれか一項の大便器の製造方法。
【請求項9】
前記第1コアと前記第2コアの少なくとも一方は、サブスライドコアを含み、
前記サブスライドコアによって、前記大便器本体のうちアンダーカット形状を有する部分を、成形する、
請求項1から8のいずれか一項の大便器の製造方法。
【請求項10】
前記第1コアの少なくとも一部には、摩擦力を高める表面処理又はコーティングが施されている、
請求項1から9のいずれか一項の大便器の製造方法。
【請求項11】
前記第2コアの少なくとも一部には、滑り性を高める表面処理又はコーティングが施されている、
請求項1から10のいずれか一項の大便器の製造方法。
【請求項12】
ボウル部、リム部及びスカート部を一体に有する合成樹脂製の大便器本体を、熱可塑性樹脂製のシート材を用いて製造する装置であって、
前記シート材に当たることで前記ボウル部を成形する第1コアと、
前記第1コアと共に前記シート材に当たることで前記リム部を成形する補助型と、
前記シート材に当たることで前記スカート部を成形する第2コアと、を備える、
大便器本体の製造装置。
【請求項13】
前記補助型は、成形された前記大便器本体に残存し、大便器のフレームをなすように構成されている、
請求項12の大便器本体の製造装置。
【請求項14】
前記補助型は、複数の部材を、かしめ、溶接又はボルト締結によって連結させたものである、
請求項13の大便器本体の製造装置。
【請求項15】
前記補助型は、金属製である、
請求項13又は14の大便器本体の製造装置。
【請求項16】
前記第2コアは、前記スカート部を、前記補助型の周囲を覆うように成形する、
請求項13から15のいずれか一項の大便器本体の製造装置。
【請求項17】
前記第2コアは、スライドコアである、
請求項16の大便器本体の製造装置。
【請求項18】
前記補助型の少なくとも一部には、滑り性を高める表面処理又はコーティングが施されている、
請求項12から17のいずれか一項の大便器本体の製造装置。
【請求項19】
前記第1コアと前記第2コアの少なくとも一方は、サブスライドコアを含み、
前記サブスライドコアは、前記大便器本体のうちアンダーカット形状を有する部分を成形する、
請求項12から18のいずれか一項の大便器本体の製造装置。
【請求項20】
前記第1コアの少なくとも一部には、摩擦力を高める表面処理又はコーティングが施されている、
請求項12から19のいずれか一項の大便器本体の製造装置。
【請求項21】
前記第2コアの少なくとも一部には、滑り性を高める表面処理又はコーティングが施されている、
請求項12から20のいずれか一項の大便器本体の製造装置。
【請求項22】
ボウル部、リム部及びスカート部を有する大便器本体と、
前記大便器本体に収容されたフレームと、を備え、
前記大便器本体は、前記ボウル部、前記リム部及び前記スカート部が、一枚の合成樹脂製のシート材を用いて成形されたものであり、
前記フレームは、前記リム部の骨組みをなす第1フレーム部と、前記第1フレーム部から延長され、前記スカート部によって周囲を覆われた第2フレーム部と、を含む、
大便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、大便器の製造方法、大便器本体の製造装置及び大便器に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂製の大便器本体を備える大便器が、従来公知である。大便器本体は、ボウル部、リム部及びスカート部を有する。
【0003】
特許文献1等に開示されているように、大便器本体のボウル部、リム部及びスカート部は、個別に樹脂成形された後に、振動溶着等の手段を用いて互いに結合されることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の技術においては、大便器本体の構造が複雑になり、生産効率を向上させることも困難である。
【0006】
本開示は、シンプルな構造の大便器を、効率的に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る大便器の製造方法は、ボウル部、リム部及びスカート部を一体に有する合成樹脂製の大便器本体を、製造する工程を備える。前記工程では、熱可塑性樹脂製のシート材に第1コアを当てることで、前記ボウル部を成形し、前記シート材に前記第1コアと補助型とを当てることで、前記リム部を成形し、前記シート材に第2コアを当てることで、前記スカート部を成形する。
【0008】
本開示の一態様に係る大便器本体の製造装置は、ボウル部、リム部及びスカート部を一体に有する合成樹脂製の大便器本体を、熱可塑性樹脂製のシート材を用いて製造する装置であって、前記シート材に当たることで前記ボウル部を成形する第1コアと、前記第1コアと共に前記シート材に当たることで前記リム部を成形する補助型と、前記シート材に当たることで前記スカート部を成形する第2コアと、を備える。
