(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191933
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20221221BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
G03G21/00 512
G03G21/00 312
G03G15/00 303
G03G21/00 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100460
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 國智
【テーマコード(参考)】
2H134
2H270
【Fターム(参考)】
2H134GA01
2H134GB01
2H134GB06
2H134HD08
2H134HD18
2H134KA18
2H134KA33
2H134KA40
2H134KB05
2H134KB07
2H134KC02
2H134KC03
2H134KH06
2H134KH16
2H270KA38
2H270LA15
2H270LA18
2H270LA19
2H270LA22
2H270LA70
2H270LA93
2H270LA99
2H270LB01
2H270LD03
2H270LD08
2H270LD14
2H270LD15
2H270MA28
2H270MA40
2H270MB11
2H270MB25
2H270MB28
2H270MB29
2H270MB32
2H270MB39
2H270MB40
2H270MB41
2H270MB43
2H270MB55
2H270MC48
2H270MC51
2H270MC78
2H270MH12
2H270NE01
2H270RA11
2H270RB01
2H270RB04
2H270RB06
2H270RB09
2H270RC03
2H270RC05
2H270RC10
2H270RC14
2H270RC17
2H270RC18
2H270ZC03
2H270ZC06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】主走査方向について局所的に発生したオゾンボケを検出して、その原因となった放電生成物を除去する画像形成装置を提供する。
【解決手段】ドットハーフパターンのテスト画像を記録シートに形成し(S601)、記録シートから当該テスト画像を読み取って(S602)、主走査線ごとに濃淡異常を確認する(S604)。濃淡異常を検出したら(S605:YES)、当該主走査線に対応する感光体ドラムの周長ピッチで1周期前の主走査線を参照して(S607)、主走査方向における同じ位置に濃淡異常があったら(S608:YES)、感光体表面に付着した放電生成物に起因する線状ボケであると判定して(S609)、感光体周面を清掃する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光回転体の外周面上にトナー像を形成し、形成したトナー像を被転写体に転写するトナー像形成部と、
前記感光回転体上または被転写体上のトナー像における濃淡異常を検知する検知部と、
前記感光回転体の外周面上を清掃する清掃部と、
前記検知部が、副走査方向における前記感光回転体の周長毎に、主走査方向における同一の位置に濃淡異常を検知した場合に、前記清掃部に清掃をさせる制御部と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記濃淡異常は、主走査方向における局所的な濃淡異常である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナー像形成部は、ドットハーフパターンのトナー像を形成し、
前記検知部は、前記ドットハーフパターンのトナー像の濃淡異常を検知する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検知部は、前記感光回転体の外周面上、記録シート上、および、前記感光回転体から記録シートへトナー像を転写するための中間転写体上のいずれかに担持されているトナー像における濃淡異常を検知する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記録シート上に担持されているトナー像は、当該記録シートに定着されているトナー像である
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記清掃部は、前記感光回転体の全周を清掃する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
トナー像の品質を安定させるために、前記トナー像形成部にトナー像を形成させる画像安定化処理部を備え、
前記検知部は、前記画像安定化処理部が前記品質を安定させる処理を実行するタイミングで、濃淡異常を検知する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記検知部は、前記画像安定化処理部が前記トナー像形成部に形成させたトナー像における濃淡異常を検知する
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記検知部は、前記トナー像形成部が前回トナー像を形成してから所定以上の時間が経過した後に形成したトナー像における濃淡異常を検知する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記感光回転体の耐久状態を特定する耐久状態特定部と、
前記耐久状態が閾値以下である場合に、前記検知部に濃淡異常の検知を禁止する禁止部と、を備える
ことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記清掃部は、前記感光回転体の外周面上にトナーを供給し、当該トナーを掻き取ることによって前記清掃を行う
ことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記トナー像形成部は、前記清掃部による清掃後、更に前記トナー像を形成し、
前記検知部は、前記更に形成されたトナー像における濃淡異常を検知し、
前記検知部が、前記更に形成されたトナー像において、副走査方向における前記感光回転体の周長毎に、主走査方向における同一の位置に濃淡異常が検知された場合に、その旨を報知する報知部を備える
ことを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
感光回転体の外周面上に所定の線幅のトナー像を形成し、形成したトナー像を被転写体に転写するトナー像形成部と、
前記感光回転体上または被転写体上のトナー像における線幅異常を検知する検知部と、
前記感光回転体の外周面上を清掃する清掃部と、
前記検知部が、副走査方向における前記感光回転体の周長毎に、主走査方向における同一の位置に線幅異常を検知した場合に、前記清掃部に清掃をさせる制御部と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
前記線幅異常は、主走査方向における局所的な線幅異常である
ことを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記所定の線幅のトナー像は、副走査方向に一定の間隔を設けてなるラインパターンである
ことを特徴とする請求項13または14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記検知部は、前記感光回転体の外周面上、記録シート上、および、前記感光回転体の外周面上から記録シート上へトナー像を転写するための中間転写体上のいずれかに担持されているトナー像における線幅異常を検知する
ことを特徴とする請求項13から15のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記記録シート上に担持されているトナー像は、当該記録シートに定着されているトナー像である
ことを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記清掃部は、前記感光回転体の全周を清掃する
ことを特徴とする請求項13から17のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項19】
トナー像の品質を安定させるために、前記トナー像形成部にトナー像を形成させる画像安定化処理部を備え、
前記検知部は、前記画像安定化処理部が前記品質を安定させる処理を実行するタイミングで、線幅異常を検知する
ことを特徴とする請求項13から18のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記検知部は、前記画像安定化処理部が前記トナー像形成部に形成させたトナー像における線幅異常を検知する
ことを特徴とする請求項19に記載の画像形成装置。
【請求項21】
前記検知部は、前記トナー像形成部が前回トナー像を形成してから所定以上の時間が経過した後に形成したトナー像における線幅異常を検知する
ことを特徴とする請求項13から20のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項22】
前記感光回転体の耐久状態を特定する耐久状態特定部と、
前記耐久状態が閾値以下である場合に、前記検知部に線幅異常の検知を禁止する禁止部と、を備える
ことを特徴とする請求項13から21のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項23】
前記清掃部は、前記感光回転体の外周面上にトナーを供給し、当該トナーを掻き取ることによって前記清掃をする
ことを特徴とする請求項13から22のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項24】
