(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191929
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びテレマティクス端末
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
G01C21/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100454
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 智
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129DD20
2F129FF02
2F129FF21
2F129FF36
2F129HH18
2F129HH19
2F129HH21
(57)【要約】
【課題】テレマティクスサービスを利用するユーザの利便性が損なわれることを抑制可能な技術を提供する。
【解決手段】本開示に係る情報処理装置は、テレマティクスサービスの契約ユーザに関連付けられている車両のテレマティクス端末から起動情報を受信する。情報処理装置は、起動情報を受信したときに、所定の条件が成立しているかを判定する。所定の条件が成立していると判定された場合、情報処理装置は、第1のユーザに関する情報を表示する指令を、テレマティクス端末に送信する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が起動されたときに、所定の条件が成立していれば、前記車両に関連付けられている第1のユーザに関する情報を表示する指令を、前記車両のテレマティクス端末に送信する、制御部を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記第1のユーザは、前記テレマティクス端末を通じて提供されるテレマティクスサービスの利用契約をしているユーザである、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記テレマティクス端末に対して前記指令を最後に送信した日時である第1の日時を格納する記憶部を更に備え、
前記制御部は、前記記憶部に格納されている前記第1の日時から前記車両の起動が検出される日時までの経過時間が第1の時間長以上である場合に、前記所定の条件が成立していると判定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記車両の保管場所が変更されたときにオンにされ、且つ前記指令が送信されたときにオフにされる第1のフラグを格納する記憶部を更に備え、
前記制御部は、前記記憶部の前記第1のフラグがオンである場合に、前記所定の条件が成立していると判定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記テレマティクス端末を通じて取得される前記車両の位置情報に基づいて、前記車両の保管場所を定期的に推定することと、
推定された前記車両の保管場所が前回推定された保管場所から変更されているかを判定することと、
推定された前記車両の保管場所が前回推定された保管場所から変更されていると判定された場合に、前記第1のフラグをオンにすることと、
を実行する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記テレマティクス端末は、経路案内を行うカーナビゲーションシステムを含み、
前記制御部は、
前記カーナビゲーションシステムに登録されている前記車両の保管場所に関する情報を定期的に取得することと、
取得された前記保管場所に関する情報が前回取得された保管場所と異なる場所を示しているかを判定することと、
取得された前記保管場所に関する情報が前回取得された保管場所と異なる場所を示していると判定された場合に、前記第1のフラグをオンにすることと、
を実行する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記車両のリモート操作が行われたときにオンにされ、且つ前記指令が送信されたときにオフにされる第2のフラグを格納する記憶部を更に備え、
前記制御部は、前記記憶部の前記第2のフラグがオンである場合に、前記所定の条件が成立していると判定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記テレマティクスサービスが最後に利用された日時である第2の日時を格納する記憶部を更に備え、
前記制御部は、前記記憶部に格納されている前記第2の日時から前記車両の起動が検出される日時までの経過時間が第2の時間長以上である場合に、前記所定の条件が成立していると判定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1のユーザが前記車両に乗車していない状態でのトリップが連続して所定回数繰り返された場合に、前記所定の条件が成立していると判定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1のユーザに関する情報は、前記第1のユーザの電子メールアドレスの一部である、
請求項1から9の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
車両が起動されたときに、所定の条件が成立していれば、コンピュータが、前記車両に関連付けられている第1のユーザに関する情報を表示する指令を、前記車両のテレマティクス端末へ送信する、
情報処理方法。
【請求項12】
前記第1ユーザは、前記テレマティクス端末を通じて提供されるテレマティクスサービスの利用契約をしているユーザである、
請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記コンピュータが、前記テレマティクス端末に対して前記指令を最後に送信した日時である第1の日時を格納する記憶部を更に備え、
前記記憶部に格納されている前記第1の日時から前記車両の起動が検出される日時までの経過時間が第1の時間長以上である場合に、前記コンピュータが、前記所定の条件が成立していると判定する、
請求項12に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記コンピュータが、前記車両の保管場所が変更されたときにオンにされ、且つ前記指令が送信されたときにオフにされる第1のフラグを格納する記憶部を更に備え、
前記記憶部の前記第1のフラグがオンである場合に、前記コンピュータが、前記所定の条件が成立していると判定する、
請求項12に記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記コンピュータが、
前記テレマティクス端末を通じて取得される前記車両の位置情報に基づいて、前記車両の保管場所を定期的に推定するステップと、
推定された前記車両の保管場所が前回推定された保管場所から変更されているかを判定するステップと、
推定された前記車両の保管場所が前回推定された保管場所から変更されていると判定された場合に、前記第1のフラグをオンにするステップと、
を更に実行する、
請求項14に記載の情報処理方法。
【請求項16】
前記テレマティクス端末は、経路案内を行うカーナビゲーションシステムを含み、
前記コンピュータが、
前記カーナビゲーションシステムに登録されている前記車両の保管場所に関する情報を定期的に取得するステップと、
取得された前記保管場所に関する情報が前回取得された保管場所と異なる場所を示しているかを判定するステップと、
取得された前記保管場所に関する情報が前回取得された保管場所と異なる場所を示していると判定された場合に、前記第1のフラグをオンにするステップと、
を更に実行する、
請求項14に記載の情報処理方法。
【請求項17】
前記コンピュータが、前記車両のリモート操作が行われたときにオンにされ、且つ前記指令が送信されたときにオフにされる第2のフラグを格納する記憶部を更に備え、
前記記憶部の前記第2のフラグがオンである場合に、前記コンピュータが、前記所定の条件が成立していると判定する、
請求項12に記載の情報処理方法。
【請求項18】
前記コンピュータが、前記テレマティクスサービスが最後に利用された日時である第2の日時を格納する記憶部を更に備え、
前記記憶部に格納されている前記第2の日時から前記車両の起動が検出される日時までの経過時間が第2の時間長以上である場合に、前記コンピュータが、前記所定の条件が成立していると判定する、