【0009】
本開示の一態様に係る大便器は、ボウル部、リム部及びスカート部を有する大便器本体と、前記大便器本体に収容されたフレームと、を備える。前記大便器本体は、前記ボウル部、前記リム部及び前記スカート部が、一枚の合成樹脂製のシート材を用いて成形されたものである。前記フレームは、前記リム部の骨組みをなす第1フレーム部と、前記第1フレーム部から延長され、前記スカート部によって周囲を覆われた第2フレーム部と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示は、シンプルな構造の大便器を、効率的に提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態の大便器の斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の大便器が備える大便器本体の斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の大便器本体を製造する装置の概略的な断面図である。
【
図4】
図4Aから
図4Eは、同上の装置を用いて大便器本体を製造する工程を順に示す概略的な断面図である。
【
図5】
図5は、変形例1の装置を用いて大便器本体を製造する一工程の要部を示す概略的な断面図である。
【
図6】
図6は、変形例2の装置を用いて大便器本体を製造する一工程の要部を示す概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.実施形態
1-1.大便器
図1には、一実施形態の大便器8を示している。大便器8は、例えばトイレットルームの床に設置され、腰掛大便器として使用される。以下の大便器8の説明において用いる上下、左右及び前後方向は、大便器8が設置された状態を基準として定義される。大便器8に着座した使用者が向く方向が前方であり、その逆方向が後方である。
【0013】
大便器8は、合成樹脂製の大便器本体1と、大便器本体1の内部に収容された金属製のフレーム2と、大便器本体1に設置された便座装置7とを備える。フレーム2を形成する金属は、例えばアルミニウム、鉄、又は金属光造形焼結材である。
【0014】
まず、大便器本体1について説明する。
【0015】
図2等に示すように、大便器本体1は、ボウル部11と、リム部13と、スカート部15とを一体に有する。ボウル部11は、上方に開放された椀状の部分であり、ボウル部11の下端部には、図示略の排水口が成形されている。ボウル部11に溜められた水は、排水口を通じて排出される。
【0016】
リム部13は、大便器本体1の上端部を構成する部分である。リム部13は、ボウル部11の上端部に連続するように成形されており、ボウル部11の上方に位置している。リム部13は、平面視において環状に成形されている。ボウル部11は、リム部13の中央の開口を通じて、上方に開放されている。
【0017】
スカート部15は、大便器本体1の側周部を構成する部分である。スカート部15は、リム部13の外周縁部に連続するように成形されており、リム部13の下方に位置している。スカート部15は、ボウル部11の周囲を囲むように成形されている。
【0018】
一実施形態の大便器本体1においては、ボウル部11、リム部13及びスカート部15が、継ぎ目なく連続して成形されている。ボウル部11とスカート部15は、リム部13を介して、円滑に連続して成形されている。
【0019】
次に、フレーム2について説明する。
【0020】
フレーム2は、フレーム2の上端部を構成する第1フレーム部21と、フレーム2の下端部を構成する第3フレーム部23と、第1フレーム部21と第3フレーム部23とをつなぐ第2フレーム部22とを含む。
【0021】
第1フレーム部21は、平面視において環状に形成された金属製のフレーム部材で、構成されている。第1フレーム部21は、大便器本体1のリム部13の内側に収容され、主としてリム部13の骨組みをなす。
【0022】
第3フレーム部23は、平面視においてU字状に形成された金属製のフレーム部材で、構成されている。U字状である第3フレーム部23の湾曲した中間部分が、第3フレーム部23の前端部をなし、第3フレーム部23の両端部が、第3フレーム部23の後端部をなしている。第3フレーム部23は、大便器8の設置フロアに置かれる部分であり、第1フレーム部21よりも小さな外形を有し、かつ第1フレーム部21の下方に位置する。
【0023】
第2フレーム部22は、第1フレーム部21と第3フレーム部23とを連結させる複数のフレーム部材221,222,223,224で、構成されている。複数のフレーム部材221,222,223,224は、4つの直線状のフレーム部材221,222,223,224である。
