IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社PFUの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191922
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】画像読取装置及びローラ制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20221221BHJP
   B65H 1/00 20060101ALI20221221BHJP
   B65H 3/52 20060101ALI20221221BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20221221BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20221221BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
H04N1/12 Z
B65H1/00 501Z
B65H3/52 330B
B65H7/14
H04N1/00 567M
H04N1/00 567J
G06T1/00 430J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100445
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 和彦
【テーマコード(参考)】
3F048
3F343
5B047
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
3F048AA04
3F048AB02
3F048BA05
3F048BB02
3F048BD07
3F048CA02
3F048CA08
3F048CC02
3F048DA04
3F048DC11
3F048DC17
3F048EB23
3F048EB24
3F343FA03
3F343FB03
3F343FC05
3F343GA02
3F343GB02
3F343GC01
3F343GD01
3F343JD09
3F343JD34
3F343KB05
3F343LA03
3F343LA16
3F343LC19
3F343LC22
3F343LD28
3F343MA14
3F343MA35
3F343MB03
3F343MB14
3F343MC03
3F343MC17
5B047AA01
5B047BA01
5B047BB02
5B047BB04
5B047BC18
5B047BC20
5B047BC23
5B047CA02
5B047CA09
5B047CB11
5B047CB22
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB25
5C062AB31
5C062AB41
5C062AB42
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC11
5C062AC22
5C062AC69
5C062AC70
5C072AA01
5C072BA20
5C072DA25
5C072EA07
5C072EA08
5C072FB25
5C072NA01
5C072NA04
5C072RA01
5C072RA10
5C072UA13
5C072WA02
(57)【要約】
【課題】二つ折原稿の原稿ジャムを防止すること。
【解決手段】スキャナ1において、プロセッサ21は、ピックローラ41を左回り方向に回転させると同時にブレーキローラ42を左回り方向に回転させることにより、給紙トレイ11に載置された複数の原稿のうちピックローラ41側の最も外側の原稿を複数の原稿から分離可能な第一回転モードを実行し、第一回転モードの実行後、給紙トレイ11から搬送路Pへ搬送中の原稿である搬送中原稿が二つ折原稿であるか否かを判定し、搬送中原稿が二つ折原稿であると判定したときに、ピックローラ41を停止させると同時にブレーキローラ42を右回り方向に回転させる第二回転モードを実行し、第二回転モードを実行後、第一ローラを第一方向に回転させると同時に第二ローラを第二方向に回転させる第三回転モードを実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が載置されるトレイと、
前記原稿が搬送される搬送路と、
前記搬送路を搬送中の前記原稿の画像を読み取るイメージセンサと、
前記原稿を前記トレイから前記搬送路へ搬送する一対のローラであって、前記原稿を挟んで互いに対向して配置された第一ローラ及び第二ローラの前記一対のローラと、
前記第一ローラを第一方向に回転させると同時に前記第二ローラを前記第一方向に回転させることにより、前記トレイに載置された複数の原稿のうち前記第一ローラ側の最も外側の原稿を前記複数の原稿から分離可能な第一回転モードを実行し、
前記第一回転モードの実行後、前記トレイから前記搬送路へ搬送中の原稿である搬送中原稿が、二つ折りになった原稿である二つ折原稿であるか否かを判定し、
前記搬送中原稿が前記二つ折原稿であると判定したときに、前記第一ローラを停止させると同時に前記第二ローラを前記第一方向と逆の第二方向に回転させる第二回転モードを実行し、
前記第二回転モードを実行後、前記第一ローラを前記第一方向に回転させると同時に前記第二ローラを前記第二方向に回転させる第三回転モードを実行するプロセッサと、
を具備する画像読取装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記搬送中原稿において前記第一ローラに接している用紙と、前記搬送中原稿において前記第二ローラに接している用紙との間に、閾値以上の角度がついたずれが存在するときに、前記搬送中原稿が前記二つ折原稿であると判定する、
請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記搬送中原稿が前記二つ折原稿であると判定したときに、前記ずれの前記角度に応じて、前記第二回転モードにおける前記第二ローラの回転角を決定する、
請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記搬送中原稿が前記二つ折原稿であると判定したときに、前記ずれの前記角度の大きさが閾値未満になるまで前記第二回転モードの実行を継続する、
請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記第一回転モードの実行中に前記搬送中原稿の搬送方向における先端付近の画像を撮影する撮影部、をさらに具備し、
前記プロセッサは、前記画像に基づいて前記搬送中原稿が前記二つ折原稿であるか否かを判定する、
請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記搬送中原稿の搬送方向と垂直な方向、かつ、前記搬送中原稿の幅方向に沿って間隔を開けて配置された第一センサ及び第二センサであって、前記第一回転モードの実行中に前記搬送中原稿の前記搬送方向における先端付近の互いに異なる位置での厚さを検出する前記第一センサ及び前記第二センサ、をさらに具備し、
前記プロセッサは、前記第一センサによって検出された厚さが原稿二枚分以上の厚さで、かつ、前記第二センサによって検出された厚さが原稿二枚分未満の厚さであるときに、前記搬送中原稿が前記二つ折原稿であると判定する、
請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記二つ折原稿の搬送方向における先端に衝突することにより前記二つ折原稿の前記搬送方向への搬送を抑制する抑制部、をさらに具備し、