前記トナー像形成部は、前記清掃部による清掃後、更に前記トナー像を形成し、
前記検知部は、前記更に形成されたトナー像における線幅異常を検知し、
前記検知部が、前記更に形成されたトナー像において、副走査方向における前記感光回転体の周長毎に、主走査方向における同一の位置に線幅異常が検知された場合に、その旨を報知する報知部と、を備える
ことを特徴とする請求項13から23のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関し、特に、感光体表面に放電生成物が付着することによって発生する局所的な画像ノイズを効率よく解消するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、一様に帯電させた感光体表面を露光することによって静電潜像を形成し、当該静電潜像を現像してトナー像となし、当該トナー像を記録シート等の被転写材へ転写する電子写真プロセスを実行する。これらの工程のうち、感光体表面を帯電させる帯電工程においては、空気の電離によってオゾンや窒素酸化物などの放電生成物が生成される。
【0003】
帯電装置によって生成された放電生成物は、拡散して、画像形成装置の内部の各所に付着する。特に、感光体は帯電装置から取り分け近い位置にあって、帯電装置に対向することから、放電生成物が付着し易い。感光体表面に付着した放電生成物は、吸湿すると、電気抵抗が低下して導通性が高まる。このような放電生成物を経由して、感光体表面の露光されなかった箇所の帯電電荷が感光体表面の露光箇所へ流れ、非露光箇所が除電されると、画像ノイズが発生する(オゾンボケ)。
【0004】
感光体表面に付着する放電生成物を除去すれば、オゾンボケが解消される。電子写真方式の画像形成装置では、トナー像の転写工程後に感光体表面に残留する転写残トナーをクリーニング・ブレード等のクリーニング部材で掻き取って除去するため、画像形成処理が実行されている間は、放電生成物が転写残トナーとともに感光体表面から掻き取られ廃棄される。
【0005】
一方、夜間などに画像形成処理が実行されないまま時間が経過すると、放電生成物が感光体表面に蓄積し易い。特に、感光体表面のうち帯電装置に対向する領域においては放電生成物の付着が顕著になり、したがってオゾンボケもまた著しくなる。
【0006】
オゾンボケによる画像品質の低下がユーザーの下で発生した場合、画像品質を速やかに回復させなければならないので、作像ユニットを交換することになる。すると、放電生成物が付着しなければ使用できた筈の感光体が使用できなくなるという意味において作像ユニットの寿命が著しく短縮する。また、作像ユニットの交換作業を実施するために、ユーザーは画像形成装置を使用することができない期間(ダウンタイム)が長くなると、ユーザーの利便性が低下する。
【0007】
このようなオゾンボケに対して、例えば、クリーニング部材を用いる等して感光体表面から放電生成物を除去する回復モードを設ける技術が提案されている。また、放電生成物を確実に除去するために、感光体表面との摺擦力を高くしたクリーニング部材も提案されている。このようにすれば、画像形成処理を実行していないときでも、放電生成物を除去することができるので、オゾンボケを抑制することができる。
【0008】
しかしながら、印刷物にオゾンボケを視認したユーザーに回復モードを起動させるのでは、ユーザーにとって手間にかかる。また、毎朝などオゾンボケの有無に関係なく定期的に回復モードを適用すると、クリーニング部材との摺擦によって感光体が摩耗する等、感光体の寿命が不必要に短縮されてしまう。特に、感光体表面との摺擦力が高いクリーニング部材を用いると、感光体の摩耗が早まるので、作像ユニットの寿命が顕著に短くなる。
【0009】
このため、ユーザーに手間をかけることなく、感光体の摩耗を抑制することができる放電生成物の除去技術が求められてきた。すなわち、オゾンボケの発生を正確に検知して、オゾンボケが発生した場合にのみ回復モードを適用する形態が望ましい。
【0010】
例えば、放電生成物は加湿によって導通することから、感光体周辺の温湿度を検知して、オゾンボケが発生し易い温湿度になったら回復モードを適用する技術が知られている。しかしながら、この従来技術では、感光体表面に放電生成物が付着していなくても、感光体周辺が所定の温湿度になっただけで、回復モードが適用されるので、感光体の摩耗を必ずしも十分に抑制することができない。
【0011】
また、感光体ドラムを回転させるための駆動トルクや、感光体の表面電位を検知して、これらが所定の変動幅を超えて変動した場合に放電生成物が付着していると判断して、回復モードを適用する技術も知られている。
【0012】
しかしながら、感光体ドラムの駆動トルクや表面電位から、放電生成物の付着状況を精度良く検知するのは難しい。このため、放電生成物が付着していないのに付着していると誤検出して、回復モードを適用してしまうと、感光体の摩耗を十分に抑制することができない。逆に、放電生成物が付着しているのに付着していないと誤検出すると、回復モードが適用されないので、オゾンボケを十分抑制することができない。
【0013】
更に、オゾンボケを検出するための検知パターンを形成し、形成された検知パターンの濃度を感光体上や中間転写体上で検出して、検出された濃度が閾値を超えて変動している場合に回復モードを適用する従来技術が提案されている(例えば、特許文献1~3を参照)。これらの従来技術にすれば、オゾンボケの有無を検知パターンの濃度変動から直接的に検出するので、オゾンボケの誤検出を低減することができると期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2020-086303号公報
【特許文献2】特開2012-083588号公報
【特許文献3】特開平2-146563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述のように、放電生成物は、感光体ドラムが長時間に亘って回転を停止している期間中に、感光体表面のうち帯電装置に対向する領域に特に蓄積し易いことが知られている。帯電装置に対向する領域は、感光体表面のうち、感光体ドラムの回転軸方向(主走査方向)の全幅に亘る一方、周方向(副走査方向)については一部分だけである。
【0016】
この点に着目して、上記従来技術には、主走査方向における一部分にだけ放電生成物の検知パターンを形成することによって、副走査方向における放電生成物の付着位置を検出するものがある(特許文献1、2)。
【0017】
また、副走査方向に所定の間隔で検知パターンを像担持体上に形成し、その濃度波形より放電生成物による画像ノイズ有無を検出するものもある(特許文献3)。
【0018】
しかしながら、近年では、電子写真方式の画像形成装置の適用範囲が拡大し続けており、商業用途の高精細な印刷物までがその範疇に入ろうとしている。商業用途の画像形成装置においては、更に高い信頼性および耐久性までもが要求される。
【0019】
高精細な画像形成するためには、主走査方向において局所的に付着した放電生成物であっても、漏れなく検出して除去することによって、オゾンボケを解消することが求められている。
【0020】
また、高い信頼性および耐久性を達成するためには、放電生成物の誤検出によって不必要に回復モードを適用することがないようにして、感光体の摩耗を抑制しなければならない。
【0021】
このような要請に対して、感光体ドラムの外周面上で、主走査方向における一端から他端までの間の一部分だけに局所的に放電生成物が付着している場合、上記の従来技術では、主走査方向における一部分にだけ形成された放電生成物の検知パターンが、主走査方向における放電生成物の付着位置から外れて、検出することができない恐れがある。
【0022】
また、主走査方向における全幅に検知パターンを形成しても、主走査方向における一部分にだけしか放電生成物が付着していないと、濃度の測定信号と基準値との間に差異を検出した時間の合計値が短くなって、放電生成物を検出することができない恐れもある。
【0023】
放電生成部は検出することができなければ、回復モードを適用して当該放電生成物を感光体表面から除去することもできないので、高精細な画像品質を達成することができない。
【0024】
だからといって、放電生成物の有無に関係なく回復モードを適用したのでは、感光体の摩耗が促進されるので、高い信頼性および耐久性に関する要求に応えることができない。
【0025】
本開示は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、主走査方向について局所的に発生したオゾンボケを検出して、その原因となった放電生成物を除去する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記目的を達成するため、本開示の一形態に係る画像形成装置は、感光回転体の外周面上にトナー像を形成し、形成したトナー像を被転写体に転写するトナー像形成部と、前記感光回転体上または被転写体上のトナー像における濃淡異常を検知する検知部と、前記感光回転体の外周面上を清掃する清掃部と、前記検知部が、副走査方向における前記感光回転体の周長毎に、主走査方向における同一の位置に濃淡異常を検知した場合に、前記清掃部に清掃をさせる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0027】
この場合において、前記濃淡異常として、主走査方向における局所的な濃淡異常を検知するのが望ましい。
【0028】
また、前記トナー像形成部は、ドットハーフパターンのトナー像を形成し、前記検知部は、前記ドットハーフパターンのトナー像の濃淡異常を検知してもよい。
【0029】
また、前記検知部は、前記感光回転体の外周面上、記録シート上、および、前記感光回転体から記録シートへトナー像を転写するための中間転写体上のいずれかに担持されているトナー像における濃淡異常を検知してもよい。