【0024】
4つのフレーム部材221,222,223,224は、前側の複数のフレーム部材221,222と、後ろ側の複数のフレーム部材223,224とを含む。前側の複数のフレーム部材221,222は、第1フレーム部21の前端部と第3フレーム部23の前端部とをつなぐ2つのフレーム部材221,222である。
【0025】
後ろ側の複数のフレーム部材223,224は、第1フレーム部21の後端部と第3フレーム部23の後端部とをつなぐ2つのフレーム部材223,224である。後ろ側の2つのフレーム部材223,224のうち1つが、U字状である第3フレーム部23の第1端部と、第1フレーム部21の後端部とを連結させている。2つのフレーム部材223,224のうち残りの1つが、第3フレーム部23の第2端部と、第1フレーム部21の後端部とを連結させている。
【0026】
フレーム2は、これらの部材を、たとえば溶接によって連結させたものである。つまり、フレーム2は、複数のフレーム部材221,222,223,224の上端部を、それぞれ第1フレーム部21の対応部分に溶接によって連結させ、かつ、複数のフレーム部材221,222,223,224の下端部を、それぞれ第3フレーム部23の対応部分に溶接によって連結させたものである。上記の連結手段は、溶接に限定されない。例えば、フレーム2を構成する複数の部材を、ボルト締結によって連結させることも可能であるし、かしめによって連結させることも可能である。
【0027】
上記のフレーム2において、第2フレーム部22は、第1フレーム部21から下方に延長された構造を有し、大便器本体1のスカート部15によって周囲を覆われている。
【0028】
次に、便座装置7について説明する。
【0029】
便座装置7は、装置本体71と、装置本体71に回転可能に連結された便座72と、装置本体71の別の部分に回転可能に連結された便蓋73とを備える。
【0030】
装置本体71は、ボウル部11の後方に位置するように、大便器本体1の後部の上面に設置されている。装置本体71には、図示略の給水装置が内蔵されており、給水装置がボウル部11内に洗浄水を供給することで、ボウル部11の内面を洗浄するように構成されている。装置本体71には、例えば局部洗浄装置、便座加熱装置、便蓋開閉装置等が更に内蔵されていることが好ましい。
【0031】
便座72は、左右方向に延びる回転軸まわりに回転可能である。便座72は、前方に倒れた姿勢において、大便器本体1のリム部13の上面に載置される。便座72が起立した姿勢では、大便器本体1のリム部13が露出する。
【0032】
便蓋73は、左右方向に延びる回転軸まわりに回転可能である。便蓋73は、前方に倒れた姿勢において、便座72の上方を覆い、かつボウル部11の上方を覆うように、リム部13の上面に載置される。便蓋73が起立した姿勢では、大便器本体1の便座72及びボウル部11が露出する。
【0033】
1-2.大便器本体の製造装置
図3には、大便器本体1を製造するための製造装置9を示している。製造装置9は、ボウル部11、リム部13及びスカート部15を一体に有する上記の合成樹脂製の大便器本体1を、熱可塑性樹脂製のシート材10(
図4A-
図4E参照)を用いて製造するための装置である。製造装置9は、真空成形法を用いて大便器本体1を成形する方法であって、より詳細には、プラグアシスト法を用いて大便器本体1を成形する方法である。
【0034】
製造装置9は、真空吸引可能に構成された第1コア31と、第1コア31に対して相対移動可能な第2コア32と、これらを収容可能なスペース50を形成するチャンバ5と、プラグとも称される補助型4とを備える。
【0035】
更に製造装置9は、チャンバ5のスペース50の上方にシート材10を保持することができる保持部55と、シート材10を加熱するためのヒータ56とを備える。保持部55は、例えばクランプである。
【0036】
図3に示すように、第1コア31は、平坦な上面を有するベース部312と、ベース部312の上面の中央部に設けられた凸型314とを有する。ベース部312は、中空部3125と、ベース部312の上面と中空部3125との間を上下に貫通する複数の吸気孔3127とを有する。凸型314は、ベース部312の上方に位置し、凸状に湾曲した成形面3143と、凸型314を上下に貫通する複数の吸気孔3145とを有する。複数の吸気孔3145は、凸型314の成形面3143とベース部312の中空部3125との間を、上下に貫通している。
【0037】
第2コア32は、水平方向に移動可能な複数のスライドコア321,322で構成されている。複数のスライドコア321,322は、例えば2つのスライドコア321,322である。
【0038】