前記プロセッサは、前記第二回転モードを実行中は前記抑制部による前記搬送の抑制を有効にする一方で、前記第三回転モードの実行中は前記抑制部による前記搬送の抑制を解除する、
請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項8】
原稿が載置されるトレイと、
前記原稿が搬送される搬送路と、
前記搬送路を搬送中の前記原稿の画像を読み取るイメージセンサと、
前記原稿を前記トレイから前記搬送路へ搬送する一対のローラであって、前記原稿を挟んで互いに対向して配置された第一ローラ及び第二ローラの前記一対のローラと、
を具備する画像読取装置におけるローラ制御方法であって、
前記第一ローラを第一方向に回転させると同時に前記第二ローラを前記第一方向に回転させることにより、前記トレイに載置された複数の原稿のうち前記第一ローラ側の最も外側の原稿を前記複数の原稿から分離可能な第一回転モードを実行し、
前記第一回転モードの実行後、前記トレイから前記搬送路へ搬送中の原稿である搬送中原稿が、二つ折りになった原稿である二つ折原稿であるか否かを判定し、
前記搬送中原稿が前記二つ折原稿であると判定したときに、前記第一ローラを停止させると同時に前記第二ローラを前記第一方向と逆の第二方向に回転させる第二回転モードを実行し、
前記第二回転モードの実行後、前記第一ローラを前記第一方向に回転させると同時に前記第二ローラを前記第二方向に回転させる第三回転モードを実行する、
ローラ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像読取装置及びローラ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置の中には、給紙トレイに載置されている複数の原稿の画像を順に読み取るものがある。画像読取装置の一例として、スキャナ、コピー機等が挙げられる。給紙トレイに載置されている複数の原稿は、給紙トレイに載置されている複数の原稿のうちの最上の原稿(以下では「最上原稿」と呼ぶことがある)、または、給紙トレイに載置されている複数の原稿のうちの最下の原稿(以下では「最下原稿」と呼ぶことがある)から順に画像読取装置の中に取り込まれる。以下では、給紙トレイに載置されている複数の原稿を最上原稿から順に取り込むタイプの画像読取装置を「上取りタイプ装置」と呼び、給紙トレイに載置されている複数の原稿を最下原稿から順に取り込むタイプの画像読取装置を「下取りタイプ装置」と呼ぶことがある。
【0003】
給紙トレイに載置されている複数の原稿からの最上原稿または最下原稿の分離は、ピックローラとブレーキローラとを用いて行われることがある。ピックローラ及びブレーキローラは、原稿が搬送される搬送路の始点付近に互いに対向して配置された一対のローラであって、給紙トレイに載置されている複数の原稿を最上原稿または最下原稿から順に分離し、分離後の原稿を給紙トレイから搬送路へ搬送する。ピックローラとブレーキローラとが互いに同方向に回転することにより、給紙トレイに載置された複数の原稿から最上原稿または最下原稿を分離可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-302376号公報
【特許文献2】特開2012-188279号公報
【特許文献3】特開2017-210368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
給紙トレイには、折られていない原稿(以下では「非折原稿」と呼ぶことがある)の他に、二つ折りになった原稿(以下では「二つ折原稿」と呼ぶことがある)が給紙トレイに載置されることがある。例えば、A3サイズの原稿が二つ折りにされた場合は、A4サイズの二つ折原稿が完成する。以下では、二つ折原稿において、上方側の用紙を「上方側用紙」と呼び、下方側の用紙を「下方側用紙」と呼ぶことがある。つまり、二つ折原稿は、上方側用紙と下方側用紙とが折り目を介して結合されている一枚の原稿である。
【0006】
ピックローラとブレーキローラとによる上記のような原稿の分離が二つ折原稿に対して行われると、上方側用紙と下方側用紙との間に角度がついた「ずれ」(以下では「原稿ずれ」と呼ぶことがある)が生じることがある。例えば、上取りタイプ装置では、上方側用紙がピックローラに接する一方で下方側用紙がブレーキローラに接するため、上方側用紙に対する下方側用紙の原稿ずれが生じる。また例えば、下取りタイプ装置では、下方側用紙がピックローラに接する一方で上方側用紙がブレーキローラに接するため、下方側用紙に対する上方側用紙の原稿ずれが生じる。
【0007】
大きい原稿ずれを有する二つ折原稿が搬送路を搬送されると、搬送路において原稿ジャムが発生する可能性が高くなる。
【0008】
そこで、本開示では、二つ折原稿の原稿ジャムを防止できる技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の画像読取装置は、原稿が載置されるトレイと、前記原稿が搬送される搬送路と、前記搬送路を搬送中の前記原稿の画像を読み取るイメージセンサと、前記原稿を前記トレイから前記搬送路へ搬送する一対のローラと、プロセッサとを有する。前記一対のローラは、前記原稿を挟んで互いに対向して配置された第一ローラ及び第二ローラである。前記プロセッサは、前記第一ローラを第一方向に回転させると同時に前記第二ローラを前記第一方向に回転させることにより、前記トレイに載置された複数の原稿のうち前記第一ローラ側の最も外側の原稿を前記複数の原稿から分離可能な第一回転モードを実行する。また、前記プロセッサは、前記第一回転モードの実行後、前記トレイから前記搬送路へ搬送中の原稿である搬送中原稿が、二つ折りになった原稿である二つ折原稿であるか否かを判定する。また、前記プロセッサは、前記搬送中原稿が前記二つ折原稿であると判定したときに、前記第一ローラを停止させると同時に前記第二ローラを前記第一方向と逆の第二方向へ回転させる第二回転モードを実行する。また、前記プロセッサは、前記第二回転モードを実行後、前記第一ローラを前記第一方向へ回転させると同時に前記第二ローラを前記第二方向へ回転させる第三回転モードを実行する。
【発明の効果】
【0010】
開示の技術によれば、二つ折原稿の原稿ジャムを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の実施例1のスキャナの構成例を示す図である。
図2図2は、本開示の実施例1のスキャナの構成例を示す図である。
図3図3は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図4図4は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図5図5は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図6図6は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図7図7は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図8図8は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図9図9は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図10図10は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図11図11は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図12図12は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図13図13は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図14図14は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図15図15は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図16図16は、本開示の実施例1のスキャナにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