請求項19に記載の情報処理方法。
【請求項19】
前記第1のユーザが前記車両に乗車していない状態でのトリップが連続して所定回数繰り返された場合に、前記コンピュータが、前記所定の条件が成立していると判定する、
請求項12に記載の情報処理方法。
【請求項20】
車両に搭載される、テレマティクス端末であって、
前記車両が起動されたときに、所定の条件が成立していれば、前記車両に関連付けられている第1ユーザに関する情報を表示する、制御部を備える、
テレマティクス端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及びテレマティクス端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の乗員が持ち運び可能なタブレット型端末を通じて、テレマティクスサービスを提供する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、テレマティクスサービスを利用するユーザの利便性が損なわれることを抑制することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、情報処理装置として捉えることができる。その場合の情報処理装置は、例えば、
車両が起動されたときに、所定の条件が成立していれば、前記車両に関連付けられている第1のユーザに関する情報を表示する指令を、前記車両のテレマティクス端末に送信する、制御部を備えるようにしてもよい。
【0006】
本開示は、コンピュータが実行する情報処理方法として捉えることもできる。その場合の情報処理方法は、例えば、
車両が起動されたときに、所定の条件が成立していれば、コンピュータが、前記車両に関連付けられている第1のユーザに関する情報を表示する指令を、前記車両のテレマティクス端末へ送信するようにしてもよい。
【0007】
本開示は、車両に搭載される、テレマティクス端末として捉えることもできる。その場合のテレマティクス端末は、例えば、
前記車両が起動されたときに、所定の条件が成立していれば、前記車両に関連付けられている第1ユーザに関する情報を表示する、制御部を備えるようにしてもよい。
【0008】
なお、本開示は、上記した情報処理方法をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム、又は該情報処理プログラムを格納する非一時的記憶媒体として捉えることもできる。また、本開示は、上記したテレマティクス端末が上記した処理を実行する方法、該方法をテレマティクス端末に実行させるためのプログラム、又は該プログラムを格納する非一時的記憶媒体として捉えることもできる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、テレマティクスサービスを利用するユーザの利便性が損なわれることを抑制することができる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】テレマティクスシステムの概略構成を示す図である。
【
図2】テレマティクスシステムに含まれるテレマティクス端末及びサーバ装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】実施形態におけるサーバ装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図4】実施形態における契約管理データベースに格納される契約情報テーブルの構成例を示す図である。
【
図5】実施形態におけるサーバ装置で行われる処理ルーチンを示すフローチャートである。
【
図6】表示指令を受信したときに、テレマティクス端末で表示される画面の一例を示す図である。
【
図7】変形例1におけるサーバ装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図8】変形例1における契約管理データベースに格納される契約情報テーブルの構成例を示す図である。
【
図9】変形例1におけるサーバ装置で行われる処理ルーチンを示すフローチャートである。
【
図10】変形例3におけるサーバ装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図11】変形例3における契約管理データベースに格納される契約情報テーブルの構成例を示す図である。
【
図12】変形例4における契約管理データベースに格納される契約情報テーブルの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の情報処理装置は、テレマティクスサービスを提供するためのシステム(以下、「テレマティクスシステム」と記す場合もある。)に適用される。テレマティクスサービスは、例えば、情報検索、カーナビゲーションシステムの地図データの更新、カーナビゲーションシステムの目的地設定、緊急通報、車両メンテナンス情報の提供、オペレータとの音声通話、又は車両のリモート操作等のサービスを含む。テレマティクスシステムは、車両に搭載されるテレマティクス端末と車外に設置される情報処理装置との間で双方向通信を行わせることにより、テレマティクス端末を通じて車両の乗員にテレマティクスサービスを提供する。斯様なテレマティクスシステムでは、テレマティクス端末が搭載される車両は、テレマティクスサービスの利用契約をしているユーザ(第1のユーザ)に関連付けられる。なお、テレマティクス端末を搭載した車両に関連付けられるユーザは、当該車両の所有権を有するユーザ(車両を購入したユーザ)、又はテレマティクス端末を搭載した車両の使用権を有するユーザ(車両をリースしているユーザ)等である。
【0012】
ここで、テレマティクス端末を搭載した車両の所有権又は使用権が第一のユーザから第二のユーザへ移転される場合(例えば、第一のユーザから第二のユーザへ車両が売却される場合等)に、第一のユーザがテレマティクスサービスの契約を解約し忘れると、第一のユーザ及び第二のユーザの利便性が損なわれる可能性がある。例えば、第一のユーザに対して契約料が不要に課金されたり、又は第二のユーザがテレマティクスサービスを利用することができなかったりする可能性がある。また、第二のユーザの意に反して車両がリモート操作されてしまう可能性もある。
【0013】
これに対し、本開示の情報処理装置では、制御部が、車両の起動を検出する。例えば、車両が起動されたときに、車両の起動を示す情報がテレマティクス端末から情報処理装置へ送信されてもよい。なお、「車両の起動」とは、車両のアクセサリ電源が通電状態にされること(例えば、アクセサリスイッチがオフからオンへ操作されること)、又は原動機が作動可能な状態にされること(例えば、イグニッションスイッチがオフからオンへ操作されること、又はパワースイッチがオフからオンへ操作されること)等をいう。制御部は、車両の起動を検出したときに、所定の条件が成立していれば、該車両に関連付けられている第1のユーザに関する情報(以下、「第1のユーザ情報」と記す場合もある。)を表示する指令(以下、「表示指令」と記す場合もある。)を、テレマティクス端末へ送信す
る。
【0014】
上記した表示指令を受信したテレマティクス端末は、第1のユーザ情報を表示する。例えば、テレマティクス端末は、車両に搭載されるディスプレイ装置に、第1のユーザ情報を表示させる。これにより、車両の乗員は、車両の所有権又は使用権を有するユーザと第1のユーザとが一致しているかを確認することができる。例えば、車両の所有権又は使用権が第一のユーザから第二のユーザへ移転された場合等に、第一のユーザがテレマティクスの契約を解約し忘れていても、それを第二のユーザに認識させることが可能になる。その結果、第二のユーザが、第一のユーザによるテレマティクスサービスの契約を解約するための手立てを講じることが可能になる。それにより、第一のユーザに対して契約料が不要に課金されること、第二のユーザがテレマティクスサービスを利用することができなくなること、又は第二のユーザの意に反して車両がリモート操作されること等を抑制することができる。よって、第一のユーザ及び第二のユーザの利便性が損なわれることを抑制することができる。
【0015】