【0030】
また、前記記録シート上に担持されているトナー像は、当該記録シートに定着されているトナー像であってもよい。
【0031】
また、前記清掃部は、前記感光回転体の全周を清掃してもよい。
【0032】
また、トナー像の品質を安定させるために、前記トナー像形成部にトナー像を形成させる画像安定化処理部を備え、前記検知部は、前記画像安定化処理部が前記品質を安定させる処理を実行するタイミングで、濃淡異常を検知してもよい。
【0033】
また、前記検知部は、前記画像安定化処理部が前記トナー像形成部に形成させたトナー像における濃淡異常を検知してもよい。
【0034】
また、前記検知部は、前記トナー像形成部が前回トナー像を形成してから所定以上の時間が経過した後に形成したトナー像における濃淡異常を検知してもよい。
【0035】
また、前記感光回転体の耐久状態を特定する耐久状態特定部と、前記耐久状態が閾値以下である場合に、前記検知部に濃淡異常の検知を禁止する禁止部と、を備えてもよい。
【0036】
また、前記清掃部は、前記感光回転体の外周面上にトナーを供給し、当該トナーを掻き取ることによって前記清掃を行ってもよい。
【0037】
また、前記トナー像形成部は、前記清掃部による清掃後、更に前記トナー像を形成し、前記検知部は、前記更に形成されたトナー像における濃淡異常を検知し、前記検知部が、前記更に形成されたトナー像において、副走査方向における前記感光回転体の周長毎に、主走査方向における同一の位置に濃淡異常が検知された場合に、その旨を報知する報知部を備えてもよい。
【0038】
また、本開示の別の一形態に係る画像形成装置は、感光回転体の外周面上に所定の線幅のトナー像を形成し、形成したトナー像を被転写体に転写するトナー像形成部と、前記感光回転体上または被転写体上のトナー像における線幅異常を検知する検知部と、前記感光回転体の外周面上を清掃する清掃部と、前記検知部が、副走査方向における前記感光回転体の周長毎に、主走査方向における同一の位置に線幅異常を検知した場合に、前記清掃部に清掃をさせる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0039】
この場合において、前記線幅異常としては、主走査方向における局所的な線幅異常を検知するのが望ましい。
【0040】
また、前記所定の線幅のトナー像は、副走査方向に一定の間隔を設けてなるラインパターンであってもよい。
【0041】
また、前記検知部は、前記感光回転体の外周面上、記録シート上、および、前記感光回転体の外周面上から記録シート上へトナー像を転写するための中間転写体上のいずれかに担持されているトナー像における線幅異常を検知してもよい。
【0042】
また、前記記録シート上に担持されているトナー像は、当該記録シートに定着されているトナー像であってもよい。
【0043】
また、前記清掃部は、前記感光回転体の全周を清掃してもよい。
【0044】
また、トナー像の品質を安定させるために、前記トナー像形成部にトナー像を形成させる画像安定化処理部を備え、前記検知部は、前記画像安定化処理部が前記品質を安定させる処理を実行するタイミングで、線幅異常を検知してもよい。
【0045】
また、前記検知部は、前記画像安定化処理部が前記トナー像形成部に形成させたトナー像における線幅異常を検知してもよい。
【0046】
また、前記検知部は、前記トナー像形成部が前回トナー像を形成してから所定以上の時間が経過した後に形成したトナー像における線幅異常を検知してもよい。
【0047】
また、前記感光回転体の耐久状態を特定する耐久状態特定部と、前記耐久状態が閾値以下である場合に、前記検知部に線幅異常の検知を禁止する禁止部と、を備えてもよい。
【0048】
また、前記清掃部は、前記感光回転体の外周面上にトナーを供給し、当該トナーを掻き取ることによって前記清掃を行ってもよい。
【0049】
また、前記トナー像形成部は、前記清掃部による清掃後、更に前記トナー像形成部に前記トナー像を形成し、前記検知部は、前記更に形成されたトナー像における線幅異常を検知し、前記検知部が、前記更に形成されたトナー像において、副走査方向における前記感光回転体の周長毎に、主走査方向における同一の位置に線幅異常を検知した場合に、その旨を報知する報知部と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0050】
このようにすれば、トナー像上で感光回転体の回転周期毎に、放電生成物の付着箇所が主走査方向における同一位置に現れるという特徴に着目して、主走査方向について局所的に発生するオゾンボケ(線状ボケ)を検知して、その原因となった放電生成物を除去するので、高精細な画像品質を達成するとともに、当該除去に伴う感光回転体の摩耗を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】本開示の実施の形態に係る画像形成装置1の主要な構成を示す外観斜視図である。
【
図2】画像形成装置1が備える画像形成部100の主要な構成を示す図である。
【
図3】画像形成部100が備える作像ユニット200の主要な構成を示す図である。
【
図4】画像形成部100が制御部101の主要な構成を示すブロック図である。
【
図5】線状ボケを解消するために制御部101が実行する処理を説明するフローチャートである。
【
図6】線状ボケ検出処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図7】(a)はドットハーフパターンのテスト画像700を例示し、(b)は線状ボケ711が生じているドットハーフパターンのテスト画像710を例示し、(c)は(b)におけるD-D線での濃度異常プロファイルを示す。
【
図8】(a)は副走査方向に周期性を有する濃度異常801~804と、周期性を有していない濃度異常811、812を例示し、(b)は(a)のE-E線での濃度異常プロファイルを示す。
【
図9】(a)は細線パターンのテスト画像900を例示し、(b)は線状ボケ911が生じている細線パターンのテスト画像910を例示し、(c)は(b)のF-F戦における濃度プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本開示に係る画像形成装置の実施の形態について、、図面を参照しながら説明する。
[1]画像形成装置の構成
まず、本実施の形態に係る画像形成装置の構成について説明する。
【0053】
本実施の形態に係る画像形成装置1は、いわゆるタンデム方式のカラー複合機(MFP: Multi-Function Peripheral)であって、
図1に示すように、画像形成部100、給紙部110、画像読み取り部120および操作パネル130を備えている。画像読み取り部120は原稿から画像を読み取って画像データを生成する。
【0054】
画像形成部100は、画像読み取り部120が生成した画像データや、LAN(Local Area Network)やインターネット等の通信ネットワークを経由して受け付けた画像データを用いて画像を形成する。この場合において、給紙部110が供給した記録シート上に画像が形成され、その後、画像を形成された記録シートは排紙トレイ102上に排出される。
【0055】
画像形成部100は、制御部101を備えている。制御部101は、画像形成部100、給紙部110、画像読み取り部120および操作パネル130の動作や状態を監視したり制御したりする。
[2]画像形成部100の構成
次に、画像形成部100の構成について説明する。
【0056】
画像形成部100は、
図2に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)各色のトナー像を形成する作像ユニット200Y、200M、200Cおよび200Kを備えている。以下、作像ユニット200Y、200M、200Cおよび200Kどうしで共通する説明を行う場合には、トナー色を表すYMCKの文字を符号から省く。
【0057】
作像ユニット200は、感光回転体としての感光体ドラム201の外周面に沿って、帯電装置202、露光装置203、現像装置204、一次転写ローラー205およびクリーニング装置206を順次配設した構成を備えている。
(2-1)感光体ドラム201
感光体ドラム201は、円筒面状の外周面を有する感光体層が外周面に沿って形成されており、感光体層の外周面は保護層で被覆されている。感光体ドラム201は感光体ドラム駆動モーター411(
図4に図示)によって矢印A方向に回転駆動される。
【0058】
感光体ドラム201の感光体層は、有機光導電体を含有する樹脂からなっており、例えば、ドラム状の金属基体の外周面に形成された有機感光体層である。感光層を構成する樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂等が用いることができる。
(2-2)帯電装置202
帯電装置202は、感光体ドラム201の外周面を一様に帯電させる。この際、帯電装置202はオゾンや窒素酸化物(NOx: Nitrogen Oxides)といった放電生成物を発生させる。発生した放電生成物は拡散して、画像形成装置1の内部、特に、感光体ドラム201の外周面上に付着する。また、画像を形成してから長時間に亘って、感光体ドラム201の回転を停止させた場合には、感光体ドラムの外周面のうち、帯電装置202に対向する領域に放電生成物が蓄積し易い。
【0059】
本実施の形態においては、帯電装置202としてスコロトロン帯電装置を用いる場合を例にとって説明するが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、コロトロン帯電装置を用いてもよいし、帯電ローラーを用いてもよい。帯電装置202は、直流バイアス、または交流電圧を直流電圧に重畳した交流バイアスが印可されることによって、電極部において放電が起こり、感光体ドラム201の外周面を所定の帯電電位になるように一様に帯電させる。帯電装置202として帯電ローラーを用いる場合はローラー表面において放電が起こって、感光体ドラム201の外周面を帯電させる。