図17図17は、本開示の実施例2のスキャナにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
図18図18は、本開示の実施例3のスキャナの構成例を示す図である。
図19図19は、本開示の実施例3のスキャナの構成例を示す図である。
図20図20は、本開示の実施例3のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図21図21は、本開示の実施例3のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図22図22は、本開示の実施例3のスキャナにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
図23図23は、本開示の実施例4のスキャナの構成例を示す図である。
図24図24は、本開示の実施例4のスキャナの構成例を示す図である。
図25図25は、本開示の実施例4のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図26図26は、本開示の実施例4のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図27図27は、本開示の実施例4のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図28図28は、本開示の実施例4のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図29図29は、本開示の実施例4のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図30図30は、本開示の実施例4のスキャナの動作例の説明に供する図である。
図31図31は、本開示の実施例4のスキャナにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
図32図32は、本開示の実施例5のスキャナの構成例を示す図である。
図33図33は、本開示の実施例5のスキャナの構成例を示す図である。
図34図34は、本開示の実施例5のスキャナにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
図35図35は、本開示の実施例6のスキャナの構成例を示す図である。
図36図36は、本開示の実施例6のスキャナの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施例を図面に基づいて説明する。以下の実施例において同一の構成、及び、同一の処理を行うステップには同一の符号を付す。
【0013】
以下では、画像読取装置の一例として、スキャナについて説明する。しかし、開示の技術が適用可能な画像読取装置はスキャナに限定されない。例えば、コピー機等のスキャナ以外の画像読取装置にも開示の技術を適用可能である。
【0014】
[実施例1]
<スキャナの構成>
図1,2は、本開示の実施例1のスキャナの構成例を示す図である。図1,2に示すスキャナ1は、下取りタイプ装置である。
【0015】
図1において、スキャナ1は、給紙トレイ11と、下部筐体12と、上部筐体13と、原稿挿入口14と、搬送路Pと、搬送ローラ26-1,26-2と、イメージセンサ17-1,17-2と、排出ローラ27-1,27-2と、原稿排出口15と、プロセッサ21と、メモリ22と、ディスプレイ28とを有する。給紙トレイ11には、複数の原稿Dを載置可能である。上部筐体13と下部筐体12との間に、原稿Dが搬送される搬送路Pが形成される。以下では、イメージセンサ17-1,17-2を「イメージセンサ17」と総称することがある。イメージセンサ17の一例として、CIS(Contact Image Sensor)が挙げられる。プロセッサ21の一例として、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。メモリ22の一例として、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等が挙げられる。ディスプレイ28の一例として、LCD(Liquid Crystal Display)が挙げられる。
【0016】
また、図1,2において、スキャナ1は、ピックローラ41と、ブレーキローラ42と、エリアセンサ31とを有する。エリアセンサ31は、縦方向及び横方向の二次元に並んだ複数の撮像素子を有し、搬送路Pを搬送される原稿Dの画像を二次元的に撮影する。エリアセンサ31は、給紙トレイ11から搬送路Pへと搬送される原稿Dの搬送方向CDにおける先端付近の幅方向の全域の画像を撮影する。エリアセンサ31は、原稿Dの画像を二次元的に撮影する「撮影部」の一例である。
【0017】
なお、原稿Dの幅方向の全域を撮影可能な広角レンズを有するエリアセンサがエリアセンサ31として用いられると良い。また、単一のエリアセンサでは原稿Dの幅方向の全域を撮影することが困難な場合は、原稿Dの幅方向に沿って複数のエリアセンサを配置し、プロセッサ21が、複数のエリアセンサで撮影された複数の画像を合成することにより、原稿Dの幅方向の全域の画像を取得しても良い。
【0018】
上部筐体13には、ブレーキローラ42と、エリアセンサ31と、搬送ローラ26-1と、イメージセンサ17-1と、排出ローラ27-1と、ディスプレイ28とが格納される。下部筐体12には、プロセッサ21と、メモリ22と、ピックローラ41と、搬送ローラ26-2と、イメージセンサ17-2と、排出ローラ27-2とが格納される。以下では、搬送ローラ26-1,26-2を「搬送ローラ26」と総称することがある。
【0019】
ピックローラ41及びブレーキローラ42は、原稿Dが搬送される搬送路Pの始点付近(つまり、原稿Dが挿入される原稿挿入口14の終点付近)に原稿Dを挟んで互いに対向して配置された一対のローラである。ピックローラ41は、左回り方向(反時計回り方向)に回転する一方で、ブレーキローラ42は、左回り方向及び右回り方向(時計回り方向)の双方に回転可能である。ブレーキローラ42の回転方向はプロセッサ21によって切り替えられる。ピックローラ41とブレーキローラ42との間に原稿Dが存在しない状態において、ピックローラ41の外周面とブレーキローラ42の外周面とが互いに接する。以下では、ピックローラ41の外周面とブレーキローラ42の外周面とが互いに接する領域を「ニップ領域」と呼ぶことがある。また以下では、ピックローラ41及びブレーキローラ42の左回り方向(反時計回り方向)の回転を「順回転」と呼び、ピックローラ41及びブレーキローラ42の右回り方向(時計回り方向)の回転を「逆回転」と呼ぶことがある。
【0020】
搬送ローラ26-1及び排出ローラ27-1は右回り方向に回転する一方で、搬送ローラ26-2及び排出ローラ27-2は左回り方向に回転する。これにより、原稿Dは搬送路Pを搬送方向CDへ搬送される。
【0021】