本開示に係る所定の条件は、第1のユーザ情報の表示頻度に関する条件でもよい。その場合、本開示に係る情報処理装置は、テレマティクス端末に対する表示指令を最後に送信した日時である第1の日時を格納する記憶部を備えるようにしてもよい。そして、制御部は、記憶部に格納されている第1の日時から車両の起動が検出される日時までの経過時間が第1の時間長以上である場合に、所定の条件が成立していると判定するようにしてもよい。これにより、車両の乗員に対して、定期的に第1のユーザ情報を表示することができる。その結果、車両の乗員は、テレマティクスサービスの契約が有効であること、すなわち、テレマティクスサービスを利用可能であることを、定期的に認識することが可能になる。これにより、車両の乗員に対して、テレマティクスサービスの利用を促すことも可能となる。
【0016】
本開示に係る所定の条件は、車両の保管場所に関する条件でもよい。これは、車両の保管場所が変更された場合、車両の所有権又は使用権が移転されている可能性があるためである。そこで、本開示に係る情報処理装置は、車両の保管場所が変更されたときにオンにされ、且つ表示指令が送信されたときにオフにされる第1のフラグを格納する記憶部を備えるようにしてもよい。そして、制御部は、第1のフラグがオンである場合に、所定の条件が成立していると判定するようにしてもよい。これにより、車両の所有権又は使用権が移転された可能性がある場合に限り、第1のユーザ情報がテレマティクス端末で表示されることになる。その結果、乗員が煩わしさを覚えることを抑制することができる。
【0017】
ここで、第1のフラグのオフからオンへの切替えは、以下の3つの手順で行われてもよい。
(手順1)テレマティクス端末を通じて取得される車両の位置情報に基づいて、車両の保管場所を定期的に推定する。
(手順2)推定された車両の保管場所が前回推定された保管場所から変更されているかを判定する。
(手順3)推定された車両の保管場所が前回推定された保管場所から変更されていると判定された場合に、フラグをオンにする。
【0018】
また、経路案内を行うカーナビゲーションシステムがテレマティクス端末に含まれる場合、第1のフラグのオフからオンへの切替えは、以下の3つの手順で行われてもよい。
(手順4)カーナビゲーションシステムに登録されている車両の保管場所(ユーザの自宅の位置、又は駐車場の位置等)に関する情報を定期的に取得する。
(手順5)取得された保管場所に関する情報が前回取得された保管場所と異なる場所を示しているかを判定する。
(手順6)取得された保管場所に関する情報が前回取得された保管場所と異なる場所を示していると判定された場合に、第1のフラグをオンにする。
【0019】
また、本開示に係る所定の条件は、車両のリモート操作に関する条件でもよい。ここでいうリモート操作は、例えば、第1のユーザの携帯端末等にインストールされたアプリケーション・プログラムを通じて、車両の空調システム又はセキュリティシステム等の設定を行う操作である。そこで、本開示に係る情報処理装置は、車両のリモート操作が行われたときにオンにされ、且つ表示指令が送信されたときにオフにされる第2のフラグを格納する記憶部を備えるようにしてもよい。そして、制御部は、第2のフラグがオンである場合に、所定の条件が成立していると判定するようにしてもよい。これにより、車両の乗員に対して、リモート操作以外のテレマティクスサービスの利用を促すことが可能になる。
【0020】
また、本開示に係る所定の条件は、テレマティクスサービスの利用頻度に関する条件でもよい。その場合、本開示に係る情報処理装置は、テレマティクスサービスが最後に利用された日時である第2の日時を格納する記憶部を備えるようにしてもよい。そして、制御部は、第2の日時から車両の起動が検出される日時までの経過時間が第2の時間長以上である場合に、前記所定の条件が成立していると判定するようにしてもよい。これにより、テレマティクスサービスの利用頻度が低い場合に限り、第1のユーザ情報がテレマティクス端末で表示されることになる。その結果、乗員が煩わしさを覚えることを抑制することができるとともに、テレマティクスサービスの利用を促すことができる。
【0021】
また、本開示に係る所定の条件は、第1のユーザが車両に乗車していないトリップの回数に関する条件でもよい。これは、第1のユーザが車両に乗車していない状態でのトリップが連続して繰り返された場合、車両の所有権又は使用権が移転されている可能性があるためである。そこで、本開示に係る制御部は、第1のユーザが車両に乗車していない状態でのトリップが連続して所定回数繰り返された場合に、所定の条件が成立していると判定するようにしてもよい。なお、ここでいうトリップとは、例えば、車両の起動スイッチが乗員によってオンにされてからオフにされるまでの期間のことである。これにより、車両の所有権又は使用権が移転された可能性がある場合に限り、第1のユーザ情報がテレマティクス端末で表示されることになる。その結果、乗員が煩わしさを覚えることを抑制することができる。
【0022】
ここで、制御部は、トリップ中における、車両の位置と第1のユーザの携帯端末の位置とに基づいて、第1のユーザが車両に乗車しているかを判定してもよい。別法として、車両の室内を撮影するためのカメラの撮影画像を解析することで、第1のユーザが車両に乗車しているかを判定してもよい。また、Bluetooth(登録商標)LowEnergy規格の近距離無線通信等を用いて、第1のユーザの携帯端末に対するポーリングを行うことで、第1のユーザが車両に乗車しているかを判定してもよい。
【0023】
なお、本開示に係る第1のユーザ情報は、第1のユーザの電子メールアドレスの一部でもよい。これにより、車両の使用権を有するユーザと第1のユーザとが異なる場合に、車両の使用権を有するユーザが、第1のユーザの個人情報を取得してしまうことを抑制することができる。なお、第1のユーザ情報は、上記に限定されるものではなく、例えば、第1のユーザの電話番号の一部、又は第1のユーザのニックネーム等でもよい。
【0024】
なお、本開示は、コンピュータが上記した各処理を実行する情報処理方法、又はコンピュータに上記した各処理を実行させるための情報処理プログラムとしても捉えることができる。その場合のコンピュータが上記した情報処理装置に相当する。斯様なコンピュータは、例えば、テレマティクスサービスの提供者の管理下にあるサーバ装置等である。
【0025】
また、本開示は、車両に搭載されるテレマティクス端末として捉えることもできる。その場合、テレマティクス端末の制御部が、車両の起動時に、所定の条件が成立しているかを判定すればよい。そして、所定の条件が成立していれば、当該制御部が、第1のユーザ情報を表示すればよい。
【0026】
<実施形態>
以下、本開示の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態に記載される構成は例示であり、本開示は実施例に例示される構成に限定されない。
【0027】
(システムの概要)
図1は、本開示を適用するテレマティクスシステムの概略構成を示す図である。本実施形態におけるテレマティクスシステムは、車両10に搭載されるテレマティクス端末100と、車両10の外部に設置されるサーバ装置200と、を含む。テレマティクス端末100とサーバ装置200とは、ネットワークN1を介して双方向通信を行う。なお、
図1では、車両10が1台のみ図示されているが、複数台の車両10がテレマティクスシステムに含まれる場合もある。
【0028】
テレマティクス端末100は、テレマティクスサービスに関する操作を受け付け、受け付けた操作に応じた要求をサーバ装置200へ送信する。また、テレマティクス端末100は、上記した要求に応答する形でサーバ装置200から返信される情報を受信し、受信した情報を車両10の乗員に提示する。ここで、例えば、車両10の乗員が目的地を指定する操作を行った場合に、テレマティクス端末100が車両10の現在位置及び目的地に関する情報を含む経路検索要求をサーバ装置200へ送信する。これに応答する形で、サーバ装置200から経路検索結果が返信されてくると、テレマティクス端末100が上記の経路検索結果を受信し、受信した経路検索結果に基づいてカーナビゲーションシステムにおける目的地の設定及び現在位置から目的地までの経路の設定等を行う。その際、地図情報を更新するためのデータが、サーバ装置200からテレマティクス端末100へ返信される信号に含まれていれば、テレマティクス端末100は、カーナビゲーションシステムに登録されている地図情報の更新も行う。なお、テレマティクスサービスに関する操作は、上記した例に限定されず、天気、店舗、若しくは観光スポット等の情報検索を要求する操作、オペレータとの音声通話を要求する操作、又はインターネットへの接続を要求する操作等が含まれてもよい。ただし、テレマティクス端末100(テレマティクス端末100が搭載される車両10)は、テレマティクスサービスを契約しているユーザ(以下、「契約ユーザ」と記す場合もある。)に紐付けられており、契約ユーザが契約しているテレマティクスサービスに関する操作のみを受け付ける。なお、テレマティクスサービスの契約は、車両10の所有権又は使用権を有するユーザのみが行える。つまり、テレマティクス端末100に関連付けられる契約ユーザは、1人だけである。また、契約ユーザは、本開示に係る「第1のユーザ」に相当する。