(2-3)露光装置203
露光装置203は、制御部101から受け付けた画像信号に応じて変調したレーザー光を感光体ドラム201の外周面上に照射する。感光体ドラム201の外周面のうち、レーザー光が照射された露光領域は、感光体が導通して、外周面上の帯電電荷が失われる。レーザー光が照射されなかった非露光領域は、外周面上の帯電電荷が維持される。このようにして、静電潜像が形成される。
(2-4)現像装置204
現像装置204は、感光体ドラム201の外周面上にトナーを供給することによって、静電潜像を現像し、トナー像を形成する。なお、本明細書では、感光体ドラム201の非露光領域における帯電電位と同極性に帯電させたトナーを供給して、露光領域にトナーを付着させる反転現像法を用いる場合を例にとって説明する。しかしながら、当該非露光領域における帯電電位と逆極性に帯電させたトナーを供給して、当該非露光領域にトナーを付着させる正現像法を用いてもよいのは言うまでもない。
【0060】
現像装置204は、例えば
図3に示すように、感光体ドラム201と現像領域を介して対向するよう配置された現像スリーブ311を備えている。現像スリーブ311には、例えば、帯電装置202による帯電極性と同極性の直流現像バイアス、または交流電圧に帯電装置202による帯電極性と同極性の直流電圧が重畳された現像バイアスが印加される。この現像バイアスによって、トナーが感光体ドラム201の外周面のうちの露光領域に吸着される反転現像が行われる。
【0061】
現像装置204は、トナーとキャリアとを含む2成分系の現像剤を用いて、静電潜像を現像する。
【0062】
トナーとしては、特に限定されず、一般に使用されている公知のトナーを使用することができる。一般に使用されている公知のトナーは、例えば、バインダー樹脂中に着色剤や必要に応じて、荷電制御剤や離型剤等を含有させ、外添剤を処理させたものである。
【0063】
外添剤はシリカやチタニアといった微粒子の金属酸化物が使用され、大きさは30nmといった小粒径のものから、100nmといった比較的大きな粒径のものまでを使用することができる。トナー粒径は、これに限定されるものではないが、3~15μm程度が好ましい。
【0064】
キャリアはトナーを帯電させるための成分である。キャリアとしては、特に限定されず、一般に使用されている公知のキャリアを使用することができる。一般に使用されている公知のキャリアは、例えば、バインダー型キャリアやコート型キャリア等である。キャリア粒径は、これに限定されるものではないが、15~100μmが好ましい。
(2-5)一次転写ローラー205
一次転写ローラー205は、中間転写ベルト211を挟んで感光体ドラム201に圧接されている。一次転写ローラー205は、感光体ドラム201との間で一次転写バイアス電圧を印加されることによって、感光体ドラム201の外周面上に担持されているトナー像を、中間転写ベルト211の外周面上へ静電転写する(一次転写)。一次転写バイアス電圧は通常、トナーと逆極性になっている。
(2-6)クリーニング装置206
クリーニング装置206は、一次転写後に感光体ドラム201の外周面上に残留する電荷を除電したり、当該外周面上に残留するトナーを掻き取って廃棄したりする。
図3に示すように、クリーニング装置206は、クリーニング・ブレード301、潤滑剤塗布機構302およびイレイサー303からなっている。クリーニング・ブレード301は感光体ドラム201の外周面上に残留するトナーを掻き取って廃棄する(ブレード・クリーニング方式)。
(2-6-1)クリーニング・ブレード301
クリーニング・ブレード301は、平板状の弾性部材である。クリーニング・ブレードの物性としては、反発弾性率や硬度が重要であり、反発弾性は温度25℃において10~80%であることが好ましく、より好ましくは30~70%である。またJIS A硬度は、20~90°であることが好ましく、特に好ましくは60~80°である。
【0065】
JIS A硬度が20°より小さい場合には、クリーニング・ブレードが柔らかすぎて、ブレードめくれが生じやすくなる。一方、JIS A硬度が90°より大きい場合には、感光体のわずかな凹凸や異物に追従させることが困難となり、トナー粒子のクリーニング不良が発生しやすくなる。
(2-6-2)潤滑剤塗布機構302
潤滑剤塗布機構302は、潤滑剤304、ブラシ305および均しブレード306を備えている。潤滑剤304は感光体ドラム201の外周面とクリーニング・ブレード301との間の摩擦を低減することによって、感光体ドラム201の外周面の摩耗を抑制するために塗布される。
【0066】
ブラシ305は感光体ドラム201と同じ方向に回転しながら、潤滑剤304を削り取って、感光体ドラム201の外周面に潤滑剤304を塗布する。感光体ドラム201の外周面に潤滑剤304を塗布する塗布部材がブラシ305に限定されないのは言うまでもなく、例えば、スポンジのように、ブラシ305以外の塗布部材を用いてもよい。
【0067】
潤滑剤304は、バー状に成形された固形潤滑剤であって、不図示のバネを用いてブラシ305に圧接されている。本実施の形態においては、潤滑剤304としてステアリン酸亜鉛を用いる場合を例にとって説明するが、潤滑剤304がステアリン酸亜鉛に限定されるないのは言うまでもなく、脂肪酸金属塩、シリコーンオイル、フッ素系樹脂等を用いることができる。
【0068】
これらの潤滑剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。なお、上記の潤滑剤の中では、特に脂肪酸金属塩が好ましい。脂肪酸金属塩としては、脂肪酸としては、直鎖状の炭化水素が好ましく、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が好ましく、ステアリン酸が一層好ましい。
【0069】
金属としては、リチウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、セリウム、チタン、鉄などを用いることができる。これらの中で、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸鉄などが好ましく、とくに、ステアリン酸亜鉛がもっとも好ましい。
【0070】
なお、
図3においては、潤滑剤塗布機構302が、感光体ドラム201の回転方向におけるクリーニング・ブレード301よりも下流側に配設されている場合が例示されているが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、潤滑剤塗布機構302はクリーニング・ブレード301よりも上流側に配設してもよい。また、作像ユニット200から潤滑剤塗布機構302を省いても本開示の効果を得ることができる。
【0071】
均しブレード306は感光体ドラム201の外周面上に塗布された潤滑剤の厚さが一様になるように当該潤滑剤を均す。均しブレードとしては、クリーニング・ブレード301と同様に弾性部材を使用することが好ましい。
(2-6-3)イレイサー303
イレイサー303は感光体ドラム201の外周面を露光することによって、全面を導通させ、当該外周面上に残留する電荷を除電する。イレイサー303としてはLED(Light Emitting Diode)等の光源を用いることができる。感光体ドラム201は、イレイサー303によって除電された後、再び帯電装置202によって帯電され、次の静電潜像を形成することができるようになる。
【0072】
作像ユニット200Y、200M、200Cおよび200Kは中間転写ベルト211の外周面上でYMCK各色のトナー像が重なり合うようにタイミングを合わせてトナー像を一次転写する。これによってカラートナー像が形成される。
【0073】
中間転写ベルト211は無端状のベルトであって、二次転写ローラー対212およびローラー213、214に掛け回され、矢印B方向に周回走行する。これによって、中間転写ベルト211の外周面上に担持されているトナー像が二次転写ローラー対212の二次転写ニップへ搬送される。
【0074】
二次転写ローラー対212は、二次転写バイアス電圧を印加された一対のローラーからなっている。この一対のローラーは中間転写ベルト211を挟んで互いに圧接することによって二次転写ニップを形成する。中間転写ベルト211の外周面上に担持されているトナー像が二次転写ニップへ搬送されるのにタイミングを合わせて、給紙部110から記録シートSが矢印C方向に搬送される。
【0075】
これによって、トナー像が中間転写ベルト211の外周面上から記録シートSの画像形成面上へ静電転写される(二次転写)。定着装置215は、記録シートSに担持されているトナー像を加熱して溶融させ、記録シートSの画像形成面に圧着する(熱定着)。
【0076】
スキャナー装置216は、記録シートSの画像形成面に形成された画像を読み取って画像データを生成し、制御部101へ送信する。スキャナー装置216としては、例えば、定着装置215から排紙トレイ102へ搬送される記録シートSを読み取るライン型CCD(Charge Coupled Device)イメージ センサーを用いることができる。また、CCDに限らず、密着画像センサー(CIS: Contact Image Sensor)等のラインスキャナーを用いることもできる。
【0077】
画像形成面上の画像を読み取り終わった記録シートSは排紙トレイ102上に排出される。複数枚の画像を形成する場合には、排紙トレイ102上で記録シートSが順次、積載される。
[3]主走査方向について局所的に発生するオゾンボケ(線状ボケ)
オゾンボケとは、帯電工程において発生したオゾンや窒素酸化物(NOx: Nitrogen Oxides)などの放電生成物が、感光体ドラム201の外周面上に付着し、更に水分を吸収して低抵抗化することによって発生する現象である。