スキャナ1は下取りタイプ装置であるため、給紙トレイ11に複数の原稿Dが載置された場合、ピックローラ41及びブレーキローラ42が同時に順回転することにより、給紙トレイ11に載置された複数の原稿Dにおいて最下原稿から最上原稿に向かって順に各々の原稿Dが分離され、分離後の原稿Dが給紙トレイ11から原稿挿入口14を介して搬送路Pへ搬送される。つまり、スキャナ1は、ピックローラ41を左回り方向に回転させると同時にブレーキローラ42を左回り方向に回転させることにより、給紙トレイ11に載置された複数の原稿Dのうちピックローラ41側の最も外側の原稿(以下では「最外原稿」と呼ぶことがある)を複数の原稿Dから分離可能な回転モード(以下では「第一回転モード」と呼ぶことがある)を有する。下取りタイプ装置では最下原稿が最外原稿に相当し、上取りタイプ装置では最上原稿が最外原稿に相当する。
【0022】
搬送路Pに取り込まれた各々の原稿Dは、搬送ローラ26-1,26-2の回転に伴って、搬送路Pをイメージセンサ17に向かって搬送され、搬送路Pを搬送中の各々の原稿Dの画像が原稿Dの搬送に伴ってイメージセンサ17によって読み取られる。イメージセンサ17-1によって原稿Dの上面が読み取られ、イメージセンサ17-2によって原稿Dの下面が読み取られる。
【0023】
イメージセンサ17による読取が為された後の原稿Dは、排出ローラ27-1及び排出ローラ27-2の回転によって原稿排出口15から排出される。
【0024】
ここで、給紙トレイ11に載置された複数の原稿Dのうち最外原稿に対しては、ブレーキローラ42により、搬送方向CDと逆方向の搬送負荷(以下では「逆方向負荷」と呼ぶことがある)が与えられる。逆方向負荷は、上下に重なった二枚の原稿間における摩擦力(つまり、上下に重なった二枚の原稿において上方の原稿の下面と下方の原稿の上面との間に生じる摩擦力)よりも大きく、かつ、給紙トレイ11に最後に残る原稿Dに対するピックローラ41の摩擦力よりも小さい一定の値に設定される。また、原稿Dに対するピックローラ41の摩擦力は、上下に重なった二枚の原稿間における摩擦力よりも大きい。よって、複数の原稿Dが給紙トレイ11に残っている間は、それら複数の原稿Dのうちの最外原稿だけが分離されて搬送路Pへ搬送される一方で、給紙トレイ11に最後に残る原稿Dがピックローラ41によって搬送路Pへ搬送される。 以上のように、給紙トレイ11に載置された原稿Dに対してはニップ領域においてブレーキローラ42によって逆方向負荷が与えられる。
【0025】
<スキャナの動作>
図3~15は、本開示の実施例1のスキャナの動作例の説明に供する図である。以下、動作例1と動作例2とについて説明する。
【0026】
<動作例1(図3~6)>
図3~5は、動作例1において時間の経過とともに遷移する原稿の状態を示す側面図であり、図6図5の側面図に対応する上面図である。
【0027】
図3~6に示す動作例1は、原稿DA,DB,DC,DD,DE,DFの複数の原稿が給紙トレイ11に載置された場合の動作例である。原稿DA,DB,DC,DD,DE,DFは何れも非折原稿であり、原稿DA,DB,DC,DD,DE,DFのうち原稿DAが最外原稿である。
【0028】
図3に示すように原稿DA,DB,DC,DD,DE,DFが給紙トレイ11に載置された状態で、スキャナ1が有する「スキャン開始ボタン」(図示せず)が押下されると、ピックローラ41及びブレーキローラ42が順回転を開始する。
【0029】
次いで、図4に示すように、原稿DA,DBがピックローラ41及びブレーキローラ42まで到達すると、原稿DAがピックローラ41に接するとともに、原稿DBがブレーキローラ42に接する。
【0030】
ここで、原稿DAと原稿DBとに着目すると、ピックローラ41及びブレーキローラ42の双方が順回転しているため、図5に示すように、原稿DAが原稿DBから分離されて、原稿DAだけが搬送路Pへ搬送される。また、原稿DAと原稿DBとは互いに独立した二枚の非折原稿であるため、原稿DBの挙動は、原稿DAの挙動による影響を受けない。よって、図5に示すように原稿DAがニップ領域を過ぎる一方で原稿DBがニップ領域付近に留まっている状態で、原稿DAと原稿DBとの間には、図6に示すように、原稿ずれは生じない。
【0031】
<動作例2(図7~15)>
図7~9,12,14は、動作例2において時間の経過とともに遷移する原稿の状態を示す側面図であり、図10図9の側面図に対応する上面図であり、図13図12の側面図に対応する上面図であり、図15図14の側面図に対応する上面図である。また、図11は、図10の上面図の拡大図である。
【0032】
図7~15に示す動作例2は、原稿D1,D2,D3,D4,D5の複数の原稿が給紙トレイ11に載置された場合の動作例である。原稿D1は二つ折原稿であるのに対し、原稿D2,D3,D4,D5は非折原稿である。また、原稿D1,D2,D3,D4,D5のうち原稿D1が最外原稿である。また、二つ折原稿である原稿D1は、上方側用紙D1Aと下方側用紙D1Bとから形成される。
【0033】
図7に示すように原稿D1,D2,D3,D4,D5が給紙トレイ11に載置された状態で、スキャナ1が有する「スキャン開始ボタン」(図示せず)が押下されると、ピックローラ41及びブレーキローラ42が順回転を開始する。
【0034】
次いで、図8に示すように、原稿D1がピックローラ41及びブレーキローラ42まで到達すると、下方側用紙D1Bがピックローラ41に接するとともに、上方側用紙D1Aがブレーキローラ42に接する。
【0035】
ここで、原稿D1を形成する上方側用紙D1Aと下方側用紙D1Bとに着目すると、ピックローラ41及びブレーキローラ42の双方が順回転しているため、図9に示すように、上方側用紙D1Aがニップ領域付近に留まる一方で、下方側用紙D1Bは搬送路Pへ搬送される。また、上方側用紙D1Aと下方側用紙D1Bとは、折り目を介して結合されており、一枚の原稿D1を形成しているため、上方側用紙D1Aの挙動が、下方側用紙D1Bの挙動による影響を受ける。よって、上方側用紙D1Aがニップ領域付近に留まる一方で下方側用紙D1Bが搬送路Pへ搬送されると、下方側用紙D1Bと上方側用紙D1Aとの間には、例えば図10,11に示すように、ずれ角度θ及びずれ量δを有する原稿ずれが生じる。
【0036】
そこで、プロセッサ21は、給紙トレイ11から搬送路Pへと搬送中の原稿D(以下では「搬送中原稿」と呼ぶことがある)が図10,11に示す状態になると予測される時点で、ピックローラ41及びブレーキローラ42を一旦停止させるとともに、搬送中原稿の搬送方向CDにおける先端付近の画像をエリアセンサ31に撮影させる。そして、プロセッサ21は、エリアセンサ31によって撮影された画像(以下では「撮影画像」と呼ぶことがある)に基づいて、搬送中原稿が二つ折原稿であるか否かを判定する。図11に示す拡大図は、ブレーキローラ42の画像が省略された撮影画像に相当する。
【0037】
例えば、プロセッサ21は、撮影画像において、ずれ角度θが閾値THA以上であるときは、搬送中原稿が二つ折原稿であると判定し、ずれ角度θが閾値THA未満であるときは、搬送中原稿が非折原稿であると判定する。
【0038】
また、プロセッサ21は、搬送中原稿が二つ折原稿であると判定したときは、撮影画像から取得されるずれ角度θ及び長さl(図11)に基づいて、式(1)に従って、ずれ量δを算出する。長さlは、撮影画像における二つ折原稿の先端付近での斜辺の長さに相当する。プロセッサ21は、例えば撮影画像に対する画像解析を用いることにより、撮影画像からずれ角度θ及び長さlを取得することが可能である。
δ=l・sinθ …(1)
【0039】
また、プロセッサ21は、式(1)に従って算出したずれ量δに基づいて、式(2)に従って、半径rを有するブレーキローラ42の逆回転の回転角θbを算出する。
θb=(δ/r)×(90/π) …(2)
【0040】