複数のスライドコア321,322は、平面視において第1コア31の凸型314を囲んで位置するように、ベース部312上に設置されている。ベース部312上において、複数のスライドコア321,322は、互いに接近する方向に移動可能であり、また、互いに離間する方向に移動可能である。言い換えれば、複数のスライドコア321,322は、それぞれ凸型314に接近する方向に移動可能であり、また、それぞれ凸型314から離れる方向に移動可能である。
【0039】
複数のスライドコア321,322の各々は、凸型314に対向する成形面3213,3223を有する。これら成形面3213,3223は、上側の部分ほど互いに近づくように傾斜している。また、複数のスライドコア321,322は、互いに近づく方向に突出した突起部分3215,3225を、それぞれ有している。
【0040】
図4C等に示す補助型4は、シート材10を第1コア31に密着させるために、シート材10を上方から押さえ付ける部材である。一実施形態の製造装置9では、補助型4として、大便器本体1の内部に収容される金属製のフレーム2を用いている。つまり、補助型4は、金属製である第1、第2及び第3フレーム部21,22,23を、溶接、ボルト締結又はかしめによって連結させたものであり、成形された大便器本体1に残存することで、大便器8のフレーム2を構成する。
【0041】
チャンバ5は、チャンバ5のスペース50内にエアを供給可能な供給路51と、第1コア31の真空引きに用いられる吸気路52とを備える。供給路51は、保持部55に保持された状態のシート材10と、その下方に位置する第1及び第2コア31,32との間に、エアを供給可能に構成されている。吸気路52は、第1コア31に含まれるベース部312の中空部3125に連通している。一実施形態の製造装置9では、真空ポンプ等を用いて、吸気路52を介して中空部3125のエアを真空引きすることが可能である。
【0042】
1-3.大便器の製造方法
一実施形態の大便器8の製造方法は、
図4A-
図4Eに示す本体製造工程を備える。本体製造工程は、ボウル部11、リム部13及びスカート部15を一体に有する上記の大便器本体1を製造する工程である。
【0043】
本体製造工程は、シート材加熱工程と、プリブロー工程と、ボウル部成形工程と、リム部成形工程と、スカート部成形工程と、取出工程とを含む。シート材加熱工程の後にプリブロー工程が実行され、プリブロー工程の後にボウル部成形工程、リム部成形工程及びスカート部成形工程が実行される。ボウル部成形工程、リム部成形工程及びスカート部成形工程は、並行して実行され、その後に取出工程が実行される。
【0044】
シート材加熱工程は、保持部55に保持された状態のシート材10を、ヒータ56で加熱する工程である(
図4A参照)。この工程では、シート材10をその上方及び下方から加熱しているが、シート材10をその上方又は下方から加熱してもよい。
【0045】
プリブロー工程では、加熱により軟化したシート材10を、第1及び第2コア31,32の上方に覆うようにセットし、供給路51を通じてチャンバ5のスペース50内にエアを供給する(
図4B参照)。これにより、シート材10の全体が上方に向けて膨らみ、シート10がある程度まで伸長する。
【0046】
次いで、
図4Cに示すように、シート材10の上にセットした補助型4を、下方に移動させていく。軟化したシート材10に補助型4が押し付けられることで、シート材10が変形する。
【0047】
ここにおいて、補助型4は、保持具59によって保持されている。保持具59は、補助型4の上部を構成する第3フレーム部23を、例えば負圧によって着脱可能に吸着するが、補助型4の別の部分を着脱可能に吸着することも可能である。保持具59は、補助型4を例えば磁気的に吸着するものでもよいし、他の手段で保持するものでもよい。
【0048】
補助型4の下部を構成する第1フレーム部21がシート材10に押し当ることで、シート材10の第1部分10aは、凸型314の成形面3143に押し当てられ、シート材10の第1部分10aに隣接した第2部分10bは、ベース部312の一部の上面に押し当てられる。このとき、シート材10の第2部分10bに隣接した第3部分10cは、ベース部312と第2コア32との間で、張りを与えられた状態にある。シート材10には、第2コア32のうち各スライドコア321,322の突起部分3215,3225が当たっている。
【0049】
次いで、
図4Dに示すように、各スライドコア321,322を、凸型314に接近する方向に移動させる。これにより、シート材10の第3部分10cは、各スライドコア321,322の成形面3213,3223に押し当てられる。このとき、各スライドコア321,322の突起部分3215,3225は、補助型4の上部を構成する第3フレーム部23よりも、上方に位置する。
【0050】
次いで、