【0029】
本実施形態におけるテレマティクス端末100は、車両10が起動されたときに、車両10の起動を示す情報(起動情報)を、サーバ装置200へ送信する機能を有する。車両の起動とは、例えば、アクセサリスイッチがオフからオンへ操作されること、イグニッションスイッチがオフからオンへ操作されること、又はパワースイッチがオフからオンへ操作されること等である。本実施形態の起動情報には、テレマティクス端末100の識別情報(端末ID)が含まれる。また、テレマティクス端末100は、サーバ装置200からの表示指令に従って、契約ユーザに関する情報(契約ユーザ情報)を表示する機能も有する。「契約ユーザ情報」は、車両10の所有権又は使用権を有するユーザと契約ユーザとが一致しているかを識別可能な情報であって、且つ第三者が契約ユーザの個人を特定することができない情報である。斯様な契約ユーザ情報としては、例えば、契約ユーザの電子メールアドレスの一部、契約ユーザの電話番号の一部、又は契約ユーザのニックネーム等
を用いることができる。
【0030】
サーバ装置200は、TSP(Telematics Service Provider)によって管理される。
サーバ装置200は、上記したようなテレマティクスサービスに関する各種要求をテレマティクス端末100から受け付け、受け付けた要求に応じた情報をテレマティクス端末100へ提供する機能を有する。また、本実施形態におけるサーバ装置200は、テレマティクス端末100からの起動情報を受信したときに、所定の条件が成立しているかを判定する機能を有する。所定の条件は、契約ユーザ情報を表示するか否かを判定するための条件である。本実施形態における所定の条件は、契約ユーザ情報の表示が最後に行われた日時から第1の時間長以上が経過していることである。斯様な所定の条件が成立していると判定された場合、サーバ装置200は、契約ユーザ情報を表示する指令(表示指令)を、テレマティクス端末100へ送信する。
【0031】
(システムのハードウェア構成)
図2は、テレマティクスシステムに含まれるテレマティクス端末100、及びサーバ装置200のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0032】
(テレマティクス端末)
テレマティクス端末100は、車両10に搭載される小型のコンピュータである。テレマティクス端末100は、
図2に示すように、プロセッサ101、主記憶部102、補助記憶部103、入出力部104、位置取得部105、及び通信部106を有する。これらは、互いにバスにより接続される。主記憶部102及び補助記憶部103は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体である。テレマティクス端末100のハードウェア構成は、
図2に示す例に限定されず、適宜構成要素の省略、置換、又は追加が行われてもよい。
【0033】
テレマティクス端末100は、プロセッサ101が補助記憶部103に格納されているプログラムを実行することで、所定の目的に合致した機能を実現する。なお、テレマティクス端末100の一部又は全部の機能は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路により実現されてもよい。
【0034】
プロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)である。プロセッサ101は、様々な情報処理の演算を行うこと
で、テレマティクス端末100を制御する。
【0035】
主記憶部102は、例えば、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。補助記憶部103は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、又はHDD(Hard Disk Drive)である。
【0036】
補助記憶部103は、リムーバブルメディア、即ち可搬記録媒体を含むことができる。リムーバブルメディアは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等である。補助記憶部103は、各種のプログラム、各種のデータ、及び各種のテーブルを読み書き自在に記録媒体に格納する。補助記憶部103に格納されるプログラムには、OS(Operating System)に加え、テレマティクスサービスに関連するプログラムが含まれる。テレマティクスサービスに関連するプログラムとしては、例えば、カーナビゲーションシステムの機能をテレマティクス端末100で実現するためのプログラム、及びインターネットのブラウジングを行うためのプログラム等が含まれる。テレマティクスサービスに関連するプログラムには、起動情報をサーバ装置200へ送信する機能を実現するためのプログラム、及びサーバ装置200からの表示指令に従って契約ユーザ情報を表示する機能を実現するためのプログラムも含
まれる。補助記憶部103に格納される。なお、補助記憶部103に格納されている情報の一部又は全部は、主記憶部102に格納されてもよい。
【0037】
入出力部104は、ユーザが行った入力操作を受け付ける一方で、ユーザに対して情報を提示する。入出力部104は、例えば、タッチパネルとその制御回路、液晶ディスプレイとその制御回路、マイクロフォンとその制御回路、及びスピーカとその制御回路等から構成される。タッチパネル及び液晶ディスプレイは、一つのタッチパネルディスプレイで構成されてもよい。本実施形態における入出力部104は、サーバ装置200からの表示指令を受信したタイミングで、契約ユーザ情報をタッチパネルディスプレイから出力する。
【0038】
位置取得部105は、テレマティクス端末100の現在位置(車両10の現在位置)を取得する装置である。典型的には、位置取得部105は、GPS(Global Positioning System)の受信機を含んで構成される。
【0039】
通信部106は、テレマティクス端末100をネットワークN1に接続するための無線通信インタフェースである。通信部106は、例えば、5G(5th-Generation)若しくはLTE(Long Term Evolution)等の移動体通信サービス、又はWi-Fi(登録商標)
等の無線通信網を利用してネットワークN1へ接続し、ネットワークN1を通じてサーバ装置200との通信を行う。
【0040】
ネットワークN1は、例えば、インターネット等の世界規模の公衆通信網であるWAN(Wide Area Network)、又はその他の通信網である。なお、ネットワークN1は、携帯
電話等の電話通信網、又はWi-Fi(登録商標)等の無線通信網を含んでもよい。
【0041】
(サーバ装置)
サーバ装置200は、車両10の外部に設置されるコンピュータである。本実施形態では、サーバ装置200は、TSPの事業所等に設置される。サーバ装置200は、
図2に示すように、プロセッサ201、主記憶部202、補助記憶部203、及び通信部204を有する。これらは、互いにバスによって接続される。サーバ装置200のハードウェア構成は、
図2に示す例に限らず、適宜構成要素の省略、置換、又は追加が行われてもよい。
【0042】
サーバ装置200のプロセッサ201、主記憶部202、及び補助記憶部203は、テレマティクス端末100のプロセッサ101、主記憶部102、及び補助記憶部103と各々同様である。ただし、補助記憶部203に格納されるプログラムには、契約ユーザ情報をテレマティクス端末100に表示させるための機能を実現するためのプログラムが含まれる。
【0043】
通信部204は、サーバ装置200をネットワークN1に接続するための通信インタフェースである。通信部204は、例えば、LAN(Local Area Network)インターフェースボード、又は無線通信のための無線通信回路である。通信部204は、LAN又は無線通信網を通じてネットワークN1へ接続し、ネットワークN1を通じてテレマティクス端末100との通信を行う。
【0044】
(サーバ装置の機能構成)
次に、サーバ装置200の機能構成について、
図3に基づいて説明する。本実施形態におけるサーバ装置200は、