プロセッサ21は、回転角θbの算出後、図12に示すように、ピックローラ41を停止させると同時にブレーキローラ42を回転角θbだけ逆回転させる。つまり、スキャナ1は、ピックローラ41を停止させると同時にブレーキローラ42を右回り方向に回転させる回転モード(以下では「第二回転モード」と呼ぶことがある)を有する。また、プロセッサ21は、ずれ量δに応じて、第二回転モードにおけるブレーキローラ42の回転角θbを決定する。このように、ピックローラ41が停止した状態でブレーキローラ42が回転角θbだけ逆回転することにより、上方側用紙D1Aと下方側用紙D1Bとの間に発生した原稿ずれが図12及び図13に示すように矯正される。
【0041】
そして、プロセッサ21は、回転角θbを用いた第二回転モードの実行による原稿ずれの矯正後、図14及び図15に示すように、ピックローラ41を順回転させると同時にブレーキローラ42を逆回転させる。つまり、スキャナ1は、ピックローラ41を左回り方向に回転させると同時にブレーキローラ42を右回り方向に回転させる回転モード(以下では「第三回転モード」と呼ぶことがある)を有する。このように、ピックローラ41が順回転している状態でブレーキローラ42が逆回転することにより、下方側用紙D1Bが搬送方向CDに搬送されるのと同時に上方側用紙D1Aも搬送方向CDへ搬送されるため、原稿ずれの矯正後の原稿D1にブレーキローラ42の順回転による原稿ずれが再発することなく、原稿D1が搬送方向CDに搬送される。
【0042】
<スキャナにおける処理手順>
図16は、本開示の実施例1のスキャナにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。図16のフローチャートは、給紙トレイ11に原稿Dが載置された状態で、スキャナ1が有する「スキャン開始ボタン」(図示せず)が押下されたときに開始される。
【0043】
図16において、ステップS100では、プロセッサ21は、第一回転モードの実行を開始し、ピックローラ41及びブレーキローラ42の双方の順回転を開始させる。
【0044】
次いで、ステップS105では、プロセッサ21は、スキャン開始ボタンが押下された時点からのピックローラ41の順回転の回転量(以下では「ピックローラ回転量」と呼ぶことがある)が閾値THP1に達したか否かを判定する。ピックローラ41を回転させるモータ(以下では「ピックローラモータ」と呼ぶことがある)(図示せず)は、プロセッサ21からモータパルスを連続して与えられることにより回転する。また、1モータパルス当たりのピックローラモータの回転量は一定であるため、ピックローラモータの回転に伴って回転するピックローラ41の1モータパルス当たりの回転量も一定である。よって、プロセッサ21は、スキャン開始ボタンが押下された時点から、ピックローラモータに与えたモータパルスの数をカウントすることにより、ピックローラ回転量を算出することができる。ピックローラ回転量が閾値THP1に達したときは(ステップS105:Yes)、処理はステップS110へ進み、ピックローラ回転量が閾値THP1未満であるときは(ステップS105:No)、処理はステップS100に戻る。つまり、スキャン開始ボタンが押下されてからピックローラ回転量が閾値THP1未満である間は(ステップS105:No)、プロセッサ21は、第一回転モードの実行を継続し、ピックローラ41及びブレーキローラ42の双方の順回転を継続する(ステップS100)。なお、給紙トレイ11から搬送路Pへと搬送される原稿Dの搬送方向CDにおける先端付近の画像をエリアセンサ31によって撮影可能な範囲に原稿Dの先端が存在するのに必要なピックローラ回転量が閾値THP1として予めメモリ22に記憶されている。
【0045】
ステップS110では、プロセッサ21は、ピックローラ41及びブレーキローラ42を一旦停止させる。
【0046】
次いで、ステップS115では、プロセッサ21は、搬送中原稿の搬送方向CDにおける先端付近の画像をエリアセンサ31に撮影させる。
【0047】
次いで、ステップS120では、プロセッサ21は、撮影画像に基づいて、搬送中原稿が二つ折原稿であるか否かを判定する。例えば、プロセッサ21は、撮影画像において、ずれ角度θが閾値THA以上であるときは、搬送中原稿が二つ折原稿であると判定し、ずれ角度θが閾値THA未満であるときは、搬送中原稿が非折原稿であると判定する。閾値THAは予めメモリ22に記憶されており、例えば、THA=5°である。搬送中原稿が二つ折原稿であると判定されたときは(ステップS120:Yes)、処理はステップS125へ進み、搬送中原稿が非折原稿であると判定されたときは(ステップS120:No)、処理はステップS140へ進む。
【0048】
ステップS125では、プロセッサ21は、ブレーキローラ42の逆回転の回転角θbをずれ角度θに基づいて算出する。
【0049】
次いで、ステップS130では、プロセッサ21は、ピックローラ41の停止を継続したまま、ブレーキローラ42を回転角θbだけ逆回転させる。つまり、ステップS130では、プロセッサ21は、ずれ角度θに基づいて算出した回転角θbを用いて第二回転モードを実行する。
【0050】
次いで、ステップS135では、プロセッサ21は、ピックローラ41を順回転させるとともに、ブレーキローラ42を逆回転させる。つまり、ステップS135では、プロセッサ21は、第三回転モードを実行する。
【0051】
一方で、ステップS140では、プロセッサ21は、ピックローラ41及びブレーキローラ42の双方の順回転を開始させる。つまり、ステップS140では、プロセッサ21は、第一回転モードを実行する。つまり、プロセッサ21は、搬送中原稿が非折原稿であると判定したときは、第二回転モードを実行せずに、第一回転モードを実行する。
【0052】
以上、実施例1について説明した。
【0053】
[実施例2]
実施例2では、プロセッサ21は、第二回転モードで用いられる回転角θbの算出を行わず、第二回転モードでは、所定の回転角θdだけブレーキローラ42を逆回転させる。
【0054】
<スキャナにおける処理手順>
図17は、本開示の実施例2のスキャナにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。以下、図17のフローチャートについて、実施例1の処理手順と異なる点について説明する。
【0055】
搬送中原稿が二つ折原稿であると判定されたときは(ステップS120:Yes)、処理はステップS200へ進み、搬送中原稿が非折原稿であると判定されたときは(ステップS120:No)、処理はステップS140へ進む。
【0056】
ステップS200では、プロセッサ21は、ピックローラ41の停止を継続したまま、ブレーキローラ42を所定の回転角θdだけ逆回転させる。つまり、ステップS200では、プロセッサ21は、所定の回転角θdを用いて第二回転モードを実行する。所定の回転角θdは予めメモリ22に記憶されている。
【0057】
次いで、ステップS205では、プロセッサ21は、ずれ角度θが閾値THG未満に達したか否かを判定する。閾値THGは閾値THAより小さい値であり、例えば、THG=5°である。閾値THGは予めメモリ22に記憶されている。ずれ角度θが閾値THG未満になっているときは(ステップS205:Yes)、処理はステップS135へ進み、ずれ角度θが閾値THG未満になっていないときは(ステップS205:No)、処理はステップS200に戻る。つまり、プロセッサ21は、ずれ角度θが閾値THG以上である間は(ステップS205:No)、所定の回転角θdを用いて第二回転モードの実行を継続し、ずれ角度θが閾値THG未満になった時点で(ステップS205:Yes)、第二回転モードの実行を終了する。
【0058】