図4Eに示すように、第1コア31の真空引きを行って、大便器本体1をより詳細に成形する。つまり、真空ポンプ等を用いて、吸気路52を介して中空部3125のエアを真空引きすると、シート材10の第1部分10aは、凸型314の成形面3143に負圧によって一層密着し、これにより第1部分10aがボウル部11となるように詳細に成形される。
【0051】
加えて、シート材10の第2部分10bは、ベース部312の上面に負圧によって一層密着し、第2部分10bがリム部13となるように詳細に成形される。これにより、大便器本体1のリム部13の上面は、平坦に成形される。
【0052】
シート材10の第3部分10cは、複数のスライドコア321,322の成形面3213,3223に押し当り、これにより第3部分10cがスカート部15となるように成形される。
【0053】
取出工程では、上記の手順で変形させたシート材10を、保持部55から解放することによって取り出す。取り出されたシート材10に対して、後工程でトリミングやNC加工を施すことで、不要部分が除去された大便器本体1が得られる。ここで得られた大便器本体1には、補助型4が残存しており、これが大便器8のフレーム2を構成するため、後の工程で別途フレームを組み込む必要がない。
【0054】
図4Cから
図4Eに示す上記の手順で、ボウル部成形工程、リム部成形工程及びスカート部成形工程が実行される。つまり、ボウル部成形工程では、熱可塑性樹脂製のシート材10に第1コア31が当てられ、真空成形によってボウル部11が成形される。リム部成形工程では、シート材10に第1コア31と補助型4とが当てられ、真空成形によってリム部13が成形される。スカート部成形工程では、シート材10に第2コア32が当てられることで、補助型4の周囲を覆うようにスカート部15が成形される。一実施形態においては、第2コア32がスライドコア321,322で構成されていることから、成形後の大便器本体1から補助型4が脱落することは抑えられている。
【0055】
一実施形態の製造方法においては、製造の効率を高めるために、第1コア31の少なくとも一部には、摩擦力を高める表面処理又はコーティングが施されていることが好ましい。これにより、成形後のボウル部11の厚みが確保されやすいという利点がある。第1コア31に施される表面処理は、例えば溶射である。第1コア31に施されるコーティングは、例えばアクリル系、ポリウレタン系、エポキシ系、アミノアルキッド(メラニン樹脂)、又はシリコン系の樹脂コーティングである。
【0056】
また、第2コア32の少なくとも一部には、滑り性を高める表面処理又はコーティングが施されていることが好ましい。これにより、成形後のスカート部15に、しわ等の成形不良を生じることが効果的に抑えられる。第2コア32に施される表面処理は、例えばショットブラスト処理である。第2コア32に施されるコーティングは、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFT)系、又はモリブデン含有樹脂系の樹脂コーティングである。第2コア32のうち、滑り性を高める表面処理又はコーティングが施される部分は、例えば、特にシート材10が摺接する突起部分3215,3225を含むことが好ましい。第2コア32のうち突起部分3215,3225にだけ、滑り性を高める表面処理又はコーティングが施されることも好ましい。
【0057】
また、補助型4の少なくとも一部には、滑り性を高める表面処理又はコーティングが施されていることが好ましい。これにより、補助型4を用いたプラグアシスト法においてシート材10に破れを生じることが抑えられ、また、大便器本体1に成形不良が生じること(特にスカート部15に成形不良が生じること)が効果的に抑えられる。補助型4に施される表面処理は、例えばショットブラスト処理、ピーニング処理である。補助型4に施されるコーティングは、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFT)系、モリブデン含有樹脂系の樹脂コーティング、又はシリコンコーティングである。補助型4のうち、滑り性を高める表面処理又はコーティングが施される部分は、例えば、補助型4の下面を含むことが好ましい。補助型4の下面にだけ、滑り性を高める表面処理又はコーティングが施されることも好ましい。補助型4の下面は、補助型4のうちシート材10の第2部分10bに押し当る面であり、言い換えれば、第1フレーム部21の下面(製造された大便器8においては第1フレーム部21の上面)である。
【0058】
また、大便器本体1の成型に用いる熱可塑性樹脂製のシート材10は、ひずみ硬化性を有することが好ましい。ひずみ硬化性は、材料が伸長していくときに所定のひずみ量に到達した後は、急激に粘度が増加する性質である。シート材10がひずみ硬化性を有することで、例えばスカート部15の一部が薄肉になる等の成形不良の発生が、効果的に抑えられる。
【0059】
2.変形例