【0078】
オゾンボケが発生すると、低抵抗化した放電生成物を経由して、感光体ドラム201の外周面上の帯電電荷が非露光領域から露光領域へ拡散するため、濃淡異常が発生し、画像がぼやけたような画像ノイズが視認される。例えば、ドットハーフパターンでは、
図7(b)に例示するように、ドットどうしが繋がったような画像ノイズが現れ、線画像では、
図9(b)に例示するように、線が引き延ばされたような画像ノイズが現れる。
【0079】
画像形成処理を実行すると、帯電装置202から放電生成物が発生する。画像形成処理を実行した後、次の画像形成処理などが実行されず、感光体ドラム201の回転を停止したまま、長期間が経過すると、感光体ドラム201の外周面のうちの周方向における特定の領域が帯電装置202に対向し続けるので、放電生成物が付着し続けて、蓄積する。
【0080】
このため、オゾンボケが特に顕著になる。このようなオゾンボケは感光体ドラム201の回転周期(周長ピッチ)で現れる。また、帯電装置202は感光体ドラム201の軸方向における幅全体に亘って感光体ドラム201の外周面に対向するため、画像上の主走査方向における幅全体に亘ってオゾンボケが現れる。
【0081】
クリーニング・ブレード301は、感光体ドラム201の外周面から残留トナーを除去する際には、感光体ドラム201の軸方向における幅全体に亘って感光体ドラム201の外周面を清掃する。このため、従来技術では、感光体ドラム201の軸方向(主走査方向)における幅全体に亘って付着した放電生成物もまたクリーニング・ブレード301を用いて除去する。
【0082】
しかしながら、近年、印刷業界で求められる商業用途の高精細な画像品質を達成するために、発明者らが調査したところ、従来知られていた主走査方向における幅全体に現れるオゾンボケ以外に、主走査方向について局所的に発生するオゾンボケもまた存在していることが分かった。このようなオゾンボケは商業用途の高精細な印刷が要求されることになって初めて発見されたものである。
【0083】
主走査方向について局所的に発生するオゾンボケは、詳細に観察すると、感光体ドラム201の周方向に細かい線状の濃淡異常になっている。このため、以下においては、このオゾンボケを「線状ボケ」と称する。
【0084】
線状ボケは、感光体ドラム201を回転駆動する際に、クリーニング・ブレード301やブラシ305等の部材と摺擦することによって、感光体ドラム201の外周面上に生じた微細な損傷個所に放電生成物が入り込み、水分を吸収して低抵抗化することによって発生するものと考えられる。
【0085】
感光体ドラム201の外周面上に生じた微細な損傷個所に入り込んだ放電生成物は、クリーニング・ブレード301による擦過力が十分に作用しないものと推測され、クリーニング・ブレード301として、通常の材料のものを用いたのでは除去に長時間がかかる。しかしながら、摺擦力の高いクリーニング・ブレード301を用いると感光体ドラム201の摩耗が加速され、寿命が短縮されてしまうおそれがある。
【0086】
このため、本実施の形態においては、線状ボケを検出した場合にだけ感光体ドラム201の外周面を重点的に清掃することによって、感光体ドラム201の摩耗を抑制しながら、高精細な画像品質を実現する。
[4]制御部101の構成
次に、制御部101の構成について説明する。
【0087】
制御部101は、
図4に示すように、CPU(Central Processing Unit)401やROM(Read Only Memory)402、RAM(Random Access Memory)403等を内部バス406によって相互に通信することができるように接続した構成を備えている。
【0088】
CPU401は、画像形成装置1に電源が投入される等してリセットされると、ROM402からブートプログラムを読み出して起動し、RAM403を作業用記憶領域として、HDD(Hard Disk Drive)404からOS(Operating System)や制御プログラムを読み出して実行する。
【0089】
NIC(Network Interface Card)405は、LAN(Local Area Network)やインターネット等の通信ネットワークを経由してパーソナル・コンピューター等の外部装置と通信するための処理を実行する。これによって、外部装置から画像形成ジョブを受け付けることができる。
【0090】
制御部101は、感光体ドラム駆動モーター411を制御することによって、感光体ドラム201を回転駆動させる。制御部101は更に帯電装置202、露光装置203、現像装置204、一次転写ローラー205、クリーニング装置206、二次転写ローラー対207、定着装置215、給紙部110および画像読み取り部120を制御することによって、画像形成処理を実行させる。
【0091】
また、線状ボケを検出する場合には、上に加えて更にスキャナー装置216を制御することによって、記録シートS上に形成された画像を定着装置215から排紙トレイ102に至る記録シートSの搬送経路上で読み取る。
[5]制御部101の動作
次に、制御部101の動作について説明する。
【0092】
制御部101は、
図5に示すように、画像形成ジョブを受け付けると(S501:YES)、作像ユニット200Y、200M、200Cおよび200Kそれぞれについて累積画像形成枚数が閾値以上になっているか確認する。
【0093】
確認の結果、累積画像形成枚数が閾値以上になっている作像ユニット200が無い場合には(S502:NO)、そのまま画像形成ジョブを実行し(S510)、YMCK各色について当該画像形成ジョブで形成した画像の枚数を累積画像形成枚数に加算することによって、累積画像形成枚数を更新した後(S511)、ステップS501へ進んで次の画像形成ジョブを待つ。
【0094】
累積画像形成枚数が閾値以上になっている作像ユニット200が1つまたは複数ある場合には、累積画像形成枚数が閾値以上になっている作像ユニット200について、線状ボケ検出処理を実行する(S503)。線状ボケ検出処理の詳細については後述する。
【0095】
なお、累積画像形成枚数が閾値以上である作像ユニット200についてだけ線状ボケ検出処理を実行するのは、線状ボケが顕在化し易いのは、感光体ドラム201の外周面に微細な損傷個所が増える耐久後だからである。相対的に、耐久初期は、感光体ドラム201の外周面に損傷個所が生じるに至っておらず、線状ボケが発生しない可能性が高いので、敢えて線状ボケ検出処理を実行しなくてもよい。
【0096】
また、後述のように、線状ボケ検出処理においてはテスト画像を形成するので、累積画像形成枚数が少ない作像ユニット200について線状ボケ検出処理を実行しなければ、当該色のトナーを不必要に消費しないで済む。
【0097】
ただし、言うまでもないことだが、線状ボケを検出するという目的だけから言えば、累積画像形成枚数の多寡に関係なく、すべての作像ユニット200について線状ボケ検出処理を実行してもよい。
【0098】
線状ボケ検出処理を実行した結果、線状ボケを検出した場合には、回復モードとして、感光体ドラム201の外周面を清掃する(S505)。この清掃においては、感光体ドラム201を所定回数だけ回転させ、クリーニング・ブレード301に当該外周面を摺擦させることによって、当該外周面に付着した放電生成物を掻き取らせる。
【0099】
回復モードにおいては、現像装置204からトナーを供給しながら、感光体ドラム201を回転させてもよい。このようにすれば、クリーニング・ブレード301を用いて感光体ドラム201の外周面を摺接させる際の研磨剤として、トナーを作用させることができるので、当該外周面に付着した放電生成物を効果的に除去することができる。
【0100】
感光体ドラム201の回転回数は、外周面の損傷個所に入り込んだ放電生成物を除去するに足る回数であるのが望ましいが、回転回数を増やすほど感光体ドラム201が摩耗するので、実験等によって適切な回転回数を決定すべきである。
【0101】
清掃後、再度、線状ボケ検出処理を実行する(S506)。ステップS506の線状ボケ検出処理は、ステップS503の線状ボケ検出処理において線状ボケが検出された作像ユニット200だけについて実行するのでもよい。
【0102】
ステップS506の線状ボケ検出処理を実行した結果、ステップS503の線状ボケ検出処理で線状ボケが検出された作像ユニット200について、再度、線状ボケが検出された場合には(S507:YES)、制御部101は操作パネル130に警告メッセージを表示する(S508)。
【0103】
感光体ドラム201の外周面を清掃しても線状ボケを解消することができず、商業用途の高精細な印刷をすることができないため、当該感光体ドラム201、或いは当該感光体ドラム201を備えた作像ユニット200を交換する必要があるからである。
【0104】
同じ理由から、当該画像形成ジョブをキャンセルして(S509)、処理を終了する。当該画像形成ジョブを実行しても、線状ボケが発生するので、高精細な画像を形成することができないからである。
【0105】
ステップS503の線状ボケ検出処理で線状ボケが検出されなかった場合には、画像形成ジョブを実行して(S510)、当該画像形成ジョブで形成したYMCK各色の画像枚数を当該色に対応する累積画像形成枚数に加算した後(S511)、ステップS501へ進んで、次の画像形成ジョブを待つ。
【0106】
また、ステップS503の線状ボケ検出処理で線状ボケが検出された場合であっても、ステップS505の清掃によって感光体ドラム201の外周面上から放電生成物が除去され、線状ボケが解消したことが確認された場合には(S507:NO)、同じ様に画像形成ジョブを実行し(S510)、累積画像形成枚数を更新した後(S511)、ステップS501へ進んで、次の画像形成ジョブを待つ。
【0107】
このようにすれば、線状ボケを検出した場合にだけ、当該線状ボケの原因となった放電生成物を感光体ドラム201の外周面上から除去するために清掃するので、線状ボケの有無に関係なく当該清掃を実行する場合と比較して感光体ドラム201が不必要に摩耗するのを抑制することができる。したがって、感光体ドラム201の長寿命化を図ることができる。