このように、プロセッサ21は、搬送中原稿が二つ折原稿であると判定したときに、ずれ角度θが閾値THG未満になるまで第二回転モードの実行を継続する。
【0059】
以上、実施例2について説明した。
【0060】
[実施例3]
<スキャナの構成>
図18,19は、本開示の実施例3のスキャナの構成例を示す図である。図18,19に示すスキャナ2は、下取りタイプ装置である。
【0061】
図18,19において、スキャナ2は、スキャナ1(図1)の構成に加えて、さらに、第一超音波センサ24Aと、第二超音波センサ24Bとを有する。第一超音波センサ24Aは、送波器24TAと受波器24RAとを有し、第二超音波センサ24Bは、送波器24TBと受波器24RBとを有する。送波器24TAと受波器24RAとは互いに対向して配置され、送波器24TBと受波器24RBとは互いに対向して配置される。以下では、第一超音波センサ24A及び第二超音波センサ24Bを「超音波センサ24」と総称し、送波器24TA,24TBを「送波器24T」と総称し、受波器24RA,24RBを「受波器24R」と総称することがある。
【0062】
超音波センサ24では、送波器24Tから送信された超音波が受波器24Rにより受信される。受波器24Rによって受信される超音波の受信レベル(以下では「超音波受信レベル」と呼ぶことがある)が閾値TH1以上であるときは超音波センサ24がオンになる一方で、超音波受信レベルが閾値TH1未満であるときは超音波センサ24がオフになる。
【0063】
送波器24Tと受波器24Rとの間に原稿が存在しないときは、超音波受信レベルが閾値TH1以上となって超音波センサ24がオンになる。また、送波器24Tと受波器24Rとの間に原稿が存在しても、送波器24Tと受波器24Rとの間に存在する原稿(以下では「対象原稿」と呼ぶことがある)の厚さが原稿Dの一枚分の厚さであるときは、超音波受信レベルが閾値TH1以上となって超音波センサ24がオンになる。また、送波器24Tと受波器24Rとの間に原稿Dが存在し、かつ、対象原稿の厚さが原稿Dの二枚分以上の厚さであるときは、超音波受信レベルが閾値TH1未満となって超音波センサ24がオフになる。つまり、超音波センサ24は、対象原稿としての搬送中原稿の厚さが原稿Dの二枚分未満の厚さであるときに反応する一方で、対象原稿としての搬送中原稿の厚さが原稿Dの二枚分以上の厚さであるときには反応しない。
【0064】
なお、超音波センサ24に代えて、投光器と受光器とを有する透過型光センサを用いても良い。透過型光センサでは、投光器から送信(投射)された光が受光器により受信(受光)される。受光器によって受信される光の受信レベル(以下では「光受信レベル」と呼ぶことがある)が閾値TH2以上であるときは透過型光センサがオンになる一方で、光受信レベルが閾値TH2未満であるときは透過型光センサがオフになるため、超音波センサ24に代えて透過型光センサを用いても、超音波センサ24と同様に、投光器と受光器との間に存在する原稿の厚さに応じて透過型光センサの反応有無を検出可能である。
【0065】
また、図19に示すように、第一超音波センサ24Aと第二超音波センサ24Bとは、搬送中原稿の搬送方向CDと垂直な方向、かつ、搬送中原稿の幅方向に沿って互いに間隔を開けて配置される。例えば、第一超音波センサ24Aと第二超音波センサ24Bとは、搬送中原稿の幅方向において搬送中原稿の両端付近にそれぞれ配置される。そして、第一超音波センサ24Aと第二超音波センサ24Bとは、搬送中原稿の搬送方向CDにおける先端付近の互いに異なる位置での厚さを検出する。
【0066】
<スキャナの動作>
図20,21は、本開示の実施例3のスキャナの動作例の説明に供する図である。図21図20の側面図に対応する上面図である。
【0067】
二つ折原稿である原稿D1を形成する上方側用紙D1Aと下方側用紙D1Bとに着目すると、実施例1と同様に、図20,21に示すように、下方側用紙D1Bと上方側用紙D1Aとの間に原稿ずれが生じる。このため、図21に示すように、送波器24TAと受波器24RAとの間には上方側用紙D1A及び下方側用紙D1Bの双方が存在するため、送波器24TAと受波器24RAとの間に存在する原稿の厚さは、原稿Dの二枚分の厚さとなる。一方で、送波器24TBと受波器24RBとの間には下方側用紙D1Bだけしか存在しないため、送波器24TBと受波器24RBとの間に存在する原稿の厚さは、原稿Dの一枚分の厚さとなる。よって、搬送中原稿である原稿D1が図21に示す状態にあるときは、第二超音波センサ24Bが反応する一方で、第一超音波センサ24Aは反応しないため、超音波センサ24の反応数(以下では「センサ反応数」と呼ぶことがある)は“1”となる。
【0068】
<スキャナにおける処理手順>
図22は、本開示の実施例3のスキャナにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。以下、図22のフローチャートについて、実施例1の処理手順と異なる点について説明する。
【0069】
図22において、ステップS100では、プロセッサ21は、第一回転モードの実行を開始し、ピックローラ41及びブレーキローラ42の双方の順回転を開始させる。
【0070】
次いで、ステップS300では、プロセッサ21は、超音波センサ24がオンまたはオフの何れになっているかを判定し、センサ反応数を取得する。
【0071】
次いで、ステップS305では、プロセッサ21は、ステップS300で取得したセンサ反応数が“2”であるか否かを判定する。第一超音波センサ24A及び第二超音波センサ24Bの双方がオンになるときにセンサ反応数が“2”になるため、センサ反応数が“2”になるときは、第一超音波センサ24Aにおける対象原稿の厚さが原稿Dの一枚分の厚さであり、かつ、第二超音波センサ24Bにおける対象原稿の厚さが原稿Dの一枚分の厚さであるときである。つまり、センサ反応数が“2”になるときは、一枚の非折原稿が搬送中原稿であるときである。そこで、センサ反応数が“2”であるときは(ステップS305:Yes)、第一回転モードの実行が継続されたまま処理手順は終了する。一方で、センサ反応数が“1”以下であるときは(ステップS305:No)、処理はステップS310へ進む。
【0072】
ステップS310では、プロセッサ21は、第一回転モードの実行を継続し、ピックローラ41及びブレーキローラ42の双方の順回転を継続する。
【0073】
次いで、ステップS105では、プロセッサ21は、ピックローラ回転量が閾値THP1に達したか否かを判定する。ピックローラ回転量が閾値THP1に達したときは(ステップS105:Yes)、処理はステップS110へ進み、ピックローラ回転量が閾値THP1未満であるときは(ステップS105:No)、処理はステップS300に戻る。
【0074】
ステップS110では、プロセッサ21は、ピックローラ41及びブレーキローラ42を一旦停止させる。
【0075】
次いで、ステップS315では、プロセッサ21は、ステップS300で取得したセンサ反応数が“1”であるか否かを判定する。
【0076】
第一超音波センサ24Aまたは第二超音波センサ24Bの何れか一方だけがオンになるときにセンサ反応数が“1”になるため、センサ反応数が“1”になるときは、第一超音波センサ24A及び第二超音波センサ24Bのうち、一方の超音波センサ24における対象原稿の厚さが原稿Dの一枚分の厚さであり、かつ、他方の超音波センサ24における対象原稿の厚さが原稿Dの二枚分以上の厚さであるときである。つまり、センサ反応数が“1”になるときは、原稿ずれが生じている二つ折原稿が搬送中原稿であるときである。
【0077】