以上、本開示の大便器の製造方法、大便器本体の製造装置及び大便器を、添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本開示は前記の実施形態に限定されない。本開示の意図する範囲内であれば、例えば下記の変形例のように、適宜の設計変更を行うことが可能である。以下の説明において、一実施形態と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略し、一実施形態とは異なる構成について詳述する。
【0060】
図5には、第1変形例において大便器本体1を製造する一工程の要部を示している。第1変形例においては、第1コア31が、サブスライドコア35を含んでいる。具体的には、第1コア31のうち、ボウル部11を成形するための凸型314が、複数のサブスライドコア35を含んでいる。複数のサブスライドコア35の各々は、凸型314の一部から側方に突没可能に設けられており、大便器本体1のうちアンダーカット形状を有する部分17を成形するように構成されている。
【0061】
第1変形例において、複数のサブスライドコア35は、凸型314の上部に設けられた第1サブスライドコア35aと、凸型314の下部に設けられた第2サブスライドコア35bと、凸型314の下部の別の位置に設けられた第3サブスライドコア35cとを含む。
【0062】
第1サブスライドコア35aが成形する大便器本体1の部分17は、排水口部17aである。排水口部17aは、製造された大便器8においてボウル部11の下部から側方に突出する。第2サブスライドコア35bが成形する大便器本体1の部分17は、洗浄水のガイド溝部17bである。ガイド溝部17bは、製造された大便器8においてボウル部11の上部に設けられる。第3サブスライドコア35cが成形する大便器本体1の部分17は、吐水口部17cである。吐水口部17cは、製造された大便器8においてボウル部11の上部から側方に突出する。
【0063】
なお、第1コア31が、第1、第2及び第3サブスライドコア35a,35b,35cのうち一部だけを含むことも可能である。また、同様の機能を有するサブスライドコア35が第2コア32に含まれてもよいし、第1コア31と第2コア32の両方に含まれてもよい。
【0064】
図6には、第2変形例において大便器本体1を製造する一工程の要部を示している。第2変形例においては、第2コア32に含まれる2つのスライドコア321,322が、一実施形態のように互いに反対の向きに移動するのではなく、角度をもって移動するように構成されている。
【0065】
2つのスライドコア321,322が凸型314に向けて移動するとき、2つのスライドコア321,322が移動する向きは、例えば60°から120°の範囲内の角度をなすことが好ましい。2つのスライドコア321,322が角度をもって移動することで、成形後のスカート部15に、しわ等の成形不良を生じることが効果的に抑えられる。
【0066】
また、図示はしないが、第2コア32を一実施形態のようなスライド式でなく、固定式とすることも可能である。
【0067】
3.態様
以上、一実施形態及びこれの各種変形例に基づいて説明したように、本開示の第1の態様に係る大便器の製造方法は、ボウル部(11)、リム部(13)及びスカート部(15)を一体に有する合成樹脂製の大便器本体(1)を製造する工程を備える。この工程では、熱可塑性樹脂製のシート材(10)に第1コア(31)を当てることで、ボウル部(11)を成形し、シート材(10)に第1コア(31)と補助型(4)とを当てることで、リム部(13)を成形し、シート材(10)に第2コア(32)を当てることで、スカート部(15)を成形する。
【0068】
本開示の第1の態様に係る大便器の製造方法によれば、ボウル部(11)、リム部(13)及びスカート部(15)を一体的に成形することができ、シンプルな構造の大便器(8)を、効率的に提供することが可能である。
【0069】
本開示の第2の態様に係る大便器の製造方法では、第1の態様において、補助型(4)は、成形された大便器本体(1)に残存することで、大便器(8)のフレーム(2)を構成する。
【0070】
本開示の第2の態様に係る大便器の製造方法によれば、フレーム(2)によって大便器本体(1)の強度を確保することができ、また、後の工程でフレーム(2)を大便器本体(1)内に収容する必要がないため、生産効率を向上させることができる。
【0071】
本開示の第3の態様に係る大便器の製造方法では、第2の態様において、補助型(4)は、複数の部材(21,22,23)を、かしめ、溶接又はボルト締結によって連結させたものである。
【0072】
本開示の第3の態様に係る大便器の製造方法によれば、複数の部材(21,22,23)を組み合わせた多様な形状の補助型(4)を用いて、大便器本体(1)を効率的に製造することができる。
【0073】