[6]線状ボケ検出処理
次に、上記ステップS503、S506で実行する線状ボケ検出処理について説明する。
【0108】
線状ボケ検出処理は、線状ボケを検出する処理である。線状ボケは以下のような特徴を備えている。すなわち、
(a)感光体ドラム201の外周面に生じた損傷個所に入り込んだ放電生成物に起因する画像ノイズであり、クリーニング・ブレード301による摺擦力が作用し難いので、通常のオゾンボケと比較して、解消までの時間がかかり、
(b)同じ理由から、主走査方向における特定の位置に、感光体ドラムの周長ピッチで、繰り返し発生する一方、
(c)当該特定の位置が主走査方向のどの位置になるかについては特定の傾向を持っておらず、
(d)感光体ドラム201の外周面がクリーニング・ブレード301等と摺擦することによって生じる損傷個所は、感光体ドラム201の周方向に線状であるため、副走査方向に線状になる。
このため、以上のような特徴に着目すれば線状ボケを検出することができる。
【0109】
線状ボケ検出処理において、制御部101は、
図6に示すように、まず、テスト画像を形成する(S601)。
【0110】
本実施の形態においては、テスト画像としてドットハーフパターンの画像を形成する。
図7(a)に例示するように、ドットハーフパターン700は、ドットパターンによって中間階調を表現した画像である。本実施の形態においては、反転現像法を用いる場合を例にとっているので、露光によって感光体ドラム201の外周面上の帯電電荷が失われた領域にトナーが付着することによってドット701が描かれ、露光されなかった領域はトナーが付着しない白地部分になる。
【0111】
クリーニング・ブレード301等との摺擦によって外周面が損傷し、この損傷個所に放電生成物が入り込んだ感光体ドラム201を用いて、ドットハーフパターンを形成すると、
図7(b)に例示するように、ドットハーフパターン710のうちの損傷個所に対応する位置に副走査方向を長手方向とする線状ボケ711が発生する。
【0112】
本実施の形態では、感光体ドラム201の外周面の損傷個所に入り込んだ放電生成物であって、水分を含んで電気抵抗が低下した放電生成物が、感光体ドラム201の外周面のうち、当該放電生成物の近傍の非露光領域と露光領域とを導通させて、当該非露光領域の帯電電荷を低下させる。これによって、当該損傷個所およびその近傍で帯電電荷が失われ、現像時にトナーが付着するので、線状ボケ711が発生する。
【0113】
この線状ボケ711を検出するためには、感光体ドラム201の周方向(副走査方向)における周期性も確認するため、ドットハーフパターン710は、副走査方向において、感光体ドラム201の周長ピッチにおける2周期分以上の大きさである必要がある。また、主走査方向において連続的に濃度を測定することが必要となる。本実施例では、用紙に定着した後の画像をCCD(若しくはCID)にてスキャンすることでそれを可能としている。
【0114】
また、ドットハーフパターン710におけるドット701のサイズを小さくし、かつドット701のサイズに合わせて、ドット701の間隔を狭くするほど、細かな線状ボケ711を検出することができるので、高精細な画像品質を確保する上で有効である。
【0115】
感光体ドラム201の外周面上に形成されたドットハーフパターンのトナー像は、通常の画像形成時と同様にして記録シートSに転写され、定着される。制御部101は、線状ボケ検出処理を実行する際には、記録シートSに形成された画像をスキャナー装置216で1ラインずつ読み取る(S602)。この読み取りによって、テスト画像を読み取った画像データ(以下、単に「テスト画像」という。)が生成される。
【0116】
制御部101は、テスト画像の主走査線ごとにステップS603からステップS610までのループ処理を実行する。すなわち、主走査線の画素ごとに、読み取ったテスト画像の画素値から元のテスト画像の画素値を差し引いた差分値(濃度プロファイル)を求めて、当該差分値を閾値Thと比較し、閾値Thを超える箇所があるかどうかによって、濃淡異常を確認する(S604)。
【0117】
図7(c)は、線状ボケ711を有するドットハーフパターン710のうち、線状ボケ711を横切る主走査線(D-D線)における濃淡異常(差分値)を例示するグラフである。このグラフでは、線状ボケ711に対応する位置に濃淡異常が現れている。元のテスト画像では白地であった領域が、線状ボケ711によって白地でなくなったために濃淡異常が生じたものである。
【0118】
制御部101は、差分値と閾値との比較から濃淡異常を検出した場合には(S605:YES)、当該テスト画像における感光体ドラム201の周長ピッチにおける現在の主走査線の1周期目の主走査線があるかどうかを確認する。当該ループ処理の初期には、現在の主走査線に対応する1周期前の主走査線は無い。
【0119】
制御部101は、1周期前の主走査線がある場合には(S606:YES)、当該テスト画像における感光体ドラム201の周長ピッチにおける1周期目の主走査線を参照して(S607)、現在の主走査線についての濃淡異常と同じ位置に、当該1周期前の主走査線についても濃淡異常が検出されているか確認する。
【0120】
現在の主走査線についての濃淡異常と同じ位置に、1周期前の主走査線についての濃淡異常が検出されている場合には(S608:YES)、線状ボケがあると判定する(S609)。なお、主走査方向における濃淡異常の位置については、記録シートSのスキューによる位置ずれ等の可能性を考慮して、ある程度の誤差の範囲内で近い位置にあれば、濃淡異常の位置が同じであると判断するのが望ましい。
【0121】
また、差分値が閾値Thを超える箇所が主走査方向に連続する距離(例えば、画素数)の上限値を設定しておき、当該距離が上限値を超える場合には、言い換えると主走査方向における局所的な濃淡異常でない場合には、線状ボケでないと判断してもよい。
【0122】
ただし、線状ボケでなくても、感光体ドラム201の外周面上の当該箇所に放電生成物が付着してオゾンボケを発生させている可能性があるので、そのようなオゾンボケを解消するためには回復モードを適用するのが有効である。
【0123】
図8(a)に例示する濃淡異常のプロファイル画像では、濃淡異常801、802、803および804が、主走査方向における同じ位置に、感光体ドラム201の周長ピッチLで周期的に現れている。摺走査方向における当該位置を通るE-E線における濃淡異常のプロファイルにおいても、
図8(b)に示すように、濃淡異常801、802および803に対応して、濃淡異常(差分値)が閾値Thを超える箇所が、感光体ドラム201の周長ピッチLで、副走査方向に周期的に現れているのが確認できる。
【0124】
従って、濃淡異常801、802、803および804から線状ボケが発生していると判断することができる。一方、濃淡異常811、812はどちらも副走査方向に周期的に現れる濃淡異常ではないので、線状ボケの有無に関する判断には寄与しない。
【0125】
現在の主走査線について濃淡異常を検出しなかった場合(S605:NO)、1周期前の主走査線が無い場合(S606:NO)、1周期前の主走査線について濃淡異常が検出されていない場合(S608:NO)および現在の主走査線について検出した濃淡異常と、1周期前の主走査線について検出した濃淡異常とで位置が異なる場合(S609:NO)には、線状ボケの有無に関する判定を維持したまま、次の主走査線の処理を行う。
【0126】
その後、ループ処理を完了したら、上位ルーチンに復帰する。なお、線状ボケがあると判定した時点で、ループ処理を終了して、上位ルーチンに復帰してもよい。上位ルーチンにおいては、線状ボケが1つでも検出されたら、検出した線状ボケの個数に関係なく、感光体ドラム201の外周面を清掃するからである(S505)。
【0127】
このようにすれば、感光体ドラム201の外周面に生じた損傷個所に放電生成物が入り込むことに起因する線状ボケを精度良く検出することができる。
[7]変形例
以上、本開示を実施の形態に基づいて説明してきたが、本開示が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
(7-1)上記実施の形態においては、テスト画像がドットハーフパターンである場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、ドットハーフパターン以外のテスト画像を用いてもよい。
【0128】
例えば、テスト画像として細線パターンを持ちいてもよい。この場合において、
図9(a)に示す細線パターン900では、主走査方向に延びる細線901が副走査方向に等間隔に繰り返し描画されている。
【0129】
細線パターン900で線状ボケ911が発生すると、線状ボケは副走査方向(感光体ドラム201の周方向)に延びる損傷個所に放電生成物が入り込むことに起因するので、
図9(b)に例示するように、線状ボケの発生個所で細線の線幅が広くなる。
【0130】
このため、細線パターンを用いて線状ボケを検出する線状ボケ検出処理においては、スキャナー装置216で読み取ったテスト画像の副走査ラインを順次、参照して、
図9(c)に例示するように、濃度プロファイルにおいて、細線901の線幅が本来w1であるところ、所定の閾値Thよりも大きいw2、w3、w4、w5となっている箇所が、感光体ドラム201の周長ピッチLで周期的に繰り返し現れているかどうかによって線状ボケ911の有無を判断することができる。
【0131】
テスト画像として細線パターン900を用いれば、テスト画像を形成するために使用するトナーの量が少量で済むというメリットを得ることができる。
【0132】