一方で、第一超音波センサ24A及びは第二超音波センサ24Bの双方がオフになるときにセンサ反応数が“0”になるため、センサ反応数が“0”になるときは、第一超音波センサ24Aにおける対象原稿の厚さが原稿Dの二枚分以上の厚さであり、かつ、第二超音波センサ24Bにおける対象原稿の厚さが原稿Dの二枚分以上の厚さであるときである。つまり、センサ反応数が“0”になるときは、二枚以上の非折原稿が重なって搬送されているとき(つまり、重送が発生しているとき)である。
【0078】
つまり、ステップS315では、プロセッサ21は、センサ反応数に基づいて、搬送中原稿が二つ折原稿であるか否かを判定する。そして、センサ反応数が“1”であり、搬送中原稿が二つ折原稿であると判定されるときは(ステップS315:Yes)、処理はステップS115へ進み、センサ反応数が“0”であり、搬送中原稿が非折原稿であると判定されるときは(ステップS315:No)、処理はステップS320へ進む。また、センサ反応数が“0”であるときは、プロセッサ21は、非折原稿に重送が発生していると判定する。
【0079】
ステップS115では、プロセッサ21は、搬送中原稿の搬送方向CDにおける先端付近の画像をエリアセンサ31に撮影させる
【0080】
次いで、ステップS125では、プロセッサ21は、ブレーキローラ42の逆回転の回転角θbをずれ角度θに基づいて算出する。
【0081】
次いで、ステップS130では、プロセッサ21は、ピックローラ41の停止を継続したまま、ブレーキローラ42を回転角θbだけ逆回転させる。つまり、ステップS130では、プロセッサ21は、ずれ角度θに基づいて算出した回転角θbを用いて第二回転モードを実行する。
【0082】
次いで、ステップS135では、プロセッサ21は、ピックローラ41を順回転させるとともに、ブレーキローラ42を逆回転させる。つまり、ステップS135では、プロセッサ21は、第三回転モードを実行する。
【0083】
一方で、ステップS320では、プロセッサ21は、非折原稿に重送が発生していることをユーザに知らせるためのエラーメッセージをディスプレイ28に表示させる。例えば、プロセッサ21は、「原稿に重送が発生しています。」というエラーメッセージをディスプレイ28に表示させる。
【0084】
以上、実施例3について説明した。
【0085】
[実施例4]
<スキャナの構成>
図23,24は、本開示の実施例4のスキャナの構成例を示す図である。図23,24に示すスキャナ3は、下取りタイプ装置である。
【0086】
図23,24において、スキャナ3は、スキャナ1(図1)の構成に加えて、さらに、フラップ51を有する。フラップ51は、ピックローラ41と搬送ローラ26との間の搬送路Pに配置される。フラップ51の幅方向の長さは、搬送路Pの幅方向の長さにほぼ等しく、搬送中原稿の幅方向の長さよりも長いことが好ましい。フラップ51の支点(以下では「フラップ支点」と呼ぶことがある)は、フラップ51の後端に位置し、上部筐体13に形成される。フラップ51は、フラップ51をロックする機構を有し、アンロックされたときにフラップ支点を中心にして回転可能である。フラップ51のロックとアンロックとの切替はプロセッサ21によって行われる。フラップ51の先端が下部筐体12側に下がっている状態でフラップ51がロックされており、フラップ51によって搬送路Pが塞がれている状態でのフラップ51の位置がフラップ51の初期位置となる。
【0087】
<スキャナの動作>
図25~30は、本開示の実施例4のスキャナの動作例の説明に供する図である。図25,27,29は、時間の経過とともに遷移する原稿の状態を示す側面図であり、図26図25の側面図に対応する上面図であり、図28図27の側面図に対応する上面図であり、図30図29の側面図に対応する上面図である。図25,27,29に示すように、フラップ51は、フラップ支点52を有する。
【0088】
二つ折原稿である原稿D1を形成する上方側用紙D1Aと下方側用紙D1Bとに着目すると、実施例1と同様に、図25,26に示すように、下方側用紙D1Bと上方側用紙D1Aとの間に原稿ずれが生じる。原稿D1が図25,26に示す状態にある時点では、フラップ51はロックされている。
【0089】
また、図27に示すように、プロセッサ21がピックローラ41を停止させると同時にブレーキローラ42を回転角θbだけ逆回転させるときも、フラップ51はロックされている。このため、第二回転モードの実行中は、フラップ51が、二つ折原稿である原稿D1の搬送方向CDにおける先端に衝突することにより原稿D1の搬送方向CDへの搬送を抑制する。これにより、上方側用紙D1Aと下方側用紙D1Bとの間に発生した原稿ずれが図27,28に示すように矯正されるまで、上方側用紙D1Aの搬送方向CDへの搬送、及び、下方側用紙D1Bの搬送方向CDへの搬送が抑制される。フラップ51は、二つ折原稿の搬送方向CDにおける先端に衝突することにより二つ折原稿の搬送方向CDへの搬送を抑制する「抑制部」の一例である。
【0090】
そして、プロセッサ21は、回転角θbを用いた第二回転モードの実行による原稿ずれの矯正後、図29,30に示すように、フラップ51をアンロックするとともに、ピックローラ41を順回転させると同時にブレーキローラ42を逆回転させる。このように、ピックローラ41が順回転している状態でブレーキローラ42が逆回転することにより、下方側用紙D1Bが搬送方向CDに搬送されるのと同時に上方側用紙D1Aも搬送方向CDへ搬送されるため、原稿ずれの矯正後の原稿D1が搬送方向CDに搬送される。また、フラップ51がアンロックされることにより、フラップ51はフラップ支点52を中心にして、搬送方向CDへの原稿D1の搬送に伴って右回り方向(時計回り方向)に回転するため、原稿D1の搬送の支障とならない。
【0091】
<スキャナにおける処理手順>
図31は、本開示の実施例4のスキャナにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。以下、図31のフローチャートについて、実施例1の処理手順と異なる点について説明する。
【0092】
図31において、ステップS400では、プロセッサ21は、フラップ51が搬送路Pを塞いでいる状態でフラップ51をロックする。ステップS400の処理後、処理はステップS100へ進む。
【0093】
また、搬送中原稿が二つ折原稿であると判定されたときは(ステップS120:Yes)、処理はステップS125へ進み、搬送中原稿が非折原稿であると判定されたときは(ステップS120:No)、処理はステップS410へ進む。
【0094】
また、ステップS125,S130の処理後、処理はステップS405へ進み、ステップS405では、プロセッサ21は、フラップ51をアンロックする。つまり、プロセッサ21は、搬送中原稿が二つ折原稿であると判定したときは、第二回転モードの実行中はフラップ51をロックし、第二回転モードの実行を終了した後に、フラップ51をアンロックする。ステップS405の処理後、処理は、第三回転モードが実行されるステップS135へ進む。このように、プロセッサ21は、第二回転モードの実行中はフラップ51による搬送中原稿の搬送の抑制を有効にする一方で、第三回転モードの実行中はフラップ51による搬送中原稿の搬送の抑制を解除する。
【0095】
一方で、ステップS410では、プロセッサ21は、フラップ51をアンロックする。ステップS410の処理後、処理はステップS140へ進む。つまり、プロセッサ21は、搬送中原稿が非折原稿であると判定したときは、第二回転モードを実行せずにフラップ51をアンロックした後に、第一回転モードを実行する。
【0096】
以上、実施例4について説明した。
【0097】
[実施例5]
<スキャナの構成>
図32,33は、本開示の実施例5のスキャナの構成例を示す図である。図32,33に示すスキャナ4は、下取りタイプ装置である。
【0098】