本開示の第4の態様に係る大便器の製造方法では、第2又は第3の態様において、補助型(4)は金属製である。
【0074】
本開示の第4の態様に係る大便器の製造方法によれば、補助型(4)ひいては残存後のフレーム(2)の強度を、確保することができる。
【0075】
本開示の第5の態様に係る大便器の製造方法では、第2から第4のいずれか1つの態様において、スカート部(15)は、補助型(4)の周囲を覆うように成形される。
【0076】
本開示の第5の態様に係る大便器の製造方法によれば、大便器本体(1)の成形に用いた補助型(4)を、スカート部(15)に隠れるように残存させ、大便器本体(1)に覆われたフレーム(2)として利用することができる。
【0077】
本開示の第6の態様に係る大便器の製造方法では、第5の態様において、スカート部(15)は、第2コア(32)を構成するスライドコア(321,322)によって、補助型(4)の周囲を覆うように成形される。
【0078】
本開示の第6の態様に係る大便器の製造方法によれば、スライドコア(321,322)を利用してスカート部(15)を効率的に成形することができ、また、成形後のスカート部(15)によって補助型(4)の大便器本体(1)からの脱落を防止することが可能である。
【0079】
本開示の第7の態様に係る大便器の製造方法では、第1から第6のいずれか1つの態様において、補助型(4)の少なくとも一部には、滑り性を高める表面処理又はコーティングが施されている。
【0080】
本開示の第7の態様に係る大便器の製造方法によれば、補助型(4)を用いたプラグアシスト法においてシート材(10)に破れを生じることが抑えられ、また、大便器本体(1)に成形不良を生じることが抑えられる。
【0081】
本開示の第8の態様に係る大便器の製造方法では、第1から第7のいずれか1つの態様において、シート材(10)は、ひずみ硬化性を有する。
【0082】
本開示の第8の態様に係る大便器の製造方法によれば、成形後の大便器本体(1)の一部が薄肉になるといった成形不良の発生が、効果的に抑えられる。
【0083】
本開示の第9の態様に係る大便器の製造方法では、第1から第8のいずれか1つの態様において、第1コア(31)と第2コア(32)の少なくとも一方は、サブスライドコア(35)を含み、サブスライドコア(35)によって、大便器本体(1)のうちアンダーカット形状を有する部分(17)を、成形する。
【0084】
本開示の第9の態様に係る大便器の製造方法によれば、多様なアンダーカット形状を有する大便器本体(1)を、効率的に製造することができる。
【0085】
本開示の第10の態様に係る大便器の製造方法では、第1から第9のいずれか1つの態様において、第1コア(31)の少なくとも一部には、摩擦力を高める表面処理又はコーティングが施されている。
【0086】
本開示の第10の態様に係る大便器の製造方法によれば、成形後のボウル部(11)の厚みが確保されやすくなる。
【0087】
本開示の第11の態様に係る大便器の製造方法では、第1から第10のいずれか1つの態様において、第2コア(32)の少なくとも一部には、滑り性を高める表面処理又はコーティングが施されている。
【0088】
本開示の第11の態様に係る大便器の製造方法によれば、成形後のスカート部(15)に、しわ等の成形不良を生じることが効果的に抑えられる。
【0089】
本開示の第12の態様に係る大便器本体の製造装置(9)は、ボウル部(11)、リム部(13)及びスカート部(15)を一体に有する合成樹脂製の大便器本体(1)を、熱可塑性樹脂製のシート材(10)を用いて製造する装置であって、シート材(10)に当たることでボウル部(11)を成形する第1コア(31)と、第1コア(31)と共にシート材(10)に当たることでリム部(13)を成形する補助型(4)と、シート材(10)に当たることでスカート部(15)を成形する第2コア(32)とを備える。
【0090】
本開示の第12の態様に係る大便器本体の製造装置(9)によれば、ボウル部(11)、リム部(13)及びスカート部(15)を一体的に成形することができ、シンプルな構造の大便器(8)を、効率的に提供することが可能である。
【0091】
本開示の第13の態様に係る大便器本体の製造装置(9)では、第12の態様において、補助型(4)は、成形された大便器本体(1)に残存し、大便器(8)のフレーム(2)をなすように構成されている。
【0092】
本開示の第13の態様に係る大便器本体の製造装置(9)によれば、フレーム(2)によって大便器本体(1)の強度を確保することができ、また、後の工程でフレーム(2)を大便器本体(1)内に収容する必要がないため、生産効率を向上させることができる。
【0093】
本開示の第14の態様に係る大便器本体の製造装置(9)では、第13の態様において、補助型(4)は、複数の部材(21,22,23)を、かしめ、溶接又はボルト締結によって連結させたものである。