テスト画像として細線パターン900を用いる場合には、副走査方向における細線901の周期(線幅と間隔の和)が、感光体ドラム201の周長ピッチLの整数分の一になっていなければ、細線901が副走査方向において線状ボケ内のどの位置を通過するかが一定しないので、線状ボケの周期性を検出することができなくなる場合があり得る。
【0133】
一方、副走査方向における細線901の周期を、感光体ドラム201の周長ピッチLの整数分の一にすれば、線状ボケと細線901との位置関係を一定に保つことができるという意味で、線状ボケの検出精度を向上させることができる。
【0134】
また、細線パターン900を用いる場合、副走査方向における長さが細線901の周期よりも短い線状ボケは検出できない場合がある。したがって、高精細な画像品質を達成したい場合には、許容することができる線状ボケの副走査方向における長さよりも細線901の周期が小さい細線パターン900を用いるのが望ましい。
【0135】
また、
図9(a)では、細線901が主走査方向に延びる細線パターン900を示したが、細線901の延びる方向が副走査方向以外の方向であれば、副走査方向において、細線901の線幅が大きくなっている箇所が、感光体ドラム201の周長ピッチLで周期的に現れているかどうかで、線状ボケの有無を判断することができる。
【0136】
なお、細線パターン900をテスト画像とする場合も、ドットハーフパターンをテスト画像とする場合と同じように、細線901の線幅が大きくなっている箇所が主走査方向に連続する距離(例えば、画素数)の上限値を設定しておき、当該距離が上限値を超える場合には、線状ボケでないと判断してもよい。
【0137】
また、この場合においても、線状ボケ以外のオゾンボケが発生している可能性があるので、当該オゾンボケを解消する上で回復モードを適用するのは有効である。
【0138】
このように、テスト画像として細線パターン900を用いても線状ボケを検出することができる。検出したい線状ボケの副走査方向における長さよりも短い周期で露光領域と非露光量とが交互に現れる静電潜像によって形成される画像であれば、ドットハーフパターン700や細線パターン900以外のテスト画像であっても、線状ボケの検出に用いることができる。
(7-2)上記実施の形態においては、スキャナー装置216を用いて、記録シートSに定着したテスト画像を読み取って線状ボケを検出する場合を例にとって説明した。
【0139】
上記実施の形態のように、定着装置215から排紙トレイ102に至る記録シートSの搬送経路上であれば、スペースに余裕があるので、スキャナー装置216を配置することが容易である。更に、線状ボケの検出に際して、スキャナー装置216が汚損し難い点でも優れている。
【0140】
しかしながら、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしてもよい。
【0141】
例えば、感光体ドラム201の外周面上で線状ボケを検出してもよい。このようにすれば、テスト画像を記録シートSに転写したり、定着したりする必要が無いので、転写および定着のための消費電力や部材の消耗を抑えることができ、また、記録シートSを節約することができる。
【0142】
また、中間転写ベルト211に担持されているテスト画像から線状ボケを検出してもよい。線状ボケの検出は、中間転写ベルト211の周回走行方向における最下流に位置する作像ユニット200(
図2においては、作像ユニット200K)から二次転写ローラー対212に至る中間転写ベルト211の周回走行経路上で検出してもよい。
【0143】
また、二次転写ローラー対212よりも下流側で線状ボケを検出する場合には、二次転写ローラー対212に対する二次転写バイアス電圧の印加を停止するか、二次転写バイアス電圧とは逆極性のバイアス電圧を印加するか、あるいは二次転写ローラー対212を離間させるのが望ましい。
【0144】
このようにすれば、二次転写ローラー対212に印加された二次転写バイアスの影響によって、中間転写ベルト211上でテスト画像が乱れるのを防止することができるので、線状ボケを精度良く検出することができる。
【0145】
また、上記のように、感光体ドラム201の外周面上で線状ボケを検出する場合には、感光体ドラム201毎に個別に検出装置を配設する必要がある。これに対して、中間転写ベルト211に担持されているテスト画像から線状ボケを検出する場合には、どの感光体ドラム201で形成したテスト画像であるかに関係なく、共通の検出装置を用いて線状ボケを検出することができる。
【0146】
このように、線状ボケを検出する検出装置が少なくて済むので、画像形成装置1の低コスト化および小型化を図ることができる。
【0147】
なお、テスト画像を形成する領域は、感光体ドラム201や中間転写ベルト211の主走査方向における全幅でなくてもよく、有効画像領域全体に亘っていれば高精細な画像品質を確保することができる。また、有効画像領域全体でなくても、ある程度の幅を持ったテスト画像を形成すれば、高い精度で線状ボケを検出することができる。
(7-3)上記実施の形態においては、線状ボケが検出されると回復モードを適用する場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに加えて、線状ボケ以外の画像ノイズが検出された場合には、当該画像ノイズを解消するための画像ノイズ解消シーケンスを適用してもよい。
【0148】
また、線状ボケと共に線状ボケ以外画像ノイズが検出された場合に、線状ボケに対する回復モードを適用することによって、線状ボケ以外に検出した画像ノイズを解消することができる場合には、回復モードのみを適用し、線状ボケ以外に検出した画像ノイズを解消するための画像ノイズ解消シーケンスは省いてもよい。このようにすれば、線状ボケの回復モードと他の画像ノイズ解消シーケンスとを両方適用する場合と比較して、感光体ドラム201その他の部材の消耗を抑制することができる。
(7-4)上記実施の形態においては、元のテスト画像(ドットハーフパターン)とスキャナー装置216で読み取ったテスト画像との差分画像において、濃淡異常が閾値を超えているかどうかを確認する場合を例にとって説明し、また、上記変形例においては、細線パターン900のテスト画像における線状ボケの有無を判断するために、線幅が閾値よりも大きいかどうかを確認する場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしてもよい。
【0149】
例えば、線状ボケが発生していないと判別された領域における濃淡異常や線幅の平均値に対し、濃淡異常や線幅の変動が閾値以上の場所があるかどうかによって判断してもよい。
【0150】
ここで、線状ボケが発生していない領域であるかどうかを判別するには、濃淡異常や線幅のヒストグラムを用いてもよい。テスト画像の大部分の領域においては線状ボケが発生していないので、濃淡異常や線幅のヒストグラムにおいて圧倒的に度数が高い濃淡異常や線幅になっている領域が線状ボケの発生していない領域である。
【0151】
このため、ヒストグラムにおいて度数が高い濃淡異常や線幅の平均値を求めることによって、線状ボケが発生していないと判別された領域における濃淡異常や線幅の平均値を得ることができる。
【0152】
また、ヒストグラムにおいて圧倒的に度数が高い濃淡異常や線幅とは別に、比較的度数が高い濃淡異常や線幅があれば、これらの濃淡異常どうしや線幅どうしを峻別することができる濃淡異常や線幅を閾値として設定し、当該閾値を用いて、テスト画像から線状ボケの候補を検出してもよい。線状ボケの候補のうち副走査方向に感光体ドラム201の周長ピッチLで周期的に現れているものが求める線状ボケである。
(7-5)上記実施の形態においては、線状ボケを検出して(
図5、S504:YES)、回復モードを適用した後(S505)、更に線状ボケを検出した場合には(S507:YES)、警告メッセージを表示して(S508)、画像形成ジョブをキャンセルする場合(S509)を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしてもよい。
【0153】
例えば、線状ボケを検出しては、回復モードを適用するというサイクルを2回以上繰り返してもよい。すなわち、個々の回復モードにおいて放電生成物を除去するために感光体ドラム201を回転させる回数を少なくして、線状ボケの解消状況を確認しながら、感光体ドラム201の外周面を清掃してもよい。
【0154】
このようにすれば、感光体ドラム201の回転回数が少なくても解消することができる線状ボケが発生した場合には、線状ボケが解消しているにも拘らず、不必要に感光体ドラム201を回転させることによって、感光体の摩耗が促進されるのを防止することができる。
【0155】
また、逆に、感光体ドラム201の回転回数を増やせば線状ボケを解消できるにも拘らず、警告メッセージを表示したり、画像形成ジョブをキャンセルしたりすることによって、画像形成装置1のユーザーの利便性が低下するのを防止することができる。
【0156】
このように、回復モードを適用するというサイクルを所定の回数だけ繰り返しても線状ボケが解消しなかった場合には、感光体に回復することができない損傷個所があると判断して、警告メッセージを表示したり、画像形成ジョブをキャンセルしたりしてもよい。
(7-6)上記実施の形態においては、線状ボケの回復モードを実行した後(
図5、S505)、更に線状ボケ検出処理(S506)を実行する場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしてもよい。
【0157】
例えば、回復モードにおける感光体ドラム201の回転回数が非常に多い等の理由から、回復モードを適用すれば確実に放電生成物を除去して線状ボケを解消できる場合には、回復モードを実行した後に再度、線状ボケ検出処理を行うことなく、通常通りに画像形成ジョブを実行してもよい。
【0158】
このようにすれば、線状ボケが確実に解消されているにも拘らず、不必要に線状ボケ検出処理を実行して、FCOT(First Copy Out Time)が長くなり、ユーザーの利便性が低下するのを回避することができる。