図32,33において、スキャナ4は、スキャナ1(図1)の構成に加えて、さらに、第一超音波センサ24Aと、第二超音波センサ24Bと、フラップ51とを有する。
【0099】
<スキャナにおける処理手順>
図34は、本開示の実施例5のスキャナにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。以下、図34のフローチャートについて、実施例1,3,4の処理手順と異なる点について説明する。
【0100】
図34において、ステップS500では、プロセッサ21は、フラップ51をアンロックする。
【0101】
次いで、ステップS100では、プロセッサ21は、第一回転モードの実行を開始し、ピックローラ41及びブレーキローラ42の双方の順回転を開始させる。ステップS100の処理後、処理はステップS300へ進む。
【0102】
また、ステップS125の処理後、処理はステップS505へ進み、ステップS505では、プロセッサ21は、フラップ51が搬送路Pを塞いでいる状態でフラップ51をロックする。
【0103】
次いで、ステップS130では、プロセッサ21は、ずれ角度θに基づいて算出した回転角θbを用いて第二回転モードを実行する。
【0104】
次いで、ステップS510では、プロセッサ21は、フラップ51をアンロックする。つまり、プロセッサ21は、搬送中原稿が二つ折原稿であると判定したときは(ステップS315:Yes)、第二回転モードの実行中はフラップ51をロックし、第二回転モードの実行を終了した後に、フラップ51をアンロックする。ステップS510の処理後、処理はステップS135へ進む。
【0105】
以上、実施例5について説明した。
【0106】
なお、実施例2と、実施例3,4とを組み合わせて実施することも可能である。
【0107】
[実施例6]
<スキャナの構成>
図35,36は、本開示の実施例6のスキャナの構成例を示す図である。以下、構成例1と構成例2とについて説明する。
【0108】
<構成例1(図35)>
図35に示すように、スキャナ1~4は、原稿挿入口14の縦の幅を狭くする部材61を有しても良い。
【0109】
<構成例2(図36)>
図36に示すように、スキャナ1~4は、搬送中原稿に搬送負荷を与えるパッド62を有しても良い。
【0110】
スキャナ1~4が、部材61またはパッド62を有することにより、二つ折原稿に対して第二回転モードが実行される際に、二つ折原稿の次の原稿が二つ折原稿の上方側用紙に引き連れられて搬送路Pへ進入してしまうことを防止できる。
【0111】
以上、実施例6について説明した。
【0112】
なお、実施例1~6では、開示の技術が下取りタイプ装置に適用される場合を一例に挙げて説明した。しかし、開示の技術は、下取りタイプ装置だけでなく、上取りタイプ装置にも適用可能である。
【0113】
以上のように、本開示の画像読取装置(実施例のスキャナ1,2,3,4)は、原稿が載置されるトレイ(実施例の給紙トレイ11)と、原稿が搬送される搬送路(実施例の搬送路P)と、イメージセンサ(実施例のイメージセンサ17)と、原稿をトレイから搬送路へ搬送する一対のローラである第一ローラ(実施例のピックローラ41)及び第二ローラ(実施例のブレーキローラ42)と、プロセッサ(実施例のプロセッサ21)とを有する。イメージセンサは、搬送路を搬送中の原稿の画像を読み取る。第一ローラと第二ローラとは、原稿を挟んで互いに対向して配置される。プロセッサは、第一ローラを第一方向(実施例の左回り方向)に回転させると同時に第二ローラを第一方向に回転させることにより、トレイに載置された複数の原稿のうち第一ローラ側の最も外側の原稿を複数の原稿から分離可能な第一回転モードを実行する。また、プロセッサは、第一回転モードの実行後、トレイから搬送路へ搬送中の原稿である搬送中原稿が、二つ折りになった原稿である二つ折原稿であるか否かを判定する。また、プロセッサは、搬送中原稿が二つ折原稿であると判定したときに、第一ローラを停止させると同時に第二ローラを第一方向と逆の第二方向(実施例の右回り方向)に回転させる第二回転モードを実行する。また、プロセッサは、第二回転モードを実行後、第一ローラを第一方向へ回転させると同時に第二ローラを第二方向へ回転させる第三回転モードを実行する。
【0114】
こうすることで、二つ折原稿の原稿ずれが矯正されるとともに、原稿ずれが矯正された後の二つ折原稿に第二ローラの第一方向への回転による原稿ずれが再発することなく二つ折原稿を搬送することができるため、二つ折原稿の原稿ジャムを防止できる。
【0115】
例えば、プロセッサは、搬送中原稿が二つ折原稿であると判定したときに、ずれの角度に応じて、第二回転モードにおける第二ローラの回転角を決定する。
【0116】
こうすることで、二つ折原稿の原稿ずれを正確に矯正することができる。
【0117】
また例えば、プロセッサは、搬送中原稿が二つ折原稿であると判定したときに、ずれの角度の大きさが閾値未満になるまで第二回転モードの実行を継続する。
【0118】
こうすることで、二つ折原稿の原稿ずれを過不足無く矯正することができる。
【0119】
また、プロセッサは、搬送中原稿において第一ローラに接している用紙と、搬送中原稿において第二ローラに接している用紙との間に、閾値以上の角度がついたずれが存在するときに、搬送中原稿が二つ折原稿であると判定する。
【0120】
こうすることで、搬送中原稿が二つ折原稿であるか否かの判定を正確に行うことができる。
【0121】
また、本開示の画像読取装置は、第一回転モードの実行中に搬送中原稿の搬送方向における先端付近の画像を撮影する撮影部(実施例のエリアセンサ31)を有する。プロセッサは、撮影部が撮影した画像に基づいて搬送中原稿が二つ折原稿であるか否かを判定する。
【0122】
こうすることで、搬送中原稿が二つ折原稿であるか否かの判定を容易に行うことができる。
【0123】
また、本開示の画像読取装置は、搬送中原稿の搬送方向と垂直な方向、かつ、搬送中原稿の幅方向に沿って間隔を開けて配置された第一センサ(実施例の第一超音波センサ24A及び第二超音波センサ24Bのうちの一方)と第二センサ(実施例の第一超音波センサ24A及び第二超音波センサ24Bのうちの他方)とを有する。第一センサ及び第二センサは、第一回転モードの実行中に搬送中原稿の搬送方向における先端付近の互いに異なる位置での厚さを検出する。プロセッサは、第一センサによって検出された厚さが原稿二枚分以上の厚さで、かつ、第二センサによって検出された厚さが原稿二枚分未満の厚さであるときに、搬送中原稿が二つ折原稿であると判定する。
【0124】
こうすることで、撮影部が撮影した画像に基づいて搬送中原稿が二つ折原稿であるか否かを判定する場合よりも短時間で搬送中原稿が二つ折原稿であるか否かを判定することができる。
【0125】
また、本開示の画像読取装置は、二つ折原稿の搬送方向における先端に衝突することにより二つ折原稿の搬送方向への搬送を抑制する抑制部(実施例のフラップ51)を有する。プロセッサは、第二回転モードを実行中は抑制部による二つ折原稿の搬送の抑制を有効にする一方で、第三回転モードの実行中は抑制部による二つ折原稿の搬送の抑制を解除する。
【0126】
こうすることで、二つ折原稿の原稿ずれの矯正時に二つ折原稿に生じる慣性力や衝撃による二つ折原稿の位置ずれを抑制することができるため、二つ折原稿の画像読取時のスキューを防止できる。また、原稿ずれが矯正された後の二つ折原稿の搬送が抑制部によって妨げられることを防止できる。
【符号の説明】
【0127】
1,2,3,4 スキャナ
11 給紙トレイ
17 イメージセンサ
21 プロセッサ
41 ピックローラ
42 ブレーキローラ
24 超音波センサ
31 エリアセンサ
51 フラップ
P 搬送路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36