【0094】
本開示の第14の態様に係る大便器本体の製造装置(9)によれば、複数の部材(21,22,23)を組み合わせた多様な形状の補助型(4)を用いて、大便器本体(1)を効率的に製造することができる。
【0095】
本開示の第15の態様に係る大便器本体の製造装置(9)では、第13又は第14の態様において、補助型(4)は金属製である。
【0096】
本開示の第15の態様に係る大便器本体の製造装置(9)によれば、補助型(4)ひいては残存後のフレーム(2)の強度を、確保することができる。
【0097】
本開示の第16の態様に係る大便器本体の製造装置(9)では、第13から第15のいずれか1つの態様において、第2コア(32)は、スカート部(15)を、補助型(4)の周囲を覆うように成形する。
【0098】
本開示の第16の態様に係る大便器本体の製造装置(9)によれば、大便器本体(1)の成形に用いた補助型(4)を、スカート部(15)に隠れるように残存させ、大便器本体(1)に覆われたフレーム(2)として利用することができる。
【0099】
本開示の第17の態様に係る大便器本体の製造装置(9)では、第16の態様において、第2コア(32)は、スライドコア(321,322)である。
【0100】
本開示の第17の態様に係る大便器本体の製造装置(9)によれば、スライドコア(321,322)を利用してスカート部(15)を効率的に成形することができ、また、成形後のスカート部(15)によって補助型(4)の大便器本体(1)からの脱落を防止することが可能である。
【0101】
本開示の第18の態様に係る大便器本体の製造装置(9)では、第12から第17のいずれか1つの態様において、補助型(4)の少なくとも一部には、滑り性を高める表面処理又はコーティングが施されている。
【0102】
本開示の第18の態様に係る大便器本体の製造装置(9)によれば、補助型(4)を用いたプラグアシスト法においてシート材(10)に破れを生じることが抑えられ、また、大便器本体(1)に成形不良を生じることが抑えられる。
【0103】
本開示の第19の態様に係る大便器本体の製造装置(9)では、第12から第18のいずれか1つの態様において、第1コア(31)と第2コア(32)の少なくとも一方は、サブスライドコア(35)を含み、サブスライドコア(35)は、大便器本体(1)のうちアンダーカット形状を有する部分(17)を成形する。
【0104】
本開示の第19の態様に係る大便器本体の製造装置(9)によれば、多様なアンダーカット形状を有する大便器本体(1)を、効率的に製造することができる。
【0105】
本開示の第20の態様に係る大便器本体の製造装置(9)では、第12から第19のいずれか1つの態様において、第1コア(31)の少なくとも一部には、摩擦力を高める表面処理又はコーティングが施されている。
【0106】
本開示の第20の態様に係る大便器本体の製造装置(9)によれば、成形後のボウル部(11)の厚みが確保されやすくなる。
【0107】
本開示の第21の態様に係る大便器本体の製造装置(9)では、第12から第20のいずれか1つの態様において、第2コア(32)の少なくとも一部には、滑り性を高める表面処理又はコーティングが施されている。
【0108】
本開示の第21の態様に係る大便器本体の製造装置(9)によれば、成形後のスカート部(15)に、しわ等の成形不良を生じることが効果的に抑えられる。
【0109】
本開示の第22の態様に係る大便器(8)は、ボウル部(11)、リム部(13)及びスカート部(15)を有する大便器本体(1)と、大便器本体(1)に収容されたフレーム(2)とを備える。大便器本体(1)は、ボウル部(11)、リム部(13)及びスカート部(15)が、一枚の合成樹脂製のシート材(10)を用いて成形されたものである。フレーム(2)は、リム部(13)の骨組みをなす第1フレーム部(21)と、第1フレーム部(21)から延長され、スカート部(15)によって周囲を覆われた第2フレーム部(22)とを含む。
【0110】
本開示の第22の態様に係る大便器(8)によれば、大便器本体(1)が、ボウル部(11)、リム部(13)及びスカート部(15)が、継ぎ目なく連続して成形されたシンプルな構造を有するとともに、大便器(8)の強度は、大便器本体(1)に覆われたフレーム(2)によって確保される。そのため、シンプルな構造の大便器(8)を、効率的に提供することができる。
【符号の説明】
【0111】
1 大便器本体
10 シート材
11 ボウル部
13 リム部
15 スカート部
17 部分
2 フレーム
21 第1フレーム部
22 第2フレーム部
31 第1コア
32 第2コア
321 スライドコア
322 スライドコア
35 サブスライドコア
4 補助型
8 大便器
9 製造装置