(7-7)上記実施の形態においては、クリーニング・ブレード301を用いて感光体ドラム201の外周面を清掃する場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、クリーニング・ブレード301に代えて、例えばブラシ等、クリーニング・ブレード301以外の清掃部材を用いてもよい。この場合において、現像装置204が形成する磁気ブラシも清掃部材として使用することができる。
【0159】
清掃部材として回転ブラシ等の回転体を用いる場合には、回復モードを適用する際に、画像形成ジョブを実行する場合とは異なる条件で当該回転体を回転させてもよい。例えば、画像形成ジョブを実行する場合よりも回転速度を上げれば、感光体ドラム201の外周面に対する摺擦力を高められるので、より確実に放電生成物を除去することができる。
【0160】
また、線状ボケが検出された感光体ドラム201の外周面を摺擦する回転体だけ回転させたり、回転速度を上げたりすれば、線状ボケが検出されていない感光体ドラム201はあまり摺擦されないので、当該感光体ドラム201の外周面の摩耗を抑制することができる。したがって、当該感光体ドラム201や当該感光体ドラム201を備える作像ユニット200を長寿命化させることができる。
(7-8)上記実施の形態においては、累積画像形成枚数が閾値以上ならば、画像形成ジョブの実行に先立って、線状ボケの有無を確認する場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて、或いはこれに加えて、次のようにしてもよい。
【0161】
例えば、前回の画像形成処理を完了してから経過した時間が所定の閾値以上である場合にのみ線状ボケの有無を確認してもよい。上述のように、画像形成処理を完了すると、感光体ドラム201の回転が停止して、感光体ドラム201の外周面のうちの特定の領域が帯電装置202に対向し続けることになるので、帯電装置202から発生した放電生成物が当該領域に集中的に蓄積され、当該領域に摺擦に起因する損傷個所があると線状ノイズが発生し易くなる。
【0162】
一方、画像形成処理を繰り返すと、一次転写後に感光体ドラム201の外周面上に残留する転写残トナーをクリーニング・ブレード301で掻き取る際に、放電生成物もまた掻き取られるので、線状ノイズが解消され易くなる。
【0163】
この点に着目して、前回の画像形成処理を完了してから経過した時間が所定の閾値未満である場合には線状ボケの検出処理を実行しないようにすれば、線状ボケが検出される蓋然性が低いにもかかわらず、不必要にテスト画像を形成して、無駄にトナーを消費したり、当該トナーを清掃するために感光体ドラム201の外周面を摩耗させたりするのを抑制することができる
(7-9)上記実施の形態においては、回復モードを適用する場合に感光体ドラム201を回転させる回数が1回転以上である場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて感光体ドラム201の回転回数を1回転未満としてもよい。
【0164】
例えば、感光体ドラム201の外周面上で線状ボケを検出する場合には、感光体ドラム201の外周面上における放電生成物の付着位置を特定することができる。このため、当該付着位置がクリーニング・ブレード301の摺擦位置を通過する範囲内で感光体ドラム201を回転させて、外周面を清掃してもよい。
【0165】
言うまでもなく、当該付着位置がクリーニング・ブレード301の直下にある場合を除けば、感光体ドラム201を1回転させる前に、当該付着位置がクリーニング・ブレード301の摺擦位置を通過するので、当該付着位置に付着した放電生成物をクリーニング・ブレード301で摺擦し、清掃することができる。
【0166】
このようにすれば、当該放電生成物を清掃するためにクリーニング・ブレード301が感光体ドラム201の外周面を摺擦する距離を最低限に留めることができるので、感光体ドラム201の摩耗を抑制することができる。
【0167】
また、上記変形例でも説明したように、回復モードを適用した後、再度、線状ボケの検出処理を行って、線状ボケが検出されなくなるまで、回復モードを適用すれば、回復モードの適用回数を必要最小限に留めることができる。この意味においても、感光体ドラム201の摩耗を抑制することができる。
(7-10)上記実施の形態においては、累積画像形成枚数が閾値以上ならば、線状ボケを検出する場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、累積画像形成枚数に代えて、感光体ドラム201の走行距離や累積回転回数など、累積画像形成枚数以外の条件を判断することによって、線状ボケ検出処理の実行の要否を判断してもよい。このようにしても、本開示を適用することによって上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(7-11)上記実施の形態においては、画像形成ジョブを受け付けたタイミングで線状ボケの検出処理を実行する場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて、或いはこれに加えて、次のようにしてもよい。
【0168】
例えば、いわゆる画像安定化処理の際に併せて線状ボケの検出処理を実行してもよい。画像安定化処理とは、画像濃度を調整したり、記録シートSの両面に画像形成する際の表裏の位置精度を調整したり、その他の調整を行ったりすることによって、画像品質を一定に保つために画像形成装置1の動作パラメーターを更新する処理である。画像安定化処理は、画像形成装置1の起動時や停止前、画像形成ジョブを実行していないとき等に実行される。
【0169】
画像安定化処理においては、現在の動作状態を検出するためにテスト画像を形成する。このため、画像安定化処理のために形成されるテスト画像を、線状ボケの検出にも兼用すれば、テスト画像を形成するためのトナーや処理時間などのコストを低減することができる。
【0170】
また、線状ボケの検出処理を画像安定化処理の際にだけ行い、画像形成ジョブを受け付けた際には行わないようにすれば、画像形成ジョブを実行する際のFCOTを短縮することができる。したがって、ユーザーの利便性を向上させることができる。
(7-12)上記実施の形態においては、テスト画像としてドットハーフパターンを形成する場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしてもよい。
【0171】
例えば、画像形成ジョブを実行することによって、記録シートSに形成した画像をテスト画像としてスキャナー装置216で読み取って線状ボケを検出してもよい。線状ボケを検出した場合には、回復モードを適用して放電生成物を除去した後、再度当該画像を形成する。また、線状ボケを検出しなかった場合には、そのまま当該画像形成ジョブの次の画像を形成してもよいし、次の画像形成ジョブを実行してもよい。
【0172】
このようにすれば、画像形成ジョブに係る画像とは別にテスト画像を形成する必要が無いので、記録シートSやトナーを節約することができる。また、当該画像において線状ボケが検出されなかった場合には、仮に感光体ドラム210の外周面上に放電生成物が付着していたとしても、高精細な画像品質の画像が形成されているので、画像品質上は問題がない。
【0173】
放電生成物の付着箇所が露光領域と非露光領域とに跨っていない場合には帯電電荷の移動による線状ボケが発生しないので、感光体ドラム201の外周面上に放電生成物が付着していても、形成すべき画像によっては線状ボケが発生しないからである。
【0174】
また、線状ボケが発生して、検出されるような画像を形成する場合にだけ回復モードを適用し、線状ボケが発生せず、したがって検出もされないような画像を形成する場合には、放電生成物が付着していたとしても、回復モードを適用しない。したがって、専用のテスト画像を用いて線状ボケを精度よく検出し、線状ボケを検出するたびに回復モードを適用する場合と比較して、感光体ドラム201の摩耗を抑制することもできる。
(7-13)上記実施の形態においては、画像形成装置1がタンデム方式のカラー複合機である場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、タンデム方式以外の方式のカラー複合機であってもよいし、モノクロ複合機であってもよい。
【0175】
また、画像形成装置1は、プリンター装置や、原稿から画像を読み取るスキャナー機能を備えたコピー装置、更にファクシミリ通信機能を備えたファクシミリ装置といった単機能機であってもよく、本開示を適用することによって同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0176】
本開示に係る画像形成装置は、感光体表面に放電生成物が付着することによって発生する局所的な画像ノイズである線状ボケを効率よく解消することができる装置として有用である。
【符号の説明】
【0177】
1………………………………………画像形成装置
100…………………………………画像形成部
101…………………………………制御部
130…………………………………操作パネル
200…………………………………作像ユニット
201…………………………………感光体ドラム
202…………………………………帯電装置
205…………………………………一次転写ローラー
211…………………………………中間転写ベルト
212…………………………………二次転写ローラー対
215…………………………………定着装置
216…………………………………スキャナー装置
301…………………………………クリーニング・ブレード
700、710………………………ドットハーフパターン
701…………………………………ドット
711、801~804、911…線状ボケ
900…………………………………細線パターン
901…………………………………細線