図3に示すように、その機能構成要素として、検出部F210、判定部F220、指令部F230、及び契約管理データベースD210を含む。検出部F210、判定部F220、及び指令部F230は、サーバ装置200のプロセッサ2
01が補助記憶部203に格納されているプログラムを実行することで実現される。なお、検出部F210と判定部F220と指令部F230との全部、又はその一部は、ASIC又はFPGA等のハードウェア回路により実現されてもよい。契約管理データベースD210は、サーバ装置200のプロセッサ201がDBMS(Database Management System)のプログラムを実行することにより、補助記憶部203に構築される。契約管理データベースD210は、例えば、リレーショナルデータベースである。
【0045】
なお、サーバ装置200の機能構成要素の何れか又はその一部の処理は、ネットワークN1に接続される他のコンピュータにより実行されてもよい。例えば、検出部F210に含まれる各処理と、判定部F220に含まれる各処理と、指令部F230に含まれる各処理とは、別々のコンピュータにより実行されてもよい。
【0046】
契約管理データベースD210は、契約ユーザに関する情報が格納されており、そこでは契約ユーザ情報とテレマティクス端末100との紐付けが行われている。ここで、契約管理データベースD210に格納される情報の一構成例について、
図4に基づいて説明する。
図4は、契約管理データベースD210に格納される情報のテーブル構成を示す図である。
図4に示す例では、テレマティクス端末別に設定された複数のテーブルが契約管理データベースD210に格納されている。なお、契約管理データベースD210に格納されるテーブル(以下、「契約情報テーブル」と記す場合もある。)の構成は、
図4に示す例に限られず、適宜フィールドの追加、変更、又は削除が可能である。
【0047】
本実施形態における契約情報テーブルは、
図4に示すように、端末ID、契約ユーザ情報、及び送信日時の各フィールドを有する。端末IDフィールドには、テレマティクス端末100を識別するための情報(端末ID)が登録される。契約ユーザ情報フィールドには、テレマティクス端末100に紐付けられている契約ユーザの契約ユーザ情報が登録される。契約ユーザ情報は、前述したように、車両10の所有権又は使用権を有するユーザと契約ユーザとが一致しているかを識別可能な情報であって、且つ第三者が契約ユーザの個人を特定することができない情報である。斯様な契約ユーザ情報としては、例えば、契約ユーザの電子メールアドレスの一部(電子メールアドレスの一部が伏せ字にされた文字列)、契約ユーザの電話番号の一部(電話番号の一部が伏せ字にされた文字列)、又は契約ユーザのニックネーム等である。本実施形態では、契約ユーザの電子メールアドレスの一部が、契約ユーザ情報として用いられる。なお、契約ユーザ情報フィールドに契約ユーザ情報が登録されている契約ユーザは、該契約ユーザに紐付けられているテレマティクス端末100が搭載される車両10の所有権又は使用権を有するユーザと同じであるとは限らない。例えば、契約ユーザから別のユーザへ車両10の使用権が移転された際に、契約ユーザがテレマティクスサービスの契約を解約していなければ、車両10の所有権又は使用権を有するユーザとは異なるユーザの情報が契約ユーザ情報フィールドに登録されたままとなる。次に、送信日時フィールドには、テレマティクス端末100への表示指令の送信が最後に行われた日時(すなわち、テレマティクス端末100における契約ユーザ情報の表示が最後に行われた日時であり、本開示に係る「第1の日時」に相当。)を示す情報が登録される。送信日時フィールドに登録される情報は、テレマティクス端末100に対して表示指令が送信された際に更新される。
【0048】
上記した契約情報テーブルは、契約ユーザがTSPとの間でテレマティクスサービスの利用契約を交わしたときに契約管理データベースD210に登録され、契約ユーザがTSPとの契約を解約したときに契約管理データベースD210から削除される。
【0049】
ここで
図3に戻り、検出部F210は、テレマティクス端末100が搭載されている車両10の起動を検出する。具体的には、検出部F210は、テレマティクス端末100からの起動情報を、通信部204を通じて受信することにより、テレマティクス端末100
が搭載されている車両10の起動を検出する。テレマティクス端末100が搭載されている車両10の起動が検出された場合、検出部F210は、起動情報に含まれている端末IDを、判定部F220へ渡す。
【0050】
判定部F220は、所定の条件が成立しているかを判定する。具体的には、判定部F220は、検出部F210から受け取った端末IDを引数として、契約管理データベースD210にアクセスすることで、該端末IDと一致する情報が端末IDフィールドに登録されている契約情報テーブルを特定する。判定部F220は、特定された契約情報テーブルの送信日時フィールドに登録されている情報(第1の日時)を読み出す。判定部F220は、第1の日時から現在(検出部F210が車両10の起動を検出した日時)までの経過時間を演算する。判定部F220は、演算された経過時間が第1の時間長以上であるかを判定する。第1の時間長は、TSPにより定められた時間長であり、例えば、数日分の時間長、数週間分の時間長、又は数ヶ月分の時間長である。上記経過時間が第1の時間長以上である場合、判定部F220は、所定の条件が成立していると判定する。その場合、検出部F210から判定部F220へ渡された端末IDが、判定部F220から指令部F230へ渡される。また、上記経過時間が第1の時間長未満である場合、判定部F220は、所定の条件が成立していないと判定する。その場合、検出部F210から判定部F220へ渡された端末IDは、判定部F220から指令部F230へ渡されない。
【0051】
指令部F230は、判定部F220から端末IDを受け取ったことをトリガにして、表示指令をテレマティクス端末100へ送信する。具体的には、指令部F230は、判定部F220から受け取った端末IDを引数として、契約管理データベースD210にアクセスすることで、該端末IDと一致する情報が端末IDフィールドに登録されている契約情報テーブルを特定する。指令部F230は、特定された契約情報テーブルの契約ユーザ情報フィールドに登録されている情報(契約ユーザ情報)を読み出す。指令部F230は、読み出された契約ユーザ情報に基づいて、表示指令を生成する。表示指令は、契約ユーザ情報をテレマティクス端末100に表示させるための指令である。指令部F230は、生成された表示指令を、通信部204を通じてテレマティクス端末100へ送信する。
【0052】
(処理の流れ)
本実施形態におけるサーバ装置200で行われる処理の流れについて、
図5に基づいて説明する。
図5は、テレマティクス端末100からの起動情報を受信したことをトリガにして、サーバ装置200で行われる処理ルーチンを示すフローチャートである。なお、
図5に示す処理ルーチンの実行主体は、サーバ装置200のプロセッサ201であるが、ここでは機能構成要素を実行主体とする説明を行う。
【0053】
図5において、テレマティクス端末100からの起動情報を、サーバ装置200の通信部204が受信すると、当該起動情報が、通信部204から検出部F210へ渡される。検出部F210は、通信部204を通じて起動情報を受信することにより、車両10の起動を検出する(ステップ101)。検出部F210は、起動情報に含まれている端末IDを、判定部F220へ渡す。
【0054】
検出部F210からの端末IDを受け取った判定部F220は、所定の条件が成立しているかを判定する(ステップ102)。具体的には、判定部F220は、検出部F210から受け取った端末IDを引数として、契約管理データベースD210にアクセスすることで、該端末IDと一致する情報が端末IDフィールドに登録されている契約情報テーブルを特定する。判定部F220は、特定された契約情報テーブルの送信日時フィールドに登録されている第1の日時を読み出す。判定部F220は、第1の日時から現在までの経過時間を演算する。判定部F220は、演算された経過時間が第1の時間長以上であるかを判定する。演算された経過時間が第1の時間長以上である場合、判定部F220は、所
定の条件が成立していると判定する(ステップ102で肯定判定)。その場合、端末IDが判定部F220から指令部F230へ渡されて、ステップ103の処理が実行される。また、演算された経過時間が第1の時間長未満である場合、判定部F220は、所定の条件が成立していないと判定する(ステップ102で否定判定)。その場合、端末IDが判定部F220から指令部F230へ渡されずに、本処理ルーチンの実行が終了される。
【0055】
ステップ103では、指令部F230が、表示指令を生成する。表示指令は、契約ユーザ情報をテレマティクス端末100に表示させるための指令である。斯様な表示指令を生成するにあたり、指令部F230は、判定部F220から受け取った端末IDを引数として、契約管理データベースD210へアクセスすることで、該端末IDと一致する情報が端末IDフィールドに登録されている契約情報テーブルを特定する。指令部F230は、特定された契約情報テーブルの契約ユーザ情報フィールドに登録されている契約ユーザ情報を読み出す。指令部F230は、読み出された契約ユーザ情報を含む表示指令を生成する。指令部F230は、ステップ103の処理を実行し終えると、ステップ104の処理を実行する。
【0056】
ステップ104では、指令部F230は、ステップ103で生成された表示指令を、通信部204を通じてテレマティクス端末100へ送信する。
【0057】
上記した表示指令を受信したテレマティクス端末100では、サーバ装置200から受信した契約ユーザ情報が、入出力部104のタッチパネルディスプレイに表示される。その際、表示指令には、例えば、
図6に示すような画面を表示させるための指令が含まれてもよい。すなわち、表示指令は、テレマティクスサービスに関するメニューと契約ユーザ情報とを含む画面を、表示させる指令が含むようにしてもよい。なお、テレマティクスサービスに関するメニューには、車両10の乗員が利用したいテレマティクスサービスの種類(例えば、インターネット接続、オペレータとの音声通話、情報検索、及び目的地設定等)を選択するためのボタン、又は車両10の乗員が設定を変更したい項目(ユーザ情報の変更、及び契約内容の変更等)を選択するためのボタン等が含まれる。
図6に示したような画面が入出力部104のタッチパネルディスプレイに表示されると、契約ユーザ情報を車両10の乗員に認識させることができる。これにより、車両10の乗員は、車両の所有権又は使用権を有するユーザと契約ユーザとが一致しているかを確認することができる。また、車両の所有権又は使用権を有するユーザと契約ユーザとが一致している場合には、
図6に示したような画面を通じて、テレマティクスサービスの利用を乗員に促すこともできる。なお、本実施形態では、
図6に示したような画面は、車両10の起動時に所定の条件(前回の表示から第1の時間長以上が経過していること)が成立していることを条件として、表示されるため、乗員が煩わしさを覚えることを抑制することができる。
【0058】
本実施形態によれば、車両10の使用権が第一のユーザから第二のユーザへ移転された場合等に、第一のユーザがテレマティクスの契約を解約し忘れていても、それを第二のユーザに認識させることが可能になる。これにより、第二のユーザは、第一のユーザによるテレマティクスサービスの契約を解約するための手立てを講じることが可能になる。また、テレマティクス端末100に表示される契約ユーザ情報は、電子メールアドレスの一部、電話番号の一部、又はニックネーム等であるため、契約ユーザ情報を見た第二のユーザによって第一のユーザの個人が特定されてしまうことを抑制することもできる。また、車両の所有権又は使用権を有するユーザと契約ユーザとが一致している場合には、テレマティクスサービスの利用を車両10の乗員に促すこともできる。よって、テレマティクスサービスを利用するユーザの利便性が損なわれることを抑制しつつ、テレマティクスサービスの利用を促進することができる。
【0059】
<変形例1>
前述した実施形態では、契約ユーザ情報の表示が最後に行われた日時から車両10が起動された日時までの経過時間が第1の時間長以上である場合に、所定の条件が成立していると判定する例について述べた。これに対し、本変形例では、車両10が起動されたときに、車両10の所有権又は使用権が移転していると推定されれば、所定の条件が成立していると判定する例について述べる。
【0060】
(サーバ装置の機能構成)
図7は、本変形例におけるサーバ装置200の機能構成例を示すブロック図である。本変形例のサーバ装置200は、その機能構成要素として、検出部F210、判定部F220、指令部F230、及び契約管理データベースD210に加え、推定部F240を有する。これらの機能構成要素は、サーバ装置200のプロセッサ201が補助記憶部203に格納されているプログラムを実行することで実現される。
【0061】
推定部F240は、車両10の所有権又は使用権が移転された可能性があるかを推定する。本変形例の推定部F240は、車両10の保管場所が変更された場合に、車両10の所有権又は使用権が移転された可能性があると推定する。斯様な推定を行うにあたり、推定部F240は、車両10の保管場所に関する情報を定期的(例えば、数日毎、数週間毎、又は数ヶ月毎)に取得する。車両10の保管場所に関する情報の取得は、テレマティクス端末100のカーナビゲーションシステムに登録されている保管場所(自宅の位置、又は駐車場の位置等)に関する情報を、定期的にテレマティクス端末100からサーバ装置200へ送信させることで為されてもよい。別法として、テレマティクス端末100の位置取得部105が取得する現在位置を定期的(例えば、数分毎、又は数時間毎)にテレマティクス端末100からサーバ装置200へ送信させ、サーバ装置200が受信した現在位置の履歴に基づいて推定されてもよい。例えば、推定部F240は、一定の期間(例えば、一週間、又は1ヶ月)のうちで、車両10の駐車時間(車両10の現在位置が同じ場所に位置し続ける時間)が最も長い場所を、車両10の保管場所として推定してもよい。
【0062】
上記した方法により車両10の保管場所に関する情報が取得されると、推定部F240は、今回取得された保管場所に関する情報が前回取得された保管場所と同じ場所を示しているかを判定する。なお、本変形例では、推定部F240が前回取得した保管場所に関する情報は、契約管理データベースD210の契約情報テーブルに登録されている。すなわち、本変形例の契約情報テーブルは、
図8に示すように、端末ID、契約ユーザ情報、保管場所、及びフラグの各フィールドを有する。端末IDフィールド及び契約ユーザ情報フィールドに登録される情報は、前述の実施形態の契約情報テーブル(
図4を参照。)と同じである。保管場所フィールドは、テレマティクス端末100を搭載する車両10の保管場所に関する情報を登録するためのフィールドであり、推定部F240によって保管場所の取得が行われる度に更新される。フラグフィールドは、今回取得された保管場所と前回取得された保管場所とが異なる場所であると判定されたとき(すなわち、車両10の保管場所が変更されたと判定されたとき)にオンにされ、且つテレマティクス端末100へ表示指令が送信されたときにオフにされるフラグ(本開示に係る「第1のフラグ」に相当。)が登録される。
【0063】
ここで、今回取得された保管場所に関する情報が前回取得された保管場所と同じ場所を示していれば、推定部F240は、車両10の所有権又は使用権が移転された可能性がないと推定する。一方、今回取得された保管場所に関する情報が前回取得された保管場所と異なる場所を示していれば、推定部F240は、車両10の所有権又は使用権が移転された可能性があると推定する。その場合、推定部F240は、契約情報テーブルのフラグフィールドに登録されているフラグをオンにする。
【0064】
また、本変形例における判定部F220は、契約情報テーブルのフラグフィールドに登
録されているフラグに基づいて、所定の条件が成立しているかを判定する。具体的には、判定部F220は、検出部F210から受け取った端末IDを引数として、契約管理データベースD210にアクセスすることで、該端末IDと一致する情報が端末IDフィールドに登録されている契約情報テーブルを特定する。判定部F220は、特定された契約情報テーブルのフラグフィールドに登録されているフラグがオンであるかを判定する。上記フラグがオンである場合、判定部F220は、所定の条件が成立していると判定する。その場合、検出部F210から判定部F220へ渡された端末IDが、判定部F220から指令部F230へ渡される。そして、指令部F230が、通信部204を通じて、表示指令をテレマティクス端末100へ送信する。指令部F230は、表示指令を送信し終えると、契約情報テーブルのフラグフィールドに登録されているフラグをオフにする。また、上記フラグがオフである場合、判定部F220は、所定の条件が成立していないと判定する。その場合、検出部F210から判定部F220へ渡された端末IDは、判定部F220から指令部F230へ渡されない。そのため、指令部F230からテレマティクス端末100への表示指令の送信は行われない。
【0065】
(処理の流れ)
ここで、車両10の所有権又は使用権が移転された可能性があるかを推定する際に、サーバ装置200で行われる処理の流れについて、
図9に基づいて説明する。
図9は、サーバ装置200において定期的(例えば、数日毎、数週間毎、又は数ヶ月毎)に行われる処理ルーチンを示すフローチャートである。
図9に示す処理ルーチンの実行主体は、サーバ装置200のプロセッサ201であるが、ここでは機能構成要素(推定部F240)を実行主体として説明する。
【0066】
図9において、サーバ装置200の推定部F230が、テレマティクス端末100が搭載されている車両10の保管場所に関する情報を取得する(ステップS201)。具体的には、推定部F230は、テレマティクス端末100と通信することで、テレマティクス端末100のカーナビゲーションシステムに登録されている保管場所に関する情報を取得する。若しくは、推定部F230は、テレマティクス端末100から定期的に取得した現在位置の履歴に基づいて、テレマティクス端末100が搭載されている車両10の保管場所を推定する。推定部F240は、ステップ201の処理を実行し終えると、ステップ202の処理を実行する。
【0067】
ステップ202では、推定部F230は、前回取得された保管場所を取得する。具体的には、推定部F230は、契約管理データベースD210の契約情報テーブルにおける保管場所フィールドに登録されている情報を読み出す。推定部F240は、ステップ202の処理を実行し終えると、ステップ203の処理を実行する。
【0068】
ステップ203では、推定部F230は、ステップS201で取得された保管場所とステップS202で取得された保管場所とを比較することで、テレマティクス端末100が搭載されている車両10の保管場所が変更されたかを判定する。ここで、ステップS201で取得された保管場所とステップ202で取得された保管場所とが同じである場合、推定部F240は、車両10の保管場所が変更されていないと判定する(ステップS203で否定判定)。その場合、本処理ルーチンの実行が終了される。一方、ステップS201で取得された保管場所とステップ202で取得された保管場所とが異なる場合、推定部F240は、車両10の保管場所が変更されたと判定する(ステップS203で肯定判定)。その場合、推定部F240は、ステップ204の処理を実行する。
【0069】
ステップ204では、推定部F230は、契約情報テーブルのフラグフィールドに登録されているフラグをオンする。ステップ204の処理が実行された後は、本処理ルーチンの実行が終了される。
【0070】
なお、テレマティクス端末100からの起動情報を受信した際にサーバ装置200で行われる処理の流れは、前述の
図5と同様である。ただし、ステップ102では、判定部F220が、契約情報テーブルのフラグフィールドに登録されているフラグに基づいて、所定の条件が成立しているかを判定する。すなわち、契約情報テーブルのフラグフィールドに登録されているフラグがオンであれば、所定の条件が成立していると判定され、契約情報テーブルのフラグフィールドに登録されているフラグがオフであれば、所定の条件が成立していないと判定される。
【0071】
本変形例によれば、車両10の所有権又は使用権が移転された可能性があると推定された場合に限り、車両10が起動されたタイミングで、契約ユーザ情報がテレマティクス端末100で表示される。その結果、乗員が煩わしさを覚えることを抑制しつつ、契約ユーザ情報を車両10の乗員に認識させることができる。
【0072】
<変形例2>
前述の変形例1では、車両10の保管場所が変更された場合に、推定部F240が、車両10の所有権又は使用権が移転された可能性があると推定する例について述べた。これに対し、本変形例では、契約ユーザが乗車していない状態で車両10のトリップが連続して繰り返された場合に、推定部F240が、車両10の所有権又は使用権が移転された可能性があると推定する例について述べる。
【0073】
ここで、契約ユーザが乗車していない状態での車両10のトリップが連続して繰り返された場合、車両10の所有権又は使用権が移転された可能性がある。そこで、契約ユーザが乗車していない状態での車両10のトリップが連続して所定回数繰り返された場合に、推定部F240が、車両10の所有権又は使用権が移転された可能性があると推定するようにしてもよい。ここでいうトリップとは、例えば、車両10の起動スイッチ(アクセサリスイッチ、イグニッションスイッチ、又はパワースイッチ等)が乗員によってオンにされてからオフにされるまでの期間のことである。
【0074】
トリップ中の車両10に契約ユーザが乗車しているかの判定は、テレマティクス端末100の位置と契約ユーザの携帯端末の位置とに基づいて行われてもよい。例えば、車両10のトリップ中において、推定部F240が、テレマティクス端末100の位置と契約ユーザの携帯端末の位置とを周期的(例えば、数分毎、又は数十分毎)に取得して、テレマティクス端末100(車両10)の移動経路と、契約ユーザの携帯端末の移動経路とを特定してもよい。そして、推定部F240は、双方の移動経路のズレが所定の閾値(例えば、数十センチから1メートル程度)以内であれば、トリップ中の車両10に契約ユーザが乗車していると判定してもよい。一方、双方の移動経路のズレが所定の閾値より大きければ、推定部F240は、トリップ中の車両10に契約ユーザが乗車していないと判定してもよい。
【0075】
なお、車内を撮影するためのカメラが車両10に搭載されている場合は、推定部F240は、車両10のトリップ中にカメラで撮影された画像を解析することで、トリップ中の車両10に契約ユーザが乗車しているかを判定してもよい。また、車両10のトリップ中に、Bluetooth(登録商標)LowEnergy規格の近距離無線通信等を用いて、契約ユーザの携帯端末に対するポーリングをテレマティクス端末100に行わせることで、契約ユーザが車両に乗車しているかを判定してもよい。
【0076】
<変形例3>
前述した実施形態では、契約ユーザ情報の表示が最後に行われた日時から車両10が起動された日時までの経過時間が第1の時間長以上である場合に、所定の条件が成立してい
ると判定する例について述べた。これに対し、本変形例では、車両10のリモート操作が行われた後に車両10が起動された場合に、所定の条件が成立していると判定する例について述べる。
【0077】
車両10のリモート操作は、テレマティクスサービスの契約ユーザが利用することができるサービスである。斯様なリモート操作は、契約ユーザの携帯端末にインストールされたアプリケーション・プログラムを通じて行われる。すなわち、契約ユーザは、車両10に乗車する前に、携帯端末のアプリケーション・プログラムを通じて、車両10の空調システム又はセキュリティシステム等の操作を行うことができる。例えば、上記アプリケーション・プログラムを実行中の携帯端末で、車両10の空調システムを作動させるための操作が行われると、空調システムを作動させるためのリクエストが携帯端末からサーバ装置200へ送信される。上記リクエストを受信したサーバ装置200では、契約ユーザの認証が行われる。契約ユーザの認証に成功した場合、サーバ装置200は、空調システムを作動させるためのリモート指令を、テレマティクス端末100へ送信する。上記リモート指令を受信したテレマティクス端末100は、空調システム用のECU等を通じて、車両10の空調システムを作動させる。これにより、契約ユーザは、車両10に乗車する前に、車室の温度等を好みの温度にしておくことができる。
【0078】
(サーバ装置の機能構成)
ここで、本変形例におけるサーバ装置200の機能構成例について、
図10に基づいて説明する。本変形例のサーバ装置200は、その機能構成要素として、検出部F210、判定部F220、指令部F230、及び契約管理データベースD210に加え、リモート処理部F250を有する。これらの機能構成要素は、サーバ装置200のプロセッサ201が補助記憶部203に格納されているプログラムを実行することで実現される。
【0079】
リモート処理部F250は、携帯端末からのリクエストを受信したときに、契約ユーザの認証を行う。その際の認証は、周知の方法で行われればよい。例えば、上記リクエストに含まれるユーザIDと、テレマティクス端末100に紐付けられている契約ユーザのユーザIDとを照合する方法により、上記認証が行われてもよい。契約ユーザの認証に成功した場合、リモート処理部F250は、上記リクエストに応じてリモート指令を、テレマティクス端末100へ送信する。例えば、上記リクエストが空調システムの作動を要求するものである場合、リモート処理部F250は、空調システムを作動させるためのリモート指令を、テレマティクス端末100へ送信する。リモート処理部F250は、リモート指令の送信を終えると、所定のフラグをオンにする。所定のフラグは、車両10のリモート操作が行われたときにオンにされ、且つ表示指令が送信されたときにオフにされるフラグ(本開示に係る「第2のフラグ」に相当。)であり、契約管理データベースD210の契約情報テーブルに登録される。すなわち、本変形例における契約情報テーブルは、
図11に示すように、端末ID、契約ユーザ情報、及びフラグの各フィールドを有する。端末IDフィールド及び契約ユーザ情報フィールドに登録される情報は、前述の実施形態の契約情報テーブル(
図4を参照。)と同じである。フラグフィールドには、上記したように、車両10のリモート操作が行われたときにオンにされ、且つ表示指令が送信されたときにオフにされるフラグが登録される。
【0080】
本変形例における判定部F220は、契約情報テーブルのフラグフィールドに登録されているフラグに基づいて、所定の条件が成立しているかを判定する。具体的には、判定部F220は、検出部F210から受け取った端末IDを引数として、契約管理データベースD210にアクセスすることで、該端末IDと一致する情報が端末IDフィールドに登録されている契約情報テーブルを特定する。判定部F220は、特定された契約情報テーブルのフラグフィールドに登録されているフラグがオンであるかを判定する。上記フラグがオンである場合、判定部F220は、所定の条件が成立していると判定する。その場合
、検出部F210から判定部F220へ渡された端末IDが、判定部F220から指令部F230へ渡される。そして、指令部F230が、通信部204を通じて、表示指令をテレマティクス端末100へ送信する。指令部F230は、表示指令を送信し終わると、契約情報テーブルのフラグフィールドに登録されているフラグをオフにする。また、上記フラグがオフである場合、判定部F220は、所定の条件が成立していないと判定する。その場合、検出部F210から判定部F220へ渡された端末IDは、判定部F220から指令部F230へ渡されない。そのため、指令部F230からテレマティクス端末100への表示指令の送信は行われない。
【0081】
本変形例によれば、車両10のリモート操作が行われた後に車両10が起動された場合に、契約ユーザ情報がテレマティクス端末100で表示が行われる。その際、前述の
図6に示したような画面を、テレマティクス端末100の入出力部104に表示させることで、リモート操作以外のテレマティクスサービスの利用を乗員に促すことができる。
【0082】
<変形例4>
前述した実施形態では、契約ユーザ情報の表示が最後に行われた日時から車両10が起動された日時までの経過時間が第1の時間長以上である場合に、所定の条件が成立していると判定する例について述べた。これに対し、本変形例では、テレマティクスサービスの利用頻度が低い場合に、所定の条件が成立していると判定する例について述べる。
【0083】
ここで、テレマティクスサービスが最後に利用された日時から車両10が起動される日時までの経過時間が長い場合、テレマティクスサービスの利用頻度が低いと推定することができる。その場合、テレマティクスサービスの利用を促す必要がある。そこで、本変形例では、テレマティクスサービスが最後に利用した日時から車両10が起動される日時までの経過時間が第2の時間長以上であれば、判定部F220が、所定の条件が成立していると判定するようにした。
【0084】
本変形例におけるサーバ装置200の機能構成は、前述の実施形態(
図3を参照。)と同様である。ただし、本変形例における契約情報テーブルは、
図12に示すように、端末ID、契約ユーザ情報、及び利用日時の各フィールドを有する。端末IDフィールド及び契約ユーザ情報フィールドに登録される情報は、前述の実施形態の契約情報テーブル(
図4を参照。)と同じである。利用日時フィールドには、テレマティクスサービスが最後に利用された日時(本開示に係る「第2の日時」相当。)を示す情報が登録される。利用日時フィールドに登録される情報は、テレマティクスサービスが利用された際に更新される。
【0085】
また、本変形例における判定部F220は、契約情報テーブルの利用日時フィールドに登録されている情報に基づいて、所定の条件が成立しているかを判定する。具体的には、判定部F220は、検出部F210から受け取った端末IDを引数として、契約管理データベースD210にアクセスすることで、該端末IDと一致する情報が端末IDフィールドに登録されている契約情報テーブルを特定する。判定部F220は、特定された契約情報テーブルの利用日時フィールドに登録されている情報(第2の日時)を読み出す。判定部F220は、第2の日時から現在(検出部F210が車両10の起動を検出した日時)までの経過時間を演算する。判定部F220は、演算された経過時間が第2の時間長以上であるかを判定する。第2の時間長は、TSPにより定められた時間長であり、例えば、数週間分の時間長、又は数ヶ月分の時間長である。上記経過時間が第2の時間長以上である場合、判定部F220は、所定の条件が成立していると判定する。その場合、検出部F210から判定部F220へ渡された端末IDが、判定部F220から指令部F230へ渡される。また、上記経過時間が第1の時間長未満である場合、判定部F220は、所定の条件が成立していないと判定する。その場合、検出部F210から判定部F220へ渡
された端末IDは、判定部F220から指令部F230へ渡されない。
【0086】
本変形例によれば、テレマティクスサービスの利用頻度が低い場合に限り、契約ユーザ情報がテレマティクス端末100で表示されることになる。その結果、乗員が煩わしさを覚えることを抑制することができるとともに、テレマティクスサービスの利用を乗員に促すことができる。
【0087】
<その他>
上記した実施形態及び変形例はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。また、上記した実施形態及び変形例で説明した処理及び構成は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。さらに、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。例えば、サーバ装置200で行われる処理の一部が、テレマティクス端末100で行われてもよい。また、サーバ装置200で行われる処理の全部が、テレマティクス端末100で行われてもよい。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成で実現するかは柔軟に変更可能である。
【0088】
また、本開示は、上記の実施形態又は変形例で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよく、又はネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、データ及びプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、又は化学的な作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体である。斯様な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、又はHDD等)、又は光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、又はブルーレイディスク等)等の任意のタイプのディスクである。また、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、又はSSD(Solid State Drive)等の媒体でもよい。
【符号の説明】
【0089】
10 車両
100 テレマティクス端末
101 プロセッサ
102 主記憶部
103 補助記憶部
104 入出力部
105 位置取得部
106 通信部
200 サーバ装置
201 プロセッサ
202 主記憶部
203 補助記憶部
204 通信部
D210 契約管理データベース
F210 検出部
F220 判定部
F230 指令部
F240 推定部